JP2014213519A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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彰大 田谷
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Abstract

【課題】記録領域と非記録領域を含む領域の全体で高い光沢性を有するとともに、べたつきが抑制された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出するインク吐出工程と、第1の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第1の液体組成物吐出工程と、第2の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第2の液体組成物吐出工程とをこの順で有するインクジェット記録方法である。第1の液体組成物が、第1のランダムポリマーを含有し、第2の液体組成物が、ブロックポリマーと、第1のランダムポリマーよりも酸価が高い第2のランダムポリマーとを含有し、かつ、ブロックポリマーの含有量が、第2の液体組成物中の全てのポリマーの含有量に対して、10質量%以上40質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
従来、顔料インクを用いて記録媒体上に画像を記録した場合に、記録媒体に対する画像の定着性が十分でなく、記録媒体の表面から顔料が離脱しやすく、さらには、画像の光沢性が十分でないという問題があった。ここでいう「光沢性」には、画像領域の全体における光沢度及び写像性の二つが包含される。すなわち「光沢性が高い」とは、光沢度と写像性がいずれも高いということを意味する。
特許文献1には、記録後の画像領域の全体にクリアインクを付与する方法が開示されている。さらに、特許文献2には、特許文献1と同様の画像領域の全体にクリアインクを付与する方法であって、顔料インクの付与量に応じてクリアインクの付与量を領域ごとに異ならせる方法が開示されている。具体的には、顔料インクの付与量の多い領域においてはクリアインクの付与量を減らすとともに、顔料インクの付与量の少ない領域においてはクリアインクの付与量を増やしている。これにより、非記録領域と記録領域を含む領域全体で一様な光沢性を有する画像を記録することを目指している。
特開2002−200743号公報 特開2006−272934号公報
特許文献1及び2に記載の方法であれば、記録領域と非記録領域のいずれにもクリアインクを付与するので、画像光沢性の向上が期待される。しかしながら、記録媒体の表面における、顔料インクが塗布された領域と、塗布されていない領域とでは、クリアインクの浸透状態が異なる。このため、これらの方法では、画像領域全体の凹凸が十分に補正されないために、記録される画像の光沢性は未だ不十分な状態であった。すなわち、特許文献1及び2に記載のいずれの方法を採用した場合であっても、記録領域と非記録領域を含む画像領域の全体で高い光沢性を実現することは困難であった。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した。具体的には、酸価の低いランダムポリマーを含有するクリアインクを記録物上に塗布してクリアインクの浸透速度を抑制して浸透ムラを低減させたうえで、酸価の高いランダムポリマーを含有するクリアインクを付与した。その結果、光沢性に優れた記録物が得られることを見出した。
しかし、上記の方法では記録物上でのクリアインクの浸透速度を抑制してしまうため、長時間にわたってクリアインク中の溶剤が浸透せず、溶剤により可塑化した樹脂がべたつきを生じてしまうという課題が新たに生じた。べたつきが生じると、記録物が触れた手に付着する、或いは重ねた記録物同士が張り付いてしまう等の問題が生ずる。
したがって、本発明の目的は、記録領域と非記録領域を含む領域の全体で高い光沢性を有するとともに、べたつきが抑制された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出するインク吐出工程と、第1の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第1の液体組成物吐出工程と、第2の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第2の液体組成物吐出工程とをこの順で有するインクジェット記録方法であって、前記第1の液体組成物が、第1のランダムポリマーを含有し、前記第2の液体組成物が、ブロックポリマーと、前記第1のランダムポリマーよりも酸価が高い第2のランダムポリマーとを含有し、かつ、前記ブロックポリマーの含有量が、前記第2の液体組成物中の全てのポリマーの含有量に対して、10質量%以上40質量%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、記録領域と非記録領域を含む領域の全体で高い光沢性を有するとともに、べたつきが抑制された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
被覆率(%)に対して写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフである。 第1の液体組成物吐出工程と第2の液体組成物吐出工程の時間差(sec)に対して写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフである。 ランダムポリマーを含有する第2の液体組成物を用いた場合における、時間(min)に対してべたつきの負荷の最大値(kg)をプロットしたグラフである。 ランダムポリマーとブロックポリマーを任意の割合で含有する第2の液体組成物を用いた場合における、時間(min)に対して負荷(kg)をプロットしたグラフである。 全ポリマーに対するブロックポリマーの割合(質量%)に対して、べたつきの負荷の最大値(g)及び写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフである。 全ポリマーに対するブロックポリマーの割合(質量%)に対して、べたつきの負荷の最大値(g)及び20°光沢をプロットしたグラフである。
<インクジェット記録方法>
以下、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット記録方法は、インク吐出工程と、第1の液体組成物吐出工程と、第2の液体組成物吐出工程とをこの順に有する。インク吐出工程は、顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出する工程である。第1の液体組成物吐出工程は、第1の液体組成物をインクジェット方式で吐出する工程である。また、第2の液体組成物吐出工程は、第2の液体組成物をインクジェット方式で吐出する工程である。
本発明のインクジェット記録方法は、画像形成後の記録物上におけるクリアインク等の液体組成物の浸透速度を均一にした上で、液体組成物をさらに付与する点に特徴を有する。液体組成物の浸透速度を均一にするために、本発明においては画像形成の際に特定のランダムポリマーを含有する液体組成物を記録媒体に付与し、画像の表面をランダムポリマーからなる皮膜で覆う。これにより、記録物上における液体組成物の浸透速度は遅くなるとともに均一になる。液体組成物の浸透速度を均一にすることで、液体組成物に含有されるランダムポリマーが偏析しなくなるため、平滑な表面が形成される。
記録物の表面をポリマーの皮膜で覆う方法としては、例えば、ポリマーを含有する顔料インクを使用する方法や、顔料インクの付与後にクリアインク等の液体組成物を付与して皮膜を形成する方法等を挙げることができる。後者の方法で使用する液体組成物は、平滑な表面を形成するために用いられる前述の液体組成物とは異なり、水溶性有機溶剤等の液体成分の浸透速度を均一化するために付与する。すなわち、第1の液体組成物は、浸透速度の均一化のために付与される成分である。そして、第2の液体組成物は、平滑な表面を形成するために付与される成分である。
第1の液体組成物吐出工程は、画像表面における光沢を得たい領域における液体組成物の浸透ムラを生じさせなくする役割を果たす。以下、「第1の液体組成物吐出工程」のことを「プライマー付与工程」とも記す。第2の液体組成物吐出工程は、第1の液体組成物吐出工程で液体組成物を吐出して付与した領域に、液体組成物を再度付与する工程であり、記録物の表面を平滑化させる役割を果たす。以下、「第2の液体組成物吐出工程」のことを「クリアインク付与工程」とも記す。
プライマー付与工程では、画像表面における光沢を得たい領域にクリアインク等の第1の液体組成物を吐出し、隙間無く付与する。第1の液体組成物には特定のランダムポリマーが含有されているため、付与された第1の液体組成物が浸透乾燥して定着すると、画像表面における光沢を得たい領域には皮膜が形成される。ただし、第1の液体組成物の浸透ムラに従い、形成される皮膜の表面には凹凸が生ずる場合があるため、第1の液体組成物吐出工程のみでは画像領域の全体で光沢性が向上しにくい。クリアインク等に含有される溶解性樹脂等の樹脂は顔料のように大きな粒子を形成していないため、細孔がほとんどなく、溶液が浸透しにくい皮膜が形成される。形成された皮膜が画像表面における光沢を得たい領域を覆うことで、この領域における第1の液体組成物の浸透速度は一律遅くなり、浸透ムラはほとんど無くなる。
プライマー付与工程においては、第1の液体組成物を隙間なく付与することが好ましい。隙間が生じてしまうと、後に付与する第2の液体組成物の浸透速度にムラが生じやすくなるためである。ただし、微小な隙間であれば多少存在していてもよい。具体的には、画像表面における光沢を得たい領域の80%以上の面積を略均等に被覆するように第1の液体組成物を付与することが好ましい。略均等とは、隙間の分布に著しい偏りがない状態をいい、具体的には10箇所で計測した被覆率の標準偏差σが10%以下であることを意味する。被覆率(%)に対して写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフを図1に示す。なお、写像性の指標となるシャープネス値の計測方法や、画像の形成方法(記録物の作製方法)については「実施例」において詳述する。図1に示す例においては、顔料インクとして商品名「PFC−103BK」(キヤノン製)を使用し、75%デューティーで記録した記録物を使用している。図1に示すように、被覆率を80%以上とすることでシャープネス値が顕著に上昇し、写像性が向上する効果が得られることが明らかである。すなわち、20%未満程度の隙間に凹凸が生じていても、80%以上の領域が被覆できていれば光沢性を顕著に向上させることができる。
被覆率の計測には光学顕微鏡を用いることができる。まず、液体組成物付与後の記録物の表面を光学顕微鏡で観察して撮影する。具体的には、10倍の対物レンズを備えた光学顕微鏡で無限遠化した像を、120万画素のデジタルカメラを用いて撮影する。光学顕微鏡としては、例えば、オリンパス製の商品名「BX60M」を用いることができる。また、デジタルカメラとしては、オプトロニクス製の商品名「MAGNAFIRE」(MODEL 60800)を用いることができる。なお、同等の性能を有する装置であれば、他製品であっても問題はない。液体組成物が被覆している部分には皮膜が形成されているので、薄膜干渉により色味が変化して見える。次に、薄膜干渉により変化した色と変化していない色とを、画像処理ソフト等によって2つの領域に分けて各領域の面積を算出し、薄膜干渉により変化した色に対応する領域の面積率を液体組成物の被覆率とすることができる。
クリアインク付与工程では、プライマー付与工程によって第1の液体組成物が吐出及び付与され第2の液体組成物をさらに吐出して付与する。第2の液体組成物の表面(第2の液体組成物と空気との界面)は、第2の液体組成物の表面張力によって、より平滑な面になろうとする。第2の液体組成物の浸透ムラがないため、第2の液体組成物に含まれるブロックポリマー及びランダムポリマーも表面張力の影響を受け、第2の液体組成物の表面をより平滑にする方向へと移動する。その結果、記録媒体の表面に初めから存在していた凹凸、及びプライマー付与工程によって形成された凹凸のいずれも均される。これにより、記録領域と非記録領域を含む領域の全体で、平滑性が向上し、高い光沢性が得られる。
クリアインク付与工程を実施する際には、プライマー付与工程で吐出した第1の液体組成物が皮膜化されていることが好ましい。第1の液体組成物の皮膜化は、第1の液体組成物に含有される溶剤が記録媒体に浸透するか、又は乾燥することで進行する。このため、皮膜化の時間は第1の液体組成物に含有される材料、インク、及び記録媒体の種類によって変化する。さらに、装置構成や材料にもよるが、プライマー付与工程とクリアインク付与工程との間に適切な時間を設けることが好ましい。皮膜化に要する時間は、例えば、プライマー付与工程とクリアインク付与工程の時間差を調整して、写像性の変化を計測すれば把握することができる。図2は、第1の液体組成物吐出工程と第2の液体組成物吐出工程の時間差(sec)に対して写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフである。図2に示す例においては、顔料インクとして商品名「PFC−101C」(キヤノン製)を使用し、150%デューティーで記録した記録物を使用している。図2に示すように、第1の液体組成物吐出工程と第2の液体組成物吐出工程との間を約4秒以上あけると、写像性が顕著に向上することが分かる。
プライマー付与工程とクリアインク付与工程は、それぞれ複数回実施してもよい。例えば、第1の液体組成物に用いる材料によっては、第1の液体組成物を1回吐出しただけでは形成される皮膜が薄く、浸透ムラの低減効果が小さい場合も想定される。このような場合には、プライマー付与工程を複数回実施することが好ましい。同様に、第2の液体組成物を1回吐出しただけでは画像表面に若干の凹凸が残る場合も想定される。このような場合には、クリアインク付与工程を複数回実施することが好ましい。
なお、「デューティー」とは、下記式で算出される値をいう。下記式中、「実印字ドット数」は、単位領域あたりの実印字ドット数である。また、「縦画素数」及び「横画素数」は、それぞれ単位領域あたりの縦画素数及び横画素数である。
デューティー(%)={実印字ドット数/(縦画素数×横画素数)}×100
本発明のインクジェット記録方法で用いる第1の液体組成物には、第1のランダムポリマーが含有される。また、第2の液体組成物には、ブロックポリマーと、第1のランダムポリマーよりも酸価が高い第2のランダムポリマーとが含有される。第1のランダムポリマーの酸価A(mgKOH/g)と、第2のランダムポリマーの酸価B(mgKOH/g)は、以下の関係を満足することが好ましい。
10≦A≦120
110≦B≦250
A+30<B
第1の液体組成物が記録領域と非記録領域に付与されると、記録領域及び非記録領域への浸透過程において第1のランダムポリマーは凝集する。これにより、記録領域及び非記録領域上に凝集した第1のランダムポリマーが堆積して、画像領域の全体に皮膜が形成されると考えられる。第1のランダムポリマーの酸価Aが10mgKOH/g未満であると、水溶性が低すぎてしまい、インクジェット用インクとしての適性が失われる傾向にある。一方、第1のランダムポリマーの酸価Aが120mgKOH/gを超えると、第1のランダムポリマーは非記録領域で浸透しやすくなるため、画像領域の全体に皮膜を形成することが困難になる場合がある。なお、インクの吐出安定性及び記録媒体上への堆積機能の観点から、酸価Aは30mgKOH/g以上110mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
第1の液体組成物によって形成された皮膜の表面は微細に荒れているため、光沢改善の効果は薄いが、第2の液体組成物の浸透状態を均一にする効果を有する。このような皮膜の上に第2の液体組成物が付与されると、酸価Bが110mgKOH/g以上250mgKOH/g以下の第2のランダムポリマーは微細に荒れた皮膜の表面を補正する。これにより、画像領域の全体で均一かつ平滑な皮膜が形成されると推測される。第2のランダムポリマーの酸価Bが110mgKOH/g未満であると、第2のランダムポリマーは先に形成された皮膜のマクロな凹凸を補正するが、凝集してミクロな凹凸を形成するために光沢改善の効果が低下する場合がある。一方、第2のランダムポリマーの酸価Bが250mgKOH/gを超えると、画像領域の全体で均一かつ平滑な皮膜は形成されうるが、耐水性が低下する傾向にある。なお、画像の平滑性及び耐水性の観点から、酸価Bは130mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、150mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
<べたつきの解消>
第2の液体組成物にランダムポリマーを含有させる場合、第2の液体組成物中の有機溶剤は、インク又は第1の液体組成物によって形成された皮膜によって長時間にわたって浸透しにくくなる。このため、有機溶剤により可塑化したランダムポリマーがべたつきを生じてしまう。図3は、ランダムポリマーを含有する第2の液体組成物を用いた場合における、時間(min)に対してべたつきの負荷の最大値(kg)をプロットしたグラフである。図3に示すように、べたつきは第2の液体組成物の付与後、約60分で最大になった後、徐々に低下する。すなわち、第2の液体組成物中の有機溶剤がゆっくりと浸透及び乾燥することで徐々に粘度が増大した後、浸透及び乾燥がさらに進行することで、ランダムポリマーが固化してべたつきが低下する。以上より、ランダムポリマーと有機溶剤が第2の液体組成物中に共存することによって、べたつきが生じていると考えられる。
インクジェット用インクは、沸点が150℃以上の高沸点溶剤を有機溶剤として含有することが多い。高沸点溶剤は蒸発しにくいため、浸透が遅いと記録物上に長時間残ってしまい、べたつきの原因となりやすい。また、第2の液体組成物に高沸点溶剤を含有させないと、べたつきは改善されるがインクの吐出性が顕著に低下する傾向にある。
ランダムポリマーとブロックポリマーを任意の割合で含有する第2の液体組成物を用いた場合における、時間(min)に対して負荷(kg)をプロットしたグラフを図4に示す。図4に示すように、第2の液体組成物中の全ポリマーに対するブロックポリマーの割合が10質量%(実施例1)になると、ブロックポリマーを含有しない場合(比較例1)に比して、べたつきがほぼ半減する。さらに、第2の液体組成物中の全ポリマーに対するブロックポリマーの割合が20質量%(実施例2)になると、べたつきはほぼ感じられなくなる。このように、第2の液体組成物に適当量のブロックポリマーを含有させれば、ランダムポリマーと高沸点溶剤を含有していても、べたつきを解消可能であるとともに、光沢性に優れた画像を記録することができる。
但し、第2の液体組成物中の全ポリマーに対するブロックポリマーの割合が増加するに従い、写像性は低下する傾向にある。図5は、全ポリマーに対するブロックポリマーの割合(質量%)に対して、べたつきの負荷の最大値(g)及び写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフである。銀塩写真のシャープネス値は、通常「5」程度である。このため、銀塩写真と同等又はそれを上回る写像性を達成するには、第2の液体組成物中のブロックポリマーの含有量を、第2の液体組成物中の全てのポリマーの含有量に対して、10質量%以上40質量%以下とする必要がある。
第2の液体組成物にブロックポリマーを添加することによってべたつきが抑制されるメカニズムの詳細については不明であるが、以下のように推測される。第2の液体組成物が付与された後、ブロックポリマーは第2の液体組成物の気液界面に配向して皮膜化する。第2の液体組成物の最表層がブロックポリマーの皮膜で覆われるため、べたつきの要因となる高沸点溶剤とランダムポリマーは皮膜の内側に封じ込まれる。これにより、べたつきが抑制されると考えられる。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法では、例えば、顔料を含有するインク、第1の液体組成物、及び第2の液体組成物を含むインクセットを用いる。なお、インクには、顔料以外の成分として、通常、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、及び水等がさらに含有される。
(顔料)
顔料の種類は特に限定されない。本発明のインクジェット記録方法で使用するインクに用いることができる市販の黒、シアン、マゼンタ、及びイエローの顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、以下商品名で、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン製);Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、No.2600、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)等を挙げることができる。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等を挙げることができる。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等を挙げることができる。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等を挙げることができる。
(樹脂)
樹脂としては、アニオン性の樹脂とカチオン性の樹脂のいずれであっても用いることができる。特に、アニオン性の樹脂を用いることが好ましい。アニオン性の樹脂としては、疎水性モノマーに由来する構成単位及びアニオン性モノマーに由来する構成単位を含む樹脂、並びにその塩等を挙げることができる。疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、ビニルナフタレン、メチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、メタクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、p−トリルメタクリレート、ソルビルメタクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、アクリロニトリル、2−トリメチルシロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、p−トリルアクリレート、及びソルビルアクリレート等を挙げることができる。
アニオン性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等を挙げることができる。なお、樹脂の分散安定性等を考慮して、エチレンオキサイド等のノニオン成分を共重合させてもよい。
樹脂は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの塩のいずれであってもよい。なお、塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルカノールアミン塩等を挙げることができる。
(有機溶剤)
インクに含有される有機溶剤としては、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、エチレン尿素、ビスヒドロキシエチルスルフォン、ジグリセリン、トリグリセリン等を挙げることができる。なかでも、エチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、エチレン尿素、及びトリメチロールプロパンが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、3質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
(界面活性剤)
インクに含有される界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤を用いることで、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。界面活性剤の含有量は、インク全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等を挙げることができる。また、市販のアセチレングリコール系界面活性剤を使用することもできる。市販のアセチレングリコール系界面活性剤としては、以下商品名で、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学製);サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)等を挙げることができる。
<液体組成物>
本発明のインクジェット記録方法で使用する第1の液体組成物及び第2の液体組成物は、いずれも、実質的に色材を含有しないクリアインクであることが好ましい。具体的には、第1の液体組成物及び第2の液体組成物の400乃至780nmの波長域における最大吸光度Amaxと最小吸光度Aminの比Amax/Aminは、いずれも1.0以上2.0以下であることが好ましい。第1の液体組成物は第1のランダムポリマーを含有する。また、第2の液体組成物は、ブロックポリマーと、第1の液体組成物に含まれる第1のランダムポリマーよりも酸価が高い第2のランダムポリマーとを含有する。なお、第1の液体組成物及び第2の液体組成物には、いずれも、上記のポリマー以外の成分として、通常、有機溶剤、界面活性剤、及びイオン交換水等がさらに含有される。
(ランダムポリマー)
第1のランダムポリマー及び第2のランダムポリマーは、いずれも、疎水性モノマーに由来する構成単位と、親水性モノマーに由来する構成単位とを有することが好ましい。第1のランダムポリマーの酸価Aは、30mgKOH/g以上110mgKOH/g以下であることが好ましく、70mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。また、第2のランダムポリマーの酸価Bは、130mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。なお、酸価Bは、酸価A+30mgKOH/g超であることが好ましい。
本発明におけるランダムポリマーとは、2以上の異なるモノマーの共重合体であって、それぞれのモノマーに由来する構成単位(モノマーユニット)がポリマー主鎖中に均一に分布するポリマーを意味する。なお、本発明において「親水性」とは、水に対する親和性が大きく、水に単独で溶解しうる性質を意味する。また、「疎水性」とは、水に対する親和性が小さく、水に単独で溶解しない性質を意味する。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。また、親水性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
ランダムポリマー中のカルボキシ基等のカウンターイオンの具体例としては、水素カチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、アンモニウムカチオン等を挙げることができる。また、ランダムポリマーの具体例としては、スチレン−(メタ)アクリルエステル−(メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂等を挙げることができる。なお、本明細書中「(メタ)アクリル」と表記されているものは、「メタクリル」及び「アクリル」を意味する。
(ブロックポリマー)
第2の液体組成物に含有されるブロックポリマーは、疎水性モノマーに由来する構成単位と、親水性モノマーに由来する構成単位とを有することが好ましい。第2の液体組成物に含有されるブロックポリマーは、2以上のホモポリマー鎖が1分子内で結合したポリマーである。ブロックポリマーとしては、例えば、セグメントAとセグメントBを含む2成分系のAB型ジブロックコポリマー等を挙げることができる。また、3成分系のABC型、ABA型、及びBAB型トリブロックコポリマーや、4成分系以上のマルチブロックコポリマーであってもよい。
疎水性モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。また、親水性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
ブロックポリマー中のカルボキシ基等のカウンターイオンの具体例としては、水素カチオン、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、アンモニウムカチオン等を挙げることができる。また、ブロックポリマーの具体例としては、スチレン−(メタ)アクリルエステル−(メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂等を挙げることができる。
(有機溶剤)
第1の液体組成物及び第2の液体組成物に含有される有機溶剤としては、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、ブチル)エーテル等のグリコールの低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、エチレン尿素、ビスヒドロキシエチルスルフォン、ジグリセリン、トリグリセリン等を挙げることができる。なかでも、エチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、エチレン尿素、及びトリメチロールプロパンが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量は特に限定されないが、インク全量に対して、3質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、第2の液体組成物は、沸点が150℃以上である水溶性有機溶剤(高沸点溶剤)を含有することが好ましい。このような高沸点溶剤の具体例としては、グリセリン、ジエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
(界面活性剤)
第1の液体組成物及び第2の液体組成物は、アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤やポリシロキサン系界面活性剤を用いることで、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。界面活性剤の含有量は、液体組成物の全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール等を挙げることができる。また、市販のアセチレングリコール系界面活性剤を使用することもできる。市販のアセチレングリコール系界面活性剤としては、以下商品名で、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学製);サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)等を挙げることができる。
市販のポリシロキサン系界面活性剤としては、以下商品名で、BYK−333、BYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン製)等を挙げることができる。なお、BYK−333及びBYK−348は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを主成分として含有している。また、BYK−347は、ポリエーテル変性シロキサンを含有している。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載で「部」及び「%」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
<酸価測定法>
THF200mLとエタノール100mLの混合液にポリマー2gを溶解させて測定用試料液を調製した。調製した測定用試料液につき、規定度測定済みのKOH/エタノール溶液を使用し、JIS 0070に準拠して中和滴定を行い、ポリマーの酸価を測定した。
<液体組成物(クリアインク)の調製>
ポリマーV1〜V8、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及びイオン交換水を表1−1及び1−2に示す配合で混合して撹拌した。KOHを添加してpHを9.5に調製した後、ガラスフィルター(商品名「AP20」、ミリポア製)に通して、液体組成物C1〜C14を得た。ポリマーV1〜V5は、いずれもスチレン−アクリル酸ランダムコポリマーである。また、ポリマーV6〜V8は、いずれもスチレン−アクリル酸ブロックコポリマーである。用いたポリマーの重量平均分子量は、それぞれ、ポリマーV1:1.4×104、ポリマーV2:1.4×104、ポリマーV3:1.4×104、ポリマーV4:1.2×104、ポリマーV5:1.3×104、ポリマーV6:1.1×104、ポリマーV7:1.1×104、ポリマーV8:1.3×104であった。
Figure 2014213519
Figure 2014213519
<画像の形成>
(参考例1〜5、参考比較例1〜5)
インクジェットプリンター(商品名「iPF5100」、キヤノン製)のレッドインク室とグリーンインク室に、表2−1及び2−2に記載の組み合わせで液体組成物をそれぞれ充填した。また、上記以外のインク室には、以下に示すカラーインクをそれぞれ充填した。なお、記録時の解像度は、副走査方向を1200dpi(ドット/インチ)、及び主走査方向を2400dpiにそれぞれ設定した。
イエロー:商品名「PFI−101M」(キヤノン製)
マゼンタ:商品名「PFI−101Y」(キヤノン製)
シアン:商品名「PFI−101C」(キヤノン製)
上記のプリンタを使用し、イエローインク、マゼンタインク、又はシアンインクを、それぞれ、印字デューティーが5%(低duty部)及び75%(高duty部)となるように記録媒体(商品名「プレミアム光沢紙」、キヤノン製)に付与して印刷した。また、イエローインクとマゼンタインク(レッド)、イエローインクとシアンインク(グリーン)、及びマゼンタインクとシアンインク(ブルー)の組み合わせで、各インクを記録媒体に付与して二色混色印刷を行った。なお、印字デューティーは、8%(低duty部)及び120%(高duty部)となるように各インクを記録媒体に付与するとともに、各インクの吐出量を同量とした。具体的には、120%デューティーのレッド印刷では、イエローインク60%デューティー及びマゼンタインク60%デューティーとし、インク一滴の体積を4.8pLとした。
なお、50mm×50mmの領域に各パターンを印刷し、プリンタードライバーで“きれい”モードを選択して印刷した。着色層を形成した後に排紙し、次いで、再度給紙してから画像全体に1パスで50%デューティーとなるように第1の液体組成物を付与してオーバーコートした。オーバーコート後に排紙し、次いで、再度給紙してから画像全体に1パスで50%デューティーとなるように第2の液体組成物を付与してオーバーコートした。
<印字物の評価(1)>
(光沢性)
光沢計(商品名「GMX−203」、村上色彩技術研究所製)を使用し、各色の各デューティーの20°光沢を測定した。そして、測定した着色領域(高duty部)及び非着色領域(低duty部)の最低光沢度から、以下に示す評価基準に従って印字物の光沢性を評価した。結果を表2−1及び2−2に示す。
◎◎:最低光沢度が80以上
◎:最低光沢度が75以上80未満
○○:最低光沢度が70以上75未満
○:最低光沢度が60以上70未満
×:最低光沢度が60未満
(写像性)
DOI Image Analysis System(商品名「DIAS」、QEA製)を使用し、各色の各デューティーのシャープネス値を測定した。そして、測定した着色領域(高duty部)及び非着色領域(低duty部)の最低シャープネス値から、以下に示す評価基準に従って印字物の写像性を評価した。なお、シャープネス値は以下の様に定義される。上記のシステムは、白色LEDを光源とし、光源と計測サンプル間にナイフエッジを有する。そして、サンプルに映るナイフエッジの反射像をCCDカメラ(30万画素:1画素あたり5μm)で撮影する。ここで、画素視野は2.4mm角である。撮影された反射像のナイフエッジ部分の輝度分布を一次微分し、その半値幅の逆数を「シャープネス値」と定義する。すなわち、シャープネス値が大きい程、写像性が高いことを意味する。
◎◎:最低シャープネス値が5.0以上
◎:最低シャープネス値が4.5以上5.0未満
○○:最低シャープネス値が4.0以上4.5未満
○:最低シャープネス値が3.0以上4.0未満
×:最低シャープネス値が3.0未満
Figure 2014213519
Figure 2014213519
(実施例1〜3、比較例1〜4)
前述のインクジェットプリンターを使用し、印字デューティーが75%となるように記録媒体(商品名「プレミアム光沢紙」、キヤノン製)に顔料インク(商品名「PFI−105Bk」、キヤノン製)を吐出して画像を記録した。次いで、第1の液体組成物C1を印字デューティーが50%となるように付与した。その後、表3に示す種類の第2の液体組成物を印字デューティーが50%となるようにそれぞれ付与した。
第2の液体組成物の付与後、べたつきの負荷の最大値、シャープネス値、及び20°光沢を測定した。ランダムポリマーとブロックポリマーを任意の割合で含有する第2の液体組成物を用いた場合における、時間(min)に対して負荷(kg)をプロットしたグラフを図4に示す。また、全ポリマーに対するブロックポリマーの割合(質量%)に対して、べたつきの負荷の最大値(g)及び写像性(シャープネス値)をプロットしたグラフを図5に示す。さらに、全ポリマーに対するブロックポリマーの割合(質量%)に対して、べたつきの負荷の最大値(g)及び20°光沢をプロットしたグラフを図6に示す。
<印字物の評価(2)>
(べたつき)
テクスチャーアナライザーを使用し、べたつきを評価する記録物に対してルビセルの先端を3秒間、300gの負荷で押し付けた。なお、テクスチャーアナライザーとしては、商品名「TA−XT plus」(英弘精機製)を使用した。具体的には、テクスチャーアナライザーのロードセルに棒状のプローブを取り付け、プローブの先端にルビセル(直径8mm、高さ15mmの円柱状(リブドゥコーポレーション製))を両面テープ(商品名「Y−4930」、住友スリーエム製)で固定した。押し付けたルビセルの先端を毎秒1cmの速さで引き上げ、ルビセルの先端が記録物から引き離される瞬間の負荷(べたつきの負荷の最大値)を測定した。測定したべたつきの負荷の最大値から、以下に示す評価基準に従ってべたつきを評価した。結果を表3に示す。また、上記の操作を記録物作成後約5時間の間で複数回行い、負荷の時間変化を記録した。時間(min)に対して負荷(kg)をプロットしたグラフを図4に示す
○:べたつきの負荷の最大値が10g未満
触れてもべたつきを感じず、記録物同士も付着しない。
△:べたつきの負荷の最大値が10g以上50g以下
触れるとべたつきを感じるが、記録物同士は付着しない。
×:べたつきの負荷の最大値が50gを超える
触れるとべたつきを感じ、記録物同士が付着する。
Figure 2014213519
(ブロックポリマーの酸価とべたつきの評価)
ブロックポリマーの酸価とべたつきに関して調査した結果を表4に示す。全ポリマーに対するブロックポリマーの割合が20質量%である場合、第2の液体組成物に含有されるブロックポリマーの酸価が170〜305mgKOH/gの範囲であればべたつきが問題にならず、写像性と光沢性のいずれもが良好になることが確認できた。インクジェット用インクに用いられる一般的な樹脂の酸価は、通常、上記の範囲に含まれる。このため、インクジェット用インクに用いられるブロックポリマーであれば、酸価によらず、べたつきを解消しうることが分かる。
Figure 2014213519

Claims (3)

  1. 顔料を含有するインクをインクジェット方式で吐出するインク吐出工程と、第1の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第1の液体組成物吐出工程と、第2の液体組成物をインクジェット方式で吐出する第2の液体組成物吐出工程とをこの順で有するインクジェット記録方法であって、
    前記第1の液体組成物が、第1のランダムポリマーを含有し、
    前記第2の液体組成物が、ブロックポリマーと、前記第1のランダムポリマーよりも酸価が高い第2のランダムポリマーとを含有し、かつ、前記ブロックポリマーの含有量が、前記第2の液体組成物中の全てのポリマーの含有量に対して、10質量%以上40質量%以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記第1のランダムポリマーの酸価A(mgKOH/g)と、前記第2のランダムポリマーの酸価B(mgKOH/g)が、以下の関係を満足する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
    10≦A≦120
    110≦B≦250
    A+30<B
  3. 前記第2の液体組成物が、沸点が150℃以上である水溶性有機溶剤を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016221833A (ja) * 2015-05-29 2016-12-28 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法

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