JP2014223612A - 硝酸性窒素の脱窒処理方法および脱窒処理装置 - Google Patents

硝酸性窒素の脱窒処理方法および脱窒処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】処理する排水中にカリウム、鉄、及びリンが含有されていない場合であっても、別途に栄養源としての薬剤を添加することなく、安価に硝酸性窒素の処理が可能となる硝酸性窒素の脱窒処理方法および装置を提供する。
【解決手段】硫黄及び炭酸カルシウムを主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層10に硫黄脱窒細菌を担持させ、硫黄脱窒細菌を担持させた充填層10に硝酸性窒素を含む排水11を通水することで排水に含まれる硝酸性窒素を脱窒する。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫黄脱窒細菌による生物的処理によって排水中の硝酸性窒素を脱窒処理する方法および脱窒処理装置に関するものである。
近年、硝酸性窒素の水質環境基準値である10mg/Lを超える水源が増加しており、排水中の硝酸性窒素の問題が深刻化している。硝酸性窒素は、メトヘモグロビン血症の原因物質であることに加え、流産や癌の原因になるとも言われており、人体に対する健康被害が大きいことが知られている。また、飲料水の多くを地下水に依存している欧米では、この硝酸性窒素汚染による乳幼児の死亡例も多数報告されており、硝酸性窒素汚染は社会問題にまで発展している。
河川、湖沼、閉鎖水域、閉鎖海域などの富栄養化の原因となる生活排水、産業排水、畜産排水、農業排水、水産養殖排水中の硝酸性窒素分を除去する技術として、独立栄養系硫黄酸化脱窒細菌(以下、「硫黄脱窒細菌」という)を用いた硝酸性窒素除去システムは、従属栄養系脱窒細菌を用いたシステムとは異なり、メタノール添加等の高い維持コストが不要なため、各方面で注目されている。例えば、特許文献1や特許文献2に、硫黄脱窒細菌を用いた硝酸性窒素の脱窒方法の例が開示されている。
この種の硝酸性窒素の脱窒方法において、特許文献1や特許文献2に記載されている例では、硝酸性窒素の脱窒に用いられる硫黄およびカルシウム等の混合物(以下、「硫黄混合物」という)が、炭酸カルシウム、マグネシウム、硫黄成分により構成されている。この脱窒方法で排水中に含まれる硝酸性窒素の脱窒を行う場合、前記硫黄混合物に硫黄脱窒細菌を別途接種し、当該硫黄混合物の細孔あるいは表面に硫黄脱窒細菌を担持させた状態で、硝酸性窒素を含有する排水等と接触させることにより、脱窒反応を進行させている。
硫黄脱窒細菌は、排水等に含まれる硝酸性窒素に結合する酸素を、硫黄混合物に含有される硫黄成分の酸化に利用することにより、硝酸性窒素を還元して、窒素ガスとして処理するものである。この硫黄脱窒細菌は、硝酸性窒素を還元し、硫黄を酸化するエネルギーを用いて、活動・増殖を行っているが、この際に炭素、カルシウム、硫黄等の他、カリウム、鉄、ナトリウム、及びリン等の成分が必要である。
通常、上記の硫黄混合物は、無機炭素、カルシウム、硫黄については、含有するように製造されているが、上記の必要な成分のうち、カリウム、鉄、リン等の硫黄脱窒細菌活動に必要な成分が含有されていない排水を処理すると、十分な脱窒効果が得られないことがある。
特開2000−93997号公報 特開2001−104993号公報
上記硫黄化合物を用いて排水等に含有される硝酸性窒素を処理するに当たり、処理する排水中にカリウム、鉄、及びリンが含有されていない場合は、それらの薬剤を別途、硫黄脱窒細菌の微量栄養源として添加し処理する必要がある。しかしそうした場合、処理装置として薬剤添加装置の増設が必要となる上、添加薬剤が増える分だけ脱窒処理のコストが上昇する問題を生じる。
本発明は、上記事情を考慮し、処理する排水中にカリウム、鉄、及びリンが含有されていない場合であっても、別途に微量栄養源としての薬剤を添加することなく、安価に硝酸性窒素の処理が可能となる硝酸性窒素の脱窒処理方法および脱窒処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、請求項1の発明の硝酸性窒素の脱窒処理方法は、カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層に硫黄脱窒細菌を担持させ、前記硫黄脱窒細菌を担持させた充填層に硝酸性窒素を含む排水を通水することで前記排水に含まれる硝酸性窒素を脱窒することを特徴とする。
この場合、琉球石灰岩から微量に溶出するカリウム、鉄、及びリンが硫黄脱窒細菌の微量栄養源として作用する。
ここで、多孔質混合物から溶出した硫黄成分のうち硫黄脱窒細菌によって利用されなかった分が充填層内で、嫌気条件下で滞留することで、硫化水素ガスが生成してしまうことがある。この点、本発明では琉球石灰岩から鉄が微量に溶出し、この鉄が硫黄成分と結合することで、硫化水素ガスの発生を抑制することができる。
また、硫黄脱窒細菌によって利用されなかった硫黄成分が酸化して硫酸イオンが生じ、充填層内でpHが低下し、細菌が生育しにくい環境となってしまうことがある。この点、本発明では、琉球石灰岩からカルシウムが溶出する。そして、このカルシウムが硫酸イオンと結合することで中和され、充填層内でpHの低下を抑制することができ、細菌の生育環境を良好なものとすることができる。
前記琉球石灰岩は、粒径が5mm〜20mmの範囲に設定され、かつポーラス構造とされていてもよい。
琉球石灰岩の粒径を5mm〜20mmの範囲に設定すると、排水を処理する際に、該琉球石灰岩からカリウム、鉄、及びリンが溶出し易くなる。
なお、琉球石灰岩の粒径が20mmを超えると、当該充填層内を排水が短絡して流れる場合や、琉球石灰岩の重量に対する表面積の割合が小さくなるため、排水を処理する際に、該琉球石灰岩から溶出するカリウム、鉄、及びリンの量が小さくなり、結果的に、硫黄脱窒細菌の栄養源が若干不足気味になる。また、琉球石灰岩の粒径が5mmより小さくなると、排水を処理する際に、該琉球石灰岩からカリウム、鉄、及びリンが溶出し易くなるものの、琉球石灰岩が小さくなりすぎて、硫黄脱窒細菌が繁殖した場合、充填層内で閉塞を起こしてしまう。
また、琉球石灰岩がポーラス構造であると、比表面積が大きくなり、カリウム、鉄、及びリンが溶出し易くなる。さらに、ポーラス構造であることで親水性、吸水性に優れているため表面に存在する細孔に水が十分に入り込み、硫黄脱窒細菌が生息し易くなる。また、琉球石灰岩から溶出する上記の微量栄養源が細孔内にも溶出することで、硫黄脱窒細菌もこの細孔内に入り込み、細孔中に硫黄脱窒細菌が付着し易くなって、水流によって洗い流されにくくなり、長期に渡って良好な排水処理効果が得られる。
前記充填層では、前記琉球石灰岩が体積比で40%以上、60%未満であってもよい。
このような体積比で琉球石灰岩を混合することで、琉球石灰岩が充填層の骨材として機能し、充填層の強度を確保することができる。
また、前記充填層では、前記多孔質混合物と前記琉球石灰岩との混合比が、体積比で6:4とされていてもよい。
このような比率で充填層を構成することで、硫黄脱窒細菌が利用する多孔質混合物からの硫黄成分が十分に供給されつつ、栄養源となる琉球石灰岩から溶出するカリウム、鉄、及びリンが十分に供給される。即ち、硫黄成分及び栄養源が最もバランスよく供給されることになり、排水からの脱窒効果を向上することができる。
また、請求項4の発明の硝酸性窒素の脱窒処理装置は、カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層に硫黄脱窒細菌を担持させた脱窒処理槽と、前記脱窒処理槽内の前記硫黄脱窒細菌を担持させた充填層に硝酸性窒素を含む排水を通水する通水設備と、を具備することを特徴とする。
これにより、請求項1の発明である硝酸性窒素の脱窒処理方法と同様に、琉球石灰岩から微量に溶出するカリウム、鉄、及びリンが硫黄脱窒細菌の微量栄養源として作用する。
本発明によれば、カリウム、鉄、及びリンが含まれる岩石である石灰岩に着目し、特に沖縄地方にて脱窒処理を行う場合、沖縄地方に広く分布し、安価に手に入る琉球石灰岩を、硫黄混合物(多孔質混合物)と合わせて使用することにより、琉球石灰岩から微量に溶出するカリウム、鉄、及びリンが硫黄脱窒細菌の栄養源として作用し、別途栄養源としての薬剤を添加することなく、安価に硝酸性窒素の処理が可能となる。
さらに、硫黄脱窒細菌が利用しなかった硫黄成分によって生成される硫化水素ガスの発生を抑制することができる。
また、琉球石灰岩は、強固に固化した性状を持っているため、充填層の骨材として、硫黄混合物が充填物の重量によりつぶれないように機能し、充填層を保護する効果を発揮する。
また、琉球石灰岩から溶出したカルシウムによって充填層内でのpHの低下を抑制でき、硫黄脱窒細菌が生育し易い環境とすることが可能となる。このため、硝酸性窒素の処理効果をさらに向上することができる。
また、硫黄成分及び栄養源が最もバランスよく供給されるように、多孔質混合物と琉球石灰岩との混合比を規定することで、硝酸性窒素の処理の効果をさらに向上することができる。
本発明の実施形態の硝酸性窒素の脱窒処理装置の構成図である。 同処理装置の効果を調べるための実験の結果を示す図である。 同処理装置の効果を調べるための実験の結果を示す図である。 同処理装置の効果を調べるための実験の結果(原水及び処理水のpHの経時変化)を示す図である。 同処理装置の効果を調べるための実験の結果(処理水中のカルシウムの濃度の経時変化)を示す図である。 同処理装置の効果を調べるための実験の結果(硫化水素発生量の経時変化)を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態の硝酸性窒素の脱窒処理装置の構成図である。
この脱窒処理装置は、処理すべき硝酸性窒素を含む排水(原水)11を貯留する原水槽1と、脱窒処理槽3と、原水槽1の排水11を脱窒処理槽3の下端から供給して上端から処理槽4に処理水12を排水させる原水ポンプ2を含む通水設備5と、を備えている。
脱窒処理槽3の内部には、カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と、粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層10が形成されており、この充填層10に硫黄脱窒細菌を担持させてある。従って、原水ポンプ2から供給された排水は、脱窒処理槽3の下端から上端に流れる間に、硫黄脱窒細菌が担持された充填層10を通過し、この間に硝酸性窒素の脱窒が行われる。
ここで充填層10に用いられる多孔質状の硫黄混合物と琉球石灰岩は、それぞれ同条件の粒状あるいは塊状に砕かれた上でむらなく混合されている。琉球石灰岩の成分を表1に示す。琉球石灰岩は、琉球列島と台湾に発達する第四紀更新世の石灰岩の総称であり、サンゴ礁のはたらきで形成されたものである。琉球石灰岩には、硫黄脱窒細菌の微量栄養源となるカリウム、鉄、及びリンが含まれる。なお、表1では、鉄の成分が表示していないが、実際には鉄の成分が微量含まれる。
Figure 2014223612
脱窒処理槽3を作る手順としては、最初に、硫黄混合物と琉球石灰岩をそれぞれ同条件の粒状あるいは塊状に砕いてむらなく混合して、脱窒処理槽3内に充填する。その後、脱窒処理槽3内に硫黄脱窒細菌を含有する活性汚泥液を入れて、硫黄脱窒細菌を担持した充填層10を形成する。そして、硫黄脱窒細菌の担持が終了した後に排水(原水)11を通水し処理を開始する。排水(原水)11の硝酸性窒素濃度は10mg/L程度であり、この排水11を充填層10を通過する際に2〜10時間程度滞留させる。そうすると、処理水12中の硝酸性窒素の濃度が低下する。
本実施形態では、カリウム、鉄、及びリンが含まれる岩石である石灰岩に着目し、特に沖縄地方にて当該処理を行う場合に沖縄地方に広く分布し、安価に手に入る琉球石灰岩を硫黄混合物と合わせて使用している。こうすることにより、琉球石灰岩から微量に溶出するカリウム、鉄、及びリンが硫黄脱窒細菌の栄養源として作用し、別途栄養源としての薬剤を添加することなく、安価に硝酸性窒素の処理が可能となる。
ここで、多孔質混合物から溶出した硫黄成分のうち硫黄脱窒細菌によって利用されなかった分が充填層10内で、嫌気条件下で滞留することで、硫化水素ガスが生成してしまうことがある。
この点、本実施形態では琉球石灰岩から鉄が微量に溶出し、この鉄が硫黄成分と結合することで、硫化水素ガスの発生を抑制することができる。
また、硫黄脱窒細菌によって利用されなかった硫黄成分が酸化して硫酸イオンが生じ、充填層10内が酸性環境となってしまうことがある。
この点、本発明では、琉球石灰岩からカルシウムが溶出する。そして、このカルシウムが硫酸イオンと結合することで中和され、充填層内を中性環境に近づけることができる。従って、充填層内を硫黄脱窒細菌が生育し易い環境とすることが可能となるため、硝酸性窒素の処理の効果をさらに向上することができる。
また、琉球石灰岩は強固に固化した性状を持っているため、充填層10の骨材として、充填層の重量によって硫黄混合物がつぶれないように機能し、充填層10を保護する効果を発揮する。
このため、琉球石灰岩は、充填層10の40%(体積比)以上とするのが望ましい。さらに、硫黄脱窒細菌の脱窒作用を保つため充填層10の60%(体積比)を超えないようにする。
特に、後述する実験の結果に示すように、充填層10の40%を琉球石灰岩とし、充填層10の60%を多孔質混合物とすること、即ち、多孔質混合物と琉球石灰岩との混合比を体積比で6:4とすることがより好ましい。この場合、硫黄脱窒細菌が利用する多孔質混合物からの硫黄成分が十分に供給されつつ、栄養源となる琉球石灰岩から溶出するカリウム、鉄、及びリンが十分に供給される。即ち、硫黄成分及び栄養源が最もバランスよく供給されることになり、排水11からの脱窒効果を向上することができる。
次に、硫黄混合物と琉球石灰岩を混合した充填層を用いて脱窒処理した場合と、硫黄混合物と砕石を混合した充填層を用いて脱窒処理した場合と、の脱窒性能の違いについて調べた実験の内容を述べる。
〔実験1〕
(実験条件)
硫黄混合物としてバチルロック(新日鉄住金エンジニアリング株式会社販売の「商品名」 S40重量%〜50重量%、CaCO350重量%〜60重量%)を使用した。琉球石灰岩として、前記表1の成分のものを使用した。砕石として、比重2.5以上、吸水量3%以下、安定性12%以下、すりへり減量40%以下のものを使用した。カラム(脱窒処理槽)には、バチルロックと充填層支持材(琉球石灰岩または砕石)の混合した充填層が形成されている。バチルロックと充填層支持材はよく混合した後に充填されている。バチルロック及び充填層支持材は、粒径を調整したバチルロック及び充填支持材を700mLずつよく混合した上でカラムに充填した。充填層には、硫黄脱窒細菌が担持されている。カラムの直径は50mm、高さは1000mmであり、充填層の高さは700mmである。
具体的には、次のように2種類の充填層を準備した。
条件A:バチルロック700mL(840g)+琉球石灰岩700mL(790g)
条件B:バチルロック700mL(840g)+砕石 700mL(1110g)
使用したバチルロック、琉球石灰岩、砕石の粒径、見かけ比重、空隙率、充填率、強度は、表2の通りである。
Figure 2014223612
表2に示すように、バチルロックと琉球石灰岩または砕石のカラムへの充填量は同量とした。また、それらは粒径が5mm〜20mmのものを使用した。琉球石灰岩は、それ自体空隙率が60%程度の多くの気孔を含むポーラス構造である。
(実験方法)
原水の硝酸性窒素は、硝酸ナトリウム(NaNO3)により、窒素濃度として15mg/Lに調整した。カラム内の通水速度LV(線速度)は、0.03m/hr〜0.13m/hrとした。
実験は、平成24年6月27日〜9月28日までの期間行った。
各カラムの通水速度LVにおける処理水のNO3−N及びNO2−N+NO3−Nの平均値を表3に示す。また、処理水におけるNO3−N濃度の経時変化を図2に、NO2−N+NO3−N濃度の経緯変化を図3に示す。
Figure 2014223612
これらのデータは、前記期間中に採取した表4、表5、表6のデータをまとめたものである。
Figure 2014223612
Figure 2014223612
Figure 2014223612
表1、図2、図3の結果から、「バチルロック+琉球石灰岩」を充填した条件Aと、「バチルロック+砕石」を充填した条件Bにおいて、カラム通水速度LVが0.03m/hr〜0.07m/hrのときは、A、Bとも処理水のNO3−N濃度は0.1mg/L以下であった。
また、カラム通水速度LVが0.09m/hr〜0.13m/hrのときは、A、Bとも処理水のNO3−N濃度が若干上昇する傾向があった。
条件A、BのNO3−N濃度を比較すると、
(1)LV0.09m/hrにおいて、Aが平均値として0.14mg/L低くなっている。
(2)LV0.11m/hrにおいて、Aが平均値として1.15mg/L低くなっている。
(3)LV0.13m/hrにおいて、Aが平均値として1.11mg/L低くなっている。
また、処理水のNO3−N濃度が上昇したLVが0.09m/hr〜0.13m/hrの条件において、A、Bとも、NO2−Nが処理水中に検出されている。
LVが0.09m/hr〜0.13m/hrの条件において、NO2−N+NO3−N濃度を比較すると、Aの条件における処理水中のNO2−N+NO3−N濃度は、Bの条件における処理水中のNO2−N+NO3−N濃度に比較し、
(1)LVが0.09m/hrのとき、0.11mg/L低くなり、
(2)LVが0.11m/hrのとき、1.17mg/L低くなり、
(3)LVが0.13m/hrのとき、0.56mg/L低くなっている。
以上の結果より、A(本発明の実施形態の「バチルロック+琉球石灰岩」の充填層)は、B(比較例の「バチルロック+砕石」の充填層)よりNO3−N脱窒性能の効果があるとみなせる。
ここで、表4から表6に示すデータに加えて、さらに長期間にわたってのデータを基にデータの再整理を行って、条件Aと条件Bとにおける処理水のpHの経時変化を図4及び表7に示した。
Figure 2014223612
図4及び表7に示すように、琉球石灰岩を用いていない条件Bでは、処理水のpHの平均値が7程度であり、琉球石灰岩を用いた条件Aでは、pHの平均値が7.2程度となっている。即ち、条件Aの方がpHの低下を抑制できていることが確認できた。
ここで、図5に示すように、琉球石灰岩を用いた条件Aでは、処理水中のカルシウム濃度が条件Bに比べて高い値で維持されていることが確認できた。このような結果から、溶出したカルシウムが多ければ多いほどpHの低下を抑制できると言える。
処理水中では硫黄脱窒細菌によって利用されなかった硫黄成分が酸化して硫酸イオンが生じるが、琉球石灰岩には多くのカルシウムが含有されており、より多くのカルシウムが処理水中に溶出することになる。よって、このカルシウムと硫酸イオンとが結合することで中和が行われる。この結果、充填層内でpHの低下を抑制することができ、細菌の生育環境を良好なものとしていると考えられる。
〔実験2〕
ここで、上記の条件A(「バチルロック+琉球石灰岩」の充填層)と条件B(「バチルロック+砕石」の充填層)とで、脱窒処理後の処理水から発生する硫化水素(H2S)の発生量を比較する実験を行った。実験では、脱窒処理後の処理水を密閉容器に所定量採取して十分に撹拌した後に、密閉容器の上部に溜まった気相の硫化水素濃度を検知管によって測定した。
この結果、図6の破線(条件Aの結果を線形近似したもの)と、図6の実線(条件Bの結果を線形近似したもの)とを比較すると、処理前の原水の水理学的滞留時間(以下、HRTとする)、即ち、脱窒処理の時間が長くなればなるほど、条件Aで処理した後の処理水、即ち、琉球石灰岩を用いて処理した後の処理水の方が、硫化水素濃度が低くなっていることが確認できた。
このような実験結果から、琉球石灰岩を用いることで硫化水素の生成量を抑制できていると言える。これは、琉球石灰岩に含有される鉄等の成分が、バチルロックからの硫黄成分と結合して硫化鉄等が生成されることによって、硫化水素の生成を抑制しているものと考えられるためである。
〔実験3〕
次に、図1に示す脱窒処理装置と同様の試験装置を用いて、硫黄化合物(例えば、上述したバチルロック)と琉球石灰岩との混合比が処理水の水質に及ぼす影響を評価する実験を行った。
(実験条件)
原水には、窒素(N)の濃度が下記の(a)〜(c)の3パターンである硝酸ナトリウム(NaNO3)の人工原水を用いた。
(a)16.70mg/L
(b)21.98mg/L
(c)32.77mg/L
さらに、脱窒処理層には、硫黄化合物と琉球石灰岩との混合比が、体積比で下記の(1)〜(5)の5パターンとなるように、これら硫黄化合物及び琉球石灰岩の充填層を形成した。
(1)3:7
(2)4:6
(3)5:5
(4)6:4
(5)7:3
(実験方法)
上記の各条件で脱窒処理層に原水を導入し、HRTが4時間となるように原水を流通させて、処理水のNO2−N、NO3−Nの濃度、及び、Nの除去率を測定した。ここで、Nの除去率とは、((原水のNO3−N濃度)−(処理水のNO2−N+NO3−N濃度))/(原水のNO3−N濃度)×100によって定義される値である。そして実験結果は、表8に示す通りとなった。
Figure 2014223612
即ち、表8に示すように、(a)〜(c)のいずれの原水を用いた場合でも、全般的に硫黄化合物の混合比が高くなるにつれてNの除去率が高くなる傾向にある。そして、硫黄化合物の混合比が少なくとも半数である場合、即ち、混合比が5:5である場合には、Nの除去率が約90%となり、比較的高い除去率を得ることが可能となる。
さらに、硫黄化合物と琉球石灰岩との混合比が6:4である場合には、最もNの除去率が高くなっていることが確認できた。
このような結果から、硫黄化合物と琉球石灰岩との混合比を6:4とすることで、硫黄脱窒細菌が利用する硫黄成分が脱窒処理層内に十分に供給されつつ、栄養源となる琉球石灰岩から溶出するカリウム、鉄、及びリンが十分に供給されていると考えられる。即ち、混合比を6:4の場合には、硫黄成分及び栄養源が最もバランスよく供給されることになり、排水からの脱窒効果を向上することができていると言える。
なお、前記実施例では、硫黄混合物としてカルシウムの炭酸塩と硫黄とを主成分とするバチルロックを用いたが、これに限られることなく、マグネシウムの炭酸塩と硫黄とを主成分とするものを用いてもよく、また、カルシウムおよびマグネシウムの炭酸塩と硫黄とを主成分とするものを用いてもよい。
3 脱窒処理槽 5 通水設備 10 充填層(硫黄混合物+琉球石灰岩+硫黄脱窒細菌) 11 排水(原水) 12 処理水

Claims (5)

  1. カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層に硫黄脱窒細菌を担持させ、前記硫黄脱窒細菌を担持させた充填層に硝酸性窒素を含む排水を通水することで前記排水に含まれる硝酸性窒素を脱窒することを特徴とする硝酸性窒素の脱窒処理方法。
  2. 前記琉球石灰岩は、粒径が5mm〜20mmの範囲に設定され、かつポーラス構造とされていることを特徴とする請求項1に記載の硝酸性窒素の脱窒処理方法。
  3. 前記充填層では、前記琉球石灰岩が体積比で40%以上、60%未満である請求項1又は2に記載の硝酸性窒素の脱窒処理方法。
  4. 前記充填層では、前記多孔質混合物と前記琉球石灰岩との混合比が、体積比で6:4とされていることを特徴とする請求項3に記載の硝酸性窒素の脱窒処理方法。
  5. カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層に硫黄脱窒細菌を担持させた脱窒処理槽と、前記脱窒処理槽内の前記硫黄脱窒細菌を担持させた充填層に硝酸性窒素を含む排水を通水する通水設備と、を具備することを特徴とする硝酸性窒素の脱窒処理装置。
JP2014076534A 2013-04-15 2014-04-02 硝酸性窒素の脱窒処理方法および脱窒処理装置 Active JP6274426B2 (ja)

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