JP2014215102A - 監視装置、監視システムおよび監視方法 - Google Patents

監視装置、監視システムおよび監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電波を用いた所定エリアにおける人間の動作の監視を低コストで行うことが可能な監視装置、監視システムおよび監視方法を提供する。
【解決手段】監視装置102は、所定エリア301における人間の動作を監視する。監視装置102は、送信機101から無変調信号を受信し、受信した無変調信号と監視装置102において生成される局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成するアレイ受信部52と、アレイ受信部52によって生成されたビート信号に基づいて所定エリア301における空間特徴量P(t)を算出する空間特徴量算出部71と、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリア301における人間の動作を監視する検知部72とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、監視装置、監視システムおよび監視方法に関し、特に、空間特徴量を用いて人間の動作を監視する監視装置、監視システムおよび監視方法に関する。
室内等の所定エリアにおいて、人の動作を検知する侵入検知装置が開発されている。侵入検知方法の一例として、たとえば、「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日(非特許文献1)には、UWB−IR(Ultra WideBand-Impulse Radio)による伝搬遅延プロファイルすなわち電力遅延プロファイルを用いる方法が開示されている。
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、広帯域の信号を用いることから他の無線サービスとの干渉が問題となり、また、受信信号の電力を用いることから屋内におけるマルチパスフェージングの影響を受け、検出精度が劣化する場合がある。
このような問題点を解決するための技術として、たとえば、特開2008−216152号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、イベント検出装置は、各アレイアンテナの受信信号に基づいて固有ベクトルすなわち到来角分布を計算し、当該固有ベクトルと、比較基準となる平時の固有ベクトルとの内積値を計算する。そして、イベント検出装置は、この内積値と所定の閾値との比較結果に基づいて、イベントの発生すなわち侵入者の検知を行なう。
「UWB−IRによる屋内侵入者検知に関する検討」寺阪圭司 他、電子情報通信学会論文誌B、第J90-B巻、第1号、pp.97-100、2007年1月1日
特開2008−216152号公報
このような侵入検知装置では、たとえば、受信機は、送信機により送信される電波を受信し、受信した電波をダウンコンバートすることにより生成した信号に基づいて到来角分布を計算する。
送信機から広帯域の電波が送信される場合、受信機においてダウンコンバートされた信号の帯域も広くなる。したがって、到来角分布を計算するためには、帯域の広い信号を処理するためのADCおよび高速のプロセッサ等が必要となるため、受信機の製造コストが高くなるという問題がある。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電波を用いた所定エリアにおける人間の動作の監視を低コストで行うことが可能な監視装置、監視システムおよび監視方法を提供することである。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視装置は、所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置であって、他の装置から無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と上記監視装置において生成される局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成する受信部と、上記受信部によって生成された上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出する空間特徴量算出部と、上記空間特徴量算出部によって算出された上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する検知部とを備える。
(9)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視システムは、所定エリアに配置され、無変調信号を送信する送信機と、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する受信機とを備え、上記受信機は、上記送信機から上記無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成し、生成した上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する。
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視方法は、所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置における監視方法であって、他の装置から無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成するステップと、生成した上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出するステップと、算出した上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視するステップとを含む。
本発明によれば、電波を用いた所定エリアにおける人間の動作の監視を低コストで行うことができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムの使用イメージを示す図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける電波の伝搬経路を示す図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機の構成を示す図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける受信機の構成を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部が取得するビート信号Qdの一例を示す図である。 図6は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部が取得するビート信号Qdの他の一例を示す図である。 図7は、本発明の第1の実施の形態に係る送信機および受信機が用いる無線信号の周波数の一例を示す図である。 図8は、本発明の第1の実施の形態に係る局部発振信号生成部の構成を示す図である。 図9は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。 図10は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部におけるシンセサイザ制御部が局部発振信号の周波数を調整する際の動作手順を定めたフローチャートである。 図11は、本発明の第2の実施の形態に係る調整部の構成を示す図である。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視装置は、所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置であって、他の装置から無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と上記監視装置において生成される局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成する受信部と、上記受信部によって生成された上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出する空間特徴量算出部と、上記空間特徴量算出部によって算出された上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する検知部とを備える。
このように、無変調信号から狭帯域のビート信号を生成し、生成したビート信号に基づいて空間特徴量を算出する構成により、たとえば、帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等を用いることなくビート信号を処理することができるので、低コストで人間の動作を監視することができる。
(2)好ましくは、上記監視装置は、さらに、上記ビート信号の周波数を判定し、判定結果に基づいて上記局部発振信号の周波数を調整する調整部を備える。
このように、ビート信号の周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号の周波数を調整する構成により、他の装置において生成される無変調信号の周波数の値に関わらず、ビート信号の周波数を一定の値に設定することができる。
これにより、一定の周波数のビート信号を用いて演算処理等を行うことができるので、空間特徴量を正確に算出し、人間の動作を安定して監視することができる。
(3)より好ましくは、上記監視装置は、さらに、PLL(Phase Locked Loop)回路を含み、上記PLL回路を用いて基準発振信号から上記局部発振信号を生成する局部発振信号生成部を備え、上記調整部は、上記PLL回路における分周比を変更することにより上記局部発振信号の周波数を調整する。
このように、PLL回路を用いて基準発振信号から局部発振信号を生成する構成により、局部発振信号の周波数を安定化することができる。また、PLL回路の分周比を利用することにより、簡易な構成で、局部発振信号の周波数を調整することができる。
(4)より好ましくは、上記PLL回路は、分数の分周比を設定することが可能であり、上記調整部は、上記PLL回路の分周比のうち、少なくとも分数の値を調整する。
このような構成により、ビート信号の周波数を細かく調整でき、適切な周波数に短時間で近づけることができる。
(5)より好ましくは、上記調整部は、上記ビート信号のレベルをサンプリングし、今回サンプリングした上記ビート信号のレベルおよび過去にサンプリングした上記ビート信号のレベルの大小関係に基づいて上記ビート信号の周波数を判定する。
このような構成により、ビート信号の周波数が目標周波数に対して、「高い」、「低い」または「範囲内」であるかを簡易な処理で判定することができる。
(6)より好ましくは、上記調整部は、同じ上記大小関係が所定回数連続し、かつ、逆の上記大小関係が所定回数連続した場合、上記ビート信号の周波数が目標範囲内であると判定する。
このような構成により、ビート信号の周波数が目標周波数に対して、「範囲内」であるか否かを簡易な処理で判定することができる。
(7)より好ましくは、上記調整部は、同じ上記大小関係が連続し、かつ、逆の上記大小関係が連続した場合、同じ上記大小関係が連続した回数と逆の上記大小関係が連続した回数とを比較し、比較結果に基づいて上記ビート信号の周波数を判定する。
このような構成により、ビート信号の周波数の目標周波数に対する高低を簡易な処理で判定することができる。
(8)好ましくは、上記検知部は、上記所定エリアにおける人間の動作が無いかまたは少ないことを検知する。
このような構成により、所定エリアにおける人間の見守りを良好に行なうことができる。
(9)好ましくは、上記検知部は、上記所定エリアにおける人間の動作の発生を検知する。
このような構成により、たとえば所定エリアへ侵入した人間の検知を良好に行い、効果的な防犯対策を講じることができる。
(10)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視システムは、所定エリアに配置され、無変調信号を送信する送信機と、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する受信機とを備え、上記受信機は、上記送信機から上記無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成し、生成した上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視する。
このように、無変調信号から狭帯域のビート信号を生成し、生成したビート信号に基づいて空間特徴量を算出する構成により、たとえば、帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等を用いることなくビート信号を処理することができるので、低コストで人間の動作を監視することができる。
(11)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視方法は、所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置における監視方法であって、他の装置から無変調信号を受信し、受信した上記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成するステップと、生成した上記ビート信号に基づいて上記所定エリアにおける空間特徴量を算出するステップと、算出した上記空間特徴量に基づいて、上記所定エリアにおける人間の動作を監視するステップとを含む。
このように、無変調信号から狭帯域のビート信号を生成し、生成したビート信号に基づいて空間特徴量を算出する構成により、たとえば、帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等を用いることなくビート信号を処理することができるので、低コストで人間の動作を監視することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムの使用イメージを示す図である。
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システム(監視システム)201は、動体検知センサとして機能する。侵入検知システムとして最低一組の送信機101および受信機102が、警戒エリアとしたい閉空間、たとえば家の中に設置される。そして、侵入検知システムは、送信機101から一定間隔以内または連続的に送信される電波を受信機102で受信し、受信した電波に基づいて信号処理を行なうことにより、室内に侵入した人間およびドアの開閉等を検知する。
たとえば、侵入検知システム201における受信機(監視装置)102は、アレイ式電波センサであり、複数の受信アンテナ素子を備え、閉空間における電波伝搬の変化を利用して動体の検知機能を実現する。侵入検知システム201が使用する電波は、原理上は周波数および帯域幅等に制約はない。
[構成および基本動作]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける電波の伝搬経路を示す図である。
図2を参照して、室内等の所定エリア301において、送信機101および受信機102が設けられている。
送信機101は、たとえば10.5GHz帯の無線信号を送信する。受信機102は、侵入検知装置として、所定エリア301における人間の動作を検知する。受信機102は、送信機101から送信される10.5GHz帯の電波を利用して検知動作を行なう。
より詳細には、受信機102は、所定エリア301の状態を示す空間特徴量に基づいて、当該エリアにおける人間の動作を監視する。すなわち、受信機102は、反射および回折等の波動伝搬の性質に基づいて、所定エリア301内の状態を監視する。具体的には、受信機102は、複数のアンテナの受信信号に基づいて計算された到来角分布を監視することにより、人間の動作を検知する。
たとえば、送信機が無線LAN用の無線信号を送信する場合、受信機は、送信機により送信される電波を受信し、受信した電波をダウンコンバートすることにより生成した信号に基づいて到来角分布を計算する。
一般に、無線LANに用いる電波は帯域が広いため、受信機においてダウンコンバートした信号の帯域も広くなる。したがって、到来角分布を計算するためには、帯域の広い信号を処理するための回路が必要となる。しかしながら、たとえば、当該回路には帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等が用いられるため、受信機の製造コストが高くなるという問題がある。
また、送信機101が、たとえば変調していない搬送波を送信する場合、送信機101から送信される無線信号は連続的な信号であり、この場合、受信機102は、連続的に受信動作を行なう。
受信機102は、送信機101により送信される電波を受信し、受信した電波をダウンコンバートすることにより生成した信号に基づいて到来角分布を計算する。
たとえば、受信機102は、受信した電波をダウンコンバートする際に、送信機101が送信する搬送波の周波数fTXと同じ周波数を有する局部発振信号を用いる場合がある。しかしながら、一般に、送信機101および受信機102は、非同期で動作することが多いため、搬送波の周波数fTXと局部発振信号の周波数fRXとが若干異なる場合が多い。
具体的には、送信機101および受信機102は、たとえば温度補償型水晶発振器を用いて基準発振信号をそれぞれ別個に生成する。搬送波および局部発振信号は、基準発振信号に基づいて生成される。温度補償型水晶発振器は、温度が一定の場合、一定の周波数の信号を生成するが、生成する信号の周波数の個体毎のばらつきが±3ppm程度ある。
これは、送信機101および受信機102において、基準発振信号に基づいて10.5GHz帯の無線信号を同様の方法で生成しても、搬送波の周波数fTXと局部発振信号の周波数fRXとが63kHz程度のレンジで異なり得ることを意味する。搬送波の周波数fTXと局部発振信号の周波数fRXとが異なる場合、受信機102においてダウンコンバートされた搬送波は、周波数fTXおよび周波数fRXの差に応じた振動を伴うビート信号となる。
したがって、ビート信号の周波数が、送信機101において生成される基準発振信号の周波数および受信機102において生成される基準発振信号の周波数のずれに応じて変化してしまう。具体的には、搬送波の周波数fTXと局部発振信号の周波数fRXとの差が数Hz程度となる場合、受信機102においてダウンコンバートされた搬送波は、数Hz程度のビート信号となる。また、搬送波の周波数fTXと局部発振信号の周波数fRXとの差が数十kHz程度となる場合、受信機102においてダウンコンバートされた搬送波は、数十kHz程度のビート信号となる。
上記のように、ビート信号の周波数が、送信機101において生成される基準発振信号の周波数および受信機102において生成される基準発振信号の周波数のずれに応じて変化してしまうため、受信機102におけるビート信号を処理する回路において適切な信号処理ができない問題、および到来角分布の計算を適切に行うことができない問題等が発生する場合がある。このため、受信機102において、人間の動作を安定して検知できなくなる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムでは、以下のような構成および動作により、送信機101において生成される基準発振信号の周波数および受信機102において生成される基準発振信号の周波数のずれに関わらず信号処理を適切に行うことを可能とする。
[送信機の構成]
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける送信機の構成を示す図である。
図3を参照して、送信機101は、アンテナ部11と、温度補償型水晶発振器(temperature-compensated crystal oscillator、TCXO)12と、送信側PLL(Phase Locked Loop)回路13と、ループフィルタ14と、電圧制御発振器(Voltage-controlled oscillator、VCO)15と、パワーアンプ16とを備える。
送信機101は、たとえば、単一の周波数成分を有する無変調信号を送信する。無変調信号は、情報を含めるための変調処理を受けていない搬送波を意味する。なお、送信機101は、無変調信号を間欠的に送信してもよい。言い換えると、送信機101は、電波を送信する送信期間において、無変調信号を送信すればよい。
より詳細には、温度補償型水晶発振器12は、たとえば、水晶振動子および温度補償発振回路を内蔵する。温度補償型水晶発振器12は、たとえば、温度補償型水晶発振器12の環境温度に対する周波数の変動を抑制した10MHzの基準発振信号を生成し、生成した基準発振信号を送信側PLL回路13へ出力する。
送信側PLL回路13は、たとえば整数型PLLシンセサイザである。送信側PLL回路13は、温度補償型水晶発振器12から受ける基準発振信号の位相と電圧制御発振器15から受ける局部発振信号を1/Jに分周した信号の位相とを比較し、比較結果に基づいて生成したチャージポンプ信号をループフィルタ14へ出力する。ここで、Jは整数であり、たとえば1050である。
より詳細には、たとえば、送信側PLL回路13は、基準発振信号の位相と局部発振信号を1/Jに分周した信号の位相との差の符号および当該差の大きさに応じたチャージポンプ信号をループフィルタ14へ出力する。
ループフィルタ14は、送信側PLL回路13から受けたチャージポンプ信号を平滑化し、電圧制御発振器15へ出力する。
電圧制御発振器15は、ループフィルタ14から受けたチャージポンプ信号に応じた周波数fTXを有する搬送波を生成し、生成した搬送波をパワーアンプ16および送信側PLL回路13へ出力する。なお、周波数fTXは、たとえば10.5GHzである。
パワーアンプ16は、電圧制御発振器15から受けた搬送波を増幅し、増幅後の搬送波を無線信号としてアンテナ部11経由で送信する。
[監視装置の構成]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムにおける受信機の構成を示す図である。
図4を参照して、受信機102は、アレイ受信部52と、制御部53と、調整部54と、局部発振信号生成部55とを備える。アレイ受信部52は、たとえば4つのアンテナ部21と、受信回路22と、分岐回路23とを含む。受信回路22は、アンテナ部21に対応して、バンドパスフィルタ(BPF)31、ローノイズアンプ32、移相器33、ミキサ34,37、ローパスフィルタ(LPF)35,38およびA/Dコンバータ(ADC)36,39の組を4つ含む。受信回路22におけるこれらの組を、それぞれRX1,RX2,RX3,RX4と称する。制御部53は、空間特徴量算出部71と、検知部72と、メモリ73とを含む。調整部54は、レベル変化量測定部81と、周波数判定回路82と、シンセサイザ制御部83と、A/Dコンバータ(ADC)84とを含む。
アレイ受信部52は、所定エリアに配置された送信機101から送信された無線信号をアンテナで受信する。なお、受信機102は、4つのアンテナ部21を含む構成に限らず、1または複数のアンテナ部21を含む構成であればよい。
空間特徴量算出部71は、アレイ受信部52によって受信された無線信号に基づいて所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した空間特徴量に基づいて所定エリアにおける人間の動作を検知する。
より詳細には、アンテナ部21は、送信機101から送信された無線信号を受信する。受信回路22において、バンドパスフィルタ31は、対応のアンテナ部21において受信された無線信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分、たとえば10.5GHz帯以外の成分を減衰させる。
ローノイズアンプ32は、バンドパスフィルタ31を通過した無線信号を増幅してミキサ34,37へ出力する。
ミキサ34,37は、ローノイズアンプ32から受けた無線信号と、当該無線信号と略同じ周波数fRXを有する局部発振信号LSとを乗算することにより、当該無線信号を周波数変換し、直交復調する。
より詳細には、移相器33は、分岐回路23を介して局部発振信号生成部55から局部発振信号LSを受け、受けた局部発振信号LSを基に位相がπ/2ラジアン異なる局部発振信号LS1,LS2をそれぞれミキサ34,37へ出力する。この際、移相器33は、ミキサ34へ出力する局部発振信号LS1の位相と比べて、π/2ラジアン進んだ位相を有する局部発振信号LS2をミキサ37へ出力する。
ミキサ34は、アンテナ部21によって受信された無線信号と分岐回路23および移相器33を介して局部発振信号生成部55から受けた局部発振信号LS1とを乗算することにより、I成分の信号Iを生成する。
より詳細には、ミキサ34は、ローノイズアンプ32から受けた周波数fTXの無線信号と移相器33から受けた周波数fRXの局部発振信号LS1とを乗算する。すなわち、ミキサ34は、周波数fTXの無線信号をダウンコンバートすることにより差周波|fTX−fRX|を有するビート信号Idと、周波数fTXの無線信号をアップコンバートすることにより和周波|fTX+fRX|を有する信号Isとを生成する。
また、ミキサ37は、アンテナ部21によって受信された無線信号と分岐回路23および移相器33を介して局部発振信号生成部55から受けた局部発振信号LS2とを乗算することにより、Q成分の信号Qを生成する。
より詳細には、ミキサ37は、ローノイズアンプ32から受けた周波数fTXの無線信号と移相器33から受けた周波数fRXの局部発振信号LS2とを乗算する。すなわち、ミキサ37は、周波数fTXの無線信号をダウンコンバートすることにより差周波|fTX−fRX|を有するビート信号Qdと、周波数fTXの無線信号をアップコンバートすることにより和周波|fTX+fRX|を有する信号Qsとを生成する。
LPF35は、信号Iを構成する差周波のビート信号Idおよび和周波の信号Isのうち、和周波の信号Isを減衰させる。また、LPF38は、信号Qを構成する差周波のビート信号Qdおよび和周波の信号Qsのうち、和周波の信号Qsを減衰させる。
ADC36は、LPF35から受けたビート信号Idをkビット(kは2以上の自然数)のデジタル信号に変換し、制御部53におけるメモリ73へ出力する。また、ADC39は、LPF38から受けたビート信号Qdをkビット(kは2以上の自然数)のデジタル信号に変換し、制御部53におけるメモリ73へ出力する。
メモリ73は、各アンテナ部21に対応するデジタル信号を保持する。空間特徴量算出部71は、メモリ73に保持されたデジタル信号に基づき、各アンテナ部21によって受信された無線信号のレベルおよび到着タイミングを算出する。そして、空間特徴量算出部71は、算出結果に基づいて、所定エリアにおける空間特徴量を算出する。すなわち、空間特徴量算出部71は、人間の動作を検知すべき所定エリアについて、当該所定エリアの状態を示す空間特徴量を算出する。
より詳細には、空間特徴量算出部71は、たとえば特許文献1に記載の構成と同様に、到来角分布を用いて空間特徴量を抽出する。すなわち、空間特徴量算出部71は、固有ベクトルの内積を算出することにより、空間特徴量P(t)を抽出する。この内積は、比較基準となる初期ベクトルからの変化量を示す。初期ベクトルすなわち侵入者無しのときの固有ベクトルをvnoとし、観測時tにおける固有ベクトルをvob(t)とすると、空間特徴量P(t)は以下の式で表される。
P(t)=vno・vob(t)
検知部72は、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリアにおける人間の動作を監視する。具体的には、空間特徴量P(t)が「1」に近いほど、観測時tにおける所定エリアの状態は、所定エリアに侵入者が存在していない通常時の状態に近い。このため、検知部72は、空間特徴量P(t)が、所定の閾値たとえば「0.9」未満である場合、所定エリアに人間が侵入したと判断する。検知部72は、所定エリアに人間が侵入したことを知らせるため、たとえば警備会社に警報信号を送信する。
[局部発振信号の周波数の調整]
制御部53は、たとえば、自己における信号処理の速度に応じた周波数を有するビート信号をアレイ受信部52から受けることが好ましい。これにより、ビート信号が制御部53において適切に処理されるので、制御部53は、所定エリアにおける人間の動作を正確に監視することが可能となる。
たとえば、送信機101が送信する搬送波の周波数fTXが10.5000125GHzであり、かつ、制御部53の信号処理の速度に応じたビート信号の周波数として目標周波数fbが10kHzである状況を想定する。この際、調整部54は、たとえば、局部発振信号LSの周波数fRXが10.5000225GHzになるように以下の処理を行う。
調整部54は、ビート信号の周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する。より詳細には、調整部54におけるADC84は、たとえば、受信回路22のRX4におけるLPF38を通過した差周波のビート信号Qdを受ける。そして、ADC84は、受けたビート信号Qdを当該ビート信号のレベルを示すデジタル信号へ変換し、変換した信号をレベル変化量測定部81へ出力する。具体的には、ADC84は、ビート信号Qdの電圧レベルを示すデジタル信号を生成する。
なお、ADC84は、たとえばビート信号Qdの電流レベルまたは電力レベルを示すデジタル信号を生成してもよい。また、ADC84は、たとえば、受信回路22のRX1からRX3のいずれかにおけるLPF38を通過したビート信号Qdを受けてもよい。また、ADC84は、たとえば、受信回路22のRX1からRX4のいずれかにおけるLPF35を通過した差周波のビート信号Idを受けてもよい。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部が取得するビート信号Qdの一例を示す図である。
図5を参照して、縦軸は、ビート信号のレベルを示し、横軸は時間を示す。ADC84は、たとえば、ビート信号のレベルを目標周波数fbより大きい周波数、好ましくは目標周波数fbの2倍以上の周波数でサンプリングする。具体的には、ADC84は、たとえば、ビート信号の目標周波数fbの8倍の80kHzのサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする。
ADC84は、たとえば、時刻t0以後のサンプリングタイミングである時刻tn=t0+n×Ts(nはゼロ以上の整数)においてビート信号QdのレベルV[tn]をサンプリングし、サンプリングしたレベルV[tn]をレベル変化量測定部81へ出力する。ここで、Tsは、サンプリング周波数fsの逆数、すなわち1/fsに相当する周期である。
具体的には、ADC84は、たとえば、時刻t0においてビート信号QdのレベルV[t0]をサンプリングし、サンプリングしたレベルV[t0]をレベル変化量測定部81へ出力する。
そして、ADC84は、たとえば、時刻t0から周期Tsが経過したサンプリングタイミングである時刻t1=t0+Tsにおいてビート信号QdのレベルV[t1]をサンプリングし、サンプリングしたレベルV[t1]をレベル変化量測定部81へ出力する。
レベル変化量測定部81は、たとえば、今回サンプリングしたビート信号のレベルVおよび過去にサンプリングしたビート信号のレベルVの大小関係を周波数判定回路82へ出力する。
具体的には、レベル変化量測定部81は、たとえば、t1以後のタイミングにおいて、ADC84からビート信号QdのレベルV[tn=t0+n×Ts]を今回サンプリングしたレベルとして受けると、以下の処理を行う。
すなわち、レベル変化量測定部81は、たとえば、レベルV[tn]とレベルV[tn]を受けたタイミングより1つ前のサンプリングタイミングにおいてサンプリングした過去のレベルV[tn−1=t0+(n−1)×Ts]との差分を演算し、演算した値の符号を示すSign[tn](nは1以上の整数)を周波数判定回路82へ出力する。Sign[tn]には、たとえば正、負またはゼロが含まれる。
たとえば、周波数判定回路82は、レベル変化量測定部81から受けたSign[tn]に基づいてビート信号の周波数を判定する。より詳細には、周波数判定回路82は、同じ符号を示すSign[tn]が所定回数C1連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が所定回数C2連続した場合、ビート信号の周波数が目標範囲内であると判定する。
なお、所定回数C1と所定回数C2とは、同じ回数であってもよいし、異なる回数であってもよい。
具体的には、周波数判定回路82は、レベル変化量測定部81から演算結果の符号を示すSign[tn]を受けると、受けたSign[tn]を保持する。
そして、周波数判定回路82は、保持する複数のSignに基づいて、ビート信号の目標周波数fbに対してビート信号Qdの周波数が「範囲内」であるか、「高い」であるか、または「低い」であるかを判定する。
ADC84が、たとえばビート信号の目標周波数fbの8倍のサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする場合、周波数判定回路82は、たとえばSign[tn]が4回連続で正または負となった後、Sign[tn]が4回連続でそれぞれ負または正となる場合、ビート信号の周波数が目標範囲内であると判定する。
図5に示す場合において、周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t1]とレベルV[t0]との差の符号が負であることを示すSign[t1]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t1]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t2]とレベルV[t1]との差を演算した結果の符号が負であることを示すSign[t2]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t2]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t3]とレベルV[t2]との差を演算した結果の符号が負であることを示すSign[t3]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t3]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t4]とレベルV[t3]との差を演算した結果の符号が負であることを示すSign[t4]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t4]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t5]とレベルV[t4]との差を演算した結果の符号が正であることを示すSign[t5]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t5]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t6]とレベルV[t5]との差を演算した結果の符号が正であることを示すSign[t6]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t6]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t7]とレベルV[t6]との差を演算した結果の符号が正であることを示すSign[t7]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t7]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t8]とレベルV[t7]との差を演算した結果の符号が正であることを示すSign[t8]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t8]を保持する。
周波数判定回路82は、たとえば、レベルV[t9]とレベルV[t8]との差を演算した結果の符号が負であることを示すSign[t9]をレベル変化量測定部81から受けて、受けたSign[t9]を保持する。
すなわち、Sign[tn]の示す符号は、4回連続で負となった後、4回連続で正となる。そして、Sign[tn]の示す符号は、4回毎に正および負を繰り返す。
周波数判定回路82は、受けたSign[tn]の示す符号が4回毎に正および負を繰り返すことから、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定し、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「範囲内」に設定する。
なお、ADC84がビート信号QdのレベルVをサンプリングするタイミングによっては、レベルVと当該レベルVを受けたタイミングより1つ前のサンプリングタイミングにおいてサンプリングした過去のレベルVとの差分がゼロとなる場合がある。この場合、差分の符号は、正、正、正、ゼロ、負、負、負およびゼロの順で繰り返される。
たとえば、受けたSignの示す符号が、3回連続で正となり、ゼロとなり、3回連続で負となり、ゼロとなる場合、周波数判定回路82は、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定してもよい。
また、ADC84が、たとえばビート信号の目標周波数fbの7倍の70kHzのサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする場合、差分の符号は、正、正、正、負、負、負および負と、正、正、正、ゼロ、負、負および負と、正、正、正、正、負、負および負と、負、負、負、ゼロ、正、正および正とのうちのいずれかの順で繰り返される。
たとえば、周波数判定回路82は、受けたSignの示す符号が3回連続で正となり、4回連続で負となる場合、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定する。
また、たとえば、周波数判定回路82は、受けたSignの示す符号が3回連続で正となり、ゼロとなり、3回連続で負となる場合、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定してもよい。
また、たとえば、周波数判定回路82は、受けたSignの示す符号が4回連続で正となり、3回連続で負となる場合、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定してもよい。
また、たとえば、周波数判定回路82は、受けたSignの示す符号が3回連続で負となり、ゼロとなり、3回連続で正となる場合、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定してもよい。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部が取得するビート信号Qdの他の一例を示す図である。
図6を参照して、たとえば図6(A)に示すように、ビート信号の目標周波数fbより低い周波数を有するビート信号Qdがミキサ37により生成されている場合、Sign[tn]は、4回より多い回数毎に正および負を繰り返すことになる。具体的には、たとえば、調整部54におけるADC84が図6(A)に示すビート信号Qdを受ける場合、周波数判定回路82は、ビート信号Qdの周波数を以下のように判定する。
すなわち、周波数判定回路82は、レベル変化量測定部81から受けるSign[tn]が4回を超える回数連続で正または負を示したタイミングで、ビート信号Qdの周波数がビート信号の目標周波数fbに比べて低いと判定する。そして、周波数判定回路82は、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「低い」に設定する。
また、たとえば図6(B)に示すように、ビート信号の目標周波数fbより高い周波数を有するビート信号Qdがミキサ37により生成されている場合、Sign[tn]は、4回より少ない回数毎に正および負を繰り返すことになる。具体的には、たとえば、調整部54におけるADC84が図6(B)に示すビート信号Qdを受ける場合、周波数判定回路82は、ビート信号Qdの周波数を以下のように判定する。
すなわち、周波数判定回路82は、レベル変化量測定部81から受けるSign[tn]が4回連続で正または負を示さなかったタイミングで、ビート信号Qdの周波数がビート信号の目標周波数fbに比べて高いと判定する。そして、周波数判定回路82は、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「高い」に設定する。
また、たとえば、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて高いかまたは低いかについての2値の判定を行いたい場合がある。この場合、周波数判定回路82は、同じ符号を示すSign[tn]が連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が連続した場合、同じ符号を示すSign[tn]が連続した回数と、逆の符号を示すSign[tn]が連続した回数とを比較し、比較結果に基づいて周波数を判定する。
具体的には、ADC84が、たとえば、ビート信号の目標周波数fbの8倍の80kHzのサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする場合、周波数判定回路82は、8の半分である4を所定回数C3に設定する。
周波数判定回路82は、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が所定回数C3連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が連続した場合、所定回数C3と逆の符号を示すSign[tn]が連続した回数とを比較し、比較結果に基づいて周波数を判定する。
周波数判定回路82は、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が連続する回数が4回を超える場合、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて低いと判定する。
また、周波数判定回路82は、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が連続する回数が4回未満となる場合、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて高いと判定する。
また、周波数判定回路82は、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が4回連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が4回連続した場合、以下の処理を行う。
すなわち、周波数判定回路82は、同じ符号を示すSign[tn]が連続した回数と、逆の符号を示すSign[tn]が連続した回数とが所定回数C3である場合、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べてたとえば低いと判定する。
なお、周波数判定回路82は、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が連続した回数と、逆の符号を示すSign[tn]が連続した回数とが所定回数C3である場合、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて高いと判定してもよい。
また、Sign[tn]の示す符号が、正、正、正、ゼロ、負、負、負およびゼロの順で繰り返される場合であっても、周波数判定回路82は、たとえば、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて低いまたは高いと判定してもよい。
これにより、周波数判定回路82では、同じ符号を示すSign[tn]が連続した回数と、逆の符号を示すSign[tn]が連続した回数とが所定回数C3である場合であっても、ビート信号Qdの周波数の目標周波数fbに対する高低についての2値の判定を迷わずに行うことができる。
そして、周波数判定回路82は、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて高いと判定する場合、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「高い」に設定する。
また、周波数判定回路82は、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて低いと判定する場合、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「低い」に設定する。
なお、周波数判定回路82は、たとえば、奇数個のSign[tn]が示す符号に基づいて、ビート信号Qdの周波数の目標周波数fbに対する高低についての2値の判定を行ってもよい。
具体的には、ADC84が、たとえば、ビート信号の目標周波数fbの奇数倍のサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする場合において、周波数判定回路82は、奇数個のSign[tn]が示す符号に基づいて、ビート信号Qdの周波数の目標周波数fbに対する高低についての2値の判定を行う。
また、周波数判定回路82は、たとえば、ビート信号の目標周波数fbの8倍の80kHzのサンプリング周波数fsでビート信号Qdのレベルをサンプリングする場合、8から1を減じた7個のSign[tn]が示す符号に基づいて、ビート信号Qdの周波数の目標周波数fbに対する高低についての2値の判定を行なう。
より詳細には、たとえば、同じ符号を示すSign[tn]が4回連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が4回連続した場合を想定する。この場合において、周波数判定回路82がレベル変化量測定部81から7個のSign[tn]を順次受けたとき、7個のSign[tn]には、4個の同じ符号を示すSign[tn]と3個の逆の符号を示すSign[tn]とが含まれる。
この際、周波数判定回路82は、同じ符号を示すSign[tn]が所定回数C3連続し、かつ、逆の符号を示すSign[tn]が3回連続したと判断し、同じ符号を示すSign[tn]が4回連続したことから、ビート信号Qdの周波数が目標周波数fbに比べて低いと判定する。
シンセサイザ制御部83は、たとえば、所定時間毎に周波数判定回路82のステータスを読み出し、読み出したステータスに基づいて、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を調整する。
より詳細には、シンセサイザ制御部83は、たとえば、周波数判定回路82から読み出したステータスに基づいて、クロック、データおよびイネーブルのラインにより構成されるSPI(Serial Peripheral Interface)バスを介して局部発振信号生成部55におけるレジスタの値を書換えるためのSPI信号を局部発振信号生成部55へ出力する。SPI信号は、たとえばアップ信号、ダウン信号およびヌル信号により構成される。
[周波数の調整方向]
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る送信機および受信機が用いる無線信号の周波数の一例を示す図である。
図7(A)を参照して、送信機101は、たとえば周波数fTXの無線信号を送信する。受信機102は、周波数fTXの無線信号を受信し、たとえば目標周波数fbより高い周波数fg0のビート信号を生成する。
より詳細には、図4に示す局部発振信号生成部55において生成される局部発振信号LSの周波数が、周波数fTXに対して周波数fg0だけ高い周波数fRX0rである場合と、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXに対して周波数fg0だけ低い周波数fRX0iである場合とにおいて、アレイ受信部52において周波数fg0のビート信号が生成される。
局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数が周波数fRX0rであるか、または周波数fRX0iであるかは、たとえば局部発振信号生成部55における温度補償型水晶発振器の個体差による。
ここで、局部発振信号生成部55が、たとえば周波数fRX0rの局部発振信号LSを実際に生成する状況を想定する。
シンセサイザ制御部83は、たとえば、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより低い周波数fRX0iであると初めに仮定して、局部発振信号LSの周波数を調整する。
具体的には、図7(A)の場合、ビート信号の周波数fg0は目標周波数fbより高いため、ステータスは「高い」を示す。シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「高い」を示す場合、たとえば、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を上げるためのアップ信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。
これにより、局部発振信号LSの周波数は周波数df1だけ高くなる。シンセサイザ制御部83は、局部発振信号LSの周波数が周波数fRX0iであると仮定しているので、アップ信号を出力することにより局部発振信号LSが周波数fRX1iとなり、ビート信号の周波数fg1iが目標周波数fbより低くなる前提で動作する。
しかしながら、局部発振信号LSの実際の周波数は周波数fRX0rであるため、アップ信号が出力されることにより局部発振信号LSの周波数が周波数fRX1rとなり、ビート信号の周波数fg1rが目標周波数fbに対してさらに高くなってしまう。
シンセサイザ制御部83は、アップ信号を1または複数回出力しても、ステータスが変わらない場合、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより高い周波数であると新たに仮定し、調整する方向を逆にする。
具体的には、図7(B)に示すように、シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「高い」を示す場合、たとえば、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を下げるためのダウン信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。
これにより、局部発振信号LSの周波数は周波数df2だけ低くなる。局部発振信号LSの実際の周波数は周波数fRX1rであるので、ダウン信号が出力されることにより局部発振信号LSの周波数が周波数fRX2rとなり、ビート信号の周波数も周波数fg1rから目標周波数fbより低い周波数fg2rとなる。
この際、シンセサイザ制御部83は、読み出すステータスが「高い」から「低い」または「範囲内」へ変化することにより、周波数の調整方向が正しいことを認識する。
すなわち、まず、シンセサイザ制御部83は、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより低い周波数であると仮定し、読み出したステータスが「高い」を示す場合、アップ信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。また、シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「低い」を示す場合、ダウン信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。
また、シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「範囲内」を示す場合、発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を維持するためのヌル信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。
そして、シンセサイザ制御部83は、アップ信号またはダウン信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力してもステータスが変わらない場合、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより高い周波数であると新たに仮定し、周波数の調整方向を逆にする。
具体的には、シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「高い」を示す場合、ダウン信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。また、シンセサイザ制御部83は、読み出したステータスが「低い」を示す場合、アップ信号を局部発振信号生成部55へ1または複数回出力する。
なお、シンセサイザ制御部83は、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより低い周波数であると初めに仮定して、局部発振信号LSの周波数を調整する構成であるとしたが、これに限定するものではない。シンセサイザ制御部83は、たとえば、局部発振信号LSの周波数が周波数fTXより高い周波数であると初めに仮定して、局部発振信号LSの周波数を調整してもよい。
[局部発振信号生成部の構成]
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る局部発振信号生成部の構成を示す図である。
図8を参照して、局部発振信号生成部55は、温度補償型水晶発振器(TCXO)61と、FRACTIONAL−N シンセサイザ(PLL回路)62と、ループフィルタ(LPF)63と、電圧制御発振器(VCO)64とを含む。FRACTIONAL−N シンセサイザ62は、リファレンスカウンタ91と、位相比較器92と、チャージポンプ93と、Nカウンタ94と、非整数インタポレータ95と、FRACレジスタ96と、MODULASレジスタ97と、INTレジスタ98と、加算器99とを含む。
FRACTIONAL−N シンセサイザ62は、たとえば、分数の分周比を設定することが可能である。また、当該分周比は、たとえば、調整部54により調整される。
より詳細には、温度補償型水晶発振器61は、たとえば、水晶振動子および温度補償発振回路を内蔵する。温度補償型水晶発振器61は、たとえば、温度補償型水晶発振器61の環境温度に対する周波数の変動を抑制した10MHzの基準発振信号を生成し、生成した基準発振信号をリファレンスカウンタ91へ出力する。なお、基準発振信号の安定度は、たとえば1ppm程度である。これは、10MHzの基準発振信号において、10Hz程度の周波数の揺らぎがあることを意味する。
リファレンスカウンタ91は、たとえば、温度補償型水晶発振器61から受ける基準発振信号を分周する。具体的には、リファレンスカウンタ91は、たとえば、温度補償型水晶発振器61から受ける10MHzの基準発振信号を1/10に分周し、1MHzの矩形波を生成する。そして、リファレンスカウンタ91は、生成した1MHzの矩形波を位相比較器92へ出力する。
位相比較器92は、リファレンスカウンタ91から受ける信号の立ち上がりと、Nカウンタ94から受ける信号の立ち上がりとを比較する。位相比較器92は、たとえば、Nカウンタ94から受ける信号がリファレンスカウンタ91から受ける信号に対して先に立ち上がるとき、Nカウンタ94から受ける信号が立ち上がってからリファレンスカウンタ91から受ける信号が立ち上がるまで下げ信号をチャージポンプ93へ出力する。
位相比較器92は、たとえば、リファレンスカウンタ91から受ける信号がNカウンタ94から受ける信号に対して先に立ち上がるとき、リファレンスカウンタ91から受ける信号が立ち上がってからNカウンタ94から受ける信号が立ち上がるまで上げ信号をチャージポンプ93へ出力する。
チャージポンプ93は、たとえば、位相比較器92から受ける下げ信号または上げ信号に応じた制御パルスを生成し、生成した制御パルスをループフィルタ63へ出力する。
より詳細には、チャージポンプ93は、たとえば、位相比較器92から下げ信号を受けている間、負のレベルを有する制御パルスをループフィルタ63へ出力する。また、チャージポンプ93は、たとえば、位相比較器92から上げ信号を受けている間、正のレベルを有する制御パルスをループフィルタ63へ出力する。
ループフィルタ63は、チャージポンプ93から受ける制御パルスを平滑化し、平滑化した信号を電圧制御発振器64へ出力する。
電圧制御発振器64は、ループフィルタ63から受ける信号のレベルに応じた周波数fRXの局部発振信号LSを生成する。具体的には、電圧制御発振器64は、たとえば、ループフィルタ63から受ける信号のレベルが低くなると、より低い周波数の局部発振信号LSを生成し、また、ループフィルタ63から受ける信号のレベルが高くなると、より高い周波数の局部発振信号LSを生成する。そして、電圧制御発振器64は、生成した局部発振信号LSをNカウンタ94および分岐回路23へ出力する。
FRACレジスタ96、MODULASレジスタ97およびINTレジスタ98は、具体的には、レジスタであり、それぞれFRAC値、MODULAS値およびINT値を保持する。FRAC値、MODULAS値およびINT値は、たとえば調整部54におけるシンセサイザ制御部83からのSPI信号により初期化され、かつ調整される。
具体的には、たとえば、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82から読み出したステータスが「高い」または「低い」を示す場合、アップ信号を局部発振信号生成部55におけるFRACレジスタ96へ出力する。FRACレジスタ96は、たとえばシンセサイザ制御部83からアップ信号を受けると自己の値をインクリメントする。
また、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82から読み出したステータスが「低い」または「高い」を示す場合、ダウン信号を局部発振信号生成部55におけるFRACレジスタ96へ出力する。FRACレジスタ96は、たとえばシンセサイザ制御部83からダウン信号を受けると自己の値をデクリメントする。
また、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82から読み出したステータスが「範囲内」を示す場合、ヌル信号を局部発振信号生成部55におけるFRACレジスタ96へ出力する。FRACレジスタ96は、たとえばシンセサイザ制御部83からヌル信号を受けると自己の値を維持する。
非整数インタポレータ95は、FRACレジスタ96およびMODULASレジスタ97に設定された値に基づいて、FRAC値をMODULAS値で除した非整数値を加算器99へ出力する。
加算器99は、非整数インタポレータ95から受ける非整数値とINTレジスタ98に設定されたINT値とを加算し、加算結果である分数を含む分周比をNカウンタ94へ出力する。
すなわち、加算器99は、分数を含む分周比である、INT値+(FRAC値/MODULAS値)をNカウンタ94へ出力する。
Nカウンタ94は、たとえば、電圧制御発振器64から受ける局部発振信号LSを分周する。具体的には、Nカウンタ94は、たとえば、電圧制御発振器64から受ける局部発振信号LSを矩形波に整形した後、当該矩形波を加算器99から受ける分数を含む分周比で分周する。そして、Nカウンタ94は、分周した矩形波を位相比較器92へ出力する。
すなわち、局部発振信号生成部55は、温度補償型水晶発振器61が生成する10MHzの基準発振信号を1/10に分周した1MHzの信号、および電圧制御発振器64が生成する局部発振信号LSを分周比(INT値+(FRAC値/MODULAS値))で分周した信号の周波数および位相が揃うような局部発振信号LSを生成する。
言い換えると、局部発振信号LSの周波数は、温度補償型水晶発振器61が生成する基準発振信号の周波数である10MHzを10で除した値に対して、分周比(INT値+(FRAC値/MODULAS値))を乗じた値となる。
たとえば、INT値が10500、FRAC値が90およびMODULAS値が4000に設定されている場合、(10MHz/10)×(10500+(90/4000))=10500.0225MHzとなるので、局部発振信号生成部55は、周波数fRXが10.5000225GHzの局部発振信号LSを生成する。
この場合、たとえば、シンセサイザ制御部83がアップ信号をFRACレジスタ96へ出力してFRAC値を91に設定すると、局部発振信号生成部55は、周波数fRXが10.50002275GHzの局部発振信号LSを生成する。
また、たとえば、シンセサイザ制御部83がアップ信号の代わりにダウン信号をFRACレジスタ96へ出力してFRAC値を89に設定すると、局部発振信号生成部55は、周波数fRXが10.50002225GHzの局部発振信号LSを生成する。
すなわち、たとえば、シンセサイザ制御部83がアップ信号またはダウン信号をFRACレジスタ96へ出力することにより、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXをそれぞれ0.25kHz増加または0.25kHz減少させることができる。
また、たとえば、シンセサイザ制御部83がアップ信号およびダウン信号の代わりにヌル信号をFRACレジスタ96へ出力してFRAC値を90のまま維持すると、局部発振信号生成部55は、周波数fRXが10.5000225GHzの局部発振信号LSを生成する。
すなわち、シンセサイザ制御部83は、アップ信号、ダウン信号またはヌル信号をFRACレジスタ96へ出力することにより、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXを調整する。
より詳細には、シンセサイザ制御部83は、周波数fRXが周波数fTXより低いとする仮定においてビート信号の周波数が目標周波数fbより低い場合、および周波数fRXが周波数fTXより高いとする仮定においてビート信号の周波数が目標周波数fbより高い場合、ダウン信号をFRACレジスタ96へ出力することにより、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXを下げる。
また、シンセサイザ制御部83は、周波数fRXが周波数fTXより低いとする仮定においてビート信号の周波数が目標周波数fbより高い場合、および周波数fRXが周波数fTXより高いとする仮定においてビート信号の周波数が目標周波数fbより低い場合、アップ信号をFRACレジスタ96へ出力することにより、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXを上げる。
また、シンセサイザ制御部83は、ビート信号の周波数が目標周波数fbの範囲内である場合、ヌル信号をFRACレジスタ96へ出力することにより、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXを維持する。
なお、調整部54は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62におけるFRACレジスタ96、MODULASレジスタ97およびINTレジスタ98の値を調整する構成であるとしたが、これに限定するものではない。調整部54は、たとえば、少なくともFRACレジスタ96およびMODULASレジスタ97の値が調整可能であればよい。
また、局部発振信号生成部55は、PLL回路としてFRACTIONAL−N シンセサイザ62を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。局部発振信号生成部55は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62の代わりにPLL回路として整数型PLLを用いてもよい。
整数型PLLでは、分数を含まない分周比すなわち整数の分周比が設定される。したがって、局部発振信号LSの周波数fRXをキロヘルツのオーダで調整するためには、10MHzの基準発振信号の分周比を10000程度まで大きく設定し、かつ局部発振信号LSの分周比を10000000程度に設定する必要がある。
10MHzの基準発振信号の分周比を10000程度まで大きく設定すると、整数型PLLにおける位相比較器は、基準発振信号および局部発振信号LSの立ち上がりの比較を概ね1ミリ秒毎に行う。このため、局部発振信号LSの分周比を設定してから局部発振信号LSの周波数が安定するまでに時間がかかる。
一方、FRACTIONAL−N シンセサイザ62では、位相比較器92は、基準発振信号および局部発振信号LSの立ち上がりの比較を概ね1マイクロ秒毎に行うため、局部発振信号LSの分周比を設定してから局部発振信号LSの周波数が安定するまでの処理を短時間で完了させることができる。
また、調整部54は、局部発振信号LSの周波数fRXを10.5000225GHzに調整する構成であるとしたが、これに限定するものではない。調整部54は、たとえば、送信機101が送信する搬送波の周波数fTXが10.5000125GHzであり、かつ、制御部53の信号処理の速度に応じたビート信号の周波数として目標周波数fbが10kHzである状況において、局部発振信号LSの周波数fRXを10.5000025GHzに調整してもよい。
すなわち、調整部54は、周波数fTXに対して目標周波数fbだけ高い周波数、または周波数fTXに対して目標周波数fbだけ低い周波数になるように局部発振信号LSの周波数fRXを調整する。これにより、アレイ受信部52は、目標周波数fbを有するビート信号を生成することが可能となる。
また、ADC84、レベル変化量測定部81および周波数判定回路82は、ビート信号の目標周波数fbの8倍のサンプリング周波数fsで動作する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ADC84、レベル変化量測定部81および周波数判定回路82は、ビート信号の目標周波数fbの任意の倍数たとえばm倍のサンプリング周波数で動作してもよい。
mを大きい値に設定することによりサンプリング周波数を高くすることができるので、ビート信号の周波数の精度を高めることができる。
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知を行なう際の動作について説明する。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知システムが侵入検知動作を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。侵入検知システム201における送信機101および受信機102は、シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図9を参照して、侵入検知モードにおいて、まず、送信機101は、無線信号を受信機102へ送信する(ステップS12)。
次に、受信機102における受信回路22は、送信機101から送信された無線信号を検波し、ビート信号を生成する(ステップS14)。
次に、レベル変化量測定部81は、たとえば、受信回路22により生成されたビート信号のレベルの変化量をビート信号の目標周波数fbのm倍のサンプリング周波数で測定する(ステップS16)。
次に、周波数判定回路82は、レベル変化量測定部81により測定されたビート信号のレベルの変化量において、同じ符号の変化量が連続して繰り返される回数と、逆の符号の変化量が連続して繰り返される回数とに基づいて、目標周波数fbおよびビート信号の周波数の判定結果を示すステータスを「高い」、「低い」または「範囲内」に設定する(ステップS18)。
次に、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82が設定するステータスに基づいて、ビート信号の周波数が目標周波数fbに近づくように局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を調整する(ステップS20)。
次に、受信機102は、送信機101から送信される無線信号を引き続き受信する(ステップS22)。
次に、受信機102における受信回路22は、送信機101から送信された無線信号を検波し、I成分のビート信号IdおよびQ成分のビート信号Qdを生成する(ステップS24)。
次に、空間特徴量算出部71は、受信回路22により生成されたビート信号Id,Qdに基づいて空間特徴量を算出し(ステップS26)、侵入検知を行なう(ステップS28)。
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る調整部におけるシンセサイザ制御部が局部発振信号の周波数を調整する際の動作手順を定めたフローチャートである。
以下は、図9におけるステップS20に示す、ビート信号の周波数が目標周波数fbに近づくように局部発振信号LSの周波数を調整するシンセサイザ制御部83の詳細な動作である。
図10を参照して、シンセサイザ制御部83は、まず、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数fRXが送信機102から送信されてくる無線信号の周波数fTXより低いと仮定する(ステップS102)。
次に、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82から読み出すステータスおよび上記仮定に基づいてSPI信号を生成し、生成したSPI信号を局部発振信号生成部55へ出力する(ステップS104)。
次に、シンセサイザ制御部83は、SPI信号を局部発振信号生成部55へ出力した結果ステータスの変化がない場合、ビート信号の周波数が目標周波数fbに近づいていないと判断し(ステップS106でNO)、所定回数C4を上限として引き続きSPI信号を出力する(ステップS108でNOおよびステップS104)。
一方、シンセサイザ制御部83は、SPI信号を所定回数C4出力してもステータスの変化がない場合(ステップS108でYES)、局部発振信号LSの周波数fRXが周波数fTXより高い周波数であると新たに仮定し、調整方向を逆にする(ステップS110)。
次に、シンセサイザ制御部83は、周波数判定回路82から読み出すステータスおよび新たな仮定に基づいてSPI信号を生成し、生成したSPI信号を局部発振信号生成部55へ出力する(ステップS104)。
次に、シンセサイザ制御部83は、ステータスの変化があった場合、ビート信号の周波数が目標周波数fbに収束したと判断し(ステップS106でYES)、局部発振信号LSの周波数の調整処理を終了する。
ところで、侵入検知装置では、たとえば、受信機は、送信機により送信される電波を受信し、受信した電波をダウンコンバートすることにより生成した信号に基づいて到来角分布を計算する。
送信機から広帯域の電波が送信される場合、受信機においてダウンコンバートされた信号の帯域も広くなる。したがって、到来角分布を計算するためには、帯域の広い信号を処理するためのADCおよび高速のプロセッサ等が必要となるため、受信機の製造コストが高くなるという問題がある。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、所定エリア301における人間の動作を監視する受信機102である。アレイ受信部52は、送信機101から搬送波を受信し、受信した搬送波と自己の受信機102において生成される局部発振信号LSとを乗算することによりビート信号Id,Qdを生成する。空間特徴量算出部71は、アレイ受信部52によって生成されたビート信号Id,Qdに基づいて所定エリア301における空間特徴量P(t)を算出する。そして、検知部72は、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリア301における人間の動作を監視する。
このように、搬送波から狭帯域のビート信号Id,Qdを生成し、生成したビート信号Id,Qdに基づいて空間特徴量P(t)を算出する構成により、たとえば、帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等を用いることなくビート信号Id,Qdを処理することができるので、低コストで人間の動作を監視することができる。
一方、一般に、送信機101および受信機102は、非同期で動作することが多いため、搬送波の周波数fTXと局部発振信号LSの周波数fRXとが若干異なる場合が多い。
搬送波の周波数fTXと局部発振信号LSの周波数fRXとが若干異なる場合、受信機102においてダウンコンバートされた搬送波は、周波数fTXおよび周波数fRXの差に応じた振動を伴うビート信号となる。
より詳細には、送信機101および受信機102は、たとえば温度補償型水晶発振器12,61を用いて基準発振信号をそれぞれ別個に生成する。搬送波および局部発振信号は、基準発振信号に基づいて生成される。温度補償型水晶発振器12,61は、温度が一定の場合、一定の周波数の信号を生成するが、生成する信号の周波数の個体毎のばらつきが概ね±3ppm程度ある。
したがって、ビート信号の周波数が、送信機101において生成される基準発振信号の周波数および受信機102において生成される基準発振信号の周波数のずれに応じて変化してしまう。このため、受信機102におけるビート信号を処理する回路において適切な信号処理ができない問題、および到来角分布の計算を適切に行うことができない問題等が発生する。このため、受信機102において、人間の動作を安定して検知できなくなる。
この問題に対して、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、調整部54は、ビート信号Id,Qdの周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する。
このように、ビート信号Id,Qdの周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する構成により、送信機101において生成される搬送波の周波数の値に関わらずビート信号Id,Qdの周波数を一定の値に設定することができる。
これにより、一定の周波数のビート信号Id,Qdを用いて演算処理等を行うことができるので、空間特徴量P(t)を正確に算出し、人間の動作を安定して監視することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62を含む。局部発振信号生成部55は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62を用いて基準発振信号から局部発振信号LSを生成する。調整部54は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62における分周比を変更することにより局部発振信号LSの周波数を調整する。
このように、FRACTIONAL−N シンセサイザ62を用いて基準発振信号から局部発振信号LSを生成する構成により、局部発振信号LSの周波数を安定化することができる。また、このように、FRACTIONAL−N シンセサイザ62の分周比を利用することにより、簡易な構成で、局部発振信号LSの周波数を調整することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62は、分数の分周比を設定することが可能である。調整部54は、FRACTIONAL−N シンセサイザ62の分周比のうち、少なくとも分数の値を調整する。
このような構成により、ビート信号Id,Qdの周波数を細かく調整でき、適切な周波数に短時間で近づけることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、調整部54は、ビート信号Qdのレベルをサンプリングし、今回サンプリングしたビート信号Qdのレベルおよび過去にサンプリングしたビート信号Qdのレベルの大小関係に基づいてビート信号Qdの周波数を判定する。
このような構成により、ビート信号Id,Qdの周波数が目標周波数fbに対して、「高い」、「低い」または「範囲内」であるかを簡易な処理で判定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、調整部54は、同じ大小関係が所定回数C1連続し、かつ、逆の大小関係が所定回数C2連続した場合、ビート信号Qdの周波数が目標範囲内であると判定する。
このような構成により、ビート信号Id,Qdの周波数が目標周波数fbに対して、「範囲内」であるか否かを簡易な処理で判定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、調整部54は、同じ大小関係が連続し、かつ、逆の大小関係が連続した場合、同じ大小関係が連続した回数と逆の大小関係が連続した回数とを比較し、比較結果に基づいてビート信号Qdの周波数を判定する。
このような構成により、ビート信号Id,Qdの周波数の目標周波数fbに対する高低を簡易な処理で判定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置は、検知部72は、所定エリア301における人間の動作の発生を検知する。
このような構成により、たとえば所定エリア301へ侵入した人間の検知を良好に行い、効果的な防犯対策を講じることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置では、検知部72は、所定エリアにおける人間の動作として、所定エリアへの人間の侵入を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部72は、所定エリアにおける人間の動作として、所定エリアに存在する人間の不審行動開始を検知する構成であってもよい。この場合も、検知部72は、空間特徴量P(t)の変動により、所定エリアに存在する人間の不審行動開始を検知することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置では、侵入者の有無という二値的な判定を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。侵入可能性のレベルを示す指標を出力する構成であってもよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る監視装置と比べてアナログ回路を用いてビート信号の周波数を電圧に変換する監視装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る侵入検知システムと同様である。
[調整部の構成]
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る調整部の構成を示す図である。
図11を参照して、調整部154は、第1の実施の形態に係る調整部54と比べて、ADC84、レベル変化量測定部81および周波数判定回路82の代わりに周波数−電圧変換回路181、ADC184および周波数判定回路182を備える。周波数−電圧変換回路181は、波形整形器171と、微分器172と、タイマコンパレータ173と、定電流回路174と、積分器175とを含む。
調整部154は、局部発振信号生成部55が生成する局部発振信号LSの周波数を調整する。より詳細には、調整部154における波形整形器171は、たとえば、受信回路22のRX4におけるLPF38を通過した正弦波である差周波のビート信号Qdを受ける。そして、波形整形器171は、たとえば、受けた正弦波のビート信号Qdを、コンパレータを用いて矩形波の信号へ変換し、変換した信号を微分器172へ出力する。
微分器172は、たとえば、波形整形器171から矩形波の信号を受けると、受けた矩形波の信号を微分する。そして、微分器172は、たとえば、当該矩形波を微分することにより取得した立下りエッジのタイミングを示すトリガ信号をタイマコンパレータ173へ出力する。
タイマコンパレータ173は、微分器172からトリガ信号を受けると、一定の時間幅Δtのパルスを生成し、生成したパルスを定電流回路174へ出力する。
定電流回路174は、タイマコンパレータ173からパルスを受けると、当該パルスを受けている時間Δtにおいて一定の電流を積分器175へ出力する。
すなわち、タイマコンパレータ173が微分器172からトリガ信号を受ける毎に、定電流回路174は、一定の電流を時間Δt積分器175へ出力するので、定電流回路174が積分器175へ出力する電流の総和は、トリガ信号の回数に比例する。言い換えると、定電流回路174が積分器175へ出力する電流の総和は、ビート信号Qdの周波数に比例する。
積分器175は、定電流回路174から受ける電流を平均化する。より詳細には、積分器175は、ビート信号Qdの周波数に比例する電流を定電流回路174から受けると、受けた電流をキャパシタに電荷として蓄え、当該キャパシタの電圧に基づく積分電圧をADC184へ出力する。
すなわち、キャパシタの電圧は当該キャパシタに蓄えられた電荷に比例するので、積分器175は、ビート信号Qdの周波数に比例する積分電圧をADC184へ出力する。
ADC184は、積分器175から受けた積分電圧をデジタル信号へ変換し、変換した信号を周波数判定回路182へ出力する。
周波数判定回路182は、ADC184からデジタル信号を受けると、受けたデジタル信号の値と、所定の目標値との大小関係を演算する。所定の目標値は、たとえばビート信号の目標周波数fbに相当する値である。
周波数判定回路182は、受けたデジタル信号の値と目標値とが一致すると、ビート信号の目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数が同等であると判定し、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「範囲内」に設定する。
また、周波数判定回路182は、受けたデジタル信号の値が目標値より小さい場合、ビート信号の目標周波数fbに対してビート信号Qdの周波数が低いと判定し、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「低い」に設定する。
また、周波数判定回路182は、受けたデジタル信号の値が目標値より大きい場合、ビート信号の目標周波数fbに対してビート信号Qdの周波数が高いと判定し、目標周波数fbおよびビート信号Qdの周波数の判定結果を示すステータスを「高い」に設定する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る侵入検知システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る監視装置では、調整部154は、ビート信号Qdの周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する。
このように、ビート信号Id,Qdの周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する構成により、送信機101において生成される搬送波の周波数の値に関わらずビート信号Id,Qdの周波数を一定の値に設定することができる。
これにより、一定の周波数のビート信号Id,Qdを用いて演算処理等を行うことができるので、空間特徴量P(t)を正確に算出し、人間の動作を安定して監視することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る監視装置と比べて、使用目的を変更した監視装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る侵入検知システムと同様である。
本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る侵入検知装置すなわち受信機(監視装置)102では、検知部72が、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリアにおける人間の動作として、所定エリアへの人間の侵入または不審行動開始を検知する。
これに対して、本発明の第3の実施の形態に係る見守りシステム(監視システム)202における見守り装置すなわち受信機(監視装置)102では、所定エリアにおける人間の動作として、所定エリアにおける人間、具体的には見守り対象者の無動作または少動作を検知する。
より詳細には、受信機102の制御部53における検知部72は、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリアにおける人間の動作が無いかまたは少ないことを検知する。具体的には、たとえば、検知部72は、所定エリアにおいて、心臓発作などの異常が発生したことにより所定時間以上動いていない人間がいるか否かを監視する。この所定エリアは、たとえば、通常時には1または複数の人間が歩行等の動作を行っている領域である。
受信機102の制御部53における空間特徴量算出部71は、本発明の第1の実施の形態に係る侵入検知装置と同様に、初期ベクトルvnoと、観測時tにおける固有ベクトルvob(t)とを用いて、観測時tにおける空間特徴量P(t)を算出する。
ここで、受信機102において比較基準として用いられる初期ベクトルvnoは、たとえば所定エリアに人間が存在していないときの固有ベクトルである。
したがって、空間特徴量P(t)が「1」より小さい値であるほど、観測時tにおける所定エリアの状態は、1または複数の人間が動いている通常時の状態に近い。
このため、検知部72は、空間特徴量P(t)が所定の閾値以上である状態が、所定時間以上継続する場合、所定エリアにおいて人間の動作が無いかまたは少ないと判断する。
具体的には、上記所定の閾値が「0.9」であると仮定すると、検知部72は、空間特徴量P(t)が「0.9」より小さい場合、所定エリアにおいて人間の動作の有る通常状態であると判断する。一方、検知部72は、空間特徴量P(t)が「0.9」以上である状態が所定時間以上継続する場合、所定エリアにおいて人間の動作が無いかまたは少ない異常状態であると判断する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る侵入検知システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
たとえば、本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置において、アレイ受信部52は、送信機101から搬送波を受信し、受信した搬送波と受信機102において生成される局部発振信号LSとを乗算することによりビート信号Id,Qdを生成する。空間特徴量算出部71は、アレイ受信部52によって生成されたビート信号Id,Qdに基づいて所定エリア301における空間特徴量P(t)を算出する。検知部72は、空間特徴量算出部71によって算出された空間特徴量P(t)に基づいて、所定エリア301における人間の動作を監視する。
このように、搬送波から狭帯域のビート信号Id,Qdを生成し、生成したビート信号Id,Qdに基づいて空間特徴量P(t)を算出する構成により、たとえば、帯域の広いADCおよび高速のプロセッサ等を用いることなくビート信号Id,Qdを処理することができるので、低コストで人間の動作を監視することができる。
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置では、電波を用いた所定エリアにおける人間の無動作または少動作の監視を低コストで行うことができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る見守りシステムでは、受信機102は、所定エリアにおける人間の動作が無いかまたは少ないことを検知する。
このような構成により、所定エリアにおける人間の見守りを良好に行なうことができる。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る見守りシステムでは、上述した内容以外は本発明の実施の形態1に係る侵入検知システム201と同様であると説明したが、上述した内容以外は本発明の第2の実施の形態に係る侵入検知システムと同様であってもよい。
たとえば、本発明の第3の実施の形態に係る見守りシステムは、本発明の第2の実施の形態に係る侵入検知システムと同様に、調整部154を備えていてもよい。この場合、調整部154は、アナログ回路を用いてビート信号の周波数を電圧に変換する。
そして、調整部154は、ビート信号の周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する。
このように、ビート信号Id,Qdの周波数を判定し、判定結果に基づいて局部発振信号LSの周波数を調整する構成により、送信機101において生成される搬送波の周波数の値に関わらずビート信号Id,Qdの周波数を一定の値に設定することができる。
これにより、一定の周波数のビート信号Id,Qdを用いて演算処理等を行うことができるので、空間特徴量P(t)を正確に算出し、人間の動作を安定して監視することができる。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置では、人間の動作の有無または多少という二値的な判定を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。人間の無動作または少動作の可能性のレベルを示す指標を出力する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る侵入検知装置ならびに本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置では、空間特徴量として固有ベクトルを用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。固有ベクトルに限らず、非特許文献1に記載されているような遅延プロファイル等、他の空間特徴量を用いる構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る侵入検知装置ならびに本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置では、空間特徴量として1次元の特徴量を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。空間特徴量として多次元の特徴量を用いる構成であってもよい。たとえば、固有ベクトルそのものを特徴量ベクトルとして用いることも可能であるし、非特許文献1に記載されているような遅延プロファイルを用いることも可能である。
また、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る侵入検知装置ならびに本発明の第3の実施の形態に係る見守り装置はアレイ式電波センサであるとしたが、他の種類の電波センサであってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 アンテナ部
12 温度補償型水晶発振器
13 送信側PLL回路
14 ループフィルタ
15 電圧制御発振器
16 パワーアンプ
21 アンテナ部
22 受信回路
23 分岐回路
31 バンドパスフィルタ
32 ローノイズアンプ
33 移相器
34 ミキサ
35 ローパスフィルタ
36 A/Dコンバータ
37 ミキサ
38 ローパスフィルタ
39 A/Dコンバータ
52 アレイ受信部
53 制御部
54 調整部
55 局部発振信号生成部
61 温度補償型水晶発振器
62 FRACTIONAL−N シンセサイザ(PLL回路)
63 ループフィルタ
64 電圧制御発振器
71 空間特徴量算出部
72 検知部
73 メモリ
81 レベル変化量測定部
82 周波数判定回路
83 シンセサイザ制御部
84 A/Dコンバータ
91 リファレンスカウンタ
92 位相比較器
93 チャージポンプ
94 Nカウンタ
95 非整数インタポレータ
96 FRACレジスタ
97 MODULASレジスタ
98 INTレジスタ
99 加算器
101 送信機
102 受信機(監視装置)
154 調整部
171 波形整形器
172 微分器
173 タイマコンパレータ
174 定電流回路
175 積分器
181 周波数−電圧変換回路
182 周波数判定回路
184 A/Dコンバータ
201 侵入検知システム(監視システム)
202 見守りシステム(監視システム)
301 所定エリア

Claims (11)

  1. 所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置であって、
    他の装置から無変調信号を受信し、受信した前記無変調信号と前記監視装置において生成される局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成する受信部と、
    前記受信部によって生成された前記ビート信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出する空間特徴量算出部と、
    前記空間特徴量算出部によって算出された前記空間特徴量に基づいて、前記所定エリアにおける人間の動作を監視する検知部とを備える、監視装置。
  2. 前記監視装置は、さらに、
    前記ビート信号の周波数を判定し、判定結果に基づいて前記局部発振信号の周波数を調整する調整部を備える、請求項1に記載の監視装置。
  3. 前記監視装置は、さらに、
    PLL(Phase Locked Loop)回路を含み、前記PLL回路を用いて基準発振信号から前記局部発振信号を生成する局部発振信号生成部を備え、
    前記調整部は、前記PLL回路における分周比を変更することにより前記局部発振信号の周波数を調整する、請求項2に記載の監視装置。
  4. 前記PLL回路は、分数の分周比を設定することが可能であり、
    前記調整部は、前記PLL回路の分周比のうち、少なくとも分数の値を調整する、請求項3に記載の監視装置。
  5. 前記調整部は、前記ビート信号のレベルをサンプリングし、今回サンプリングした前記ビート信号のレベルおよび過去にサンプリングした前記ビート信号のレベルの大小関係に基づいて前記ビート信号の周波数を判定する、請求項2に記載の監視装置。
  6. 前記調整部は、同じ前記大小関係が所定回数連続し、かつ、逆の前記大小関係が所定回数連続した場合、前記ビート信号の周波数が目標範囲内であると判定する、請求項5に記載の監視装置。
  7. 前記調整部は、同じ前記大小関係が連続し、かつ、逆の前記大小関係が連続した場合、同じ前記大小関係が連続した回数と逆の前記大小関係が連続した回数とを比較し、比較結果に基づいて前記ビート信号の周波数を判定する、請求項5に記載の監視装置。
  8. 前記検知部は、前記所定エリアにおける人間の動作が無いかまたは少ないことを検知する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視装置。
  9. 前記検知部は、前記所定エリアにおける人間の動作の発生を検知する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の監視装置。
  10. 所定エリアに配置され、無変調信号を送信する送信機と、
    前記所定エリアにおける人間の動作を監視する受信機とを備え、
    前記受信機は、前記送信機から前記無変調信号を受信し、受信した前記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成し、生成した前記ビート信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出し、算出した前記空間特徴量に基づいて、前記所定エリアにおける人間の動作を監視する、監視システム。
  11. 所定エリアにおける人間の動作を監視する監視装置における監視方法であって、
    他の装置から無変調信号を受信し、受信した前記無変調信号と局部発振信号とを乗算することによりビート信号を生成するステップと、
    生成した前記ビート信号に基づいて前記所定エリアにおける空間特徴量を算出するステップと、
    算出した前記空間特徴量に基づいて、前記所定エリアにおける人間の動作を監視するステップとを含む、監視方法。



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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017146105A (ja) * 2016-02-15 2017-08-24 新日本無線株式会社 マルチラインセンサ

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