JP2014222059A - エンジン用触媒の暖機装置及び暖機方法 - Google Patents

エンジン用触媒の暖機装置及び暖機方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー点火装置を備えることなく、エンジン用触媒を早期に暖機完了し得る装置を提供する。【解決手段】複数の気筒を有するエンジン(1)からの排気を浄化し得るエンジン用触媒(9)の暖機装置であって、触媒(9)の暖機が完了する前に、前記複数の気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分け、前記排熱供給気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、圧縮上死点通過後の膨張行程で点火し、前記トルク発生気筒では圧縮上死点の近傍で点火するエンジン制御手段(41)を有する。【選択図】図1

Description

この発明は内燃機関(エンジン)用触媒の暖機装置及び暖機方法の改良に関する。
可燃混合気にレーザー光を照射し得る点火装置を備え、排気行程直前つまり膨張行程中の排気弁が開く直前に、点火装置から点火のためのレーザー光を照射するものがある(特許文献1参照)。
特開2006−226193号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術のようにレーザー点火装置を備えるのでは、コストが高くなってしまう。
そこで本発明は、レーザー点火装置を備えることなく、エンジン用触媒を早期に暖機完了し得る装置を提供することを目的とする。
本発明のエンジン用触媒の暖機装置は、複数の気筒を有するエンジンからの排気を浄化し得るエンジン用触媒の暖機装置である。さらに、本発明のエンジン制御手段は、前記触媒の暖機が完了する前に、前記複数の気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分けている。そして、前記排熱供給気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、膨張行程で点火する。前記トルク発生気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、圧縮上死点の近傍で点火する。
本発明によれば、触媒の暖機完了前には排熱供給気筒からの、トルク発生気筒よりも相対的に高温の排気によって排気の温度を上昇させることができる。これによって高価なレーザー点火装置を備えることなく触媒の暖機完了までの時間を短縮できる。
本発明の第1実施形態のエンジン用触媒の暖機装置を含んだエンジンの概略構成図である。 第1実施形態のエンジンの暖機完了前の燃料噴射時期及び点火時期の算出を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態のエンジンが2回転弱するときの各気筒の状態をモデルで示した行程図である。 第1実施形態のエンジンが2回転弱するときの各気筒の状態をモデルで示した行程図である。 第1実施形態のエンジンが2回転弱するときの各気筒の状態をモデルで示した行程図である。 第1実施形態のエンジンが2回転弱するときの各気筒の状態をモデルで示した行程図である。 第2実施形態のエンジン制御を説明するためのフローチャートである。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のエンジン用触媒の暖機装置を含んだエンジン1の概略構成図である。なお、図1には1気筒分しか記載していないが、実際には直列4気筒4サイクルエンジンである。図1において吸気管2にはスロットル弁11を備える。スロットル弁11は、エンジンコントローラ41からの信号を受けるモータ12によって駆動される。空気は、スロットル弁11によって調量され、吸気管2の吸気コレクタ3に蓄えられた後、吸気マニホールド4を介して各気筒の燃焼室5に導入される。燃料は各気筒の燃焼室5に直接臨んで配置された燃料インジェクタ21より噴射供給される。燃焼室5に噴射された燃料は気化しつつ空気と混合して作動ガス(混合気)を作る。この混合気は吸気弁15が閉じることで燃焼室5内に閉じこめられ、ピストン6の上昇によって圧縮される。
この圧縮混合気に対して高圧火花により点火を行うため、パワートランジスタ内蔵の点火コイルを各気筒に配した電子配電システムの点火装置22を備える。すなわち、点火装置22は、点火コイル、パワートランジスタ(図示しない)、点火プラグ24から構成されている。点火コイル23はバッテリからの電気エネルギーを蓄え、パワートランジスタは点火コイル23の一次側への通電、遮断を行う。燃焼室5の天井に設けられる点火プラグ24は点火コイル23の一次電流の遮断によって点火コイル23の二次側に発生する高電圧を受けて、火花放電を行う。
エンジン1の暖機完了後に圧縮上死点より少し手前で点火プラグ24により火花が飛ばされ圧縮混合気に着火されると、火炎が広がりやがて爆発的に燃焼し、この燃焼によるガス圧がピストン6を押し下げる仕事を行う。この仕事はクランクシャフト7の回転力として取り出される。燃焼後のガス(排気)は排気弁16が開いたときに排気マニホールドから排気管8へと排出される。
排気管8には三元触媒9、10(エンジン用触媒)を備える。三元触媒9、10は排気の空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲にあるとき、排気中に含まれるHC、CO、NOxといった有害三成分を同時に効率よく除去できる。
空燃比は吸入空気量と燃料量の比である。エンジンの1サイクル当たりに燃焼室5に導入される吸入空気量と、燃料インジェクタ21からの燃料噴射量との比が理論空燃比となるように、エンジンコントローラ41では燃料噴射パルス幅Ti[ms]を算出する。そして、所定の燃料噴射時期になると、この燃料噴射パルス幅Tiの期間、燃料インジェクタ21を開いて燃料を直接、燃焼室5内に噴射供給する。なお、エアフローメータ42からの吸入空気量の信号とクランク角センサ(43、44)からの信号に基づいて基本噴射パルス幅Tp[ms]を算出している。この基本噴射パルス幅Tpを、例えば水温センサ51からの信号によって補正することにより上記の燃料噴射パルス幅Tiが定まることとなる。
吸気バルブ15、排気バルブ16は、クランクシャフト7を動力源として、各々吸気側カムシャフト25及び排気側カムシャフト26に設けられたカムの動作により開閉駆動される。
吸気バルブ15の側には、クランクシャフト7と吸気側カムシャフト25との回転位相差を連続的に可変制御して、吸気バルブ15の開閉タイミング(開時期と閉時期)を進遅角する可変バルブタイミング機構(以下「吸気側VTC機構」という。)27を備える。また、吸気側カムシャフト25の他端には吸気側カムシャフト25の回転位置を検出するためのカム角度センサ44が併設されている。
排気バルブ16側にも、クランクシャフト7と排気側カムシャフト26との回転位相差を連続的に可変制御して、排気バルブ16の開閉タイミング(開時期と閉時期)を進遅角する可変バルブタイミング機構(以下「排気側VTC機構」という。)29を備える。排気側カムシャフト26の他端には排気側カムシャフト26の回転位置を検出するためのカム角度センサ45が併設されている。
EGR制御を行うため、排気の一部を吸気管2に還流するEGR通路31を吸気コレクタ3に開口している。このEGR通路31の吸気コクレタ3への開口端の上流側には、EGRガスを調量し得るEGR弁32を備える。EGR弁32は、エンジンコントローラ41からの信号を受けるモータ33によって駆動される。なお、アクチュエータはモータ33に限定されるものでなく、負圧(大気圧より低い圧力)を用いたアクチュエータであってよい。
エンジンコントローラ41では、エンジンの負荷と回転速度から定まる運転条件がEGR領域になると、そのEGR領域での運転条件下から所定のマップを検索することにより目標EGR率を算出する。この目標EGR率に基づいてEGR弁開口面積Aを算出し、このEGR弁開口面積Aをモータ33に与える制御量に変換し、この制御量をモータ33に与えることで、EGR弁開度を制御している。
さて、排気マニホールド集合部の直ぐ下流の排気管に上流側の三元触媒9が、車両の床下あたりの排気管に下流側の三元触媒10が配置されている。これらの三元触媒9、10には、排気中の有害成分を酸化、還元して無害成分にする転化効率が相対的に高くなる最適な温度帯及び最適な空燃比がある。しかしながら、エンジンの冷間始動から冷間始動直後にかけては、三元触媒9、10が低温状態にありそもそも触媒が活性化していないため、有害成分を十分に浄化できない恐れがある。
三元触媒が排気管に2つ直列に設けられる場合には、上流側の三元触媒(以下「上流側触媒」という。)9から先に暖機され、触媒が活性化したとき暖機が完了する。上流側触媒9の暖機が完了した後には、下流側の三元触媒10が暖機完了していなくても、排気中に含まれる有害三成分を同時に効率よく浄化する。このため、三元触媒が排気管に2つ直列に設けられる場合には上流側触媒9を早期に暖機することが求められる。従って、以下では上流側触媒9の暖機について主に説明する。
上流側触媒9を早期に暖機するためには、燃焼ガスから取り出す仕事量を減らしても排気管8に出てくる排気を相対的に高温とし、この高温の排気で上流側触媒9を暖めて活性化することである。そのため、可燃混合気にレーザー光を照射し得るレーザー点火装置を備え、触媒が暖機途中にあるとき、排気行程直前つまり膨張行程中の排気弁が開く直前に、レーザー点火装置から点火のためのレーザー光を照射する従来装置がある。しかしながら、従来装置のようにレーザー点火装置を備えるのでは、コストが高くなってしまう。
そこで本発明の第1実施形態では、上流側触媒9の暖機が完了する前には、全気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分ける。本実施形態では直列4気筒エンジンを対象としているので、この 直列4気筒エンジンでは、点火順序が#1−#3−#4−#2であるとする。そして、点火順序で1つ置きの#2気筒と#3気筒を、仕事を取り出すことよりも排気の熱を相対的に多くして上流側触媒9に供給することを優先させる気筒(以下「排熱供給気筒」という。)に設定する。一方、残りの#1気筒と#4気筒を、排気の熱を相対的に多くして上流側触媒9に供給することよりも仕事を取り出すことを優先させる気筒(以下「トルク発生気筒」という。)に設定する。
ここでは燃焼室5に臨んで燃料を噴射する燃料インジェクタ21を備えるので、燃料噴射時期は、排熱供給気筒、トルク発生気筒とも変わらず吸気行程である。すなわち、排熱供給気筒、トルク発生気筒とも吸気行程で燃料インジェクタ21から燃料を噴射する。これは、燃料噴射タイミングから点火までの時間を長くすることで、混合気の気化を促進することができるためである。
そして、排熱供給気筒では排気の熱を相対的に多くして上流側触媒9に供給するため、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、圧縮上死点通過後の膨張行程で点火する。これによって、高価なレーザー点火装置を使わなくても排熱供給気筒での良好な着火及び燃焼を確保しつつ、相対的に高温の排気を上流側触媒9に供給する。
ただし、下流側触媒9の暖機完了前はエンジンの冷間時であり、エンジンの冷間時にはスートやHCが生成され勝ちであるので、これへの対策も必要である。そこで、エンジンの冷間時にスートやHCの生成が許容値以下となる範囲で理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定する。これによって、相対的に高温の排気を上流側触媒9に供給しつつ、エンジン冷間時のスートやHCの生成も抑制できることとなる。
一方、トルク発生気筒では仕事を取り出すため圧縮上死点の近傍で点火する。
エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)で行われるこの制御を図2のフローチャートに基づいて詳述する。図2のフローは、エンジンの暖機完了前の燃料噴射時期及び点火時期を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。
ステップ1ではエアフローメータ42により検出される吸入空気量Qa[g/s]、クランク角センサ(43)により検出されるエンジン回転速度Ne[rpm]、水温センサ51により検出される冷却水温Tw[℃]を読み込む。
ステップ1ではまた、アイドルスイッチIswの信号を読み込む。ここで、アイドルスイッチIswはソフトウェア上のスイッチである。アクセルセンサ53(図1参照)により検出されるアクセル開度(アクセルペダルの踏込量)がゼロのとき、Isw=1(アイドル状態)となる。アクセル開度がゼロでないとき、Isw=0(非アイドル状態)となる。
ステップ2では、吸入空気量Qaとエンジン回転速度Neから、
Tp=K×Qa/Ne …(1)
の式により基本燃料噴射パルス幅Tp[ms]を算出する。ここで、上記(1)式のKは定数である。Tpの期間だけ燃料インジェクタ21を開いたとき、燃料インジェクタ21から供給される燃料から理論空燃比相当の混合気が得られるようにKの値を定めている。
ステップ3ではアイドルスイッチIswをみる。アイドルスイッチIsw=1であるときにはエンジンがアイドル状態にあると判断し、ステップ4に進んで冷却水温Twとエンジン1の暖機が完了したか否かの判定を行うための水温閾値Twth[℃]を比較する。冷却水温Twが水温閾値Twth未満であるときには、エンジン1の暖機が完了していないと判断し、特に上流側触媒9の暖機を促進するためステップ5以降に進む。
一般的には上流側触媒9が活性化する(上流側触媒9が暖機を完了する)タイミングのほうが、エンジン1が暖機を完了するタイミングより早い。したがって、三元触媒9が暖機を完了する前にはステップ5以降に進むことになる。ここでは、冷却水温Twと水温閾値Twthの比較により、簡易的に上流側触媒9が暖機完了前にあるか否かを判定させているが、この場合に限られるものでない。例えば上流側触媒9に温度センサを設けておき、このセンサにより検出される触媒温度と触媒温度閾値との比較により、上流側触媒9が暖機完了前にあるか否かを判定させてもかまわない。
ステップ5〜14は、上流側触媒9の暖機を促進する部分である。まずステップ5では冷却水温Twに基づいてトルク発生気筒の目標当量比TFBYA14[無名数]及び排熱供給気筒の目標当量比TFBYA23[無名数]を算出する。
当量比は1.0を中心とする値で、当量比が1.0のときちょうど理論空燃比となる。当量比が1.0より大きいとき理論空燃比よりリッチ側の空燃比、当量比が1.0より小さい正の値のとき理論空燃比よりリーン側の空燃比となる。以下では、理論空燃比を中心に考えるため、理論空燃比よりリッチ側の空燃比を単に「リッチ側の空燃比」、理論空燃比よりリーン側の空燃比を単に「リーン側の空燃比」ともいう。
排熱供給気筒の目標当量比TFBYA23をTFBYA23>1となるように、つまり排熱供給気筒の空燃比を理論空燃比よりリッチ側に設定する。具体的には排熱供給気筒の目標当量比TFBYA23として、エンジンの冷間時(エンジンの暖機完了前)においてスートやHCの生成が許容値以下となる範囲で、混合気の着火性が最も良好となる値に設定する。これにより、従来装置のように高価なレーザー点火装置を使わなくても排熱供給気筒での良好な着火及び燃焼を確保しつつ、相対的に高温の排気を上流側触媒9に供給することができる。
一方、トルク発生気筒の目標当量比TFBYA14をTFBYA14<1となるように、つまりトルク発生気筒の空燃比を理論空燃比よりリーン側に設定する。これは、上流側触媒9が活性化したタイミングで、全気筒トータルの平均空燃比が上流側触媒9の転化効率が相対的に高くなる最適な空燃比となるようにし、活性化した上流側触媒9で直ちに有害成分の浄化を開始させるためである。すなわち、排気マニホールドの集合部には排熱供給気筒で燃焼したガスとトルク発生気筒で燃焼したガスとが交互に流れてくる。一方、上流側触媒9の転化効率が相対的に高くなる最適な空燃比は、理論空燃比または理論空燃比よりもわずかにリーン側の空燃比である。排熱供給気筒からの燃焼ガスの空燃比はリッチ側の空燃比であるため、全気筒トータルの平均空燃比が理論空燃比またはわずかにリーン側の空燃比となるようにするには、トルク発生気筒の燃焼ガスの空燃比はリーン側の空燃比とする必要があるからである。つまり、全気筒トータルの平均空燃比が理論空燃比またはわずかにリーン側の空燃比となるようにTFBYA14及びTFBYA23の値を設定する。
ステップ6では、吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne、トルク発生気筒の目標当量比TFBYA14に基づいてトルク発生気筒の点火時期ADV14[degBTDC]を算出する。詳細にはトルク発生気筒の点火時期ADV14として、圧縮上死点の近傍であって燃焼時にノックが生じない範囲でできるだけMBTに近い時期に設定する。ここで、圧縮上死点の近傍には、圧縮上死点の進角側(圧縮上死点より前)と遅角側(圧縮上死点より後)の両方を含む。
ステップ7では、吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne、排熱供給気筒の目標当量比TFBYA23に基づいて、排熱供給気筒の点火時期ADV23[degATDC]を算出する。詳細には排熱供給気筒の点火時期ADV23として、膨張行程の下死点の近傍であって燃焼室5の圧力が着火限界付近の圧力となる時期あるいは当該圧力以上となる時期に設定する。ここで、着火限界付近の圧力は予め求めておく。上記膨張行程の下死点の近傍とは、膨張行程の下死点の進角側(下死点より前)だけであり膨張行程の下死点の遅角側(下死点より後ろ)は含まない。
膨張行程においては点火時期が早いほど筒内圧が高く(=混合気の密度が高い)、着火性が良好になる。一方、膨張行程において点火時期が遅いほど相対的に高温となる排気を排気管8に送り出せる(排熱供給の効果は高まる)。従って、両者のバランスで排熱供給気筒の膨張行程での点火時期ADV23を決める。
ステップ8では、基本燃料噴射パルス幅Tpにトルク発生気筒の目標当量比TFBYA14を乗算することによって、つまり次式によりトルク発生気筒の燃料噴射パルス幅Ti14[ms]を算出する。
Ti14=Tp×TFBYA14 …(2)
あるいは、バッテリ電圧に依存する無効噴射パルス幅Ts[ms]を考慮するときには次式により算出する。
Ti14=Tp×TFBYA14+Ts …(2’)
ステップ9では、吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne、トルク発生気筒の燃料噴射パルス幅Ti14に基づいてトルク発生気筒の燃料噴射時期IT14を算出する。詳細にはトルク発生気筒の燃料噴射時期IT14として吸気行程中に設定する。これによって、燃料噴射タイミングから点火までの時間が長くなり、混合気の気化を促進する。
ステップ10、11では、基本燃料噴射パルス幅Tpと排熱供給気筒の目標当量比TFBYA23と係数kから、つまり次式により排熱供給気筒の吸気行程での燃料噴射パルス幅Ti23a及び排熱供給気筒の膨張行程での燃料噴射パルス幅Ti23bを算出する。
Ti23a=Tp×TFBYA23×k …(3)
Ti23b=Tp×TFBYA23×(1−k) …(4)
ただし、k:係数、
あるいは、バッテリ電圧に依存する無効噴射パルス幅Ts[ms]を考慮するときには次式により算出する。
Ti23a=Tp×TFBYA23×k+Ts …(3’)
Ti23b=Tp×TFBYA23×(1−k)+Ts …(4’)
ただし、k:係数、
上記(3)式、(4)式(あるいは(3’)式、(4’)式)は、排熱供給気筒の燃料の大部分を吸気行程で燃料インジェクタ21から噴射供給すると共に、一部の燃料を膨張行程で燃料インジェクタ21から噴射供給するものである。これは、燃焼室5に臨んで燃料を噴射する燃料インジェクタ21を備えることから可能となったものである。
上記(3)式、(4)式の係数kは必要に応じて膨張行程で燃料の一部(小量)の燃料を噴射するためのものである。膨張行程で小量の燃料を噴射する理由は、後述するように、小量の燃料噴霧でガス流動を生じさせ、混合気の乱れを生成するためである。ここでは係数kとして、1より小さい値の例えば0.8を設定する。これによって、吸気行程で排熱供給気筒の燃料のうちの8割を燃料インジェクタ21から噴射供給し、膨張行程で残り2割の燃料を小量の燃料として燃料インジェクタ21から噴射供給する。
ステップ12では、吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne、排熱供給気筒の燃料噴射パルス幅Ti23aに基づいて、排熱供給気筒の吸気行程での燃料噴射時期IT23aを算出する。これによって、燃料噴射タイミングから点火までの時間が長くなり、混合気の気化を促進する。
ステップ13では、排熱供給気筒の点火時期ADV23に基づいて排熱供給気筒の膨張行程での燃料噴射時期IT23bを算出する。排熱供給気筒の膨張行程での燃料噴射時期IT23bは、点火時期ADV23の近傍の値である。ここで、点火時期ADV23の近傍とは、点火時期ADV23の進角側(点火時期ADV23より前)だけであり、点火時期ADV23の遅角側(点火時期ADV23より後)は含まない。つまり、点火の直前に燃料インジェクタ21から小量の燃料噴射を行うものである。点火時期ADV23の直前に小量の燃料を噴射することとしたのは、次の通りである。すなわち、点火の直前に燃料インジェクタ21から燃焼室5内の空間に向けて燃料噴射を行うと、燃料噴霧が燃焼室5内の空間を貫通する際に燃焼室5内にガス流動が生じる。このガス流動によって燃焼室5内に混合気の乱れを生成し、この乱れによって排熱供給気筒での燃焼を促進するためである。
ステップ14では、排気VTC機構29の目標位相角tVTCeを算出する。詳細には排気VTC機構29の目標位相角tVTCeとして、排熱供給気筒の点火時期ADV23から一定期間が経過した後に排気弁16が開くように設定する。
排熱供給気筒において、排気弁16の開時期を点火時期ADV23と連動させ、点火した後一定期間の経過後に排気弁16が開くようにする理由は、未燃混合気が排気ポートから排気管8へと流出することを抑制するためである。すなわち、点火によって燃焼室5内の混合気の一部が着火し、その後には着火したところよりその周囲の混合気へと燃焼が広がってゆく。この場合、点火プラグによって混合気の一部が着火した直後に排気弁16を仮に開いたすると、着火した一部の混合気の周囲へと燃焼が広がる前に、燃焼室5のうち排気弁16に近い空間に存在する混合気が未燃のまま排気ポートから排気管8へと排出される。未燃のまま排気管8へと排出される混合気では上流側触媒9を加熱することができない。エンジン1の冷間始動直後で排気管8がまだ十分には暖まっていないので、未燃のまま排気管8へと排出される混合気は排気管8の熱を受けて燃焼することができないのである。そこで、着火した一部の混合気から燃焼が燃焼室5の全体へと広がる時間を予め求めておき、この時間に余裕時間を加えた時間の経過後に排気弁16を開くことで、未燃混合気が排気ポートから排気管8へと流出することを抑制するのである。ここで、着火した一部の混合気から燃焼が燃焼室5の全体へと広がる時間に余裕時間を加えた時間が上記の「一定期間」である。
このようにして算出した排熱供給気筒の燃料噴射時期IT23a、IT23b及び点火時期ADV23、同じくトルク発生気筒の燃料噴射時期IT14及び点火時期ADV14はレジスタに出力する。図示しない燃料噴射実行のフローでは、排熱供給気筒の燃料噴射時期IT23a、IT23bとなったとき、排熱供給気筒の燃料インジェクタ21をTi23a、Ti23bの期間、それぞれ開いて燃料を噴射する。また、トルク発生気筒の燃料噴射時期IT14となったとき、トルク発生気筒の燃料インジェクタ21をTi14の期間開いて燃料を噴射する。
図示しない点火実行のフローでは、排熱供給気筒の点火時期ADV23となったとき排熱供給気筒の点火プラグ24によって、またトルク発生気筒の点火時期ADV14となったときトルク発生気筒の点火プラグ24によって火花点火を行わせる。
このように、上流側触媒9の暖機完了前に、排熱供給気筒からの、トルク発生気筒よりも相対的に高温の排気によって排気の温度を上昇させることができる。これによって、全ての気筒がトルク発生気筒である場合よりも上流側触媒9の暖機が完了するタイミングが早まる。
一方、上流側触媒9の暖機が完了するタイミングでは、まだ冷却水温Twは水温閾値Twth未満のままである。しかしながら、上流側触媒9の暖機が完了する頃には、上流側触媒9までの排気管8も、排熱供給気筒からの、トルク発生気筒よりも相対的に高温の排熱で昇温している。また、トルク発生気筒や排熱供給気筒で発生する熱の一部は、ピストン6や燃焼室5を区画するシリンダの周壁を介して周囲に伝達され、シリンダブロック及びシリンダヘッドから構成されるエンジン本体の温度を上昇させる。これによって、やがてステップ4で冷却水温Twが水温閾値Twth以上となる。
このときには、エンジン1の暖機が完了したと判断し、ステップ15に進んで通常制御を行う。ステップ3でアイドルスイッチIsw=0のときにもステップ15に進んで通常制御を行う。ここで、通常制御とは、トルク発生気筒と排熱供給気筒とに分けるのではなく、全ての気筒をトルク発生気筒として目標当量比、燃料噴射パルス幅、燃料噴射時期、点火時期を算出し、これらを用いてエンジンを運転することである。通常制御時の目標当量比は各気筒に共通である。すなわち、通常制御時には各気筒の空燃比が三元触媒の転化効率が相対的に高くなる最適な空燃比、つまり理論空燃比またはわずかにリーン側の空燃比が得られるように各気筒に共通の目標当量比TFBYA[無名数]を設定する。そして、次式により燃料噴射パルス幅Ti[ms]を算出する。
Ti=Tp×TFBYA …(5)
あるいは、バッテリ電圧に依存する無効噴射パルス幅Ts[ms]を考慮するときには次式により算出する。
Ti=Tp×TFBYA+Ts …(5’)
次には、吸入空気量Qa、エンジン回転速度Ne、燃料噴射パルス幅Tiに基づいて燃料噴射時期ITを算出する。詳細には燃料噴射時期ITとして吸気行程中に設定する。また、通常制御時の点火時期は上記トルク発生気筒の点火時期ADV14と同じでよい。
なお、アイドル時かつ上流側触媒9の暖機完了前にトルク発生気筒及び排熱供給気筒に設定した燃料噴射パルス幅及び点火時期でエンジンを制御すると、通常制御時と比較して、同一の吸入空気量Qaにおけるエンジン全体のトルクがほぼ半減する。この半減するトルクによって、アイドル時のエンジンの回転速度が通常制御時より不安定となり得る。しかしながら、本実施形態ではエンジンコントローラ41によりアイドルスピードコントロールを行っている。すなわち、アイドル時のエンジン回転速度がアイドル時の目標回転速度と一致するようにスロットル弁開度をフィードバック制御している。このため、上記のようにアイドル時の実際のエンジン回転速度が通常制御時より不安定となり、アイドル時の目標回転速度より低下したときには、直ちにスロットル弁開度の増加補正が行われて吸入空気量が増し、燃料噴射量が増量される。これによって、低下したエンジン回転速度がアイドル時の目標回転速度へと戻される。三元触媒9の暖機を促進する間は、アイドルスピードコントロールにより、吸入空気量Qaがほぼ倍増して目標アイドル回転速度が維持されるのである。
ここで、本実施形態の作用効果を図3A〜図3Dを参照して説明する。図3A〜図3Dはアイドル時かつ上流側触媒9の暖機完了前にクランク角で0degから630degまで、つまりエンジン1が2回転弱するときの各気筒の状態をモデルで示した行程図である。詳細には、図3A左側がクランク角が0degのときの、図3A右側がクランク角が90degのときの、図3B左側がクランク角が180degのときの、図3B右側がクランク角が270degのときの各気筒の状態を示している。同じく、図3C左側がクランク角が360degのときの、図3C右側がクランク角が450degのときの、図3D左側がクランク角が540degのときの、図3D右側がクランク角が630degのときの各気筒の状態を示している。
排熱供給気筒の#2気筒では、図3Aに示したように、クランク角で0degから90degの区間において、トルク発生気筒よりも相対的に高温の燃焼ガス(排気)が排気ポートから排気管8へと排出されている。同様に、排熱供給気筒の#3気筒では、図3Cに示したようにクランク角で360degから450degの区間において、トルク発生気筒よりも相対的に高温の燃焼ガス(排気)が排気ポートから排気管8に排出されている。
本実施形態では、4つの気筒を有するエンジンからの排気を浄化し得る三元触媒9、10(エンジン用触媒)の暖機装置であって、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が次の制御を行う。すなわち、上流側触媒9の暖機が完了する前に、4つの気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分けている。このうち排熱供給気筒では吸気行程で燃料を噴射し、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、膨張行程で点火する。一方、トルク発生気筒では吸気行程で燃料を噴射し、圧縮上死点の近傍で点火する。本実施形態によれば、上流側触媒9の暖機完了前には排熱供給気筒からの、トルク発生気筒よりも相対的に高温の排気によって排気の温度を上昇させることができる。これによって高価なレーザー点火装置を備えることなく上流側触媒9の暖機完了までの時間を短縮できる。
本実施形態によれば、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が、排熱供給気筒の空燃比をエンジン冷間時にスートの生成が許容値以下となる範囲で理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定する。これによって、トルク発生気筒よりも相対的に高温の排気を上流側触媒9に供給しつつ、エンジン冷間時のスートの生成をも抑制できる。
本実施形態では、排気VTC機構29(可変動弁機構)と、この排気VTC機構29を制御し得るエンジンコントローラ41(可変動弁機構制御手段)とを備えている。そして、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が、排熱供給気筒で点火した後、予め定めた一定期間の経過後に排気弁16が開くように排気VTC機構29を制御する。これによって、未燃混合気が排気ポートから排気管8へと流出することを抑制することができる。
本実施形態によれば、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が、排熱供給気筒の膨張行程で燃焼室5の圧力が予め定めた圧力以上のときに点火するので、排熱供給気筒の着火性を改善できる。
本実施形態では、燃焼室5に臨んで燃料を噴射する燃料インジェクタ21を備えている。そして、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が、燃料インジェクタ21から燃料の大部分を排熱供給気筒の吸気行程で噴射し、排熱供給気筒の点火時期の進角側の近傍で燃料インジェクタ21から残りの燃料を噴射する。これによって、排熱供給気筒の燃焼室5内の混合気に点火する直前に混合気に乱れを生成させることができ、この乱れによって排熱供給気筒での燃焼を促進することができる。
本実施形態では、エンジンコントローラ41(エンジン制御手段)が、トルク発生気筒の空燃比を理論空燃比よりリーン側に設定し、エンジン全体の平均空燃比を理論空燃比またはわずかにリーン側の空燃比にする。これによって、上流側触媒9が活性化したタイミングで、直ちに排気中の有害成分の浄化を開始させることができる。
(第1実施形態の他の態様)
次に、第1実施形態の他の態様について述べる。第1実施形態では、エンジンの暖機が完了するまでの全ての期間で、#2気筒及び#3気筒が排熱供給気筒、#1気筒及び#4気筒がトルク発生気筒であった。一方、第1実施形態の他の態様は、エンジンの暖機が完了するまでの期間を予め定めた一定の周期で分割し、トルク発生気筒と排熱供給気筒を一定の周期毎に入れ換えるようにする。これにより、トルク発生気筒と排熱供給気筒の境目で、シリンダブロック、シリンダヘッド、排気マニホールドに大きな温度勾配が発生することを抑制することができる。この結果として部品に発生する熱応力が低下し、部品機能の信頼性を向上できる。
第1実施形態のエンジン1には吸気VTC機構27を備えるので、排熱供給気筒では、吸気弁15の開弁時期を遅らせ、排熱供給気筒の吸気行程にピストンが降下して燃焼室5内が大気圧より小さな圧力(負圧)になった時期に吸気弁15を開くようにする。これによって排熱供給気筒では吸気流動を強めることが可能となり、排熱供給気筒での燃焼を改善できる。
第1実施形態のエンジン1には排気VTC機構29を備えるので、排熱供給気筒では排気弁16の閉時期を上死点の進角側(上死点より前)とする。排気弁16の閉時期を上死点の遅角側(上死点より後)としているときには、排熱供給気筒の排気行程でのピストン6の上昇によりウォールクエンチ層(燃焼室壁面に形成される消炎層)のHCが掻き上げられて排気ポートへと排出される。このHCの排出が排熱供給気筒のエンジンアウトでのHCのセカンドピークとなる。一方、排気弁16の閉時期を上死点の進角側(上死点より前)とすることで、排熱供給気筒の排気行程でのピストン6の上昇によりウォールクエンチ層のHCが掻き上げられても排気ポートへと排出されることがないので、HCのセカンドピークが生じないようにすることができる。
第1実施形態のエンジン1に、リショルム式などの電動の機械式過給機を付加する。そして、上流側触媒9の暖機が完了する前にこの電動の機械式過給機を働かせて過給する。過給すると、燃焼室5に流入する空気量が増える分だけ燃焼室5内の圧力が上昇するので、排熱供給気筒での着火性を改善しつつ、上流側触媒9への供給熱量を増加させることができる。
本発明は、圧縮比可変機構を有する多気筒エンジンに対しても適用可能である。当該エンジンに本発明を適用する場合には、上流側触媒9の暖機完了前に排熱供給気筒の圧縮比が相対的に低圧縮比の状態となるように圧縮比可変機構を制御する。これにより、排熱供給気筒においてはピストン6が上死点位置にあるときの燃焼室5の空間が広がる。燃焼室の空間が広がる分だけ排熱供給気筒の燃焼室5内のガス流動の保存性が改善され、排熱供給気筒の燃焼を改善できることとなる。
全気筒を排熱供給気筒とし得るエンジンをプッシュスタートシステムを持つコンベンショナル車両に組み合わせる。このコンベンショナル車両でプッシュボタンの押下後に、計器類にチェック結果やその他の動きを表示させている間は全気筒を排熱供給気筒とするモードでモータリングし、上流側触媒の暖機を促進させつつエンジンを始動させる。このように始動シーケンス制御を実行した後には、第1実施形態と同様に複数の気筒を排熱供給気筒とトルク発生気筒に分割して各々の燃焼を行わせ、上流側触媒が暖機を完了するまでの時間を短縮する。上記のコンベンショナル車両とは、エンジンのみを駆動源とする車両のことである。ハイブリッド車両のようにエンジンとモータジェネレータを駆動源とする車両は含まれない。
(第2実施形態)
図4は第2実施形態のエンジンを制御するためのフローで、一定時間毎(例えば10ms毎)に実行する。図2のフローと同一部分には同一の符号を付している。
第1実施形態のエンジンを車両に搭載すると、コンベンショナル車両となる。一方、第2実施形態は、エンジンとモータジェネレータを駆動源とするハイブリッド車両を対象とするものである。ここでは、エンジンとモータジェネレータと変速機をこの順に直列に並べ、エンジンとモータジェネレータの間に第1クラッチを、モータジェネレータから駆動輪までの間に第2クラッチを配置したハイブリッド車両であるとする。この場合にエンジンとしては、第1実施形態のエンジン1をそのまま流用するものとする。
エンジンコントローラ41で行われるエンジン制御を図4のフローを参照して説明する。ステップ21ではエンジンの始動要求があるか否かをみる。例えば、イグニッションキーのON時に初回のエンジンの始動要求があることとなる。エンジンの始動要求がないときにはそのまま今回の処理を終了する。
エンジンの始動要求があるときにはステップ21よりステップ22に進み、水温センサ51により検出される冷却水温Tw[℃]と、バッテリ残容量SOC[%]を読み込む。モータジェネレータの駆動源となる強電用バッテリには電流センサを設けており、この電流センサにより検出される強電用バッテリへの入出力電流に基づいてバッテリ残容量SOCが算出されている。
ステップ4では、第1実施形態と同じに冷却水温Twとエンジン1の暖機が完了したか否かの判定を行うための水温閾値Twth[℃]を比較する。冷却水温Twが水温閾値Twth未満であるときには、上流側触媒9の暖機を促進する必要があると判断し、ステップ23に進む。
ステップ23では、バッテリ残容量SOCとバッテリ残容量の閾値SOCth[%]を比較する。バッテリ残容量の閾値SOCthは、強電用バッテリにモータジェネレータをモータとして一定時間駆動するだけの電力があるか否かを判定するための目安となる値である。バッテリ残容量SOCがバッテリ残容量閾値SOCthを超えているときには、車両駆動力の全てをモータジェネレータによって賄うことができると判断する。このときにはステップ24に進み、全気筒を排熱供給気筒としてエンジンを所定の回転速度でモータリングし、エンジンを始動する。これによって、一定レベルを超えるSOC状態ではイグニッションキーのON時から全気筒を排熱供給気筒として、エンジンをモータリングし、エンジンを始動させることにより、燃料の持つ熱量を最大限に上流側触媒9の暖機促進に利用することができる。
図示しないフローでは、バッテリ残容量SOCがバッテリ残容量閾値SOCthを超えているとき、車両駆動力の全てをモータジェエネレータにより出力する。つまり、上流側触媒9の暖機完了前の車両の走行には、エンジンをモータジェネレータと連結することはせず、モータジェネレータの駆動力のみを用いて車両を走行させるものとする。
ステップ23でバッテリ残容量SOCがバッテリ残容量閾値SOCth以下であるときにはステップ25に進み、複数気筒のうちの一部の気筒を排熱供給気筒として、残りの気筒をトルク発生気筒としてエンジンをモータリングする。つまり、一定レベル以下のSOC状態では、排熱供給気筒を用いて上流側触媒9の暖機を促進しつつ、トルク発生気筒のトルクを用いて車両を走行する。
ただし、一部の気筒を排熱供給気筒とする場合、排熱供給気筒での燃焼時にはトルクを取り出すことができないため、全気筒でみれば、トルク発生間隔が長くなることによりエンジン1のトルク変動が発生する。このエンジン1のトルク変動がドライバに感じられるほど大きいと、ハイブリッド車両の運転性、商品性が悪くなる。そこで、一部の気筒を排熱供給気筒とする場合に、エンジンとモータジェネレータを第1クラッチで連結し、トルク発生間隔が長くなることにより発生するエンジンのトルク変動をモータジェネレータで吸収する。これによって、一定レベル以下のSOC状態でのハイブリッド車両の運転性、商品性を改善することができる。
一方、ステップ4で冷却水温Twが水温閾値Twth以上であるときには、上流側触媒9を促進する必要がないと判断し、ステップ15に進み通常制御を行う。ここで通常制御とは、トルク発生気筒と排熱供給気筒とに分けるのではなく、全ての気筒をトルク発生気筒として目標当量比、燃料噴射パルス幅、燃料噴射時期、点火時期を算出し、これらを用いてエンジンを運転することである。
実施形態では、燃焼室5に臨んで燃料を噴射する燃料インジェクタ21を備える場合で説明したが、吸気ポートに燃料を噴射する燃料インジェクタを備える場合であってよい。この場合には、吸気行程だけでなく吸気行程の前の排気行程で燃料を噴射することで、燃料噴射タイミングから点火までの時間をさらに長くして混合気の気化を促進することができる。
1 エンジン
2 吸気管
8 排気管
9 上流側触媒(エンジン用触媒)
10 三元触媒(エンジン用触媒)
21 燃料インジェクタ
24 点火プラグ
27 吸気VTC機構
29 排気VTC機構(可変動弁機構)
41 エンジンコントローラ(エンジン制御手段、可変動弁機構制御手段)

Claims (7)

  1. 複数の気筒を有するエンジンからの排気を浄化し得るエンジン用触媒の暖機装置であって、
    前記触媒の暖機が完了する前に、前記複数の気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分け、前記排熱供給気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、空燃比をエンジン冷間時にスートの生成が許容値以下となる範囲で理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、膨張行程で点火し、前記トルク発生気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、圧縮上死点の近傍で点火するエンジン制御手段を有することを特徴とするエンジン用触媒の暖機装置。
  2. 前記エンジン制御手段は、前記排熱供給気筒の空燃比をエンジン冷間時にスートの生成が許容値以下となる範囲で理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン用触媒の暖機装置。
  3. 排気弁の開閉タイミングを進遅角し得る可変動弁機構を備え、
    前記エンジン制御手段は、前記排熱供給気筒で点火した後、予め定めた一定期間の経過後に排気弁が開くように前記可変動弁機構を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン用触媒の暖機装置。
  4. 前記エンジン制御手段は、前記排熱供給気筒の前記膨張行程で燃焼室の圧力が予め定めた圧力以上のときに点火することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のエンジン用触媒の暖機装置。
  5. 燃焼室に臨んで燃料を噴射する燃料インジェクタを備え、
    前記エンジン制御手段は、前記燃料インジェクタから燃料の大部分を前記排熱供給気筒の吸気行程で噴射し、前記排熱供給気筒の点火時期の進角側の近傍で前記燃料インジェクタから残りの燃料を噴射することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジン用触媒の暖機装置。
  6. 前記エンジン制御手段は、前記トルク発生気筒の空燃比を理論空燃比よりリーン側に設定し、エンジン全体の平均空燃比を理論空燃比またはわずかにリーン側の空燃比にすることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載のエンジン用触媒の暖機装置。
  7. 複数の気筒を有するエンジンからの排気を浄化し得るエンジン用触媒の暖機方法であって、
    前記触媒の暖機が完了する前に、前記複数の気筒をトルク発生気筒と排熱供給気筒との2つに分け、前記排熱供給気筒では排気行程または吸気行程で燃料を噴射し、空燃比を理論空燃比よりもリッチ側の空燃比に設定すると共に、膨張行程で点火し、前記トルク発生気筒では圧縮上死点の近傍で点火することを特徴とするエンジン用触媒の暖機方法。
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