JP2014233203A - 微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法およびシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】非破壊的に培養液に含まれる微細藻類または代謝生成物の濃度を決定する方法を提供する。【解決手段】本発明に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法は、測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射する照射ステップと、前記微細藻類の溶液の散乱光から前記微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長帯域の光を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出した光の光強度を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した光の光強度に基づき前記微細藻類の濃度を決定する決定ステップとを有する。【選択図】 図5
Description
本発明は、微細藻類または代謝生成物の濃度の決定方法およびシステムに関し、特に、微細藻類または代謝生成物の濃度を非破壊的に決定する方法およびシステムに関する。
近年、地球温暖化を抑制するため、温室効果ガスの一つである二酸化炭素の排出量の削
減が課題とされている。二酸化炭素を削減する手段として、植物の光合成を利用する方法がある。植物の中でも、特に微細藻類は、陸生植物と比較して高い増殖力を有するため、有望な二酸化炭素の削減手段として注目されている。
減が課題とされている。二酸化炭素を削減する手段として、植物の光合成を利用する方法がある。植物の中でも、特に微細藻類は、陸生植物と比較して高い増殖力を有するため、有望な二酸化炭素の削減手段として注目されている。
例えば、油成分を内部で生成し蓄積する微細藻類を用いて、発電所や工場で二酸化炭素
の排出量を抑えながら燃料を合成するプロセスが検討されているほか、微細藻類の光合成
を利用した二酸化炭素の固定化が研究されている。
の排出量を抑えながら燃料を合成するプロセスが検討されているほか、微細藻類の光合成
を利用した二酸化炭素の固定化が研究されている。
ところで、微細藻類が光合成をする際に生成される代謝生成物の総量と種類は、微細藻類がおかれる環境に大いに依存する。例えば、雰囲気の成分が、二酸化炭素よりも窒素の量が多い場合は二酸化炭素の飢餓状態になり、窒素を優先的に微細藻類の内部に蓄積しようとする。このため、同一種類の微細藻類を用いても、生育環境が異なる場合は、微細藻類とその代謝生成物の割合が異なるため、単純に培養時間で細胞増殖量または代謝生成物量を評価することはできない。
一般的に、微細藻類の細胞増殖量または代謝生成物量を評価するには、微細藻類溶液の一定量をサンプリングし、その中に含まれる微細藻類細胞と代謝生成物を遠心分離機あるいはろ過等で分離して、乾燥や抽出などの工程を経て、その重量を量ることによって行われる(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、微細藻類の細胞増殖量または代謝生成物量を評価するには、微細藻類溶液の一定量をサンプリングし、その中に含まれる微細藻類細胞と代謝生成物を遠心分離機あるいはろ過等で分離して、乾燥や抽出などの工程を経て、その重量を量ることによって行われる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した微細藻類が繁殖している水槽から一定量の溶液を抽出する「サンプリング」は、微細藻類が繁殖する生態系を侵食していることに他ならず、繁殖した微細藻類の量を減少させるばかりか、雑菌等の混入により生態系を変化させてしまう恐れがある。また、増殖速度を求めるためには、一定時間ごとに乾燥重量を量りその差をとるのが一般的であるが、上述したサンプリングを行って分離・乾燥または吸光度測定を実行するといった作業を繰り返し行うことは、作業者にとって大きな負担となる。
また、特許文献1には培養液の濁度を測定し、濁度が増加した場合に培養液を交換し連続的に培養を行う方法が記載されているが、濁度を測定する方法では、微細藻類の培養液全体の濃度の増加は把握することができるが、培養液に含まれる代謝生成物の濃度を把握することはできない。
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、非破壊的に培養液に含まれる微細藻類または代謝生成物の濃度を決定する方法を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法は、測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射する照射ステップと、前記微細藻類の溶液の散乱光から前記微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長帯域の光を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出した光の光強度を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した光の光強度に基づき前記微細藻類の濃度を決定する決定ステップとを有する。
前記抽出ステップは、あらかじめ測定しておいた前記微細藻類または代謝生成物の分光スペクトルに基づき透過波長帯域を決定した光波長フィルタを用いるようにしてもよい。
前記測定ステップは、前記抽出ステップにより抽出された光を撮像手段により撮影し、撮影した画像の色成分の階調の頻度分布を求め、前記決定ステップは、前記階調の頻度分布に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するようにしてもよい。
前記測定ステップは、前記抽出ステップにより抽出された光を光電気変換手段により電気信号に変換し、前記決定ステップは、前記電気信号に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するようにしてもよい。
また、本発明に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定システムは、微細藻類の溶液に光を照射する測定用光源と、前記微細藻類の溶液の散乱光から前記微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長帯域の光を抽出する抽出手段と前記抽出手段で抽出した光の光強度を測定する測定手段と前記測定手段で測定した光の光強度に基づき前記微細藻類の濃度を決定する決定手段とを有する。
前記抽出手段は、あらかじめ測定しておいた前記微細藻類または代謝生成物の分光スペクトルに基づき透過波長帯域を決定した光波長フィルタであるようにしてもよい。
前記測定手段は、前記抽出手段により抽出された光を撮像手段により撮影し、撮影した画像の色成分の階調の頻度分布を求め、
前記決定手段は、前記階調の頻度分布に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するようにしてもよい。
前記決定手段は、前記階調の頻度分布に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するようにしてもよい。
前記測定手段は、前記抽出ステップにより抽出された光を光電気変換手段により電気信号に変換し、前記決定手段は、前記電気信号に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するようにしてもよい。
本発明によれば、微細藻類の溶液の散乱光強度から微細藻類の細胞量または代謝生成物量を決定できるため、サンプリングを行うこと無く、非破壊的に微細藻類または代謝生成物の濃度を決定することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、「藻類」とは、一般に、光合成を行う生物のうち、陸上植物(コケ植物、シダ植物、種子植物)を除いたものの総称であり、このうち顕微鏡で確認できるサイズの小さな藻類を「微細藻類」と呼ぶ。本明細書においては、「微細藻類」は、水等の培地に分散可能な大きさを有する藻類を指すものとする。また、微細藻類が培地中に分散したものを「微細藻類の溶液」と呼ぶ。「代謝生成物」とは、上記微細藻類が光合成も含めた代謝活動を行ったときに生成される物質の総称であり、微細藻類の内部もしくは外部のどちらにも関わらず適用される。
また、微細藻類の溶液(サンプル)は、例えばフラスコなど透明な材料からなる容器に
貯留されている。この容器に自然光または照明光を照射しかつ二酸化炭素を含むガスを通
気させて、微細藻類に光合成をさせることにより、微細藻類は培養される。本発明の
各実施の形態は、そのようにして培養された状態の微細藻類の溶液を対象としている。
貯留されている。この容器に自然光または照明光を照射しかつ二酸化炭素を含むガスを通
気させて、微細藻類に光合成をさせることにより、微細藻類は培養される。本発明の
各実施の形態は、そのようにして培養された状態の微細藻類の溶液を対象としている。
図1は、本発明の実施の形態に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定システムの構成例を示す図面である。本構成例の微細藻類または代謝生成物の濃度決定装置は、測定用の光源10と、測定対象である微細藻類の溶液20と、測定光源の光が微細藻類の溶液に照射された際の散乱光から測定対象の特徴を示す波長の光を抽出する光波長フィルタ30と、光波長フィルタ30から抽出された光を撮影する撮像素子40と、撮影された画像情報を処理して光強度を抽出し、その光強度に基づき測定対象である微細藻類または代謝生成物の濃度を決定する濃度決定装置とから構成される。
<光波長フィルタの決定方法>
本発明の実施の形態では、微細藻類の溶液の散乱光から測定対象である微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長の光を光波長フィルタ等を用いて抽出し、その抽出した光の強度から測定対象物の濃度を決定する。複数の波長成分を含む散乱光の中から、光波長フィルタを用いて測定対象物の特徴を示す波長帯の光のみを抽出し、その光強度を測定する。
本発明の実施の形態では、微細藻類の溶液の散乱光から測定対象である微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長の光を光波長フィルタ等を用いて抽出し、その抽出した光の強度から測定対象物の濃度を決定する。複数の波長成分を含む散乱光の中から、光波長フィルタを用いて測定対象物の特徴を示す波長帯の光のみを抽出し、その光強度を測定する。
図2は、本発明の実施の形態に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定装置における光波長フィルタを決定する手順を示すフローチャートである。まず、測定対象物の微細藻類または代謝生成物を決定する(S1)。次に、測定対象物である微細藻類の溶液を分光光度計等の装置を用いて分光スペクトルを測定する(S2)、そして、測定対象物の散乱光のみを抽出する波長帯を決定し、そのような波長帯の光を通過させる光波長フィルタを決定する(S3)。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る測定対象である微細藻類または代謝生成物の色素の分光スペクトル測定例である。本測定例において、微細藻類の溶液に色素Aと色素Bの物質が混合されている場合に、色素Bを持つ物質を測定対象とするには、おおよそ460nmから480nmの光を透過する光波長フィルタを使用すればよい。尚、この場合色素Aの特徴を示す波長帯が近接しているため、光波長フィルタの半値幅は少なくとも50nm以下に設定する必要がある。
また、図4は、別の色素の分光スペクトル測定例である。本測定例では、色素Cを持つ物質を測定対象とする場合は、おおよそ760nmから830nmの光を透過する光波長フィルタを選択すればよい。この場合、色素Aの特徴を示す波長帯が色素Cの特徴を示す波長帯から十分離れているため、フィルタの半値幅は図3の場合よりも大きい値、例えば100nm程度の値をとることが可能である。
上記の例で示したように、分光スペクトル等を用いて測定対象物が有する色素の特徴を示す波長帯を測定して、その波長帯の光を透過し、かつ他の色素の特徴を示す波長帯の成分をカットできるような半値幅を持つ光波長フィルタを適宜選択するようにすれば、散乱光から測定対象物の種類に応じて所望の波長の光のみを抽出することができる。
<微細藻類等の濃度の決定方法>
図5を用いて、本発明の実施の形態に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法における濃度決定の手順を説明する。
図5を用いて、本発明の実施の形態に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法における濃度決定の手順を説明する。
本発明の実施の形態に係る微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法は、(1)測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射するステップ(S4)と、(2)溶液の散乱光から光波長フィルタを用いて特定の波長帯の光を抽出するステップ(S5)と、(3)抽出した光の光強度を測定するステップ(S6)、(4)測定対象物の検量線を選択するステップ(S7)と、(5)検量線と測定した光強度に基づき測定対象物の濃度を決定するステップ(S8)とからなる。
(1)光を照射するステップ(S4)
光を照射するステップ(S4)は測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射するステップである。微細藻類の溶液には藻類の色素や代謝生成物の色素等複数の色素が含まれているため照射光としては白色光等複数の波長の光を含む光を用いる。
光を照射するステップ(S4)は測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射するステップである。微細藻類の溶液には藻類の色素や代謝生成物の色素等複数の色素が含まれているため照射光としては白色光等複数の波長の光を含む光を用いる。
(2)特定の波長帯の光を抽出するステップ(S5)
微細藻類の溶液に測定用光源の光を照射した際に検出される散乱光から特定の波長帯の光を抽出するステップである。図2を用いて説明したように、測定対象物の特徴を示す波長帯域を特定し、その波長の光を通過させる光フィルタを用いて測定対象物の特徴示す光のみを散乱光から取り出す。例えば、図3で説明したように、460nmから480nmの光を透過する光波長フィルタを使用すれば抽出される光は色素Bに関する成分のみとなり、色素Bにより特定される代謝生成物等を特定する光のみを抽出することができる。
微細藻類の溶液に測定用光源の光を照射した際に検出される散乱光から特定の波長帯の光を抽出するステップである。図2を用いて説明したように、測定対象物の特徴を示す波長帯域を特定し、その波長の光を通過させる光フィルタを用いて測定対象物の特徴示す光のみを散乱光から取り出す。例えば、図3で説明したように、460nmから480nmの光を透過する光波長フィルタを使用すれば抽出される光は色素Bに関する成分のみとなり、色素Bにより特定される代謝生成物等を特定する光のみを抽出することができる。
(3)抽出した光の光強度を測定するステップ(S6)
光フィルタにより抽出された光の強度を測定するステップである。本実施の形態では、デジタルカメラ等の撮像素子により微細藻類の溶液の画像を撮影し、光強度を測定する。デジタルカメラを用いた場合は、まず画像の処理領域を抽出する。微細藻類の溶液が写っている画像において、藻類の生長に用いた容器の形状により明らかに撮影条件が異なる部分がある場合はそこをさけて画像処理領域を抽出する。例えば、容器に曲面があり他の部分と明らかに照明のあたり具合が異なる部分があった場合はそこをさけるように画像処理領域を抽出する。
光フィルタにより抽出された光の強度を測定するステップである。本実施の形態では、デジタルカメラ等の撮像素子により微細藻類の溶液の画像を撮影し、光強度を測定する。デジタルカメラを用いた場合は、まず画像の処理領域を抽出する。微細藻類の溶液が写っている画像において、藻類の生長に用いた容器の形状により明らかに撮影条件が異なる部分がある場合はそこをさけて画像処理領域を抽出する。例えば、容器に曲面があり他の部分と明らかに照明のあたり具合が異なる部分があった場合はそこをさけるように画像処理領域を抽出する。
次に、抽出した領域に含まれる各々の画素についてR、G、Bそれぞれの色成分の階調(0から255の256段階)を求め、画素毎のR、G、Bそれぞれの色成分の階調の頻度分布を求める。ここで、RGBの色情報については画像処理ソフトウェアを使えば得ることができる。目的対象物の濃度が濃い場合は、抽出された光の階調は減少し、0に近づく。逆に、目的対象物が検出されない場合は、抽出された光の階調は255に近づく。濃度が異なる測定対象物のヒストグラムの測定例を図6、7に示す。図6、7は、撮影領域内の画素のR、G、Bそれぞれの色成分の階調(0から255の256段階)の頻度分布を測定したヒストグラムであり、図6、7はそれぞれ目的対象物の濃度が濃い場合、薄い場合の測定例である。本図からわかるように光の散乱光の強度と測定対象物の濃度には相関があることがわかる。
このヒストグラムにおける各階調の頻度を積分することにより抽出した画像領域における光の強度を求めることができる。
このヒストグラムにおける各階調の頻度を積分することにより抽出した画像領域における光の強度を求めることができる。
尚、本実施の形態では、デジタルカメラ等の撮像素子により微細藻類の溶液の画像を撮影し、撮影された画像の色情報により散乱光の光強度を求めたが、フォトダイオード等の光電気変換素子により、光波長フィルタの出力から直接光強度を測定してもよい。その場合は、各画素の色成分のヒストグラムを用いなくても直接光電気変換素子の出力信号から散乱光の光強度情報を電気信号として得ることができる。
(4)測定対象物の検量線を選択するステップ(S7)
本ステップは予め測定対象物毎に測定しておいた検量線を選択するステップである。ステップ(S6)で述べたように光散乱光の強度と測定対象物の濃度には相関があるため、光散乱光の強度と測定対象物の濃度の相関関係を予め求めておけば、測定された光散乱光の濃度をその相関関係を示す関係式等に当てはめることにより、測定対象物の濃度を決定することができる。
本ステップは予め測定対象物毎に測定しておいた検量線を選択するステップである。ステップ(S6)で述べたように光散乱光の強度と測定対象物の濃度には相関があるため、光散乱光の強度と測定対象物の濃度の相関関係を予め求めておけば、測定された光散乱光の濃度をその相関関係を示す関係式等に当てはめることにより、測定対象物の濃度を決定することができる。
この光強度と測定対象物の濃度との関係は、濃度が既知の測定対象物のサンプル溶液を複数用意し、それらの容器を撮影した画像から、各画素の色成分の階調の積分値を求め、その値と微細藻類の濃度を用いて、光強度と濃度の関係を表す検量線を作成することができる。
また、濃度が既知のサンプルを用意する代わりに、サンプルの入った容器を撮影した後にその容器内の微細藻類を分離乾燥し、その重量を計測することによって、撮影後に濃度を求めるようにしてもよい。一度測定対象物についての検量線を作成すれば、その後はその検量線を用いて非破壊で微細藻類等の濃度を測定することが可能となる。
なお、溶液を収容する容器は、一般に藻類の生長に必要な太陽光を透過する透明な材料からできた容器を用いるが、例えばフラスコのように、ガラスやアクリル等の透明な材料からできた容器が望ましい。微細藻類の溶液を撮影する際には、撮影環境の変化が画像に影響を及ぼすことがなるべく少なくなるように照明器具の配置や撮影条件をなるべく毎回一定にすることが望ましい。
(5)測定対象物の濃度を決定するステップ(S8)
測定対象物の濃度を決定するステップ(S8)は、抽出した光の光強度を測定するステップ(S6)において測定した光強度と、測定対象物の検量線を選択するステップ(S7)において選択した検量線とに基づいて、測定対象物の濃度を決定する。
測定対象物の濃度を決定するステップ(S8)は、抽出した光の光強度を測定するステップ(S6)において測定した光強度と、測定対象物の検量線を選択するステップ(S7)において選択した検量線とに基づいて、測定対象物の濃度を決定する。
図8は、検量線の具体例を示すグラフである。横軸は規格化された各画素のR、G、Bの色成分のヒストグラムの積分値であり、縦軸は規格化された測定対象物の濃度である。本具体例では、4つのサンプル溶液における微細藻類等の濃度を測定して検量線を作成している。本図から明らかなように、散乱光の光強度と測定対象物の濃度は比例関係にあり、測定された光強度をこのグラフあるいはこのグラフを表す関係式に当てはめることにより測定対象物の濃度を決定することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、微細藻類の溶液の画像から微細藻類または代謝生成物の濃度を決定するので、微細藻類の溶液をサンプリングする必要がなく、非破壊的に微細藻類または代謝生成物の濃度を決定することができる。
<濃度決定装置の構成及び動作>
本実施の形態に係る濃度測定装置は、デジタルカメラ等によって撮影された微細藻類の培養液の画像から微細藻類または代謝生成物の濃度を決定する装置である。この装置は、CPU(中央処理装置)や記憶装置とからなるコンピュータ・ハードウェア装置と、各種ハードウェア装置を制御するコンピュータ・プログラムとによって構成される。
本実施の形態に係る濃度測定装置は、デジタルカメラ等によって撮影された微細藻類の培養液の画像から微細藻類または代謝生成物の濃度を決定する装置である。この装置は、CPU(中央処理装置)や記憶装置とからなるコンピュータ・ハードウェア装置と、各種ハードウェア装置を制御するコンピュータ・プログラムとによって構成される。
図9に、本実施の形態に係る濃度決定装置50の機能ブロック図を示す。本実施の形態に係る濃度決定装置は、デジタルカメラ等の撮像装置10と接続可能なインターフェース部51と、装置の動作を制御する制御部52と、キーボードやマウス、モニタ等から構成される入出力部60と接続されるインターフェース部53と、コンピュータを濃度決定装置として動作させるコンピュータ・プログラムと、インターフェース部51を介して取り込まれた画像の色情報と、予め測定しておいた光強度と微細藻類等の濃度の関係を示す検量線の情報とを記憶する記憶部54と、これらの構成要素間におけるデータおよび制御情報の通り道となるバス55とを備えている。
ここで制御部52は、記憶部54に記憶されたコンピュータ・プログラムによって、記憶部54に取り込まれた画像の色情報に基づいて散乱光の光強度を測定する光強度測定部52aと、この光強度測定部52aで測定された光強度と記憶部54に記憶されている検量線の情報から選択された検量線の情報に基づいて微細藻類等の濃度を決定する濃度決定部52bとを含んでいる。
また、記憶部54には、検量線として測定対象となる微細藻類や代謝生成物毎に光強度と濃度の関係が予め記憶されている。このような関係は、グラフ、表形式で記憶しておいてもよいが、関係を近似した多項式を関数として記憶しておいてもよい。
上述した濃度決定装置50の濃度決定部52bでは、次のようにして濃度を決定する。
デジタルカメラ等の撮像素子を用いた場合は、撮像素子10から得られる画像情報を記憶部54に記憶しておく。次に保存された画像情報から画像の処理領域を抽出し、光強度測定部52aにおいて、抽出した領域に含まれる各々の画素について画素毎のR、G、Bそれぞれの色成分の階調の頻度分布を求め、それらを積分することにより光強度を計算する。
一方、デジタルカメラ等の撮像素子10により画像を撮影するのではなく、フォトダイオード等の光電気変換素子10により、直接光強度を測定する場合は、直接光電気変換素子の電気信号から光強度情報を得る。
次に、濃度決定部52bでは、予め測定しておいた微細藻類等の検量線の情報から、測定対象物の検量線の情報を記憶部54から取得し、光強度測定部52aで測定した光強度と検量線の情報に基づき測定対象物の濃度を決定する。
このようにして得られた微細藻類等の濃度をモニタ(入出力部)60に出力し、表示させる。
以上のように、本実施の形態に係る微細藻類濃度決定装置によれば、微細藻類の溶液
を容器ごと撮影した画像から微細藻類の濃度を決定するので、容器内の溶液(サンプル)
の一部をサンプリングすることがなく、サンプリングによる溶液の減少を避けることができる。さらに、容器を開けることなく、非破壊的に微細藻類の濃度を決定することができるので、雑菌の混入を避けることができるので、微細藻類が繁殖する生態系を変化させてしまう恐れがないという極めて優れた効果を奏する。
を容器ごと撮影した画像から微細藻類の濃度を決定するので、容器内の溶液(サンプル)
の一部をサンプリングすることがなく、サンプリングによる溶液の減少を避けることができる。さらに、容器を開けることなく、非破壊的に微細藻類の濃度を決定することができるので、雑菌の混入を避けることができるので、微細藻類が繁殖する生態系を変化させてしまう恐れがないという極めて優れた効果を奏する。
本発明は、微細藻類または代謝生成物の濃度や増殖速度の測定に利用することができる。
10…測定用光源、20…微細藻類の溶液、30…光波長フィルタ、40…撮像素子、光電気変換素子、50…濃度決定装置、51、53…インターフェース部、52制御部、52a…光強度測定部、52b…濃度決定部、54…記憶部、55…バス、60…入出力部。
Claims (8)
- 測定用光源の光を微細藻類の溶液に照射する照射ステップと、
前記微細藻類の溶液の散乱光から前記微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長帯域の光を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した光の光強度を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定した光の光強度に基づき前記微細藻類の濃度を決定する決定ステップと
を有する微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法。 - 前記抽出ステップは、あらかじめ測定しておいた前記微細藻類または代謝生成物の分光スペクトルに基づき透過波長帯域を決定した光波長フィルタを用いること
を特徴とする請求項1記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法。 - 前記測定ステップは、前記抽出ステップにより抽出された光を撮像手段により撮影し、撮影した画像の色成分の階調の頻度分布を求め、
前記決定ステップは、前記階調の頻度分布に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定すること
を特徴とする請求項1または2記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法。 - 前記測定ステップは、前記抽出ステップにより抽出された光を光電気変換手段により電気信号に変換し、
前記決定ステップは、前記電気信号に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定すること
を特徴とする請求項1または2記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定方法。 - 微細藻類の溶液に光を照射する測定用光源と、
前記微細藻類の溶液の散乱光から前記微細藻類または代謝生成物の特徴を示す波長帯域の光を抽出する抽出手段と
前記抽出手段で抽出した光の光強度を測定する測定手段と
前記測定手段で測定した光の光強度に基づき前記微細藻類の濃度を決定する決定手段と
を有する微細藻類または代謝生成物の濃度決定システム。 - 前記抽出手段は、あらかじめ測定しておいた前記微細藻類または代謝生成物の分光スペクトルに基づき透過波長帯域を決定した光波長フィルタであること
を特徴とする請求項5記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定システム。 - 前記測定手段は、前記抽出手段により抽出された光を撮像手段により撮影し、撮影した画像の色成分の階調の頻度分布を求め、
前記決定手段は、前記階調の頻度分布に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定すること
を特徴とする請求項5または6記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定システム。 - 前記測定手段は、前記抽出ステップにより抽出された光を光電気変換手段により電気信号に変換し、
前記決定手段は、前記電気信号に基づき前記微細藻類または代謝生成物の濃度を決定すること
を特徴とする請求項5または6記載の微細藻類または代謝生成物の濃度決定システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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