JP2014226646A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】コバルト含有酸化物を含む新規の排ガス浄化用触媒を提供する。
【解決手段】コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子を含み、前記第1の金属元素が前記第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有することを特徴とする排ガス浄化用触媒が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関し、より詳しくはコバルト含有酸化物を含む排ガス浄化用触媒に関する。
従来、自動車の排ガス浄化用触媒としては、排ガス中の一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化と窒素酸化物(NOx)の還元とを同時に行う三元触媒が用いられている。このような触媒としては、アルミナ(Al23)等の多孔質酸化物担体に、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素を担持させたものが広く知られている。
しかしながら、これらの白金族元素は、自動車の排ガス規制の強化とともに使用量が増加しており、それゆえ資源の枯渇が懸念されている。このため、白金族元素の使用量を減らすとともに、将来的には、当該白金族元素の役割を他の金属等で代替することが必要とされている。
そこで、白金族元素の使用量を減らすための又はそれに代わる触媒成分について多くの研究が行われている。このような触媒成分の1つにコバルト又はその酸化物等があり、これらを用いた排ガス浄化用触媒について幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、銅及び/又はコバルトを担持した酸化ジルコニウム又は酸化チタンと、銅置換型ゼオライトとを混合してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒が記載されている。また、特許文献1では、第一成分であるCu及び/又はCo担持ZrO2又はTiO2触媒の酸化作用によって排ガス中のCOの酸化が促進され、それと同時に排ガス中のNOの一部が酸化されてNO2が生成すること、さらには上記の排ガス浄化用触媒によれば、CO酸化反応とNH3によるNOx還元反応を同一の触媒層で行うことができるため、同一の反応器でCO除去と脱硝を同時に行なうことができると記載されている。
特許文献2では、AB24で表されるスピネル型の複合金属酸化物からなる触媒粒子を含有し、Aサイト元素がFe、Cr、Co、及びCuから選ばれる少なくとも1つであり、Bサイト元素がMn、Fe、Cr、Co、及びAlから選ばれる少なくとも1つである(但し、Aサイト元素とBサイト元素が同じ元素のもの、Aサイト元素がFeでありかつBサイト元素がAlであるもの、Aサイト元素がCrでありかつBサイト元素がAlであるもの、Aサイト元素がCoでありかつBサイト元素がAlであるものを除く)ことを特徴とする排ガス浄化触媒が記載されている。また、特許文献2では、上記触媒粒子の表面にMn、Fe、Cr、Co、Cuの少なくとも1つの金属元素を含む酸化物微粒子が存在している排ガス浄化触媒がさらに記載されている。
特許文献3では、一般式(M1-xCux)O・nAl23(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは、0<x≦1の原子割合を示し、nは、0.08〜5を示す。)で表されるスピネル型複合酸化物を含むことを特徴とする触媒組成物が記載されている。
特開平2−107315号公報 特開2013−027858号公報 特開2011−045840号公報
特許文献1では、CO酸化触媒に関して、銅及び/又はコバルトを担持した酸化ジルコニウム又は酸化チタンが記載されているものの、特許文献1では、銅とコバルトの組み合わせ及びその効果については何ら具体的には開示されていない。また、特許文献1では、排ガス浄化用触媒に関するHC酸化活性の向上という観点からは必ずしも十分な検討がなされておらず、それゆえ当該特許文献1に記載の排ガス浄化用触媒では、その触媒性能に関して依然として改善の余地があった。
特許文献2及び3では、排ガス浄化用触媒におけるコバルトを含有するスピネル型複合酸化物の使用について記載されているものの、特許文献2に記載の排ガス浄化用触媒では、HCの酸化活性について必ずしも十分な触媒性能を達成できない場合があり、一方で、特許文献3では、排ガス浄化用触媒に関するHC酸化活性の向上という観点からは必ずしも十分な検討がなされていない。したがって、これらの特許文献に記載の排ガス浄化用触媒では、その触媒性能に関して依然として改善の余地があった。
そこで、本発明は、コバルト含有酸化物を含む新規の排ガス浄化用触媒であって、排ガスの浄化活性、特にはHC酸化活性が改善された排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は下記にある。
(1)コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子を含み、前記第1の金属元素が前記第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有することを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
(2)前記コバルト含有酸化物が四酸化三コバルトであることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(3)前記コバルト含有酸化物が、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含みかつスピネル型構造を有する複合酸化物であることを特徴とする、上記(1)に記載の排ガス浄化用触媒。
(4)前記添加金属元素が、前記複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、前記添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させるようなものであることを特徴とする、上記(3)に記載の排ガス浄化用触媒。
(5)前記添加金属元素が、銅、銀、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(3)又は(4)に記載の排ガス浄化用触媒。
(6)前記添加金属元素が銅であることを特徴とする、上記(5)に記載の排ガス浄化用触媒。
(7)前記第1の金属元素が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(8)前記第1の金属元素が、コバルトよりも高い電気陰性度を有する金属元素であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(9)前記第1の金属元素がケイ素であることを特徴とする、上記(7)又は(8)に記載の排ガス浄化用触媒。
(10)前記第2の金属元素が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(11)前記第2の金属元素がバリウムであることを特徴とする、上記(10)に記載の排ガス浄化用触媒。
(12)前記第1の金属元素と前記第2の金属元素の合計の平均含有量が0mol%超25mol%未満であることを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の排ガス浄化用触媒。
(13)前記第1の金属元素と前記第2の金属元素の合計の平均含有量が1mol%以上10mol%以下であることを特徴とする、上記(12)に記載の排ガス浄化用触媒。
(14)前記第1の金属元素と前記第2の金属元素が等モル量であることを特徴とする、上記(12)又は(13)に記載の排ガス浄化用触媒。
本発明によれば、コバルト含有酸化物を電気陰性度が異なる2種の金属元素の酸化物と組み合わせて使用することにより、当該電気陰性度が異なる2種の金属元素の酸化物を含まない触媒と比較して、得られる排ガス浄化用触媒において同等のCO酸化活性を維持しつつ、HC酸化活性、特には低温下におけるHC酸化活性を顕著に改善することができる。さらに、上記のコバルト含有酸化物としてコバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含みかつスピネル型構造を有する複合酸化物を使用することで、このような添加金属元素によってスピネルの結晶構造に生じる歪みの作用と、上記第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物によって得られる作用との相乗的な効果により、得られる排ガス浄化用触媒においてCO及びHCの両方において極めて高い酸化活性を達成することが可能である。
スピネル型構造を有する金属酸化物の模式図である。 本発明の排ガス浄化用触媒におけるHC酸化反応のメカニズムを示す概念図である。 例D〜例Iの各排ガス浄化用触媒におけるHC50%浄化温度を示すグラフである。
<排ガス浄化用触媒>
本発明の排ガス浄化用触媒は、コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子を含み、前記第1の金属元素が前記第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有することを特徴としている。
先に記載したとおり、白金族元素の使用量を減らすという観点から、白金族元素以外の金属元素又はその酸化物等を触媒成分として使用した排ガス浄化用触媒についてこれまで多くの研究が行われており、このような触媒成分の1つにコバルト含有酸化物がある。このコバルト含有酸化物の中でも、例えば、四酸化三コバルト(Co34)は、酸化物イオンの立方最密充填単位格子の八面体間隙にCo3+イオンが配置され、さらに四面体間隙にCo2+イオンが配置されたスピネル型構造を有する金属酸化物であり、そのCo3+イオンの存在のために高い酸化活性を有することが一般的に知られている。
しかしながら、このようなコバルト含有酸化物、特には四酸化三コバルト(Co34)等を排ガス浄化用触媒の触媒成分として単に使用したとしても、必ずしも十分な酸化活性を達成することができない場合があり、特に低温下における酸化活性については依然として改善の余地がある。
本発明者は、このコバルト含有酸化物を電気陰性度が異なる2種の金属元素の酸化物と組み合わせて使用することにより、より詳しくはコバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子であって、当該第1の金属元素が当該第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有する複合粒子を構成することで、得られる排ガス浄化用触媒の酸化活性、特には低温下におけるHC酸化活性を顕著に改善することができることを見出した。
[コバルト含有酸化物]
本発明によれば、コバルト含有酸化物としては、コバルトを含有する任意の酸化物を使用することができ、特に限定されないが、例えば四酸化三コバルト(Co34)等を使用することができる。四酸化三コバルトは、上記のとおり、スピネル型構造を有する金属酸化物であり、そのCo3+イオンの存在のために高い酸化活性を有する。したがって、本発明におけるコバルト含有酸化物として四酸化三コバルトを使用することで、得られる排ガス浄化用触媒の酸化活性、特には低温下におけるCO及びHC酸化活性を顕著に改善することが可能である。
本発明の好ましい実施態様によれば、コバルト含有酸化物としては、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含みかつスピネル型構造を有する複合酸化物を使用することができる。
本発明者は、本発明におけるコバルト含有酸化物として、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含みかつスピネル型構造を有する複合酸化物を使用することで、このような添加金属元素によってスピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができ、その結果として、排ガス浄化用触媒のより高い酸化活性、特にはより高いCO及びHC酸化活性を達成できることをさらに見出した。
なお、本発明において「複合酸化物」とは、2種以上の金属酸化物が少なくとも部分的に固溶している材料を意味し、それゆえ、当該「複合酸化物」には、いわゆる個々の金属酸化物の単純な物理混合物は包含されない。
したがって、例えば、本明細書において「コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素との複合酸化物」と記載される場合には、酸化コバルトと添加金属元素の酸化物とが少なくとも部分的に固溶しており、特にはコバルトと添加金属元素とが、少なくとも部分的に、単一結晶構造の酸化物、特にはスピネル型構造の酸化物を互いに形成していることを意味する。より具体的に言えば、例えば、添加金属元素が銅である場合には、「コバルトと銅の複合酸化物」とは、酸化コバルトと酸化銅とが固溶している部分だけでなく、酸化コバルトと酸化銅とがそれぞれ単独で存在している部分を含んでいてもよい。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、触媒成分としてスピネル型構造を有するコバルト酸化物、すなわち四酸化三コバルトを使用した排ガス浄化用触媒においては、活性種である四酸化三コバルトの結晶格子中に存在する酸素を如何にして反応に寄与させるかということが極めて重要であると考えられる。というのも、反応の際、四酸化三コバルトからその結晶格子中の酸素が放出されると、このような酸素種は不対電子を有するいわゆる酸素ラジカルであると考えられ、気相中の酸素と比較して非常に不安定でありすなわち反応性が高いからである。
一方で、四酸化三コバルトにコバルトとは異なる添加金属元素を導入又はドープした複合酸化物では、イオン半径の相違やヤーンテラー効果等に基づいてスピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができ、その結果として、このような添加金属元素を含まないコバルト酸化物と比較して、結晶格子中の酸素がより放出されやすい状態になると考えられる。したがって、本発明におけるコバルト含有酸化物として上記の複合酸化物を使用することで、当該複合酸化物からより多く放出されるこのような反応性の高い酸素種によって排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性を顕著に改善することが可能であると考えられる。
図1は、スピネル型構造を有する金属酸化物の模式図である。図1を参照すると、四面体酸素の中心位置に2価金属(MTET)原子が存在し、一方で、八面体酸素の中心位置に3価金属(MOCT)原子が存在していることがわかる。ここで、図中のMTET−Oとは、2価金属(MTET)原子とそれに配位する酸素(O)原子との間の結合を表し、一方で、MOCT−Oとは、3価金属(MOCT)原子とそれに配位する酸素(O)原子との間の結合を表す。本発明について言えば、コバルトと添加金属元素との複合酸化物においてこれらのMTET−O結合及び/又はMOCT−O結合の距離を測定すること、より具体的にはこれらの結合の伸張及び/又は収縮を測定することによって当該複合酸化物における結晶構造の歪みを定量的に評価することが可能である。
そして、本発明者は、コバルトと添加金属元素とからなるスピネル型構造を有する複合酸化物において、当該複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、MTET−O結合の距離が伸張し及び/又はMOCT−O結合の距離が収縮しているときに、得られる排ガス浄化用触媒のCO酸化活性等が改善されることを見出した。
したがって、本発明において上記の複合酸化物に導入される添加金属元素としては、当該複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させることができる任意の金属元素を使用することが可能である。
一般的には、本発明における添加金属元素としては、上記の複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を0.002Å以上、0.005Å以上、0.01Å以上、0.02Å以上、0.03Å以上、0.04Å以上、0.05Å以上伸張させるようなものであることが好ましい。また、このような伸張は、一般的には、0.15Å以下、0.10Å以下、0.09Å以下、0.08Å以下、0.07Å以下、又は0.06Å以下であることが好ましい。
加えて又はその代わりに、本発明における添加金属元素としては、上記の複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、当該複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を0.002Å以上、0.005Å以上、0.01Å以上、0.02Å以上、又は0.03Å以上収縮させるようなものであることが好ましい。また、このような収縮は、一般的には、0.10Å以下、0.09Å以下、0.08Å以下、0.07Å以下、0.06Å以下、又は0.05Å以下であることが好ましい。
具体的には、本発明における添加金属元素としては、銅(Cu)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、又はそれらの組み合わせを使用することができ、好ましくは銅(Cu)を使用することができる。これらの添加金属元素を使用することで、本発明における複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、これらの添加金属元素を含まないコバルト含有酸化物と比較して、例えばMTET−O結合の距離を伸張させることができるか、及び/又はMOCT−O結合の距離を収縮させることができるので、最終的に得られる排ガス浄化用触媒の酸化活性、特には低温下におけるCO及びHC酸化活性を確実に改善することが可能である。
なお、リートベルト解析法においては、測定されたX線回折の強度データ、及びスピネル結晶の構造モデルを入力値として与え、格子定数、原子の分率座標、原子の各サイトでの占有率、原子変位パラメータ等の構造パラメータなどを動かすことで、計算された回折強度と測定された回折強度ができるだけ一致するように精密化される。また、バックグラウンド、ゼロ点シフト、試料変位パラメータ、試料透過パラメータ、表面粗さパラメータ、プロファイルの対称性に関するパラメータ等の測定方法や試料の状態や装置に由来するパラメータについても精密化される。
また、上記複合酸化物中におけるコバルトと添加金属元素の割合は、得られる複合酸化物がスピネル構造を形成することができ、かつ当該スピネルの結晶構造に歪みを生じさせることができる範囲において適宜選択すればよく特に限定されないが、一般的には、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が、1:0.1〜1、好ましくは1:0.3〜0.8、より好ましくは1:0.4〜0.7、最も好ましくは1:0.5となるような範囲において適宜選択することができる。
なお、本発明において「コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)」とは、コバルトと添加金属元素との複合酸化物を合成する際に導入されるコバルト及び添加金属元素の各塩中に含まれるコバルトと添加金属元素とのモル比を言うものである。
本発明の排ガス浄化用触媒では、コバルト含有酸化物は、任意の適切な量において後で説明する触媒担体上に担持してもよい。特に限定されないが、例えば、コバルト含有酸化物は、当該コバルト含有酸化物中に含まれるコバルト及び/又は添加金属元素の量(金属換算担持量)が当該触媒担体に対して、一般的に、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、若しくは4質量%以上、及び/又は20質量%以下、15質量%以下、若しくは10質量%以下となるような範囲において当該触媒担体上に担持してもよい。四酸化三コバルト(Co34)等のコバルト含有酸化物は、その耐熱性が必ずしも十分なものではなく、それゆえ高温下に長時間曝されると、シンタリングを生じて粒成長する場合がある。これに対し、コバルト含有酸化物を触媒担体上に担持して使用することで、コバルト含有酸化物と触媒担体との間の相互作用により、このようなシンタリングによる粒成長を抑制することができ、その結果として排ガス浄化用触媒の排ガス浄化性能を高い状態のまま維持することが可能である。
[第1の金属元素及び第2の金属元素]
本発明によれば、上記のコバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子であって、当該第1の金属元素が当該第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有する複合粒子が使用される。
図2は、本発明の排ガス浄化用触媒におけるHC酸化反応のメカニズムを示す概念図である。理解を容易にするため、第1の金属元素としてケイ素(Si)を使用し、そして第2の金属酸化物としてバリウム(Ba)を使用した場合について具体的に説明する。ここで、Siの電気陰性度は1.90であるのに対し、Baの電気陰性度は0.89である。図2を参照すると、本発明の排ガス浄化用触媒10は、例えば、触媒担体11上にコバルト(Co)12と酸素(O)13を含むコバルト含有酸化物が担持され、さらに当該コバルト含有酸化物上にケイ素(Si)14及びバリウム(Ba)15がそれぞれ酸化物の形態で分散され、すなわちCo、Si及びBaがナノレベルで互いに近接した状態にある構成を有する。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の排ガス浄化用触媒10では、まず、排ガス中の炭化水素種が、活性種であるコバルト含有酸化物に吸着するか又はその近傍に吸着し、次いで当該コバルト含有酸化物に近接して存在しているSi14及びBa15によって当該炭化水素種が活性化され、当該活性化された炭化水素種が最終的にコバルト含有酸化物によって酸化浄化されると考えられる。
具体的には、本発明の排ガス浄化用触媒10では、上記のように近接した状態で存在するSi14とBa15が、それらの電気陰性度の差に起因してそれぞれδ+とδ-に帯電していると考えられる。より詳しく説明すると、Si14とBa15は上記のとおり近接した状態で存在しているものの、それらは同一分子内ではなくそれぞれ酸化物として別々に存在している。このような場合には、Si14はBa15よりも電気陰性度が高くすなわち電子を引きつける力が強いために、相対的に見た場合にはSi14がδ+に帯電し、Co15がδ-に帯電しているとみなす事ができる。一方で、排ガス中の炭化水素種は、同一分子内に存在する炭素と水素の電気陰性度の差に起因してC−H結合中のCがδ-に、Hがδ+にそれぞれ分極している。そして、この分極した炭化水素種は、活性種であるコバルト含有酸化物に吸着するか又はその近傍に吸着した後、Si14とBa15が互いに近接した状態で存在する触媒表面と結びつき、すなわちプラスに帯電しているSi14にマイナスに帯電しているCが結合し、一方で、マイナスに帯電しているBa15にプラスに帯電しているHが結合すると考えられる。その結果として、排ガス中の炭化水素が活性化され、すなわち炭化水素中のC−H結合が解離しやすい状態になる。そして、C−H結合の解離反応が生じた場合には、不対電子を有する不安定なラジカルが生成するため、このような不安定なラジカルは、上記のSi14及びBa15に近接して存在する活性種のコバルト含有酸化物によって比較的容易に酸化浄化されると考えられる。より具体的には、例えば、C−H結合が解離した炭化水素が、図2に示すようにコバルト含有酸化物の結晶格子から放出された反応性の高い酸素等と反応して、当該炭化水素が二酸化炭素(CO2)や水(H2O)に酸化浄化されると考えられる。
炭化水素の酸化は、当該炭化水素中のC−H結合を切断する必要があることから、C−O結合の切断を必ずしも必要としないCOの酸化に比べて困難であることが一般に知られている。しかしながら、本発明の排ガス浄化用触媒によれば、触媒成分であるコバルト並びにHCの活性化に寄与すると考えられる第1の金属元素及び第2の金属元素が上記のように近接した状態で存在することで、当該第1の金属元素と当該第2の金属元素との間の電気陰性度の差を利用して炭化水素を活性化し、その結果として当該炭化水素中のC−H結合を比較的容易に切断することが可能である。したがって、本発明の排ガス浄化用触媒によれば、触媒成分としてコバルト含有酸化物のみを有する触媒と比較した場合に、特に炭化水素の酸化に対してより高い酸化活性を達成することが可能である。
本発明によれば、第1の金属元素としては、第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有しかつ酸化物を形成することができる任意の金属元素を使用することができる。特に限定されないが、このような金属元素としては、例えば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素が使用され、好ましくはコバルトよりも高い電気陰性度を有する金属元素が使用され、より好ましくはケイ素が使用される。
とりわけ、排ガス浄化用触媒の技術分野では、ケイ素は、触媒担体として酸化物の形態、すなわちシリカの形態で使用されることが一般的に知られているものの、触媒成分及び/又は助触媒成分としての使用は必ずしも一般的には知られていない。したがって、コバルト含有酸化物上にケイ素酸化物を分散させ、さらには後で説明する第2の金属元素の酸化物を分散させた複合粒子を触媒成分として使用することにより、得られる排ガス浄化用触媒の酸化活性、特には低温下におけるHC酸化活性を顕著に改善することができるということは極めて意外であり、また驚くべきことである。
また、第1の金属元素としてコバルトよりも高い電気陰性度を有する金属元素、特にはケイ素を使用した場合には、当該第1の金属元素は第2の金属元素との間でδ+とδ-に帯電するだけでなく、同様に近接して存在しているコバルトとの間でもδ+とδ-に帯電していると考えられる。この場合には、排ガス中の炭化水素種は、第1の金属元素と第2の金属元素によって活性化されるだけでなく、第1の金属元素とコバルトによっても活性化されると考えられる。すなわち、排ガス中のある炭化水素種では、プラスに帯電している第1の金属元素にマイナスに帯電しているCが結合し、マイナスに帯電している第2の金属元素にプラスに帯電しているHが結合して活性化され、一方で、排ガス中の同じか又は別の炭化水素種では、プラスに帯電している第1の金属元素にマイナスに帯電しているCが結合し、マイナスに帯電しているコバルトにプラスに帯電しているHが結合して活性化される。したがって、本発明における第1の金属元素としてコバルトよりも高い電気陰性度を有する金属元素を使用することで、炭化水素の酸化に対してより高い酸化活性を達成することが可能である。
本発明によれば、第2の金属元素としては、第1の金属元素よりも低い電気陰性度を有しかつ酸化物を形成することができる任意の金属元素を使用することができる。特に限定されないが、このような金属元素としては、例えば、アルカリ金属、例えばリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等、アルカリ土類金属、例えばベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等、希土類金属、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属元素が使用され、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属が使用され、より好ましくはバリウムが使用される。
これらの金属元素の中でも、バリウムはその電気陰性度が0.89と非常に低く、それゆえ第2の金属元素としてバリウムを使用し、それをケイ素等の第1の金属元素と組み合わせた場合には、排ガス中の炭化水素の活性化、すなわち炭化水素中のC−H結合の解離をより促進させることができる。したがって、本発明における第2の金属元素としてバリウムを使用することで、得られる排ガス浄化用触媒のHC酸化活性を顕著に改善することが可能である。
本発明によれば、第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量は、0mol%超25mol%未満であることが好ましい。
第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量が0mol%すなわち複合粒子中に当該第1の金属元素と当該第2の金属元素を全く含まない場合には、当然ながらこれらの金属元素の添加効果を得ることはできない。したがって、この場合には、排ガス浄化用触媒において十分な酸化活性、特にはHC酸化活性を達成することができない。一方で、第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量が25mol%以上である場合には、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物がそれぞれ凝集して粗大な粒子を形成し、第1の金属元素及び第2の金属元素が近接して存在することによる本発明の効果、特には炭化水素の活性化効果を十分に得ることができない場合がある。加えて、第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量が25mol%以上である場合には、複合粒子中のコバルト含有酸化物の活性点数が少なくなる。この場合には、複合粒子中に比較的多い量で存在する第1の金属元素及び第2の金属元素によってその活性点が覆われることがあるため、最終的に得られる排ガス浄化用触媒について十分な酸化活性を達成できない場合がある。したがって、第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量には、これらの金属元素による添加効果、及びコバルト含有酸化物の活性点数等を考慮した最適値が存在するものと考えられる。
本発明によれば、第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量を、0mol%超、特には1mol%以上、3mol%以上若しくは5mol%以上とし、かつ25mol%未満、特には20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下若しくは8mol%以下とし、例えば0mol%超25mol%未満、0mol%超20mol%以下、0mol%超15mol%以下、1mol%以上10mol%以下、又は3mol%以上10mol%以下とすることで、コバルト含有酸化物の活性点数を維持しつつ、第1の金属元素及び第2の金属元素による添加効果を十分に発揮させ、結果として酸化活性、特には低温下におけるHC酸化活性が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることが可能である。
また、第1の金属元素及び第2の金属元素のそれぞれの平均含有量は、それらの合計が上記範囲内になるように適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば0mol%超15mol%以下、0mol%超10mol%以下、0.5mol%以上5mol%以下、又は1.5mol%以上5mol%以下であり、特には第1の金属元素及び第2の金属元素が等モル量となることが好ましい。
なお、本発明において「第1の金属元素と第2の金属元素の合計の平均含有量」とは、本発明の排ガス浄化用触媒を製造する際に導入されるコバルト、任意選択の添加金属元素、第1の金属元素、及び第2の金属元素の各塩中に含まれる金属元素の合計モル数に対する第1の金属元素と第2の金属元素の合計モル数の割合を言うものである。
本発明における複合粒子は、上記のとおり、コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された構成を有し、それゆえ、当該複合粒子には、コバルト含有酸化物と第1の金属元素の酸化物及び/又は第2の金属元素の酸化物との固溶体や、コバルト含有酸化物、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物の単純な物理混合物等は包含されない。
本発明によれば、コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子を使用することで、排ガスと接触する当該複合粒子の表面上でコバルト、第1の金属元素及び第2の金属元素をナノレベルで互いに近接した状態で以って存在させることが可能である。その結果として、上で説明した第1の金属元素及び第2の金属元素との間の電気陰性度の差を利用した炭化水素の活性化、さらにはそうして活性化された炭化水素のコバルトによる酸化浄化を効率的に進行させることが可能となる。
しかしながら、例えば、各構成要素の単純な物理混合や、従来公知のいわゆる含浸法等では、上記のような複合粒子を含む触媒を確実に調製することはできない。したがって、これらの方法によって調製された触媒では、コバルト含有酸化物と第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物とを組み合わせたことによる効果を十分に発揮させることができない。
本発明によれば、上記の複合粒子の平均粒径は0nm超100nm以下であることが好ましい。
複合粒子の平均粒径が100nmよりも大きくなると、コバルト含有酸化物、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物のそれぞれが凝集して粗大な粒子を形成し、その結果としてコバルト、第1の金属元素及び第2の金属元素が近接して存在することによる本発明の効果、特には炭化水素の活性化及び当該活性化された炭化水素の酸化活性を十分に達成できない場合がある。また、複合粒子がこのような大きな平均粒径を有する場合には、当該複合粒子の表面積が小さくなってコバルト含有酸化物の活性点数が少なくなり、最終的に得られる排ガス浄化用触媒について十分な酸化浄化を効率的に進行させることができない場合がある。したがって、本発明の排ガス浄化用触媒においては、複合粒子は、一般的には0nm超100nm以下の平均粒径を有し、好ましくは0nm超90nm以下、0nm超80nm以下、0nm超70nm以下、0nm超60nm以下、0nm超50nm以下、0nm超40nm以下、0nm超30nm以下、0nm超20nm以下、0nm超15nm以下、又は0nm超10nm以下の平均粒径を有する。このような平均粒径を有する複合粒子を触媒成分として使用することで、コバルト、第1の金属元素及び第2の金属元素をナノレベルで近接して存在させて当該第1の金属元素及び第2の金属元素による添加効果を十分に発揮させ、結果として酸化活性、特には低温下におけるHC酸化活性が顕著に改善された排ガス浄化用触媒を得ることができる。
なお、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡を用いて、無作為に選択した100個以上の粒子の定方向径(Feret径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値を言うものである。
[触媒担体]
本発明によれば、上記の複合粒子を触媒担体に担持して使用する場合には、当該触媒担体としては、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に触媒担体として用いられる任意の金属酸化物を使用することができる。このような触媒担体としては、例えば、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、シリカ(SiO2)、チタニア(TiO2)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。また、触媒担体としてアルミナ(Al23)等を使用することも可能であるが、この場合には、アルミナがコバルト含有酸化物と反応してコバルトアルミネートを生成してしまう虞がある。それゆえ、触媒担体としては、アルミナを含まない材料を使用することがより好ましい。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本発明の排ガス浄化用触媒によるCO及びHCの酸化反応では、気相中の酸素以外にも、コバルト含有酸化物の結晶格子から放出された酸素等も、排ガス中のCO及びHCの酸化浄化に対する酸素源として反応に寄与するものと考えられる。しかしながら、一方で、コバルト含有酸化物の結晶格子から次々に酸素が放出されてしまうと、結晶格子中に酸素空孔が生成し、最終的には当該コバルト含有酸化物が還元されてその酸化活性が著しく低下してしまう場合がある。
したがって、本発明における複合粒子が担持される触媒担体としては、少なくともセリアを含有するセリア系酸化物を使用することが特に好ましい。当該セリア系酸化物は、いわゆる酸素吸放出能(OSC能)を有することが一般に知られている。それゆえ、当該触媒担体としてセリア系酸化物を使用することにより、当該セリア系酸化物からコバルト含有酸化物に酸素を供給することが可能となる。その結果として、コバルト含有酸化物における上記の酸素空孔に酸素が補填されて当該コバルト含有酸化物の酸化活性の低下を防ぐことができ、排ガス浄化用触媒のCO及びHC酸化活性を高い状態のまま維持することが可能となる。
本発明の排ガス浄化用触媒によるCO及びHC酸化反応がリーン雰囲気(酸素過剰雰囲気)下で行われる場合には、気相中に過剰に存在する酸素によって上記のようなコバルト含有酸化物の失活を防ぐことができると考えられる。しかしながら、当該酸化反応がリッチ雰囲気(燃料過剰雰囲気)下で行われる場合には、気相中の酸素によっては十分にコバルト含有酸化物の失活を防ぐことができない場合がある。したがって、このような場合には、上記の触媒担体としてセリア系酸化物を使用することは極めて有効である。
上記のセリア系酸化物としては、セリアを含有する酸化物であればよく、例えばセリアと他の金属元素の酸化物との複合酸化物であってもよい。特に限定されないが、セリア系酸化物は、例えば、セリア(CeO2)、セリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)複合酸化物、セリア−チタニア(CeO2−TiO2)複合酸化物、セリア−シリカ(CeO2−SiO2)複合酸化物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができ、酸素吸放出能(OSC能)の観点から、セリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)複合酸化物を使用することがより好ましい。ただし、触媒担体としてセリア−アルミナ(CeO2−Al23)複合酸化物等を使用した場合には、当該複合酸化物中のアルミナがコバルト含有酸化物と反応してコバルトアルミネートが生成してしまう虞がある。したがって、セリア系酸化物としては、アルミナを含まない材料を使用することがより好ましい。
また、上記のセリア系酸化物は、例えば、セリア又はセリア−ジルコニア複合酸化物のほかに、追加の金属元素をさらに含むこともできる。例えば、セリア系酸化物は、アルカリ土類金属及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種の金属元素をさらに含むことができる。このような追加の金属元素を含むことで、例えば、セリア又はセリア−ジルコニア複合酸化物の耐熱性を顕著に向上させることが可能である。このような追加の金属元素の具体的な例としては、例えば、バリウム(Ba)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。
<製造方法>
本発明の排ガス浄化用触媒は、共沈法、ゾル−ゲル法等の従来公知の方法を用いて調製することが可能である。しかしながら、コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された状態にあることを確実にするために、さらにはコバルト含有酸化物が添加金属元素を含む複合酸化物である場合に、コバルトと当該添加金属元素とが少なくとも部分的に固溶することを確実にするためには、以下に説明するようなクエン酸合成法を使用することが特に好ましい。
[クエン酸合成法]
クエン酸合成法では、まず、コバルト塩、必要に応じて添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩、第2の金属元素の塩、錯化剤(特にはクエン酸)、及び1つ又は複数の溶媒を含む混合溶液が調製され、次いで、当該混合溶液に必要に応じて触媒担体が導入されて所定の温度で加熱される。
このような方法によれば、コバルトイオン、任意選択の添加金属元素のイオン、さらには第1の金属元素のイオン及び第2の金属元素のイオンを錯化剤により錯化(キレート化)することで、コバルト含有酸化物からなる粒子上への第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物の分散、さらにはコバルトと添加金属元素との部分的又は完全な固溶を促進させることができるので、最終的に得られる排ガス浄化用触媒においてより高い酸化活性、特にはより高いCO及びHC酸化活性を達成することができる。
理解を容易にするため、コバルト含有酸化物が添加金属元素を含む場合についてより詳しく説明すると、クエン酸合成法を利用した本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法では、まず、コバルト塩、添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩及び第2の金属元素の塩が1つ又は複数の溶媒、例えばエタノール等のアルコールや水に導入され、そして十分に攪拌及び混合されて金属塩溶液が調製される。
ここで、コバルト塩、添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩及び第2の金属元素の塩としては、特に限定されないが、例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を使用することができる。なお、コバルト塩、添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩及び第2の金属元素の塩は、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が1:0.1〜1であり、かつ各金属元素の合計モル数に対する第1の金属元素及び第2の金属元素のモル数の割合が0mol%超25mol%未満となるような範囲において導入され、金属塩溶液中のコバルトイオン等の各金属イオンの合計濃度は0.01M〜0.2Mの範囲内であることが好ましい。
次に、錯化剤と任意選択でエステル化剤が1つ又は複数の溶媒、例えばエタノール等のアルコールや水に導入され、そして十分に攪拌及び混合されて錯化剤溶液が調製される。
ここで、錯化剤としては、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機酸を使用することができ、クエン酸以外にも、例えば、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸を使用することができる。また、当該錯化剤は、例えば、コバルトイオン等の各金属イオンの合計に対して、モル比で1〜10倍、又は1〜5倍の量で使用することができる。なお、任意選択のエステル化剤としては、多価アルコール、例えばエチレングリコールを使用することができ、当該エステル化剤は、錯化剤の場合と同様に、コバルトイオン等の各金属イオンの合計に対して、モル比で1〜10倍、又は1〜5倍の量で使用することができる。
次に、上記の金属塩溶液と錯化剤溶液を室温下で十分に混合した後、この混合溶液に必要に応じて触媒担体を導入し、室温下で十分に攪拌する。次いで、50℃〜90℃の温度で所定の時間にわたり加熱してキレート化反応を促進させ、そしてエステル化剤を含む場合には、さらに100℃〜160℃の温度で所定の時間にわたり加熱してエステル化反応を促進させる。
何ら特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、多価アルコール等のエステル化剤を使用した場合には、錯化剤によって形成された錯体と当該多価アルコールとが反応し(エステル重合)、それによって形成されたポリマーのネットワーク中に各金属元素を組み込むことができるので、最終的に得られる排ガス浄化用触媒においてコバルト含有酸化物からなる粒子上への第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物の分散、さらにはコバルトと添加金属元素との部分的又は完全な固溶をより促進させることができると考えられる。
最後に、得られた生成物を所定の温度及び時間、特には各金属塩の塩部分や、錯化剤、さらには任意選択のエステル化剤等を分解除去しかつコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において乾燥及び/又は焼成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。例えば、上記のキレート化及び任意選択のエステル化によって得られた生成物を、最大約500℃の温度で約2時間〜15時間にわたり加熱(か焼)して各金属塩の塩部分等を分解除去した後、酸化性雰囲気中、例えば空気中において最大約800℃、好ましくは約500℃〜約700℃の温度で約1時間〜約10時間にわたり焼成して本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。
[共沈合成法]
共沈合成法を利用した場合には、本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば以下のようにして製造することが可能である。
まず、コバルト塩、必要に応じて添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩、第2の金属元素の塩、及び1つ又は複数の溶媒、例えば水を含む金属塩溶液を調製し、次いで当該金属塩溶液に中和剤を添加する。その後、吸引ろ過や遠心分離などによってスラリーを洗浄する。次いで、得られたスラリーを触媒担体に含浸させ、最後にスラリーを含浸させた触媒担体を所定の温度及び時間、特には各金属塩の塩部分等を分解除去しかつコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において乾燥及び焼成することにより、本発明の排ガス浄化用触媒を得ることができる。
ここで、コバルト塩、添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩、及び第2の金属元素の塩としては、クエン酸合成法の場合と同様に、例えば、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等を使用することができる。なお、コバルト塩、添加金属元素の塩、第1の金属元素の塩、及び第2の金属元素の塩は、コバルト(Co)と添加金属元素(M)とのモル比(Co:M)が1:0.1〜1であり、かつ各金属元素の合計モル数に対する第1の金属元素の塩及び第2の金属元素の塩のモル数の割合が0mol%超25mol%未満となるような範囲において導入され、金属塩溶液中のコバルトイオン等の各金属イオンの合計濃度は0.01M〜0.2Mの範囲内であることが好ましい。
中和剤としては、特に限定されないが、例えば、アンモニア(NH3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等の無機塩基性化合物を使用することができる。また、中和剤として、例えば、ピリジン、(ポリ)エチレンジアミン化合物等の有機塩基性化合物を使用することもでき、好ましくは(ポリ)エチレンジアミン化合物を使用することができる。
なお、(ポリ)エチレンジアミン化合物としては、エチレン単位を1〜10個有するもの、特にエチレン単位を1〜6個有するものを挙げることができる。具体的には、好ましいポリエチレンジアミン化合物としては、エチレンジアミン(EDA:H2NCH2CH2NH2)、ジエチレントリアミン(DETA:H2NCH2CH2NHCH2CH2NH2)、トリエチレンテトラミン(TETA:H2NCH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2NH2)、テトラエチレンペンタミン[TEPA:H2N(CH2CH2NH)3CH2CH2NH2)]、ペンタエチレンヘキサミン[PEHA:H2N(CH2CH2NH)42CH2NH2]、特にエチレンジアミン(DDA)を挙げることができる。
1つ又は複数の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、又は水を使用することができ、好ましくは水を使用することができる。
中和剤を添加する際、溶液のpHは6〜11の範囲に調整することが好ましい。pHが低すぎると、コバルト等の析出反応が起こらず、一方で、pHが高すぎると、析出した前駆体が溶解することがある。
上記の金属塩溶液は、分散剤、例えばピロリドンンカルボン酸ナトリウム(PAA−Na)やポリビニルピロリドン(PVP)をさらに含んでもよい。
上記の乾燥及び焼成は、各金属塩の塩部分等を分解除去しかつコバルト含有酸化物等を形成するのに十分な温度及び時間において実施することができる。例えば、乾燥は、減圧下又は常圧下において約50℃〜約200℃の温度で約1時間〜約10時間にわたって実施することができ、一方で、焼成は、酸化性雰囲気中、例えば空気中において最大約800℃、好ましくは約500℃〜約700℃の温度で約1時間〜約10時間にわたって実施することができる。
なお、共沈合成法を実施するための反応容器は、特に限定されず、例えば、バッチ式の反応装置、連続式の反応装置等、任意の反応装置を使用することができる。
クエン酸合成法や共沈合成法を利用した製造方法と比較して、各構成要素の単純な物理混合や従来公知のいわゆる含浸法等、特に単純な物理混合では、コバルト含有酸化物、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物のそれぞれが凝集して粗大な二次粒子が形成される。その結果として、最終的に得られる排ガス浄化用触媒において高いCO及びHC酸化活性を達成することができない。
上記のようにして得られた本発明の排ガス浄化用触媒は、必要に応じて、例えば、高圧下でプレスしてペレット状に成形するか、又は所定のバインダ等を加えてスラリー化し、これをコージェライト製ハニカム基材等の触媒基材上に塗布することにより使用することができる。
なお、本明細書では、自動車の排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒について詳しく説明したが、本発明の排ガス浄化用触媒は、このような特定の技術分野に何ら限定されるものではなく、工場排ガスの浄化等、特には低温でのCO及び/又はHCの浄化が必要とされる任意の技術分野において幅広く適用することが可能である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<例A〜例C>
例A〜例Cでは、コバルト塩、コバルトとは異なる添加金属元素の塩を用いて排ガス浄化用触媒を調製し、添加金属元素の種類及び排ガス浄化用触媒の製造方法が当該排ガス浄化用触媒の性能に与える影響について検討した。
[例A:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Aでは、添加金属元素として、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにしてクエン酸合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.金属塩溶液の調製
硝酸コバルト及び添加金属元素の硝酸塩を、コバルト(Co)と添加金属元素(M)のモル比(Co:M)が1:0.5になるようにして純水に溶解し、十分に撹拌及び混合して金属塩溶液を得た。
2.錯化剤溶液の調製
錯化剤としてのクエン酸(CA)及びエステル化剤としてのエチレングリコール(EG)を、金属塩溶液のコバルト(Co)及び添加金属元素(M)の合計に対するクエン酸(CA)及びエチレングリコール(EG)のモル比(Co+M:CA:EG)が1:3:3になるようにして純水に加え、十分に撹拌及び混合して錯化剤溶液を得た。
3.担持
金属塩溶液及び錯化剤溶液を室温において十分に撹拌して原料混合溶液を得た。この原料混合溶液に触媒担体としてのセリア−ジルコニア複合酸化物(CZ:CeO2−ZrO2)粉末(株式会社キャタラー製、ACTALYS LISA)を当該セリア−ジルコニア複合酸化物粉末に対するコバルトの金属換算担持量が5質量%になる量において加え、室温で十分に撹拌した後、エバポレーターにて70℃で2時間にわたって減圧下で還流を行い、次いで140℃で4時間にわたって加熱することによりゲル状前駆体生成物を得た。
4.乾燥及び焼成
得られたゲル状前駆体生成物を電気炉において9時間にわたって400℃まで段階的に加熱し、次いで焼成炉において600℃で4時間にわたって焼成して触媒粉末を得た。
5.ペレット化
得られた触媒粉末を1トンの圧力の冷間等方圧プレス(CIP)によりペレット状に成形して例Aの排ガス浄化用触媒を得た。なお、個々のペレットは0.17cm3の体積を有していた。
[例B:共沈合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Bでは、添加金属元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにして共沈合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.スラリーの調製
例Bでは、例Aと同様にして得られた金属塩溶液に、当該金属塩溶液のpHが9になるまでピペットで水酸化ナトリウム溶液を滴下し、得られたスラリーをろ過により水洗した。
2.担持
上記のスラリーを、例Aで使用したのと同じセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に含浸させ、120℃で乾燥した後、600℃で焼成して触媒粉末を得た。
3.ペレット化
得られた触媒粉末を、例Aと同様にして、ペレット状に成形して例Bの排ガス浄化用触媒を得た。
[例C:含浸合成法を利用した排ガス浄化用触媒の製造]
例Cでは、添加金属元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のいずれか1種を使用し、具体的には以下のようにして含浸合成法を利用して排ガス浄化用触媒を製造した。また、比較のために、添加金属元素を含まない排ガス浄化用触媒についても同様に製造した。
1.担持
例Cでは、例Aと同様にして得られた金属塩溶液を、例Aで使用したのと同じセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に含浸させ、120℃で乾燥した後、600℃で焼成して触媒粉末を得た。
2.ペレット化
得られた触媒粉末を、例Aと同様にして、ペレット状に成形して例Cの排ガス浄化用触媒を得た。
<触媒の評価>
例A〜例Cの各排ガス浄化用触媒について、下記の条件で評価ガス温度を600℃まで昇温し、COの浄化率が50%になる温度(CO50%浄化温度:T50)を調べた。
評価ガス組成:
CO:0.65mol%
36:0.05mol%(1500ppmC)
2:0.58mol%
2:残部
使用触媒量: 約0.75g
ガス流量: 1リットル/分
空燃比(A/F): 15.02
空間速度(SV): 90,000h-1
<評価の整理1:添加金属元素の種類に基づく評価結果の整理>
例A(クエン酸合成法)、例B(共沈合成法)、及び例C(含浸合成法)を利用して製造した各排ガス浄化用触媒に関する評価結果を下表1に示す。
Figure 2014226646
表1から理解されるように、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、及び亜鉛(Zn)を添加金属元素として使用した場合に、CO浄化性能を改善することができた。
また、例A(クエン酸合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒と比較しても優れたCO浄化性能を達成することができた。しかしながら、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して排ガス浄化用触媒を製造した場合であっても、鉄及びマンガンを添加金属元素として使用した場合には、添加金属元素を含まない触媒と比較してCO浄化性能は改善されなかった。なお、例C(含浸合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒では、例A(クエン酸合成法)及び例B(共沈合成法)を利用して製造した排ガス浄化用触媒とは異なる傾向を示した。これは、含浸合成法では、コバルトと添加金属元素との間で適切な複合酸化物が形成されにくいことによるものと考えられる。一方で、特に図示しないが、添加金属元素として銅を使用し、クエン酸合成法及び共沈合成法を利用して製造した排ガス浄化用触媒について、当該排ガス浄化用触媒をエネルギー分散型X線分析装置付走査透過型電子顕微鏡(STEM−EDX)によって分析したところ、酸化コバルトと酸化銅とが固溶していることが確認された。
<評価の整理2:結晶構造の歪みの大きさに基づく評価結果の整理>
セリア−ジルコニア複合酸化物粉末を使用しなかったこと以外は例B(共沈合成法)と同様にして得られた酸化物粒子をX線回折によって分析した。そして、X線回折の分析結果に基づいて、リートベルト解析法により、得られた酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離及びMOCT−O結合の距離を求めた。
また、添加金属元素として銅を使用し、セリア−ジルコニア複合酸化物粉末を使用しなかったこと以外は例A(クエン酸合成法)と同様にして得られた酸化物粒子についても同様に評価した。さらに、添加金属元素として銅を使用し、例Cと同様にして得られた触媒粉末についても同様に評価した。それらの結果を下表2に示す。
Figure 2014226646
表2の結果から、コバルト(Co)を含有するスピネル型酸化物のCO浄化性能は、MTET−O結合の距離及びMOCT−O結合の距離に対して相関を有していることがわかる。すなわち、添加金属元素を含有しない酸化コバルト(Co34)と比較して、添加金属元素を含有する酸化コバルトのスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離が伸張している場合、及び/又はMOCT−O結合の距離が収縮している場合には、優れたCO浄化性能を達成することができた。
表2の例Bに関する結果をより詳しく考察すると、添加金属元素としてCuを使用した場合には、MTET−O結合の伸張及びMOCT−O結合の収縮が最も大きく、それに比例して最も低いCO50%浄化温度T50が得られ、したがって最も高いCO浄化性能を達成することができた。
一方で、添加金属元素としてAgを使用した場合には、Agは一般に固溶しない系であるにもかかわらず、共沈合成法を利用することで、添加金属元素を含有しない酸化コバルト(Co34)と比較して、当該酸化コバルトのスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を約0.0165Å伸張させ、及びMOCT−O結合の距離を約0.0168Å収縮させることができた。この結果から、添加金属元素としてAgを使用した場合には、酸化コバルトと酸化銀の少なくとも一部が固溶して、CoとAgが部分的にスピネル型構造の酸化物を互いに形成していると考えられる。
<例D〜例H>
例D〜例Hでは、例A〜Cにおいて最も高いCO酸化活性を示したCo−Cu複合酸化物に関し、さらに種々の金属元素を添加した場合の効果について詳しく調べた。
[例D:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Si及びBa添加Co−Cu複合酸化物)の製造]
1.金属塩溶液の調製
硝酸コバルト、硝酸銅、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び硝酸バリウムを、例A〜Cと同様にコバルト(Co)と添加金属元素である銅(Cu)のモル比(Co:Cu)が1:0.5になるように、そしてケイ素(Si)及びバリウム(Ba)をそれぞれ等モルでかつその合計モル数がCo、Cu、Si及びBaの合計モル数に対して0.67〜40mol%の量になるようにしてエタノールに溶解し、十分に撹拌及び混合して金属塩溶液を得た。
2.錯化剤溶液の調製
錯化剤としてのクエン酸(CA)及びエステル化剤としてのエチレングリコール(EG)を、金属塩溶液のコバルト、銅、ケイ素及びバリウムの合計に対するクエン酸(CA)及びエチレングリコール(EG)のモル比(Co+Cu+Si+Ba:CA:EG)が1:3:3になるようにしてエタノールに加え、十分に撹拌及び混合して錯化剤溶液を得た。
3.錯形成
金属塩溶液及び錯化剤溶液を室温において十分に混合した後、還流装置を用いて70℃で2時間攪拌し、次いで140℃で1時間にわたって加熱することによりゲル状前駆体生成物を得た。
4.乾燥及び焼成
得られたゲル状前駆体生成物を電気炉において9時間にわたって400℃まで段階的に加熱し、次いで焼成炉において600℃で4時間にわたって焼成して触媒粉末を得た。
5.ペレット化
得られた触媒粉末を1トンの圧力の冷間等方圧プレス(CIP)によりペレット状に成形して例Dの排ガス浄化用触媒(Si及びBa添加Co−Cu複合酸化物)を得た。なお、個々のペレットは0.17cm3の体積を有していた。
[例E:クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Ti及びBa添加Co−Cu複合酸化物)の製造]
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の代わりにチタン酸テトライソプロピルを使用したこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Eの排ガス浄化用触媒(Ti及びBa添加Co−Cu複合酸化物)を得た。
[例F(比較):クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Ba添加Co−Cu複合酸化物)の製造]
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を使用しなかったこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Fの排ガス浄化用触媒(Ba添加Co−Cu複合酸化物)を得た。
[例G(比較):クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Si添加Co−Cu複合酸化物)の製造]
硝酸バリウムを使用しなかったこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Gの排ガス浄化用触媒(Si添加Co−Cu複合酸化物)を得た。
[例H(比較):クエン酸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(無添加Co−Cu複合酸化物)の製造]
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び硝酸バリウムを使用しなかったこと以外は例Dと同様にして、ペレット状に成形された例Hの排ガス浄化用触媒(無添加Co−Cu複合酸化物)を得た。
[例I(比較):含浸合成法を利用した排ガス浄化用触媒(Ba,Si逐次含浸Co−Cu複合酸化物)の製造]
本例では、含浸合成法を利用して例Iの排ガス浄化用触媒(Ba,Si逐次含浸Co−Cu複合酸化物)を製造した。具体的には、まず、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び硝酸バリウムを使用しなかったこと並びにペレット化しなかったこと以外は例Dと同様にして、Co−Cu複合酸化物からなる触媒粉末1を得た。次いで、所定量の硝酸バリウムを水に溶解させた水溶液に上記触媒粉末1を添加して蒸発乾固し、さらに120℃で一晩乾燥して触媒粉末2を得た。次に、所定量のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)をエタノールに溶解させた溶液に上記触媒粉末2を添加して蒸発乾固し、さらに120℃で一晩乾燥した後、乳鉢で解砕した。最後に、得られた触媒粉末を例Dと同様にしてペレット状に成形し、例Iの排ガス浄化用触媒(Ba,Si逐次含浸Co−Cu複合酸化物)を得た。
<触媒の評価>
例D〜例Iの各排ガス浄化用触媒について、下記の条件で評価ガス温度を600℃まで昇温し、HCの浄化率が50%になる温度(HC50%浄化温度)を調べた。その結果を図3に示す。
評価ガス組成:
CO:0.08mol%
36:0.04mol%(1200ppmC)
NO:0.01mol%
2:10mol%
2:残部
空燃比(A/F): 663
空間速度(SV): 150,000h-1
図3は、例D〜例Hの各排ガス浄化用触媒におけるHC50%浄化温度を示すグラフである。図3は、横軸にCo、Cu、Si又はTi及びBaの合計モル数に対するSi又はTi及びBa(図中、Mとして表示)のモル数の割合、すなわちM/(Co+Cu+M)(mol%)を示し、縦軸にHC(C36)50%浄化温度(℃)を示している。
図3を参照すると、第2の金属元素(Ba)のみを添加した例Fの排ガス浄化用触媒(Ba添加Co−Cu複合酸化物)では、第1の金属元素及び第2の金属元素を含まない例Hの排ガス浄化用触媒(無添加Co−Cu複合酸化物)(図中の点線)と比較してHC酸化活性が大きく低下した。一方で、第1の金属元素(Si)のみを添加した例Gの排ガス浄化用触媒(Si添加Co−Cu複合酸化物)では、例Hの排ガス浄化用触媒と比較してHCの酸化活性が改善されていることがわかる。
これに対し、第1の金属元素(Si又はTi)及び第2の金属元素(Ba)を含む本発明の例D及びEの排ガス浄化用触媒では、第1の金属元素及び第2の金属元素の合計の平均含有量が約25mol%以上では、例Hの排ガス浄化用触媒と比較してHC酸化活性が低下したものの、第1の金属元素及び第2の金属元素の合計の平均含有量が25mol%未満の範囲では、例Hの排ガス浄化用触媒と比較してHC酸化活性が大きく向上していることがわかる。とりわけ、第1の金属元素及び第2の金属元素の合計の平均含有量が10mol%以下の範囲では、例Hの排ガス浄化用触媒だけでなく例Gの排ガス浄化用触媒と比較しても、このようなHC酸化活性の向上が顕著であり、第1の金属元素及び第2の金属元素の合計の平均含有量が3.25mol%である場合に最も高いHC酸化活性を示した。一方で、含浸合成法によって第1の金属元素(Si)及び第2の金属元素(Ba)を添加した例Iの排ガス浄化用触媒では、これらの金属元素の添加によってHC酸化活性が大きく低下し、試験した触媒の中で最も低いHC酸化活性を示した。
なお、特に図示していないが、COの酸化活性についても同様に評価した。その結果によると、本発明の例D及びEの排ガス浄化用触媒では、第1の金属元素及び第2の金属元素の合計の平均含有量が例えば約25mol%以上の範囲において、例Hの排ガス浄化用触媒と比較してCO酸化活性が低下する傾向が見られたものの、それよりも低い平均含有量の範囲では例Hの排ガス浄化用触媒と同等程度の高いCO酸化活性を示すことを確認した。
一方で、含浸合成法による例Iの排ガス浄化用触媒については、例Hの排ガス浄化用触媒のCO50%浄化温度が約115℃であったのに対し、例Iの排ガス浄化用触媒では、Si及びBaの合計の平均含有量が約0.66mol%の場合にCO50%浄化温度が約175℃であり、そしてSi及びBaの合計の平均含有量が約3.2mol%の場合にCO50%浄化温度が約231℃であった。すなわち、含浸合成法による例Iの排ガス浄化用触媒では、Si及びBaの添加によってCO酸化活性が大きく低下する傾向が見られた。
10 排ガス浄化用触媒
11 触媒担体
12 コバルト
13 酸素
14 ケイ素
15 バリウム

Claims (14)

  1. コバルト含有酸化物からなる粒子上に第1の金属元素の酸化物と第2の金属元素の酸化物が分散された複合粒子を含み、前記第1の金属元素が前記第2の金属元素よりも高い電気陰性度を有することを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記コバルト含有酸化物が四酸化三コバルトであることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記コバルト含有酸化物が、コバルトと該コバルトとは異なる添加金属元素とを含みかつスピネル型構造を有する複合酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記添加金属元素が、前記複合酸化物をリートベルト解析法によって解析したときに、前記添加金属元素を含有しないコバルト含有酸化物と比較して、前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMTET−O結合の距離を伸張させ、及び/又は前記複合酸化物のスピネル型構造におけるMOCT−O結合の距離を収縮させるようなものであることを特徴とする、請求項3に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記添加金属元素が、銅、銀、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記添加金属元素が銅であることを特徴とする、請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
  7. 前記第1の金属元素が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  8. 前記第1の金属元素が、コバルトよりも高い電気陰性度を有する金属元素であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  9. 前記第1の金属元素がケイ素であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の排ガス浄化用触媒。
  10. 前記第2の金属元素が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  11. 前記第2の金属元素がバリウムであることを特徴とする、請求項10に記載の排ガス浄化用触媒。
  12. 前記第1の金属元素と前記第2の金属元素の合計の平均含有量が0mol%超25mol%未満であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  13. 前記第1の金属元素と前記第2の金属元素の合計の平均含有量が1mol%以上10mol%以下であることを特徴とする、請求項12に記載の排ガス浄化用触媒。
  14. 前記第1の金属元素と前記第2の金属元素が等モル量であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の排ガス浄化用触媒。
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