JP2014228829A - 反射防止フィルム - Google Patents

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将幸 村瀬
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Abstract

【課題】カール性の悪化を避けつつ十分な耐光性を有し、且つニジムラの生じない反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムに紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と反射防止層とが積層される。ハードコート層は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部、(B)所定のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤1〜20質量部、(C)所定の光重合開始剤0.1〜10質量部、(D)4級アンモニウム塩系共重合体1〜20質量部とを含み、厚みは0.5〜10μmである。反射防止層は、屈折率の高い第1光学干渉層と、屈折率の低い第2光学干渉層からなる。第1光学干渉層/第2光学干渉層の膜厚比は、1.4〜1.9である。透明基材フィルムには、遅相軸方向の屈折率と進相軸方向の屈折率との差が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムを使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と反射防止層を備える、紫外線吸収性を有する反射防止フィルムに関する。
近年の高度情報化社会において、電子ディスプレイ等の光エレクトロニクス機器はテレビジョンやパーソナルコンピュータのモニター用等として著しい進歩を遂げ、広く普及している。特に、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称す)は、テレビやデジタルサイネージ、電子黒板など多角的な用途で普及が進んでいる。また、最近、有機EL(以下、OLEDと称す)の開発が進んでおり、高精細、高寿命なディスプレイとして注目されている。
これら電子ディスプレイパネルの表面には、表面の光反射を抑制し画像の視認性を高めるために反射防止フィルムが貼着されているが、外光がディスプレイの表面で反射したときに反射光が着色してしまい、画像の色再現性が悪化してしまうという問題があった。そこで、反射光の着色低減を目的として、ハードコート層、反射防止層を多層で構成した反射防止フィルムを貼着することが従来から行われている。例えば特許文献1や特許文献2では、視感度波長範囲において反射率を一定化し、反射光の着色を抑制することができる反射防止フィルムが提案されている。
さらに、これら電子ディスプレイパネルの表面には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やトリアセチルセルロース(TAC)等の透明基材フィルムを基材とする光学用フィルムが貼着されているが、PETやTACは絶縁特性が高い。そのため帯電しやすく、塵埃等の付着による汚れが生じ、使用する場合のみならずディスプレイ製造工程においても、帯電してしまうことにより障害が発生するといった問題があった。そこで、透明基材フィルムの上に積層されているハードコート層に、帯電防止剤を添加することが従来から行われている。例えば特許文献3では、光学用フィルムの透明性、耐久性の点から、帯電防止剤として4級アンモニウム塩系帯電防止剤が提案されている。
特開2009−244623号公報 特開2009−294329号公報 特開2011−225796号公報
特許文献1では、ハードコート層、第1光学干渉層、第2光学干渉層がこの順で積層された反射防止フィルムにおいて、第1光学干渉層の屈折率はハードコート層の屈折率より高く、かつ第2光学干渉層の屈折率は第1光学干渉層の屈折率より低く、第1光学干渉層の膜厚/第2光学干渉層の膜厚の比率を1.4〜1.9に制御していることで、反射光が着色する問題を抑制している。しかし、太陽光(特に紫外線)による劣化の問題は解決されていない。
一方、特許文献2は紫外線劣化の問題を改善するものであるが、従来のトリアジン系紫外線吸収剤では、性能的に必ずしも満足し得るものではなかった。したがって、十分な耐光性を得ようとすると、紫外線吸収剤の添加量が大きくなり、ブリードするという問題点があった。また、紫外線吸収剤の総量を確保するために、ハードコート層の膜厚を過剰に厚くすると、紫外線硬化型樹脂の硬化収縮が大きくなるため、ハードコート層を備える反射防止フィルムがカールして、加工性が悪化する問題がある。
特許文献3では、ハードコート層に帯電防止剤を添加していることで、帯電による塵埃付着の問題を解消している。しかし、太陽光(特に紫外線)による劣化の問題は解決されていない。
また、特許文献1〜3では、透明基材フィルムとして一般的なポリエステルフィルムを使用している。そのため、これらのフィルムを偏光素子上に配置した場合、表示画面を斜めから観察すると、液晶表示装置に色の異なるムラ(以下、「ニジムラ」ともいう)が生じ、液晶表示装置の表示品質が損なわれてしまうという課題がある。
当該ニジムラを抑制するには、COPフィルム、PCフィルム、TACフィルムでも効果が期待できる。しかしながら、これらのフィルムは耐湿熱性に劣るため、高温多湿の環境下においては長時間の保管や使用が難しい。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、その目的とするところは、4級アンモニウム塩系帯電防止剤を含有する帯電防止性ハードコート層に、紫外線領域に最大吸収波長を持つ特定構造の紫外線吸収剤を添加することで、その添加量の低減と薄肉化を実現でき、以ってカール性の悪化を避けつつ十分な耐光性を有し、且つ偏光素子上に配置して表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じない反射防止フィルムを提供することにある。
すなわち、本発明の反射防止フィルムは、透明基材フィルムの一方面に紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と、反射防止層とがこの順で積層された、紫外線吸収性を有する反射防止フィルムである。前記紫外線吸収性帯電防止ハードコート層は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部と、(B)光の波長300〜350nmに最大吸収波長を持つ下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤1〜20質量部と、(C)光の波長220〜400nmに最大吸収波長を持つ光重合開始剤0.1〜10質量部と、(D)下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)と、1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)とをラジカル共重合して得られる4級アンモニウム塩系共重合体1〜20質量部とを含む紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液を紫外線硬化させた、厚みが0.5〜10μmの層である。前記(D)4級アンモニウム塩系共重合体は、該(D)4級アンモニウム塩系共重合体100質量部中、前記4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)を30〜70質量部、前記1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)を70〜30質量部含む。前記反射防止層は、前記紫外線吸収性帯電防止ハードコート層上に積層される第1光学干渉層と、該第1光学干渉層上に積層される第2光学干渉層からなる。第1光学干渉層の屈折率は、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の屈折率より高く、第2光学干渉層の屈折率は、第1光学干渉層の屈折率より低い。また、第1光学干渉層の膜厚/第2光学干渉層の膜厚の比率は、1.4〜1.9である。透明基材フィルムとしては、該フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差(nx−ny)が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムを使用する。
Figure 2014228829

CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
(式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
また、本発明の反射防止フィルムは、JISZ 8720に基づくCIE標準イルミナントD65に対する、JIS Z 8729に基づく反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0である。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、その下限(○○)及び上限(××)の数値を含む意味である。したがって、正確に表せば「○○以上××以下」となる。
本発明によれば、ハードコート層に紫外線吸収剤を添加することで耐光性(紫外線吸収性)を付与でき、太陽光に暴露される環境においても、透明基材フィルムとハードコート層との密着性が低下することなく長期使用に耐え得る反射防止フィルムとすることができる。また、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の上に、該紫外線吸収性帯電防止ハードコート層より屈折率の高い第1光学干渉層と、第1光学干渉層より屈折率の低い第2光学干渉層とからなる反射防止層を積層し、且つ第1光学干渉層の膜厚/第2光学干渉層の膜厚の比率を1.4〜1.9とすることで、外光がディスプレイの表面で反射したときに生じる反射光の着色を低減することができ、画像の色再現性が悪化してしまうことを防止できる。
その上で、紫外線吸収剤として、上記一般式(1)で表される特定構造のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を添加している。当該紫外線吸収剤は短波長側(紫外線領域)に最大吸収波長を持つので、少量の添加でも効率よく紫外線を吸収できる。したがって、紫外線吸収剤の添加量を低減でき、ハードコート層の膜厚も小さくできる。これにより、カール性等の悪化を防止しつつ、良好な耐光性を有する反射防止フィルムを得ることができる。
また、透明基材フィルムには所定の配向ポリエステルフィルムを使用しているため、本発明の反射防止フィルムを偏光素子上に配置した場合に、表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じることがない。また、COPフィルムやPCフィルム等と比べて耐湿熱性に優れるため、高温多湿の環境下においても品質が劣化することなく、長時間の保管や使用に適している。
本発明の反射防止フィルムは、テレビやモニター等の電子画像表示装置(電子ディスプレイ)におけるPDP、OLED、及び太陽光が顕著にあたる窓ガラスなどの建築材料に適用されるものであって、透明基材フィルムの一方面に、少なくとも紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と反射防止層とが積層されている。
≪透明基材フィルム≫
反射防止フィルムに用いられる透明基材フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなる配向ポリエステルフィルム(高複屈折フィルムとも称される)を使用する。特に、遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny:△n)が0.07〜0.20、好ましくは0.10〜0.15のものを使用する。この屈折率差(△n)が0.07未満では、充分なニジムラの抑制効果が得られず、また、後述のリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなる。一方、屈折率差(△n)が0.20を超えると、フィルムに裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。(nx)としては、1.67〜1.78が好ましく、より好ましくは1.69〜1.73である。(ny)としては、1.55〜1.65が好ましく、より好ましいくは1.57〜1.62である。(nx)、(ny)、及び(△n)が上記の関係を満たすことで、好適なニジムラの抑制効果を得ることができる。
(0000)
また、配向ポリエステルフィルムのリタデーションは、3000〜30000nmが好ましい。リタデーションが3000nm未満では、反射防止フィルムを偏光素子上に配置した場合、斜め方向から観察した時に強い干渉色(ニジムラ)を呈し、包絡線形状が光源の発光スペクトルと相違して良好な視認性を確保することができない場合がある。一方、リタデーションが30000nmを超えても更なる視認性の改善効果は実質的に得られないばかりか、フィルムの厚みも相当に厚くなり、取り扱い性が低下する。より好ましいリタデーションの下限値は5000nm以上であり、さらに好ましくは10000nm以上である。
なお、リタデーションとは、ポリエステルフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、ポリエステルフィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
リタデーションは、例えば王子計測機器製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することもできる。
配向ポリエステルフィルムは、未延伸のポリエステルフィルムを、縦・横方向の何れか一方又は双方に延伸することで結晶配向することができる。リタデーションの制御方法としては、延伸倍率、延伸温度、及び作製するポリエステルフィルムの膜厚により適宜設定することができる。具体的には、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、また、膜厚が厚いほど、高いリタデーションを得やすくなり、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、また、膜厚が薄いほど、低いリタデーションを得やすくなる。
配向ポリエステルフィルムの厚みは25〜400μmが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。配向ポリエステルフィルムの厚みが25μmより薄い場合や400μmより厚い場合には、反射防止フィルムの製造時及び使用時における取り扱い性が低下してしまうと共に、リタデーションを上記範囲に設定し難くなる。なお、配向ポリエステルフィルムには、リタゼーションが上記範囲にある限りにおいて、各種の添加剤が含有されていてもよい。そのような添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤などが挙げられる。
≪紫外線吸収性帯電防止ハードコート層≫
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層は、(A)紫外線硬化型樹脂と、(B)一般式(1)で表されるヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤と、(C)光重合開始剤と、(D)4級アンモニウム塩系共重合体とを含む紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液を塗布及び乾燥し、紫外線を照射して硬化することにより形成される。
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の厚みは、少なくとも0.5〜10μmとし、好ましくは1〜6μmとする。紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の厚みが0.5μm未満では、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層中への紫外線吸収剤の添加量にも限界があるので、結果として反射防止フィルムにおける紫外線吸収剤の量が相対的に少なくなり、十分な紫外線吸収効果を得られない。一方、10μmを超えると、硬化時のカールを低減することができなくなる。紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の屈折率は、1.45〜1.70程度であればよい。
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層を透明基材フィルム上に設ける方法としては、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液をウェットコート法により塗布する方法であれば特に制限されず、例えばグラビアコート法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。
<(A)紫外線硬化型樹脂>
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層を形成する紫外線硬化型樹脂としては、この種の反射防止フィルムにおいて従来から一般的に使用されている、紫外線を照射することにより硬化反応を生じる公知の樹脂であればその種類は特に制限されない。そのような樹脂として、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂などである。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味する。また、後述の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル系、及び(メタ)アクリロイルの記載も同様である。
<(B)紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤は、光の波長300〜350nmに最大吸収波長を持ち、下記一般式(1)で表される、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジンである。
Figure 2014228829
紫外線吸収剤の含有量は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、5〜20質量部が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が20質量部よりも多い場合には、硬化性組成物の紫外線による硬化性が低下する傾向があると共に、反射防止フィルムの可視光線透過率が低下するおそれもある。一方、1質量部より少ない場合には、反射防止フィルムの紫外線吸収性を十分に発揮することができなくなる。
紫外線吸収剤は、光の波長300〜350nmに最大吸収波長を持つ上記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を少なくとも使用していれば、その他の波長に吸収を持つ紫外線吸収剤も併用することができる。また、無機系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や酸化防止剤などの安定剤を併用してもよい。
無機系の紫外線吸収剤としては、公知従来のものが使用できる。例えば酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、公知従来のものが使用できる。例えばデカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)等が挙げられる。
<(C)光重合開始剤>
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層を形成する光重合開始剤としては、光の波長220〜400nmに最大吸収波長を持つものであれば、その種類は特に限定されない。光の最大吸収波長が400nmを超える場合には該当する光重合開始剤は少なく、また紫外線による光重合開始能の発現が不足するおそれがある。光の最大吸収波長が220nm未満の場合、オゾンが発生しやすくなるため好ましくない。なお、光重合開始剤の最大吸収波長が300〜350nmの範囲にあると、紫外線が光重合開始剤に吸収されて、光重合開始剤の光重合開始能が十分に発現しないおそれがある。したがって、光重合開始剤の最大吸収波長は300〜350nmの範囲にないことが好ましい。
光の波長220〜400nmに最大吸収波長を持つ光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。中でも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンが好ましい。
光重合開始剤の含有量は、(A)紫外線硬化型樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部とする。光重合開始剤の含有量が0.1質量部未満の場合には紫外線硬化型樹脂の重合硬化が不十分となり、10質量部を超える場合には、光重合開始に使用されなかった光重合開始剤が残存し、可視光線透過率が低下するなどの弊害が生じるおそれがある。
<(D)4級アンモニウム塩系共重合体>
4級アンモニウム塩系共重合体は、帯電防止剤として添加され、下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)と、1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)を必須の構成成分とする。
CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
(式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
〈4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)〉
4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)は、前記一般式(2)で表され、その構造中に4級アンモニウム塩を含有する(メタ)アクリル類であれば特に制限さない。そのような化合物として、例えば、アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
一般式(2)におけるRである炭素数が1〜4の炭化水素基は、置換又は無置換のものが選択できる。Rの炭素数が5よりも大きい場合、生成される(D)4級アンモニウム塩系共重合体の疎水性が高まる結果、(D)4級アンモニウム塩系共重合体を含有する紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の吸湿性が低下し、良好な帯電防止性能を得られない場合がある。
一般式(2)におけるRは、無置換のものが好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。無置換のアルキル基としては、分岐を有するもの、有しないもの、いずれをも使うことができる。無置換のアルキル基としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基やエチル基等の無置換のアルキル基を有するものが入手し易いという点で好ましい。
一般式(2)におけるZが酸素原子の4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリレート類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート塩化メチル4級塩などである。
一般式(2)におけるZがNH基の4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)を形成するためのアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩などである。
〈1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)〉
1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(d−2)としては、エチレン性不飽和基を1つ含有するモノマーであれば特に限定されない。そのような化合物として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。また、化合物(d−2)は2種類以上を併用しても良い。
(D)4級アンモニウム塩系共重合体は、化合物(d−1)・(d−2)をラジカル共重合して得ることができる。化合物(d−1)・(d−2)の使用量は、4級アンモニウム塩系共重合体の合計100質量部中、化合物(d−1)は、帯電防止性能の観点から30〜70質量部、化合物(d−2)は、生成される(D)4級アンモニウム塩系共重合体の帯電防止性、溶解性を整える目的で70〜30質量部とする。
(D)4級アンモニウム塩系共重合体の使用量は、(A)紫外線硬化型樹脂100重量部に対し、1〜20重量部であり、3〜10重量部がより好ましい。1重量部未満では十分な帯電防止性能を得ることができず、20重量部を超えると形成される紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の耐擦傷性が低下する。
≪反射防止層≫
次に、反射防止層について説明する。反射防止層は、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層上に積層される第1光学干渉層と、該第1光学干渉層上に積層される第2光学干渉層とから構成されている。
<第1光学干渉層>
第1光学干渉層の屈折率は、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層及び第2光学干渉層より高く設定される。第1光学干渉層の屈折率が紫外線吸収性帯電防止ハードコート層より低くなる場合、効果的に反射光の着色を低減することが困難であるため、好ましくない。具体的には、第1光学干渉層の屈折率は1.50以上であることが好ましい。第1光学干渉層の屈折率が1.50を下回ると十分な反射防止効果を得ることが難しくなる。また、第1光学干渉層の屈折率は、1.70以下であることが好ましい。第1光学干渉層の屈折率が1.70を上回ると、JISZ 8720に基づくCIE標準イルミナントD65に対する、JIS Z 8729に基づく反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0を達成することが困難になるため好ましくない。
また、第1光学干渉層と紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の屈折率差は、0.01〜0.10、好ましくは0.01〜0.05に設定される。この屈折率差が0.01より小さい場合には、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と第1光学干渉層との界面での反射光が弱くなり過ぎて好ましくない。その一方、屈折率差が0.10より大きい場合には、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と第1光学干渉層との界面における反射光が強くなり過ぎて、JIS Z 8720に基づくCIE標準イルミナントD65に対する、JIS Z 8729に基づく反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0を達成することが困難になるため好ましくない。
第1光学干渉層は、バインダー樹脂と屈折率調整用(積極的に屈折率を高めるため)の金属酸化物微粒子とを含む塗布液を塗布及び乾燥し、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成される。金属酸化物微粒子としては、例えばアンチモン酸亜鉛(酸化アンチモンと酸化亜鉛の複合体、Sb・ZnO)、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化ジルコニウム、酸化インジウム錫、アンチモン含有酸化錫、アンチモン酸亜鉛等の微粒子が挙げられる。特に、酸化インジウム錫、アンチモン含有酸化錫、アンチモン酸亜鉛等の導電性微粒子を用いた場合には表面抵抗率を下げることができ、さらに帯電防止能も付与することができるため好ましい。
一方、バインダー樹脂としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体を用いることができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性単量体としては、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することにより硬化反応を生じる樹脂を使用でき、その種類は特に制限されない。具体的には、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン等の多官能アルコール(メタ)アクリル誘導体や、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられる。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、10〜100nmの範囲が好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径が10nmより小さいと、被膜(第1光学干渉層)を形成したときの屈折率が低くなる傾向がある。一方、金属酸化物微粒子の平均粒子径が100nmを超過すると、第1光学干渉層の膜厚(100〜150nm)を粒子の大きさが超過するため、その粒子に起因した欠陥が発生する。また、可視光も散乱するため、透過鮮明性が低下する。
金属酸化物微粒子は、第1光学干渉層の膜中に5〜95質量%の割合で含まれていることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。金属酸化物微粒子の含有量が95質量%を超過する場合には金属酸化物微粒子を含む硬化膜の強度及び硬度が不足する傾向を示し、被膜表面の耐擦傷性や耐摩耗性が低下する。一方、5質量%未満となる場合には、相対的に金属酸化物微粒子の含有量が少なくなるため、第1光学干渉層の屈折率が所望の屈折率より低くなる傾向がある。
また、第1光学干渉層には光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、紫外線照射による重合開始能を有するものであれば何れでもよい。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。光重合開始剤の含有量としては、第1光学干渉層の膜中に0.1%〜20質量%程度、好ましくは1〜10質量%程度とすればよい。
<第2光学干渉層>
第2光学干渉層の屈折率は、第1光学干渉層の屈折率より低く設定され、その屈折率は1.28〜1.45であることが好ましい。該屈折率が1.28未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難であり、屈折率が1.45を超える場合には、特にウェットコーティング法では十分な反射防止効果を得ることが難しい。
第2光学干渉層は、バインダー樹脂と屈折率調整用(積極的に屈折率を下げるため)の無機微粒子とを含む塗布液を塗布及び乾燥し、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成される。無機微粒子としては、酸化珪素、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、フッ化セリウム等の微粒子を用いることができる。この中でも、酸化珪素系微粒子、特に中空酸化珪素系微粒子が、低屈折率である点で特に好ましい。中空酸化珪素系微粒子としては、例えば外殻内部に空洞を有するものや、多孔質シリカ微粒子が挙げられる。微粒子の平均粒子径は第2光学干渉層の膜厚(70〜130nm程度)を大きく超えないことが好ましく、特に0.1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が大きくなると、散乱が生じ、ヘイズ値が上昇してしまうため反射防止フィルムとして適さない。また、必要に応じて微粒子表面を各種カップリング剤等により修飾することができる。各種カップリング剤としては例えば、有機置換された珪素化合物、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン等の金属アルコキシド、有機酸塩等が挙げられる。特に、表面を(メタ)アクリロイル基等の反応性基で修飾することにより、硬度の高い膜を形成することができる。
中空酸化珪素系微粒子は、第2光学干渉層の膜中に20〜70質量%の割合で含まれていることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。中空酸化珪素系微粒子の含有量が70質量%を超過する場合には中空酸化珪素系微粒子を含む硬化膜の強度及び硬度が不足する傾向を示し、皮膜表面の耐擦傷性や耐摩耗性が低下する。一方、20質量%未満となる場合には、相対的に中空酸化珪素系微粒子の含有量が少なくなるため、第2光学干渉層と空気の界面で反射する反射率が高くなる。
バインダー樹脂としては、低屈折率である点で含フッ素有機化合物の重合体を含む組成物を好適に用いることができるが、フッ素を含まない単量体やその重合体を含む組成物を用いることもできる。含フッ素有機化合物は特に制限されるものではないが、例えば含フッ素単官能(メタ)アクリレート、含フッ素多官能(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル等の単量体、それらの重合体、及び重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマー等が挙げられる。
含フッ素単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1−(メタ)アクリロイロキシ−1−パーフルオロアルキルメタン、1−(メタ)アクリロイロキシ−2−パーフルオロアルキルエタン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜8の直鎖状、分枝状又は環状のものが挙げられる。
含フッ素多官能(メタ)アクリレートとしては、含フッ素2官能(メタ)アクリレート、含フッ素3官能(メタ)アクリレート及び含フッ素4官能(メタ)アクリレートが好ましい。含フッ素2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−3−パーフルオロアルキルブタン、2−ヒドロキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート、α,ω−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルパーフルオロアルカン等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが、パーフルオロアルカン基は直鎖状のものが好ましい。これらの含フッ素2官能(メタ)アクリレートは、使用に際して単独又は混合物として用いることができる。
含フッ素3官能(メタ)アクリレートの例としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロアルキル−2’,2’−ビス{(メタ)アクリロイルオキシメチル}プロピオナート等が挙げられる。パーフルオロアルキル基は炭素数1〜11の直鎖状、分枝状又は環状のものが好ましい。
含フッ素4官能(メタ)アクリレートの例としては、α,β,ψ,ω−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ}−αH,αH,βH,γH,γH,χH,χH,ψH,ωH,ωH−パーフルオロアルカン等が好ましい。パーフルオロアルカン基は炭素数1〜14の直鎖状のものが好ましい。使用に際しては、含フッ素4官能(メタ)アクリレートは、単独又は混合物として用いることができる。
また、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーとしては、含フッ素エチレン性モノマーに由来する主鎖を有し、架橋硬化のための反応性基をもつものである。反応性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−フルオロアクリロイルオキシ基、エポキシ基等が挙げられる。このような溶媒可溶性で重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは高分子量であるため、フッ素を含有しながらも成膜性が良好で、成膜後に反応性基を利用して架橋硬化することで硬化層を得ることができる。
係る重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーは、重合性二重結合をもつ基の含有率が通常1〜20質量% 、好ましくは5〜15質量%であり、また質量(重量)平均分子量が通常1〜500,000、好ましくは3〜200,000である。具体的な含フッ素反応性ポリマーとしては、再公表特許WO02/018457号公報に開示されているものが挙げられる。
また、第2光学干渉層にも光重合開始剤が含まれる。ここでの光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独又は混合物として用いることができる。光重合開始剤の含有量としては、第2光学干渉層の膜中に0.1〜20質量%程度、好ましくは1〜10質量%程度とすればよい。
反射防止層(第1光学干渉層及び第2光学干渉層)の形成方法は特に制限されず、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の方法を採ることができる。これらの方法のうち、生産性及び生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法が採用され、例えばロールコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的な方法として挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に反射防止層を形成できる方法が生産性の点より好ましい。
第1光学干渉層の膜厚と第2光学干渉層の膜厚の比率は、第1光学干渉層の膜厚/第2光学干渉層の膜厚=1.4〜1.9に設定される。この膜厚の比率が1.4未満及び1.9を超える場合には、膜厚変動による反射スペクトルの変化が大きくなり、反射光の着色を低減することが達成できないため好ましくない。
反射防止層(第1光学干渉層と第2光学干渉層のいずれか一方または双方)には上記構成材料以外にも、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の成分を含んでいても差し支えない。その他の成分としては、例えば無機又は有機顔料、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤等の添加剤等が挙げられる。また、ウェットコーティング法において成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。反射防止層はウェットコーティングにより成膜した後、必要に応じて紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射や加熱により硬化反応を行うことにより形成される。活性エネルギー線による硬化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。ただし、第1光学干渉層の硬化反応については、第2光学干渉層との密着性を向上する目的で、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気ではなく、大気下にて行うことが好ましい場合もあるため、硬化反応の雰囲気については適宜選択することができる。
<<プライマー層>>
なお、配向ポリエステルフィルムの一方面又は表裏両面には、プライマー層を積層することが好ましい。少なくとも、配向ポリエステルフィルムとハードコート層との間には、両層の密着性を向上させるため、プライマー層を介在させることが好ましい。この場合、プライマー層の屈折率(np)と、配向ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率(nx)及び進相軸方向の屈折率(ny)とが、ny<np<nxとなる関係に設定することが好ましい。各屈折率をこのような関係に設定することで、プライマー層と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差が低減され、ニジムラの発生を確実に抑制することができる。具体的には、プライマー層の屈折率(np)は、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率(ny)の最小屈折率1.55より高く、遅相軸方向の屈折率(nx)の最大屈折率1.78より低い範囲に設定する。好ましくは1.56〜1.65である。
また、プライマー層を介在させる場合は、ハードコート層の屈折率(nh)と、配向ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率(nx)及び進相軸方向の屈折率(ny)との関係も、ny<nh<nxとなる関係に設定することが好ましい。当該関係に設定することで、プライマー層の屈折率がニジムラ防止効果に与える影響がさらに少なくなる。この場合のハードコート層の屈折率(nh)は、上記プライマー層の屈折率と同様である。
プライマー層の材料としては、上記屈折率の条件を満たすものであれば特に限定されず、例えば熱硬化性又は熱可塑性のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び、これらの変性体等が挙げられる。また、プライマー層の屈折率を調整するために、高屈折率微粒子、キレート化合物等を添加することができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多塩基酸成分とジオール成分とから得られるポリエステルを用いることができる。多価塩基成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
アクリル樹脂としては、以下に例示されるモノマーを共重合することで得られるものが挙げられる。モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基又はその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンである。
ウレタン樹脂としては、例えばポリオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋剤等で構成されものが挙げられる。ポリオールとしては、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールのようなポリエーテル、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等を含むグリコールとジカルボン酸との脱水反応により製造されるポリエステル、カーボネート結合を有するポリカーボネート、アクリル系ポリオール、ひまし油等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
鎖延長剤あるいは架橋剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等が挙げられる。
屈折率を調整するための高屈折率微粒子としては、上記第1光学干渉層で使用するものと同種のものを使用することができる。高屈折率微粒子の含有量としては特に限定されず、例えばプライマー層に添加する樹脂成分の硬化物の、予め測定した屈折率の値との加重平均で、形成するハードコート層の屈折率が上記関係を満たすよう、その他の成分との関係で適宜調整すればよい。
また、キレート化合物としては、例えば水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物及び水溶性のジルコニウム化合物等が挙げられる。水溶性のチタンキレート化合物としては、例えばジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンのアンモニウム塩、チタンベロキソクエン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
水溶性のチタンアシレート化合物としては、例えばオキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)等が挙げられる。水溶性のジルコニウム化合物としては、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
プライマー層の厚さとしては、要求される性能に応じて適宜調節すればよく特に限定されないが、例えば3〜1000nmとすることができる。特に、プライマー層の厚さが500nm以下であると、鉛筆硬度が向上するので好ましい。一方、プライマー層の厚みが3nm未満であると、配向ポリエステルフィルムとハードコート層との密着性が不充分となる。
プライマー層は、上記成分と必要に応じて他の成分とを溶媒中に混合分散させて調製したプライマー層用塗布液を用いて、他の層と同様に形成することができる。その他の成分としては、例えばレベリング剤、有機又は無機微粒子、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防汚剤、スリップ剤、屈折率調整剤、分散剤等が挙げられる。
プライマー層用塗布液を配向ポリエステルフィルムへ塗布するタイミングは、任意の段階で実施することができるが、配向ポリエステルフィルムの製造過程で塗布するのことが好ましく、特に配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布することが好ましい。
<<<反射防止フィルム>>>
本発明の反射防止フィルムは、JIS Z 8720に基づくCIE標準イルミナントD65に対する、JIS Z 8729に基づく反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0となっている。これにより、外光がディスプレイの表面で反射したときに、その反射光の着色が抑制されており、画像の色再現性が良好となる。しかも、透明基材フィルムとして配向ポリエステルフィルムを用いていることで、本発明の反射防止フィルムを偏光素子上に配置した場合に、表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じることがない。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これに限られるものではない。
(プライマー層用塗布液の調製)
下記配合により、プライマー層用塗布液を調製した。
ポリエステル樹脂の水分散体20.7質量部
高屈折率微粒子分散液:CIKナノテック社製のTiO微粒子の水分散液(商品名:酸化チタンスラリー(固形分20%分散液))0.9質量部
水78.4質量部
((D)4級アンモニウム塩系共重合体の調整))
(D)4級アンモニウム塩系共重合体は、4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)及び1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)を下記表1に示す組成のように共重合することで得た。なお、表1中に示す各具体的材料は、次の通りである。
α1:ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級
一般式(2):R=CH、R=CH、Z=O、k=2、X=Cl
α2:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級
一般式(2):R=H、R=CH、Z=NH基、k=3、X=Cl
β1:ブチルメタクリレート
β2:ベンジルメタクリレート
Figure 2014228829
(紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液の調製)
紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液は、(A)紫外線硬化型樹脂と、上記一般式(1)の(B)紫外線吸収剤と、(C)光重合開始剤と、(D)4級アンモニウム塩系共重合体とを、下記表2〜3に示す組成のように混合し、固形分濃度が40質量部となるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)を混合して紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液を得た。なお、表2〜3中に示す各具体的材料は、次の通りである。
A1:DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
A2:OD4A(1,2,9,10−テトラキス(アクリロイルオキシ)−4,4,5,5,6,6,7,7−オクタフルオロデカン)
B1:BASFジャパン株式会社製の製品名:チヌビン479〔2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〕
B2:BASFジャパン株式会社製の製品名:チヌビン123〔下記一般式(3)で表される化合物〕。
C1:BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア184
C2:BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア907
Figure 2014228829
(第1光学干渉層塗布液γ1の調製)
第1光学干渉層塗布液γ1は、アンチモン酸亜鉛微粒子分散液〔日産化学工業(株)製、セルナックスCX−603M−F2〕を固形分換算で45質量部、ウレタンアクリレート〔分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕55質量部、光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184〕5質量部を混合し、固形分濃度が10質量部となるようにイソプロピルアルコール(IPA)を混合して得た。
(重合性二重結合をもつ含フッ素化合物δ1の製造)
四つ口フラスコにパーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール)104部とビス(2,2,3,3,4,45,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11部を入れた。そして、その中空部を窒素置換した後、窒素気流下20℃で24時間撹拌して高粘度の固体を得た。得られた固体をジエチルエーテルに溶解させたものをパーフルオロヘキサンに注ぎ、分離後に真空乾燥させて無色透明なポリマーを得た。
このポリマーを19F−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、1H−NMR、IR(赤外線吸収スペクトル)により分析したところ、上記アリルエーテルの構造単位からなる側鎖末端に水酸基を有する含フッ素ポリマーであった。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により測定した数平均分子量は72,000、質量平均分子量は118,000あった。
得られたヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテルポリマー5部とメチルエチルケトン(MEK)43部、ピリジン1部を四つ口フラスコ中に仕込み、5℃以下に氷冷した。そして、窒素気流下で撹拌しながらα−フルオロアクリル酸フルオライド1部をMEK9部に溶解したものを10分間かけて滴下した。そして、重合性二重結合をもつ含フッ素反応性ポリマーの溶液δ1を得た。
(第2光学干渉層塗布液ε1の調製)
第2光学干渉層塗布液ε1は、粒子径が60nmの中空シリカ微粒子60質量部と、溶媒可溶性の含フッ素反応性ポリマー(δ1)を固形分換算で40質量部と、光重合開始剤〔BASFジャパン株式会社製の製品名:イルガキュア907〕5質量部、シリコン添加剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、BYKUV−3570〕8質量部、シリコン添加剤〔信越化学工業(株)製、TIC2457〕3.5質量部、アルミナ添加剤〔ビックケミー・ジャパン(株)製、NANOBYKUV-3601〕0.5質量部、固形分濃度が5質量部となるようにイソプロピルアルコール(IPA)を混合して得た。
(実施例1−1)
溶融ポリエチレンテレフタレートを290℃で溶融し、フィルム形成ダイを通してシート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃ にて延伸倍率4.5倍に延伸した後、その両面に上記で調整したプライマー層用塗布液をロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを引続き95℃で乾燥し、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、リタデーション=10000nm、膜厚=100μm、nx=1.70、ny=1.60、Δn=0.10の配向ポリエステルフィルムを得た。なお、プライマー層の屈折率は1.59、膜厚は80nmであった。
続いて、上記プライマー層上に、上記で調整した紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液を、グラビアコート法で乾燥膜厚が1μmになるよう塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、紫外線吸収性ハードコートフィルムを作製した。次いで、得られた紫外線吸収性帯電防止ハードコートフィルムの紫外線吸収性帯電防止ハードコート層上に、第1光学干渉層塗布液γ1をグラビアコート法で乾燥膜厚が0.158μmになるよう塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、第1光学干渉層積層フィルムを作製した。さらに、得られた第1光学干渉層積層フィルムの第1光学干渉層上に第2光学干渉層塗布液ε1をグラビアコート法で乾燥膜厚が0.098μmになるよう塗布し、乾燥後、窒素雰囲気下で400mJ/cmの出力にて紫外線を照射して硬化させることにより、第2光学干渉層積層体である反射防止フィルムを作製した。
(実施例1−2〜1−14)
実施例1−2〜1−14については、表2に示す組成で、実施例1−1と同様にして作製した。
(比較例1−1)
実施例1−1〜1−14のそれぞれにおいて、配向ポリエステルフィルム(PET−N)の変わりに、東洋紡社製PETフィルム「A4100」(リタデーション=6200nm、膜厚=188μm、Δn=0.033)を用いた以外は、実施例1−1〜1−14と同様に光学積層体を製造した。
(比較例1−2〜1−14)
比較例1−2〜1−14については、表3に示す組成で、実施例1−1と同様にして作製した。
得られた各実施例及び比較例の反射防止フィルムにおいて、耐光性や物理的特性(カール性)を測定し評価した。その結果も表2〜3に示す。なお、各項目の測定方法は次の通りである。
<配向ポリエステルフィルムの屈折率>
二枚の偏光板を用いて、配向ポリエステルフィルムの配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製NAR−4T)によって求めた。
<プライマー層及びハードコート層の屈折率>
分光光度計(島津製作所社製のUV−3100PC)を用いて、波長380〜780nmの平均反射率(R)を測定し、得られた平均反射率(R)から、以下の式を用い、屈折率(n)の値を求めた。プライマー層及びハードコート層は、易接着処理のない50μmPET上にそれぞれの原料組成物を塗布し、1〜3μmの厚さの硬化膜にし、PETの塗布しなかった面(裏面)に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNO200−38−2138mm幅)を貼ってから塗膜の平均反射率を測定した。
R(%)=(1−n)2/(1+n)2
<(IV)第1光学干渉層及び第2光学干渉層の屈折率>
(IV-1)屈折率1.65のPETフィルム〔商品名:「A4100」、東洋紡(株)製〕を基材として、ディップコーター〔(株)杉山元医理器製〕により、易接着が付与されていない面上に転写用波長選択的反射層用の塗液をそれぞれ乾燥膜厚で光学膜厚が589nm程度になるように層の厚さを調整して塗布した。
(IV-2)溶媒乾燥後、必要に応じて紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して転写用波長選択的反射層用の塗液を硬化させた。
(IV-3)アクリル樹脂板裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、300〜1000nmにおける垂直入射光に対する正反射率を測定し、その反射率の極小値又は極大値を読み取った。
極値が読み取りにくい場合は、屈折率1.65のPETフィルム〔商品名:「A4100」、東洋紡(株)製〕の変わりに、屈折率1.49のアクリル樹脂板〔商品名:「デラグラスA」、旭化成ケミカルズ(株)製〕を基材として使用し、同様の手順にて反射率の極小値又は極大値を読み取った。
(IV-4)反射率の極値より以下の式を用いて屈折率を計算した。
Figure 2014228829

ただし、
0:空気の屈折率(=1.00)
:層の屈折率
:基材の屈折率(=1.65または1.49)
d:転写用波長選択的反射層の膜厚(=589nm/4n
λ:589nm
r1=(n0−n)/(n0+n
r2=(n−n)/(n+n
θ=2πnd/λ(=π/2)
<配向ポリエステルフィルムの膜厚>
配向ポリエステルフィルムの厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて任意の10点を測定し、単位をnmに換算して平均値を求めた。
<プライマー層及びハードコート層、第1光学干渉層、第2光学干渉層の乾燥硬化後の膜厚
膜厚の測定は、光学積層体の断面をTEM写真で観察し、求めた。
<配向ポリエステルフィルムのリタデーション>
配向ポリエステルフィルムのリタデーションは、配向ポリエステルフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、配向ポリエステルフィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって計算した。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
<ニジムラ評価>
各実施例、比較例にて作製した光学積層体を、液晶モニター(FLATORONIPS226V(LGElectronicsJapan社製))の観察者側の偏光素子上に配置し、液晶表示装置を作製した。なお、配向ポリエステルフィルムの遅相軸と液晶モニターの観察者側の偏光素子の吸収軸とのなす角度が0°となるように配置した。そして、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。偏光サングラス越しの観察は、目視よりも非常に厳しい評価法である。観察は10人で行い、最多数の評価を観察結果としている。
◎:偏光サングラス越しでニジムラが観察されない。
○:偏光サングラス越しでニジムラが観察されるが、薄く、目視ではニジムラが観察されない、実使用上問題ないレベル。
△:偏光サングラス越しでニジムラが観察され、目視ではニジムラがごく薄く観察される。
×:偏光サングラス越しでニジムラが強く観察され、目視でもニジムラが観察される
(I)耐光性試験
<スーパーキセノン試験>
スーパーキセノンウェザーメーターSX75(スガ試験機株式会社製)を用いて、照射照度180W/m、照射光の波長300〜400nm、BPT温度63±1℃の試験条件で100時間試験を行い、試験後、JIS D 0202−1998に準拠して碁盤目剥離テープ試験を行った。セロハンテープ〔ニチバン(株)製、CT24〕を用い、反射防止フィルムのハードコート層、あるいは第2光学干渉層に密着させた後剥離した。耐光性は密着性にて判定し、100マスのうち、剥離しないマス目の数を、○○/100として表した。例えば、全く剥離しない場合は100/100、完全に剥離する場合は0/100として表した。
(II)表面抵抗率
JIS K 6911−1995に準拠して、デジタル絶縁計〔東亜ディーケーケー(株)製、SM−8220〕を用いて測定した。
(III)カール性試験
10cm×10cmのサイズの反射防止フィルムを作成し、反射防止フィルムを水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定する。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
得られた反射防止フィルムの物性を以下の方法で評価した。
(V)視感度反射率Y
(V-1)分光反射率:反射防止フィルムの裏面(透明樹脂フィルム11の裏面)をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを分光光度計〔「U−BestV560」、日本分光(株)製〕により、光の波長380〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。これにより、反射防止フィルム表面の反射スペクトルを測定することができる。
(V-2)(V-1)で測定した光の波長380〜780nmの分光反射率と、JISZ8720に基づくCIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIZ8701で規定されているXYZ表色系における、反射による物体色の三刺激値Y(%)を計算した。
(VI)abクロマCab*:前記(V-1)で測定した光の波長380〜780nmの分光反射率と、JISZ 8720に基づくCIE標準イルミナントD65の相対分光分布を用いて、JIS Z 8729に規定される色空間CIE1976L*a*b*表色系を計算し、a*値、b*値を求めた。
(VII)着色抑制効果: 縦10cm、横10cmの大きさのガラス板の片面にアクリル樹脂系粘着シートを使用して反射防止フィルムを貼り合せ、他方の面に黒色フィルムを貼り合せたサンプルを作製した。該サンプルを、三波長蛍光灯でない蛍光灯〔例えば、松下電器産業(株)製パルック(FL20SSD/18)〕の下で観察し、反射色の見え方をそれぞれ評価した。評価基準としては、反射色が弱い場合を○、反射色が強い場合を× として評価した。
Figure 2014228829
Figure 2014228829
表2の結果より、各実施例の反射防止フィルムではニジムラが観察されなかった。また、キセノンランプによる劣化が抑えられ、密着性が良好であった。また、表面抵抗率及びカール性も良好であり、さらに、反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0の範囲であるため、着色抑制効果も良好であった。これに対し表3の結果より、比較例の反射防止フィルムは、キセノンランプによる劣化が抑えられ、また、表面抵抗率及びカール性も良好であり、さらに、反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0の範囲であるため、着色抑制効果も良好であったが、ニジムラが強く観察された。

Claims (2)

  1. 透明基材フィルムの一方面に、紫外線吸収性帯電防止ハードコート層と、反射防止層とがこの順で積層された、紫外線吸収性を有する反射防止フィルムであって、
    前記紫外線吸収性帯電防止ハードコート層は、
    (A)紫外線硬化型樹脂100質量部と、
    (B)光の波長300〜350nmに最大吸収波長を持つ下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤1〜20質量部と、
    (C)光の波長220〜400nmに最大吸収波長を持つ光重合開始剤0.1〜10質量部と、
    (D)下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)と、1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)とをラジカル共重合して得られる4級アンモニウム塩系共重合体1〜20質量部と、
    を含む紫外線吸収性帯電防止ハードコート層塗布液を紫外線硬化させた、厚みが0.5〜10μmの層であって、
    前記(D)4級アンモニウム塩系共重合体は、該(D)4級アンモニウム塩系共重合体100質量部中、前記4級アンモニウム塩基を有する化合物(d−1)を30〜70質量部、前記1つのエチレン不飽和基を有する化合物(d−2)を70〜30質量部含み、
    前記反射防止層は、前記紫外線吸収性帯電防止ハードコート層上に積層される第1光学干渉層と、該第1光学干渉層上に積層される第2光学干渉層からなり、
    前記第1光学干渉層の屈折率は、前記紫外線吸収性帯電防止ハードコート層の屈折率より高く、
    前記第2光学干渉層の屈折率は、該第1光学干渉層の屈折率より低く、
    第1光学干渉層の膜厚/第2光学干渉層の膜厚の比率が1.4〜1.9であり、
    前記透明基材フィルムは、該フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差(nx−y)が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムである、反射防止フィルム。
    Figure 2014228829

    CH=C(R)COZ(CH(R・X ・・・(2)
    (式中、RはHまたはCH、Rはそれぞれ独立して炭素数が1〜4の炭化水素基、Zは酸素原子またはNH基、kは1〜10の整数、Xは1価のアニオンを表す。)
  2. JISZ 8720に基づくCIE標準イルミナントD65に対する、JIS Z 8729に基づく反射色の色座標a*が0〜5、色座標b*が−7〜0である、請求項1に記載の反射防止フィルム。
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