JP2014211409A - 熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法及びその装置、微小熱源の温度測定方法及びその装置並びにカンチレバーおよびその製造方法 - Google Patents

熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法及びその装置、微小熱源の温度測定方法及びその装置並びにカンチレバーおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱アシスト磁気ヘッド検査装置において、熱アシスト磁気ヘッドが発生する磁界を測定することにより、熱アシスト磁気ヘッドの近接場光の温度を間接的に計測できるようにする。
【解決手段】特定の磁性材料の薄膜の磁気特性の温度依存性を事前に入手しておき、探針の表面に前記特定の磁性材料を形成したカンチレバーを用いて熱アシスト磁気ヘッドが発生した近接場光による微小熱源のすぐ近傍にある書込み磁界を計測する際に、カンチレバー先端の探針が微小熱源と接触して温度が上昇して探針に形成した磁性材料の磁気特性が変化するのを利用して、事前に入手しておいた磁気特性の温度依存性のデータを用いて、近接場光の温度を推定するようにした。
【選択図】図5B

Description

本発明は、走査プローブ顕微鏡を用いて微小熱源を測定すると共に磁界を測定して熱アシスト磁気ヘッド素子の熱アシスト光発光部と磁界発生部を検査する熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法及びその装置、微小熱源の温度測定方法及びその装置並びにカンチレバーおよびその製造方法に関する。
次世代ハードディスク用の磁気ヘッドとして、特許文献1及び特許文献2、特許文献3などに記載されているような熱アシスト磁気ヘッド素子が検討されている。熱アシスト磁気ヘッド素子から発生する熱アシスト光即ち近接場光は数十ナノメートル(nm)以下の幅の範囲にあり、この光スポットの空間分布と熱源としてもつエネルギー密度または絶対温度はハードディスクの書き込みトラック幅を決める。実際熱アシスト磁気ヘッド動作する際、上記近接場光スポットの強度分布や、エネルギー密度または絶対温度などの情報に対する検査方法は未解決の重要な課題である。
一方、上記熱アシスト磁気ヘッドの近接場光スポットのような微小な熱源を走査プローブ顕微鏡(Scan Probe Microscope: SPM)検査技術に基づいて、測定する技術が特許文献4及び5に開示されている。
また、本発明の基本技術として、HDDの磁気ヘッドが発生した書込み磁界を走査プローブ顕微鏡(Scan Probe Microscope: SPM)検査技術に基づいて、測定する技術が特許文献6と非特許文献1に開示されている。
特開2010−182394号公報 特開2011−86362号公報 特開2011−113595号公報 特開2002−243880号公報 特開2005−345411号公報 特開2009−230845号公報
張開鋒 他:磁気力顕微鏡を応用した磁気ヘッド素子次回幅検査技術の開発:第73 回応用物理学会学術講演会講演予稿集 13p-H6-11、2012秋
特許文献1乃至3には、熱アシスト磁気ヘッドの構造について開示されているが、熱アシスト磁気ヘッドを検査する方法については開示されていない。
一方、発熱プローブ及び発熱プローブ装置に関する特許文献4に開示されている方法では、熱抵抗発熱プローブを使用し、導電性ナノチューブ探針の先端により試料表面を走査し、試料表面の温度分布を発熱体の抵抗変化として熱を直接に検出する。この方法は、走査速度が遅く、プローブが非常に高価であることなどにより、量産向きの検査装置には向いていない。
また、微小表面温度分布測定装置に関する特許文献5には、カンチレバーの共振周波数の温度依存性を利用し、カンチレバーの温度変化を共振周波数の変化として測定することにより、微小表面温度分布測定が達成される見込みであるが、カンチレバー全体が高温状態となる前提条件のため、高い空間分解能での測定が不可能であり、カンチレバーが熱平衡状態になるまで待たなければならないため、高速な測定も困難である。
更に、磁気ヘッド検査方法とその装置に関する特許文献6には、磁気ヘッド素子をウェハから切り出されたローバーの状態で原子間力顕微鏡を用いて、磁気ヘッドの書込みトラック幅の検査を行うことが開示されているが、特許文献6には、熱アシスト磁気ヘッドの発熱の状態を検査することについては記載されていない。非特許文献1には、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive: HDD)の磁気ヘッドが発生した書込み磁界を走査プローブ顕微鏡(Scan Probe Microscope: SPM)を用いて検査することが開示されている。すなわち、非特許文献1には、HDDの磁気ヘッドの測定において、カンチレバーの磁界感度(Δφ)、即ちHDDの磁気ヘッドから発生した交流磁界からカンチレバーの探針の磁性材料に加わる磁気力によって生じるカンチレバーの振動の位相変化量を向上させるために、カンチレバーに加わる磁気力は磁性材料の飽和磁束密度Bsに比例することを着目し、飽和磁束密度Bsが大きい磁性材料を使用することによって磁界感度を向上させることが記載されている。しかし、非特許文献1には、熱アシスト磁気ヘッドの発熱の状態を検査することについては記載されていない。
本発明は、上記した従来技術の課題を解決するものであり、熱アシスト磁気ヘッド素子をローバーの状態で検査することにより製造工程のできるだけ早い段階で熱アシスト磁気ヘッドの検査を行うことを可能にする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法及びその装置、微小熱源の温度測定方法及びその装置並びにカンチレバーおよびその製造方法を提供するものである。
上記した課題を解決するために、本発明では、熱アシスト磁気ヘッド素子を検査する検査装置を、試料である熱アシスト磁気ヘッド素子を載置して平面内で移動可能なテーブル手段と、このテーブル手段に載置された試料の表面を走査する探針を有してこの探針の表面には磁性膜が形成されているカンチレバーと、このカンチレバーを試料の表面に対して上下方向に振動させる振動駆動手段と、この振動駆動手段により振動させられているカンチレバーの探針が形成されている側と反対側の面に光を照射してカンチレバーからの反射光を検出することによりカンチレバーの振動を検出する変位検出手段と、熱アシスト磁気ヘッド素子の磁界発生部から交流磁界を発生させる信号と近接場光発光部から近接場光を発生させるための信号とを出力する信号出力手段と、この信号出力手段から出力された信号により熱アシスト磁気ヘッド素子の近接場光発光部から発生した近接場光によりカンチレバーの磁性膜が形成された探針の表面から発生した散乱光を検出する散乱光検出手段と、 近接場光発光部から近接場光を発光させない状態で信号出力手段から出力した信号により磁界発生部から交流磁界を発生させて変位検出手段で検出して得た信号と信号出力手段から出力した信号により近接場光発光部から近接場光を発光させた状態で磁界発生部から交流磁界を発生させて変位検出手段で検出して得た信号とを用いて近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を検査する処理手段とを備えて構成した。
また、上記課題を解決するために、本発明では、熱アシスト磁気ヘッド素子を検査する方法を、試料である熱アシスト磁気ヘッド素子を走査プローブ顕微鏡装置の平面内で移動可能なテーブルに載置し、試料の磁界発生部から交流磁界を発生させ、表面に磁性膜が形成されている探針を有する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーを交流磁界を発生させている試料の表面の近傍で上下に振動させた状態でテーブルを平面内で移動させながらカンチレバーの探針が形成されている側と反対側の面に光を照射してカンチレバーからの反射光を受光して得た信号を処理してカンチレバーの第1の振動の状態を検出し、試料の磁界発生部から交流磁界を発生させると共に近接場光発光部から近接場光を発生させ、走査プローブ顕微鏡のカンチレバーを交流磁界を発生させると共に近接場光を発生させている試料の表面の近傍で上下に振動させた状態でテーブルを平面内で移動させながらカンチレバーの探針が形成されている側と反対側の面に光を照射してカンチレバーからの反射光を受光して得た信号を処理してカンチレバーの第2の振動の状態を検出し、第1の振動の状態を検出して得た信号と第2の振動の状態を検出して得た信号とを用いて近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を検査するようにした。
また、上記した課題を解決するために、微小熱源の温度測定方法を、微小熱源により局所的に熱が発生する箇所に標準磁界を発生させ、表面に磁性膜を形成した探針を有するカンチレバーを用いて標準磁界を測定し、探針に形成した磁性膜の標準磁界における磁気特性の温度依存性を求め、探針が微小熱源から発生した熱により温度が上昇して探針に形成した磁性膜の磁気特性が変化した状態において標準磁界を測定し、この磁性膜の磁気特性が変化した状態において標準磁界を測定して得られたカンチレバーの磁界感度の変化と磁性膜の標準磁界における磁気特性の温度依存性に基づいて微小熱源の温度を換算するようにした。
また、上記した課題を解決するために、微小熱源の温度測定装置を、測定対象である微小熱源で局所的に熱を発生できる試料を載置して平面内で移動可能なテーブル手段と、表面に磁性膜が形成されて前記テーブル手段に載置された試料の表面を走査する探針を備えたカンチレバーと、試料の下で標準磁界を発生させる手段と、カンチレバーを試料の表面に対して上下方向に振動させる振動駆動手段と、この振動駆動手段により振動させられているカンチレバーの探針が形成されている側と反対側の面に光を照射してカンチレバーからの反射光を検出することによりカンチレバーの振動を検出する変位検出手段と、標準磁界を発生させる手段から磁界を発生させると共に試料の微小熱源から局所的に熱を発生させるための信号を出力する信号出力手段と、この信号出力手段から出力された信号により標準磁界を発生させる手段から磁界を発生させた状態で変位検出手段でカンチレバーの振動の変化を検出した結果から磁界感度及び、磁界強度分布を求める検出手段と、信号出力手段から出力された信号により磁界発生部から標準磁界を発生させると共に微小熱源から局所的に熱を発生させた状態で、カンチレバーの探針が微小熱源で発生した局所的な熱により温度が上昇した状態で磁界発生部で発生した標準磁界の測定を行い、温度上昇による探針に形成した磁性膜の磁気特性が変化した状態における標準磁界の測定結果(磁界感度)と事前に入手した磁性材料の磁気特性の温度依存性とに基づいてカンチレバーの磁界感度から、前記微小熱源の温度を換算する手段と、を備えて構成した。
また、上記した課題を解決するために、温度、磁界と近接場光を計測する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーを、このカンチレバーの板状の部材の先端部付近に形成された探針の表面に磁性膜を形成した。
また、上記した課題を解決するために、耐熱性をもつ試料表面の磁界を計測する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの製造方法において、板状の部材の先端部に探針が形成されたレバーの探針の表面に薄膜状の磁性体膜を形成し、この磁性膜を形成した後にカンチレバーを熱処理炉に入れて、強磁界中で磁性体膜のキュリー温度Tc程度までの熱処理をすることにより製造するようにした。
本発明によれば、近接場光のような微小熱源を、磁界を測定することにより間接的に高速に測定することができるようになった。
また、本発明によれば、製造工程途中のできるだけ早い段階で熱アシスト磁気ヘッド素子が発生する書込み磁界、熱アシスト光(近接場光)の強度分布、熱アシスト光の絶対温度、または磁界発生部、近接場光発光部の表面形状、及び近接場光発光部と書込み磁界発生部との位置関係などの検査を非破壊で行うことができる。
また、本発明によれば、微小熱源を間接的に測定できるカンチレバーを提供できるという効果がある。
本発明の第1と第2実施形態の背景技術に係る異なる磁性材料のヒステリシス曲線の違いを示すグラフである。 本発明の第1と第2実施形態の背景技術に係るカンチレバーに付加する磁性材料によるカンチレバーに加わる磁気力の違いによるカンチレバーの磁界感度の変化を示すグラフである。 本発明の第1及び第2の実施形態に係る同一磁性材料の異なる温度下のヒステリシス曲線の違いを示すグラフである。 本発明の第1及び第2の実施形態に係るカンチレバーに形成する磁性材料の温度依存性によるカンチレバーの磁界感度の違いに対応するカンチレバー探針周囲の温度を示す略図である。 本発明の第1及び第2の実施形態に係る磁性材料を形成したカンチレバーの製作方法を説明する図で、カンチレバーと探針の正面側の表面に薄い磁性膜を形成した状態を示すカンチレバーの側面図である。 本発明の第1及び第2の実施形態に係る磁性材料の磁気特性の温度依存性を測定する方法を説明する図で、カラス基板の正面側の前記カンチレバー探針表面と同じような薄い磁性膜を形成した状態を示す測定サンプルの側面図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置のローバーを載置していない状態のYステージと位置決め用の載置部の概略の平面図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置の検出原理を説明する図で、熱アシスト磁気ヘッド素子が書込み磁界を発生している状態を示すカンチレバー及び熱アシスト磁気ヘッドの磁界と近接場光発生部の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置の検出原理を説明する図で、熱アシスト磁気ヘッド素子が書込み磁界と近接場光を同時に発生している状態を示すカンチレバー及び熱アシスト磁気ヘッドの磁界と近接場光発生部の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査方法及び装置を用いて熱アシスト磁気ヘッド素子が発生する近接場光の温度を測定する手順を示したフロー図である。 本発明の第1実施形態に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置を用いて熱アシスト磁気ヘッド素子を検査する手順を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態に係る微小熱源検査装置の概略の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る微小熱源検査装置の検出原理を説明する図で、測定対象を発熱させない状態で、参照用の磁界を発生させて計測している状態を示すカンチレバーと微小熱源発生サンプル、及び磁界発生機構の側面図である。 本発明の第2実施形態に係る微小熱源検査装置の検出原理を説明する図で、測定対象を発熱させて参照用の磁界を同時に発生させて計測している状態を示すカンチレバーと微小熱源発生サンプル、及び磁界発生機構の側面図である。
本発明では、熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置において、熱アシスト磁気ヘッド素子の熱アシスト部から発生する熱によってカンチレバーの探針の温度が上昇して探針の表面に形成した磁性膜の磁気特性が変化することを利用して、カンチレバーの磁界感度の変化から近接場光の温度を推定し、熱アシスト磁気ヘッド素子を検査するものである。
すなわち、本発明においては、先ず、特定な磁性材料の磁気特性の温度依存性を事前に入手しておく。次に、探針先端に磁性材料を付加したカンチレバーを用いて、熱アシスト磁気ヘッドが発生した近接場光のような微小熱源の測定を行う際、熱源のすぐ近傍にある書込み磁界を測定するようにしたことによりカンチレバー先端探針が微小熱源と接触して温度が上昇する。そのために、探針の表面に形成された磁性材料の磁気特性が常温時の磁気特性に対して変化し、磁界への測定結果(磁界感度)が変化する。この測定結果を事前に入手した磁性材料の磁気特性の温度依存性のデータと比較して、近接場光の温度を推定するようにした。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下説明する実施例及び図面に限定されるものではない。
まず、図1A及び図1Bにより、本発明の原理について説明する。
本発明は、HDDの磁気ヘッドが発生した書込み磁界を走査プローブ顕微鏡(Scan Probe Microscope: SPM)を用いて検査するものである。
各種の磁性材料はそれぞれ固有の磁気特性を持つ。磁性材料は外部磁界の中に置かれた場合、外部磁界Hの変化とともに、材料自身の内部磁束密度Bも変化する。この変化を示す曲線は磁性材料のヒステリシス曲線と呼ばれる。ヒステリシス曲線から、磁性材料の磁気特性を代表する3つのパラメータが得られる。それらは、ヒステリシス曲線が横軸と平行となったときの縦軸の値である飽和磁束密度Bs、ヒステリシス曲線と横軸との交点である保磁力Hc、ヒステリシス曲線の傾きである透磁率μである。図1Aは、3種類の磁性材料1乃至3によってヒステリシス曲線が異なること、即ち磁性材料ごとに前記3つの磁気特性を示すパラメータBs、Hc及びμが異なることを示している。
一方、非特許文献1には、前述したように、走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの磁界感度(Δφ)、即ちHDDの磁気ヘッドから発生した交流磁界からカンチレバーの探針の表面に形成した磁性膜に加わる磁気力によるカンチレバーの振動の位相変化量をより大きく顕在化させるために、カンチレバーに加わる磁気力は磁性材料の飽和磁束密度Bsに比例することに着目して、飽和磁束密度Bsが大きい磁性材料を使用することが記載されている。
本発明においては、前記した走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの磁界感度(Δφ)は、外部磁界が一周期変化するときに探針に加わる磁気力、即ち磁性材料のヒステリシス曲線の1サイクルに対応する平均磁気力(Fave)から計算できることを解明した。具体的には、前記した平均磁気力(Fave)を簡易的なヒステリシス曲線で、即ち飽和磁束密度Bs、保磁力Hcと透磁率μとの3つの磁気特性を示すパラメータから計算し、さらにカンチレバーの機械特性(硬さと物理形状)を示すカンチレバーの共振周波数f0を考慮し、(数1)のようにカンチレバーの磁界感度(Δφ)を計算できる式を導出した。このカンチレバーの共振周波数f0としては、予め測定して記憶しておいたデータを用いる。
本実施例では、カンチレバーの探針の表面に形成した磁性膜の磁気特性と共振周波数を事前に入手することで、(数1)を用いてカンチレバーの磁界感度(Δφ)を計算できるようにした(図1B参照)。
Figure 2014211409
・・・ (数1)

なお、aは、後述する方法により決定される定数、bはカンチレバーの探針の形状及び表面の形成される磁性膜の成膜条件により決まる定数である。
本発明は上記に説明した原理に加えて、磁性膜(磁性材料)の温度依存性、即ち図2Aに示すように、同一の磁性材料を使用する場合、材料自身の温度が高ければ高いほど(図2Aの場合、T<T<T)、磁性材料の磁気特性を示すヒステリシス曲線が変化し、飽和磁束密度Bs、保磁力Hcと透磁率μの3つの磁気特性を示すパラメータがそれぞれ小さくなり、キュリー温度Tcになると、完全に強磁性が失われるという現象を利用した。
まず、事前に走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの探針の表面に形成した磁性膜(磁性材料)の磁気特性の温度依存性を測定する。磁気特性の温度依存性は、温度を常温(室温)から、高温(キュリー温度Tcよりも低い温度)まで、図2Aに示すような複数の温度下(図2Aの場合、T℃,T℃,T℃)でのヒステリシス曲線を入手し、このヒステリシス曲線から、各温度ごとの平均磁気力(図2Aの場合、Fave1,Fave2,Fave3)を計算して(図2B参照)、温度情報と関連付けて記憶しておく。
次に、測定対象である微小熱源から熱を発生させた状態で(未知な高温状態)走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの探針を走査して測定を行い、カンチレバーの振動の変化から後述するようにしてカンチレバーの磁界感度(Δφ)を求める。次に、この測定して求めたカンチレバーの磁界感度(Δφ)を用いて、上記(数1)から、下記(数2)を導出し、この式から、前記未知な高温状態下の平均磁気力Faveを算出する。
Figure 2014211409
・・・ (2)

最後に、該算出した平均磁気力Faveと事前に測定して記憶しておいた常温から高温まで、各温度下のヒステリシス曲線から計算した平均磁気力(図2Aの場合、Fave1,Fave2,Fave3)を比較することにより、前記微小熱源が発生する際(未知な高温状態)の温度を推定する。
即ち、(数3)のように、カンチレバーの磁界感度(Δφ)から平均磁気力Faveを求め、この平均磁気力Faveから測定対象の微小熱源の温度(Tx)を換算(推定)するようにした。
Figure 2014211409
・・・ (3)
図3Aは、本実施例に係る熱アシスト磁気ヘッドが発生した近接場光スポットの温度を測定可能なカンチレバー1の突起部3の先端に形成した探針4の正面側の表面に薄い磁性膜を形成した状態を示すカンチレバー1の側面図である。カンチレバー1と突起部3とは一般的にシリコン(Si)、突起部3の先端に取り形成した探針4はシリコン(Si)、又はカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)、カーボンナノファイバ(Carbon Nano Fiber:CNF)、タングステン(W)の何れかで形成されている。カンチレバー1の突起部3と探針4の正面側(図3Aの左側の面)には薄い磁性膜2(例えばCo、Ni、Fe、NiFe、CoFe、NiCoの何れか)が形成されている。磁性膜2をカンチレバー1の突起部3と探針4の表面にコーティングする手段としては、真空蒸着装置、又は、スパッタリング装置を用いればよい。磁性膜2の成膜量は測定対象が発生する磁界の強度とサイズにより決めるが、一般的に10nm〜40nmである。カンチレバー1は、探針4と薄い磁性膜2とを備えて、近接場光と磁界との両方を測定できる構成となっている。
本発明に係るカンチレバー1の突起部3と探針4の表面に薄膜として形成する磁性材料2の材質は、測定対象の温度によって決まる。磁性材料のキュリー温度Tcが測定対象の温度より高いことが必要がある。従って、一般的はキュリー温度Tcが高い磁性材料を使用する。また、該磁性膜が形成された後に、熱処理炉に入れて、強磁界中でキュリー温度Tc程度までの熱処理をする。該熱処理によって、結晶性が向上し、磁区の形成を抑制し、磁気特性が向上するとともに、熱アシスト磁気ヘッド素子の熱測定を繰り返し行うことによって膜特性が変化してしまうことを抑制するためである。本実施例に係るカンチレバー1の突起部3と探針4の表面に形成する磁性材料2の各温度における磁気特性は、図3Bに示したような磁気特性測定用サンプル305を用いて測定する。磁気特性測定用サンプル305は、図3Bに示すように、基板303上に磁性膜304を形成して製作される。基板303は一般的にガラスであり、この基板303の正面側に、カンチレバー1の成膜を実施するときに同様な条件(同時に成膜と熱処理行うこと)で薄い磁性膜304が形成される。この磁気特性測定用サンプル305を用いて、測定時の環境温度が可変なVSM(振動型磁力計:図示せず)において、該磁性材料の前記各温度においての磁気特性、即ちヒステリシス曲線を測定する。この測定結果を用いて、各温度におけるヒステリシス曲線の1サイクルに対応する平均磁気力(Tave)を計算し、記憶手段に記憶しておく。
図4Aは、本実施例に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100の基本的な構成を示す図である。図4Aの熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100は、磁気ヘッド素子の製造工程において、多数の薄膜磁気ヘッド素子が形成されたウェハを加工してスライダ単体(薄膜磁気ヘッドチップ)を切り出す前の工程のローバー40(複数のヘッドスライダが配列されたブロック)の状態または、熱アシスト磁気ヘッド単体50で熱アシスト磁気ヘッド素子の発生する近接場光の強度分布、近接場光スポットの最高温度、及び熱アシスト磁気ヘッドが発生した書込み磁界を測定することが可能なものである。
本実施例に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100は、このローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50をワークとして所定の検査を行うように構成されている。ローバー40は、通常、図示していないトレイ内に20〜30本程度、短軸方向に所定間隔で配列収納されている。図示していないハンドリングロボットを用いて、ローバー40を図示していないトレイからで一本ずつ取り出して検査ステージ101に搬送する。検査ステージ101に搬送設置されたローバー40は後述のように検査される。
本実施例に係る熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100は、走査型プローブ顕微鏡をベースとしている。熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100の検査ステージ101は、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50をX,Y方向に移動可能なXステージ106、Yステージ105を備えて構成されている。
ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50は、その長軸方向の片側面がYステージ105の上面に設けられているローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の位置決め用の載置部114の基準面1141(Yステージ105に形成された段差面)に一旦突き当てられることによってY方向に位置決めされる。この載置部114には、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の形状にほぼ合致した段差部1142が設けられている。ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50は、図4B(ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50を載置していない状態のYステージ105と位置決め用の載置部114の平面図)に示すようにこの段差部1142の底面1143と側面1144にそれぞれ当接されることによってZ方向及びX方向の所定位置に設置されるようになっている。
段差部の後面(基準面1141)には、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の後側面(熱アシスト磁気ヘッド素子の各接続端子のある面の反対面)が当接される。各当接面1143及び1144は、Xステージ106の移動方向(X軸)及びZステージ104の移動方向(Z軸)にそれぞれ平行で、かつ、直交した位置関係となる基準面を備えているので、ローバー40をYステージ105の段差部1142の底面1143と側面1144に当接設置させることによってX方向とZ方向の位置決めが実行されるようになっている。
Yステージ105の上方にはローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の位置ずれ量測定用のカメラ103が設けられている。Zステージ104は検査ステージ101のカラム1011に固定されており、カンチレバー1をZ方向に移動させるものである。検査ステージ101のXステージ106、Yステージ105、Zステージ104は、それぞれ図示していないピエゾ素子で駆動されるピエゾステージで構成されている。ローバー40の所定の位置決めが終了すると、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50に対して、制御部PC30から出力する励磁信号と発光用信号又は直接に励起用レーザ401を供給し、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50は、載置部114に熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501(図5A参照)の熱アシスト磁気ヘッド素子の書込み磁界発生部502が磁界発生可能、近接場光発光部504が発光可能な状態で、Yステージ105に設けた図示していない吸着手段により吸着保持される。
ピエゾドライバ107は、この検査ステージ101のXステージ106、Yステージ105、Zステージ104をそれぞれ駆動するピエゾ素子(図示せず)を駆動制御するものである。制御部PC30は、モニタを含むパーソナルコンピュータ(PC)を基本構成とする制御用コンピュータで構成されている。図に示すように、検査ステージ101のYステージ105上に載置されたローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の上方の対向する位置には、前記近接場光と磁界との両方を測定できるカンチレバー1が配置されている。カンチレバー1は、Zステージ104の下側に設けられた加振部122に取り付けられている。加振部122はピエゾ素子で構成され、ピエゾドライバ107からの励振電圧によって機械的共振周波数近傍の周波数の交流電圧が印加され、カンチレバー1の先端部の探針4は上下方向(Z方向)に振動される。
カンチレバー1の探針4のZ方向の振動は、半導体レーザ素子109と、4分割光ディテクタ素子からなる変位センサ110とを備えて構成される変位検出部により検出される。この変位検出部においては、半導体レーザ素子109から出射したレーザがカンチレバー1の探針4が形成されている面と反対側の面に照射され、カンチレバー1で反射したレーザは変位センサ110に入射する。
変位センサ110は、受光面が4つの領域に分割された4分割センサであり、変位センサ110の分割されたそれぞれの受光面に入射したレーザはそれぞれ光電変換されて4つの電気信号として出力される。ここで、変位センサ110は、カンチレバー1が加振部122により振動が加えられていない状態、即ち静止した状態で半導体レーザ素子109からレーザが照射されたときに、カンチレバー1からの反射光が4つに分割された受光面のそれぞれに等しく入射するような位置に設置されている。
差動アンプ111は、変位センサ110から出力される4つの電気信号の差分信号に所定の演算処理を施してDCコンバータ112に出力する。すなわち、差動アンプ111は、変位センサ110から出力される4つの電気信号間の差分に対応した変位信号をDCコンバータ112に出力する。従って、カンチレバー1が加振部122により加振されていない状態では、カンチレバー1は上記したように位置が調整されているので、差動アンプ111からの出力はゼロになる。DCコンバータ112は、差動アンプ111から出力される変位信号を実効値の直流信号に変換するRMS−DCコンバータ(Root Mean Squared value to Direct Current converter)で構成される。
差動アンプ111から出力される変位信号は、カンチレバー1の変位に応じた信号であり、カンチレバー1は振動しているので交流信号となる。DCコンバータ112から出力される信号は、フィードバックコントローラ113に出力される。フィードバックコントローラ113は、カンチレバー1の現在の振動の大きさをモニタするための信号として制御部PC30にDCコンバータ112から入力した信号に基づく信号を出力すると共に、カンチレバー30の励振の大きさを調整するためのZステージ104の制御用信号として制御部PC30に出力する。この信号を制御部PC30でモニタし、その値に応じて、ピエゾドライバ107によりZステージ104を駆動するピエゾ素子(図示せず)を制御することによって、測定開始前に、カンチレバー1の初期位置を調整するようにしている。
この実施の形態では、熱アシスト磁気ヘッドの発光表面より数マイクロメートルの高さをカンチレバー1の初期位置として設定する。発信機102は、カンチレバー1を励振するための発振信号をピエゾドライバ107に供給するものである。ピエゾドライバ107は、この発信機102からの発振信号に基づいて加振部122を駆動してカンチレバー1を所定の周波数で振動させる。
図5A及び図5Bは、図4Aに示した熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100による近接場光の発光状態及び温度を検出する原理の概略を示す図であり、熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501の書込み磁界発生部502と熱アシスト光(近接場光)発光部504及び近接場光により発生した散乱光を検出する検出器115の構成を拡大してカンチレバー1と一緒に示した図である。
図5Aに示すように、カンチレバー1は、熱アシスト磁気ヘッドの磁界、近接場光発生部501の表面からヘッド浮上高さHfに相当する高さにカンチレバー1の磁性膜3を形成した探針4の先端部が位置するように、Zステージ104によって位置決めされる。ピエゾドライバ107でXステージ106及びYステージ105を駆動することにより、カンチレバー1は、熱アシスト磁気ヘッドの記録面510に平行な平面上を数百nm〜数μmの範囲内でスキャンする。
この実施の形態では、Xステージ106及びYステージ107を駆動することによってローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50が移動される。このとき、熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501は図4Aに示した制御部PC30から出力される励磁信号と発光用信号401又は直接に励起用レーザ光を供給され、熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501の書込み磁界発生部502は書込み磁界(交流磁界)503を、近接場光発光部504は熱アシスト光(近接場光)505を異なるタイミングでまたは同時に発生させる。
本実施例においては、まず、図5Aに、磁界・近接場光発生部501の近接場光発光部504から熱アシスト光(近接場光)を発生させずに磁界発生部502から発生した磁界を測定する状態を示す。すなわち、近接場光発光部504から発生した熱アシスト光(近接場光)による熱を測定する前に、熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501の書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503のみを発生させ、カンチレバー1が加振部122により振動を加えられた状態で、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50を載置したXステージ106をピエゾドライバ107で制御されたピエゾ素子(図示せず)により一定の速度でX方向に移動させている状態を示している。この状態で、カンチレバー1の探針4が書込み磁界発生部502により発生した書込み磁界503の領域の中に入ると、探針4の表面に形成された薄膜の磁性体2が磁化され、探針4が磁気力を受けることにより、カンチレバー10の振動状態(位相と振幅)が変化する。
この振動(位相と振幅)の変化を図5Aの変位センサ110で検出する。すなわち、カンチレバー1の振動状態(位相と振幅)が変わると、半導体レーザ素子109から発射されてカンチレバー1で反射されたレーザの変位センサ110の4つに分割された受光面への入射位置が変化する。この変位センサ110の4つの受光面からの出力を差動アンプ111で検出することによりカンチレバー1の振動状態の変化を検出することができる。この振動状態の変化の中、振動の位相の変化量をカンチレバー1の磁界感度Δφと定義される。この常温状態のカンチレバー1の磁界感度Δφを測定するのは、カンチレバー1と測定対象の磁気ヘッドの個体差によるばらつきを抑えるためで、測定基準として記録する。このようにしてカンチレバー1の磁界感度Δφを測定して求めることにより、これを(数1)に代入して定数aを決定することができる。
図5Bには、熱アシスト磁気ヘッドの磁界・近接場光発生部501の書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を、近接場光発光部504から熱アシスト光(近接場光)505を同時に発生させ、前記測定と同様な磁界の測定と、熱アシスト光(近接場光)505により探針4の表面の磁性膜2から発生する散乱光を検出器115で検出する状態を示す。ピエゾドライバ107で制御してXステージ106を駆動することにより、探針4が近接場光発光部504により近接場光505が発生している領域に到達すると、探針4とカンチレバー1の突起部3の表面に形成された磁性膜2からは、局在型表面プラズモン増強効果により増強された散乱光が発生すると同時に、微小熱源である近接場光505と接触することにより磁性膜2は近接場光により加熱されて比較的高温温度となる。
磁性膜2から発生した散乱光のうち検出器115に入射した散乱光は検出器115で検出され、検出器115からの出力信号402は制御部PC30に入力し、ピエゾドライバ107によるXステージ106とYステージ105の制御信号を用いて処理することにより、散乱光の強度分布が求められる。
また、磁性膜2は、近接場光により加熱されて比較的高温となるために、磁性材料2の磁気特性が図5Aに示したような室温中で測定した磁気特性に対して変化してしまい、カンチレバー1の磁界感度Δφも室温のときの値に対して変化する。このとき、熱アシスト磁気ヘッドの原理から、近接場光が発光する箇所と書き込み磁界を発生箇所とは30nm以下の距離しか離れておらず、磁性膜2を付加した探針4の径と同程度または探針4の径の方が大きいため、近接場光発生領域と磁界発生領域は同じ場所だと近似することができる。
この熱アシスト光(近接場光)を発生させた状態で測定して求めた磁界感度Δφを記録し、先に基準値として記録しておいた常温状態でのカンチレバー1の磁界感度Δφとの差を求め、この基準値との差として求めた磁界感度Δφを前記(数2)に代入して高温状態下の平均磁気力Faveを算出する。この算出した平均磁気力Faveと予め測定して記憶しておいた常温から高温まで各温度下のヒステリシス曲線から計算した平均磁気力を比較することにより、熱アシスト磁気ヘッドの微小熱源である近接場光発生部504で発生させた熱アシスト光(近接場光)により発生する温度を推定する。そして、この推定した温度が予め設定しておいた所期の範囲に入っているかをチェックすることにより、近接場光発生部504の良否を判定することができる。
また、磁界発生部502を含む領域を探針4で走査して検出された磁界の情報から磁界強度の分布を求め、この求めた磁界強度の分布を予め設定した磁界強度分布の基準と比較することにより、磁界発生部502の良否を判定することができる。
上記に説明した図5Aと図5Bに基づく処理の流れを図5Cに示す。
まず、ローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50をYステージ105上の載置部114に載置して位置決めした状態で、図示していない駆動手段により検査ステージをローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50をカンチレバー1の位置まで移動させて、カンチレバー1の探針4とローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の計測すべき個所とのXY平面内での位置合わせをしたのち、ピエゾドライバ107でZステージ104を制御して探針4の先端部とローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の磁界・近接場光発生部501の表面の間隔がヘッド浮上高さHfになるようにカンチレバー1の位置決めを行う(S501)。
次に、制御部PC30で制御してローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の磁界・近接場光発生部501の書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させる(S502)。このとき、近接場個発生部504は、熱アシスト光(近接場光)505を発生させていない。
次に、書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させた状態で、加振部122でカンチレバー1を振動させながらXステージ106をピエゾドライバ107で駆動してX方向に一定の速度で一定の距離移動させることにより、カンチレバー1で磁界・近接場光発生部501を走査する(S503)。Xステージを一定の距離移動させた後、Yステージ105をピエゾドライバ107で駆動してY方向に1ピッチ移動させ、次にXステージ106を逆方向(−X方向)に移動させながらカンチレバー1による走査を繰り返すことにより、所定の検査領域の全面に亘ってカンチレバー1で走査する(S504)。
この走査の間、レーザ光源109から発射されてカンチレバー1で反射したレーザを変位センサ110で検出し、その検出信号は差動アンプ111、DCコンバータ113、フィードバックコントローラ113を介して制御部PC30に送られる。
カンチレバー1で所定の検査領域全面の検査を終了した後、書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させた状態で、制御部PC30で制御してローバー40または熱アシスト磁気ヘッド単体50の近接場個発生部504を制御して熱アシスト光(近接場光)505を発生させる(S505)。
次に、書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させ、近接場個発生部504から熱アシスト光(近接場光)505を発生させた状態で、加振部122でカンチレバー1を振動させながらXステージ106をピエゾドライバ107で駆動してX方向に一定の速度で一定の距離移動させることにより、カンチレバー1で磁界・近接場光発生部501を走査する(S506)。Xステージを一定の距離移動させた後、Yステージ105をピエゾドライバ107で駆動してY方向に1ピッチ移動させ、次にXステージ106を逆方向(−X方向)に移動させながらカンチレバー1による走査を繰り返すことにより、所定の検査領域の全面に亘ってカンチレバー1で走査する(S507)。
この走査の間、レーザ光源109から発射されてカンチレバー1で反射したレーザを変位センサ110で検出し、その検出信号は差動アンプ111、DCコンバータ113、フィードバックコントローラ113を介して制御部PC30に送られる。また、熱アシスト光(近接場光)505が発生している近接場個発生部504の上を走査しているときにカンチレバー1と探針4の表面に形成した磁性膜2から発生した散乱光のうち検出器115に入射した散乱光は検出器115で検出される。 検出器115からの出力信号402は制御部PC30に入力し、ピエゾドライバ107によるXステージ106とYステージ105の制御信号を用いて処理することにより、散乱光の強度分布が求められる。
制御部PC30では、熱アシスト光(近接場光)505を発生させずに書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させた状態で検出した変位センサ110の検出信号から常温におけるカンチレバー1の磁界感度Δφと、熱アシスト光(近接場光)505を発生させながら書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させた状態で検出した変位センサ110の検出信号から高温状態におけるカンチレバー1の磁界感度Δφの差を求め、この求めた差の磁界感度Δφを用いて、先に説明した(数1)乃至(数3)を用いた処理を行って、近接場光発生部504から発生した熱アシスト光(近接場光)の温度を推定し、この推定した温度が予め設定した所期の範囲に入っているかをチェックすることにより、近接場光発生部504の良否を判定する(S508)。
また、制御部PC30では、熱アシスト光(近接場光)505を発生させながら書込み磁界発生部502から書込み磁界(交流磁界)503を発生させた状態で検出した変位センサ110からの検出信号と、ピエゾドライバ107によるXステージ106とYステージ105の制御信号とを用いて、熱アシスト光(近接場光)505を発生させた状態における書込み磁界(交流磁界)503の強度分布を求め、予め記憶しておいた基準値と比較することにより書込み磁界(交流磁界)503の強度分布の良否を判定する(S509)。
更に制御部PC30では、磁性膜2から発生した散乱光を検出した検出器115からの出力信号402を入力し、ピエゾドライバ107によるXステージ106とYステージ105の制御信号を用いて処理することにより散乱光の強度分布を求め、これに基づいて熱アシスト光(近接場光)505の強度分布を求め、予め記憶しておいた基準値と比較することにより熱アシスト光(近接場光)505の強度分布の良否を判定する(S510)。
更に、制御部PC30では、書込み磁界(交流磁界)503の強度分布と熱アシスト光(近接場光)505の強度分布との関係から、書込み磁界発生部502と近接場光発生部504との位置関係(間隔及び位置ずれ)を求め、その位置関係が所定の範囲に入っているかを判定する(S511)。
図6は、上述した熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100を用いてローバー40を検査する動作の手順を示すフロー図である。先ず図示していないハンドリングユニットで供給トレイからローバー40を1本取り出し、検査ステージ101上に搬送してYステージ105の基準面1141にローバー40を押し当てた状態でYステージ105と載置部114により形成された段差部1142にローバー40を載置する(S601)。次に、カメラ103でローバー40を撮像してローバー40の位置情報を得、この得た位置情報に基づいてXステージ106又はYステージ105を駆動してローバー40の位置を調整するアライメントを行い(S602)、ローバー40を測定位置に移動する(S603)。
次に、図5Cで説明した手順で測定を実施する(S604)。
次に、更に測定する箇所があるかをチェックし(S605)、更に測定する箇所がある場合にはZステージ104でカンチレバー1を上昇させた状態で次のヘッドの測定位置に移動して(S606)、S604測定を実施する。一方、更に測定する箇所がない場合には、Zステージ104でカンチレバー1を上昇させた状態で測定が終了したローバー40を図示していないハンドリングユニットで取出して回収トレイに収納する(S607)。
次に、図示していない供給トレイに未検査のローバー40があるか否かをチェックし(S608)、未検査のローバー40がある場合にはS601に戻って未検査のローバー40を供給トレイ(図示せず)から取出して(S609),検査ステージ101に搬送してS601からのステップを実行する。一方、供給トレイうちに未検査のローバー40が無い場合には、測定を終了する(S610)。
本実施例によれば、熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100でローバー40に形成された熱アシスト磁気ヘッド素子の近接場光の最高温度、書込み磁界強度分布、近接場光の強度分布及び書込み磁界発生部502と近接場光発生部504との位置関係の測定とをカンチレバー1による2回のスキャンで検出することができ、製造工程の上流で、かつ、比較的短い時間で検査を行うことができる。
図7は、本発明の第2の実施例に係る微小熱源温度検査装置200の全体の構成を示すブロック図である。図7に示した微小熱源温度検査装置200は、実施例1で説明した図4Aに示した熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100と基本的には同じ構造を有している。図7に示した微小熱源温度検査装置200の構成において、図4Aで説明した熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置100の構成と共通する部品については、同じ番号を付した。
実施例2において、実施例1と異なる点は、実施例2の測定対象は熱アシスト磁気ヘッドのような自分自身が微小熱源と磁界を発生可能なものに限られないてんである。そのため、本実施例においては、図7に示すように、微小熱源を有して磁界発生部を有していないサンプル700を測定することを可能にするために、図8A及び図8Bに示すように、測定部に標準磁界発生手段701を設置している。この標準磁界発生手段701から発生した磁界をカンチレバー1で測定することによって、測定対象である微小熱源の温度を測定することを実現する。また測定対象が近接場光である場合には、実施例1と同じように、カンチレバー1の先端部分に形成した磁性膜2から発生した散乱光を検出可能な光検出器115を用いて、近接場光の強度分布も測定することができる。
図8A及び図8Bは、図7に示した微小熱源検査装置200による微小熱源の温度を検出する原理の概略を示す図であり、微小熱源発生サンプル700と標準磁界発生手段701の構成を拡大してカンチレバー1と一緒に示した図である。
まず、図8Aに示すように、制御部PC30から発振された励磁信号711(図7参照)により標準磁界発生装置701に磁界803を発生させ、サンプル700の表面近傍をカンチレバー1で走査して磁界803によるカンチレバー1の振動の変化、即ち磁界感度Δφを測定する。測定目的と方法については、実施例1において図5Aを用いて説明した場合と同じである。但し、本実施例においては、磁界発生装置701が発生した磁界803は不変であるため、上記の測定はカンチレバー1の振動のばらつきを測定するためのものである。
次に、図8Bに示すように、制御部PC30から発振された励磁信号711と発熱用信号712(図7参照)により標準磁界発生手段701と微小熱源発生サンプル700を作動させて標準磁界803と微小熱源805を同時に発生させ、サンプル700の表面近傍をカンチレバー1で走査して磁界803の測定を行う。測定目的と方法については、実施例1において図5Bを用いて説明した場合と同じである。
本実施例において、前記測定結果を用いて、微小熱源発生サンプル700が発生した微小熱源805の温度を判定する方法は実施例1の場合と基本的に同じである。
本実施例によれば、従来微小熱源への測定の時間を大幅に縮小し、測定コスト、空間分解能が大幅に向上できるという効果がある。
上記した実施例1および2で説明したカンチレバー1の探針4は、角錐形状をしたものについて説明したが、本発明ではこの形状に限られない。また探針の材質についてはシリコン(Si)より、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)や、カーボンナノファイバ(Carbon Nano Fiber:CNF)またはタングステン(W)等の方は熱伝導率が高いため(例:CNT:3000W/m・K、 Si:168W/m・K)、より測定高感度を期待できる。
1…カンチレバー 2…磁性膜 3…カンチレバーの先端突起部 4…探針 303…ガラス基板 304…磁性膜 305…磁気特性測定用サンプル 30…制御部PC 40…ローバー 50…熱アシスト磁気ヘッド 100…熱アシスト磁気ヘッド素子検査装置 101…検査ステージ 102…発信機 103…カメラ 104…Zステージ 105…Yステージ 106…Xステージ 107…ピエゾドライバ 109…半導体レーザ素子 110…変位センサ 111…差動アンプ 112…DCコンバータ 113…フィードバックコントローラ 114…載置部 115…検出器 122…加振部 130…変位検出部 501…磁界・近接場光発生部 502…磁界発生部 504…近接場光発生部 510…熱アシスト磁気ヘッドの記録面 200…微小熱源温度測定装置 700…微小熱源発生サンプル 701…標準磁界発生装置。

Claims (17)

  1. 熱アシスト磁気ヘッド素子を検査する検査装置であって、
    試料である熱アシスト磁気ヘッド素子を載置して平面内で移動可能なテーブル手段と、
    該テーブル手段に載置された試料の表面を走査する探針を有し、該探針の表面には磁性膜が形成されているカンチレバーと、
    該カンチレバーを前記試料の表面に対して上下方向に振動させる振動駆動手段と、
    該振動駆動手段により振動させられている前記カンチレバーの前記探針が形成されている側と反対側の面に光を照射して前記カンチレバーからの反射光を検出することにより前記カンチレバーの振動を検出する変位検出手段と、
    前記熱アシスト磁気ヘッド素子の磁界発生部から交流磁界を発生させる信号と近接場光発光部から近接場光を発生させるための信号とを出力する信号出力手段と、
    該信号出力手段から出力された信号により前記熱アシスト磁気ヘッド素子の前記近接場光発光部から発生した近接場光により前記カンチレバーの磁性膜が形成された探針の表面から発生した散乱光を検出する散乱光検出手段と、
    前記近接場光発光部から近接場光を発光させない状態で前記信号出力手段から出力した信号により前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号と、前記信号出力手段から出力した信号により前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態で前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号とを用いて前記近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を検査する処理手段と
    を備えたことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置。
  2. 請求項1記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置であって、前記処理手段は、前記近接場光発光部から近接場光を発光させない状態で前記信号出力手段から出力した信号により前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号と、前記信号出力手段から出力した信号により前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態で前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号との差から前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態における前記探針の表面の磁性膜の平均起磁力を求め、この求めた平均起磁力を予め測定して記憶しておいた常温から高温まで各温度下における平均磁気力と比較することにより前記近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を推定し、該推定した近接場光の温度を予め設定したデータと比較して前記近接場光の温度を検査することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置。
  3. 請求項2記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置であって、前記処理手段は、前記予め測定して記憶しておいた常温から高温まで各温度下における平均磁気力として、前記探針の表面に形成した磁性膜と同じ材料の磁性膜を用いて測定して求めた前記常温から高温まで各温度下における平均磁気力のデータを用いることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置であって、前記処理手段は、さらに、前記近接場光発光部から近接場光を発光させない状態で前記信号出力手段から出力した信号により前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号と、前記信号出力手段から出力した信号により前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態で前記散乱光検出手段で前記散乱光を検出して得た信号とを処理して前記熱アシスト磁気ヘッド素子の前記近接場光発光部から発光する近接場光の強度分布、前記磁界発生部から発生させた交流磁界の強度分布、磁界発生部と近接場光発光部との位置関係のうちの少なくとも一つを更に検査することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置であって、前記熱アシスト磁気ヘッド素子を、ローバーの状態で検査することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査装置。
  6. 熱アシスト磁気ヘッド素子を検査する方法であって、
    試料である熱アシスト磁気ヘッド素子を走査プローブ顕微鏡装置の平面内で移動可能なテーブルに載置し、
    前記試料の磁界発生部から交流磁界を発生させ、
    表面に磁性膜が形成されている探針を有する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーを前記交流磁界を発生させている試料の表面の近傍で上下に振動させた状態で前記テーブルを平面内で移動させながら前記カンチレバーの前記探針が形成されている側と反対側の面に光を照射して前記カンチレバーからの反射光を受光して得た信号を処理して前記カンチレバーの第1の振動の状態を検出し、
    前記試料の磁界発生部から交流磁界を発生させると共に近接場光発光部から近接場光を発生させ、
    前記走査プローブ顕微鏡のカンチレバーを前記交流磁界を発生させると共に前記近接場光を発生させている試料の表面の近傍で上下に振動させた状態で前記テーブルを平面内で移動させながら前記カンチレバーの前記探針が形成されている側と反対側の面に前記光を照射して前記カンチレバーからの反射光を受光して得た信号を処理して前記カンチレバーの第2の振動の状態を検出し、
    前記第1の振動の状態を検出して得た信号と前記第2の振動の状態を検出して得た信号とを用いて前記近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を検査する
    ことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法。
  7. 請求項6記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法であって、前記近接場光の温度を検査する工程において、前記第1の振動の状態を検出して得た信号と前記第2の振動の状態を検出して得た信号との差から前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態における前記探針の表面の磁性膜の平均起磁力を求め、この求めた平均起磁力を予め測定して記憶しておいた常温から高温まで各温度下における平均磁気力と比較することにより前記近接場光発光部から発光させた近接場光の温度を推定し、該推定した近接場光の温度を予め設定したデータと比較して前記近接場光の温度を検査することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法。
  8. 請求項7記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法であって、前記近接場光の温度を検査する工程において、前記予め測定して記憶しておいた常温から高温まで各温度下における平均磁気力として、前記探針の表面に形成した磁性膜と同じ材料の磁性膜を用いて測定して求めた前記常温から高温まで各温度下における平均磁気力のデータを用いることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法。
  9. 請求項6乃至8の何れかに記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法であって、前記近接場光発光部から近接場光を発光させない状態で前記磁界発生部から交流磁界を発生させて前記変位検出手段で検出して得た信号と、前記信号出力手段から出力した信号により前記近接場光発光部から近接場光を発光させた状態で前記散乱光検出手段で前記散乱光を検出して得た信号とを処理して前記熱アシスト磁気ヘッド素子の前記近接場光発光部から発光する近接場光の強度分布、前記磁界発生部から発生させた交流磁界の強度分布、磁界発生部と近接場光発光部との位置関係のうちの少なくとも一つを更に検査する工程を更に含むことを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法。
  10. 請求項6乃至8の何れかに記載の熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法であって、前記熱アシスト磁気ヘッド素子を、ローバーの状態で検査することを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド素子の検査方法。
  11. 微小熱源により局所的に熱が発生する箇所に標準磁界を発生させ、
    表面に磁性膜を形成した探針を有するカンチレバーを用いて前記標準磁界を測定し、
    前記探針に形成した磁性膜の前記標準磁界における磁気特性の温度依存性を求め、
    前記探針が前記微小熱源から発生した熱により温度が上昇して前記探針に形成した磁性膜の磁気特性が変化した状態において前記標準磁界を測定し、
    該磁性膜の磁気特性が変化した状態において前記標準磁界を測定して得られた前記カンチレバーの磁界感度の変化と前記磁性膜の前記標準磁界における磁気特性の温度依存性に基づいて前記微小熱源の温度を換算する、
    ことを特徴とする微小熱源の温度測定方法。
  12. 測定対象である微小熱源で局所的に熱を発生できる試料を載置して平面内で移動可能なテーブル手段と、
    表面に磁性膜が形成されて前記テーブル手段に載置された試料の表面を走査する探針を備えたカンチレバーと、
    前記試料の下で標準磁界を発生させる手段と、
    前記カンチレバーを前記試料の表面に対して上下方向に振動させる振動駆動手段と、
    該振動駆動手段により振動させられている前記カンチレバーの前記探針が形成されてい
    る側と反対側の面に光を照射して前記カンチレバーからの反射光を検出することにより前
    記カンチレバーの振動を検出する変位検出手段と、
    前記標準磁界を発生させる手段から磁界を発生させると共に前記試料の微小熱源から局所的に熱を発生させるための信号を出力する信号出力手段と、
    該信号出力手段から出力された信号により前記標準磁界を発生させる手段から磁界を発生させた状態で前記変位検出手段で前記カンチレバーの振動の変化を検出した結果から磁界感度及び、磁界強度分布を求める検出手段と、
    前記信号出力手段から出力された信号により前記磁界発生部から標準磁界を発生させると共に微小熱源から局所的に熱を発生させた状態で、前記カンチレバーの探針が微小熱源で発生した局所的な熱により温度が上昇した状態で前記磁界発生部で発生した標準磁界の測定を行い、前記温度上昇による探針に形成した磁性膜の磁気特性が変化した状態における前記標準磁界の測定結果(磁界感度)と前記事前に入手した磁性材料の磁気特性の温度依存性とに基づいて前記カンチレバーの磁界感度から、前記微小熱源の温度を換算する手段と、
    を備えたことを特徴とする微小熱源の温度測定装置。
  13. 温度、磁界と近接場光を計測する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーであって、
    該カンチレバーの板状の部材の先端部付近に形成された探針の表面に磁性膜を形成したこと、
    を特徴とする走査プローブ顕微鏡のカンチレバー。
  14. 請求項13に記載のカンチレバーであって、前記板状の部材と前記探針とが異なる材料で形成されていることを特徴とする走査プローブ顕微鏡のカンチレバー。
  15. 請求項13に記載のカンチレバーであって、前記探針がカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバ又はタングステンで形成されていることを特徴とする走査プローブ顕微鏡のカンチレバー。
  16. 請求項13に記載のカンチレバーであって、前記磁性膜は、Co、Ni、Fe、NiFe、CoFe、NiCoの何れかであることを特徴とする走査プローブ顕微鏡のカンチレバー。
  17. 耐熱性をもつ試料表面の磁界を計測する走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの製造方法であって、
    板状の部材の先端部に探針が形成されたレバーの前記探針の表面に薄膜状の磁性体膜を
    形成し、
    該磁性膜を形成した後に、前記カンチレバーを熱処理炉に入れて、強磁界中で前記磁性体膜のキュリー温度Tc程度までの熱処理をすること、
    を特徴とする走査プローブ顕微鏡のカンチレバーの製造方法。
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