JP2014219097A - 焼結軸受の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い回転性能を長期間に亘って安定的に発揮可能な振動モータを提供する。【解決手段】軸3と、軸3を回転駆動させるモータ部Mと、内周に軸受面4aを有し、軸3を回転自在に支持する焼結軸受4と、軸3に設けられた錘Wと、焼結軸受4を内周に圧入固定した筒状のハウジング2とを備え、軸3が錘Wの影響を受けて軸受中心に対して偏心回転することにより振動が発生する振動モータ1であって、焼結軸受4は、鉄を主成分とし、銅を10〜30質量%含む焼結体からなり、かつ300MPa以上の圧環強度を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、焼結軸受の製造方法に関する。
焼結軸受は、無数の内部気孔を有する多孔質体であり、通常は、内部気孔に潤滑流体(例えば、潤滑油)を含浸させた状態で使用される。この場合、焼結軸受およびその内周に挿入した軸が相対回転すると、焼結軸受の内部気孔に保持された潤滑油が温度上昇に伴って焼結軸受の内周面(軸受面)に滲み出す。そして、この滲み出した潤滑油によって、焼結軸受の軸受面と軸の外周面との間の軸受隙間に油膜が形成され、軸が相対回転自在に支持される。
例えば、下記の特許文献1には、鉄および銅を主成分とする鉄銅系の焼結軸受として、鉄粉に対し10質量%以上30質量%未満の銅を被覆してなり、粒度を80メッシュ以下とした銅被覆鉄粉を圧粉・焼結することで得られるものが記載されている。
特許第3613569号 特開2001−178100号公報 特開2008−99355号公報
しかしながら、本発明者らが検証したところ、特許文献1の技術手段を適用した焼結軸受を振動モータに使用した場合には、回転変動が大きくなることが明らかになった。これは、銅被覆鉄粉を圧粉・焼結して得られた焼結軸受では、鉄相(鉄組織)と銅相(銅組織)のネック強度が低いため、軸受面が早期に摩耗したことに起因すると考えられる。
軸受面の耐摩耗性向上を図るための技術手段として、NiやMo等の金属粉末を配合した混合粉末を使用し、これを圧粉・焼結することが考えられる。しかしながら、NiやMo等の金属粉末は高価であるため、焼結軸受の高コスト化を招く。
以上の実情に鑑み、本発明は、高い回転精度を有し、かつ回転変動が少ない焼結軸受を低コストに製造可能とすることを目的とする。
ところで、上述の振動モータとは、例えば携帯電話等の携帯端末において、電話の着信やメールの受信等を報知するバイブレータとして機能するものであり、例えば特許文献2,3に記載されているように、錘(偏芯錘)が取り付けられた軸の軸方向に離間した二箇所を内周に軸受面を有する円筒状の焼結軸受で支持しつつ、上記軸をモータ部で回転させることにより、端末全体に振動を発生させるようになっている。焼結軸受は、例えば金属材料で形成されたハウジングの内周に固定される。この振動モータでは、モータ部に通電されると、軸は、錘の影響を受けて焼結軸受の軸受面の全面に沿って振れ回りながら回転する。すなわち、この種の振動モータにおいて、軸は、その中心を焼結軸受の軸受中心に対してあらゆる方向に偏芯させた状態で回転する。
近年、いわゆるスマートフォン等への搭載を考慮して、振動モータにはさらなる小型化が要請されている。振動モータを小型化した場合、モータパワーの増大には限界がある。そのような状況下でも所定の振動性能を確保するために、モータを高速回転化(10000rpm以上)し、あるいは錘のアンバランス荷重を増大させることで対処しようとしており、振動モータ用の焼結軸受の使用条件はより過酷化する傾向にある。すなわち、振動モータでは、上記のように軸が軸受面全面に沿って振れ回りながら回転すること、また、アンバランス荷重により軸受面が軸に頻繁に叩かれることから、焼結軸受の使用条件は通常用途の焼結軸受(例えば、スピンドルモータ用の焼結軸受)よりもただでさえ過酷であり、軸受面が摩耗し易い。そのため、モータを高速回転化等すると、軸受面の摩耗が一層促進されることになり、軸受面の摩耗に起因した回転変動が一層大きくなる。
このような事情も考慮して創作された本発明は、支持すべき軸との間に軸受隙間を形成する軸受面を内周に有する焼結軸受の製造方法であって、鉄粉に対し銅粉を部分拡散させてなる部分拡散合金粉を主原料とし、これに低融点金属粉および固体潤滑剤粉を配合した原料粉末を圧縮成形して圧粉体を得る圧縮成形工程と、圧粉体を焼結して焼結体を得る焼結工程とを含むことを特徴とする。
上記の製法によれば、金属組織の大部分が鉄(鉄組織)で構成され、しかも金属組織に一定量の銅を含んだ焼結体を得ることができるので、耐摩耗性、機械的強度、および初期なじみ性等の摺動特性に優れた焼結軸受を得ることができる。また、上記の製法であれば、焼結工程で圧粉体が焼結されるのに伴って、圧粉体に含まれる低融点金属粉が溶融する。低融点金属は銅に対して高いぬれ性を持つので、液相焼結により、隣り合う部分拡散合金粉の鉄組織と銅組織、あるいは銅組織同士を強固に結合させることができる。また、個々の部分拡散合金粉のうち、鉄粉の表面に銅粉の一部が拡散することでFe−Cu合金が形成された部分には、溶融した低融点金属が拡散していくため、鉄組織と銅組織間のネック強度が一層高まる。これらのことから、NiやMo等の高価な金属粉末を使用することなく、また、圧粉体を比較的低温で加熱(焼結)するいわゆる低温焼結でも、軸受面の耐摩耗性に優れ、かつ高い圧環強度(例えば300MPa以上)を有する焼結体(焼結軸受)を製造することができる。
そして、軸受面の耐摩耗性が向上すれば、軸受面の摩耗に起因した回転変動を防止することができる。また、焼結軸受が十分な圧環強度を具備していないと、特にハウジング内周に焼結軸受を圧入した際に軸受面が変形する(軸受面の真円度や円筒度などが低下する)ため、圧入後にサイジング等の形状修正加工を追加的に実行し、軸受面を適正形状に仕上げる必要がある。これに対し、上記のように高い圧環強度を有する焼結体を得ることができれば、焼結軸受をハウジング内周にするのに伴って軸受面が変形するのを可及的に防止することができるので、上述の形状修正加工を追加的に実行する必要がなくなる。従って、振動モータに使用した場合でも、高い耐久性と回転精度とを両立した焼結軸受を低コストに提供することが可能となる。
圧粉体の焼結温度(加熱温度)は、例えば820℃以上900℃以下に設定することができる。このような焼結処理を、炭素を含むガス雰囲気で実行すれば、ガスに含まれる炭素が鉄組織中に拡散していくので、鉄組織がフェライト相とパーライト相の二相組織からなる焼結体を得ることができる。焼結体としては、鉄組織の全てがフェライト相からなるものとすることもできるが、鉄組織が上記の二相組織で構成されていれば、焼結体が硬質のパーライト相を含んでいることにより、軸受面の耐摩耗性を一層高めることができる。また、上記の焼結条件であれば、圧粉体に含まれる銅粉が溶融せず、従って、焼結に伴って銅が鉄組織中に拡散しない。このため、焼結体の表面には適量の銅組織(青銅相)が形成される。そのため、軸との初期なじみ性が良好で、摩擦係数が小さい軸受面を得ることができる。
上記の焼結軸受(焼結体)を得るには、部分拡散合金粉として、平均粒径5μm以上20μm未満の銅粉が鉄粉に部分拡散し、かつCuを10〜30質量%含有するものを使用するのが好ましい。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、平均粒径106μmを超える大粒径の部分拡散合金粉が原料粉末中に含まれていると、焼結体の内部に粗大気孔が形成され易く、その結果、必要とされる軸受面の耐摩耗性や圧環強度等を確保できない場合があることが判明した。従って、部分拡散合金粉は、平均粒度145メッシュ以下(平均粒径106μm以下)のものを使用するのが好ましい。このような合金粉を使用することで、焼結後の金属組織が均一化され、金属組織(多孔質組織)中での粗大気孔の発生が抑制された焼結体を安定的に得ることができる。これにより、軸受面の耐摩耗性や軸受の圧環強度が一層向上した焼結軸受を安定的に得ることが可能となる。
原料粉末としては、低融点金属粉としての錫粉が0.5〜3.0質量%配合されると共に、固体潤滑剤粉としての黒鉛粉が0.3〜1.5質量%配合されたものを使用するのが好ましい。これにより、上述した作用効果を適切に奏し得る焼結軸受を安定的に量産することができる。
部分拡散合金粉(Fe−Cu部分拡散合金粉)を構成する鉄粉としては、還元鉄粉を使用することができる。鉄粉としては、還元鉄粉以外にも、例えばアトマイズ鉄粉を使用することができるが、還元鉄粉は内部気孔を有する海綿状(多孔質状)をなすことから、アトマイズ鉄粉に比べて粉末が柔らかく、圧縮成形性に優れる。そのため、低密度でも圧粉体強度を高めることができ、圧粉体の欠けや割れの発生を防止することができる。また、還元鉄粉は、上記のとおり海綿状をなすことから、アトマイズ鉄粉に比べて保油性に優れる利点も有する。
焼結工程の後には、焼結体の内部気孔に潤滑油を含浸させる含油工程を設けることができる。この含油工程では、40℃の動粘度が10〜50mm2/sの範囲内にある潤滑油、あるいは40℃の動粘度が10〜50mm2/sの範囲内にある油(潤滑油)を基油とした液状グリースを焼結体の内部気孔に含浸させることができる。40℃の動粘度が上記範囲内にある潤滑油あるいは液状グリースを焼結体の内部気孔に含浸させれば、軸受隙間に高剛性の油膜を形成することができ、しかも回転トルクの上昇を抑えることのできる焼結軸受(焼結含油軸受)が得られる。
以上に示すように、本発明によれば、高い回転精度を有し、かつ回転変動の少ない焼結軸受を低コストに製造することができる。そのため、この焼結軸受をモータ、特に振動モータに組み込んで使用した際には、信頼性および耐久性に優れる振動モータを低コストに提供することが可能となる。
焼結軸受を備える振動モータの要部概略断面図である。 図1中のA−A線矢視断面図である。 焼結軸受の製造工程を示すブロック図である。 部分拡散合金粉を模式的に示す図である。 圧縮成形工程を示す概略断面図である。 圧縮成形工程を示す概略断面図である。 圧粉体の一部を概念的に示す図である。 焼結体の金属組織を模式的に示す図である。 図2中のX部の顕微鏡写真である。 従来技術に係る焼結軸受の軸受面付近の顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、代表的な振動モータの要部概略断面図である。図示例の振動モータ1は、略円筒状に形成された金属製又は樹脂製のハウジング2と、軸方向の二箇所に離間して配置され、ハウジング2の内周に圧入固定されたリング状の焼結軸受4(41,42)と、焼結軸受4(41,42)の内周に挿入された軸3とを備え、軸3は、二つの焼結軸受41,42の間に配置されたモータ部Mによって10000rpm以上の回転数で回転駆動されるようになっている。軸3は、ステンレス鋼等の金属材料で形成され、ここでは直径2mm以下(好ましくは1.0mm以下)のものが使用される。軸3の一端には、軸3を焼結軸受4に対して偏心回転させるための錘Wが一体又は別体に設けられている。軸3の外周面3aと焼結軸受4の軸受面4aとの間に形成される隙間(軸受隙間)の隙間幅は、例えば片側(半径値)で4μm程度に設定されている。焼結軸受4の内部気孔には、40℃の動粘度が10〜50mm2/sの範囲内にある潤滑油(例えば合成炭化水素系潤滑油)が含浸されている。焼結軸受4の内部気孔に含浸させる潤滑油として、このような低粘度のものを選択使用したのは、軸受隙間に形成される油膜の剛性を確保しつつ、回転トルクの上昇を抑えるためである。なお、焼結軸受4の内部気孔には、上記の潤滑油に替えて、40℃の動粘度が10〜50mm2/sの範囲内にある油を基油とした液状グリースを含浸させても良い。
以上の構成を有する振動モータ1において、モータ部Mに通電され、軸3が焼結軸受4に対して相対回転すると、焼結軸受4の内部気孔に保持された潤滑油が温度上昇に伴って軸受面4aに滲み出す。この滲み出した潤滑油によって、対向する軸3の外周面3aと焼結軸受4の軸受面4aとの間の軸受隙間に油膜が形成され、軸3が焼結軸受4によって相対回転自在に支持される。なお、軸3は、その一端に設けられた錘Wの影響を受けることにより、軸受面4aの全面に沿って振れ回りながら回転する。すなわち、軸3は、図2に示すように、その中心Oaを焼結軸受4(41,42)の中心Obに対してあらゆる方向に偏芯させた状態で回転する。
図示例では、二つの焼結軸受41,42の軸方向長さ(軸受面4aの面積)および径方向の厚さを相互に異ならせている。具体的には、錘Wに近い側の焼結軸受41の軸受面4aの面積を、錘Wから遠い側の焼結軸受42の軸受面4aの面積よりも大きく設定している。これは、錘Wに近い側では、錘Wから遠い側よりも大きなアンバランス荷重が軸3に作用するため、軸受面4aの面積拡大を通じて支持能力向上を図る一方、錘Wから遠い側では、錘Wに近い側ほどの支持能力を必要としないため、軸受面4aの面積を小さくして低トルク化を図るためである。
図示は省略しているが、焼結軸受4の内部気孔に含浸させた潤滑油(あるいは液状グリース)がハウジング2の外部に漏れ出し、あるいは飛散するのを防止するため、振動モータ1にはハウジング2の開口部をシールするシール部材を設けても良い。
以上で説明した焼結軸受4は、鉄を主成分とし、銅を10〜30質量%含んだ鉄銅系の焼結体からなり、かつ300MPa以上の圧環強度を有する。このような焼結軸受4は、例えば、図3に示すように、(A)原料粉末生成工程P1、(B)圧縮成形工程P2、(C)焼結工程P3、(D)サイジング工程P4および(E)含油工程P5を順に経て製造される。以下、これらの各工程について説明する。なお、二つの焼結軸受4(41,42)は、実質的に同一の構造を有しており、同じ製造手順で製造される。
(A)原料粉末混合工程P1
この原料粉末生成工程P1では、後述する複数種の粉末を混合することにより、焼結軸受4の作製用材料である原料粉末10[図5(a)参照]を均一化する。本実施形態で使用する原料粉末10は、部分拡散合金粉を主原料とし、これに低融点金属粉および固体潤滑剤粉を配合した混合粉末である。この原料粉末10には、必要に応じて各種成形潤滑剤(例えば、離型性向上のための潤滑剤)を添加しても良い。以下、上記の各粉末について詳細に述べる。
[部分拡散合金粉]
図4に示すように、部分拡散合金粉11としては、鉄粉12の表面に銅粉13が部分拡散したFe−Cu部分拡散合金粉が使用され、本実施形態では、鉄粉12の表面に、鉄粉12よりも平均粒径が小さい多数の銅粉13を部分拡散させたFe−Cu部分拡散合金粉が使用される。この部分拡散合金粉の拡散部分はFe−Cu合金を形成しており、図4中の部分拡大図に示すように、合金部分は鉄原子12aと銅原子13aとが相互に結合し、配列した結晶構造を有する。部分拡散合金粉11としては、平均粒度145メッシュ以下(平均粒径106μm以下)の粒子のみが使用される。
なお、粉末はその粒径が小さくなるほど見掛密度が下がり、浮遊し易くなる。そのため、原料粉末中に小粒径の部分拡散合金粉11が多く含まれていると、後述する圧縮成形工程P2において成形金型(キャビティ)に対する原料粉末の充填性が低下し、所定形状・密度の圧粉体を安定的に得ることが難しくなる。具体的には、粒径45μm以下の部分拡散合金粉11が25質量%以上含まれていると、上記の問題が生じ易くなることを本発明者らは見出した。従って、部分拡散合金粉11としては、平均粒度145メッシュ以下(平均粒径106μm以下)で、かつ平均粒度350メッシュ(平均粒径45μm)以下の粒子を25質量%以上含まないものを選択使用するのが望ましい。平均粒径は、粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回析・散乱光の強度分布パターンから計算によって粒度分布、さらには平均粒径を求めるレーザ回析散乱法(例えば株式会社島津製作所製のSALD31000を用いる)により測定することができる(以下に述べる粉末の平均粒径も同様の方法で測定することができる)。
上記の部分拡散合金粉11を構成する鉄粉12としては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉等、公知の鉄粉を問題なく使用することができるが、本実施形態では還元鉄粉を使用する。還元鉄粉は、球形に近似した不規則形状で、かつ内部気孔を有する海綿状(多孔質状)であるから、海綿鉄粉とも称される。使用する鉄粉12は、平均粒径20μm〜106μmのものが好ましく、平均粒径38μm〜75μmのものが一層好ましい。
また、部分拡散合金粉11を構成する銅粉13としては、汎用されている不規則形状や樹枝状の銅粉が広く使用可能であり、例えば、電解銅粉、アトマイズ銅粉等が用いられる。本実施形態では、表面に多数の凹凸を有すると共に、粒子全体として球形に近似した不規則形状をなし、成形性に優れたアトマイズ銅粉を使用している。銅粉13としては、鉄粉12よりも小粒径のものが使用され、具体的には平均粒径5μm以上20μm以下(好ましくは20μm未満)のものが使用される。なお、個々の部分拡散合金粉11におけるCuの割合は10〜30質量%(好ましくは22〜26質量%)であり、焼結工程P3で得られる焼結体4”に含まれる銅の質量比(厳密には、焼結体4”がSnやCを含まないとした場合における銅の質量比)と同じである。すなわち、本実施形態において、原料粉末10には、単体の銅粉や鉄粉を配合しない。原料粉末には、単体の銅粉や鉄粉を配合しても構わないが、単体の銅粉を配合すると、軸受面4aの耐摩耗性向上を図ることが難しくなる。そのため、例えば軸3が回転するのに伴って軸受面4aに軸3が衝突した際などに、軸受面4aに圧痕(凹み)が形成され易くなる。また、単体の鉄粉を配合すると、所望の圧環強度を有する焼結体(焼結軸受)を得ることが難しくなる。従って、原料粉末には、単体の銅粉や鉄粉を配合しないのが好ましい。
[低融点金属粉]
低融点金属粉としては、融点が700℃以下の金属粉、例えば錫、亜鉛、リン等の粉末が使用される。本実施形態では、これらの中でも銅と鉄に拡散し易く(相性が良く)、また単粉で使用できる錫粉14(図6参照)、特にアトマイズ錫粉を使用する。錫粉(アトマイズ錫粉)14としては、平均粒径5〜63μmのものが好ましく使用され、平均粒径20〜45μmのものが一層好ましく使用される。錫粉14は、原料粉末10に対して0.5〜3.0質量%配合される。
[固体潤滑剤]
固体潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン等の粉末を一種又は二種以上使用することができる。本実施形態では、コストを考えて黒鉛粉、特に鱗片状黒鉛粉を使用する。黒鉛粉は、原料粉末10に対して0.3〜1.5質量%配合される。
(B)圧縮成形工程P2
この圧縮成形工程P2では、図5(a)(b)に示すような成形金型20を使用して原料粉末10を圧縮成形することにより、図1等に示す焼結軸受4に近似した形状(略完成品形状)をなしたリング状の圧粉体4’を得る。成形金型20は、主要な構成として、同軸配置されたコア21、上下パンチ22,23およびダイ24を有する。成形金型20は、例えばカム式成形プレス機のダイセットにセットされる。
上記構成の成形金型20において、コア21、下パンチ23およびダイ24で画成されるキャビティ25内に原料粉末10を充填してから、上パンチ22を下パンチ23に対して相対的に接近移動させ、原料粉末10を適当な加圧力(成形すべき圧粉体の形状や大きさに応じて設定される)で圧縮成形する。これにより、焼結軸受4に近似した形状の圧粉体4’が得られる。そして、上パンチ22を上昇移動させると共に下パンチ23を上昇移動させ、圧粉体4’をキャビティ25外に排出する。図6に模式的に示すように、圧粉体4’では、部分拡散合金粉11、錫粉14および黒鉛粉(図示せず)が均一に分散している。本実施形態では部分拡散合金粉11を構成する鉄粉12として還元鉄粉を使用しているため、アトマイズ鉄粉を使用した部分拡散合金粉に比べて粉末が柔らかく、圧縮成形性に優れる。そのため、低密度でも圧粉体4’の強度を高めることができ、圧粉体4’に欠けや割れが生じるのを防止することができる。
(C)焼結工程P3
焼結工程P3では、圧粉体4’に焼結処理を施すことで焼結体を得る。本実施形態における焼結条件は、黒鉛粉に含まれる炭素が鉄と反応しない(炭素の拡散が生じない)条件とする。鉄−炭素の平衡状態では723℃に変態点があり、これを超えると鉄と炭素の反応が開始されて鉄組織中にパーライト相(γFe)が形成されるが、焼結では900℃を超えてから炭素(黒鉛)と鉄の反応が始まり、パーライト相が形成される。パーライト相はHV300以上と高硬度であることから、これが焼結軸受4の鉄組織中に存在していれば軸受面4aの耐摩耗性を高め、高面圧下での軸受面4aの摩耗を抑制して軸受寿命を向上させることができる。
そこで、本実施形態では、焼結後の鉄組織(焼結体の鉄組織)中にパーライト相が含まれるような条件、より詳しくは、焼結後の鉄組織が、相対的に軟質のフェライト相(HV200以下)と、相対的に硬質のパーライト相の二相組織で構成されるような条件で圧粉体4’を焼結する。但し、高硬度のパーライト相は相手材に対する攻撃性が強いため、焼結軸受4の鉄組織中に過剰にパーライト相が存在すると、軸3の摩耗を進行させるおそれがある。これを防止するため、図7に示すように、パーライト相γFeはフェライト相αFeの粒界に存在(点在)する程度に抑える。ここでいう「粒界」は、粉末粒子間に形成される粒界の他、粉末粒子中に形成される結晶粒界の双方を意味する。定量的に示すならば、鉄組織におけるフェライト相αFeおよびパーライト相γFeの存在割合は、焼結体の任意断面における面積比でそれぞれ80〜95%および5〜20%(αFe:γFe=80〜95%:5〜20%)程度とするのが望ましい。これにより、軸3の摩耗抑制と軸受面4aの耐摩耗性向上の両立が図られた焼結軸受4を得ることができる。
パーライト相γFeの析出量は、主に焼結温度と雰囲気ガスに依存する。従って、パーライト相γFeとフェライト相αFeの二相組織からなり、かつパーライト相γFeがフェライト相αFeの粒界に存在する程度の鉄組織を得るためには、圧粉体4’の加熱温度(焼結温度)を820℃以上900℃以下に設定する。また、焼結雰囲気は、ブタンやプロパン等の液化石油ガスと空気を混合してNi触媒で熱分解させた吸熱型ガス(RXガス)、あるいは天然ガス等、炭素を含むガス雰囲気とする。これにより、焼結時にはガスに含まれる炭素が鉄に拡散するので、上述した程度のパーライト相γFeを形成することができる。なお、上述のとおり、900℃を超える温度で圧粉体4’を加熱・焼結すると、黒鉛粉に含まれる炭素が鉄と反応するため、焼結体の鉄組織中にパーライト相γFeが過剰に形成されることになる。従って、圧粉体4’の焼結温度は900℃以下に設定するのが肝要である。なお、原料粉末10に流体潤滑材等の各種成形潤滑剤を含めていた場合、成形潤滑剤は、焼結に伴って揮散する。
圧粉体4’を上記の条件で加熱・焼結することにより得られた焼結体4”は、Cuを10〜30質量%(好ましくは22〜26質量%)、Snを0.5〜3.0質量%(好ましくは1.0〜3.0質量%)、Cを0.3〜1.5質量%(好ましくは0.5〜1.0質量%)含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。このように、焼結体4”は、その金属組織の大部分が鉄(鉄組織)で構成されるので、機械的強度に優れたものとなる。その一方、この焼結体4”は、金属組織中に一定量の銅を含むので、軸3との初期なじみ性に優れた軸受面4aを得ることができる。特に、圧粉体4’の焼結温度を銅の融点(1083℃)よりも低温に設定した上記の焼結条件であれば、焼結に伴って圧粉体4’に含まれる銅粉13は溶融せず、従って、焼結に伴って銅が鉄(鉄組織)中に拡散しない。そのため、焼結体4”の表面(軸受面4a)には青銅相を含む適量の銅組織が形成されている。また、焼結体4”の表面には遊離黒鉛も露出する。そのため、軸3との初期なじみ性が良好で、摩擦係数が小さい軸受面4aを得ることができる。Snの配合量を増やせば機械的強度の高い焼結体4”(焼結軸受4)を得ることができるが、Snの量が過剰となると粗大気孔が増え、軸受面4aの耐摩耗性低下を招来するため、上記の配合割合(Cuの配合割合に対して10%程度の配合割合)としている。
焼結体4”には、鉄を主成分とする鉄組織および銅を主成分とする銅組織が形成される。本実施形態では、原料粉末に鉄粉単体や銅粉単体が添加されておらず、添加されているにしても微量であるので、焼結体4”の全ての鉄組織および銅組織が部分拡散合金粉11を主体として形成される。部分拡散合金粉では、銅粉の一部が鉄粉に拡散しているため、焼結後の鉄組織と銅組織の間で高いネック強度を得ることができる。また、圧粉体4’の焼結時には、圧粉体4’中の錫粉14が溶融し、部分拡散合金粉11を構成する銅粉13の表面を濡らす。これに伴い、錫(Sn)と銅(Cu)との間で液相焼結が進行し、図7に示すように、隣り合う部分拡散合金粉11の鉄組織と銅組織、あるいは銅組織同士を結合する青銅相(Cu−Sn)16が形成される。また、個々の部分拡散合金粉11のうち、鉄粉12の表面に銅粉13の一部が拡散してFe−Cu合金が形成された部分には、溶融したSnが拡散してFe−Cu−Sn合金(合金相)17が形成されるため、焼結体4”における鉄組織と銅組織間のネック強度が一層高くなる。そのため、NiやMo等の高価な金属粉末を使用することなく、また、上述したような低温焼結でも、高い機械的強度(圧環強度)、具体的には300MPa以上の圧環強度を有する焼結体4”、ひいては焼結軸受4を得ることができる。また、軸受面4aを硬くして軸受面4aの耐摩耗性を向上させることもできる。なお、図7においては、フェライト相αFeやパーライト相γFeなどを色の濃淡で表現している。具体的には、フェライト相αFe→青銅相16→Fe−Cu−Sn合金17→パーライト相γFeの順に色を濃くしている。
また、部分拡散合金粉11として、平均粒度145メッシュ以下(平均粒径106μm以下)の粉末を使用しているので、焼結体4”の多孔質組織を均一化して粗大気孔の生成を防止することができる。そのため、焼結体4”を高密度化して軸受面4aの耐摩耗性や圧環強度をさらに高めることができる。
粗大気孔は特に焼結体4”の表層部(焼結体表面から深さ100μmに至るまでの領域)で生じやすいが、以上のようにして得られた焼結体4”であれば、上記のように表層部における粗大気孔の発生を防止して表層部の高密度化を図ることができる。具体的には、表層部の気孔率を、5〜20%にすることができる。この気孔率は、例えば焼結体4”の任意断面における気孔部の面積比率を画像解析することで求めることができる。
このように表層部が高密度化されることで表面開孔率が比較的小さい軸受面4a、具体的には、表面開孔率が5%以上20%以下に設定された軸受面4aを得ることができる。なお、特に軸受面4aの表面開孔率が5%を下回ると、軸受隙間に必要十分量の潤滑油を滲み出させることが難しくなり(油膜形成能力が不十分となり)、焼結軸受4としてのメリットを得ることができない。
また、この焼結体4”を得るための原料粉末は、鉄粉12の表面に銅粉13を部分拡散させた部分拡散合金粉11を主原料としているため、既存の鉄銅系焼結軸受で問題となる銅の偏析を防止することができる。
圧粉体4’の焼結条件は、以上で述べたように、焼結後の鉄組織がフェライト相αFeとパーライト相γFeの二相組織で構成されるように設定する他、焼結後の鉄組織が全てフェライト相αFeとなるように設定することもできる。具体的には、圧粉体4’の加熱温度を800℃(好ましくは820℃)以上880℃以下に設定し、また、焼結雰囲気を、炭素を含有しないガス雰囲気(水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等)あるいは真空とする。このような焼結条件であれば、原料粉末で炭素と鉄の反応が生じず、また、ガスに含まれる炭素が鉄に拡散することもない。従って、焼結後の鉄組織を全て軟質のフェライト相で構成することができる。
(D)サイジング工程P4
以上のようにして得られた焼結体4”は、サイジング工程P4においてサイジングが施される。これにより、焼結体4”が仕上がり形状・寸法に仕上げられる。なお、サイジングは必要に応じて施せば足り、必ずしも施す必要はない。すなわち、焼結工程P3で得られた焼結体4”の各部が所望の形状・寸法等に仕上がっていれば、サイジング工程P4を省略しても構わない。
(E)含油工程P5
各部が仕上がり形状・寸法に仕上げられた焼結体4”は、含油工程P5において、その内部気孔に真空含浸等の手法により、上述した潤滑油(あるいは液状グリース)が含浸させられる。これにより、図1に示す焼結軸受4が完成する。用途によってはこの含油工程P5を省略し、無給油下で使用する焼結軸受とすることもできる。
上述したように、本実施形態の製造工程を経て得られた焼結軸受4(焼結体4”)は300MPa以上の圧環強度を有しており、この圧環強度の値は、既存の鉄銅系焼結軸受のそれに比べて2倍以上の値である。また、本実施形態の焼結軸受4の密度は6.8±0.3g/cm3となり、既存の鉄銅系焼結軸受の密度(6.6g/cm3程度)よりも高密度となる。既存の鉄銅系焼結軸受でも圧粉体の成形工程で高圧縮することで高密度化することは可能であるが、このようにすると、内部の流体潤滑剤が焼結時に燃焼できずにガス化するため、表層部の気孔が粗大化してしまう。本発明に係る製法では圧粉体の圧縮成形時に高圧縮する必要はなく、そのような不具合を防止することができる。
このように焼結体4”を高密度化させる一方で、含油率を15vol%以上にすることができ、既存の鉄銅系焼結軸受と同程度の含油率を確保できる。これは、主に部分拡散合金粉11を構成する鉄粉12として、海綿状をなし、保油性に優れた還元鉄粉を使用していることに由来する。この場合、焼結体4”に含浸させた潤滑油は、焼結組織の粒子間に形成された気孔だけでなく、還元鉄粉が有する気孔にも保持される。
以上で説明したように、本発明に係る製造方法で得られた焼結軸受4は高い圧環強度(300MPa以上の圧環強度)を有する焼結体4”からなるため、ハウジング2の内周に圧入固定した場合でも、軸受面4aがハウジング2の内周面形状に倣って変形することがなく、取り付け後も軸受面4aの真円度や円筒度等を安定的に維持することができる。そのため、ハウジング2の内周に焼結軸受4を圧入固定した後、軸受面4aを適正形状・精度に仕上げるための加工(例えばサイジング)を追加的に実行することなく、所望の真円度(例えば3μm以下の真円度)を得ることができる。加えて、軸受面4aが高い耐摩耗性を有するため、たとえ軸受面4aの全面を軸3が振れ回り、あるいは軸3が軸受面4aに頻繁に衝突したとしても、軸受面4aの摩耗や損傷が抑えられる。従って、本発明に係る製造方法で得られた焼結軸受4によれば、信頼性および耐久性に優れた振動モータを低コストに提供することができる。
ここで、参考までに、本発明に係る製造方法で得られた焼結軸受4の表層部の顕微鏡写真を図8に示し、特許文献1に記載の技術手段に係る焼結軸受(以下、「銅被覆鉄粉軸受」という)の表層部の顕微鏡写真を図9に示す。図8と図9とを比較すると、焼結軸受4は、銅被覆鉄粉軸受に比べて表層部の多孔質組織が緻密であることが容易に理解される。実際、焼結軸受4の表層部の気孔率は13.6%だったのに対し、銅被覆鉄粉軸受の表層部の気孔率は25.5%程度であった。このような差を生じた要因として、銅被覆鉄粉では鉄粉に銅膜が密着しているにすぎず、鉄組織と銅組織の間のネック強度が不足していることが挙げられる。
本発明の実施の形態は以上に述べたものに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
例えば、焼結軸受4の鉄組織や銅組織の全てを部分拡散合金粉だけで形成する場合を説明したが、原料粉末に単体鉄粉および単体銅粉のうちどちらか一方または双方を添加し、鉄組織や銅組織の一部を単体鉄粉や単体銅粉で形成することもできる。この場合、最低限の耐摩耗性、強度、および摺動特性を確保するため、原料粉末における部分拡散合金粉の割合は50質量%以上にするのが好ましい。また、この場合、原料粉末中の固体潤滑剤粉の配合割合は0.3〜1.5質量%が適量である。さらに原料粉末における低融点金属粉の配合割合は0.5〜5.0質量%とする。この配合割合は原料粉末中における銅粉の総量(部分拡散合金粉中の銅粉と別途添加された単体銅粉の和)の10質量%程度に設定するのが好ましい。原料粉末の残部が単体鉄粉もしくは単体銅粉(あるいは双方の単体粉)、および不可避的不純物で形成されることになる。
かかる構成では、単体鉄粉や単体銅粉の配合量を変更することにより、部分拡散合金粉を使用することで得られる耐摩耗性、高強度、および良好な摺動特性を維持しつつ、軸受特性を調整することが可能となる。例えば単体鉄粉を添加すれば、部分拡散合金粉の使用量減による低コスト化を図りつつ軸受の耐摩耗性や強度を高めることができ、単体銅粉を添加すれば摺動特性をさらに改善することができる。そのため、各種用途に適合した焼結軸受の開発コストを低廉化することができ、焼結軸受の多品種少量生産にも対応可能となる。
例えば、圧粉体4’を圧縮成形する圧縮成形工程P2では、成形金型20および原料粉末10の少なくとも一方を加熱した状態で圧粉体4’を圧縮成形する、いわゆる温間成形法や、成形金型20の成形面(キャビティ25の画成面)に潤滑剤を塗布した状態で圧粉体4’を圧縮成形する金型潤滑成形法を採用しても良い。このような方法を採用すれば、圧粉体4’を一層精度良く成形することができる。
また、以上で説明した振動モータ1は、軸3を回転側、焼結軸受4を静止側とした軸回転タイプであるが、振動モータ1としては、軸3を静止側、焼結軸受4を回転側とした軸固定タイプもあり、このような軸固定タイプの振動モータ1であっても本発明に係る製造方法で得られた焼結軸受4を好ましく使用することができる。また、焼結軸受4の軸受面4aには、動圧溝等の動圧発生部を設けることもできる。このようにすれば、軸受隙間に形成される油膜の剛性を高めることができるので回転精度を一層高めることができる。さらに、本発明に係る製造方法で得られた焼結軸受4は、機械的強度が高く、軸受面4aの耐摩耗性にも優れていることから、振動モータに限らず、高速でアンバランス荷重の大きいモータの主軸支持用途をはじめ、各種モータに組み込んで軸を回転自在に支持する軸受として広く使用することができる。
1 振動モータ
2 ハウジング
3 軸
4 焼結軸受
4’ 圧粉体
4” 焼結体
4a 軸受面
10 原料粉末
11 部分拡散合金粉
12 鉄粉
13 銅粉
14 錫粉(低融点金属粉)
16 青銅相
17 Fe−Cu−Sn合金
20 成形金型
αFe フェライト相
γFe パーライト相
M モータ部
P1 原料粉末生成工程
P2 圧縮成形工程
P3 焼結工程
W 錘

Claims (8)

  1. 支持すべき軸との間に軸受隙間を形成する軸受面を内周に有する焼結軸受の製造方法であって、
    鉄粉に対し銅粉を部分拡散させてなる部分拡散合金粉を主原料とし、これに低融点金属粉および固体潤滑剤粉を配合した原料粉末を圧縮成形して圧粉体を得る圧縮成形工程と、圧粉体を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を含むことを特徴とする焼結軸受の製造方法。
  2. 圧粉体の焼結温度を820℃以上900℃以下に設定した請求項1記載の焼結軸受の製造方法。
  3. 炭素を含むガス雰囲気下で圧粉体を焼結する請求項1又は2記載の焼結軸受の製造方法。
  4. 平均粒径5μm以上20μm未満の銅粉が鉄粉に部分拡散し、かつCuを10〜30質量%含有する部分拡散合金粉を使用する請求項1〜3の何れか一項に記載の焼結軸受の製造方法。
  5. 平均粒径106μm以下の部分拡散合金粉を使用する請求項1〜4の何れか一項に記載の焼結軸受の製造方法。
  6. 低融点金属粉としての錫粉を0.5〜3.0質量%配合すると共に、固体潤滑剤粉としての黒鉛粉を0.3〜1.5質量%配合した原料粉末を使用する請求項1〜5の何れか一項に記載の焼結軸受の製造方法。
  7. 部分拡散合金粉の鉄粉として還元鉄粉を使用する請求項1〜6の何れか一項に記載の焼結軸受の製造方法。
  8. 焼結体に、40℃の動粘度が10〜50mm2/sの潤滑油を含浸させる含油工程をさらに含む請求項1〜7の何れか一項に記載の焼結軸受の製造方法。
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