JP2014218026A - 錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法 - Google Patents

錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法 Download PDF

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正雄 河合
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Abstract

【課題】樹脂製錐体状突起成形型を短時間で精度良く成形するための錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法を提供する。【解決手段】第1型10には、第1金属又はセラミックからなる複数の錐体状突起11がアレイ状に形成されている。第2型20には、第1金属又はセラミックよりもビッカース硬度が小さい第2金属で型表面が形成されている。第1型10と第2型20は、型締めされたときに型表面20aに複数の錐体状突起11が対向して配置されるとともに複数の錐体状突起11が熱可塑性樹脂体である母材1中を貫通し、錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型50のアレイ状に並んだ複数の錐体状貫通穴51を形成し得る。【選択図】図4

Description

本発明は、錐体状突起物を形成する樹脂製錐体状突起成形型を製造するための錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法に関し、特に、複数の錐体状突起がアレイ状に並んだ錐体状突起シートを形成する樹脂製錐体状突起成形型を製造するための錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法に関する。
従来から、樹脂シートに微細な貫通孔を設ける微細貫通孔成形方法及びその方法の実施に適した微細構造転写成形装置が知られている。例えば、特許文献1(特許第4900980号公報)には、針状突起を有する金型を用いて樹脂フィルムを押圧することにより微細な貫通孔を開ける精密機械加工法、針状突起を有する金型で熱可塑性樹脂フィルムを押圧して加圧変形させた後に残膜を反応性イオンエッチングで除去して貫通孔を形成させる工法、及び針状突起を有する金型の上に樹脂シートと溶融樹脂媒体とを重ねておいて、溶融樹脂媒体を介して樹脂シートを金型に押し付けることによって微細な貫通孔を形成する技術が開示されている。
このように成形された貫通孔を有する樹脂シートは、電気電子分野、医療分野、及び機械分野などさまざまな場面で用いられる。特に、このような微細貫通孔を持つ樹脂シートを成形型として用い、微細貫通孔の内部に成形物の原料を充填して多数の微細突起を持つ成形物を成形する場合には、樹脂シートに、極めて微細な貫通孔をアレイ状に多数精度良く形成することが望まれる。
特許第4900980号公報
ところが、引用文献1に記載されている微細貫通孔を持つ樹脂シートの製造方法では、針状突起を有する金型に樹脂シートを押し付けるため変形が起きやすく、全体にわたって高い精度を得難くなっている。また、樹脂シートの成形時の温度制御にも時間が掛かる製造方法となっている。
そこで、微細突起を持つ成形物の形状を微細な錐体状突起を持つ成形物に限り、その錐体状突起を持つ成形物を成形するための樹脂製錐体状突起成形型に限って、通常の射出成形を用いて形成しようとしても、成形材料を可塑化し、可塑化された成形材料を金型内に射出し、金型内で溶融した成形材料を保圧し、成形材料を金型内で冷却し、型開きし、樹脂成形品を取り出し、そして再び金型内に成形材料を射出するために型締するという1ショットの工程に時間が掛かってしまう。
本発明の課題は、樹脂製錐体状突起成形型を短時間で精度良く成形するための錐体状突起成形型製造用金型及び樹脂製錐体状突起成形型の製造方法を提供することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る錐体状突起成形型製造用金型は、第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、第1金属又はセラミックよりもビッカース硬度が小さい第2金属で型表面が形成されている第2型と、を備え、第1型と第2型は、熱可塑性樹脂体に両側から接触して挟む型締めによって型表面に複数の錐体状突起が対向して配置されるとともに複数の錐体状突起が熱可塑性樹脂体中を貫通し、錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型のアレイ状に並んだ複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴を形成し得るものである。
ここでいうビッカース硬度の値は、JIS Z 2244のビッカース硬さ試験−試験方法に準拠して測定した場合の値である。この値を求めるとき、試験力は、JIS規格に記載されている表の値が用いられる。
また、ここでいう錐体状突起や錐体状貫通穴には、その一部に錐体状の部分があればよく、全体が錐体である場合だけに限られるものではない。例えば、錐体状貫通穴というときには、表面から所定深さまでが錐体であり、さらに錐体の先端部分から筒状の穴が延びているものも含まれる。
このように構成された錐体状突起成形型製造用金型によれば、第1型の錐体状突起が第2型の型表面に接触しても型表面の第2金属よりも第1金属又はセラミックからなる錐体状突起の方が硬いので錐体状突起が損傷するのを抑制することができる。そのため、錐体状貫通穴または筒状貫通穴を形成するとき、樹脂製錐体状突起成形型の母材を第2型の型表面の第2金属に押し付けて接触させ、第2金属を介して樹脂製錐体状突起成形型の母材である熱可塑性樹脂体に対する熱のやり取りができる。
この錐体状突起成形型製造用金型において、第1型は、第1金属又はセラミックのビッカース硬度が150HV以上であり、第2型は、ビッカース硬度100HV以下の第2金属を用いて型表面が形成され、第1型との型締めのときに複数の錐体状突起の先端が型表面に刺さるように構成されている、ものであってもよい。このように構成されることにより、第1型の第1金属又はセラミックと第2型の第2金属との間にビッカース硬度で50HV以上の差があることから、第1型の錐体状突起の損耗を抑制して錐体状突起成形型製造用金型の耐久性を高めることができる。
この錐体状突起成形型製造用金型において、第2型は、ビッカース硬度100HV以下の金属ブロックと、金属ブロックの上に錐体状突起の高さよりも厚く積層されて型表面を構成する金層又は金合金層とを有する、ものであってもよい。このように構成されることにより、錐体状突起と型表面とが接触して柔らかい第2金属からなる型表面に傷がついても、樹脂製錐体状突起成形型に金属アレルギーなどを引き起こし易い金属イオンが付着するのを防ぐことができ、金の使用量を抑えることでコストを抑えることができる。しかも、金属ブロックも柔らかいことから、金属ブロックに硬い金属を用いる場合に比べて錐体状突起の損傷を防ぐ効果が高くなる。
本発明の一見地に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法は、上記の錐体状突起成形型製造用金型を用いて樹脂製錐体状突起成形型を成形するものである。
本発明の他の見地に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法は、熱可塑性フィルムを前記熱可塑性フィルムの軟化点近傍の温度まで予熱する予熱工程と、第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、第1金属又はセラミックよりもビッカース硬度の小さい第2金属で型表面が形成されている第2型との間に、熱可塑性フィルムを配置する配置工程と、第1型と第2型との間に配置されている軟化した熱可塑性フィルムに対して第1型と第2型とを型締めして前記熱可塑性フィルムに両側から接触して挟むとともに型表面に複数の錐体状突起を対向して配置して熱可塑性フィルムを複数の錐体状突起で貫かせ、複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴がアレイ状に並んでいる錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型を成形する成形工程と、第1型と第2型とを型締めした状態で樹脂製錐体状突起成形型を冷却する冷却工程とを備えるものである。
このように構成された樹脂製錐体状突起成形型の製造方法によれば、昇温に時間の掛かる熱可塑性フィルムを予熱工程で予熱しているので昇温時間を短縮できる。また、熱可塑性フィルムの形状維持が可能な温度までしか予熱していないので熱可塑性フィルムを第1型と第2型の間に容易に移動できる。そして、第1型の錐体状突起が第2型の型表面に接触しても型表面の第2金属よりも第1金属又はセラミックからなる錐体状突起の方が硬いので錐体状突起が損傷するのを抑制することができることから、第1型と第2型を型締めして第2型に樹脂製錐体状突起成形型を押し付けて接触させた状態で冷却でき、温度を下げる時間を短縮できる。このように温度の昇降時間を短縮することで1ショットの成形時間を短縮できる。
本発明の他の見地に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法は、第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、第1金属又はセラミックよりもビッカース硬度の小さい第2金属で型表面が形成されている第2型との間に、溶融樹脂を塗布する塗布工程と、第1型と第2型との間に塗布された溶融樹脂に対して第1型と第2型とを型締めして前記溶融樹脂に両側から接触して挟むとともに型表面に複数の錐体状突起を対向して配置して溶融樹脂を複数の錐体状突起で貫かせ、複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴がアレイ状に並んでいる錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型を成形する成形工程と、第1型と第2型とを型締めした状態で樹脂製錐体状突起成形型を冷却する冷却工程とを備えるものである。
このように構成された樹脂製錐体状突起成形型の製造方法によれば、溶融樹脂を塗布することで射出成形のように樹脂を注入する成形方法に比べて時間の短縮ができる。そして、第1型の錐体状突起が第2型の型表面に接触しても型表面の第2金属よりも第1金属又はセラミックからなる錐体状突起の方が硬いので錐体状突起が損傷するのを抑制することができることから、第1型と第2型を型締めして第2型に樹脂製錐体状突起成形型を押し付けて接触させた状態で冷却でき、温度を下げる時間を短縮できる。このように溶融樹脂の供給や温度の降下時間を短縮することで1ショットの成形時間を短縮できる。
本発明の錐体状突起成形型製造用金型又は樹脂製錐体状突起成形型の製造方法によれば、樹脂製錐体状突起成形型の材料の温度の昇降が速くなり、樹脂製錐体状突起成形型の成形時間を短縮することができる。
(a)第1実施形態における錐体状突起成形型製造用金型の錐体状突起の配列の一例を示す平面図、(b)錐体状突起の配列の他の例を示す平面図。 (a)第1実施形態における錐体状突起成形型製造用金型の錐体状突起の一例を説明するための断面図、(b)錐体状突起の他の例を説明するための断面図、(c)錐体状突起の他の例を説明するための断面図。 第1実施形態における樹脂製錐体状突起成形型の錐体状貫通穴の一例を説明するための断面図。 (a)第1実施形態におけるフィルム取付部での予熱工程を模式的に示す断面図、(b)成形部での型開き工程を模式的に示す断面図。 (a)第1実施形態におけるフィルム取付部での予熱工程を模式的に示す断面図、(b)成形部での配置工程を模式的に示す断面図。 (a)第1実施形態におけるフィルム取付部での母材供給工程を模式的に示す断面図、(b)成形部での成形工程を模式的に示す断面図。 (a)第1実施形態におけるフィルム取付部での予熱工程を模式的に示す断面図、(b)成形部での冷却工程を模式的に示す断面図。 錐体状突起の周辺の構成を説明するための拡大断面図。 母材及び錐体状突起成形型製造用金型の温度変化を説明するためのグラフ。 第2実施形態に係る成形機の射出可塑化装置の概略構成を示す断面図。 第2実施形態における溶融樹脂の塗布工程を模式的に示す断面図。 第2実施形態における溶融樹脂の塗布工程を模式的に示す平面図。 第2実施形態における成形工程を模式的に示す断面図。 第2実施形態における冷却工程を模式的に示す断面図。 第2実施形態における型開き工程を模式的に示す断面図。 変形例に係る超音波による樹脂製錐体状突起成形型の一製造工程を模式的に示す断面図。
<第1実施形態>
図1(a)及び図1(b)には、それぞれ第1実施形態における錐体状突起成形型製造用金型の第1型の型表面に配置された錐体状突起の平面的な配列の一例が示されている。図2(a)、図2(b)及び図2(c)には、第1型の錐体状突起の形状を説明するために錐体状突起の断面構造の例がそれぞれ示されている。図3には、樹脂製錐体状突起成形型の錐体状貫通穴の形状を説明するために錐体状貫通穴の断面構造が示されている。また、図4乃至図7には、本発明の第1実施形態に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法の概略が示されている。図4(a)には、成形対象の熱可塑性フィルムからなる母材が示され、図4(b)には、第1型と第2型及び樹脂製錐体状突起成形型の断面構造が模式的に示されている。そして、図8には、特に第1型の錐体状突起の周辺の断面構造が拡大して示されている。また、図9には、樹脂製錐体状突起成形型の製造工程における母材の温度曲線CH1と型温度の温度曲線CH2が示されている。
(1)錐体状突起成形型製造用金型の構成
第1型10と第2型20とで、錐体状突起成形型製造用金型が構成されている。
図1(a)及び図1(b)に示されているように、第1型10の型表面10aには、円錐形状をなす錐体状突起11がアレイ状に配列されている。錐体状突起11の配列は、例えば図1(a)に示されているような格子状配列である。しかし、錐体状突起11の配列は、格子状配列に限られるものではなく、例えば図1(b)に示されているような千鳥状配列など他の形態であってもよい。
例えば、図1(a)において、横方向に並ぶ2つの錐体状突起11の中心間の距離SDは800μmであり、縦方向に並ぶ2つの錐体状突起11の中心間の距離LDは800μmである。図1(a)に示されている格子状配列では、最も近い錐体状突起11同士のピッチPt(図2(a)参照)は800μmである。このピッチPtは300μmから3500μmまでのいずれかの値に設定されるのが好ましい。なお、図1(b)の千鳥状配列の場合は、錐体状突起11の距離SDが700μmであり、距離LDが700μmであるとすると、最も近い錐体状突起11同士のピッチPtは、0.7と2の平方根との積になる。
錐体状突起11は、それぞれ、個々の錐体状突起物の原型をなしており、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示されている高さH1が設定される値は、50μmから1000μmまでのいずれかの値、好ましくは50μmから700μmまでのいずれかの値、より好ましくは50μm〜500μmまでのいずれかの値である。また、根元の断面径R1は、30μmから800μmまでのいずれかの値に設定されるのが好ましい。一例を挙げれば、図1(a)に示されている錐体状突起11の場合には、高さH1が400μm、断面径R1が200μm、ピッチPtが800μmに設定される。
しかし、錐体状突起11の高さH1は、30nmから1000μmまでの範囲内で設定されてもよい。その場合、高さH1が30nmから50μmまでの範囲内で設定される場合の根元の断面径R1やピッチPtの範囲は、例えば上述の高さH1が50μmから1000μmまでの範囲とそれに対する好ましい根元の断面径R1やピッチPtの範囲から設定されたものを比例的に縮小して適用することができる。例えば、高さH1が400nmであれば、上述の例を比例的に縮小すると、断面径R1が200nm、ピッチPtが800nmに設定される。錐体状突起11の高さH1を30nm〜1000μmに設定した場合、用途としては、ナノインプリンターからフィルムの型押しまで広く対応可能である。
なお、上述の例では、断面径R1×2<ピッチPtのように設定され、隣接する錐体状突起11が互いに独立しており、隣接する錐体状突起11の根元部分が離れていたが、断面径R1×2≧ピッチPtのように設定されて隣接する錐体状突起11の根元部分が繋がり、隣接する錐体状突起11が連なるように構成されていてもよい。また、錐体状突起11が円錐形状であって底面形状が円形の場合は、断面径R1の好ましい範囲が上述のようになるが、角錐形状などの円錐以外の錐体状突起の場合の根元の大きさの好ましい範囲は、錐体の底面の中心と中心から最も離れた底面上の点との距離が30μmから800μmまでのいずれかの値になる。さらに、錐体状突起11は、例えば、断面径:高さ=1:1.5乃至1:3と高いアスペクト比(高さ/断面径)を有していることが好ましい。
錐体状突起11の形状は、例えば、全体が円錐や角錐などの錐体状になっている場合だけでなく、先端部分が円錐や角錐などの錐体状に尖っていて胴体が円柱や角柱になっていてもよい。また、円錐や角錐などの錐体状の最先端の部分は、欠け難いように断面形状が略円弧状になるように削られてドーム型になっていてもよい。さらには、図2(b)に示されている錐体状突起11Aのように、頂部が平らに削られた円錐台などの錐台状のものも錐体状突起の形状に含まれる。また、図2(c)に示されている錐体状突起11Bのように、円錐や角錐などの錐体の母線Geが曲線であってもよい。
錐体状突起11は、ビッカース硬度が150HV以上の硬い金属(以下、第1金属ともいう)又はセラミックで形成されている。このような硬い金属としては、ビッカース硬度380HV程度の析出硬化系ステンレス(SUS630)、ビッカース硬度620HV程度のマルテンサイト系ステンレス(SUS440C)、ビッカース硬度300〜420HV程度のクロムモリブデン鋼(SCM882)及びビッカース硬度1000〜1100HV程度の金属シリコン(Si)などが好適に用いられ、セラミックとしては、ビッカース硬度1100HV程度の石英などが好適に用いられる。ここでいう硬い金属には金属シリコンなどの半金属も含まれる。また、ここでいうセラミックは金属以外の無機物質である。そして、これらの中でも耐食性に優れたステンレスが第1金属として好ましい。なお、SUS630の熱伝導率は20W/mK(100℃)程度であり、SUS440Cは20〜30W/mK程度(100℃)である。ここに示されている熱伝導率は、JISH7801に準拠して測定した値であり、カッコ内には測定時の温度が示されている。
第1型10には、第1型10の温度を調節するために、ヒータ12と冷媒流路13とが設けられている。ヒータ12や冷媒流路13は、型表面10aから一定距離L1,L2離れたところに配置されている。ヒータ12には面状ヒータ、リングヒータ及びシーズヒータなどの各種のヒータの中から適宜適したものが選択される。ヒータ12の加熱と非加熱の切り換えは電流のオンオフによって行われる。冷媒流路13には、冷却時に例えば冷水が流される。
第2型20の型表面20aは、平坦な面になっている。この型表面20aは、ビッカース硬度100HV以下の柔らかい金属(以下、第2金属ともいう)で形成されている。このような柔らかい金属としては、ビッカース硬度20〜50HV程度の金、ビッカース硬度20〜30HV程度の銀、ビッカース硬度40〜70HV程度の銅及びビッカース硬度20〜40HV程度のアルミニウム又はそれらの合金が好適に用いられる。金属イオン、微小金属片又は微小金属粒子が型の表面に残存又は付着する可能性を考慮すると、これらの中でも金属アレルギーを引き起こし難く、熱伝導率の高い金が好ましい。また、金や金合金のような高価な貴金属を用いる場合には、ビッカース硬度が100HV以下の金属ブロックの上に第2金属の層を形成することが好ましい。図4(b)には、銅製の金属ブロック23の上に積層された金層22で型表面10aが形成されている例が示されている。金層22は、例えば銅製の金属ブロック23の上に金メッキをすることによって形成することができる。
上述のように、第2金属の熱伝導率は高い方が好ましく、例えば200W/mK(100℃)以上であることが好ましく、金は熱伝導率310〜320W/mK程度(100℃)であり、銀は熱伝導率420〜430W/mK程度(100℃)であり、銅は380〜400W/mK程度(100℃)であり、アルミニウムは220〜240W/mK程度(100℃)である。
なお、第2型20のヒータ24や冷媒流路25は、第1型10のヒータ12や冷媒流路13と同様であるので説明を省略する。
第1型10と第2型20とを型締めしたときには、図8に示されているように、錐体状突起11の先端部分11aが凹部21に嵌合する。この凹部21に錐体状突起11の先端部分11aが嵌合している状態は、柔らかい第2金属でできた型表面20aに硬い第1金属又はセラミックでできた錐体状突起11が突き刺さっている状態と言い換えることができる。この凹部21は、第2型20の型表面20aを滑らかな平坦な平面として形成した後、第1型10と第2型20を型締めすることによって錐体状突起11の先端部分11aを第2型20の型表面20aに食い込ませて形成することができる。つまり、錐体状突起11の先端部分11aが第2型20の型表面20aに食い込むことで、型表面20aの一部がすり鉢状に変形して凹部21が形成される。一旦凹部21が形成されると2回目以降の型締めでは第1型10と第2型20の位置関係を変更しない限り、先端部分11aが凹部21に嵌合する。空気抜きができる貫通孔を形成するために、例えば、錐体状突起11の高さが1000μmとして、凹部21の深さが数μm〜数百μmになるように形成される。このとき、母材1の厚みは(1000μm−数μm)〜(1000μm−数百μm)になる。母材1の厚みは、第1型10と第2型20の型締め時の隙間を決めるスペーサ(図示せず)の厚みに対応する。
なお、第1型10と第2型20の取り扱いに不具合が発生して第1型10と第2型20の型表面10a,20aが接触するようなことがあっても錐体状突起11が銅製の金属ブロック23に達しないように、金層22の厚さL4が錐体状突起11の高さL3よりも大きくなるように(L4>L3),第1型10と第2型20が構成されている。
例えば、錐体状突起11のアスペクト比が2として、スペーサの厚みが20μmとすると、上述の凹部21の直径は10μmになる。このように、凹部21は非常に小さなものであり、これらがアレイ状に多数並んでいることを考えると、第1型10と第2型20のプレス機への取り付けも高い精度が要求されるものになる。また、このような凹部21を工作機器による加工によって形成することもできる。しかし、凹部21の加工に高い精度が要求されることから、凹部21を工作機器で加工する場合には加工コストが高くなる。上述のように、錐体状突起11を第2型20の型表面20aに食い込ませて形成することで、このような取り付けの手間や加工コストを省くことができる。なお、凹部21を形成するために予め凹部21よりも小さな凹みや穴を加工によって前もって形成しておき、その凹みに錐体状突起11を食い込ませて凹みや穴を広げて凹部21を形成することもできる。
(2)樹脂製錐体状突起成形型の構成
図3には、上述の錐体状突起成形型製造用金型で成形された樹脂製錐体状突起成形型の断面形状が示されている。樹脂製錐体状突起成形型50は、成形後の冷却時に樹脂が収縮するのが一般的であることから、錐体状貫通孔51のテーパ面の大きさは、第1型10の錐体状突起11のテーパ面の大きさよりも少し小さくなる傾向がある。錐体状貫通孔51の第1型10の側の開口部51aの半径R2は、錐体状突起11の根元の断面径R1とほぼ同じになり、30μmから800μmまでのいずれかの値をとるように形成される。錐体状貫通孔51の第2型20の側の貫通孔51bの直径D1は、1μmから200μmまでのいずれかの値に設定される。そのため、樹脂製錐体状突起成形型50の厚みTh1は、錐体状突起11の高さH1よりも小さい値に設定されるが、50μmから1000μmまでの間のいずれかの値に設定されるのが好ましい。それにより、第1型10と第2型20の間に挟まれて第1型10と第2型20の両方に接する樹脂製錐体状突起成形型50の成形用の熱可塑性樹脂体を錐体状突起11が貫通して錐体状貫通孔51が形成される。樹脂製錐体状突起成形型50の半径R2と貫通孔径D1との関係は、R2×2≧D1であればよく、好ましくはR2>D1である。なお、R2×2=D1のときは貫通穴の形状は円柱状になり、一般的に樹脂製錐体状突起成形型の貫通孔と根元の穴の大きさとが同じ場合には筒状貫通穴になる。ただし、上述したように、錐体状突起11の高さH1は30nmから50μmでも設定可能であり、その場合には、樹脂製錐体状突起成形型50の厚みTh1が錐体状突起11の高さH1よりも小さい値に設定され、30nmから50μmまでの間のいずれかの値に設定されてもよい。厚みTh1が30nmから50μmまでの場合の開口部51aの半径R2や貫通孔51bの直径D1の範囲は、例えば上述の厚みTh1が50μmから1000μmまでの範囲とそれに対する好ましい開口部51aの半径R2や貫通孔51bの直径D1の範囲から設定されたものを比例的に縮小して適用することができる。
(3)樹脂製錐体状突起成形型の製造工程
樹脂製錐体状突起成形型の製造工程を図4乃至図9を用いて説明する。樹脂製錐体状突起成形型50は、フィルム取り付け部と成形部とを備える真空成形機によって成形される。
図4(a)、図5(a)、図6(a)及び図7(a)には、真空成形機のフィルム取り付け部での製造工程が示されており、図4(b)、図5(b)、図6(b)及び図7(b)には、真空成形機の成形部での製造工程が示されている。
図9に示されている時刻t1から時刻t2までの間に、図4(a)に示されているように、フィルム取り付け部ではフィルム取付枠3に取り付けられている母材1がハロゲン光源ヒータや赤外線ヒータや遠赤外線ヒータなどのヒータ5で加熱される加熱工程が行なわれている。母材1は、熱可塑性フィルムからなっており、この加熱工程で熱可塑性フィルムの軟化点Tgの近傍の温度まで加熱される。母材1の温度は、図8の温度曲線CH1に表されている。なお、図4(a)に示されている矢印Ar1はヒータ5から母材1に向けて放射される放射熱を示している。
このとき、真空成形機の成形部では、図4(b)に示されているように、型開きが終わって、錐体状貫通穴51が形成された樹脂製錐体状突起成形型50が取り出されている。このとき、第1型10及び第2型20の温度は、図8の温度曲線CH2で示されているように、軟化点Tgよりも低くなっているが、室温Trよりも高い温度に保持されている。ここでは室温Trよりも高い温度で型開きしているが、型開きするときの第1型10と第2型20の温度を室温Trやそれ以下の温度まで下げてもかまわない。
図5において、矢印Ar2がフィルム取付枠3の移動を示している。時刻t2から時刻t3の間では、図5(a)に示されている加熱工程が終了する。この加熱工程が終了した母材1は、図5(b)に示されているように、フィルム取付枠3にクランプされたまま、真空成形機の成形部にある第1型10と第2型20の間まで移動される。図5(b)に示されているように、第1型10と第2型20に対してフィルム取付枠3が位置決めされることで、第1型10及び第2型20に対する母材1の配置が完了する。時刻t2から時刻t3までの間に第1型10及び第2型20はそれぞれヒータ12,24によって熱可塑性フィルムの融点前後の所定温度まで昇温される。このとき、第1型10と第2型20のみを昇温すればよく、母材1に対する温度の影響や母材1の温度上昇の程度を考慮しなくてもよくなるので、母材1を第1型10と第2型20で挟んで昇温する場合に比べて昇温時間を短縮できる。その一方で、母材1は、フィルム取付枠3で保持できる程度の形状維持が可能な軟化点近傍の温度になっていることから、フィルム取付枠3が図5(a)に示されているフィルム取付部から図5(b)に示されている成形部に移動して、第1型10と第2型20との間にまで移動できる。このときの母材1の温度は、母材1が軟化点70℃のポリエチレンであれば、例えば65℃から75℃の間の適切な値に設定される。移動された母材1は、例えば第2型20の吸引部(図示せず)に吸着されることによって、又はクランプ部(図示せず)に挟まれることによって固定される。
時刻t3において真空成形機の成形部では、第1型10と第2型20の型締めが行なわれる。型締めのときの第1型10と第2型20の間隔はスペーサ(図示せず)によって保持される。このとき第1型10と第2型20の温度は母材1のプレス成形に適した温度になっている。そして、母材1が、図6(b)に示されている型締めによって第1型10と第2型20に接触することで第1型10と第2型20の型温度まですばやく昇温される。
時刻t3から時刻t4の間に、図6(a)に示されているようにフィルム取付部においては、フィルムロール2から供給される熱可塑性フィルムがフィルム取付枠3に取り付けられてカッター4で切断される。このときフィルム取付枠3にクランプされている熱可塑性フィルムが母材1になる。また、時刻t3から時刻t4の間では、成形部において所定の圧力が第1型10と第2型20との間に加えられている。図6(b)及び図7(b)に示されている矢印Ar3は、第1型10と第2型20に加えられている圧力を概念的に表している。それにより、母材1に錐体状突起11の形状が転写されて、錐体状貫通穴51を持つ樹脂製錐体状突起成形型50が成形される。
時刻t4から時刻t5の間に、図7(b)に示されているように、第1型10と第2型20の冷媒流路13,25に冷水が流されて第1型10と第2型20が冷却される。そして、所定温度まで第1型10と第2型20が冷却されると、図4(b)を用いて説明した型開きが行なわれる。一方、フィルム取付部においては、時刻t5から時刻t6の間には、図7(a)に示されているように次の樹脂製錐体状突起成形型50の製造に用いられる母材1が加熱されている。
<第2実施形態>
図10には、本発明の第2実施形態に係る成形機の射出可塑化装置の概略構成が示されている。図11乃至図15には、本発明の第2実施形態に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法の概略が示されている。図15には、第1型と第2型及び樹脂製錐体状突起成形型の断面構造が模式的に示されている。
第2実施形態に係る樹脂製錐体状突起成形型の製造方法が第1実施形態の樹脂製錐体状突起成形型の製造方法と異なる点は、熱可塑性フィルムを成形して樹脂製錐体状突起成形型50をつくるのではなく、溶融樹脂を成形して樹脂製錐体状突起成形型50をつくるところにある。そのため、第1型と第2型の構造も溶融樹脂に対応できるように変えられている。
(4)錐体状突起成形型製造用金型の構成
図11には、溶融樹脂が塗布されている第1型10Aの断面が模式的に示されている。また、図12は図11に示されている第1型10Aの平面図である。第2実施形態に係る第1型10Aは、塗布される溶融樹脂30を堰き止めるための樹脂漏れ防止枠14が設けられている。第2実施形態の第1型10Aにおいて、この樹脂漏れ防止枠14以外の錐体状突起11、ヒータ12及び冷媒流路13などの他の構成は第1実施形態の第1型10と同様であるので、これらの説明は省略する。
図15に示されているように、第2実施形態に係る第2型20Aが第1実施形態の第2型20と異なる点は、樹脂漏れ防止枠14の内側に嵌るように型表面20aが造られているところである。従って、第2実施形態の第2型20Aにおいて、この樹脂漏れ防止枠14に対応するように構成されている点以外の凹部21、金層22、銅製の金属ブロック23、ヒータ24及び冷媒流路25などの他の構成は第1実施形態の第2型20と同様であるので、これらの説明は省略する。
(5)樹脂製錐体状突起成形型の製造工程
樹脂製錐体状突起成形型の製造工程を図10乃至図15を用いて説明する。樹脂製錐体状突起成形型50を成形するための第2実施形態に係る成形機は、図10に示されている射出可塑化装置40を備えており、射出可塑化装置40のホッパー42から投入される熱可塑製樹脂のペレット原料を溶融させて、溶融樹脂30をスクリュー43によってダイ41から第1型10Aの上に押し出す。
溶融樹脂30は、図11及び図12に示されているように、ダイ41から押し出されて樹脂漏れ防止枠14の枠内に塗布される。そのために、第1型10Aに対して相対的にダイ41が水平に平行移動する。このとき、第1型10Aはヒータ12によって溶融樹脂30の融点以上の所定温度まで加熱されている。図11には示されていないが、同様に、第2型20Aもヒータ24によって溶融樹脂30の融点以上の所定温度まで加熱されている。
次に、図13に示されているように、第1型10Aと第2型20Aの型締めが行なわれる。そして、第1型10Aと第2型20Aが加圧されて錐体状突起11の形状が溶融樹脂30に転写(成形)される。図13及び図14において、矢印Ar4が圧力を概念的に表している。このとき、樹脂漏れ防止枠14は、溶融樹脂30を堰き止める役割を果たすとともに、第1型10Aと第2型20Aとの間隔を保つためのスペーサとしても機能している。
そして、図14に示されているように、圧力が加えられながら、ヒータ12,24がオフするとともに冷媒流路13,25に冷水が流されて冷却が行なわれる。
十分に冷却されて例えば室温に近い温度に達した後に、図15に示されている型開きが行なわれる。
(6)特徴
(6−1)
上記第1実施形態及び第2実施形態で説明した錐体状突起成形型製造用金型は、第2型20,20Aの型表面20aを形成しているビッカース硬度20〜50HV程度の金層22(第2金属の一例)よりも、第1型10,10Aの錐体状突起11を形成しているビッカース硬度380HV程度の析出硬化系ステンレスやビッカース硬度620HV程度のマルテンサイト系ステンレス(第1金属の例)の方が硬い。そのため、第1型10,10Aの錐体状突起11が第2型20,20Aの型表面20aに接触しても、錐体状突起11が損傷するのを抑制することができ、錐体状突起11を型表面20aに接触させて錐体状貫通穴51を形成することができる。錐体状貫通穴51を形成するときに、樹脂製錐体状突起成形型50の母材1を第2型20,20Aの型表面20aに押し付けて接触させ、型表面20aを介して母材1に対する熱のやり取りができる。この型表面20aを形成している金の熱伝導率は、310〜320W/mK程度と非常に高く、錐体状突起11を構成している析出硬化系ステンレスやマルテンサイト系ステンレスの10倍程度であるため、金層22を介して暖めたり、冷やしたりすることで温度調節が速くなる。
上述の第1実施形態や第2実施形態では、第2型20,20Aの型表面20aに第1型10,10Aの複数の錐体状突起11が対向して配置される場合の例として、型表面20aに錐体状突起11が接触する場合を例に挙げて説明している。しかし、第2型の型表面に第1型の複数の錐体状突起が対向して配置される場合は接触する場合だけに限られず、型表面と錐体状突起とが接触していないものの型表面と錐体状突起との間に熱可塑性樹脂体が存在しない状態で向き合っている場合も含まれる。なお、第2型の型表面に穴が開いていてその穴の中に第1型の錐体状突起が入る場合には、穴の側面を第2型の型表面とみなすことができる。
(6−2)
この第2型20,20Aの型表面20aを金層22又は金合金の層で形成すると、樹脂製錐体状突起成形型50に金属アレルギーなどを引き起こし易い金属イオンが付着するのを防ぐことができる。この金層22又は金合金の層を銅製の金属ブロック23の上に形成すると、金又は金合金の使用量を減らしてコストを削減することができる。しかも、銅製の金属ブロックもビッカース硬度が40〜70HV程度で柔らかいことから、金属ブロック23に硬い金属を用いる場合に比べて錐体状突起11の損傷を防ぐ効果が高くなる。特に、銅を金属ブロック23に用いているので、金属ブロック23の熱伝導率が380〜400W/mK程度と金層22よりも熱伝導率が高いため、金層22から金属ブロック23に熱を効率良く逃がすことができ、また、金属ブロック23から金層22に効率良く熱を与えることができる。
(6−3)
第1実施形態の樹脂製錐体状突起成形型の製造方法では、昇温に時間の係る熱可塑性フィルムである母材1を図4(a)、図5(a)及び図7(a)に示されているように、第1型10や第2型20とは別に予熱している(予熱工程の一例)。そのため、第1型10及び第2型20の昇温時間を短縮することができる。母材1を予熱しているものの、熱可塑性フィルムの形状維持が可能な温度までしか予熱していないので母材1を第1型10と第2型20の間に容易に移動できる。そして、第1型10の錐体状突起11が第2型20の型表面20aに接触しても型表面20aの金層22よりも析出硬化系ステンレスやマルテンサイト系ステンレスなどからなる錐体状突起11の方が硬いので錐体状突起11が損傷するのを抑制することができる。そのため、第1型10と第2型20を型締めして第2型20に母材1(又は樹脂製錐体状突起成形型50)を押し付けて接触させた状態で冷却でき、温度を下げる時間を短縮できる。このように温度の昇降時間を短縮することで1ショットの成形時間を短縮できる。
(6−4)
第2実施形態の樹脂製錐体状突起成形型の製造方法では、溶融樹脂30を第1型10Aに塗布するため、射出成形のように樹脂を注入する成形方法に比べて溶融樹脂30を供給する時間が短縮できる。第1型10Aの錐体状突起11が第2型20Aの型表面20aに接触しても型表面20aの金層22(第2金属の一例)よりも析出硬化系ステンレスやマルテンサイト系ステンレスなどからなる錐体状突起11の方が硬いので錐体状突起11が損傷するのを抑制することができる。このことから、第1型10Aと第2型20Aを型締めして第2型20Aに樹脂製錐体状突起成形型50(又は溶融樹脂30)を押し付けて接触させた状態で冷却でき、温度を下げる時間を短縮できる。このように溶融樹脂の供給や温度の降下時間を短縮することで1ショットの成形時間を短縮できる。
(7)変形例
(7−1)
上記第1実施形態及び第2実施形態の第1型10,10Aの錐体状突起11は、例えば第1金属の金属ブロックに対して切削加工などの機械加工を施すことによって形成することができる。また、石英などのセラミックについては、例えばエッチングなどを用いて錐体状突起11を形成することができる。その場合には、錐体状突起11の全体が均一の組成で第1金属やセラミックのみから形成される。
しかし、錐体状突起11は、均一の組成である必要はなく、例えば、錐体状突起11の表面に硬化処理が施されて表面と内部で異なる組成となっていてもよい。このような硬化処理としては、析出硬化系ステンレスやマルテンサイト系ステンレスからなる錐体状突起11に対して、窒化処理や窒化ホウ素処理を施すことが例として挙げられる。
窒化処理や窒化ホウ素処理によって、ステンレスはビッカース硬度を例えば1000HV以上にすることができ、第2金属の硬さに対してビッカース硬度で10倍以上の硬さを付与することができる。それにより、さらに錐体状突起11が損傷し難くなり、錐体状突起成形型製造用金型の耐久性をさらに向上させることができ、製造される樹脂製錐体状突起成形型50の汚染をさらに抑制できる。
(7−2)
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1型10,10Aと第2型20,20Aを用いて樹脂製錐体状突起成形型50を形成する場合に、樹脂製錐体状突起成形型50の成形原料である熱可塑性樹脂を変形させるために第1型10と第2型20を加熱する方法や射出可塑化装置40によって溶融させる方法について説明した。しかし、熱可塑性樹脂を変形させる方法は、これらの方法のように樹脂製錐体状突起成形型50の材料全体の温度を変化させる方法に限られるものではなく、例えば、超音波加工などによって錐体状突起11の周囲の熱可塑性樹脂のみを溶融させる成形方法を用いてもよい。
図16には、超音波加工による樹脂製錐体状突起成形型50の一製造工程が示されている。超音波加工に用いられる第1型10B及び第2型20Bの構造は、第2型20Bが錐体状突起11に対応した位置に吸引孔26を備えている以外は、第1実施形態の第1型10及び第2型20並びに第2実施形態の第1型10A及び第2型20Aと同様に、錐体状突起11及び銅製の金属ブロック23上に形成された金層22などを備えている。
ただし、超音波加工では熱可塑性樹脂を溶融させるために錐体状突起11が振動するので、錐体状突起11が金層22に対向して配置されるが、接触しないように構成されている。そのため、錐体状突起11が母材1を貫通した状態で、錐体状突起11の先端は型表面20aよりも下に下降して吸引孔26の中に到達するが錐体状突起11の側面は金層22に接触しないように構成されている。
第1型10Bは、超音波加工機60のホーン61に取り付けられている。超音波加工機60は、このホーン61を上下方向に移動できるように構成されている。また、超音波加工機60は、吸引孔26から吸引すること及びクランプ63で挟むことによって母材1を第2型20Bの金層22の上に固定できるように構成されている。超音波加工機60は、例えば、上下方向に振動して錐体状突起11で母材1を溶かしながらホーン61が下降する。そして、錐体状突起11の先端が、母材1を突き抜けて、吸引孔26の中に入った時点でホーン61の下降が止まるようになっている。ホーン61の下降の停止は、例えば超音波加工機60がホーン61の移動距離を検出し、所定距離に達した時点で超音波加工機60が自動的に下降のための動力を停止することによって行なうことができる。
この超音波加工機60は、錐体状突起11と金層22の接触を検知するためのセンサ62を備えている。例えば、ホーン61も金属で良導体であり、第1型10Bを形成する第1金属も良導体であるとすると、第1型10Bの側を正極とし、第2型20Bを負極として、センサ62によって第1型10Bから第2型20Bへの導通を検出することによって錐体状突起11と金層22の接触を検知する。超音波加工機60は、センサ62によって錐体状突起11と金層22の接触を検知した瞬間に超音波振動を強制的に停止する。それにより、超音波加工機60は、錐体状突起11の先端が破損するのを防止する。
超音波加工機60を用いる樹脂製錐体状突起成形型の製造方法は、第1金属からなる複数の錐体状突起11がアレイ状に形成されている第1型10Bと、第1金属よりもビッカース硬度の小さい第2金属で型表面20aが形成されている第2型20Bとの間に、熱可塑性フィルムからなる母材1を固定する母材固定工程と、第1型10Bと第2型20Bとの間に固定されている母材1に対して第1型10Bの複数の錐体状突起11を超音波振動させながら第2型20Bの型表面20aに向かって移動させて母材1を複数の錐体状突起11で貫かせ、複数の錐体状貫通穴がアレイ状に並んでいる錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型を成形する成形工程とを備えるものである。
上述のように、超音波加工機60を用いる樹脂製錐体状突起成形型の製造方法は、前記成形工程が、錐体状突起11と金層22の接触についての検知を行って超音波振動を停止させるか否かを判断する判断工程を含んでいてもよい。
(7−3)
例えば、上記第1実施形態や上述の変形例6−2では、母材1を一枚ずつ第1型10と第2型20の間に移動させて1枚ずつ樹脂製錐体状突起成形型を成形する場合について説明した。しかし、樹脂製錐体状突起成形型の成形は、連続的に行なってもよく、例えば、母材1を切断せずにフィルムロールから供給して、加工後にも切断せずに巻き取ってフィルムロールの形態で樹脂製錐体状突起成形型としてもよい
(7−4)
上記第1実施形態及び第2実施形態において、第1型10,10Aの錐体状突起11は、金属ブロックから削り出して形成される場合について説明した。そのため、第1型10,10Aは全体が同一の第1金属で形成されていたが、錐体状突起11は、金属ブロックに別の部品を差し込んで造ることもできる。その場合には、第1型10,10Aの錐体状突起11以外の部分は、第1金属以外の金属で形成されていてもよい。
1 母材
5 ヒータ
10,10A,10B 第1型
10a,20a 型表面
11,11A,11B 錐体状突起
12,24 ヒータ
13,25 冷媒流路
20,20A,20B 第2型
21 凹部
22 金層
23 金属ブロック
26 吸引孔
30 溶融樹脂
40 射出可塑化装置
41 ダイ
50 樹脂製錐体状突起成形型
51 錐体状貫通穴
60 超音波加工機
61 ホーン
62 センサ

Claims (6)

  1. 第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、
    前記第1金属又は前記セラミックよりもビッカース硬度が小さい第2金属で型表面が形成されている第2型と、を備え、
    前記第1型と前記第2型は、熱可塑性樹脂体に両側から接触して挟む型締めによって前記型表面に複数の前記錐体状突起が対向して配置されるとともに複数の前記錐体状突起が前記熱可塑性樹脂体中を貫通し、錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型のアレイ状に並んだ複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴を形成し得る、錐体状突起成形型製造用金型。
  2. 前記第1型は、前記第1金属又は前記セラミックのビッカース硬度が150HV以上であり、
    前記第2型は、ビッカース硬度100HV以下の前記第2金属を用いて前記型表面が形成され、前記第1型との型締めのときに複数の前記錐体状突起の先端が前記型表面に刺さるように構成されている、
    請求項1に記載の錐体状突起成形型製造用金型。
  3. 前記第2型は、ビッカース硬度100HV以下の金属ブロックと、前記金属ブロックの上に前記錐体状突起の高さよりも厚く積層されて前記型表面を構成する金層又は金合金層とを有する、
    請求項1に記載の錐体状突起成形型製造用金型。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の錐体状突起成形型製造用金型を用いて樹脂製錐体状突起成形型を成形することを特徴とする、樹脂製錐体状突起成形型の製造方法。
  5. 熱可塑性フィルムを前記熱可塑性フィルムの形状維持が可能な軟化点近傍の温度まで予熱する予熱工程と、
    第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、前記第1金属又は前記セラミックよりもビッカース硬度の小さい第2金属で型表面が形成されている第2型との間に、前記熱可塑性フィルムを配置する配置工程と、
    前記第1型と前記第2型との間に配置されている軟化した前記熱可塑性フィルムに対して前記第1型と前記第2型とを型締めして前記熱可塑性樹フィルムに両側から接触して挟むとともに前記型表面に複数の前記錐体状突起を対向して配置して前記熱可塑性フィルムを複数の前記錐体状突起で貫かせ、複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴がアレイ状に並んでいる錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型を成形する成形工程と、
    前記第1型と前記第2型とを型締めした状態で前記樹脂製錐体状突起成形型を冷却する冷却工程と
    を備える、樹脂製錐体状突起成形型の製造方法。
  6. 第1金属又はセラミックからなる、高さ30nm〜1000μmの複数の錐体状突起がアレイ状に形成されている第1型と、前記第1金属又は前記セラミックよりもビッカース硬度の小さい第2金属で型表面が形成されている第2型との間に、溶融樹脂を塗布する塗布工程と、
    前記第1型と前記第2型との間に塗布された前記溶融樹脂に対して前記第1型と前記第2型とを型締めして前記溶融樹脂に両側から接触して挟むとともに前記型表面に複数の前記錐体状突起を対向して配置して前記溶融樹脂を複数の前記錐体状突起で貫かせ、複数の錐体状貫通穴または筒状貫通穴がアレイ状に並んでいる錐体状突起物形成用の樹脂製錐体状突起成形型を成形する成形工程と、
    前記第1型と前記第2型とを型締めした状態で前記樹脂製錐体状突起成形型を冷却する冷却工程と
    を備える、樹脂製錐体状突起成形型の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018180791A1 (ja) * 2017-03-29 2018-10-04 株式会社 安永 金型
WO2019111530A1 (ja) * 2017-12-05 2019-06-13 Nissha株式会社 加飾成形品の製造方法、加飾成形品の製造装置及び加飾成形品

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