本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(電動車両10の外観構成)
図1は、実施の形態における受電装置11を含む電動車両10(車両)を示す左側面図である。図2は、電動車両10の受電装置11の近傍を拡大して示す左側面図である。図2においては、便宜上のため、後述するリヤフェンダ85Lの一部が破断して図示されており、受電装置11(ケース体65)および移動機構30が実線を用いて図示されている。
図1を参照して、電動車両10は、車両本体70および車輪19F,19B(図3中の車輪19FL,19FR,19BL,19BRを参照)を備える。車両本体70の中には、駆動室80T、乗員収容室81Tおよび荷物室82Tが設けられる。駆動室80Tの中には、図示しないエンジン(図7におけるエンジン176参照)などが収容される。
電動車両10は、図示しないバッテリ(図7におけるバッテリ150参照)を備え、ハイブリッド車両として機能する。電動車両10は、モータにより駆動される車両であれば、燃料電池車両として機能するものであってもよいし、電気自動車として機能するものであってもよい。本実施の形態においては、受電対象が車両であるが、受電対象は車両以外のものであってもよい。
車両本体70の左側面71には、乗降用開口部82L、ドア83L、フロントフェンダ84L、フロントバンパ86T、リヤフェンダ85Lおよびリヤバンパ87Tが設けられる。乗降用開口部82Lは、乗員収容室81Tに連通する。ドア83Lは、乗降用開口部82Lを開閉する。
リヤバンパ87Tの近傍には、カメラ120が設けられる。カメラ120は、電動車両10(受電装置11)と後述する外部給電装置61(図5参照)との相対的な位置関係を検知するために用いられる。カメラ120は、電動車両10の後方を撮影可能なように、たとえばリヤバンパ87Tに固定される(図3参照)。車両本体70の上部には、通信部160が設けられる。通信部160は、電動車両10と外部給電装置61(図5参照)との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
図1および図2を参照して、車両本体70は、底面76を有する。受電装置11および受電装置11に含まれる受電部200(図3参照)は、車両本体70の底面76に設けられる。ケース体65は、受電部200を収容している。受電装置11のケース体65は、移動機構30(図2参照)に支持され、格納位置S1、検知位置S2および受電位置S3に移動可能に構成されている(図9等を参照して詳細は後述する)。
移動機構30が駆動されることによって、ケース体65内の受電部200は、図2中の矢印AR1に示されるように昇降移動する。昇降移動によって、受電部200は、格納位置S1、検知位置S2および受電位置S3に移動する。電動車両10が走行している時、受電部200は格納位置S1に配置される。受電部200は、検知位置S2に配置された時、受電部200が位置している場所において外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界の強度を検知することができる(詳細は後述する)。受電部200は、受電位置S3に配置された時、外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界によって非接触で受電することができる(詳細は後述する)。
図3は、電動車両10を示す底面図である。図3において、「D」は、鉛直方向下方Dを示す。「L」は、車両左方向Lを示す。「R」は、車両右方向Rを示す。「F」は、車両前進方向Fを示す。「B」は、車両後進方向Bを示す。受電部200および移動機構30は、車両本体70の底面76に設けられる。受電部200が底面76に設けられている場合には、受電装置11が底面76に設けられている状態において、後述するケース体65内に受電部200が収容されていることが含まれている。
底面76は、中央部P1を有する。中央部P1は、電動車両10の前後方向の中央に位置すると共に、電動車両10の幅方向の中央に位置する。電動車両10には、電動車両10の幅方向に配列する前輪19FR,19FLと、電動車両10の幅方向に配列する後輪19BR,19BLとが設けられる。前輪19FR,19FLが駆動輪を構成していてもよいし、後輪19BR,19BLが駆動輪を構成していてもよいし、これらの前輪および後輪のすべてが駆動輪を構成していてもよい。
電動車両10の底面76とは、電動車両10の車輪19FL,19FR,19RL,19RBが地面に接地している状態において、地面に対して鉛直方向下方に離れた位置から電動車両10を見たときに、電動車両10のうちの視認可能な領域である。底面76の外周縁部は、前縁部34F、後縁部34B、右縁部34Rおよび左縁部34Lを含む。
前縁部34Fは、前輪19FRおよび前輪19FLよりも車両前進方向F側に位置する。右縁部34Rおよび左縁部34Lは、電動車両10の幅方向に配列する。右縁部34Rおよび左縁部34Lは、前縁部34Fおよび後縁部34Bの間に位置する。後縁部34Bは、後輪19BRおよび後輪19BLよりも車両後進方向B側に位置する。
後縁部34Bは、後辺部66B、右後辺部66Rおよび左後辺部66Lを有する。後辺部66Bは、電動車両10の幅方向に延びる。右後辺部66Rは、後辺部66Bの一方の端部に連続し、後輪19BRに向けて延びる。左後辺部66Lは、後辺部66Bの他方の端部に連続し、後輪19BLに向けて延びる。
電動車両10の底面76には、フロアパネル69、サイドメンバ67S、およびクロスメンバが設けられる。フロアパネル69は、板状の形状を有し、車両本体70の内部と車両本体70の外部とを区画する。サイドメンバ67Sは、フロアパネル69の下面に配置される。フロアパネル69には、車両本体70の搭載機器として、排気マフラー67E(図2参照)、燃料タンク67T(図3参照)、および排気管等が設けられる。
移動機構30は、電動車両10の底面76に設けられ、後輪19BRおよび後輪19BLの間に配置される。移動機構30は、ケース体65を支持する。ケース体65(受電部200)が電動車両10の底面76に配置されている状態では、ケース体65(受電部200)は後輪19BRおよび後輪19BLの間に位置している。受電装置11の近傍には、バッテリ150が配置される。
移動機構30を車両本体70の底面76に固定するためには、各種の方法を採用することができる。たとえば、サイドメンバ67Sまたはクロスメンバから移動機構30を懸架することにより、移動機構30を車両本体70の底面76に固定することができる。移動機構30は、フロアパネル69に固定されてもよい。移動機構30が設けられる位置は、図3に示す構成に限られない。移動機構30は、図3中に記載している移動機構30の位置よりも車両前進方向Fの側に設けられていてもよいし、車両後進方向Bの側に設けられていてもよい。
図4は、受電装置11および外部給電装置61(送電装置50)を示す斜視図である。図5は、受電装置11を含む電動車両10および送電装置50を含む外部給電装置61を示す斜視図である。図5においては、電動車両10が駐車スペース52内に停車し、電動車両10の受電部200が外部給電装置61(送電部56)におおよそ対向している状態が示されている。図5においては、受電部200が車両本体70の格納位置に配置されている状態(移動機構30によって受電部200が下降移動されていない状態)が示されている。
(外部給電装置61)
図4および図5を参照して、外部給電装置61は、送電装置50および複数の発光部231(図5参照)を含む。送電装置50は、送電部56(図4参照)を有し、駐車スペース52(図5参照)内に設けられる。図5に示すように、駐車スペース52には、電動車両10を所定位置に停車させるために、駐車位置または駐車範囲を示すライン52Tが設けられている。4つの発光部231は、送電装置50の位置を示すために設けられ、送電装置50上の四隅にそれぞれ位置している。発光部231は、たとえば発光ダイオードなどを含む。
図4を参照して、送電部56は、ケース体62内に収容されている。ケース体62は、上方(鉛直方向上方U)に向けて開口するように形成されたシールド63と、シールド63の開口部を閉塞するように設けられた蓋部62Tとを含む。シールド63は、銅などの金属材料から形成されている。蓋部62Tは、樹脂などから形成されている。図4においては、送電部56を明瞭に表現するために、蓋部62Tは2点鎖線を用いて図示されている。
送電部56は、ソレノイド型のコイルユニット60と、コイルユニット60に接続されたキャパシタ59とを含む。コイルユニット60は、フェライトコア57と、送電コイル58(一次コイル)と、固定部材161とを含む。固定部材161は、樹脂から形成されている。フェライトコア57は、固定部材161内に収容されている。送電コイル58は、巻回軸O1の周囲を取り囲むようにして、固定部材161の周面に巻回して形成されている。
送電コイル58は、送電コイル58の一端から送電コイル58の他端に向かうにつれて、巻回軸O1の周囲を取り囲むと共に巻回軸O1の延びる方向に変位するように形成されている。図4においては、便宜上のため、送電コイル58に用いられるコイル線の間隔を実際のものよりも広く図示している。詳細は後述されるが、送電コイル58は、高周波電源装置64(図6参照)に接続されている。
本実施の形態においては、送電コイル58の巻回軸O1は、直線状に延びる形状を有する。巻回軸O1は、対向方向D1(第1の方向)に対して交差する第2の方向(本実施の形態においては直交する方向)に向かって延びている。対向方向D1とは、送電コイル58が受電部200の受電コイル22に対向する方向である。本実施の形態において巻回軸O1が対向方向D1に対して交差するとは、巻回軸O1が対向方向D1に対して直交していることまたは実質的に直交していることを意味する。実質的に直交するとは、直交している状態からたとえば0°より大きく±15°以下の範囲でずれた状態で交差している場合を含む。
巻回軸O1は、好ましくは、対向方向D1に対して80°以上100°以下の角度範囲で交差しているとよい。巻回軸O1は、より好ましくは、対向方向D1に対して85°以上95°以下の角度範囲で交差しているとよい。巻回軸O1は、最適には、対向方向D1に対して90°の角度で交差しているとよい。本実施の形態における対向方向D1は、駐車スペース52(図5参照)の表面(地面)に対して垂直な方向であり、巻回軸O1は、駐車スペース52の表面(地面)に対して平行な方向に延びている。
送電コイル58の巻回軸O1は、たとえば、送電コイル58の長さ方向における一方の端部から送電コイル58の長さ方向における他方の端部にわたって送電コイル58を単位長さに区分したとき、その単位長さ毎の送電コイル58の曲率中心点またはその曲率中心点の近傍を通る線を描くことで形成される。単位長さ毎の送電コイル58の曲率中心点から仮想線である巻回軸O1を導く方法としては、線形近似、対数近似、および多項式近似などの各種近似方法が挙げられる。
本実施の形態における送電コイル58の巻回軸O1は、駐車スペース52(図5参照)に設けられたライン52Tに対して平行な方向に延びている。ライン52Tは、電動車両10を駐車スペース52内に誘導する際に、電動車両10の前後方向に沿って延びるように設けられている。送電部56(送電装置50)は、駐車スペース52に停車した電動車両10の前後方向に沿って巻回軸O1が延びるように配置されている(図5参照)。
(受電装置11)
受電装置11の受電部200は、ケース体65内に収容されている。ケース体65は、下方(鉛直方向下方D)に向けて開口するように形成されたシールド66と、シールド66の開口部を閉塞するように配置された蓋部67とを含む。シールド66は、銅などの金属材料から形成されている。蓋部67は、樹脂などから形成されている。
シールド66は、天板部70Tおよび環状の周壁部71Tを含む。天板部70Tは、フロアパネル69(図3参照)に対向する。周壁部71Tは、天板部70Tの外周縁から鉛直方向下方Dに垂れ下がる形状を有している。周壁部71Tは、端面壁72,73および側面壁74,75を有する。端面壁72および端面壁73は、受電コイル22の巻回軸O2が延びる方向に配列される。側面壁74および側面壁75は、端面壁72および端面壁73の間に配置される。
受電部200は、ソレノイド型のコイルユニット24と、コイルユニット24に接続されたキャパシタ23とを含む。コイルユニット24は、フェライトコア21と、受電コイル22(二次コイル)と、固定部材68とを含む。固定部材68は、樹脂から形成されている。フェライトコア21は、固定部材68内に収容されている。受電コイル22は、巻回軸O2の周囲を取り囲むようにして、固定部材68の周面に巻回して形成されている。
受電コイル22は、受電コイル22の一端から受電コイル22の他端に向かうにつれて、巻回軸O2の周囲を取り囲むと共に巻回軸O2の延びる方向に変位するように形成されている。図4においては、便宜上のため、受電コイル22に用いられるコイル線の間隔を実際のものよりも広く図示している。詳細は後述されるが、受電コイル22は、整流器13(図6参照)に接続されている。図4の中では、受電部200および送電部56は同じ大きさを有しているが、受電部200および送電部56は、互いに異なる大きさを有していてもよい。
本実施の形態においては、受電コイル22の巻回軸O2は、直線状に延びる形状を有する。巻回軸O2は、対向方向D1(第1の方向)に対して交差する第2の方向(本実施の形態においては直交する方向)に向かって延びている。対向方向D1とは、送電コイル58が受電部200の受電コイル22に対向する方向である。本実施の形態において巻回軸O2が対向方向D1に対して交差するとは、巻回軸O2が対向方向D1に対して直交していることまたは実質的に直交していることを意味する。実質的に直交するとは、直交している状態からたとえば0°より大きく±15°以下の範囲でずれた状態で交差している場合を含む。
巻回軸O2は、好ましくは、対向方向D1に対して80°以上100°以下の角度範囲で交差しているとよい。巻回軸O2は、より好ましくは、対向方向D1に対して85°以上95°以下の角度範囲で交差しているとよい。巻回軸O2は、最適には、対向方向D1に対して90°の角度で交差しているとよい。
受電コイル22の巻回軸O2は、たとえば、受電コイル22の長さ方向における一方の端部から受電コイル22の長さ方向における他方の端部にわたって受電コイル22を単位長さに区分したとき、その単位長さ毎の受電コイル22の曲率中心点またはその曲率中心点の近傍を通る線を描くことで形成される。単位長さ毎の受電コイル22の曲率中心点から仮想線である巻回軸O2を導く方法としては、線形近似、対数近似、および多項式近似などの各種近似方法が挙げられる。
図3を再び参照して、本実施の形態における受電部200(受電装置11)は、巻回軸O2が車両本体70の前後方向に沿って延びるように配置されている(図5も参照)。巻回軸O2を直線状に延長した場合、その延長線は、前縁部34Fと後縁部34Bとを通過する。受電部200の受電コイル22は、中央部P2を有している。
中央部P2とは、受電コイル22の巻回軸O2上に位置する仮想点であり、巻回軸O2が延びる方向において受電コイル22の中央部に位置する。中央部P2は、受電部200を鉛直方向に沿って平面視したときの受電コイル22の長手方向の中心に位置している。換言すると、受電コイル22のコイル線のうちの巻回軸O2が延びる方向(第1方向とする)において最も端部に位置している部分と、受電コイル22のコイル線のうちの巻回軸O2が延びる方向(上記第1方向とは逆の第2方向)において最も端部に位置している部分との丁度真ん中に位置している。受電部200は、中央部P1よりも車両後進方向B側(後縁部34Bに近い位置)に位置する。受電コイル22の中央部P2は、前縁部34F、後縁部34B、右縁部34Rおよび左縁部34Lのうち、後縁部34Bに最も近い位置に配置されている。
本実施の形態の電力伝送システム(図6,7中の電力伝送システム1000参照)においては、電動車両10がライン52T(図5参照)などを目印として駐車スペース52に駐車された時には、受電コイル22の巻回軸O2が送電コイル58の巻回軸O1に対して平行に配置されることが企図されている。受電部200と送電部56との間で電力を伝送する際には、移動機構30(図2参照)によって下降移動された受電装置11(受電部200)と送電装置50(送電部56)とが鉛直方向に対向することが企図されている。
(電力伝送システム1000)
図6は、実施の形態における電力伝送システム1000を模式的に示す図である。図7は、電力伝送システム1000の回路構成の詳細を示す図である。図6および図7を参照して、電力伝送システム1000は、外部給電装置61および電動車両10を備える。
(外部給電装置61)
外部給電装置61は、上述の送電装置50(送電部56など)に加えて、通信部230、送電ECU55、高周波電源装置64、表示部242(図7参照)および料金受領部246(図7参照)を含む。
送電部56は、送電コイル58およびキャパシタ59を有する。図7においては、便宜上のためコイルユニット60(フェライトコア57)を記載していない。送電コイル58は、キャパシタ59および高周波電源装置64に電気的に接続される。高周波電源装置64は、交流電源64Eに接続される。交流電源64Eは、商用電源であっても、独立電源装置であってもよい。
図7に示す例においては、送電コイル58およびキャパシタ59は互いに直列に接続されている。送電コイル58およびキャパシタ59は、互いに並列に接続されていてもよい。送電コイル58は、浮遊容量を有する。送電コイル58のインダクタンスと、送電コイル58の浮遊容量およびキャパシタ59のキャパシタンスとによって電気回路(LC共振回路)が形成される。キャパシタ59は、必須の構成ではなく、必要に応じて用いられるとよい。
送電コイル58は、受電部200の受電コイル22へ、電磁誘導により非接触で電力を送電する。送電コイル58については、受電コイル22との距離、ならびに送電コイル58および受電コイル22の周波数等に基づいて、送電コイル58と受電コイル22との結合度を示す結合係数(κ)等が適切な値となるようにその巻数およびコイル間距離が適宜設定される。
送電ECU55は、CPU、記憶装置および入出力バッファを含み、各センサ等からの信号の入力および各機器への制御信号の出力を行なうとともに、外部給電装置61における各機器の制御を行なう。これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
送電ECU55は、高周波電源装置64の駆動を制御する。高周波電源装置64は、送電ECU55からの制御信号MOD(図7参照)によって制御され、交流電源64Eから受ける電力を高周波の電力に変換する。高周波電源装置64は、変換した高周波電力を送電コイル58へ供給する。
通信部230は、外部給電装置61と電動車両10(通信部160)との間で無線通信を行なうための通信インターフェースである。通信部230は、通信部160から送信されるバッテリ情報INFO、テスト磁界(若しくはテスト電界)の形成の開始および停止、ならびに本格的な送電の開始および停止を指示する信号STRT,STPを受信し、これらの情報を送電ECU55へ出力する。
料金受領部246には、充電に先立って、現金、プリペイドカード、またはクレジットカードなどが挿入される。表示部242は、充電電力単価などをユーザに対して表示する。表示部242は、タッチパネルのように入力部としての機能も有しており、充電電力単価をユーザが承認するか否かの入力を受け付けることができる。送電ECU55は、充電電力単価が承認された場合には、高周波電源装置64に本格的な充電を開始させる。充電が完了した後、料金受領部246において料金が精算される。
本実施の形態の電力伝送システム1000においては、外部給電装置61から電動車両10への本格的な給電が行なわれることに先だって、電動車両10が外部給電装置61に向かって誘導され、受電装置11と送電装置50との位置合わせが行なわれる。
位置合わせは、まず、第1段階においては、カメラ120によって撮影される画像に基づいて受電装置11と送電装置50との位置関係が検知され、その検知結果に基づいて送電装置50へ電動車両10を誘導するように、電動車両10の走行が制御される。複数の発光部231(図5参照)がカメラ120によって撮影され、複数の発光部231の位置および向きが画像認識される。画像認識の結果に基づいて送電装置50と電動車両10との位置および向きが認識され、その認識結果に基づいて送電装置50へ電動車両10が誘導される。
受電装置11および送電装置50の対向面積は、車両本体70の底面76(図3参照)の面積よりも小さい。送電装置50は、電動車両10の下部に入り込む。カメラ120が送電装置50(発光部231)を撮影できなくなった後(または、カメラ120が送電装置50(発光部231)を撮影しなくなった後)、位置合わせ制御は、第1段階から第2段階に切替わる。
第2段階においては、送電ECU55が、高周波電源装置64に微弱電力によるテスト信号を送信させる。送電装置50は、微弱電力を受けてテスト磁界(またはテスト電界)を形成する。微弱電力とは、認証後にバッテリを充電する充電電力よりも小さい電力、あるいは、位置合わせの際に送電する電力であって間欠的に送電する電力を含んでも良い。この微弱電力によって、送電装置50の周囲にはテスト磁界(またはテスト電界)が形成される。
第2段階の時にテスト磁界を形成するために送電装置50からテスト信号として送出される電力の大きさは、送電装置50と受電装置11との位置合わせの完了後に送電装置50から受電装置11へ供給される充電のための電力よりも小さく設定される。第2段階時に送電装置50がテスト磁界を形成するのは、送電装置50と受電部200との間の距離を検知し、送電装置50と電動車両10(受電装置11)との相対位置を測定するためであり、本格的な給電を行なう際の大電力は不要だからである。
テスト磁界による磁界強度は、電動車両10の底面76に設けられた受電部200によって検知される。受電部200がテスト磁界による磁界強度を検知するときは、受電部200は移動機構30によって検知位置S2(図11〜図13を参照して詳細は後述する)に配置される。受電部200を用いて検知した磁界強度に基づいて、送電装置50と受電装置11との距離が検知される。距離に関する情報に基づいて、送電装置50へ電動車両10がさらに誘導され、送電装置50と受電装置11との位置合わせが行なわれる(詳細なフローは、図15〜図20を参照して後述する)。
(電動車両10)
図7を主として参照して、電動車両10は、受電装置11、移動機構30、調整器9、整流器13、リレー146、抵抗負荷392、受電電圧計測部(電圧センサ190T)、バッテリ150、バッテリ150に充電を行なう充電器(DC/DCコンバータ142)、システムメインリレーSMR1,SMR2、昇圧コンバータ162、インバータ164,166、モータジェネレータ172,174、エンジン176、動力分割装置177、車輪19F,19B、制御装置180、給電ボタン122、カメラ120、表示部142D、および通信部160を含む。
上述のとおり、受電装置11の受電部200は、移動機構30に支持されている。移動機構30が駆動されることによって、受電部200は昇降移動することができる。昇降移動によって受電部200は、格納位置S1、検知位置S2および受電位置S3に移動可能に構成されている(図9等を参照して詳細は後述する)。受電装置11の受電部200は、電動車両10が駐車スペース52(図6参照)内の所定位置に停車し、受電部200が受電位置S3に配置されて送電装置50に対向した状態で、送電装置50から非接触で電力を受電する。
調整器9は、バッテリ150から移動機構30(後述するモータ82(図9参照))に供給される電力量を調整する。制御装置180は、調整器9に制御信号AGを送信し、調整器9を介して移動機構30の駆動を制御する。制御装置180は、制御信号AGを調整器9に送信することにより、受電部200を格納位置S1から検知位置S2に移動させたり、受電部200を検知位置S2から受電位置S3に移動させたり、受電部200を受電位置S3から格納位置S1に移動させたりすることができる。
リレー146および抵抗負荷392は、互いに直列接続されており、整流器13とDC/DCコンバータ142との間に設けられる。リレー146は、後に説明するように、電動車両10が非接触給電を行なうことに先立って車両位置を調整する際に、制御装置180(制御装置180からの制御信号SE3)によって導通状態に制御される。
受電装置11の受電部200は、受電コイル22およびキャパシタ23を有する。図7においては、便宜上のためコイルユニット24(フェライトコア21)を記載していない。受電コイル22は、キャパシタ23および整流器13に接続される。図7に示す例においては、受電コイル22およびキャパシタ23は互いに直列に接続されている。受電コイル22およびキャパシタ23は、互いに並列に接続されていてもよい。
受電コイル22は、浮遊容量を有する。受電コイル22のインダクタンスと、受電コイル22の浮遊容量およびキャパシタ23のキャパシタンスとによって電気回路(LC共振回路)が形成される。キャパシタ23は、必須の構成ではなく、必要に応じて用いられるとよい。
整流器13は、受電装置11に接続されており、受電装置11から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ142に供給する。バッテリ150は、DC/DCコンバータ142に接続される。DC/DCコンバータ142は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ150に供給する。
整流器13としては、たとえば、ダイオードブリッジおよび平滑用のコンデンサ(いずれも図示せず)を含む。整流器13としては、スイッチング制御を用いて整流を行なう、いわゆるスイッチングレギュレータを用いることも可能である。整流器13としては、整流器13が受電部200に含まれる場合もあり、発生する電磁場に伴うスイッチング素子の誤動作等を防止するために、ダイオードブリッジのような静止型の整流器とすることがより好ましい。
電動車両10は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。電動車両10は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。2経路のうちの一方は車輪19F,19Bへ伝達される経路であり、2経路のうちの他方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、バッテリ150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)が予め定められた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、バッテリ150が充電される。
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ174は、バッテリ150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。モータジェネレータ174の駆動力は、車輪19F,19Bに伝達される。
電動車両10の制動時または下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーまたは位置エネルギーとして電動車両10に蓄えられた力学的エネルギーが車輪19F,19Bを介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。モータジェネレータ174は、回生ブレーキとして作動し、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する。モータジェネレータ174により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車を使用することができる。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および車輪19F,19Bに連結される。
バッテリ150は、充放電可能に構成された電力貯蔵要素である。バッテリ150は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池もしくは鉛蓄電池などの二次電池、または電気二重層キャパシタなどの蓄電素子から構成される。バッテリ150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。バッテリ150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。
バッテリ150としては、大容量のキャパシタも採用可能である。バッテリ150としては、外部給電装置61から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
バッテリ150には、いずれも図示しないが、バッテリ150の電圧VBおよび入出力される電流IBを検出するための電圧センサおよび電流センサが設けられる。これらの検出値は、制御装置180へ出力される。制御装置180は、この電圧VBおよび電流IBに基づいて、バッテリ150の充電状態(SOC)を演算する。
システムメインリレーSMR1は、バッテリ150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、バッテリ150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、バッテリ150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路を含む。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて制御され、電力ラインPL1と電力ラインNLとの間に印加される電圧を昇圧して、電力ラインPL2および電力ラインNLの間に出力する。
インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路を含む。インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動する。インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。
整流器13は、受電コイル22によって取り出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器13によって整流された電力をバッテリ150の電圧レベルに変換してバッテリ150へ出力する。DC/DCコンバータ142は、必須の構成ではなく、必要に応じて用いられるとよい。DC/DCコンバータ142が用いられない場合には、外部給電装置61の送電装置50と高周波電源装置64との間に整合器を設けるとよい。この整合器は、インピーダンスを整合し、DC/DCコンバータ142を代用することができる。
システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142とバッテリ150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの制御信号SE2が活性化されると、バッテリ150をDC/DCコンバータ142に電気的に接続し、制御信号SE2が非活性化されると、バッテリ150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成する。制御装置180は、生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。電動車両10の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
外部給電装置61から電動車両10への給電が行なわれることに先立って、制御装置180は、ユーザの操作などによる充電開始信号TRGを給電ボタン122を通して受ける。制御装置180は、所定の条件が成立したことに基づいて、テスト磁界(またはテスト電界)の形成の開始を指示する信号STRTを、通信部160を通して外部給電装置61へ出力する。
電動車両10の表示部142Dは、制御装置180が外部給電装置61と通信を行なった後、たとえば、外部給電装置61の送電部56が電動車両10の受電部200に適合するか否かの判断結果などを表示する。適合可能と判断され且つユーザーによる承認などが入力された場合、通信部160と通信部230とは無線でさらに通信を行ない、受電装置11と送電装置50の位置合わせを行なうための情報がこれらの間でやり取りされる。
制御装置180は、カメラ120によって撮影された画像をカメラ120から受ける。制御装置180は、外部給電装置61から送出される電力の情報(電圧および電流)を外部給電装置61から通信部160を介して受ける。制御装置180は、カメラ120からのデータに基づいて、送電装置50へ電動車両10を誘導するように後述の方法により電動車両10の駐車制御を実行する。
カメラ120を用いた駐車制御の後、制御装置180は、テスト磁界の磁界強度(またはテスト電界の電界強度)を受電部200を用いて検知するために、調整器9に制御信号AGを送信し、調整器9を介して移動機構30の駆動を制御する。受電部200は、検知位置S2に配置される。
受電部200が検知位置S2に配置されるタイミングは、カメラ120を用いた駐車制御の後であってもよいし、カメラ120を用いた駐車制御の最中であってもよいし、カメラ120を用いた駐車制御の前であってもよい。制御装置180は、制御信号SE2をシステムメインリレーSMR2(図7参照)に送出してシステムメインリレーSMR2をオフ状態とし、制御信号SE3をリレー146(図7参照)に送出してリレー146をオン状態とする。
電圧センサ190Tは、整流器13とバッテリ150とを結ぶ電力線対間に設けられる。一時的にリレー146をオン状態とすることにより、抵抗負荷392は電圧センサ190Tに接続される。電圧センサ190Tは、抵抗負荷392の両端の電圧を測定する。電圧センサ190Tによる測定結果は、検知位置S2に配置された受電部200が検知した磁界強度Ht(または電界強度)として、電圧センサ190Tから制御装置180に送出される。
制御装置180は、テスト磁界の磁界強度Ht(またはテスト電界の電界強度)に関する情報を、電圧センサ190Tを通して得ることができる。この情報を得るためのテスト磁界の形成要求(微弱電力の送電要求)が、通信部160,230を通して電動車両10から外部給電装置61に伝えられる。制御装置180は、電圧センサ190Tからのデータに基づいて、外部給電装置61の送電装置50へ電動車両10を誘導するように後述の方法により電動車両10の駐車制御を実行する。
送電装置50への電動車両10の駐車制御が完了すると、制御装置180は、通信部160を介して外部給電装置61へ給電指令を送信するとともに、制御信号SE2を活性化してシステムメインリレーSMR2をオンさせる。制御装置180は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDをDC/DCコンバータ142へ出力する。
送電装置50への電動車両10の駐車制御が完了すると、制御装置180は、制御信号AGを出力することにより、調整器9を制御する。調整器9は、制御信号AGに基づいて移動機構30を駆動し、受電装置11の受電部200を移動させる。受電部200は、受電位置S3に配置される。受電部200と送電部56とが互いに対向した状態で、これらの間で本格的な電力伝送が行なわれる。
電動車両10に非接触給電により充電が行なわれている際には、DC/DCコンバータ142に対する入力電圧を、検出値(電圧VR)として電圧センサ190Tが検出する。電圧センサ190Tは、整流器13とDC/DCコンバータ142との間の電圧VRを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
電圧センサ190Tは、整流器13の二次側の直流電圧、すなわち送電装置50から受電した受電電圧を検出し、その検出値(電圧VR)を制御装置180に出力する。制御装置180は、電圧VRによって受電効率を判断し、通信部160を経由して外部給電装置61に受電効率に関する情報を送信する。制御装置180は、バッテリ150が満充電になったこと、またはユーザによる操作などに基づいて、送電の停止を指示する信号STPを、通信部160を通して外部給電装置61へ出力する。
(制御装置180)
図8は、図7に示した制御装置180の機能ブロック図である。制御装置180は、IPA(Intelligent Parking Assist)−ECU(Electronic Control Unit)410と、EPS(Electric Power Steering)420と、MG(Motor-Generator)−ECU430と、ECB(Electronically Controlled Brake)440と、EPB(Electric Parking Brake)450と、検知ECU460と、昇降ECU462と、HV(Hybrid Vehicle)−ECU470とを含む。
IPA−ECU410は、車両の動作モードが充電モードのとき、カメラ120から受ける画像情報に基づいて、外部給電装置61の送電装置50へ車両を誘導する誘導制御を実行する(第1の誘導制御)。IPA−ECU410は、カメラ120から受ける画像情報に基づいて送電装置50を認識する。IPA−ECU410は、カメラ120に映し出された複数の発光部231の映像に基づいて、電動車両10と送電装置50との位置関係(おおよその距離および向き)を認識する。IPA−ECU410は、その認識結果に基づいて、送電装置50へ適切な向きで電動車両10が誘導されるようにEPS420へ指令を出力する。
IPA−ECU410は、送電装置50に電動車両10が近づくことによって送電装置50が車体下部に入り込み、カメラ120が送電装置50を撮影しなくなると、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の終了をHV−ECU470へ通知する。EPS420は、第1の誘導制御時、IPA−ECU410からの指令に基づいてステアリングの自動制御を行なう。
カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の終了後には、昇降ECU462は、調整器9を制御し、移動機構30を用いて受電装置11(受電部200)を検知位置S2に配置させる。上述の通り、受電部200が検知位置S2に配置されるタイミングは、第1の誘導制御の前でもよいし、第1の誘導制御の後でもよいし、第1の誘導制御の最中でもよい。
車両駆動部としてのMG−ECU430は、HV−ECU470からの指令に基づいて、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を制御する。MG−ECU430は、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を駆動するための信号を生成してそれぞれインバータ164,166および昇圧コンバータ162へ出力する。
ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、電動車両10の制動を制御する。ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、油圧ブレーキの制御を行なうとともに、油圧ブレーキとモータジェネレータ174による回生ブレーキとの協調制御を行なう。EPB450は、HV−ECU470からの指令に基づいて、電動パーキングブレーキの制御を行なう。
検知ECU460は、外部給電装置61から送出される電力の情報を外部給電装置61から通信部160,230を通して受ける。検知ECU460は、テスト磁界の磁界強度Htに関する情報を電圧センサ190Tから受ける。検知ECU460は、たとえば外部給電装置61からの送電電圧と磁界強度Htに関する情報から算出される電圧とを比較することによって、送電装置50と電動車両10との距離を算出する。検知ECU460は、検出した距離に基づいて電動車両10を誘導するための第2の誘導制御を行なう。
制御部としてのHV−ECU470は、第1および第2の誘導制御のいずれかの結果に基づいて車両を駆動するMG−ECU430を制御して、電動車両10を移動させる。受電部200を含む受電装置11、車両駆動部としてのMG−ECU430、および制御部としてのHV−ECU470は、駐車支援装置として機能することができる。
HV−ECU470は、IPA−ECU410が送電装置50を検出しなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても電圧センサ190T(受電部200)が検知する磁界強度Htが所定の受電可能条件を満たさない場合には、電動車両10の移動を停止させるための処理を行なう。この処理は、自動でブレーキをかける処理であっても良いし、運転者にブレーキを踏むように指示する処理でも良い。
HV−ECU470は、IPA−ECU410が送電装置50の位置を検出しなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても電圧センサ190T(受電部200)が検知する磁界強度Htが所定の受電可能条件を満たさない場合には、電圧センサ190T(受電部200)による磁界強度の検知を停止させ検知ECU460による誘導(第2の誘導制御)を中断する。
HV−ECU470は、IPA−ECU410が送電装置50の位置を検出しなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に電圧センサ190T(受電部200)が検知する磁界強度Htが所定の受電可能条件を満たした場合には、検知ECU460による誘導(第2の誘導制御)を終了し、送電装置50から車載のバッテリ150への充電を行なう準備を開始する。昇降ECU462は、調整器9を制御し、移動機構30を用いて受電装置11(受電部200)を受電位置S3に配置させる。
好ましくは、HV−ECU470は、電動車両10を自動停止させ検知ECU460による誘導を中断した後に、運転者による駐車位置の変更後に運転者の指示(パーキングレンジへの設定操作など)に応じて受電装置11による電力の送信または受信を開始し、受電装置11が送電装置50から受電する電力が受電可能条件を満たしている場合には送電装置50から車載のバッテリ150への充電を開始し、受電装置11が送電装置50から受電する電力が受電可能条件を満たさない場合には運転者に対して警告を行なうとよい。
(移動機構30)
図9は、受電部200および移動機構30を示す斜視図である。受電装置11は、受電部200および移動機構30を含む。移動機構30は、受電部200を送電部56に向けて移動させることができる。換言すると、移動機構30は、受電部200を格納位置S1(図11参照)から検知位置S2(図11,12参照)へと移動させること、受電部200を検知位置S2から受電位置S3(図11,13参照)へと移動させること、および受電部200を格納位置S1から受電位置S3へ移動させることができる。
移動機構30は、受電部200を送電部56から離れるように受電部200を移動させることもできる。換言すると、移動機構30は、受電部200を受電位置S3(図11,13参照)から格納位置S1(図11参照)へ移動させること、受電部200を検知位置S2(図11,12参照)から格納位置S1へ移動させること、および、受電部200を受電位置S3(図11,13参照)から検知位置S2へ移動させることができる。
本実施の形態においては、移動機構30はいわゆる平行リンク機構を構成しており、受電部200は水平な姿勢を保ったまま回動するようにして斜め下方に移動したり、水平な姿勢を保ったまま回動するようにして斜め上方に移動することができる。本実施の形態においては、検知位置S2および受電位置S3は、格納位置S1から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。受電位置S3は、検知位置S2から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。
図9中の右上に位置する点線で示される受電部200は、受電部200が電動車両10の車両本体70に対して格納され、受電部200が格納位置S1に配置されているときの状態を示している。受電部200が格納位置S1に配置されているとは、受電部200のうちのある基準点が、空間上のある位置(仮想点)である格納位置S1を含むように(換言すると、受電部200のうちのある基準点が、格納位置S1に重なるように)配置されていることを意味する。
受電部200のうちのある基準点とは、たとえば受電コイル22の中央部P2(図3参照)である。上述のとおり、中央部P2とは、受電コイル22の巻回軸O2上に位置する仮想点であり、巻回軸O2が延びる方向において受電コイル22の中央部に位置する。中央部P2は、受電部200を鉛直方向に沿って平面視したときの受電コイル22の長手方向の中心に位置する。
図9中の中央下部に位置する実線で示される受電部200は、受電部200が電動車両10の車両本体70から下降移動され、受電部200が検知位置S2に配置されているときの状態を示している。受電部200が検知位置S2に配置されているとは、受電部200のうちの上記基準点が、空間上のある位置(仮想点)である検知位置S2を含むように(換言すると、受電部200のうちの上記基準点が検知位置S2に重なるように)配置されていることを意味する。
受電部200が配置される格納位置S1、検知位置S2および受電位置S3は、互いに異なる位置であり、それぞれ空間上の任意の位置とすることができる。本実施の形態においては、検知位置S2は、格納位置S1に比べて車両本体70の底面76(図2,3参照)から遠くに位置している。受電位置S3は、格納位置S1および検知位置S2に比べて車両本体70の底面76(図2,3参照)から遠くに位置している。
移動機構30は、リンク機構31(支持部材37および支持部材38)、駆動部32、付勢部材33(弾性部材33aおよび弾性部材33b)、保持装置34、ストッパ35および切替部36を含む。付勢部材33は、弾性部材33aおよび弾性部材33bを含む。リンク機構31は、支持部材37および支持部材38を含む。支持部材37および支持部材38は、巻回軸O2の延びる方向に互いに間隔をあけて配置され、ケース体65とともに、いわゆる平行リンク機構を構成している。
支持部材37は、回転シャフト40、脚部41および脚部42を含む。回転シャフト40は、フロアパネル69(図3参照)などに回転可能に支持される。脚部41は、回転シャフト40の一端に接続されている。脚部41の下端は、ケース体65の側面壁75に回転可能に接続されている。脚部42は、回転シャフト40の他端に接続されている。脚部42の下端は、ケース体65の側面壁74に回転可能に接続されている。
支持部材38は、回転シャフト45、脚部46および脚部47を含む。回転シャフト45は、フロアパネル69(図3参照)などに回転可能に支持される。脚部46は、回転シャフト45の一端に接続されている。脚部46の下端は、ケース体65の側面壁75に回転可能に接続されている。脚部47は、回転シャフト45の他端に接続されている。脚部47の下端は、ケース体65の側面壁74に回転可能に接続されている。
駆動部32は、ギヤ80、ギヤ81およびモータ82を含む。ギヤ80は、回転シャフト45の端部に設けられる。ギヤ81は、ギヤ80に噛み合う。モータ82は、ギヤ81を回転させる。モータ82は、ロータ95、ロータ95の周囲に設けられたステータ96、および、ロータ95の回転角度を検知するエンコーダ97を有する。ロータ95は、ギヤ81に接続される。
モータ82に電力が供給されると、ロータ95が回転する。ギヤ81が回転し、ギヤ81に噛み合うギヤ80も回転する。ギヤ80は、回転シャフト45に固定されており、回転シャフト45とともに回転する。回転シャフト45が回転することで、受電部200およびケース体65が昇降移動する。モータ82の駆動力は、受電部200およびケース体65に伝達される。モータ82の回転方向に応じて、受電部200およびケース体65は、上昇移動したり、下降移動したりする。
弾性部材33aは、脚部46とフロアパネル69(図3参照)とに接続されている。弾性部材33aの端部83は、脚部46に回転可能に接続され、脚部46の中央部よりも脚部46の下端側に位置している。弾性部材33aの端部84は、フロアパネル69に回転可能に接続され、脚部46と回転シャフト45との接続部に対して支持部材37の反対側に位置している。
弾性部材33bは、脚部47とフロアパネル69(図3参照)とに接続されている。弾性部材33bの端部85は、脚部47に回転可能に接続され、脚部47の中央部よりも脚部47の下端側に位置している。弾性部材33bの端部86は、フロアパネル69に回転可能に接続され、脚部47と回転シャフト45との接続部に対して支持部材37の反対側に位置している。
図9中の右上に位置する点線で示す受電部200を参照して、受電部200が格納位置S1に配置されているとき(受電部200が格納位置S1を含むように配置されているとき)、弾性部材33a,33bは、自然長を有しており、いわゆる自然状態(無負荷状態)を形成している。
図9中の中央下部に位置する実線で示す受電部200を参照して、受電部200が検知位置S2に配置されているとき(受電部200が検知位置S2を含むように配置されているとき)、弾性部材33a,33bは、自然長よりも長い長さを有しており、伸長した状態を形成している。弾性部材33a,33bには、引張力が作用している。引張力によって、受電部200を収容するケース体65には、受電部200が格納位置S1に戻る方向に移動するような付勢力が作用している。このような付勢力は、受電部200が受電位置S3に配置されている時にも、受電部200を収容するケース体65に作用する。
保持装置34は、装置本体88および支持部材87を含む。装置本体88は、フロアパネル69(図3参照)等に固定される。支持部材87は、装置本体88に保持され、装置本体88から突出する突出量が調整される。上述の通り、図9中の点線で示す受電部200およびケース体65は、格納位置S1を含むように位置しており、受電部200が送電部56に向けて下降移動する前の状態(格納状態)における受電部200およびケース体65を示す。
支持部材87は、格納状態におけるケース体65の底面(蓋部)を支持し、受電部200を収容しているケース体65を、車両本体70に設けられた所定の格納場所内に固定する。当該固定のためには、ケース体65の端面壁73に穴部を形成し、この穴部に支持部材87を挿入するようにしてもよい。支持部材87の駆動は、図8に示す昇降ECU462によって制御される。
一対のストッパ35は、脚部41,42の回転角度を規制するストッパ片90,91を含み、受電部200を収容しているケース体65の移動範囲を規定する。ストッパ片90は、脚部41,42に接触することにより、受電部200を収容しているケース体65が電動車両10のフロアパネル69等と接触することを抑制する。ストッパ片91は、脚部41,42に接触することにより、受電部200を収容しているケース体65が地面に置かれた部材などと接触することを抑制する。
切替部36は、回転シャフト45に固定されたギヤ92と、ギヤ92に係合するストッパ93とを含む。ストッパ93の駆動は、図8に示す昇降ECU462によって制御される。当該制御によって、ストッパ93は、ギヤ92に係合したり、ギヤ92に係合しなくなったりする。ストッパ93がギヤ92に係合することで、受電部200が下降移動する方向に回転シャフト45が回転することは規制される(規制状態)。規制状態においては、受電部200が送電部56から離れることが許容され、受電部200が送電部56に近づくことは規制される(妨げられる)。
ストッパ93がギヤ92に係合しなくなることで、受電部200が上昇移動する方向に回転シャフト45が回転することと、受電部200が下降移動する方向に回転シャフト45が回転することとは許容される(許容状態)。許容状態においては、受電部200が送電部56から離れること、および、受電部200が送電部56に近づくことが許容される。
図10は、切替部36を模式的に示す側面図であり、図9中の矢印A方向から切替部36を見たときの状態を示している。切替部36は、回転シャフト45に固定されたギヤ92と、ギヤ92に設けられた複数の歯部99に選択的に係合するストッパ93と、駆動部110とを備える。ストッパ93は、軸部98に回転可能に設けられている。軸部98には、トーションバネ111が設けられている。ストッパ93は、トーションバネ111の付勢力を受けている。ストッパ93の先端部は、ギヤ92の周面に押さえ付けられている。
駆動部110は、軸部98とともにストッパ93を回転させる。駆動部110は、ストッパ93の先端部がギヤ92の周面から離れるように、トーションバネ111の付勢力に抗してストッパ93を回転させる。駆動部110は、制御装置180(昇降ECU462)によって制御され、ストッパ93の先端部が歯部99に係合した状態と、ストッパ93の先端部がギヤ92から離れてストッパ93がギヤ92に係合していない状態とを切り替える。
回転方向Dr1は、受電部200を収容するケース体65が上昇移動する際に、回転シャフト45およびギヤ92が回転する方向であり、回転方向Dr2は、受電部200を収容するケース体65が下降移動する際に回転シャフト45およびギヤ92が回転する方向である。ストッパ93がギヤ92に係合することで、回転方向Dr2にギヤ92が回転することは規制される。ストッパ93とギヤ92とが係合した状態においても、ギヤ92は回転方向Dr1に回転することが可能である。
図7を参照して上述した通り、調整器9は、バッテリ150から移動機構30のモータ82(図9参照)に供給される電力量を調整する。制御装置180は、調整器9に制御信号AG(図7参照)を送信し、調整器9を介して移動機構30の駆動を制御する。
受電装置11の受電部200が送電部56から電力を受電するときの動作について説明する。受電部200が送電部56から電力を受電する際、電動車両10は、カメラ120および受電部200を用いた駐車支援が行われることによって所定の位置に停車(駐車)する。
(格納位置S1、検知位置S2および受電位置S3の位置関係)
図11は、電動車両10が所定の位置に停車したときにおける受電部200、ケース体65および移動機構30を示す側面図である。図11においては、受電部200が格納位置S1に配置されている状態が示されている。
ケース体65は、フロアパネル69に近接した状態で、保持装置34によって支持されている。ケース体65は格納位置に固定され、受電部200は格納位置S1を含むように位置している。この状態における付勢部材33は、自然長を有しており、付勢部材33は、受電部200を収容するケース体65に引張力を加えていない。
上述のとおり、受電部200は、検知位置S2に配置された時、受電部200が位置している場所において外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界の強度を検知することができる。受電部200は、受電位置S3に配置された時、外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界によって非接触で受電することができる。検知位置S2および受電位置S3は、格納位置S1から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。受電位置S3は、検知位置S2から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。
本実施の形態においては、受電位置S3と検知位置S2との間の距離L1が、受電位置S3と格納位置S1との間の距離L2よりも短くなるように構成されている。本実施の形態においては、鉛直方向についても、受電位置S3と検知位置S2との間の距離が、受電位置S3と格納位置S1との間の距離よりも短くなるように構成されている。
好ましくは、図11に示すように、検知位置S2と受電位置S3との間の距離L1が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離L3よりも短くなるように構成される。好ましくは、鉛直方向についても、検知位置S2と受電位置S3との間の距離が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離よりも短くなるように構成される。
受電部200が送電装置50の送電部56からのテスト磁界の磁界強度を検知する際、昇降ECU462は、保持装置34を駆動して、支持部材87をケース体65の下面から退避させる。昇降ECU462は、バッテリ150からモータ82に電力が供給されるように調整器9をONとする。
図12を参照して、モータ82に電力が供給されると、モータ82からの動力によって、支持部材38の脚部46が回転シャフト45を中心に回転する。受電部200およびケース体65は、鉛直方向下方Dの側に向かいながら、さらに車両前進方向Fの側に向かうように斜めに下降移動する。支持部材37は、支持部材38、受電部200およびケース体65の移動に追従し、回転シャフト40を中心として回転する。
付勢部材33は、受電部200およびケース体65が移動することに伴って伸長し、付勢部材33は、ケース体65に引張力を加える。ケース体65は、受電部200が格納位置S1に戻る方向に移動するように、付勢部材33によって付勢される。モータ82は、当該引張力に抗して、ケース体65を下降移動させる。エンコーダ97は、モータ82に設けられたロータ95の回転角度を昇降ECU462に送信している。昇降ECU462は、エンコーダ97からの情報に基づいて、ケース体65および受電部200の位置を把握している。
ロータ95の回転角度が受電部200が検知位置S2を含む値に到達したことを昇降ECU462が判断すると、昇降ECU462は、駆動部110(図10参照)を駆動させてストッパ93をギヤ92に係合させる。ギヤ92および回転シャフト45の回転は停止し、受電部200の下降移動も停止する。このときの回転角度θは、たとえば30°である。付勢部材33の引張力は、モータ82からの駆動力よりも小さい。受電部200およびケース体65が上昇することは、モータ82の停止によって抑制されており、受電部200およびケース体65の移動は停止している。
モータ82が受電部200およびケース体65を下降させる方向に駆動する一方で、ストッパ93がギヤ92に係合している。受電部200およびケース体65の移動は止められており、モータ82の駆動力の方が付勢部材33の引張力よりも大きいため、受電部200およびケース体65は、停止した状態が維持される。受電部200は、検知位置S2に配置された状態で(換言すると、図12に示す状態で)、送電装置50の送電部56からのテスト磁界の磁界強度を検知することが可能となる。
検知位置S2の位置は、電動車両10の種類および外部給電装置61の種類に応じて最適なものが設定されるとよい。たとえば、通信部160,230を通して外部給電装置61の種類(高さ位置、形状、駆動電力および駆動周波数などに関する情報)が外部給電装置61から電動車両10(昇降ECU462)に送信され、その送信された情報に基づいて検知位置S2の位置は決定される。受電部200が検知位置S2に配置された状態で、受電部200を用いてテスト磁界による磁界強度が検知される。受電部200を用いて検知した磁界強度に基づいて、送電装置50と受電装置11との距離が検知される。距離に関する情報に基づいて、送電装置50へ電動車両10がさらに誘導され、送電装置50と受電装置11との位置合わせが行なわれる。位置合わせが完了すると、昇降ECU462は駆動部110を駆動し、ストッパ93とギヤ92との係合状態を解除する。
図13は、受電部200が送電部56から非接触で電力を受電するときの状態を示す側面図である。受電部200を用いてテスト磁界の磁界強度を検知し、その検知した情報に基づいて送電装置50と受電装置11との位置合わせが完了した後、昇降ECU462は、受電部200を検知位置S2から受電位置S3に下降移動させる。昇降ECU462は、バッテリ150からモータ82に電力が供給されるように調整器9をONとする。
モータ82に電力が供給されると、モータ82からの動力によって、支持部材38の脚部46が回転シャフト45を中心に回転する。受電部200およびケース体65は、鉛直方向下方Dの側に向かいながら、さらに車両前進方向Fの側に向かうように斜めに下降移動する。支持部材37は、支持部材38、受電部200およびケース体65の移動に追従し、回転シャフト40を中心として回転する。
付勢部材33は、受電部200およびケース体65が移動することに伴って伸長し、付勢部材33は、ケース体65に引張力を加える。ケース体65は、受電部200が格納位置S1に戻る方向に移動するように、付勢部材33によって付勢される。モータ82は、当該引張力に抗して、ケース体65を下降移動させる。エンコーダ97は、モータ82に設けられたロータ95の回転角度を昇降ECU462に送信している。昇降ECU462は、エンコーダ97からの情報に基づいて、ケース体65および受電部200の位置を把握している。
ロータ95の回転角度が受電部200と送電部56とが対向する値に到達したこと(受電部200が受電位置S3を含むように位置したこと)を昇降ECU462が判断すると、昇降ECU462は、駆動部110(図10参照)を駆動させてストッパ93をギヤ92に係合させる。ギヤ92および回転シャフト45の回転は停止し、受電部200の下降移動も停止する。このときの回転角度θは、たとえば45°である。付勢部材33の引張力は、モータ82からの駆動力よりも小さい。受電部200およびケース体65が上昇することは、モータ82の停止によって抑制されており、受電部200およびケース体65の移動は停止している。
モータ82が受電部200およびケース体65を下降させる方向に駆動する一方で、ストッパ93がギヤ92に係合している。受電部200およびケース体65の移動は止められており、モータ82の駆動力の方が付勢部材33の引張力よりも大きいため、受電部200およびケース体65は、停止した状態が維持される。受電部200は、受電位置S3に配置された状態で(換言すると、図13に示す状態で)、送電装置50の送電部56から非接触で電力を受電することが可能となる。
受電部200と送電部56とは、所定の間隔で対向する。この状態で、送電部56から受電部200に非接触で電力が伝送される。受電部200と送電部56との間で行われる電力伝送の原理については後述する。受電部200と送電部56との間における電力伝送が完了すると、昇降ECU462は駆動部110を駆動し、ストッパ93とギヤ92との係合状態を解除する。昇降ECU462は、受電部200を収容するケース体65が上昇移動するように、調整器9の駆動を制御する。
この際、調整器9は、モータ82への電流の供給を停止する。モータ82からの駆動力がケース体65に加えられなくなると、付勢部材33からの引張力によって受電部200を収容するケース体65が上昇する。ストッパ93がギヤ92に係合した状態であっても、ギヤ92は、回転方向Dr1(図10参照)に回転することが許容されている。
昇降ECU462は、エンコーダ97が検出するロータ95の回転角度により、ケース体65および受電部200が格納位置(格納位置S1)に戻ったと判断すると、モータ82の駆動を停止させるように調整器9を制御する。昇降ECU462が保持装置34を駆動することにより、支持部材87はケース体65を固定する。受電部200は、格納位置S1に位置している状態が保持される。
受電部200およびケース体65が格納位置S1(初期位置)に戻ることで、弾性部材33a,33bの長さは自然長に戻る。仮に、受電部200およびケース体65が初期位置からさらに上昇したとすると、弾性部材33a,33bは、受電部200およびケース体65が初期位置に位置した状態よりも伸びた状態となり、弾性部材33a,33bは、受電部200およびケース体65が初期位置に戻るように受電部200およびケース体65に引張力を加える。受電部200およびケース体65は、所定の格納位置に良好に戻される。受電部200およびケース体65を上昇移動させる際に、付勢部材33の引張力のみならず、モータ82を駆動させて、受電部200およびケース体65を上昇移動させるようにしてもよい。
受電部200およびケース体65を下方移動させている過程において、モータ82が良好に駆動しなくなる場合が想定される。この場合、付勢部材33の引張力によって、受電部200およびケース体65は上昇移動する。受電部200およびケース体65の下がった状態が維持されることを抑制することができる。
ケース体65および受電部200は、図11に示す格納位置(格納位置S1)から図12,13に示す受電位置(検知位置S2および受電位置S3)に移動するまで間に、縁石などの異物によって移動が妨げられる場合がある。受電位置S3とは、受電部200が送電部56から電力を受電するときの位置である。この際、昇降ECU462は、調整器9がONの状態であって、ロータ95の回転角度が所定期間に亘って変化しないことを検知すると、受電部200およびケース体65が上昇するように調整器9を制御する。
調整器9は、受電部200およびケース体65が上昇する方向にロータ95が回転するように、モータ82に電力を供給する。駆動部32から受電部200に加えられる駆動力が所定値以上となることを抑制することができ、ケース体65が異物に押さえつけられてケース体65が損傷することを抑制することができる。「駆動部32から受電部200に加えられる駆動力が所定値」とは、ケース体65および受電部200の強度などによって適宜設定されるものである。
上記の例においては、受電部200およびケース体65が格納状態のときに、弾性部材33a,33bが自然状態である場合について説明したが、格納状態の時点において弾性部材33a,33bは自然状態から延びた状態としてもよい。この場合においても、弾性部材33a,33bの長さは、受電部200およびケース体65が格納状態に位置するときに最も短くなる。
受電部200およびケース体65が下方に向けて移動すると、弾性部材33a,33bが受電部200およびケース体65に加える引張力が順次大きくなる。この引張力で受電部200およびケース体65を受電終了後に格納状態に引き戻すことができる。受電部200およびケース体65が格納状態に位置するときにおいても、受電部200およびケース体65に引張力を加えるようにすることで、受電部200およびケース体65が格納位置からずれ難くなる。
図12を再び参照して、送電部56がテスト磁界を形成している時、磁束は、送電コイル58の巻回軸に沿って流れるとともに、受電コイル22の巻回軸に沿って流れるように受電部200のフェライトコアを通過する。図示されていないが、送電部56によって形成されるテスト磁界(またはテスト電界)は、受電部200が配置されている部分(検知位置S2)にもおよぶ。
仮に、受電部200が格納位置S1に配置されたままで、その受電部200がテスト磁界の磁界強度(またはテスト電界の電界強度)を検知したとする。この場合と比較して、本実施の形態では受電部200が検知位置S2に配置された状態でテスト磁界の磁界強度(またはテスト電界の電界強度)を検知する。
受電部200が検知位置S2において検知する磁界の状況は、受電部200が格納位置S1において検知する磁界の状況に比べて、受電位置S3に受電部200が実際に配置された時に受電部200が受ける磁界の状況に近いものとなる。本実施の形態の構成によれば、受電装置11と送電装置50との相対位置関係をより高い精度で把握することができ、上記の仮の構成の場合に比べて、受電装置11と送電装置50との位置合わせを高い精度で行なうことが可能となる。
特に、本実施の形態においては、受電位置S3が、格納位置S1からみて鉛直方向に対して斜め下方に位置している。受電部200の昇降の前後において、受電部200の位置は、車両前進方向Fおよび車両後進方向Bの方向に変位する。受電部200が格納位置S1に配置されたままでその受電部200がテスト磁界の磁界強度(またはテスト電界の電界強度)を検知し、その検知結果に基づいて車両本体70の送電装置50に対する位置合わせが行なわれたとしても、受電部200が格納位置S1から受電位置S3に移動することにより、位置ずれが生じやすくなることも考えられる。
受電部200は、送電装置50が形成し検知位置S2に形成されるテスト磁界(またはテスト電界)の強度を検知する。受電部200の昇降移動の前後による移動距離を予め見込んだ上で受電装置11と送電装置50との位置合わせが行なわれることによって、電動車両10および送電装置50同士は互いに適切な位置に配置されることが可能となる。したがって、本実施の形態における受電装置11および電力伝送システム1000によれば、車両本体70に搭載されたバッテリ150を非接触で効率良く充電することができる。
本実施の形態の構成に加えて、受電装置11と送電装置50との位置合わせを行なうためのサーチコイルを、受電部200とは別に車両本体70にさらに設けてもよい。より高い精度で位置合わせを行なうことが可能となる。サーチコイルを用いない場合には、製造費用を低減することができる。
本実施の形態によれば、受電装置11と送電装置50との位置合わせが完了した時点で受電部200は既に検知位置S2の位置まで下降移動した状態にある。受電部200が検知位置S2から受電位置S3に移動することで、すぐに本格的な充電モードに移行することができる。
仮に、受電部200が受電位置S3に配置された状態で、その受電部200がテスト磁界の磁界強度(またはテスト電界の電界強度)を検知したとする。この場合、電動車両10を誘導する際に受電装置11が縁石などの異物に接触しやすくなる。本実施の形態においては、検知位置S2は受電位置S3よりも鉛直方向の上方に位置している。電動車両10を誘導する際に受電装置11が縁石などの異物に接触することを抑制することができる。
図2および図3を再び参照して、車両本体70のフロアパネル69には、車両本体70の搭載機器として、排気マフラー67E(図2参照)、燃料タンク67T(図3参照)、および排気管等が設けられる。好ましくは、受電部200が検知位置S2に配置された状態では、受電部200の鉛直方向における高さ位置は、これらの搭載機器の鉛直方向における高さ位置よりも下方であるとよい。受電部200が検知位置S2に配置されているとき、受電部200を構成しているキャパシタ23およびコイルユニット24等のすべての部材のうちの鉛直方向における最も上方に位置する部位が、すべての搭載機器のうちの鉛直方向における最も下方に位置する部位よりも下方に位置しているとよい。
当該構成によれば、検知位置S2に配置された受電部200がテスト磁界の強度を検知する際に、受電部200に到達するテスト磁界が搭載機器の存在によって影響を受けることは抑制され、より高い精度で位置合わせを行なうことが可能となる。
図14は、カメラ120を用いて駐車の誘導(第1の誘導制御)を行なう際の様子を説明するための図である。車両本体70から見て位置50Aに送電装置50がある場合には、カメラ120の視野内に送電装置50が入っており、カメラ120による駐車支援を行なうことができる。
移動機構30(図示せず)の構成によっては(換言すると受電位置S3の位置によっては)、車両本体70から見て位置50Bに送電装置50がくるように電動車両10を移動させる必要がある。位置50Bの付近は、カメラ120の配置位置によってはカメラ120の死角になりやすく、カメラ120の画像を利用した駐車支援を行なうことが難しくなる場合がある。
上述のとおり、本実施の形態では、カメラ120による駐車の誘導(第1の誘導制御)のみならず、送電装置50が形成するテスト磁界(またはテスト電界)とこれを検知する受電部200とを用いた駐車支援が行なわれる(第2の誘導制御)。位置50Bに示すように車両本体70の下に送電装置50が入ってからでも、駐車位置を精度よく指定することが可能となる。
位置50Cに示すくらいに送電装置50が想定範囲を超えて電動車両10を移動させても受電部200がテスト磁界を良好に検知できない場合には、電動車両10を停止させるように制御が行なわれる。たとえば、送電装置50の一部がカメラ120の死角に入ってから、距離L10(たとえば1.5m)だけ電動車両10を移動させても受電部200で良好にテスト磁界を検知できる位置が見つからない場合には、電動車両10を停止するように運転者に警告するか、または自動的に車両を停止させる。距離L10は、受電装置11による位置合わせ精度のマージンに基づいて決定される。
(駐車支援フローチャート)
図15は、非接触給電を実行する際に電動車両10の位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(前半部)である。図16は、非接触給電を実行する際に電動車両10の位置を調整する段階で実行される制御を説明するためのフローチャート(後半部)である。図15および図16において、左半分には電動車両側で実行される制御が示され、右半分には外部給電装置61側で実行される制御が示されている。
図15を参照して、まず車両側でステップS1において停車処理が行なわれ、続いてステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたか否かが検出される。給電ボタンがオン状態に設定されていない場合には、制御装置180は給電ボタンがオンに設定されるまで待つ。ステップS2において給電ボタン122がオン状態に設定されたことが検出された場合には、ステップS3に処理が進む。ステップS3では、制御装置180は通信部160,230を使用して外部給電装置61と通信を開始する。
外部給電装置61側においては、ステップS51において処理が開始されると車両側から通信があるまでステップS52において待っており、通信の開始が要求された場合にはステップS53において通信を開始する。
車両側では、ステップS3の通信開始の処理に続いてステップS4において駐車制御の開始が行なわれる。駐車制御は、第1段階では、カメラを用いたIPA(インテリジェントパーキングアシスト)システムが用いられる。車両が給電位置にある程度近づくと制御装置180内部で距離検出要求がオン状態に設定される(ステップS5でYES)。
図16を参照して、外部給電装置61側では、ステップS53の次には、ステップS54においてテスト磁界形成要求がオン状態になるのを待っている。車両側では、ステップS5からステップS6に処理が進み、制御装置180はリレー146をオン状態に設定する。制御装置180は、ステップS7において給電装置側にテスト磁界形成要求をオン状態にしたことを送信する。
外部給電装置61は、ステップS54においてテスト磁界形成要求がオン状態に設定されたことを検出して、ステップS55に処理を進めてテスト磁界を形成する。このテスト磁界を形成するために用いられる電力は、充電開始後に送電する場合と同様な電力を用いてもよいが、本格的な送電時に送る信号よりも弱い信号(微弱電力)に設定することが好ましい。テスト磁界を用いて受電部200が検知する磁界強度がある値に到達したことをもって、給電可能な距離に車両が到達したことが検出される。
一定の一次側電圧(外部給電装置61からの出力電圧)によって形成されるテスト磁界に対して、受電部200を用いて検知する磁界強度は、送電装置50と受電部200との間の距離Lに応じて変化する。一次側電圧および受電部200が検知する磁界強度の関係を予め測定するなどしてマップ等を作成しておき、受電部200が検知する磁界強度の値に基づいて送電装置50と受電部200との間の距離を検出することができる。
送電装置50と受電部200(受電装置11)との間の距離Lに応じて一次側電流(外部給電装置61からの出力電流)も変化するが、この関係を用いて、外部給電装置61からのテスト磁界の磁界強度に基づいて送電装置50と受電部200(受電装置11)との間の距離を検知してもよい。
検知ECU460は、送電装置50と受電部200との間の距離を検知すると、その距離情報をHV−ECU470へ出力する。検知ECU460は、HV−ECU470から充電開始指令を受けると、システムメインリレーSMR2へ出力される信号SE2を活性化することによってシステムメインリレーSMR2をオンさせる。検知ECU460は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号を生成してDC/DCコンバータ142へ出力する。
HV−ECU470は、車両の動作モードが走行モードのとき、アクセルペダル/ブレーキペダルの操作状況や車両の走行状況等に応じて、MG−ECU430およびECB440へ制御指令を出力する。パーキングブレーキスイッチが操作される等して運転者によりパーキングブレーキの作動が指示されると、HV−ECU470は、EPB450へ動作指令を出力する。
一方、車両の動作モードが充電モードのとき、HV−ECU470は、通信ユニット130によって外部給電装置61との通信を確立し、外部給電装置61を起動するための起動指令を通信部160を介して外部給電装置61へ出力する。外部給電装置61が起動すると、HV−ECU470は、外部給電装置61の送電装置50上に設けられる発光部231の点灯指令を通信部160を介して外部給電装置61へ出力する。
発光部231が点灯すると、HV−ECU470は、電動車両10を送電装置50へ誘導する誘導制御を実行中であることを示す誘導制御中信号を通信部160を介して外部給電装置61へ出力するとともに、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の実行を指示する指令をIPA−ECU410へ出力する。
HV−ECU470は、第1の誘導制御の終了通知をIPA−ECU410から受けると、送電装置50と受電部200との距離情報に基づく誘導制御を実行する(第2の誘導制御)。具体的には、昇降ECU462は、調整器9を制御し、移動機構30を用いて受電装置11(受電部200)を検知位置S2に配置させる。HV−ECU470は、外部給電装置61の送電装置50と車両の受電部200(受電装置11)との距離情報を検知ECU460から受け、その距離情報に基づいて、送電装置50と、受電位置S3に下降移動したときの受電装置11との距離が最小となるように、車両の駆動および制動をそれぞれ制御するMG−ECU430およびECB440へ指令を出力する。
図16のステップS9およびステップS10では駐車終了の判断が実行される。ステップS9においては、車両の移動距離が想定範囲内であるか否かが判断される。ここでの車両の移動距離は、車速と経過時間の積から算出される。ステップS9で車両の移動距離が想定範囲を超えていればステップS20(動作モード2)に処理が進む。想定範囲は、図14で説明したように、送電装置50がカメラ120の死角に入ってからたとえば1.5mとすることができる。低速での車速センサは精度が高くないので車速センサの検出誤差も見込んでこの想定範囲を判断するしきい値を選択することが好ましい。
ステップS9で車両の移動距離が想定範囲を超えていなければステップS10に処理が進み、受電部200で検出されたテスト磁界の磁界強度が、しきい値Ht1以上であるか否かが判断される。
図17は、車両移動距離と受電部200が検知するテスト磁界の磁界強度との関係を示す図である。車両移動距離が位置ずれゼロの位置に近づく間は、磁界強度Hは増加する。位置ずれゼロの位置を通り越すと磁界強度Hは下がり始める。しきい値Ht1は、車両に停止指示を出力する判定しきい値であり、あらかじめ距離と電圧の関係を計測しておいて決定される。一方、図17のしきい値Ht2は、最大出力で送受電を行なったときの漏洩許容電磁界強度に基づいて定められるしきい値であり、しきい値Ht1よりも小さい値である。
再び図16を参照して、ステップS10において磁界強度がしきい値Ht1以上でなかった場合にはステップS9に処理が戻る。制御装置180は、送電コイルの位置に対して受電位置S3に下降移動したときの受電コイルの位置が受電可能な位置であるか否かを判断することを繰返しながら、受電コイルが送電コイルに対して受電可能な位置となるように、車両を移動させる距離および方向を決定する。
図18を参照して、ステップS9における車両の移動距離の算出において詳しく説明する。図18は、図16のステップS9における車両の移動距離の検出について説明するためのフローチャートである。ステップS101において受電部200が検知した磁界強度に基づく誘導が開始されると、受電部200による位置の検出とは別に、ステップS102に示すように車速とサイクルタイム(たとえば8.192ms)との積によって距離の増加分が算出されるように設定される。車速は車速センサで検出される。
ステップS103において距離の積算が実行され、ステップS104において距離の積算値がしきい値(たとえば150cm)以上であるか否かが判断される。ステップS104においてまだ積算値がしきい値に到達していない場合には、ステップS103に戻り再び距離の積算が継続される。このときは、駐車支援による駐車が継続される。ステップS104において距離の積算値が150cm以上となっていた場合には、図14で説明したように行き過ぎを防ぐために設定車速が0(km/h)に設定される。
図19は、図18のフローチャートによって車速がゼロに設定された動作の一例を示す動作波形図である。時刻t1においては、IPAフラグがONに設定されており、設定車速が1.8km/hに設定される。IPAフラグは、運転者がインテリジェントパーキングアシストモードを選択することによりON状態となる。時刻t1〜t2の間は、IPAモード(駐車支援モード)はカメラ120による誘導モードである。
時刻t2において送電装置50がカメラ120の死角に入ると、時刻t2においてIPAモードは受電部200による誘導モードに変更される。図18のステップS103、S104において距離がしきい値1.5mとなると、時刻t3においてフラグFがオフからオンに変更され、これに応じて設定車速は0km/hに設定され、車両は停止される。
図16を再び参照して、ステップS10において受電部200による磁界強度がしきい値Ht1以上となった場合には、ステップS11において制御装置180は、停車指令を出力する。この停車指令は、運転者にブレーキを踏んで車両を停止させるように促す指令でも良いし、自動でブレーキをかける処理でも良い。
図17の矢印DD1に示すように停車指令後も車両が移動する可能性もあるので、ステップS12において停止後に受電部200による磁界強度がしきい値Ht2以上であり、かつ車両の移動距離が想定範囲内であり、かつ経過時間がタイムオーバーでなく温度が充電を実行するのに適温であった場合には、ステップS13に処理が進む。ステップS12においていずれかの条件が成立しなかった場合にはステップS20(動作モード2)に処理が進む。
ステップS13では、シフトレンジがPレンジに移行したか否かが判断される。ステップS13においてシフトレンジがPレンジでなかった場合には、Pレンジへの移行が行なわれるまでステップS12の処理を実行し、車両の位置ずれを監視し続ける。シフトレンジがPレンジに移行された場合には、ステップS14に処理が進む。ここでは、駐車位置が確定し駐車終了と判断され車両の制御装置180はテスト磁界形成要求をオフ状態に設定する。つまりシフトレンジがPレンジに変更されたことをトリガとしてテスト磁界を形成するための微弱電力(テスト信号)の送電が中止される。
外部給電装置61側では、テスト磁界形成をオフ状態とする設定が通信によって連絡されると、ステップS56においてテスト信号送電要求がオフ状態に変化したことが検出され、ステップS57においてテスト信号の送電が中止される。外部給電装置61では、続いてステップS58において給電要求がオン状態に変化するか否かが検出される。
車両側ではステップS14においてテスト信号送電要求をオフ状態に設定した後、ステップS15に処理が進む。ステップS15ではリレー146がオン状態からオフ状態に制御される。HV−ECU470は、その後、外部給電装置61からの給電を指示する給電指令を通信部160を介して外部給電装置61へ出力するとともに検知ECU460へ充電開始指令を出力する。
ステップS16において、HV−ECU470は、外部給電装置61に向けて給電要求をオン状態にしたことを通信する。外部給電装置61側では、ステップS58において給電要求がオン状態になったことが検出されてステップS59において大電力での給電を開始する。これに伴い車両側ではステップS17において受電が開始される。
図20は、図16のステップS20で実行される動作モード2の処理を説明するためのフローチャートである。動作モード2は、テスト磁界の形成により受電部200での距離検出を行なわず、運転者が駐車をやり直す場合などに実行されるモードである。
図20を参照して、ステップS20で動作モード2の処理が開始されると、ステップS21においてテスト磁界形成の停止が要求される。ステップS22において運転者に対して、ディスプレイ表示やランプの点滅などで想定範囲を過ぎても受電が可能とならない旨の異常を報知する。これに応答して、運転者は駐車位置の手動調整を行なう。
ステップS23において、車両が停止したか否かが確認される。車両の停止が確認できなければステップS22において異常の報知が継続される。ステップS23において車両の停止が確認できた場合には、ステップS24に処理が進み、シフトポジションがPレンジであるか否かが判断される。
ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できるまで処理が停止される。ステップS24においてPレンジに設定されたことが確認できた場合には、車両の移動はないと考えられるので、ステップS25においてごく短時間(1秒程度)のテスト磁界の形成要求(微弱電力の送電要求)を行なう。ステップS26において受電部200による磁界強度がしきい値Ht2以上であるか否かが判断される。
ステップS26では、運転者による手動位置合わせの結果受電が可能となったか否かが判断される。しきい値Ht2は、先に図17に示して説明したように、しきい値Ht1よりも小さな値に設定される。ステップS26において、磁界強度がしきい値Ht2以上であればステップS28に処理が進み、大電力の送電が開始される。一方、ステップS26において、磁界強度がしきい値Ht2以上でなければ、ステップS27に処理が進み、運転者に充電が不可能である旨の異常が報知される。
以上説明したように、本実施の形態では、カメラ120による駐車の誘導(第1の誘導制御)のみならず、送電装置50が形成するテスト磁界(またはテスト電界)とこれを検知する受電部200とを用いた駐車支援が行なわれる(第2の誘導制御)。電動車両10および送電装置50同士は互いに適切な位置に配置されることが可能となる。想定範囲を超えて電動車両10を移動させても受電部200で良好な磁界強度が検知できない場合には、電動車両10を停止させるように制御が行なわれる。
本実施の形態における受電装置11および電力伝送システム1000によれば、車両本体70に搭載されたバッテリ150を非接触で効率良く充電することができる。自動駐車がうまくいかなかった場合でも、運転者が手動で駐車位置を決定したときには受電可能か否かを確認して受電を実行するので、わずらわしい操作を増やさずに充電する機会を増やすことができる。
本実施の形態は、カメラ120による駐車の誘導(第1の誘導制御)が行われることを前提に説明したが、第1の誘導制御は必須の構成ではない。送電装置50が形成するテスト磁界(またはテスト電界)とこれを検知する受電部200とを用いた駐車支援(第2の誘導制御)のみによって、電動車両10および送電装置50同士の位置合わせを行なってもよい。
(電力伝送の原理)
カメラ120および受電部200を用いた位置合わせが行なわれた後、受電部200と送電部56との間で電力伝送が行なわれる。図21から図24を用いて、本実施の形態における電力伝送の原理について説明する。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部56の固有周波数と、受電部200の固有周波数との差は、受電部200または送電部56の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部56および受電部200の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部200または送電部56の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ150の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
ここで、送電部56の固有周波数とは、キャパシタ59が設けられていない場合には、送電コイル58のインダクタンスと、送電コイル58のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ59が設けられた場合には、送電部56の固有周波数とは、送電コイル58およびキャパシタ59のキャパシタンスと、送電コイル58のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部56の共振周波数とも呼ばれる。
同様に、受電部200の固有周波数とは、キャパシタ23が設けられていない場合には、受電コイル22のインダクタンスと、受電コイル22のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ23が設けられた場合には、受電部200の固有周波数とは、受電コイル22およびキャパシタ23のキャパシタンスと、受電コイル22のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部200の共振周波数とも呼ばれる。
図21および図22を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図21は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。電力伝送システムは、送電装置190および受電装置191を備える。送電装置190は、コイル192(電磁誘導コイル)および送電部193を含む。送電部193は、コイル194(1次コイル)およびコイル194に設けられたキャパシタ195を有する。受電装置191は、受電部196およびコイル197(電磁誘導コイル)を備える。受電部196は、コイル199およびコイル199(2次コイル)に接続されたキャパシタ198を含む。
コイル194のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ195のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。コイル199のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ198のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部193の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部196の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部193および受電部196の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を図22に示す。このシミュレーションにおいては、コイル194およびコイル199の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部193に供給される電流の周波数は一定であるものとする。
図22に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
固有周波数のズレ={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図22からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。
固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部196の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができることがわかる。固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部196の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで、電力伝送効率をより高めることができることがわかる。シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。上述のとおり送電コイル58(図7等参照)には、高周波電源装置64から交流電力が供給される。この際、送電コイル58を流れる交流電流の周波数は、特定の周波数となるように電力が供給されている。送電コイル58に特定の周波数の電流が流れると、送電コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
受電コイル22は、送電コイル58から所定範囲内に配置されており、受電コイル22は送電コイル58の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。本実施の形態においては、受電コイル22および送電コイル58は、いわゆるヘリカルコイルが採用されている。送電コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界および電界が形成され、受電コイル22は主に当該磁界から電力を受け取る。
ここで、送電コイル58の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と送電コイル58に供給される電流の周波数と関連性を有する。電力伝送効率と、送電コイル58に供給される電流の周波数との関係について説明する。送電コイル58から受電コイル22に電力を伝送するときの電力伝送効率は、送電コイル58および受電コイル22の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部56および受電部200の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、送電コイル58に供給される電流の周波数を周波数f3とし、受電コイル22および送電コイル58の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図23は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、送電コイル58に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。図23中の横軸は、送電コイル58に供給する電流の周波数f3を示し、図23中の縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。
効率曲線LL1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、送電コイル58に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。効率曲線LL1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは、周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。
効率曲線LL2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、送電コイル58に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線LL2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線LL3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、送電コイル58に供給する電流の周波数を一定として、エアギャップAGにあわせて、キャパシタ59やキャパシタ23のキャパシタンスを変化させることで、送電部56と受電部200との間での電力伝送効率の特性を変化させることが挙げられる。具体的には、送電コイル58に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ59およびキャパシタ23のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、送電コイル58および受電コイル22に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置50と高周波電源装置64との間に設けられた整合器を利用する手法や、DC/DCコンバータ142を利用する手法などを採用することもできる。
第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、送電コイル58に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図23において、電力伝送特性が効率曲線LL1となる場合には、送電コイル58には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を送電コイル58に供給する。周波数特性が効率曲線LL2,LL3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を送電コイル58に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて送電コイル58および受電コイル22に流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、送電コイル58を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、送電コイル58を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が送電コイル58に供給される。送電コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、送電コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。
受電部200は、受電部200と送電部56の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界および特定の周波数で振動する電界の少なくとも一方を通じて送電部56から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」は、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らず、「特定の周波数で振動する電界」も、必ずしも固定された周波数の電界とは限らない。
上記の例では、エアギャップAGに着目して、送電コイル58に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、送電コイル58および受電コイル22の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、送電コイル58に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、送電コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が送電コイル58の周囲に形成される。この電界をとおして、送電部56と受電部200との間で電力伝送が行われる。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電効率および受電効率の向上が図られている。図24は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図24を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部56および受電部200(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部56から他方の受電部200へエネルギー(電力)を伝送する。
「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。このように、この電力伝送システムにおいては、送電部と受電部とを電磁界によって共振(共鳴)させることで送電部と受電部との間で非接触で電力が送電される。
このような受電部と送電部との間に形成される電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。図2中の点線で示す受電部200のように、受電部と送電部とを互いに近接させた状態で電力伝送する時の結合係数κは、0.7以下となる。なお、結合係数κとしては、このような値に限定されるものでなく、各種の値をとることができる。
本実施の形態の電力伝送における送電部56と受電部200との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
本明細書中で説明した送電部56の送電コイル58と受電部200の受電コイル22とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部56と受電部200とは主に、磁界によって結合しており、送電部56と受電部200とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
送電コイル58および受電コイル22として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部56と受電部200とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部56と受電部200とは、「電界(電場)共振結合」している。このように、本実施の形態においては、受電部200と送電部56との間で非接触で電力伝送をしている。このように、非接触で電力伝送する際には、受電部200と送電部56との間には、主に、磁界が形成される。したがって、上記の実施の形態では、「磁界強度」に着目して説明している箇所が存在しているが、「電界強度」または「電磁界強度」に着目した場合であっても、同様の作用効果が得られる。
(第1変形例)
図25は、第1変形例としての、電動車両10が所定の位置に停車したときにおける受電部200、ケース体65および移動機構30を示す側面図である。
受電部200は、検知位置S2に配置された時、受電部200が位置している場所において外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界の強度を検知することができる。受電部200は、受電位置S3に配置された時、外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界によって非接触で受電することができる。本変形例においても、検知位置S2および受電位置S3は、格納位置S1から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。受電位置S3は、検知位置S2から見て鉛直方向に対して斜め下方に位置している。
本変形例においても、受電位置S3と検知位置S2との間の距離L1が、受電位置S3と格納位置S1との間の距離L2よりも短くなるように構成されている。鉛直方向についても、受電位置S3と検知位置S2との間の距離が、受電位置S3と格納位置S1との間の距離よりも短くなるように構成されている。
本変形例においては、検知位置S2と受電位置S3との間の距離L1が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離L3よりも長くなるように構成される。好ましくは、鉛直方向についても、検知位置S2と受電位置S3との間の距離が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離よりも長くなるように構成される。
このような構成によっても、受電部200が検知位置S2において検知する磁界の状況は、受電部200が格納位置S1において検知する磁界の状況に比べて、受電位置S3に受電部200が実際に配置された時に受電部200が受ける磁界の状況に近いもとなる。受電装置11と送電装置50との相対位置関係をより高い精度で把握することができ、受電装置11と送電装置50との位置合わせを高い精度で行なうことが可能となる。
(第2変形例)
図26は、第2変形例としての移動機構30Aを含む受電装置11を示す側面図である。図26は、電動車両10が所定の位置に停車したときにおける受電装置11(受電部200、ケース体65および移動機構30A)を示している。
本変形例においては、検知位置S2および受電位置S3が、格納位置S1からみて鉛直方向の下方(真下)に位置している。受電部200は、水平な姿勢を保ったまま真っ直ぐ下方に移動したり、水平な姿勢を保ったまま真っ直ぐ上方に移動することができる。受電位置S3と検知位置S2との間の距離L1は、受電位置S3と格納位置S1との間の距離L2よりも短くなるように構成されている。好ましくは、図26に示すように、検知位置S2と受電位置S3との間の距離L1が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離L3よりも短くなるように構成される。
受電装置11は、受電部200および受電部200を支持する移動機構30Aを含む。ケース体65は、フロアパネル69に近接した状態で、移動機構30Aによって支持されている。図26に示す状態では、ケース体65は格納位置S1に固定され、受電部200は格納位置S1を含むように位置している。
移動機構30Aも、受電部200を送電部56に向けて移動させることができる。移動機構30Aは、受電部200を格納位置S1(図26参照)から検知位置S2(図26,27参照)へと移動させること、受電部200を検知位置S2から受電位置S3(図26,28参照)へと移動させること、および受電部200を格納位置S1から受電位置S3へ移動させることができる。
移動機構30Aは、受電部200を送電部56から離れるように受電部200を移動させることもできる。換言すると、移動機構30Aは、受電部200を受電位置S3(図26,28参照)から格納位置S1(図26参照)へ移動させること、受電部200を検知位置S2(図26,27参照)から格納位置S1へ移動させること、および、受電部200を受電位置S3(図26,28参照)から検知位置S2へ移動させることができる。
移動機構30Aは、アーム130T、バネ機構140、駆動部141、および支持部材150T,151を含む。アーム130Tは、長軸部131と、長軸部131の一端に接続された短軸部132と、長軸部131の他端に接続された接続軸133とを含む。短軸部132は、長軸部131に対して屈曲するように長軸部131に一体的に接続されている。接続軸133は、ケース体65の上面に接続されている。アーム130Tと長軸部131とは、ヒンジ164Tによって接続されている。
支持部材151の一端とアーム130Tとは、ヒンジ163によって接続されている。支持部材151の一端は、長軸部131と短軸部132との接続部に接続されている。支持部材151の他端には、固定板142Tが固定されている。固定板142Tは、ヒンジ160Tによって回転可能にフロアパネル69に設けられている。
支持部材150Tの一端は、ヒンジ162Tによって短軸部132の端部に接続されている。支持部材150Tの他端は、ヒンジ161Tによってフロアパネル69に回転可能に支持されている。駆動部141は、フロアパネル69の底面に固定されている。駆動部141としては、たとえば、空気圧シリンダなどが採用されている。駆動部141には、ピストン144が設けられており、ピストン144の先端部は、固定板142Tに接続されている。
バネ機構140は、フロアパネル69に設けられており、バネ機構140の内部には、バネが収容されている。バネ機構140の端部には、内部に収容されたバネに接続された接続片145が設けられており、接続片145は、固定板142Tに接続されている。バネ機構140は、固定板142Tを引っ張るように付勢力を固定板142Tに加える。固定板142Tにおける接続片145の接続位置と、固定板142Tにおけるピストン144の接続位置とは、ヒンジ160Tを間に挟んで対向するように配置されている。
図26〜図28を用いて、受電部200を送電部56に向けて移動させるときの各部材の動作について説明する。図26に示す状態(受電部200が格納位置S1に配置されている状態)から受電部200を下方に下げる場合には、駆動部141がピストン144を押し出し、ピストン144は、固定板142Tを押圧する。固定板142Tは、ピストン144によって押圧されると、固定板142Tは、ヒンジ160Tを中心として回転する。この際、バネ機構140内のバネは延びる。
図27に示すように、受電部200を下げる際には、駆動部141は、バネ機構140の引張力に抗して固定板142Tを回転させる。固定板142Tと支持部材151とは、一体的に接続されているため、固定板142Tが回転することで、支持部材151もヒンジ160Tを中心として回転する。支持部材151が回転することで、アーム130Tも移動する。この際、支持部材150Tは、アーム130Tの端部を支持しながら、ヒンジ161Tを中心として回転する。接続軸133は、鉛直方向下方に向けて移動すると共に、受電部200も鉛直方向下方に向けて移動する。
受電部200が格納位置S1(格納状態)から所定距離下がることで、図27に示すように、受電部200は検知位置S2に配置される。検知位置S2は、格納位置S1からみて鉛直方向の下方(真下)に位置している。受電部200が検知位置S2に配置されると、駆動部141は、固定板142Tが回転を停止させる。
固定板142Tの回転軸にラチェット(切替機構)などを設け、当該ラチェットによって、駆動部141の回転を停止させてもよい。この場合、ラチェットは、受電部200が下降する方向に固定板142Tが回転することを抑制する一方で、受電部200が上方に変位する方向に固定板142Tが回転することを許容する。
受電部200が検知位置S2に達すると、ラチェットは、受電部200が下方に下がる方向に固定板142Tが回転することを規制する一方で、駆動部141の駆動は継続される。駆動部141からの動力は、バネ機構140からの引張力よりも大きいため、ラチェットによって受電部200が上方に変位することが抑制され、ラチェットによって受電部200が下方に下がることが抑制される。受電部200が検知位置S2に配置された状態で、受電部200を用いてテスト磁界による磁界強度が検知される。
受電部200を用いて検知した磁界強度に基づいて、送電装置50と受電装置11との距離が検知される。距離に関する情報に基づいて、送電装置50へ電動車両10がさらに誘導され、送電装置50と受電装置11との位置合わせが行なわれる。位置合わせが完了すると、駆動部141は、バネ機構140の引張力に抗して固定板142Tをさらに回転させる。
固定板142Tと支持部材151とは、一体的に接続されているため、固定板142Tが回転することで、支持部材151もヒンジ160Tを中心として回転する。支持部材151が回転することで、アーム130Tも移動する。この際、支持部材150Tは、アーム130Tの端部を支持しながら、ヒンジ161Tを中心として回転する。接続軸133は、鉛直方向下方に向けて移動すると共に、受電部200も鉛直方向下方に向けて移動する。
受電部200が検知位置S2から所定距離下がることで、図28に示すように、受電部200は受電位置S3に配置される。受電位置S3は、検知位置S2からみて鉛直方向の下方(真下)に位置している。受電部200が受電位置S3に配置されると、駆動部141は、固定板142Tが回転を停止させる。
固定板142Tの回転軸にラチェット(切替機構)などを設け、当該ラチェットによって、駆動部141の回転を停止させてもよい。この場合、ラチェットは、受電部200が下降する方向に固定板142Tが回転することを抑制する一方で、受電部200が上方に変位する方向に固定板142Tが回転することを許容する。
受電部200が受電位置S3に達すると、ラチェットは、受電部200が下方に下がる方向に固定板142Tが回転することを規制する一方で、駆動部141の駆動は継続される。駆動部141からの動力は、バネ機構140からの引張力よりも大きいため、ラチェットによって受電部200が上方に変位することが抑制され、ラチェットによって受電部200が下方に下がることが抑制される。受電部200が受電位置S3で停止した後、受電部200と送電部56との間で電力伝送が開始される。
バッテリの充電が終了すると、駆動部141の駆動が停止する。駆動部141から固定板142Tに押圧力が加えられなくなると、バネ機構140からの引張力によって固定板142Tが回転する。固定板142Tがバネ機構140からの引張力で回転すると、支持部材151がヒンジ160Tを中心として回転する。ラチェットは、受電部200が上方に変位する方向に変位するように固定板142Tが回転することを許容している。受電部200は、上方に変位する。図26に示すように、受電部200が格納位置S1に戻ると、図示しない保持装置によって受電部200が固定される。
受電装置11は、固定板142Tの回転軸に設けられ、当該回転軸の回転角度をセンシングする角度センサと、固定板142Tの回転軸の回転を規制する規制機構とを備える。受電部200は、受電部200の自重によってバネ機構140の引張力に抗して下方に下がる。受電部200が受電位置S3(受電位置)まで下がったことを角度センサが検知すると、規制機構が固定板142Tの回転軸の回転を規制する。受電部200の下降移動は停止する。
受電部200が上昇移動する際には、駆動部141が駆動して、受電部200を上昇させる。受電部200が充電位置まで上昇すると、保持装置が受電部200を固定すると共に、駆動部141の駆動が停止する。本変形例に係る受電装置11によれば、受電部200は、鉛直方向の上下方向に変位する。駆動部141からの駆動力によって受電部200を下方に移動させ、バネ機構140からの引張力で受電部200を上方に上昇させているが、受電部200の自重で下げるようにした受電装置11も採用することができる。
受電部200が鉛直方向の上下方向に変位する場合であっても、検知位置S2に配置された受電部200は、送電装置50が形成し検知位置S2に形成されるテスト磁界(またはテスト電界)の強度を検知する。受電部200の昇降移動の前後による移動距離を予め見込んだ上で受電装置11と送電装置50との位置合わせが行なわれることによって、電動車両10および送電装置50同士は互いに適切な位置に配置されることが可能となる。したがって、本変形例における受電装置11および電力伝送システムによっても、車両本体に搭載されたバッテリを非接触で効率良く充電することができる。
(第3変形例)
図29は、第3変形例としての、電動車両10が所定の位置に停車したときにおける受電部200、ケース体65および移動機構30を示す側面図である。
受電部200は、検知位置S2に配置された時、受電部200が位置している場所において外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界の強度を検知することができる。受電部200は、受電位置S3に配置された時、外部給電装置61(図5参照)の送電部56が形成する磁界または電界によって非接触で受電することができる。本変形例においては、検知位置S2と受電位置S3との間の距離L1が、検知位置S2と格納位置S1との間の距離L3よりも長くなるように構成される。
このような構成によっても、受電部200が検知位置S2において検知する磁界の状況は、受電部200が格納位置S1において検知する磁界の状況に比べて、受電位置S3に受電部200が実際に配置された時に受電部200が受ける磁界の状況に近いもとなる。受電装置11と送電装置50との相対位置関係をより高い精度で把握することができ、受電装置11と送電装置50との位置合わせを高い精度で行なうことが可能となる。
以上の実施の形態および各変形例は、受電装置に用いられる受電コイルも送電装置に用いられる送電コイルも、いわゆるソレノイド型の形状を有している。コアの周囲に発生する磁束は、1つの環状形状を有しており、板状の形状を有するコアの中央部分をコアの長手方向に沿って通過する。
以上の実施の形態および各変形例おいて、受電コイルおよび送電コイルのいずれかまたは双方は、いわゆる円形型の形状を有していてもよい。この場合、コアの周囲に発生する磁束は、いわゆるドーナツ型の形状を有しており、円形状を有するコアの中央部分を対向方向に通過する。ここで言う中央部分とは、コアの外形円の中心付近であって、コイルが存在せずにコイルの内側において中空となっている部分である。受電コイルおよびまたは送電コイルにソレノイド型のコイルが用いられる場合であっても、円形型のコイルが用いられる場合であっても、略同様の作用および効果を得ることができる。
以上、本発明に基づいた実施の形態および変形例について説明したが、今回開示された実施の形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。