JP2014218840A - 緊張材の定着体及び引張部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
定着体2の外周面における緊張材1の先端側の端部21にねじ山22を設け、緊張材に緊張力が導入された状態で緊張力を構造物に伝達することが可能な保持部23とする。この保持部より緊張材が伸長されている側に、断面積を縮小した断面縮小部26を設ける。 断面縮小部は、緊張材に破断強度より小さい緊張力が導入された状態で、断面縮小部に作用する軸線方向の引張応力度が降伏点に達するように断面縮小部の断面積及び軸線方向における断面縮小部の範囲を設定する。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の発明は、金属からなる円筒状のスリーブと緊張材との結合を強化するために、スリーブの内周面と緊張材の周面との間に接着剤を介在させて結合するとともに、スリーブの外側から加圧して縮径させるものである。
また、特許文献2に記載の発明では、筒状の定着具の内側に緊張材を挿入し、充填材によって緊張材と定着具とを一体に結合するときに、定着具に予め軸線方向の収縮ひずみを与えておき、充填材が固化したときに定着具に軸線方向のひずみが残留するものとしている。これにより、緊張材に緊張力が導入され、定着具を介して定着されたときに緊張材と定着具との間に生じる相対的な変位量を定着具の軸線方向で均一化しようとするものである。
特許文献1に記載の発明では、スリーブの外周面にナットを螺合するためのねじ山を形成しようとすると、スリーブを縮径するように圧縮した後に行う必要がある。このため、緊張材を配置する現場で長さを調整してスリーブを装着するときには、現場で縮径した後にねじ山を形成する作業を行う必要がある。
また、特許文献2に記載の技術では、定着具に収縮ひずみを与えた状態で緊張材と結合し、定着具の拘束を解放したときに定着具及び緊張材が伸長する。この伸長する量は、充填材の状態、定着具の内側に挿入した緊張材の状態等によって変動することが考えられ、定着具に残留させる収縮ひずみ量の管理が難しくなる。
なお、上記定着体を構成する材料の降伏点は、軟鋼等であると応力とひずみとの関係において明確に現れるが、高張力鋼等では明確な降伏点は現れない。このような材料を定着体に使用するときには、除荷時の永久ひずみが0.2%となる応力度を降伏点とすることができる。
図1は、本発明に係る定着体を装着した引張部材の端部を示す側面図であり、図2はこの引張部材を緊張した状態でコンクリート構造部材に定着した状態を示す断面図である。
この引張部材は、所定の長さを有する緊張材1と、この緊張材1の両端部に装着された定着体2と、この定着体2に螺合される定着ナット3とを含むものである。
上記緊張材1は、アラミド繊維を束ねて合成樹脂でロッド状にしたものである。この緊張材1の外周面には節状又は螺旋状の凸部(図示しない)が設けられている。本実施の形態では、緊張材1として外径が7.4mm、凸部が形成されている位置で外径が9mmとなったものを3本束ねたものを用いている。
この実施の形態では、定着体の標準部分の外径は40mm、内径は22mm、断面縮小部26の外径は27mmとなっている。なお、断面縮小部26も内径は22mmで標準部分と同じとなっている。
また、この定着体2の軸線方向の長さは300mmとなっており、緊張材1が伸長される側の端27から100mmの位置までは標準の外径を有し、この位置から50mmの範囲が断面縮小部26となっている。また、断面縮小部26より保持部23側は、標準の外径を有するものである。
この引張部材は、コンクリート構造部材5内に埋め込まれたシース7内に挿通されている。そして、定着体2の保持部23を保持して緊張力を導入し、定着体2に螺合された定着ナット3から支圧板6を介して反力がコンクリート構造部材5に伝達されるように定着されるものである。また、緊張材1は全長にわたってコンクリート構造部材内に配置されるものであっても良いし、途中部分はコンクリート構造部材外に配置されて張架されるものであってもよい。
型枠内にコンクリートを打設してコンクリート部材を形成するときにシースを埋め込んでおき、コンクリートの硬化後に上記シース内に本発明に係る引張部材を挿通する。この引張部材に緊張力を導入し、端部を反力支持体に定着した状態でシース内にグラウト材を注入する。グラウト材が硬化して緊張材とコンクリート部材とを一体に結合した後、反力支持体に定着した端部を解放し、緊張材のコンクリート部材から突き出した部分を定着体とともに切断する。
上記のように円筒状の定着体2を緊張材1の端部に装着し、定着体2の保持部23を保持して緊張材1に緊張力を導入すると、緊張材1の端部及び定着体2の軸線方向には図3に示すような分布で軸線方向の引張力が生じる。つまり、緊張材1の中空孔に挿入されていない部分には導入された緊張力がそのまま作用しており、定着体2の中空孔に挿入されている部分では定着体2の端27から引張力が徐々に定着体2に伝達され、引張力が減少する。この引張力が伝達される定着体2には、緊張材1が伸長する側の端27から保持部23が形成された側に向かって引張力が徐々に増加する分布となる。
緊張材1に緊張力が導入され始めた初期においては、緊張材1の緊張力は主に緊張材1が伸長している側の端27付近で定着体に伝達され、導入される緊張力が増加するにしたがって定着体2のほぼ全域で作用する引張力が増加する。そして、導入される緊張力が緊張材の引張強度の60%〜70%程度としたときに定着体2の軸線方向の引張応力度が降伏点に達する領域に断面縮小部が設けられている。つまり、この引張部材を緊張し、緊張材1の緊張力がその引張強度の60%〜70%となったときに定着体2の断面縮小部26が降伏するものとしている。
例えば、定着体の軸線方向の長さ、外径、内径は使用する緊張材等に応じて適宜に変更して実施することができる。また、定着体の材料としては鋼を用いるのが望ましいが、これ以外の材料を使用しても良い。
定着体の断面縮小部の外径及び位置も緊張材に所定の緊張力が導入されたときに断面縮小部の引張応力度が降伏するように調整して決定することができる。また、定着体に伸びが大きく生じる材料を用い、引張応力度が降伏点に達していなくても断面縮小部の径が縮小して緊張材を締め付けることができるものであれば、断面縮小部は必ずしも降伏するものでなくてもよい。
このように断面縮小部35が形成されている定着体では、緊張材31が伸長されている側の端部37付近では引張応力度が小さく保持部34側に向かって引張応力度が増大する。したがって、定着体32の緊張材31が伸長されている側の端部37付近では断面が縮小されているが引張応力度が降伏点には達しておらず、断面縮小部35の保持部側の一部の範囲で降伏するように設定することができる。
21:定着体の緊張材が伸長される側の反対側の端部, 22:ねじ山, 23:保持部, 24:定着体の緊張材が伸長される側の端部, 25:定着体の中空孔の内周面に設けられた凹凸, 26:断面縮小部, 27:定着体の緊張材が伸長される側の端, ,
31:緊張材, 32:定着体, 33:定着ナット, 34:保持部, 35:断面縮小部, 36:定着体の緊張材が伸長される側の端, 37:定着体の緊張材が伸長される側の端部
Claims (4)
- 金属よって形成された筒状の部材を有し、該筒状部材の中空孔に緊張材の端部が挿入されて、該中空孔の内周面と前記緊張材との間に充填された充填材が固化することによって前記緊張材と一体となる緊張材の定着体であって、
該定着体の外周面における前記緊張材の先端側の端部に設けられ、前記緊張材に緊張力が導入された状態で、該緊張力を構造物に伝達することが可能に保持される保持部と、
該保持部より緊張材が伸長されている側に、断面積を縮小した断面縮小部とを有することを特徴とする緊張材の定着体。 - 前記断面縮小部は、前記緊張材に破断強度より小さい緊張力が導入された状態で、前記断面縮小部に作用する軸線方向の引張応力度が降伏点に達するように断面縮小部の断面積及び軸線方向における断面縮小部の範囲が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張材の定着体。
- 前記断面縮小部は、該定着体の前記緊張材が伸長されている側の端より前記保持部側における所定の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の緊張材の定着体。
- 棒状又はケーブル状の緊張材と、
金属よって形成された筒状の部材であって、中空孔内に前記緊張材の端部が挿入され、該中空孔の内周面と前記緊張材との間に充填された充填材が固化することによって前記緊張材と一体となった定着体と、を有し、
前記定着体は、
該定着体の外周面における前記緊張材の先端側の端部に設けられ、前記緊張材に導入された状態で該緊張力を構造物に伝達することが可能に保持される保持部と、
該保持部より緊張材が伸長されている側に、断面積を縮小した断面縮小部と、を有することを特徴とする引張部材。
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JP2020176458A (ja) * | 2019-04-19 | 2020-10-29 | 黒沢建設株式会社 | 海上陸地の構築工法 |
Citations (2)
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JPH0220747A (ja) * | 1988-07-08 | 1990-01-24 | Kajima Corp | 繊維強化緊張材の定着方法 |
JPH0224439A (ja) * | 1988-07-12 | 1990-01-26 | Railway Technical Res Inst | 繊維強化合成樹脂製緊張材の定着部構造並びにその製造方法 |
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