JP6032075B2 - 光伝送装置および光伝送システム - Google Patents

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Description

本発明は、光伝送装置および光伝送システムに関する。
近年、FTTH(Fiber To The Home)サービス等の高速なインターネットアクセスサービスが普及している。FTTHサービスにおいて、たとえば一本の光ファイバを複数のユーザで共有するPON(Passive Optical Network)が知られている。
また、LD(Laser Diode:レーザダイオード)をレーザ発振領域にもちこむ寸前のプリバイアス電流値に相当する電圧と劣化判定電圧とを比較してLD劣化状態を判定する技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照。)。また、LD光出力信号を所定のレベルに維持するための温度特性に従った駆動電流データを基にLDの劣化を判定して、駆動電流制御データを補正し、初期動作状態における光出力信号を所定のレベルに制御する技術が知られている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
特開平9−18412号公報 特開2005−197984号公報
しかしながら、上述した従来技術では、レーザダイオードが急激に劣化して動作しなくなる頓死の予兆を早期に予測することは困難であるという問題がある。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、レーザダイオードの頓死を早期に予測することができる光伝送装置および光伝送システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードを備える光伝送装置において、前記レーザダイオードへ第1駆動電流を入力することにより光信号を送信し、前記光信号を送信しない周期的な期間において大きさが異なる複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力し、前記レーザダイオードから出射された光の強度を測定し、前記複数の第2駆動電流を入力したときに測定した各強度および前記複数の第2駆動電流の大きさに基づいて前記レーザダイオードの閾値電流を算出し、算出した閾値電流の所定期間内の変化量に基づいて前記レーザダイオードの頓死の予兆を判定する光伝送装置および光伝送システムが提案される。
本発明の一側面によれば、レーザダイオードの頓死の予兆を早期に予測することができるという効果を奏する。
図1−1は、実施の形態1にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。 図1−2は、図1−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。 図2−1は、実施の形態2にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。 図2−2は、図2−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。 図3−1は、光伝送装置を適用した通信システムの一例を示す図である。 図3−2は、通信システムにおいて使用される各波長帯域の一例を示す図である。 図4−1は、OLTにおける上り光信号の受信タイミングの一例を示す図である。 図4−2は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例1を示す図である。 図4−3は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例2を示す図である。 図4−4は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例3を示す図である。 図4−5は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例4を示す図である。 図4−6は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例5を示す図である。 図4−7は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例6を示す図である。 図4−8は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例7を示す図である。 図5は、LDにおける駆動電流と出力パワーの関係の一例を示すグラフである。 図6は、LDにおける閾値電流の変化の一例を示すグラフである。 図7は、閾値電流の算出を示すグラフである。 図8−1は、LDチップの構成の一例を示す図である。 図8−2は、図8−1に示したLDチップの構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。 図9−1は、駆動回路およびLDチップの構成の一例を示す図である。 図9−2は、図9−1に示した駆動回路およびLDチップの構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。 図10−1は、電気スイッチ回路の構成の一例を示す図である。 図10−2は、電気スイッチ回路の切替回路の動作の一例を示す図である。 図11は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図12−1は、LDチップおよびPDチップの構成の一例を示す図である。 図12−2は、LDチップおよびPDチップの構成の他の例を示す図である。 図13−1は、実施の形態3にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。 図13−2は、図13−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。 図14は、駆動電流に対するLD光出力パワーの温度特性の一例を示すグラフである。 図15は、温度補正用データベースの一例を示す図である。 図16は、温度により補正した閾値電流の算出の一例を示す図である。 図17は、温度補正用データベースの他の例を示す図である。 図18は、温度により補正した閾値電流の算出の他の例を示す図である。 図19は、実施の形態3にかかる光伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図20−1は、実施の形態4にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。 図20−2は、図20−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。
以下に図面を参照して、本発明にかかる光伝送装置および光伝送システムの実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1にかかる光伝送装置の構成)
図1−1は、実施の形態1にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。図1−2は、図1−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図1−1,図1−2に示すように、実施の形態1にかかる光伝送システム100は、光伝送装置110と、光受信装置120と、を含む。
光伝送装置110は、光伝送路101を介して光信号を光受信装置120へ伝送する。光受信装置120は、光伝送装置110から光伝送路101を介して伝送された光信号を受信する。また、光伝送システム100において、光伝送装置110は、他の光伝送装置と光伝送路101を共有して光受信装置120へ光信号を送信する構成としてもよい。
光伝送装置110は、LD111と、制御部112と、測定部113と、算出部116と、判定部117と、を備える。LD111は、入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードである。
制御部112は、LD111へ第1駆動電流を入力することにより光信号を送信する。また、制御部112は、光信号を送信せず、かつ周期的な期間において、LD111を複数回、微弱発光させる。たとえば、制御部112は、第2駆動電流をLD111へ複数回入力する。第2駆動電流は、たとえば第1駆動電流より小さい電流である。
また、制御部112は、複数回入力する第2駆動電流の大きさをそれぞれ異なる大きさにする。複数の第2駆動電流は、断続的に複数回入力される電流であってもよいし、段階的に大きさが変化しながら連続的に入力される電流であってもよい。また、制御部112は、入力した第2駆動電流の大きさと、第2駆動電流を入力したタイミングと、を算出部116へ通知する。
たとえば、制御部112は、光信号の送信先の光受信装置120から通知された期間において光信号を送信し、光受信装置120から通知された期間とは異なる期間においてLD111を微弱発光させる。ただし、LD111を微弱発光させる期間は、光受信装置120から通知された期間に限らず、たとえば光伝送装置110が送信する光信号がない期間等、光伝送装置110が光信号を送信しない種々の期間とすることができる。
測定部113は、LD111から出射された光の強度を測定する。具体的には、測定部113は、分岐部114と、受光部115と、を備える。分岐部114は、LD111から出射された光(前方向出力光)を光伝送路101へ送出するとともに、LD111から出射された光の一部を強度分岐して受光部115へ出力する。受光部115は、分岐部114から出力された光を受光し、受光強度に応じた信号を算出部116へ出力する。
算出部116は、制御部112から通知されたタイミングに基づいて、制御部112によって第2駆動電流が複数回入力されたときに測定部113によって測定された各強度を取得する。そして、算出部116は、取得した各強度と、制御部112から通知された第2駆動電流の各大きさと、に基づいてLD111の閾値電流を算出する。閾値電流は、たとえば、LD111がレーザ発振を開始する閾値となる駆動電流である。たとえば、算出部116は、駆動電流とLD111の出力強度との相関を算出し、算出した相関に基づいてLD111の閾値電流を算出する。算出部116は、算出した閾値電流を判定部117へ通知する。
判定部117は、算出部116から通知される閾値電流の所定期間内の変化量に基づいてLD111の頓死の予兆の有無を判定する。具体的には、判定部117は、算出部116から通知される閾値電流の所定期間内の変化量を所定値と比較することによってLD111の頓死の予兆の有無を判定する。
たとえば、判定部117は、算出部116から今回通知された閾値電流と、算出部116から前回通知された閾値電流と、の差を所定値と比較することによって判定する。または、判定部117は、算出部116から今回通知された閾値電流と、算出部116から前回までに通知された複数の閾値電流の平均値(移動平均)と、の差を所定値と比較することによって判定してもよい。
または、判定部117は、算出部116から今回通知された閾値電流と、算出部116から最初に通知された閾値電流と、の差を算出し、今回算出した差と前回算出した差との差を所定値と比較することによって判定してもよい。または、判定部117は、今回通知された閾値電流の、前回通知された閾値電流に対する増加率と、前回通知された閾値電流の、前々回までに通知された複数の閾値電流に対する増加率と、の差を所定値と比較することによって判定してもよい。判定部117は、判定結果を出力する。
このように、光伝送装置110によれば、光伝送装置110が光信号を送信しない周期的な期間において駆動電流の大きさを変えながらLD111を微弱発光させてLD111の閾値電流を計測し、閾値電流の急激な変化を検出することができる。これにより、光通信の運用を止めずにLD111の頓死の予兆の有無を判定することができる。
また、光伝送装置110は、複数のLD111を複数備えていてもよい。複数のLD111は、それぞれ別のチップとして形成されていてもよいし、1つのチップに複数の電極および活性層を設けることによって形成されてもよい。制御部112は、複数のLD111のうちのいずれか一つのLDへ第1駆動電流および第2駆動電流を入力する。また、制御部112は、判定部117から頓死の予兆がある旨の判定結果が出力された場合に、複数のLD111のうちの第1駆動電流を入力するLDを切り替える。
これにより、複数のLD111のうちの使用しているLD111に頓死の予兆がある場合に、使用するLDを他のLDに切り替え、光信号の送信が途切れること(システムダウン)を回避することができる。
また、光伝送装置110においては、第2駆動電流を第1駆動電流より小さくすることによりLD111を微弱発光させる。これにより、光信号を送信せずにLD111を発光させる周期的な期間が、他の伝送装置が光信号を送信する期間の少なくとも一部と重複している場合に、光伝送路101を共有する他の光伝送装置の光信号への影響を抑えることができる。ただし、たとえば、光信号を送信せずにLD111を発光させる周期的な期間が、他の伝送装置が光信号を送信する期間と重複していない場合は、第2駆動電流の大きさは特に限定しない。
<LDの頓死について>
LDの頓死について説明する。LDにおいては、LDの材料等の種々の要因により結晶欠陥が生じる。結晶欠陥は時間の経過とともに徐々に拡大していき、結晶欠陥が活性層に入り込むと活性層の一部に非発光部が形成される。そして、非発光部の拡大にともない、駆動電流に対する光出力パワーが小さくなっていく。これに対して、光出力パワーを維持するために大きな駆動電流がLDに注入されることにより、非発光部の拡大が急激に進む。そして、非発光部が活性層の広い範囲や端面におよびその付近に形成されると加速的に光吸収が生じるなどして急にレーザ発振が不可能になり、LDが発光しなくなる。
LDの頓死という不良モードは、上述のように進行性があるものであるため、運用前の出荷試験やスクリーニングで事前に取り除くことが困難である。また、運用中の光出力パワーの劣化や電流の増加を監視したとしても、認識できるある程度の光出力劣化や電流増加が発生している時点から、LDの頓死までの経過が速いため、LDの頓死の予兆を早期に予測することは困難である。
LDの活性層に非発光部が生じると、非発光部が生じた部分のエネルギーバンドギャップが小さくなり、電子の閉じ込めが不十分になることにより反転分布が形成されにくくなる。また、非発光部で光吸収現象が生じ、これを補うために活性層全体のキャリア密度が増加する。このため、レーザ誘導放出が起きるまでに要する駆動電流の量(閾値電流)が増える。これを利用して、光伝送装置110は、LDの閾値電流を監視することにより、頓死の経過における初期症状をとらえ、頓死に至る予兆を早期に検出することができる。
また、LDの閾値電流は、LDが故障しなくても摩耗劣化により徐々に増加する。これに対して、光伝送装置110は、LDの閾値電流の急激な変化を監視することにより、LDの正常な摩耗劣化とは区別して、頓死に至る予兆を早期に検出することができる。
なお、LDの頓死については、たとえば非特許文献(“テクニカル・ノート PQ10478JJ02V0TN”、[online]、[2013年1月22日検索]、インターネット<URL:http://japan.renesas.com/products/common_info/reliability/jp/download/PQ10478JJ02V0TN_ch03.pdf>の3.2.11章)等を参照することができる。
(実施の形態2)
(実施の形態2にかかる光伝送装置の構成)
図2−1は、実施の形態2にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。図2−2は、図2−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図2−1,図2−2に示すように、実施の形態2にかかる光伝送装置200は、信号データ生成部211と、駆動回路212と、LDチップ213と、レンズ214と、光ファイバ220と、を備える。
また、光伝送装置200は、PDチップ231と、受光電流モニタ232と、特性劣化検出制御部241と、閾値電流算出部242と、閾値電流記憶部243と、変化量算出部251と、特性判断部252と、を備える。
信号データ生成部211は、光伝送装置200が送信する信号データを生成する。また、信号データ生成部211は、光伝送装置200が光信号を送信すべき送信期間を示す送信期間情報を取得する。そして、信号データ生成部211は、生成した信号データを、取得した情報が示す送信期間において駆動回路212へ出力する。
送信期間情報は、たとえば光信号の送信先の通信装置や上位システムから取得することができる。また、送信期間情報は、光伝送装置200のメモリに記憶されていてもよい。また、信号データ生成部211は、送信期間情報が示す送信期間とは異なる、光伝送装置200が光信号を送信しない非送信期間を示す非送信期間情報を特性劣化検出制御部241へ出力する。
駆動回路212は、LDチップ213を制御する。たとえば、駆動回路212は、信号データ生成部211から出力された信号データに応じた駆動電流をLDチップ213へ出力することにより光信号を送信する。また、駆動回路212は、特性劣化検出制御部241から出力される発光指示情報に応じた駆動電流をLDチップ213へ出力することによりLDチップ213を微弱発光させる。
また、駆動回路212は、特性劣化検出制御部241から切替指示情報が出力されると、LDチップ213が有する複数の活性層のうちの発光させる活性層を切り替える。複数の活性層の切替については後述する(たとえば図8−1〜図10−2参照)。
LDチップ213は、駆動回路212から出力される駆動電流に応じて発光する。これにより、信号データ生成部211から駆動回路212へ出力された信号データに応じた光信号がLDチップ213から出射される。また、特性劣化検出制御部241から駆動回路212へ出力された発光指示情報に応じてPDチップ231が微弱発光する。
レンズ214は、LDチップ213から出射された光を光ファイバ220へ出射する。たとえば、レンズ214は、LDチップ213から拡散して出射される光を、一例としてはビーム径が<10[μm]程度のコリメート光にして光ファイバ220へ出射する。
光ファイバ220は、光を伝送する光伝送路である。光ファイバ220は、コア221と、クラッド222と、を有する。レンズ214から出射された光はコア221に結合し、コア221によって伝送される。
また、光ファイバ220におけるレンズ214の側の端面223は、たとえば研磨により、レンズ214から出射される光に対して斜めに形成されている。これは、コア221から端面223の方向への出力光に対して反射を小さく抑えるために、一般的な手法として一芯双方向用光トランシーバーにはよく用いられている。これにより、レンズ214から光ファイバ220に結合した光のうちの端面223において反射した光は、レンズ214から出射された光と異なる方向へ出射されている。本発明の好ましい実施例の一つはこの構造を利用して構造の簡易化を図る。以下に説明する。
たとえば、図2−2に示すように、端面223が、レンズ214から出射される光の方向に対して90−θ度で形成されているとする。この場合は、端面223における光の屈折を無視すると、レンズ214から出射される光の端面223における反射角は、スネルの法則によりθとなる。
このように、光伝送装置200は、LDチップ213から出射される光の方向に対して端面223が斜めに形成され、LDチップ213から出射される光のうちの端面223から入射した光を伝送する光ファイバ220を備える。
PDチップ231は、レンズ214から出射されて光ファイバ220の端面223において反射した光を受光する。そして、PDチップ231は、受光パワーに応じた電流信号を受光電流モニタ232へ出力する。
受光電流モニタ232は、位置ズレや温度による誤差等を考慮して大口径のものとしてもよい。たとえば、レンズ214から出射されて光ファイバ220の端面223において反射した光のビーム径が<10[μm]程度である場合は、PDチップ231にはたとえば100[μm]程度の受光径のPD(Photo Diode:フォトダイオード)を用いることができる。また、受光電流モニタ232においてDC直流パワーがモニタできればよいため、受光電流モニタ232の周波数応答性能は低くてもよい。
このように、光伝送装置200は、LDチップ213から出射されて光ファイバ220の端面223において反射した光をPDチップ231により受光し、PDチップ231による受光結果により強度を測定する。これにより、LDチップ213から出射された光の強度を測定する測定部を簡単な構成かつ省スペースで実現することができる。
受光電流モニタ232は、PDチップ231から出力された電流信号の大きさを受光電流としてモニタする。たとえば、受光電流モニタ232は、PDチップ231から出力された電流信号を電圧信号に変換するTIA(Transimpedance Amplifier:インピーダンス変換増幅器)や、変換した電圧信号をデジタル信号に変換するADC(Analog/Digital Converter:アナログ/デジタル変換器)などを含む。受光電流モニタ232は、モニタした受光電流を示す受光電流情報を閾値電流算出部242へ出力する。
特性劣化検出制御部241は、信号データ生成部211から出力された非送信期間情報が示す非送信期間において、LDチップ213の発光を指示する発光指示情報を駆動回路212へ出力する。発光指示情報は、たとえば、LDチップ213へ駆動電流を出力するタイミングと、LDチップ213へ出力する駆動電流の大きさと、を指示する信号である。また、特性劣化検出制御部241は、発光指示情報によって指示した駆動電流のタイミングおよび大きさを示す駆動電流情報を閾値電流算出部242へ出力する。
また、特性劣化検出制御部241は、特性判断部252から検出情報が出力されると、LDチップ213が有する複数の活性層のうちの発光させる活性層の切り替えを指示する切替指示情報を駆動回路212へ出力する。
閾値電流算出部242は、受光電流モニタ232から出力される受光電流情報と、特性劣化検出制御部241から出力される駆動電流情報と、を取得する。そして、閾値電流算出部242は、取得した各情報に基づいて、非送信期間におけるLDチップ213の複数回の微弱発光について、LDチップ213へ出力された駆動電流と、PDチップ231における受光電流と、の組みを取得する。
そして、閾値電流算出部242は、複数回の微弱発光について取得した駆動電流および受光電流の組みに基づいてLDチップ213の閾値電流を算出する。つぎに、閾値電流算出部242は、算出した閾値電流を閾値電流記憶部243に記憶させる。また、閾値電流算出部242は、LDチップ213の閾値電流を周期的に算出して閾値電流記憶部243に記憶する。たとえば、閾値電流記憶部243には最新の2つの閾値電流が記憶される。
変化量算出部251は、閾値電流記憶部243に記憶される閾値電流に基づいて、所定期間内のLDチップ213の閾値電流の変化量を算出する。たとえば、変化量算出部251は、閾値電流記憶部243に記憶された最新の2つの閾値電流の差を算出することによりLDチップ213の閾値電流の変化量を算出する。そして、変化量算出部251は、算出した変化量を特性判断部252へ通知する。
特性判断部252は、変化量算出部251から通知された変化量に基づいて、LDチップ213の閾値電流の急激な変化を検出することにより、LDチップ213の頓死の予兆の有無を判断する。たとえば、特性判断部252は、変化量算出部251から通知された変化量が所定値を超えた場合はLDチップ213の頓死の予兆があると判断する。また、特性判断部252は、変化量算出部251から通知された変化量が所定値を超えない場合はLDチップ213の頓死の予兆がないと判断する。
特性判断部252は、LDチップ213の頓死の予兆があると判断すると、LDチップ213の頓死の予兆が検出されたことを光伝送装置200の保守者へ通知するアラームを出力する。また、特性判断部252は、LDチップ213の頓死の予兆があると判断すると、LDチップ213の頓死の予兆が検出されたことを示す検出情報を特性劣化検出制御部241へ出力する。
図1−1,図1−2に示したLD111は、たとえばLDチップ213によって実現することができる。図1−1,図1−2に示した制御部112は、たとえば駆動回路212および特性劣化検出制御部241によって実現することができる。図1−1,図1−2に示した分岐部114は、たとえば光ファイバ220の端面223によって実現することができる。図1−1,図1−2に示した受光部115は、たとえばPDチップ231によって実現することができる。図1−1,図1−2に示した算出部116は、たとえば閾値電流算出部242によって実現することができる。図1−1,図1−2に示した判定部117は、たとえば閾値電流記憶部243、変化量算出部251および特性判断部252によって実現することができる。
なお、閾値電流記憶部243は、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現することができる。
また、信号データ生成部211、駆動回路212、特性劣化検出制御部241、閾値電流算出部242、変化量算出部251および特性判断部252は、たとえばマイコン、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ファームなどを用いた演算回路によって実現することができる。
(光伝送装置を適用した通信システム)
図3−1は、光伝送装置を適用した通信システムの一例を示す図である。図3−1に示す通信システム300は、OLT(Optical Line Terminal:収容局側端末)と複数のONU(Optical Network Unit:加入者側端末)とがカプラによって接続されたPONシステムである。図3−1に示す例では、通信システム300は、OLT310と、ONU321〜324(A〜D)と、伝送路302と、スプリッタ303と、を含む。
OLT310は、LD311と、光フィルタ312,313と、PD314と、を備えている。LD311は、たとえば波長λ1の下り光信号を生成して光フィルタ312へ出射する。光フィルタ312は、LD311から出射された波長λ1の下り光信号をOLT310から出射する。また、光フィルタ312は、OLT310へ入射された光のうちの波長λ1以外の光を光フィルタ313へ出射する。
光フィルタ313は、光フィルタ312から出射された光のうちの、たとえば波長λ2の上り光信号を抽出してPD314へ出射する。PD314は、光フィルタ313から出射された波長λ2の上り光信号を受光し、受光した上り信号を出力する。
伝送路302は、OLT310から出射された波長λ1の下り光信号を通過させてスプリッタ303へ出射する。また、伝送路302は、スプリッタ303から出射された光を通過させてOLT310へ出射する。
スプリッタ303は、伝送路302から出射された光をN(N=2,3,4,…)分岐し、N本の経路へ出射する。また、スプリッタ303は、N本の経路から出射された光を合波して伝送路302へ出射する。たとえば、N本の経路からの各光には、ONU321〜324を含む複数のONUからの波長λ2の上り光信号が含まれる。
つぎに、ONU322の構成について説明するが、ONU321,323,324の構成についても同様である。ONU322は、LD331と、光フィルタ332,333と、PD334と、を備えている。LD331は、波長λ2の上り光信号を生成して光フィルタ332へ出射する。光フィルタ332は、LD331から出射された波長λ2の上り光信号をONU322から出射する。また、光フィルタ332は、ONU322へ入射された光のうちの波長λ2以外の光を光フィルタ333へ出射する。
光フィルタ333は、光フィルタ332から出射された光のうちの、波長λ1の下り光信号を抽出してPD334へ出射する。PD334は、光フィルタ333から出射された波長λ1の下り光信号を受光し、受光した下り信号を出力する。
ONU321〜324のそれぞれは、たとえばOLT310から通知された送信期間によって自装置からの上りの光信号を送信する。これにより、ONU321〜324から送信される各上り光信号は、互いに異なるタイミングとなる。このため、ONU321〜324から送信される各上り光信号をOTDM(Optical Time Division Multiplexing:光時分割多重)によって伝送することができる。
図2−1,図2−2に示した光伝送装置200は、たとえばLD311や、ONU321〜324の少なくともいずれかのLD331に適用することができる。以下、光伝送装置200をONU322のLD331に適用する場合、または光伝送装置200をONU321〜324のそれぞれのLD331に適用する場合について説明する。この場合は、図2−1,図2−2に示した光伝送装置200は、送信期間情報をOLT310から受信することによって取得することができる。
このように、通信システム300のようなPONシステムにおいては、時間分割多重的にタイムスロットがONU321〜324のそれぞれにアサインされ、ONU321〜324が定められたタイミングで光信号を送信する。たとえば光伝送装置200をONU321〜324に適用する場合は、各ONUは、自装置が光信号を送信しない非送信期間を利用して自律的に故障の予兆を診断することができる。
このとき、自装置が光信号を送信しない非送信期間であっても、他のONUは光信号を送信する場合があるため、他のONUからの光信号に影響を与えない程度の微弱な発光を与える極小電流がLDチップ213に印加される。
(通信システムにおいて使用される各波長帯域)
図3−2は、通信システムにおいて使用される各波長帯域の一例を示す図である。図3−2において、横軸は波長を示している。図3−1に示した通信システム300が1[Gbps]のGE−PON(Gigabit Ethernet−PON)である場合は、通信システム300においてはたとえば波長帯域351〜353が使用される。なお、Ethernetは登録商標である。
波長帯域351は、ONU321〜324からOLT310へのアップストリームにおいて使用される帯域であり、上記の波長λ2に対応する。波長帯域352は、OLT310からONU321〜324へのダウンストリームにおいて使用される帯域であり、上記の波長λ1に対応する。波長帯域353は、OLT310からONU321〜324へビデオ信号において使用される帯域であり、上記の波長λ1に対応する。
(OLTにおける上り光信号の受信タイミング)
図4−1は、OLTにおける上り光信号の受信タイミングの一例を示す図である。図4−1において、横軸は時間[s]を示し、縦軸はOLT310における受信光パワー[dBm]を示している。横軸におけるバースト区間T1,T2,…,Tnのそれぞれは、ONU321〜324が光信号を送信する一連の区間を示している。
バースト区間T1は、送信区間T1d,T1c,T1b,T1aを含んでいる。送信区間T1d,T1c,T1b,T1aは、バースト区間T1においてそれぞれONU321〜324が光信号を送信する区間を示している。光信号D1d,D1c,D1b,D1aは、それぞれ送信区間T1d,T1c,T1b,T1aにおいてONU321〜324が送信する光信号を示している。
同様に、バースト区間Tn(n=1,2,3,…)は、区間Tnd,Tnc,Tnb,Tnaを含んでいる。区間Tnd,Tnc,Tnb,Tnaは、バースト区間TnにおいてそれぞれONU321〜324が光信号を送信する区間を示している。光信号Dnd,Dnc,Dnb,Dnaは、それぞれ区間Tnd,Tnc,Tnb,TnaにおいてONU321〜324が送信する光信号を示している。
(LDチップを微弱発光させるタイミング)
図4−2は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例1を示す図である。図4−2において、図4−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−2において、横軸は時間[s]を示し、縦軸はONU323(C)における送信光パワー[dBm]を示している。図4−1に示したように、ONU323は送信区間T1c,T2c,…,Tncにおいて光信号D1c,D2c,…,Dncを送信する。
また、ONU323は、たとえば、バースト区間T1,T2,…,Tnの間の区間の前半においてLDチップ213を微弱発光させる。微弱光S1,S2,S3は、LDチップ213を微弱発光させることにより出射された光である。微弱光S1は微弱光S2よりパワーが低く、微弱光S3は微弱光S2よりパワーが高い。これにより、ONU323は、ONU323が光信号を送信する送信区間T1c,T2c,…,Tncとは異なる期間において、LDチップ213を異なるパワーで複数回、微弱発光させることができる。
そして、ONU323は、微弱光S1,S2,S3のパワーをモニタすることにより、ONU323のLDチップ213の閾値電流を算出する。また、微弱光S1,S2,S3は、たとえば光信号D1c,D2c,…,Dncに比べて20[dB]程度低いパワーである。これにより、通信への影響を抑えつつONU323のLDチップ213の閾値電流を算出することができる。
図4−3は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例2を示す図である。図4−3において、図4−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−3に示すように、ONU323は、バースト区間T1,T2,…,Tnの間の区間の後半においてLDチップ213を微弱発光させてもよい。
図4−4は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例3を示す図である。図4−4において、図4−3に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−4に示すように、ONU323は、他のONUが光信号を送信する送信区間においてLDチップ213を微弱発光させてもよい。
図4−4に示す例では、ONU323は、ONU324(D)が光信号を送信する区間T1d,T2d,…,TndにおいてLDチップ213を微弱発光させている。この場合も、微弱光S1,S2,S3のパワーは微弱であるため、ONU323の通信への影響を抑えつつONU323のLDチップ213の閾値電流を算出することができる。
図4−5は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例4を示す図である。図4−5において、図4−4に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−2〜図4−4においては、ONU323がバースト区間T1,T2,…,Tnのそれぞれに対応してLDチップ213を微弱発光させる場合について説明した。
これに対して、図4−5に示すように、ONU323は、バースト区間T1,T2,…,Tnのうちの一部のバースト区間に対応してLDチップ213を微弱発光させてもよい。図4−5に示す例では、ONU323は、バースト区間T1においてはLDチップ213を微弱発光させる一方、バースト区間T2においてはLDチップ213を微弱発光させていない。
図4−6は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例5を示す図である。図4−6において、図4−5に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−2〜図4−4においては、ONU323がバースト区間T1,T2,…,Tnのそれぞれのバースト区間に対応してLDチップ213を複数回(たとえば3回)ずつ微弱発光させる場合について説明した。
これに対して、図4−6に示すように、ONU323は、バースト区間T1,T2,…,Tnのそれぞれに対応してLDチップ213を1回ずつ微弱発光させてもよい。図4−6に示す例では、ONU323は、バースト区間T1,T2,T3に対応してそれぞれ微弱光S1,S2,S3を出力している。
図4−7は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例6を示す図である。図4−7において、図4−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4−7においてはバースト区間T1について説明するが、バースト区間T2,…,Tnについても同様である。図4−7に示すガードタイムGT1,GT2,GT3は、送信区間T1d,T1c,T1b,T1aの間に設けられ、ONU321〜324のいずれからも光信号が送信されない区間である。
図4−7に示すように、ONU323は、ガードタイムGT1,GT2,GT3においてLDチップ213を微弱発光させてもよい。図4−7に示す例では、ONU323は、ガードタイムGT1,GT2,GT3のそれぞれにおいて微弱光S1,S2,S3を出力している。
図4−8は、LDチップを微弱発光させるタイミングの例7を示す図である。図4−8において、図4−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。光伝送装置200をONU321〜324のそれぞれに適用する場合は、ONU321〜324のそれぞれは、他のONUが光信号を送信する送信区間、またはいずれのONUも光信号を送信しない区間においてLDチップ213を微弱発光させる。
図4−8に示す例では、ONU321(A)は、ONU322(B)が光信号を送信する区間T1b,T2b,…,TnbにおいてLDチップ213を微弱発光させている。ONU322(B)は、ONU323(C)が光信号を送信する区間T1c,T2c,…,TncにおいてLDチップ213を微弱発光させている。ONU323(C)は、ONU324(d)が光信号を送信する区間T1d,T2d,…,TndにおいてLDチップ213を微弱発光させている。ONU324(D)は、バースト区間T1,T2,…,Tnの間の区間の後半においてLDチップ213を微弱発光させている。
図4−2〜図4−8に示すように、ONU321〜324のうちの光伝送装置200が適用されたONUは、自装置が光信号を送信しない期間においてPDチップ231を微弱発光させる。これにより、自装置および他のONUによる通信への影響を抑えつつ、LDチップ213の頓死を予測することができる。
また、異なる大きさの駆動電流を断続的に入力して断続的な微弱光S1,S2,S3を出力する場合について説明したが、異なる大きさの駆動電流を連続的に入力して連続した微弱光S1,S2,S3を出力する構成としてもよい。
(LDにおける駆動電流と出力パワーの関係)
図5は、LDにおける駆動電流と出力パワーの関係の一例を示すグラフである。図5において、横軸はLDチップ213へ入力される駆動電流[mA]を示し、縦軸はLDチップ213から出力される光のパワー(LD光出力パワー)[mW]を示している。
発光特性501〜505は、それぞれLDチップ213の異なる劣化度合いにおける、LDチップ213の駆動電流に対する光出力パワーの特性を示している。発光特性501は、LDチップ213の劣化が最も小さい場合の発光特性である。発光特性505はLDチップ213の劣化が進み頓死に至った場合の発光特性である。発光特性501〜505に示すように、LDチップ213は、劣化が進むほど、入力される駆動電流に対する光出力パワーの比が小さくなる。
閾値電流Ith1〜Ith5は、それぞれ発光特性501〜505における、LDチップ213が発光する最小の駆動電流を示している。閾値電流Ith1〜Ith5に示すように、LDチップ213の閾値電流は、LDチップ213の劣化が進むほど高くなる。
(LDにおける閾値電流の変化)
図6は、LDにおける閾値電流の変化の一例を示すグラフである。図6において、横軸は時間[h]を示し、縦軸はLDチップ213の閾値電流Ith[mA]を示している。閾値電流変化601は、LDチップ213が頓死せずに徐々に劣化する場合のLDチップ213の閾値電流の変化を示している。閾値電流変化602は、LDチップ213が頓死する場合のLDチップ213の閾値電流の変化を示している。
閾値電流変化602に示すように、LDチップ213が頓死する場合は、LDチップ213の閾値電流が急激に増加する。このため、光伝送装置200は、閾値電流変化602の所定期間Tにおける閾値電流の変化量ΔIthを算出し、変化量ΔIthを所定値と比較することによってLDチップ213の頓死の予兆を検出することができる。
(閾値電流の算出)
図7は、閾値電流の算出を示すグラフである。図7において、横軸はLDチップ213へ入力される駆動電流[mA]を示し、縦軸はLDチップ213から出力される光のパワー(LD光出力パワー)[mW]を示している。
図7に示す例では、光伝送装置200は、非送信期間において、LDチップ213を駆動電流P1〜P3(P1<P2<P3)で微弱発光させることにより、LDチップ213から微弱光S1〜S3(図4−2〜図4−8参照)を出射させるとする。
モニタ結果711〜713は、第1の非送信期間において、それぞれLDチップ213を駆動電流P1〜P3で微弱発光させた場合に受光電流モニタ232によってモニタされたLDチップ213の光出力パワーである。
光伝送装置200は、駆動電流P1〜P3およびモニタ結果711〜713に基づいて、第1の非送信期間におけるLDチップ213の発光特性710を外挿等により算出する。また、光伝送装置200は、算出した発光特性710に基づいて、第1の非送信期間におけるLDチップ213の閾値電流Ith1を算出する。
モニタ結果721〜723は、第1の非送信期間より後の第2の非送信期間において、それぞれLDチップ213を駆動電流P1〜P3で微弱発光させた場合に受光電流モニタ232によってモニタされたLDチップ213の光出力パワーである。
光伝送装置200は、駆動電流P1〜P3およびモニタ結果721〜723に基づいて、第2の非送信期間におけるLDチップ213の発光特性720を外挿等により算出する。また、光伝送装置200は、算出した発光特性720に基づいて、第2の非送信期間におけるLDチップ213の閾値電流Ith2を算出する。
そして、光伝送装置200は、算出した閾値電流Ith1と閾値電流Ith2とを比較することによってLDチップ213の頓死の予兆を検出する。たとえば、光伝送装置200は、Ith2−Ith1≧Ith1/10である場合にLDチップ213の頓死の予兆があると判断し、Ith1−Ith2<Ith1/10である場合にLDチップ213の頓死の予兆がないと判断する。
すなわち、光伝送装置200は、閾値電流Ith1と閾値電流Ith2との差が、閾値電流Ith1に応じた所定値を超えるか否かによってLDチップ213の頓死の予兆を検出する。これにより、LDチップ213の頓死を精度よく予測することができる。
(LDチップの構成)
図8−1は、LDチップの構成の一例を示す図である。図8−2は、図8−1に示したLDチップの構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図8−1,図8−2において、図2−1,図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図8−1,図8−2に示すように、LDチップ213は、たとえば、3つの活性層を有するLDチップである。信号電極811〜813は、光フィルタ313の3つの活性層に対応するアノード(またはカソード)電極である。
駆動回路212は、たとえば、信号電極811〜813のいずれかに駆動電流を入力することにより、LDチップ213が有する活性層のうちのいずれかを発光させる。この場合は、図8−1,図8−2に示すように、LDチップ213と光ファイバ220との間にレンズアレイ820および集光レンズ830を設けてもよい。
レンズアレイ820は、マイクロレンズ821〜823を有する。マイクロレンズ821〜823は、それぞれLDチップ213が有する3つの活性層に対応して設けられ、対応する活性層から出射される光をコリメートして集光レンズ830へ出射する。集光レンズ830は、マイクロレンズ821〜823から出射される各光を光ファイバ220へ集光させる。
または、レンズアレイ820および集光レンズ830に代えて、LDチップ213の3つの活性層から出射される各光が通過する位置においてレンズ収差が抑えられている非球面レンズ等を用いて各光を光ファイバ220へ集光させてもよい。
(駆動回路およびLDチップの構成)
図9−1は、駆動回路およびLDチップの構成の一例を示す図である。図9−2は、図9−1に示した駆動回路およびLDチップの構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図9−1,図9−2において、図8−1,図8−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図9−1,図9−2に示すように、駆動回路212は、たとえば、電源911と、ドライバ回路912と、電気スイッチ回路913と、を備える。電源911は、駆動電流を生成するための電源を供給する。ドライバ回路912は、電源911によって供給される電源を用いて、入力された信号データまたは発光指示情報に応じた駆動電流を生成する。そして、ドライバ回路912は、生成した駆動電流を電気スイッチ回路913へ出力する。
電気スイッチ回路913は、ドライバ回路912から出力された駆動電流を、LDチップ213の信号電極811〜813のいずれかへ印加する。また、電気スイッチ回路913は、切替指示情報が入力されると、信号電極811〜813のうちの駆動電流を印加する信号電極を切替える。
LDチップ213は、信号電極811〜813と、活性層931〜933と、接地電極940と、を有する。信号電極811〜813は、LDチップ213の一面に設けられている。信号電極811〜813には、駆動回路212からの駆動電流が印加される。接地電極940は、LDチップ213における、信号電極811〜813が設けられた面とは反対側の面に設けられている。
活性層931〜933は、それぞれ信号電極811〜813と接地電極940との間に設けられている。そして、活性層931〜933は、それぞれ信号電極811〜813に印加された駆動電流に応じてシングル発光する。活性層931〜933から出射される各光は、たとえば図8−1,図8−2に示したレンズアレイ820へ入射される。このように、図9−1,図9−2に示すLDチップ213においては、信号電極811〜813と、活性層931〜933と、接地電極940と、によって3つのLDが形成されている。
(電気スイッチ回路の構成)
図10−1は、電気スイッチ回路の構成の一例を示す図である。図9−1,図9−2に示した電気スイッチ回路913は、たとえば、図10−1に示すように、入力端子1011,1012と、切替回路1013と、トランジスタTr1〜Tr3と、抵抗R1〜R3と、を備える。
入力端子1011には、ドライバ回路912(たとえば図9−1,図9−2参照)から出力された駆動電流が入力される。入力端子1012には、特性劣化検出制御部241(たとえば図2−1,図2−2参照)からの切替指示情報が入力される。
トランジスタTr1〜Tr3は、たとえばFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)によって実現することができる。トランジスタTr1は、ゲートが切替回路1013に接続され、ドレインが入力端子1011に接続され、ソースが抵抗R1に接続されている。トランジスタTr2は、ゲートが切替回路1013に接続され、ドレインが入力端子1011に接続され、ソースが抵抗R2に接続されている。トランジスタTr3は、ゲートが切替回路1013に接続され、ドレインが入力端子1011に接続され、ソースが抵抗R3に接続されている。
抵抗R1は、一端がトランジスタTr1に接続され、他端が電極1031に接続されている。抵抗R2は、一端がトランジスタTr2に接続され、他端が電極1032に接続されている。抵抗R3は、一端がトランジスタTr3に接続され、他端が電極1033に接続されている。
図10−1に示す電極1031〜1033は、それぞれ図9−1,図9−2等に示した信号電極811〜813に対応する。LD1041〜1043は、それぞれ図9−1,図9−2に示した活性層931〜933に対応する。グランド1040は、図9−1,図9−2に示した接地電極940に対応する。
切替回路1013は、入力端子1012から入力された切替指示情報に応じて、トランジスタTr1〜Tr3のゲートに印加する電圧を切り替える。つぎに、切替回路1013の動作について説明する。
図10−2は、電気スイッチ回路の切替回路の動作の一例を示す図である。図10−1に示した電気スイッチ回路913の切替回路1013は、たとえば図10−2に示す状態テーブル1050にしたがって動作する。
状態テーブル1050においては、「状態1」、「状態2」、「状態3」のそれぞれに、トランジスタTr1〜Tr3のゲートへ印加する電圧が対応付けられている。状態テーブル1050において、「H」は印加する電圧がHigh(オン)であることを示し、「L」は印加する電圧がLow(オフ)であることを示している。
たとえば、切替回路1013は、初期状態として「状態1」に設定されているとする。この場合は、切替回路1013は、トランジスタTr1のゲートに印加する電圧をHighにし、トランジスタTr2,Tr3のゲートに印加する電圧をLowにする。これにより、入力端子1011へ入力された駆動電流が電極1031に印加され、LD1041(活性層931)が発光する。
また、切替回路1013は、「状態1」において入力端子1012から切替指示情報が入力されると「状態2」へ移行する。この場合は、切替回路1013は、トランジスタTr2のゲートに印加する電圧をHighにし、トランジスタTr1,Tr3のゲートに印加する電圧をLowにする。これにより、入力端子1011へ入力された駆動電流が電極1032に印加され、LD1042(活性層932)が発光する。
また、切替回路1013は、「状態2」において入力端子1012から切替指示情報が入力されると「状態3」へ移行する。この場合は、切替回路1013は、トランジスタTr3のゲートに印加する電圧をHighにし、トランジスタTr1,Tr2のゲートに印加する電圧をLowにする。これにより、入力端子1011へ入力された駆動電流が電極1033に印加され、LD1043(活性層933)が発光する。
これにより、電気スイッチ回路913は、ドライバ回路912から出力された駆動電流をLDチップ213の信号電極811〜813のいずれかへ印加するとともに、切替指示情報が入力されると駆動電流を印加する信号電極を切り替えることができる。
(実施の形態2にかかる光伝送装置の動作)
図11は、実施の形態2にかかる光伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。光伝送装置200は、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、光伝送装置200は、所定の検査発光期間になったか否かを判断し(ステップS1101)、検査発光期間になるまで待つ(ステップS1101:Noのループ)。
検査発光期間は、光伝送装置200が光信号を送信しない非送信期間であって、かつ周期的な期間である。たとえば、光伝送装置200は、取得した送信期間情報が示す送信期間とは異なる非送信期間の中から周期的な期間を検査発光期間として選択する。
ステップS1101において、検査発光期間になると(ステップS1101:Yes)、光伝送装置200は、異なる駆動電流でLDチップ213を複数回、微弱発光させて、LDチップ213の出力光パワーをモニタする(ステップS1102)。つぎに、光伝送装置200は、ステップS1102によるモニタ結果に基づいてLDチップ213の閾値電流を算出する(ステップS1103)。
つぎに、光伝送装置200は、ステップS1103によって算出した閾値電流を閾値電流記憶部243へ記憶する(ステップS1104)。つぎに、光伝送装置200は、前回の一連の動作において算出した閾値電流が閾値電流記憶部243に記憶されているか否かを判断する(ステップS1105)。前回の閾値電流が記憶されていない場合(ステップS1105:No)は、光伝送装置200は、ステップS1101へ戻る。
ステップS1105において、前回の閾値電流が記憶されている場合(ステップS1105:Yes)は、光伝送装置200は、ステップS1106へ移行する。すなわち、光伝送装置200は、閾値電流記憶部243に記憶された前回の閾値電流から、ステップS1103によって算出された閾値電流への変化量を算出する(ステップS1106)。
つぎに、光伝送装置200は、ステップS1106によって算出された閾値電流の変化量が所定値を超えたか否かを判断する(ステップS1107)。閾値電流の変化量が所定値を超えていない場合(ステップS1107:No)は、LDチップ213の現在発光している活性装置に頓死の予兆がないと判断することができる。この場合は、光伝送装置200は、ステップS1101へ戻る。
ステップS1107において、閾値電流の変化量が所定値を超えた場合(ステップS1107:Yes)は、LDチップ213の現在発光している活性装置に頓死の予兆があると判断することができる。この場合は、光伝送装置200は、LDチップ213に頓死の予兆があることを保守者へ通知するアラームを出力する(ステップS1108)。
また、光伝送装置200は、光伝送装置200の光信号の非送信期間になったか否かを判断し(ステップS1109)、非送信期間になるまで待つ(ステップS1109:Noのループ)。非送信期間になると(ステップS1109:Yes)、光伝送装置200は、LDチップ213の活性層のうちの発光させる活性層を切り替える(ステップS1110)。つぎに、光伝送装置200は、閾値電流記憶部243に記憶されている閾値電流を消去し(ステップS1111)、ステップS1101へ戻る。
以上の各ステップにより、光伝送装置200は、光伝送装置200の非送信期間においてLDチップ213の閾値電流を周期的に測定し、測定した閾値電流の変化量が所定値を超えた場合にアラームを出力することができる。また、光伝送装置200は、測定した閾値電流の変化量が所定値を超えた場合に、LDチップ213の活性層のうちの発光させる活性層を切り替えることができる。また、光信号を送信しない期間において活性層を切り替えることにより、光信号の送信が途切れることを回避することができる。
(LDチップおよびPDチップの構成)
図12−1は、LDチップおよびPDチップの構成の一例を示す図である。図12−1において、図2−1,図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図12−1に示すように、LDチップ213およびPDチップ231は、LD−CAN1210のパッケージ内に設けられていてもよい。
また、レンズ214は、LDチップ213から出射された光と、PDチップ231へ入射される光と、の両方を通過させるレンズであってもよい。または、LDチップ213から出射された光を通過させるレンズ214とは別に、PDチップ231へ入射される光を通過させるレンズを設けてもよい。
図12−2は、LDチップおよびPDチップの構成の他の例を示す図である。図12−2において、図2−1,図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図12−2に示すように、LDチップ213およびPDチップ231は、それぞれCANパッケージであるLD−CAN1221およびPD−CAN1222によって実現されてもよい。
また、レンズ214は、LD−CAN1221から出射された光と、PD−CAN1222へ入射される光と、の両方を通過させるレンズであってもよい。または、LD−CAN1221から出射された光を通過させるレンズ214とは別に、PD−CAN1222へ入射される光を通過させるレンズを設けてもよい。
このように、実施の形態2にかかる光伝送装置200によれば、光信号を送信しない周期的な期間において駆動電流の大きさを変えながらLDチップ213を微弱発光させてLDチップ213の閾値電流を計測し、閾値電流の急激な変化を検出することができる。これにより、光通信の運用を止めずにLDチップ213の頓死の予兆の有無を判定することができる。
光信号の送信に使用中のLDが頓死すると、光信号の送信が途絶えてシステムダウンとなる。この場合は、たとえば、光伝送装置110の保守者が光伝送装置110を点検してLDの頓死を特定した後、光伝送装置110を交換することによって復旧が行われる。このため、復旧までに時間およびコストがかかる。これに対して、光伝送装置110によれば、LDの頓死を予兆がある場合に使用するLDを切り替えることによりシステムダウンを回避することができる。
また、頓死の予兆の検出を簡単な構成によって実現することができる。これにより、たとえば通信システム300のようなPONシステムの安価性を維持しつつ、顧客の希望に合わせてフレキシブルに高信頼性サービスを提供することが可能になる。
なお、実施の形態2にかかる光伝送装置200において、LDチップ213の閾値電流に基づいて頓死の予兆の有無を判断する場合について説明した。これに対して、LDチップ213の閾値電流に加えて、たとえばLDチップ213の電流・電圧モニタ値、逆微小バイアス時電流、フロント光の光出力パワー、バック光の光出力パワー、フロント光とバック光との光出力パワーの比なども加味して判断してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3について、実施の形態2と異なる部分について説明する。
図13−1は、実施の形態3にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。図13−2は、図13−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図13−1,図13−2において、図2−1,図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図13−1,図13−2に示すように、実施の形態3にかかる光伝送装置200は、図2−1,図2−2に示した光伝送装置200の構成に加えて、温度センサ1301と、温度補正用データベース1302と、を備える。
温度センサ1301は、LDチップ213の付近に設けられ、LDチップ213の温度を測定する。そして、温度センサ1301は、測定した温度を示す温度情報を閾値電流算出部242へ出力する。温度センサ1301は、たとえば、ダイオードの順方向電圧をモニタする構成やサーミスタなどで実現することができる。
温度補正用データベース1302は、閾値電流算出部242において、LDチップ213の温度に基づいて補正した閾値電流を算出するための温度補正用データベースである。温度補正用データベースについては後述する(たとえば図15,図17)。温度補正用データベース1302は、たとえばEEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現することができる。
(駆動電流に対するLD光出力パワーの温度特性)
図14は、駆動電流に対するLD光出力パワーの温度特性の一例を示すグラフである。図14において、横軸はLDチップ213へ入力される駆動電流[mA]を示し、縦軸はLDチップ213から出力される光のパワー(LD光出力パワー)[mW]を示している。発光特性1401〜1403は、それぞれLDチップ213の温度が10[degC]、25[degC]、85[degC]である場合における、LDチップ213の駆動電流に対する光出力パワーの特性を示している。
発光特性1401〜1403に示すように、LDチップ213は、温度が高いほど、入力される駆動電流に対する光出力パワーの比が小さくなる。このように、LDチップ213の駆動電流に対する光出力パワー(効率)は、環境温度によって変化する。これに対して、光伝送装置200は、LDチップ213の温度に基づいて補正した閾値電流を算出することにより、LDチップ213の温度変動による閾値電流の変化と区別して、LDチップ213の劣化による閾値電流の変化を監視することができる。これにより、LDチップ213の頓死の予兆を精度よく予測することができる。
(温度に応じて補正した閾値電流の算出例1)
図15は、温度補正用データベースの一例を示す図である。図13−1,図13−2に示した温度補正用データベース1302は、たとえば、LDチップ213の活性層ごとに、図15に示す温度補正用テーブル1500を含む。
温度補正用テーブル1500は、LDチップ213へ入力される駆動電流[mA]と、LDチップ213から出射される光のパワー[mW](光パワー)と、LDチップ213の温度[degC]と、のLDチップ213の初期状態における対応を示している。なお、温度補正用テーブル1500に含まれる各温度は、LDチップ213の運用時の実用的な温度範囲の各温度であればよい。
図16は、温度により補正した閾値電流の算出の一例を示す図である。図16において、横軸はLDチップ213へ入力される駆動電流[mA]を示し、縦軸はLDチップ213から出射される光のパワー[mW](光パワー)を示している。
モニタ結果1611は、LDチップ213の温度が50[degC]であるときの、駆動電流I1における光パワーの測定結果P1を示している。閾値電流算出部242は、図15に示した温度補正用テーブル1500において、50[degC]と駆動電流I1との組み合わせに対応する光パワーを取得する。たとえば駆動電流I1が2[mA]である場合は、温度補正用テーブル1500において50[degC]と2[mA]との組み合わせに対応する光パワーはA2となる。
また、閾値電流算出部242は、50[degC]と駆動電流I1との組み合わせに対応する光パワーが温度補正用テーブル1500にない場合は、温度補正用テーブル1500の各データの線形近似等を用いて、対応する光パワーを取得する。
また、閾値電流算出部242は、温度補正用テーブル1500において、あらかじめ定められた規定温度と駆動電流I1との組み合わせに対応する光パワーを取得する。たとえば規定温度が60[degC]であり駆動電流I1が2[mA]である場合は、温度補正用テーブル1500において60[degC]と2[mA]との組み合わせに対応する光パワーはA3となる。
また、閾値電流算出部242は、規定温度と駆動電流I1との組み合わせに対応する光パワーが温度補正用テーブル1500にない場合は、温度補正用テーブル1500の各データの線形近似等を用いて対応する光パワーを取得する。
そして、閾値電流算出部242は、取得した光パワーA2,A3の比である(A3/A2)を、測定した光パワーP1に乗ずることにより、モニタ結果1611を温度に応じて補正することができる。補正値1621は、モニタ結果1611を温度に応じて補正した値である。
モニタ結果1612は、LDチップ213の温度が50[degC]であるときの、駆動電流I2(>I1)における光パワーの測定結果P2を示している。閾値電流算出部242は、モニタ結果1612についてもモニタ結果1611と同様に温度に応じて補正する。補正値1622は、モニタ結果1612を温度に応じて補正した値である。
閾値電流算出部242は、モニタ結果1611,1612を温度に応じて補正した補正値1621,1622に基づくLDチップ213の発光特性1620を外挿等により算出する。また、閾値電流算出部242は、算出した発光特性1620に基づいてLDチップ213の閾値電流Ithを算出する。
このように、閾値電流算出部242は、LDチップ213における駆動電流と出力光の強度との関係をLDチップ213の温度ごとに示す温度補正用テーブル1500と、温度センサ1301によって測定された温度と、に基づいて補正した閾値電流を算出する。
(温度に応じて補正した閾値電流の算出例2)
図17は、温度補正用データベースの他の例を示す図である。図13−1,図13−2に示した温度補正用データベース1302は、たとえば、LDチップ213の活性層ごとに、図17に示す温度補正用テーブル1700を含んでいてもよい。温度補正用テーブル1700は、LDチップ213の温度[degC]と、LDチップ213の閾値電流と、のLDチップ213の初期状態における対応を示している。
図18は、温度により補正した閾値電流の算出の他の例を示す図である。図18において、横軸はLDチップ213の温度[degC]を示し、縦軸はLDチップ213の閾値電流[mA]を示している。
閾値特性1810は、図17に示した温度補正用テーブル1700が示す、LDチップ213の温度に対する閾値電流の特性を示している。閾値電流1821は、LDチップ213の温度が50[degC](測定温度)であるときの、駆動電流および光パワーの測定結果に基づく閾値電流の算出結果(Ith1)を示している。
閾値電流算出部242は、閾値特性1810の50[degC]における閾値電流(Ith2)と、閾値電流1821が示す閾値電流(Ith1)と、の差(Ith1−Ith2)を算出する。そして、閾値電流算出部242は、算出した閾値電流の差を閾値特性1810に加算した閾値特性1820を得る。つぎに、閾値電流算出部242は、閾値特性1820において規定温度に対応する閾値電流1822を求めることにより、温度に応じて補正した閾値電流を算出する。
このように、閾値電流算出部242は、LDチップ213における閾値電流と温度との関係を示す温度補正用テーブル1700と、温度センサ1301によって測定された温度と、に基づいて補正した閾値電流を算出する。
(実施の形態3にかかる光伝送装置の動作)
図19は、実施の形態3にかかる光伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。実施の形態3にかかる光伝送装置200は、たとえば以下の各ステップを実行する。まず、光伝送装置200は、LDチップ213の複数の活性層のうちの現在発光させている活性層に対応する温度補正用テーブルを読み込む(ステップS1901)。
つぎに、光伝送装置200は、温度センサ1301によって取得される温度情報を取得する(ステップS1902)。図19に示すステップS1903〜S1913は、図11に示したステップS1101〜S1111と同様である。ただし、ステップS1905において、光伝送装置200は、ステップS1901により読み込んだ温度補正用テーブル、ステップS1902により取得した温度情報およびステップS1904によるモニタ結果に基づいてLDチップ213の閾値電流を算出する。
以上の各ステップにより、光伝送装置200は、光伝送装置200の非送信期間においてLDチップ213の閾値電流を周期的に測定し、測定した閾値電流の変化量が所定値を超えた場合にアラームを出力することができる。また、光伝送装置200は、測定した閾値電流の変化量が所定値を超えた場合に、LDチップ213の活性層のうちの発光させる活性層を切り替えることができる。また、LDチップ213の温度に基づいて補正した閾値電流を算出することができる。
このように、実施の形態3にかかる光伝送装置200によれば、LDチップ213の温度に基づいて補正した閾値電流を算出することにより、温度変動による閾値電流の変化と区別して、LDチップ213の劣化による閾値電流の変化を監視することができる。これにより、LDチップ213の頓死の予兆を精度よく予測することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4について、実施の形態2と異なる部分について説明する。
(実施の形態4にかかる光伝送装置の構成)
図20−1は、実施の形態4にかかる光伝送装置の構成の一例を示す図である。図20−2は、図20−1に示した光伝送装置の構成における光および電気信号の流れの一例を示す図である。図20−1,図20−2において、図2−1,図2−2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図20−1,図20−2に示すように、実施の形態4にかかる光伝送装置200は、図2−1,図2−2に示した構成において、特性判断部252が、LDチップ213の頓死の予兆があると判断しても、検出情報を特性劣化検出制御部241へ出力しない。この場合は、特性劣化検出制御部241は、駆動回路212へ切替指示情報を出力しない。また、LDチップ213は、活性層を1つだけ有するLDチップであってもよい。
この場合においても、LDチップ213の頓死の予兆が検出されたことを光伝送装置200の保守者へ通知するアラームを出力することができるため、LDチップ213の交換等、LDチップ213の頓死への備えが可能になる。
このように、実施の形態4にかかる光伝送装置200によれば、光信号を送信しない周期的な期間において駆動電流の大きさを変えながらLDチップ213を微弱発光させてLDチップ213の閾値電流を計測し、閾値電流の急激な変化を検出することができる。これにより、光通信の運用を止めずにLDチップ213の頓死の予兆の有無を判定することができる。
以上説明したように、光伝送装置および光伝送システムによれば、レーザダイオードの頓死を早期に予測することができる。
また、たとえば、LDチップ213のバック光をモニタする構成では、LDチップ213の劣化によるフロント光のパワーの変化をモニタすることができない。これに対して、光伝送装置200によれば、光ファイバ220の端面223における反射光をモニタすることにより、LDチップ213の劣化によるフロント光のパワーの変化をモニタし、頓死の予兆を検出することができる。
LDチップのバック光をモニタする手法に対して、本発明を適用してもよい。限定はしない。ただし、フロント光の光パワーをモニタするほうが、光パワーモニタ精度がよく、つまり閾値の算出精度もよい。フロント光はバック光よりも大きな光パワーが出力されるように一般的に設計されているためである。
また、たとえばLDチップ213の出力光を分岐する光カプラ等を設けて光出力パワーをモニタする構成に比べて、光ファイバ220の端面223における反射光をモニタすることにより、構造の簡易化だけでなく、光伝送装置200から送出される光信号のロスを抑えることができる。
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードへ第1駆動電流を入力することにより光信号を送信し、前記光信号を送信しない周期的な期間において大きさが異なる複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力する制御部と、
前記レーザダイオードから出射された光の強度を測定する測定部と、
前記制御部によって前記複数の第2駆動電流が入力されたときに前記測定部によって測定された各強度および前記複数の第2駆動電流の大きさに基づいて前記レーザダイオードの閾値電流を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された閾値電流の所定期間内の変化量に基づいて前記レーザダイオードの頓死の予兆を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする光伝送装置。
(付記2)前記制御部は、前記光信号の送信先の光受信装置から通知された期間において前記光信号を送信し、前記期間とは異なる期間において前記複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力することを特徴とする付記1に記載の光伝送装置。
(付記3)他の光伝送装置と光伝送路を共有して前記光信号を送信し、
前記制御部は、前記他の光伝送装置が前記光伝送路により光信号を送信する期間の少なくとも一部と前記周期的な期間が重複する場合に、前記第2駆動電流の大きさを前記第1駆動電流より小さくする、
ことを特徴とする付記1または2に記載の光伝送装置。
(付記4)前記レーザダイオードを複数備え、
前記制御部は、前記判定部によって前記頓死の予兆があると判定された場合に、前記レーザダイオードのうちの前記第1駆動電流を入力するレーザダイオードを切り替える、
ことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の光伝送装置。
(付記5)前記制御部は、前記レーザダイオードのうちの前記第1駆動電流を入力するレーザダイオードを、前記光信号を送信しない期間において切り替えることを特徴とする付記4に記載の光伝送装置。
(付記6)前記レーザダイオードのそれぞれから出射される光を、前記光信号を伝送する光伝送路へ結合させる集光レンズを備えることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の光伝送装置。
(付記7)前記レーザダイオードから出射される光の方向に対して斜めに形成された端面を有し、前記レーザダイオードから出射される光のうちの前記端面から入射した光を伝送する光伝送路を備え、
前記測定部は、前記レーザダイオードから出射されて前記端面において反射した光を受光し、受光結果により強度を測定する、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光伝送装置。
(付記8)前記レーザダイオードの温度を測定するセンサを備え、
前記算出部は、前記センサによって測定された温度に基づいて補正した前記閾値電流を算出する、
ことを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の光伝送装置。
(付記9)前記算出部は、前記レーザダイオードへ入力される駆動電流と前記レーザダイオードから出射される光の強度との関係を前記レーザダイオードの温度ごとに示す情報と、前記センサによって測定された温度と、に基づいて補正した前記閾値電流を算出することを特徴とする付記8に記載の光伝送装置。
(付記10)前記算出部は、前記レーザダイオードの閾値電流と前記レーザダイオードの温度との関係を示す情報と、前記センサによって測定された温度と、に基づいて補正した前記閾値電流を算出することを特徴とする付記8に記載の光伝送装置。
(付記11)光受信装置と、前記光受信装置から通知された期間において前記光受信装置へ光信号を送信する光伝送装置と、を含む光伝送システムであって、
前記光伝送装置は、
入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードと、
前記光受信装置から通知された期間において、前記レーザダイオードへ第1駆動電流を入力することにより前記光受信装置へ光信号を送信し、前記光受信装置から通知された期間とは異なる周期的な期間において、大きさが異なる複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力する制御部と、
前記レーザダイオードから出射された光の強度を測定する測定部と、
前記制御部によって前記複数の第2駆動電流が入力されたときに前記測定部によって測定された各強度および前記複数の第2駆動電流の大きさに基づいて前記レーザダイオードの閾値電流を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された閾値電流の所定期間内の変化量に基づいて前記レーザダイオードの頓死の予兆を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする光伝送システム。
(付記12)前記光受信装置は、収容局側端末に設けられ、
前記光伝送装置は、前記収容局側端末に光カプラを介して接続された複数の加入者側端末の少なくともいずれかに設けられる、
ことを特徴とする付記11に記載の光伝送システム。
100 光伝送システム
101 光伝送路
110,200 光伝送装置
111,311,331,1041〜1043 LD
112 制御部
113 測定部
114 分岐部
115 受光部
116 算出部
117 判定部
120 光受信装置
211 信号データ生成部
212 駆動回路
213 LDチップ
214 レンズ
220 光ファイバ
221 コア
222 クラッド
223 端面
231 PDチップ
232 受光電流モニタ
241 特性劣化検出制御部
242 閾値電流算出部
243 閾値電流記憶部
251 変化量算出部
252 特性判断部
300 通信システム
302 伝送路
303 スプリッタ
310 OLT
312,313,332,333 光フィルタ
314,334 PD
321〜324 ONU
351〜353 波長帯域
501〜505,710,720,1401〜1403,1620 発光特性
601,602 閾値電流変化
711〜713,721〜723,1611,1612 モニタ結果
811〜813 電極
820 レンズアレイ
821〜823 マイクロレンズ
830 集光レンズ
911 電源
912 ドライバ回路
913 電気スイッチ回路
931〜933 活性層
940 接地電極
1011,1012 入力端子
1013 切替回路
1031〜1033 電極
1040 グランド
1050 状態テーブル
1210,1221 LD−CAN
1222 PD−CAN
1301 温度センサ
1302 温度補正用データベース
1500,1700 温度補正用テーブル
1621,1622 補正値
1810,1820 閾値特性
1821,1822 閾値電流

Claims (7)

  1. 入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードと、
    前記レーザダイオードへ第1駆動電流を入力することにより光信号を送信し、前記光信号を送信しない周期的な期間において大きさが異なる複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力する制御部と、
    前記レーザダイオードから出射された光の強度を測定する測定部と、
    前記制御部によって前記複数の第2駆動電流が入力されたときに前記測定部によって測定された各強度および前記複数の第2駆動電流の大きさに基づいて前記レーザダイオードの閾値電流を算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された閾値電流の所定期間内の変化量に基づいて前記レーザダイオードの頓死の予兆を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする光伝送装置。
  2. 前記制御部は、前記光信号の送信先の光受信装置から通知された期間において前記光信号を送信し、前記期間とは異なる期間において前記複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
  3. 他の光伝送装置と光伝送路を共有して前記光信号を送信し、
    前記制御部は、前記他の光伝送装置が前記光伝送路により光信号を送信する期間の少なくとも一部と前記周期的な期間が重複する場合に、前記第2駆動電流の大きさを前記第1駆動電流より小さくする、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光伝送装置。
  4. 前記レーザダイオードを複数備え、
    前記制御部は、前記判定部によって前記頓死の予兆があると判定された場合に、前記レーザダイオードのうちの前記第1駆動電流を入力するレーザダイオードを切り替える、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光伝送装置。
  5. 前記レーザダイオードから出射される光の方向に対して斜めに形成された端面を有し、前記レーザダイオードから出射される光のうちの前記端面から入射した光を伝送する光伝送路を備え、
    前記測定部は、前記レーザダイオードから出射されて前記端面において反射した光を受光し、受光結果により強度を測定する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光伝送装置。
  6. 前記レーザダイオードの温度を測定するセンサを備え、
    前記算出部は、前記センサによって測定された温度に基づいて補正した前記閾値電流を算出する、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光伝送装置。
  7. 光受信装置と、前記光受信装置から通知された期間において前記光受信装置へ光信号を送信する光伝送装置と、を含む光伝送システムであって、
    前記光伝送装置は、
    入力された駆動電流に応じた光を出射するレーザダイオードと、
    前記光受信装置から通知された期間において、前記レーザダイオードへ第1駆動電流を入力することにより前記光受信装置へ光信号を送信し、前記光受信装置から通知された期間とは異なる周期的な期間において、大きさが異なる複数の第2駆動電流を前記レーザダイオードへ入力する制御部と、
    前記レーザダイオードから出射された光の強度を測定する測定部と、
    前記制御部によって前記複数の第2駆動電流が入力されたときに前記測定部によって測定された各強度および前記複数の第2駆動電流の大きさに基づいて前記レーザダイオードの閾値電流を算出する算出部と、
    前記算出部によって算出された閾値電流の所定期間内の変化量に基づいて前記レーザダイオードの頓死の予兆を判定する判定部と、
    を備えることを特徴とする光伝送システム。
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