JP2014212595A - スイッチング電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォトカプラを使用せず、主トランスの巻線数を増やすことなく出力電圧の制御が可能であり、小型で安全性の高いスイッチング電源装置を提供する。【解決手段】Vsライン28とGNDライン18との間に補助巻線26を備え、出力電圧Voに略比例した正電圧V(+)が発生する。正電圧V(+)を補助電圧Vo1に変換する補助整流平滑回路34を備える。主スイッチング素子32のゲートをVo1ライン28にプルアップする第一トランジスタ50と、ローレベルに落とす第二トランジスタ52を備える。Vsライン28と第二トランジスタ52のベースの間に帰還回路58を備える。ベース接地の第三トランジスタ60を有し、エミッタが第二トランジスタ52に接続され、コレクタ端子電圧により第一トランジスタ50を駆動する。第二トランジスタ52をオンさせる変調用コンデンサ62を有し、充放電回路66と出力電圧制御回路68によって充放電される。【選択図】図1

Description

この発明は、リンギングチョーク型のスイッチング電源装置に関する。
従来、特許文献1に開示されているように、主スイッチング素子としてMOS型FETが使用され、出力電圧制御用のフォトカプラが設けられたリンギングチョーク型のスイッチング電源があった。主トランスは、入力巻線、補助巻線、及び出力巻線を有し、入力巻線の第一の端子が入力電圧ラインに接続され、補助巻線の第一の端子であって入力巻線の第一の端子と同極性の端子が補助パルスラインに接続され、補助巻線の第二の端子が制御用グランドラインに接続されている。主スイッチング素子は、ドレイン端子が入力巻線の第二の端子に接続され、ソース端子が制御用グランドラインに接続されている。主トランスの出力巻線には、主スイッチング素子がオフのときに発生する電圧を整流し平滑する出力整流平滑回路が接続され、出力電圧Voを出力する。入力電圧ラインと主スイッチング素子のゲート端子との間には、ゲート端子に起動電圧を供給する起動抵抗が設けられている。補助パルスラインと主スイッチング素子のゲート端子との間には、補助パルスラインの電圧の変化をゲート端子に伝達する帰還用コンデンサを含む帰還回路が設けられている。制御用グランドラインに第二の端子が接続された変調用コンデンサが設けられ、反対側の第一の端子が主スイッチング素子のゲート端子に接続されている。変調用コンデンサの第一の端子と補助パルスラインとの間には、複数の抵抗、ツェナダイオード、及び過電流保護動作調整部を組み合わせた充放電回路が設けられ、補助パルスラインの電圧が正のときに、変調用コンデンサを充電する電流を流し、補助パルスラインの電圧が負のときに、変調用コンデンサを放電する電流を流す。主トランスの出力巻線側には、出力電圧Voを所定の基準電圧と比較し、その差電圧を増幅した信号を出力する誤差増幅回路が設けられている。誤差増幅回路の出力信号は、信号絶縁用のフォトカプラを通じて補助巻線側に伝達され、補助パルスラインが正電圧のときに変調用コンデンサを充電する電流に変換される。
また、特許文献2に開示されているように、主スイッチング素子としてNPN型のトランジスタが使用され、主トランスに出力電圧制御用のセンシングコイルが設けられたリンギングチョーク型のスイッチング電源回路があった。特許文献1のスイッチング電源の構成と比べると、主トランス、主スイッチング素子、整流平滑回路、起動抵抗、帰還回路、変調用コンデンサ、及び充放電回路の構成はほぼ同様であるが、出力電圧制御用の誤差増幅回路及びフォトカプラを備えていない点に特徴がある。このスイッチング電源回路の場合、新設されたセンシングコイルが、入力巻線の第一の端子と同極性の第一の端子が制御用グランドラインに接続され、センシングコイルの第二の端子に発生する電圧を整流し平滑する整流平滑回路が設けられ、出力電圧Voに略比例した正電圧である補助電圧Vo1を出力する。さらに、整流平滑回路の出力と変調用コンデンサとの間に出力電圧制御用のツェナダイオード及び抵抗の直列回路が接続されている。このツェナダイオードは、出力電圧Voに略比例する補助電圧Vsが所定の基準電圧を超えると導通し、補助電圧Vsと基準電圧との電圧差が直列の抵抗によって電流に変換され、変調用コンデンサの充電電流となる。この動作により、補助電圧Vsを所定の基準電圧に近づける制御が行われ、出力電圧Voが間接的に制御される。
また、特許文献3に開示されているように、主スイッチング素子としてNPN型のトランジスタが使用され、主トランスの補助巻線の電圧を出力電圧制御用に利用したリンギングチョークコンバータ回路があった。主トランスは、入力巻線及び補助巻線を有し、入力巻線の第一の端子が入力電圧ラインに接続され、補助巻線の第一の端子であって入力巻線の第一の端子と同極性の端子が制御用補助パルスラインに接続され、補助巻線の第二の端子が主スイッチング素子のエミッタ端子に接続されている。主スイッチング素子は、コレクタ端子が入力巻線の第二の端子に接続されている。入力電圧ラインと主スイッチング素子のベース端子との間には、ベース端子に起動電圧を供給する起動抵抗が設けられている。主トランスの補助巻線には、主スイッチング素子がオフのときに発生する電圧を整流し平滑するダイオードと電解コンデンサとで成る整流平滑回路が設けられている。電解コンデンサの第一の端子は補助巻線の第二の端子に接続され、ダイオードのカソードが補助巻線の第一の端子に接続され、電解コンデンサの第二の端子及びダイオードのアノードが制御用グランドラインに接続されている。したがって、電解コンデンサの第一の端子に、出力電圧Vo(=補助電圧Vo1)が発生する。さらに、主スイッチング素子のベース端子と制御用グランドラインとの間に、出力電圧制御用のツェナダイオードが接続されている。このツェナダイオードは、出力電圧Voが所定の基準電圧を超えると導通し、出力電圧Voが基準電圧に保持される。
特開2000−209850号公報 特開2008−263749号公報 特開平10−75573号公報
特許文献1のスイッチング電源は、出力制御における信号絶縁用に高価なフォトカプラを使用しているので、装置のコストが高くなる。特に、入出力間に高い絶縁性(例えば、安全規格上の強化絶縁など)が要求される場合、専用の大型フォトカプラを使用しなければならず、装置の外形が大きくなるという問題もある。
また、主スイッチング素子としてMOS型FETが使用されているので、バイポーラトランジスタを使用した場合と比較すると、通常状態の効率を高くしやすい半面、過電流時の出力電圧Voの垂下特性を適正化するのが難しいという問題があった。以下、このスイッチング電源の過電流状態の動作について、図12、図13に基づいて説明する。なお、図13は、過電流状態の動作に関連する部品を抜粋した回路図である。
図12(a)は、従来の過電流垂下特性を表わすグラフであり、横軸が出力電流Io、縦軸が出力電圧Voである。出力電流Ioが安全領域にある通常状態では出力電圧Voがほぼ一定に制御され、出力電圧Ioが増加して危険領域に入ると、出力電流Ioの増加が抑制され出力電圧Voが低下する。過電流垂下特性は、図12(a)の破線で示すように出力電流Ioを抑制しきれないいわゆる「すそ引き」の発生を防止し、かつ起動不良の原因となる、図12(a)の一点鎖線で示すようないわゆる「くい込み」の発生を防止する必要があり、通常は逆L字状に垂下する特性が好ましい。しかし、過電流垂下特性は、主スイッチング素子1であるMOS型FETのオン閾値電圧Vth(ゲート閾値電圧)の影響で大きく変化する。
一般に、MOS型FETは、オン閾値電圧Vthのばらつきが大きく、素子毎の個体差に温度による変動を加えると、中心値Vth(typ)に対して例えば±0.5〜1.5V程度の幅が生じる。したがって、図12(a)に示すように、中心値Vth(typ)のときに逆L字状になるように周辺回路の定数を設定したとしても、ばらつきの最大値Vth(max)で「すそ引き」が顕著になり、反対に最小値Vth(min)で「くい込み」が顕著になる可能性がある。この現象は、動作点P1,P2の動作波形から説明することができる。
動作点P1は、主スイッチング素子1のオン閾値電圧がVth(max)であり、例えば負荷が故障して低インピーダンスになり、出力電圧Voが略ゼロまで低下した点である。動作点P1における各部の動作波形は、図12(b)のように表わされる。I1は主スイッチング素子1に流れる電流、I2は出力整流平滑回路の整流ダイオード2に流れる電流、Vgsは主スイッチング素子1のゲートソース端子間の電圧である(図13)。主スイッチング素子1がオフして電流I2流れている期間、補助巻線3に発生する電圧は出力電圧Voと同様に略ゼロであり、図13に破線の矢印で示したように、起動抵抗4から帰還用コンデンサ5を充電する電流、及び主スイッチング素子1のゲートソース間にある図示しない寄生容量を充電する電流が流れ、電圧Vgsが一定の時定数カーブで上昇する。ここでは、オン閾値電圧がVth(max)なので、電圧VgsがVth(max)に到達するのに時間がかかり、主スイッチング素子1のオンが遅れる。その結果、次に電流I1が流れるタイミングが遅くなり、出力電流Ioが非常に小さくなって「くい込み」が発生する。
動作点P2は、主スイッチング素子1のオン閾値電圧がVth(min)であり、出力電圧Voが略ゼロに低下した点である。動作点P2における各部の動作波形は図12(c)のように表わされ、主スイッチング素子1がオフして電流I2流れている期間、破線の矢印で示す電流が流れ、電圧Vgsが同様の時定数カーブで上昇する。ここでは、オン閾値電圧がVth(min)なので、電圧Vgsが短時間でVth(min)に到達し、主スイッチング素子1のオンが早まる。その結果、次に電流I1が流れるタイミングが早くなり、出力電流Ioが非常に大きくなって「すそ引き」が発生する。
このように、特許文献1のスイッチング電源は、主スイッチング素子(MOS型FET)のオン閾値電圧Vthのばらつきが過電流垂下特性に大きく影響するので、「くい込み」と「すそ引き」の双方を防止するのが難しいという問題があった。
また、特許文献2のスイッチング電源回路は、フォトカプラを使用していない点で特許文献1のスイッチング電源よりも有利であるが、主トランスに出力制御用のセンシングコイルが新設されるので、主トランスの構造が複雑になる。特に、入出力間に高い絶縁性(例えば、安全規格上の強化絶縁など)が要求される場合、センシングコイルと他の巻線との間に所定の絶縁距離を確保しなければならないので、1つの巻線を追加するだけも、主トランスの外形が大きくなってしまう。また、センシングコイルと他の巻線との間の磁気結合が疎になりやすいので、センシングコイルに大きなサージ電圧が発生し、これがノイズとなって出力電圧制御に悪影響を及ぼすという問題があった。
さらに、特許文献3のリンギングチョークコンバータ回路は、フォトカプラやセンシングコイルを使用しない構成なので装置の小型化等の点で有利であるが、過電流保護機能を備えていないので、安全性を確保するためには、過電流保護回路を別に設ける等の対策が必要であった。
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、フォトカプラを使用せず、主トランスの巻線数を増やすことなく出力電圧の制御が可能であり、小型で安全性の高いスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
本発明は、プラス入力端子及びマイナス入力端子で構成され、前記プラス入力端子が入力電圧ラインに接続され、前記マイナス入力端子が制御用グランドラインに接続され、前記プラス入力端子と前記マイナス入力端子との間に入力電圧が印加される入力端子と、入力巻線及び補助巻線を有し、前記入力巻線の第一の端子が前記入力電圧ラインに接続され、前記補助巻線の第一の端子であって前記入力巻線の第一の端子と同極性の端子が制御用グランドラインに接続され、前記補助巻線の第二の端子が補助パルスラインに接続された主トランスと、トランジスタ素子であって、ドレイン端子が前記入力巻線の第二の端子に接続され、ソース端子が前記制御用グランドラインに接続された主スイッチング素子と、
アノード端子が前記補助巻線の第二の端子に接続された補助ダイオード、及び前記補助ダイオードのカソード端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された補助コンデンサを有し、前記補助ダイオードと前記補助コンデンサとの接続点が補助電圧ラインに接続されている補助整流平滑回路と、前記入力電圧ラインと前記補助電圧ラインとの間に設けられ、前記補助電圧ラインに前記主スイッチング素子を起動させるための電圧を供給する起動回路と、PNP型のトランジスタ素子であって、エミッタ端子が前記補助電圧ラインに接続され、コレクタ端子が抵抗を介して前記主スイッチング素子のゲート端子に接続された第一トランジスタと、前記第一トランジスタのベースエミッタ端子間に接続され、前記第一トランジスタをオフさせるための抵抗と、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記主スイッチング素子のゲート端子に接続され、エミッタ端子が前記制御用グランドラインに接続された第二トランジスタと、帰還用コンデンサを有し、前記補助パルスラインの電圧の変化を前記第二トランジスタのベース端子に伝達する帰還回路と、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第一トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第二トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第三トランジスタと、第一の端子が抵抗を介して前記第二トランジスタのベース端子に接続され、第二の端子が制御用グランドラインに接続された変調用コンデンサと、前記補助パルスラインの電圧を検出し、当該電圧が正のときに前記変調用コンデンサを放電する所定電流を流し、負のときに前記変調用コンデンサを充電する所定電流を流す充放電回路と、補助パルスラインの正の電圧、又は補助電圧ラインの電圧を検出し、当該検出電圧が第一基準値を超えると、補助パルスラインが負電圧のときに前記変調用コンデンサを充電する所定の電流を流すことによって、当該検出電圧を前記第一基準値に近づける出力電圧制御回路とを備えたスイッチング電源装置である。
前記第三トランジスタのベースエミッタ端子間に向けて順方向のバイアス電圧を出力可能なバイアス回路を備え、前記バイアス電圧は、前記第三トランジスタのベースエミッタ端子間のオン閾値電圧を超える電圧であり、前記バイアス回路は、前記補助パルスラインの正電圧を検出し、当該電圧が第二基準値を以下のとき、バイアス抵抗を通じて前記バイアス電圧を出力する構成が好ましい。前記バイアス回路は、例えば、前記制御用グランドラインと前記マイナス入力端子との間に挿入され、アノード端子が制御用グランドライン側に、カソード端子が前記マイナス入力端子側に接続されたダイオードの直列回路と、前記ダイオードの直列回路の両端を短絡開放可能に接続されたトランジスタ素子であるスイッチと、前記補助パルスラインの正電圧が前記第二基準値以下のとき、前記スイッチを継続してオンさせ、前記ダイオードの直列回路の両端を短絡状態に保持させるスイッチ駆動回路と、前記ダイオードの直列回路のカソード側の一端と前記第三トランジスタのベース端子との間に接続された前記バイアス抵抗とで構成されている。
また、前記起動回路は、前記入力電圧ラインの電圧を降圧し所定の起動電圧を出力するシリーズレギュレータであり、前記起動電圧は、前記第一基準値に基づいて定まる前記補助電圧ラインの電圧以下に設定され、前記補助電圧ラインの電圧が前記起動電圧を超えると、前記起動回路からの電流供給が停止する構成が好ましい。
また、前記充放電回路は、補助パルスラインの電圧が正の期間、その正電圧に対応する正電圧対応電流を発生させ、前記変調用コンデンサから流出させる第一の電圧電流変換回路と、補助パルスラインの電圧が負の期間、その負電圧に対応する負電圧対応電流を発生させ、前記変調用コンデンサに流し込む第二の電圧電流変換回路とで構成されていることが好ましい。例えば、前記充放電回路は、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第一抵抗を介して制御用グランドラインに接続された第四トランジスタと、前記第四トランジスタのベース端子と前記補助パルスラインとの間に接続された第二抵抗と、前記第四トランジスタのベース端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された第三抵抗と、PNP型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が順方向に配したダイオードを介して前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第四抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続され、ベース端子が第五抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続された第五トランジスタと、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第五トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第四トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第六トランジスタとで構成され、前記第四トランジスタが、前記正電圧対応電流に相当するコレクタ電流を流し、前記第五トランジスタが、前記負電圧対応電流に相当するコレクタ電流を流す。
また、前記出力電圧制御回路は、前記補助電圧ラインと前記制御用グランドラインとの間に接続された抵抗の直列回路である分圧回路と、前記分圧回路の中点の電圧が基準電圧を超えたときの差電圧を増幅する誤差増幅回路と、前記誤差増幅回路が出力する増幅電圧に対応する出力電圧対応電流を発生させ、補助パルスラインが負電圧のときに前記変調用コンデンサに流し込む第三の電圧電流変換回路とで構成されているのが好ましい。
あるいは、前記充放電回路及び出力電圧制御回路は、内部回路の一部を互いに兼用する複合回路として設けられ、前記複合回路は、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第一抵抗を介して制御用グランドラインに接続された第四トランジスタと、前記第四トランジスタのベース端子と前記補助パルスラインとの間に接続された第二抵抗と、前記第四トランジスタのベース端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された第三抵抗と、PNP型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が順方向に配したダイオードを介して前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第四抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続され、ベース端子が第五抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続された第五トランジスタと、NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第五トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第四トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第六トランジスタと、前記補助電圧ラインと前記制御用グランドラインとの間に接続された抵抗の直列回路である分圧回路と、前記分圧回路の中点の電圧が基準電圧を超えたとき、その差電圧を反転増幅する誤差増幅回路と、前記前記誤差増幅回路の前記第五トランジスタのベース端子との間に接続された第六抵抗と、前記第四トランジスタは、補助パルスラインの電圧が正のとき、その正電圧に対応する正電圧対応電流を前記前記変調用コンデンサから流出させ、前記第五トランジスタは、補助パルスラインの電圧が負のとき、その負電圧に対応する負電圧対応電流と前記誤差増幅回路が出力する増幅電圧に対応する出力電圧対応電流とを合成した電流を、前記変調用コンデンサに流し込む構成でもよい。
さらに、前記主スイッチング素子のソース端子及び前記変調用コンデンサの第二の端子が互いに接続され、この接続点が電流信号発生抵抗を介して前記制御用グランドラインに接続されている構成でもよい。
本発明のスイッチング電源装置は、既存の補助巻線に発生する電圧を利用して出力電圧に略比例した正電圧を生成する構成を備えているので、フォトカプラ等を使用しなくても、出力電圧制御をシンプルに行うことができる。また、主スイッチング素子の駆動用に第一トランジスタ及び第二トランジスタによるドライブ回路が設けられ、帰還回路がドライブ回路の入力に接続される構成なので、帰還回路を通じて伝達する帰還信号(電流信号)を小さくすることができ、帰還回路の損失を軽減することができる。また、主スイッチング素子にMOS型FETを使用した場合でも、オン閾値電圧のばらつきの影響がマスクされ、良好な過電流垂下特性を得ることができる。
本発明のスイッチング電源装置の第一実施形態を示す回路図である。 図1の起動回路の内部構成を示す回路図(a)、帰還回路の内部構成を示す回路図(b)である。 図1の充放電回路及び出力電圧制御回路の複合回路の内部構成を示す回路図である。 第一実施形態の通常状態の動作波形を示すタイムチャートである。 本発明のスイッチング電源装置の第二実施形態を示す回路図である。 図5のバイアス回路の内部構成を示す回路図である。 第二実施形態の過電流垂下特性を示すグラフ(a)、動作点P1,P2における動作波形を示すタイムチャート(b),(c)である。 図7の動作点P1,P2の動作を説明する回路図である。 起動回路の変形例を示す回路図(a)、帰還回路の変形例を示す回路図(b),(c)である。 充放電回路及び出力電圧制御回路の第一変形例を示す回路図(a)、充放電回路の第二変形例を示す回路図(b)である。 充放電回路の第三変形例を示す回路図である。 従来のスイッチング電源の過電流垂下特性を示すグラフ(a)、動作点P1,P2における動作波形を示すタイムチャート(b),(c)である。 図12の動作点P1,P2の動作を説明する回路図である。
以下、本発明のスイッチング電源装置の第一実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。この実施形態のスイッチング電源装置10は、図1に示すように、入出力が絶縁されたリンギングチョークコンバータであり、入力電源12が入力端子IN(+),IN(-)に接続され、出力端子OUT(+),OUT(-)に負荷14が接続され、入力電圧Viを出力電圧Voに変換し、負荷14に出力電圧Vo及び出力電流Ioを供給する。プラス入力端子であるIN(+)端子は、入力電圧ライン16(以下、Viライン16と称す。)に接続され、マイナス入力端子であるIN(-)端子は、制御用グランドライン18(以下、GNDライン18と称す。)に接続されている。
入出力絶縁用の主トランス20は、入力巻線22、出力巻線24、補助巻線26を有している。図1では、各巻線に極性を示すドットが付してあり、以下、ドットを付した端子を第一の端子、ドットを付していない端子を第二の端子と称する。入力巻線22の第一の端子はViライン16に接続され、補助巻線26の第一の端子はGNDライン18に接続され、補助巻線26の第二の端子は補助パルスライン28(以下、Vsライン28と称す。)に接続されている。出力巻線24には、整流ダイオード30aと平滑コンデンサ30bで構成された出力整流平滑回路30が接続されている。整流ダイオード30aは、第二の端子が高電位になるときに導通し、平滑コンデンサ30bの両端から直流の出力電圧Voを出力する。
主スイッチング素子32は、ここではNチャネルのMOS型FETであり、ドレイン端子が入力巻線22の第二の端子に接続され、ソース端子がGNDライン18に接続されている。
補助巻線26には、補助ダイオード34aと補助コンデンサ34bとで構成された補助整流平滑回路34が設けられている。補助ダイオード34aは、アノード端子が補助巻線26の第二の端子に接続され、補助コンデンサ34bは、補助ダイオード34のカソード端子とGNDライン18の間に接続されている。補助ダイオード34aと補助コンデンサとの接続点が補助整流平滑回路34の出力であり、補助電圧ライン36(以下、Vo1ライン36と称す。)に接続されている。詳しくは後述するが、通常状態において、Vo1ライン36に発生する補助電圧Vo1は、補助巻線34に発生する正電圧(第二の端子が高電位になる電圧)を平滑した電圧、すなわち出力電圧Voに略比例した直流電圧となる。
Viライン16とVo1ライン36の間には、Vo1ライン36に主スイッチング素子32を起動させるための電圧を供給する起動回路38が設けられている。起動回路38は、図2(a)に示すように、トランジスタ40とツェナダイオード42とを組み合わせたシリーズレギュレータである。トランジスタ40は、コレクタ端子が抵抗44を介してViライン16に接続され、エミッタ端子が逆流防止用のダイオード46を介してVo1ラインに接続されている。ダイオード46は、トランジスタ40のベースエミッタ端子間に逆電圧ストレスが加わるのを防止し、トランジスタ40を保護する働きを有している。Viライン16とトランジスタ40のベース端子との間には、バイアス用の抵抗48が接続されている。ツェナダイオード42は、カソード端子がトランジスタ40のベース端子に接続され、アノード端子がIN(-)端子に接続されている。起動回路38は、入力電圧Viが投入されると、ダイオード46を通じて補助コンデンサ34bを充電し、Vo1ライン28に起動電圧を供給する。起動回路38が出力できる起動電圧は、ほぼツェナダイオード42のツェナ電圧によって規定され、通常状態の補助電圧Vo1以下の値(後述する第一基準値Vr1以下の値)に設定されている。したがって、Vo1ライン36の電圧が通常状態の補助電圧Vo1になると、起動回路38がVo1ライン36への電流供給を停止するので、通常状態における起動回路38の損失が大幅に低減される。
主スイッチング素子32のゲート端子側には、第一及び第二トランジスタ50,52が設けられている。第一トランジスタ50は、主スイッチング素子32をオンさせるためのPNP型のトランジスタであり、エミッタ端子がVo1ライン36に接続され、コレクタ端子が抵抗52を介して主スイッチング素子32のゲート端子に接続されている。第二トランジスタ52は、主スイッチング素子32をオフさせるためNPN型のトランジスタであり、コレクタ端子が主スイッチング素子32のゲート端子に接続され、エミッタ端子がGNDライン18に接続されている。また、第一トランジスタ50のベースエミッタ端子間は、第一トランジスタ50をオフさせるための抵抗56が接続されている。抵抗54は、第一トランジスタ50と第二トランジスタ52を通じて貫通電流が流れるのを防止する働きをする。
Vsライン28と第二トランジスタ52のベース端子との間には、帰還回路58が接続されている。帰還回路58は、図2(b)に示すように、帰還用コンデンサ58aを有し、Vsラインの電圧の変化を第二トランジスタ52のベース端子に伝達する働きをする。この伝達量(帰還量)は、帰還用コンデンサ58aの容量や直列の抵抗58bの抵抗値を変更することで調節できる。
第一及び第二トランジスタ50,52のベース端子側には、第三トランジスタ60が設けられている。第三トランジスタ60は、NPN型のトランジスタであり、コレクタ端子が第一トランジスタ50のベース端子に接続され、エミッタ端子が第二トランジスタ52のベース端子に接続され、ベース端子がGNDライン18に接続されている。
パルス幅制御用の変調用コンデンサ62は、一端が抵抗64を介して第二トランジスタ52のベース端子に接続され、他端がGNDライン18に接続されている。以下、抵抗64側の一端を第一の端子、GNDライン18側の一端を第二の端子と称する。
Vsライン28と変調用コンデンサ62の第一の端子との間には、充放電回路66が設けられている。充放電回路66は、Vsライン28の補助パルス電圧Vsを検出し、電圧Vsが正のときに変調用コンデンサ62を放電する所定の電流Ichを流し、負のときに変調用コンデンサ62を充電する所定の電流Icjを流す動作を行う。
Vo1ライン36と変調用コンデンサ62の第一の端子との間には、出力電圧制御回路68が設けられている。出力電圧制御回路68は、Vo1ライン36の補助電圧Vo1を検出し、補助電圧Vo1が第一基準値Vr1を超えると、変調用コンデンサ62を充電する所定の電流Idを流し、補助電圧Vo1を第一基準値Vr1に近づける制御を行う。補助電圧Vo1は、通常状態で出力電圧Voに略比例した電圧になるので、補助電圧Vo1を第一基準値Vr1に近づける制御を行うことによって、出力電圧Voを一定に保持することができる。
充放電回路66と出力電圧制御回路68は、充放電回路66の外部に複数の回路素子を付加することによって、内部回路の一部を兼用する複合回路70として設けられている。
複合回路70の中の充放電回路66には、図3に示すように、変調用コンデンサ62から放電電流を流出させる第四トランジスタ72が設けられている。第四トランジスタ72は、NPN型のトランジスタであって、コレクタ端子が変調用コンデンサ62の第一の端子に接続され、エミッタ端子が第一抵抗74を介してGNDライン18に接続されている。第四トランジスタ72のベース端子は、Vsライン28との間に第二抵抗76が接続され、GNDライン18との間に、第三抵抗78が接続されている。第二抵抗76の抵抗値は、第三抵抗78よりも十分大きい値に設定されている。ここでは、第二抵抗76は、抵抗76a、抵抗76b及びツェナダイオード76cで構成されており、両端に印加される電圧の向きと大きさにより、第二抵抗76の抵抗値(3つの素子の合成抵抗値)が変化する。
また、変調用コンデンサ62に充電電流を流しこむ第五トランジスタ80が設けられている。第五トランジスタ80は、PNP型のトランジスタであって、コレクタ端子が順方向に配した逆流防止用のダイオード82を介して変調用コンデンサ62の第一の端子に接続され、エミッタ端子が第四抵抗84を介して第一トランジスタ50のコレクタ端子に接続され、ベース端子が第五抵抗86を介して第一トランジスタ50のコレクタ端子に接続されている。
第四及び第五トランジスタ72,80のベース側には、第六トランジスタ88が設けられている。第六トランジスタ88は、NPN型のトランジスタであって、コレクタ端子が第五トランジスタ80のベース端子に接続され、エミッタ端子が第四トランジスタ72のベース端子に接続され、ベース端子がGNDライン18に接続されている。
充放電回路66は、次のように動作する。まず、Vsライン28の補助パルスVsが正電圧V(+)のとき、第二抵抗76が第三抵抗78よりも十分大きいことから、正電圧V(+)に略比例した電流が第三抵抗78に流れ、さらに第一抵抗74にも第三抵抗78の電流に略比例した電流(正電圧対応電流Ich)が流れる。第一抵抗74の電流Ichは第四トランジスタ72のコレクタ電流であり、第四トランジスタ72は、変調用コンデンサ62を放電する電流として電流Ichを流出させる。したがって、第一抵抗74、第二抵抗76、第三抵抗78及び第四トランジスタ72等の部分で第一の電圧電流変換回路が構成され、Vsライン28の電圧が正の期間、補助パルスVsの正電圧V(+)を正電圧対応電流Ichに変換し、変調用コンデンサ62から流出させる動作を行う。
一方、Vsライン28の補助パルスVsが負電圧V(-)のとき、第四トランジスタ72は、ベース端子が負の電圧になるので非導通となる。第六トランジスタ88は、ベースエミッタ端子間が順バイアスされ、所定のベース電流が流れる。このベース電流は、第二抵抗76、Vsライン28を通じて補助巻線26に流れ、補助パルスVsの負電圧V(-)に略比例した電流となる。さらに、第六トランジスタ88は、自己のベース電流にほぼ等しいコレクタ電流を流し、このコレクタ電流に相当する電流が第五抵抗86に流れ、さらに第四抵抗86に第五抵抗86の電流に略比例した電流(負電圧対応電流Icj)が流れる。第四抵抗84の電流Icjは第五トランジスタ80のコレクタ電流であり、第五トランジスタ80は、変調用コンデンサ62に向けて充電電流である電流Icjを流し込む。詳しくは後で述べるが、補助パルスVsが負電圧V(-)のときは、第一トランジスタ50がオンしており、電流IcjはVo1ライン36から供給される。したがって、第二抵抗76、第四抵抗84、第五抵抗86、第五トランジスタ80及びダイオード82等の部分で第二の電圧電流変換回路が構成され、Vsライン28の電圧が負の期間、補助パルスVsの負電圧V(-)を負電圧対応電流Icjに変換し、変調用コンデンサ62に流し込む動作を行う。
複合回路70の中には、上記の充放電回路66の構成に、分圧回路90、誤差増幅回路92、第六抵抗94及びダイオード96を追加することによって、出力電圧制御回路68も構成されている。分圧回路90は、Vo1ライン36とGNDライン18との間に接続された抵抗90a,90bの直列回路である。抵抗90a,90bの分圧比は、Vo1ライン36の補助電圧Vo1が第一基準値Vr1を超えると、中点の電圧が基準電圧Vrefを超えるように設定されている。なお、図3では、Vo1ライン36側の抵抗90aに、抵抗とコンデンサの直列回路が接続されているが、これは出力電圧制御の位相補正用の素子であり、必要に応じて削除しても構わない。分圧回路90の中点から外部接続端子であるTRM端子に引き出されている抵抗90cについては、後で説明する。
誤差増幅回路92は、分圧回路90の中点の電圧が基準電圧Vrefを超えたとき、その差電圧を反転増幅して出力する回路である。第六抵抗94は、誤差増幅回路92と第五トランジスタのベース端子との間に直列に接続され、誤差増幅回路92が出力する増幅電圧に対応する電流を発生させる素子である。ダイオード96は、第六抵抗94と直列の位置に挿入され、第六抵抗94から第五抵抗86の向きに電流が流れるのを阻止するための素子であり、必要に応じて削除しても構わない。
出力電圧制御回路68に相当する部分は、追加した分圧回路90、誤差増幅回路92、第六抵抗94及び逆流阻止ダイオード96と、上述した充放電回路66の一部である第四抵抗84、第五抵抗86、第五トランジスタ80及びダイオード82等である。出力電圧制御回路68は、次のように動作する。
まず、Vo1ライン36の補助電圧Vo1が第一基準値Vr1を超えると、分圧回路90の中点の電圧が基準電圧Vrefを超える。誤差増幅回路92は、差電圧(超えた分)を反転増幅し、出力端の電圧が増幅電圧だけ低下する。その結果、第六抵抗94には、ほぼ増幅電圧に相当する電圧降下が発生し、増幅電圧に対応する電流が誤差増幅回路92の方向に流れる。第六抵抗94の電流は第五抵抗86にも流れ、さらに第四抵抗84に第五抵抗86の電流に略比例した電流(出力電圧対応電流Id)が流れる。第四抵抗84の電流Idは第五トランジスタ80のコレクタ電流であり、第五トランジスタ80は、変調用コンデンサ62に向けて充電電流である電流Idを流し込む。上記のように、補助パルスVsが負電圧V(-)の期間は、第一トランジスタ50がオンしており、Vo1ライン36から電流Idが供給される。一方、補助パルスVsが正電圧V(+)の期間は、第一トランジスタ50がオフしており、誤差増幅回路92が増幅電圧を出力していたとしても、電流Idは流れない。したがって、第六抵抗94、ダイオード96、第四抵抗84、第五抵抗86、第五トランジスタ80及びダイオード82等の部分で第三の電圧電流変換回路が構成され、Vsライン28が負電圧V(-)のとき、誤差増幅回路92が出力する増幅電圧(補助電圧Vo1及び出力電圧Voに対応する電圧)を出力電圧対応電流Idに変換し、変調用コンデンサ62に流し込む動作を行う。
次に、スイッチング電源装置10の通常状態の動作について説明する。図4の動作波形は、Vpが主トランス20の入力巻線22に発生する電圧、I1が主スイッチング素子32に流れる電流、I2が出力整流平滑回路30の整流ダイオード30aに流れる電流、Vsが、補助巻線26に発生する補助パルス、Vo1がVo1ライン36の補助電圧である。スイッチング周波数はFswであり、1周期が1/Fswの期間である。以下、1周期の動作を期間T1,T2に分けて説明する。
期間T1は主スイッチング素子32がオンしている期間である。主スイッチング素子32がオンすると、入力巻線22に入力電圧Viが印加され、主スイッチング素子32にノコギリ波状(右肩上がり)の電流が流れ、この電流によって主トランス20に励磁エネルギーが蓄積される。入力巻線22に入力電圧Viが印加されているので、出力巻線24に第一の端子の側が高電位の電圧が発生し、整流ダイオード30aがオフする。したがって、出力電圧Voに充電されている平滑コンデンサ30bが出力巻線24から切り離されている。また、補助巻線26の補助パルスVsは、入力電圧Viに略比例した負電圧V(-)となるので、補助整流平滑回路32の補助ダイオード34aがオフしている。したがって、正の補助電圧Vo1に充電されている補助コンデンサ34bが補助巻線26から切り離されている。補助電圧Vo1は、後述する期間T2における補助パルスVsの正電圧V(+)とほぼ等しい電圧であり、出力電圧Voに略比例した電圧である。
Vsライン28が負電圧V(-)なので、第二トランジスタ52は、ベース端子電圧が帰還回路58を通じて負方向に引かれ、オフしている。第三トランジスタ60は、エミッタ端子電圧が帰還回路58を通じて負方向に引かれて導通し、これによって、第一トランジスタ50は、ベース端子電圧が引き下げられてオンしている。変調用コンデンサ62は、複合回路70(充放電回路66及び出力電圧制御回路68)が発生させた負電圧対応電流Icjと出力電圧対応電流Idで充電され、両端電圧V62が、第二トランジスタ52のベースエミッタ端子間のオン閾値電圧Vthに向かって右肩上がりに上昇している。
期間T2は主スイッチング素子32がオフしている期間である。主スイッチング素子32がオフすると、入力巻線22への入力電圧Viの印加がなくなり、主トランス20の逆起電力によって期間T1と逆向きの電圧が発生する。したがって、出力巻線24に第二の端子の側が高電位の電圧が発生して整流ダイオード30aがオンし、整流ダイオード30aにノコギリ波状(右肩下がり)の電流が流れ、主トランス20に蓄積された励磁エネルギーが放出される。整流ダイオード30aがオンしているので、出力巻線24には、平滑コンデンサ30bの出力電圧Voが印加されており、補助巻線26の補助パルスVsは、出力電圧Voに略比例した正電圧V(+)となり、補助整流平滑回路32の補助ダイオード34aがオンし、補助コンデンサ34bが正電圧V(+)に充電され、Vo1ライン36の補助電圧Vo1が、補助パルスVsの正電圧V(+)とほぼ等しい電圧になっている。
Vsライン28が正電圧V(+)なので、第二トランジスタ52は、ベース端子電圧が帰還回路58を通じて正方向に引かれ、オンしている。第三トランジスタ60は、エミッタ端子電圧が帰還回路58を通じて正方向に引かれるので非導通であり、その結果、第一トランジスタ50は、ベースエミッタ間がバイアスされずオフしている。変調用コンデンサ62は、複合回路70(充放電回路66)が発生させた正電圧対応電流Ichによって放電され、両端の電圧V6が、第二トランジスタ52のベースエミッタ端子間のオン閾値電圧Vthから右肩下がりに低下している。
リンギングチョーク型の電源回路は、主スイッチング素子32が自励発振する回路なので、期間T2の所定のタイミングで、オン状態の主スイッチング素子32に対してオフさせる方向の正帰還がかかり、瞬時に期間T1に移行する動作が行われる。同様に、期間T1の所定のタイミングで、オフ状態の主スイッチング素子32に対してオフさせる方向の正帰還がかかり、瞬時に期間T2に移行する動作が行われる。
まず、期間T2から期間1に移行する際、オフ状態の主スイッチング素子32がオンに転じる動作について説明する。期間T2において、主トランス20の励磁エネルギーが全て放出されると、整流ダイオード30aの電流I2がゼロアンペアになり、整流ダイオード30aがオフする。すると、平滑コンデンサ30bが出力巻線24から切り離され、図4に示すように、補助巻線26の電圧Vsが正電圧V(+)から徐々に低下し始める。
Vsライン28の電圧Vsが低下し始めると、帰還回路58を通じて第二トランジスタ52のベース端子電圧が引き下げられてベース電流が減少し、第二トランジスタ52が徐々にオフする。第三トランジスタ60は、エミッタ端子電圧が帰還回路58を通じて徐々に引き下げられて導通し始め、その結果、第一トランジスタ50は、ベースエミッタ端子間がバイアスされて徐々にオンする。すると、主スイッチング素子32は、ゲートソース端子間の電圧が上昇し始め、主スイッチング素子32(ドレインソース端子間)が徐々に導通し始める。主スイッチング素子32が導通し始めると、入力巻線22の電圧Vpが徐々に入力電圧Viに近づくので、補助巻線26の電圧Vsの低下が加速される。
Vsライン28の電圧Vsの低下が加速されると、さらに上記の動作が加速され(正帰還)、その結果、主スイッチング素子32のゲートソース端子間の電圧が短時間のうちにオン閾値電圧Vthを超え、主スイッチング素子32が完全にオンする。
次に、期間T1から期間2に移行する際、オン状態の主スイッチング素子32がオフに転じる動作について説明する。期間T1において、変調用コンデンサ62の電圧が右肩上がりに上昇し、抵抗64を通じて第二トランジスタ52のベースエミッタ端子間の電圧が上昇する。
第二トランジスタ52は、ベースエミッタ端子間の電圧が上昇してオン閾値電圧Vth(ベースエミッタ間飽和電圧)に達すると、徐々にオンし始める。また、第三トランジスタ60は、エミッタ端子の電位が上昇するので徐々に非導通となり、これによって、第一トランジスタ50も徐々にオフする。第二トランジスタ52が徐々にオンし始めると、主スイッチング素子32のドレインソース端子間の導通抵抗が増加し始め、入力巻線22の電圧Vpが入力電圧Viから低下し始め、補助巻線26の電圧Vsが負電圧V(-)から上昇し始める。Vsライン28の負電圧V(-)が上昇し始めると、帰還回路58を通じて、第二トランジスタ52のベースエミッタ端子間の電圧の上昇が加速される。
第二トランジスタ52のベースエミッタ端子間の電圧の上昇が加速されると、さらに上記の動作が加速され(正帰還)、その結果、主スイッチング素子32のゲートソース端子間の電圧が短時間のうちにオン閾値電圧Vth以下に低下し、主スイッチング素子32が完全にオフする。
このように、通常状態において、出力電圧Voの制御は、出力電圧制御回路68が発生させる出力電圧対応電流Idによって行われる。出力電圧制御回路68は、出力電圧Voに対応する補助電圧Vo1が第一基準値Vr1を超えると、その差電圧に相当する出力電圧対応電流Idを発生させ変調用コンデンサ62の充電を促進し、電圧V62の上昇速度を速くすることによって、主スイッチング素子32がオフに転じるタイミングを早める。その結果、主スイッチング素子32のオン時間(期間T1)が短くなり、出力電圧Voを低下させることができる。
スイッチング電源装置10の過電流状態になったときの保護動作は、充放電回路66が発生させる正電圧対応電流Ich及び負電圧対応電流Icjによって行われる。負荷14の抵抗値が小さくなると、出力電流Ioが大きくなり、やがて危険領域に達する。危険領域に達すると、出力電圧制御回路68が動作しない状態(出力電圧Voに対応する補助電圧Vo1が第一基準値Vr1以下になって、出力電圧対応電流Idが流れない状態)になる。すると、変調用コンデンサ62は、入力電圧Viに対応する負電圧対応電流Icjで充電され、出力電圧Voに対応する正電圧対応電流Ichで放電され、両端電圧V62が一定の三角波状の波形になり、主スイッチング素子32のオン時間(期間T1)が制限されることによって出力電流Ioが制限される。さらに負荷14の抵抗値が小さくなると、出力電流Ioが制限されている関係で、出力電圧Voが低下し始める。そして、出力電圧Voが低下すると正電圧対応電流Ichが小さくなるので、1周期に占めるオン時間の割合が小さくなり、さらに出力電圧Voが低下する。
以上説明したように、スイッチング電源装置10は、既存の補助巻線26に発生する補助パルスVsの正電圧V(+)を利用して、出力電圧Voに略比例した補助電圧Vo1を生成する構成を備えているので、フォトカプラ等を使用しなくても、出力電圧制御をシンプルに行うことができる。また、良好な過電流保護動作を行うことができる。
また、主スイッチング素子32の駆動用に第一トランジスタ50及び第二トランジスタ52によるドライブ回路が設けられ、帰還回路58がドライブ回路の入力側に接続される構成なので、図13に示す従来のスイッチング電源装置と比較して、帰還回路58を通じて伝達する帰還信号(電流信号)を小さくすることができ、帰還回路58の損失を低減することができる。この点は、特に入力電圧範囲の広いスイッチング電源装置を構成する場合に有利である。補助巻線58に発生する負電圧V(-)は入力電圧Viに略比例するので、高入力時の正帰還の電流信号が低入力時に比べて大きくなり、帰還用コンデンサ58aの直列抵抗58bの損失がほぼ電流信号の2乗に比例して大きくなる。しかし、ドライブ回路が設けられているので、直流抵抗58bの損失は大きな問題にならない。
また、起動回路38は、シリーズレギュレータの構成を有し、その出力可能な起動電圧が、通常状態の補助電圧Vo1(第一基準値Vr1に基づいて定まる補助電圧Vo1)よりも低い値に設定されているので、スイッチング電源装置10が起動した後の通常状態において、起動回路38電流を出力しなくなり、起動回路38の損失の発生が最小限に抑えられる。また、負荷の急変や過電流保護動作によって出力電圧Voが低下し、補助パルスVsの正電圧V(+)が低下したときでも、Vo1ライン36の電圧が起動電圧以下になったときでも、起動回路38が出力する起動電圧によってVo1ライン36の電圧が確保され、主スイッチング素子32のスイッチング動作を継続することができる。
また、補助整流平滑回路34は、補助巻線26の補助パルスVsに重畳するサージ電圧を吸収するDCRスナバとしても働くので、Vsライン28及びVo1ライン36に接続された各回路が誤動作しにくくなるという効果が得られる。ここで、DCRスナバの「D」に相当するのが補助ダイオード34aであり、「C」に相当するのが補助コンデンサ34bであり、「R」に相当するのがVo1ライン36に接続された各回路素子及び各回路ブロックである。
さらに、出力電圧制御回路68は、図3に示すように、分圧回路90の中点に抵抗90cの一端が接続され、他端がTRM端子に引き出されており、例えば、TRM端子とIN(-)端子との間に抵抗を外部接続する等すれば、分圧回路90の分圧比が変化し、補助電圧Vo1の目標値である第一基準値Vr1の設定を変更することができる。したがって、スイッチング電源装置10のユーザが、出力電圧Voの設定を自由に変更することが可能になる。TRM端子とIN(-)端子の間に直流電圧を外部印加した場合も、同様の作用効果が得られる。
次に、本発明のスイッチング電源装置の第二実施形態について、図5〜図8に基づいて説明する。ここで、第一実施形態のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。第二実施形態のスイッチング電源装置98は、図5に示すように、スイッチング電源装置10の構成に、電流信号発生抵抗99とバイアス回路100とが追加されており、その他の構成は同様である。電流信号発生抵抗99とバイアス回路100を追加すると、過電流保護動作の確実性をさらに向上させることができるという効果が得られる。以下、電流信号発生抵抗99とバイアス回路100について詳しく説明する。
電流信号発生抵抗99は、主スイッチング素子32に流れる電流Idを電圧に変換し、両端に電流信号を発生させる素子である。電流信号発生抵抗99は、主スイッチング素子32のソース端子と変調用コンデンサ62の第二の端子をGNDライン18から切り離し、互いに接続した接続点とGNDライン18との間に設けられている。
バイアス回路100は、所定の条件を満たしたとき、第三トランジスタ60のベースエミッタ端子間に向けて、バイアス抵抗102を介して順方向のバイアス電圧Veを出力する回路である。所定の条件とは、Vsラインの正電圧V(+)が第二基準値Vr2以下になることである。バイアス電圧Veは、第三トランジスタ60のベースエミッタ端子間のオン閾値電圧Vthを超える電圧であり、第二基準値Vr2は、通常状態の補助電圧Vo1を規定する第一基準値Vr1よりも低い。
バイアス回路100内部の回路構成は特に限定されないが、例えば図6に示すように、バイアス抵抗102、2つのダイオードの直列回路104、スイッチ106、及びスイッチ駆動回路108で構成することができる。ダイオードの直列回路104は、GNDライン18とIN(-)端子との間に挿入され、アノード端子がGNDライン18側に接続され、カソード端子がIN(-)端子側に接続されている。したがって、主スイッチング素子32のスイッチング動作を行うと、直列回路104に電流が流れ、両端にバイアス電圧Ve(>第三トランジスタ60のオン閾値電圧Vth)が発生する。スイッチ106は、直列回路104の両端を短絡開放可能に接続されたNチャネルのMOS型FETであり、ドレイン端子がGNDライン18側の一端に、ソース端子がIN(-)端子側の一端に接続されている。スイッチ駆動回路108は、Vsライン28とIN(-)端子との間に接続された分圧抵抗108a,108bと、IN(-)端子側の抵抗108bに並列接続されたコンデンサ108cと、分圧抵抗108aからVsライン28の向きに電流が流れるのを阻止するダイオード108dとで構成され、スイッチ駆動回路108の出力端である分圧抵抗108a,108bの中点が、スイッチ106のゲート端子に接続されている。分圧抵抗106a,106bの中点には、Vsライン28に発生する補助パルスVsの正電圧V(+)を分圧し平滑した直流電圧が発生する。平滑用のコンデンサであるコンデンサ108dは、スイッチ106内部のゲートソース間寄生容量を利用しても構わない。そして、バイアス抵抗102は、直列回路104のIN(-)端子側の一端と第三トランジスタ60のエミッタ端子との間に接続されている。
スイッチ駆動回路108は、Vsライン28に発生する補助パルスVsの正電圧V(+)を検出し、第二基準値Vr2以下のとき(出力電圧Voが通常状態よりも低いとき)、スイッチ106をオフさせる。すると、直列回路104の両端にバイアス電圧Veが発生し、バイアス抵抗102を通じて第三トランジスタ60に出力される。一方、第二基準値Vr2以上のときは、スイッチ106がオンして直列回路104の両端が短絡されるので、バイアス電圧Veが出力されない。
スイッチング電源装置98の通常状態の動作は、上記のスイッチング電源装置10と同様である。バイアス回路100が追加されているが、スイッチ106がオンしているので、実質的に機能しない。また、電流信号発生抵抗99が追加され、変調用コンデンサ62の第一の端子の電位の上昇速度が多少変化するが、通常状態の動作に与える影響は小さい。
次に、スイッチング電源装置98の過電流保護動作について説明する。上記スイッチング電源装置10の過電流動作については既に説明したが、スイッチング電源装置10の場合、過電流保護動作によって出力電圧Voがほぼゼロまで低下すると、上記の理想的な過電流保護動作が不完全になる可能性がある。過電流状態は、主に、電子機器等の負荷14が故障して低インピーダンスになったときに発生するが、通常、負荷14のインピーダンスがゼロになることはないので、出力電圧Voがゼロまで低下することは稀である。したがって、上記のスイッチング電源装置10の構成であっても、一定の安全性が確保されていると言える。しかし、スイッチング電源装置98の場合、出力電圧Voがゼロまで低下しても、上記の理想的な過電流保護動作を確実に行なうことができる。以下、スイッチング電源装置98の過電流保護動作について、図7、図8に基づいて説明する。
図7(a)は、スイッチング電源装置98の過電流垂下特性を示したグラフであり、横軸が出力電流Io、縦軸が出力電圧Voである。出力電流Ioが安全領域にある通常状態では出力電圧Voがほぼ一定に制御され、出力電圧Ioが増加して危険領域に入ると、出力電流Ioの増加が抑制され出力電圧Voが低下する。従来の過電流垂下特性を示す図12(a)の場合、3つのカーブに付した最大値Vth(max),中心値Vth(typ),最小値Vth(min)は、主スイッチング素子1であるMOS型FETのオン閾値電圧である。これに対して、図7(a)の場合は、第三トランジスタ60のオン閾値電圧Vth(ベースエミッタ間飽和電圧)である。第三トランジスタ60はバイポーラトランジスタなので、オン閾値電圧Vthのばらつきが小さく、最大値Vth(max)と最小値Vth(min)の差が非常に小さい
動作点P1は、第三トランジスタ60のオン閾値電圧がVth(max)であり、負荷が故障等して低インピーダンスになり、出力電圧Voが略ゼロまで低下した点である。このとき、補助パルスVsの正電圧V(+)は出力電圧Voと同様に略ゼロ(<第二基準値Vr2)なので、バイアス回路100がバイアス電圧Veを出力している。動作点P1における各部の動作波形は、図7(b)のように表わされる。I1は主スイッチング素子32に流れる電流、I2は出力整流平滑回路30の整流ダイオード30aに流れる電流、Vbeは第三トランジスタ60のベースエミッタ端子間の電圧である(図8)。
主スイッチング素子32がオフして電流I2流れている期間、補助パルスVsの正電圧V(+)が略ゼロなので補助ダイオード34aがオフしており、図8に破線の矢印で示したように、起動回路38から補助コンデンサ34bを充電する電流が流れ、Vo1ライン36が所定の電圧(起動電圧)になっている。第三トランジスタ60の電圧Vbeは、電流I2が流れ始める時点で負の電圧になっている。バイアス回路100が第三トランジスタ60に向けてバイアス電圧Veを出力しているので、バイアス電圧Ve、補助巻線26、帰還回路58、バイアス抵抗102の経路に電流が流れ、帰還用コンデンサ58aの電圧が徐々に変化し、第三トランジスタ60の電圧Vbeがバイアス電圧Veを目指して右肩上がりに上昇する。そして、第三トランジスタ60の電圧Vbeがオン閾値電圧Vth(max)に到達すると、第三トランジスタ60が導通し、第一トランジスタ50がオンし、主スイッチング素子32がオンして電流I1が流れる。
動作点P2は、第三トランジスタ60のオン閾値電圧がVth(min)であり、出力電圧Voが略ゼロまで低下した点であるが、動作は動作点P1の場合と同様である。しかも、最低値Vth(min)と最大値Vth(max)の差が小さいので、図7(c)に示す動作波形も大きく違わない。
以上説明したように、スイッチング電源装置98によれば、主スイッチング素子32であるMOS型FETのオン閾値電圧Vthが大きくばらついても、過電流垂下特性がさほど変化ないので、上述の「くい込み」及び「すそ引き」のない理想的な過電流保護動作を実現することができる。この点については、上記のスイッチング電源装置10においても同様であるが、スイッチング電源装置98の場合、バイアス回路100を設けることによって、出力電圧Voがゼロまで低下した場合でも、確実に過電流保護動作を実現できるという効果が得られる。
バイアス回路100が出力するバイアス電圧Veは、図7(b),(c)に示すように、第三トランジスタ60の電圧Vbeを右肩上がりに上昇させる電圧源の働きをする。仮に、出力電圧Voがゼロまで低下していなければ(少しでも電圧が残っていれば)、補助巻線26に正電圧V(+)が発生するので、バイアス電圧Veがなくても、正電圧V(+)が電圧源として働いて、第三トランジスタ60の電圧Vbeがオン閾値電圧Vthに到達することができる。しかし、出力電圧Voがゼロまで低下すると補助巻線26の正電圧V(+)がほぼゼロになるので、バイアス回路100のバイアス電圧Veによる効果が現れる。また、過電流保護動作とは異なるが、バイアス回路100を設けない場合、入力電源12を投入したとき、出力電圧Voが少し上昇するまでの短い期間、第三トランジスタ60が動作しにくくなる可能性があるが、バイアス回路100が設けられているので問題は生じない。
また、スイッチング電源装置98は、電流信号発生抵抗99が設けられているので、主トランス20が磁気飽和したときでも安全である。例えば、過電流状態が長時間継続して主トランス20の発熱が大きくなると、コアの飽和磁束密度が低下することによってインダクタンスが低下し、適正な補助パルスVsが出力されなくなる可能性がある。すると、充放電回路66が必要な電流Icj,Ichを発生させることができなくなり、上記の過電流保護動作が困難になる可能性がある。しかし、主トランス20のインダクタンスが低下すると、主スイッチング素子32の電流I1のピーク値が大きくなるので、電流信号発生抵抗99の発生電圧が大きくなり、変調用コンデンサ62を介して第二トランジスタ52を強制的にオンさせ、主スイッチング素子32をオフさせることができる。この動作により、出力電流Ioの増加が抑えられ、出力電圧Voが低下するので、さらに安全性を高めることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、起動回路は、図9(a)に示す起動回路110のように、Viライン16とVo1ライン36の間に抵抗110aを接続したシンプルな構成にしてもよい。図2の起動回路38はシリーズレギュレータの構成なので、特に入力電圧範囲が広い場合に損失を低減できるという利点があるが、入力電圧範囲が狭い場合は、起動回路110の構成であっても損失を一定以下に抑えることができる。また、帰還回路は、第二トランジスタ52に対してVsラインの電圧の変化を伝達する帰還用コンデンサを備えたものであればよく、例えば、図9(b)の帰還回路112のように、伝達量(帰還量)を最適化するため、帰還用コンデンサ58aの両端にダイオード112aを接続してもよいし、図9(c)の帰還回路114のように、抵抗58bを省略して帰還用コンデンサ58aだけのシンプルな構成にしてもよい。
図3の出力電圧制御回路68は、充放電回路66の内部回路の一部を兼用する構成であるが、図10(a)の出力電圧制御回路116のように、充放電回路66と別に設けてもよい。出力電圧制御回路116は、Vsライン28と変調用コンデンサ62の第一の端子との間に接続された、ダイオード116a、第六抵抗96、及びツェナダイオード116bとの直列回路である。ダイオード116aは、アノード端子がVsライン28側に配され、補助パルスVsの正電圧V(+)が発生した時に導通可能である。ツェナダイオード116bは、アノード端子が変調用コンデンサ62側に配され、補助パルスVsの正電圧V(+)が第一基準値Vr1を超えたときに導通し、両端にツェナ電圧が発生する。第六抵抗94は、補助パルスVsの正電圧V(+)が第一基準値Vr1を超えたとき、その差電圧に対応した電流を発生させる働きをする。補助パルスVsの正電圧V(+)は、出力電圧Voに略比例した電圧なので、第六抵抗94が発生させる電流は、変調用コンデンサ62を充電する出力電圧対応電流Idとなる。充放電回路66の構成は、図3の充放電回路66と同じであるが、第五トランジスタ80はが出力するのは負電圧対応電流Icjのみとなる。図3の出力電圧制御回路68(又は複合回路70)の場合、TRM端子の抵抗を外部接続することによって第一基準値Vr1を変更できることができる等の利点があったが、そのような機能が不要であれば、出力電圧制御回路116のようにシンプルな構成にすることができる。
図10(a)の充放電回路66は、第六トランジスタ88のコレクタ電流を、第五抵抗86、第四抵抗84及び第五トランジスタ80を用いて負電圧対応電流Icjに変換する構成を有しているが、図10(b)のようにPNP型のトランジスタ118を追加し、温度補償型の電流変換回路(カレントミラー回路)の構成にしてもよい。
また、充放電回路は、例えば、図11の充放電回路120のように、Vsライン28の電圧を反転増幅する反転増幅回路122と、反転増幅回路122の出力と変調用コンデンサ62の第一の端子との間に接続された第六抵抗94とで構成してもよい。Vsライン28に正電圧V(+)が発生しているときは、反転増幅回路122が正電圧V(+)に対応する負電圧を出力し、それが第六抵抗で電流(正電圧対応電流Ich)に変換され、変調用コンデンサ62を放電する。一方、Vsライン28に負電圧V(-)が発生しているときは、反転増幅回路122が負電圧V(-)に対応する正電圧を出力し、それが第六抵抗で電流(負電圧対応電流Icj)に変換され、変調用コンデンサ62を充電する。
主スイッチング素子は、NチャネルのMOS型FETに限定されず、NPN型のバイポーラトランジスタでもよい。この場合、上記のドレイン端子、ソース端子及びゲート端子の記載を、それぞれコレクタ端子、エミッタ端子及びベース端子と読み替える。また、これらのシリコンを使用した素子以外に、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を使用した素子でもよい。
上記の実施形態は、出力巻線24側の出力電圧Voを補助巻線26側で間接的に制御する構成なので、出力電圧Voを直接的に制御する構成(例えば、特許文献1のスイッチング電源の構成)と比べると、入力電圧Viの変化や出力電流Ioが変化に対する出力電圧Voの変動が大きくなる傾向がある。この種の出力電圧Voの変動が問題になる場合は、例えば、出力電圧制御回路に所定の出力電圧補正回路を付加することによって一定以下に抑えることができる。
また、負荷をVo1ライン36に接続し、補助電圧Vo1を出力電圧Voとして使用することができるので、出力巻線24及び整流平滑回路30を省略すれば、非絶縁型のスイッチング電源装置となる。ただし、この場合、負荷の特性によっては入力投入時に起動しにくくなる可能性があるので、補助整流平滑回路34と並列に第二の補助整流平滑回路を設け、第二の補助整流平滑回路が出力する補助電圧Vo1を負荷に供給する構成にすることが好ましい。
反対に、一対の出力巻線24及び整流平滑回路30を複数組設け、互いに絶縁された多出力のスイッチング電源装置にすることも可能である。この場合、例えば、多出力の中の特定の出力を補助巻線26側の回路(入力側の回路)の特定部分に接続して使用したり、多出力の中の2つの出力を相互に接続してオペアンプ用の±出力に使用したり、その他にも様々なアプリケーションが考えられる。
また、Vo1ライン36を外部接続端子に引き出す構成にすれば、出力巻線24側の出力電圧Voをモニタする端子として使用することができる。この場合、Vo1ライン36は、電流制限抵抗を介して外部接続端子に引き出すとよい。電流制限抵抗を設けると、使用者が誤って外部接続端子をIN(-)端子に短絡したときに、外部接続端子から流出する電流が制限され、内部回路が故障するのを防止することができる。
10,98 スイッチング電源装置
16 Viライン(入力電圧ライン)
18 GNDライン(制御用グランドライン)
20 主トランス
22 入力巻線
24 出力巻線
26 補助巻線
28 Vsライン(補助パルスライン)
30 出力整流平滑回路
30a 整流ダイオード
30b 平滑コンデンサ
32 主スイッチング素子
34 補助整流平滑回路
34a 補助ダイオード
34b 補助コンデンサ
36 Vo1ライン(補助電圧ライン)
38,110 起動回路
50 第一トランジスタ
52 第二トランジスタ
54,56 抵抗
58,112,114 帰還回路
58a 帰還用コンデンサ
60 第三トランジスタ
62 変調用コンデンサ
64 抵抗
66,120 充放電回路
68,116 出力電圧制御回路
70 複合回路(充放電回路、出力電圧制御回路)
72 第四トランジスタ
74 第一抵抗
76 第二抵抗
78 第三抵抗
80 第五トランジスタ
82 ダイオード
84 第四抵抗
86 第五抵抗
88 第六トランジスタ
90 分圧回路
90a,90b,90c 抵抗
92 誤差増幅回路
94 第六抵抗
96 ダイオード
99 電流信号発生抵抗
100 バイアス回路
102 バイアス抵抗
106 スイッチ
Ich 正電圧対応電流
Icj 負電圧対応電流
Id 出力電圧対応電流
Io 出力電流
Ve バイアス電圧
Vi 入力電圧
Vo 出力電圧
Vo1 補助電圧
Vr1 第一基準値
Vr2 第二基準値
Vs 補助パルス
Vth オン閾値電圧

Claims (9)

  1. プラス入力端子及びマイナス入力端子で構成され、前記プラス入力端子が入力電圧ラインに接続され、前記マイナス入力端子が制御用グランドラインに接続され、前記プラス入力端子と前記マイナス入力端子との間に入力電圧が印加される入力端子と、
    入力巻線及び補助巻線を有し、前記入力巻線の第一の端子が前記入力電圧ラインに接続され、前記補助巻線の第一の端子であって前記入力巻線の第一の端子と同極性の端子が制御用グランドラインに接続され、前記補助巻線の第二の端子が補助パルスラインに接続された主トランスと、
    トランジスタ素子であって、ドレイン端子が前記入力巻線の第二の端子に接続され、ソース端子が前記制御用グランドラインに接続された主スイッチング素子と、
    アノード端子が前記補助巻線の第二の端子に接続された補助ダイオード、及び前記補助ダイオードのカソード端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された補助コンデンサを有し、前記補助ダイオードと前記補助コンデンサとの接続点が補助電圧ラインに接続されている補助整流平滑回路と、
    前記入力電圧ラインと前記補助電圧ラインとの間に設けられ、前記補助電圧ラインに前記主スイッチング素子を起動させるための電圧を供給する起動回路と、
    PNP型のトランジスタ素子であって、エミッタ端子が前記補助電圧ラインに接続され、コレクタ端子が抵抗を介して前記主スイッチング素子のゲート端子に接続された第一トランジスタと、
    前記第一トランジスタのベースエミッタ端子間に接続され、前記第一トランジスタをオフさせるための抵抗と、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記主スイッチング素子のゲート端子に接続され、エミッタ端子が前記制御用グランドラインに接続された第二トランジスタと、
    帰還用コンデンサを有し、前記補助パルスラインの電圧の変化を前記第二トランジスタのベース端子に伝達する帰還回路と、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第一トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第二トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第三トランジスタと、
    第一の端子が抵抗を介して前記第二トランジスタのベース端子に接続され、第二の端子が制御用グランドラインに接続された変調用コンデンサと、
    前記補助パルスラインの電圧を検出し、当該電圧が正のときに前記変調用コンデンサを放電する所定電流を流し、負のときに前記変調用コンデンサを充電する所定電流を流す充放電回路と、
    補助パルスラインの正の電圧、又は補助電圧ラインの電圧を検出し、当該検出電圧が第一基準値を超えると、補助パルスラインが負電圧のときに前記変調用コンデンサを充電する所定の電流を流すことによって、当該検出電圧を前記第一基準値に近づける出力電圧制御回路と、を備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 前記第三トランジスタのベースエミッタ端子間に向けて順方向のバイアス電圧を出力可能なバイアス回路を備え、
    前記バイアス電圧は、前記第三トランジスタのベースエミッタ端子間のオン閾値電圧を超える電圧であり、
    前記バイアス回路は、前記補助パルスラインの正電圧を検出し、当該電圧が第二基準値を以下のとき、バイアス抵抗を通じて前記バイアス電圧を出力する請求項1記載のスイッチング電源装置。
  3. 前記バイアス回路は、
    前記制御用グランドラインと前記マイナス入力端子との間に挿入され、アノード端子が制御用グランドライン側に、カソード端子が前記マイナス入力端子側に接続されたダイオードの直列回路と、
    前記ダイオードの直列回路の両端を短絡開放可能に接続されたトランジスタ素子であるスイッチと、
    前記補助パルスラインの正電圧が前記第二基準値以下のとき、前記スイッチを継続してオンさせ、前記ダイオードの直列回路の両端を短絡状態に保持させるスイッチ駆動回路と、
    前記ダイオードの直列回路のカソード側の一端と前記第三トランジスタのベース端子との間に接続された前記バイアス抵抗とで構成されている請求項2記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記起動回路は、前記入力電圧ラインの電圧を降圧し所定の起動電圧を出力するシリーズレギュレータであり、
    前記起動電圧は、前記第一基準値に基づいて定まる前記補助電圧ラインの電圧以下に設定され、前記補助電圧ラインの電圧が前記起動電圧を超えると、前記起動回路からの電流供給が停止する請求項1乃至3のいずれか記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記充放電回路は、
    補助パルスラインの電圧が正の期間、その正電圧に対応する正電圧対応電流を発生させ、前記変調用コンデンサから流出させる第一の電圧電流変換回路と、
    補助パルスラインの電圧が負の期間、その負電圧に対応する負電圧対応電流を発生させ、前記変調用コンデンサに流し込む第二の電圧電流変換回路とで構成されている請求項1乃至3のいずれか記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記充放電回路は、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第一抵抗を介して制御用グランドラインに接続された第四トランジスタと、
    前記第四トランジスタのベース端子と前記補助パルスラインとの間に接続された第二抵抗と、
    前記第四トランジスタのベース端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された第三抵抗と、
    PNP型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が順方向に配したダイオードを介して前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第四抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続され、ベース端子が第五抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続された第五トランジスタと、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第五トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第四トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第六トランジスタとで構成され、
    前記第四トランジスタが、前記正電圧対応電流に相当するコレクタ電流を流し、前記第五トランジスタが、前記負電圧対応電流に相当するコレクタ電流を流す請求項5記載のスイッチング電源装置。
  7. 前記出力電圧制御回路は、
    前記補助電圧ラインと前記制御用グランドラインとの間に接続された抵抗の直列回路である分圧回路と、
    前記分圧回路の中点の電圧が基準電圧を超えたときの差電圧を増幅する誤差増幅回路と、
    前記誤差増幅回路が出力する増幅電圧に対応する出力電圧対応電流を発生させ、補助パルスラインが負電圧のときに前記変調用コンデンサに流し込む第三の電圧電流変換回路とで構成されている請求項1乃至3のいずれか記載のスイッチング電源装置。
  8. 前記充放電回路及び出力電圧制御回路は、内部回路の一部を互いに兼用する複合回路として設けられ、
    前記複合回路は、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第一抵抗を介して制御用グランドラインに接続された第四トランジスタと、
    前記第四トランジスタのベース端子と前記補助パルスラインとの間に接続された第二抵抗と、
    前記第四トランジスタのベース端子と前記制御用グランドラインとの間に接続された第三抵抗と、
    PNP型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が順方向に配したダイオードを介して前記変調用コンデンサの第一の端子に接続され、エミッタ端子が第四抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続され、ベース端子が第五抵抗を介して前記第一トランジスタのコレクタ端子に接続された第五トランジスタと、
    NPN型のトランジスタ素子であって、コレクタ端子が前記第五トランジスタのベース端子に接続され、エミッタ端子が前記第四トランジスタのベース端子に接続され、ベース端子が前記制御用グランドラインに接続された第六トランジスタと、
    前記補助電圧ラインと前記制御用グランドラインとの間に接続された抵抗の直列回路である分圧回路と、
    前記分圧回路の中点の電圧が基準電圧を超えたとき、その差電圧を反転増幅する誤差増幅回路と、
    前記前記誤差増幅回路の前記第五トランジスタのベース端子との間に接続された第六抵抗と、
    前記第四トランジスタは、補助パルスラインの電圧が正のとき、その正電圧に対応する正電圧対応電流を前記前記変調用コンデンサから流出させ、
    前記第五トランジスタは、補助パルスラインの電圧が負のとき、その負電圧に対応する負電圧対応電流と前記誤差増幅回路が出力する増幅電圧に対応する出力電圧対応電流とを合成した電流を、前記変調用コンデンサに流し込む請求項1乃至3のいずれか記載のスイッチング電源装置。
  9. 前記主スイッチング素子のソース端子及び前記変調用コンデンサの第二の端子が互いに接続され、この接続点が電流信号発生抵抗を介して前記制御用グランドラインに接続されている請求項1乃至8のいずれか記載のスイッチング電源装置。
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