JP2014212234A - 光送信機および発光素子の寿命予測方法 - Google Patents

光送信機および発光素子の寿命予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子の寿命時間を、より正確に予測するための技術を提供する。【解決手段】ONUの送信部21は、レーザダイオード31と、電流源32と、モニタ用受光素子33と、駆動回路34とを含む。駆動回路34は、バイアス制御部41と、電流電圧変換部45と、サンプルホールド部46と、タイマ48とを備える。サンプルホールド部46は、光信号が発生する間に、バイアス電流の値を取得する。たとえばバイアス制御部41は、その取得された電流値と、タイマ48によって計測されたレーザダイオード31の動作時間とから、その動作時間に対するバイアス電流の変化量を算出して、その変化量に基づいて発光素子の寿命時間を予測する。【選択図】図3

Description

本発明は、光送信機、および、その光送信機に含まれる発光素子の寿命予測方法に関する。
光送信機は、光信号を発生させるための発光素子を含む。一般的に、光通信用の発光素子としてはレーザダイオードが用いられる。
発光素子の特性が劣化して発光素子が故障した場合、光送信機から光信号を送信できなくなる。この場合、光通信ネットワークへの影響が大きくなり、したがって社会的な影響も大きくなりうる。このために、光送信機に用いられる発光素子の寿命を予測するための各種の方法が提案されている。
たとえば特開平9−116231号公報(特許文献1)に開示された方法は、レーザダイオードのバイアス電流を監視することでレーザダイオードの劣化時期を予測する。この方法によれば、レーザダイオードに初めて電源を投入した日時と、そのときのバイアス電流値(初期バイアス電流値)とが記憶部に記憶される。さらに、任意の時点においてレーザダイオードに電源が投入された場合、電源の投入日時およびそのときのバイアス電流値が記憶される。そして、バイアス電流値の変化に基づいて劣化時期が予測される。
たとえば特開2009−182471号公報(特許文献2)に開示された方法は、レーザダイオードの使用開始からの経過時間とレーザダイオードのバイアス電流との間の予め定められた特性情報を用いてレーザダイオードの劣化時期を予測する。この方法によれば、ある時点においてレーザダイオードのバイアス電流が測定される。その測定結果と特性情報とに基づいて、経過時間とバイアス電流値との間の関係を示す予測曲線が作成される。この予測曲線に従ってレーザダイオードの故障時期が予測される。
特開平9−116231号公報 特開2009−182471号公報
特開平9−116231号公報(特許文献1)には、光通信装置が接続される光ネットワークの形態について開示されていない。当該文献に開示された光通信装置は、たとえばPON(Passive Optical Network)のようなP2MP(Point to Multi Point)形態のネットワークに適用される可能性がある。
たとえば特許文献1に記載の光通信装置をPONのONU(Optical Network Unit)に適用する場合、当該光通信装置は、光信号を間欠的にOLT(Optical Line Terminal)に送信する。すなわちONUのレーザダイオードから光信号が発生していない時間帯が存在する。この時間帯には、バイアス電流がレーザダイオードに供給されていない期間を含みうる。したがって、特許文献1に開示の方法によれば、レーザダイオードのバイアス電流を正確に測定できない可能性がある。
レーザダイオードのバイアス電流を正確に測定できない場合には、予測されるレーザダイオードの劣化時期も不正確になる。したがって、特許文献1に記載の方法は、予測された劣化時期の信頼性の点で課題がある。
また、特開2009−182471号公報(特許文献2)は、複数の光受信部に対して波長多重で光信号を送信する光伝送装置を開示する。しかし、この光伝送装置が間欠的に光信号を送信することについて上記文献は開示していない。さらに、光伝送装置は、ある一定の時間間隔でレーザダイオードのバイアス電流値を取得する。したがって、特開2009−182471号公報は、上記の課題、すなわち間欠的に光信号を送信する光送信機に含まれる発光素子の寿命時間を正確に予測する課題を解決するものではない。
このように、特開平9−116231号公報および特開2009−182471号公報のいずれも、P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子(代表的にはレーザダイオード)の寿命時間を、より正確に予測するための技術を提供していない。
したがって本発明の目的は、P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子の寿命時間を、より正確に予測するための技術を提供することである。
本発明のある局面に係る光送信機は、P2MP(Point to Multi Point)形態の光回線に接続されて、上り方向の光信号を時分割多重で間欠的に送信する光送信機である。光送信機は、光信号を発生させるための発光素子と、発光素子により発生した光信号の光出力パワーをモニタする光出力パワーモニタ部と、光出力パワーモニタ部によってモニタされた光出力パワーに基づいて、発光素子に供給される駆動電流を制御する駆動部と、光送信機の送信タイミングを決定して、当該送信タイミングにおいて発光素子から光信号が発生するように駆動部を制御する制御部と、光信号が発生する間に、駆動電流の電流値を取得する電流値取得部と、発光素子の動作時間を計測する時間計測部とを備え、電流値取得部によって取得された電流値と、時間計測部によって計測された動作時間とを関連付けて、動作時間に対する駆動電流の変化量を算出して、その変化量に基づいて発光素子の寿命時間を予測する。
この構成によれば、P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子の寿命時間を、より正確に予測することができる。制御部は、光送信機の送信タイミングを決定する。したがって、発光素子は、その送信タイミングにおいて光信号を発生させる。電流値取得部は、発光素子が光信号を発生する間に、駆動電流の電流値を取得する。このため、電流値取得部は、発光素子が光信号を確実に発生する間に、駆動電流の電流値を取得することができる。電流値と発光素子の動作時間とが関連付けられているため、光出力パワーが制御されている(たとえば光出力パワーが一定に制御されている)状態における、発光素子の動作時間と電流値との関係を求めることができる。これにより、発光素子の寿命時間を、より正確に予測することができる。
なお、電流値取得部によって取得された電流値と、時間計測部によって計測された動作時間とを関連付ける機能、動作時間に対する駆動電流の変化量を算出する機能、および、その駆動電流の変化量に基づいて発光素子の寿命時間を予測する機能とは、1つの回路によって実現されてもよく、複数の回路によって実現されてもよい。また、上記の機能を実現する回路は限定されず、たとえば、上記制御部または駆動部によって実現可能であるが、別の回路によって実現されてもよい。
また、「寿命時間の予測」は、発光素子が寿命に達するまでの累積動作時間を予測、余寿命の予測のいずれであってもよい。ここで余寿命とは、発光素子が寿命に達するまでの累積動作時間から、現在までの動作時間を減算した結果とすることができる。
また、発光素子は、レーザダイオードとすることができる。電流値取得部は、発光素子が光信号を発生する間に駆動電流の電流値を取得することができればよい。したがって電流値取得部は、制御部によって決定された送信タイミングに基づいて、駆動電流の電流値を取得してもよい。また、電流値取得部は、たとえば発光素子が光を発したことを検知して駆動電流の電流値を取得してもよい。
好ましくは、駆動部は、光出力パワーを安定させるための駆動電流のフィードバック制御を実行する。電流値取得部は、駆動部によるフィードバック制御の開始後に、電流値を取得する。
この構成によれば、光出力パワーが安定した状態での駆動電流の値を取得することができる。したがって、発光素子の寿命時間を、より正確に予測することができる。たとえば光出力パワーが安定したことを規定する所定の条件が成立した場合に、駆動電流の値が取得されてもよい。この「所定の条件」は、光出力パワーが安定した状態であるとみなすことができる各種の条件であってもよい。一例では、所定の条件を、発光素子の発光開始から所定の時間が経過したという条件とすることができる。他の例では、所定の条件を、光出力パワーの変動の幅が所定範囲内であるという条件とすることができる。
好ましくは、電流値取得部は、光信号の発生する期間内の、固定された時間帯において、電流値を取得する。
この構成によれば、光信号が発生するごとに、固定された時点から開始される一定の時間帯の中で駆動電流の値を取得することができる。たとえば光出力パワーが安定してからの一定の時間帯を、固定された時間帯として設定することができる。したがって、光出力パワーが安定した状態での駆動電流の値を取得することができる。
好ましくは、光送信機は、所定の動作時間における駆動電流の電流値を、発光素子の雰囲気温度と関連付けて記憶する記憶部と、発光素子の雰囲気温度をモニタする温度モニタ部とをさらに備え、温度モニタ部によってモニタされた雰囲気温度に基づいて、記憶部に記憶された電流値から、電流値取得部によって取得された電流値と比較される比較対象値を決定して、電流値取得部によって取得された電流値と、比較対象値とに基づいて、変化量を算出する。
この構成によれば、発光素子の寿命予測において、バイアス電流の温度依存性を考慮した上で発光素子の寿命時間を予測することができる。たとえば発光素子がレーザダイオードである場合、レーザダイオードから所定の光パワーを出力するためのバイアス電流は、レーザダイオードの性能が低下するにつれて大きくなる。一方、レーザダイオードから光信号が発せられるとレーザダイオードの温度が上昇する。レーザダイオードの温度が高くなると、所定の光パワーを出力するためのバイアス電流が増加する。つまり、レーザダイオードのバイアス電流が増加する要因としては、レーザダイオードの性能の劣化と、レーザダイオードの温度の上昇との2つがある。上記構成によれば、温度モニタ部によってモニタされた雰囲気温度に対応する電流値として比較対象値が決定され、その比較対象値と、電流値取得部によって取得された電流値とから電流値の時間変化量が算出される。これによって、バイアス電流の変化量からバイアス電流の温度依存性の影響を取り除くことができる。したがって発光素子の寿命時間を正確に予測することができる。
好ましくは、光送信機は、光回線を介して光送信機に送られた光信号を受信する受信部をさらに備え、制御部は、受信部が、ディスカバリゲートを示す光信号を受信した場合に、可変の送信タイミングで、ダミーデータを示す光信号が発光素子から発生するように、駆動部を制御する。
この構成によれば、光回線に接続された光送信機は、確実に制御情報を受け取ることができる。さらに光送信機は、ダミーデータを示す光信号を発生させる。光送信機は、ディスカバリゲートに対して必ずしも自分から応答する必要はない。しかし、ダミーデータを示す光信号を発生させることで、光送信機において確実に光信号を発生させることができる。さらに光送信機からダミーデータが送られるので、そのダミーデータを受ける受信機は、その受けたデータを破棄することができる。これにより、光回線および光送信機の管理等に生じる影響を小さくすることができる。
本発明の他の局面に係る発光素子の寿命予測方法は、P2MP(Point to Multi Point)形態の光回線に接続されて上り方向の光信号を時分割多重で間欠的に送信する光送信機に用いられる発光素子の寿命予測方法である。寿命予測方法は、光送信機の送信タイミングを決定するステップと、送信タイミングにおいて、発光素子に駆動電流を供給して光信号を発生させるステップと、発光素子から出力される光信号の光出力パワーをモニタするステップと、モニタするステップによってモニタされた光出力パワーに基づいて駆動電流を制御するステップと、光信号が発生する間に、駆動電流の電流値を取得するステップと、発光素子の動作時間を計測するステップと、取得された電流値と、計測された動作時間とを関連付けて、動作時間に対する駆動電流の変化量を算出して、変化量に基づいて発光素子の寿命時間を予測するステップとを備える。
この構成によれば、P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子の寿命時間を、より正確に予測することができる。なお、「寿命時間の予測」は、発光素子が寿命に達するまでの累積動作時間を予測、余寿命の予測のいずれであってもよい。
本発明によれば、P2MP形態の光回線に接続されて、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する光送信機が備える発光素子の寿命時間を適切に予測することができる。
本発明の実施の形態に係る光送信機を備える光通信システムの構成を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るPONシステムにおける宅側装置の構成を示す図である。 図2に示した通信モジュールが備える送信部の構成を説明するブロック図である。 図3に示すサンプルホールド部46の構成を示した回路図である。 ONU(子局)からOLT(親局)にデータフレームを送信するための一連の処理を説明するシーケンス図である。 バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示すタイミングチャートである。 バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示す別のタイミングチャートである。 バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示すさらに別のタイミングチャートである。 第1の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間の予測方法を説明するためのグラフである。 第1の実施の形態に係る、発光素子のバイアス電流の制御を説明するためのフローチャートである。 第1の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間を予測するためのフローチャートである。 図3に示された記憶部に記憶された、温度とバイアス電流との関係の一例を示した図である。 温度とバイアス電流との関係を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間を予測するためのフローチャートである。 第3の実施の形態に係るバイアス電流の測定のためのダミーデータ送信処理を説明するシーケンス図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る光送信機を備える光通信システムの構成を示す図である。図1を参照して、この発明の実施の形態では、光送信機を備える光通信システムはPONシステムとして実現される。PONシステムは、P2MP(Point to Multi Point)の接続形態における光分岐を無電力で行なう光通信システムであり、局側装置(OLT)と、これに接続された光ファイバから光カプラを介して複数の光ファイバに分岐した一芯の光ファイバ網と、分岐した光ファイバの各終端に接続された宅側装置(ONU)とを備えている。この実施の形態では、本発明に係る光送信機は、ONUとして実現される。
PONシステム301は、たとえばGE−PONあるいは10G−EPONである。PONシステム301は、OLT201と、ONU202A,202B,202C,202D,202Eと、スプリッタSP1,SP2,SP3とを備える。ONU202A,202B,202CとONU201とは、スプリッタSP1およびSP2、ならびに光ファイバOPTFを介して接続され、互いに光信号を送受信する。ONU202D,202EとOLT201とは、スプリッタSP1およびSP3、ならびに光ファイバOPTFを介して接続され、互いに光信号を送受信する。ONU202A〜202Eの各々には、ユーザ端末(図示しない)が接続される。ONU202A〜202Eの設置箇所は特に限定されるものではない。各ONUは、屋内に設置されてもよく、屋外に設置されてもよい。
PONの物理的構成によれば、ONU202A〜202Eのすべてが、OLT201から送信されたデータを受信可能である。このためOLT201は、送信フレームのプリアンブル部分に、その送信フレームを受信すべきONUの番号を示した識別子LLID(Logical Link ID)を挿入する。各ONUは、OLT201から受信したフレームに含まれるLLIDを、予めOLT201から通知された自己のLLIDと照合する。フレームに含まれるLLIDが自己のLLIDに一致する場合には、ONUはそのフレームを受信し、そうでない場合には、ONUは、そのフレームを破棄する。
一方、各ONUから送信される光信号はスプリッタSP2,SP3,あるいはSP1において合流する。このため、各ONUからの信号(上り光信号)が各スプリッタで合流した後に衝突しないための制御が必要となる。このためにONU202A,202B,202C,202D,202EからOLT201への光信号は時分割多重される。
ONU202A〜202Eは、同一の構成を有する。したがって、以下では、ONU202A〜202Eを「ONU202」と総称する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るPONシステムにおける宅側装置の構成を示す図である。図2を参照して、ONU202(ONU202A〜202E)は、光通信モジュール11と、通信制御部12とを備える。光通信モジュール11は、ONU202に固定されてもよく、ONU202に対して脱着可能であってもよい。
光通信モジュール11は、局側装置201から送信される下り光信号を受信する。光通信モジュール11は、その下り光信号を電気信号に変換して、その電気信号を通信制御部12に出力する。一方、光通信モジュール11は、通信制御部12から受けたデータフレームおよび制御フレームを光信号に変換して、その光信号を上り光信号として局側装置201へ送信する。
光通信モジュール11は、送信部21と、受信部22と、光合分波器23とを含む。送信部21は、通信制御部12から、電気信号の形態でデータフレームおよび制御フレームを受ける。送信部21は、その電気信号を光信号に変換して、その光信号を光合分波器23に出力する。
光合分波器23は、光ファイバOPTFに光学的に結合されて、送信部21からの光信号を光ファイバOPTFに出力する。これにより、ONU202からの光信号は光ファイバOPTFを経由してOLT201へと伝送される。
一方、光合分波器23は、光ファイバOPTFを介してOLT201からの光信号を受ける。光合分波器23は、その光信号を受信部22に送信する。受信部22は、光信号を電気信号に変換する。この電気信号は通信制御部12へと送られる。
通信制御部12は、各種制御情報を含む制御フレームを生成して、その制御フレームを電気信号の形態で送信部21へと出力する。同様に、通信制御部12は、図示しないユーザ端末から送られたデータフレームを送信部21へと出力する。さらに、通信制御部12は、送信タイミング信号を送信部21に出力して、それら制御フレームおよびデータフレームの送信タイミングを送信部21に対して指定する。これにより、送信部21は、通信制御部12によって指定されたタイミングで、制御フレームあるいはデータフレームを出力する。
さらに通信制御部12は、送信部21に含まれる発光素子(図2に示さず)に供給されるバイアス電流の値を取得することを指示する信号を送信部21に送る。送信部21は、この指示に応じてバイアス電流の値を取得するとともにその値を保持する。
一方、通信制御部12は、受信部22から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、そのフレームの種別に応じた処理を実行する。
たとえば通信制御部12は、制御プロトコルに基づく制御フレームを受ける。そのような制御プロトコルとして、たとえばMPCP(Multi-Point Control Protocol)およびOAM(Operations, Administration and Maintenance)を挙げることができる。ONU202は、そのような制御フレームをOLT201との間でやり取りすることで、PON回線の制御および管理に関する宅側処理を行なう。あるいは、通信制御部12は、受信部22から受けたフレームがデータフレームである場合には、そのデータフレームを図示しないユーザ端末へと伝送する。
通信制御部12は受信部22において受信した制御フレームに基づいて、送信部21から送信すべきフレーム(制御フレームまたはデータフレーム)の送信タイミング情報を検出する。通信制御部12は、検出した送信タイミング情報に基づいて、上り光信号を送信すべき時刻および時間帯を決定するとともに、バイアス電流計測のためにバイアス電流の値をサンプルホールドすべき時刻および時間帯を決定する。そして、通信制御部12は、送信部21に対して、その決定した時刻および時間帯を送信部21に通知する。送信部21は、指示された時刻および時間帯に従って、光信号を発生させる。さらに送信部21は、バイアス電流の値をサンプリングして、バイアス電流の値を取得する。
図3は、図2に示した通信モジュールが備える送信部の構成を説明するブロック図である。図3を参照して、送信部21は、レーザダイオード31と、電流源32と、モニタ用受光素子33と、駆動回路34とを含む。
この実施の形態では、レーザダイオード31は、光信号を発生させる発光素子を実現する。レーザダイオード31のアノードは、電源ノードVccに接続される。レーザダイオード31のカソードは、電流源32に接続される。電流源32が電流を流すことによって、レーザダイオード31に駆動電流が流れる。これによりレーザダイオード31は発光する。
モニタ用受光素子33は、発光素子LDから受けた光の強度に応じた電流を出力する。具体的には、モニタ用受光素子33は、たとえばフォトダイオードである。モニタ用受光素子33は、レーザダイオード31の前方光に比例した後方光を受光し、受けた光の強度に応じた電流、たとえば当該強度に比例した電流を出力する。モニタ用受光素子33のカソードは、接地電圧が供給される接地ノードに電気的に接続される。
駆動回路34は、バイアス制御部41と、光出力パワーモニタ部42と、温度モニタ部43と、変調制御部44と、電流電圧変換部45と、サンプルホールド部46と、記憶部47と、タイマ48とを備える。
バイアス制御部41は、光出力パワーモニタ部42および温度モニタ部43からの信号に基づいて、電流源32を制御して、レーザダイオード31に供給されるバイアス電流を制御する。具体的には、バイアス制御部41は、レーザダイオード31の光出力パワーが一定となる(たとえばある目標値に保たれる)ように、バイアス電流を制御する。すなわち、バイアス制御部41は、オートパワーコントロール(Auto Power Control;APC)を実行する。
なお、バイアス制御部41は、通信制御部12(図2を参照)からの送信タイミング信号に応答して、バイアス電流がレーザダイオード31に供給されるように電流源32を制御する。すなわちバイアス制御部41は、本発明における「駆動部」を実現する。また、通信制御部12は、本発明における「制御部」を実現する。
光出力パワーモニタ部42は、モニタ用受光素子33の出力電流を検知して、その検知した電流の値をバイアス制御部41に送る。モニタ用受光素子33の出力電流は、レーザダイオード31の光出力パワーを反映する。
温度モニタ部43は、レーザダイオード31の雰囲気温度を検出して、その検出した温度の値をバイアス制御部41へと出力する。
変調制御部44は、「0」および「1」のデータからなる送信データに対応して、レーザダイオード31から発せられる光の強度を2値変調する。具体的には、変調制御部44は、通信制御部12(図2を参照)から、送信タイミング信号と送信データとを受けて、その送信タイミング信号によって指定されるタイミングで、レーザダイオード31に供給される駆動電流を変化させる(たとえば駆動電流の一部を吸い込む)。これによって、変調制御部44は、送信データに対応して、レーザダイオード31の発光強度を2値変化させることができる。なお、送信タイミング信号と送信データとは完全に同期しているものと限定されない。たとえば送信タイミング信号の入力からある一定の遅延時間が経過した後に、変調制御部44に送信データが入力されてもよい。
電流電圧変換部45は、電流源32からの駆動電流を電圧に変換する。電流電圧変換部45には種々の公知の構成を用いることができるので、ここでは詳細な説明を繰り返さない。たとえば電流電圧変換部45は、電流センスアンプ回路によって実現することができる。
サンプルホールド部46は、サンプルホールド信号SHに応答して、電流電圧変換部45が出力する電圧値をサンプリングするとともにその値を保持する。サンプルホールド部46は、その電圧値をバイアス制御部41に送る。
バイアス制御部41は、サンプルホールド部46からの電圧値を記憶部47に書き込む。記憶部47は、その電圧値を不揮発的に記憶する。
タイマ48は、レーザダイオード31の動作時間を計測する。そして、タイマ48は、その計測結果をバイアス制御部41に送信する。バイアス制御部41は、タイマ48によって計測されたレーザダイオード31の動作時間を記憶部47に記録する。なお、タイマ48は、独立した1つの機能ブロックとして存在するように限定されるものではなく、たとえばバイアス制御部41といった別のブロックの中に含まれていてもよい。
図4は、図3に示すサンプルホールド部46の構成を示した回路図である。図4を参照して、サンプルホールド部46は、入力バッファ51と、サンプリングスイッチ52と、ホールドキャパシタ53と、出力バッファ54とを備える。
サンプリングスイッチ52は、サンプルホールド信号SHに応じてオンオフする。サンプリングスイッチ52がオンすると、入力バッファ51およびサンプリングスイッチ52を介して、電流電圧変換部45(図3を参照)からの電圧Vbがホールドキャパシタ53に入力される。電圧Vbは、レーザダイオード31に供給されるバイアス電流を反映した電圧である。出力バッファ54は、電圧Vbを出力する。この電圧Vbはバイアス制御部41に送られる。サンプリングスイッチ52がオフすると、ホールドキャパシタ53の電圧はVbに保持される。
本発明の実施の形態では、レーザダイオード31の動作時間に対する、バイアス電流の変化量に基づいて、レーザダイオード31の寿命時間が予測される。レーザダイオード31は、通信制御部12によって決定された送信タイミングにおいて光信号を発生させる。サンプルホールド部46は、レーザダイオード31が光信号を発生する間に、バイアス電流の電流値を取得する。したがって、バイアス電流の正確な値を取得することが可能となる。
本発明の実施の形態では、レーザダイオード31の光出力パワーが一定となるようにバイアス電流が制御される。このような状態でのレーザダイオード31の動作時間(累積動作時間)に対するバイアス電流の変化量がバイアス制御部41によって算出される。レーザダイオード31が光信号を発生していることが確実である期間にバイアス電流の電流値を取得することができるので、発光素子の寿命時間を、より正確に予測することができる。以下、各実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
第1の実施の形態では、ONUからOLTにデータフレームを送信するタイミングにおいて、バイアス電流が測定される。この測定されたバイアス電流の値を、記憶部47に記憶されたバイアス電流の値と比較することで、レーザダイオードの寿命時間が予測される。
図5は、ONU(子局)からOLT(親局)にデータフレームを送信するための一連の処理を説明するシーケンス図である。図5を参照して、GE−PONあるいは10G−EPONではMPCPプロトコルを使用して上り光信号の伝送が制御される。具体的には、OLT201は、Gate(ゲート)フレームを利用して、複数のONUがデータフレームを時間的に衝突することなく送信できるように、複数のONUに対して送信開始時刻および送信許可量を指定する。ONU202は、Report(レポート)フレームにより、ONU202のバッファに蓄積されているデータフレームの量(サイズ)をOLT201に伝える。
より詳細に説明すると、まず、ONU202は、上りデータをONU202の内部のバッファに蓄える。ONU202は、OLT201からGateフレームを受けて、ONU202のバッファに蓄積されたデータフレームの量を計算する。
ONU202は、送信したいデータフレームの量を示す情報をReportフレームに含めて、そのReportフレームをOLT201に送信する。OLT201はReportフレームを受信して、そのReportフレームから、ONU202が送信したいデータフレームの量を把握する。
OLT201は、DBA(動的帯域割当て)などの帯域割り当てのアルゴリズムに従って各ONU202に割り当てるべき上り帯域を計算する。具体的には、OLT201は、ONU202の上り送信開始時刻と送信許可期間とを算出する。OLT201は、その上り送信開始時刻と送信許可期間とをGateフレームによりONU202に通知する。
ONU202は、OLT201からGateフレームを受信する。ONU202は、そのGateフレームによって指定された時刻にデータフレームの送信を開始する。ONU202は、指定された期間内に、データフレームをOLT201に送信する。
図3に戻り、通信制御部12は、受信部22が受信したGateフレームから、送信部21の送信タイミング情報(送信開始時刻および送信許可期間を含む)を検出する。そして、通信制御部12は、その検出した送信タイミング情報に基づいて、上りデータフレームの送信時刻と送信時間帯とを決定する。さらに通信制御部12は、その決定された送信時刻からの送信時間帯に、サンプルホールド信号SHを、送信部21に出力する。
図4を参照して、サンプルホールド部46は、サンプルホールド信号SHに応答して、電流電圧変換部45の出力電圧を取得する。バイアス制御部41はサンプルホールド部46によって取得された電圧値から、レーザダイオード31のバイアス電流を計算する。たとえば記憶部47には、電圧値とバイアス電流値との関係が記憶される。バイアス制御部41は、この関係に基づいて、サンプリングされた電圧値からバイアス電流値を計算してもよい。あるいは電圧値とバイアス電流値との間に、ある関数式が成立する場合には、バイアス制御部41は、その関数式とサンプリングされた電圧値とからバイアス電流を計算してもよい。
また、バイアス電流は、バイアス制御部41によって計算されるように限定されるものではない、たとえば通信制御部12が、サンプルホールド部46から電圧値を取得して、上記の方法によりバイアス電流を計算してもよい。
図6は、バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示すタイミングチャートである。図6を参照して、バイアス電流が流れる時間帯は、送信タイミング信号が発生する期間と同期する。バイアス電流をサンプルホールドする時刻および時間帯を、送信タイミング信号の発生時間および時間帯と同期させる。これによって、光信号の送信時におけるレーザダイオード31のバイアス電流を正確に測定することができる。
バイアス電流をサンプルホールドするタイミングは、図6のように限定されるものではない。1つの実施形態では、次のようなタイミングでバイアス電流をサンプリングおよび保持することができる。
図7は、バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示す別のタイミングチャートである。図7を参照して、サンプルホールド信号を発生させる時刻を、送信タイミング信号の発生開始時刻から一定時間遅延させる。この遅延時間は、オートパワーコントロール(APC)が安定するまでの時間として予め設定された時間である。
なお、APCが安定するまでは、バイアス電流の変化が生じる。このため、バイアス電流のサンプルホールドは、一定の時刻から開始されることが好ましい。その時刻は、APCが安定するとみなされる時刻である。すなわち一定の時刻からバイアス電流のサンプルホールドを開始するという条件は、レーザダイオード31の光出力パワーが安定するとみなすことができる所定の条件に該当する。また、APCが安定したと判断するための条件としては、レーザダイオード31の光出力パワーが所定の範囲内に入るという条件であってもよい。
たとえばGE−PONでは、プリアンブル長が最大で800nsであり、最小フレーム長が64バイト(=512bit)すなわち496nsである。したがって図7に示されるように、最短バースト信号長は1.296μsとなる。すなわちバイアス電流が供給される時間の最短の長さは1.296μsである。サンプルホールド信号SHは、バイアス電流の供給開始時刻からt1だけ遅延した時刻に発生する。サンプルホールド信号SHの発生する時間の長さは、たとえば0.671μsである。
また、10G−EPONでは、プリアンブル長が最大で1.2μsであり、最小フレーム長が256バイト(=2048bit)すなわち198nsであるので、最短バースト信号長は、1.398μsとなる。サンプルホールド信号SHを発生させる時刻は、最短バースト信号長および、バイアス電流の安定時刻に鑑みて、適切に定めることができる。たとえば、図7に示すt2において、通信制御部12はサンプルホールド信号SHを発生させてもよい。
図8は、バイアス電流、送信タイミング信号、およびサンプルホールド信号を示すさらに別のタイミングチャートである。図8を参照して、この実施の形態では、サンプルホールド信号を発生させる時刻を、送信タイミング信号の発生開始時刻から一定時間遅延させる。さらに、光信号の送信が許可される時間の長さ(すなわち送信タイミング信号の長さ)に依存することなく、サンプルホールド信号を発生させる期間を一定にする。すなわち、サンプルホールド部46は、光信号の発生する期間内の、固定された時間帯において、バイアス電流値を取得する。
バイアス電流をサンプルホールドする期間が変化すると、バイアス電流が変化する可能性がある。これは、たとえばバイアス電流の供給時間に依存してレーザダイオード31の温度が変化するためである。一般に、レーザダイオードの温度が高くなると、同じ光出力パワーをレーザダイオードから出力するためのバイアス電流が高くなる。
この実施の形態に示されるように、送信タイミング信号の発生開始時刻から一定時間が経過した時刻から開始される一定の時間帯においてバイアス電流をサンプリングすることが好ましい。この時間帯は、たとえばレーザダイオード31の温度が安定した状態となる時間帯として予め定められる。レーザダイオード31の温度が安定した時間帯に、バイアス電流をサンプリングすることによって、バイアス電流の値から温度依存性の影響を取り除くことができる。したがって、発光素子の寿命時間をより正確に予測することができる。
<寿命時間の予測>
バイアス制御部41は、ある時点におけるレーザダイオード31のバイアス電流の値を記憶部47に記憶させる。したがって記憶部47に記憶されたバイアス電流の値は、レーザダイオード31の動作時間と関連付けられている。
次に、バイアス制御部41は、光信号の送信期間におけるバイアス電流の値を取得する。なお、バイアス制御部41は、この取得された電流値と、タイマ48によって測定されたレーザダイオード31の動作時間とを関連付ける。
バイアス制御部41は、これら2つの電流の値、およびそれらの値に関連付けられたレーザダイオード31の動作時間から、レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流値の変化量を算出する。そして、バイアス制御部41は、レーザダイオード31の動作時間と、バイアス電流値の変化量との間の関係に基づいて、レーザダイオード31の残り寿命時間を予測する。
2つの電流値のうち、記憶部47に記憶される電流値、すなわちサンプルホールド部46によって取得された電流値と比較される比較対象値を取得するタイミングは特に限定されない。その理由は、レーザダイオード31の異なる動作時間にバイアス電流の値を取得すれば、レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流の変化量を算出することができるためである。1つの実施形態では、記憶部47に記憶される電流値(比較対象値)は、レーザダイオード31の初期電源投入時(たとえば動作時間=0のとき)のバイアス電流の値とされる。別の実施の形態では、前回取得されたバイアス電流の値を、そのときのレーザダイオード31の動作時間と関連付けて比較対象値とすることができる。
図9は、第1の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間の予測方法を説明するためのグラフである。図9を参照して、グラフの横軸は、ONU202の稼働開始からの経過時間、すなわちレーザダイオード31の累積動作時間を示す(単位:時間(h))。グラフの縦軸は、バイアス電流を示す(単位:mA)。
図9によれば、経過時間が0のときのバイアス電流値が取得されて、その電流値が比較対象値として記憶部47に記憶される。次に、光信号のある送信タイミングにおいてバイアス電流値が取得される。バイアス制御部41は、これらの2つの電流値を示す点を結ぶ直線を表わす式(一次関数)を求める。レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流の変化量は、この一次関数の傾きに対応する。
バイアス制御部41は、求められた一次関数から、レーザダイオードの寿命時間を算出する。たとえば、バイアス電流がある上限値に達するときの動作時間が寿命時間として算出される。また、残り寿命は、その算出された寿命時間から、現在までの動作時間を減算することによって算出することができる。
なお、図9に示された例では、グラフ上の2つの点に対して線形近似を適用して、レーザダイオード31の寿命時間が算出される。しかしながら、線形近似とは別の近似(たとえば多項式近似あるいは指数近似など)をグラフ上の2点に適用してレーザダイオード31の寿命時間を算出してもよい。また、レーザダイオード31の動作時間(経過時間)と関連付けられたバイアス電流値の数は、最低2つであればよい。したがって、たとえば経過時間が異なる3つ以上のバイアス電流値を取得して、線形近似等の適切な近似によってレーザダイオード31の寿命時間を予測してもよい。
図10は、第1の実施の形態に係る、発光素子のバイアス電流の制御を説明するためのフローチャートである。図10を参照して、処理が開始されると、ステップS1において、バイアス制御部41は、送信タイミング信号を受信する。
ステップS2において、バイアス制御部41は、バイアス電流を制御する。ステップS3において、光出力パワーモニタ部42は、モニタ用受光素子33から出力される電流に基づいて、レーザダイオード31の光出力パワーを検知する。光出力パワーモニタ部42は、その検知した光出力パワーを示す信号をバイアス制御部41に出力する。
ステップS4において、バイアス制御部41は、送信期間が終了したかどうかを判定する。バイアス制御部41に送信タイミング信号が継続して入力されている場合には、バイアス制御部41は、送信期間が終了していないと判定する。この場合(ステップS4においてNO)、処理はステップS2に戻される。
ステップS2において、バイアス制御部41は、光出力パワーモニタ部42の検知結果(ステップS3の処理で取得される)に基づいて、レーザダイオード31の光出力パワーが一定となるようにバイアス電流を制御する。すなわち、送信タイミング信号が発生している間、バイアス制御部41は、光出力パワーモニタ部42によって検知されたレーザダイオード31の光出力パワーに基づいて、その光出力パワーが一定となるようにバイアス電流を制御する。つまり、バイアス制御部41は、APCを実行する。
一方、送信タイミング信号の発生が終了した場合、バイアス制御部41への送信タイミング信号の入力も終了する。応じて、バイアス制御部41は、送信期間が終了したと判定する。この場合(ステップS4においてYES)、処理はステップS5に進む。ステップS5において、バイアス制御部41は、バイアス電流を停止する。ステップS5の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
図11は、第1の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間を予測するためのフローチャートである。図11を参照して、処理が開始されると、ステップS11において、サンプルホールド部46は、サンプルホールド信号SHを受信する。ステップS12において、サンプルホールド部46は、バイアス電流値をサンプリングする。なお、上述のように、サンプルホールド部46は、電流電圧変換部45の出力する電圧(バイアス電流値を変換した後の電圧)をサンプリングする。バイアス電流値は、サンプルホールド部46が取得した電圧値に基づいて、バイアス制御部41によって計算される。ただし、以後の説明が理解しやすいように、ここでは、「バイアス電流値をサンプリングする」と記載する。
ステップS13において、サンプルホールド部46は、サンプリング期間が終了したかどうかを判定する。具体的には、サンプルホールド部46は、サンプルホールド信号SHがサンプルホールド部46に入力されているかどうかを判定する。
サンプルホールド信号SHがサンプルホールド部46に入力されている場合、サンプルホールド部46は、サンプリング期間が終了していないと判定する。この場合(ステップS13においてNO)、処理はステップS12に戻される。したがってサンプルホールド部46は、バイアス電流値のサンプリングを継続する。
一方、サンプルホールド信号SHの発生が終了した場合、サンプルホールド部46へのサンプルホールド信号SHの入力も終了する。したがってサンプルホールド部46は、サンプリング期間が終了したと判定する。この場合(ステップS13においてYES)、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、バイアス制御部41は、記憶部47に記憶されているバイアス電流の値および、その値に関連付けられたレーザダイオード31の動作時間を取得する。ステップS15において、バイアス制御部41は、レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流の変化量を算出する。
ステップS16において、バイアス制御部41は、レーザダイオード31の寿命時間を予測する。上記のように、バイアス制御部41は、これらの電流値を示す点を用いて近似式(たとえば一次関数)を求める。そして、その求められた式に基づいて、レーザダイオードの寿命時間が算出される。たとえばバイアス電流が初期の値から50%上昇したとき(バイアス電流が初期の値の150%になったとき)の動作時間が寿命時間とみなされる。
なお、寿命時間の定義は、上記のように限定されるものではない。また、ONUごとに寿命時間の定義が異なっていてもよい。ステップS16の処理が終了すると、全体の処理が終了する。
少なくともステップS11〜S13の処理は、図10に示されるステップS1〜S4の処理が実行される間に実行される。なお、ステップS14〜S16の処理は、ステップS1〜S4の処理が実行される間に実行されてもよく、ステップS1〜S4の処理が実行されるタイミングとは異なるタイミングで実行されてもよい。
ステップS16で算出された寿命時間(残り寿命時間でもよい)は、ONU202からOLT201に送信される。たとえばOAMフレームを利用して、ONU202からOLT201に、レーザダイオード31の寿命時間を通知することができる。
PON方式では、IEEE802.3ah規格において子局装置の保守・監視のためのやり取りに用いる方式をOAMとして規定している。OAMフレームを用いた主な機能としては、障害通知、ループバック試験,リンク監視がある。OAMは、機能拡張に備えて未使用フレームを準備している。したがって、ONUのレーザダイオード31の寿命時間データを、OAMフレームを用いてOLT201へ送信することができる。
ONUは、P2MP形態の光回線に接続されており、時分割多重で上り方向の光信号を間欠的に送信する。したがって、任意のタイミングでレーザダイオード31のバイアス電流を測定した場合には、バイアス電流を正確に測定することが難しい。たとえば、レーザダイオード31が発光していない(バイアス電流が0である)にもかかわらず、バイアス電流が計測される可能性が考えられる。
第1の実施の形態によれば、ONUが光信号を発生させるタイミングで、バイアス電流値が測定される。そして、レーザダイオードの動作時間に対するバイアス電流値の変化量に基づいて、レーザダイオードの寿命が予測される。これにより、レーザダイオードの寿命時間をより正確に予測することができる。
第1の実施の形態によれば、通信制御部12は、OLT201からの制御情報(Gateフレーム)に基づいて、光信号の送信タイミングを決定することができる。具体的には、図5に示された手続きに基づいて、光送信機から送信すべき情報およびその情報の送信タイミングを決定することができる。この場合、各ONUから送られる上り光信号が時間的に衝突することなくOLT201に到達することができる。
さらに、保守作業者は、OLT201に送られた情報に基づいて各ONUのレーザダイオードの交換時期を正確に把握することができる。これにより効率的な保守作業を実行することができる。
[実施の形態2]
既に説明したように、バイアス電流が上昇する要因としては、レーザダイオードの性能低下に加えて、レーザダイオードの温度の上昇が考えられる。第2の実施の形態では、レーザダイオードの温度を考慮した寿命予測を行なう。これにより、レーザダイオードの寿命時間をより正確に予測することができる。
第2の実施の形態では、記憶部47(図3を参照)は、温度とバイアス電流との関係を予め記憶する。図12は、図3に示された記憶部47に記憶された、温度とバイアス電流との関係の一例を示した図である。図12を参照して、レーザダイオード31の動作時間が0であり、所定の光出力パワーをレーザダイオード31が発生させる場合における、レーザダイオード31の温度とバイアス電流との間の関係が、表形式で記憶部47に記憶される。
なお、上記の「所定の光出力パワー」とは、APCによるバイアス電流の制御によって達成される光出力パワーの目標値に等しい。また、図12に示された数値は、理解を容易にするためのものであり、この数値によって発明が限定されるものではない。
図12に示される表形式に代えて、記憶部47は、温度とバイアス電流との関係を示す計算式を記憶しておいてもよい。図13は、温度とバイアス電流との関係を示すグラフである。図13に示される曲線は、たとえば予め実験によって求められる。このグラフに基づいて温度とバイアス電流との関係を示す計算式が予め求められるとともに、その式が記憶部47に予め記憶される。バイアス制御部41は、この計算式と、温度モニタ部43で測定された温度とを用いてバイアス電流を計算する。この計算によって求められたバイアス電流の値は、サンプルホールド部46およびバイアス制御部41によって取得されたバイアス電流の値と比較される比較対象値とされる。
図14は、第2の実施の形態に係る、発光素子の寿命時間を予測するためのフローチャートである。図11および図14を参照して、第2の実施の形態は、ステップS14の処理に代えてステップS14Aの処理が実行される点において第1の実施の形態と異なる。
ステップS14Aにおいてバイアス制御部41は、温度モニタ部43から、温度モニタ部43によって測定された温度の値を取得する。バイアス制御部41は、記憶部47から、その温度の値と関連付けられたバイアス電流の測定値を取得する。図14における他のステップの処理は、図11に示された対応するステップの処理と同様であるので以後の説明は繰り返さない。したがって第1の実施の形態と同様の方法に従って、2つの電流値およびそれらの電流値に関連付けられたレーザダイオード31の動作時間から、レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流の変化量が算出される。そしてその変化量からレーザダイオード31の寿命時間が予測される。
ONUに設けられたレーザダイオードの温度は変化しうる。たとえばレーザダイオードの動作時にレーザダイオードの温度が上昇する。また、たとえばONUが屋外に設置されている場合、たとえば気温とともにレーザダイオードの雰囲気温度が変化する。
レーザダイオードの駆動電流が同じであっても、レーザダイオードの温度が上昇するにつれてレーザダイオードの光出力パワーが低下する。上述のように、バイアス制御部はAPCを実行する。したがって、レーザダイオードの温度が上昇するとバイアス電流が増大する。第2の実施の形態では、予め記憶された、温度とバイアス電流との関係に基づいて、温度モニタ部43によって検知された温度に対応するバイアス電流の値(比較対象値)が決定される。この比較対象値は、サンプルホールド部46およびバイアス制御部41によって取得されたバイアス電流の値と比較される。
第2の実施の形態によれば、同一の温度、かつ同一の光出力パワーという条件の下で、レーザダイオード31の動作時間に対するバイアス電流の変化量を算出することができる。これにより、発光素子の寿命予測において、バイアス電流の温度依存性を考慮した上で発光素子の寿命時間を予測することができる。したがって、第2の実施の形態によれば、レーザダイオードの寿命時間をより正確に予測することができる。
[実施の形態3]
第3の実施の形態では、ONUは、OLTからバイアス電流測定用の制御フレーム(制御情報)を受信すると、送信タイミング信号およびサンプルホールド信号を生成する。さらにONUは、ダミーのデータを作成して、そのダミーデータを上り光信号としてOLTに送信する。なお、レーザダイオードの寿命予測方法は、第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る方法と同様の方法を採用することができる。
図15は、第3の実施の形態に係るバイアス電流の測定のためのダミーデータ送信処理を説明するシーケンス図である。図15を参照して、親局(OLT)は、バイアス電流測定用の制御フレームをブロードキャスト配信する。したがって、PON回線に接続されているn台の子局(ONU)(nは1以上の整数)が制御フレームを受信する。
各ONUの通信制御部12は、その制御フレームに従って送信タイミング信号およびサンプルホールド信号を生成する。さらに、ONUはダミーデータを生成する。各ONUの送信部21は、その送信タイミング信号によって指定された送信開始時刻および送信期間に、ダミーデータである上り光信号をOLT201に送信する。OLT201は、ONU202からのダミーデータを受信するが、そのダミーデータを廃棄する。
サンプルホールド信号は、ダミーデータの送信期間にONU202の通信制御部12によって生成される。ただし、複数のONU202の間でサンプルホールド信号の発生を同期させる必要はない。すなわち、各ONUは、ダミーデータの送信期間内の任意のタイミングでサンプルホールド信号を発生させてもよい。すなわち、この実施の形態では、サンプルホールド信号の発生タイミングを可変とすることができる。
また、バイアス電流測定用の制御フレームは、専用の制御フレームであってもよい。代替的には、複数のONUにブロードキャスト配信される制御フレームをバイアス電流測定用の制御フレームとして用いることができる。1つの実施形態では、そのような制御フレームは、Discovery(ディスカバリ)フレームである。
Discoveryフレームは、所定の周期(たとえば数十〜数百ミリ秒)でOLT201から繰り返し送信される。Discoveryフレームを受信するごとにONU202がダミーデータの光信号を発生させてバイアス電流を測定すると、ONU202での負荷が増大することが懸念される。したがって、たとえば、ONUは、Discoveryフレームを複数の所定回数受信するごとに1回、送信タイミング信号およびサンプルホールド信号を生成してもよい。
同じく、OLTは、バイアス電流測定用の制御フレームを、たとえば一定の時間間隔で送信してもよい。この時間間隔は、特に限定されない。バイアス電流測定用の制御フレームの送信間隔は、たとえば1時間に1回でもよく、1日に1回でもよい。上記のようなONU202の負荷の問題が生じない程度にバイアス電流測定用の制御フレームの送信間隔を設定することができる。
以上のように、第3の実施の形態によれば、通信制御部12は、制御フレームに基づいて、光信号の送信タイミングを決定することができる。1つの実施形態では、制御フレームによって送信タイミングが指定される。これによって実施の形態と同様に、たとえば光回線に他の光送信機が接続されている場合に、その光送信機が発する光信号と時間的に衝突することなく光信号を送信することができる。
また、この実施の形態では、ダミーデータを示す光信号を発光素子に発生させる。ダミーデータを示す光信号を発生させることで、ONUでは確実に光信号を発生させることができるので、バイアス電流の電流値を取得できる。さらにOLT201は、ONU202からダミーデータが送られることを予め把握することができるので、そのデータを破棄することができる。これにより、光回線およびONU202の管理等に生じる影響を小さくすることができる。
また、この実施の形態では、バイアス電流を測定するための制御フレームにディスカバリゲートを用いることができる。ディスカバリゲートはすべてのONUに配信される。したがって各ONUにおいて、バイアス電流を取得してレーザダイオードの寿命時間を予測することができる。なお、すべてのONUがディスカバリゲートに対して応答する必要はない。このため、ONUが光信号を発生させない場合も起こり得る。しかしながら、この実施の形態では、ONUがダミーデータを示す光信号を発生させる。これによりONUでは確実に光信号を発生させることができる。
なお、第3の実施の形態においても、第2の実施の形態に示されるように、記憶部47に、バイアス電流と温度との関係を記憶させてもよい。この場合には、発光素子の寿命予測において、バイアス電流の温度依存性を考慮した上で発光素子の寿命時間を予測することができる。したがって、第2の実施の形態と同じく、レーザダイオードの寿命時間をより正確に予測することができる。
また、上記の各実施の形態では、バイアス制御部41によってレーザダイオード31の寿命時間が予測されるものとした。しかしレーザダイオード31の寿命時間を通信制御部12によって予測してもよい。さらに、サンプルホールド部46によって取得された電流値とタイマ48によって計測されたレーザダイオード31の動作時間とを関連付ける機能、その動作時間に対するバイアス電流の変化量を算出する機能、および、そのバイアス電流の変化量に基づいて発光素子の寿命時間を予測する機能を、バイアス制御部41と通信制御部12とで分担してもよい。
また、上記各実施の形態では、駆動電流の値としてバイアス電流の値を取得するものとした。しかし駆動電流の値として、たとえば変調電流の直流レベルの値を取得してもよい。
また、上記の各実施の形態では、サンプルホールド部46は、サンプルホールド信号SHに応じてバイアス電流の値を取得する。サンプルホールド部46は、レーザダイオード31が光信号を発しているときに駆動電流の電流値を取得すればよい。したがって、たとえば光出力パワーモニタ部42からの信号をサンプルホールド信号SHに代えて用いてもよい。たとえばレーザダイオード31が光信号を発すると、光出力パワーモニタ部42からの出力信号の強度が増大する。応じてサンプルホールド部46はバイアス電流の値を取得してもよい。
また、この実施の形態では、P2MP形態の光回線としてPONを示した。しかしながらPON以外のP2MP形態の光回線に接続される光送信機において、光信号を時分割多重で送信するのであれば本発明を適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 光通信モジュール、12 通信制御部、21 送信部、22 受信部、23 光合分波器、31 レーザダイオード、32 電流源、33 モニタ用受光素子、34 駆動回路、41 バイアス制御部、42 光出力パワーモニタ部、43 温度モニタ部、44 変調制御部、45 電流電圧変換部、46 サンプルホールド部、47 記憶部、48 タイマ、51 入力バッファ、52 サンプリングスイッチ、53 ホールドキャパシタ、54 出力バッファ、201 OLT(局側装置)、202,202A〜202E ONU(宅側装置)、301 PONシステム。

Claims (6)

  1. P2MP(Point to Multi Point)形態の光回線に接続されて、上り方向の光信号を時分割多重で間欠的に送信する光送信機であって、
    前記光信号を発生させるための発光素子と、
    前記発光素子により発生した前記光信号の光出力パワーをモニタする光出力パワーモニタ部と、
    前記光出力パワーモニタ部によってモニタされた前記光出力パワーに基づいて、前記発光素子に供給される駆動電流を制御する駆動部と、
    前記光送信機の送信タイミングを決定して、前記送信タイミングにおいて前記発光素子から前記光信号が発生するように前記駆動部を制御する制御部と、
    前記光信号が発生する間に、前記駆動電流の電流値を取得する電流値取得部と、
    前記発光素子の動作時間を計測する時間計測部とを備え、
    前記電流値取得部によって取得された前記電流値と、前記時間計測部によって計測された前記動作時間とを関連付けて、前記動作時間に対する前記駆動電流の変化量を算出して、前記変化量に基づいて前記発光素子の寿命時間を予測する、光送信機。
  2. 前記駆動部は、前記光出力パワーを安定させるための前記駆動電流のフィードバック制御を実行し、
    前記電流値取得部は、前記駆動部による前記フィードバック制御の開始後に、前記電流値を取得する、請求項1に記載の光送信機。
  3. 前記電流値取得部は、前記光信号の発生する期間内の、固定された時間帯において、前記電流値を取得する、請求項1または2に記載の光送信機。
  4. 前記光送信機は、
    所定の動作時間における前記駆動電流の前記電流値を、前記発光素子の雰囲気温度と関連付けて記憶する記憶部と、
    前記発光素子の前記雰囲気温度をモニタする温度モニタ部とをさらに備え、
    前記温度モニタ部によってモニタされた前記雰囲気温度に基づいて、前記記憶部に記憶された電流値から、前記電流値取得部によって取得された前記電流値と比較される比較対象値を決定して、前記電流値取得部によって取得された前記電流値と、前記比較対象値とに基づいて、前記変化量を算出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の光送信機。
  5. 前記光送信機は、
    前記光回線を介して前記光送信機に送られた光信号を受信する受信部をさらに備え、
    前記制御部は、前記受信部が、ディスカバリゲートを示す光信号を受信した場合に、可変の送信タイミングで、ダミーデータを示す前記光信号が前記発光素子から発生するように、前記駆動部を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載の光送信機。
  6. P2MP(Point to Multi Point)形態の光回線に接続されて上り方向の光信号を時分割多重で間欠的に送信する光送信機に用いられる発光素子の寿命予測方法であって、
    前記光送信機の送信タイミングを決定するステップと、
    前記送信タイミングにおいて、前記発光素子に駆動電流を供給して前記光信号を発生させるステップと、
    前記発光素子から出力される前記光信号の光出力パワーをモニタするステップと、
    前記モニタするステップによってモニタされた前記光出力パワーに基づいて前記駆動電流を制御するステップと、
    前記光信号が発生する間に、前記駆動電流の電流値を取得するステップと、
    前記発光素子の動作時間を計測するステップと、
    前記取得された電流値と、前記計測された動作時間とを関連付けて、前記動作時間に対する前記駆動電流の変化量を算出して、前記変化量に基づいて前記発光素子の寿命時間を予測するステップとを備える、発光素子の寿命予測方法。
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