JP2014228084A - 無段変速機のベルトエレメント - Google Patents

無段変速機のベルトエレメント Download PDF

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山田 剛
Takeshi Yamada
剛 山田
一朗 青戸
Ichiro Aoto
一朗 青戸
悠 稲瀬
Yu Inase
悠 稲瀬
慎治 土屋
Shinji Tsuchiya
慎治 土屋
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Abstract

【課題】ベルトエレメントの噛み込みに伴うプーリの振動の発生を抑制する。【解決手段】エレメント24は、値(A+B)/2が値(C+D)/2より大きくなるように、且つ値Eが値(C+D)/2より小さくなるように、形成されている。ベルト幅方向にてエレメント24中央の板厚を小さくすることで、エレメント24の剛性が低下させられるので、プーリに噛み込んでいるときにエレメント24が変形し易くされる。又、ベルト径方向にてエレメント24外周側の板厚を大きくすることで、一対のプーリ間に掛け渡された伝動ベルト10において弦部がベルト径方向外周側に膨らむ形とされるので、エレメント24がプーリに噛み込みときの角度が改善されてスムーズにプーリに噛み込まされる。よって、エレメント24の噛み込みに伴うプーリの振動の発生を抑制することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に備えられるベルト式無段変速機用の伝動ベルトを構成するベルトエレメントに関するものである。
無端環状の帯状部材が複数積層されて成る環状リングと、その環状リングに支持されると共にその環状リングに沿って厚さ方向に環状に複数積層された板状の金属から成る複数のベルトエレメントとを備え、溝幅が可変である一対のプーリ間に掛け渡されるベルト式無段変速機用の伝動ベルトが知られている。例えば、特許文献1に記載された伝動ベルトがそれである。この特許文献1には、ベルトエレメント(以下、単にエレメントとも言う)がプーリに噛み込まれる際に騒音が発生する可能性があること、このような騒音は噛み込みタイミングが一律な程増大する懸念があることが記載されている。そして、この特許文献1には、エレメントの板厚を単一化しながら上記騒音を低減する為に、隣接するエレメントの凸部が各エレメントの凹部に挿入されるエレメント間の嵌合部において、ベルト内外方向の凹部の幅と凸部の幅との差をベルト幅方向の差よりも大きくして、噛み込みタイミングをばらつかせることが提案されている。
特開2012−17829号公報
ところで、前記伝動ベルトでは、各エレメントがプーリに対して入ったり出たりを繰り返していることでプーリが振動させられており、この振動に伴う放射音が車内に聞こえる可能性がある。その為、特許文献1に記載されたようなエレメントの噛み込みタイミングをばらつかせることで騒音を低減する技術はあるものの、エレメントの噛み込みに伴って発生するプーリの振動に関してはまだまだ改良の余地がある。尚、上述したような課題は未公知であり、プーリの振動の発生を適切に抑制することについて未だ提案されていない。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、噛み込みに伴うプーリの振動の発生を抑制することができる無段変速機のベルトエレメントを提供することにある。
前記目的を達成する為の第1の発明の要旨とするところは、(a) 無端環状の環状リングに支持されると共に、その環状リングに沿って厚さ方向に環状に連ねられる板状の金属から成る無段変速機のベルトエレメントであって、(b) 前記ベルトエレメントは、台形状の基体部と、ベルト幅方向中央にその基体部と一体的に形成された連結部を介してその基体部のベルト径方向外周側にその連結部と一体的に形成された三角形状のヘッド部とを備えるものであり、(c) 前記基体部におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、そのベルト幅方向中央とは別の他位置の最大板厚より小さい厚みに形成され、且つ前記ヘッド部の最大板厚は、前記基体部の最大板厚より大きい厚みに形成されていることにある。
このようにすれば、ベルト幅方向にてベルトエレメント中央の板厚を小さくすることで、ベルトエレメントの剛性が低下させられるので、プーリに噛み込んでいるときにベルトエレメントが変形し易くされる。又、ベルト径方向にてベルトエレメント外周側の板厚を大きくすることで、一対のプーリ間に掛け渡された伝動ベルトにおいて直線部(弦部)がベルト径方向外周側に膨らむ形とされるので、ベルトエレメントがプーリに噛み込みときの角度が改善されてスムーズにプーリに噛み込まされる。よって、ベルトエレメントの噛み込みに伴うプーリの振動の発生を抑制することができる。
ここで、第2の発明は、前記第1の発明に記載の無段変速機のベルトエレメントにおいて、前記基体部は、ベルト幅方向に沿って伸びるように形成され且つ前記ベルトエレメントが揺動する際の支点として機能するエッジ部を備えるものであり、前記ヘッド部は、ベルト幅方向中央から外側両方向にそれぞれ伸びるように各々形成され且つ隣接する前記ベルトエレメント間で相互に作用する押付力を受ける部材である押付部を備えるものであり、前記基体部におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央の最大板厚であり、前記基体部における前記他位置の最大板厚及び前記基体部の最大板厚は、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央を挟む外側両位置の各最大板厚の平均値であり、前記ヘッド部の最大板厚は、前記各々形成された前記押付部の各最大板厚の平均値である。このようにすれば、ベルトエレメントの剛性が適切に低下させられて、プーリに噛み込んでいるときにベルトエレメントが確実に変形し易くされる。又、伝動ベルトにおいて弦部がベルト径方向外周側に適切に膨らむ形とされて、ベルトエレメントが確実にスムーズにプーリに噛み込まされる。
また、第3の発明は、前記第2の発明に記載の無段変速機のベルトエレメントにおいて、前記押付部の一方の最大板厚をA、その押付部の他方の最大板厚をB、前記エッジ部における外側両位置の一方の最大板厚をC、その外側両位置の他方の最大板厚をD、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央の最大板厚をEとするとき、前記ベルトエレメントは、次式(1)及び次式(2)を満足するものである。このようにすれば、次式(1)を満足することにより、伝動ベルトの挙動(換言すれば、ベルトエレメントがプーリに噛み込みときの角度)が一層適切なものとされる。又、次式(2)を満足することにより、ベルトエレメントの剛性が一層適切なものとされる。
(A+B)/2−(C+D)/2 > 5[μm] ・・・(1)
(C+D)/2−E > 10[μm] ・・・(2)
本発明が適用される伝動ベルトが装着された状態を示す斜視図である。 図1の伝動ベルトを部分的に拡大して示す斜視図である。 図2に示すエレメントの正面図である。 図2に示すエレメントの側面図である。 図1の矢印X部におけるエレメントの状態を示す図である。 図1の矢印Y部におけるエレメントの状態を示す図である。 弦部における伝動ベルトの挙動を模式的に示す図である。 プーリの振動発生の抑制効果を確認する為の動的解析の結果である。 プーリの振動に伴って発生する放射音の測定結果である。
本発明において、好適には、前記無段変速機は、車両に備えられる公知のベルト式無段変速機である。前記ベルトエレメントは、前記ベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトを構成する一部材であって、同一形状の部材である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される伝動ベルト10が装着された状態を示す斜視図である。図2は、図1の伝動ベルト10を部分的に拡大して示す斜視図である。図1,2において、伝動ベルト10は、溝幅が可変であるV型の溝12を外周部に有して互いに平行な軸心まわりに回転可能に設けられた一対のプーリである駆動側プーリ14(すなわちプライマリプーリ14)と従動側プーリ16(すなわちセカンダリプーリ16)との間に掛け渡されたベルト式無段変速機用の圧縮式伝動ベルト(金属ベルト)である。駆動側プーリ14は、駆動側回転軸18に固定された固定プーリ14aと、駆動側回転軸18に対して相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた可動プーリ14bとを備えている。又、従動側プーリ16は、従動側回転軸19に固定された固定プーリ16aと、従動側回転軸19に対して相対回転不能且つ軸方向に移動可能に設けられた可動プーリ16bとを備えている。固定プーリ14aと可動プーリ14bとの相対向する面、及び固定プーリ16aと可動プーリ16bとの相対向する面には、径方向外側に向かうほど軸心方向の相対距離が大きくなる一対のシーブ面20がそれぞれ設けられている。溝12は、これら一対のシーブ面20により形成されている。
伝動ベルト10は、可撓性を有する無端環状の帯鋼が複数枚積層されて成る一対の環状リング22と、それら一対の環状リング22によって挟持されると共に環状リング22に沿って厚さ方向に環状に複数個連ねられた板状の金属から成る複数のエレメント(こま)24とを備えている。環状リング22は、例えば厚さ0.2mm程度の高張力鋼板が輪状にされて内から外へ層状に重ねられたものである。本実施例では、例えば9層程度に重ねられている。エレメント24は、例えば厚さ1.8mm程度の平板材(鋼板)が打ち抜かれて成形された厚肉板状片である。本実施例では、1つの伝動ベルト10に対して例えば400個程度備えられている。このエレメント24は、本発明が適用される無段変速機のベルトエレメントである。
図3は、図2のエレメント24の正面図を示し、図4は、エレメント24の側面図を示している。図3に示すように、エレメント24は、中心軸cに対して左右対称に形成されている。エレメント24は、台形状の基体部26と、基体部26のベルト幅方向中央且つベルト径方向外周側に基体部26と一体的に形成された連結部27と、連結部27を介して基体部26のベルト径方向外周側に連結部27と一体的に形成された三角形状のヘッド部28とを備えている。
基体部26の幅方向の両端部(すなわちベルト幅方向中央から外側の両端部)には、一対のシーブ面20に対向しつつ接触する一対の接触面30が形成されている。又、基体部26の厚さ方向の一端面(すなわちベルト周方向の一端面)には、ベルト幅方向に沿って伸びる(すなわち中心軸cに対して垂直に伸びる)エッジ部としてのロッキングエッジ32が形成されている。このロッキングエッジ32は、ベルト伝動時において隣接するエレメント24に対して接触しつつその隣接するエレメント24間で相互に作用する押付力を受ける箇所として設けられている。又、ロッキングエッジ32は、図1の矢印Y部で示す伝動ベルト10の曲線状の部分においてエレメント24が隣接するエレメント24に対して相対的に揺動する際の支点として機能する。従って、ロッキングエッジ32が形成されている面は、図4に示すように、ロッキングエッジ32を境にしてベルト径方向内周側に向かって所定の角度で傾斜させられており、ベルト径方向内周側程、基体部26の厚みが薄くされている。尚、図4に示すように、傾斜させるのは所定の段差を設けた箇所までとしても良い。
ロッキングエッジ32が形成されている面と同じ側となる、ヘッド部28の厚さ方向の一端面には、ベルト幅方向中央に凸部34が形成されている。又、ヘッド部28の厚さ方向の他端面には、隣接するエレメント24の凸部34と嵌合可能な凹部36がベルト幅方向中央に形成されている。ヘッド部28の幅方向両側には、凸部34及び凹部36が形成されたベルト幅方向中央から外側両方向にそれぞれ伸びる押付部38が形成されている。この押付部38は、ベルト伝動時において隣接するエレメント24に対して接触しつつその隣接するエレメント24間で相互に作用する押付力を受ける部材(箇所)として設けられている。すなわち、図4に示すように、押付部38は、図1の矢印X部で示す伝動ベルト10の直線状の部分においてエレメント24間で相互に作用する押付力を受ける面である第1押付面38a及び第2押付面38bを、ヘッド部28の厚さ方向の一端面及び他端面にそれぞれ有している。
エレメント24は、上述のように、基体部26と連結部27とヘッド部28とを備えることで、基体部26の外周面(上面)とヘッド部28の内周面(下面)との間には、一対の環状リング22をそれぞれ収容する為の一対のリング収容凹部40が形成されている。
図5は、図1の矢印X部におけるエレメント24の状態を示す図である。図6は、図1の矢印Y部におけるエレメント24の状態を示す図である。矢印X部では、伝動ベルト10が略直線状となる部分であり、図5に示すように、エレメント24が進行方向(環状リング22)に対して略垂直となる。この状態では、図5に示すように、互いに隣接するエレメント24の第1押付面38aと第2押付面38bとが接触し、又、ロッキングエッジ32が隣接するエレメント24と接触して、動力が伝達される。一方で、矢印Y部では、エレメント24の接触面30がシーブ面20に狭圧され、伝動ベルト10が曲線状となる部分である。この状態では、図6に示すように、ロッキングエッジ32を支点としてエレメント24が揺動させられており、ロッキングエッジ32が隣接するエレメント24と接触して動力が伝達される。
ところで、ベルト式無段変速機において、伝動ベルト10がプーリに巻き掛けられる際に及びプーリから排出される際にプーリを振動させ、その振動が放射音となって車内に聞こえる可能性がある。その為、このような放射音の発生を抑制することが望まれる。本実施例は、上述したプーリの振動の発生を抑制することができるエレメント24の形状を提案するものである。
ここで、本実施例では、エレメント24の形状に関して、以下に示すことを見出した。ヘッド部28の板厚と基体部26の板厚とが略同じ厚みであると、図7に示すように、駆動側プーリ14の出口と従動側プーリ16の入口との間の直線部(弦部)Wにおいて、伝動ベルト10が破線T1で示すような略直線状となる。一方で、ヘッド部28の板厚が基体部26の板厚よりも厚いと、図7に示すように、弦部Wにおいて、伝動ベルト10が実線T2で示すような円弧状にベルト径方向外周側に膨らむように張られる。このように伝動ベルト10が円弧状に外周側に膨らむ場合、伝動ベルト10が略直線状となる場合と比較して、従動側プーリ16の入口においてエレメント24がヘッド部28側から進入する形となって、エレメント24が従動側プーリ16にスムーズに噛み込まれる。又、エレメント24がヘッド部28側から進入する形となるので、全体が挟まれる形となるよりも、従動側プーリ16に挟まれた瞬間の見かけ上のエレメント24の剛性が低下する。従って、ヘッド部28の板厚が基体部26の板厚よりも厚いと、プーリの振動の発生が抑制され易くされる。
又、基体部26の幅方向中央の板厚が基体部26の幅方向中央から外側の板厚よりも薄いと、幅方向の板厚が略均一である場合と比較して、エレメント24の剛性が低下し、プーリに挟まれている際のエレメント24が変形し易くなる。従って、基体部26の幅方向中央の板厚が幅方向外側の板厚よりも薄いと、プーリの振動に対してエレメント24が変形してその振動が抑制され易くされる。この場合、プーリに挟まれている際にエレメント24が変形することを勘案すると、隣接するエレメント24と接触するロッキングエッジ32において、変形時に、幅方向中央部分が、隣接するエレメント24と接触しない程度に薄くされることが望ましい。
ヘッド部28の板厚と基体部26の板厚との板厚差を規定することは、プーリの振動に対して、弦部Wにおける伝動ベルト10の挙動(換言すれば、エレメント24がプーリに噛み込みときの角度)を適切にするものである。又、基体部26の幅方向における板厚差を規定することは、プーリの振動に対して、エレメント24の剛性を適切にするものである。本実施例のエレメント24は、以上示した知見に基づいて形成されている。すなわち、基体部26におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、そのベルト幅方向中央とは別の他位置(つまりベルト幅方向中央から外側)の最大板厚より小さい厚みに形成されている。加えて、ヘッド部28の最大板厚は、基体部26の最大板厚より大きい厚みに形成されている。
図3,4に示すように、ヘッド部28の幅方向両側に各々形成された押付部38の一方の最大板厚をA、その押付部38の他方の最大板厚をB、エッジ部32におけるベルト幅方向中央を挟む外側両位置の一方の最大板厚をC、その外側両位置の他方の最大板厚をD、エッジ部32におけるベルト幅方向中央の最大板厚をEとする。このとき、基体部26におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、エッジ部32におけるベルト幅方向中央の最大板厚Eである。又、基体部26におけるベルト幅方向中央とは別の他位置の最大板厚、及び基体部26の最大板厚は、エッジ部32におけるベルト幅方向中央を挟む外側両位置の各最大板厚C,Dの平均値(=(C+D)/2)である。又、ヘッド部28の最大板厚は、押付部38の各最大板厚A,Bの平均値(=(A+B)/2)である。従って、エレメント24は、値(A+B)/2が値(C+D)/2より大きくなるように、且つ値Eが値(C+D)/2より小さくなるように、形成されている。尚、ベルト幅方向中央とは、例えば中心軸cを中心としたベルト幅方向に所定の長さの範囲である。この所定の長さは、例えば凸部34のベルト幅方向における長さ程度、或いは連結部27のベルト幅方向における長さ程度である。或いは、この所定の長さは、例えばベルト式無段変速機や伝動ベルト10の機種毎に、プーリの振動の発生を抑制するという観点で、適宜設定される設計値である。
エレメント24が上述したように形成されておれば、プーリの振動を抑制する効果は得られる。特には、種々の解析の結果、次式(1)及び次式(2)を満足するエレメント24であれば、明確に効果が確認できる。例えば、次式(1)における数値5[μm]は、弦部Wにおいて伝動ベルト10が円弧状に適切に膨らむことが期待できる下限の値である。又、次式(2)における数値10[μm]は、プーリに挟まれているときのエレメント24において、ロッキングエッジ32の中央部分が隣接するエレメント24と変形時に接触しないことが期待できる下限の値である。
(A+B)/2−(C+D)/2 > 5[μm] ・・・(1)
(C+D)/2−E > 10[μm] ・・・(2)
上述のように形成されるエレメント24の効果の検証結果を以下に示す。本実施例のエレメント24は、値[(A+B)/2−(C+D)/2]の狙い値を5[μm]とし、且つ値[(C+D)/2−E]の狙い値を10[μm]としたものである。比較した参考例のエレメントは、値[(A+B)/2−(C+D)/2]及び値[(C+D)/2−E]の狙い値を共に0[μm]としたものである。図8は、プーリの振動の発生を抑制する効果を確認する為の動的解析(シミュレーション)の結果である。又、図9は、プーリの振動に伴って発生する放射音の測定結果である。
図8において、周波数は、伝動ベルト10の回転速度とエレメント24の枚数とで規定されるものであって、ベルト噛み込み1次の周波数は、1秒当たりのエレメント24のプーリへの噛み込み数に相当している。又、プライマリプーリ加速度は、固定プーリ14aに取り付けた加速度センサの値を模擬したものであって、プライマリプーリ14の開き方向(駆動側回転軸18の軸心と平行な方向)の加速度値であり、プーリの振動の大きさを表している。本実施例のエレメント24では、参考例のエレメントと比べて、ベルト噛み込み1次付近での加速度が低下させられている。すなわち、本実施例のエレメント24では、プーリの振動の発生が抑制されている。尚、ここでは、ベルト噛み込みで見ているが、ベルト排出で見ても同じであることは言うまでもないことである。
図9において、騒音レベルは、ベルト式無段変速機のユニット周辺の音の強さである。本実施例と参考例とのそれぞれの騒音レベルは、例えば本実施例と参考例とでそれぞれ、同じ狙い値にて加工したエレメントで組んだ伝動ベルトを複数用意して、それら各伝動ベルトを用いたときの音の強さをマイクロフォンで検出して測定したときの結果を平均した値である。本実施例と参考例とは共に、騒音レベルが比較的高くなるベルトノイズ発生領域は概ね同じ領域となっている。本実施例のエレメント24では、参考例のエレメントと比べて、ベルトノイズ発生領域以外の領域はもちろんのこと、ベルトノイズ発生領域でも騒音レベルが低くされている。
上述のように、本実施例によれば、ベルト幅方向にてエレメント24中央の板厚を小さくすることで、エレメント24の剛性が低下させられるので、プーリに噛み込んでいるときにエレメント24が変形し易くされる。又、ベルト径方向にてエレメント24外周側の板厚を大きくすることで、一対のプーリ間に掛け渡された伝動ベルト10において直線部(弦部)がベルト径方向外周側に膨らむ形とされるので、エレメント24がプーリに噛み込みときの角度が改善されてスムーズにプーリに噛み込まされる。よって、エレメント24の噛み込みに伴うプーリの振動の発生を抑制することができる。これにより、プーリの振動に伴って発生する放射音も抑制される。
また、本実施例によれば、エレメント24は、値(A+B)/2が値(C+D)/2より大きくなるように、且つ値Eが値(C+D)/2より小さくなるように、形成されているので、エレメント24の剛性が適切に低下させられて、プーリに噛み込んでいるときにエレメント24が確実に変形し易くされる。又、伝動ベルト10において弦部がベルト径方向外周側に適切に膨らむ形とされて、エレメント24が確実にスムーズにプーリに噛み込まされる。
また、本実施例によれば、エレメント24は、前記式(1)及び前記式(2)を満足するものであるので、前記式(1)を満足することにより、伝動ベルト10の挙動が一層適切なものとされる。又、前記式(2)を満足することにより、エレメント24の剛性が一層適切なものとされる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、値[(A+B)/2−(C+D)/2]、及び値[(C+D)/2−E]として、明確に効果が確認できる下限の値を定めたが、これに限らない。例えば、値[(A+B)/2−(C+D)/2]、或いは値[(C+D)/2−E]を大きくする際の背反事項が存在する場合には、上限の値も定めることが望ましい。具体的には、値[(A+B)/2−(C+D)/2]を大きくし過ぎることで、伝動ベルト10における動力伝達効率が低下してしまう恐れがある。このような場合、値[(A+B)/2−(C+D)/2]は動力伝達効率の低下を考慮して上限の値を定める。本実施例のエレメント24では、例えば値[(A+B)/2−(C+D)/2]の上限の値として、20〜40[μm]が好適である。又、値[(C+D)/2−E]を大きくすることは、例えばプレス加工時に板厚を薄くする中央部分の肉部をどこかに逃がすことを考慮しなければならない。その為、値[(C+D)/2−E]は、加工上の制限を考慮して上限の値を定める。本実施例のエレメント24では、例えば値[(C+D)/2−E]の上限の値として、30〜50[μm]が好適である。尚、下限の値や上限の値で定められる値の範囲は、エレメント24の加工時の狙い値として取り得る値を定めるものである。
また、前述の実施例では、ヘッド部28の板厚を基体部26の板厚よりも厚くすることで弦部Wにおいて伝動ベルト10がベルト径方向外周側に膨らむので、エレメント24が従動側プーリ16にスムーズに噛み込まれることを示した。これに加えて、伝動ベルト10がベルト径方向外周側に膨らむと、駆動側プーリ14の出口においてエレメント24のベルト径方向内周側への食い込みが抑制される。これによっても、プーリの振動の発生が抑制され易くされるという効果が得られる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
22:環状リング
24:エレメント(無段変速機のベルトエレメント)
26:基体部
27:連結部
28:ヘッド部
32:ロッキングエッジ(エッジ部)
38:押付部

Claims (3)

  1. 無端環状の環状リングに支持されると共に、該環状リングに沿って厚さ方向に環状に連ねられる板状の金属から成る無段変速機のベルトエレメントであって、
    前記ベルトエレメントは、台形状の基体部と、ベルト幅方向中央に該基体部と一体的に形成された連結部を介して該基体部のベルト径方向外周側に該連結部と一体的に形成された三角形状のヘッド部とを備えるものであり、
    前記基体部におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、該ベルト幅方向中央とは別の他位置の最大板厚より小さい厚みに形成され、且つ前記ヘッド部の最大板厚は、前記基体部の最大板厚より大きい厚みに形成されていることを特徴とする無段変速機のベルトエレメント。
  2. 前記基体部は、ベルト幅方向に沿って伸びるように形成され且つ前記ベルトエレメントが揺動する際の支点として機能するエッジ部を備えるものであり、
    前記ヘッド部は、ベルト幅方向中央から外側両方向にそれぞれ伸びるように各々形成され且つ隣接する前記ベルトエレメント間で相互に作用する押付力を受ける部材である押付部を備えるものであり、
    前記基体部におけるベルト幅方向中央の最大板厚は、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央の最大板厚であり、
    前記基体部における前記他位置の最大板厚及び前記基体部の最大板厚は、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央を挟む外側両位置の各最大板厚の平均値であり、
    前記ヘッド部の最大板厚は、前記各々形成された前記押付部の各最大板厚の平均値であることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機のベルトエレメント。
  3. 前記押付部の一方の最大板厚をA、該押付部の他方の最大板厚をB、前記エッジ部における外側両位置の一方の最大板厚をC、該外側両位置の他方の最大板厚をD、前記エッジ部におけるベルト幅方向中央の最大板厚をEとするとき、
    前記ベルトエレメントは、次式(1)及び次式(2)を満足するものであることを特徴とする請求項2に記載の無段変速機のベルトエレメント。
    (A+B)/2−(C+D)/2 > 5[μm] ・・・(1)
    (C+D)/2−E > 10[μm] ・・・(2)
JP2013109180A 2013-05-23 2013-05-23 無段変速機のベルトエレメント Pending JP2014228084A (ja)

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