JP2014215473A - 光学積層体及び画像表示装置の表示品質改善方法 - Google Patents

光学積層体及び画像表示装置の表示品質改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表示画像に視認性低下及び色味の変化が生じることがなく、表示品質に優れた画像表示装置とすることのできる光学積層体を提供する。【解決手段】観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体であって、上記光透過性基材と上記λ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45?又は135?とならないように配置されていることを特徴とする光学積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体及び画像表示装置の表示品質改善方法に関する。
液晶表示装置は、携帯電話などのモバイル機器から大型テレビに至るまで、画面サイズを問わずに使用されるようになってきており、急激にその用途が広がりつつある。また、液晶表示装置以外の画像表示装置としては、特に、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置が、モバイル用途を中心に、需要増加の傾向にある。液晶表示装置では通常、液晶セルの表裏に一対の偏光板が配置される。有機EL表示装置では、有機EL素子の視認側に、偏光板、特に楕円ないし円偏光板を配置して、反射防止機能を持たせることが多い。
偏光板の偏光子としては、従来、ポリビニルアルコール(PVA)又はその誘導体のフィルムにヨウ素や二色性染料を吸着させ、一軸延伸加工を施したものが一般的に用いられている。
ところが、このような画像表示装置は、視認側に偏光板を配置する構成となるため、出射する光が直線偏光となり、強い方向依存性を有してしまい、偏光サングラス等を介して表示画面を観察すると、ある角度で偏光子の吸収軸とクロスニコルの関係となり、表示画像が見えなくなり、視認性が低下するという問題があった。
このような問題を解消するため、例えば、特許文献1には、最表面に所定の位相差を有する透明プラスチック基板を、遅相軸が偏光フィルムの吸収軸に対して45±10°又は135±10°となるように積層し、上記透明プラスチック基板として、シクロオレフィン材料を用いることが開示されている。
特許文献1に開示の偏光板によると、偏光サングラス越しで観察した場合、偏光フィルムの吸収軸に対してパラレルニコル及びクロスニコルとなったときに、出射光の透過率は同じとなり、視認性を改善できる。
しかしながら、特許文献1に記載の偏光板であっても、偏光サングラス越しに見た場合、偏光フィルムの吸収軸に対してパラレルニコル及びクロスニコルとなった時に、表示画像の色味が変化してしまうという問題があった。これは、λ/4波長板は、ある特定の波長領域の光に対してのみ4分の1波長を達成するに過ぎず、広い可視光領域に渡って均一に4分の1波長を達成できないためである。
特開2011−113018号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、偏光サングラス着用時にも、視認性に優れ、かつ、色味の変化が生じることのない、光学積層体、該光学積層体を用いた画像表示装置の表示品質改善方法を提供することを目的とする。
本発明は、観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体であって、上記光透過性基材と上記λ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45°又は135°とならないように配置されていることを特徴とする光学積層体である。
本発明の光学積層体において、上記光透過性基材と上記λ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とが、凡そ平行となるように配置されているか、又は、凡そ垂直に交わるように配置されていることが好ましい。
また、上記偏光子の吸収軸と、上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とがなす角度が凡そ45°又は凡そ135°であることが好ましい。
また、上記面内に複屈折を有する光透過性基材は、ポリエステル基材であり、上記ポリエステル基材のリタデーションが3000nm以上であり、かつ、面内において最も屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上であることが好ましい。
また、上記λ/4位相差フィルムは、シクロオレフィンポリマーを材料とすることが好ましい。
また、本発明は、観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体を用いた画像表示装置の表示品質改善方法であって、上記光透過性基材と上記λ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45°又は135°とならないように配置されていることを特徴とする画像表示装置の表示品質改善方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体も“樹脂”と記載する。
本発明者らは、上述した従来の問題に鑑みて鋭意検討した結果、光学積層体として、観察者側から、面内に複屈折を有する光透過性基材と、λ/4位相差フィルムと、偏光子とがこの順に積層された構成とするとともに、上記λ/4位相差フィルムと面内に複屈折を有する光透過性基材とを、それぞれの遅相軸が所定の角度をなすように積層させることで、偏光サングラスをかけた状態で表示装置をみても、表示画像を視認することができ、かつ、色味の変化が生じることがなく、表示品質に優れた画像表示装置とすることのできることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体であり、このような構成の本発明の光学積層体は、本発明の光学積層体を用いた画像表示装置の表示画面を偏光サングラス越しに見た場合であっても、表示画面の色味変化を防止するために機能するものである。
本発明の光学積層体において、上記光透過性基材と上記λ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45°又は135°とならないように配置されている。上記光透過性基材の遅相軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が45°又は135°であると、本発明の光学積層体を用いた画像表示装置の表示画像を偏光サングラス越しに見たときに、表示画像を視認することはできるが、偏光サングラスの吸収軸と、偏光子の吸収軸が、パラレルニコル及びクロスニコルとなった時に、表示画像の色味が変化してしまう。
ここで、上記「遅相軸」とは、上記光透過性基材及びλ/4位相差フィルムにおいて、面内で屈折率が最大となる方向である。
なお、本明細書において、2つの軸のなす角度に関し、観察者側から見て、一方の軸を基準として他方の軸が時計回りになす角度をプラス(+)と表記し、基準となる一方の軸に対して他方の軸が反時計回りになす角度をマイナス(−)と表記する。そして、特に表記せず角度を示した場合、基準となる一方の軸に対して他方の軸が時計回りになす角度である場合(すなわち、プラスである場合)を意味する。
上記光透過性基材とλ/4位相差フィルムとは、上記光透過性基材の遅相軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とが、凡そ平行となるように配置されているか、又は、凡そ垂直に交わるように配置されていることが好ましい。このような状態で上記光透過性基材とλ/4位相差フィルムとが配置されていることで、本発明の光学積層体を用いた画像表示装置の表示画像の色味の変化を好適に防止することができる。
なお、上記「凡そ平行」とは、上記光透過性基材の遅相軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が0°±30°の範囲にあることを意味し、より好ましくは、0°±15の範囲を意味する。「凡そ垂直」とは、上記光透過性基材の遅相軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が90°±30°の範囲にあることを意味し、より好ましくは、90°±15°の範囲を意味する。
上記光透過性基材としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル等を原料として用いられた基材が挙げられるが、なかでも、機械的強度において有利なポリエステル基材であることが好適である。
また、本発明の光学積層体において、上記光透過性基材がポリエステル基材である場合、該ポリエステル基材は機械的強度に有利な材料であるため、本発明の光学積層体は、カバーガラスの破損による飛散防止効果を有するものとなる。
特に、偏光子、λ/4位相差フィルム、カバーガラスの順に積層されたモバイル用画像表示装置などの場合、本発明の設置となるように、上記カバーガラスよりもさらに観測者側に、上記光透過性基材を設置することにより、色味変化改善効果に加えて、上記カバーガラスの飛散防止効果を付与することができる。
上記光透過性基材は、面内に複屈折率を有するものであり、リタデーションが3000nm以上であることが好ましい。3000nm未満であると、本発明の光学積層体を液晶表示装置(LCD)で使用した場合、色味改善が充分にできないことがある。一方、上記光透過性基材のリタデーションの上限としては特に限定されないが、3万nm程度であることが好ましい。3万nmを超えると、膜厚が相当に厚くなるため好ましくない。
上記光透過性基材のリタデーションは、薄膜化の観点から、4000〜25000nmであることが好ましい。より好ましい範囲は、5000〜2万nmである。
上記光透過性基材のリタデーションが上記範囲であるため、本発明の光学積層体は、色味変化を好適に抑制することができる。色味変化は、具体的には、以下の方法で測定した色差Δu’v’が、0.06以下であることが好ましく、より好ましい上限は0.03である。
偏光サングラスの吸収軸と本発明の光学積層体における上記偏光子の吸収軸とのなす角度が0°(パラレルニコル)となるときと、90°(クロスニコル)となるときの正面色味を、輝度計にて測定し、色差Δu’v’を下記の式より算出する。
Δu’v’=((Δu’)+(Δv’)1/2
ここで、
Δu’=(パラレルニコル時のu’)−(クロスニコル時のu’)
Δv’=(パラレルニコル時のv’)−(クロスニコル時のv’)
を意味している。また、上記u’、v’は、CIE(国際照明委員会)で定められているUCS色度座標から得られるu’、v’の直交座標を示す値である。
なお、上記リタデーションとは、光透過性基材の面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、光透過性基材の厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器社製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長552.1nm)することができる。
また、二枚の偏光板を用いて、光透過性基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求める。ここで、より大きい屈折率を示す軸を遅相軸と定義する。光透過性基材の厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定し、単位をnmに換算する。屈折率差(nx−ny)と、フィルムの厚みd(nm)との積より、リタデーションを計算することもできる。
なお、屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することもできるし、分光光度計(島津製作所社製のUV−3100PC)を用いて、本発明の光学積層体における光透過性基材の波長380〜780nmの反射率(R)を測定し、得られた反射率(R)から、以下の式を用い、各波長の屈折率(n)の値を求めてもよい。
R(%)=(1−n)/(1+n)
なお、方向によって屈折率(nx、ny)が異なる場合、裏面に黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニット、VAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光にて、S偏光に対して、遅相軸を平行にした場合と、進相軸を平行にした場合の5度反射率を測定し、上記式より、遅相軸と進相軸の屈折率(nx、ny)を算出することもできる。
なお、本発明では、上記nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.05以上であることが好ましい。上記Δnが0.05未満であると、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなってしまうことがある。一方、上記Δnは、0.30以下であることが好ましい。0.30を超えると、光透過性基材を過度に延伸する必要が生じるため、光透過性基材が裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。
以上の観点から、上記Δnのより好ましい下限は0.07、より好ましい上限は0.27である。なお、上記Δnが0.27を超えると、耐湿熱性試験での光透過性基材の耐久性が劣ることがある。耐湿熱性試験での耐久性が優れることから、上記Δnの更に好ましい上限は0.25である。
上記光透過性基材がポリエステル基材である場合、該ポリエステル基材を構成する材料としては、上述したリタデーションを充足するものであれば特に限定されないが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエチレン−2,3−ナフタレート)を例示することができる。
また、上記ポリエステル基材に用いられるポリエステルは、これらのポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。上記ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、表示品質の高い画像表示装置を作製することが可能な、光学積層体を得ることができる。
更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりリタデーションの制御が可能であり、固有複屈折が大きく、膜厚が薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られる。また、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)は、上記Δnをより大きな値にできるため、上記光透過性基材の薄膜化を図る上でより好ましい。
上記ポリエステル基材を得る方法としては、上述したリタデーションを充足する方法であれば特に限定されないが、例えば、材料の上記PET等のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施す方法が挙げられる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなり、リタデーションを3000nm以上とできないことがある。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、又は、横延伸を行う前に、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。更に、上記未延伸ポリエステルは、斜め延伸がされてもよい。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
上述した方法で作製したポリエステル基材のリタデーションを3000nm以上に制御する方法としては、延伸倍率や延伸温度、作製するポリエステル基材の膜厚を適宜設定する方法が挙げられる。具体的には、例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、また、膜厚が厚いほど、高いリタデーションを得やすくなり、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、また、膜厚が薄いほど、低いリタデーションを得やすくなる。
上記ポリエステル基材の厚みとしては、15〜500μmの範囲内であることが好ましい。15μm未満であると、上記ポリエステル基材のリタデーションを3000nm以上にできず、また、力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、500μmを超えると、ポリエステル基材が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記ポリエステル基材の厚さのより好ましい下限は25μm、より好ましい上限は400μmであり、更により好ましい上限は200μmである。
また、上記光透過性基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明において、上記光透過性基材には本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
本発明の光学積層体を構成するλ/4位相差フィルムは、直線偏光を円偏光に変換する機能を有するフィルムであり、その材料としては特に限定されないが、画像表示装置分野で一般に採用されている各種高分子物質の一軸延伸フィルムを用いることができる。
上記λ/4位相差フィルムを構成する材料としては、具体的には、例えば、PVA、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、セルロース系樹脂、ポリカーボネート及びアクリル等が挙げられる。なかでも、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネートが好適である。
上記λ/4位相差フィルムがノルボルネン系樹脂、COP、ポリカーボネートフィルムである場合、上記λ/4位相差フィルムの耐熱性が高く、後述する、タッチパネル用基材としても用いることができる。
上記COPフィルムの市販品としては、具体的には、例えば、ノルボルネンフィルム(NB)、ZEONOR(商品名:日本ゼオン社製)、ARTON(商品名:JSR社製)、エスシーナ(商品名:積水化学工業社製)等が挙げられる。また、ポリカーボネートの市販品としては、ピュアエース(商品名:帝人化成社製)が挙げられる。
上記λ/4位相差フィルムの厚みとしては特に限定されないが、5〜200μmであることが好ましい。5μm未満であると、力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、200μmを超えると、λ/4位相差フィルムが非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記λ/4位相差フィルムの厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
上記λ/4位相差フィルムのリタデーションは、直線偏光を楕円偏光(円偏光)へと変換できれば特に限定されないが、80nm〜170nmであることが好ましい。80nm未満であると、偏光子と偏光サングラスの吸収軸とがクロスニコル状態となったとき、表示画像の視認性が低下することがある。一方、170nmを超えると、偏光サングラス着用時の本発明の光学積層体の色味変化が大きくなることがある。上記λ/4位相差フィルムのリタデーションのより好ましい範囲下限は90nm、より好ましい上限は160nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は150nmである。
上記偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であれば特に限定されず、例えば、PVA系フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料等で染色したPVA系偏光子;PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系偏光子;コレステリック液晶を用いた反射型偏光子;薄膜結晶フィルム系偏光子等が挙げられ、なかでも、PVA系偏光子が好ましく用いられる。
上記PVA系偏光子としては、例えば、PVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。なかでも、PVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。
このような偏光子の厚さとしては特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
本発明の光学積層体において、上記偏光子の吸収軸と、上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とがなす角度が凡そ45°又は凡そ135°であることが好ましい。このような状態で上記偏光子とλ/4位相差フィルムとが積層されていることで、本発明の光学積層体を用いた画像表示装置の表示画面を偏光サングラス越しに見たときに、偏光板の吸収軸と、該偏光サングラス吸収軸とのなす角度がどのような角度であっても高い透過光を得ることができ、視認性が低下する問題を好適に防止することができる。
なお、上記「凡そ45°又は凡そ135°」とは、上記偏光子の吸収軸と上記λ/4位相差フィルムの遅相軸とがなす角度が、45°±15°又は135°±15°の範囲にあることを意味し、より好ましくは、45°±5°又は135°±5°の範囲にあることを意味する。
本発明の光学積層体は、上述した構成であるため、画像表示装置に用いた場合、偏光サングラスをかけた状態でも、表示画像が視認でき、かつ、色味の変化が生じることがなく、表示品質に優れたものとなる。このような本発明の光学積層体による画像表示装置の表示品質の改善方法もまた、本発明の一つである。
本発明の光学積層体は、タッチパネルに用いることができる。
ここで、本発明の光学積層体を用いたタッチパネルとしては、薄膜抵抗式のタッチパネルや静電容量式のタッチパネルが挙げられる。
上記薄膜抵抗式のタッチパネルとしては、例えば、透明基材の一方の面上に透明導電性膜が積層された構成を有する一対の積層体が、上記透明導電性膜同士が公知のスペーサを介して向き合うように対向配置された構成が挙げられる。なお、以下、上記一対の積層体の一方(観察者側)の積層体を第1の積層体ともいい、他方の積層体を第2の積層体ともいう。
本発明の光学積層体が薄膜抵抗式のタッチパネルに用いられる場合、好ましい構成としては、例えば、上述した第1の積層体における透明基材を、本発明の光学積層体における上記光透過性基材とし、上記第2の積層体における透明基材を、本発明の光学積層体における上記λ/4位相差フィルムとする構成等が挙げられる。このような構成の薄膜抵抗式のタッチパネルでは、上記光透過性基材の一方の面上と上記λ/4位相差フィルムの一方の面上とに、それぞれ透明導電性膜が設けられ、該透明導電性膜同士が向き合うように対向配置される。そして、上記光透過性基材の透明導電性膜が設けられた側と反対側面上には、従来から薄膜抵抗式のタッチパネルに用いられているガラス基材等のカバーガラスが設けられることが好ましい。
また、本発明の光学積層体が薄膜抵抗式のタッチパネルに用いられる場合の好ましい別の構成としては、例えば、上述した第1の積層体における透明基材を、従来から薄膜抵抗式のタッチパネルに用いられているガラス基材等のカバーガラスとし、上記第2の積層体における透明基材を、本発明の光学積層体における上記λ/4位相差フィルムとする構成が挙げられる。このような構成の薄膜抵抗式のタッチパネルでは、上記カバーガラスの一方の面上と上記λ/4位相差フィルムの一方の面上とに、それぞれ透明導電性膜が設けられ、該透明導電性膜同士が向き合うように対向配置される。そして、上記カバーガラスの透明導電性膜が設けられた側と反対側面上には、本発明の光学積層体における上記光透過性基材を設けられる。このような構成のタッチパネルは、上記光透過性基材によりカバーガラスの破損による飛散防止効果を得ることができる。
また、静電容量式のタッチパネルとしては、例えば、観察者側から、カバーガラス、第1の透明導電性膜、第1の透明基材、第2の導電性膜及び第2の透明基材がこの順に積層された構成等が挙げられる。なお、本発明の光学積層体が静電容量式のタッチパネルに用いられる場合、抵抗膜方式のように透明導電性膜同士が直接接触することは無い。
本発明の光学積層体が静電容量式のタッチパネルに用いられる場合、好ましい構成としては、例えば、上記第1の透明基材を本発明の光学積層体における上記光透過性基材とし、上記第2の積層体における透明基材を、本発明の光学積層体における上記λ/4位相差フィルムとする構成等が挙げられる。
また、本発明の光学積層体が静電容量式のタッチパネルに用いられる場合の好ましい別の構成としては、例えば、上述した第1の透明基材を、従来から薄膜抵抗式のタッチパネルに用いられているガラス基材等のカバーガラスとし、上記第2の透明基材を、本発明の光学積層体における上記λ/4位相差フィルムとし、最も観察者側に本発明の光学積層体における上記光透過性基材を設けた構成が挙げられる。このような構成のタッチパネルは、上記光透過性基材によりカバーガラスの破損による飛散防止効果を得ることができる。
上記透明導電性膜としては特に限定されず、例えば、金属酸化物からなる透明導電性膜が挙げられる。
上記金属酸化物からなる透明導電性膜としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化タングステン(WO)等からなる膜を挙げることができる。
また、上記透明導電性膜は、公知のタッチパネル電極と同様のパターンが形成されていてもよい。
上記透明導電性膜の製膜方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を挙げることができる。
また、上記透明導電性膜の膜厚は、例えば、100〜400Åであることが好ましい。
また、上述したパターンが形成された透明導電性膜は、上記方法で製膜した透明導電性膜に公知のエッチング処理を施すことで形成することができる。
上記タッチパネルは、上記透明基材と透明導電性膜との間に絶縁膜を有することが好ましい。
上記絶縁性膜としては、例えば、ケイ素酸化物からなる絶縁膜が挙げられ、具体的にはSiOxからなる膜が挙げられる。このような絶縁膜は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法により形成することができる。
上記絶縁膜の膜厚は、100〜500Åであることが好ましい。
本発明の光学積層体は、画像表示装置の表示画面側に配置して好適に用いられる。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
上記の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。上記画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体が形成されてなるものである。
上記画像表示装置であるPDPは、表面に電極を形成した表面ガラス基板と、当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置され、電極及び、微小な溝を表面に形成し、溝内に赤、緑、青の蛍光体層を形成した背面ガラス基板とを備えてなるものである。上記画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又は、その前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に本発明の光学積層体を備えるものでもある。
上記画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に本発明の光学積層体を備えるものである。
ここで、上記画像表示装置が液晶表示装置の場合、該液晶表示装置において、バックライト光源としては特に限定されないが、白色発光ダイオード(白色LED)であることが好ましい。
上記白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることから反射防止性能及び明所コントラストの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、上記バックライト光源として好適である。また、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
本発明の光学積層体は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELD、FEDなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明は、上述した構成からなるものであるため、表示画像に視認性低下及び色味の変化が生じることがなく、表示品質に優れた画像表示装置とすることのできる光学積層体を提供できる。
実施例等で用いたλ/4位相差フィルムAのリタデーション特性を示すグラフである。 実施例等で用いたλ/4位相差フィルムBのリタデーション特性を示すグラフである。 実施例等で使用した液晶モニターのバックライト光源スペクトルを示すグラフである。
本発明の内容を下記の実施例により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。また、特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(光透過性基材Aの作製)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率1.1倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率4.0倍にて延伸を行い、nx=1.69、ny=1.61、膜厚125μm、波長550nmにおけるリタデーション=1万nmの光透過性基材Aを得た。
(光透過性基材Bの作製)
光透過性基材Aの未延伸フィルム膜厚を変更した以外は、同様の方法にて、nx=1.69、ny=1.61、膜厚60μm、波長550nmにおけるリタデーション=4800nmの光透過性基材Bを得た。
(光透過性基材Cの作製)
光透過性基材Aの未延伸フィルム膜厚を変更した以外は、同様の方法にて、nx=1.69、ny=1.61、膜厚30μm、波長550nmにおけるリタデーション=2400nmの光透過性基材Cを得た。
(光透過性基材Dの作製)
ポリエチレンナフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率1.1倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率4.0倍にて延伸を行い、nx=1.81、ny=1.60、膜厚50μm、波長550nmにおけるリタデーション=10050nmの光透過性基材Dを得た。
(λ/4位相差フィルムAの作製)
シクロオレフィンポリマーを用いたλ/4位相差フィルムとして、日本ゼオン社製ゼオノアを用いたλ/4位相差フィルムAを用意した。λ/4位相差フィルムAのリタデーション特性を図1に示す。
(λ/4位相差フィルムBの作製)
ビスフェノール成分としてビスフェノールAからなるポリカーボネイト(帝人化成社製 C−1400)を、塩化メチレンを溶剤として、固形分濃度が15%になるように溶解後、ガラス上に流延し、乾燥させた。得られたフィルムを160℃で1.15倍に延伸し、λ/4位相差フィルムBを得た。λ/4位相差フィルムBのリタデーション特性を図2に示す。
(偏光子の作製)
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光子を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(実施例1)
偏光子の一方の面側に、λ/4位相差フィルムAを、その貼合面にコロナ処理を施した後、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、偏光子の吸収軸と、λ/4位相差フィルムAの遅相軸とのなす角度が45°となるように接着貼合した。次いで、偏光子のλ/4位相差フィルムが積層された側とは反対側面に、トリアセチルセルロース(TD80UL−M 富士フィルム社製)基材を、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、接着貼合し、偏光板(円偏光板)を作製した。さらに、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が0°となるように、粘着フィルムを用いて貼り合わせ、光学積層体を得た。
(実施例2)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が15°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例3)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が30°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例4)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が60°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例5)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が75°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例6)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が90°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例7)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例8)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Bを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Bの遅相軸とのなす角度が90°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例9)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Dを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例10)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Dを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Dの遅相軸とのなす角度が90°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例11)
λ/4位相差フィルムAの変わりに、λ/4位相差フィルムBを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(実施例12)
λ/4位相差フィルムAの変わりに、λ/4位相差フィルムBを用い、λ/4位相差フィルムBの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が90°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(比較例1)
偏光子の一方の面側に、λ/4位相差フィルムAを、その貼合面にコロナ処理を施した後、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、偏光子の吸収軸と、λ/4位相差フィルムAの遅相軸とのなす角度が45°となるように接着貼合した。次いで、λ/4位相差フィルムの偏光子が積層された側とは反対側面に、トリアセチルセルロース(TD80UL−M 富士フィルム社製)基材を、脂環式エポキシ化合物を含有する無溶剤の活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、接着貼合し、偏光板(円偏光板)を作製した。
(比較例2)
λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(比較例3)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Bを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Bの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(比較例4)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Dを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Dの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(比較例5)
λ/4位相差フィルムAの変わりに、λ/4位相差フィルムBを用いた以外は、比較例1同様の方法で、偏光板(円偏光板)を作製した。
(比較例6)
λ/4位相差フィルムAの変わりに、λ/4位相差フィルムBを用い、λ/4位相差フィルムBの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(参考例1)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(参考例2)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Cを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Cの遅相軸とのなす角度が45°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
(参考例3)
光透過性基材Aの変わりに、光透過性基材Cを用い、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Cの遅相軸とのなす角度が90°となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、光学積層体を得た。
実施例、比較例2〜4、6及び参考例で得られた光学積層体、並びに、比較例1及び5で得られた偏光板について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(視認性評価・色味変化評価)
液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観測者側に設置された直線偏光板を剥がし、その代わりに、実施例、比較例2〜4、6及び参考例で得られた光学積層体、並びに、比較例1、5で得られた偏光板を、トリアセチルセルロース側が液晶パネル側となるように、感圧式接着剤(P−3132、リンテック社製)を介して設置した。評価は、暗所にて、液晶表示装置を白表示とし、偏光サングラス吸収軸と偏光子の吸収軸とのなす角度が0°(パラレルニコル)となるときと、90°(クロスニコル)となるときの正面輝度と正面色味とを、色彩輝度計BM−5A(トプコン社製)にて測定し、透過率と色味変化Δu’v’とを算出した。具体的な評価基準は以下の通りである。図3に液晶モニターのバックライト光源スペクトルを示す。
(視認性評価基準)
液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観測者側に設置された直線偏光板の吸収軸と、偏光サングラスの吸収軸のなす角度が0°(パラレルニコル)のときの輝度を100として、透過率を算出した。また、同時に、10人で観察を行い、下記の基準に従い、評価した。最多数の評価を観察結果としている。
○:パラレルニコル時とクロスニコル時で、表示画像を視認することができ、透過率が10%以上であった。
×:パラレルニコル時とクロスニコル時で、表示画像を視認できない時があり、透過率が10%未満であった。
(色味変化評価基準)
同時に、10人で観察を行い、下記の基準に従い、評価した。最多数の評価を観察結果としている。
◎:パラレルニコル時とクロスニコル時の色味変化がなく、色差Δu’v ’が0.03未満であった。
○:パラレルニコル時とクロスニコル時の色味変化が少しあるが、実使用上問題なく、色差Δu’v’が、0.03以上、0.06未満であった。
×:パラレルニコル時とクロスニコル時の色味変化があり、色差Δu’v ’が0.06以上であった。
(飛散防止性)
実施例、比較例2〜4、6及び参考例で得られた光学積層体、並びに、比較例1、5で得られた偏光板の飛散防止性能を、以下の方法で評価した。
JIS R3202に準拠した70mm×70mmで厚さ1mmのフロート板ガラスと、実施例、比較例2〜4、6及び参考例で得られた光学積層体のトリアセチルセルロース基材側とは反対面とを、粘着剤を介して貼り合わせ、飛散防止性評価用サンプルを作製した(構成1)。また、比較例1、5で得られた偏光板のトリアセチルセルロース基材側とは反対面とを、粘着剤を介して貼り合わせ、飛散防止性評価用サンプルを作製した(構成2)。
そして、各飛散防止性評価サンプルの両端に金属板を置いて1mm浮かせた状態で、各飛散防止性評価サンプルのフロート板ガラス面より50cmの高さから鉄球(直径31.75mm、重さ130.4g)を、フロート板ガラス面へ落下させた。下記の基準により飛散防止性を評価した。
○:フロート板ガラスが割れても飛散せず、光学積層体又は偏光板の裂けも無い。
×:フロート板ガラスが割れても飛散しなかったが、光学積層体又は偏光板の一部が裂けていた。
Figure 2014215473
表1に示したように、実施例に係る光学積層体は、いずれの評価にも優れた結果であった。
一方、比較例に係る光学積層体は、色味変化の評価に劣っていた。参考例に係る光学積層体は、λ/4位相差フィルムの遅相軸と光透過性基材の遅相軸とのなす角度が、0°である参考例1に係る光学積層体のみ色味変化が良好であり、実施例の光学積層体と比べて、色味変化が良好な角度が狭かった。
また、実施例2〜5に係る光学積層体について、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度がマイナス側に同角度となるように貼り合せた光学積層体をそれぞれ作製した。また、比較例2〜4、6及び参考例2に係る光学積層体について、λ/4位相差フィルムAの遅相軸と光透過性基材Aの遅相軸とのなす角度がプラス90°(すなわち、135°)となるように貼り合せた光学積層体をそれぞれ作製した。
そして、得られた各光学積層体について、上述の各評価を同様に行ったところ、いずれも対応する実施例2〜5、比較例2〜4、6及び参考例2に係る光学積層体と同様の結果が得られた。
また、実施例、比較例2〜4、6及び参考例で得られた光学積層体のλ/4位相差フィルムと光透過性基材との間に、JIS R3202に準拠した70mm×70mmで厚さ1mmのフロート板ガラスを貼り合わせた飛散防止性評価サンプル(構成3)を作製し、上記方法と同様の方法で飛散防止性を評価した。その結果、上記構成3に係る飛散防止性評価サンプルは、上記構成1に係る飛散防止性評価サンプルと同様の結果が得られたが、構成1に係る飛散防止性評価サンプルと比較すると、構成3に係る飛散防止性評価サンプルの方が、フロート板ガラスの割れが小さく、より飛散防止性に優れている構成であることを確認した。
本発明の光学積層体は、表示画像に視認性低下及び色味の変化が生じることがなく、表示品質に優れた画像表示装置とすることができる。

Claims (6)

  1. 観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体であって、
    前記光透過性基材と前記λ/4位相差フィルムとは、前記光透過性基材の遅相軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45°又は135°とならないように配置されている
    ことを特徴とする光学積層体。
  2. 光透過性基材とλ/4位相差フィルムとは、前記光透過性基材の遅相軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸とが、凡そ平行となるように配置されているか、又は、凡そ垂直に交わるように配置されている請求項1記載の光学積層体。
  3. 偏光子の吸収軸と、λ/4位相差フィルムの遅相軸とがなす角度が凡そ45°又は凡そ135°である請求項1又は2記載の光学積層体。
  4. 面内に複屈折を有する光透過性基材は、ポリエステル基材であり、
    前記ポリエステル基材のリタデーションが3000nm以上であり、かつ、面内において最も屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上である請求項1、2又は3記載の光学積層体。
  5. λ/4位相差フィルムは、シクロオレフィンポリマーを材料とする請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
  6. 観測者側から、少なくとも、面内に複屈折を有する光透過性基材、λ/4位相差フィルム及び偏光子がこの順に積層された光学積層体を用いた画像表示装置の表示品質改善方法であって、
    前記光透過性基材と前記λ/4位相差フィルムとは、前記光透過性基材の遅相軸と前記λ/4位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が、45°又は135°とならないように配置されている
    ことを特徴とする画像表示装置の表示品質改善方法。
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