JP2014229657A - 太陽電池セル - Google Patents
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Abstract
【課題】投石等の外的要因した損傷による水分の侵入を抑え、それに起因する太陽電池セルの発電効率低下を抑制する。【解決手段】太陽電池セルの、受光面側および非受光面側の少なくとも受光面側に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiO2、SiN、Al2O3の少なくとも1つからなる保護層を形成する。太陽電池セルに高温で保護層を製膜することにより、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下の緻密な層が得られる。【選択図】図2
Description
本発明は太陽電池に関し、さらに詳しくは、薄膜光電変換素子を積層形成する基板に可撓性を有する金属薄板や合成樹脂フィルムを用いた、太陽電池セル及び太陽電池モジュールに関するものである。
近年、軽量化、施工性および量産性の観点からプラスチックフィルム等の可撓性基板を用いた薄膜太陽電池の研究開発が進められている。薄膜太陽電池を用いた太陽電池モジュールにおいては、軽量、フレキシブル性という特徴を活かすべく、表面保護層には、フッ素樹脂フィルム等の耐候性を有する樹脂フィルム等が用いられている。また、封止材層には、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン等の耐熱性に優れた樹脂材料等が用いられている。
しかしながら、フッ素樹脂フィルム等の樹脂フィルムを表面保護層に使用した場合、砂塵・投石・生物(動物、植物、微生物、カビ)などの外的要因により損傷を受け、キズや貫通孔等が発生し易かった。表面保護層のキズや貫通孔等が太陽電池セルまで到達すると、モジュール内部に水が浸入して、太陽電池セルの電極層や発電層などが腐食し、発電効率が低下する等の問題があった。
特許文献1には、表面側保護部材と裏面側保護部材との間に太陽電池用セルが透明接着剤層により封止されてなる太陽電池において、表面側保護部材が、有機ポリマーフィルム層と、該フィルム層の透明接着剤層に面しない側の表面に設けられた硬化性樹脂の硬化被膜からなるハードコート層とからなる太陽電池が開示されている。
特許文献2には、目的は耐燃性の向上であるが、太陽電池モジュールの表面側保護部材(表面保護層)上にガラスコーティング層が形成される構造が開示されている。
太陽電池一般に、水蒸気・酸素等で劣化するため、ガラス・樹脂膜で封止して水分等の侵入を防いでいる。しかし、樹脂膜は水蒸気透過率が高いため、樹脂膜にスパッタ法などで無機膜を形成し、透過率を抑える対策を行っているが、樹脂膜に製膜する際、製膜温度を多角できず、緻密な膜が形成できず、透過率が期待するほど低くできないという問題があった。特許文献1では、有機ポリマーフィルム層の表面にハードコート層を形成しているが、上記の理由により、ハードコート層を形成しても、投石等の外的要因による貫通孔の発生を必ずしも抑制できるとは限らなかった。
ガラスを封止材として使用した場合は、水蒸気・酸素の透過は大幅に低下するが、重量が増大し取扱いが難しくなるという問題があった。特許文献2では、ガラスコーティング層を表面保護部材の表面に形成しているが、硬すぎると、基板のフレキシブル性が損なわれるという問題があった。
よって、本発明の目的は、投石等の外的要因による損傷からの水分の侵入を抑え、太陽電池セルの発電効率低下を抑制し、かつ、フレキシブル性のある太陽電池セルを提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、太陽電池セルは、フィルム基板の受光面側に金属電極層、薄膜光電変換層、および透明電極層が積層形成され、太陽電池セルの少なくとも受光面側に保護層が形成されている構造により、外的要因に起因する発電効率低下を抑制することを見出し、本発明を達成するに至った。
保護層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiO2、SiN、Al2O3の少なくとも1つからなる膜であり、緻密な膜が形成できる。
保護層は、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下であり、水蒸気の侵入による太陽電池セルの腐食を抑える効果がある。
保護層は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiO2、SiN、Al2O3の少なくとも1つからなる膜であり、緻密な膜が形成できる。
保護層は、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下であり、水蒸気の侵入による太陽電池セルの腐食を抑える効果がある。
保護層がSiO2である場合、1.8g/cm3以上の密度であり、緻密な膜を形成することにより、水蒸気の侵入による太陽電池セルの腐食を抑える効果がある。
保護層は、プラズマCVD法により、太陽電池セル表面に保護層が100℃以上、400℃以下の温度で形成することが可能であり、高温で製膜することにより、緻密な膜が得られる。
保護層は、硬さが100MPa以上であり、投石等の外的要因による損傷を抑えることができる。
保護層は、プラズマCVD法により、太陽電池セル表面に保護層が100℃以上、400℃以下の温度で形成することが可能であり、高温で製膜することにより、緻密な膜が得られる。
保護層は、硬さが100MPa以上であり、投石等の外的要因による損傷を抑えることができる。
以上述べたように、本発明によれば、投石等の外的要因した損傷による水分の侵入を抑え、それに起因する太陽電池セルの発電効率低下を抑制する効果が得られる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の
説明において、各実施形態に共通または対応する構成には、共通または対応する符号を付
すことで説明を省略する場合がある。
説明において、各実施形態に共通または対応する構成には、共通または対応する符号を付
すことで説明を省略する場合がある。
本発明の太陽電池について、図1を用いて説明する。
この太陽電池モジュールは、太陽電池セル10の受光面側10bに保護層2が製膜された太陽電池セル10と、保護層2の受光面側を覆う封止材層3と、封止材層3上に配置された表面保護層4と、太陽電池セル10の非受光面側10bを覆う封止材層5上に配置された裏面保護層6とを備える。
この太陽電池モジュールは、太陽電池セル10の受光面側10bに保護層2が製膜された太陽電池セル10と、保護層2の受光面側を覆う封止材層3と、封止材層3上に配置された表面保護層4と、太陽電池セル10の非受光面側10bを覆う封止材層5上に配置された裏面保護層6とを備える。
なお、本発明において、受光面とは、太陽電池セルが太陽光を受光する側の面のことである。また、非受光面とは、太陽電池セルが太陽光を受光する面の反対面を意味する。
太陽電池セル10の構造としては、特に限定は無い。例えば、図3に示される構造等が挙げられる。図3に示される構造の太陽電池セルは、基板11の片面に、第1電極層12、光電変換層13及び第2電極層14が順次積層して構成された素子15が複数形成されている。そして、図示しないが、それぞれの素子15が直列及び/又は並列に接続している。また、上記のように同一基板上に複数の素子が形成される場合もあれば、一つの基板上に一つの素子が形成され、それらの素子同士が直列及び/又は並列に接続する場合もある。
太陽電池セル10の構造としては、特に限定は無い。例えば、図3に示される構造等が挙げられる。図3に示される構造の太陽電池セルは、基板11の片面に、第1電極層12、光電変換層13及び第2電極層14が順次積層して構成された素子15が複数形成されている。そして、図示しないが、それぞれの素子15が直列及び/又は並列に接続している。また、上記のように同一基板上に複数の素子が形成される場合もあれば、一つの基板上に一つの素子が形成され、それらの素子同士が直列及び/又は並列に接続する場合もある。
また、太陽電池セル10は、図4に示す構造をなすものであってもよい。図4に示される構造の太陽電池セルは、基板11の受光面側10bに、第1電極層12、光電変換層13、第2電極層14を順次積層して構成された素子15が複数形成され、基板11の非受光面側10aに、第3電極層16が複数形成され、隣接する素子15どうしが、次に示す態様で第3電極層16を介して電気的に直列接続している。
すなわち、素子15の両端部には、基板11上に第1電極層12、光電変換層13が順次積層され、第2電極層14が設けられていない接続部15a,15aが設けられている。また、第3電極層16は、素子15とほぼ同じ間隔で、かつ、隣接する一方の素子側にずれて分割されている。また、各素子15には、第3電極層16、基板11、第1電極層12、光電変換層13、第2電極層14を貫通して形成された第1貫通孔17が、所定間隔で複数形成されている。そして、第1貫通孔17の内壁において、第2電極層14と第3電極層16とが、導体層18aにより電気的に接続している。また、第1電極層12は、光電変換層13で覆われて、第2電極層14、導体層18a及び第3電極層16と絶縁されている。また、接続部15aには、第3電極層16、基板11、第1電極層12、光電変換層13を貫通して形成された第2貫通孔19が形成されている。そして、第2貫通孔19の内壁において、第3電極層16と第1電極層12とが、導体層18bにより電気的に接続している。
素子15での発電により発生した電流は、光電変換層13から第2電極層14へと流れ、第1貫通孔17を通って、素子15の第2電極層14から、第3電極層16へと流れる。そして、第3電極層16に移動した電流は、接続部15aへと移動し、第2貫通孔19を通って、隣接する素子15の第1電極層12へと流れる。このようにして、この太陽電池セル10は、第1貫通孔17、第2貫通孔19を介して、それぞれの素子15が直列接続している。このような構造は、SCAF(Series Connection through Apertures formed on Film)構造と呼ばれており、例えば、特開平6―342924号公報などに記載される方法で製造できる。
太陽電池セルの基板11は、絶縁性及び耐熱性を有するものであればよく、特に限定は無い。例えば、可撓性フィルム基板、ガラス基板、絶縁層でコーティングされたステンレス基板等が挙げられる。可撓性フィルム基板としては、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、アラミドなどで構成されたフィルム基板が挙げられる。可撓性フィルム基板を用いることで、フレキシブルな太陽電池セルとすることができる。なお、基板11が光入射側に配される場合には、基板11は光透過性の材料で構成すべきことはいうまでもない。
太陽電池セルの第1電極層12及び第2電極層14のうち、光入射側に配置される電極層は、ITO、SnO、ZnOなどの透明導電性酸化物で形成される。
また、第1電極層12、第2電極層14のうち、光入射側とは反対側に配置される電極層、及び第3電極層16は、Ag、Ni、Al、Mo及びこれらの合金などの導電性金属で形成されることが好ましい。また、これらの導電性金属で形成される層(以下、導電性金属層という)に、ITO、SnO、ZnOなどの透明導電性酸化物で形成される層(以下、透明導電性酸化物層という)が積層されていてもよい。
また、第1電極層12、第2電極層14のうち、光入射側とは反対側に配置される電極層、及び第3電極層16は、Ag、Ni、Al、Mo及びこれらの合金などの導電性金属で形成されることが好ましい。また、これらの導電性金属で形成される層(以下、導電性金属層という)に、ITO、SnO、ZnOなどの透明導電性酸化物で形成される層(以下、透明導電性酸化物層という)が積層されていてもよい。
各電極層の形成方法は特に限定は無い。各種電極材料を、蒸着法、スパッタ法、鍍金など当該技術において知られている任意の方法で製膜して形成できる。
光電変換層13としては、特に限定はない。微結晶シリコン系光電変換層、アモルファスシリコン系光電変換層、アモルファスシリコンゲルマニウム系光電変換層、CIS系光電変換層、CZTS系光電変換層等が挙げられる。CIS系光電変換層としては、CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)Se2、Cu(In,Ga)(S,Se)2等のCIS系半導体化合物で形成された光電変換層が挙げられる。CZTS系光電変換層としては、Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnSn(S,Se)4等のCZTS系半導体化合物で形成された光電変換層が挙げられる。更に、光電変換層は、半導体セルが複数層積層した多接合構造であってもよい。
光電変換層13としては、特に限定はない。微結晶シリコン系光電変換層、アモルファスシリコン系光電変換層、アモルファスシリコンゲルマニウム系光電変換層、CIS系光電変換層、CZTS系光電変換層等が挙げられる。CIS系光電変換層としては、CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In,Ga)Se2、Cu(In,Ga)(S,Se)2等のCIS系半導体化合物で形成された光電変換層が挙げられる。CZTS系光電変換層としては、Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnSn(S,Se)4等のCZTS系半導体化合物で形成された光電変換層が挙げられる。更に、光電変換層は、半導体セルが複数層積層した多接合構造であってもよい。
図1に再び戻ると、太陽電池セルの非受光面側10aには、封止材層5が配置され、さらにその外側に裏面保護層6が配置されている。
封止材層5は、耐熱性を有する材料で構成されていることが好ましい。例えば、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド、ポリビニル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
封止材層5は、耐熱性を有する材料で構成されていることが好ましい。例えば、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド、ポリビニル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
封止材層5の線膨脹係数は、10〜500[×10−5/℃]が好ましく、10〜100[×10−5/℃]がより好ましい。封止材層5の線膨脹係数が上記範囲内であれば、太陽電池セル10との応力差を小さくでき、密着性を高めることができる。なお、本発明において線膨脹係数は、TMA法(JIS K 7197)で測定した値である。
裏面保護層6は、防水性、耐熱性、耐候性に優れた材料で構成されていることが好ましい。例えば、シリコーン樹脂シート、アクリル樹脂シート、ポリエステル樹脂(PETなど)シート、ポリカーボネート樹脂シート、フッ素樹脂シート等の樹脂シート、SUS鋼板、Al板など金属板、及び金属板の表面を、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等の樹脂でコーティングした樹脂コーティング板等が挙げられる。
なお、封止材層5、裏面保護層6は、太陽電池セルの非受光面側に配置されるため、透明性を有さない、あるいは、透明性の低い材料で構成されていてもよい。
太陽電池セル10の受光面側10bには、封止材層3が配置され、さらにその外側に、表面保護層4が配置されている。
太陽電池セル10の受光面側10bには、封止材層3が配置され、さらにその外側に、表面保護層4が配置されている。
封止材層3は、透明性及び耐熱性を有する材料が好ましい。例えば、ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド、ポリビニル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
封止材層20の線膨脹係数は、10〜500[×10−5/℃]が好ましく、10〜100[×10−5/℃]がより好ましい。封止材層3の線膨脹係数が上記範囲内であれば、太陽電池セル10との応力差を小さくでき、密着性を高めることができる。
封止材層3の水蒸気透過率は、表面保護層4よりも大きいことが好ましく、具体的には、0.1〜100g/m2・24Hが好ましく、1.0〜50g/m2・24Hがより好ましい。なお、本発明において水蒸気透過率は、感湿センサ法(JIS K 7129)で測定した値である。
表面保護層4は、フッ素樹脂シートで構成されている。
フッ素樹脂シートとしては、透明性、耐候性及び耐熱性に優れたものであればよい。透明性、耐候性及び耐熱性に優れたフッ素樹脂シートとしては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
フッ素樹脂シートとしては、透明性、耐候性及び耐熱性に優れたものであればよい。透明性、耐候性及び耐熱性に優れたフッ素樹脂シートとしては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
保護層2の材質は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiO2、SiN、Al2O3などがある。
保護層2は、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下であることが好ましい。0.01g/m2・日を超えると、太陽電池セル10に水が透過し、電極の腐食が促進される。
保護層2は、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下であることが好ましい。0.01g/m2・日を超えると、太陽電池セル10に水が透過し、電極の腐食が促進される。
保護層2が、SiO2である場合、1.8g/cm3以上の密度であることが好ましい。密度が1.8g/cm3未満では、水蒸気透過率が上昇するため電極腐食効果が低下し不具合の発生要因となる。
保護層2は、プラズマCVD法により、100℃以上、400℃以下、好ましくは150℃以上、350℃以下の温度で製膜する。
保護層2の27℃での硬度は、100MPa以上であり、300MPa以上が好ましい。保護層2の硬度を300MPa以上にすることで、傷や貫通孔の発生をより確実に防止できる。なお、本発明において、保護層2の硬度は、ナノインデンテーション法により測定した値である。すなわち、試験温度27℃で、測定装置として「ENT−1100」(エリオニクス社)を用い、先端形状が三角錐で先端角が115°のプローブを、最大押込み強さ0.5mN、加重増加・減速速度0.05mN/s、最大加重保持時間5秒でサンプルに押込み、押込み力と押込み深さとの関係から硬度を測定した。
更に、保護層2は、27℃での硬度の値と膜厚との積が、2000[MPa・μm]以上であることが好ましい。上記値が2000[MPa・μm]以上であれば、傷や貫通孔等の発生を効果的に抑制できる。更には、上記値が3000[MPa・μm]以上であれば、傷や貫通孔等の発生をより効果的に抑制できる。
図1の太陽電池セル10は、受光面側10bに保護層2を形成しているが、図2に示すように、太陽電池セル10の受光面側10bと非受光面側10aの両面に保護層2を形成することにより、更に傷や貫通孔等の発生を効果的に抑制し、水分の侵入を防ぐことができる。
保護層2の27℃での硬度は、100MPa以上であり、300MPa以上が好ましい。保護層2の硬度を300MPa以上にすることで、傷や貫通孔の発生をより確実に防止できる。なお、本発明において、保護層2の硬度は、ナノインデンテーション法により測定した値である。すなわち、試験温度27℃で、測定装置として「ENT−1100」(エリオニクス社)を用い、先端形状が三角錐で先端角が115°のプローブを、最大押込み強さ0.5mN、加重増加・減速速度0.05mN/s、最大加重保持時間5秒でサンプルに押込み、押込み力と押込み深さとの関係から硬度を測定した。
更に、保護層2は、27℃での硬度の値と膜厚との積が、2000[MPa・μm]以上であることが好ましい。上記値が2000[MPa・μm]以上であれば、傷や貫通孔等の発生を効果的に抑制できる。更には、上記値が3000[MPa・μm]以上であれば、傷や貫通孔等の発生をより効果的に抑制できる。
図1の太陽電池セル10は、受光面側10bに保護層2を形成しているが、図2に示すように、太陽電池セル10の受光面側10bと非受光面側10aの両面に保護層2を形成することにより、更に傷や貫通孔等の発生を効果的に抑制し、水分の侵入を防ぐことができる。
図1および図2の太陽電池モジュールは、以下のようにして製造できる。
保護層2を形成した太陽電池セル10の受光面側10bに、封止材層3と表面保護層4とを配置し、太陽電池セルの非受光面側10aに、封止材層5と裏面保護層6とを配置し、ラミネートして封止する。
保護層2を形成した太陽電池セル10の受光面側10bに、封止材層3と表面保護層4とを配置し、太陽電池セルの非受光面側10aに、封止材層5と裏面保護層6とを配置し、ラミネートして封止する。
以下に本発明の実施例を示すが、これによって本発明の内容は制限されるものではない。
(実施例1)
図1に示す本発明の実施形態の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールを、次の方法で製造した。
図4に示す太陽電池セル10を用いて、この太陽電池セル10の受光面側10bに、真空条件下にて、150℃に保ちながらプラズマCVD法によりSiO2を厚さ100nm製膜し、保護層2付太陽電池セル10を製造した。保護層2の硬度は200MPaであった。
(実施例1)
図1に示す本発明の実施形態の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールを、次の方法で製造した。
図4に示す太陽電池セル10を用いて、この太陽電池セル10の受光面側10bに、真空条件下にて、150℃に保ちながらプラズマCVD法によりSiO2を厚さ100nm製膜し、保護層2付太陽電池セル10を製造した。保護層2の硬度は200MPaであった。
保護層2の上に膜厚150μmのポリエチレンシートを配置し、ポリエチレンシートを100℃に加熱して熱ラミネート法で太陽電池セル10の受光面10bをポリエチレンシートでラミネートすることにより封止材層3を形成した。次に、封止材層3上に、厚さ400μmのポリエチレンシートを配置して表面保護層4を形成した。また、太陽電池セル10の非受光面側10aに、厚さ400μmのポリエチレンシートと、厚さ25μmのETFEシートを配置し、それぞれ封止材層5、裏面保護層6とした。そして、真空ラミネート法で、保護層2を形成した太陽電池セル10をラミネートして、図1に示す太陽電池モジュールを製造した。
(実施例2)
図2に示す本発明の実施形態の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールを製造した。
図4に示す太陽電池セル10を用いて、この太陽電池セル10の受光面側10bと非受光面側10aに、実施例1と同じ方法で、保護層2付太陽電池セル10を製造した。その後、実施例1と同じ方法で、保護層2を形成した太陽電池セル10をラミネートし、図2に示す太陽電池モジュールを製造した。
図2に示す本発明の実施形態の太陽電池セル10を用いた太陽電池モジュールを製造した。
図4に示す太陽電池セル10を用いて、この太陽電池セル10の受光面側10bと非受光面側10aに、実施例1と同じ方法で、保護層2付太陽電池セル10を製造した。その後、実施例1と同じ方法で、保護層2を形成した太陽電池セル10をラミネートし、図2に示す太陽電池モジュールを製造した。
(比較例1)
保護層2の無い太陽電池セル10を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを製造した。
保護層2の無い太陽電池セル10を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを製造した。
実施例1と2、比較例1の太陽電池モジュールを屋外に1年間曝露し、曝露後の太陽電池モジュール表面の孔発生数を、探傷法により測定した。すなわち、曝露後の太陽電池モジュールの表面保護層に、赤色浸透液(商品名「NRC−ALII」、太陽物産株式会社製)を塗布した。塗布後4日経過後に、赤色浸透液を太陽電池モジュールの表面保護層から洗浄除去し、孔が発生している箇所は、赤い斑点として現れるので、赤い斑点の数を光学顕微鏡で観察して測定した。また、屋外曝露前の発電効率を1とし、曝露後の発電効率と比較した。結果を表1にまとめて記す。
尚、硬度は、ナノインデンテーション法により、試験温度27℃で、測定装置として「ENT−1100」(エリオニクス社)を用い、先端形状が三角錐で先端角が115°のプローブを、最大押込み強さ0.5mN、加重増加・減速速度0.05mN/s、最大加重保持時間5秒でサンプルに押込み、押込み力と押込み深さとの関係から硬度を測定した。
尚、硬度は、ナノインデンテーション法により、試験温度27℃で、測定装置として「ENT−1100」(エリオニクス社)を用い、先端形状が三角錐で先端角が115°のプローブを、最大押込み強さ0.5mN、加重増加・減速速度0.05mN/s、最大加重保持時間5秒でサンプルに押込み、押込み力と押込み深さとの関係から硬度を測定した。
表1に示すように、本発明の保護層を用いた実施例1,2は、孔の発生頻度が低く、外的要因による損傷を長期にわたって抑制できた。実施例1,2の発電効率の低下は殆ど無く、本発明により、高い効率を維持することが可能となる。
また、本発明は太陽電池セルから保護層を積層するまで一貫した装置で製造することが可能であり、製造工程の簡略化により、低コスト化を実現する効果がある。
10:太陽電池セル
2:保護層
3:封止材層
4:表面保護層
5:封止材層
6:裏面保護層
11:基板
12:第1電極層
13:光電変換層
14:第2電極層
15:素子
16:第3電極層
2:保護層
3:封止材層
4:表面保護層
5:封止材層
6:裏面保護層
11:基板
12:第1電極層
13:光電変換層
14:第2電極層
15:素子
16:第3電極層
Claims (7)
- 太陽電池セルは、フィルム基板の受光面側に金属電極層、薄膜光電変換層、および透明電極層がこの順で積層形成され、
前記太陽電池セルの、受光面側および非受光面側の少なくとも受光面側に保護層が形成されていることを特徴とする太陽電池セル。
- 前記保護層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiO2、SiN、Al2O3の少なくとも1つからなる膜であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セル。
- 前記保護層が、水蒸気透過率が0.01g/m2・日以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池セル。
- 前記保護層が、SiO2であり、かつ、1.8g/cm3以上の密度であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池セル。
- 前記保護層が、プラズマCVD法により形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池セル。
- 前記保護層が、100℃以上、400℃以下の温度で形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池セル。
- 前記保護層が、硬さが100MPa以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の太陽電池セル。
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EA034296B1 (ru) * | 2016-09-09 | 2020-01-27 | Гор Варданян | Фотоэлектрическое устройство преобразования солнечной энергии |
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