JP2014214034A - アンモニア水溶液の濃縮方法およびアンモニア処理セルロース含有バイオマスからのアンモニアの製造方法 - Google Patents

アンモニア水溶液の濃縮方法およびアンモニア処理セルロース含有バイオマスからのアンモニアの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、従来の方法よりも簡便かつ低コストの工程によって、アンモニア水溶液を効率的に濃縮・回収することを課題とする。
【解決手段】
フラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液をpH10以上に調整し、ナノ濾過膜または逆浸透膜に通じてアンモニアを透過側で濃縮することを特徴とする、アンモニア水溶液の濃縮方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液を濃縮する方法、さらにはアンモニア処理セルロース含有バイオマスからのアンモニアの製造方法に関する。
アンモニア水溶液のアンモニア濃縮・回収は、アンモニア水溶液を利用する化学プロセスでのアンモニアの再利用による原料コスト削減や、環境保護の観点から定められた排水基準を満たすための排水浄化処理といった目的で行われている。
アンモニア水溶液を濃縮する方法としては、蒸留濃縮やアンモニアストリッピング(特許文献1)といったアンモニアをガス化して分離する方法、アンモニウム塩として逆浸透膜処理して逆浸透膜の非透過側で濃縮する方法(特許文献2)が知られている。
また、水溶液中のアンモニアを回収する方法としては、高pH条件下でアンモニアを含む水溶液を逆浸透膜処理して透過側からアンモニアを回収する方法(特許文献3)が知られている。
特開2011−212585号公報 特開2012−125745号公報 特開2000−246246号公報
特許文献1での蒸留濃縮やアンモニアストリッピングといったガス化によるアンモニア濃縮方法は、熱をかけるエネルギーが必要であり、コストが増加する。また、アンモニアガスによる臭気公害の恐れもある。さらに、プロセス中でアンモニア水溶液として再利用するためには水にもう一度溶解させる必要があり、プロセスが増えるといった問題がある。
特許文献2での逆浸透膜を用いてアンモニウム塩として濃縮する方法では、コストを下げることができるが、塩として濃縮されるため、アンモニアとして再利用するためには、さらにプロセスが必要となる。
また、特許文献3での高pH条件下でアンモニア水溶液を逆浸透膜に通じることで、アンモニアを透過側に回収する方法は、通常、逆浸透膜が電荷を持っているため、アンモニウムイオンの状態では逆浸透膜を透過できないが、高pH条件下ではアンモニアの状態となり、逆浸透膜を透過できるようになり、透過液側からアンモニアが回収されるというメカニズムであるが、この方法では、原水の濃度と同等かそれ以下の濃度の溶液しか得ることができない。プロセスに再利用するためには、より効率的にアンモニアを回収する方法が必要とされる。
そこで本発明は、従来の方法よりも簡便かつ低コストの工程によって、アンモニア水溶液を効率的に濃縮・回収することを課題とする。
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、不純物としてフラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液を濃縮する場合、pH10以上に調整してナノ濾過膜または逆浸透膜に通じることで、アンモニアを透過側で濃縮することができ、その結果、効率的にアンモニアを回収できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の〔1〕〜〔6〕の構成を有する。
〔1〕フラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液をpH10以上に調整し、ナノ濾過膜または逆浸透膜に通じてアンモニアを透過側で濃縮することを特徴とする、アンモニア水溶液の濃縮方法。
〔2〕前記フラン系化合物としてフルフラールおよび/またはヒドロキシメチルフルフラールを含むことを特徴とする、〔1〕に記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
〔3〕前記有機酸として、ギ酸、酢酸および乳酸からなる群から選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
〔4〕前記フラン系化合物および/または有機酸がセルロース含有バイオマスを加水分解により糖化するための前処理である熱化学処理をして得られた液由来であることを特徴とする、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
〔5〕前記熱化学処理がアンモニア処理である、〔4〕に記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
〔6〕セルロース含有バイオマスを加水分解により糖化するためにアンモニア処理する工程およびアンモニア処理液をpH10以上に調整し、ナノ濾過膜または逆浸透膜に通じてアンモニアを透過側で濃縮する工程を含む、アンモニアの製造方法。
本発明によって、低コストで、アンモニア水溶液を濃縮することができる。また、本発明で得られるアンモニア水溶液は再利用が可能であり、従来のアンモニアをガス化して回収し、もう一度水溶液にしてアンモニア水溶液を再利用する方法よりも効率的にアンモニアを再利用することができる。
図1は、セルロース含有バイオマスの水熱処理液のナノ濾過膜または逆浸透膜のアンモニア透過率とpHの関係を示すグラフである。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明におけるアンモニア水溶液は、フラン系化合物および/または有機酸を含むことを特徴とする。フラン系化合物としては、フルフラール、ヒドロキメチルシフルフラール(HMF)が具体例として挙げられる。また、有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸などがあげられる。
アンモニア水溶液中のフラン系化合物や有機酸の含有量は特に限定されない。一方で、アンモニア水溶液にフラン系化合物および/または有機酸が含まれない場合、アンモニア水溶液は、透過側に濃縮されない。
なお、アンモニア水溶液にフラン系化合物が含まれることは、HPLCでのUV検出器を用いた測定においてフラン系化合物が検出されることであり、当該測定においてフラン系化合物が検出できない場合はアンモニア水溶液にフラン系化合物が含まれないと判断する。
また、アンモニア水溶液に有機酸が含まれることは、HPLCでの電気伝導度の測定において有機酸が検出されることであり、当該測定において有機酸が検出できない場合はアンモニア水溶液に有機酸が含まれないと判断する。
フラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液の具体例としては、セルロース含有バイオマスを加水分解により糖化するための前処理である熱化学処理したときの溶液成分やメタン発酵液などが挙げられるが、好ましくはセルロース含有バイオマス由来の溶液成分である。
セルロース含有バイオマスとは、バガス、スイッチグラス、コーンストーバー、コーンコブ、稲藁、麦わら、などの草本系バイオマス、また樹木、廃建材などの木質系バイオマスなどを例として挙げることができる。こうしたバイオマスは、主成分としてセルロース、ヘミセルロース、リグニンを含有している。
セルロース含有バイオマスの熱化学処理とは、熱と化学物質によってセルロース含有バイオマス中のセルロースやヘミセルロースの加水分解やリグニンの分解などが起こる処理のことである。セルロース含有バイオマスを酵素糖化しやすくするための前処理として用いられ、この処理によってフラン系化合物および/または有機酸が生成することがある。具体的には、水熱処理、希硫酸処理、アンモニア処理などが挙げられるが、本発明では熱化学処理としてアンモニア処理がされていることが好ましい。
アンモニア処理とは、アンモニア水溶液又は100%アンモニア(液体又は気体)をセルロース含有バイオマスと反応させる処理であり、具体例として特開2008−161125号公報または特開2008−535664号公報に記載の処理方法が挙げられる。通常、使用するアンモニア濃度はセルロース含有バイオマスに対して0.1〜15重量%の範囲でセルロース含有バイオマスに添加し、4〜200℃、好ましくは90〜150℃で処理する。処理回数は特に限定されず前記処理を一回以上行えばよい。特に前記処理を2回以上行う場合、1回目と2回目以降の処理を異なる条件で実施してもよい。
セルロース含有バイオマスを加水分解して糖液を製造することを目的としてセルロース含有バイオマスをアンモニア処理する場合、得られるアンモニア処理液を(必要であれば適宜pH調整することで)本発明におけるアンモニア水溶液とすることができる。なお、セルロース含有バイオマスを気体アンモニアでアンモニア処理する場合、得られるアンモニア処理物(固体)を水で洗浄して得られるアンモニア処理物洗浄液を本発明におけるアンモニア水溶液とすることができる。したがって、セルロース含有バイオマスをアンモニア処理する工程を含む糖液の製造工程に本発明を利用することで、副産物としてアンモニアを製造できるほか、アンモニア処理に必要なアンモニアを回収・リサイクルすることができる。
アンモニア水溶液をナノ濾過膜または逆浸透膜での濾過する際、アンモニア水溶液のpHを10以上になるように調整し、好ましくは11以上になるよう調整する。アンモニア水溶液のpHが10以上でなければアンモニアのナノ濾過膜または逆浸透膜への透過性が低く、アンモニア水溶液がpH11以上であれば、アンモニアのナノ濾過膜または逆浸透膜への透過性が顕著に向上する。なお、アンモニア水溶液のpHが10以上であればそのままナノ濾過膜または逆浸透膜への濾過に供すればよい。アンモニア水溶液のpHの上限は特に制限はないが、pH14が好ましい。
アンモニア水溶液のpHを10以上に調整する場合に使用するアルカリは特に限定はされないが、好ましくは1価のアルカリ試薬である。アンモニア水溶液中に含まれる酸・アルカリ成分がともに2価以上であると、液が濃縮される過程で液中に塩が析出し膜のファウリング要因となることがあるため、2価以上のアルカリ試薬を用いる場合は塩の析出が起こらないように析出物を除外する機構が必要となるからである。
アンモニア水溶液のpH調整のための1価のアルカリ試薬の具体例としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが特に限定はされない。2価以上のアルカリ試薬を用いる場合は塩の析出が起こらないように析出物を除外する機構が必要となる。また、2価以上のアルカリ試薬の具体例としては、水酸化カルシウムが挙げられる。
本発明で使用するナノ濾過膜とは、ナノフィルター(ナノフィルトレーション膜、NF膜)とも呼ばれるものであり、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される膜である。数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。
本発明で使用されるナノ濾過膜の素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマー、などの高分子素材やセラミックスなどを使用することができるが、前記1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載の、ポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノフィルターを構成させた複合膜を用いることができる。
ナノ濾過膜モジュールの具体例としては、東洋紡製のHS5205A、CM10、日東電工製のNTR−729HF、NTR−7250、NTR−7450、NTR−7410、東レ製のSU610、SU−620、SU−210、SU−220、Filmtec製のNF−270、NF―200、NF−90、NF−70、NF−45、NF、DESAL製のDKシリーズ、DLシリーズ、HLシリーズ、HWS NFシリーズ、TRISEP製のTS−80、KOCH製のMPS−34、MPT−34、MPS−44、MPS−36、MPT−44、アルファラバル製のNF97,NF99、NF99HFなどが例示できる。
ナノ濾過膜のモジュール形態は、特に限定されない。例えばスパイラル型、チューブラー型、中空糸型などがあるが、好ましくはモジュール単価の観点からスパイラル型が好ましく用いられる。
ナノ濾過膜による濾過は、圧力をかけてもよく、その濾過圧は、0.1〜8MPaの範囲であることが好ましい。濾過圧が0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるおそれがある。また、濾過圧が0.5〜7MPaの範囲であれば、膜透過流束が高いことから、アンモニア水溶液を効率的に透過させることができる。
本発明で使用する逆浸透膜とはRO膜とも呼ばれるものであり、「1価のイオンを含めて脱塩機能を有する膜」と一般的に定義される膜であり、数オングストロームから数ナノメートル程度の超微小空隙を有していると考えられる膜で、主として海水淡水化や超純水製造などイオン成分除去に用いられる。
本発明で使用される逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロール系のポリマーを機能層とした複合膜(以下、酢酸セルロース系の逆浸透膜ともいう)またはポリアミドを機能層とした複合膜(以下、ポリアミド系の逆浸透膜ともいう)が挙げられる。ここで、酢酸セルロース系のポリマーとしては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースの有機酸エステルの単独もしくはこれらの混合物並びに混合エステルを用いたものが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族および/または芳香族のジアミンをモノマーとする線状ポリマーまたは架橋ポリマーが挙げられる。
本発明で使用される逆浸透膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製ポリアミド系逆浸透膜モジュールである超低圧タイプのSUL−G10、SUL−G20、低圧タイプのSU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720Pの他、逆浸透膜としてUTC80を含む高圧タイプのSU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、同社酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工株式会社製NTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製RO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、GE製GE Sepa、Filmtec製BW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040、KOCH製TFC−HR、TFC−ULP、TRISEP製ACM−1、ACM−2、ACM−4などが挙げられる。
膜形態としては、平膜型、スパイラル型、中空糸型など適宜の形態のものが使用できる。
逆浸透膜による濾過は、圧力をかけてもよく、その濾過圧は、0.1〜8MPaの範囲であることが好ましい。濾過圧が0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるおそれがある。また、濾過圧が0.5〜7MPaの範囲であれば、膜透過流束が高いことから、アンモニア水溶液を効率的に透過させることができる。
本発明におけるナノ濾過膜または逆浸透膜による濾過の回数は特に限定されない。また、2回以上行う場合、1回目と膜の種類が異なっていても構わない。
本発明におけるアンモニア水溶液の濃縮とは、アンモニア水溶液をナノ濾過膜または逆浸透膜に通じた場合のアンモニアのナノ濾過膜または逆浸透膜の透過率が100%を超えることである。透過率(%)の算出方法は式1に示す通りである。
透過率(%)=(原水のアンモニア濃度/透過液のアンモニア濃度)×100・・・(式1)。
本発明における原水とは、膜濾過処理をする前のアンモニア水溶液のことであり、透過液とは、原水をナノ濾過膜または逆浸透膜に通じた際の膜の透過側から回収されるアンモニア水溶液のことである。すなわち、本発明におけるアンモニア水溶液の濃縮とは、原水よりもアンモニア濃度の濃い透過液を得ることであり、透過液中のアンモニアの絶対量が原水中よりも多いことではない。
アンモニア濃度は、高い精度と再現性を持って測定可能な分析手法であれば限定されないが、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどが好ましく使用できる。ただし、原水と透過液のアンモニア濃度測定は同じ分析手法で行う必要がある。
本発明におけるアンモニア水溶液は、ナノ濾過膜または逆浸透膜処理に先立って精密濾過膜および/または限外濾過膜で濾過処理に供することが好ましい。これによって、アンモニア水溶液中の微粒子によるナノ濾過膜または逆浸透膜処理でのファウリングを軽減することができるからである。
精密濾過膜とは、平均細孔径が0.01μm〜5mmである膜のことであり、マイクロフィルトレーション、MF膜などと略称されるものである。また、本発明に使用する限外濾過膜とは、分画分子量が1000〜200,000となる膜のことであり、ウルトラフィルトレーション、UF膜などと略称されるものである。ここで、限外濾過膜は、孔径が小さすぎて膜表面の細孔径を電子顕微鏡等で計測することが困難であり、平均細孔径の代わりに分画分子量という値を孔径の大きさの指標とすることになっている。分画分子量とは、日本膜学会編 膜学実験シリーズ 第III巻 人工膜編 編集委員/木村尚史・中尾真一・大矢晴彦・仲川勤(1993 共立出版)P92に、『溶質の分子量を横軸に、阻止率を縦軸にとってデータをプロットしたものを分画分子量曲線とよんでいる。そして阻止率が90%となる分子量を膜の分画分子量とよんでいる。』とあるように、限外濾過膜の膜性能を表す指標として当業者には周知のものである。
精密濾過膜または限外濾過膜の材質としては、上述した微粒子の除去という本発明の目的を達成できるものであれば、特に限定されるものではないが、セルロース、セルロースエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン等の有機材料、あるいはステンレス等の金属、あるいはセラミック等無機材料が挙げられる。精密濾過膜または限外濾過膜の材質は、加水分解物の性状、あるいはランニングコストを鑑みて適宜選択すればよいが、有機材料であることが好ましく、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンであることが好ましい。
精密濾過膜および/または限外濾過膜処理の前には固形分の多くを除去できる濾過法または遠心法などによる固液分離手段を用いても良い。濾過法であれば、例えばフィルタプレス、ベルトフィルタ、ベルトプレス、スクリュープレス、遠心法であれば、スクリューデカンタ、デラバル型遠心分離機、円筒型超遠心機などが例示できる。
以下、本発明に関してさらに詳細に説明するために実施例を挙げて説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(参考例1)アンモニア濃度の測定
アンモニア濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:Ion Pac CS12A(DIONEX社製)
移動相:20mM メタンスルホン酸(流速1.0mL/分)
反応液:なし
検出方法:電気伝導度(サプレッサ使用)
温度:30℃。
(参考例2)フラン系・芳香族系化合物の分析方法
液に含まれるフラン系化合物(HMF、フルフラール)は下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:Synergi HidroRP 4.6mm×250mm(Phenomenex製)
移動相:アセトニトリル−0.1% HPO(流速1.0mL/min)
検出方法:UV(283nm)
温度:40℃。
(参考例3)有機酸の分析方法
液に含まれる有機酸(酢酸、ギ酸)は下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。
カラム:Shim−Pack SPR−HとShim−Pack SCR101H(株式会社島津製作所製)の直列
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM
ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃。
(参考例4)セルロース含有バイオマスのアンモニア処理物調製方法
セルロース含有バイオマスとして稲藁を使用した。前記セルロース含有バイオマスを小型反応器(耐圧硝子工業株式会社製、TVS−N2 30mL)に投入し、液体窒素で冷却した。この反応器にアンモニアガスを流入し、試料を完全に液体アンモニアに浸漬させた。リアクターの蓋を閉め、室温で15分ほど放置した。次いで、150℃のオイルバス中にて1時間処理した。処理後、反応器をオイルバスから取り出し、ドラフト中で直ちにアンモニアガスをリーク後、さらに真空ポンプで反応器内を10Paまで真空引きし、処理物を乾燥させたものをアンモニア処理物として得た。
(参考例5)セルロース含有バイオマスの水熱処理液の調製方法
セルロース含有バイオマスとして稲の籾殻を使用した。稲の籾殻を水に浸し、撹拌しながら180℃の温度で20分間オートクレーブ処理(日東高圧株式会社製)した。その際の圧力は、7MPaであった。オートクレーブ処理後は、溶液成分と固形分成分に遠心分離機(3000G)を用いて固液分離した。溶液成分はさらに精密濾過膜(ミリポア社製“ステリカップGV”0.22μm(登録商標))によるデッドエンド濾過運転を実施し、精密濾過膜の透過液を水熱処理液として得た。参考例2、3の方法で水熱処理液のフラン系化合物および有機酸の含有量を測定した結果を表1に示す。
Figure 2014214034
(比較例1)
2.5g/Lの硫安水溶液をNaOHを用いてpH11に調整し、膜分離装置“SEPA CF II”(膜有効面積:140cm、GEオスモニクス製)を用いて、全循環運転でナノ濾過膜に通じて濾過した。ナノ濾過膜としては“UTC60”(東レ株式会社)をセットし、原水温度25℃、膜面線速度25cm/sec、高圧ポンプの圧力を1MPaに調整した。原水中のアンモニア濃度と透過水中のアンモニア濃度を参考例1の方法で測定し、アンモニアの透過率を求めた。結果を表2に示す。比較例1の溶液では、透過率は100%を超えず、透過側では、原水よりもアンモニア濃度が薄くなっていた。
(比較例2)
2.5g/Lの硫安水溶液にグルコース8g/L、キシロース32g/Lを加え、NaOHを用いてpH11に調整したものを比較例1と同じ条件でナノ濾過膜に通じて濾過し、アンモニアの透過率を求めた。結果を表2に示す。比較例2の溶液では、透過率は100%を超えず、透過側では、原水よりもアンモニア濃度が薄くなっていた。
(実施例1)
2.5g/Lの硫安水溶液にフルフラール0.5g/L、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)0.2g/Lを加え、NaOHを用いてpH11に調整したものを比較例1と同じ条件でナノ濾過膜に通じて濾過し、アンモニアの透過率を求めた。結果を表2に示す。実施例1の溶液では、アンモニアの透過率が100%を超え、透過側でアンモニアが濃縮された。このことから、フルフラールやHMFといったフラン系化合物が添加されることによってアンモニアが透過側に濃縮されることが示された。
(実施例2)
2.5g/Lの硫安水溶液に酢酸0.5g/Lを加え、NaOHを用いてpH11に調整したものを比較例1と同じ条件でナノ濾過膜に通じて濾過し、アンモニアの透過率を求めた。結果を表2に示す。実施例2の溶液では、アンモニアの透過率が100%を超え、透過側でアンモニアが濃縮された。このことから、酢酸が添加されることによってアンモニアが透過側に濃縮されることが示された。
(実施例3)
2.5g/Lの硫安水溶液に酢酸0.5g/L、フルフラール0.5g/Lを加え、NaOHを用いてpH11に調整したものを比較例1と同じ条件でナノ濾過膜に通じて濾過し、アンモニアの透過率を求めた。結果を表2に示す。実施例3の溶液では、アンモニアの透過率が100%を超え、透過側でアンモニアが濃縮された。このことから、有機酸とフラン系化合物が添加されることによってアンモニアが透過側に濃縮されることが示された。
(実施例4)
参考例4で得られたセルロース含有バイオマスのアンモニア処理物と水を重量比1:8で混合した。これを1時間振とうし、遠心分離機(8000G)で固液分離した。固液分離して得られた溶液成分はさらに精密濾過膜(ミリポア社製“ステリカップGV”(登録商標)0.22μm)によるデッドエンド濾過運転を実施し、精密濾過膜の透過液を得た。参考例2、3の方法で精密濾過膜の透過液のフラン系化合物および有機酸の含有量を測定した結果を表3に示す。
精密濾過膜の透過液をNaOHを用いてpH11に調整したものを比較例1と同じ条件でナノ濾過膜に通じて濾過し、アンモニアの透過率を求めた結果を表2に示す。実施例4の溶液では、アンモニアの透過率が100%を超え、透過側でアンモニアが濃縮された。実施例1〜3と比較してもアンモニア透過率が高いことから、セルロース含有バイオマスのアンモニア処理物から水に溶け出したセルロース含有バイオマス分解物と見られる有機酸やフラン系化合物がアンモニアの透過率を高めることが考えられた。
Figure 2014214034
Figure 2014214034
(実施例5)
参考例5の方法で調製したセルロース含有バイオマスの水熱処理液に2.5g/Lの硫安を加え、NaOHを用いてpHを5,7,9,10,11,13に調整し、膜分離装置“SEPA CF II”(膜有効面積:140cm、GEオスモニクス製)を用いて、全循環運転でナノ濾過膜または逆浸透膜に通じて濾過した。ナノ濾過膜としては“UTC60”(東レ株式会社)、逆浸透膜としては“UTC70U”(東レ株式会社)または“UTC80”(東レ株式会社)をセットし、原水温度25℃、膜面線速度25cm/sec、高圧ポンプの圧力を4MPaに調整した。原水中のアンモニア濃度と透過水中のアンモニア濃度を参考例1の方法で測定し、アンモニアの透過率を求めた結果を図1に示す。表1に示したように、セルロース含有バイオマスの水熱処理液は、セルロース含有バイオマス分解物としてギ酸、酢酸、フルフラール、HMFを含むが、このような溶液では、図1に示したように、pH10以上においてアンモニアの透過率が100%を超え、透過側に濃縮されることがわかった。また、実施例1〜3と比較しても透過率が高いことから、セルロース含有バイオマス分解物がアンモニアの透過率を高めることが考えられた。また、ナノ濾過膜よりも逆浸透膜でより高いアンモニア透過率となった。
(実施例6)
参考例4で得られたセルロース含有バイオマスのアンモニア処理物と水を重量比1:8で混合した溶液に2.5g/Lの硫安を加え、NaOHを用いてpH10以上に調整し、膜分離装置“SEPA CF II”(膜有効面積:140cm、GEオスモニクス製)を用いて、逆浸透膜を通じて濾過した。逆浸透膜として“UTC70U”(東レ株式会社)をセットし、原水温度25℃、膜面線速度25cm/sec、透過流束0.4m/dに調整し、原水700mLから透過液350mLを回収した。原水中のアンモニア濃度と透過水中のアンモニア濃度からアンモニアの透過率を求めた結果を表4に示す。実施例6の溶液を濃縮することによって原水よりもアンモニア濃度の濃い透過液とアンモニア濃度の低い非透過液を得ることができ、透過率は134%となった。
Figure 2014214034

Claims (6)

  1. フラン系化合物および/または有機酸を含むアンモニア水溶液をpH10以上に調整し、ナノ濾過膜または逆浸透膜に通じてアンモニアを透過側で濃縮することを特徴とする、アンモニア水溶液の濃縮方法。
  2. 前記フラン系化合物としてフルフラールおよび/またはヒドロキシメチルフルフラールを含むことを特徴とする、請求項1記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
  3. 前記有機酸として、ギ酸、酢酸および乳酸からなる群から選択される1種または2種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
  4. 前記フラン系化合物および/または有機酸がセルロース含有バイオマスを加水分解により糖化するための前処理である熱化学処理をして得られた液由来であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
  5. 前記熱化学処理がアンモニア処理である、請求項4に記載のアンモニア水溶液の濃縮方法。
  6. セルロース含有バイオマスを加水分解により糖化するためにアンモニア処理する工程およびアンモニア処理液をpH10以上に調整し、ナノ濾過膜または逆浸透膜に通じてアンモニアを透過側で濃縮する工程を含む、アンモニアの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024004735A1 (ja) * 2022-07-01 2024-01-04 ジカンテクノ株式会社 炭素素材及びその製造方法

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