以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態1の動作を行うプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列に行われる処理であるが、必ずしも時系列に処理されなくても、並列的又は個別に実行される処理をも含んでもよい。
また、本実施の形態1で説明される各機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。つまり、本実施の形態1で説明される各ブロック図は、ハードウェアのブロック図と考えても、ソフトウェアの機能ブロック図と考えてもよい。例えば、各ブロック図は、回路デバイス等のハードウェアで実現されてもよく、図示しないプロセッサ等の演算装置上で実行されるソフトウェアで実現されてもよい。
また、本実施の形態1で説明されるブロック図の各ブロックは、その機能が実施されればよく、それらの各ブロックで構成が分離されなくてもよい。
また、本実施の形態1のそれぞれで説明する各種値及びフラグ等の設定例は一例を示すだけであり、特にこれらに限定しない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における空調システム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、空調システム1は、第1室外ユニット11a、第2室外ユニット11b、室内ユニット12、全熱交換型換気ユニット13、立上ダクト14a、主ダクト14b、副主ダクト14c、分岐ダクト14d、換気用ダクト14e、VAVユニット15、リモートコントローラー16、温度センサ17a、温度センサ17b、冷媒配管18a及び冷媒配管18b等を備えている。また、全熱交換型換気ユニット13、VAVユニット15、及びリモートコントローラー16等は、図示しない各部屋ごとに設置されており、適宜、各部屋ごとに置かれたリモートコントローラー16の指令に基づいて、リモートコントローラー16と対応する各部屋の空気調和が行われる。
第1室外ユニット11a及び第2室外ユニット11bは、冷房のときに室内の熱を室外に放出し、暖房のときに室外の熱を室内へ取り入れる。なお、以後の説明において、第1室外ユニット11a及び第2室外ユニット11bを総称するときは、室外ユニット11と称する。
室内ユニット12は、第1室外ユニット11aと冷媒配管18aとで接続されている。室内ユニット12は、第2室外ユニット11bと冷媒配管18bとで接続されている。冷媒配管18a及び冷媒配管18bには冷媒が流れており、冷媒と室内空気とが熱交換する。例えば、冷房運転のとき、冷媒は低温冷媒となり、低温冷媒と室内空気とが熱交換した結果、室内空気の熱を室外空気に放出する。暖房運転のとき、冷媒は高温冷媒となり、高温冷媒と室内空気とが熱交換した結果、室外空気の熱を室内空気に取り入れる。なお、以後の説明において、冷媒配管18a及び冷媒配管18bを総称するときは、冷媒配管18と称する。
温度センサ17aは、冷媒配管18aに取り付けられている。温度センサ17bは、冷媒配管18bに取り付けられている。冷房運転のとき、冷媒は低温冷媒となるため、冷媒配管18a、18bの温度は低くなっていく。一方、暖房運転のとき、冷媒は高温冷媒となるため、冷媒配管18a、18bの温度は高くなっていく。なお、以後の説明において、温度センサ17a及び温度センサ17bを総称するときは、温度センサ17と称する。
なお、温度センサ17は特に限定されない。ただし、温度センサ17は、室外ユニット11の冷媒配管18の温度を取得できる場所に設けられるものとする。
なお、「温度センサ17」は、本発明における「温度検出器」に相当する。
また、室内ユニット12は、後述する制御部31を備えており、制御部31は、リモートコントローラー16の指令に基づいて、冷風を各部屋へ供給したり、温風を各部屋へ供給する指令を出す。また、制御部31は、2台の室外ユニット11の運転タイミングの制御指令も出す。また、制御部31は、空調システム1の冷媒配管18の接続の良否判定の処理と、配管接続が正しくなかった場合の室外ユニット11の制御切替とを自動的に実施する。
全熱交換型換気ユニット13は、各部屋の温度を逃さずに換気する。すなわち、全熱交換型換気ユニット13は、冷暖房による冷気や暖気を逃さずに汚れた空気を排出する機構で形成される空調換気扇である。このような空調換気扇は、排気の熱を使って外気を暖めるなどして部屋の温度を極力下げずに換気を行う。そのような空調換気扇としては、例えば、ロスナイ(登録商標)がある。
立上ダクト14a、主ダクト14b、副主ダクト14c、分岐ダクト14d、及び換気用ダクト14eは、各部屋へ冷風や温風を送るものである。なお、以後の説明において、立上ダクト14a、主ダクト14b、副主ダクト14c、分岐ダクト14d、及び換気用ダクト14eを総称するときは、ダクト14と称する。
VAVユニット15は、各部屋の吹き出し口に設置され、風量の調節をするものである。具体的には、VAVは、Variable Air Volume(可変風量)の略のことであり、VAVユニット15は、可変風量制御ユニットのことである。VAVユニット15は、室温設定器や室圧計からの要求風量信号に基づいて風量を変更する。このとき、VAVユニット15は、VAVユニット15から放出する風速を内部のセンサーで検出し、検出結果と要求風量とに基づいて風量制御を行う。それにより、VAVユニット15は、各部屋ごとに適正な室温や室圧の調整を行うものである。
リモートコントローラー16は、各部屋ごとに設けられ、各部屋の室温の検知をしたり、室外ユニット11や室内ユニット12等に、運転や停止の指令を出したり、温度調整をする指令を出す。
なお、上記で説明した空調システム1の構成は一例を示し、これに限定されない。
例えば、各部屋に設置されたリモートコントローラー16で各部屋の空気調和の指令を出すのではなく、図示しない中央制御室等で統合管理してもよい。また、別の建物から図示しない通信装置による遠隔操作に基づいて管理してもよい。
図1に示すように、空調システム1は、例えば、暖房時には、室外ユニット11で室外から取り込んだ熱を室内ユニット12内にある図示しない熱交換器に通らせ、その後、室内ユニット12内の図示しない送風機により、ダクト14を介して各部屋へと温風を送る。このとき、空調システム1は、リモートコントローラー16で検出した室温と設定温度とに基づいて、室内ユニット12内の図示しない送風機の風量やVAVユニット15の図示しないルーバの開閉角度を変更することで、各部屋に必要な風量を送る。また、空調システム1は、全熱交換型換気ユニット13により部屋の温度を逃すことなく換気を行う。
次に、制御部31の詳細について図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における制御部31の機能構成の一例を示す図である。図1に示す室内ユニット12は、図2に示す制御部31の機能を備えており、制御部31により各種処理を実行する。
図2に示すように、制御部31は、例えば、記憶部43及び運転制御処理部41等を備えている。このうち、運転制御処理部41は、外部からの入力指令や各種データに基づいて所定の演算を実行した後、外部に出力指令を出す。なお、入力指令とは、例えば、リモートコントローラー16からの指令であり、各種データとは、例えば、室外ユニット11の配管温度のことである。また、出力指令とは、例えば、運転モードを切り替える処理の指令、通常動作を行う指令、配管接続確認処理を実行する指令、及び誤配管制御切替処理を実行する指令等の何れか1つ又はその複数の組み合わせからなる指令である。すなわち、制御部31は、出力指令により、他の機器に対して制御指令を出す機能を有するものである。例えば、室外ユニット11は、その制御指令に基づいて、室外ユニット11のファン(図示せず)の回転速度等を制御する。
なお、「制御部31」は、本発明における「制御装置」に相当する。
記憶部43は、各種処理を実行するためのプログラムやデータ等を格納する。記憶部43は、例えば、ROMやRAM等の不揮発性メモリや揮発性メモリにより実現される半導体メモリである。このとき、例えば、ROMは、各種処理を実行するためのプログラムを格納し、RAMは、各種処理を実行するためのデータ等を格納する。各種処理を実行するためのデータは、例えば、後述する配管チェック実施済みであるか否かを示すフラグのことである。
なお、記憶部43は、処理が確定していないデータについては、例えば、キャッシュメモリへ一次的に格納し、処理が確定したデータについては、例えば、主記憶装置(いわゆる、メモリ)へ格納するようにしてもよい。すなわち、記憶部43は、記憶階層の構造を有するようにしてもよい。この場合、例えば、キャッシュメモリは、小容量で高速なスタティックRAMで形成される。また、例えば、主記憶装置は、ダイナミックRAMで形成される。
なお、上記で説明した記憶部43の構造は一例を示し、これに限定されない。また、記憶部43は、制御部31が配管接続確認処理を実行していない場合、ダミーデータを格納している。すなわち、このときには、制御部31は、配管接続確認処理の実行結果を保有していないと判断する。ダミーデータは、例えば、99999等の大きい桁の数値等である。
運転制御処理部41は、例えば、運転モード切替処理部51、通常動作処理部55、配管接続確認処理部53、及び誤接続制御切替処理部57等を備えている。
運転モード切替処理部51は、各種運転モードへの切替処理の指令を出す。なお、運転モードとは、例えば、冷房運転、暖房運転、及び除湿運転等の各通常動作モードや、配管接続確認等の特殊モードのことである。
通常動作処理部55は、例えば、冷房運転、暖房運転、除湿運転、及び送風運転等の処理の指令を出す。通常動作処理部55は、リモートコントローラー16の指令に基づいて、これらの処理の中から該当する動作を実行する指令を出す。
配管接続確認処理部53は、配管接続の良否判定を実行する。具体的には、配管接続確認処理部53は、記憶部43が格納している各種フラグの値を参照後、予め設定された条件を満たしたとき、受け取った検出データに基づいて配管接続の良否判定を行う。より具体的には、配管接続確認処理部53は、検出データである第1室外ユニット11aの冷媒配管温度Taと、検出データである第2室外ユニット11bの冷媒配管温度Tbとを比較することにより、冷媒配管18の接続が正常であるか否かの良否判定を行う。次いで、配管接続確認処理部53は、配管接続の良否判定が終了したら、記憶部43に格納されている各種フラグの値を更新する。
誤接続制御切替処理部57は、配管接続確認処理部53で判定を行った誤配管接続フラグで誤接続と判断した場合、2台の室外ユニット11のそれぞれの制御切替を行う。すなわち、誤接続制御切替処理部57は、配管接続確認処理部53で判定を行った誤配管接続フラグで誤接続と判断した場合、第1室外ユニット11aの制御を第2室外ユニット11bの制御に切り替えると共に、第2室外ユニット11bの制御を第1室外ユニット11aの制御に切り替える。
なお、「冷媒配管温度Ta」は、本発明における「第1冷媒配管温度」に相当する。また、「冷媒配管温度Tb」は、本発明における「第2冷媒配管温度」に相当する。
なお、上記で説明した制御部31の構成は一例を示し、これに限定されない。
次に、記憶部43が保持する各種フラグについて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における配管チェック実施回数がインクリメントされた後の各種フラグ及びカウンタの一例を示す図である。図3に示すように、記憶部43は、配管接続確認処理用のフラグの値、通常の運転モード用のフラグの値、及び配管チェック実施回数をカウントするカウンタ等を保持している。また、記憶部43は、配管接続確認処理用のフラグの値のデータセットとして、例えば、動作テーブル#1及び動作テーブル#3を保持している。また、記憶部43は、通常の運転モード用のフラグの値のデータセットとして、例えば、動作テーブル#2及び動作テーブル#4を保持している。また、記憶部43は、ユニット種別、動作テーブル、及び配管制御切替フラグのデータセットである通常動作紐付けテーブルを保持している。
通常動作紐付けテーブルは、ユニット種別として、第1室外ユニット11aと、第2室外ユニット11bとを区分けしている。通常動作紐付けテーブルは、動作テーブルの種類として、例えば、動作テーブル#1〜動作テーブル#4の何れかを、ユニット毎に割り当てている。通常動作紐付けテーブルは、配管制御切替フラグを用いることで、割り当てた動作テーブル#1〜動作テーブル#4のうち、どの動作テーブルを用いるかを設定している。
例えば、第1室外ユニット11aには、配管制御切替フラグが1である動作テーブル#1と、配管制御切替フラグが1である動作テーブル#2とが割り当てられている。また、例えば、第2室外ユニット11bには、配管制御切替フラグが1である動作テーブル#3と、配管制御切替フラグが1である動作テーブル#4とが割り当てられている。
動作テーブル#1及び動作テーブル#3には、配管接続確認処理用のフラグが設定されている。配管接続確認処理用のフラグは、例えば、配管チェック実施済フラグ、配管チェック完了フラグ、及び誤配管接続フラグのことである。
配管チェック実施済フラグは、配管チェックが実施されたか否かを示す。具体的には、配管チェック実施済フラグは、1か0の値で実施済みか否かを示す。例えば、配管チェック実施済フラグが1のとき、配管チェックを実施済みであるとし、配管チェック実施済フラグが0のとき、配管チェックを未実施であるとしてもよく、その逆の定義でもよい。配管接続確認処理部53は、この値を記憶部43に送信し、記憶部43は送信された値を取得して保持する。記憶部43は、例えば、このように取得した値をRAM(図示せず)に格納する。より具体的には、配管チェック実施済フラグは、配管接続確認処理部53が、所定の処理に基づいて冷房時や暖房時に配管接続の良否判定を行ったか否かを示すフラグである。また、配管接続確認処理部53は、配管チェック実施済フラグの値に基づいて、配管接続の良否判定を実行するか否かを判定してもよい。例えば、配管接続確認処理部53は、配管チェック実施済フラグを参照したとき、既に配管チェックを実施済みであるというフラグが格納されていれば、配管チェックを再度実施しないとしてもよい。
なお、「配管チェック実施済フラグ」は、本発明における「良否判定情報」に相当する。
配管チェック完了フラグは、配管チェックが完了したか否かを示す。具体的には、配管チェック完了フラグは、配管チェックが完了し、配管接続が正常であると判定され、室外ユニット11が通常動作を行っても故障しない状態であるか否かを1か0の値で示す。例えば、配管チェック完了フラグが1のとき、室外ユニット11が通常動作を行っても故障しない状態とし、配管チェック完了フラグが0のとき、室外ユニット11が通常動作を行ったら故障する状態としてもよく、その逆の定義でもよい。配管接続確認処理部53は、この値を記憶部43に送信し、記憶部43は送信された値を取得して保持する。記憶部43は、例えば、このように取得した値をRAM(図示せず)に格納する。また、通常動作処理部55は、配管チェック完了フラグの値に基づいて、2台目の室外ユニット11を運転するか否かを判定してもよい。
誤配管接続フラグは、配管接続確認の良否判定の結果、誤配管接続であるか否かを示す。具体的には、誤配管接続フラグは、配管が正しく接続されていない状態を1か0の値で示す。例えば、誤配管接続フラグが1のとき、配管が正しく接続されていない状態とし、誤配管接続フラグが0のとき、配管が正しく接続されている状態としてもよく、その逆の定義でもよい。配管接続確認処理部53は、この値を記憶部43に送信し、記憶部43は送信された値を取得して保持する。記憶部43は、例えば、このように取得した値をRAM(図示せず)に格納する。また、通常動作処理部55は、誤配管接続フラグの値に基づいて、運転中の室外ユニット11を停止するか運転を継続するかを判定してもよい。
一方、動作テーブル#2及び動作テーブル#4には、通常の運転モード用のフラグが設定されている。通常の運転モード用のフラグは、例えば、冷房フラグ、暖房フラグ、除湿フラグ、及び送風フラグである。
冷房フラグは、運転モードが冷房であるか否かを1か0で示し、暖房フラグは、運転モードが暖房であるか否かを1か0で示し、除湿フラグは、運転モードが除湿であるか否かを1か0で示し、送風フラグは、運転モードが送風であるか否かを1か0で示す。例えば、通常の運転モード用の各種フラグの内、冷房フラグが1のときに冷房運転モードであるとし、通常の運転モード用の各種フラグの内、冷房フラグが0のときに冷房運転モードでないとしてもよく、その逆の定義でもよい。他のフラグについても同様に1か0でその運転モードであるか否かを割り当てる。
このような運転モードは、入力指令に基づいて制御部31が決定する。具体的には、リモートコントローラー16は、リモートコントローラー16が操作者あるいは外部から受理したコマンドに基づいて、該当する処理に相当するコードを、例えば、VAVユニット15のVAVコントローラ(図示せず)を介して制御部31に送信する。
次いで、制御部31は、リモートコントローラー16が送信したコードを解釈して該当する運転モードを決定する。次いで、制御部31は、決定した運転モードを記憶部43に送信する。記憶部43は送信された運転モードを取得して保持する。このような運転モードの決定は、具体的には、制御部31の運転モード切替処理部51が行う。
より具体的には、運転モード切替処理部51は、その運転モードと、記憶部43が保持する各種フラグとに基づいて、配管接続の良否判定を実行する場合には、配管接続確認処理部53に実行指令を出す。配管接続確認処理部53は、実行指令を受けて、配管接続の良否判定処理を実行する。
一方、運転モード切替処理部51は、その運転モードと、記憶部43が保持する各種フラグとに基づいて、通常動作を実行する場合には、通常動作処理部55に実行指令を出す。通常動作処理部55は、実行指令を受けて、通常動作処理を実行する。
また、動作テーブル#1〜動作テーブル#4のそれぞれには、動作権限フラグが設定されている。例えば、第1室外ユニット11aでは、動作テーブル#1及び動作テーブル#2のうち、動作テーブル#1に動作権限フラグとして1が設定され、動作テーブル#1に対応する特殊モードが第1室外ユニット11aで実行される設定がされている。また、例えば、第2室外ユニット11bでは、動作テーブル#3及び動作テーブル#4のうち、何れの動作テーブルにも動作権限フラグが設定されていないため、まだ何れに基づいて動作が実行されるのかは不定である。また、動作テーブル#2及び動作テーブル#4のそれぞれには、該当する詳細な動作決定テーブル(図示せず)が紐付けされている。
例えば、動作テーブル#2には、冷房フラグが1であるので、冷房動作に対応する動作決定テーブルが紐付けされている。そのような動作決定テーブルには、例えば、設定温度、風量、及び風速等が設定されており、さらに、そのような設定をするための各種テーブル等も紐付けされている。そのような各種テーブルには、例えば、インバータ制御される圧縮機(図示せず)の駆動周波数等が設定される。
なお、上記で説明した記憶部43が保持する各種フラグは一例を示し、これに限定されない。また、上記で説明した記憶部43が保持する各種フラグの実装形態も一例を示し、これに限定されない。例えば、1か0ではなく、他の定義により、どちらであるかが定義されてもよいことはいうまでもないことである。例えば、+1ずつ歩進するカウンタをフラグに設け、偶数のときに1に相当するように定義し、奇数のときに0に相当するように定義してもよい。このように、実装形態は1つに限定されるものではなく、さまざまな実装形態が可能である。
次に、以上の構成を前提にして配管接続の良否判定の動作について説明する。
まず、従来の配管接続の良否判定について図4を用いて説明し、次に、電源投入時に自動的かつ短時間で実行する本実施の形態における配管接続の良否判定について図5を用いて説明する。
図4は、従来の実施の形態における冷媒配管18の配管接続を確認する制御例のフローチャートである。
(ステップS101)
制御部31は、空調システム1の電源ONを認識する。例えば、制御部31は、室外ユニット11、室内ユニット12、全熱交換型換気ユニット13、及びVAVユニット15等の電源が空調システム1の管理者により投入されたことを認識する。
(ステップS102)
制御部31は、空調システム1が運転停止中であるか否かを判定する。制御部31は、空調システム1が運転停止中であると判定した場合、ステップS103へ進む。一方、制御部31は、空調システム1が運転停止中でないと判定した場合、ステップS115へ進む。
(ステップS103)
制御部31は、配管チェックモードへの移行操作を実行する。すなわち、制御部31は、特殊モードの処理を実行する。具体的には、空調システム1の管理者がマニュアルで配管チェックモードに設定する。このとき、制御部31は、配管チェックモードの入力トリガを受信したときに、待機モードから特殊モードである配管チェックモードへ処理を遷移する。
なお、空調システム1を設置するときや、空調システム1全体を入れ替えるとき、あるいは、室内ユニット12や室外ユニット11のみの交換が発生したときに、施工業者が配管チェックモードを制御部31に起動させ、その都度、制御部31は、配管接続の確認をする。
(ステップS104)
制御部31は、配管チェックを開始する。
(ステップS105)
制御部31は、冷房運転で1台目の室外ユニット11の運転を開始する。例えば、第1室外ユニット11aの運転を冷房運転で開始する。このとき、制御部31は、温度センサ17aが検出した配管チェック開始直後の第1室外ユニット11a側の配管の温度(例えば、Ta0とする)を取得する。冷房運転を開始して5分経過したら、制御部31は、温度センサ17aが検出した第1室外ユニット11a側の配管の温度(例えば、Taとする)を取得する。
(ステップS106)
制御部31は、Ta0とTaとの温度を比較する。このとき、制御部31は、Ta0とTaとの差分が5(℃)以上であるか否かを判定する。制御部31は、5(℃)以上と判定した場合、ステップS108へ進む。一方、制御部31は、5(℃)以上ではないと判定した場合、ステップS107へ進む。
なお、ここでは、配管接続が正常であれば、冷房時には、運転中の室外ユニット11側の配管温度が少しずつ下がっていくという前提に基づいて、制御部31は比較処理を実行する。すなわち、配管接続が正常であれば、配管チェック開始から所定時間経過したときには、Ta0とTaとの差分は、例えば、5(℃)以上の差があるという前提である。
また、5(℃)という温度差はこれに限定されるものではなく、例えば、5(℃)ほど差があれば、一般的には経験的に誤検知を防ぐことができるということである。そのため、周囲の環境によっては、5(℃)以上待つ必要はないことはいうまでもないことである。また、周囲の環境によっては、5(℃)以上待つ必要があるときもある。
(ステップS107)
制御部31は、運転開始後、5分経過したか否かを判定する。制御部31は、5分経過したと判定した場合、ステップS113へ進む。一方、制御部31は、5分経過していないと判定した場合、ステップS106へ戻る。
なお、5分という時間はこれに限定されるものではなく、例えば、5分ほど経過していれば、一般的には経験的に誤検知を防ぐことができるということである。そのため、周囲の環境によっては、5分待つ必要はないことはいうまでもないことである。また、周囲の環境によっては、5分以上待つ必要があるときもある。
(ステップS108)
制御部31は、1台目の室外ユニット11である第1室外ユニット11aの運転を停止する。
(ステップS109)
制御部31は、冷房運転で2台目の室外ユニット11の運転を開始する。例えば、第2室外ユニット11bの運転を冷房運転で開始する。このとき、制御部31は、配管チェック開始直後の第2室外ユニット11b側の配管の温度(例えば、Tb0とする)を検出しておく。冷房運転を開始して5分経過したら、制御部31は、第2室外ユニット11b側の配管の温度(例えば、Tbとする)を検出する。
(ステップS110)
制御部31は、Tb0とTbとの温度を比較する。このとき、制御部31は、Tb0とTbとの差分が5(℃)以上であるか否かを判定する。制御部31は、5(℃)以上と判定した場合、ステップS112へ進む。一方、制御部31は、5(℃)以上ではないと判定した場合、ステップS111へ進む。
なお、ここでも上記と同様に、配管接続が正常であれば、冷房時には、運転中の室外ユニット11側の配管温度が少しずつ下がっていくという前提に基づいて、制御部31は比較処理を実行する。すなわち、配管接続が正常であれば、配管チェック開始から所定時間経過したときには、Tb0とTbとの差分は、例えば、5(℃)以上の差があるという前提である。
また、上記と同様に、5(℃)という温度差はこれに限定されるものではなく、例えば、5(℃)ほど差があれば、一般的には経験的に誤検知を防ぐことができるということである。そのため、周囲の環境によっては、5(℃)以上待つ必要はないことはいうまでもないことである。また、周囲の環境によっては、5(℃)以上待つ必要があるときもある。
(ステップS111)
制御部31は、運転開始後、5分経過したか否かを判定する。制御部31は、5分経過したと判定した場合、ステップS113へ進む。一方、制御部31は、5分経過していないと判定した場合、ステップS110へ戻る。
また、上記と同様に、5分という時間はこれに限定されるものではなく、例えば、5分ほど経過していれば、一般的には経験的に誤検知を防ぐことができるということである。そのため、周囲の環境によっては、5分待つ必要はないことはいうまでもないことである。また、周囲の環境によっては、5分以上待つ必要があるときもある。
(ステップS112)
制御部31は、2台目の室外ユニット11である第2室外ユニット11bの運転を停止する。
(ステップS113)
制御部31は、冷媒配管誤接続異常と表示する指令を出す。すなわち、制御部31は、5分経過しても5(℃)以上の配管温度の差が生じないのは異常であると判定する。このとき、制御部31は、図示しない表示手段(以後、表示手段という)に対して、冷媒配管誤接続異常という表示指令を出す。例えば、表示手段は、リモートコントローラー16の液晶表示画面であってもよい。その場合には、例えば、液晶表示画面は、文字により、「冷媒配管誤接続異常」と表示する。
(ステップS114)
制御部31は、1台目の室外ユニット11及び2台目の室外ユニット11の両方の運転を停止する。すなわち、第1室外ユニット11a及び第2室外ユニット11bの運転を停止する。
(ステップS115)
制御部31は、配管チェック完了と設定し、処理は終了する。
このように、従来の配管接続を確認する動作においては、空調システム1の管理者や施工業者等の操作者がマニュアルで設定しないと配管チェックモードへ移行しない。そのため、管理者等は配管接続の良否判定を忘れてしまうことがある。また、マニュアル操作での確認のため、初めて設置するときには、操作者は取扱説明書等を確認しながら設定することになる。そのため、通常、配管接続の良否判定の確認処理は時間がかかる。
また、配管チェックを忘れなかったとしても、第1室外ユニット11a及び第2室外ユニット11bをそれぞれ1台ずつ冷房運転させなければならない。そのとき、配管チェック開始直後の配管の温度と、室外ユニット11の運転を開始してから所定時間経過後(例えば、5分後)の配管の温度とを室外ユニット11ごとに比較しないと、正常に接続されているか否かの良否判定をすることができない。そのため、通常では、配管接続の良否判定の処理は時間がかかる。
次に、本実施の形態における電源投入時に自動的かつ短時間で実行する配管接続を確認し、室外ユニット11の制御の切り替えを実行する動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1における空調システム1が冷媒配管18の配管接続を確認する制御例を説明するフローチャートである。なお、Taは、1台目の室外ユニット11側の冷媒配管温度、例えば、第1室外ユニット11aの冷媒配管18aの温度を意味する。また、Tbは、2台目の室外ユニット11側の冷媒配管温度、例えば、第2室外ユニット11bの冷媒配管18bの温度を意味する。また、良否判定処理は、ステップS207の処理〜ステップS212の処理が対応する。また、誤接続制御切替処理は、ステップS214の処理〜ステップS217の処理が対応する。
(ステップS201)
制御部31は、空調システム1の電源ONを認識する。例えば、制御部31は、室外ユニット11、室内ユニット12、全熱交換型換気ユニット13、及びVAVユニット15等の電源が空調システム1の管理者により投入されたことを認識する。
(ステップS202)
制御部31は、配管チェック実施回数を初期化する。例えば、制御部31は、配管チェック実施回数に0を設定する。なお、配管チェック実施回数を0に初期化する一例を示したが、初期化の値は、特にこれに限定されない。
(ステップS203)
制御部31は、配管チェック実施回数が配管チェック実施回数上限値を超えたか否かを判定する。制御部31は、配管チェック実施回数が配管チェック実施回数上限値を超えた場合、ステップS208に進む。一方、制御部31は、配管チェック実施回数が配管チェック実施回数上限値を超えない場合、ステップS204に進む。
(ステップS204)
制御部31は、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信したか否かを判定する。制御部31は、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信した場合、ステップS205へ進む。一方、制御部31は、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信しない場合、ステップS204へ戻る。
具体的には、制御部31の運転制御処理部41は、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信した場合、外部から入力指令のコードを受信する。そして、運転制御処理部41は、受信した入力指令のコードを運転モード切替処理部51に供給する。運転モード切替処理部51は供給された入力指令のコードを解析する。解析の結果、例えば、冷房運転である場合、運転モード切替処理部51は、待機中の配管接続確認処理部53を起動し、ステップS205へ進む。また、解析の結果、例えば、暖房運転である場合、運転モード切替処理部51は、待機中の配管接続確認処理部53を起動し、ステップS205へ進む。なお、解析の結果、冷房運転と暖房運転以外の運転の場合、ステップS204に戻る。制御部31の運転制御処理部41は、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信しない場合、リモートコントローラー16から運転開始指令を受信するまで待機状態となる。
(ステップS205)
制御部31は、1台目の室外ユニット11の運転を開始する。例えば、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている冷房フラグを1に更新し、第1室外ユニット11aの運転を開始する出力指令を出す。第1室外ユニット11aは、出力指令に基づいて、第1室外ユニット11a内の図示しないファン等を駆動する。
(ステップS206)
制御部31は、1台目の室外ユニット11の運転を開始してから5分経過したか否かを判定する。制御部31は、1台目の室外ユニット11の運転を開始してから5分経過したと判定した場合、ステップS207へ進む。制御部31は、1台目の室外ユニット11の運転を開始してから5分経過していないと判定した場合、ステップS206に戻る。
具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、図示しないタイマーを管理する。このタイマーは、1台目の室外ユニット11(例えば、第1室外ユニット11a)が運転を開始してから5分になるまでカウントする。そして、タイマーが5分カウントしたときには、タイマーは5分経過したことを配管接続確認処理部53に報知する。配管接続確認処理部53は、この報知に基づいて、第1室外ユニット11aが運転を開始してから5分経過したか否かを判定する。
なお、ここでいうタイマーは物理的なものでも論理的なものでもよい。例えば、室内ユニット12の図示しない箇所に設置された物理的なタイマーであってもよい。あるいは、例えば、5分カウントするプログラムで構成される論理的なタイマーであってもよい。要するに、配管接続確認処理部53は図示しない計時部から所定時間経過したことの報知を受けるのである。
また、5分という時間はこれに限定されるものではなく、例えば、5分ほど経過していれば、一般的には経験的に誤検知を防ぐことができるということである。そのため、周囲の環境によっては、5分待つ必要はないことはいうまでもないことである。また、周囲の環境によっては、5分以上待つ必要があるときもある。要するに、配管接続確認処理部53は、所定時間だけ待機したのちに次の動作に移行するのである。
(ステップS207)
制御部31は、配管チェック実施済であるか否かを判定する。制御部31は、配管チェック実施済でないと判定した場合、ステップS208へ進む。一方、制御部31は、配管チェック実施済であると判定した場合、ステップS212へ進む。
具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている配管チェック実施済フラグを参照する。例えば、配管接続確認処理部53は記憶部43から配管チェック実施済フラグを取得し、その配管チェック実施済フラグが既に配管チェック実施を意味しているか否かを解析する。このとき、空調システム1に電源が投入された後の最初の運転開始指令(1回目)であれば、配管接続確認処理部53は配管チェックを実施していない。その場合には、配管接続確認処理部53は、配管チェック実施済フラグが存在しない状態であると判断し、配管接続確認処理部53はステップS208以降の配管接続の確認処理を実行する。また、配管チェック実施済みであれば、2回目以降の運転開始時なので配管チェックの良否判定をする必要はない。そのため、ステップS208〜ステップS211の処理をスキップして、ステップS212へ進む。
より具体的には、配管チェック実施済フラグが存在しない状態とは、上記で説明したように、ダミーデータが格納されていることを意味する。この場合、配管チェック実施済フラグが保有する値は、そもそも配管チェック実施済フラグとしての値ではない。そのため、配管接続確認処理部53は、配管チェック実施済フラグが存在しない状態であると判断するのである。
(ステップS208)
制御部31は、冷房時では、Tb>Taが真であるか否かを判定し、暖房時では、Ta>Tbが真であるか否かを判定する。
具体的には、制御部31は、1台目の室外ユニット11側の冷媒配管温度を取得する。より具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、温度センサ17が検出した運転中の室外ユニット11側の冷媒配管温度を取得する。例えば、配管接続確認処理部53は、温度センサ17aが検出した第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度を取得する。
次いで、制御部31は、取得した冷媒配管温度をTaに設定する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、取得した第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度をTaに設定し、Taの値を記憶部43に供給する。記憶部43は供給されたTaの値を格納する。
次いで、制御部31は、2台目の室外ユニット11側の冷媒配管温度を取得する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、温度センサ17が検出した停止中の室外ユニット11側の冷媒配管温度を取得する。例えば、配管接続確認処理部53は、温度センサ17bが検出した第2室外ユニット11b側の冷媒配管温度を取得する。
次いで、制御部31は、取得した冷媒配管温度をTbに設定する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、取得した第2室外ユニット11b側の冷媒配管温度をTbに設定し、Tbの値を記憶部43に供給する。記憶部43は供給されたTbの値を格納する。
次に、制御部31は、冷房運転の場合、Tbの値がTaの値より大きいか否かを判定する。制御部31は、Tbの値がTaの値より大きい場合、冷媒配管18の接続が正常(配管正常接続)と判定し、ステップS209へ進む。一方、制御部31は、Tbの値がTaの値より大きくない場合、冷媒配管18の接続が正常でない(誤配管接続)と判定し、ステップS214へ進む。具体的には、配管接続確認処理部53は、記憶部43が保持するTaの値と記憶部43が保持するTbの値とを取得し、取得したTaの値と取得したTbの値との差分を演算することにより、Taの値とTbの値のいずれが大きい値であるかを比較する。
より具体的には、冷房時には、運転中の室外ユニット11側の配管が冷やされていく。即ち、第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度が下降していく。そのため、配管接続が正常であると想定すると、冷房時には、第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度は、運転中ではない第2室外ユニット11b側の冷媒配管温度より低くなる。すなわち、配管接続確認処理部53は、Tb>Taが真であれば、配管接続は正常であると判定できることになる。
一方、制御部31は、暖房運転の場合、Taの値がTbの値より大きいか否かを判定する。制御部31は、Taの値がTbの値より大きい場合、配管正常と判定し、ステップS209へ進む。一方、制御部31は、Taの値がTbの値より大きくない場合、誤配管と判定し、ステップS214へ進む。具体的には、配管接続確認処理部53は、記憶部43が保持するTaの値と記憶部43が保持するTbの値を取得し、取得したTaの値と取得したTbの値との差分を演算することにより、Taの値とTbの値のいずれが大きい値であるかを比較する。
より具体的には、暖房時には、運転中の室外ユニット11側の配管が温められていく。すなわち、第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度が上昇していく。そのため、配管接続が正常であると想定すると、暖房時には、第1室外ユニット11a側の冷媒配管温度は、運転中ではない第2室外ユニット11b側の冷媒配管温度より高くなる。すなわち、配管接続確認処理部53は、Ta>Tbが真であれば、配管接続は正常であると判定できることになる。
すなわち、制御部31の配管接続確認処理部53は、運転モードが冷房及び暖房の場合、取得したTaの値と取得したTbの値とに基づいた配管接続の良否判定処理へ進み、運転モードが冷房でもなく暖房でもない場合、配管接続の良否判定処理は行わない。
それに対して、例えば、暖房時かつ誤配管のとき、配管温度が上限の保護温度を超えたと想定する。そのときには、制御部31は、保護をかけようとしても、保護温度を超えてしまった配管と接続されている室外ユニット11ではなく、もう一方の室外ユニット11に制御をかけることになる。そのため、保護温度を超えてしまった配管に接続されている室外ユニット11の方には保護がかからない。つまり、制御部31は冷媒配管温度を上限の保護温度以下にすることができない。それにより、さらに冷媒配管温度は上昇する。その結果、配管圧力が上昇し、室外ユニット11が損傷することがある。
また、例えば、冷房時かつ誤配管のとき、冷媒配管温度が下限の保護温度を下回ったと想定する。そのときには、制御部31は、保護をかけようとしても、保護温度以下となった配管に接続されている室外ユニット11ではなく、もう一方の室外ユニット11に制御をかけることになる。そのため、保護温度を下回った配管に接続されている室外ユニット11の方には保護がかからない。つまり、制御部31は冷媒配管温度を下限の保護温度以上にすることができない。それにより、さらに冷媒配管温度は下降する。その結果、室内ユニット12にある熱交換器(図示せず)が凍ってしまい、制御部31は、室外ユニット11と室内ユニット12を制御できなくなることがある。
暖房時と冷房時では、誤配管であれば、上記のような事態が想定される。そのため、運転モードが暖房か冷房のときには、ステップS207〜ステップS212に示す配管接続の良否判定処理と、ステップS214〜ステップS217に示す誤接続制御切替処理と、を自動的に行う。
(ステップS209)
制御部31は、配管チェック実施済と設定する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている配管チェック実施済フラグの値を更新する。
(ステップS210)
制御部31は、配管チェック実施回数をインクリメントする。制御部31は、例えば、配管チェック実施回数を+1歩進する。なお、インクリメントの動作は、+1ずつに限定されない。
(ステップS211)
制御部31は、設定結果をRAMへ格納する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、更新した配管チェック実施済フラグの値を記憶部43へ格納する。より具体的には、記憶部43は、処理が確定していないデータについては、例えば、キャッシュメモリへ一次的に格納し、処理が確定したデータについては、例えば、主記憶装置(いわゆる、メモリ)へ格納する。すなわち、記憶部43は、上記で説明したように、記憶階層の構造を有する。より具体的には、キャッシュメモリは、例えば、小容量で高速なスタティックRAMで形成される。主記憶装置は、例えば、ダイナミックRAMで形成される。このように、記憶階層を設けることにより、より高速に処理を実行することができる。なお、記憶部43の記憶階層やその実装方法についてはこれに限定されない。
(ステップS212)
制御部31は、配管チェック完了と設定する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている配管チェック完了フラグの値を更新する。具体的には、配管接続確認処理部53は、キャッシュメモリが保持する配管チェック完了フラグの値を更新後、キャッシュメモリが保持する配管チェック完了フラグの値を、主記憶装置へ移動する。主記憶装置は移動された配管チェック完了フラグの値を格納する。このように、記憶階層を設けることにより、より高速に処理を実行することができる。なお、配管チェック完了フラグの値は、通常動作処理部55が通常動作を実行するか否かを判定するときに利用される。
(ステップS213)
制御部31は、2台目の室外ユニット11の運転を開始する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている配管チェック完了フラグの値を取得して、通常動作処理部55へ供給する。通常動作処理部55は、供給された配管チェック完了フラグの値が配管チェック完了を意味していれば、現在稼働していない2台目の室外ユニット11の運転を開始する。すなわち、通常動作処理部55は、第2室外ユニット11bの運転を開始し、処理は終了する。このように各種フラグを介して処理を起動することで、制御部31は、良否判定処理及び誤接続制御切替処理と、通常動作処理と、の処理を切り分けて実行することができる。つまり、良否判定処理及び誤接続制御切替処理と、通常動作処理とは、それぞれが独立した制御処理であり、並列して実行することができる。
(ステップS214)
制御部31は、誤配管接続と設定する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている誤配管接続フラグの値を更新する。より具体的には、配管接続確認処理部53は、キャッシュメモリが保持する誤配管接続フラグの値を更新後、キャッシュメモリが保持する誤配管接続フラグの値を、主記憶装置へ移動する。主記憶装置は移動された誤配管接続フラグの値を格納する。このように、記憶階層を設けることにより、より高速に処理を実行することができる。なお、誤配管接続フラグの値は、表示手段が誤配管接続異常と表示するか否かを判定するときに利用される。
(ステップS215)
制御部31は、配管チェック実施回数をインクリメントする。制御部31は、例えば、配管チェック実施回数を+1歩進する。なお、インクリメントの動作は、+1ずつに限定されない。
(ステップS216)
制御部31は、1台目の室外ユニット11の運転を停止する。具体的には、制御部31の配管接続確認処理部53は、記憶部43に格納されている誤配管接続フラグの値を参照する。誤配管接続フラグの値が誤配管接続異常であるときには、配管接続確認処理部53は、運転中の1台目の第1室外ユニット11aを停止する。より具体的には、配管接続確認処理部53は、第1室外ユニット11aの運転を停止する。
(ステップS217)
制御部31は、室外ユニット11の制御を切り替え、ステップS203に戻る。具体的には、制御部31は、1台目の室外ユニット11の制御を、2台目の室外ユニット11の制御に切り替えつつ、2台目の室外ユニット11の制御を、1台目の室外ユニット11の制御に切り替え、ステップS203に戻る。より具体的には、制御部31は、第1室外ユニット11aの制御を、第2室外ユニット11bの制御に切り替え、第2室外ユニット11bの制御を、第1室外ユニット11aの制御に切り替え、ステップS203に戻る。
このように、図2に構成を示す制御部31は、冷房運転又は暖房運転を最初に開始するときに、第1室外ユニット11a又は第2室外ユニット11bのいずれか1台を運転させ、そのときの冷媒配管18aと冷媒配管18bとの温度差を比較することにより、忘れることなく確実に短時間で冷媒配管18の配管接続の良否判定と、誤接続時の室外ユニット11の制御の切り替えとをすることができる。そのため、制御部31は、冷媒配管18の配管接続が誤っていたときに生じることがある室外ユニット11の故障や制御不能を防ぐことができる。
また、図2に構成を示す運転制御処理部41は、自動的に冷媒配管18の配管接続の良否判定を実行し、誤接続時の室外ユニット11の制御の切替を実行することができる。そのため、運転制御処理部41は、忘れることなく確実に冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。
また、図2に構成を示す配管接続確認処理部53は、複数の冷媒配管18の配管接続の良否判定を同時にできる。そのため、配管接続確認処理部53は、短時間で冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。
図6は、本発明の実施の形態1における配管チェック実施回数がインクリメントされた後に第1室外ユニット11aと第2室外ユニット11bとの制御を切り替えた場合の各種フラグ及びカウンタの一例を示す図である。図6に示すように、第1室外ユニット11aの動作テーブルとして、動作テーブル#1と、動作テーブル#4とが設定されている。また、第2室外ユニット11bの動作テーブルとして、動作テーブル#2と、動作テーブル#3とが設定されている。
図3で示した場合と比べ、第1室外ユニット11aでは、動作テーブル#2から動作テーブル#4に設定変更され、第2室外ユニット11bでは、動作テーブル#4から動作テーブル#2に設定変更されている。つまり、第1室外ユニット11aでは、通常モードの制御が、第1室外ユニット11a用から第2室外ユニット11bに設定変更され、第2室外ユニット11bでは、通常モードの制御が、第2室外ユニット11bから第1室外ユニット11aに設定変更されている。換言すれば、図6においては、制御部31が誤配管と判定した後に室外ユニット11の制御を切り替えたときのフラグの一覧が示されている。
このように、図6に示すように、記憶部43は、配管接続の良否判定の結果を保持することができる。そのため、空調システム1に一旦電源が投入されれば、2回目以降の運転開始時には、制御部31は配管チェックを再度実施しないようにすることができる。
なお、空調システム1の電源が遮断されたときには、制御部31は再度配管接続の良否判定を行う。このときの状態としては、空調システム1全体を入れ替える場合であるか、又は、室外ユニット11や室内ユニット等が交換された場合であるかを想定している。
また、図1に構成を示す空調システム1は、2台の室外ユニット11の一方のみを動作させるだけで冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。そのため、空調システム1は、短時間で冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができ、誤接続時には室外ユニット11の制御を切り替えることができる。
また、図1に構成を示す空調システム1は、冷媒配管18の温度に基づいて、初回の運転開始後に自動的に冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。そのため、空調システム1は、忘れることなく確実に冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。さらに、空調システム1は、自動で誤接続時には、室外ユニット11の制御の切り替えを行うことで、繋ぎ替えを不要とすることができる。
また、図1に構成を示す空調システム1は、忘れることなく確実に短時間で冷媒配管18の配管接続の良否判定をすることができる。
なお、本実施の形態において、各処理の詳細を記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
なお、本実施の形態では、制御部31は、ステップS207で配管チェック実施済みであるか否かの判定をしたが、これに限るものではない。例えば、制御部31は、ステップS202の後に配管チェック実施済みであるか否かの判定をしてもよい。すなわち、制御部31は、良否判定処理(ステップS207〜ステップS212)と、誤接続制御切替処理(ステップS214〜ステップS217)を任意のタイミングで開始してよいものである。
なお、本実施の形態では、電源ON後の初回運転時に予め設定された条件を満たすとして、良否判定処理(ステップS207〜ステップS212)を実行する場合を説明したが、予め設定された条件はこれに限るものではない。例えば、リモートコントローラー16からの運転ONの指令が1000回等の所定の回数を超えたときに、制御部31は、自動的に良否判定処理と、誤接続制御切替処理と、を実行してもよい。このようにすることで、例えば、空調システム1の長期間の使用が原因で、冷媒配管18から冷媒が漏れたことにより、冷媒配管18内を流れる冷媒量が減り、冷媒配管18aと冷媒配管18bとでの温度差が得られなくなったことが生じた場合であっても、即座に判定することできる。それにより、使用者がメンテナンスのタイミングを意識しなくても自動的に定期的な空調システム1のメンテナンスをすることができる。
また、例えば、電源ON後に即座に良否判定処理を実行するようにしてもよい。その場合、予め設定された条件は、空調システム1全体の電源ONとなる。
また、例えば、記憶部43のデータが壊れたとき、良否判定処理と、誤接続制御切替処理とを実行するようにしてもよい。その場合、予め設定された条件は、記憶部43のデータが壊れたときや、読み取り不能となったときである。この場合、良否判定処理中のフラグの更新等の処理は省略するようにすればよい。
また、例えば、記憶部43が着脱可能なハードウェアで構成されている場合、記憶部43のハードウェアを交換したとき、良否判定処理と誤接続制御切替処理とを実行するようにしてもよい。その場合、予め設定された条件は、空調システム1が、記憶部43を新しいハードウェアとして認識したタイミングである。
また、例えば、空調システム1を強制終了させて再起動した後、良否判定処理と誤接続制御切替処理とを実行するようにしてもよい。その場合、予め設定された条件は、空調システム1の緊急遮断釦が押されたときである。
また、例えば、空調システム1の電源が外部要因(例えば、停電)により遮断された後、良否判定処理と誤接続制御切替処理とを実行するようにしてもよい。その場合、予め設定された条件は、電源遮断である。
このように、上記で説明した予め設定された条件は一例を示し、これらに限定されない。
以上、本実施の形態においては、2台の室外ユニット11と、2台の室外ユニット11のそれぞれと冷媒配管18で接続され、冷媒配管18を流れる冷媒と、室内空気と、を熱交換する室内ユニット12と、2台の室外ユニット11の運転及び室内ユニット12の運転のそれぞれを含む空調運転を制御する制御部31と、冷媒配管18の温度をそれぞれ検出する温度センサ17と、を備え、制御部31は、空調運転を開始する場合、2台の室外ユニット11のうち、何れか1台の室外ユニット11の運転を開始させ、2台の室外ユニット11のうち、運転中の室外ユニット11の冷媒配管18の温度を第1冷媒配管温度に設定し、2台の室外ユニット11のうち、停止中の室外ユニット11の冷媒配管18の温度を第2冷媒配管温度に設定し、第1冷媒配管温度と、第2冷媒配管温度と、を比較することで、冷媒配管18の接続が正常であるか否かを判定する良否判定処理を実行し、良否判定処理の結果、冷媒配管18の接続が正常ではないと判定した場合、2台の室外ユニット11の制御をそれぞれ切り替える空調システム1が構成される。
上記構成のため、空調システム1は、忘れることなく確実に短時間で冷媒配管18の配管接続の良否判定を行うと共に、冷媒配管18の接続が正常ではないと判定した場合であっても、現地での冷媒配管18の配管接続の入れ替え作業を不要とすることができる。したがって、空調システム1は、冷媒配管18の配管接続が誤っていたときに生じることがある室外ユニット11の故障や制御不能を防ぐことができつつ、現地で作業しなくても、誤配管接続状態に対応した制御に切り替えることができるという効果を有する。
また、本実施の形態1においては、制御部31は、空調運転を初回の運転で開始する場合、良否判定処理を実行する。
また、本実施の形態1においては、制御部31は、良否判定処理の良否判定結果である良否判定情報を保持する記憶部43を備え、良否判定情報が存在しない状態で空調運転を開始させた場合、空調運転を初回の運転であると判断する。
また、本実施の形態1においては、制御部31は、記憶部43に記憶されている良否判定情報が良である場合、良否判定を実行しない。
また、本実施の形態1においては、制御部31は、2台の室外ユニット11のうち、運転中の室外ユニット11が冷房運転であって、第2冷媒配管温度が第1冷媒配管温度と比べて大きい場合、冷媒配管18の接続が正常であると判定し、第2冷媒配管温度が第1冷媒配管温度と比べて大きくない場合、冷媒配管18の接続が正常でないと判定し、2台の室外ユニット11のうち、運転中の室外ユニット11が暖房運転であって、第1冷媒配管温度が第2冷媒配管温度と比べて大きい場合、冷媒配管18の接続が正常であると判定し、第1冷媒配管温度が第2冷媒配管温度と比べて大きくない場合、冷媒配管18の接続が正常でないと判定する。
したがって、空調システム1は、冷媒配管18の配管接続が誤っていたときに生じることがある室外ユニット11の故障や制御不能を防ぐことができつつ、現地で作業しなくても、誤配管接続状態に対応した制御に切り替えることができるという効果を特に顕著に有する。