JP2014211216A - 冷媒流路切換弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温冷媒と低温冷媒が流れる冷媒流路切換弁で冷媒同士が熱交換するのを抑え、装置の能力が低下するのを防止する。
【解決手段】円柱状の弁ケースに設けられ、弁体を支持する複数の弁座(132,142)を、断熱性材料により形成された弁座本体(180)と、弁座本体(180)の両端面を覆う上下の端板(182,183)及び両端板(182,183)を連結する連結部(184)を有する金属製のカバー(181)とから構成する。
【選択図】図13

Description

本発明は、冷媒回路において冷媒の流れ方向を切り換えるのに用いられる冷媒流路切換弁に関し、特に、冷媒流路切換弁の中で高温の冷媒と低温の冷媒とが熱交換するのを抑制する技術に関するものである。
従来、圧縮機構と放熱器と膨張機構と蒸発器とが順に接続された冷媒回路を備えた空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この空気調和装置では、冷媒回路内を冷媒が循環する際に、圧縮行程、放熱行程、膨張行程及び蒸発行程を繰り返すことで、冷凍サイクルが行われる。
空気調和装置において冷房運転と暖房運転を切り換える構成では、冷媒回路における冷媒の循環方向を正方向と逆方向に切り換えるために、冷媒流路切換弁が設けられる。特許文献1の冷媒回路は、圧縮機構で4段圧縮を行うように構成され、冷媒流路切換弁は、4つの四路切換弁を1つのケーシング内に納めて一体化したものになっている。
特開2013−015227号公報
ところで、冷媒流路切換弁は、冷媒回路の高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒の流れ方向を切り換えるように構成され、高温の冷媒と低温の冷媒が、弁座に形成されている冷媒通路を同時に流れることがある。弁座は冷媒流路切換弁の強度を保証するために一般に金属で形成され、金属の熱伝導率が高いため、高温の冷媒と低温の冷媒が弁体を介して熱交換してしまうことがある。そうすると、冷凍サイクルの高圧圧力や低圧圧力が変動してしまい、装置の性能が低下するおそれがある。また、弁座を樹脂などの熱伝導率が低い材料で形成すると、強度不足が原因で冷媒流路切換弁が損傷するおそれがある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒流路切換弁で高温冷媒と低温冷媒が熱交換するのを抑えて装置の能力が低下するのを防止できるようにするとともに、冷媒流路切換弁の強度不足も防止することである。
第1の発明は、冷媒回路に接続される複数のポート(Pt)が形成された弁ケース(110)と、2つの冷媒通路(161,162)を有するとともに上記弁ケース(110)内で第1位置と第2位置のいずれかに設定することにより上記ポート(Pt)同士の連通状態を切り換える複数の弁体(121,131,141,151)とを備え、冷媒回路の複数箇所における冷媒の流れ方向を切り換える冷媒流路切換弁を前提としている。
そして、この冷媒流路切換弁は、上記弁ケース(110)が、円筒状のケース本体(111)と、上記ケース本体(111)の内周面に固定されるとともに上記弁体(121,131,141,151)を第1位置と第2位置の間でそれぞれ回転可能に支持する円柱状の複数の弁座(122,132,142,152)とを備え、上記弁座(122,132,142,152)には、外周面で上記ポート(Pt)と連通し、弁体(121,131,141,151)側の端面で上記各冷媒通路(161,162)と連通する複数の連通路(165,166,167,168)が形成され、上記弁座(122,132,142,152)は、断熱性材料により形成された弁座本体(180)と、弁座本体(180)の両端面を覆う上下の端板(182,183)及び該両端板(182,183)同士を連結する連結部(184)を有する金属製のカバー(181)と、を有することを特徴としている。
この第1の発明では、弁座本体(180)が断熱性材料により形成されているので、高温の冷媒と低温の冷媒が連通路(165,166,167,168)を流れるときに、高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒が熱交換してしまうのを抑えられる。また、断熱性材料の弁座本体(180)が金属製のカバー(181)で覆われているので、冷媒の圧力差が弁座本体(180)に作用しても、弁座本体(180)の強度不足が金属製のカバー(181)で補われる。
第2の発明は、第1の発明において、上記弁座本体(180)の外周部に複数の凹部(188)が形成され、上記カバー(181)の連結部(184)が、上記凹部(188)に嵌合する複数の位置決め部を構成していることを特徴としている。
この第2の発明では、弁座本体(180)の外周部に形成されている凹部(188)にカバー(181)の連結部(184)が嵌合することにより、カバー(181)が弁座本体(180)に位置決めされる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記弁座(122,132,142,152)が、上記カバー(181)を上記ケース本体(111)に接合することにより該ケース本体(111)に固定されることを特徴としている。
この第3の発明では、金属製のカバー(181)を例えば溶接でケース本体(111)に接合することにより、弁座(122,132,142,152)が固定される。
第4の発明は、第1,第2または第3の発明において、上記弁座(122,132,142,152)の連通路(165,166,167,168)が、該弁座(122,132,142,152)の外周面の開口と端面の開口との間で湾曲した通路であることを特徴としている。
弁座(122,132,142,152)の連通路(165,166,167,168)が屈曲している場合には圧力損失が大きくなって性能低下が起こるのに対して、この第4の発明では、弁座(122,132,142,152)の連通路(165,166,167,168)が湾曲しているので、圧力損失を抑えられる。
第5の発明は、第1から第4の発明の何れか1つにおいて、上記弁体(121,131,141,151)の冷媒通路(161,162)が、冷媒が互いに並行して流れる第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)とを含み、上記弁体(121,131,141,151)には、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間に断熱材(163,164)が設けられていることを特徴としている。
第6の発明は、第5の発明において、上記弁体(121,131,141,151)には、上記断熱材(163,164)として、断熱性材料で形成されて上記第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を構成する通路部材(163,164)が装着されていることを特徴としている。
上記第5,第6の発明では、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間に断熱材(163,164)が設けられているので、高温の冷媒と低温の冷媒が第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を流れるときに、高温の冷媒と低温の冷媒が熱交換してしまうのを抑えられる。
第7の発明は、空気調和装置が、第1から第6の発明の何れか1つの冷媒流路切換弁(100)を有し、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えていることを特徴としている。
この第7の発明では、冷媒流路切換弁での高温冷媒と低温冷媒の熱交換による熱損失を抑えられるから、空気調和装置(10)の冷凍サイクルの高圧圧力や低圧圧力が変動するのを抑えられる。
第8の発明は、第7の発明において、上記冷媒回路が、4段圧縮を行う圧縮機(20)と、冷房運転時には凝縮器及びインタークーラとして機能し暖房運転時には冷媒が直列に流れる蒸発器として機能する4台の室外熱交換器(40)とを備え、上記冷媒流路切換弁(100)は、暖房運転時に、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の一方を圧縮機(20)から吐出された高温高圧冷媒が流れ、他方を蒸発器側の低温低圧冷媒が流れるように構成されていることを特徴としている。
この第8の発明では、暖房運転時に直列に流れる高温高圧冷媒と低温低圧冷媒の温度差が大きくなりやすいのに対して、冷媒流路切換弁(100)での冷媒同士の熱交換が抑制されるので、熱損失が小さくなる。
本発明によれば、弁座本体(180)が断熱性材料により形成されているので、高温の冷媒と低温の冷媒が連通路(165,166,167,168)を流れるときに、高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒が熱交換してしまうのを抑えることができる。したがって、この冷媒流路切換弁を冷媒回路に用いる場合に、冷凍サイクルの高圧圧力や低圧圧力が変動するのを抑えられるから、装置の性能が低下するのを抑制できる。また、断熱性材料の弁座本体(180)を金属製のカバー(181)で覆うようにしたことにより、冷媒の圧力差が弁座本体(180)に作用しても、弁座本体(180)の強度不足を金属製のカバー(181)で補うことができるから、部品の損傷が生じるのを防止できる。
上記第2の発明によれば、弁座本体(180)の外周部に形成されている凹部(188)にカバー(181)の連結部(184)が嵌合することにより、カバー(181)が弁座本体(180)に位置決めされるから、弁座本体(180)とカバー(181)を正しい位置関係に保持することができる。カバー(181)の位置がずれるとカバー(181)と弁座本体(180)の穴位置がずれて漏れが発生するが、本発明ではそのような問題を防止できる。
上記第3の発明によれば、カバー(181)を金属で形成したことを利用して弁座(122,132,142,152)をケース本体(111)に溶接にて固定できるから、冷媒流路切換弁の構成が複雑になるのを防止できる。
上記第4の発明によれば、弁座(122,132,142,152)の連通路(165,166,167,168)が湾曲しているので、圧力損失を抑えることができ、装置の性能低下も抑えられる。
上記第5の発明によれば、弁体(121,131,141,151)に、冷媒が互いに並行して流れる第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間に位置する断熱材(163,164)を設けているので、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を流れる高温の冷媒と低温の冷媒が熱交換してしまうのが抑えることができる。そして、弁座本体(180)を断熱性材料で形成していることと相まって、冷媒流路切換弁の中での高温冷媒と低温冷媒の熱交換を効果的に抑えられる。
上記第6の発明によれば、上記断熱材(163,164)として、断熱性材料で形成されて上記第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を構成する通路部材(163,164)を弁体(121,131,141,151)に装着するようにしているので、簡単な構成で冷媒同士の熱交換を抑えることができる。
上記第7の発明によれば、冷媒流路切換弁(100)での高温冷媒と低温冷媒の熱交換による熱損失を抑えられるから、空気調和装置(10)の冷凍サイクルの高圧圧力や低圧圧力が変動するのを抑え、装置の性能が低下するのも抑えられる。
上記第8の発明によれば、4段圧縮を行う冷凍サイクルにおいて、暖房運転時に直列に流れる高温高圧冷媒と低温低圧冷媒の温度差が大きくなりやすいのに対して、冷媒流路切換弁(100)での冷媒同士の熱交換を抑制することができるから、装置の性能低下を効果的に抑えられる。
図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置の冷房運転時の概略構成図である。 図2は、図1の冷房運転時の冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図である。 図3は、空気調和装置の暖房運転時の概略構成図である。 図4は、図3の暖房運転時の冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図である。 図5は、空気調和装置の室外ユニットの側板の一部を省略した概略外観斜視図である。 図6は、実施形態2に係る冷媒流路切換弁の外観形状を示す斜視図である。 図7は、実施形態2の冷媒流路切換弁の分解斜視図である。 図8は、図7の第2切換弁及び第3切換弁の縦断面図である。 図9は、図7の第2切換弁及び第3切換弁を上方から見た分解斜視図である。 図10は、実施形態2の第2切換弁及び第3切換弁を下方から見た分解斜視図である。 図11は、実施形態2の第1切換弁の弁座の斜視図である。 図12は、実施形態2の第2切換弁の弁座の斜視図である。 図13は、実施形態2の第1切換弁の弁座の分解斜視図である。 図14は、実施形態2の第1切換弁及び第4切換弁の弁体を下方から見た斜視図である。 図15は、実施形態2の弁ケースに弁座を接合する状態を示す斜視図である。 図16は、実施形態2の冷媒流路切換弁の内部構造を示す斜視図であり、冷房運転時の弁体の位置を示している。 図17は、実施形態2の冷媒流路切換弁の内部構造を示す斜視図であり、暖房運転時の弁体の位置を示している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この実施形態は、空気調和装置に本発明の冷媒流路切換弁を適用した例である。まず、空気調和装置の全体構成について説明する。
《空気調和装置の構成》
図1および図3は、空気調和装置(10)の概略構成図である。空気調和装置(10)は、超臨界状態の二酸化炭素冷媒を使用して四段圧縮冷凍サイクルを行う冷凍装置である。空気調和装置(10)は、熱源ユニットである室外ユニット(11)と、利用ユニットである複数の室内ユニット(12)とが、連絡冷媒配管(13,14)によって結ばれた装置であり、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとが切り替わる冷媒回路を有する。図1は、冷房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表している。図3は、暖房運転時において冷媒回路を循環する冷媒の流れを表している。図1および図3において、冷媒回路の冷媒配管に沿って示す矢印が、冷媒の流れを表している。
空気調和装置(10)の冷媒回路は、主として、四段圧縮機(20)、第1〜第4切換機構(31〜34)、室外熱交換器(40)、第1および第2室外電動弁(51,52)、ブリッジ回路(55)、エコノマイザ熱交換器(61)、内部熱交換器(62)、膨張機構(70)、レシーバ(80)、過冷却熱交換器(90)、室内熱交換器(12a)、室内電動弁(12b)、および、各機器や弁を結ぶ冷媒配管群から成る。室外熱交換器(40)は、図5に示すように、縦に並べて配置された、第1熱交換器(41)、第2熱交換器(42)、第3熱交換器(43)および第4熱交換器(44)から成る。
以下、冷媒回路の各構成要素を詳細に説明する。
〈四段圧縮機〉
四段圧縮機(20)は、密閉容器内に、第1圧縮部(21)、第2圧縮部(22)、第3圧縮部(23)、第4圧縮部(24)および圧縮機駆動モータ(図示せず)が収容された、密閉式の圧縮機である。圧縮機駆動モータは、駆動軸を介して、4つの圧縮部(21〜24)を駆動する。すなわち、四段圧縮機(20)は、4つの圧縮部(21〜24)が単一の駆動軸に連結された一軸四段の圧縮構造を有している。四段圧縮機(20)では、第1圧縮部(21)、第2圧縮部(22)、第3圧縮部(23)および第4圧縮部(24)が、この順番で直列に配管接続される。第1圧縮部(21)は、第1吸入管(21a)から冷媒を吸い込み、第1吐出管(21b)へと冷媒を吐出する。第2圧縮部(22)は、第2吸入管(22a)から冷媒を吸い込み、第2吐出管(22b)へと冷媒を吐出する。第3圧縮部(23)は、第3吸入管(23a)から冷媒を吸い込み、第3吐出管(23b)へと冷媒を吐出する。第4圧縮部(24)は、第4吸入管(24a)から冷媒を吸い込み、第4吐出管(24b)へと冷媒を吐出する。
第1圧縮部(21)は、最下段の圧縮機構であり、冷媒回路を流れる最も低圧の冷媒を圧縮する。第2圧縮部(22)は、第1圧縮部(21)によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第3圧縮部(23)は、第2圧縮部(22)によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部(24)は、最上段の圧縮機構であり、第3圧縮部(23)によって圧縮された冷媒を吸い込んで圧縮する。第4圧縮部(24)によって圧縮され第4吐出管(24b)へと吐出された冷媒は、冷媒回路を流れる最も高圧の冷媒となる。
なお、本実施形態において、各圧縮部(21〜24)は、ロータリー式やスクロール式などの容積式の圧縮機構である。また、圧縮機駆動モータは、制御部によってインバータ制御される。
第1吐出管(21b)、第2吐出管(22b)、第3吐出管(23b)および第4吐出管(24b)には、それぞれ油分離器が設けられている。油分離器は、冷媒回路を循環する冷媒に含まれる潤滑油を分離する小容器である。図1では図示を省略しているが、各油分離器の下部からはキャピラリーチューブを含む油戻し管が各吸入管(21a〜24a)に向かって延びており、冷媒から分離した油を四段圧縮 機(20)へと戻す。
また、第2吸入管(22a)には、第1切換機構(31)に向かう冷媒の流れを止める逆止弁が、第3吸入管(23a)には、第2切換機構(32)に向かう冷媒の流れを止める逆止弁が、第4吸入管(24a)には、第3切換機構(33)に向かう冷媒の流れを止める逆止弁が、それぞれ設けられている。
〈第1〜第4切換機構〉
第1切換機構(31)、第2切換機構(32)、第3切換機構(33)および第4切換機構(34)は、冷媒回路内における冷媒の流れの方向を切り換えて、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとを切り換えるために設けられている機構で、それぞれ四路切換弁である。
第1切換機構(31)の4つのポートは、第1吐出管(21b)、第2吸入管(22a)、第1熱交換器(41)の高温側配管(41h)および低圧冷媒配管(19)の枝管(19a)と接続されている。低圧冷媒配管(19)は、室外ユニット(11)内の低圧のガス冷媒が流れる冷媒配管であり、内部熱交換器(62)を介して第1吸入管(21a)に冷媒を送る。枝管(19a)は、第1切換機構(31)と低圧冷媒配管(19)とを結ぶ配管である。
第2切換機構(32)の4つのポートは、第2吐出管(22b)、第3吸入管(23a)、第2熱交換器(42)の高温側配管(42h)および直列接続用第1配管(41b)と接続されている。直列接続用第1配管(41b)は、第2切換機構(32)と、第1熱交換器(41)の低温側配管(41i)とを結ぶ配管である。
第3切換機構(33)の4つのポートは、第3吐出管(23b)、第4吸入管(24a)、第3熱交換器(43)の高温側配管(43h)および直列接続用第2配管(42b)と接続されている。直列接続用第2配管(42b)は、第3切換機構(33)と、第2熱交換器(42)の低温側配管(42i)とを結ぶ配管である。
第4切換機構(34)の4つのポートは、第4吐出管(24b)、連絡冷媒配管(14)、第4熱交換器(44)の高温側配管(44h)および低圧冷媒配管(19)と接続されている。
切換機構(31〜34)は、冷房運転時において、四段圧縮機(20)によって圧縮された冷媒の冷却器として熱交換器(41〜44)を機能させ、かつ、膨張機構(70)および室内電動弁(12b)を通過して膨張した冷媒の蒸発器(加熱器)として室内熱交換器(12a)を機能させるように、図1に示す状態になる。また、切換機構(31〜34)は、暖房運転時において、四段圧縮機(20)によって圧縮された冷媒の冷却器(放熱器)として室内熱交換器(12a)を機能させ、かつ、膨張機構(70)および室外電動弁(51,52)を通過して膨張した冷媒の蒸発器として室外熱交換器(40)を機能させるように、図3に示す状態になる。
すなわち、切換機構(31〜34)は、冷媒回路の構成要素として四段圧縮機(20)、室外熱交換器(40)、膨張機構(70)および室内熱交換器(12a)のみに着目すると、四段圧縮機(20)、室外熱交換器(40)、膨張機構(70)、室内熱交換器(12a)の順に冷媒を循環させる冷房運転サイクルと、四段圧縮機(20)、室内熱交換器(12a)、膨張機構(70)、室外熱交換器(40)の順に冷媒を循環させる暖房運転サイクルとを切り換える役割を果たす。
〈室外熱交換器〉
室外熱交換器(40)は、上述のように、第1熱交換器(41)、第2熱交換器(42)、第3熱交換器(43)および第4熱交換器(44)から成る。冷房運転時には、第1〜第3熱交換器(41〜43)が、それぞれ、圧縮途中の冷媒(中間圧冷媒)を冷やすインタークーラとして機能し、第4熱交換器(44)が、最も高圧の冷媒を冷やすガスクーラとして機能する。第4熱交換器(44)は、第1〜第3熱交換器(41〜43)よりも容量が大きい。また、暖房運転時には、第1〜第4熱交換器(41〜44)の全てが、低圧の冷媒の蒸発器(加熱器)として機能する。
室外熱交換器(40)は、図5に示すように、第1熱交換器(41)、第2熱交換器(42)、第3熱交換器(43)、第4熱交換器(44)の順で下から上に積み上げられ、一体化されている。この室外熱交換器(40)には、内部を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源あるいは加熱源として、水や空気が供給される。ここでは、室外熱交換器(40)に、図5に示す送風ファン(40a)が上向きに空気を吹き出すことによって、室外ユニット(11)の横および後ろから外気が室外熱交換器(40)を通って室外ユニット(11)の中に吸い込まれる。このような室外ユニット(11)の構成を採っているため、上のほうに配置されている第4熱交換器(44)を通る空気の量が比較的多くなり、下に配置されている第1〜第3熱交換器(41〜43)を通る空気の量が比較的少なくなる。
また、第1熱交換器(41)、第2熱交換器(42)および第3熱交換器(43)の低温側配管(41i),(42i),(43i)からは、第2吸入管(22a)、第3吸入管(23a)および第4吸入管(24a)に向かって、分岐管である第1インタークーラ管(41a)、第2インタークーラ管(42a)および第3インタークーラ管(43a)がそれぞれ延びている。第1インタークーラ管(41a)、第2インタークーラ管(42a)および第3インタークーラ管(43a)には、図1に示すように、それぞれ逆止弁が設けられている。
〈第1および第2室外電動弁〉
第1および第2室外電動弁(51,52)は、室外熱交換器(40)とブリッジ回路(55)との間に配備されている。具体的には、第1室外電動弁(51)は、第4熱交換器(44)とブリッジ回路(55)との間に、第2室外電動弁(52)は、第3熱交換器(43)とブリッジ回路(55)との間に、配備されている。暖房運転時にブリッジ回路(55)から室外熱交換器(40)へと流れてくる冷媒は、2つに分流され、第1室外電動弁(51)/第2室外電動弁(52)で膨張し、第4熱交換器(44)/第3熱交換器(43)へと流れ込む。
冷房運転時、第2室外電動弁(52)は閉じられ、第1室外電動弁(51)は全開状態にされる。暖房運転時、第1および第2室外電動弁(51,52)は、第4熱交換器(44)/第3熱交換器(43)へと流れ込む冷媒の量が適正になるように(偏流しないように)開度調整が為され、それぞれ膨張機構としての役割も果たす。
なお、上述の第3インタークーラ管(43a)は、第3熱交換器(43)と第2室外電動弁(52)との間から分岐している。
〈ブリッジ回路〉
ブリッジ回路(55)は、室外熱交換器(40)と室内熱交換器(12a)との間に設けられており、エコノマイザ熱交換器(61)、内部熱交換器(62)および膨張機構(70)を介してレシーバ(80)の入口管(81)に接続されるとともに、過冷却熱交換器(90)を介してレシーバ(80)の出口管(82)に接続されている。
ブリッジ回路(55)は、4つの逆止弁(55a,55b,55c,55d)を有している。入口逆止弁(55a)は、室外熱交換器(40)からレシーバ(80)の入口管(81)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。入口逆止弁(55b)は、室内熱交換器(12a)からレシーバ(80)の入口管(81)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁(55c)は、レシーバ(80)の出口管(82)から室外熱交換器(40)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。出口逆止弁(55d)は、レシーバ(80)の出口管(82)から室内熱交換器(12a)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁(55a,55b)は、室外熱交換器(40)および室内熱交換器(12a)の一方からレシーバ(80)の入口管(81)に冷媒を流す機能を果たし、出口逆止弁(55c,55d)は、レシーバ(80)の出口管(82)から室外熱交換器(40)および室内熱交換器(12a)の他方に冷媒を流す機能を果たす。
〈エコノマイザ熱交換器〉
エコノマイザ熱交換器(61)は、ブリッジ回路(55)から膨張機構(70)およびレシーバ(80)へと向かう高圧の冷媒と、その高圧の冷媒の一部を分岐させ膨張させた中間圧の冷媒との間で熱交換を行わせる。ブリッジ回路(55)から膨張機構(70)へ冷媒を流す主冷媒配管から分岐した配管(インジェクション配管(61a))には、第5室外電動弁(61b)が配備されている。この第5室外電動弁(61b)を通って膨張し、エコノマイザ熱交換器(61)で蒸発した冷媒は、第2インタークーラ管(42a)に向かって延びるインジェクション配管(61a)を通って、第2インタークーラ管(42a)の逆止弁よりも第3吸入管(23a)に近い部分に流れ込み、第3吸入管(23a)から第3圧縮部(23)へ吸い込まれる冷媒を冷やす。
〈内部熱交換器〉
内部熱交換器(62)は、ブリッジ回路(55)から膨張機構(70)およびレシーバ(80)へと向かう高圧の冷媒と、膨張機構(70)等を通過し室内熱交換器(12a)あるいは室外熱交換器(40)で蒸発して低圧冷媒配管(19)を流れる低圧のガス冷媒と、の間で熱交換を行わせる。内部熱交換器(62)は、液ガス熱交換器と呼ばれることもある。ブリッジ回路(55)を出た高圧の冷媒は、まずエコノマイザ熱交換器(61)を通過し、次に内部熱交換器(62)を通過して、膨張機構(70)およびレシーバ(80)へと向かう。
〈膨張機構〉
膨張機構(70)は、ブリッジ回路(55)から流れてきた高圧の冷媒を減圧・膨張させ、気液二相状態の中間圧の冷媒をレシーバ(80)へと流す。すなわち、膨張機構(70)は、冷房運転時には、高圧冷媒のガスクーラ(放熱器)として機能する室外の第4熱交換器(44)から、低圧冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器(12a)に送られる冷媒を減圧し、暖房運転時には、高圧冷媒のガスクーラ(放熱器)として機能する室内熱交換器(12a)から、低圧冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器(40)に送られる冷媒を減圧する。膨張機構(70)は、膨張機(71)および第6室外電動弁(72)から構成される。膨張機(71)は、冷媒の減圧過程の絞り損失を有効な仕事(エネルギー)として回収する役割を果たす。
〈レシーバ〉
レシーバ(80)は、膨張機構(70)を出て入口管(81)から内部空間に入ってきた気液二相状態の中間圧の冷媒を、液冷媒とガス冷媒とに分離する。分離されたガス冷媒は、低圧戻し配管(91a)に設けられた第7室外電動弁(91)を通過して低圧のガスリッチな冷媒となり、過冷却熱交換器(90)に送られる。分離された液冷媒は、出口管(82)によって過冷却熱交換器(90)に送られる。
〈過冷却熱交換器〉
過冷却熱交換器(90)は、低圧のガス冷媒と、レシーバ(80)の出口管(82)から出た中間圧の液冷媒との間で熱交換を行わせる。レシーバ(80)の出口管(82)から出た中間圧の液冷媒の一部は、冷房運転時には、レシーバ(80)と過冷却熱交換器(90)との間から分岐する分岐管(92a)を流れ、第8室外電動弁(92)を通過して、気液二相状態の低圧の冷媒となる。冷房運転時に第8室外電動弁(92)で減圧された低圧冷媒は、第7室外電動弁(91)で減圧された低圧冷媒と合流し、過冷却熱交換器(90)において、レシーバ(80)の出口管(82)からブリッジ回路(55)に向かう中間圧の液冷媒と熱交換され、過熱がついた状態で過冷却熱交換器(90)から低圧戻し配管(91a)を通って低圧冷媒配管(19)へと流れていく。一方、レシーバ(80)の出口管(82)からブリッジ回路(55)に向かう中間圧の液冷媒は、過冷却熱交換器(90)において熱を奪われ、過冷却がついた状態でブリッジ回路(55)へ流れていく。
なお、暖房運転時には、第8室外電動弁(92)が閉まり、分岐管(92a)には冷媒が流れないが、レシーバ(80)の出口管(82)から出た中間圧の液冷媒と、第7室外電動弁(91)で減圧された低圧冷媒とが、過冷却熱交換器(90)において熱交換を行うことになる。
〈室内熱交換器〉
室内熱交換器(12a)は、複数の室内ユニット(12)それぞれに設けられており、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷媒の冷却器として機能する。これらの室内熱交換器(12a)には、内部を流れる冷媒と熱交換を行う冷房対象あるいは暖房対象として、水や空気が流される。ここでは、室内熱交換器(12a)に、図示しない室内送風ファンからの室内空気が流れ、冷却あるいは加熱された空調空気が室内へと供給される。
室内熱交換器(12a)の一端は室内電動弁(12b)に、室内熱交換器(12a)の他端は連絡冷媒配管(14)に接続されている。
〈室内電動弁〉
室内電動弁(12b)は、複数の室内ユニット(12)それぞれに設けられており、室内熱交換器(12a)に流す冷媒の量を調整したり冷媒の減圧・膨張を行ったりする。室内電動弁(12b)は、連絡冷媒配管(13)と室内熱交換器(12a)との間に配置されている。
〈制御部〉
図示を省略しているが、制御部は、四段圧縮機(20)の圧縮機駆動モータや第1〜第4切換機構(31〜34)、各電動弁(12b,51,52,61b,72,91,92)と接続されるマイクロコンピュータである。この制御部は、外部から入力された室内設定温度などの情報に基づいて、圧縮機駆動モータの回転数制御や冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとの切り換え、電動弁開度の調節などを行う。
《冷媒流路切換弁の構成》
図6は、実施形態2に係る冷媒流路切換弁の外観形状を示す斜視図、図7は、冷媒流路切換弁の分解斜視図である。なお、冷媒回路は実施形態1と同じであるため、ここでは説明を省略する。
冷媒流路切換弁(100)は、冷媒回路に接続される複数のポート(Pt)が設けられた弁ケース(110)と、弁ケース(100)内に装着される4組の切換弁(120〜150)とを備え、冷媒回路における冷媒の流れ方向を切り換えるように構成されている。4組の切換弁(120〜150)は、第1切換弁(120)と第2切換弁(130)と第3切換弁(140)と第4切換弁(150)とから構成されている。
第1切換弁(120)は第1切換機構(31)に、第2切換弁(130)は第2切換機構(32)に、第3切換弁(140)は第3切換機構(33)に、第4切換弁(150)は第4切換機構(34)に対応している。各切換弁(120〜150)は、弁体(121〜151)と弁座(122〜152)とを備えている。弁座(122〜152)は、弁ケース(110)が有する円筒状のケース本体(111)に溶接で接合されていて、弁ケース(110)の一部を構成している。
図7の一番下の弁座(152)は弁ケース(110)の底板(116)を構成している。また、弁ケース(110)の上端には蓋板(112)が接合されている。上記の構成において、弁座(122,132,142)は、4つの切換弁(120〜150)の間を仕切る仕切部材になっている。なお、上記ポート(Pt)は、弁座(122,132,142)に固定された継手管(105)で構成されていて、継手管(105)は、弁座(122,132,142)をケース本体(111)に固定した後に弁座(122,132,142)に固定される。
図8は、第2切換弁及び第3切換弁の縦断面図、図9は、第2切換弁及び第3切換弁を上方から見た分解斜視図、図10は、第2切換弁及び第3切換弁を下方から見た分解斜視図である。また、図11は第1切換弁の弁座の斜視図、図12は、第2切換弁の弁座の斜視図、図13は、第1切換弁の弁座の分解斜視図である。
弁座(132,142)は、直径寸法よりも厚さ寸法が小さな円柱状の部材であり、ケース本体(111)の内周面に固定される。弁体(131,141)は、直径寸法よりも厚さ寸法が小さな円柱状の部材であり、弁座(132,142)に重ねて配置される。
弁座(132,142)と弁体(131,141)は中心の貫通孔が駆動機構のシャフト(図示せず)に装着され、弁体(131,141)にはシャフトとキーで結合するためのキー溝(114)が形成されている。また、シャフトは、弁ケース(110)の上部に装着される駆動部(駆動機構)(115)に連結されている。駆動部(115)は、モータ及び減速機構を有し、減速機構の出力軸がシャフトに連結されている。このことにより、弁体(131,141)は弁座(132,142)に対して回転可能になっている。
弁体(131,141)は、冷媒が互いに並行して流れる第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を有している。第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)は、弁体(131,141)に装着される合成樹脂(断熱性材料)製の通路部材(163,164)に形成されている。
通路部材(163,164)は、弁体(131,141)の周方向に湾曲したキャップ状の部材であり、第1冷媒通路(161)が形成された第1通路部材(163)と、第2冷媒通路(162)が形成された第2通路部材(164)とを含んでいる。各通路部材(163,164)は、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間で冷媒同士が熱交換するのを抑える断熱材として用いられている。
上記弁座(132,142)には、外周面で上記ポート(Pt)と連通し、弁体(131,141)側の端面で上記各冷媒通路(161,162)と連通する4つの連通路(165,166,167,168)が形成されている。弁座(132,142)は、図8,図9及び図11〜図13に示すように、断熱性材料である合成樹脂製の弁座本体(180)と、金属製のカバー(181)とから構成されている。カバー(181)は、弁座本体(180)の両端面を覆う上下の端板(182,183)と、両端板(182,183)同士を連結する連結部(184)を有している。また、連通路(165,166,167,168)は、弁座(132,142)の外周面の開口と端面の開口との間で湾曲した通路になっている。
図13に示すように、上記弁座本体(180)の外周部には、複数の凹部(188)が形成されている。上記カバー(181)の連結部(184)は、上記凹部(188)に嵌合する複数の位置決め部を構成している。上記連結部(184)は、上側端板(182)と下側端板(183)に分割して形成され、上側端板(182)の上側連結部(185)と下側端板(183)の下側連結部(186)を上記凹部(188)の位置に合わせて組み合わせることにより、弁座(132,142)が一体化される。上側端板(182)と下側端板(183)は、対向する一組に凹凸嵌合する係合部(187)が形成され、対向する他の一組がビス(189)で固定されるようになっている。
上記連通路(165,166,167,168)は、図9に示すように、シャフトの軸心を中心とするピッチ円周上に90°間隔で4カ所に形成されている。弁座(132,142)の連通路(165,166,167,168)の外周面の開口には、上記ポート(Pt)を構成する継手管(105)が接合されている。
各通路部材(163,164)の下面には、合成樹脂製の薄板材で形成された断熱板(173,174)が重ねられている。各断熱板(173,174)は、通路部材(163,164)の底面と同じように湾曲した形状で形成され、連通路(165,166,167,168)の上面の開口に対応する開口(173a,174a)を2つずつ有している。そして、通路部材(163,164)と断熱板(173,174)で囲まれた内部空間が、金属製の弁体(131,141)及び弁座(132,142)に対して断熱された2つの冷媒通路(161,162)になっている。
このように、各弁体は2つの冷媒通路(161,162)を有している。また、弁座(132,142)は、上記弁体(131,141)を、図9に示す第1位置と、第1位置に対して90°回転した位置である第2位置(図示せず)の間で回転可能に支持している。そして、弁体(131,141)を弁ケース(110)内で第1位置と第2位置のいずれかに設定することにより、ポート(Pt)同士の連通状態が切り換わるようになっている。
上記弁体(131,141)には、第1通路部材(第1冷媒通路(161))(163)と第2通路部材(第2冷媒通路(162))(164)の間の位置に、径方向にのびるスリット(175)が形成されている。スリット(175)は、弁体(131,141)の上面から下面まで貫通している。そして、このスリット(175)は、弁体(131,141)において第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を隔てる断熱空間になっている。
次に、第1切換弁(120)と第4切換弁(150)について説明する。
第1切換弁(120)と第4切換弁(150)の弁体(121,151)は、図7の分解斜視図と、該弁体(121,151)を下方から見た斜視図である図14に示すように、下面側に第1通路部材(163)が装着されてその内部に第1冷媒通路(161)が形成される一方、第2切換弁(130)及び第3切換弁(140)では装着されている第2通路部材(164)は装着されておらず、弁体(121,151)の下面に直接、第2冷媒通路(162)が形成されている。これらの弁体(121,151)には、第2冷媒通路(162)から上面に貫通する貫通孔(162a)が形成されている。
第1切換弁(120)の弁座(122)は、外周面側の開口と弁体(121)側の開口の間で湾曲した連通路(165,166,167)が、上記ピッチ円周上の90度間隔の4カ所のうち、3カ所に形成され、外周面側に3本の継手管(105)が装着されている。また、残りの1カ所には、弁座(122)を上下方向に貫通する連通路(図示せず)が形成されている。
第4切換弁(150)の弁座(152)は、上述したように弁ケース(110)の底板(116)により構成されている。この弁座(152)には、上記ピッチ円周上の90度間隔の4カ所に、底面から上面へ軸心方向に貫通する連通路(165,166,167,168)が形成されている。弁座(152)の下面に形成されている連通路弁座(165,166,167,168)の各開口には、4本の継手管(105)が1本ずつ接続されている。
図15は、弁ケース(110)に第1切換弁を接合する状態を示す斜視図である。図示するように、第1切換弁(120)は、弁座(122)の連結部(184)を弁ケース(110)に溶接することにより固定される。第2切換弁(130)及び第3切換弁(140)も同様にして弁ケースに固定される。
この冷媒流路切換弁(100)では、冷媒通路(161,162)を流れる冷媒が高温高圧の冷媒と低温低圧の冷媒であるが、合成樹脂製の第1通路部材(163)や第2通路部材(164)を設け、しかも第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間にスリット(175)を形成している。また、弁座(132,142)には、合成樹脂製のスリーブ(170)を設けている。したがって、高温冷媒と低温冷媒の間で行われる熱交換を抑制できる。
《空気調和装置の動作》
空気調和装置(10)の動作について、図1〜図4を参照しながら説明する。図2は、冷房運転時における冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図(p−h線図)である。図4は、暖房運転時における冷凍サイクルの圧力−エンタルピ線図(p−h線図)である。図2および図4において、上に凸の一点鎖線で示す曲線は、冷媒の飽和液線および乾き飽和蒸気線である。図2および図4において、冷凍サイクル上の英文字が付された点は、それぞれ、図1および図3において同じ英文字で表される点における冷媒の圧力およびエンタルピを表している。例えば、図1の点Bにおける冷媒は、図2の点Bにおける圧力およびエンタルピの状態になっている。なお、空気調和装置(10)の冷房運転時および暖房運転時における各運転制御は、制御部によって行われる。
〈冷房運転時の動作〉
冷房運転時は、図1に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機(20)、室外熱交換器(40)、膨張機構(70)、室内熱交換器(12a)の順に冷媒回路内を循環する。以下、冷房運転時における空気調和装置(10)の動作について、図1および図2を参照しながら説明する。
第1吸入管(21a)から四段圧縮機(20)に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部(21)で圧縮されて、第1吐出管(21b)へと吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1切換機構(31)を通過し、インタークーラとして機能する第1熱交換器(41)で冷却された後、第1インタークーラ管(41a)を介して第2吸入管(22a)に流れ込む(点C)。
第2吸入管(22a)から第2圧縮部(22)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管(22b)に吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2切換機構(32)を通過し、インタークーラとして機能する第2熱交換器(42)で冷却された後、第2インタークーラ管(42a)に流れる(点E)。第2インタークーラ管(42a)を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器(61)において熱交換されてインジェクション配管(61a)を流れてくる中間圧の冷媒(点L)と合流した後、第3吸入管(23a)に流れ込む(点F)。
第3吸入管(23a)から第3圧縮部(23)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管(23b)に吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3切換機構(33)を通過し、インタークーラとして機能する第3熱交換器(43)で冷却された後、第3インタークーラ管(43a)を介して第4吸入管(24a)に流れ込む(点H)。
第4吸入管(24a)から第4圧縮部(24)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管(24b)に吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、第4切換機構(34)を通過し、ガスクーラとして機能する第4熱交換器(44)で冷却され、全開状態の第1室外電動弁(51)およびブリッジ回路(55)の入口逆止弁(55a)を通ってエコノマイザ熱交換器(61)へと流れていく(点J)。
ブリッジ回路(55)の入口逆止弁(55a)を通過した高圧冷媒は、エコノマイザ熱交換器(61)に流れ込むとともに、その一部が分岐して第5室外電動弁(61b)へと流れる。第5室外電動弁(61b)で減圧・膨張して気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器(61)において、ブリッジ回路(55)から内部熱交換器(62)に向かう高圧冷媒(点J)と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となって上述のようにインジェクション配管(61a)から第2インタークーラ管(42a)へと流れ込む。
第5室外電動弁(61b)を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器(61)を出た高圧冷媒(点M)は、次に内部熱交換器(62)を流れ、膨張機構(70)へと流れていく(点N)。内部熱交換器(62)では、後述する低圧冷媒配管(19)から四段圧縮機(20)の第1吸入管(21a)へと流れる低圧冷媒と熱交換を行い、点Mの状態の高圧冷媒が、温度が下がって点Nの状態の高圧冷媒となる。
内部熱交換器(62)を出た高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、それぞれ膨張機構(70)の膨張機(71)、膨張機構(70)の第6室外電動弁(72)に流れる。膨張機(71)で減圧・膨張した中間圧冷媒(点P)と、第6室外電動弁(72)で減圧・膨張した中間圧冷媒(点O)とは、合流した後に入口管(81)からレシーバ(80)の内部空間へと流れ込む(点Q)。このレシーバ(80)に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ(80)の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ(80)で分離された液冷媒(点R)は、出口管(82)を通ってそのまま過冷却熱交換器(90)へと流れ、レシーバ(80)で分離されたガス冷媒(点U)は、第7室外電動弁(91)で減圧され低圧冷媒(点W)となって過冷却熱交換器(90)へと流れていく。レシーバ(80)の出口管(82)から過冷却熱交換器(90)に向かう中間圧冷媒は、過冷却熱交換器(90)の手前で分岐し、一方が過冷却熱交換器(90)を通ってブリッジ回路(55)に向かい、他方が分岐管(92a)の第8室外電動弁(92)へと流れる。第8室外電動弁(92)を通過して減圧された気液二相状態の低圧冷媒(点S)は、第7室外電動弁(91)を通過した低圧冷媒(点W)と合流し(点X)、過冷却熱交換器(90)を経て低圧冷媒配管(19)へと流れる。過冷却熱交換器(90)での熱交換によって、低圧冷媒配管(19)に向かって流れる低圧冷媒(点X)は、蒸発して過熱のついた低圧冷媒(点Y)となり、ブリッジ回路(55)に向かって流れる中間圧冷媒(点R)は、熱を奪われて過冷却のついた中間圧冷媒(点T)となる。
過冷却熱交換器(90)で過冷却のついた中間圧冷媒(点T)は、ブリッジ回路(55)の出口逆止弁(55d)を通って、連絡冷媒配管(13)へと流れていく。連絡冷媒配管(13)から室内ユニット(12)に入った冷媒は、室内電動弁(12b)を通過するときに膨張し、気液二相の低圧冷媒(点V)となって室内熱交換器(12a)に流れ込む。この低圧冷媒は、室内熱交換器(12a)で室内空気から熱を奪い、過熱のついた低圧のガス冷媒(点Z)になる。室内ユニット(12)を出た低圧冷媒は、連絡冷媒配管(14)および第4切換機構(34)を経て低圧冷媒配管(19)へと流れていく。
室内ユニット(12)から戻ってきた低圧冷媒(点Z)と、過冷却熱交換器(90)から流れてくる低圧冷媒(点Y)とは、低圧冷媒配管(19)で合流し(点AB)、内部熱交換器(62)を通って第1吸入管(21a)から四段圧縮機(20)へと戻っていく。上述のように、内部熱交換器(62)では、四段圧縮機(20)に向かう低圧冷媒(点AB)と、ブリッジ回路(55)からレシーバ(80)へと向かう高圧冷媒(点M)とが熱交換を行う。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置(10)は冷房運転サイクルを行う。
〈暖房運転時の動作〉
暖房運転時は、図3に示す冷媒配管に沿った矢印の方向に、冷媒が、四段圧縮機(20)、室内熱交換器(12a)、膨張機構(70)、室外熱交換器(40)の順に冷媒回路内を循環する。以下、暖房運転時における空気調和装置(10)の動作について、図3および図4を参照しながら説明する。
第1吸入管(21a)から四段圧縮機(20)に吸い込まれる低圧のガス冷媒(点A)は、第1圧縮部(21)で圧縮されて、第1吐出管(21b)に吐出される(点B)。吐出された冷媒は、第1切換機構(31)を通過し、第2吸入管(22a)を流れる(点C)。
第2吸入管(22a)から第2圧縮部(22)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第2吐出管(22b)に吐出される(点D)。吐出された冷媒は、第2切換機構(32)を通過し、第3吸入管(23a)を流れる。なお、第3吸入管(23a)には、エコノマイザ熱交換器(61)において熱交換されてインジェクション配管(61a)を流れてくる中間圧の冷媒(点L)も流れ込んでくるため、冷媒の温度が下がる(点F)。
第3吸入管(23a)から第3圧縮部(23)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第3吐出管(23b)に吐出される(点G)。吐出された冷媒は、第3切換機構(33)を通過し、第4吸入管(24a)を流れる(点H)。
第4吸入管(24a)から第4圧縮部(24)に吸い込まれた冷媒は、圧縮されて第4吐出管(24b)に吐出される(点I)。吐出された高圧の冷媒は、第4切換機構(34)を通過し、連絡冷媒配管(14)を介して室内ユニット(12)に流入する(点Z)。
連絡冷媒配管(14)から室内ユニット(12)に入った高圧冷媒は、冷媒の冷却器として機能する室内熱交換器(12a)で室内空気に放熱し、室内空気を暖める。室内熱交換器(12a)での熱交換によって温度が下がった高圧冷媒(点V)は、室内電動弁(12b)を通過する際にわずかに減圧され、連絡冷媒配管(13)を通って室外ユニット(11)のブリッジ回路(55)へと流れ、入口逆止弁(55b)からエコノマイザ熱交換器(61)へ向かう(点J)。
ブリッジ回路(55)を出た高圧冷媒(点J)は、エコノマイザ熱交換器(61)に流れ込むとともに、その一部が分岐して第5室外電動弁(61b)へと流れる。第5室外電動弁(61b)で減圧・膨張して気液二相状態となった中間圧冷媒(点K)は、エコノマイザ熱交換器6において、ブリッジ回路(55)から内部熱交換器(62)に向かう高圧冷媒(点J)と熱交換し、中間圧のガス冷媒(点L)となってインジェクション配管(61a)から第2インタークーラ管(42a)へと流れ込む。
第5室外電動弁(61b)を出た中間圧冷媒と熱交換をし、更に温度が下がった状態でエコノマイザ熱交換器(61)を出た高圧冷媒(点M)は、次に内部熱交換器(62)を流れ、膨張機構(70)へと流れていく(点N)。内部熱交換器(62)では、後述する低圧冷媒配管(19)から四段圧縮機(20)の第1吸入管(21a)へと流れる低圧冷媒と熱交換を行い、点Mの状態の高圧冷媒が、温度が下がって点Nの状態の高圧冷媒となる。
内部熱交換器(62)を出た高圧冷媒(点N)は、2つに分岐され、それぞれ膨張機構(70)の膨張機(71)、膨張機構(70)の第6室外電動弁(72)に流れる。膨張機(71)で減圧・膨張した中間圧冷媒(点P)と、第6室外電動弁(72)で減圧・膨張した中間圧冷媒(点O)とは、合流した後に入口管(81)からレシーバ(80)の内部空間へと流れ込む(点Q)。このレシーバ(80)に流れ込んだ気液二相状態の中間圧冷媒は、レシーバ(80)の内部空間において液冷媒とガス冷媒とに分離される。
レシーバ(80)で分離された液冷媒(点R)は、出口管(82)を通ってそのまま過冷却熱交換器(90)へと流れ、レシーバ(80)で分離されたガス冷媒(点U)は、第7室外電動弁(91)で減圧され低圧冷媒(点W)となって過冷却熱交換器(90)へと流れていく。レシーバ(80)の出口管(82)から過冷却熱交換器(90)に向かう中間圧冷媒は、第8室外電動弁(92)が閉められているため分岐管(92a)には流れず、全量が過冷却熱交換器(90)に流れ込む。過冷却熱交換器(90)では、レシーバ(80)の出口管(82)から流れてくる中間圧冷媒(点R)と、第7室外電動弁(91)で減圧された低圧冷媒(点W,X)との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、低圧冷媒配管(19)に向かって流れる低圧冷媒(点X)は、蒸発して過熱のついた低圧冷媒(点Y)となり、レシーバ(80)からブリッジ回路(55)に向かう中間圧冷媒(点R)は、熱を奪われて過冷却のついた中間圧冷媒(点T)となる。
過冷却熱交換器(90)を出てブリッジ回路(55)の出口逆止弁(55d)を通過した中間圧冷媒は、2路に分流し、第1および第2室外電動弁(51,52)でそれぞれ減圧・膨張され気液二相の低圧冷媒となる(点AC)。このとき、第1および第2室外電動弁(51,52)の開度は、直列に接続される第1〜第3熱交換器(41〜43)の圧力損失量と、第4熱交換器(44)の圧力損失量とに応じて調節されており、いずれかの一方の流路に冷媒が偏流してしまうことが抑制されている。
室外熱交換器(40)の第4熱交換器(44)に流入した低圧冷媒は、外気から熱を奪って蒸発し、第4熱交換器(44)の高温側配管(44h)から第4切換機構(34)を経て低圧冷媒配管(19)へと流れていく。一方、室外熱交換器(40)の第3熱交換器(43)に流入した低圧冷媒は、第2熱交換器(42)、第1熱交換器(41)を順に流れ、枝管(19a)を介して低圧冷媒配管(19)へ流れ、第4熱交換器(44)を出た冷媒と合流する。具体的には、第3熱交換器(43)を出た冷媒は、第3熱交換器(43)の高温側配管(43h)、第3切換機構(33)、直列接続用第2配管(42b)、第2熱交換器(42)の低温側配管(42i)、第2熱交換器(42)、第2熱交換器(42)の高温側配管(42h)、第2切換機構(32)、直列接続用第1配管(41b)、第1熱交換器(41)の低温側配管(41i)、第1熱交換器(41)、第1熱交換器(41)の高温側配管(41h)、第1切換機構(31)を順に流れ、第3熱交換器(43)だけではなく順に第2熱交換器(42)、第1熱交換器(41)で外気から熱を奪って蒸発し、枝管(19a)から低圧冷媒配管(19)へと流れる。
第4熱交換器(44)および直列に接続された第1〜第3熱交換器(41〜43)で蒸発して過熱もついた低圧のガス冷媒は、図3に示すように室外熱交換器(40)の下流側の低圧冷媒配管(19)で合流し(点AD)、更に過冷却熱交換器(90)から流れてくる低圧冷媒(点Y)と合流して(点AB)、内部熱交換器(62)を通って第1吸入管(21a)から四段圧縮機(20)へと戻っていく。上述のように、内部熱交換器(62)では、四段圧縮機(20)に向かう低圧冷媒(点AB)と、ブリッジ回路(55)からレシーバ(80)へと向かう高圧冷媒(点M)とが熱交換を行う。
以上のように冷媒が冷媒回路内を循環することにより、空気調和装置(10)は暖房運転サイクルを行う。
本実施形態に係る空気調和装置(10)では、冷媒配管群が、暖房運転時に、3つの第1〜第3熱交換器(41〜43)に直列に冷媒が流れるように、四段圧縮機(20)、切換機構(31〜34)、第4熱交換器(44)、第1〜第3熱交換器(41〜43)、膨張機構(70)および室内熱交換器(12a)を接続している。
具体的に説明すると、図3に示すように、暖房運転時には、第1切換機構(31)は、第1吐出管(21b)と第2吸入管(22a)とを結び、第1熱交換器(41)の高温側配管(41h)と低圧冷媒配管(19)の枝管(19a)とを結ぶ状態となる。第2切換機構(32)は、第2吐出管(22b)と第3吸入管(23a)とを結び、第2熱交換器(42)の高温側配管(42h)と直列接続用第1配管(41b)とを結ぶ状態となる。第3切換機構(33)は、第3吐出管(23b)と第4吸入管(24a)とを結び、第3熱交換器(43)の高温側配管(43h)と直列接続用第2配管(42b)とを結ぶ状態となる。そして、第4切換機構(34)は、第4吐出管(24b)と連絡冷媒配管(14)とを結び、第4熱交換器(44)の高温側配管(44h)と低圧冷媒配管(19)とを結ぶ状態となる。これにより、第3熱交換器(43)の高温側配管(43h)が、第3切換機構(33)および直列接続用第2配管(42b)を介して、第2熱交換器(42)の低温側配管(42i)と結ばれる。また、第2熱交換器(42)の高温側配管(42h)が、第2切換機構(32)および直列接続用第1配管(41b)を介して、第1熱交換器(41)の低温側配管(41i)と結ばれる。すなわち、第3熱交換器(43)、第2熱交換器(42)および第1熱交換器(41)の3つが、直列に接続された状態となる。
このように冷媒配管群を配した冷媒回路を空気調和装置(10)では採用しているので、暖房運転時に、膨張機構(70)および第1,第2室外電動弁(51,52)で減圧された低圧冷媒が、第4熱交換器(44)に流れるとともに、直列に接続された第1〜第3熱交換器(41〜43)にも流れ、第1〜第4熱交換器(41〜44)において蒸発する。すなわち、第1〜第3熱交換器(41〜43)は、冷房運転時には、それぞれが圧縮途中の冷媒(中間圧冷媒)を冷やすインタークーラとして機能するが、暖房運転時には、直列に接続されて蒸発器として機能する。このような構成を採っているため、冷房運転における性能を重視して第4熱交換器(44)の設計を行っていても、暖房運転時に第4熱交換器(44)および第1〜第3熱交換器(41〜43)の両蒸発器を流れる冷媒量を適正値に近づけることが可能になっており、室外熱交換器(40)における冷媒の偏流を抑制することができている。
特に、空気調和装置(10)では、第1熱交換器(41)、第2熱交換器(42)、第3熱交換器(43)、第4熱交換器(44)の順で下から上に積み上げられ一体化された室外熱交換器(40)を、上吹きタイプの送風ファン(40a)が配備された室外ユニット(11)内に収容している。このため、上述のように、上のほうに配置されている第4熱交換器(44)を通る空気の量が比較的多くなり、下に配置されている第1〜第3熱交換器(41〜43)を通る空気の量が比較的少なくなる。
また、冷房運転における性能を重視して室外熱交換器(40)を設計しているため、第4熱交換器(44)のパス長が、第1〜第3熱交換器(41〜43)それぞれのパス長より、かなり長くなっている。すなわち、第4熱交換器(44)が、第1〜第3熱交換器(41〜43)それぞれよりも、高い圧力損失となっている。
このため、第1〜第4熱交換器(41〜44)それぞれを、暖房運転時にも並列に冷媒を流す形で使うと仮定すると、空気が沢山流れる第4熱交換器(44)には、その圧力損失が高いために、あまり冷媒が流れない状態となり、逆に空気の流れる量が比較的少ない第1〜第3熱交換器(41〜43)に冷媒が多く流れる状態となる。これでは、室外熱交換器(40)が蒸発器として十分に機能を発揮しなくなってしまう。
しかし、空気調和装置(10)では、第1〜第4熱交換器(41〜44)を、第4熱交換器(44)と、直列に接続する第1〜第3熱交換器(41〜43)との2つに分け、それらの2つの流路に低圧冷媒を分流して流すという構成を暖房運転時に採っているため、蒸発器として働く室外熱交換器(40)において冷媒偏流が抑制され、暖房運転時の運転効率が向上する。
空気調和装置(10)では、暖房運転時において、第1熱交換器(41)の高温側配管(41h)、第1熱交換器(41)の低温側配管(41i)、直列接続用第1配管(41b)、第2熱交換器(42)の高温側配管(42h)、第2熱交換器(42)の低温側配管(42i)、直列接続用第2配管(42b)、第3熱交換器(43)の高温側配管(43h)といった冷媒配管群に加え、第2切換機構(32)および第3切換機構(33)を利用して、第1〜第3熱交換器(41〜43)を直列に接続している。
このように、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れる向きが変わるように状態が切り換わる切換機構(31〜34)を利用して、暖房運転時に第1〜第3熱交換器(41〜43)に直列に冷媒が流れるように冷媒配管群で各熱交換器や切換機構の接続を行っているため、空気調和装置(10)の製造コストが抑えられている。
〈冷媒流路切換弁の動作〉
冷房運転時の弁体の位置を、冷媒流路切換弁の内部構造を示す斜視図である図16に示している。図16に冷媒の流れを矢印で示しているように、第1切換機構(31)である第1切換弁(120)、第2切換機構(32)である第2切換弁(130)及び第3切換機構(33)である第3切換弁(140)では、それぞれ一方向の冷媒流路が形成されている。また、第4切換機構(34)である第4切換弁(150)では、2方向の冷媒流路が形成されている。これらの冷媒流路は、図1の冷媒回路に示した冷房運転時の冷媒の流れに対応している。
暖房運転時の弁体の位置を、冷媒流路切換弁の内部構造を示す斜視図である図17に示している。図17に冷媒の流れを示しているように、第1切換機構(31)である第1切換弁(120)と第4切換機構(34)である第4切換弁(150)では、第1通路部材(163)を設けている第1冷媒通路(161)で、流入側のポートから流入した冷媒が流出側のポートから流出する。また、第2冷媒通路(162)は第1切換機構(31)である第1切換弁(120)と第4切換機構(34)である第4切換弁(150)で連通しているので、それぞれの流入側のポートから流入した冷媒が合流して流出する。また、第2切換機構(32)である第2切換弁(130)と第3切換機構(33)である第3切換弁(140)では、2方向の冷媒流路が形成されている。これらの冷媒流路は、図3の冷媒回路に示した暖房運転時の冷媒の流れに対応している。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、暖房運転時に、第1〜第4切換機構(31〜34)である冷媒流路切換弁(100)の第1〜第4切換弁(120〜150)において、特に弁体(121,131,141,151)の中で並走する冷媒通路(161,162)を高温の冷媒と低温の冷媒が流れるのに対して、弁座(122,132,142)の連通路(165,166,167,168)を合成樹脂製の弁座本体(180)に形成するようにしている。この弁座本体(180)が断熱材として機能するので、高温冷媒と低温冷媒が熱交換しにくくなる効果が高められる。したがって、空気調和装置の能力が低下するのを防止できる。
また、合成樹脂材料の弁座本体(180)が金属製のカバー(181)で覆われているので、冷媒の圧力差が弁座本体(180)に作用しても、弁座本体(180)の強度不足が金属製のカバー(181)で補われる。したがって、冷媒流路切換弁(100)の部品に損傷が生じるのを防止できる。
また、合成樹脂製の通路部材(163,164)と断熱板(173,174)を断熱材として設けたので、両冷媒間が熱交換してしまうのを抑えられる。
また、本実施形態では、弁体(121,131,141,151)にスリット(175)を設けている。このスリットは断熱空間として機能するため、高温冷媒と低温冷媒がより熱交換しにくくなる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、4段圧縮を行う冷媒回路を有する空気調和装置(10)に冷媒流路切換弁(100)を適用した例を説明したが、本発明の冷媒流路切換え弁(100)は4段圧縮を行う冷媒回路に限らず、単段圧縮や4段以外の多段圧縮を行う冷媒回路に適用することも可能である。その場合、圧縮段数に応じた数の切換弁(120,130,140,150)を弁ケース(110)に設けるとよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、冷媒回路において冷媒の流れ方向を切り替えるのに用いられる冷媒流路切換え弁について有用である。
10 空気調和装置
20 圧縮機
40 室外熱交換器
100 冷媒流路切換弁
110 弁ケース
111 ケース本体
121 弁体
122 弁座
131 弁体
132 弁座
141 弁体
142 弁座
151 弁体
152 弁座
161 第1冷媒通路
162 第2冷媒通路
163 第1通路部材(断熱材)
164 第2通路部材(断熱材)
165 連通路
166 連通路
167 連通路
168 連通路
180 弁座本体
181 カバー
182 端板
183 端板
184 連結部
188 凹部

Claims (8)

  1. 冷媒回路に接続される複数のポート(Pt)が形成された弁ケース(110)と、2つの冷媒通路(161,162)を有するとともに上記弁ケース(110)内で第1位置と第2位置のいずれかに設定することにより上記ポート(Pt)同士の連通状態を切り換える複数の弁体(121,131,141,151)とを備え、冷媒回路の複数箇所における冷媒の流れ方向を切り換える冷媒流路切換弁であって、
    上記弁ケース(110)は、円筒状のケース本体(111)と、上記ケース本体(111)の内周面に固定されるとともに上記弁体(121,131,141,151)を第1位置と第2位置の間でそれぞれ回転可能に支持する円柱状の複数の弁座(122,132,142,152)とを備え、
    上記弁座(122,132,142,152)には、外周面で上記ポート(Pt)と連通し、弁体(121,131,141,151)側の端面で上記各冷媒通路(161,162)と連通する複数の連通路(165,166,167,168)が形成され、
    上記弁座(122,132,142,152)は、断熱性材料により形成された弁座本体(180)と、弁座本体(180)の両端面を覆う上下の端板(182,183)及び該両端板(182,183)同士を連結する連結部(184)を有する金属製のカバー(181)と、を有することを特徴とする冷媒流路切換弁。
  2. 請求項1において、
    上記弁座本体(180)の外周部に複数の凹部(188)が形成され、
    上記カバー(181)の連結部(184)は、上記凹部(188)に嵌合する複数の位置決め部を構成していることを特徴とする冷媒流路切換弁。
  3. 請求項1または2において、
    上記弁座(122,132,142,152)は、上記カバー(181)を上記ケース本体(111)に接合することにより該ケース本体(111)に固定されることを特徴とする冷媒流路切換弁。
  4. 請求項1,2または3において、
    上記弁座(122,132,142,152)の連通路(165,166,167,168)が、該弁座(122,132,142,152)の外周面の開口と端面の開口との間で湾曲した通路であることを特徴とする冷媒流路切換弁。
  5. 請求項1から4の何れか1つにおいて、
    上記弁体(121,131,141,151)の冷媒通路(161,162)は、冷媒が互いに並行して流れる第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)とを含み、
    上記弁体(121,131,141,151)には、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の間に断熱材(163,164)が設けられていることを特徴とする冷媒流路切換弁。
  6. 請求項5において、
    上記弁体(121,131,141,151)には、上記断熱材(163,164)として、断熱性材料で形成されて上記第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)を構成する通路部材(163,164)が装着されていることを特徴とする冷媒流路切換弁。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1つの冷媒流路切換弁(100)を有し、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えていることを特徴とする空気調和装置。
  8. 請求項7において、
    上記冷媒回路は、4段圧縮を行う圧縮機(20)と、冷房運転時には凝縮器及びインタークーラとして機能し暖房運転時には冷媒が直列に流れる蒸発器として機能する4台の室外熱交換器(40)とを備え、
    上記冷媒流路切換弁(100)は、暖房運転時に、第1冷媒通路(161)と第2冷媒通路(162)の一方を圧縮機(20)から吐出された高温高圧冷媒が流れ、他方を蒸発器側の低温低圧冷媒が流れるように構成されていることを特徴とする空気調和装置。
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