JP2014219772A - 長期経営計画策定支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】短期的な利益計画に基づいて、会社として長期的な資金の流れを掴み、今運用できる資金を長期的な観点から把握することができる長期的な経営計画の策定を支援する長期経営計画策定支援システムを提供する。
【解決手段】利益計画表作成手段33が、貸借対照表情報に関するPL計画値と、利益情報に関する利益目標値に基づいて利益計画表を作成する。資金運用計画表作成手段37が、資金情報に関する資金計画値に基づいて資金運用計画表を作成する。比較貸借対照表作成手段38が、前記資金運用計画表と、直近のBS実績値に基づいて、期首、期中増減、期末からなる比較貸借対照表を作成する。長期事業構想書作成手段39が、前記利益計画表と前記比較貸借対照表と前記資金運用計画表とから、複数年の事業計画、利益計画を含む長期事業構想書を作成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、短期的な利益計画をもとに複数年の長期的な経営計画の策定を支援する長期経営計画策定支援システムに関するものである。
通常、会社が来期の利益計画を作成する場合、最初に行なうことは、例えば「来期は、今期の20%増の総売上を目指そう」という総売上の対前年比の設定である。次に、粗利益の対前年比を設定し目標の粗利益を算出する。そして、原価や固定費を算出して、最後に純利益(経常利益)が算出される(例えば、下記特許文献1)。以上のような手順で経費目標の計画を立てることが多い。
特開2005−038292号公報
しかしながら、上述のような利益計画も重要であるが、会社が大きくなるか否かは資金運用に関わってくる。言い換えれば、資金運用は、会社の死活を左右するものである。なぜ「売上あって、金足らず」「売上はあるのだが、締め日に支払うお金がない…」とった資金繰りに苦しむような状況になるかというと、それは帳簿上の損益と、実際の現金の動きは違うという事実に起因する。
例えば、ある月に月末払いで7万円の商品を仕入れて、翌月請求で10万円で売ったとする。この場合、確かに帳簿上(損益計算書、貸借対照表)では3万円の利益が計上されるが、それは売掛金であるため、現金収入は0(ゼロ)である。
そして、その月末にどうなるかといえば、7万円の支払いが不足する。すなわち、売上は「帳簿上の数字」であって、現金が手元に入ってきて、はじめて「資金」となる。
そこで会社としては資金の流れを掴み「今動かせる資金は、いくらあるのか」ということを、常に念頭に置いて資金運用を行っていく必要がある。そうなると当然のこととして「いくら借入れができるのか?」も把握しておく必要がある。この借入れ可能額は、主に土地と定期預金に比例する。この総資産を増やしていくのも資金運用次第である。以上の理由から、会社が大きくなるか否かは、資金運用で決まる。
本発明に係る長期経営計画策定支援システムは、少なくとも内部費用を含む損益に関するデータの計画値であるPL計画値の入力を受け付けるPL計画値受付手段と、目標とする利益である利益目標値の入力を受け付ける利益目標値受付手段と、直近の貸借対照表の実績値であるBS実績値の入力を受け付けるBS実績値受付手段と、前記PL計画値と前記利益目標値に基づいて算出した内部費用や売上の計画値を有する利益計画表を作成する利益計画表作成手段とを備えている。
また、固定資金および運転資金に関する資金計画値の入力を受け付ける資金計画値受付手段と、
前記資金計画値と前記BS実績値に基づいて、各勘定科目が固定資金の使途および源泉、運転資金の使途および源泉のブロックに分類され、各勘定科目に前記資金目安額及び前記資金計画値が表示された資金運用計画表を作成する資金運用計画作成手段も備えている。
さらに、前記利益計画表と、前記BS実績値と、前記資金運用計画表に基づいて、期首、期中増減、期末からなる比較貸借対照表を作成する比較貸借対照表作成手段と、前記比較貸借対照表と、前記資金運用計画表とから、複数年の事業計画、利益計画、要員計画、設備計画、施設計画を含む長期事業構想書を作成する長期事業構想書作成手段とを備えている。
本発明の利益計画表によれば、最終的に手に入れたい利益目標を上げるために、人件費等や売上を計算する。言い換えると、計画した人件費等に従えば、会社にとって最も重要な最終的に手に入れたい利益を得ることができる。そして、この利益計画表や比較貸借対照表の短期的な計画に基づいて、長期事業構想書により、会社として長期的な資金の流れを掴み「今動かせる資金は、いくらあるのか」「いくら借入れができるのか?」を長期的な観点から把握することができる。その結果、総資産を増やし、会社を大きくするために必要な資金運用を計画することができる。
さらに、本発明に係る長期経営計画策定支援システムは、前記比較貸借対照表と前記長期事業構想書とから、複数年の比較貸借対照表からなる長期比較貸借対照表を作成する長期比較貸借対照表作成手段を備えることができる。長期比較貸借対照表によれば、複数年にわたる現金の動きを把握することができる。
さらに、前記資金運用計画作成手段が、固定資金の源泉のブロックの合計額と固定資金の使途のブロックの合計額との差額から固定資金余裕を算出し、この算出した固定資金余裕を運転資金の源泉のブロックに分類することができる。
さらに、前記資金運用計画作成手段が、運転資金の源泉のブロックの合計額と運転資金の使途のブロックの合計額との差額から期末現金流動預金の予定額を算出することができる。
本発明は、上記問題点を解決するものであって、最初に最終的に手に入れたい利益目標を設定し、それを実現するため会社の行動指針を描き出すために用いられる経営計画策定支援システムを提供するものである。
本実施形態の経営計画策定支援の流れを示す図である。 本実施形態の経営計画策定支援システムの全体構成を示すブロック図である。 本実施形態の情報処理部の主要部を示すブロック図である。 本実施形態のPL勘定科目表を示す図である。 本実施形態の利益計画表を示す図である。 本実施形態の短期計画表を示す図である。 本実施形態のBS勘定科目表を示す図である。 本実施形態の損益計算に係る表を示す図である。 本実施形態の貸借対照表を示す図である。 本実施形態の資金運用計画表を示す図である。 本実施形態の資金運用計画表の一部を示す図である。 本実施形態の資金運用計画表の固定資金の使途に関するブロックを示す図である。 本実施形態の資金運用計画表の固定資金の源泉に関するブロックを示す図である。 本実施形態の資金運用計画表の運転資金の使途に関するブロックを示す図である。 本実施形態の資金運用計画表の運転資金の源泉に関するブロックを示す図である。 本実施形態の比較貸借対照表を示す図である。 運転資金と比較貸借対照表の関連の一例を示す図である。 減価償却費振分の一例を示す図である。 短期計画と長期計画の関係を示す図である。 本実施形態の長期事業構想書を示す図である。 本実施形態の長期事業構想書の利益計画のブロックを示す図である。 本実施形態の長期事業構想書の事業計画のブロックを示す図である。 本実施形態の長期事業構想書の他の計画のブロックを示す図である。 本実施形態の長期比較貸借対照表を示す図である。 期末現金流動預金と長期借入金増加の関係を示す図である。 期末現金流動預金と長期借入金増加の関係を示す図である。 当期設備投資を説明するための図である。 借り入れ可能額がマイナスになった場合について説明するための図である。 減価償却費振分の一例を示す図である。
本発明に係る経営計画策定支援プログラムは、コンピュータに搭載され、そのコンピュータ及び周辺装置を経営計画策定支援システムとして動作させる。コンピュータへのプログラムの搭載は、プログラムが格納された記録媒体、若しくはインターネット上のウェブサイトからダウンロードされることで行われる。
経営計画策定支援プログラムが記録される記録媒体は、コンピュータによる読み取り・書き込みが可能な情報記録媒体(フレキシブルディスク、ハードディスク、PDディスク、MDディスク、MOディスク、半導体メモリ等)であれば良い。
以下、経営計画に係る処理をソフトウェア(経営計画策定支援プログラムとデータ)で実現し、コンピュータに当該ソフトウェアを読み込ませてコンピュータを経営計画策定支援システムとして動作させる場合を例として説明する。
なお、本発明に係る経営計画策定支援システムとして動作させる装置は、コンピュータプログラムの実行制御が可能なデータ処理装置であれば良く、ハードウェア構成は汎用的なものを適用することができる。
図1は、経営計画策定支援の流れを示す図である。図2は、経営計画策定支援システムの全体構成の一例をブロック図で示している。図2において、経営計画策定支援システムを構成するデータ処理装置は、本実施の形態ではパーソナルコンピュータである。
本システム20は、制御部21、入力部22、表示部23、記憶部24、情報処理部25を備えている。制御部21は、コンピュータプログラムの実行制御や周辺機器の入出力制御などを行うためのもので、例えばCPU,MPU等の制御装置で構成される。入力部22は、利用者による操作情報などを入力するためのインターフェイスであって、コントロールパッド、マウス、キーボード等の入力装置で構成される。表示部23は、表や画像等を表示するためのもので、液晶ディスプレイ,CRT等の表示装置で構成される。記憶部24は、アプリケーションプログラムや制御データなどを記憶する。
図3は、図2中の情報処理部25の主要部の構成例を示すブロック図である。情報処理部25は、経営計画策定支援を実行するためのもので、PL計画値受付手段31、利益目標値受付手段32、利益計画表作成手段33、BS実績値受付手段34、貸借対照表作成手段35、資金計画値受付手段36、資金運用計画表作成手段37、比較貸借対照表作成手段38、長期事業構想書作成手段39を備えている。
上記各手段をコンピュータに実行させるための処理ルーチン(各手段としてコンピュータを機能させるプログラム)は、本実施形態では、一般的に利用されている市販の表計算ソフトウェアのマクロプログラムとして組み込まれ、表計算ソフトウェアとして動作する。
表計算ソフトウェアとは、2次元マトリクス状の縦横方向に伸びる「列」と「行」が交差する各セルに対応して設定した数値と計算ルールに基づき、当該セル内に計算結果を自動的に設定して表示する表計算手段(表計算プログラム)を有するワークシートである。例えば米国マイクロソフト社のエクセル(マイクロソフト社商標)等市販のソフトウェアを用いることができる。
言い換えると、本発明に係る経営計画策定支援システムでの情報処理を遂行する経営計画策定支援プログラムは、表計算ソフトウェアにより表示された表の画面を利用者が操作すると、その利用者の操作に応じて、セル内の所望の演算式で得られる数値や文字を入力して集計することで、経営者に利益を得るための情報を自動的に作成して提示する手段としてコンピュータを機能させるプログラムである。以下、具体的に本実施形態の手段について説明する。
PL計画値受付手段31は、直近の損益計算書に関するPL計画値の入力を受け付ける(図1S1)。PL計画値としては、例えば、人件費、経費、販売促進費、減価償却費、営業外費用、営業外収益等である。利益目標値受付手段32は、利益計画を策定するために必要な目標とする利益(例えば、経常利益、粗利益率)に関する利益目標値の入力を受け付ける。
これらの受付手段は、入力部(マウス、キーボード等)を介して利用者によって表計算ソフトウェアのワークシートのセルに数値や情報が入力されることで実現される。後述するBS実績値受付手段、資金計画値受付手段についても同様である。
利益計画表作成手段33は、PL計画値受付手段31および利益目標値受付手段32と関連付けられている。したがって、前記PL計画値受付手段31が受け付けたPL計画値と、利益目標値受付手段32が受け付けた利益目標値を用いて売上を算出することで、利益計画表を作成する(図1S2)。すなわち、本実施形態の利益計画では、はじめに利益目標を定め、その利益を上げるのに必要な売上を計算し、人件費等を描き出していく。
利益計画表作成手段33は、受付手段が受け付けた数値等に対応して、予め設定された計算ルールに基づき、セル内に計算結果を自動的に算出することで利益計画表を作成する。後述する計画表作成手段(すなわち、貸借対照表作成手段、資金運用計画表作成手段、比較貸借対照表作成手段、長期事業構想書作成手段、長期比較貸借対照表作成手段)についても同様である。
BS実績値受付手段34は、直近の貸借対照表に関するBS実績値の入力をBS勘定科目表にて受け付ける(図1S3)。貸借対照表作成手段35は、BS実績値受付手段34と関連付けられている。したがって、BS実績値受付手段34が受け付けたBS実績値に基づいて、貸借対照表を作成する。貸借対照表作成手段35は、BS実績値受付手段34と関連付けられており、上記BS実績値受付手段で作成されたBS勘定科目表の内容に基づいて自動的に貸借対照表を作成する(図1S4)。
資金計画値受付手段36は、資金運用計画を策定するために必要な、計画する固定資金の使途および源泉、運転資金の使途および源泉に関する資金計画値の入力を受け付ける(図1S5)。資金運用計画表作成手段37は、資金計画値受付手段36と関連付けられており、資金計画値受付手段36が受け付けた資金計画値に基づいて、各勘定科目を固定資金の使途および源泉、運転資金の使途および源泉のブロックに分類した資金運用計画表を作成する(図1S6)。
比較貸借対照表作成手段38は、貸借対照表作成手段35と資金運用計画表作成手段37と関連付けられている。したがって、貸借対照表作成手段35が作成した貸借対照表と資金運用計画表作成手段37が作成した資金運用計画表に基づいて、今期、期中増減、来期の項目からなる比較貸借対照表を作成する(図1S7)。今期の項目の金額は、貸借対照表から自動転記される。期中増減の項目の金額は、資金運用計画表から自動転記される。今期と期中増減とから、計画する来期の金額が算出される。
長期事業構想書作成手段39は、利益計画表作成手段33と、資金運用計画表作成手段37と、比較貸借対照表作成手段38と関連付けられている。したがって、利益計画表作成手段33が作成した利益計画表と、資金運用計画表作成手段37が作成した資金運用計画表と、比較貸借対照表作成手段38が作成した比較貸借対照表に基づいて、複数年の事業計画、利益計画、要員計画、設備計画、施設計画を含む長期事業構想書を作成する(図1S8)。
長期比較貸借対照表作成手段30は、複数年の比較貸借対照表からなる長期比較貸借対照表を作成する(図1S9)。
本発明に係る経営計画策定支援システムは、複数年(本実施形態では5カ年)の長期計画に関するものであるが、この長期計画を策定するにあたって短期計画を策定する。短期計画は、利益計画表や資金運用計画表や比較貸借対照表を用いて来期の計画をシミュレーションすることができる。そして、これらの計画表を基に長期資金運用計画表や長期比較貸借対照表を作成して長期計画を策定する。以下、各表について説明する。
1.利益計画表
まず、すべての基になる利益計画表を作成する。利益計画表50は、すべての経営計画の基になる表であって、この表を用いていろいろな状況を予測、検討、熟慮しながら、各科目の数値を入れ替え、シミュレーションを行う。なお、この表に示されている数字は、表の内容を説明するために便宜上表示されているだけであり、数字自体に特に意味は持たない。このことは他のすべての表についても同様であり、各表中の数字はそれぞれ各表のみ説明するための数字である。したがって、例えば関連付けられた2つの表の数字が、本図面においては関連付けられた数字となっているとは限らない。
本シミュレーションにおける利益計画表では、はじめに「利益目標」を定め、その利益を上げるのに必要な売上を計算し、人件費等を描き出して作成する。次にその設定した「利益目標」を確保するのに必要な売上を上げるための商品の販売目標を検討・シミュレーションし計画を策定する。
以下、利益計画表について説明する。図4は、内部費用を含む損益に関するデータの計画値であるPL計画値を入力するためのPL勘定科目表40の一例を示す。図5は、本実施形態の利益計画表を示す。利益計画表とPL勘定科目表40の2つの表を設ける場合は、利益計画表はPL勘定科目表と関連付けられており、PL勘定科目表40の内容に基づいて自動的に作成される。PL勘定科目表40を設けずに利益計画表のみを設けてもよい。この場合は、利益計画表に直接入力することになる。以下、利益計画表に直接入力する場合について説明する。
利益計画表には、マクロとミクロのブロックに分けられている。マクロのブロックには、売上(直近売上51及び目標売上52)、利益(粗利益率54、粗利益55、営業利益81等)、内部費用(人件費56、経費57、販売促進費58、減価償却費59)に関する項目が設けられている。ミクロのブロックには、マクロの人件費56、経費57、販売促進費58を詳細に分類した項目が設けられている。
上述の勘定科目以外にも直近売上(現状)と粗利益額の金額が自動計算された結果を表示する項目も設けられている。これらの項目に金額を入力すると粗利益率54が自動計算される。
ここで、勘定科目について説明する。人件費56とは、社員、パート、および募集費、教育研修、福利厚生といった社員に関する費用の合計56Bである。ただし、新規開拓担当者など、コミッション制のセールスマンの給料は「開拓手数料」として販売促進費58として扱う。
ミクロのブロックの人件費56Aは、例えば、社員給料86C、雑給料86D、派遣社員費86E、役員報酬、募集費、教育研修費、福利厚生費等に分類されている。
販売促進費58Aとは、売上成果に正比例する費用で、開拓手数料、販売促進費、消耗資材費、広告宣伝費等の合計である。考え方としては、新規契約(売上、開拓)に比例して必要な経費を意味する。経費57Aとは、新規売上成果に正比例しない費用の合計である。ここでは通信交通費や消耗品代、接待・交際費などを入れる。
ミクロのブロックの販売促進費58Aは、例えば、開拓手数料、役員報酬、販促企画費、消耗資材費、広告宣伝費等に分類されている。
ミクロのブロックの経費57Aは、例えば、車輌費、家賃地代、研究開発費、租税公課、接待交際費、支払手数料、リース料、通信交通費、消耗品費等に分類されている。
減価償却費、営業外収益、営業外費用、経常利益、特別利益・除却益、特別損失・除却損等の勘定科目について利用者から情報の入力を受け付けることができるようになっている。勘定科目の名称が自社の呼称と異なる場合は、修正することもできる。
以下、利用者が入力する下記1)から9)の情報について説明する。
1)経常利益
経常利益84の金額は会社の目標を入力する。本利益計画では、はじめに利益目標を定め、その利益を上げるのに必要な売上を計算し、人件費等を描き出して作成する。
2)営業外費用
支払利息、割引料、社債利息、軽微な損失など、金融活動に伴う営業外費用83を入力する。来期の金額がわかっているのであれば、その金額を入力するが、分からない場合は今期の実績を入力する。
3)営業外収益
受取利息、受取配当金による収入など、主に金融活動による営業外収益82を入力する。後に資金運用をした結果を見て、次の検討をする時に金額を修正する。来期の金額がわかっているのであれば、その金額を入力するが、分からない場合は今期の実績を入力する。
4)減価償却費
固定資産を段階的に費用化するための減価償却費59を入力する。資産を利用できる年数を予測し、年度ごとに合理的な計算方法に基づいて費用配分する。例えば、今期の金額(決算書の金額)をそのまま使うか、または、有形固定資産総額の15%を計上する。
5)粗利益率
最初は今期の実績、もしくは、目標とする粗利益率54を入力する。この粗利益率から来期の目標が決定される。
6)直近売上
今期の実績、もしくは見通しの金額を直近売上51として入力する。
7)人件費
次に、利益計画表50の人件費明細86のブロックの項目を入力する。具体的には、「社員・フルパート」86C、「パート・アルバイト」86D、「派遣社員・契約社員」86Eの単価86Aおよび人数86Bを入力する。
人件費明細86では、社員86Cは、賞与も含めた年収単価86Aのランクによって分けられており、人数86Bの欄にそのランクの人数を入力できるようになっている。社員86Cの単価86Aは、賞与・諸手当も含んだ平均年収である。人数86Bは、最初は現在の人数を入力する。なお、来期の採用予定が決まっている場合は、それを含めた人数を入力する。
「パート、アルバイト」86D、「派遣社員、契約社員」86E等についても同様に、年収単価86Aと人数86Bを入力する。入力した年収単価86Aと人数86Bを掛け合わせることで、その年収単価のランクの合計金額86Gが算出されて表示される。
次に、開拓手数料86Fの項目を入力する。「派遣社員」・「契約社員」・「イベント」の単価(年収)と人数の計画が未確定の場合は、とりあえず今期の実績を入力する。ただし、新規開拓担当者など、コミッション制のセールスマンの給料である開拓手数料58Bは、人件費ではなく販売促進費58Aとして計算される。
人件費明細86(社員・フルパート86C、パート・アルバイト86D、派遣社員・契約社員86E)を入力すると、人件費56にそれぞれの合計額が表示される。「募集費」、「教育研修」、「福利厚生」には、例えば、今期の10%アップ程を見込んだ額を入力する。
8)経費
続けて、経費57Aに関連する金額を入力する。例えば、今期の10%アップ程を見込んだ額を入力する。
9)販売促進費
次に、販売促進費58Aに関連する金額を入力する。販売促進費58Aのブロックにある開拓手数料58Bは、人件費明細のブロック開拓手数料86Fから自動計算されるので入力する必要はない。
これらの科目が入力されると、粗利益55が算出される。計算手順は以下のとおりである。
まず、経常利益84、営業外費用83、営業外収益82とから、営業利益81を算出する。そして、この営業利益81と、上述の通り入力した人件費56、経費57、販売促進費58、減価償却費59とから、粗利益55を算出する。すなわち、通常の粗利益の計算は「売上高−売上原価」であるが、本発明では「経常利益+営業外費用−営業外収益+経費合計」で算出される。この粗利益55の金額が、来期の目標、即ち稼がなければならない粗利益を示している。このように、本発明では、最初に来期どれだけ利益を出すかを決定する。
続いて、この粗利益55と、入力した粗利益率54とから、売上高52を算出する。さらに、売上高52と粗利益55から売上原価53が算出される。
次に、人件費・経費・販売促進費などを入力して、逆算で来期の売上高を決定する。その結果、会社が何パーセント成長したのかが、売上成長率87の欄に表示される。
ここで、利益計画表50で表示される売上成長率87の項目について説明する。売上成長率87は、「売上高52÷直近売上51」で算出した成長率である。この売上成長率87の表示がないと、計画段階で願望だけがエスカレートし、その結果、会社やマーケットの実情とかけ離れた計画になるおそれがある。そこで、計画の現実性を計る目安として、この売上成長率87を表示するようにしている。
また、すべての計画が完成したあとで、成長率が100%になるように経常利益84を下げてシミュレーションを行なうと、仮に、売上が前年(今期)と同じだったら、どのくらいの赤字(または利益減)になるのかが計算できる。
そして、その時に出た「労働分配率」が、会社の限界労働分配率を示す。労働分配率とは、粗利益に占める人件費の割合である。一般に、資本集約型の産業は分配率が低く、労働集約型の産業は労働分配率が高くなる。限界労働分配率を超えると、企業利益が欠損になり、会社の経営は危ないということになる。逆に、労働分配率が低いと社員への配分が不十分(給料が安い)で、人が辞めていく、というようなことになる。
売上成長率87が100%になるように、「経常利益」を下げながら、繰り返し金額を入力していき、売上成長率が100%になったら、次の2つのことがわかる。
1)仮に、売上が前年(今期)と同じだったら、これだけ(「経常利益」の額)の赤字(もしくは売上減)になる。
2)この時の「労働分配率」が、自社の限界労働分配率(この数値に近づいたら危ない)だということ
以上のように、繰り返してシミュレーションを行い、少なくともそれぞれ2種類以上の計画表50を作成する。そして、その中から決定版として使う計画表(決定版)を決める。
計画表(決定版)が決まれば、その内容を基に来期の利益計画を示す短期計画表が作成される。
図6は、本実施形態の短期計画表60を示す図である。短期計画表60には、今期売上(ここでは、第10期とする)61、来期売上(ここでは、第11期とする)62、人件費64A、役員報酬64B、経費64C、販売促進費64D、減価償却費64E、営業外収益65A、営業外費用65B、経常利益66、特別利益・除却益67A、特別損失・除却損67B、人員68の項目が設けられており、利益計画表50から転記される。
これらの項目が転記されると、売上成長率が自動計算される。また、総仕入高、粗利益率、粗利益、内部費用合計、営業利益、税引前利益、労働分配率、一人当たりの人件費の項目が自動計算される。
以上のように利益計画が策定されると、続いて、資金運用計画を策定する。
2.BS勘定科目表
まず、資金運用シミュレーションを行う上での情報源となる貸借対照表のデータを入力する。直近の貸借対照表のデータを入力すればよいが、期中に作成している場合は、作成時点のデータを入力してもよい。本実施形態では、第10期の期中に作成しているとする。
図7は、本実施形態のBS勘定科目表70の一部である。BS勘定科目表70は、会社の最新の貸借対照表のデータであるBS実績値(自社の資産や負債等)を、勘定科目72ごとに入力する表である。各勘定科目70に番号(コードNo)71が付与されている。利用者が、その番号(コードNo)71に合わせて、決算書や直近の貸借対照表を見ながら、BS勘定科目表70の金額列73に金額を入力していくと、会社の情報が、コードNo71に対応した勘定科目72ごとに集計されるようになっている。
具体的には、流動資産として、現金、普通預金、当座預金、固定預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、予定納税、仮払消費税、未収入金、有価証券等の勘定科目が設けられている。固定資産として、建物、機械、車輌、備品、建設仮勘定、リース資産、土地、ソフトウェア
、その他無形、投資有価証券、敷金・保証金、長期貸付金等の勘定科目が設けられている。
決算報告書の貸借対照表に、リース資産が記載されている場合は、その総額をリース資産74の勘定科目に入力する。また、土地を担保として銀行に預けている場合、銀行ごとの預け額を、土地75の勘定科目に入力する。
流動負債として、支払手形、買掛金、仮受(未払)消費税、割引手形、短期借入金、その他の負債、預かり金、納税引当金、引当金(賞・給・他) の勘定科目が設けられている。固定負債として、 長期借入金、未払分割金、社債、リース負債の勘定科目が設けられている。
純資産として、資本金、新株申込証拠金、資本準備金、利益準備金、内部留保、繰越損失、繰越利益、当期利益、自己株式、自己株式申込証拠金、評価・換算差額、新株予約権の勘定科目が設けられている。なお、上述の勘定科目72は、追加や修正が可能となっている。
また、BS勘定科目表70の一部には、図8に示すように、繰越欠損金、支払い金利率(年利)、受け取り金利率(年利)、支払い金利額、受け取り金利額、法人税等、配当、役員賞与、社債償還、社債利息等の損益計算に関するブロックも設けられている。社債の償還および利息の支払を行った場合は、損益計算書・利益処分計算書を確認して、それぞれの金額を入力する。支払い金利率、受け取り金利率は、銀行に確認してから入力する。
決算済みで、法人税、配当、役員賞与が発生した場合は、損益計算書・利益処分計算書を確認して、それぞれの金額を入力する。決算を行う前で、決算報告書が試算の場合は、まだ金額が確定していないので、ゼロを入力する。
3.貸借対照表
続いて、貸借対照表90を作成する。貸借対照表90はBS勘定科目表70と関連付けられており、BS勘定科目表70の内容に基づいて自動的に作成される。
図9は、BS勘定科目表70に入力されたデータを基に作成された貸借対照表90である。貸借対照表90には、BS勘定科目表70と同一の勘定科目91が表示されている。貸借対照表90の金額欄92は、コードNo93を介してBS勘定科目表70の金額欄と関連付けられており、前記BS勘定科目表70に入力した各勘定科目の金額は、貸借対照表90の対応する勘定科目91の金額欄92に自動転記される。このようにして、貸借対照表90は、BS勘定科目表70に入力された金額を、コードNo93ごとに集計した一覧になっている。この貸借対照表90は、後述する資金運用シミュレーションの基になるデータとなる。
利用者は、この貸借対照表90により、資産科目合計と負債・資本科目合計の金額が一致しているかを確認する。
一致していない場合は、金額が一致していない旨のメッセージが表示され、BS勘定科目表70に入力した金額をもう一度確認できるようになっている。この場合は、確認後、現時点のBS実績値を入力する。なお、本実施形態では、BS勘定目表と貸借対照表の2つの表を設けているが、貸借対照表のみを設けることもできる。その場合は、利用者は、BS勘定目表に入力した場合と同様に、貸借対照表に入力することとなる。
4−1 資金運用計画表(概要)
次に、資金運用計画表100を用いた資金運用シミュレーションについて説明する。まず、本資金運用シミュレーションの考え方について説明する。このシミュレーションの大前提は、期末に現金流動預金をどの程度確保しておくかを考え、その運用を検討していくものである。そして、その最終段階では「借入れが可能なのか」が、わかるようになっている。即ち、「会社の総資産を増やしていくために、資金をどのように運用していくかの計画」を明確にすることができる。
また、このシミュレーションでは、無理な資金運用の時は、借入れ可能額に不足額が表示されるようになっている。したがって、「資金が調達できなくなり、設備投資を断念せざるを得ない」という判断もできるようになっている。さらには「来期の設備投資も、最大いくらまでできるのか?」も知ることもできる。
何故このようなこともシミュレーションする必要があるのかと言えば、利益が出て失敗するケースの多くが、過剰設備投資によるものだからである。また、急激に売上が下がった時に利益が出ていても、お金が回らないからである。利益があまり出ていなかった会社が、突然大きな利益を出すと、その翌年は予定納税が極端に増える。それを忘れて「利益が出たから」といって大きな設備投資を行うと、資金繰りの悪化を招くのである。そのようなことがないように、ここでは予定納税額の計上も、大きな要素となっている。
図10は、本実施形態の資金運用計画表100は「固定資金の使途」「固定資金の源泉」「運転資金の使途」「運転資金の源泉」の4つの部分に分かれている。利用者は、この順で金額、数値を入力し、資金運用計画表を作成する。
「使途」とは、どのような勘定科目で、いくらの資金が必要かということである。図10を例にとれば、「法人税の支払で10百万円必要」となる。「源泉」とは、必要な資金をどのような勘定科目で、いくら賄うかということである。図10を例にとれば、「長期借入金で103.9百万円賄う」となる。
したがって、「固定資金の使途」とは、固定資金関係で必要な資金のことである。そして、各勘定科目の「目安」に表示されている金額が、その必要な目安の金額になる。「固定資金の源泉」とは、先に入力した「固定資金の使途」の分を、どうやってまかなっていくかを示す項目である。
「運転資金の使途」とは、事業を行う上での必要な運転資金である。「運用資金の源泉」は、先に入力した必要な運転資金を、どのようにして調達していくかを示す項目である。
各項目には、「目安」と「運用」の欄が設けられている。「目安」とは、来期の資金運用計画を決定する際に、どれだけの資金が必要かを自動的に計算した金額である。
資金運用計画表100は、前記貸借対照表90と関連付けられており、前記貸借対照表から必要な情報(例えば、成長率等)を受け取ることで、目安額が表示される。例えば、「運転資金の使途」の「売掛金増加」の計算は、次のように算出される。
(期首売掛金残高×成長率)−期首売掛金残高=目安
「運用」の金額は、社長が「今期中にこれだけ増減させる」と意思決定した金額である。本実施形態では、目安額通りに運用額を入力する勘定科目と、この目安額を参考にして、運用額を決定する勘定科目がある。利用者が「目安」を基に決定する「運用」額について説明する。
この「運用」額は「目安」を参照にしながら、諸々の情勢、会社の状況等々を踏まえながら、決定するのであるが、決定に際し、その考え方の決定要因となるのが、次の3つのことである。
1・・・方針続行の場合は、「目安」と同額を「運用」に入力していく。
2・・・現状維持の場合は、「目安」の金額を無視して「運用」にはゼロを入力する。
3・・・方針変更の場合は、
1)増加させる時は、「目安」よりも大きな金額を「運用」に入力する。
2)減少させる時は、「目安」よりも小さな金額(マイナスの金額にする場合もある)を「運用」に入力する。
以上のように「目安」の金額が表示されることで、どれだけ増減させれば良いか判らない場合は、とりあえず「目安」と同じ金額を「運用」に入力してすることができる。そして、ひと通りやってみてから、入力した金額が本当に必要な額かどうか、シミュレーションを行うことができるようになっている。
4−2 資金運用計画表(売上・成長率)
利用者は、まず、資金運用計画表100の今期売上101や来期売上102が、前記短期計画表から正しく転記されてきているかどうか、確認する。今期売上101や来期売上102を修正したい場合は、直接データを入力することも可能である。今期売上、来期売上を修正すると、それに合わせて成長率103が再計算される。
4−3 資金運用計画表(減価償却費率・借入目安)
資金運用計画表100の一部には、減価償却費率111、長借返済年数112、社債償還年数113、借入目安114といった項目が設けられており、自社の現状に合わせて入力できるようになっている。(図11参照)
減価償却費率 111欄には、有形固定資産に対する、減価償却の比率を入力する。業種・事業構造が異なると、減価償却費率も異なるため、自社の比率を計算して入力する。初期設定では、15%となっているが、修正することが可能である。
長借返済年数112欄には、長期借入金の返済年数を入力する。初期設定では、5年に設定してあるが、例えば3年で返済の場合は、3と入力する。
社債償還年数113欄には、借入社債の償還年数を入力する。初期設定では、10年に設定してあるが、残り償還年数が6年の場合は、6と入力する。
これらの数値を指定することで、後述するアバウト減価償却、長期借入金返済額、借り入れ可能額の金額が変動する。
次に、「固定資金の使途」「固定資金の源泉」「運転資金の使途」「運転資金の源泉」の順で金額、数値の入力、検討等を行っていく。
4−4 資金運用計画表(固定資金の使途)
図12は、図10に示す資金運用計画表の中の「固定資金の使途」に関するブロック100Aを示している。「固定資金の使途」とは、固定資金関係で必要な資金のことである。
「固定資金の使途」には、「1.前期利益処分(法人税等・配当・役員賞与)」121、「2.当期予定納税」122、「3.長期借入金返済」123、「4.社債利息・償還」124、「5.当期設備投資(建物・機械・車輌・備品・土地)」125、「6.リース資産増減」126、「7.ソフトウェア」127、「8.その他無形固定資産」128、「9.投資有価証券増」129、「10.敷金・保証金」115、「11.長期貸付金増加」116、「12.その他投資等」117、「13.権利金増加」118、「14.開発費増加」119の勘定科目が設けられている。これらの勘定科目の運用欄に、計画する予定額を入力する。
なお、長期借入金返済123の「目安」には、貸借対照表90での長期借入金を長期返済年数112(初期設定では5年返済)で割った金額が目安として表示される。返済期間が5年とは異なる場合は、自社の返済年数を入力する。たとえば、7年返済なら、7を入力すると、返済額を自動計算して目安欄に表示される。「運用」には、自社の返済期間がおよそ5年間なら、目安の金額をそのまま運用欄に入力する。
社債利息・償還124の「運用」には、社債利息の支払・償還が発生した場合は、社債利息・償還の運用に、当期処理する金額を入力する。
当期設備投資125の各項目(建物・機械・車輌・備品・土地)の運用欄には、当期に計画や予定があれば、とりあえずその予定額を入力しておく。なお、入力した各項目(建物・機械・車輌・備品・土地)の合計金額が、後述する固定資金の源泉の長期借入金増加の目安欄に表示される。
リース資産増減には、当期償却する期中減と増加する期中増の合計額を入力する。ソフトウェア127は、新規に購入するパソコン等に搭載するプログラムや追加投入するシステムの費用を入力する。
「固定資金の使途」の合計額120は、後述する「固定資金の源泉」の合計額130から転記される。したがって、「固定資金の源泉」の合計額120と「固定資金の源泉」の合計額130とは常に同一の金額が表示される。実際の合計額の差額は、固定資金余裕120Aとして自動計算される。このため、この時点の固定資金余裕は、正しい数字になっていない。後述する「固定資金の源泉」「運転資金の使途」「運転資金の源泉」にデータが入れば、正しい数字となる。
4−5 資金運用計画表(固定資金の源泉)
次に、「固定資金の源泉」に入力する。図13は、図10に示す資金運用計画表の中の固定資金の源泉に関するブロック100Bを示している。「固定資金の源泉」は、先に入力した「固定資金の使途」の分を、どうやってまかなっていくかを示す項目である。
「固定資金の源泉」には、「1.期首現金流動預金」131、「2.当期経常利益」132、「3.当期特別利益・除却益」133、「4.当期特別損失・除却損」134、「5.当期減価償却費」135、「6.前期予定納税」136、「7.増資」137、「8.利益準備金」138、「9.長期借入金増加」139、「10.未払分割金(手形)」170、「11.社債増加」171、「12.引当金(賞・給・他)増」172の勘定科目が設けられている。これらの勘定科目の運用欄に、計画する予定額を入力する。
期首現金流動預金131は、貸借対照表30の現金預金から、自動的に転記されている。「目安」には何も表示されず、「運用」には入力できないようになっている。
当期経常利益132は、「目安」の欄に短期計画表60の金額が転記されている。利益計画により策定された目標利益なので、「運用」欄には「目安」の金額をそのまま入力する。
経常利益132・特別利益133・特別損失134の金額を入力すると、税引き前当期利益134Aが表示される。
繰越欠損金134Bの目安欄にBS勘定科目表70の損益計算に関するブロックに入力した金額が転記されている。繰越欠損金とは、過去7年間に税引き前利益がマイナスとなり発生した、欠損金の累計のことである。今期利益を上げても、繰越欠損金がある場合は、税務上減額が認められ、税額が減少する。
当期減価償却費135の目安欄には、BS勘定科目表70の損益計算に関するブロックの金額が転記されている。短期計画表50の金額であるので、運用欄には目安の金額をそのまま入力するが、当期減価償却費は今期の決算書の数字を入れて計算したので、有形固定資産から計算したアバウト減価償却費135Aと見比べて判断することになる。
なお、アバウト減価償却費135Aは、有形固定資産(建物・機械・車輌・備品)の減価償却費率111が15.0%として計算している。アバウト減価償却費135Aのカッコ内の数字は、無形固定資産のソフトウェアおよび開発費を含めた場合の減価償却費である。ソフトウェアおよび開発費も含めて減価償却を行う場合は、カッコ内の数字を目安とする。自社の減価償却費率が分っている場合は、減価償却費率111の15.0%を、自社のパーセントに変更する。
また、アバウト減価償却費135Aが当期減価償却費135の目安と同じ金額(25.0)となるようにしたい場合は、減価償却費率111にパーセントをいろいろと入力して、アバウト減価償却費が「25.0」になるように、シミュレーションする。
長期借入金増加139の「目安」には、当期設備投資(建物125A、機械125B、車輌125C、備品125D、土地125E)125の運用欄の合計額が転記される。長期借入金増加139の運用欄には、最初は目安の金額をそのまま入力する。続けて「運転資金の源泉」を入力したあと、「運転資金の使途」の期末現金流動預金が目安以上になっているかを確認する。目安に届いていない時は、もう一度長期借入金の借入額を検討して、ここの運用欄に入力する。
以上、入力した「1.期首現金流動預金」131、「2.当期経常利益」132、「3.当期特別利益・除却益」133、「4.当期特別損失・除却損」134、「5.当期減価償却費」135、「6.前期予定納税」136、「7.増資」137、「8.利益準備金」138、「9.長期借入金増加」139、「10.未払分割金(手形)」170、「11.社債増加」171、「12.引当金(賞・給・他)増」172の勘定科目の合計額130が表示される。
この固定資金の源泉の合計額130は、固定資金の源泉の合計額120に転記される。この合計額120から、固定資金の使途のリース資産増減126を除いた全ての勘定科目(すなわち、「1.前期利益処分(法人税等・配当・役員賞与)」121、「2.当期予定納税」122、「3.長期借入金返済」123、「4.社債利息・償還」124、「5.当期設備投資(建物・機械・車輌・備品・土地)」125、「7.ソフトウェア」127、「8.その他無形固定資産」128、「9.投資有価証券増」129、「10.敷金・保証金」115、「11.長期貸付金増加」116、「12.その他投資等」117、「13.権利金増加」118、「14.開発費増加」119の勘定科目)の合計額を引いた値が固定資金余裕120Aとして表示される。
すなわち、固定資金の源泉が、どのように固定資金の使途(リース資産は除く)に用いられるかが分かり、その差額は固定資金余裕120Aとして表示される。言い換えると、固定資金余裕120Aとは、固定資金関係において必要以上の余分に余った金額と言える。
「固定資金の源泉」のブロックには、上述の勘定科目以外にも、長期借入限度額173、実質金利174、借り入れ可能額175、土地の担保価値176、土地の担保評価額176A、支払い金利率(年利) 177、支払い金利額177A、受け取り金利率(年利) 178、受取り金利額178A、預貸率179についての科目が設けられている。以下、これらの科目について説明する。
実質金利174は銀行に実際に払っている金利のことで、以下のように自動計算される。実質金利=(支払金利+割引料−受取金利)/(借入金+割引手形−固定預金)×100で求める。なお、この実質金利は、預貸率(=銀行預金/(短期借入金+長期借入金+割引手形
)×100)によって変わる。
借り入れ可能額175は、土地の担保価値176を基準にして、次の計算式で目安額を算出している。すなわち、借り入れ可能額=土地の担保価値+(固定預金×固定預金倍率)+(固定預金の増加額×増加額倍率)+長期借入金の返済額+短期借入金の返済額−短期借入金の増加額−長期借入金の増加額−長期借入金残高−短期借入金残高−(割引手形×割引手形倍率)+(敷金・保証金×敷金・保証金倍率)
借り入れ可能額175の計算式中の倍率114(すなわち、固定預金倍率、固定預金増加額倍率、割引手形倍率、敷金・保証金倍率)は、自社に合わせて書き換えができる。固定預金に掛ける固定預金倍率(図11中では「2.5」)は、業界によってその倍率(銀行の判断)が変わるので、自社の事情に合わせた倍率に、計算式の数値を書き換えることもできる。
固定預金の増加額に掛ける増加額倍率(図11に、計算式の数値を書き換えることもできる。
割引手形に掛ける割引手形倍率(図11中では「0.5」)は「割引の時、どのくらい銀行からの担保に該当するのか」の倍率である。これはメイン銀行に尋ねて書き換えることもできる。
敷金・保証金に掛ける倍率(図11中では「0.3」)は「敷金・保証金が、どのくらい銀行からの担保に該当するのか」の倍率である。これはメイン銀行に尋ねて書き換えることもできる。
支払い金利率(年利)177の運用欄は、一番最近の借入の金利(年利)である。借入の条件の変更などで、金利率が変わった場合は、新しい率を入力する。支払い金利額177Aは、(短期借入金+長期借入金)×支払い金利率で自動計算して求められた金額が表示される。
4−6 資金運用計画表(運転資金の使途)
図14は、図10に示す資金運用計画表の中の運転資金の使途に関するブロック100Cを示している。「運転資金の使途」では、必要な運転資金を検討する。「運転資金の使途」には、「1.固定預金増加」141、「2.受取手形増加」142、「3.売掛金増加」143、「4.棚卸し増加」144、「5.仮払消費税」145、「6.未収入金増加」146、「7.有価証券増加」147、「8.その他の流動」148、「9.短期借入金返済」149の勘定科目が設けられている。これらの勘定科目の運用欄に、計画する予定額を入力する。
固定預金増加141とは、積立および定期預金のことである。「固定預金増加」141の目安額は、(短期借入金残高+長期借入金残高+割引手形残高)×目標預貸率−期首固定預金で計算している。
この計算式のように固定預金増加141の目安額は、「固定資金の源泉」の目標の預貸率(預貸率の運用の数値)によって変化する。
受取手形増加142の目安額は、売上増加額に成長率を掛けて自動計算している。本来は回転率で計算するが、成長率を掛けても近似値が出る。それぞれの運用額は、自社の方針に従って入力する。
短期借入金返済149の目安額は、「短期で借りている総額の半分と増加分」から、自動計算されて表示されている。運用欄には目安額をそのまま入力(即ち、来期は短期で借りている総額の半分を返済)していく。
「運転資金の使途」の合計額140は、後述する「運転資金の源泉」の合計額150から転記される。したがって、「運転資金の使途」の合計額140と「運転資金の源泉」の合計額150とは常に同一の金額が表示される。実際の合計額の差額は、期末現金流動預金140Aとして自動計算される。このため、この時点での期末現金流動預金140Aは、まだ「運転資金の源泉」にデータを入力していないので、仮の金額である。「運転資金の源泉」の運用欄にデータを入力すると、シミュレーションが行なわれ、修正される。期末現金流動預金140Aについては、後述する。
4−7 資金運用計画表(運転資金の源泉)
図15は、図10に示す資金運用計画表の中の運転資金の源泉に関するブロック100Dを示している。「運転資金の源泉」では、「必要な運転資金」を、どのようにして調達していくかを検討していく。
「運転資金の源泉」には、「1.固定資金余裕」151、「2.支払手形増加」152、「3.買掛金増加」153、「4.経費未払金増加」154、「5.手数料未払金増加」155、「6.仮受(未払)消費税」156、「7.割引手形増加」157、「8.短期借入金増加」158、「9.預かり金増加」159、「10.その他の負債増加」170の勘定科目が設けられている。これらの勘定科目の運用欄に、計画する予定額を入力する。
各勘定科目の「目安」欄は、(期首残高×成長率)−期首残高で計算される。期首残高とは、今期(ここでは第10期)の金額である。以下、「運用」欄について説明する。
固定資金余裕151の運用欄には、「固定資金の使途」の固定資金余裕120Aの運用欄から、転記されている。
「運転資金の使途」の合計額140は、上述の全科目の合計額が表示される。この合計額140は、「運転資金の源泉」の合計額150へ転記される。したがって、「運転資金の源泉」の合計額150とは常に同一の金額が表示される。実際の合計額の差額は、期末現金流動預金140Aとして自動計算される。
期末現金流動預金140Aの目安には、「固定資金の源泉」の期首現金流動預金に売上成長率を掛け合わせた値が表示されている。運用には、「固定資金の源泉」の合計から「固定資金の使途」の合計を引いた額が表示されている。利用者は、期末現金流動預金の運用が目安よりも大きいか確認することができるようになっている。
5−1 比較貸借対照表(概要)
「固定資金の使途」「固定資金の源泉」「運転資金の使途」「運転資金の源泉」で入力していった数値は、比較貸借対照表の期中増減に転記され、自動計算されていく。
図16は、本実施形態の比較貸借対照表160を示す。比較貸借対照表160は、貸借対照表90の勘定科目と同一の勘定科目161から構成されている。勘定科目161ごとに、貸借対照表90の今期(ここでは第10期)の金額162が自動転記される。利用者は、各項目の数値と比較貸借対照表の数値が合っているかどうかを確認する。
また、期中増減163には、資金運用計画表の運用欄に入力した金額が転記される。今期162と期中増減163とから、計画する来期164が算出される。
図17は、運転資金の源泉および使途と、比較貸借対照表160の関連の一例を示した図である。それぞれ該当する勘定科目に運転資金側から期中増減へ転記される。以下、各勘定科目の期中増減163について説明する。
5−2 比較貸借対照表(流動資産)
比較貸借対照表160には、流動資産として、現金、普通預金、当座預金、固定預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、予定納税、仮払消費税、未収入金、有価証券等の勘定科目が設けられている。
現金預金の来期164の金額欄には、「運転資金の使途」の期末現金流動預金から転記される。予定納税の期中増減163には、「固定資金の使途」の当期予定納税の運用額から「固定資金の源泉」の前期予定納税の運用額を引いた額が転記される。
固定預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、仮払消費税、未収入金、有価証券、その他の流動の期中増減163には、「運転資金の使途」の中の対応する項目の運用額がそれぞれ転記される。今期162と期中増減163から来期164の金額が算出される。
5−3 比較貸借対照表(固定資産)
比較貸借対照表160には、固定資産として、建物、機械、車輌、備品、建設仮勘定、リース資産、土地、ソフトウェア
、その他無形、投資有価証券、敷金・保証金、長期貸付金等の勘定科目が設けられている。
図18Aに示すように、有形固定資産の「建物」「機械」「車輌」「備品」、無形固定資産の「ソフトウェア」、繰延資産の「開発費」の6項目には、当期の減価償却費を入力する項目が設けられている。本実施形態では、項目名のカッコ内の数字が、その科目の当期減価償却費を示している。これら6項目の合計は、「固定資金の源泉」の当期減価償却費の運用額と等しい額となっている。
言い換えると、利用者は、図18Bに示すように、当期減価償却費の運用に入力された金額を、「建物」「機械」「車輌」「備品」「ソフトウェア」「開発費」の6項目に振分ける。すなわち、減価償却費7.0百万円を、「建物」で5.0百万円、「機械」「車輌」で1.0百万円ずつ償却する場合、各項目名のところにそれぞれ入力する。
このようにして振り分けた金額(すなわち来期償却する金額)を「固定資金の使途」の運用額から差し引いた額が、固定資産の「建物」「機械」「車輌」「備品」および「ソフトウェア」ならびに「開発費」の期中増減に表示される。
その他の固定資産の勘定科目、すなわち、土地、その他無形、投資有価証券、敷金・保証金、長期貸付金、その他投資等、権利金の期中増減には、「固定資金の使途」の中の対応する項目の運用額がそれぞれ転記される。
5−4 比較貸借対照表(流動負債)
比較貸借対照表160には、流動負債として、支払手形、買掛金、仮受(未払)消費税、割引手形、短期借入金、その他の負債、預かり金、納税引当金、引当金(賞・給・他) の勘定科目が設けられている。
短期借入金の期中増減には、「運転資金の源泉」の短期借入金増加の運用額から、「運転資金の使途」の短期借入金返済の運用額を差し引いた額が転記される。納税引当金の期中増減には、「固定資金の源泉」の税引き前当期利益の2分の1の額が転記される
その他の流動負債の勘定科目、すなわち、支払手形、買掛金、経費未払金、手数未払金、仮受(未払)消費税、割引手形、預かり金、引当金(賞・給・他)、その他の負債の期中増減には、「運転資金の源泉」の中の対応する項目の運用額がそれぞれ転記される。
5−5 比較貸借対照表(固定負債)
比較貸借対照表160には、固定負債として、長期借入金、未払分割金、社債、リース負債の勘定科目が設けられている。
長期借入金の期中増減には、「固定資金の源泉」の長期借入金増加運用額から、「固定資金の使途」の長期借入金返済の運用額を差し引いた額が転記される。
未払分割金の期中増減には、「固定資金の源泉」の運用額が転記される。社債の期中増減には、「固定資金の源泉」の社債増加から、「固定資金の使途」の社債利息・償還の運用額を差し引いた額が転記される。
5−6 比較貸借対照表(純資産)
比較貸借対照表160には、純資産として、資本金、資本余剰金、利益準備金、内部留保、当期損失、当期利益、評価・換算差額、新株予約権の勘定科目が設けられている。
資本金の期中増減には、「固定資金の源泉」の増資の運用額が転記される。利益準備金の期中増減には、「固定資金の源泉」の増資の運用額が転記される。
内部留保の期中増減には、貸借対照表90の繰越利益から、「固定資金の使途」の法人税、配当、役員賞与の運用額と、「固定資金の源泉」の利益準備金の運用額と、資本余剰金の期中増減とを引いた額が算出される
当期利益の期中増減は、「固定資金の源泉」の税引き前当期利益の2分の1から、貸借対照表90の繰越利益を引いた額が算出される。
今期と期中増減とから来期の金額を算出し、今期と来期を比較することができる比較貸借対照表が作成される。
以上、利益計画表、資金運用計画表、比較貸借対照表を作成することで短期的な経営計画を策定することができる。すなわち、利益計画表によれば、まず最終的に手に入れたい利益目標(粗利益)を決定し、その利益を上げるのに必要な売上を計算し、人件費等を検討・シミュレーションし計画を策定する。
資金運用計画表によれば、会社の総資産を増やしていくために、今期の資金をどのように運用していくかというシミュレーションを行い、期末流動預金をどの程度確保できるかという資金運用の計画を策定することができる。そして、比較貸借対照表によれば、資金運用計画表に基づいて資金運用を行えばどのように資産・負債が変動していくかを比較することができる。
続いて、上述の資金運用計画をもとにして長期計画を策定する。「長期計画」とは、長期事業構想書および長期比較貸借表により計画され、利益計画表(決定版)と比較貸借対照表の内容を基に策定される。
図19は、短期計画と長期計画の関係を示す。また、貸借対照表に入力した期数の次の期(「来期」=即ち、11期)がスタートになる。「長期計画」作成においては、最初に長期事業構想書を作成する。
「長期計画」における期の相関関係について説明する。資金運用計画表や比較貸借対照表での「第10期」は、「来期の計画を作成する期の、期末の数字」である。そして、「第11期」の数字は当期=来期の期末の目標数字になる。同じように、長期事業構想書においても、「当期」は「11期」の期末の目標数字、「12期」は「12期」の期末の目標数字、「13期」は「13期」の期末の目標数字・・・というようになっていく。
また、利益計画表での「直近売上」は「10期の予想売上」となり、「売上高」は「11期期末の目標売上」となる。
6−1 長期事業構想書(概要)
以下、長期事業構想書200の作成について説明する。図20は、本実施形態の長期事業構想書を示す。長期事業構想書200は、事業計画201、事業成長率202、利益計画203、損益分岐点204、要員計画205、設備計画206、施設計画207、資本金208、生産性209のブロックに分類されている。
6−2 長期事業構想書(利益計画)
図21は、本実施形態の長期事業構想書の当期(来期)と1期の利益計画のブロックを示している。利益計画203のブロックには、利益計画表と同じ項目、すなわち総売上高203A、総仕入203B、粗利益率203C、粗利益203D、人件費203E、経費203F、販売促進費203G、減価償却費203H、営業利益203I、営業外収益203J、営業外費用203K、経常利益203L、特別利益203M、特別損失203N、
税引き前当期利益203Oの項目が設けられている。各項目には目安欄と、計画欄と、売上高に対する割合が設けられている。
当期(11期)のデータ213Aは、短期計画表のデータを基に転記や自動計算されるため、最初から数字が入っている。次期(12期)の事業成長率202の目安額202Aに、成長率を入力すると、成長率と当期(11期)の数字から営業外収益203J、営業外費用203K、経常利益203Lの目安額213Cが計算される。営業外収益203J、営業外費用203K、経常利益203Lから営業利益203Iの目安額213Cが計算される。
人件費203E、経費203F、販売促進費203G、減価償却費203H等の内部費用についても、成長率の目安額202Aと当期(11期)の金額213Aから次期(12期)の目安額213Cが算出される。なお、これら営業外収益203J、営業外費用203K、経常利益203L、人件費203E、経費203F、販売促進費203G、減価償却費203Hの目安額は、1期以降についても同様にして、前期総売上高と成長率から算出される。
これらの目安額を参考にして、以下の項目の計画欄213Dに計画値を入力する。
1)粗利益率
粗利益率203Cの目安213Cには、「経常利益+営業外費用−営業外収益+経費(人件費、経費、販売促進費、減価償却費)合計」で算出された「粗利益」を売上高で割った値が表示されている。粗利益率203Cは、この時点では目安と同じものを入力する。
2)経常利益
利益計画203の経常利益203Lには、目安額213Cを参考にして入力する。
3)営業外費用および営業外収益
次期(12期)の営業外費用203Kと営業外収益203Jに、データを入力すると、「いくら営業利益が必要か」が逆算されて、12期の営業利益203Iの欄に、金額が表示される。
4)減価償却費
利益計画203の減価償却費203Hに、減価償却費の見込みを入力する。例えば、有形固定資産の15.0%を入力する。ここでは、目安額の金額をそのまま入力しておく。減価償却費203Hを入力すると、内部経費の合計が表示される。また、総売上高203A、総仕入203B、粗利益203Dの計算も同時に行われる。
5)販売促進費
利益計画203の販売促進費203Gに、販売促進費の見込を入力する。入力金額は、目安額をそのまま使う。目安額に表示された金額は、「成長率」を基に計算された金額である。
6)経費
利益計画203の経費203Fに、経費を入力する。入力金額の目安は、次の3つである。まず「当期」の10%増を入力する方法である。当期とは短期計画で決定した短期計画表60の今期計画の金額である。次に、「成長率」を基に計算された目安額をそのまま使う方法である。そして、目安と計画の成長率に合わせる方法である。すなわち、計画額に表示された成長率は、ここまで入力した金額を基に割り出された率である。経費203Fの金額をいろいろ変えて、目安と計画の成長率が同じ数値となる金額にする。
7)特別利益および特別損失
利益計画203の特別利益203Mに、特別利益・除却益を入力する。続いて利益計画203の 特別損失203Nの1期目に、特別損失・除却損を入力する。特別損失・除却損は、金額をマイナスの値で入力する。
6−3 長期事業構想書(事業計画)
図22は、本実施形態の長期事業構想書の当期(来期)と1期の事業計画のブロックを示している。事業計画201のブロックには、事業部ごとに、売上高201C、201Dおよび粗利益201Eの項目が設けられている。まず、事業計画201に表示されている事業名はダミーのものなので、事業名を自社のものに書き換える。当期(11期)の全事業の売上211Aおよび粗利益211Bは利益計画表から転記されているので、事業部ごとの当期の売上201A及び粗利益率201Fを振り分けて入力する。売上201Aと粗利益率201Fから当期(11期)の各事業の粗利益201Bが算出される。
次期(12期)の各事業の売上の目安201Cは、当期の各事業の売上201Aと成長率202Aから計算される。
この各事業の売上の目安201Cを参考にして、事業計画201の各事業の1期目(12期)の売上201Dを入力する。各事業の売上高201Dの合計211Dと、利益計画の総売上高203Aの差額が「売上高(計画との差)」213Aに表示される。この「売上高(計画との差)」213Aが0.0(ゼロ)になるように、各事業に売上を割り振る。各事業の売上高201Dを入力すると、既に入力した各事業の粗利益率201Fに基づいて、粗利益額201Eが計算され、表示される。
各事業に売上を割り振る時の考え方は、次のとおりである。
1)伸びる事業を中心に、数字(金額)を入れていく。
2)売上の小さな事業でも、大きく飛躍が期待できる事業は、目安を無視して大きく伸ばした計画金額を入れていく。
3)事業が横バイのものは、横バイで入力する。
4)撤退の事業部門は、数字を下げていく。
5)事業部門を分割させる時は、新たな部門名を事業の新名称にする。
6)3期目ごろからは、新規事業または新商品の立ち上げを検討して、「新規事業」に事業名を入力し、粗利益率を入力する。
事業計画201には、1期目(12期)の売上を割り振った粗利益率211Fが表示される。さらに、この粗利益率211Fと、利益計画203の計画欄213Dで入力した粗利益率203Cとの差である「益率の差」202Cも表示される。この数字を0.0(ゼロ)にするには、次の方法がある。
1)売上高を目安と同じ数字にする
事業計画を見直して、計画の粗利益率と一致するように、売上の割り振りを再検討する。各事業の目安の金額を入力することで、計画の粗利益と一致する。各事業の目安は、各事業の当期(第11期)の売上高と成長率から算出されている。しかし、事業構造を変えて、収益性の高い事業にシフトしようとする場合は、この方法は使えないため、次の方法で検討することになる。
2)利益率を計画に合わせて変える
利益計画の粗利益率203Cを、事業計画の粗利益率211F(図22では「0.556」)に修正する。その結果生じた売上との差を、経費等の内部費用で調整する。
1期目、2期目では、上記の方法で誤差を修正する。しかし、3期〜5期目ごろからは、利益率や内部費用の調整だけでは無理が生じ、「粗利益率」に数字が残る。この数字が、本当に考えなければならない新規事業または新製品を意味している。「新規事業」に事業名や商品名を入力して、新規事業の立ち上げを検討する。
6−4 長期事業構想書(要員計画)
図23は、本実施形態の長期事業構想書の当期(来期)と1期の損益分岐点204、要員計画205、設備計画206、施設計画207、資本金208、生産性209のブロックを示している。要員計画205のブロックには、人員205A、一人当たりの人件費205B、労働分配率205Cの項目が設けられている。要員計画205の人員205Aに人数を入力すると、人件費(利益計画)と労働分配率205Cの目安が計算される。目安欄の一人当たりの人件費205Bは、今期の人件費を「人員」に入力した人数で割った額となる。人員205Aに今期と同じ人数を入力すると、「一人当たりの人件費」の目安欄は、「今期×成長率」の金額となる。
続いて以下の項目について計画欄に入力する。
1)一人当たりの人件費
本実施形態では、利益計画203の人件費203Eは、要員計画205の一人当たりの人件費205Bを基に自動計算される。まず1期目(12期)の一人当たりの人件費205Bに、一人当たりの人件費を入力する。一人当たりの人件費がわからない時は、目安欄の一人当たりの人件費205Bを参考にして、金額を入力する。なお、ここでの一人当たりの平均の人件費は、賞与も含む年収である。
2)人員
要員計画205の人員203Eの1期目に、来期の人員を何人にするか決めて、その人数を入力する。人数を入力すると、利益計画203の人件費205Bの金額が計算される。具体的には、以下の通りに入力する。
人員はそのままで、一人当たりの人件費を上げていく場合は、人員205A欄には、今期と同じ人数を入力する。そして、一人当たりの人件費205Bには目安額を入力する。
人員を増員したい場合 は、先に人数を入力しておいてから、人件費205Bが目安額と同額になる金額を一人当たりの人件費205Bに入力する。 これにより、何人まで増員できるかが予測できる。
一人当たりの人件費を前年と同額にしたい場合、人件費205Bが目安額と同額もしくは近似値になる人数を人員205Aに入力する。
以上の操作を行ったら、要員計画205の労働分配率205Cをチェックする。労働分配率205Cが、「当期」よりもプラスマイナス2.0%を超える値となっている場合は、一人当たりの人件費を考え直す、人員の増員・削減の見直しを図る、経費・販売促進費を増減させる、等の対策を講じる。
以上の操作を行ってきたら、1期目の「事業成長率」「計画」をチェックする。計画の「成長率」が「目安」と異なる場合は、このままの計画で次(2期目)に進む、経常利益の見直しを図る、内部費用の見直しを図る、粗利益率の見直しを図る、等の検討を行う。
6−5 長期事業構想書(設備計画)
図23に示すように、設備計画206のブロックには、建物、機械、車輌、備品、土地、ソフトウェア、開発費の項目が設けられている。当期(11期)の項目には、資金運用計画表から各項目の資金計画値が転記されている。12期の計画欄には以下の通り入力する。「建物」には、営業所等の開設や社屋の増築予定を入力する。建物の金額を入力する。「機械」には、設備投資の予定を入力する。「車輌」には、車輌の購入価格・整備費用を入力する。「備品」には、その他設備計画の金額を入力する。「土地」は、購入予定を入力する。「ソフトウェア」は、新規に導入するシステムの予定額を入力する。「開発費」は、追加投入する金額を入力する。1期目に建物を購入する予定がある場合は、「建物」に購入価格を入力する。
6−6 長期事業構想書(施設計画)
図23に示すように、施設計画207のブロックには、リース、敷金・保証金の項目が設けられている。「リース」には、新たに組むリースの総額を入力する。「敷金・保証金」には、営業所等の開設や社屋の賃貸予定に伴う保証金・敷金を入力する。
6−7 長期事業構想書(増資)
資本金208の「増資」には、増資を入力する。増資は、必ずしも毎年行う必要はないため、資金調達や資本額増加を行いたい場合に行う。最初に計画を作る場合は、0.0(ゼロ)を入力する。
方針として、毎年増資を行う場合は、次の計算式から増資額を算出する。まず、「月商」を、「払込資本金/年商/12」により計算する。そして、「増資額」は「1期目の売上×前記月商の計算結果×12−1期目の資本金」により計算される。なおこの数字は、「増資」の目安欄の金額とほぼ同じ数字であるため、目安どおりの金額を入力してもよい。
以上、各項目の入力により、1期目(ここでは12期)の事業構想が策定される。続いて、同じような考え方、操作手順で2期目(13期)の数字を入力してく。2期目の目安は、前期(すなわち、1期)の計画欄に入力した金額と事業成長率とから算出される。なお、「事業成長率」欄には、今期と比較した成長率が表示される。長期事業の構想を練る際、毎年15.0%ずつ成長させるような場合は、ここの値が目安になる。目安額を参考にして、以降、順に5期目(16期)まで長期事業の構想を練り、計画欄に数字を入力していく。
利益計画203の金額の右側213Eには、その期の総売上高に対する比率(パーセント)が表示されていく。売上に対する経費の割合を、毎年同じ水準にしたい場合は、この比率を見ながら金額を入力する。
7−1 長期比較貸借対照表(概要)
次に、5年間の長期比較貸借対照表を作成する。図24は、本実施形態の長期比較貸借対照表を示す。長期比較貸借対照表は、1期から5期までの5年分の比較貸借対照表と資金運用計画表が同一の表計算シートに設けられることで構成されている。長期比較貸借対照表における各年の比較貸借対照表と資金運用計画表との関係は上述と同様である。本実施形態では、各期の長期比較貸借対照表は、比較貸借対照表と資金運用計画表が同一の表計算シートで構成されているが、別々の表計算シートにそれぞれ設けることもできる。
長期事業構想書同様、1期目から順に2期目、3期目、4期目、5期目と作成していく。以下、1期目(ここでは12期)の作成の操作手順を説明する。
7−2 長期比較貸借対照表(第1期)
長期比較貸借対照表には、比較貸借対照表(決定版)および長期事業構想書から関連するデータが自動転記されている。比較貸借対照表(決定版)からは、当期(ここでは11期)の貸借対照表データが転記されている。
長期事業構想書からは、計画した1期目(12期)のデータが転記されている。ここに出ている数字は、長期事業構想書の1期目(12期)の計画数値が転記されてきたものである。すなわち、
例えば「前期売上」は今期(11期)の売上を、「今期売上」は1期目(12期)の売上を、「当期経常利益」は1期目(12期)の経常利益を、「当期減価償却費」は1期目(12期)の減価償却費を、「土地」は1期目(12期)の土地購入計画費を示している。
ここで、当期(11期)の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の合計が、同じ金額になっているか、確認する。もし金額が異なる場合は、比較貸借対照表(決定版)を確認して、修正する。この時点で正しくないと、以後の長期計画が行えない。
長期比較貸借対照表では、目安の金額を運用欄に転記することから作業が始まる。次の科目について目安から運用への転記が行われる。「固定資金の使途」では、リース資産増減を除くすべての科目が転記される。「固定資金の源泉」では、期首現金流動預金、当期経常利益、当期減価償却費、前期予定納税、利益準備金、長期借入金増加、未払分割金(手形)、引当金増加の8か所が転記される。「運転資金の使途」では、「固定資金余裕」以外すべての科目が転記される。「運転資金の源泉」では、「期末現金流動預金」以外すべての科目が転記される。
事業規模の縮小、店舗の閉鎖・撤退などにより、マイナス成長となる計画(前年より売上が下がる計画)を意図的に行なった場合は、「目安」の欄にマイナスの数字が表示される。意図的にマイナス成長していないのに、「目安」の欄にマイナスの数字が表示された場合は、比較貸借対照表(決定版)の来期の金額がマイナスとなっていないか確認する。
なお、マイナス成長でも、会社の維持のためには、マイナスにしてはいけない項目がある。意図的にマイナス成長とする場合は、以下の点に注意して運用額を決定する。
・店舗の閉鎖などで家賃や保証金が減ることが予想される項目は、「目安」を参考にして運用欄にマイナスの数字を入力する。
・マイナス成長でも増減なし(現状維持)の項目は、「0.0」を入力する。
・借入など必要な項目は、見込まれる必要な金額を入力する。
「当期設備投資」の建物、機械、車輌、備品、土地の「目安」欄には、長期事業構想書で計画した金額が表示されている。本シミュレーションでは、設備投資の資金は長期借入金でまかなうことになっているため、「長期借入金増加」の目安欄には、長期事業構想書で計画した今期設備投資する予定の建物、機械、車輌、備品、土地の合計額が表示される。また運用欄には、転記した直後は、来期設備投資する建物、機械、車輌、備品、土地の合計額が表示される。
設備投資額と同額を「長期借入金増加」の「運用」欄に入力すると、「借り入れ可能額」が変わる。ここで、さらに設備投資すると想定して、運用欄に金額を入力したところ、「借り入れ可能額」がマイナスになったと仮定する。本来、この「借り入れ可能額」がマイナスになったら「設備投資は行ってはいけない」というサインとなる。
しかし、どうしても設備投資をしたい時は、担保の追加を行うことになる。例えば、土地を購入して担保を追加する場合は、欄外の「土地担保預け先および担保額」に購入した土地の資産額を入力する。ここでは土地を購入したことにして、期中増減欄に入力すると、新たに土地を担保にしたため「土地の担保評価額」が、変わる。この数字を参考にして「土地の担保価値」に入力すると、「借り入れ可能額」がプラスになり、借り入れが可能となる。
ここで、〈運転資金の使途〉の「期末現金流動預金」を見る。「目安」よりも「運用」の方が少ない金額になっている場合、「長期借入金増加」で対応する。その方法は「期末現金流動預金」の「目安」と「運用」の差を、従来の額に加えて運用する。もちろん、ここで「借り入れ可能額」がマイナスになったら借りられない。「長期借入金増加」の「運用」に、(「期末現金流動預金」の目安額)−(運用の額)+(従来の「長期借入金増加」額)を入力する。この結果、「期末現金流動預金」の「目安」と「運用」が同額になることを確認する。
次に、「比較長期貸借対照表1」の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の当期と次期および期中増減の金額が一致しているかどうか、確認する。以上のようにして1期目(12期)の長期比較貸借対照表1を作成し資金運用計画を策定する。
7−3 長期比較貸借対照表(第2期)
1期目(12期)の運用計画が完成したら、次の2期目(13期)を作成する。
長期比較貸借対照表2には、長期比較貸借対照表1および長期事業構想書から関連するデータが自動転記されている。長期比較貸借対照表1からは、1期(ここでは12期)の貸借対照表データが転記されている。長期事業構想書からは、計画した2期目(13期)のデータが転記されている。
長期比較貸借対照表では、目安欄の額を運用欄に転記することから始まる。「運用」欄への転記の結果、「運転資金の使途」の「期末現金流動預金」が、現金不足である場合、すなわち「運用」が「目安」より少ない場合は、設備投資の資金は長期で借りることになる。
以下、「長期でいくら借りるか」を計算する。図25は、期末現金流動預金と長期借入金増加の関係を示す図である。借り増しする額(不足額)は、(「期末現金流動預金」の目安額)−(運用の額)で計算する。ここでは、69.0−(−6.4)=75.4で「75.4」百万円になる(図25A参照)。今回長期で借りる金額は、(上述の借り増し額)+(設備投資の総額)で計算する。ここでは、30.0+75.4=105.4で「105.4」百万円になる(図25B参照)。この金額を「長期借入金増加」の運用欄に入力する。
次に、「借り入れ可能額」の「目安」がプラスの金額ではなくマイナスである場合や、借り入れ可能額が少ない場合について説明する。この場合は、設備投資を以下のように考え直す必要がある。
1)設備投資を来期以降に延ばす。この場合は、長期事業構想書も直しておく。
2)担保を追加して、今期に設備投資を行う。この場合は「土地の担保価値」の「目安」に追加する。
「借り入れ可能額」が少ない場合は、無理な設備投資(借入)を控える。例えば、「当期設備投資」「車輌」の「運用」に入力されている金額(例えば「30.0」百万円)を取り消すとする。そして、「長期借入金増加」も「30.0」百万円分減額する。ここで「運転資金の使途」の「期末現金流動預金」の「運用」が「目安」よりも大きいかを確認する。「運用」が「目安」よりも小さい場合は、1期目で行ったように長期借入金で対応する。
次に「比較貸借対照表2」の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の合計は合っているか、確認する。
さらに、13期の「当期設備投資」の金額が、減価償却の結果、マイナスとなっていないか確認する。図26は、当期設備投資を説明するための図である。例えば、図26Aのように、期首の「建物」の金額は「32.8」なのに、減価償却を「37.0」行なっているため、期末の「建物」の金額は「−4.2」でマイナスとなっている場合を想定する。この場合、「建物」に設備投資するか、他の有形固定資産に、減価償却額を割り振る。なお、「建物(37.0)」の「37.0」は、当期の原価償却額を表している。
ここでは、図26Bのように、「機械」に「11.9」、「車輌」に「8.8」、「備品」に「1.7」の減価償却を割り振っている。減価償却額を、他の有形固定資産に割り振った結果、「建物」の額がプラスになったことが分かる。
以上のようにして2期目(13期)の長期比較貸借対照表2を作成し資金運用計画を策定する。
7−4 長期比較貸借対照表(第3期)
2期目(13期)の運用計画が完成したら、次の3期目(14期)を作成する。 長期比較貸借対照表3において、目安から運用への転記を行う。「運転資金の使途」の「固定預金増加」がマイナスになっていないか、確認する。マイナスになっている場合は、「運用」欄に0.0(ゼロ)を入力する。
次に、「車輌」の投資を行う場合を想定する。「当期設備投資」の「車輌」の「運用」に、車輌の投資額を入力する。そして「期末現金流動資金」の不足額を計算し、「運用」に入力する。入力後、「運転資金の使途」の「期末現金流動預金」の「運用」が「目安」よりも多いことを確認する。少ない時は、もう一度、長期借入金で対応する。
「比較貸借対照表3」の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の合計は合っているか、確認する。以上のようにして、3期目(14期)の長期比較貸借対照表3を作成し資金運用計画を策定する。
7−5 長期比較貸借対照表(第4期)
3期目(14期)の運用計画が完成したら、次の4期目(15期)を作成する。
上述と同様に目安から運用へ転記することから始める。「運転資金の使途」の「固定預金増加」がマイナスになっていないか、確認する。ここでは、プラスになっているので、そのままにしておく。
次に、「期末現金流動資金」の不足額を計算し、長期借入金で対応した結果、「借り入れ可能額」がマイナスになった場合を想定する。図27は、借り入れ可能額がマイナスになった場合について説明するための図である。このような場合は、次のようにして「借り入れ可能額」を増やす。
1)「土地の担保価値」の見直し
図27Aに示すように、土地の担保評価額を再計算する。例えば、評価率の高い銀行に、預け先を付け替えることでも、評価額の総額を上げることができる。担保になる土地が無い場合は、見直しはできず、土地を購入した結果「借り入れ可能額」がマイナスになった場合に検討することができる。
2)「固定資金・運転資金の使途」の見直し
図27Bに示すように、配当や役員賞与や社債償還の取り止め、設備投資の見送り、その他の使途(敷金・保証金、投資有価証券など)の見直しなどを行い、本当に必要な額だけにする。
3)「社債」の募集・「増資」
「借り入れ可能額」のマイナスが小さい場合は、「社債」を募集するのも、ひとつの方法である。それでも足りない場合は、「増資」の額を増やしてみる。ここでは、図27Cに示すように、「増資」で100.0百万円、「社債」で10.0百万円調達して、「長期借入金増加」を「48.9」に減らして、「借り入れ可能額」をプラスにしてみる。
「比較貸借対照表4」の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の合計は合っているか、確認する。以上のようにして、4期目(15期)の長期比較貸借対照表4を作成し資金運用計画を策定する。
7−6 長期比較貸借対照表(第5期)
4期目(15期)の運用計画が完成したら、最後の5期目(16期)を作成する。
目安から運用への転記を行い、「運転資金の使途」の「固定預金増加」がマイナスになっていないか、確認する。マイナスになっている場合は、「運用」欄に0.0(ゼロ)を入力する。
これまでと同じ要領で「借り入れ可能額」や「期末現金流動預金」などをチェックしながら長期借り入れの計画を練っていく。結果、「期末現金流動預金」の運用が目安よりも多くて、「借り入れ可能額」がプラスになる資金運用計画を作成する。
「比較貸借対照表5」の「資産合計」と「負債合計」+「純資産合計」の合計は合っているか、確認する。以上のようにして、5期目(16期)の長期比較貸借対照表5を作成し資金運用計画を策定する。
5期全部できあがったら、それを見ながら長期事業構想書の減価償却費と営業外収益(特に受取金利)、営業外費用(支払金利)を直す。そして、もう一度長期計画をやり直すと、正確な資金運用ができる。
最後に「長期計画」の再確認を行う。まず、減価償却費の見直しについて説明する。図28は、減価償却費の見直しについて説明するための図である。長期計画5期全部できあがったら、[長期資金運用計画表の5期分]の「5.当期減価償却費」と「アバウト当期減価償却費」の金額を比較する。
図28Aでは、第12期の「5.当期減価償却費」が8.1百万円なのに対し、「アバウト当期減価償却費」の()内金額は19.8百万円で、差額が11.7百万円となっている。
これは、[長期事業構想書]の「減価償却費」は、成長率に合わせて計算された目安に表示されている金額をそのまま入力したのに対し、[長期資金運用計画]の「アバウト当期減価償却費」は、先期の「固定資産」の額から減価償却費を計算した結果を表示しているためである。
大規模な設備投資などで、固定資産を大幅に増やした場合は、「アバウト当期減価償却費」が「5.当期減価償却費」を上回ることがあるが、償却額と同程度の設備投資しか行っていない場合は、期が進むほど差額が広がっていく。
実際には、「アバウト減価償却費」に表示された金額の方が、会社の実態に近い数字である。
計画を実態に近づけるためにも、「アバウト当期減価償却費」の金額を「5.当期減価償却費」に入力しなおして、「長期計画」を繰り返しシミュレーションしてみる(図28B参照)。
1回目は「アバウト減価償却費」のとおりにする 。再確認の手始めとして、「長期比較貸借対照表1」から「長期比較貸借対照表 5」の「減価償却費」を、各期ごとに「長期資金運用計画 5期分」の「アバウト減価償却費」の額に書き換えてみる。
すなわち、1期目の減価償却費に、「アバウト当期減価償却費」に表示されていた「19.8」を「5.当期減価償却費に入力する(図28C参照)。そして、変更した減価償却費に合わせて、「有形固定資産」の償却額の割り振りを再度指定する(図28D参照)。
以後同じようにして、「長期比較貸借対照表1」から「長期比較貸借対照表 5」の「5.当期減価償却費」を「アバウト当期減価償却費」金額に書き換え、償却額の割り振りを行う。
2回目は[長期事業構想書]も直す。1回目の確認後、次は[長期事業構想書]の「減価償却費」を各期ごとに、[長期資金運用計画]の「アバウト減価償却費」の額に書き換えてみる。ただしその際、各期の「減価償却費」を入力した後、「アバウト減価償却費」との差額を、「販売促進費」に加えて、各期の「内部費用」の合計額が変化しないよう、調節する。
なお、「販売促進費」が無い会社では、「経費」で調節する。同じようにして、営業外収益(特に受取金利)、営業外費用(支払金利)も見直す。 このようにして、もう一度長期計画をやり直すと、より正確な資金運用ができる。
具体的には以下のとおりにする。「長期事業構想書」の1期目の減価償却費に、[長期資金運用計画]の「アバウト当期減価償却費」に表示されていた「19.8」を入力する(図29A参照)。 減価償却費を変えると、成長率や売上高も金額に合わせて変わる。ここでは計画の成長率が「117.5%」になる。
そして、「販売促進費」に差額の「11.7」を引いた「98.6」を入力すると、計画の成長率が「115.0%」に戻る(図29B参照)。「長期比較貸借対照表1」の「減価償却費」が、1回目の見直しで「目安」を元に修正した「19.8」に変わっているか確認する(図29C参照)。 減価償却費を変えると、期末流動預金や予貸率の目安額も合わせて変わる。
各項目の金額を目安額を参考にして調整する。 また、固定資産の減価償却額の割り振りの見直しも合わせて行う。
以後、同じようにして、「長期事業構想書」の2期目〜5期目の「減価償却費」を「長期比較貸借対照表2」〜「長期比較貸借対照表
5」の「アバウト当期減価償却費」に書き換える。 そして、「長期比較貸借対照表2」〜「長期比較貸借対照表 5」の「減価償却費」を、「目安」に合わせて書き換え、各項目の金額を目安額を参考にして調整を繰り返す。
このようにして、長期計画のシミュレーションを何回も繰り返すことで、より現実に近い数字を求めることができる。
20 長期経営計画支援システム
25 情報処理部
30 長期比較貸借対照表作成手段
31 PL計画値受付手段
32 利益目標値受付手段
33 利益計画表作成手段
34 BS実績値受付手段
35 貸借対照表作成手段
36 資金計画値受付手段
37 資金運用計画表作成手段
38 比較貸借対照表作成手段
39 長期事業構想書作成手段

Claims (4)

  1. 少なくとも内部費用を含む損益に関するデータの計画値であるPL計画値の入力を受け付けるPL計画値受付手段と、
    目標とする利益である利益目標値の入力を受け付ける利益目標値受付手段と、
    直近の貸借対照表の実績値であるBS実績値の入力を受け付けるBS実績値受付手段と、
    固定資金および運転資金に関する資金計画値の入力を受け付ける資金計画値受付手段と、
    前記PL計画値と前記利益目標値に基づいて算出した内部費用や売上の計画値を有する利益計画表を作成する利益計画表作成手段と、
    前記資金計画値と前記BS実績値に基づいて、各勘定科目が固定資金の使途および源泉、運転資金の使途および源泉のブロックに分類され、各勘定科目に前記資金目安額及び前記資金計画値が表示された資金運用計画表を作成する資金運用計画作成手段と、
    前記BS計画値と、前記資金計画値に基づいて、期首、期中増減、期末からなる比較貸借対照表を作成する比較貸借対照表作成手段と、
    前記利益計画表と、前記比較貸借対照表と、前記資金運用計画表とから、複数年の事業計画、利益計画を含む長期事業構想書を作成する長期事業構想書作成手段と、
    を備えた請求項1記載の長期経営計画策定支援システム。
  2. 前記比較貸借対照表と前記長期事業構想書とから、複数年の比較貸借対照表からなる長期比較貸借対照表を作成する長期比較貸借対照表作成手段と、
    を備えた請求項1記載の長期経営計画策定支援システム。
  3. 前記資金運用計画作成手段が、固定資金の源泉のブロックの合計額と固定資金の使途のブロックの合計額との差額から固定資金余裕を算出し、この算出した固定資金余裕を運転資金の源泉のブロックに分類する
    請求項1又は2記載の長期経営計画策定支援システム。
  4. 前記資金運用計画作成手段が、運転資金の源泉のブロックの合計額と運転資金の使途のブロックの合計額との差額から期末現金流動預金の予定額を算出する
    請求項1から3の何れかに記載の長期経営計画策定支援システム。
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