JP2014225426A - バッテリ冷却装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バッテリの冷却装置において、冷却時に生成される凝縮水による絶縁性の低下、短絡、電子部品の故障といった問題を回避する。【解決手段】バッテリ2を収容するバッテリケース1と、バッテリケース1内に配置されてバッテリケース1内の空気を冷却する冷却器6と、バッテリケース1内に配置されて冷却器6により冷却された空気をバッテリケース1内で循環させる循環手段3と、冷却器6から滴下する凝縮水Wを受けるよう構成される貯留部7と、バッテリ2の熱を凝縮水Wに伝達する熱伝達手段9と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、車両等に搭載されるバッテリの冷却技術に関する。
ハイブリッド車両や電気自動車等の動力源としてのバッテリは、一般的に、水密構造のバッテリケースに収められる。そして、充放電時に高温となるバッテリを冷却する冷却装置として、空気を冷却する冷却器及び冷却器に空気を送る送風機がバッテリとともに収められる。ところで、このような冷却装置では、空気が冷却される際に熱交換器で発生した凝縮水が電子部品の絶縁不良や腐食といった不具合の原因となる。そこで、特許文献1には、凝縮水の発生を抑制するために、密閉されたバッテリケース内に不活性ガスを封入する構成が記載されている。
しかしながら、シール部材等は経時劣化するため、バッテリケースの密閉度を長期にわたって維持することは難しく、水分を含んだ空気が侵入すると凝縮水が発生してしまう。そこで、本発明ではバッテリケース内における凝縮水による不具合の発生を回避し得るバッテリ冷却装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様によれば、バッテリを収容するバッテリケースと、バッテリケース内に配置されてバッテリケース内の空気を冷却する冷却器と、バッテリケース内に配置されて冷却器により冷却された空気をバッテリケース内で循環させる循環手段と、冷却器から滴下する凝縮水を受ける貯留部と、バッテリの熱を凝縮水に伝達する熱伝達手段と、を備えるバッテリ冷却装置が提供される。
本発明の別の態様によれば、バッテリを収容するバッテリケースと、バッテリケース内に配置されてバッテリケース内の空気を冷却する冷却器と、バッテリケース内に配置されて冷却器により冷却された空気をバッテリケース内で循環させる循環手段と、冷却器から滴下する凝縮水を受けるよう構成される貯留部と、冷間時にバッテリを加熱するための加熱手段と、加熱手段の熱を凝縮水に伝達する熱伝達手段と、を備えるバッテリ冷却装置が提供される。
本発明の上記態様によれば、熱伝達手段によりバッテリの熱又は加熱手段の熱が凝縮水に伝達されることで、凝縮水は温度上昇して蒸発し易くなるので、バッテリケース内における凝縮水による不具合の発生を回避し得る。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用バッテリ冷却装置(以下、「冷却装置」という。)の概略構成図である。この冷却装置は、紙面上方が上、紙面下方が下となるように車両に搭載される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用バッテリ冷却装置(以下、「冷却装置」という。)の概略構成図である。この冷却装置は、紙面上方が上、紙面下方が下となるように車両に搭載される。
なお、本冷却装置が作動するのは、主にバッテリ2の温度が上昇する充放電時である。
冷却装置100は、バッテリケース1を備え、バッテリケース1内には、電気的に相互接続された複数のセルで構成されるバッテリ2と、ブロアファン及びモータからなるブロアファンユニット3が収めされる。また、バッテリケース1内には、バッテリ2の外周に沿って空気が流れる冷却流路12と、バッテリ2の冷却に供された空気をブロアファンユニット3に導く上流側流路4と、ブロアファンユニット3から送出される空気をバッテリ2に導く下流側流路5が形成される。そして、下流側流路5には冷却器6が配置される。なお、上流側流路4と下流側流路5は隔壁10により仕切られている。
冷却器6は、冷凍サイクル(エアコンサイクル)のエバポレータである。冷却器6は、ブロアファンユニット3から送出された空気とエバポレータ内部を流通する冷媒(例えば、R−134a)との間で熱交換を行わせることで、ブロアファンユニット3から送出された空気を冷却する。
上流側流路4には、冷却器6での熱交換により発生し冷却器6から滴下する凝縮水Wを受ける凹状の貯留部7が形成される。貯留部7は、冷却流路12の出口に近い位置に設けることが望ましい。
隔壁10の、凝縮水Wが滴下する部位には連通孔11が設けられ、さらに、冷却器6から滴下して連通孔11を通過した凝縮水Wを貯留部7へ導く誘導板10Aが設けられる。
バッテリ2の端子2Aが設けられる面には、伝熱部材9の一端部側の一部が接続される。伝熱部材9の他端側は、貯留部7の底面に沿うように形成される。ただし、貯留部7の底面と伝熱部材9の他端側の部分との間隔は、貯留部7に凝縮水Wが溜まっても伝熱部材9が凝縮水Wに埋没しない程度にあける。
伝熱部材9は、熱伝導性に優れる部材、例えば銅やアルミ等といった金属で形成される。なお、伝熱部材9は、板状部材であってもよいし、棒状や筒状の部材であってもよい。
また、バッテリケース1には、ケース内外を連通する連通孔1tが形成されている。連通孔1tには、液相の水は通さないが水蒸気は通す膜(透湿膜)8が設けられており、透湿膜8によってケース内外が仕切られている。
続いて、上記冷却装置100の動作及び作用効果について説明する。
ブロアファンユニット3から吐出された空気は、下流側流路5を介して冷却器6へ送られ、冷却される。冷却された空気は冷却流路12へと流入し、バッテリ2の外周に沿って流れることでバッテリ2の冷却に供される。バッテリ2の冷却に供された空気は、冷却流路12から上流側流路4へ流入し、貯留部7の直上を通過してブロアファンユニット3に吸い込まれる。
なお、図面のバッテリケース1内の白抜き矢印は空気の流れ方向を示しており、このようにバッテリケース1内を空気が循環することで、バッテリ2の冷却が行われる。
なお、バッテリケース1の壁面と伝熱部材9の間や、伝熱部材9には隙間があるため、バッテリ2の冷却に供された空気は伝熱部材9により堰き止められることなく上流側流路4へ流入する。
空気が冷却器6を通過することで発生し冷却器6から滴下する凝縮水Wは、連通孔11を通過し、誘導板10Aを介して貯留部7へ滴下する。凝縮水Wが滴下する際に、まず伝熱部材9の他端側部分に接触してから貯留部7に溜まるようにしてもよい。
伝熱部材9は、一端がバッテリ2に接続されているため、バッテリ2の熱により温度上昇する。このため、伝熱部材9に接した凝縮水Wは温度上昇し、蒸発し易くなる。すなわち、伝熱部材9の他端側は貯留部7の底面に沿うように配置されているので、貯留部7に溜まった凝縮水Wは伝熱部材9により加温され、蒸発が促進される。本実施形態では、伝熱部材9はバッテリ2の表面の中でも特に高温になる端子2Aを設けた面に接続されるので、伝熱部材9の温度は、より上昇しやすくなる。
バッテリ2の熱を利用して凝縮水Wの蒸発を促進することで、凝縮水Wを蒸発させるための加湿器やヒータ等といった装置が不要となり、バッテリケース1の小型化を図ることができる。
また、凝縮水Wが蒸発し易いので、貯留部7のスペースを小さくすることができ、その結果、バッテリケース1の小型化を図ることができる。
ところで、貯留部7に溜まった凝縮水Wは、伝熱部材9により加温されているとはいえ、バッテリ2の冷却に供された空気よりも低温である。したがって、バッテリ2の冷却に供された空気は、貯留部7の直上を通る際に凝縮水Wと熱交換することで温度が低下してから、ブロアファンユニット3に再度流入することになる。これにより、冷却器6の冷却効率が向上する。ここで、貯留部7が冷却流路12の出口に近いほど、バッテリ2の冷却に供されて温度上昇した空気が、温度上昇した状態のまま貯留部7の直上を通過することとなるので、凝縮水Wはより蒸発し易くなる。
また、伝熱部材9の凝縮水Wとの接触部以外の部位に断熱処理を施してもよい。これにより、伝熱部材9の熱がバッテリケース1内の空気中に放出されることなく凝縮水Wへ伝わるようになり、凝縮水Wの蒸発を促進させることができる。断熱処理は、例えば断熱性を有する樹脂等をコーティングしてもよいし、断熱材を巻きつけるようにしてもよい。
また、伝熱部材9の貯留部7内に配置される部位を、公知の手法で親水処理したり、スポンジで覆ったりしてもよい。これらの処理によって伝熱部材9の親水性や濡れ性を向上させることで、凝縮水Wと伝熱部材9の接触面積、及び凝縮水Wとバッテリ2の冷却に供された空気との接触面積が増大するので、凝縮水Wの蒸発をさらに促進させることができる。
また、図2に示すように伝熱部材9としてヒートパイプ20を用いてもよい。ヒートパイプ20を用いる場合は、バッテリ2の下面2B側が高温部、貯留部7上方に突出する部分が低温部となる。この場合でも、上述したものと同様の効果が得られる。
なお、外部からバッテリケース1内への水蒸気の侵入は許容されているので、バッテリケース1を水密にする必要はなく、その分、製造コストを低減することができる。また、バッテリケース1内の湿度がバッテリケース1外の湿度よりも高くなった場合には、バッテリケース1内の水蒸気が膜8を介してバッテリケース1外へと排出されるので、バッテリケース1内の湿度を一定に保つことができ、過剰な結露を防止することができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、本発明の第2実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。この冷却装置は、図1、2と同様に紙面上方が上、紙面下方が下となるように車両に搭載される。
本実施形態は、本発明の第2実施形態に係る冷却装置の概略構成図である。この冷却装置は、図1、2と同様に紙面上方が上、紙面下方が下となるように車両に搭載される。
図3に示す冷却装置は、ヒータ21を備えること、及び、伝熱部材9がバッテリ2ではなくヒータ21の熱を凝縮水に伝達する構成になっていることが、図1に示す冷却装置と異なる。以下、この相違点を中心に説明する。
ヒータ21は、例えばPTCヒータのような電気ヒータであり、ヒータ21を通過する空気を加熱する構成となっている。図3においては、ブロアファンユニット3から送出された空気の一部がヒータ21を通過し、その後冷却器6を通過するように、冷却器6及びヒータ21が配置されている。なお、冷却器6を通過した空気の一部がヒータ21を通過する配置としても構わない。
伝熱部材9は、ヒータ21に接続される部分と、第1実施形態と同様に貯留部7の底面に沿う部分と、ヒータ21に接続された部分と貯留部7の底面に沿う部分とを接続する上下方向に延びる部分(以下、「上下方向部分9A」ともいう)と、で構成されている。なお、伝熱部材9は、一つの部材に折り曲げ加工等を施すことにより成形してもよいし、複数の部材を接続して成形してもよい。
次に、上記構成による作用効果について説明する。
バッテリ温度は、バッテリ本来の性能を発揮し得る温度範囲(例えば30℃−40℃程度)に保たれることが望ましい。しかし、例えば低外気温での始動時のように、バッテリ温度が上記温度範囲の下限よりも低くなる状況がある。このような状況においてヒータ21を作動させると、ヒータ21により加熱された空気がバッテリケース1内を循環することとなり、バッテリ温度の上昇を促進させることができる。なお、冷却器6に冷媒を流さないようにすれば、バッテリ温度の上昇をより促進させることができる。
そして、伝熱部材9を上記構成のようにすることで、ヒータ21を第1実施形態におけるバッテリ2と同様に凝縮水の蒸発を促進させるための熱源として使用できる。すなわち、冷却器6が作動して凝縮水が発生する状況においてヒータ21が作動すると、ヒータ21の熱が伝熱部材9を介して凝縮水に伝達され、凝縮水の蒸発が促進される。
本実施形態の構成では、伝熱部材9の上下方向部分9Aの長さはヒータ21と貯留部7との位置関係により定まるので、仮にバッテリ2から貯留部7までの距離が図3に示した構成より長くなったとしても、上下方向部分9Aの長さは変わらない。上下方向部分9Aの長さが変わらなければ、ヒータ21に接続される部分から貯留部7の底面に沿う部分までの熱抵抗が増大することもないので、熱伝達効率が低下することもない。すなわち、本実施形態の構成によれば、凝縮水の蒸発を促進するという効果を維持しつつ、バッテリケース1内におけるバッテリ2のレイアウトの自由度が高まり、その結果、バッテリケース1の車載レイアウトの自由度が高まる。
また、バッテリ2の発熱量は充放電状態により変動し、充放電状態はシステムの運転状態に左右されるのに対して、ヒータ21の発熱量は通電量によって定まり、通電量は運転状態に左右されずに調整可能である。したがって、ヒータ21の熱を凝縮水に伝達する本実施形態の構成によれば、バッテリ2の熱を凝縮水に伝達する構成に比べて、蒸発を促進させるために凝縮水に伝達させる熱量の制御が容易である。
なお、ヒータ21は電気ヒータに限られず、バッテリケース1内を循環する空気を加熱できるものであればよい。例えば、車両がエンジンを備える場合には、エンジン冷却水が内部を流れるよう構成された熱交換器としてもよい。この場合、エンジンとの熱交換により温度上昇したエンジン冷却水と、ヒータ21を通過する空気との間で熱交換が行われることで、ヒータ21を通過した後の空気は温度上昇する。
また、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では車両に搭載されるバッテリの冷却装置について説明したが、これに限られるものではなく、車両以外のものに搭載されるバッテリについても同様に適用可能である。
1 バッテリケース
2 バッテリ
3 ブロアファンユニット
6 冷却器
7 貯留部
9 伝熱部材(熱伝達手段)
20 ヒートパイプ(熱伝達手段)
21 ヒータ(加熱手段)
2 バッテリ
3 ブロアファンユニット
6 冷却器
7 貯留部
9 伝熱部材(熱伝達手段)
20 ヒートパイプ(熱伝達手段)
21 ヒータ(加熱手段)
Claims (9)
- バッテリを収容するバッテリケースと、
前記バッテリケース内に配置されて前記バッテリケース内の空気を冷却する冷却器と、
前記バッテリケース内に配置されて前記冷却器により冷却された空気を前記バッテリケース内で循環させる循環手段と、
前記冷却器から滴下する凝縮水を受けるよう構成される貯留部と、
前記バッテリの熱を前記凝縮水に伝達する熱伝達手段と、
を備えることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項1に記載のバッテリ冷却装置において、
前記熱伝達手段は、一端側の少なくとも一部が前記バッテリに接触し、他端側の少なくとも一部が前記貯留部内で前記凝縮水と接触するよう配置される熱伝導性の部材であることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項1に記載のバッテリ冷却装置において、
前記貯留部は前記バッテリの熱を吸収した空気が前記循環手段に戻るまでの経路に設けられ、前記熱伝達手段は前記バッテリの熱を吸収した空気であることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項1に記載のバッテリ冷却装置において、
前記熱伝達手段は、一端側の少なくとも一部が前記バッテリに接触し、他端側の少なくとも一部が前記冷却器と前記貯留部との間に位置する、または前記貯留部の底面に沿うように位置するヒートパイプであることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - バッテリを収容するバッテリケースと、
前記バッテリケース内に配置されて前記バッテリケース内の空気を冷却する冷却器と、
前記バッテリケース内に配置されて前記冷却器により冷却された空気を前記バッテリケース内で循環させる循環手段と、
前記冷却器から滴下する凝縮水を受けるよう構成される貯留部と、
冷間時に前記バッテリを加熱するための加熱手段と、
前記加熱手段の熱を前記凝縮水に伝達する熱伝達手段と、
を備えることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項5に記載のバッテリ冷却装置において、
前記加熱手段は、前記循環手段により送風された空気を加熱可能に配置される加熱用熱交換器であることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項2または5に記載のバッテリ冷却装置において、
前記熱伝導性の部材の、前記バッテリまたは前記加熱手段との接触部及び前記凝縮水と接触する部分を除く部分が断熱材で覆われていることを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項2または5に記載のバッテリ冷却装置において、
前記熱伝導性の部材は、前記バッテリの表面または前記加熱手段の表面のうち相対的に温度が高い部分に接触することを特徴とするバッテリ冷却装置。 - 請求項2または5に記載のバッテリ冷却装置において、
前記熱伝導性の部材は、前記バッテリまたは前記加熱手段との接触部及び前記凝縮水との接触部のうち、一端側の少なくとも一部に親水性または濡れ性を向上させるための加工が施されていることを特徴とするバッテリ冷却装置。
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