JP2017062500A - 偏光板、偏光板の製造方法、画像表示装置、画像表示装置の製造方法及び偏光板の光透過率改善方法 - Google Patents

偏光板、偏光板の製造方法、画像表示装置、画像表示装置の製造方法及び偏光板の光透過率改善方法 Download PDF

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剛志 黒田
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Abstract

【課題】面内に複屈折率を有する光透過性基材が用いられていても光透過率に優れる偏光板を提供する。
【解決手段】少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とは、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置されていることを特徴とする偏光板。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板、偏光板の製造方法、画像表示装置、画像表示装置の製造方法及び偏光板の光透過率改善方法に関する。
液晶表示装置は、省電力、軽量、薄型等といった特徴を有していることから、従来のCRTディスプレイに替わり様々な分野で用いられている。特に、近年急速に普及している携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器では、液晶表示装置が必須となっている。
このような液晶表示装置は、例えば、バックライト光源上に、観察者側とバックライト光源側とに一対の偏光板が、液晶セルを介してクロスニコルの関係となるように配置された構成が知られている。
そして、このような構成の液晶表示装置は、バックライト光源から照射された光が、バックライト光源側の偏光板、液晶セル及び観察者側の偏光板を透過し、表示画面にて映像が表示される。
通常、上記偏光板としては、偏光子と光透過性基材とが積層された構造を有し、上記偏光板の光透過性基材としては、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。これは、セルロースエステルは、透明性、光学等方性に優れ、面内にほとんど位相差を持たない(リタデーション値が低い)ため、入射直線偏光の振動方向を変化させることが極めて少なく、液晶表示装置の表示品質への影響が少ないことや、適度な透水性を有することから、偏光板を製造した時に偏光子に残留した水分を、光学積層体を通して乾燥させることができる等の利点に基づくものである。
しかしながら、セルロースエステルは透湿度が高すぎるため、耐湿試験を行うと褪色による透過率の上昇や、偏光度の低下をきたすこと等の問題があった。これを解決するために、シクロオレフィン樹脂を保護フィルムとして用いた偏光板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この他にも、耐久性向上のため、セルロースエステルフィルムに比べて安価で市場において入手が容易な、あるいは簡易な方法で製造することが可能な汎用性フィルムを保護フィルムとして用いることが望まれており、例えば、セルロースエステルフィルムの代わりとして、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムを利用する試みがなされている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、このような構成の液晶表示装置において、バックライト光源から照射された光を効率よく表示画面まで透過させることは、表示画面の輝度向上に重要である。特に、近年急速に普及しているスマートフォン等のモバイル機器では、バッテリーの持続時間に直接影響するため、より効率よくバックライト光源からの光を表示画面まで透過させることが求められている。
しかしながら、ポリエステルフィルムは、分子鎖中に分極率の大きい芳香族環を持つため固有複屈折が極めて大きく、優れた透明性、耐熱性、機械強度を付与させるための延伸処理による分子鎖の配向に伴って複屈折が発現しやすいという性質を有する。このため、ポリエステルフィルムのような面内に複屈折率を有する光透過性基材を、偏光子の保護フィルムとして用いた場合、透過率が低下してしまうことがあり、従来の液晶表示装置では、バックライト光源から照射された光の多くが表示画面に到達することができず、より光透過率の向上が求められていた。
特開平6−51120号公報 特開平6−51117号公報 WO2011/162198
本発明は、上記現状に鑑み、面内に複屈折率を有する光透過性基材が用いられていても光透過率に優れる偏光板、該偏光板の製造方法、画像表示装置、画像表示装置の製造方法及び偏光板の光透過率改善方法を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とは、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置されていることを特徴とする偏光板である。
本発明の偏光板は、上記光透過性基材の面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率をnxとし、上記面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をnyとし、上記光透過性基材の平均屈折率をNとしたとき、上記光透過性基材は、下記式の関係を満たすことが好ましい。
nx>N>ny
また、本発明の偏光板において、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.01以上であることが好ましい。
また、本発明の偏光板は、観察者側から、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材、上記偏光子がこの順に積層された状態で、画像表示装置の表面に配置して用いられることが好ましい。
また、本発明の偏光板は、観察者側から、偏光子、面内に複屈折率を有する光透過性基材がこの順に積層された状態で、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板の製造方法であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法でもある。
また、本発明は、上述した本発明の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
また、本発明は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置の製造方法であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法でもある。
また、本発明は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板の光透過率改善方法であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置することを特徴とする偏光板の光透過率改善方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体も“樹脂”と記載する。
本発明者らは、光透過性基材と偏光子とが積層された偏光板について鋭意検討した結果、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた場合、偏光板の光透過率には、該光透過性基材の屈折率の小さい方向である進相軸と偏光子の透過軸との間で角度依存性があることを見出した。
すなわち、本発明者らは、面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率の小さい方向である進相軸と上記偏光子の透過軸とが特定の角度範囲となるように積層することで、該偏光板の光透過率を向上させることができることを見出した。そして、このような知見に基づき本発明者らは、更に鋭意検討した結果、従来、光学等方性材料として用いられてきたセルロースエステル等の材料からなる光透過性基材に対しても、敢えて複屈折率を持たせた光透過性基材とすることにより、光学等方性材料のまま用いるよりも、光透過率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の偏光板は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられている。
上記光透過性基材としては、面内に複屈折率を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル等からなる基材が挙げられるが、なかでも、コスト及び機械的強度において有利なポリエステル基材であることが好適である。なお、以下の説明では、面内に複屈折率を有する光透過性基材をポリエステル基材として説明する。
なお、本発明の偏光板において、上記光透過性基材としては、従来、光学等方性材料として用いられていたセルロースエステル等からなる光透過性基材であっても、敢えて複屈折率を持たせることで使用することができる。
本発明の偏光板において、上記ポリエステル基材の面内において屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、上記遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差nx−ny(以下、Δnとも表記する)は、0.01以上であることが好ましい。上記Δnが0.01未満であると、透過率向上効果が少なくなることがある。一方、上記Δnは、0.30以下であることが好ましい。0.30を超えると、ポリエステル基材を過度に延伸する必要が生じるため、ポリエステル基材が裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。
以上の観点から、上記Δnのより好ましい下限は0.05、より好ましい上限は0.27である。上記Δnの更に好ましい下限は0.07、上限は0.25である。
上記したΔnを満たすことで、好適な光透過率の向上を図ることができる。
なお、本明細書において、光透過性基材が面内に複屈折性を有しているか否かは、波長550nmの屈折率において、Δn(nx−ny)≧0.0005であるものは、複屈折性を有しているとし、Δn<0.0005であるものは、複屈折性を有していないとする。複屈折率は、王子計測機器社製KOBRA−WRを用いて、測定角0°かつ測定波長552.1nmに設定して、測定を行うことができる。このとき、複屈折率算出には、膜厚、平均屈折率が必要となる。膜厚は、例えば、マイクロメーター(Digimatic Micrometer、ミツトヨ社製)や、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて測定できる。平均屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することができる。
なお、一般的に等方性材料として知られる、トリアセチルセルロースからなるTD80UL−M(富士フィルム社製)、シクロオレフィンポリマーからなるZF16−100(日本ゼオン社製)のΔnは、上記測定方法により、それぞれ、0.0000375、0.00005であり、複屈折性を有していない(等方性)と判断した。
その他、複屈折率を測定する方法として、二枚の偏光板を用いて、光透過性基材の配向軸方向(主軸の方向)を求め、配向軸方向に対して直交する二つの軸の屈折率(nx、ny)を、アッベ屈折率計(アタゴ社製 NAR−4T)によって求めることもできるし、裏面に黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニット、VAR−7010 日本分光社製)を用いて、偏光測定:S偏光にて、S偏光に対して、遅相軸を平行にした場合と、進相軸を平行にした場合の5度反射率を測定し、反射率(R)と屈折率(n)との関係を示す下記式(1)より、遅相軸と進相軸の各波長の屈折率(nx、ny)を算出することもできる。
R(%)=(1−n)/(1+n) 式(1)
また、平均屈折率は、アッベ屈折率計や、エリプソメーターを用いて測定することができ、光透過性フィルムの厚み方向の屈折率nzは、上記の方法によって測定した、nx、nyを用いて、下記式(2)より、計算できる。
平均屈折率N=(nx+ny+nz)/3 式(2)
ここで、nx、ny、nzの算出方法を、具体例を挙げて説明する。
なお、nxは、光透過性基材の遅相軸方向の屈折率、nyは、光透過性基材の進相軸方向の屈折率、nzは、光透過性基材の厚み方向の屈折率である。
(3次元屈折率波長分散の算出)
まずは、シクロオレフィンポリマーを例に挙げて、3次元屈折率波長分散の算出方法を具体的に説明する。
面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を、エリプソメーター(UVISEL 堀場製作所)を用いて測定し、その結果を図1に示した。この測定結果より、面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を、nxとny、nzの屈折率波長分散とした。
このフィルムを延伸温度155℃で自由端一軸延伸して、面内に複屈折率を有するフィルムを得た。膜厚は、100μmであった。この自由端一軸延伸したフィルムを、複屈折測定計(KOBRA−21ADH、王子計測機器)により、入射角0°及び40°のリタデーション値を4波長(447.6nm、547.0nm、630.6nm、743.4nm)で測定した。
各波長での、平均屈折率(N)と、リタデーション値とを元に、複屈折測定計付属の3次元波長分散計算ソフトを用いて、Cauchy又はSellmeierの式などを用いて、3次元屈折率波長分散を算出し、その結果を図2に示した。なお、図2中、nyはnzとほぼ重なって示されている。この結果より、面内に複屈折率を有するシクロオレフィンポリマーフィルムの3次元屈折率波長分散を得た。
(分光光度計を用いた屈折率nx、ny、nzの算出)
ポリエチレンテレフタレートを例に挙げて、分光光度計を用いた屈折率nx、ny、nzの算出方法を具体的に説明する。
面内に複屈折率を有さないポリエチレンテレフタレートの平均屈折率波長分散は、上記3次元屈折率波長分散の算出方法と同様に行った。
面内に複屈折率を有するポリエチレンテレフタレートの屈折率波長分散(nx、ny)は、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR−7010 日本分光社製)を用いて算出した。測定面とは反対面に、裏面反射を防止するために測定スポット面積よりも大きな幅の黒ビニールテープ(例えば、ヤマトビニールテープNo200−38−21 38mm幅)を貼ってから、偏光測定:S偏光にて、光透過性基材の配向軸を平行に設置した場合と、配向軸に対して直交する軸を平行に設置した場合との5度分光反射率を測定した。結果を図3に示す。反射率(R)と屈折率(n)との関係を示す上記式(1)より、屈折率波長分散(nx、ny)を算出した。より大きい反射率(上記式(1)により算出された屈折率)を示す方向をnx(遅相軸ともいう)とし、より小さい反射率(上記式(1)により算出された屈折率)を示す方向をny(進相軸ともいう)とした。ここで、配向軸とは、光源の上に、クロスニコル状態に設置された二枚の偏光板の間に、面内に複屈折率を有するフィルムを挟み、フィルムを回転させ、光漏れがもっとも少ない状態の時、偏光板の透過軸、又は、吸収軸と同一方向が、フィルムの配向軸とすることができる。また、屈折率nzは、上記平均屈折率(N)と上記式(2)とにより算出できる。
本発明の偏光板では、上記光透過性基材の面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率をnxとし、上記面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をnyとし、上記光透過性基材の平均屈折率をNとしたとき、上記光透過性基材は、下記式の関係を満たすことが好ましい。
nx>N>ny
上記式を満たすことで、光学等方性フィルムの状態で偏光子の保護フィルムとして用いた場合と比較して、透過率を向上させることができる。
なお、本発明の偏光板は、面内に複屈折を有する光透過性基材の偏光子が積層されている側とは反対の面に、上記光透過性基材の進相軸方向の屈折率nyよりも小さな屈折率を有する低屈折率層が設けられていてもよい。このような低屈折率層としては、屈折率が上記光透過性基材の進相軸方向の屈折率nyよりも小さなものであれば特に限定されず、従来公知の材料からなるものが挙げられる。
上記ポリエステル基材を構成する材料としては、上述したΔnを充足するものであれば特に限定されないが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエチレン−2,3−ナフタレート)などを例示することができる。また、ポリエステル基材に用いられるポリエステルは、これらのポリエステルの共重合体であってもよく、上記ポリエステルを主体(例えば80モル%以上の成分)とし、少割合(例えば20モル%以下)の他の種類の樹脂とブレンドしたものであってもよい。上記ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので特に好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、光透過率に優れる偏光板を得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりΔnの制御が可能であり、固有複屈折が大きいため、比較的容易に複屈折率を持たせることができる。
上記ポリエステル基材を得る方法としては、上述したΔnを充足する方法であれば特に限定されないが、例えば、材料の上記PET等のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施す方法が挙げられる。
上記横延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。また、縦延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステル基材の透明性が低下しやすくなり、横延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られるポリエステル基材の複屈折が小さくなり、透過率向上の効果が小さくなるためである。
また、本発明においては、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの縦延伸を上記条件で行った後、もしくは前に、該縦延伸に対する幅方向の延伸(以下、横延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、上記横延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記横延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。
また、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
なお、ロール状の未延伸のポリエステルフィルムを縦方向のみに延伸させ、又は、横方向に僅かに延伸させた場合には、ポリエステル基材の進相軸が幅方向に沿って存在している。その一方で、ロール状の偏光子は、その延伸処理を非常に高精度に管理されながら製造されるため、特殊な場合を除き、長手方向に沿って吸収軸が存在している(幅方向に透過軸が存在)。このため、ロールツーロール法によってポリエステル基材と偏光子とを貼り合わせることによって、偏光子の透過軸方向とポリエステル基材の進相軸方法が沿った偏光板を作製することができる。
上記ポリエステル基材の厚みとしては、5〜300μmの範囲内であることが好ましい。5μm未満であると、上記ポリエステル基材の力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、300μmを超えると、ポリエステル基材が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記ポリエステル基材の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は250μmであり、更に好ましい上限は200μmである。
また、上記ポリエステル基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。なお、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本発明において、上記ポリエステル基材には本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
上記偏光子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。上記偏光子と上記光透過性基材とのラミネート処理においては、該光透過性基材にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になる。
本発明の偏光板において、上記光透過性基材と上記偏光子とは、上記光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と上記偏光子の透過軸とのなす角度が、90°とならないように積層されている。本発明の偏光板は、上記光透過性基材と上記偏光子とが上述のように配置されるため、光透過率を優れたものとすることができる。すなわち、上記光透過性基材の進相軸と上記偏光子の透過軸とのなす角度が上記範囲を外れる場合、具体的には、90°である場合、本発明の偏光板の光透過率が極めて低いものとなる。
これは、以下の理由による。
すなわち、観測者側から、面内に複屈折率を有する光透過性基材、偏光子の順に積層されている偏光板の場合、偏光子の透過軸方向に振動し、該偏光子から出射した光は、その振動方向を保ったまま、光透過性基材を通過するが、例えば、この光が、光透過性基材から、空気界面に出る場合、下記式によって反射が起こる。なお、下記式中、ρは、反射率を示し、naは、光の振動方向と同じ方向の光透過性基材の面内の屈折率を示す。
ρ=(1−na)/(1+na)
そして、上記偏光板の透過率τは、下記式によって求められるが、吸収率αは、材料が同じであるため、同じ値であることを考えれば、透過率τを大きくするためには、反射率ρを小さくすれば良い。
τ=1−ρ−α
すなわち、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とは、該光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が0°である場合、光は、光透過性基材の面内において、最も小さい屈折率と空気の屈折率との差によって反射が起こるため、反射率を最も小さくでき、透過率を上げることができる。一方、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とは、該光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°である場合、光は、光透過性基材の面内において、最も大きい屈折率と空気の屈折率との差によって反射が起こるため、反射率がもっとも大きくなり、結果として、透過率が低下する。
本発明の偏光板において、上記光透過性基材と上記偏光子とは、上記光透過性基材の進相軸と上記偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±20°以下となるように積層されていることが好ましく、より好ましくは、0°±5°以下である。上記光透過性基材の遅相軸と上記偏光子の透過軸とのなす角度が上記範囲にあることで、平均屈折率を用いたものよりも、本発明の偏光板の光透過率が優れたものとなる。
ここで、画像表示装置には、通常、一対の偏光板が偏光子の透過軸同士がクロスニコルの関係となるように配置されている。本発明の偏光板は、上記一対の偏光板のいずれであってもよい。すなわち、本発明の偏光板は、観察者側から、面内に複屈折率を有する光透過性基材、偏光子がこの順に積層された状態で、画像表示装置の表面に配置して用いられる構成であってもよく、観察者側から、偏光子、面内に複屈折率を有する光透過性基材がこの順に積層された状態で、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられるものであってもよい。更に、上記一対の偏光板のいずれもが本発明の偏光板であってもよい。
本発明の偏光板は、光透過性基材と偏光子とが、光透過性基材の進相軸と偏光子の透過軸とが特定の関係となるように積層されているため、光透過率が改善されたものとなる。このような本発明の偏光板による光透過率改善方法もまた、本発明の一つである。
また、本発明の偏光板は、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とのなす角度が、90°とならないように積層することで製造することができる。このような本発明の偏光板を製造する方法もまた、本発明の一つである。
すなわち、本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板の製造方法であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有することを特徴とする。
本発明の画像表示装置の製造方法において、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と偏光子としては、上述した本発明の偏光板と同様のものが挙げられる。
また、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子との積層は、公知の接着剤を介して行うことが好ましい。
上述した本発明の偏光板を備えてなる画像表示装置もまた、本発明の一つである。
本発明の画像表示装置は、液晶セルと、該液晶セルを背面から照射するバックライト光源とを備え、上記液晶セルのバックライト光源側に、本発明の偏光板が形成されてなる液晶表示装置(LCD)であることが好ましい。
また、本発明の画像表示装置は有機ELであってもよい。上記有機ELは、画像表示原理上、偏光子を必要としないが、外光反射防止の観点から、観測者側から面内に複屈折率を有する光透過性基材、偏光子、λ/4位相差板、有機ELの順に積層した構成を用いる場合がある。
上記有機ELの画像表示方式としては、白色発光層を用い、カラーフィルタを通すことで、カラー表示を得るカラーフィルタ方式、青色発光層を用い、その発光の一部を、色変換層を通すことによりカラー表示を得る色変換方式、赤色・緑色・青色の発光層を用いる3色方式、この3色方式にカラーフィルタを併用した方式などが挙げられる。発光層の材料としては、低分子であっても、高分子であってもよい。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができ、特に、高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
また、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置の製造方法も本発明の一つである。
すなわち、本発明の画像表示装置の製造方法は、少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置の製造方法であって、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材と上記偏光子とを、上記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、上記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有することを特徴とする。
本発明の画像表示装置の製造方法において、上記偏光板を構成する面内に複屈折率を有する光透過性基材及び偏光子としては、上述した本発明の偏光板で説明したものと同様のものが挙げられる。
上述のように本発明の偏光板は光透過性基材と偏光子とが、光透過性基材の進相軸と偏光子の透過軸とが特定の関係となるように積層されているため、光透過率が改善されたものとなる。本発明の画像表示装置は、このような本発明の偏光板を備えたものであるため、本発明の画像表示装置も光透過率が改善されたものとなる。
本発明の偏光板は、上述した構成からなるものであるため、面内に複屈折率を有する光透過性基材が用いられた場合であっても、光透過率に優れたものとなり、また、従来の面内に位相差を持たないトリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられた偏光板であっても、あえて、複屈折率を持たせることで、透過率が優れたものとなる。
面内に複屈折率を有さないシクロオレフィンポリマーフィルムの平均屈折率波長分散を示すグラフである。 面内に複屈折率を有するシクロオレフィンポリマーフィルムの3次元屈折率波長分散を示すグラフである。 分光光度計により測定したnx及びnyの5度反射率を示すグラフである。 実施例等における偏光板の層構成を示す模式図である。 実施例等で用いた光源のスペクトルである。 実施例等で用いた保護フィルムの屈折率波長分散を示すグラフである。 実施例等で用いた偏光子の屈折率及び消衰係数を示すグラフである。 実施例等で用いたハードコート層の屈折率波長分散を示すグラフである。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例のみに限定されるものではない。
(光透過性基材の作製)
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材Aの作製)
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製CAP504−0.2)を、塩化メチレンを溶剤として固形分濃度が15%になるように溶解後、ガラス上に流延し、乾燥させ、光透過性基材Aを得た。波長550nmにおけるΔn=0.00002であり、平均屈折率N=1.4838であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材aの作製)
光透過性基材Aを、160℃で1.5倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材aを作製した。3次元屈折率波長分散を算出した結果、波長550nmにおける屈折率nx=1.4845、ny=1.4835であり、nz=1.4834であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材Bの作製)
光透過性基材Bとして、シクロオレフィンポリマーよりなる、日本ゼオン社製未延伸ゼオノアを準備した。波長550nmにおけるΔn=0.00004であり、平均屈折率N=1.5177であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材bの作製)
光透過性基材Bを、150℃で1.5倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材bを作製した。3次元屈折率波長分散を算出した結果、波長550nmにおける屈折率nx=1.5186、ny=1.5172であり、nz=1.5173であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材Cの作製)
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、ガラス上にて、ゆっくりと冷却し、光透過性基材Cを得た。波長550nmにおけるΔn=0.00035であり、平均屈折率N=1.6167であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材c1の作製)
光透過性基材Cを、120℃で4.0倍固定端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材c1を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.701、ny=1.6015であり、nz=1.5476であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材c2の作製)
光透過性基材Cを、120℃で2.0倍自由端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材c2を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6511、ny=1.5998であり、nz=1.5992であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材c3の作製)
光透過性基材Cを、120℃で二軸延伸の倍率を調整して、面内に複屈折を有する光透過性基材c3を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6652、ny=1.6153であり、nz=1.5696であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材c4の作製)
光透過性基材Cを、120℃で二軸延伸の倍率を調整して、面内に複屈折を有する光透過性基材c4を作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.6708、ny=1.6189であり、nz=1.5604であった。
(面内に複屈折率を有さない光透過性基材Dの作製)
ポリエチレンナフタレート材料を290℃で溶融して、ガラス上にて、ゆっくりと冷却し、光透過性基材Dを得た。波長550nmにおけるΔn=0.0004であり、平均屈折率N=1.6833であった。
(面内に複屈折を有する光透過性基材dの作製)
光透過性基材Dを、120℃で4.0倍固定端一軸延伸して、面内に複屈折を有する光透過性基材dを作製した。分光光度計を用いて、屈折率波長分散(nx、ny)を計算した。波長550nmにおける屈折率nx=1.8472、ny=1.6466であり、nz=1.5561であった。
(偏光板透過率の計算)
透過率の計算は、2×2行列法や4×4行列法、拡張ジョーンズ行列法を用いて計算できる。実施例、比較例、参考例においては、シミュレーションソフト(LCDMaster、シンテック社製)を用いて、偏光板の透過率を計算した。図4に偏光板の層構成を示す。図4の実施例及び比較例部分に、各光透過性基材の3次元屈折率波長分散を入れて上記計算を行った。面内に複屈折を有さないと判断した光透過性基材は、平均屈折率N=nx=ny=nzとし、面内に複屈折を有すると判断した光透過性基材は、実測値を用いた。各層の膜厚は、実施例、比較例、保護フィルム部分は80μmとし、偏光子部分は20μmとした。
図5は、光源のスペクトルである。入射する光の偏光状態は、液晶パネル透過後の偏光状態と同じとなるよう、直線偏光とし、偏光子の透過軸方向に振動する光とした。
図6に、用いた保護フィルムの屈折率波長分散を示し、保護フィルムは、等方性材料とした。
図7に、用いた偏光子の屈折率及び消衰係数を示した。なお、図7中、吸収軸方向と透過軸方向とはほぼ重なって示されている。
(実施例1)
光透過性基材aの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例1)
光透過性基材aの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例2)
光透過性基材bの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例2)
光透過性基材bの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例3)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例4)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が5度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例5)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が22.5度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例6)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が45度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例3)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例7)
光透過性基材c2の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例4)
光透過性基材c2の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例8)
光透過性基材c3の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例5)
光透過性基材c3の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例9)
光透過性基材c4の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例6)
光透過性基材c4の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例10)
光透過性基材dの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例7)
光透過性基材dの3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、偏光板の透過率を計算した。
(実施例11)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が0度となるように設置し、更に、光透過性基材よりも観測者側に、図8に示した屈折率波長分散を有するハードコート層を設置し、偏光板の透過率を計算した。
(比較例8)
光透過性基材c1の3次元屈折率波長分散を用いて、光透過性基材の進相軸と、偏光子の透過軸とのなす角度が90度となるように設置し、更に、光透過性基材よりも観測者側に、図8に示した屈折率波長分散を有するハードコート層を設置し、偏光板の透過率を計算した。
(参考例1)
光透過性基材Aの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例2)
光透過性基材Bの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例3)
光透過性基材Cの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例4)
光透過性基材Dの3次元屈折率波長分散を用いて、偏光板の透過率を計算した。
(参考例5)
光透過性基材c1のかわりに、光透過性基材Cの3次元屈折率波長分散を用いた以外は、実施例11と同様の構成にて、偏光板の透過率を計算した。
実施例、比較例及び参考例に係る各評価結果を表1に示す。
透過率は、各材料ごとに、面内に複屈折を有さない場合の透過率を100として、面内に複屈折を有する偏光板の透過率を示している。
Figure 2017062500
表1に示したように、実施例1と比較例1との比較、実施例2と比較例2との比較、実施例3〜6と比較例3との比較、実施例7と比較例4との比較、実施例8と比較例5との比較、実施例9と比較例6との比較、実施例10と比較例7との比較及び、実施例11と比較例8との比較より、光透過性基材の進相軸と偏光子の透過軸とが所定の角度範囲内にある実施例に係る偏光板は、当該角度範囲を外れる比較例に係る偏光板よりも光透過性に優れていた。
また、実施例1と参考例1との比較、実施例2と参考例2との比較、実施例3、7、8と参考例3との比較、実施例10と参考例4との比較、及び、実施例11と参考例5との比較より、面内に複屈折率を有する光透過性基材を用いた実施例に係る偏光板は、面内に複屈折率を有さない光透過性基材を用いた参考例に係る偏光板よりも、光透過性に優れていた。
ここで、実施例3、7、8、9と参考例3との比較より、実施例9は、光透過性基材の遅相軸方向の屈折率(nx)、進相軸方向の屈折率(ny)及び光透過性基材の平均屈折率(N)が下記式を満たすことができず、面内に複屈折を有さない光透過性基材を用いた参考例3に係る偏光板よりも劣っていた。
nx>N>ny
本発明の偏光板は、面内に複屈折率を有する光透過性基材が用いられた場合であっても、光透過率に優れたものとなり、また、従来の面内に位相差を持たないトリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられた偏光板であっても、あえて、複屈折率を持たせることで、光透過率が優れたものとなり、液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板であって、
    前記面内に複屈折率を有する光透過性基材と前記偏光子とは、前記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、前記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置されている
    ことを特徴とする偏光板。
  2. 光透過性基材の面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率をnxとし、前記面内における屈折率が大きい方向である遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率をnyとし、前記光透過性基材の平均屈折率をNとしたとき、前記光透過性基材は、下記式の関係を満たす請求項1記載の偏光板。
    nx>N>ny
  3. 面内に複屈折率を有する光透過性基材は、屈折率が大きい方向である遅相軸方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.01以上である請求項1又は2記載の偏光板。
  4. 観察者側から、面内に複屈折率を有する光透過性基材、偏光子がこの順に積層された状態で、画像表示装置の表面に配置して用いられる請求項1、2又は3記載の偏光板。
  5. 観察者側から、偏光子、面内に複屈折率を有する光透過性基材がこの順に積層された状態で、画像表示装置のバックライト光源側に配置して用いられる請求項1、2又は3記載の偏光板。
  6. 少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板の製造方法であって、
    前記面内に複屈折率を有する光透過性基材と前記偏光子とを、前記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、前記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有する
    ことを特徴とする偏光板の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4又は5記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
  8. 少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板を備えた画像表示装置の製造方法であって、
    前記面内に複屈折率を有する光透過性基材と前記偏光子とを、前記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である進相軸と、前記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する工程を有する
    ことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 少なくとも、面内に複屈折率を有する光透過性基材が偏光子上に設けられた偏光板の光透過率改善方法であって、
    前記面内に複屈折率を有する光透過性基材と前記偏光子とを、前記面内に複屈折率を有する光透過性基材の屈折率が小さい方向である遅相軸と、前記偏光子の透過軸とがなす角度が90°とならないように配置する
    ことを特徴とする偏光板の光透過率改善方法。
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