JP2014234705A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
車両に搭載された内燃機関のスロットル弁の開度が急激に減少したとき、制御装置がEGR弁を全閉にしようとしても、EGRガス濃度が一時的に上昇することによって燃焼悪化が発生し得る。このような場合、内燃機関の制御装置が、燃焼悪化の発生を防止するための制御を実行する。
【解決手段】
内燃機関100は、EGR通路134及びEGR弁136から成るEGR装置、並びに、可変バルブ機構124を備える。内燃機関100は更に、制御装置としてエンジンECU200を備える。制御装置は、可変バルブ機構124のリフト量及び作用角を制御することによって気筒内の混合気の流れの強さを上昇させ、燃焼悪化の発生を防止する。
【選択図】図1
車両に搭載された内燃機関のスロットル弁の開度が急激に減少したとき、制御装置がEGR弁を全閉にしようとしても、EGRガス濃度が一時的に上昇することによって燃焼悪化が発生し得る。このような場合、内燃機関の制御装置が、燃焼悪化の発生を防止するための制御を実行する。
【解決手段】
内燃機関100は、EGR通路134及びEGR弁136から成るEGR装置、並びに、可変バルブ機構124を備える。内燃機関100は更に、制御装置としてエンジンECU200を備える。制御装置は、可変バルブ機構124のリフト量及び作用角を制御することによって気筒内の混合気の流れの強さを上昇させ、燃焼悪化の発生を防止する。
【選択図】図1
Description
本発明は、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気再循環)機構を有する内燃機関の制御装置に関する。
従来から、NOxの排出量を抑制するためのEGR装置を備える内燃機関が知られている。EGR装置は、燃焼室から排気通路に排出された燃焼ガスを吸気通路に再循環させるEGR通路、及び、EGR通路に設けられ、再循環させる燃焼ガス(EGRガス)の量を調整するためのEGR弁を備える。更に、EGRガス量を適切に制御することによりポンピングロスを低減することができるので、燃費を向上することができることも知られている。
ところで、機関低負荷時においてEGRガス量が多すぎると、混合気が安定して燃焼し難くなる。そこで、一般に、機関低負荷時においてはEGRを停止又はEGRガスを減量している。
一方、吸気弁の開閉タイミング及び開弁時のリフト量を可変とする可変バルブ機構(可変動弁装置)もまた、内燃機関の燃費向上のために用いられている。例えば、内燃機関に対する要求トルクが低下したとき(即ち、機関低負荷時)、内燃機関の制御装置は、スロットル弁の開度を減少させるとともに、吸気弁のリフト量を減少させるか、吸気弁の作用角を減少させるか、又は、これらの両方を実行する。これにより、制御装置はスロットル弁のみにより吸入空気量を制御する場合に比べてスロットル弁を開き側に維持することができる。その結果、絞り損失(スロットルロス)が抑えられるので、制御装置は内燃機関の燃費を向上させることができる。
ところで、EGR装置と可変バルブ機構とを備える内燃機関において、要求トルク(機関負荷)が低下した場合、制御装置は、スロットル弁開度を低下させるとともに、吸気弁のリフト量及び/又は作用角を調整し、同時にEGR弁を全閉にすることによりEGRを停止しようとする。しかしながら、EGR弁が全閉になった後においても、「EGR通路の一部及び吸気通路内」に残存しているEGRガスが気筒内に流入し続ける。その結果、気筒内のEGRガス濃度が一時的に高くなるため、気筒内の混合気が点火プラグの火花によって点火されない可能性、及び/又は、点火に成功しても燃焼が気筒内の混合気に十分に拡がらない可能性が高まる。この現象は、「燃焼悪化」とも称呼される。
そこで、従来の制御装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、このような要求トルク(機関負荷)低下時における失火(燃焼悪化)を回避するために、要求トルク低下時に排気通路にあるウェイストゲートバルブを開弁している。これによれば、要求トルク低下時に排ガス(燃焼ガス)が過給機の排気タービンを通過しなくなるので、排気通路内の圧力が低下する。従って、排気通路から気筒内へと逆流する内部EGRガス量が減少するため、気筒内のEGRガス量(外部EGRガス及び内部EGRガスの総量)が減少する(例えば、特許文献1を参照。)。
しかしながら、上記従来装置は、ターボチャージャを備えない内燃機関には適用できない。更に、EGR弁の応答速度は一般にスロットル弁の応答速度よりも低いので、スロットル弁開度の減少がEGR弁開度の減少よりも先行し、その結果、スロットル弁の開度が小さくなった時点でEGR弁が全閉になっていない期間が発生し得る。このとき、スロットル弁の開度減少によって外気の吸気通路への流入が制限される結果、「吸気通路のスロットル弁よりも気筒側の部分」の気圧が低下して排気通路の気圧との差分が大きくなり、且つ、EGR弁が全閉となっていないので、EGRガスの排気通路から吸気通路への流入が促される。そのため、上記従来装置により内部EGR量を低減したとしても、外部EGR量が十分に低減できず、その結果、気筒内のEGRガス濃度が一時的に高くなるため燃焼悪化が発生する虞がある。
更に、要求トルクが低下したときに上記の可変バルブ機構によって吸気弁のリフト量が小さくなるように設定されている場合、吸気弁の開弁時に吸気通路から気筒内に流入する混合気の量が少なくなるため、気筒内の気流(例えば、タンブル流)が弱くなり、燃焼悪化が一層発生し易くなる。
そこで、本発明の目的の一つは、内燃機関の減速時等にスロットル弁の開度を減少させた結果、EGRガス濃度が一時的に上昇することによって発生する燃焼悪化を防止することができる内燃機関の制御装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明の内燃機関の制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼される。)は、
EGR装置と可変動弁装置とを具備し、
低負荷時は吸気弁のリフト量又は作用角を基準値に設定し、一方、高負荷時は前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する、
燃料噴射式内燃機関に適用される。
EGR装置と可変動弁装置とを具備し、
低負荷時は吸気弁のリフト量又は作用角を基準値に設定し、一方、高負荷時は前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する、
燃料噴射式内燃機関に適用される。
更に、本発明装置は
EGR実行中に機関負荷が高負荷から低負荷まで低下したときに噴射を伴いながらEGRを停止させる場合であって且つ機関負荷の低下速度が所定速度よりも大きい場合、
筒内に発生する混合気の流速が増大するように前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する制御部を具備する。
EGR実行中に機関負荷が高負荷から低負荷まで低下したときに噴射を伴いながらEGRを停止させる場合であって且つ機関負荷の低下速度が所定速度よりも大きい場合、
筒内に発生する混合気の流速が増大するように前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する制御部を具備する。
本発明装置は、例えば、スロットル弁開度が急激に減少したとき、EGRガスの還流を停止させると共に、リフト量及び/又は作用角の減少を禁止することによって気筒内の混合気の流れの強さ、即ち、流速を増大させる。
この場合、気筒内のEGRガス濃度が一時的に上昇し得るが、混合気の流速が高まることによって点火プラグの火花による混合気への着火性が向上し、更に、着火された混合気の燃焼の伝播速度が上昇する。その結果、本発明装置は、スロットル弁開度が急激に減少したときであっても燃焼悪化の発生を防止することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「第1制御装置」とも称呼される。)について説明する。図1は、第1制御装置が適用される「EGR装置及び可変バルブ機構(可変動弁装置)を備える内燃機関100」の概略構成を示す略図である。この内燃機関100は、車両に搭載されている。
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「第1制御装置」とも称呼される。)について説明する。図1は、第1制御装置が適用される「EGR装置及び可変バルブ機構(可変動弁装置)を備える内燃機関100」の概略構成を示す略図である。この内燃機関100は、車両に搭載されている。
図1において、内燃機関100には1つの気筒のみが図示されているが、エンジンの設計に応じて任意の数とすることができる。本実施形態では、内燃機関100の気筒の数は「4」である。
内燃機関100は、エアクリーナ102から吸入された空気とインジェクタ104から噴射される燃料との混合気を、気筒(燃焼室106)内で点火プラグ108により点火して燃焼させる内燃機関である。点火時期は、内燃機関100の運転状態に応じて設定される。
混合気が燃焼すると、燃焼圧によりピストン110が押し下げられ、クランクシャフト112が回転する。燃焼後の混合気(燃焼ガス)は、排ガス浄化触媒(三元触媒)114により浄化された後、車外に排出される。
内燃機関100に吸入される空気の量は、スロットル弁116により調整される。スロットル弁116は、スロットル弁アクチュエーター(DCモーター)によって回動される。スロットル弁アクチュエーターは後述するエンジンECUからの駆動信号により駆動される。吸気弁118が開いたとき、燃焼室106に混合気が導入される。燃焼室106内に混合気が流入したとき、燃焼室106内で混合気の流れ(タンブル流)が発生する。排気弁120が開いたとき、燃焼室106から燃焼ガスが排出される。
吸気弁118は、インテークカムシャフト122によって駆動される。排気弁120は、エキゾーストカムシャフト126によって駆動される。吸気弁118の開閉タイミング及びリフト量は、周知の可変バルブ機構124によって制御される。可変バルブ機構は例えば特開2001−132421号公報、特開2004−190594号公報、及び、特開2007−182864号公報等に開示されている。本実施形態に係る可変バルブ機構124は、インテークカムシャフト122の回転位相、及び、吸気弁118とインテークカムシャフト122との距離を調整することによって吸気弁118の作用角及びリフト量を調整する。
燃焼室106から排気通路130へ排出された燃焼ガスの一部をEGRガスとして吸気通路132へ還流させるため、EGR通路134が設けられている。還流するガスの量は、EGR通路134に設けられたEGR弁136によって調整される。EGR弁136は、実際にはソレノイドバルブ(電磁弁、デューティ制御弁)である。従って、EGR弁136の開度EVは後述するエンジンECU200からのデューティ信号のデューティ比に応じて変化する。デューティ比が「0」になるとEGR弁136が全閉(開度EV=0)になり、EGRガスの還流は停止する。即ち、EGR停止状態が実現される。デューティ比が「0」より大きい場合、EGR弁136の開度EVはデューティ比が大きいほど大きくなる。このEGR弁136の開度EVの変更速度の大きさの最大値は、スロットル弁116の開度の変更速度の大きさの最大値よりも小さい。
内燃機関100は、エンジンECU200によって制御される。エンジンECU200には、水温センサ300、クランクポジションセンサ302、スロットル開度センサ304、イグニッションスイッチ306、エアフローメータ308、及び、アクセル開度センサ310が接続されている。
水温センサ300は、内燃機関100のウォータージャケット内の冷却水の温度(水温)を検出し、検出結果を表わす信号を、エンジンECU200に送信する。
クランクポジションセンサ302は、内燃機関100のクランクシャフト112が一定角度回転する毎にパルスを発生するようになっている。エンジンECU200は、クランクポジションセンサ302から送信された信号に基づいて、クランク角度CA及びクランクシャフト112の回転速度NEを検出する。
スロットル開度センサ304は、スロットル開度TAを検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。イグニッションスイッチ306は、内燃機関100を始動させる際に、運転者の操作によってオフ位置からオン位置へと変更させされる。
エアフローメータ308は、内燃機関100に吸入される空気量Ga(質量流量)を検出し、検出結果を表わす信号をエンジンECU200に送信する。
アクセル開度センサ310は、アクセルペダル312の近傍に設けられている。アクセル開度センサ310は、アクセルペダル312の開度を表す信号をエンジンECU200に送信する。
エンジンECU200は、CPU202、CPU202が実行するプログラム及びマップ等を保持するROM204、及び、データを一時的に記憶するRAM206を含む。CPU202は、各センサ及びイグニッションスイッチ306から送信された信号、並びに、ROM204に記憶されたマップ等に基づいて演算処理を行ない、内燃機関100が所望の運転状態となるように、各種機器類を制御する。
次に、可変バルブ機構124の作動について説明する。図2は、可変バルブ機構124によって調整される吸気弁118のリフト量及び開閉タイミングの組合せ、即ちカムプロフィールを示している。曲線Pf1は、最もリフト量が小さく且つ作用角が小さいカムプロフィールである。曲線Pf2は、次にリフト量が小さく且つ作用角が小さいカムプロフィールである。曲線Pf3は、最もリフト量が大きく且つ作用角が大きいカムプロフィールである。エンジンECU200は、内燃機関100の運転状態に応じてカムプロフィールPf1乃至Pf3の中から一つを選択し、吸気弁118がそのカムプロフィールに従って開閉するように可変バルブ機構124を設定する。
図3は内燃機関100の機関運転状態を表している。曲線L1は、内燃機関100が最大トルクを発生している場合における「回転速度NEと負荷KL」との関係を示している。負荷KLは、KL={MC/(ρ・L/4)}・100(%)なる式により求められる。
この式において、MCは現時点において吸気行程の直前にある気筒に吸入される筒内吸入空気量(単位は(g))である。ρは空気密度(単位は(g/l))、Lは内燃機関100の排気量(単位は(l))、「4」は内燃機関100の気筒数である。
機関運転状態が領域A1内にあるとき、エンジンECU200は、カムプロフィールPf1を選択する。同様に、エンジンECU200は、機関運転状態が領域A2内にあるときカムプロフィールPf2を選択し、機関運転状態が領域A3内にあるときカムプロフィールPf3を選択する。
次に、EGRガス濃度が一時的に増大し、その結果、燃焼悪化が発生する可能性が高くなる運転状態について説明する。このようなEGRガス濃度の一時的な増大は、例えば、運転者によってアクセルペダル312の開度が急激に減少され、それによりスロットル弁116の開度が急激に減少される機関の減速時に発生する。
より具体的に述べると、スロットル弁116の開度が急激に減少される(即ち、要求トルクTRが急減する)と、内燃機関100の運転状態は図3の点P1から点P2へと変化する場合が生じる。図3において、領域A2及びA3はEGRガスが還流される運転領域(EGRガス還流領域)である。領域A1はEGRガスの還流が停止される運転領域(EGR停止領域)を表している。
運転状態P1は領域A3内にあるため、この運転状態ではEGR弁136が開かれ、EGRガスが吸気通路132を経て燃焼室106に還流している。一方、運転状態P2は領域A1内にあるため、この運転状態ではEGR弁136が全閉となる。
図4は、図3に例示したような「運転状態が図3の点P1から点P2へと変化した場合」における種々の値を示したタイミングチャートである。この例においては、図4(a)の実線Laにより示したように、時刻t1にてスロットル弁116の開度TAが急激に減少され始める。このスロットル弁116の開度TAの減少に伴い、負荷KLが減少するので、EGR弁開度は時刻t1から減少させられ始める。更に、本例においては、スロットル弁開度TAは、時刻t2にて「内燃機関100に運転状態P2に対応する要求トルクTRを発生させるための所定の値」となっている。
従って、図4の(a)に破線Lbにより示したように、EGR弁開度EVは、負荷KLの減少に伴って時刻t1から減少し始め、更に、内燃機関100の運転状態が領域A1内へと移行するので、EGR弁開度は全閉(0)に向って減少され続ける。但し、前述したように、EGR弁開度EVの減少速度の大きさの最大値はスロットル弁開度TAの減少速度の大きさの最大値よりも小さい。従って、EGR弁開度EVはスロットル弁開度TAに比較して緩やかに減少し、時刻t2よりも後の時刻t3にて全閉(即ち、「0」)となる。
ところで、燃焼室106内のEGRガスの濃度は、図4(b)の破線Lcにより示したように、理想的にはスロットル弁開度(従って、負荷KL)の減少に応じて減少すべきである。即ち、EGRガス濃度は、スロットル弁開度の減少に応じて時刻t2にて「0」となることが望ましい。しかしながら、前述したように、EGR弁開度EVの減少速度の大きさの最大値はスロットル弁開度TAの減少速度の大きさの最大値よりも小さい。その結果、スロットル弁116の開度が減少するに従って「吸気通路132のスロットル弁よりも気筒側の部分」の気圧が低下する一方でEGR弁136が全閉となっていない状態が生じる。このため、排気通路130から吸気通路132へEGRガスが比較的多く還流する。その結果、図4(b)の実線Ldにより示した「実際のEGRガス濃度Ld」は、時刻t1以降において一時的に上昇し、その後、EGR弁136が閉じるのに従って下降する。
時刻t3にてEGR弁136が全閉となり、その少し後、即ち、EGR弁136から吸気通路132を経て吸気弁118に至る経路に存在していたEGRガスが、混合気と共に全て燃焼室106に流入し終えたとき、EGRガス濃度は「0」となる。
以上説明したように、スロットル弁116の開度が急減し且つEGR弁136の閉弁がスロットル弁116の開度減少よりも遅れる場合、燃焼室106内のEGRガス濃度が一時的に上昇する。このとき燃焼悪化が発生し易くなる。或いは、スロットル弁116の開度減少に遅れることなくEGR弁136が閉弁した場合であっても、「EGR通路134のEGR弁136よりも吸気通路132側」に残存しているEGRガスが燃焼室106内に流入することによって燃焼室106内のEGRガス濃度が一時的に上昇し、その結果、同様の事象(燃焼悪化)が発生し得る。そのため、第1制御装置は、燃焼室106内の混合気の流れの強さを増大させることによって燃焼悪化の発生を防ぐ制御(燃焼悪化防止制御)を実行する。
具体的には、燃焼悪化防止制御を行うため、エンジンECU200は、RAM206上に燃焼悪化フラグの値を保持する。燃焼悪化フラグは、後述する処理によって、燃焼悪化発生の虞があるときは「1」(フラグが設定された状態)に維持され、その虞の無いときは「0」(フラグが解除された状態)に維持される。内燃機関100の始動時、燃焼悪化フラグの初期値は「0」に設定される。
まず、エンジンECU200のCPU202(以下、単に「CPU」とも称呼される。)が実行する燃焼悪化フラグ設定の処理について図5を参照しながら説明する。この処理において、CPUは、燃焼悪化発生の虞があるとき、燃焼悪化フラグの値を「1」に設定する。
内燃機関100の運転時、所定の時間が経過する毎に、CPUは図5のルーチンを実行する。従って、CPUは、所定のタイミングにてステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。ステップ505にてCPUは、燃焼悪化フラグの値が「0」であるか否かを判定する。既に燃焼悪化フラグの値が「1」であった場合、CPUは燃焼悪化フラグを設定する処理を実行する必要はない。即ち、この場合CPUは、ステップ505にて「No」と判定してステップ595に進んで一旦終了する。一方、燃焼悪化フラグの値が「0」であった場合、CPUはステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進む。
ステップ510にてCPUは、EGR弁136に送出しているデューティ信号に基づいてEGR弁136が開いているか否かを判定する。既にEGR弁136が全閉(EV=0)であった場合、CPUは後述する燃焼悪化防止制御を実行する必要が無い。即ち、この場合CPUは、ステップ510にて「No」と判定してステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、EGR弁136が開いていた場合、CPUはステップ510にて「Yes」と判定してステップ515に進む。
ステップ515にてCPUは、スロットル弁116の絞り要求の有無を判定する。即ち、CPUは、上述した燃焼室106内のEGRガス濃度の一時的な上昇が起こり得る状況であるか否かを判定する。具体的には、CPUは、所定のタイミングにて図示しないスロットル弁駆動ルーチンを実行する。そのルーチンにてCPUは、要求トルクTRに応じてスロットル弁116の目標開度TA*を決定する。更に、CPUは、スロットル弁116の実際の開度TAが目標開度TA*と等しくなるよう、スロットル開度センサ304の検出結果をフィードバックする制御によって、スロットル弁アクチュエーターを制御する。
本ルーチンのステップ515にてCPUは、「RAM206に保持されている、スロットル弁駆動ルーチンによって算出されたスロットル弁116の目標開度TA*」を参照する。CPUは更に、スロットル開度センサ304の検出結果に基づいてスロットル弁116の現在の開度TAを算出し、目標開度TA*との差分ΔTA(=TA*−TA)を算出する。CPUは、本ルーチンを実行する所定のタイミング(時間間隔)毎に目標開度TA*を取得するため、この差分ΔTAは、この時間間隔あたりの目標開度TA*の変化量に相当する。
差分ΔTAが負の閾値TAthよりも小さい場合、CPUは、スロットル弁116の絞り要求(スロットル弁116の急激な開度減少)が発生していると判断する。即ち、この場合、CPUはステップ515にて「Yes」と判定してステップ520に進む。一方。差分ΔTAが、正の値であるときも含めて、閾値TAth以上である場合、CPUはステップ515にて「No」と判定してステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、CPUは、所定時間前におけるスロットル弁開度TAoldと現時点におけるスロットル弁開度TAの差分ΔTA(=TA−TAold)が負の閾値TAthよりも小さいか否かを判定し、ΔTAが負の閾値TAthよりも小さいとき絞り要求が発生していると判断するように構成されてもよい。
ステップ520にてCPUは、EGRガスの還流を停止すべきか否かを判定する。具体的には、CPUは、ROM202に保持された「図3に示したマップ」を参照し、回転速度NE及び負荷KLの組合せ(即ち、内燃機関100の運転状態)がEGRガス停止領域内にあるか否か(図3の例では、運転状態が領域A1に含まれるか否か)を判断する。
運転状態がEGRガス停止領域内にあれば、CPUはEGRガスの還流を停止すべきである。即ち、この場合CPUは、ステップ520にて「Yes」と判定してステップ525に進む。一方、運転状態がEGRガス還流領域(図3の例では、領域A2及びA3)内にあれば、CPUはEGRガスの還流を継続すべきである。即ち、この場合CPUは、ステップ520にて「No」と判定してステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ525にてCPUは、内燃機関100の運転状態が低リフト運転領域に含まれるか否かを判定する。具体的には、CPUは、吸気弁118のカムプロフィールPf1(低リフト)、カムプロフィールPf2(中リフト)、及び、カムプロフィールPf3(高リフト)の内、カムプロフィールPf1が設定されるべき運転状態であるか否かを判定する。即ち、CPUは、運転状態が図3の領域A1内にあるか否かを判定する。
カムプロフィールPf1が設定されるべき運転状態であった場合、CPUはステップ525にて「Yes」と判定してステップ530に進む。一方、カムプロフィールPf2又はPf3が設定されるべき運転状態であった場合、燃焼悪化が発生する虞が無いため、CPUはステップ525にて「No」と判定してステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ530にてCPUは、燃焼悪化フラグの値を「1」に設定する。即ち、この場合CPUは、内燃機関100の燃焼悪化が発生する虞があり、燃焼悪化防止制御を行うべき状態であるため、燃焼悪化フラグを設定して後述するルーチンの実行時に燃焼悪化防止制御が実行されるようにする。その後CPUは、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
次に、CPUが実行する燃焼悪化フラグ解除の処理について図6を参照しながら説明する。この燃焼悪化フラグ解除の処理において、CPUは、燃焼悪化発生の虞がないとき、燃焼悪化フラグの値を「0」に設定する。内燃機関100の運転時、所定の時間が経過する毎に、CPUは図6のルーチンを実行する。従って、CPUは、所定のタイミングにてステップ600から処理を開始し、ステップ605に進む。
ステップ605にてCPUは、燃焼悪化フラグの値が「1」であるか否かを判定する。既に燃焼悪化フラグの値が「0」であった場合、CPUは燃焼悪化フラグ解除の処理を実行する必要はない。即ち、この場合CPUは、ステップ605にて「No」と判定してステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、燃焼悪化フラグの値が「1」であった場合、CPUはステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進む。
ステップ610にてCPUは、燃焼悪化フラグの値が「1」に設定された状態が所定の経過時間閾値TSth以上経過していないか否かを判定する。この閾値TSthは、前出した「燃焼室106内のEGRガス濃度の一時的上昇」が発生した後、このEGRガス濃度が低下するまでに要する時間よりも長くなるよう設定されている。燃焼悪化フラグが「1」に設定されてから閾値TSth以上経過していた場合、燃焼室106内のEGRガス濃度は実質的に「0」に等しいと考えられるため、燃焼悪化発生の虞がない。即ち、この場合CPUは、ステップ610にて「No」と判定してステップ620に進み、燃焼悪化フラグの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、燃焼悪化フラグが「1」に設定されてからの期間が閾値TSthより短い場合、CPUはステップ610にて「Yes」と判定してステップ615に進む。
ステップ615にてCPUは、EGRガスの還流を停止させるべきか否かを判定する。内燃機関100の運転状態がEGRガスを還流させるべき状態であるとき、即ち、運転状態が図3の領域A2又はA3内にあるとき、燃焼悪化が発生する可能性は低いため、CPUは燃焼悪化防止制御を継続するべきではない。具体的には、CPUは、図5のステップ520と同様に内燃機関100の運転状態がEGRガス停止領域(図3の領域A1)内にあるか否かを判断する。
運転状態がEGRガス停止領域の外側(EGRガス還流領域)にあれば、CPUはEGRガスを還流させるべきである。即ち、この場合CPUは、ステップ615にて「No」と判定してステップ620に進み、燃焼悪化フラグの値を「0」に設定する。その後、CPUはステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、運転状態がEGRガス停止領域内にあれば、CPUは、ステップ615にて「Yes」と判定してステップ695に進み本ルーチンを一旦終了する。
次に、燃焼悪化防止制御の具体的な態様について説明する。
吸気弁118の閉タイミングが、吸気下死点よりも進角側、又は、吸気下死点近傍である場合、リフト量が大きく且つ作用角が大きくなるほど、吸気行程において燃焼室106に流れ込む混合気の吸気充填率が向上する。
ところで、内燃機関の吸気弁の開閉タイミングが同一である場合の、リフト量と燃焼室内の混合気の流れの強さ(ここでは、タンブル流の強度)との相関を図7に示す。図7から理解されるように、吸気弁の開弁時のリフト量が大きくなるほど、タンブル流が強くなる。同様に、吸気弁の閉タイミングが吸気下死点よりも進角側、又は、吸気下死点近傍である場合、作用角が大きくなるほど、燃焼室内に混合気が流入する時間が長くなり、その結果タンブル流が強くなる。
内燃機関100の吸気弁118の閉タイミングは、カムプロフィールPf1乃至Pf3のいずれも、吸気下死点よりも進角側、又は、吸気下死点近傍である。そのため、カムプロフィールPf3が選択された場合、カムプロフィールPf2と比較して、燃焼室106内の混合気のタンブル流が強くなる。また、カムプロフィールPf2が選択された場合、カムプロフィールPf1と比較して、燃焼室106内の混合気のタンブル流が強くなる。
タンブル流が強いほど燃焼がより安定的に行なわれる。換言すると、タンブル流が強いほど希薄燃焼耐性が向上する。そこで、CPUは、燃焼悪化の虞がある場合(燃焼悪化フラグの値が「1」に設定されている場合)、燃焼悪化の虞がない場合に比べて燃焼室106内の混合気の流れが強くなるように、カムプロフィールPf1を選択すべき運転状態であってもカムプロフィールPf1を選択せず、カムプロフィールPf2を選択する。このカムプロフィールの選択が燃焼悪化防止制御を実現する。
カムプロフィールの選択に際して、CPUが実行する具体的な処理について図8を参照しながら説明する。内燃機関100の運転時、所定の時間が経過する毎に、CPUは図8のルーチンを実行する。従って、CPUは、所定のタイミングにてステップ800から処理を開始し、ステップ805に進む。
ステップ805にてCPUは、内燃機関100の運転状態が図3に示すマップの領域A1内にあるか否かを判定する。運転状態が領域A1内にあるとき、CPUは原則としてカムプロフィールPf1を選択する。即ち、この場合CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進む。
ステップ810にてCPUは、燃焼悪化フラグの値が「0」であるか否かを判定する。燃焼悪化フラグが「0」であれば、CPUは、燃焼悪化防止制御を実行する必要がないため、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ815に進み、ステップ815にて原則通りカムプロフィールPf1を選択する。その後、CPUはステップ895に進み本ルーチンを一旦終了する。
一方、(運転状態が領域A1内にあって)燃焼悪化フラグの値が「1」である場合、CPUは、燃焼悪化防止制御を実行する。即ち、前述の通りCPUはカムプロフィールPf1を選択しない。この場合CPUは、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進み、ステップ820にてカムプロフィールPf2を選択する。その後、CPUはステップ895に進み本ルーチンを一旦終了する。
運転状態が領域A1内にないとき、CPUはカムプロフィールPf2又はPf3の何れを選択すべきか判定する。具体的には、CPUはステップ805にて「No」と判定してステップ825に進む。ステップ825にてCPUは、運転状態が領域A2内にあるか否かを判定する。
運転状態が領域A2内にあった場合、CPUは、ステップ825にて「Yes」と判定してステップ820に進み、ステップ820にてカムプロフィールPf2を選択する。その後、CPUはステップ895に進み本ルーチンを一旦終了する。
一方、運転状態が領域A2内になかった場合、即ち、運転状態が領域A3内にある場合、CPUは、ステップ825にて「No」と判定してステップ830に進み、ステップ830にてカムプロフィールPf3を選択する。その後、CPUはステップ895に進み本ルーチンを一旦終了する。
燃焼悪化フラグの値が「0」であるとき、本ルーチンによって運転状態に基づいてカムプロフィールが選択される。一方、燃焼悪化フラグの値が「1」であるとき、運転状態に基づいてカムプロフィールPf1が選択されるべき場合であっても、「カムプロフィールPf1と比較してリフト量がより大きいカムプロフィールPf2」が選択される。
次に、CPUが実行するEGR弁136の制御について図9を参照しながら説明する。内燃機関100の運転時、所定の時間が経過する毎に、CPUは図9のルーチンを実行する。従って、CPUは、所定のタイミングにてステップ900から処理を開始し、ステップ905に進む。
ステップ905にてCPUは、図5のステップ520と同様に、内燃機関100の運転状態に基づいてEGRガスの還流を停止させるべきか否かを判定する。運転状態がEGR停止領域にあった場合、CPUはEGRガスの還流を停止させるべきである。即ち、この場合CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定し、ステップ910に進んでEGR弁136のデューティ比を「0」に設定する。次にCPUは、ステップ915に進んでEGR弁136の開度EVをこのデューティ比に従って制御する。即ち、CPUは、EGR弁136を全閉(開度EV=0)とする。その後CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、内燃機関100の運転状態がEGRガス還流領域にあった場合、CPUはEGRガスを還流させるべきである。即ち、この場合CPUは、ステップ905にて「No」と判定し、ステップ920に進む。ステップ920にてCPUは、ROM202に保持されたマップを参照し、回転速度NE及び負荷KLに基づいて、EGR弁136のデューティ比を算出する。次にCPUは、ステップ915に進んでEGR弁136の開度EVをこのデューティ比に従って制御する。その後CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
次に、CPUが燃焼悪化防止制御を実行したときのタイミングチャートを図10に示す。時刻t4は、時刻t1近傍にて燃焼悪化防止制御が開始されてから経過時間閾値TSthが経過し、燃焼悪化防止制御が停止される時刻である。(a)は、アクセルペダル312の開度の変化を表している。この例においては、アクセルペダル312の開度は、時刻t1近傍にて急激に低下し、それ以降は一定の開度を維持している。(b)は、内燃機関の負荷KLの変化を表している。この例においては、負荷KLは、時刻t1以降急激に低下し、EGRガスを導入する運転領域から、EGRガスを導入しない運転領域に遷移している。(c)は、スロットル弁116の開度TAの変化を表している。この例においては、スロットル弁116の開度は、時刻t1以降急激に低下している。しかし、時刻t4以降、後述する(e)の吸気弁118のリフト量が「中リフト」(カムプロフィールPf2が選択された状態)から「低リフト」(カムプロフィールPf1が選択された状態)に変更されたタイミングにて、内燃機関100が出力するトルクを維持するため、スロットル弁116の開度が上方に修正される。
(d)は、EGR弁136の開度の変化を表している。この例においては、EGR弁136の開度EVは、時刻t1以降低下し、時刻t3に開度EVが「0」になっている。(e)は、吸気弁118のリフト量の変化を表している。この例においては、吸気弁118のリフト量は、時刻t1以降、燃焼悪化防止制御を実行するため、スロットル弁開度TAの急減に伴ってリフト量が「高リフト」(カムプロフィールPf3)から「低リフト」(カムプロフィールPf1)に変化せず、「中リフト」(カムプロフィールPf2)に変化している。更に、時刻t4にて燃焼悪化防止制御が停止されたとき、リフト量が「低リフト」(カムプロフィールPf1)に変化している。(f)は、燃焼室106内のEGRガス濃度の変化を表している。この例においては、EGRガス濃度は、時刻t1以降、一時的に上昇し、その後低下している。EGRガス濃度は、燃焼悪化防止制御が停止される時刻t4までには「0」となっている。
以上説明したように、この例においては、時刻t1からt3までの期間、EGRガス濃度は一時的に上昇している。しかし、CPUがカムプロフィールPf1の代わりにカムプロフィールPf2を選択することによって燃焼悪化防止制御を実行した結果、燃焼室106内のタンブル流の強さが増大し、燃焼悪化の発生が回避されている。その後、CPUは、経過時間閾値TSthが経過した時刻t4にてカムプロフィールPf1を選択することによって燃焼悪化防止制御を停止させている。
以上説明したように、第1制御装置(エンジンECU200)は、
EGR装置(EGR通路134及びEGR弁136)と可変動弁装置(可変バルブ機構124)とを具備し、
低負荷時(図3の領域A1)は吸気弁のリフト量又は作用角を基準値(図2のカムプロフィールPf1)に設定し、
高負荷時(図3の領域A2及びA3)は前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値(図2のカムプロフィールPf2及びPf3)に設定する燃料噴射式内燃機関(内燃機関100)の制御装置であって、
EGR実行中に機関負荷が高負荷から低負荷まで低下したときに噴射を伴いながらEGRを停止させる場合であって且つ機関負荷の低下速度が所定速度(図5のステップ515における閾値TAth)よりも大きい場合、
筒内に発生する混合気の流速が増大するように前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定(図8のステップ810及びステップ820)する制御部(エンジンECU200及びCPU202)を具備している。
EGR装置(EGR通路134及びEGR弁136)と可変動弁装置(可変バルブ機構124)とを具備し、
低負荷時(図3の領域A1)は吸気弁のリフト量又は作用角を基準値(図2のカムプロフィールPf1)に設定し、
高負荷時(図3の領域A2及びA3)は前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値(図2のカムプロフィールPf2及びPf3)に設定する燃料噴射式内燃機関(内燃機関100)の制御装置であって、
EGR実行中に機関負荷が高負荷から低負荷まで低下したときに噴射を伴いながらEGRを停止させる場合であって且つ機関負荷の低下速度が所定速度(図5のステップ515における閾値TAth)よりも大きい場合、
筒内に発生する混合気の流速が増大するように前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定(図8のステップ810及びステップ820)する制御部(エンジンECU200及びCPU202)を具備している。
第1制御装置によれば、燃焼悪化が発生する虞があるとき、リフト量及び作用角を大きくすることによって燃焼室106内の気流(タンブル流)の強度を高めている。その結果、点火プラグの火花による混合気への着火性が向上し、且つ、着火された混合気の燃焼の伝播速度が上昇する。即ち、第1制御装置は燃焼悪化を防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「第2制御装置」とも称呼される。)について説明する。第1制御装置は燃焼悪化防止制御を実行するとき、カムプロフィールPf1の代わりにカムプロフィールPf2を選択していた。これに対し、第2制御装置は燃焼悪化防止制御を実行するとき、それまで選択していたカムプロフィールを継続して採用する点のみにおいて第1制御装置と相違している。
次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「第2制御装置」とも称呼される。)について説明する。第1制御装置は燃焼悪化防止制御を実行するとき、カムプロフィールPf1の代わりにカムプロフィールPf2を選択していた。これに対し、第2制御装置は燃焼悪化防止制御を実行するとき、それまで選択していたカムプロフィールを継続して採用する点のみにおいて第1制御装置と相違している。
第2制御装置の作動について説明する。第2制御装置に係るエンジンECU201のCPU202(以下、単に「CPU」とも称呼される。)は、燃焼悪化フラグの値を「0」から「1」へ変更するとき、カムプロフィールPf1乃至Pf3のうち「それまで選択していたカムプロフィール」をPfoldとしてRAM206上に保存する。
具体的には、CPUが燃焼悪化フラグの値を「0」から「1」へ変更するとき、内燃機関100の運転状態はその直前までEGRガス還流領域(図3の領域A2及びA3)内にあった(図5のステップ510)。そのため、カムプロフィールPfoldは、カムプロフィールPf2(運転状態が領域A2内にあった場合)又はカムプロフィールPf3(運転状態が領域A3内にあった場合)となる。更に、CPUが燃焼悪化フラグの値を「0」から「1」へ変更するとき、CPUは原則としてカムプロフィールPf1を選択する(図5のステップ525)。
即ち、この場合、CPUは原則としてカムプロフィールをPf2又はPf3から、Pf1へ変更する。しかし、本実施形態では、CPUは燃焼悪化防止制御を実行するとき、カムプロフィールPf2又はPf3の選択を維持する。
次に、カムプロフィールの選択に際して、CPUが実行する具体的な処理について図11を参照しながら説明する。内燃機関100の運転時、所定の時間が経過する毎に、CPUは図11のルーチンを実行する。従って、CPUは、所定のタイミングにてステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進む。
ステップ1105にてCPUは、燃焼悪化フラグの値が「0」であるか否かを判定する。燃焼悪化フラグの値が「1」である場合、即ち、CPUが燃焼悪化防止制御を行うべき場合、CPUは燃焼悪化防止制御の開始直前に選択していたカムプロフィールを選択する。即ち、この場合CPUはステップ1105にて「No」と判定してステップ1110に進む。ステップ1110にてCPUは、CPUはカムプロフィールとしてPfoldを選択する。その後CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、燃焼悪化フラグの値が「0」である場合、即ち、CPUが燃焼悪化防止制御を行う必要が無い場合、CPUは、内燃機関100の運転状態に従ってカムプロフィールを選択する。即ち、この場合CPUはステップ1105にて「Yes」と判定してステップ1115に進む。
ステップ1115にてCPUは、内燃機関100の運転状態が図3に示すマップの領域A1内にあるか否かを判定する。運転状態が領域A1内にあるとき、CPUはステップ1115にて「Yes」と判定してステップ1120に進む。ステップ1120にてCPUはカムプロフィールPf1を選択する。その後CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、運転状態が領域A1内にないとき、CPUはステップ1115にて「No」と判定してステップ1125に進む。ステップ1125にてCPUは、内燃機関100の運転状態が図3に示すマップの領域A2内にあるか否かを判定する。
運転状態が領域A2内にあるとき、CPUはステップ1125にて「Yes」と判定してステップ1130に進む。ステップ1130にてCPUはカムプロフィールPf2を選択する。その後CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、運転状態が領域A2内にないとき、CPUはステップ1125にて「No」と判定してステップ1135に進む。ステップ1135にてCPUはカムプロフィールPf3を選択する。その後CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
次に、CPUが燃焼悪化防止制御を実行したときのタイミングチャートを図12に示す。図12(e)は、吸気弁118のリフト量の変化を表している。この例においては、CPUは時刻t1まで「高リフト」(カムプロフィールPf3)を選択していた。時刻t1以降、CPUは燃焼悪化防止制御を実行するため、CPUはリフト量を「中リフト」(カムプロフィールPf2)又は「低リフト」(カムプロフィールPf1)に変更せず、時刻t1以前のリフト量、即ち、「高リフト」に維持する。更に、CPUは、時刻t4にて燃焼悪化防止制御を停止するとき、リフト量を「低リフト」(カムプロフィールPf1)に変更している。
以上説明したように、この例においては、時刻t1からt3までの期間、EGRガス濃度は一時的に上昇している。しかし、CPUが燃焼悪化防止制御を実行した結果、即ち、本例ではCPUがカムプロフィールPf3の選択を維持した結果、燃焼室106内のタンブル流の強さが増大し、燃焼悪化の発生が回避されている。
第2制御装置によれば、燃焼悪化が発生する虞があるとき、リフト量及び作用角を大きくすることによって燃焼室106内の気流(タンブル流)の強度を高めている。その結果、点火プラグの火花による混合気への着火性が向上し、且つ、着火された混合気の燃焼の伝播速度が上昇する。即ち、第2制御装置は燃焼悪化を防止することができる。
以上、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、本発明は、駆動用に内燃機関のみを備える車両はもとより、内燃機関と電動機との両方を備えるハイブリッド車両に搭載される内燃機関の制御装置にも及ぶ。
また、上記の実施形態では、燃焼悪化防止制御を停止すべきか否かを判定するための経過時間閾値TSthは固定値であった。しかし、この経過時間閾値TSthは内燃機関100の運転状態に応じて決まる可変値であっても良い。或いは、経過時間閾値TSthによる燃焼悪化防止制御を停止すべきか否かの判定は割愛されても良い。
また、上記の実施形態では、燃焼悪化防止制御を停止すべきか否かを判定するために内燃機関100の運転状態がEGR停止領域に含まれるか否かを参照していた。しかし、この判定は、スロットル開度TA、回転速度NE、負荷KL、吸入空気量Ga又は筒内吸入空気量MC等に基づいて行われても良い。或いは、「運転状態に基づく燃焼悪化防止制御を停止すべきか否かの判定」は割愛されても良い。
また、上記の実施形態では、CPUは気筒内に発生する混合気の流れを強くするために吸気弁118のリフト量及び開閉タイミング(吸気弁118の作用角)を変更していた。しかし、気筒内に発生する混合気の流れを強くするための吸気弁118の制御の形態は種々考えられる。例えば、CPUは吸気弁118を開くタイミングを吸気上死点よりも遅角側に設定して、吸気弁118を開く前に気筒内の負圧を高めても良い。この開タイミングの制御によって、吸気弁118が開いたときの吸気通路132から燃焼室106への混合気の流入速度が上昇し、気筒内に発生する混合気の流れが強くなる。
また、上記の実施形態では、吸気弁118の閉タイミングは吸気下死点よりも進角側、又は、吸気下死点近傍であった。しかし、吸気弁118の閉タイミングが吸気下死点よりも遅角側であって圧縮上死点近傍(例えば、圧縮上死点前90°乃至10°)であっても良い。即ち、内燃機関100はアトキンソンサイクル機関であっても良い。吸気下死点よりも遅角側で吸気弁を閉じる場合、クランク角度CAが吸気下死点を越えた後、燃焼室106内の混合気の一部が吸気通路132に押し戻される結果、タンブル流が弱くなる。そのため、閉タイミングが進角側に補正されるほど、タンブル流が強くなる。そこで、この場合CPUは、燃焼悪化防止制御を行うとき、吸気弁118の作用角を小さくしても良い。
また、上記の実施形態では、内燃機関100の運転状態に従ってカムプロフィールが選択されていた。しかし、筒内吸入空気量MC、回転速度NE及び負荷KL等の他のパラメータの値に従ってカムプロフィールが選択されても良い。
また、上記の実施形態では、カムプロフィールはPf1乃至Pf3の3種類であった。しかし、カムプロフィールは2種類又は4種類以上であっても良い。あるいは、吸気弁118のリフト量及び開閉タイミングはそれぞれ独立に設定されても良く、その設定は無段階に制御されても良い。
また、上記の実施形態では、気筒(燃焼室106)内の混合気の流れを強くするために吸気弁118のリフト量及び作用角を変更していた。しかし、混合気の流れを強くするため、リフト量のみを変更しても良く、又は、作用角のみを変更しても良い。或いは、混合気の流れを変更するために内燃機関100がタンブル流生成機構(例えば、タンブルコントロールバルブ)及び/又はスワール流生成機構(例えば、スワールコントロールバルブ)を備え、燃焼悪化防止制御を実行するためにこれらの機構を制御しても良い。
また、上記の実施形態では、CPUは燃焼悪化フラグの値が「1」であるとき燃焼悪化防止制御を行っていた。しかし、インジェクタ104による燃料噴射が停止されるフューエルカットの実行時、CPUは燃焼悪化防止制御を割愛しても良い。より具体的には、図8のステップ805とステップ810の間に「フューエルカット条件が成立しているか否か」を判定するステップを追加し、CPUはフューエルカット条件が成立した場合はステップ815に直接進み、フューエルカット条件が非成立の場合はステップ810に進むようにしても良い。或いは、CPUは、フューエルカット条件が成立した場合には燃焼悪化フラグの値を「0」に設定するようにしても良い。
100…内燃機関、116…スロットル弁、134…EGR通路、136…EGR弁、124…可変バルブ機構、200…エンジンECU。
Claims (1)
- EGR装置と可変動弁装置とを具備し、
低負荷時は吸気弁のリフト量又は作用角を基準値に設定し、
高負荷時は前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する燃料噴射式内燃機関の制御装置において、
EGR実行中に機関負荷が高負荷から低負荷まで低下したときに噴射を伴いながらEGRを停止させる場合であって且つ機関負荷の低下速度が所定速度よりも大きい場合、
筒内に発生する混合気の流速が増大するように前記吸気弁のリフト量又は作用角を前記基準値よりも大きい値に設定する制御部を具備する制御装置。
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Cited By (1)
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WO2021095250A1 (ja) | 2019-11-15 | 2021-05-20 | 日産自動車株式会社 | Egrシステムにおける実egr率の推定方法及びegrシステム |
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