JP2014208779A - 有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を有する有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタを提供する。
【解決手段】(A)ジアリルフタレート樹脂と、(B)多官能モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有する有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物である。また、上記有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物に電子線が照射されてなる硬化物である。さらに、上記硬化物が絶縁膜として用いられている有機トランジスタである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」とも称す)、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタに関し、詳しくは、優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を有する有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタに関する。
近年、トランジスタの部材に有機物を用いた有機トランジスタ(Organic Field Effect Transister)が注目を集めている。この有機トランジスタは、柔らかくフレキシブルである上、単位面積当たりの原料が低価格で生産できるという利点を有している。そのため、ユビキタス時代の必須アイテム、すなわち、フレキシブルであり、かつ、低コスト端末の実現には欠かすことができない構成要素と考えられている。
図1は、有機トランジスタの基本構造の一例を示す断面図である。図示する例は、ボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)であり、基材1の上に、ゲート電極2、絶縁膜3、ソース電極4、ドレイン電極5、および有機半導体層6、が形成されている。このような有機トランジスタ10は、ゲート電極2の電圧で、有機半導体層6を介したソース電極4−ドレイン電極5間の電流または電圧を制御している。有機トランジスタ10をEL(electroluminescence)ディスプレイ等の電流駆動デバイスに用いるためには、高速なスイッチングが可能である必要があり、このためには、電流の動きを媒介するキャリア(電子または正孔)の高い移動度が求められる。このためには、絶縁膜3の表面には、平滑性が必要とされる。また、消費電力を低減させるためには閾値電圧が、0Vに近いことが求められる。これらの特性を発現させるためには、絶縁膜3には高い絶縁性(漏れ電流が少ない)が求められている。
近年、ソース電極4およびドレイン電極5と接する絶縁膜3の形成には、真空蒸着法やスパッタリング法等によるドライプロセスに比べて、その作業性の容易さから、印刷法の様なウェットプロセスが多用される様になってきている。ウェットプロセスにおいては、まず、基材1上にゲート電極2を形成し、このゲート電極2の上に絶縁膜3が形成される。その後、この絶縁膜3の上にソース電極4、ドレイン電極5および有機半導体層6が形成されることになるが、これらを形成する各導電性インキには、粘度調整等のために有機溶剤が用いられている。したがって、絶縁膜3には、ソース電極4、ドレイン電極5および有機半導体層6の形成する際に、有機溶剤に溶解しないように、高い耐溶剤性が求められる。
一方で、ウェットプロセスは通常、製膜後に過熱(焼成)する必要がある。耐熱温度の低いフレキシブル材料を基材に用いる場合には、この過熱(焼成)工程がより低温でなされることが求められる。例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)を基材に使用した場合には150℃以下の焼成温度で行う必要がある。このような問題に対して、特許文献1では、高温の焼成工程を経ずとも、耐溶剤性、絶縁性を兼ね備えた絶縁膜3を形成することができる絶縁性インキ組成物が提案されている。
特許4626837号
特許文献1に記載の絶縁性インキ組成物は、活性エネルギー線硬化型であるため成膜後に高温の焼成工程を要しない。しかしながら、OFET用途に用いるためには、特許文献1に記載の絶縁性インキ組成物では、絶縁性、耐溶剤性については、必ずしも十分であるとは言えないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を有する有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、一般的な活性エネルギー線硬化性組成物に用いられるエポキシアクリレート樹脂には遊離ハロゲンが含まれているとの知見を得た。かかる知見に基づき、本発明者はさらに鋭意検討した結果、特定の活性エネルギー線硬化性樹脂は、エポキシアクリレート樹脂よりも遊離ハロゲンの含有量が少なく、この特定の活性エネルギー線硬化樹脂をエポキシアクリレート樹脂に代えて用いることで、優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物は、(A)ジアリルフタレート樹脂と、(B)多官能モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有することを特徴とするものである。
また、本発明の硬化物は、上記本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物に活性エネルギー線が照射されてなることを特徴とするものである。
さらに、本発明の有機トランジスタは、上記本発明の硬化物が絶縁膜として用いられていることを特徴とするものである。
本発明によれば、優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を有する有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物、その硬化物、およびそれを用いた有機トランジスタを提供することができる。
有機トランジスタの基本構造の一例を示す断面図である。 実施例2のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vg特性を示すグラフである。 比較例のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vg特性を示すグラフである。 実施例2のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vd特性を示すグラフである。 実施例1〜4および比較例の漏れ電流を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物]
本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物は、従来のエポキシアクリレート樹脂よりも遊離ハロゲン含有量が少ない活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いる。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、一分子中にひとつ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましい。例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリル樹脂の側鎖にエチレン性不飽和二重結合を導有した変性アクリル樹脂、などが挙げられる。これらのさらに中でも、二つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物がより好ましく、エポキシアクリレート樹脂よりも遊離ハロゲンの含有量が少ないジアリルフタレート樹脂が特に好ましい。本発明のインキ組成物としては、(A)ジアリルフタレート樹脂と、(B)多官能モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有する。本発明のインキ組成物は、一般的な活性エネルギー線硬化性組成物に用いられるエポキシアクリレート樹脂に代えてジアリルフタレート樹脂を用いているため、優れた耐溶剤性とともに、従来よりも優れた絶縁性を有している。以下、本発明のインキ組成物の成分である(A)〜(C)について、詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタアクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
<(A)ジアリルフタレート樹脂>
本発明のインキ組成物に用いることができるジアリルフタレート樹脂は、ジアリルフタレート系繰り返し単位を含むものであればよく、ジアリルフタレート系モノマーの単独重合体、2種以上のジアリルフタレート系モノマーの共重合体の他、ジアリルフタレート系モノマーと、このモノマーと共重合可能な他のモノマー(例えば、エチレン性二重結合を有する芳香族化合物、エチレン性二重結合を有する脂肪族化合物、または(メタ)アリル化合物)との共重合体であってもよい。ジアリルフタレート系モノマーと、このモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体は、通常、ジアリルフタレート系繰り返し単位が主体をなす。
ジアリルフタレート樹脂の原料となるジアリルフタレート系モノマーは、ジアリルオルソフタレートモノマー、ジアリルイソフタレートモノマー、およびジアリルテレフタレートモノマーから選択される化合物である。これら化合物の1種または2種以上を用いてのジアリルフタレート樹脂の合成、およびこれらジアリルフタレート系モノマーと、このモノマーと重合可能な他のモノマーを用いてのジアリルフタレート樹脂の合成は既知の手法を用いればよく、例えば、特公平2−024850号公報、特開平11−147917号公報等に記載された重合反応を採用することができる。
本発明のインキ組成物に用いられるジアリルフタレート樹脂としては、例えば、ダイソー社製の「ダップ−A」(登録商標)のような、単独重合体であるジアリルオルソフタレート樹脂、ダイソー社製の「イソダップ」(登録商標)のような、ジアリルイソフタレート樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂が好ましく、ジアリルオルソフタレート樹脂、およびジアリルイソフタレート樹脂がより好ましい。
本発明のインキ組成物においては、好適に用い得るジアリルフタレート樹脂は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法)で測定した重量平均分子量(ポリスチレン換算)が20,000〜60,000であり、より好ましくは50,000〜60,000である。重量平均分子量が60,000を超えると硬化性が悪くなるおそれがあり、20,000未満であると耐熱性が悪くなるおそれがあるからである。
<(B)多官能モノマー>
本発明のインキ組成物においては、多官能モノマーとしては、1分子中に少なくとも2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物であれば、いかなるものも使用可能である。具体的には、多価アルコールと、α,β−不飽和カルボン酸とを縮合して得られる化合物(例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(ジアクリレートまたはジメタクリレートの意味、以下同様)、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラ(1,2−プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等)、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、より好ましくは、ジメチロールプロパンヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上のものを挙げることができる。本発明のインキ組成物においては、これらは1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインキ組成物においては、多官能モノマーは、ジアリルフタレート樹脂100質量部に対し、1〜100質量部の割合で配合することが好ましく、3〜50質量部の範囲がさらに好ましい。1〜100質量部の範囲を逸脱すると、本発明の所期の効果が得られない場合があり好ましくない。また、現像性に好ましくない影響を及ぼすおそれがある。
<(C)光重合開始剤>
本発明のインキ組成物においては、光重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する公知の化合物が使用可能であり、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、リボフラビンテトラブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物;2,4,6−トリス−s−トリアジン、2,2,2−トリブロモエタノール、トリブロモメチルフェニルスルホン等の有機ハロゲン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができる。また、その他の例として、アクリジン化合物類、オキシムエステル類等を挙げることができる。本発明のインキ組成物においては、これらは1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のインキ組成物においては、上記のような光重合開始剤は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類、およびβ−チオジグリコール等のチオエーテル類、(ケト)クマリン、チオキサンテン等の増感色素類、およびシアニン、ローダミン、サフラニン、マラカライトグリーン、メチレンブルー等のアルキルホウ酸塩のような光増感剤または促進剤の1種または2種以上と組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤の好ましい組合せとしては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(例えばBASFジャパン社製、イルガキュアー907)と、2−クロロチオキサントン(例えば、日本化薬(株)製カヤキュアーCTX)や2,4−ジエチルチオキサントン(例えば、日本化薬(株)製カヤキュアーDETX)、2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等との組合せを挙げることができる。
本発明のインキ組成物においては、光重合開始剤の添加量の好適な範囲は、ジアリルフタレート樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部である。光重合開始剤の配合割合が0.01質量部未満の場合には光硬化性が悪くなり、一方、30質量部より多い場合には硬化塗膜の特性が悪くなり、また、保存安定性が悪くなるので好ましくない。
<その他添加剤>
本発明のインキ組成物には、上記(A)〜(C)の他に、本発明の所期の効果を損なわない限り、他の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系の消泡剤、レベリング剤、公知慣用の熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、老化防止剤、抗菌・防黴剤等を挙げることができる。
<有機溶剤>
本発明のインキ組成物においては、必要に応じてインキ組成物を均一に溶解したり、粘度を調整したりするために、有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤は、各成分を均一に溶解することができ、かつ、各成分と反応しないものであれば、特に制限はない。
これら有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル等のエステル類を挙げることができる。
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、各成分との反応性および塗膜の形成のしやすさから、グリコールエーテル類、グリコールアルキルエーテルアセテート類、エステル類およびジエチレングリコール類が好ましく用いることができる。本発明のインキ組成物においては、これら有機溶剤を1種でまたは2種類以上混合して用いてもよい。
また、これらの有機溶剤の中でも沸点が100℃〜160℃のものが好適に用いられる。溶剤の沸点が100℃以上とすることで、緩やかな乾燥により膜厚ムラの発生を防止でき、160℃以下とすることで、塗膜中への溶剤の残留を防止することができ、乾燥性が適当となるからである。
本発明のインキ組成物を製造するには、上記ジアリルフタレート樹脂を主成分として、これに適宜必要量の多官能モノマー、および光重合開始剤を加えた後、必要に応じて上記添加剤を添加し混合、攪拌すればよい。特に、得られるインキ組成物が、硬化後において、80(V)印加時における漏れ電流が1.0×10−10(A)以下であることや、硬化後において、体積抵抗値が10×1014(Ωcm)以上であることや、硬化後において、耐電圧が1.0(MV/cm)以上であることや、硬化後において、キャリアの移動度が1.0×10−3(cm/Vs)以上であること、を満足するように、上記(A)〜(C)、その他添加剤および有機溶剤の配合量を適宜設計して製造することが好ましい。
[硬化物]
次に、本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物の硬化物について説明する。本発明の硬化物は、上記本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物からなるものであり、例えば、本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物を、基材等に塗工後、活性エネルギー線を照射し、硬化してなるものである。
本発明の硬化物においては、活性エネルギー線の照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプ等を好適に用いることができる。その他、レーザー光線、電子線等も活性エネルギー線として利用してもよい。
本発明の硬化物の形成方法としては、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等の既知の方法により塗布し、乾燥工程により溶剤を揮発させた後に、活性エネルギー線を照射することで形成することができる。
また、本発明の硬化物に係る基材についても特に制限はなく、例えば、シリコン、絶縁層となるよう表面を酸化シリコン化した熱酸化膜シリコン、ガラス、ステンレス等の金属薄板があるが、本発明においては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムおよびこれらフィルムにガスバリヤー性、ハードコート層を付けた複合フィルムを、合成樹脂基材として用いることができる。
[有機トランジスタ]
次に、本発明の有機トランジスタについて説明する。本発明の有機トランジスタの一好適例としては、図1に示すような、ボトムゲートボトムコンタクト構造の薄膜トランジスタ(TFT)を挙げることができ、図示例においては、基材1の上に、ゲート電極2、絶縁膜3、ソース電極4、ドレイン電極5および有機半導体層6が形成されている。本発明の有機トランジスタ10は、本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物を、絶縁層3に用いたものである。そのため、本発明の有機トランジスタ10の絶縁層3は、従来のトランジスタと比較して絶縁性に優れている。また、本発明の有機トランジスタに係る絶縁層3は耐溶剤性に優れているため、その製造工程において、絶縁膜3が溶剤に溶解することもない。以下、本発明の有機トランジスタについて説明する。
<ゲート電極の形成>
まず、基材1上にゲート電極2を形成する。ゲート電極2の形成方法には特に制限はなく、例えば、スパッタ、蒸着、イオンプレーティング、フォトリソグラフィー、エッチングに代表されるドライプロセスや、印刷法等のウェットプロセスが適用できる。特に、ウェットプロセスは、製造コストの観点からから好ましい。ウェットプロセスとして、例えば、インクジェット記録法、スクリーン印刷法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレーコート法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、グラビアオフセット法、凸版オフセット法、マイクロコンタクトプリント法、凸版反転印刷法等の既知の方法を採用することができる。
ゲート電極2の形成に当たって、印刷法を採用する場合、ゲート電極2を形成する導電性インキとしては、例えば、適当な溶剤中に、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛、アルミ、カルシウム、マグネシウム、鉄、白金、パラジウム、スズ、クロム、鉛等の金属粒子および銀/パラジウム等のこれら金属の合金、酸化銀、有機銀、有機金等の比較的低温で熱分化して導電性金属を与える熱分解性金属化合物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジュウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物粒子を導電性成分として含んでいてもよいし、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン等の導電性高分子を含んでいてもよい。また、導電性インキの溶剤の種類に制限はなく導電性材料の溶解または分散に適した溶剤を適宜選択できる。例えば、水、炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エーテル系、エステル系、フッ素系等の各種有機溶剤を使用できる。
導電性インキには導電性材料の他、必要に応じて樹脂等のバインダー成分、酸化防止剤、皮膜形成促進のための各種触媒、各種表面張力調整剤、レベリング剤、離型促進剤等を添加してもよい。これらのインキの中でも、特にナノ銀粒子を溶剤に分散し、低分子シリコーン等の離型剤、フッ素系界面活性剤等の表面張力調整剤を混合したインキは凸版反転印刷法に適しており、優れたパターンニング性および低温焼成で高い導電性を示すことから好適に使用できる。インキ膜層から、ゲート電極2への変換は、例えば、常温乾燥、加熱処理、および活性エネルギー線、電子線の照射等の処理等、インキ特性や電子部品にとってそれぞれに最適な方法で実施することができる。
本発明の有機トランジスタの基材1としては、例えば、シリコン、絶縁層となるよう表面を酸化シリコン化した熱酸化膜シリコン、ガラス、ステンレス等の金属薄板を用いてもよいが、有機トランジスタのフレキシブル化の観点からプラスチックフィルムを好適に用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムおよびこれらフィルムにガスバリヤー性、ハードコート層を付けた複合フィルムを挙げることができる。
<絶縁膜の形成>
絶縁膜形成工程では、ゲート電極2を形成した基材1上に、絶縁膜3を形成する。絶縁膜3の形成には、上記本発明の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物を用いる。本発明のインキ組成物は絶縁膜の形成方法としては、例えば、インクジェット記録法、スクリーン印刷法、スピンコート法、バーコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレーコート法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、グラビアオフセット法、凸版オフセット法、マイクロコンタクトプリント法、凸版反転印刷法等の既知のウェットプロセスを採用することができる。上記手法により印刷されたインキ膜層は、活性エネルギー線や電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化されることにより、絶縁膜となる。絶縁膜の膜厚に特に制限はなく、絶縁性が保たれていればいかなる膜厚であってもよいが、通常は0.1〜5μmが好ましく、0.3〜2μmであることがより好ましい。
<ソース電極およびドレイン電極の形成>
ソース電極およびドレイン電極形成工程では、基材1上に形成したゲート電極2および絶縁膜3の上に、ソース電極4およびドレイン電極5を形成する。ソース電極4およびドレイン電極5は、それぞれの導電性インキを、ゲート電極2と同様の手法で塗布、硬化することにより形成することができる。特に、本発明に係る絶縁膜3は耐溶剤性に優れているため、ソース電極4およびドレイン電極5は、各導電性インキをウェットプロセスにより形成することが好ましい。これにより、製造コストを大幅に低下させることができる。
<有機半導体層の形成>
有機半導体層形成工程は、ソース電極4およびドレイン電極5を形成した後に、有機半導体層6を形成する工程である。本発明に係る絶縁膜3は耐溶剤性に優れているため、本発明の有機トランジスタの有機半導体層6には、溶剤可溶性のウェットプロセスで形成可能な有機半導体が好適である。溶剤可溶性の有機半導体としては、P3HT(ポリ(3−へキシルチオフェン))、PQT−12(ポリ[5,5’−ビス(3−dodecyl−2−チエニル1)−2,2’−ビチオフェン])等のポリチオフェン系高分子、PB10TTT,PB12TTT,PB14TTT,PB16PBTTT等のチオフェン−チエノチオフェン(PBTTT:ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン))共重合体、可溶性のチオフェン系オリゴマー、F8T2等のフルオレン系高分子、フェニレンビニレン系高分子、トリアリールアミン系高分子、TIPSペンタセンおよびこれら有機半導体の前駆体や混合体を好適に用いることができる。
上記の有機半導体の中でも、P3HT(ポリ(3−へキシルチオフェン))、PQT−12(ポリ[5,5’−ビス(3−dodecyl−2−チエニル1)−2,2’−ビチオフェン])等のポリチオフェン系高分子、PB10TTT,PB12TTT,PB14TTT,PB16PBTTT等のチオフェン−チエノチオフェン(PBTTT:ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン))共重合体、TIPSペンタセン等の1種または2種類以上の混合体が好ましい。これらの有機半導体は、自己凝集性が高く、結晶構造を取ることによって優れたトランジスタ特性を発揮することができる。
これら有機半導体インキに適用可能な溶剤は、常温もしくは多少の加熱で有機半導体を溶解でき、適度の揮発性を有し、溶剤揮発後に有機半導体薄膜を形成できればよく、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロホルム、アニソール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジクロルベンゼンやトリクロロベンゼン等のクロルベンゼン系溶剤、フッ素系溶剤を、1種またはこれら溶媒を含有する混合溶媒が好適に用いることができる。
有機半導体層6を形成する有機半導体インキには、フッ素系界面活性剤が含有されることが好ましい。特に結晶性有機半導体インキへのフッ素系界面活性剤は、インキ特性の向上効果のみならず、インキの乾燥により形成した半導体膜の特性、例えば電界効果移動度が向上するからである。また、インキ特性の向上を目的として、さらに少量のシリコーン系や、炭化水素系の界面活性剤を補助的に添加してもよい。
トランジスタ特性の向上を図るために、絶縁膜3の表面に、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクチルトリクロロシラン(OTS−8)、オクタデシルトリクロロシラン、(OTS−18)、ドデシルトリクロロシラン(DTS)、フッ素置換オクタトリクロロシラン(PFOTS)、β−フェネチルトリクロロシラン等のシランカップリング剤でSAM(自己組織膜)処理を施すことが好ましい。この絶縁層3上の自己組織膜と有機半導体層6とが接した積層構造の有機薄膜トランジスタを得る場合には、上述のフッ素系界面活性剤を含有させることで、撥液性を低下させ、その表面に均一な有機半導体薄膜を形成することできる。
フッ素系界面活性剤としては、含フッ素基と親水性基および/または親油性基が同一分子中に存在する界面活性剤を用いることができる。ここで、含フッ素基に特に制限はないが、アルキル基の水素原子が全てまたは部分的にフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基に酸素原子を介した構造を有するパーフルオロポリエーテル基が好ましい。含フッ素基がパーフルオロアルキルキル基の場合、その炭素数は6以上が好ましい。電界効果移動度の制御、ON/OFF比等のトランジスタ特性向上の点から、フッ素系界面活性剤は、フッ素化(メタ)アクリル重合体が好ましい。
このようなフッ素化(メタ)アクリル重合体の分子量は、重量平均分子量で、3,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは10,000〜300,000である。このフッ素系界面活性剤の含有量は、全有機半導体インキ中、例えば、有効成分で0.01〜5.0質量%、好ましくは有効成分で0.05〜1.0質量%である。中でもP3HT、PQT−12等の結晶性の高い高分子有機半導体への表面偏析性の高いフッ素系界面活性剤の添加は電界効果移動度、ON/OFF比等のトランジスタ特性向上に特に有効である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<耐溶剤性の評価>
下記表1に示す配合で各成分(単位は質量部)を混合し、各成分を十分に撹拌、溶解させた後、0.45μmメンブレンフィルターを用いて濾過し、有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物を調製した。得られたインキ組成物を0.7mm厚のガラス板にスピンコートにて塗布し、90℃で5分間加熱して、溶剤を揮散させた。その後、高圧水銀灯を用いて積算光量2,000mJ/cmの活性エネルギー線でインキ組成物を硬化させて、耐溶剤性の評価用サンプルを得た。得られた各サンプルにつき、下記の手順に従い、アセトン耐性、テトラリン耐性の評価を行った。なお、各インキ組成物中の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテートを用い、その添加量は、インキ組成物中の不揮発分が20質量%となるようにした。
(アセトン耐性)
得られたサンプルの硬化塗膜を、アセトンを染み込ませたウェスで20回擦り、塗膜の溶解、剥がれの有無を目視にて確認した。評価基準は以下のとおりである。
○:塗膜の溶解、剥がれなし
△:塗膜表面に傷または濁った部分あり
×:塗膜の溶解、剥がれあり
得られた結果を、表1に併記する。
(テトラリン耐性)
得られたサンプルの硬化塗膜にテトラリンを滴下し10分間放置する、その後、アセトンでリンスして、塗膜の膨潤、溶解の有無を目視にて確認した。評価基準は以下のとおりである。
○:塗膜の膨潤、溶解なし
△:塗膜に膨潤の跡がみられる
×:塗膜が溶解し、基材が露出している
得られた結果を、表1に併記する。
<有機薄膜トランジスタ用絶縁膜としての評価>
各インキ組成物を0.7mm厚のガラス板にスピンコートにて塗布し、90℃で5分間加熱して、溶剤を揮散させた。その後、高圧水銀灯を用いて積算光量2,000mJ/cmの活性エネルギー線でインキ組成物を硬化させた。この際、絶縁膜の厚さは、0.6〜1.0μmであった。作製した絶縁膜の上に、真空蒸着法にて50nmの金電極を形成し、漏れ電流評価用電極と、TFT特性評価用のソース・ドレイン電極を作製した。チャネル長は50μm、チャネル幅は200μmとした。
(濡れ電流評価)
漏れ電流評価用電極を用いて、80V印加時の漏れ電流を測定した。測定にはアジレント社製半導体パラメーターアナライザーB1500を用いた。得られた結果を、表1に併記する。
(体積抵抗値の評価)
漏れ電流評価用電極を用いて、80V印加時の漏れ電流を測定した。測定にはアジレント社製半導体パラメーターアナライザーB1500を用いた。なお、体積抵抗値は以下の式(1)により算出した。得られた結果を、表1に併記する。
体積抵抗値=(印加電圧(V)/絶縁膜厚さ(cm))/(リーク電流(A)/電極面積(cm)) (1)
(耐電圧の評価)
漏れ電流が10−8A以上となる印加電圧を測定し、式(2)により算出した。得られた結果を、表1に併記する。
耐電圧=印加電圧(MV)/絶縁膜厚さ(cm) (2)
<有機トランジスタの製造>
各インキ組成物を0.7mm厚のガラス板にスピンコートにて塗布し、90℃で5分間加熱して、溶剤を揮散させた。この際、絶縁膜の厚さは、0.6〜1.0μmであった。作製した絶縁膜の上に、真空蒸着法にて50nmの金電極を形成し、ソース電極およびドレイン電極を作製した。このソース電極とドレイン電極間のチャネル部にフレックスインク社製の有機半導体インキFS0083をドロップキャスト法で塗布し、窒素気流中100℃にて30分間加熱することでボトムゲートボトムコンタクト構造を有する有機トランジスタを作製した。なお、チャネル長は50μm、チャネル幅は200μmとした。
(電荷移動度の評価)
得られた有機トランジスタにつき、アジレント社製半導体パラメーターアナライザーB1500を用いてゲート電圧−ドレイン電流特性(Id−Vg特性)および(ドレイン電流−ドレイン電圧特性)Id−Vd特性を測定した。電荷移動度は、公知の手法で算出した。なお、図2は、実施例2のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vg特性を示すグラフであり、図3は、比較例のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vg特性を示すグラフであり、図4は、実施例2のインキ組成物を用いて作製した有機トランジスタのId−Vd特性を示すグラフであり、図5は、実施例1〜4および比較例の漏れ電流を示すグラフである。
図2、3は、ソース−ドレイン電極間に−30Vの電界を印加し、ゲート電圧を20〜−30に変化させた場合のドレイン電流値を測定し、その絶対値をプロットしたものである。黒のプロットはゲート電圧−ドレイン電流のプロットであり、白のプロットは、ドレイン電流値の平方根とゲート電圧のプロットである。得られた白のプロットの直線領域で回帰直線を算出して、回帰直線の傾きを求め、下記(3)式、
移動度=(2×a×L×d)/(W×ε×ε) (3)
a:√Id−Vdプロットの傾き
L:チャネル長
W:チャネル幅
d:ゲート絶縁膜の膜厚
ε:ゲート絶縁膜の誘電率
ε:真空の誘電率
にて電荷移動度を算出した。なお、切片は閾値電圧を示す。
図4は、ゲート電流を一定とし、ドレイン電圧を変化させた場合のドレイン電流値を測定し、プロットしたものである。ドレイン電圧−80V時の電流値より、ゲート電圧0Vの比率から算出したIon/Ioffは、22.4であった。
図5は、実施例1〜4および比較例の有機トランジスタに印加する電圧を変化させたときの漏れ電流を示している。
※:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
上記表1より、本発明のインキ組成物は、優れた耐溶剤性を有しつつ、優れた絶縁性を示していることがわかる。また、本発明の有機トランジスタは、良好なトランジスタ特性が得られていることがわかる。一方、比較例の有機トランジスタは、良好なトランジスタ特性が得られず、移動度の算出はできなかった。
1 基材
2 ゲート電極
3 絶縁膜
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 有機半導体層
10 有機トランジスタ

Claims (3)

  1. (A)ジアリルフタレート樹脂と、(B)多官能モノマーと、(C)光重合開始剤と、を含有することを特徴とする有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物。
  2. 請求項1記載の有機トランジスタの絶縁膜形成用インキ組成物に活性エネルギー線が照射されてなることを特徴とする硬化物。
  3. 請求項2記載の硬化物が絶縁膜として用いられていることを特徴とする有機トランジスタ。
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