JP2014227589A - 金属鉄の製造方法 - Google Patents

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Takeshi Sugiyama
健 杉山
原田 孝夫
Takao Harada
孝夫 原田
純一 椎野
Junichi Shiino
純一 椎野
飯島 勝之
Katsuyuki Iijima
勝之 飯島
高憲 岡
Takanori Oka
高憲 岡
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【課題】脈石成分の多い酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む塊成物を、移動炉床式加熱炉で加熱して金属鉄を製造するにあたり、上記塊成物を加熱して得られる金属鉄とスラグを含む還元処理物から金属鉄を効率良く回収できる金属鉄の製造方法を提供する。【解決手段】酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化する工程と、得られた塊成物を移動炉床式加熱炉101に装入し、加熱還元する工程と、前記移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に衝撃を加える破砕機102を用いて破砕する工程と、得られた破砕物を目開きが3〜5mmの篩a103を用いて篩分けを行う工程と、前記篩a上を金属鉄104として回収する工程と、を含む金属鉄の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化した塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱し、金属鉄を製造する方法に関するものである。
鉄鉱石等の酸化鉄含有物質から金属鉄を製造する方法は、酸化鉄含有物質中の脈石成分を分離する方法によっていくつかの種類に分類される。
金属鉄を最も多量に生産できる方法は、高炉を用いた一貫製鉄法である。この方法は、脈石成分の少ない高品位の鉄鉱石を用いるか、または選鉱により鉄品位を向上させた鉄鉱石から成る酸化鉄含有物質を用い、これらを高炉内で加熱し、還元溶融し、溶融状態で脈石成分と銑鉄(炭素飽和鉄)に分離して金属鉄を製造する。
次に、多量の金属鉄を生産できる方法は、天然ガスを利用したガスDR法である。この方法は、非常に高品位な鉄鉱石を焼き固めたペレットを、天然ガスを用いて還元して還元ペレットとし、これを電気炉へ装入し、溶解・製錬して脈石成分を完全に分離した鋼(低炭素鉄)を製造するものである。
近年開発された金属鉄の製造方法として、鉄鉱石等の酸化鉄含有物質と、炭材等の炭素質還元剤を混合した塊成物を、1300℃以上の高温で加熱して還元塊成物を製造するFASTMET法と、還元塊成物を更に加熱して溶融し、金属鉄ナゲット(粒状金属鉄)を製造するITmk3法がある。
FASTMET法では、得られた還元塊成物を電気炉で溶解製錬することによって鋼から脈石成分を完全に分離できる。この方法では、還元された塊成物中の全ての脈石成分が電気炉へ持ち込まれる点で、上述したガスDR法と類似しているが、炭素質還元剤中の脈石成分が還元塊成物内に存在している点で相違している。ガスDR法およびFASTMET法において、多量の脈石成分が電気炉へ持ち込まれると、電気炉における溶解熱が増大するため、原料としては、脈石成分が少ないものを用いることが要求されている。
一方、ITmk3法では、加熱炉内の炉床上で金属鉄とスラグに分離されるため、製鋼工程へスラグを殆んど持ち込まない点に特色があり、上述した高炉法に類似している。ところが、高炉法およびITmk3法では、高温加熱されるため、原料中の脈石成分が多いとエネルギーが増大する。そのため原料としては、脈石成分が少ないものを用いることが要求されている。
このように、FASTMET法でも、ITmk3法でも、原料中に含まれる脈石成分はできるだけ少ないことが求められている。例えば、脈石成分(SiO2とAl23の合計量)が9%の鉄鉱石と、灰分が10%の石炭を含む塊成物を加熱還元して得られた還元物は、スラグ(SiO2+Al23)を15%含有するため、電気炉にも高炉にも鉄原料として使用することは困難となる。
酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を混合した塊成物を加熱して金属鉄を製造する技術としては、特許文献1〜3が知られている。
これらのうち特許文献1には、酸化鉄原料と石炭とを含有する混合物を高温雰囲気下で加熱還元処理し、得られた還元鉄を粉砕処理し、次いで、所定の粒径を境に粒度選別することが記載されている。具体的には、粒度選別機にて平均粒径100μmを超える粒子と平均粒径100μm以下の粒子に分離・選別している。そして平均粒径100μm以下の粒子を、磁力により、鉄分を多く含む強磁着物粒子と鉄分の少ない弱磁着物粒子とに分離し、粒度選別された上記所定粒径を超える還元鉄粒子と上記強磁着物粒子とを還元鉄として用いている。一方、弱磁着物粒子には、鉄分は少なく、スラグ分を多く含むため、そのままセメントやアスファルトと混合して再利用されている。
特許文献2には、複数種のダストおよび炭材で構成される含炭ペレットを製造し、これを回転炉床方式の焼成炉で1250〜1350℃の温度で還元処理することにより、ペレット内部のダストは炭材で還元され、粒内物質移動によって凝集した金属鉄粒子が、ダストの脈石から生成したFeOを含む低融点のスラグ部分から、自然に分離する作用を利用してメタリック鉄粒子を抽出し高品位粒状還元鉄を製造する製鉄ダストからの高品位還元鉄の製造方法が記載されている。
特許文献3には、鉄鉱石および炭材で構成される含炭ペレットを製造し、これを回転炉床方式の焼成炉で1250〜1350℃の温度で還元した後に、さらに炉内温度を1400〜1500℃に上昇させて溶融し、金属鉄を凝集させることで高純度の粒状金属鉄を得る方法が記載されている。
特開2002−363624号公報 特開平10−147806号公報 特開2002−30319号公報
上記特許文献1に記載されている実施例では、加熱温度を1200〜1300℃として還元ペレットを製造することを目指しており、加熱炉の炉床上で、金属鉄とスラグに分離することは考慮されていない。また、粉砕にはロールプレスを使用しているが、その使用条件は開示されておらず、ロールプレス以外の粉砕方法には言及されていない。さらに、実施例によると、粒径が100μm以上の純度の良い鉄であっても、鉄純度は76〜90%に留まっており、この程度の純度の金属鉄は、製鋼原料として使用することは困難である。このように鉄純度が76〜90%に留まる原因は、加熱温度と粉砕方法が適切でないからと考えられる。
上記特許文献2には、回転炉床方式の焼成炉で得られた還元鉄からスクリーンを用いて篩分けし、直径5mm以上の還元鉄を製品として回収することが記載されている。この技術は、炉床上で溶鉄と溶融スラグを製造するものであり、ITmk3法に属している。しかしこの文献では、還元炉から排出された加熱還元物から、篩と磁選機を用いて金属鉄製品を回収しており、破砕プロセスについては記載されていない。
上記特許文献3には、還元鉄を完全に溶融させることによって還元鉄とスラグに分離する方法が開示されている。しかしこの文献には、炉内で生成した粒状金属鉄と副生スラグを、磁選機と篩を用いて分離することしか記載されておらず、破砕プロセスについては記載されていない。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む塊成物を、移動炉床式加熱炉で加熱して金属鉄を製造するにあたり、上記塊成物を加熱して得られる金属鉄とスラグを含む還元処理物から金属鉄を効率良く回収できる金属鉄の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る金属鉄の製造方法とは、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化する工程と、得られた塊成物を移動炉床式加熱炉に装入し、加熱還元する工程と、前記移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する工程と、得られた破砕物を目開きが3〜5mmの篩aを用いて篩分けを行う工程と、前記篩a上を金属鉄として回収する工程と、を含む点に要旨を有している。
前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程を更に含み、得られた篩c上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。
前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程と、得られた篩c下を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程を更に含み、篩c下で、且つ篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。また、前記篩c下で、且つ篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。
前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程を更に含み、篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。また、前記篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。
前記破砕機としては、ハンマーミルまたはケージミルを用い、該ハンマーミルまたはケージミルに備えられており、前記還元処理物に衝撃を加える破砕手段の刃先速度は30〜60m/秒とすることが好ましい。前記破砕機としては、ハンマーの回転軸が、水平方向に対して傾斜しているハンマーミルを用いることが好ましい。前記還元処理物の破砕時間は、3〜10秒とすることが好ましい。前記刃先速度、前記破砕機に備えられている篩の目開き、前記破砕機における破砕時間に基づいて算出される破砕指数が800〜2000となるように破砕することが好ましい。
本発明に係る金属鉄の製造方法は、前記篩aを用いて篩分けして得られた篩a下を磁選機で選別して磁着物aを得る工程と、得られた磁着物aに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程と、得られた粉砕物を更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程と、を更に含んでもよい。
前記篩bを用いて篩分けして得られた篩b下を磁選機で選別して磁着物bを得る工程と、得られた磁着物bに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程と、得られた粉砕物を更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程と、を更に含んでもよい。前記粉砕機としては、例えば、ハンマーミルまたはケージミルを用いることが好ましい。
前記粉砕機としては、ボールミルまたはロッドミルを用い、該ボールミルまたはロッドミルに供給する前記磁着物の質量は、前記ボールミル内のボールの質量または前記ロッドミル内のロッドの質量に対して5〜25%とすることが好ましい。
前記磁着物aおよび/または前記磁着物bの粉砕時間は、10分間以下(0分間を含まない)とすることが好ましく、より好ましくは2〜7分間である。
前記粉砕機としては、その内部へ気体を線速20m/秒以上で送風できる機構を有しているものを用いてもよい。
本発明によれば、移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に対して、衝撃を加えて破砕しているため、金属鉄とスラグを効率よく分離できる。また、上記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を、篩を用いて分級しているため、還元処理物を効率よく破砕できる。また、還元処理物に衝撃を加えて破砕するときの条件を適切に制御しているため、還元処理物の破砕効率を高められる。これらの結果、本発明によれば、破砕物を目開きが3〜5mmの篩を用いて篩分けすることによって、金属鉄を効率よく回収できる。
図1は、本発明に係る金属鉄の製造方法を説明するための工程図である。 図2は、本発明で用いるハンマーミルの構成を説明するための模式図である。 図3は、本発明に係る金属鉄の他の製造方法を説明するための工程図である。 図4は、本発明に係る金属鉄の他の製造方法を説明するための工程図である。 図5は、ハンマーミルで破砕して得られた粉体の粒度分布(積算粒度)を示すグラフである。 図6は、粉砕時間と非磁着物率との関係を示すグラフである。 図7は、粉砕時間と非磁着物率との関係を示すグラフである。 図8は、粉砕時間と非磁着物率との関係を示すグラフである。 図9は、金属鉄の他の製造工程を示す模式図である。
本発明者らは、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化して得られた塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱して金属鉄を製造するにあたり、金属鉄の回収効率を高めて金属鉄の生産性を向上させるために、鋭意検討を重ねてきた。その結果、
(1)移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に対して、衝撃を加えて破砕すれば、金属鉄とスラグが良好に分離するため、金属鉄の回収効率が高くなること、
(2)上記排出物を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加えて破砕すれば、スラグを非磁着物として予め分離できるため、金属鉄の回収効率が更に高くなること、
(3)上記還元処理物を破砕するに先立って、所定の目開きの篩を用いて分級すれば、還元処理物を効率よく破砕できるため、金属鉄の回収効率が高くなること、
(4)上記還元処理物に衝撃を加えて破砕するときの条件を適切に制御すれば、還元処理物の破砕効率を高められるため、金属鉄の回収効率が高くなること、
が明らかとなり、本発明を完成した。
以下、本発明を完成するに至った経緯について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
本発明者らは、鉄鉱石のなかでも脈石成分が多い低品位な鉄鉱石を準備し、この鉄鉱石と炭素質還元剤を含む塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱した。そして加熱して得られた還元ペレットを各種粉砕法により微粉砕し、磁選機を用いて磁選して磁着物を回収した。しかし磁着物のスラグ率[(SiO2+Al23)/T.Fe×100・・・(1)]は17%程度となり、鉄品位の向上は困難であった。
脈石成分が多い低品位な鉄鉱石を用いると、移動炉床式加熱炉の炉床上で1300〜1350℃程度の温度で加熱しても、加熱時間が11分間以下の短時間では全ての塊成物を溶融させて金属鉄とスラグに分離することは困難である。従って加熱後には、粒状金属鉄、溶融スラグ、中空の還元ペレット、球状の還元ペレットなどが混合している状態になることが明らかになった。この原因は、1300℃以上の高温で加熱すると、ペレット間およびペレット内への伝熱による熱供給に比べて、輻射熱による熱供給が格段に大きくなるが、受熱する輻射熱量が小さい部分の温度上昇が非常に遅れる。即ち、1個のペレットを見たときに、そのペレットの下部や、複数個のペレットが縦方向に重なっている場合には、他のペレットの下部にあるペレットは温度上昇が遅れる。この結果、加熱時間が11分間以下の短時間では、溶融する部分と還元鉄のまま存在する部分が、混在することとなる。特に、還元状態のバラツキはペレット中の脈石量が増加するほど著しくなり、金属鉄とスラグの固着が顕著になる。
一方、加熱時間を長くすると、伝熱量が増加するため、上述した還元状態のバラツキは少なくなるが、生産効率が低下する。従って還元が終了したら、できるだけ速やかに炉内から排出することが望まれる。
そこで本発明者らは、塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱した後、加熱炉から排出される還元処理物が、粒状金属鉄、溶融スラグ、中空の還元ペレット、球状の還元ペレットなどが混在したものであっても、衝撃を加える破砕および篩分けを組み合わせることによって、金属鉄を効率良く回収できることを明らかにした。
なお、脈石量の多い低品位な鉄鉱石(酸化鉄含有物質)を用いた場合を中心に説明したが、本発明は、脈石量の多い低品位な鉄鉱石を用いることに限定されるものではなく、脈石量の少ない高品位な鉄鉱石(酸化鉄含有物質)を用いた場合であっても適用できることを確認している。
以下、本発明について説明する。
本発明に係る金属鉄の製造方法は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化する工程(以下、塊成化工程ということがある)と、得られた塊成物を移動炉床式加熱炉に装入し、加熱還元する工程(以下、加熱還元工程ということがある)と、前記移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する工程(以下、破砕工程ということがある)と、得られた破砕物を目開きが3〜5mmの篩aを用いて篩分けを行う工程(以下、篩分け工程aということがある)と、前記篩a上を金属鉄として回収する工程(以下、金属鉄回収工程aということがある)と、を含むところに特徴がある。これらの工程は必要条件であるが、篩、粉砕、磁選等の各工程を適宜組み合わせ付加することを妨げない。以下、本発明に係る金属鉄の製造方法について図1を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る金属鉄の製造方法を説明するための工程図であり、101は移動炉床式加熱炉の一例である回転炉床炉の外観図を示しており、102は破砕機、103は目開きが3〜5mmの篩a、104は金属鉄を示している。なお、図1は、本発明に係る金属鉄の製造方法の一例を示しており、本発明はこの図1に限定されるものではない。
(塊成化工程)
塊成化工程では、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化し、塊成物を製造する。
上記酸化鉄含有物質としては、具体的には、鉄鉱石、砂鉄、製鉄ダスト、非鉄精錬残渣、製鉄廃棄物などを用いることができる。ここで、酸化鉄含有物質の代表例として鉄鉱石を取上げて説明する。鉄鉱石には、脈石が含まれている。脈石とは、鉱山で採掘された鉄鉱石(粗鉱)を構成している成分のうち、有用金属を含む鉱物以外の成分であり、通常、SiO2やAl23などの酸化物で構成されている。鉄鉱石に含まれる脈石量は、鉄鉱石が採掘される産地によって異なり、脈石量の少ない鉄鉱石は高品位鉄鉱石と呼ばれ、脈石量の多い鉄鉱石は低品位鉄鉱石と呼ばれる。
本発明では、上記酸化鉄含有物質として、脈石量の少ない高品位鉄鉱石を用いることができるほか、従来では通常用いることのなかった脈石量の多い低品位鉄鉱石を用いることができる。原料として低品位鉄鉱石を用いると、還元後塊成物中のスラグ量が増加し、次工程の溶解精錬コストが増大したり、粒鉄製造条件では溶融スラグが増加するため、塊成物への伝熱が阻害され、金属鉄の生産性が低下する。従って従来では、鉄原料として殆ど用いられていなかった。しかし低品位鉄鉱石は、安価であるため、工業的には利用することが望まれている。特に、鉄鋼の生産量は世界的に増大している一方で、高品位鉄鉱石の採掘量は減少の傾向にあるため、高品位鉄鉱石の価格上昇が予測されるからである。一方、本発明では、後述するように、塊成物を加熱還元した後、衝撃を加える破砕機を用いて破砕してから目開きが3〜5mmの篩aを用いて金属鉄を回収しているため、原料として脈石量の多い低品位鉄鉱石を用いても、金属鉄を効率よく回収できる。
上記低品位な酸化鉄含有物質とは、本明細書では、全鉄(T.Fe)の質量に対するSiO2とAl23との合計質量の割合[スラグ率=(SiO2+Al23)/T.Fe×100]が10%以上のものを意味している。SiO2とAl23は、酸化鉄含有物質(例えば、鉄鉱石)に含まれる種々の脈石のうち、含有率が相対的に高い物質であり、本明細書では、これらを脈石の代表物質としている。そして、全鉄の質量に対するSiO2とAl23との合計質量の割合をスラグ率と定義し、スラグ率が5%以下のものを高品位な酸化鉄含有物質、スラグ率が5%超、10%未満のものを中品位な酸化鉄含有物質、スラグ率が10%以上のものを低品位な酸化鉄含有物質としている。なお、砂鉄など酸化チタンを多く含有する場合は、スラグ率の算出においてSiO2、Al23に酸化チタンも加える。本発明によると、上記スラグ率は、10%以上であってもよいが、10%以下であっても良い。
上記炭素質還元剤としては、例えば、石炭やコークスなどを用いることができる。上記炭素質還元剤は、上記酸化鉄含有物質に含まれる酸化鉄を還元できる量の炭素を含有していればよい。具体的には、上記酸化鉄含有物質に含まれる酸化鉄を還元できる炭素量に対して、0〜5質量%の余剰または0〜5質量%の不足の範囲(即ち、±5質量%)で含有していればよい。
上記酸化鉄含有物質および炭素質還元剤を含む上記混合物には、更に融点調整剤を配合することが好ましい。上記融点調整剤とは、酸化鉄の融点に影響する物質は除くこととし、塊成物に含まれる酸化鉄以外の成分(特に、脈石)の融点に影響する物質を意味する。即ち、上記混合物として融点調整剤を配合することによって、塊成物に含まれる酸化鉄以外の成分(特に、脈石)の融点に影響を与え、例えばその融点を降下させることができる。それにより酸化鉄以外の成分(特に、脈石)は、溶融が促進され、溶融スラグを形成する。このとき溶融スラグに酸化鉄の一部が溶解し、溶融スラグ中で還元されて金属鉄となる。溶融スラグ中で生成した金属鉄は、固体のまま還元された金属鉄と接触することにより、固体の還元鉄として凝集する。
上記融点調整剤としては、CaO供給物質を含むものを用いることが好ましい。上記CaO供給物質としては、例えば、CaO(生石灰)、Ca(OH)2(消石灰)、CaCO3(石灰石)、およびCaMg(CO32(ドロマイト)よりなる群から選ばれる少なくとも一つを配合することが好ましい。
上記融点調整剤としては、上記CaO供給物質のみを用いても良いし、上記CaO供給物質に加えて、例えば、MgO供給物質、Al23供給物質、SiO2供給物質などを用いることができる。MgO、Al23、およびSiO2も、上記CaO同様、塊成物に含まれる酸化鉄以外の成分(特に、脈石)の融点に影響する物質である。上記MgO供給物質としては、例えば、MgO粉末、天然鉱石や海水などから抽出されるMg含有物質、MgCO3よりなる群から選ばれる少なくとも一つを配合することが好ましい。上記Al23供給物質としては、例えば、Al23粉末、ボーキサイト、ベーマイト、ギブサイト、ダイアスポアなどを配合することが好ましい。上記SiO2供給物質としては、例えば、SiO2粉末や珪砂などを用いることができる。
上記塊成物は、酸化鉄含有物質、炭素質還元剤、および融点調整剤以外の成分として、バインダーなどが更に配合されていてもよい。上記バインダーとしては、例えば、多糖類など(例えば、コーンスターチや小麦粉等の澱粉など)を用いることができる。
上記酸化鉄含有物質、炭素質還元剤、および融点調整剤は、混合する前に予め粉砕しておくことが好ましい。例えば、上記酸化鉄含有物質は平均粒径が10〜60μm、上記炭素質還元剤は平均粒径が10〜60μm、上記融点調整剤は平均粒径が5〜90μmとなるように粉砕することが推奨される。
上記酸化鉄含有物質等を粉砕する手段は特に限定されず、公知の手段を採用できる。例えば、振動ミル、ロールクラッシャ、ボールミルなどを用いればよい。
上記混合物を混合する混合機としては、例えば、回転容器形混合機や固定容器形混合機を用いることができる。上記回転容器形混合機としては、例えば、回転円筒形、二重円錐形、V形などの混合機を用いることができる。上記固定容器形混合機としては、例えば、混合槽内に回転羽(例えば、鋤など)を設けた混合機を用いることができる。
上記混合物を塊成化する塊成機としては、例えば、皿形造粒機(ディスク形造粒機)、円筒形造粒機(ドラム形造粒機)、双ロール型ブリケット成型機などを用いることができる。上記塊成物の形状は特に限定されず、例えば、塊状、粒状、ブリケット状、ペレット状、棒状などであればよく、好ましくはペレット状やブリケット状であればよい。
(加熱還元工程)
加熱還元工程では、上記塊成化工程で得られた塊成物を図1に示す移動炉床式加熱炉101に装入し、加熱して該塊成物中の酸化鉄を還元することによって、金属鉄およびスラグを含む還元処理物を製造する。
上記移動炉床式加熱炉とは、炉床がベルトコンベアのように炉内を移動する加熱炉であり、例えば、回転炉床炉やトンネル炉が挙げられる。上記回転炉床炉は、炉床の始点と終点が同じ位置になるように、炉床の外観形状が円形(ドーナツ状)に設計されており、炉床上に供給された塊成物は、炉内を一周する間に加熱還元されて還元塊成物や金属鉄とスラグの混合物を生成する。従って、回転炉床炉には、回転方向の最上流側に塊成物を炉内に供給する装入手段が設けられ、回転方向の最下流側(回転構造であるため、実際には装入手段の直上流側になる)に排出手段が設けられる。上記トンネル炉とは、炉床が直線方向に炉内を移動する加熱炉である。
上記塊成物は、上記移動炉床式加熱炉内で、1300〜1500℃で加熱して加熱還元することが好ましい。加熱温度が1300℃を下回ると、金属鉄やスラグが溶融しにくく、高い生産性が得られない。一方、加熱温度が1500℃を超えると、排ガス温度が高くなって廃熱量が多くなるためエネルギーの無駄であるし、炉の損傷が発生する。
上記移動炉床式加熱炉の炉床上には、上記塊成物を炉内に装入するに先立って、床敷材を敷くことも好ましい態様である。床敷材を敷くことによって炉床を保護できる。上記床敷材としては、上記炭素質還元剤として例示したものの他、耐火性粒子を用いることができる。上記床敷材の粒径は、塊成物やその溶融物が潜り込まないように、3mm以下であることが好ましい。粒径の下限については、バーナーの燃焼ガスによって吹き飛ばされないように0.5mm以上であることが好ましい。
(破砕工程)
破砕工程では、上記加熱還元工程で得られる還元処理物に衝撃を加える破砕機102を用いて破砕する(図1参照)。即ち、炭素質還元剤内装塊成物を加熱炉で1300〜1500℃で加熱して排出される還元処理物には、種々の粒子径の金属鉄、スラグ、並びにこれらが互いに固着したものが含まれており、更には金属鉄と脈石成分が混合している還元ペレットや炉床保護材等も含まれている。このような還元処理物を篩い分けしたり、磁選分離しても、電気炉へ供給できる程度の高い品位の金属鉄を効率よく製造することは困難である。
ところで、上記スラグは、酸化物が溶融して形成される脆性物質であるため、摩擦力には強いが、衝撃力には弱く、割れ易い特性を有している。一方、金属鉄は、衝撃力には強く、ある程度の塑性変形力を有している。
そこで本発明では、上記還元処理物に強い衝撃を加えることによって、スラグを破砕し、金属鉄と分離できる。
上記衝撃を加える破砕機としては、一方向から衝撃を加える破砕機を用いることが好ましく、例えば、ハンマーミルまたはケージミルなどを用いることができる。即ち、ローラーミルのように、還元処理物に対して主に押さえ込む力を付与する装置は除かれる。
上記破砕機で上記還元処理物を破砕する際には、上記ハンマーミルまたはケージミルに備えられており、該還元処理物に衝撃を加える破砕手段の刃先速度を30〜60m/秒とすることが好ましい。上記破砕手段とは、ハンマーミルに設けられているハンマーや、ケージミルに備えられている衝突バーを意味する。上記破砕手段の刃先速度が30m/秒未満では、還元処理物の破砕が不充分となり、破砕後においてもスラグが付着した金属鉄が多数残るため、金属鉄に含まれるスラグ量が多くなる。従って破砕手段の刃先速度は30m/秒以上とすることが好ましい。一方、破砕手段の刃先速度が60m/秒を超えると衝撃力が過大となり、金属鉄も例えば粒径1mm以下の微粉に破砕される。この結果、微粉の金属鉄と微粉のスラグが混在した状態になり、磁選分離しても磁着物側にスラグが混入し、金属鉄とスラグを良好に分離することが困難となる。また、粒径が3mm以上の金属鉄は、例えば、そのまま電気炉の原料として用いることができるが、粒径が1mm以下の微粉になると電気炉へ装入するときのハンドリングが煩雑になる。従って破砕手段の刃先速度は60m/秒以下とすることが好ましく、より好ましくは55m/秒以下、更に好ましくは50m/秒以下である。
上記還元処理物の破砕時間は、3〜10秒とすることが好ましい。破砕時間を長くするほど還元処理物と破砕手段との衝突回数が増加し、還元処理物に含まれる金属鉄とスラグの両方が微細化するため、上述したような不具合が生じる。従って破砕時間は10秒以下とすることが好ましく、より好ましくは8秒以下である。金属鉄の生産性を高める観点から、破砕時間は可能な限り短い方が好ましいが、スラグを破砕するためには下限は3秒程度である。より好ましくは5秒以上である。
上記破砕機としてはハンマーの回転軸が、水平方向に対して傾斜しているハンマーミルを用いることが好ましい。ハンマーの回転軸を水平方向に対して傾斜させることによって、破砕機内の破砕物を、連続的に破砕機の外へ排出できる。即ち、既存のハンマーミルは、ハンマーミルに装入された被破砕物の全量を一定粒径以下に破砕することを目的に設計されている。また、ハンマーミルには、通常、スクリーンが設けられている。そして、ハンマーミルに装入された被破砕物は、通常、ハンマーミル内に設けられたスクリーンを通過するまで破砕が継続して行われる。ところが、本発明で対象とする被破砕物は、約2%の炭素を含有しており粒径が5〜15mmの非常に硬く内部にスラグを殆んど含有していない金属鉄粒子、スラグを内在している還元ペレット状のもの、微細金属鉄を内在しているスラグ粒子、スラグが付着している微細金属鉄粒子等とが混在している。これらのうち、粒径が5〜15mmの金属鉄粒子は、高品位であるため、破砕する必要はなく、表面に付着しているスラグを分離除去すればよい。一方、スラグを内在している還元ペレット状のものや、微細金属鉄を内在しているスラグ粒子、スラグが付着している微細金属鉄粒子等には、衝撃を加えることによって金属鉄とスラグに分離する必要がある。しかしながら、被破砕物の一部には衝撃を加え、一部には衝撃を加えず、連続的に破砕処理を行うことができる既存のハンマーミルはない。
そこで本発明者らは、ハンマーミルに設けられたスクリーンの上に、所定時間保持された後、自動的に排出される機構を有しているハンマーミルを提供すべき検討を重ねた。その結果、ハンマーの回転軸が、水平方向に対して傾斜しており、スクリーンを外周部に設けたハンマー回転部の設置角度が、水平位置から垂直位置まで可変にできる機構とすれば、被破砕物がスクリーン上に滞留する時間を調整できることが明らかとなった。本発明で用いるハンマーミルについて、図面を用いて説明する。図2中、1はハンマーミル本体、2はハンマーの回転軸、3はハンマー(破砕手段に相当)、4はスクリーン、5はモーター、6はホッパー、7は送風機(ファン)、8はサイクロン、9はコンベア、10は金属鉄ナゲット、11はスラグ等、12は粉体、を夫々示している。
ハンマーミル本体1の内部では、モーター5を駆動力として、ハンマーの回転軸2を中心にハンマー3が回転している。このハンマーミル本体1の内部へ、還元処理物をホッパー6から供給すると、還元処理物はハンマー3から衝撃を受け、還元処理物に含まれるスラグは破砕する。破砕し、スクリーン4の目開きよりも小さくなったスラグや還元処理物として加熱炉から排出された床敷材は、スクリーン4を通過してコンベア9上に落下する。コンベア9上に落下したものは図2に示した11として回収される。この11は、スラグや床敷材を主体としている。
ハンマー3から衝撃を受けてスラグが分離除去され、スクリーン4の目開きよりも大きい金属鉄ナゲット10は、スクリーン4上を転動し、回収される。
ハンマーミル本体1の上流側には、送風機7が接続されており、ハンマーミル本体1の中流付近にはサイクロン8が設けられている。ハンマーミル本体1で発生した粉体12は、サイクロン8から回収される。
そしてハンマーの回転軸を水平方向に対して傾斜させることによって、ハンマーミル本体1に供給した還元処理物が、ハンマー3と接触する時間(即ち、粉砕時間)を制御でき、水平方向に対する傾斜角度を大きくするほど、粉砕時間を短くでき、傾斜角度を小さくするほど、粉砕時間を長くできる。
また、スクリーン4の目開きを制御することによっても粉砕時間を調整できる。即ち、スクリーン4の目開きを大きくするほど、破砕物はスクリーン4を通過して速やかに落下するため、粉砕時間を短くできる。一方、スクリーン4の目開きを小さくするほど、破砕物はスクリーン4を通過しないため、スクリーン4の上に滞留し、粉砕時間を長くできる。スクリーン4を設けない場合は、例えば、スラグを内包した還元ペレット状のものが多数混在して排出されるため、破砕不充分と判断される。
スクリーン4の目開きを20mmとすると、破砕物に含まれる非磁着物量は少なくなった。また、スクリーン4の目開きを10mmとすると、粒径が3mm以上の粗粒子に含まれるスラグ量は1%以下になり、非常に高品位の粒状金属鉄が得られた。得られた粗粒子について更に調べたところ、粒径が3.75mm以上の粒子が、非常にスラグ率の少ない金属鉄粒子になることがわかった。従って、粒径が5mm程度に破砕された粒子はスクリーン下へ落下させると効率が良いと考えられ、スクリーンの目開きの下限は5mmとすることが好ましい。スクリーンの目開きの上限は、20mmである。
ハンマー(破砕手段)の大きさは特に限定されないが、ハンマーの幅が大きくなると、被破砕物と衝突する機会が多くなり、スラグは効率よく破砕する。一方、ハンマーの幅を小さくすると、被破砕物に剪断力が働く。本発明で対象としている被破砕物中には、微細な金属鉄とスラグが混在している還元塊成物が存在することを考慮する必要がある。このような還元塊成物は、衝撃力を付与しても変形するだけで、微細金属鉄と微細スラグを分離し難いことがある。そこで、種々実験を繰り返した結果、ハンマーの幅は、4〜20mmとすればよいことが分かった。
なお、ケージミルには、スクリーンがないため、ケージミルに装入する回数を制御することによって、金属鉄とスラグを分離できる。
本発明では、前記刃先速度(m/秒)、前記破砕機に備えられているスクリーンの目開き(m)、前記破砕機における破砕時間(秒)に基づいて、下記式で算出される破砕指数が800〜2000となるように破砕することが好ましい。
粉砕指数=((刃先速度)2/(スクリーンの目開き)×(粉砕時間))0.5
刃先速度は、衝撃エネルギー、スクリーンの目開きは単位時間当たりの衝突頻度を表している。従って、同一被粉砕物を粉砕する場合の粉砕能力は、上記の式で表現できる。本発明で対象としている被破砕物の金属鉄は破砕され難く、スラグは破砕されやすい。ここで、粒径が3.35mm以上の金属鉄はスラグ率が低いため、それ以上に微粉砕する必要はない。そこで本発明では、破砕指数が800〜2000となるように制御することが推奨される。破砕指数が800を下回るか、2000を超えると、金属鉄からのスラグの分離が不充分となることがある。破砕指数は、より好ましくは900以上であり、より好ましくは1500以下である。
(篩分け工程aおよび金属鉄回収工程a)
篩分け工程aでは、上記破砕工程で得られた破砕物を目開きが3〜5mmの篩a(図1の103)を用いて篩分けを行い、金属鉄回収工程aでは、上記篩分け工程aで篩aの上に残ったものを金属鉄(図1の104)として回収する。即ち、破砕物を目開きが3〜5mmの篩aを用いて篩分けを行うと、品位の高い金属鉄は篩a上に残り、スラグや還元ペレット、炉床保護材等は篩aを通過することが、本発明者らの検討により明らかとなった。上記篩aの目開きが3mmよりも小さいと、篩a上に品位の高い金属鉄以外に、スラグや還元ペレット、炉床保護材等も残るため、回収物の鉄品位が低下する。従って篩aの目開きは3mm以上とする。しかし、篩aの目開きが5mmを超えると、品位の高い金属鉄も篩aを通過してしまうため、金属鉄の回収効率が低下する。従って篩aの目開きは5mm以下とする。
上記篩aは、上記破砕工程で用いた破砕機に備えられていてもよいし、上記破砕機に備えられた篩とは別に設けてもよい。また、上記破砕機として、篩を備えていないものを用い、別に篩aを設けてもよい。
本発明に係る金属鉄の製造方法は、上記篩aを用いて篩分けして得られた篩a下を磁選機で選別して磁着物aを得る工程(以下、磁選分離工程aということがある)と、得られた磁着物aに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程(以下、粉砕工程aということがある)と、得られた粉砕物を更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程(以下、金属鉄回収工程bということがある)と、を更に含んでもよい。以下、図3を参照しつつ説明する。
図3は、本発明に係る金属鉄の他の製造方法を説明するための他の工程図であり、図3において上記図1と同じ箇所には同一の符号を付すことによって重複説明を避ける。図3において、105は目開きが15〜20mmの篩c、106は目開きが2〜8mmの篩b、107a〜107fは磁選機、108a〜108cは粉砕機、104a〜104cは金属鉄を夫々示している。
(磁選分離工程a)
上記篩aを用いて篩分けして得られた篩a下(即ち、篩aを通過したもの)は、上述したように、破砕後のスラグや、還元ペレット、炉床保護材などが主体であるが、高品位な金属鉄も含まれる。そこで、篩a下を磁選機(図3の107a)で選別して磁着物aを回収し、後述する粉砕工程aで、金属鉄とそれ以外に分離し、後述する金属鉄回収工程bで、金属鉄を回収することが好ましい。上記磁選分離工程aで用いる磁選機は特に限定されず、公知の磁選機を用いればよい。
(粉砕工程a)
上記粉砕工程aでは、上記磁選分離工程aで磁選して得られた磁着物aに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機(図3の108a)を用いて粉砕する。上記粉砕機としては、例えば、ボールミルまたはロッドミルを用いることができる。
上記磁着物aを粉砕する際には、ボールミルまたはロッドミルに供給する磁着物aの質量を、前記ボールミル内のボールの質量または前記ロッドミル内のロッドの質量に対して、5〜25%とすることが好ましい。ボールまたはロッドの質量に対する磁着物aの質量の割合を5%以上とすることによって、粉砕効率を高めることができる。この割合は、より好ましくは10%以上である。しかしボールまたはロッドの質量に対する磁着物aの質量の割合が高くなり過ぎると、金属鉄とスラグが分離されていない粒子割合が多くなる。従ってこの割合は、25%以下とすることが好ましく、より好ましくは20%以下である。
上記粉砕機(図3の108a)で、上記磁着物aを粉砕する時間(粉砕時間)は、例えば、10分間以下とすることが好ましく、より好ましくは2〜7分間である。粉砕時間が長過ぎると、粉砕されたスラグが金属鉄と合体するようになり金属鉄中のスラグ率が上昇する。従って粉砕時間は、10分間以下とすることが好ましく、より好ましくは7分間以下、更に好ましくは6分間以下とする。一方、粉砕時間を2分間以上とすることによって、スラグを粉砕でき、金属鉄との分離性を高めることができる。粉砕時間は、3分間以上とすることがより好ましい。
上記粉砕機(図3の108a)で粉砕した後は、磁選機(図3の107d)で選別し、磁着物を金属鉄(図3の104a)として回収すればよい。
(その他)
本発明に係る金属鉄の製造方法では、変更例1として、上記移動炉床式加熱炉から排出される還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程(以下、篩分け工程cということがある)を更に含み、得られた篩c上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい(破砕工程)。
また、本発明に係る金属鉄の製造方法では、変更例2として、上記移動炉床式加熱炉から排出される還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程(篩分け工程c)と、得られた篩c下を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程(以下、篩分け工程bということがある)を更に含み、篩c下で、且つ篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい(破砕工程)。
また、本発明に係る金属鉄の製造方法では、変更例3として、上記変更例2で得られる篩c下で、且つ篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。即ち、上記移動炉床式加熱炉から排出される還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程(篩分け工程c)と、得られた篩c下を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程(篩分け工程b)を更に含み、篩c下で、且つ篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい(破砕工程)。
また、本発明に係る金属鉄の製造方法では、変更例4として、上記移動炉床式加熱炉から排出される還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程(篩分け工程b)を更に含み、篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい(破砕工程)。
また、本発明に係る金属鉄の製造方法では、変更例5として、上記変更例4で得られる篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい。即ち、上記移動炉床式加熱炉から排出される還元処理物を破砕するに先立って、前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程(篩分け工程b)を更に含み、篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕してもよい(破砕工程)。
上記変更例1では、還元処理物のうち、目開きが15〜20mmの篩c上に残った粗粒物に対して破砕処理を施しているのに対し、上記変更例2では、還元処理物のうち、篩cを通過するが、目開きが2〜8mmの篩bを通過しない中粒物に対して破砕処理を施している点で相違している。一方、上記変更例4では、還元処理物のうち、目開きが2〜8mmの篩bを通過しない粗中粒物に対して破砕処理を施している。また、上記変更例3では、上記変更例2に対し、篩c下で、且つ篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕している。また、上記変更例5では、上記変更例4に対し、篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕している。
(変更例1〜5)
変更例1〜3について上記図3を参照しつつ説明する。また、変更例4、5について図4を参照しつつ説明する。図4は、本発明に係る金属鉄の他の製造方法を説明するための工程図であり、図4において上記図1、図3と同じ箇所には同一の符号を付すことによって重複説明を避ける。図4において、107gは磁選機を示している。
(変更例1)
上記塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱すると、炉床上で、金属鉄が溶融し、近傍の金属鉄と合体して粗大化することがある。同様に、スラグが溶融し、近傍のスラグと合体して粗大化することもある。粗大化したスラグは、加熱炉からの排出時や、その後のハンドリングによって破砕され、微細化するが、粗大化した金属鉄は微細化せず、粗大なまま残る。粗大化した金属鉄を、破砕工程へ供すると、破砕機に負荷がかかり、破砕機の消耗が激しくなる。
そこで変更例1では、図3に示すように移動炉床式加熱炉101からの排出物である還元処理物を目開きが15〜20mmの篩c(図3の105)を用いて篩分けしている。そして篩c上に残った粗粒物(篩c上)を破砕機102へ供給し、該破砕機102において衝撃を加えて破砕している。
(変更例2)
上記塊成物を加熱炉で、1300℃以上で加熱する際には、加熱炉の炉床を保護するため、炭素質粒子や耐火性粒子等の床敷材を敷くことがある。この床敷材の粒度は、粒径0.5〜3mmの小粒子が適当されている。この床敷材は、塊成物を加熱した後、還元物と共に、加熱炉から排出される。そのため上記篩分け工程cで、篩cを通過した中微粒物(篩c下)には、床敷材が含まれている。
そこで変更例2では、図3に示すように移動炉床式加熱炉101からの排出物である還元処理物を目開きが15〜20mmの篩c(図3の105)を用いて篩分けを行い、該篩cを通過した中微粒物(篩c下)を目開きが2〜8mmの篩b(図3の106)を用いて篩分けしている。篩分け工程bで用いる篩bの目開きを2〜8mmとしたのは、床敷材を除去するために、床敷材の粒径よりもやや大きくするためである。そして篩bを通過した微粒物(篩b下)は除去し、篩b上に残った中粒物は、図示しない経路を通して破砕機102へ供給し、破砕すればよい。
(変更例3)
変更例3では、上述したように、篩c下で、且つ篩b上として回収された中粒物を磁選機(図3の107b)で選別した後、図示しない経路を通して破砕機102へ供給し、磁着物に衝撃を加えて破砕してもよい。磁選機で非磁着物を予め選別しておくことにより、磁着物を破砕して得られる金属鉄の回収効率を高めることができる。
また、篩c下で、且つ篩b上として回収された中粒物を磁選機(図3の107b)で選別した後、磁着物を粉砕機(図3の108b)へ供給し、粉砕し、磁選機(図3の107e)で非磁着物を予め選別しておくことにより、磁着物を粉砕して得られる金属鉄(図3の104b)の回収効率を高めてもよい。
(変更例4)
変更例4では、図4に示すように移動炉床式加熱炉101からの排出物である還元処理物を目開きが2〜8mmの篩b(図4の106)を用いて篩分けを行い、篩b上に残った粗中粒物を図示しない経路を通して破砕機102へ供給し、衝撃を加えて破砕している。即ち、変更例4では、目開きが15〜20mmの篩c(図3の105)は用いていないため、篩b上には篩c上に残る大きさの粗粒物も含まれる。一方、変更例4では、篩bを通過した微粒物(篩b下)は除去している。
(変更例5)
変更例5では、上述したように、篩b上として回収された粗中粒物を磁選機(図4の107g)で選別し、得られた磁着物を破砕機(図4の102)へ供給し、衝撃を加えて破砕してもよい。磁選機で非磁着物を予め選別しておくことにより、磁着物を破砕して得られる金属鉄の回収効率を高めることができる。
本発明に係る金属鉄の製造方法では、上記篩bを用いて篩分けして得られた篩b下を、磁選機で選別して磁着物bを得る工程(以下、磁選分離工程bということがある)と、得られた磁着物bを、摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程(以下、粉砕工程bということがある)と、得られた粉砕物を、更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程(以下、金属鉄回収工程cということがある)と、を更に含んでもよい。以下、図3を参照しつつ説明する。
篩bを通過した微粒物(篩b下)は、主体は床敷材であるが、微細な金属鉄粒も混在している。混在している微細な金属鉄粒には、スラグが付着しており、この微細な金属鉄粒のスラグ含有率は30%と高いことがわかった。そこで篩bを通過した微粒物(篩b下)を磁選機(図3の107c)で選別し、選別された磁着物bを粉砕機(図3の108c)で粉砕して金属鉄とスラグに分離した後、再度、磁選機(図3の107f)で選別して磁着物を金属鉄(図3の104c)として回収すればよい。即ち、篩b下を磁選機で選別して得られた磁着物bからスラグを分離除去するには、摩擦力と衝撃力の少なくとも一つを付与できる粉砕機を用いることが適当であり、こうした粉砕機としてはボールミルが代表例として挙げられる。そして粉砕機で粉砕された粉砕物は、磁石で分離すれば良い。
上記磁選分離工程bで用いる磁選機は特に限定されず、上記磁選分離工程aと同様、公知の磁選機を用いればよい。
上記粉砕工程bで用いる粉砕機としては、上記粉砕工程aで用いた粉砕機を用いることができる。
また、上記磁着物bを粉砕する際の条件は、上記粉砕工程aと同様、ボールミルまたはロッドミルに供給する磁着物bの質量を、前記ボールミル内のボールの質量または前記ロッドミル内のロッドの質量に対して、5〜25%とすることが好ましい。
上記粉砕機で、上記磁着物bを粉砕する時間(粉砕時間)は、上記粉砕工程aと同様、10分間以下(0分間を含まない)とすることが好ましく、より好ましくは2〜7分間、更に好ましくは3〜6分間である。
上記磁着物bを粉砕する際には、該磁着物bと、上記磁着物aを混合してから粉砕してもよい。上記磁着物bも、上記磁着物aも、共にスラグが付着している微小粒子であるため、同じ粉砕機を用いることができるからである。
上記粉砕工程a、bで用いる粉砕機としては、その内部へ気体を線速20m/秒以上で送風できる機構を有しているものを用いることが好ましい。ボールミルやロッドミルを用い、過剰粉砕すると、分離していた金属鉄とスラグが再び凝集し、金属鉄にスラグが固着した磁着物となる。そこで、粉砕機の内部へ、気体の線速が20m/秒以上となるように送風することによって、金属鉄にスラグが再固着するのを防止できる。気体の線速は、30m/秒以上であることがより好ましい。気体の線速の上限は特に限定されないが、例えば、50m/秒以下である。
なお、本発明は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化した塊成物を高温で加熱し、金属鉄(還元鉄)を製造している点で、既知のFASTMET法やITmk3法に類似しているが、移動炉床式加熱炉から排出される金属鉄とスラグを含む還元処理物に対して、衝撃を加えて破砕してからセパレータを用いて金属鉄を回収し、次工程である精錬工程に持ち込まれる金属鉄のスラグ量を低減している点で相違している。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実験例1)
酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む塊成物を移動炉床式加熱炉で加熱した後、該加熱炉から排出された還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行った後、篩c下を目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行い、篩b上の混合物を、破砕機を用いて破砕し、金属鉄に付着または内包されているスラグを分離した。このとき、実験例1では、篩上の混合物を破砕するときの条件について検討した。
上記塊成物として、炭材内装ペレット(平均直径:19mm)を準備し、この炭材内装ペレットを加熱炉に装入し、1450℃で、11分間加熱した。炭材内装ペレットの成分組成を下記表1に示す。
加熱後、加熱炉から排出される還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行った後、目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行った。還元処理物には、金属鉄、還元ペレット(即ち、金属鉄とスラグの混合物)、スラグ、床敷材などが含まれていた。
篩上として分級された混合物を、破砕機を用いて破砕した。破砕機としては、図2に示すような水平軸のハンマーミルを用いた。ハンマーミルの仕様を以下に示す。
ハンマー回転速度:3600rpm
ハンマー刃先幅 :4.8mm
ローター最大長 :254mm
ハンマー刃先速度:48m/秒
ハンマーミルに設けられたスクリーンの目開き:7.8mm
篩上として分級された混合物1kgを、上記ハンマーミルに装入し、破砕時間を5秒または10秒として破砕を行った。その結果、破砕時間を10秒とした場合は、ハンマーミルに設けられたスクリーン上に残った粒子の表面は金属光沢を有しており、スラグが充分に分離されていることが観察された。
また、破砕時間を5秒とした場合においても、ハンマーミルに設けられたスクリーン上に残った粒子は、破砕時間を10秒としたときと同様、表面に金属光沢を有していた。従って、破砕時間は、5秒とすれば良いことが分かった。
次に、ハンマーミルで破砕して得られた粉体について、粒度分布(積算粒度)を測定した。測定結果を図5に示す。図5中、◆は、ハンマーミルに設けられたスクリーンの上に残った粉体、■は、ハンマーミルに設けられたスクリーンを通過した粉体、▲は、ハンマーミルから排出されるガスによって移送され、ハンマーミルに接続して設けられたサイクロンで捕集された粉体の結果を、夫々示している。
図5から、ハンマーミルに設けられたスクリーンを通過した粉体(図5の■)は、積算粒度の勾配が、粒径2mmと3mmの間で変化していることが読み取れる。そこで、ハンマーミルに設けられたスクリーンを通過した粉末(図5の■)を、目開きが3.35mmの篩を用いて篩分けを行った。そして、篩上に残った粉体(+3.35mm)と、篩を通過した粉体(−3.35mm)のスラグ率[(SiO2+Al23)/T.Fe]を化学分析値に基づいて算出した。その結果、+3.35mmのスラグ率は、7.1%であるのに対し、−3.35mmのスラグ率は、240.7%であり、篩上と篩下で、スラグ率が大きく変化することが分かった。
以上、実験例1の結果から明らかなように、目開きが3.35mmの篩の上に残った粒径が大きな粉体は、金属鉄の含有量が高く、目開きが3.35mmの篩を通過した粒径が小さな粉体は、スラグの含有量が高いことが分かる。よって、金属鉄とスラグでは、粒度分布が異なることが分かった。
(実験例2)
実験例2では、上記実験例1で用いたハンマー機器とは異なる仕様の同種の機器を用い、ハンマーミルの破砕条件を変えて破砕を行った。ハンマーミルの破砕条件として、ハンマー回転速度、ハンマー刃先幅、ローター最大長、ハンマー刃先速度、ハンマーミルに設けられたスクリーンの目開き、破砕時間を下記表2に示す。下記表2に示したNo.1の結果は、上記実験例1における結果を示している。
ハンマーミルで破砕して得られた粉体について、粒度分布から粒径が5mm以下の粉末の割合、粒径が3mm以下の粉末の割合、粒径が1mm以下の粉末の割合を夫々読み取った。結果を下記表2に併せて示す。
また、ハンマー刃先速度、ハンマーミルに設けられたスクリーンの目開き、破砕時間に基づいて破砕指数を算出し、下記表2に合わせて示す。
下記表2に基づいて次のように考察できる。
No.1は、本発明で規定している要件を満足する例であり、粒径が5mmを超える粒子は53.7%であったが、粒径が3mm以下の粒子が33.2%となった。粒径が3mm以上の粒子66.8%は、金属光沢を有しており、金属鉄とスラグが良好に分離されていると考えられる。
No.2では、No.1に比べて刃先速度が小さいが、ハンマー刃先速度が30m/秒であっても、破砕指数が2000を超えると、過剰に破砕されてしまい、全量が粒径5mm以下の粒子となった。また、破砕後の粒子には金属光沢が認められなかったため、金属鉄とスラグとの分離は不充分であったと考えられる。
No.3は、ハンマー刃先速度が105m/秒で、破砕指数も2000を大幅に超えたため、目開きが1mmの篩を用いて篩分けを行って得られた篩下が100%となり、スラグの他、金属鉄まで破砕されていることが分かる。よってNo.3に示した破砕条件では、過剰破砕になることが分かる。
以上の結果より、刃先速度を大きくし、粉砕指数を小さくする条件が、金属鉄とスラグの混合物を破砕する上で適していると考えられる。刃先速度は30〜60m/秒、破砕指数は800〜2000が適切であると考えられる。
Figure 2014227589
Figure 2014227589
(実験例3)
実験例3では、上記実験例1において、加熱炉から排出された還元処理物を、目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行って得られた篩下の混合物を、磁石を用いて磁選分離した。磁選分離して得られた磁着物は、微細な金属鉄とスラグが主体であり、非磁着物は、床敷材が大部分を占めていた。
そこで、本実験例では、磁選分離して得られた磁着物の鉄品位を高めることについて検討した。即ち、本実験例では、磁着物の鉄品位を向上させるため、篩下の混合物を、ボールミルを用いて粉砕し、金属鉄とスラグとの分離性を調べた。以下、具体的に説明する。
上記実験例1において、加熱炉からの排出物である還元処理物を目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行い、得られた篩下の混合物を、ドラム磁選機を用いて磁選分離した。なお、本実験例では、炭材内装ペレットの成分組成を変えて、スラグ含有量の異なる還元処理物(A、B)を調製した。還元処理物Aに含まれるスラグ量は8%程度であり、還元処理物Bに含まれるスラグ量は18%程度である。得られた磁着物を、ボールミル(φ304mm×長さ304mm)にボール20kgと上記篩下の混合物(試料Aまたは試料B)1.4kgを装入し、回転速度を68回転/分とし、粉砕時間を変えて粉砕を行った。粉砕時間は、0分、10分、20分、または30分とした。粉砕された試料を、磁石を用いて手で分離し、非磁着物率を求めた。非磁着物率は、粉砕された試料の質量に対する、非磁着物の質量の割合を求めた。粉砕時間と非磁着物率との関係を図6に示す。
図6に基づいて、次のように考察できる。粉砕時間が0分とは、ボールミルを用いて粉砕を行っていないことを意味し、試料Aの非磁着物率は8%程度、試料Bの非磁着物率は18%程度であった。粉砕を行っていない試料に非磁着物が含まれていることは、ドラム磁選機では、還元処理物に含まれる非磁着物を充分に分離できなかったことを意味している。試料Aと試料Bについて、ボールミルを用いて粉砕を行う前は、異なる非磁着物率を示しているが、粉砕を行うことによって非磁着物率が増大し、20分間粉砕した後は、ほぼ同じ非磁着物率を示すことが分かる。粉砕時間を20分間とした場合と、30分間とした場合の非磁着物率を比べると、20分間以降は、非磁着物率の増大幅は小さくなり、ほぼ横ばいになることが分かる。よって、粉砕時間は、20分間程度とすればよい。ここで、試料Bに関し、20分間粉砕した後における非磁着物率を図6から読み取ると約33%であるから、非磁着物率の増加率を下記式に基づいて算出すると、約84%となった。従って本発明によれば、ボールミルを用いて粉砕を行うことによって、非磁着物率を約84%増大させることができる。
[(粉砕時間を20分間としたときの非磁着物率―粉砕時間を0分間としたときの非磁着物率)/粉砕時間を0分間としたときの非磁着物率]×100=84(%)
(実験例4)
上記実験例1において、加熱炉からの排出物である還元処理物を、目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行い、得られた篩上の混合物を、ハンマーミルで粗破砕した。粗破砕の条件は、上記実験例1に示した条件とした。
破砕物を、目開きが4.8mmの篩を用いて篩分けを行い、篩下の混合物を回収し、ドラム磁選機を用いて磁選分離した。磁選分離して得られた磁着物の鉄品位を高めるために、磁着物を、ボールミルを用いて粉砕した。磁着物の粉砕は、ボールミル(φ304mm×長さ304mm)にボール20kgと磁着物1.4kgを装入し、回転速度を68回転/分とし、粉砕時間を0分、10分、20分、または30分として行った。
粉砕された磁着物を、磁石を用いて手で磁選分離し、非磁着物率を求めた。粉砕時間と非磁着物率との関係を図7に示す。
図7に基づいて、次のように考察できる。粉砕時間が0分の場合に、非磁着物率の値が0%でなく12%または19%を示していることは、ドラム磁選機を用いて磁選分離しても分離できなかった非磁着物が、磁石を用いて手で磁選分離することによって分離できたことを意味している。即ち、粉砕しなくても、既に金属鉄とスラグに分離していたこととなる。粉砕時間を10分間とすると、非磁着物率の増加率が10〜25%上昇するが、粉砕時間を更に長くすると、非磁着物率は低下する傾向を示す。この現象は、粉砕されたスラグが金属鉄に再度固着するためと推定される。従って、ボールミルを用いて粉砕する場合は、粉砕時間は10分間以下とすることが好ましいことがわかる。
(実験例5)
実験例5では、上記実験例4において、ハンマーミルを用いて粗破砕する代わりに、ケージミルを用いて粗破砕する点と、磁着物の粉砕にボールミルまたはロッドミルを用いる点を変えて行った。即ち、上記実験例1において、加熱炉から排出された還元処理物を、目開きが3.35mmの篩(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行い、得られた篩上の混合物を、ケージミルで粗破砕した。粗破砕の条件は、ケージは4列(外側745mmφ、内側610mmφ)で、回転数は1000rpmで、装入量は10ton/時間で、1回の装入量は13kgとした。
破砕物を、目開きが3.35mmの篩を用いて篩分けを行い、篩下の混合物を回収し、ドラム磁選機を用いて磁選分離した。磁選分離して得られた磁着物の鉄品位を高めるために、磁着物を、ボールミルまたはロッドミルを用いて粉砕した。
(ボールミル)
磁着物の粉砕は、ボールミル(φ525mm×長さ450mm)にボール180kgと磁着物38kgを装入し、回転速度を41回転/分とし、粉砕時間を0分、3分、6分、9分、または12分として行った。
(ロッドミル)
磁着物の粉砕は、ロッドミル(φ525mm×長さ900mm)にロッド460kgと磁着物42kgを装入し、回転速度を41回転/分とし、粉砕時間を0分、3分、6分、9分、または12分として行った。
粉砕された磁着物を、磁石を用いて手で磁選分離し、非磁着物率を求めた。
粉砕時間と非磁着物率との関係を図8に示す。図8において、◇はボールミルを用いて粉砕したときの結果、■はロッドミルを用いて粉砕したときの結果を夫々示している。
図8に基づいて、次のように考察できる。ボールミルまたはロッドミルのどちらを用いて粉砕しても、粉砕時間が0分の場合には、非磁着物率は10%を示している。このことは、ドラム磁選機を用いて磁選分離しても分離できなかった非磁着物が、磁石を用いて手で磁選分離することによって分離できたことを意味している。また、ボールミルを用いて粉砕した場合と、ロッドミルを用いて粉砕した場合では、どちらも非常に類似した結果を示している。粉砕時間は、6分間で非磁着物率は最大値を示し、粉砕時間を更に長くすると、非磁着物率は低下することが分かる。その低下量は、ボールミルを用いて粉砕を行った方が大きいことが分かる。
以上の結果、磁着物を、ボールミルまたはロッドミルを用いて6分間粉砕することによって、非磁着物率の増加率が54%程度上昇し、金属鉄の品位が向上することがわかる。
(実験例6)
図9は、本発明に係る金属鉄の製造方法の他の構成例を示した模式図である。図9では、酸化鉄含有物質、炭素質還元剤、および添加剤を含む混合物を、パン型ペレタイザー1を用いて塊成化し、塊成物を製造する。得られた塊成物は、回転炉床炉2に送入して加熱する。回転炉床炉2で加熱されて得られた還元処理物は、目開きが3.35mmの篩3(上記篩bに相当)を用いて篩分けを行う。
篩3において、篩上として回収された回収物は、衝撃を加える破砕機であるロッドミル4aへ供給し、破砕する。ロッドミル4aで破砕され、ロッドミルの外部に設けられた篩(上記篩aに相当)で篩分けされた篩上は、金属鉄として回収する。一方、ロッドミル4aで破砕され、ロッドミルの外部に設けられた篩(上記篩aに相当)で篩分けされた篩下は、磁選機10へ供給し、磁着物と非磁着物に分離する。篩3において、篩下として回収された回収物は、磁選機10へ供給し、磁着物と非磁着物に分離する。
磁選機10で選別された磁着物は、金属鉄として回収する。磁選機10で選別された非磁着物は、ボールミル11aへ供給して粉砕し、粉砕物は、磁選機12へ供給し、磁着物と非磁着物に分離する。
磁選機12で選別された磁着物は、金属鉄として回収する。一方、磁選機12で選別された非磁着物は殆どがスラグである。
以上の通り、図9に示す構成例においても、金属鉄を製造できる。

Claims (17)

  1. 酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む混合物を塊成化する工程と、
    得られた塊成物を移動炉床式加熱炉に装入し、加熱還元する工程と、
    前記移動炉床式加熱炉からの排出物である金属鉄とスラグを含む還元処理物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する工程と、
    得られた破砕物を目開きが3〜5mmの篩aを用いて篩分けを行う工程と、
    前記篩a上を金属鉄として回収する工程と、
    を含むことを特徴とする金属鉄の製造方法。
  2. 前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程を更に含み、得られた篩c上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが15〜20mmの篩cを用いて篩分けを行う工程と、得られた篩c下を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程を更に含み、篩c下で、且つ篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記篩c下で、且つ篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記還元処理物を破砕するに先立って、該還元処理物を目開きが2〜8mmの篩bを用いて篩分けを行う工程を更に含み、篩b上に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記篩b上を磁選機で選別し、磁着物に衝撃を加える破砕機を用いて破砕する請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記破砕機としてハンマーミルまたはケージミルを用い、該ハンマーミルまたはケージミルに備えられており、前記還元処理物に衝撃を加える破砕手段の刃先速度を30〜60m/秒とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記破砕機として、ハンマーの回転軸が、水平方向に対して傾斜しているハンマーミルを用いる請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記還元処理物の破砕時間を3〜10秒とする請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記刃先速度、前記破砕機に備えられているスクリーンの目開き、前記破砕機における破砕時間に基づいて算出される破砕指数が800〜2000となるように破砕する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記篩aを用いて篩分けして得られた篩a下を磁選機で選別して磁着物aを得る工程と、
    得られた磁着物aに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程と、
    得られた粉砕物を更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程と、
    を含む請求項1に記載の製造方法。
  12. 前記篩bを用いて篩分けして得られた篩b下を磁選機で選別して磁着物bを得る工程と、
    得られた磁着物bに摩擦力および/または衝撃力を加える粉砕機を用いて粉砕する工程と、
    得られた粉砕物を更に磁選機で選別し、磁着物を金属鉄として回収する工程と、
    を含む請求項3に記載の製造方法。
  13. 前記粉砕機としてハンマーミルまたはケージミルを用いる請求項11または12に記載の製造方法。
  14. 前記粉砕機としてボールミルまたはロッドミルを用い、該ボールミルまたはロッドミルに供給する前記磁着物の質量は、前記ボールミル内のボールの質量または前記ロッドミル内のロッドの質量に対して5〜25%とする請求項11または12に記載の製造方法。
  15. 前記磁着物aおよび/または前記磁着物bの粉砕時間を10分間以下(0分間を含まない)とする請求項11〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 前記粉砕時間を2〜7分間とする請求項15に記載の製造方法。
  17. 前記粉砕機として、その内部へ気体を線速20m/秒以上で送風できる機構を有しているものを用いる請求項11〜16のいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020093184A (ja) * 2018-12-10 2020-06-18 太平洋セメント株式会社 金属含有廃棄物の処理方法及び処理装置

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