以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。なお、各図面には、それぞれの対応関係を明確にするために、必要に応じてXYZ軸を記載している。
(第1実施形態)
図1A〜図1Dは、本発明の第1実施形態における耳刺激装置100の概要図である。なお、第1実施形態では、接触子102を、点線ではなく実線で図示している。これは、接触子102の配置の理解を、容易にするためである。実際の接触子2は、耳刺激装置100の外殻を構成するケース160の内部に配置されており、表面に露出していない。
第1実施形態の耳刺激装置100は、少なくとも、第1ユニット161及び第2ユニット162と、複数の接触子102と、アクチュエータ106と、第1制御部30と、を備えて構成されている。第1ユニット161及び第2ユニット162は、人の耳の耳介110を挟むことで、耳を把持可能である。複数の接触子102は、第1ユニット161において、耳介110の表側110Fに接触可能な位置に少なくとも配置される。接触子102は、耳介110の表側110Fのものが接触子102bであり、耳介110の裏側110Rのものが接触子102aである。ここで、耳介110とは、耳において、顔の側面から外向きに張り出している部分である。また、耳介110の表側110Fとは、耳介110の顔面側(外側、図1Bで図示した側)であり、耳介110の裏側110Rとは、耳介110の後頭部側(内側)である。アクチュエータ106は、各接触子102を少なくとも第1ユニット161の長手方向(図1Aでは上下方向B)に移動させる電動モータなどである。耳刺激装置100の各種動作は、第1制御部30により制御される。
耳刺激装置100は、さらに、電源107と、スイッチ108と、第1伝達部材90とを備えて構成されている。電源107は、アクチュエータ106を動作させる。スイッチ108は、電源107からアクチュエータ106への電気信号のON/OFFを制御する。第1伝達部材90は、例えば、アクチュエータ106で発生した駆動力を各接触子102に伝達する接触子駆動力伝達部材である。
第1実施形態の耳刺激装置100(後述する耳刺激装置100bも同様。)は、図1A及び図1Cに示すように、各ユニット161,162に4つの接触子102(102b,102aを備えることを特徴とする。それぞれ4つの接触子102は、耳介110の表側110F及び裏側110Rにそれぞれ接触する。詳しくは後述する。
図1Dに示す耳刺激装置100aは、第1実施形態の第1変形例であって、第1実施形態において最も簡単な構成の装置である。この装置は、図1Dに示すように、第1ユニット161に、接触子102bを、少なくとも2つ有することを特徴とする。この第1変形例の場合、第2ユニット162は接触子102aを備えず、耳介110の裏側110Rに当接する。この第1変形例の耳刺激装置100aは、人の耳の表側110Fのみに刺激を与えるものであるが、簡易に構成可能なものである。
耳刺激装置100において、第1ユニット161は耳介110の表側110Fの一部を覆うように配置され、第2ユニット162は耳介110の裏側110Rの一部を覆うように配置されている。第1ユニット161と第2ユニット162とは、ヒンジなどの連結部材で連結されている。
スイッチ108は、耳刺激装置100の第1ユニット161又は第2ユニット162の外殻を構成するケース160の表面に設置されている。スイッチ108の機能としては、電源107からアクチュエータ106への電気信号のON/OFFを制御する機能がある。なお、耳刺激装置100が、以下に説明する種々の動作を選択可能な場合には、その選択を行うための機能をスイッチ108の機能として設けてもよい。
また、耳刺激装置100は、さらに、第1ユニット161及び第2ユニット162のケース160内に、第1伝達部材90を備える。第1伝達部材90としては、例えば、弾性体103、第1プーリ109、ベルト104などから構成される。弾性体103は、ケース160と各接触子102の先端部との間に配置されて、各接触子102に対して耳介110に向かう方向への力を付勢するためのバネなどである。第1プーリ109は、各接触子102を正逆回転駆動させる。ベルト104は、第1プーリ109を正逆回転駆動させる。第1伝達部材90は、アクチュエータ106からの力を各接触子102に伝達するものである。
なお、以下の説明では、各接触子102それぞれをアクチュエータ106で動かす場合について説明しているが、複数個の接触子102を連動可能に構成して、1つのアクチュエータ106で1つの接触子102を駆動させることで複数の接触子102を連動させ、複数の接触子102が同様な動きをするように構成してもよい。これにより、安価でかつ軽量に耳刺激装置100を実現することができる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態における耳刺激装置100は、一例として各ユニット161,162にそれぞれ4つ設けられた接触子102を用いて、耳介110に対して刺激を加える装置である。この耳刺激装置100は、耳介110の全体を摩る動作、又は、耳介110を一時的に変形させる動作を実現するように、複数個の接触子102を運動させる。
第1実施形態の耳刺激装置100の接触子102の動作について、詳しく説明する。接触子102の動作の一例は、図1Aに示すように、少なくとも耳介110を上下方向に擦る動作(図1Aの矢印Bの方向への往復動作)を行う第1動作である。また、接触子102の動作の他の一例は、図1Aに示すように、耳介110に捻じりを加える動作(図1Aの矢印Aの方向への円方向の正逆回転動作)を行う第2動作と、耳介110を前後方向に擦る動作(図1Aの矢印Cの方向への往復動作)を行う第3動作と、複数の接触子102が連動して耳介110を一時的に変形させる動作(図1Cの矢印Dの方向への動作)である第4動作である。第1実施形態の耳刺激装置100は、これら第1〜第4動作を、単独又は適宜組み合わせて行うことにより、人の顔などの血流を増加させるために耳介110に刺激を加えるものである。このような第1〜第4動作により、第1実施形態の耳刺激装置100は、耳介110にある多くのツボを満遍なく刺激して、副交感神経を亢進させることができる可能性がある。すなわち、第1実施形態の耳刺激装置100は、耳介110のツボを直接的に押して刺激するだけでなく、耳介110の摩擦又は一時的な変形を利用して、間接的に耳介110のツボを刺激するものである。ここで、第1動作(図1Aの矢印Bの方向への往復動作)と第3動作(図1Aの矢印Cの方向への往復動作)とは、耳介110の表面にそれぞれ略平行な方向である。ここで、耳介110の表面とは、耳介110の表面の上端の一点と下端の一点とを結ぶ線を含む面を意味する。また、耳介110の表面と垂直な方向とは、前記線を含む面に垂直な方向を意味する。なお、前記前後方向(図1Aの矢印Cの方向)とは、第1ユニット161の長手方向(図1Aでは上下方向B)と交差する方向の一例である。また、前記左右方向(図1Aの矢印Dの方向)とは、第1ユニット161の長手方向(図1Aでは上下方向B)と交差する方向の一例である。
一般に、耳介110は、図1Bに示すように、上部の耳介尖111と、下部の耳垂112と、中央部の耳輪113と、対耳輪114とで構成されている。
第1実施形態の耳刺激装置100は、図1Aに示すように、クリップ状の止め具101によって耳介110の上部の耳介尖111を挟むことで、耳に固定される。クリップ状の止め具101は、一対のユニット、すなわち、第1ユニット161と第2ユニット162との上端部に配置される。第1実施形態の耳刺激装置100は、止め具101により耳介110の一部に固定された状態で、耳介110に接触した接触子102を動作させることで、耳を刺激する。
止め具101により固定された状態での接触子102の配置位置は、耳介110のツボ上の位置が望ましいが、耳の第1領域を耳輪113又は対耳輪114に沿って覆う位置であれば良い。ここで、第1実施形態における第1領域とは、耳介110の上部の耳介尖111の周辺から耳介110下部の耳垂112までの50mm以上かつ70mm以下の領域である。接触子102の配置の一例は、第1ユニット161及び第2ユニット162を、それぞれ、等脚台形(図1Aの一点鎖線の台形ITを参照)の4個の頂点に配置された4個の接触子102で構成する配置である。前記等脚台形の底角θの一例は、15°≦θ≦30°である。
また、第1ユニット161及び第2ユニット162の大きさの一例は、各ユニットの長手方向寸法Lが10mm≦L≦20mmである。なお、前述の耳刺激装置100aの場合は、接触子102が配置された第1ユニット161の長手方向寸法Lを100mm≦L≦200mmとし、第2ユニット162を第1ユニット161の接触子102の運動を支持できる程度の任意の長さとすればよい。
各接触子102の先端部の形状は、図2A〜図2Dに示すように、耳介110を擦るために優しく接触できるように半球状の形状であることが望ましい。また、各接触子102の先端部の材料は、例えばゴム又は柔らかい樹脂などの柔らかい材料で形成されることが望ましい。また、各接触子102の先端部は、例えば、半径3mm以上かつ5mm以下の半球状部材とすることが望ましい。各接触子102の先端部の一例は、図2Aのような半球状の先端部131、図2Bのような偏心形状の先端部132、若しくは、図2Cのような先端部133である。図2Cのような先端部133は、リンクなどにより第1プーリ109の軸の延長線とは異なる位置で耳介110に接触するものである。また、接触子102の先端部の一例として、図2Dに示すように、接触子102の先端部134の円板部の表面に、複数個の半球状の突部134aを円周状に配置して、1つの接触子102で多数の刺激を同時に付与できるようにしてもよい。
なお、各接触子102の先端部131、132、133、134を取外し可能に構成すると、これら接触子102の交換又は洗浄を行うことができ、衛生的である。
なお、接触子102は、第1ユニット161に少なくとも2つ以上あれば良いが、後述する耳介110の一時的な変形を行うためには、第1ユニット161及び第2ユニット162において耳介110の表裏側にそれぞれ接触する接触子102が3つ以上あることが望ましい。
なお、第1実施形態では、耳介110の表裏の接触子102を区別して説明する場合には、耳介110の表側110Fに配置された接触子102を接触子102bとし、耳介110の裏側110Rに配置された接触子102を接触子102aとする。
なお、耳刺激装置100の止め具は、図1A及び図1Cに示す止め具101に限られるものではなく、図3A及び図3Bに示す止め具101bを用いてもよい。止め具101bは、第1ユニット161及び第2ユニット162をクリップ状に開閉可能に構成され、耳輪113の近傍(耳介110の横側)を第1ユニット161及び第2ユニット162で挟むことで、耳刺激装置100を耳に固定する。このような止め具101bを用いることにより、耳輪113の近傍を挟むという単一の動作で、耳刺激装置100bを耳介110に固定できる。
続いて、図1Aに示す矢印A〜Dへの各接触子102の動作を実現するための第1伝達部材90について、図4A〜図7Bを用いて説明する。第1伝達部材90は、例えば、以下に説明するように、回転機構である第1機構91と、上下駆動機構である第2機構92と、前後駆動機構である第3機構93と、押圧駆動機構である第4機構94とで構成されている。なお、耳刺激装置100,100a,100bとしては、これらの機構91〜94のうち少なくとも1つの機構を備えるように構成すればよい。
まず、図4A〜図4Bは、各接触子102を矢印A方向に同期して回転させるベルト駆動時に利用する第1機構91を説明するための図である。図4Aは、概要図であり、図4Bは、一部上面図である。
図4A〜図4Bに示すように、第1機構91は、クラウンギア105と、第1プーリ109と、ベルト104とで構成されている。クラウンギア105は、上下方向沿いに配置されたアクチュエータ106の回転軸の駆動ギア106aに噛み合って正逆回転する。第1プーリ109は、各接触子102の軸方向に接続されて、左右方向に平行な接触子102の中心軸回りの正逆回転方向の力を各接触子102に伝達する。クラウンギア105と第1プーリ109とは、ベルト104で連結されている。よって、アクチュエータ106からの力によりクラウンギア105が正逆回転し、クラウンギア105と同軸に配置された第2プーリ105aを介してベルト104が進退駆動する。そして、ベルト104の進退駆動によって各第1プーリ109が同期して一斉に正逆回転することで、各接触子102が矢印A方向(接触子102の中心軸回りの正逆方向)に正逆回転する。このとき、第1ユニット161及び第2ユニット162において、接触子102bの回転と接触子102aの回転とを同位相で行うように構成すると、耳介110の表側110Fと裏側110Rとから表裏の接触子102b,102aで耳介110を挟み込んで捻じるように円運動を行わせることができる。逆に、接触子102bの回転と接触子102aの回転とを逆位相で行うように構成すると、耳介110の表側110Fと裏側110Rから表裏の接触子102b,102aで耳介110を挟み込んで表裏で互いに逆方向に捻じるように円運動を行わせることができる。クラウンギア105は、回転軸の回転力を回転軸と直交する方向の力に変換するための伝達機構の一例であり、適宜、ギアを追加するなどして正位相又は逆位相の伝達機構を任意に構成することができる。
次に、図5A〜図5Bは、矢印B方向に各接触子102を上下運動させる上下リンク駆動時に利用する第2機構92を説明するための図である。図5Aは、概要図であり、図5Bは、一部上面図である。なお、図5A〜図5Bでは、ウォームギア151、ラック152、リンク153などは、ケース160の内部に配置されているが、理解を容易にするために実線で図示している。
図5A〜図5Bに示すように、第2機構92は、ウォームギア151と、ピニオンギア151aと、両側一対のピニオンギア151bと、ラック152と、リンク153とで構成されている。ウォームギア151は、上下方向沿いに配置されたアクチュエータ106の回転軸に連結されて正逆回転する。ピニオンギア151aは、ウォームギア151に噛み合っている。両側一対のピニオンギア151bは、ピニオンギア151aが中央部に固定されかつ左右方向に配置された回転軸151cの両端部に固定されて、同期して正逆回転する。ラック152は、上下方向沿いに配置され、かつ各ピニオンギア151bと噛み合っている。上下方向に配置されたリンク153は、ラック152に連結されて、垂直方向(上下方向)の力を各接触子102に伝達する。詳しくは、リンク153は、等脚台形(図1Aの一点鎖線の台形ITを参照)の4個の頂点に配置された4個の接触子と連結された大略Y字状部材で構成されている。リンク153である大略Y字状部材の中央端部153aは、ラック152の裏面平面の中央部に固定され、各接触子102は、二股部153bに連結されている。よって、アクチュエータ106の正逆回転方向の力は、ウォームギア151とピニオンギア151a,151bとラック152とで垂直方向(上下方向)の力に変換されて、リンク153に伝達される。リンク153は、垂直方向(上下方向)の力を各接触子102に伝達する。この結果、各接触子102に上下方向(矢印B方向)の運動を発生させることで耳介110に対して摩擦を生じさせ、耳介110を上下に引っ張るような擦り揉みを実現することができる。
次に、図6A〜図6Bは、矢印C方向に各接触子102を前後運動させる前後リンク駆動時に利用する第3機構93を説明するための図である。図6Aは、概要図であり、図6Bは、一部上面図である。なお、図6A〜図6Bでは、ウォームギア151、ラック154、リンク153などは、ケース160の内部に配置されているが、理解を容易にするために実線で図示している。
図6A〜図6Bに示すように、第3機構93は、ウォームギア151と、ピニオンギア151dと、両側一対のピニオンギア151gと、ラック154と、リンク153Xとで構成されている。ウォームギア151は、上下方向沿いに配置されたアクチュエータ106の回転軸に連結されて正逆回転する。ピニオンギア151dは、ウォームギア151に噛み合っている。両側一対のピニオンギア151gは、その中央部にピニオンギア151dが固定され、その両端部に左右方向に配置された回転軸151eが固定されて、回転軸151eに同期して正逆回転する。ラック154は、各ピニオンギア151gと噛み合っている。上下方向に配置されたリンク153Xは、ラック154に連結されて、前後方向の力を各接触子102に伝達する。より詳しくは、ラック154は、前後方向沿いの第1板部154aと、第1板部154aに連結された上下方向沿いの第2板部154bとを有している。第1板部154aは、下面に各ピニオンギア151gと噛み合う歯部を有する。リンク153Xは、等脚台形(図1Aの一点鎖線の台形ITを参照)の4個の頂点に配置された4個の接触子102に連結された大略Y字状部材で構成されている。リンク153Xは、その中央端部153Xaがラック152の第2板部154bの裏面平面の中央部に固定されるとともに、各接触子102に二股部153Xbで連結されている。アクチュエータ106の正逆回転方向の力は、ウォームギア151とピニオンギア151d、151gとラック154とで垂直方向(前後方向)の力に変換されて、リンク153Xに伝達される。よって、第3機構93は、各接触子102をケース160に対して前後方向(矢印C方向)に移動させることで、耳介110に対する摩擦動作、又は耳介110を外側又は内側に引っ張るような擦り揉み動作を実現することができる。
図7A〜図7Bは、矢印D方向に各接触子102を運動させるための押圧駆動時に利用する第4機構94を説明するための図である。図7Aは、概要図であり、図7Bは、一部上面図である。なお、図7A〜図7Bでは、ピニオンギア171、ラック172、リンク153などは、表面に露出していないが、理解を容易にするために、実線で図示している。
図7A〜図7Bに示すように、第4機構94は、ピニオンギア171と、一対のラック172a、172bと、リンク153Yとで構成されている。ピニオンギア171は、上下方向沿いに配置されたアクチュエータ106の回転軸に連結されて正逆回転する。一対のラック172a、172bは、横方向に配置され、かつピニオンギア171に噛み合っている。リンク153Yは、上下方向に配置され、かつラック172a、172bに連結されて、水平方向(左右方向)の力を各接触子102に伝達する。一対のラック172a、172bは、上から見て、ピニオンギア171に対して左右方向から噛み合うように配置されている。すなわち、第2ユニット162側のラック172aの先端部はピニオンギア171の前側に噛み合い、第1ユニット161側のラック172bの先端部はピニオンギア171の後側に噛み合うように配置されている。リンク153Yは、等脚台形(図1Aの一点鎖線の台形ITを参照)の4個の頂点に配置された4個の接触子102に連結された大略Y字状部材で構成されている。リンク153Yは、その中央端部153Yaがラック172a又は172bに直交するように固定されている。すなわち、ラック172aの後端は第2ユニット162側のリンク153Yの中央端部153Yaに直交するように固定され、ラック172bの後端は第1ユニット161側のリンク153Yの中央端部153Yaに直交するように固定されている。リンク153Yの枝部153Ybには、各接触子102が連結されている。アクチュエータ106の正逆回転方向の力は、ピニオンギア171とラック172a、172bとで水平方向(左右方向)の力に変換されて、リンク153Yに伝達される。よって、第4機構94は、各接触子102をケース160に対して押圧方向(矢印D方向)に移動させることで、耳介110に押圧を加えることが可能である。なお、第4機構94は、耳介110の表裏の複数の接触子102をそれぞれ連動させることで、耳介110を一時的に弾性的に変形させる動作を実現することができる。
続いて、耳介110への刺激動作について説明する。耳介110への刺激動作とは、図4A〜図7Bを用いて説明した矢印A〜矢印D方向への動作を組み合わせて行う動作である。この場合は、適宜、動作に必要な前記した機構91〜94を耳刺激装置100に組み込んで、各接触子102に所望の運動を行わせる。なお、以下の説明では、耳介110の後頭部側(耳介110の裏側110R)に配置された接触子102を接触子102aとし、耳介110の外側(耳介110の表側110F)に配置された接触子102を接触子102bとして説明している。
なお、ここで、接触子102aの摩擦係数を、接触子102bの摩擦係数よりも大きくすることで、耳介110の裏側110Rの接触子102aで耳介110を軽く保持した状態で、耳介110の表側110Fの接触子102bで耳介110に刺激を加えることができる。
図8A〜図8Cは、各接触子102を連動して耳介110を小さく屈曲させる動作を説明するための図である。耳介110を小さく屈曲させる動作とは、耳介110を少し屈曲させた状態と通常の状態とを連続的に遷移させる動作である。図8Aは、一部上面図であり、図8Bは、耳介110を表側110Fから見た図であり、図8Cは、耳介110を後頭部側(裏側110R)から見た図である。
図8A〜図8Cに示すように、後頭部側(裏側110R)に配置された上下2つの接触子102aを連動させて前向きに押圧動作させることで、耳介110を小さく屈曲させることができる。図8A〜図8Cに示すように、V字状に耳介110を一時的に小さく変形させることで、耳介110のツボを局所的に刺激することができると考えられる。それと共に、耳介110の一時的な変形による小さな屈曲により血流を一時的に阻害した後、一時的な変形を解除することで、耳介110の血流の状態を改善させることができると考えられる。
図9A〜図9Cは、耳介110を大きく屈曲させる動作を説明するための図である。図9Aは、一部上面図であり、図9Bは、耳介110を表側110Fから見た図であり、図9Cは、耳介110を後頭部側(裏側110R)から見た図である。
図9A〜図9Cに示すように、上下2つの接触子102a及び中央2つの接触子102bを連動させて動作させることで、耳介110を大きく屈曲させることができる。このとき、耳介110は、中央2つの接触子102bが支点となることで、大きく屈曲する。なお、支点となる接触子102bは、少なくとも1つ配置されていれば良い。図9A〜図9Cに示すように、V字状に耳介110を一時的に大きく変形させることで、耳介110の一時的な変形により耳介110のツボを局所的に強く刺激することができると考えられる。さらに、耳介110の一時的な変形による大きな屈曲により血流を一時的に阻害した後、一時的な変形を解除することで、耳介110の血流の状態を大きく改善させることができると考えられる。
ここで、第1実施形態の耳刺激装置100の効果を説明するために、図10A及び図10Bに、この耳刺激装置100の使用前後の顔温度を示す。図10Aが耳刺激装置100の使用前の顔温度を示す図であり、図10Bが耳刺激装置100の使用後の顔温度を示す図である。図10A及び図10Bから明らかなように、第1実施形態の耳刺激装置100を使用して耳介110に刺激を加えることで、顔温度が上昇している(灰色の領域が拡大している)ことが分かる。例えば、図10Aの左側の顔の正面図では上半分までが灰色の領域であったが、図10Bの左側の顔の正面図では顔全体が灰色の領域となっている。また、図10Aの右側の顔の側面図では上半分までが灰色の領域であったが、図10Bの右側の顔の側面図では顔全体が灰色の領域となっている。この結果からも、第1実施形態の耳刺激装置100が、顔の血流を促進させて、顔温度を上昇させていることが分かる。
なお、スイッチ108は、ケース160に設置する方式ではなく、リモートコントローラ型としてもよい。スイッチ108をリモートコントローラ型とすることにより、スイッチ108を目視で確認しながら操作することができる。
なお、止め具101は、耳介110の表側110Fの長さと耳介110の裏側110Rの長さが異なるものであってもよい。これらの長さを異なるものにすることにより、接触子102が耳介110に接することで生じるモーメントに対して、耳刺激装置100の安定性を高くすることができる。
なお、止め具101は、クリップ状ではなく、耳介110の裏側110Rに引っ掛けるようなもの、又は、ヘッドホンのようにドーム状に耳介110を覆うものでもよい。
なお、接触子102は、上下方向と、左右方向と、前後方向と、円方向とのいずれに移動する場合においても、耳介110の表側110Fに配置された接触子102bと耳介110の裏側110Rに配置された接触子102aを逆位相で動作させてもよい。表裏側の接触子102を逆位相で動作させることにより、耳介110をより強く刺激することができる。
また、耳介110の表側110Fに配置された接触子102bの摩擦係数よりも、耳介110の裏側110Rに配置された接触子102aの摩擦係数を大きくすることで、耳刺激の効果が高いと思われる耳介110の表側110Fにおける摩擦等の刺激を強くすることができる。このように接触子102の摩擦係数を表裏側で変えることで、耳介110の血流促進に、さらに有効である。
また、一つの接触子102の表面で部分的に摩擦係数を変えることで、耳介110へ刺激を加える際に摩擦差を設けることができ、有効な耳刺激を行うことも可能であると考えられる。例えば、接触子102の表面の上側の摩擦係数よりも下側の摩擦係数を大きくすることで、接触子102が下側に移動するときに大きな摩擦を生じさせることが可能となる。
(耳刺激装置の動作の第1例)
図11A〜図11Cを用いて、耳刺激装置100の動作の第1例を説明する。図11Aに示すように、この動作の第1例においては、耳介110の表側110Fの複数個の接触子102bと、耳介110の裏側110Rの複数個の接触子102aとを、互いにズレた位置に配置している。このように、耳介110の表裏側の複数個の接触子102a、102bをズレた位置に配置することで、図11B及び図11Cに示すように、耳介110を一時的に変形させながら挟み込むことができる。ズレた位置とは、第2ユニット162の三角形の少なくとも3つの頂点の位置でかつその3つの頂点のうちの少なくとも1つの頂点が、第1ユニット161の三角形の頂点のうちの2つの頂点間又は前記2つの頂点間の近傍に位置するように配置された位置である。
そして、この動作の第1例では、互いにズレた位置に配置された複数個の接触子102a、102bで耳介110を表裏側から挟み込んだ後、全ての接触子102a、102bを同期させると共に、図11Bに示す上下移動、又は、図11Cに示す左右移動を行う。ここで、図11Bに示す上下移動とは、接触子102a、102bで耳介110を挟んだまま接触子102a、120bを上下方向(矢印B方向)に移動させる動作である。また、ここで、図11Cに示す左右移動とは、接触子102a、102bを耳介110に近づく方向及び離れる方向(矢印D方向)に交互に移動させて、耳介110を押圧する動作である。
(耳刺激装置の動作の第2例)
図12A〜図12C、図13を用いて、耳刺激装置100の動作の第2例を説明する。図12A〜図12Cに示す動作は、耳介110の対耳輪114に沿って、上から下へ、さらには下から上へ、複数の接触子102を順番に運動させて、耳介110に刺激を加えるものである。
この動作の第2例は、例えば、図5A〜図5Bに示す第2機構92を複数の接触子102毎にそれぞれ独立に設けて、図13のように構成することで実現できる。なお、リンク153Zは、図5Aなどのリンク153に相当する。
ここで、図12A〜図12C及び図13では、説明を簡単にするために、耳介110の表側110Fに3つの接触子102a1、102a2、102a3が配置され、耳介110の裏側110Rに3つの接触子102b1、102b2、102b3が配置された場合について説明する。なお、この動作の第2例においては、表裏側の接触子102は、それぞれ少なくとも2個以上存在していれば良い。
図12Aに示すように、この動作の第2例では、耳介110の表側110Fの接触子102a(102a1、102a2、102a3)と、耳介110の裏側110Rの接触子102b(102b1、102b2、102b3)とを、対向する位置(表裏側で向かい合う位置)に配置している。そして、この動作の第2例では、向かい合う位置に配置された表裏側の接触子102a、102bで耳介110に刺激を加えることで、耳介110を上下に撫でるような刺激を加えることができる。また、このように耳介110を撫でるような刺激により、人体の背骨に相当すると言われている対耳輪114を順番に刺激することができ、背骨の気血の通りを促すことができると考えられている。
この動作の第2例では、接触子102は、まず、図12Bに示すように接触子102a1、102b1が同時に耳介110の上から下に向かって矢印B1の方向に動く。続いて、接触子102a2、102b2が同時に耳介110の上から下に向かって矢印B2の方向に動く。さらに続いて、接触子102a3、102b3が同時に耳介110の上から下に向かって矢印B3の方向に動く。このように動作することで、耳介110の上部から接触子102が順に耳介110下方向に向かって移動することになる。このときの接触子102の動作量は、耳介110の大きさにもよるが、例えば、それぞれ10mm程度ずつである。その後、接触子102a3、102b3が耳介110の下部に移動した後に、図12Cに示すように接触子102a3、102b3が同時に耳介110の下から上に向かって矢印B4の方向に動く。続いて、接触子102a2、102b2が同時に耳介110の下から上に向かって矢印B5の方向に動く。さらに続いて、接触子102a1、102b1が耳介110の下から上に向かって矢印B6方向に動く。このように動作することで、耳介110の下部から接触子102が順に耳介110の上方向に向かって移動することになる。図12B及び図12Cの一連の動作を繰り返すことにより、耳介110を上下に撫でるような刺激を加えることができる。
(耳刺激装置の動作の第3例)
図14A〜図14Bを用いて、耳刺激装置100の動作の第3例を説明する。まず、図14Aに示すように、耳介110の裏側110Rの降圧溝200に上端の接触子102a1が当たるように接触子102a1〜102a4を配置するとともに、これらの接触子102a1〜102a4に対応して耳介110の表側110Fにも接触子102b1〜102b4を配置する。その後、図14Bに示すように、一番上の接触子102a1、102b1を矢印D方向に動かして耳介110を挟んで保持した状態で、残りの接触子102a2〜102a4、102b2〜102b4で耳介110を下向き(矢印B方向)に引っ張るものである。この動作の第3例は、少なくとも2対4つの接触子102があれば実現することができる。このように動作させることにより、降圧溝200を直接刺激することができ、例えば、血圧を低下させることができる。
なお、ここでは、一番上の接触子102a1、102b1を矢印D方向に動かして耳介110を挟んで保持したが、耳介110への刺激を変えることが可能な場合は、一番下の接触子102a4、102b4を矢印D方向に動かして耳介110を挟んで保持し、残りの接触子102a1〜102a3、102b1〜102b3を上向きに動かして耳介110を引っ張っても良い。
(耳刺激装置の動作の第4例)
図15A〜図15Bを用いて、耳刺激装置100の動作の第4例を説明する。第4例の動作は、図15A、及び図15Bに示すように、耳介110全体を横方向(矢印C方向)に引っ張るように接触子102を運動させるものである。このとき、接触子102が耳介110の外側に移動するとともに、最外部で停止する時間を耳介110の内側に移動する時間よりも長くすることで、耳介110を横に引っ張ることができる。又は、このとき、接触子102が耳介110の外側に移動する力を、耳介110の内側に移動する力よりも強くすることで、耳介110を横に引っ張ることができる。
このように耳介110を横方向に動かすことにより、側頭骨と後頭骨との間にあり、内頚静脈、迷走神経、副神経、若しくは舌咽神経など重要な神経及び血管が通っている頚靜脈孔という穴を開いて緩めることができ、血行促進を実現することができる。また、耳に付着している側頭骨又はその内側の脳硬膜を引っ張ることでき、頭蓋骨に関わる硬膜の過緊張又はアンバランスを調整することができる。
(耳刺激装置の動作の第5例)
図16A〜図16Dを用いて、耳刺激装置100の動作の第5例を説明する。第5例の動作は、耳介110の表側110Fを外側に向かって撫でた後に、耳介110の裏側110Rを外側に向かって撫でることを繰り返すように、接触子102を運動させるものである。これにより、耳介110全体を刺激することができ、疲労の回復、認知症の防止、聴力の減退、又は、耳鳴り低減を行うことができる。
この第5例の動作は、図16C、及び図16Dに示すように、図6A〜図6Bに示す第3機構93を第1ユニット161及び第2ユニット162にそれぞれ独立して備え、各ユニット毎に独立して動作可能とすることにより、達成することができる。具体的には、第5例では、第3機構93F,93Rを、第1ユニット161及び第2ユニット162に備えている。第3機構93F,93Rは、アクチュエータ106F,106Rの正回転駆動を、ウォームギア151F,151Rと、ピニオンギア151dF,151dRと、両側一対のピニオンギア151gF,151gRと、ラック154F,154Rと、リンク153XF,153XRを有する。これら第3機構93F,93Rを介することで、アクチュエータ106F,106Rの逆回転駆動を接触子102a、102bに伝達して、接触子102a、102bを耳介110の外側に向かって駆動させる。これを繰り返すことで、耳介110の表側110Fの接触子102bは耳介110の内側から外側へ駆動し、耳介110の裏側110Rの接触子102bは耳介110の内側から外側へ駆動することが続き、耳介110の表側110F及び裏側110Rを接触子102で撫でるように動作させることができる。
(第1実施形態の変形例)
図17Aは第1実施形態の変形例における耳刺激装置100Mの正面図であり、図17B〜図17Dは、それぞれ、図17Aの耳刺激装置100Mの右側面図、背面図、図17Aの耳刺激装置100Mを耳に装着した状態での説明図である。
耳刺激装置100Mは、一対の板状のケース160a間に、電動モータなどのアクチュエータ106と、駆動ギア80と、クラウンギア81と、係合突起82aを有する回転板82と、長溝83aを有するカム部材83と、スライド案内部材84と、リンク153とで構成されている。クラウンギア81は、上下方向沿いに配置されたアクチュエータ106の回転軸の駆動ギア80に噛み合って正逆回転する。駆動ギア80は、左右方向沿いの回転軸85で連結されて板状のケース160aの外面で回転板82を正逆回転させる。回転板82は、中心軸から偏心した位置に係合突起82aを有し、カム部材83の長溝83aに係合している。ケース160aの上下方向沿いの端縁には、スライド案内部材84が固定されている。スライド案内部材84には、カム部材83が上下方向沿いに摺動自在に取り付けられている。回転板82が回転すると、係合突起82aと長溝83aとの係合を介して、カム部材83がスライド案内部材84に対して上下方向沿いに移動する。カム部材83には、大略Y字状部材であるリンク153の中央端部153aが固定されている。アクチュエータ106の正逆回転方向の力は、クラウンギア81と回転板82とカム部材83とスライド案内部材84とで垂直方向(上下方向)の力に変換されて、リンク153に伝達される。すなわち、リンク153は、垂直方向(上下方向)の力を各接触子102に伝達する。この結果、ケース160aに対して各接触子102に上下方向(矢印B方向)の運動を発生させることで耳介110に摩擦を生じさせ、耳介110を上下に引っ張るような擦り揉みを実現することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる耳刺激装置100Mとして、第1伝達部材90で発生する駆動音の影響を低下させることができるものについて説明する。
まず、この第2実施形態にかかる耳刺激装置100Mを説明する前に、従来技術について簡単に説明する。例えば、従来の耳刺激装置では、耳への刺激が十分ではない場合がある。耳への刺激を強くする方法としては、例えば、アクチュエータにより駆動を強くした機器が考えられている。この場合、前述の特許文献2の技術を応用することで、駆動音の影響を小さくすることも考えられるが、マッサージ椅子は、腰部及び肩部を対象としており、その駆動音源は、耳から離れた位置にあるのが一般的である。そのため、耳刺激装置においては、マッサージ椅子の場合などとは異なり、駆動音への対策が必要となる可能性が高いと考えられる。
本発明にかかる第2実施形態は、この課題を解決するものであり、耳刺激装置において、駆動音の影響を低下させることを目的としている。
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
図18は、本発明の第2実施形態における耳刺激装置100Mの全体構成図である。図18に示す耳刺激装置100Mは、耳介110に装着するためのヘッドホン型の機器である。耳刺激装置100Mは、左右の耳を覆う2つのハウジング1100aと、それらハウジング1100aをつなぐヘッドバンド1100bとを備えて構成されている。第2実施形態における耳刺激装置100Mは、このように、ヘッドホン型の機器とすることで、接触子102などの各構成の重量を、耳介110だけではなく使用者の頭部で保持することができる。そのため、この耳刺激装置100Mの装着者(使用者)は、座位又は側臥位など、様々な姿勢で耳刺激を受けることができる。各ハウジング1100a内には、第1実施形態の耳刺激装置100、100a、若しくは、100bが配置されている。なお、図では、代表例として参照符号100のみで示す。
なお、図18において、ハウジング1100a内に配置された接触子102は、理解を容易にするために、実線で図示している。また、図18において、ハウジング1100a又はヘッドバンド1100b内に配置されたアクチュエータ106などの各構成は、それぞれの接続関係の理解を容易にするために、ハウジング1100a又はヘッドバンド1100bの外に破線で図示している。
第2実施形態の耳刺激装置100Mは、ハウジング1100a内に、片側4個の接触子102と、アクチュエータ106と、第1伝達部材90と、電源107とを第1実施形態の耳刺激装置100,100a,100bなどと同様に備える。さらに、耳刺激装置110Mは、アクチュエータ制御部である第2制御部1108と、駆動音検出部である第2検出部125と、音楽データ記憶部である第1記憶部129と、音楽再生部である再生部121と、音楽検出部である第1検出部122と、遅延時間算出部である第1算出部126と、遅延発生部である第1発生部123と、スピーカ部124とを備えて構成されている。アクチュエータ106は、電動モータなどで構成されている。第1伝達部材90は、アクチュエータ106から各接触子102に力を伝達する。電源107は、アクチュエータ106を動作させる。
第2制御部1108は、再生予定の音楽の音量(音楽データの振幅)の大小に基づいて、アクチュエータ106への入力信号(例えば、電圧又は電流)を制御して、アクチュエータ106のトルク又は/及び回転速度を制御する。
第2検出部125は、第1伝達部材90で発生する駆動音を計測する。第2検出部125は、駆動音の主要因になるギアなどで構成される第1伝達部材90付近に、第1伝達部材90の方向に検出手段を向けて設置されている。このような向きに第2検出部125を設置することで、駆動音を確実に検出できる。
第1記憶部129は、再生予定の音楽データを記憶する。
再生部121は、第1記憶部129から、再生予定の音楽データの読み込みを行い、所定の音楽を再生する。
第1検出部122は、再生部121で再生される音楽の音量を検出する。具体的には、第1検出部122は、マイクロフォンなどで構成され、再生部121で読み込まれた音楽データの振幅に基づいて、音楽の音量を検出する。音量の代わりに、例えばテンポなど、他の音楽的な特徴を検出してもよい。
第1算出部126は、アクチュエータ106の駆動を接触子102に伝達するときの第1伝達部材90などにおける遅延時間Tds(=Td1+Td2)を算出する。このように遅延時間Tdsを考慮するのは、以下の理由による。まず、第1伝達部材90が、アクチュエータ106の駆動を伝達するために、複数のギアなどのギアトレインで構成されている場合、ギアトレインにおける遊びなどにより、後述する伝達遅延が発生するため、第1伝達部材90に関する遅延時間Td1を考慮する必要がある。また、再生する音楽に基づく伝達遅延も発生するため、再生する音楽に関する遅延時間Td2も考慮する必要がある。よって、遅延時間Td1と遅延時間Td2との合計である遅延時間Tdsを考慮する必要がある。
第1発生部123は、第1算出部126で算出した遅延時間Tds(=Td1+Td2)だけ遅延した音楽を、再生部121で再生する。
スピーカ部124は、第1発生部123で遅延された音楽を耳に伝達する。また、スピーカ部124は、スピーカ部124から発生する音が支配的に耳介110の鼓膜に届くように、接触子102の配置位置よりもさらに内側(耳介110側)にイヤホンのような形で配置されている。
ここで、第2実施形態の耳刺激装置100Mは、耳介110の表側110Fに配置された接触子102bを、少なくとも2つ有する。このように少なくとも2つ接触子102があれば、耳刺激を行うことが可能であるが、以下の説明では、耳介110の表側110Fと裏側110Rのそれぞれで4つの接触子102を耳介110に接触させる例について説明する。
第2実施形態の耳刺激装置100Mは、詳細は後述するが、第1伝達部材90付近に設置した第2検出部125で駆動音を検出し、第1伝達部材90における遅延時間を考慮して遅延させた音楽を、再生部121で再生するための構成を有することを特徴としている。そして、この特徴を有することで、第2実施形態では、耳刺激装置100Mの第1伝達部材90などにおいて発生する駆動音を遅延時間だけ遅延させた音楽で打ち消し、駆動音の影響が小さく快適な耳刺激装置100Mを実現している。
ここで、耳介110へ刺激を加えるための第2実施形態の耳刺激装置100Mの機構について、図19及び図21を用いて、説明する。第2実施形態における耳刺激装置100Mは、複数の接触子102を用いて、耳介110に対して刺激を加える装置である。この耳刺激装置100Mは、耳介110全体を満遍なく摩る動作、又は、耳介110を変形させるように接触子102を運動させる動作のための機構を有する。第2実施形態の耳刺激装置100Mは、図19に示すように、人の顔などの血流を増加させるために、少なくとも耳介110を上下方向に擦る動作(図19の矢印Bの方向への往復動作)を行うことにより、耳介110に刺激を加えるものである。一例としては、第2実施形態の耳刺激装置100Mは、図19に示すように、人の顔などの血流を増加させるために、耳介110に捻じりを加える動作(図19の矢印Aの方向への円方向の回転動作)と、耳介110を上下方向に擦る動作(図19の矢印Bの方向への往復動作)と、耳介110を前後方向に擦る動作(図19の矢印Cの方向への往復動作)と、複数の接触子102が連動して耳介110を変形させる動作(図19の矢印Dの方向への動作)とを、単独又は適宜組み合わせて行わせる。第2実施形態の耳刺激装置100Mは、これらの動作により耳介110に刺激を加えることで、耳介110にある多くのツボを満遍なく刺激することができ、副交感神経を亢進させることができると考えられる。すなわち、第2実施形態の耳刺激装置100Mも、耳介110のツボを直接的に押して刺激するだけでなく、耳介110の摩擦又は変形を利用して、間接的に耳介110のツボを刺激するものである。ここで、耳介110を上下方向に擦る動作(図19の矢印Bの方向への往復動作)と、耳介110を前後方向に擦る動作(図19の矢印Cの方向への往復動作)とは、耳介110の表面に略平行な方向である。
耳介110は、図20に示すように、上部の耳介尖111と、下部の耳垂112と、中央部の耳輪113と、対耳輪114との各部位で構成されている。第2実施形態の耳刺激装置100Mは、耳介110の一部に固定された状態で、4つの接触子102を耳介110の表裏側110F,110Rにそれぞれ接触させ、これら接触子102を運動させることで、耳を刺激するものである。これらの接触子102は、耳介110のツボ上に配置されることが望ましいが、耳介110の上部の耳介尖111の周辺から耳介110下部の耳垂112までの50mm以上かつ70mm以下の領域を、耳輪113又は対耳輪114に沿って覆うように配置されれば良い。
第2実施形態の耳刺激装置100Mにおいては、一例として、接触子102の配置又は個数など又は耳刺激装置の構成及び動作などは、第1実施形態の耳刺激装置100,100a,100bと同様にしてもよい。
また、耳刺激装置100Mは、図21に示すように、第1ユニット161又は第2ユニット162のケース160内に、第1伝達部材90の一例として、耳介110に向かう方向への力を各接触子102に加えるためのバネなどの弾性体103と、各接触子102を正逆回転駆動させる第1プーリ109と、第1プーリ109を正逆回転駆動するベルト104などを備える。第1伝達部材90は、アクチュエータ106からの力を各接触子102に伝達する。弾性体103は、ケース160と各接触子102の先端部との間に配置されて、ケース160に対して各接触子102が常に耳介110に向かう方向への力を発揮できるように付勢する。
なお、以下の説明では、接触子102それぞれをアクチュエータ106で動かす場合について説明しているが、機構的に複数個の接触子102を連動可能に連結するように構成して、1つのアクチュエータ106で1つの接触子102を駆動すると同時に、駆動された接触子102と他の接触子102が機構的に連動してすべての接触子102が同様な動きをするように構成してもよい。これにより、安価でかつ軽量に耳刺激装置100Mを実現できる。
続いて、第2実施形態における耳刺激方法について、図22A及び図22Bのフローチャートを用いて説明する。
まず、準備動作(遅延時間算出動作)について、図22Aを基に説明する。
図示しないスイッチなどにより耳刺激装置100Mを用いた耳介110への刺激を開始すると、まず、第2制御部1108からアクチュエータ106への入力信号(例えば、電圧又は電流)を、実際に使用する範囲内で変化させる(ステップS01)。
続いて、第2検出部125を用いて第1伝達部材90の駆動音を検出する(ステップS02)。
続いて、ステップS01において第2制御部1108からの入力に基づく信号変化を開始したときから、ステップS02において第2検出部125で駆動音が検出されるまでの時間の差である遅延時間Td1を、第1算出部126で算出する(ステップS03)。
このステップS03の処理動作により、下記(式1)に示す関係(関係式)を第1算出部126で取得して記憶部に記憶する(ステップS04)。下記(式1)の関係式は、アクチュエータ106への入力信号(例えば、電圧又は電流)Iactと、対応するアクチュエータ106のトルクτactと、遅延時間Td1との関係を表す式である。(式1)において、Gは、アクチュエータ106のトルクτactと遅延時間Td1との関数(Td1=G(τact))であり、Fは、アクチュエータ106の入力信号Iactとアクチュエータ106のトルクτactとの関数(τact=F(Iact))である。
Td1=G(F(Iact)) (式1)
なお、ステップS01〜ステップS04の処理は、第1伝達部材90の固有の遅延時間Td1を算出する関係式を取得した後、遅延時間Td1を算出する処理である。このため、例えば、ステップS01〜ステップS04の処理を工場出荷時に行って、第1算出部126で算出した遅延時間を算出するための関係式(式1)を取得して記憶部に記憶しておき、使用毎に、入力信号と第1算出部126に記憶されていた関係式(式1)とを基に遅延時間を第1算出部126で算出する処理だけを行うようにしてもよい。
次に、使用者により耳刺激装置100Mを使用するときの処理動作について説明する。
まず、例えば、図示しないスイッチなどにより耳刺激装置100Mを用いた耳介110への刺激を開始すると、再生部121にて、第1記憶部129から再生予定の音楽データの読み込みを行う(ステップS05)。
続いて、再生部121で読み込まれた音楽データの振幅に基づいて、音楽の音量を、マイクロフォンなどの第1検出部122において検出する(ステップS06)。
第2実施形態の耳刺激装置100Mは、特徴の一つとして、第1検出部122で検出された再生予定の音楽の音量の大小に基づいて、アクチュエータ106によるトルク(駆動)の大小を第2制御部1108で変更している。すなわち、第2実施形態の耳刺激装置100Mは、再生部121で再生予定の音楽の音量が大きいことを第1検出部122で検出した場合、駆動音を大きめにしても影響が小さいと判断して、第2制御部1108でトルクを大きくする。一方、再生部121で再生予定の音楽の音量が小さいことを第1検出部122で検出した場合、駆動音の影響が大きいと判断して、トルクを第2制御部1108で小さくする。第2実施形態の耳刺激装置100Mは、このように、再生予定の音楽の音量の大小に基づいて、アクチュエータ106によるトルク(駆動)の大小を第2制御部1108で自動的に変更することを、特徴の一つとする。具体的には、音楽の音量が閾値より大きいと第1検出部122で検出した場合には、接触子102の動きが強くなるように、第2制御部1108からアクチュエータ106へ入力されるトルク信号の大きさを、第2制御部1108で所定の大きさ(予め決められた大きさ)よりも大きくする。また、音楽の音量が閾値以下であると第1検出部122で検出した場合には、接触子102の動きが弱くなるように、第2制御部1108からアクチュエータ106へ入力されるトルク信号の大きさを、第2制御部1108で、所定の大きさよりも小さくする(ステップS09)。このように制御することで、再生予定の音楽の音量が大きくなる場合に、接触子102の動きを強くして駆動音を大きくすることができ、強い刺激であっても駆動音による使用者への不快感を軽減できる。また、逆に、再生予定の音楽の音量が小さくなる場合に、接触子102の動きを弱くして駆動音を小さくすることができる。その結果、接触子102に強弱をつけて、音楽の音量に応じた心地よい耳介110への刺激を提供することができる(ステップS10)。
しかしながら、第2制御部1108から入力信号を出力してから駆動音が発生するまでには、通信及び第1伝達部材90の機構を伝達する影響で、伝達遅延が生じる。
そこで、第2実施形態の耳刺激装置100Mは、もう一つの特徴として、通信により遅延する遅延時間Td2及び第1伝達部材90により遅延する遅延時間Td1の合計の遅延時間Tdsだけ、音楽の再生を遅延させることで、駆動音の大小と音楽の音量の大小とを同期させている。
具体的には、ステップS06の後、第1検出部122で検出された再生予定の音楽データ信号及び対応するアクチュエータ106の入力信号の大きさに基づいて、第1算出部126において、遅延時間Td1及びTd2、並びに、合計の遅延時間Tdsを算出する(ステップS07)。具体的には、第1算出部126において、ステップS04で取得した関係式と対応するアクチュエータ106の入力信号と前記(式1)とに基づき、遅延時間Td1を算出する。また、第1算出部126において、ステップS06で取得した第1検出部122で検出された再生予定の音楽データ信号と後述する(式3)とに基づき、遅延時間Td2を算出する。その後、第1算出部126において、遅延時間Td1と遅延時間Td2との和である遅延時間Tdsを算出する。
続いて、再生部121で再生される音楽の再生を、第1算出部126で算出した遅延時間Tdsだけ、第1発生部123で遅延させ、遅延された音楽をスピーカ部124から出力する(ステップS08)。
このように処理することにより、第2実施形態の耳刺激装置100Mの装着者(使用者)は、音楽を聞きながら、その音楽に合わせて駆動の強弱が変化する接触子102により、駆動音を気にすることなく耳介110への刺激を受けることができる。
第2実施形態の耳刺激装置100Mでは、音量を検出するステップS06から、音楽を遅延させるステップS07〜S08及びトルクを変更させるステップS09〜S10の一連の流れを、音楽が停止するまで繰り返す(ステップS11)。音楽を遅延させるステップS07〜S08と、トルクを変更させるステップS09〜S10とは、互いに別々に処理すればよく、時間的には同時的に又は時系列的に処理してもよい。
ここで、ステップS09での具体的な処理について説明する。
第2制御部1108で、第1検出部122で検出された音量Soundに対応するアクチュエータ106のトルクτactの関係式を下記(式2)として記憶部に記憶しておく。ここでは、Hは、アクチュエータ106のトルクτactと音量Soundとの関数である。すると、第1検出部122で検出された音量Soundと(式2)とにより第2制御部1108でトルクτactを算出する。第2制御部1108で算出されるトルクτactに対して、Iact=F’(τact)(ただし、F’はFの逆関数)を第2制御部1108で算出し、算出したアクチュエータ106の入力信号Iactをアクチュエータ106に第2制御部1108で入力する。
τact=H(Sound) (式2)
一例として、図25Aに、音量と時間との関係のグラフを示し、図25Bに、トルクと時間との関係のグラフを示す。音量が大きいときにトルクも大きくなっており、逆に、音量が小さいときにトルクも小さくなっている。
また、ステップS07での具体的な処理について説明する。
第1発生部123で算出される音楽に関する遅延時間Td2は、第1検出部122で検出された音量Soundに対して、(式1)と(式2)とより、下記(式3)で算出される。
Td2=G(H(Sound)) (式3)
よって、第1発生部123において、第1検出部122で検出された音量Soundと(式3)とにより、遅延時間Td2を算出することができる。その後、第1算出部126において、遅延時間Td1と遅延時間Td2との和である遅延時間Tdsを算出する。
なお、耳介110に装着する耳刺激装置100Mは、片耳のみに装着するタイプでも、左右の耳に装着するタイプでもよい。左右の耳介110に耳刺激装置100Mを装着する場合には、1つの再生部121の音楽を両耳で共有するものとする。
なお、スピーカ部124は、イヤホン型として耳孔に挿入するものでもよいし、ヘッドホン型として耳介110を覆うものでもよい。イヤホン型とすると、耳栓としても機能するため、駆動音の影響を更に小さくすることができ、ノイズキャンセリング型のイヤホンとすることもできる。また、ヘッドホン型とすると、個人差が大きい耳孔形状に対応する必要はなく、簡易的に音を発生させることができる。
なお、第1伝達部材90は複数のギアにより構成するものとしたが、タイミングベルト、リンク、又は、カムなど他の伝達機構又は部材を用いてもよい。タイミングベルトなどの伝達機構又は部材とすると、接触子102の動作を巧みにする、もしくは、耳刺激装置100M全体の軽量化又は伝達効率の向上などを行うことできる。遅延時間に関しては、各機構又は部材の構成により異なるので、機構又は部材ごとに計測及び設定することが望ましい。
なお、第1検出部122において検出される音楽の音量と、アクチュエータ106の入力信号であるトルクの関数とは、図23に示すように、単調増加の関係であることが望ましい。このような関係とすることにより、音楽の音量に合わせた強弱の耳刺激を提供することができる。
なお、図23に示すように、音楽の音量がゼロのときには、トルクがゼロではないことが望ましい。このようにすることで、音量がゼロのときであっても、耳介110へ耳刺激が提供できるようになる。
なお、音楽の音量の変動に対してアクチュエータ106の動作がすべて追従した場合には、動作の変化頻度に煩わしさを感じてしまう可能性がある。そのため、例えば、不快感を与える可能性のある周波数fz(発明者らの実験的には周波数3Hz)以上の変動が生じないように、第1検出部122から第2制御部1108に電気信号が送信されるときに、周波数fz以上の信号をカットするローパスフィルタ130を使用するのが望ましい。
また、不快感だけではなく、機構的な追従限界も考慮する場合には、ボード線図における遮断周波数fωより小さい周波数で駆動するのが望ましい。ここでのボード線図は、図24A及び図24Bに示すゲイン又は位相遅れと周波数との関係図である。すなわち、機構的な追従限界も考慮する場合には、第1検出部122から第2制御部1108に送信される信号のうち、ゲイン又は位相遅れと周波数とのボード線図における遮断周波数fω以上をカットするローパスフィルタ135を第1検出部122と第2制御部1108との間に配置して使用するのが望ましい。ここで、図24A及び図24Bは、入力信号と出力信号の振幅比の対数であるゲインと位相遅れを表す。
なお、再生部121においては、この装置の使用者が所望する音楽を再生してもよいが、事前に登録された音楽を再生するものでもよい。事前に登録された音楽を用いることで、第2制御部1108に事前に記憶された耳刺激の種類であるモードに応じて、事前に登録された音楽の種類を切替えることができる。例えば、音楽の音量の変化が滑らかでスローテンポな曲を「リラクゼーションモード(トルクの小さな耳刺激モード)」として登録し、逆に、音楽の音量の変化が速くて激しい曲を「アグレシッブモード(トルクの大きな耳刺激モード)」として登録すると、この装置の使用者がモード選択をするだけで、種類の異なる耳刺激を提供することができる。また、耳刺激のモードを選択することで、必要な耳刺激に合わせた音楽を再生することもできる。種類の異なる耳刺激とは、例えば、耳介110に捻じりを加える動作と、耳介110を上下方向に擦る動作と、耳介110を前後方向に擦る動作と、複数の接触子102が連動して耳介110を一時的に変形させる動作とのうちから選択された、単独の動作又は組み合わせの動作で達成される刺激である。第2制御部1108には、耳刺激が異なる複数のモードが記憶されており、再生部121は、使用者により選択されたモードに応じて、音楽を選択して再生できる。
なお、第1検出部122においては、音楽データ信号から音楽の音量を検出するものとしたが、音楽の処理フレーム毎にパワー及びその微分値を算出し、その微分値の自己相関関数の極大値を求めることにより小節時間長を算出し、この小節時間長と拍子数からテンポを検出してもよい。テンポを検出することで、音楽自体のリズムに合わせた耳刺激を提供することができる。
また、第1検出部122においては、音楽データ信号から音楽の音量を検出するものとしたが、重低音のみの音量又は特定の楽器の音量といったものを検出してもよい。これは、時間領域だけではなく、周波数領域で解析を行う。重低音の場合には、音の周波数が低いために音が身体内部に響くような感覚を得ることができるが、それに合わせてゆっくり接触子102を動かすと、耳介110には緩やかな刺激を提供することができる。また、特定の楽器の場合には、その楽器に合わせることで前述と同様の緩やかな刺激という効果を得ることができる。音楽が高音の場合には、比較的変化の多い音楽であることが多くため、アグレッシブな接触子102の動きを提供できるなど、様々な特徴を提供することができる。
なお、第2制御部1108において、音量と対応付けられるのはアクチュエータ106のトルクとしたが、アクチュエータ106の変位又は回転速度などを変更して回転を制御してもよい。これにより、リズミカルな動きを実現することができる。
なお、第1算出部126において、アクチュエータ106の入力信号と遅延時間Td1との関係は1対1の関係とし、音量に対応するアクチュエータ106の入力信号に応じて遅延時間Td2を変化させている。しかしながら、複数の入力信号に対する遅延時間Td1の平均値を第1算出部126で算出して、遅延時間Tdsを一定値とし、第1発生部123では音量によらず、一定時間(遅延時間Tdsを固定値)の遅延を生じさせてもよい。これにより、簡易的に遅延を生成させることができる。
なお、音楽のシンセサイジング又はテンポを操作できるスイッチを用いることで、音楽の種類又はテンポに連動して使用者が自分で耳刺激の強弱又は速度を切替えることができる。これにより、使用者の好み又は気分をリアルタイムに反映することができる。
なお、血圧計、心拍計、又は、体温計などのセンサ136を耳垂又は耳の穴などに設置可能としてもよい。センサ136で検出した情報を基に、第2制御部1108でアクチュエータ106を制御するようにしてもよい。例えば、血圧計、心拍計、又は、体温計などからの情報により、使用者の体調が不良であるか否かをそれぞれの閾値を基に第2制御部1108で判断し、不良である場合には、耳刺激を弱めるか停止させるなどの動作を自動的に行わせるようにしてもよい。
第2実施形態の耳刺激装置100Mによれば、従来に比べて耳への刺激効果を一層向上させることが可能となる上に、駆動音の影響を低下させることが可能となる。すなわち、耳刺激装置100Mの装着者(使用者)は、音楽を聞きながら、その音楽の音量に合わせて駆動の強弱が変化する接触子102により、駆動音を気にすることなく耳介110への刺激を受けることができる。また、遅延時間Tdsだけ、音楽の再生を遅延させることで、駆動音の大小と音楽の音量の大小とを同期させることができ、より一層確実に、駆動音を気にすることなく耳介110への刺激を受けることができる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。