JP2014227397A - 強磁性非磁性複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 病巣部に対して効果的に加温を行うことのできる強磁性非磁性複合体を提供する。
【解決手段】 非磁性材料粉末と強磁性材料粉末を原料とした機械的造粒法により、非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させることにより、強磁性非磁性複合体を製造する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、磁気ハイパーサーミア温熱治療等に用いる微小発熱体のための強磁性非磁性複合体に関するものである。
腫瘍病巣部を41度以上に温めることにより、がん治療を行うハイパーサーミア法が知られている。ハイパーサーミア法では、二枚の電極で身体を挟んで高周波を与えることにより温度を上げるようにしている。
特開2008−201666 WO2009/014201
しかしながら、上記のような従来のハイパーサーミア法では、加温場所の選択性がなく、病巣部に対して効果的な加温を行うことが難しかった。
また、特許文献1、特許文献2では、フェライトの粒子を治療に用いることが開示されているものの、これをハイパーサーミア法に用いることは示されていない。
この発明は上記のような問題点を解決して、病巣部に対して効果的に加温を行うことのできる強磁性非磁性複合体を提供することを目的とする。
この発明に係る強磁性非磁性複合体を製造する方法は、非磁性材料粉末と強磁性材料粉末を原料とした機械的造粒法により、非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させる。
強磁性非磁性複合体中の結晶子の直径が、200オングストローム以下となるまで、前記機械的造粒法を実施することが好ましい。
強磁性非磁性複合体の直径が、0.8ミリメータ以下となるまで、前記機械的造粒法を行うことが好ましい。
非磁性材料粉末は、アルミニウム粉末またはチタン粉末であり、強磁性材料粉末は、フェライト粉末、鉄粉末、コバルト粉末、ニッケル粉末のいずれかであることが好ましい。
この発明に係る微小発熱体は、ハイパーサーミア温熱治療のための微小発熱体であって、非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させた強磁性非磁性複合体を備えたことを特徴としている。
強磁性非磁性複合体中の結晶子の直径が、200オングストローム以下であることを特徴としている。
強磁性非磁性複合体の直径が、0.8ミリメータ以下であってもよい。
非磁性材料粉末は、アルミニウム粉末またはチタン粉末であり、強磁性材料粉末は、フェライト粉末、鉄粉末、コバルト粉末、ニッケル粉末のいずれかであってもよい。
この発明の一実施形態による強磁性非磁性複合体の製造方法のフローチャートである。 ボールミリング法を実施するための装置を示す図である。 ボールミリング法を説明するための図である。 カプセル構造を示す図である。 SEM写真を示す図である。 X線光学システムを示す図である。 SEM装置を示す図である。 VSMの原理を示す図である。 VSMの構成を示す図である。 Al-Fe粉末のX線回折結果を示すグラフである。 MA処理時間によるAl(311)ピークのX線回折結果を示すグラフである。 結晶子サイズとMA処理時間の関係を示すグラフである。 未処理の粉末とMAで4〜128hr.の間で処理した粉末をSEMにより粒子形状や粒径の観察を行ったSEM写真である。 ボールミルの処理時間の影響と保磁力の関係を示すグラフである。 保磁力とMA処理時間の関係を示すグラフである。 結晶子サイズと保磁力の関係を示すグラフである。 保磁力と結晶粒径との関係を示すグラフである。 保磁力と結晶粒径との関係を示すグラフである。 64時間メカニカルミリングを施したAlFe紛体の磁化測定をおこなった結果を示すグラフである。
図1に、この発明の一実施形態による強磁性非磁性複合体の製造方法をフローチャートにて示す。
まず、ステップS1において、強磁性体粉末を準備する。強磁性体粉末としては、フェライト粉末、鉄粉末、コバルト粉末、ニッケル粉末のいずれか、または、その混合粉末を用いることができる。
次に、ステップS2において、非磁性体粉末を準備する。非磁性体粉末としては、アルミニウム粉末またはチタン粉末のいずれか、または、その混合粉末を用いることができる。
続いて、ステップS3において、強磁性体粉末と非磁性体粉末を機械的造粒法によって、粉砕するとともに、機械的に固溶する。この実施形態では、機械的造粒法として、ボールミリング法を用いている。ボールミリング法を実施するための装置を、図2に示す。
円筒状のポット2に、上記準備した強磁性体粉末と非磁性体粉末を挿入する。さらに、硬質ボールをポット2に挿入する。そして、ポット2を回転させる。この装置では、ポット2が軸4を中心として自転しながら、軸6を中心として公転する遊星運動を行うように構成されている。このような運動により、図3に示すように、ボールとボール、あるいはボールとポット内壁間の衝突作用によって、粉末同士の接合−粉砕を繰り返し行うものである。
以上のようにして、非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させた強磁性非磁性複合体を得ることができる。
なお、非磁性体粒子に強磁性体粒子を分散させるため、非磁性体粉末と強磁性体粉末の混合比は、前者が大部分を占める程度であることが好ましい。たとえば、原子比にして、前者95%に対して、後者5%程度が好ましい。
また、非磁性体粒子に強磁性体粒子を分散させるため、非磁性体粒子は強磁性体粒子に比べて柔らかいものであることが好ましい。
ここで、得られる強磁性非磁性複合体中の強磁性体粒子の粒子径は、単磁区粒となるサイズに近づけることが好ましい。そうすることで、保磁力を大きくすることができるからである。一般に、粒子径が20〜40nmよりも大きくなると多磁区粒となり、それよりも小さくなると単磁区粒となる。保磁力は、個々の強磁性体粒子が単磁区粒として最大の大きさを持つとき(上記20〜40nmの粒径を持つとき)が最も大きくなる。
また、磁壁移動を妨げるように、結晶子を細かくした方が、保磁力が大きくなる。
なお、ボールミリング法により、結晶中に転位(ひずみ)がもたらされ、これによっても保磁力が大きくなっている。
また、得られた強磁性非磁性複合体の表面を、熱伝導度が良く、人体に対する安全度の高い材料にて被覆することが好ましい。たとえば、金属であればチタン、セラミックスであればアルミナ、プラスチック材料であればエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂を用いることができる。図4に、チタン、アルミナ、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などによるカプセル10によって被覆した強磁性非磁性複合体12の構造を示す。
この複合体収納カプセル14を、ガンのある患部に埋め込む。埋め込みには、従来より行われている、密封小線源療法において密封小線源を埋め込む手法を用いることができる。密封小線源療法において密封小線源は、0.8ミリメータ程度であることから、強磁性非磁性複合体はこれよりも小さくすることが好ましい。
この状態で、外部から周波数50〜400kHzの高周波を印加することで、複合体収納カプセル14を発熱させる。この際、強磁性非磁性複合体の保磁力がおおきければ大きいほど熱量は大きくなるが、その分必要な外部磁場も大きくなる。また、大きな外部磁場を発生させるためには、大電流が必要となり、コイルに発生する銅損が無視できなくなる。人体の治療に必要な温度は41度以上(例えば43度)であり、発熱量が大きければ昇温スピードが速く温度調整が困難である。
保磁力が数エルステッド以下であれば、発熱が十分でない。一方、数百エルステッド以上では、コイルに発生する銅損が無視できない。
100〜200エルステッドの保磁力であれば、上記の問題がなく適切である。また、この程度の磁場であれば数百Wの電力供給で小型コイルによって発生可能である。
1.試料粉体の作製
試料粉体(強磁性非磁性複合体)の作製にボールミリング法を用いた。装置としては、図2に示す遊星ボールミル装置を用いた。
遊星ボールミル装置で理論上ボールに対して与えることのできる最大の遠心加速度amaxは式(1)で与えられる。
Figure 2014227397
ただし、NA:公転回転数[rpm]、NP:自転回転数[rpm]、D:公転半径[m]、d2:ポット内径[m]である。
式(1)より、公転回数NA、公転直径D、ポット内径d2、自転公転比(NP / NA)の値が大きければamaxが大きくなることがわかる。
Figure 2014227397
原料粉末は純Fe粉(和光純薬工業株式会社、95%以上)、アルミ粉(和光純薬工業株式会社、99.5%以上)を混合−ボールミリングするものとし、Fe粉には電解鉄粉、アルミ粉にはアトマイズ粉を使用した。そのSEM写真を図5に示す。Fe粉、アルミ粉の平均粒径は約150μmで、形状は不規則球状である。
ボールミリング処理におけるポットおよびボールの材質はSUS304とし、ポットは外径60mm、内径(d2)53.6mm、容量110mlのものを、ボールは直径Φ3.0mmのものを選定した。ボールの個数は多すぎるとボールの運動が妨げられボールミリングが正常に行われないことが考えられるため、見かけ上の体積がポット容量の約1/3となるようその個数を決定した。その結果、個数を800個とした。一度にボールミリング処理を施す粉末の量は7.40gとした。ポット内部の雰囲気は処理中の酸化抑制のためにグローブボックスを用いてアルゴンガスに置換している。粉末の配合組成は合金元素のAlを95at.%(90.17mass%)、Feを5at.%(9.83mass%)とした。また、回収率を上げるために内部潤滑剤として、ステアリン酸を粉末重量に対して5 mass%添加している。以上の組成で自転回転数1333rpm で2〜128hr.の時間においてボールミリングを行った。
2.試料粉体の評価
2.1粉末X線回折
X線回折装置(リガクRINT-TTR III)を用いてボールミリング処理を施した試料の構造について調査した。歪みのない結晶格子に何らかのイオンおよび原子が固溶すると、格子定数が変化し、それに伴い結晶相同定結果のピーク位置も変化する。そこでX線回折結果からMA処理時間の変化におけるピーク位置の変化を調べた。また、MA処理により結晶粒の微細化が期待されるため、 Scherrerの式(2)を用いて結晶子サイズを定量化した。
Figure 2014227397
ここで、D:結晶子サイズ(オングストローム)、K:Scherrer定数、l:X線の入射波長(オングストローム)、β:回折ピークの半値幅(rad)、q B:回折角(deg)である。
Braggの式(3)は、粉末X線回折法あるいは単結晶X線回折法を問わず成り立つ式である。
Figure 2014227397
ここで、n:整数(n=1,2,3,…)、l:X線の入射波長(オングストローム)、d:面間隔(オングストローム)、q:回折角度(deg)である。
粉末回折パターンからは格子間隔dを求めることができる。Braggの式でn=1とおき、回折ピーク位置から決定した回折角qとX線の波長lを代入する。また、側近ピーク位置とすでに構造決定されている既知のピークとを照合し未知試料の同定を行える。
図6に実験の光学系を示す。試料はガラス試料ホルダーに、試料表面が平らになるように充填する。試料板上で各結晶はランダムな方向を向いており、回折で得られる情報は平均化されたものとなる。X線源から照射されたX線は上流スリットで高さ1mm、幅5mmに成形し、入射角q で試料に入射する。試料で回折されたX線は、下流スリットで0.05mmX0.05mmに成形し、ディテクターに入る。X線源、試料、ディテクターは常にブラッグ条件を満たす位置関係を保つ様に円上を動く。
2.2走査型電子顕微鏡(SEM)による観察
図7に本実験で使用したSEM装置(Scanning Electron Microscope、JEOL JSM-5910)の概略図を示す。主に、ボールミリング処理した粉体の粒径や粒子形状を観察するために用いた。
SEMでは、電子銃で作られる電子線束を、電磁コイルからならコンデンサーレンズおよび対物レンズで収束させ、ナノサイズ径の電子ビームとして試料表面を走査させる仕組みとなっている。この電子ビームの照射により、試料表面から放出される2次電子を検出器に集めて電子信号とし、それを増幅して観察用ブラウン管上の輝度に変調することにより走査像を得る。
2.3磁化特性の評価
磁化測定には、試料振動型磁化測定装置(Vibrating Sample Magnetometer、理研電子BHV-525RSCM)を用いて測定を行った。VSMの原理を図8に、また測定に用いたVSMの概略図を図9に示す。
試料を磁気双極子とみなし考える。原点に大きさがMでx軸方向に向いた磁気モーメントがあり、z軸方向に角振動数w、振幅aで単振動している。また、A点(X,Y,Z)に断面積S、巻数NのあるコイルがXY面に垂直にある。このとき、誘導起電力Eは角振動数ω=2pfとなり、
Figure 2014227397
で表わされる。ここでKは
Figure 2014227397
で、サーチコイルに位置、巻数N、断面積Sによって決まる定数である。式(4)から分かるように、振幅a、周波数fが常に一定となるようにMを振動させれば、誘導起電力Eは磁気モーメントMに比例する。この測定は相対測定法であるため、Niなどの標準試料を用い、磁化の大きさを決定することができる。試料に加える最大磁場は10キロエルステッドとし、室温で行った。
3.実験結果
3.1MA時間と結晶構造
4〜128hr.の時間でボールミリング処理をして作製したAl-Fe粉末のX線回折結果を図10に示す。ボールミリング処理の影響を比較するため、未処理の粉末X線回折結果も同時に示す。
いずれの粉末も、AlとFeの回折線以外見られず、またステアリン酸との反応生成物も見られなかった。ここで、広角側140 [deg]付近のAl(422)とAl(311)の回折ピークに着目する。未処理では回折ピークがとがっており、CuKαX線にKα1線とKα2線の分離も確認できた。これは特性X線が互いに近接した波長の異なるKα1線とKα2線を持っているためであり、結晶の乱れのない多結晶体においてはこれらが明瞭に分離して回折する。また、MA時間の増加に伴って、回折ピークが潰れてきていることから、(2)式からも結晶子の微細化が進行していることがわかる。これはボールミリング処理によって結晶の乱れが激しくなり、回折線がブロード化することで両回折線が一つのブロードな回折線として現れた。
図11に種々のMA処理時間による、Al(311)ピークのX線回折結果を示す。Si(331)ピークを角度校正用の標準試料として用いている。得られたX線回折ピークの半値幅より、Scherrerの式を用いて結晶子サイズを求めた。結晶子サイズとMA処理時間の関係を図12に示す。
図11よりこちらのX線回折結果からも未処理の粉末では、CuKa1とCuKa2の2本のピークの分離がしっかりと確認できるが、それ以外の回折結果からは確認できない。また、MA処理時間に伴って、回折ピークが広角側へシフトしていることがわかる。これはAlに比較して原子半径の小さなFeがfcc-Alのマトリックスの中に置換固溶し、fcc格子が歪み、(311)面間距離が狭まったことを意味している。
また、MA時間に伴って、回折ピークの半値幅が広がっている。これは(2)式のScherrerの式からも、分母の半値幅βが大きくなることにより、結晶子サイズDが小さくなるため、微細化が進行していることがわかる。
図12より、16hr.までは結晶子サイズの微細化が進んだことが確認できる。また、32hr.以降でも結晶子サイズの微細化が徐々に進んでいることが確認できた。
本X線回折から、秩序化した金属間化合物の形成はなかったが、Alのfcc格子の中にFeの原子が入りこんで一部固溶体が形成されたということが明らかになった。
3.2 SEM写真
未処理の粉末とMAで4〜128hr.の間で処理した粉末をSEMにより、粒子形状や粒径の観察を行った。図13に撮影したSEM写真を示す。
ボールミリング処理時間が長くなるにつれて粒子径は小さくなっている。未処理の粉末では、粒径が150mm前後である。MA時間が4hr.では、ボールの衝突による圧縮変形により粉末同士で一部接合が起こり、粉末が不規則な粒径、形状になっていると考えられる。MA時間が8hr.、16hr.では、不規則な粉末が粉砕され細かくなっている。このことから、粉末が加工硬化したことで延性が低下し、破壊が進行していると考えられる。さらに、MA時間が32hr.、128hr.と長くなると、粉末の角が取れ、丸みを帯び、より細かくなっている。MA時間128hr.では、粒径が10mm以下まで粉末が微細化していることが確認できる。この結果は、粉末に高密度の転位が導入され、充分に加工硬化されたと考えられる。さらにMA時間を長くすることで粒子径は、より微細に均一な粉末を得ることができると考えられる。
3.3 ボールミリング処理時間と磁気特性
MA処理は粉体中の結晶粒に強い塑性変形を与えるため、その結果結晶中の転位密度は増加する。強磁性体の磁化反転は磁壁が結晶粒内を移動することによって行われるが、転位はその移動を妨げる働きをする。よってMA処理によって、転位の数を増やすと保磁力が増加することが期待される。ボールミルの処理時間の影響と保磁力の関係を調べるために磁化測定を行い、その結果を図14に示す。最大磁場として10キロエルステッドを加えた。なお、測定した粉末量による最大飽和磁化の差をなくすために、最大飽和磁化で規格化している。また、保磁力を評価するために、-500〜500エルステッドの結果を抽出して表示した。
MA時間と保磁力の変化に着目してみる。未処理の粉末では、保磁力がほとんど現れない。MA時間16〜32hr.の粉末では、保磁力の変化はほとんど見られない。MA時間128hr.の粉末では、350エルステッド程度まで保磁力が増加している。また、図15に保磁力とMA処理時間の関係を示す。
図15より、MA処理時間によって保磁力の増加が確認できた。2〜16hr.ではボールミリング処理による転位密度の増加は認められないことが分かる。処理時間が32hr.以上では、保磁力の増加が顕著である。
実験結果より、MA時間によって保磁力の増加と結晶子サイズの微細化が確認できた。図16に結晶子サイズと保磁力の関係を示す。尚、結晶子サイズの測定限界は2000オングストロームとされているため、本実験結果の1000オングストローム以下の領域では妥当な値といえる。このグラフより、200オングストローム以下とすることで保磁力が急激に大きくなることがわかる。
保磁力の結晶粒径の依存モデルにあてはめたところ、
Figure 2014227397
の関係で定式化することができなかった。
そこで、結晶子サイズに1/Dをとり、保磁力を対数表示形式にした結果を図18に示す。これにより結晶子サイズと保磁力の関係を直線近似することができた。次式(7)に結晶子サイズと保磁力の関係を示す。
Figure 2014227397
3.4ひずみ(結晶中の転位)
図19は、64時間メカニカルミリングを施したAlFe粉体の磁化測定を行った結果である。ミリング直後に磁気測定を行った結果、保磁力がおよそ350エルステッドとなっった(図中、as milled)。そこから、熱処理を200、300、400、500度でおこなった。これにより、保磁力が徐々に減っていくことが分かる。熱処理によって結晶粒内の歪みが回復されるからである。このことは、逆にいうと、メカニカルミリングによって結晶粒内に歪みがもたらされ、これにより保磁力が増加したということができる。
4.まとめ
本実験では、原料粉末にFeとAlを用いて、アルミニウム基の磁性材料開発を目的とした基礎実験を行い、メカニカルアロイングで与えられた変形、ひずみと磁性に伴う結晶子サイズと保磁力の関係について調査を行った。ボールミリング処理には自作の遊星ボールミリング装置を用いた。原料粉末には、電解鉄粉、アルミ粉を使用し、アルゴンガス中にて2〜128hrsの条件でボールミリング処理を行った。その各試料に対してX線回折測定を行い、Fe原子の固溶によるAlの回折パターンの変化を調べた。また、Scherrerの式より結晶子サイズを定量化した。電子顕微鏡観察を行いボールミル処理粉末の粒径や粒子形状について調べた。磁化測定を行い、ボールミリング時間と保磁力の関係を求めた。X線回折と磁化測定の結果より、結晶子サイズと保磁力の関係を算出した。その結果以下に示すようなことが分かった。
i)粉末に高密度の転位が導入され、充分に加工硬化されたことがわかった。今後、さらにMA時間を長くすることで粒子径は、より微細に均一な粉末を得ることができると考えられる。
ii)短時間のボールミリングでは主に結晶子サイズの微細化が進み、長時間のボールミリングでは高密度の転位による保磁力の増加が確認できた。
iii)128hr.までのボールミリング処理では、秩序化した金属間化合物の形成はなかった。しかし、Alのfcc格子の中にFeの原子が入りこんで一部固溶体が形成されることがわかった。

Claims (8)

  1. 非磁性材料粉末と強磁性材料粉末を原料とした機械的造粒法により、非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させた強磁性非磁性複合体を製造する方法。
  2. 請求項1の強磁性非磁性複合体の製造方法において、
    前記強磁性非磁性複合体中の結晶子の直径が、200オングストローム以下となるまで、前記機械的造粒法を行うことを特徴とする製造方法。
  3. 請求項1または2の強磁性非磁性複合体の製造方法において、
    前記強磁性非磁性複合体の直径が、0.8ミリメータ以下となるまで、前記機械的造粒法を行うことを特徴とする製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの強磁性非磁性複合体の製造方法において、
    前記非磁性材料粉末は、アルミニウム粉末またはチタン粉末であり、
    前記強磁性材料粉末は、フェライト粉末、鉄粉末、コバルト粉末、ニッケル粉末のいずれかであることを特徴とする製造方法。
  5. ハイパーサーミア温熱治療のための微小発熱体であって、
    非磁性体粒子に強磁性材料粒子を分散させた強磁性非磁性複合体を備えた微小発熱体。
  6. 請求項5の微小発熱体において、
    前記強磁性非磁性複合体中の結晶子の直径が、200オングストローム以下であることを特徴とする微小発熱体。
  7. 請求項5または6の微小発熱体において、
    前記強磁性非磁性複合体の直径が、0.8ミリメータ以下であることを特徴とする微小発熱体。
  8. 請求項5〜7のいずれかの微小発熱体において、
    前記非磁性材料粉末は、アルミニウム粉末またはチタン粉末であり、
    前記強磁性材料粉末は、フェライト粉末、鉄粉末、コバルト粉末、ニッケル粉末のいずれかであることを特徴とする微小発熱体。

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