JP2014206516A - バイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電極系の腐食劣化を防ぎ、高い測定精度を有するバイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部とを少なくとも有するバイオセンサ用電極であって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ用電極を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電極系の腐食劣化を防ぎ、高い測定精度を有するバイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサに関する。
血液等の生体試料中の特定成分について迅速かつ簡便に濃度等を測定する方法として、電気化学的検出手段によるバイオセンサが実用化されている。バイオセンサは、一般に、電極として作用極および対極を含む電極系と、酵素および電子受容体(メディエータ)を含む反応部とを基本構成として備えている。このようなバイオセンサの一例として、電気化学的に血液中のグルコースを定量化するグルコースセンサがある。
図9は、一般的なバイオセンサの一例を示す概略斜視図であり、図10は図9の分解斜視図である。図9および図10で例示されるように、一般的なバイオセンサ120は、作用極111と、対極112と、各極と接続された配線部115とが配置された支持基材113、上記作用極111および対極112の上部に位置するように配置され、酵素および電子受容体を含む反応部116、反応部116上に試料供給路123が位置するように配置されたスペーサ121、およびスペーサ121上に形成され、空気孔124を有するカバー層122が順次積層された構造を取るものである。なお、便宜上、図9においては、作用極111、対極112は省略するものとする。
バイオセンサは、試料供給路および空気孔を有することから、上記試料供給路に血液等の生体試料(以下、試料と略する場合がある。)が接すると、毛細管現象により当該試料がバイオセンサ内部に供給され、反応部において酵素反応を生じる。
例えば、グルコースセンサにおいては、当該反応部において、酵素が血液中のグルコースを選択的に酸化してグルコン酸を生成し、また同時に電子受容体を還元して還元体を生じる。この還元体が電極系に伝達され、一定の電圧が印加されることにより還元体が再び酸化され、その際に電流が発生する。
このとき発生する電流の大きさは、血液中のグルコース濃度に依存することから、バイオセンサと接続する測定装置において測定された電流値から、血液中のグルコースを定量化することができる。
グルコースセンサ等に代表されるバイオセンサは、少量の試料から短時間で測定を可能とするため、高い感度および測定精度を有することが必要とされる。一方で、バイオセンサは検査毎に交換して使用される消耗品であるため、低コストであることも求められる。
高感度で安価なバイオセンサとするために、電極系および配線部等の材料として、従来より、銀、ニッケル等の導電性が高く、安価な金属材料が用いられていた(特許文献1参照)。
しかし、図9および図10で示されるように、作用極および対極を有する電極系は、その上部に反応部を有して試料供給路において露出される。このため、電極系に用いられる上述の金属材料は、大気中および試料中の水分や反応部での酵素反応により発生した過酸化水素等との接触により酸化還元反応を生じ、その結果、電極系が腐食してバイオセンサの電気特性が低下するという問題があった。
また、電極系の材料として、例えば、特許文献2ではカーボンを用いた電極系を有するバイオセンサについて報告されている。カーボンは上述の金属材料よりも腐食しにくく、金属材料よりも安価であることから、電極材料としての使用が検討されている。しかし、カーボンは金属よりも導電性に劣るため、電極系において高い感度が得られず、電気特性の向上を図ることは難しいという問題があった。
特開2006−023291号公報 特開2004−294231号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電極系の腐食劣化を防ぎ、高い測定精度を有するバイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部とを少なくとも有するバイオセンサ用電極であって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ用電極を提供する。
本発明によれば、電極系の作用極および対極を、少なくとも表面に耐腐食性の高い貴金属を含むものとすることで、当該電極をバイオセンサに用いた際に、試料中等の水分や反応部において発生した過酸化水素等と接触しても腐食されにくくなり、電気特性の低下を防止することができる。また、配線部を、貴金属を含まないものとすることにより、コストを抑えつつ高い導電性を有することができる。このため、試料中の成分濃度等を高感度かつ高精度で測定できる電極とすることが可能である。
上記発明においては、上記貴金属が、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの貴金属は、過酸化水素等に対する耐腐食性が高く、化学的安定性に優れており、また、本発明を用いたバイオセンサにおいて、反応部に含まれる酵素等との相性が良いからである。
また、本発明は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部と、少なくとも上記配線部の表面を覆う絶縁層と、上記電極系および上記配線部上に形成され、上記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、を少なくとも有するバイオセンサ用電極部材であって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ用電極部材を提供する。
本発明によれば、電極系の作用極および対極を、少なくとも表面に耐腐食性の高い貴金属を含むものとすることで、当該電極部材をバイオセンサに用いた際に、電極系が試料中等の水分や反応部において発生した過酸化水素等と接触しても腐食されにくく、電気特性の低下を防止することができる。また、配線部は、貴金属を含まないものであるが、その表面が絶縁層に覆われることにより、水分や過酸化水素等と接触する場合であっても腐食されず、高い導電性を示すことができる。このため、試料中の成分濃度等を高感度かつ高精度で測定できる電極部材とすることが可能である。
また、本発明は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部と、少なくとも上記配線部の表面を覆う絶縁層と、上記電極系および上記配線部上に形成され、上記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、上記スペーサの上記試料供給路から露出された電極系と平面視上重なるように配置された反応部と、上記スペーサ上の少なくとも上記試料供給路を覆うように配置されたカバー層と、を有するバイオセンサであって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサを提供する。
本発明によれば、電極系の作用極および対極を、少なくとも表面に耐腐食性の高い貴金属を含むものとすることで、試料供給路において電極系が露出していても、試料中等の水分や反応部において発生した過酸化水素等による腐食が生じにくく、電気特性の低下を防止することができる。また、配線部は、貴金属を含まないものであるが、その表面が絶縁層に覆われることにより、水分や過酸化水素等と接触する場合であっても腐食されず、高い導電性を示すことができる。このため、本発明においては、試料中の成分濃度等を高感度かつ高精度で測定できるバイオセンサとすることが可能である。
本発明においては、電極系の作用極および対極を、少なくとも表面に耐腐食性の高い貴金属を含むものとし、配線部を、貴金属を含まないものとすることにより、電極系の腐食劣化を防ぎつつ、高い導電性を有することから、高い測定精度を有するバイオセンサ用電極とすることができるという効果を奏する。
本発明のバイオセンサ用電極の一例を示す概略平面図である。 本発明における電極系の態様を説明するための概略断面図である。 本発明における電極系および配線部の配置形態の例を示す概略平面図である。 本発明のバイオセンサ用電極部材の一例を示す分解斜視図である。 本発明におけるスペーサの他の例を示す概略斜視図である。 本発明のバイオセンサの一例を示す概略斜視図である。 図6の分解斜視図である。 本発明のバイオセンサの使用方法の一例を示す模式図である。 一般的なバイオセンサの一例を示す概略斜視図である。 図9の分解斜視図である。
以下、本発明のバイオセンサ用電極、バイオセンサ用電極部材およびバイオセンサについて詳細に説明する。
A.バイオセンサ用電極
まず、本発明のバイオセンサ用電極について説明する。本発明のバイオセンサ用電極は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部とを少なくとも有するバイオセンサ用電極であって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするものである。
本発明のバイオセンサ用電極について、図面を参照して説明する。図1は本発明のバイオセンサ用電極の一例を示す概略平面図である。図1に例示されるように、バイオセンサ用電極1は、支持基材2上に電極系10および配線部15が形成されたものである。電極系10は作用極11および対極12が間隔をおいて配置されており、上記作用極11および対極12は、少なくとも表面が貴金属を含むものである。また、配線部15は、貴金属を含まないものであり、一方の端部が上記作用極11または対極12と接続され、他方の端部が端子部16と接続されている。
なお、当該電極系10は、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサの試料供給路において露出されるものである。
本発明のバイオセンサ用電極は、電極系の作用極および対極が貴金属を含むものであり、配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするものである。以下、その理由について説明する。
バイオセンサは、少量の試料に対して高感度かつ高精度で成分濃度等の測定を行うために、高い導電性を有するものが求められる。また、バイオセンサは消耗品であることから、低コストなものが求められている。そのため、従来のバイオセンサ用電極においては、銀、ニッケル等といった、導電性が高く汎用性の高い金属材料を用いて電極系および配線部を一括で形成することが好ましいとされる。
しかし、図9および図10で例示されるように、一般的なバイオセンサにおいて電極系は、その上部に酵素等を含む反応部が設けられており、試料供給路において露出されて配置される。そのため、電極系が腐食してバイオセンサの電気特性が低下するといった問題がある。
具体的には、測定する生体試料等が試料供給路からバイオセンサ内部に入ると、当該試料中のグルコースが反応部に含まれるグルコースオキシダーゼと反応し、過酸化水素が発生するが、この過酸化水素は、電極系と接触することにより金属を腐食させてしまう。また、過酸化水素のみならず、試料中または外部空気中に元々含有される水分等についても同様に、電極系と接触することで金属の腐食を引き起こす要因となる。
腐食した電極系は導電性が低下するため、配線部を介して測定機器へ流れる電流量が本来流れるべき量よりも減少することとなり、その結果、正確な成分濃度が測定できないという問題が生じる。
また、電極系の腐食の程度が測定結果に大きく影響を及ぼすことから、使用するバイオセンサのロットばらつきやバイオセンサの使用環境等によっては、測定回ごとに測定精度に大きなバラつきが生じると推量される。そのため、バイオセンサの使用者は、自身の血糖値等について正確にモニタリングができないという問題がある。
電極系の材料としては、上述の金属材料の他に、安価である点からカーボン等の使用も検討されている。カーボン等は上述の金属材料より耐腐食性に優れるとされるが、導電性の点では金属材料に劣る。そのため、カーボン等を用いた電極系においては、高い感度が得られず、電気特性の向上を図れないという問題が生じてしまう。
上記問題に対し、本発明においては、電極系の金属材料として耐腐食性の高い貴金属を用いることにより、周囲の水分や試料測定時に発生する過酸化水素等と接触しても腐食されにくいものとし、高い導電性を維持することを可能とするものである。つまり、本発明のバイオセンサ用電極は、電気特性の低下を防止し、高感度かつ高精度で試料中の成分濃度等を測定することが可能である。
一方、電極系と接続された配線部については、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいて、通常、その表面が絶縁層等により覆われており、試料供給路において露出されない部位となる。そのため、配線部は水分や試料測定時に発生する過酸化水素等と接触しても腐食されにくい。また、従来のように配線部を電極系と同一材料である貴金属で形成する場合、コストが高くなるといった問題がある。
そこで、本発明においては、配線部と電極系とで使用する材料を異なるものとし、配線部には、貴金属を含まない導電性に優れた材料を用いることにより、全体的なコストを抑えつつ、高感度な測定が可能なバイオセンサ用電極とすることを可能とした。
本発明のバイオセンサ用電極は、電極系、配線部および支持基材を少なくとも有するものである。以下、各部位について説明する。
1.電極系
本発明における電極系は、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有するものであり、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであることを特徴とするものである。
なお、作用極とは、還元体の電子受容体に電圧を印加するための一方の電極である。また、対極とは、電子受容体から作用極に放出された電子によって流れた電流を計測するための一方の電極である。
本発明において作用極および対極に用いられる貴金属とは、具体的には、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)をいう。これらの貴金属は、イオン化傾向が小さく電気化学的に安定であるため、水分や過酸化水素等により腐食されにくく、また、高い導電性を有するものであることから、本発明における電極系の材料として好適である。
中でも上記貴金属が、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらの貴金属は、過酸化水素に対する耐腐食性が高く、化学的安定性に優れている点に加え、バイオセンサに用いた際に、電極系上に設けられる反応部中の酵素との相性が良いからである。
上記作用極および対極に含まれる貴金属は、同一であってもよく、異なるものであっても良い。中でも両極が同一の貴金属から成ることが好ましい。電極系を形成する際に一括形成することが可能となるからである。
また、上記作用極および対極は、耐腐食性に影響を及ぼさない程度に他の金属が含有されていても良い。例えば、金をシェルとし、他の金属をコアとするコアシェルナノ粒子等が挙げられる。コアとなる金属は、貴金属であってもよく、非貴金属であってもよい。貴金属としては、上述した材料および銀等が挙げられ、非貴金属としては、例えば後述する「2.配線部」の項で例示する金属等が挙げられる。
さらに、上記作用極および対極は、電極系の導電性能を低下させない程度に導電性の有機材料を含むものであっても良い。導電性の有機材料としては、炭化水素系導電性ポリマーやヘテロ原子含有系導電性ポリマーなどの有機導電性物質、有機導電性配位子等が挙げられる。
有機導電性物質としては、カーボン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン、PEDOT:PSS、またはポリナフタレンの有機導電性物質が挙げられる。
また、有機導電性配位子としては、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポルフィリン等が挙げられる。
作用極および対極が貴金属の他に上述の材料等を含む場合、貴金属の含有率としては、各電極の全質量100質量%に対して25質量%以上であることが好ましく、中でも50質量%以上であることが好ましい。各電極における貴金属の含有率が上記範囲を下回る場合、作用極および対極の腐食が生じる場合や、導電性の低下により正確な測定が行えない場合がある。
なお、作用極および対極が、後述するように試料供給路の領域にある配線部の上部表面に形成される上塗り態様、および、試料供給路の領域にある配線部の全表面を被覆する被覆態様である場合、各電極の全質量に、試料供給路における配線部の質量は含まないものとする。
上記作用極および対極は、少なくとも表面が上述した貴金属を含むものであればよい。図2は、本発明における電極系の態様を説明するための概略断面図である。なお、図2(a)〜(c)は、図1におけるA1−A2線断面図およびB1−B2線断面図を示す。
作用極および対極の態様としては、図2(a)で例示されるように、電極系10が配線部15と連結されて形成される連結態様とすることができる。なお、本態様のバイオセンサ用電極を備えたバイオセンサにおいては、配線部と電極系との連結部分(図2(a)中の17)は、試料供給路において露出されないものとする。
また、当該バイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいて、配線部の一部が試料供給路に配置される場合は、図2(b)で例示されるように、電極系10が配線部15の上部表面に形成される上塗り態様であってもよく、図2(c)で例示されるように、電極系10が配線部15の全表面を被覆する被覆態様であってもよい。電極系が図2(b)および(c)で例示される態様である場合、試料供給路に配置された配線部はその上部表面および全表面が電極系により覆われており露出されないため、水分や過酸化水素等と接しても腐食されにくいからである。中でも、上記作用極および対極の態様としては、試料供給路における配線部の露出を完全に防ぐことができるという点から、連結態様または被覆態様が好ましい。
なお、電極系が図2(b)または(c)で例示される態様の場合、電極系に試料供給路に配置される配線部は含まないものとする。
作用極および対極の形状としては、特に限定されるものではなく、長方形、正方形等の多角形、櫛形、円形等が挙げられる。
上記作用極および対極の厚さとしては、電極系としての本来の機能を発揮できる厚さであることが好ましく、例えば、例えば0.005μm以上1μm以下の範囲内であることが好ましく、0.01μm以上0.20μm以下の範囲内であることがより好ましい。
作用極および対極の厚さが上記範囲未満であると、電極系の抵抗が高くなり目的とする導電性が得られなくなる場合がある。一方、上記範囲より大きいと、本発明の製造コストが高くなりすぎる場合があり好ましくない。また、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいて、試料供給路等の形成に三次元的な高い加工精度が要求され、加工金型の使用数や加工工程および時間が飛躍的に増える場合がある。
作用極および対極の厚さとは、図2においてTで示される部分である。なお、電極系が図2(b)または(c)で例示される上塗り態様または被覆態様の場合、作用極および対極の厚さとは、支持基材の電極系が形成される面から作用極または対極の最外面までの高さから、配線部の厚さを除いた部分をいう。
上記作用極および対極は、ショートを起こさない程度に間隔を有して配置されることが好ましい。作用極および対極間の距離としては、本発明のバイオセンサ用電極の大きさに応じて適宜設定することができる。
電極系においては、作用極および対極の他に、作用極の電位を決定する際の基準となる参照極を有していても良い。なお、参照極も上述した対極および作用極と同様に、バイオセンサに用いた際に試料供給路において露出する領域に位置することから、当該参照極は少なくとも表面に上述した貴金属を含むことが好ましい。
また、上記参照極は、対極および/または作用極を形成する貴金属と同様であることが好ましい。
さらに、上記電極系においては、血液等の試料が試薬供給路内に充填されたことを確認するための電極(fill detection electrode)や、試料が血液の場合に用いられるヘマトクリット補償電極(hematocrit-compensation electrode)等を有していても良い。
電極系の形成方法としては、上述した電極系の態様に応じて適宜選択することができる。例えば、支持基材上へ上述した貴金属を含む膜を成膜して電極系をパターニングする方法、支持基材上に水性インク等で電極系のネガパターンを印刷し、印刷面に貴金属膜を成膜後、不要部分の水性インクおよび水性インク上の貴金属膜を水洗除去する、いわゆるリフトオフをすることにより形成する方法等がある。貴金属膜の成膜方法としては、ラミネート、金属蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法が挙げられる。パターン形成法としては、エッチング、レーザーアブレーション等の公知の方法が挙げられる。
また、支持基材上に直接、上述した貴金属を含むナノメタルインクを塗布し、パターン状に印刷し、必要に応じて焼結等を行った後に加工する方法等を用いることも可能である。印刷方法としては、貴金属ペーストを用いたインクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の公知の方法が挙げられる。
さらに、図2(b)および(c)で例示される上塗り態様および被覆態様の場合は、例えば、配線部上に貴金属を含むナノメタルインクを重ねて描画し、フラッシュランプアニール処理等を行い当該配線部上に電極系を上塗りする方法、めっき法、転写法等を用いることもできる。
2.配線部
本発明における配線部は、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続されたものであり、貴金属を含まないものである。
なお、上記配線部は、電気的に接続された電極系への電圧印加、電気信号の取り出しを行う部位である。
配線部の材料としては、高導電性を有し、電極系で用いた貴金属を含まないものが好ましい。例えば、銅、鉄、コバルト、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、セリウム、タンタル、錫等の金属、または、ステンレス鋼(SUS)等の上記金属を含む合金、ITO等の金属化合物等を用いることができる。中でも、ニッケルは、金属配線の信頼性の観点から好適である。なお、上記材料は単独で用いても良く、複数の材料を併用しても良い。
また、配線部の材料として、安価である点からカーボン、カーボン顔料と有機バインダーの混合物等を用いることも可能である。上記カーボン顔料としては、例えば、黒鉛、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンファイバー、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー等を用いることができる。また、有機バインダーとしてはアクリル樹脂、エステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂等を用いることができる。
なお、配線部は上述の材料から成る単層であっても良く、積層体であってもよい。
さらに、配線部の材料としては、上述の材料の他に、導電性の向上に寄与する他の材料を含んでいても良い。
この様な材料としては、上述した「1.電極系」の項で説明した、有機導電性物質、有機導電性配位子等が挙げられる。
配線部の厚さとしては、特に限定されるものではなく、0.005μm以上40μm以下の範囲内であることが好ましく、0.01μm以上2μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線部の厚さが上記範囲未満であると、配線部における抵抗が高くなり、目的とする導電性が得られなくなるおそれがある。また、上記範囲より大きくなると、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサにおいて、試料供給路等の形成に三次元的な高い加工精度が要求され、加工金型の使用数や加工工程および時間が飛躍的に増えるおそれがある。
配線部は、電極系と接続されていない側の端末に、通常、外部測定機器と接続するための端子部を有するものである。
端子部については、配線部と同じ材料から形成されることが好ましく、その形状等については、測定機器に応じて適宜設計することができる。
配線部の形成方法としては、所望のパターンで形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、一般に配線の形成に用いられる方法を用いることができる。
例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、金属箔をエッチングする方法、配線部の材料を分散させた分散液を、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等を用いてパターン状に印刷し、必要に応じて焼成等を行った後に加工する方法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。
また、水性インク等で配線部のネガパターンを印刷し、蒸着法を用いて全面に金属薄膜を成膜後、不要部分の水性インクおよび水性インク上の金属薄膜を水洗除去する、いわゆるリフトオフを行うことにより、配線部を形成することができる。蒸着法としては、上述した物理蒸着法を用いることができる。
なお、配線部の末端に端子部を有する場合においても、上述した方法を用いて、配線部と端子部とを一括形成することができる。
3.支持基材
本発明に用いられる支持基材は、電極系および配線部を支持するものであり、少なくとも電極系および配線部が形成される面は絶縁性を有する。
支持基材としては、例えば、樹脂基材、紙、セラミック基材、ガラス基材、少なくとも表面が絶縁された半導体基材や金属基材等を用いることができる。支持基材は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。中でも、電気絶縁性および弾性を有することが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを好適に用いることができる。
なお、支持基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。また、支持基材の透明性の有無は問わない。
また、支持基材と、電極系等に使用される導電性を有する材料との濡れ性や密着性等を向上させることを目的として、支持基材表面に処理や修飾を施してもよい。例えば、コロナ処理、UV処理、防曇処理、スルホン酸基や硫酸基を有する材料のコーティングによる修飾等を挙げることができる。
上記支持基材の形状、大きさ、厚さ等は、本発明を用いたバイオセンサを使用する測定機器の接続部の形状等により、適宜設定することができる。
また、本発明のバイオセンサ用電極を備えるバイオセンサを多面付けで製造する場合、当該支持基材は長尺であってもよく枚葉であってもよい。支持基材が長尺である場合には、電極系、配線部および端子部の形成をロールツーロール方式により連続して行うことができる。
4.バイオセンサ用電極
本発明における電極系および配線部の配置形態としては、バイオセンサにおける一般的な形態であれば特に限定されるものではない。
図3は、本発明における電極系および配線部の配置形態の例を示す概略平面図である。
例えば、図3(a)、(b)に例示されるように、支持基材2上に2本の配線部15が形成され、2本の配線部15の一方の端末にそれぞれ作用極11および対極12が接続された形態とすることができる。なお、作用極11および対極12は、本発明を備えたバイオセンサにおいて試料供給路に位置していれば良く、バイオセンサ用電極の長尺方向において並行に配置されるものであってもよく、短尺方向において並行に配置されるものであっても良い。なお、バイオセンサ用電極の長尺方向とは、測定機器に接続する方向をいう。
また、電極系が参照極を有する場合は、図3(c)で例示されるように、支持基材2上に2本の配線部15が形成され、一方の配線部15に作用極11が接続され、他方の配線部15に対極12および参照極13が別々に接続されていてもよく、図3(d)、(e)で例示されるように、支持基材2上に3本の配線部15が形成され、3本の配線部15の一方の端末にそれぞれ作用極11、対極12および参照極13が接続されていてもよい。
なお、図3(c)〜(e)の態様において、参照極13は、本発明を備えたバイオセンサにおいて試料供給路に位置していても良く、位置していなくてもよいが、通常、他の電極と同様に試料供給路において露出されるものである。
B.バイオセンサ用電極部材
次に、本発明のバイオセンサ用電極部材について説明する。本発明のバイオセンサ用電極部材は、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部と、少なくとも上記配線部の表面を覆う絶縁層と、上記電極系および上記配線部上に形成され、上記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、を少なくとも有するバイオセンサ用電極部材であって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするものである。
本発明のバイオセンサ用電極部材について、図を例示して説明する。図4は本発明のバイオセンサ用電極部材の一例を示す分解斜視図である。図4に例示されるように、バイオセンサ用電極部材20は、支持基材2と、支持基材2上に形成された電極系10および配線部15と、少なくとも上記配線部15の表面を覆う絶縁層21と、上記電極系10および絶縁層21に被覆された配線部15上に形成されたスペーサ22とを有するものである。電極系10は、作用極11および対極12が間隔をおいて配置されており、上記作用極11および対極12は、少なくとも表面が貴金属を含むものである。また、配線部15は、貴金属を含まないものであり、一方の端部が上記作用極11または対極12と接続され、他方の端部が端子部16と接続されている。
さらに、スペーサ22は、電極系10と平面視上重なる位置に試料供給路23を有している。すなわち、上記電極系10は試料供給路23において露出された状態となっている。
本発明のバイオセンサ用電極部材は、上述のバイオセンサ用電極を備えるものである。すなわち、電極系の作用極および対極の少なくとも表面が耐腐食性の高い貴金属を含むものである。そのため、本発明のバイオセンサ用電極部材をバイオセンサに用いる際に、スペーサの試料供給路において電極系が露出して配置されても、試料中等の水分やバイオセンサ内の反応部において発生した過酸化水素等と接触しても腐食されにくく、電気特性の低下を防止することができる。
また、配線部は、貴金属を含まないものであるが、その表面が絶縁層に覆われることにより、水分や過酸化水素等と接触する場合であっても腐食されず、高い導電性を示すことができる。
このため、本発明のバイオセンサ用電極部材は、上記構造を有することにより、試料中の成分濃度等を高感度かつ高精度で測定できる電極部材とすることが可能である。
以下、本発明のバイオセンサ用電極部材における各構成について説明する。
なお、支持基材、電極系および配線部については、上記「A.バイオセンサ用電極」の項に説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.スペーサ
本発明に用いられるスペーサは、上記電極系および上記配線部上に形成され、上記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するものである。
具体的には、スペーサは、本発明のバイオセンサ用電極部材を備えるバイオセンサにおいて、支持基材とカバー層との間に間隙を設け、外部からバイオセンサへ試料供給を行うための流路を設けるものである。
スペーサの材料としては、所定の厚みを有するスペーサを形成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、接着剤等を用いることができる。光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂を用いる場合には、安価にスペーサを形成することができる。接着剤を用いる場合には、精度良くスペーサを形成することができる。また、スペーサとして樹脂基材を用いることもでき、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることが可能である。
接着剤としては、例えば、合成接着剤としてはアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤等、天然接着剤としてはニカワ、天然ゴム、樹液等の澱粉のり・天然高分子等を用いることができる。また、ホットメルト型接着剤を用いることもできる。また、接着剤として両面テープを用いてもよい。
スペーサの厚さは、試料供給路の高さとなることから、15μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましい。スペーサの厚さが上記範囲未満であると、毛細管現象による試料供給も安定しなくなるおそれがある。また、厚さが上記範囲よりも大きくなると、本発明のバイオセンサ用電極部材を備えるバイオセンサにおいて、反応部に均一に試料が流れず、反応部の一部に試料が流れない可能性がある。
スペーサには、少なくとも1つの試料供給路が形成されている。試料供給路は、スペーサを水平方向に貫通して設けられ、外部から供給される試料を作用極に導く部位である。
試料供給路の幅は0.5mm以上5mm以下の範囲内であることが好ましい。試料供給路の幅が上記範囲未満であると、流路への毛細管現象によるに安定した試料供給がされなくなる場合や、電極系の面積を広く取れないため感度が低くなる場合がある。また、幅が上記範囲よりも大きくなると、バイオセンサを多面付けで製造した場合に、個々のバイオセンサに切断する際、スペーサがアーチ状につぶれ、試料供給路内の容積が変化し易くなるおそれがある。試料供給路の幅は、全体にわたって均一の幅であってもよく、外縁に向かって幅が広くなっていてもよい。
また、試料供給路の形状については、電極系を所望の面積で露出することが可能な形状であれば、特に限定されるものではない。
また、スペーサは、図5で例示されるように、電極系および配線部の形状に応じて、試料供給路23とは別に空気抜き流路25が形成されていてもよい。毛細管現象による試料供給を促進することができるからである。
空気抜き流路は、試料供給路に通じるように配置される。通常、試料供給路が配置される領域において、電極系および反応部よりも奥の領域(配線部側)に空気抜き流路が配置される。
空気抜き流路の形状としては、毛細管現象による試料供給を促進することができれば特に限定されるものではなく、例えば、試料供給路と空気抜き流路とを合わせてT字状の流路を構成することができる。このような構成とすることで、外部から試料が供給された場合に、試料供給路内の空気が逃げる空気抜き流路が機能する。空気抜き流路の幅は、例えば0.3mm以上10mm以下の範囲内とすることができる。
スペーサの形成方法としては、所定のパターン状にスペーサを形成することができる方法であればよく、スペーサの材料等に応じて適宜選択される。例えば、光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法を挙げることができる。また、接着剤として両面テープを用いる場合には、両面テープに打ち抜き加工等により試料供給路等を形成した後、両面テープを貼付する方法が挙げられる。また、スペーサとして樹脂基材を用いる場合には、樹脂基材に打ち抜き加工等により試料供給路等を形成した後、接着層を介してスペーサを貼付する方法が挙げられる。
接着層に用いられる接着剤としては、スペーサに用いられる接着剤と同様とすることができ、その厚さは、3μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも、電極系および配線部を合わせた厚さ以上、例えば20μm程度であることが好ましい。
なお、ここでいう配線部は、後述する絶縁層により表面が覆われたものとする。
2.絶縁層
本発明における絶縁層は、少なくとも上記配線部の表面を覆うものである。
具体的には、上記絶縁層は、配線部の表面を覆うことにより、配線部の腐食を防ぐとともに、ショートを防ぐものである。
絶縁層の材料としては、一般的に絶縁層の材料として用いられる光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリパラキシレン等が挙げられる。また、接着剤を用いて、精度良く絶縁層を形成することもできる。なお、接着剤については、スペーサに用いられる接着剤と同様であるので、ここでの説明は省略する。さらに、絶縁層の材料としてSiO、SiN、Al等の無機材料を用いることも可能である。
絶縁層の膜厚としては、配線部を絶縁できる程度の膜厚であればよく、例えば3μm以上50μm以下の範囲内とすることができる。中でも、絶縁層の厚さは、電極系および反応部を合わせた厚さ、ならびに配線部の厚さよりも厚いことが好ましい。
絶縁層の形成位置としては、少なくとも配線部の表面であるが、電極系および端子部を覆わなければよく、例えば、電極系および端子部を除いた配線部の表面を含む支持基材上に形成してもよい。
なお、本発明において、電極系が図2(a)で例示される連結態様の場合は、配線部と電極系の連結部分の配線部を絶縁層で覆ってはならない。また、図2(b)および(c)で例示される上塗り態様および被覆態様の場合は、電極系の下または電極系に被覆される配線部は絶縁層で覆ってはならない。これらの部分を絶縁層で覆ってしまうと、電極系と配線部との間で絶縁されてしまうからである。
絶縁層の形成方法としては、所定のパターン状に絶縁層を形成することができる方法であればよく、絶縁層の材料等に応じて適宜選択される。例えば、光硬化性樹脂組成物を用いる場合には、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法が挙げられる。このとき、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を予めパターン状に塗布した後、硬化してもよく、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を全面に塗布した後、硬化したい部分のみにエネルギーを加えて硬化してもよい。
接着剤として両面テープを用いる場合には、両面テープを打ち抜き加工等によりパターニングした後、両面テープを貼付する方法が挙げられる。さらに、絶縁層の材料として無機材料を用いる場合には、CVD法等を用いることができる。
3.バイオセンサ用電極部材
本発明のバイオセンサ用電極部材は、上記電極系と平面視上重なるようにスペーサの試料供給路が配置されており、当該試料供給路において電極系が露出されることを特徴とするものである。なお、当該試料供給路において、配線部、および配線部と電極系との接続部は露出されないものとする。
電極系は、上記試料供給路において全て露出されていてもよく、作用極および対極の一部が露出したものであってもよいが、電流値の測定において対極での酸化還元反応の飽和が充分に抑制することができる程度の面積が露出されることが好ましいことから、通常は電極系が全て露出されるものである。
本発明のバイオセンサ用電極部材は、試料供給路から露出される電極系の少なくとも作用極の上部に、あらかじめ酵素および電子受容体を含む反応部を有していても良い。上記反応部の大きさとしては、試料供給路から露出される作用極を少なくとも覆うことができる大きさであればよく、中でも試料供給路から露出される作用極および対極を完全に覆うことができる大きさが好ましい。また、試料供給路の枠内を全て覆う大きさであってもよい。さらに、反応部は、試料供給路の枠を越えて、一部が絶縁層により表面が覆われた配線部上に形成されていてもよい。
なお、反応部については、後述する「C.バイオセンサ」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。
C.バイオセンサ
次に、本発明のバイオセンサについて説明する。本発明のバイオセンサは、支持基材と、上記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、上記支持基材上に形成され、上記電極系と接続された配線部と、少なくとも上記配線部の表面を覆う絶縁層と、上記電極系および上記配線部上に形成され、上記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、上記スペーサの上記試料供給路から露出された電極系と平面視上重なるように配置された反応部と、上記スペーサ上の少なくとも上記試料供給路を覆うように配置されたカバー層と、を有するバイオセンサであって、上記作用極および上記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、上記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするものである。
本発明のバイオセンサについて、図を例示して説明する、図6は本発明のバイオセンサの一例を示す概略斜視図であり、図7は図6の分解斜視図である。なお、図6において、配線部および絶縁層の図示は省略する。
図6および図7に例示されるように、バイオセンサ30においては、支持基材2上に電極系10、配線部15および端子部16が形成されており、電極系10および配線部15の上部に配置されたスペーサ22と、スペーサ22上を覆うように配置されたカバー層32とが順次積層され、固着されている。
電極系10は作用極11および対極12を有しており、上記電極系10と接続する配線部15はその表面が絶縁層21に覆われている。また、上記スペーサ22は試料供給路23を有しており、試料供給路23において電極系10が露出し、当該電極系10および試料供給路23と平面視上重なるように反応部31が配置されている。さらに、上記カバー層32上には、試料供給路23と平面視上重なるように空気孔24が形成されている。
バイオセンサ30は、試料供給路23と空気孔24とを有することで、試料供給路23から毛細管現象を利用して供給された試料が、反応部31と酵素反応を生じながら作用極11および対極12の上部を通過し、その結果、目的成分を測定することができる。
本発明のバイオセンサは、上述のバイオセンサ用電極部材を有するものである。すなわち、電極系の作用極および対極の少なくとも表面が耐腐食性の高い貴金属を含むものである。そのため、電極系が試料中等の水分や反応部において発生した過酸化水素等と接触しても腐食されにくく、電気特性の低下を防止することができる。また、配線部は、貴金属を含まないものであるが、その表面が絶縁層に覆われることにより、水分や過酸化水素等と接触する場合であっても腐食されず、高い導電性を示すことができる。
このため、本発明においては、試料中の成分濃度等を高感度かつ高精度で測定できるバイオセンサとすることが可能である。
以下、本発明のバイオセンサにおける各構成について説明する。
なお、本発明における支持基材、電極系、配線部、絶縁層およびスペーサについては、上記「A.バイオセンサ用電極」および「B.バイオセンサ用電極部材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.反応部
本発明における反応部は上記スペーサの上記試料供給路から露出された電極系と平面視上重なるように配置されたものである。
具体的には、上記反応部は、生体由来物質を含み、基質特異的な物質の変化移動に伴う、化学ポテンシャル、熱あるいは光学的な変化を電気信号へ変換する部分である。
ここで、反応部が「スペーサの試料供給路から露出された電極系と平面視上に重なるように配置され」るとは、試料供給路の枠内に反応部が形成され、直接電極系と接触するように配置されるものであってもよく、図7で例示されるように、カバー層32とスペーサ22における試料供給路23との間に形成され、空間を介して電極系10に対向するように配置されるものであってもよい。
反応部は、生体由来物質として、例えば、酵素と電子受容体とを含む。グルコース濃度を測定する場合には、酵素として、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を用いることができる。グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼは、純度の高いものが好ましく、後述の範囲の活性を有するものであれば特に由来となる生物種は限定されず、例えば、グルコースオキシダーゼとしては、東洋紡社製GLO−201を用いることができる。
電子受容体としては、フェリシアン化カリウム、フェロセン誘導体、キノン誘導体、オスミューム誘導体等を用いることができる。
また、本発明のバイオセンサは、反応部の酵素を変更することで、グルコースセンサのみならず、コレステロールセンサ、アルコールセンサ、スクロールセンサ、乳酸センサ、フルクトースセンサ等の酵素に関与する反応系に広く用いることができる。各バイオセンサに用いる酵素としては、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ等の反応系に合ったものを適宜用いることができる。
さらに、本発明のバイオセンサは、C因子、B因子、凝固酵素前駆体、および色素が結合したペプチドを含む反応部とすることにより、大腸菌やサルモネラ菌をはじめとするグラム陰性菌の外膜を構成している毒性物質であるエンドトキシン濃度を測定する、エンドトキシンセンサとすることも可能である。
酵素および電子受容体は、適宜溶媒で希釈して用いる。溶媒としては、例えば、水、アルコール、水−アルコール混合溶媒が挙げられる。また、酵素と電子受容体は、直鎖、環状の炭化水素貧溶媒に均一分散させてもよい。
酵素および電子受容体はそれぞれ1試験体当り0.3ユニット以上10ユニット以下の範囲内および0.5μg以上200μg以下の範囲内とすることが好ましい。反応部の酵素および電子受容体は、酵素量(力価/ユニット)に準じた反応量が得られるが、反応部の性能を担保する最適重量部の小過剰でよい。
また、反応部は、その面積に比例した検出電流が得られるため、可能な範囲で広く設定することが好ましい。
反応部の形成方法としては、所望の位置に反応部を配置できる方法であれば特に限定されない。例えば、試料供給路において露出される電極系上に酵素および電子受容体を含む溶液を塗布した後、乾燥させ溶媒成分を除去して形成することができる。また、酵素を含む溶液と、電位受容体を含む溶液とを個々に塗布してもよいが、この場合は電極系の少なくとも作用極上に酵素を塗布するものとする。
酵素および電子受容体を含む溶液の塗布方法としては、例えばディスペンサー法を用いることができる。
反応部を形成する場合、酵素は40℃以上で長時間放置すると活性を失うため、溶媒の乾燥は40℃以下で行い、乾燥後は速やかに室温に戻すことが好ましい。
2.カバー層
本発明におけるカバー層は、上記スペーサ上の少なくとも上記試料供給路を覆うように配置されたものである。
具体的には、上記カバー層は、本発明のバイオセンサにおける蓋材として機能するものである。
カバー層には、例えば、樹脂基材、セラミック基材、ガラス基材、半導体基材、金属基材等を用いることができる。カバー層は、剛性を有していてもよく、弾性を有していてもよい。中でも、電気絶縁性および弾性を有することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエステル樹脂等のフィルムを好適に用いることができる。
また、カバー層は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。
カバー層は透明であってもよく不透明であってもよいが、中でも透明であることが好ましい。透明カバー層の場合には、バイオセンサの使用時に試料の導入を目視することができる。
透明カバー層の場合、可視光領域における透過率(可視光線透過率)が80%以上であることが好ましい。ここで、可視光線透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、スペーサにおいて空気抜き流路が設けられていない場合は、図7で例示されるようにカバー層32の表面に空気孔24を有するものである。試料供給路から試料が入る際に、当該空気孔から脱気されるため、毛細管現象による試料供給を促進することができる。
当該空気孔の大きさとしては、本発明のバイオセンサが毛細管現象を生じることが可能な程度の大きさであればよく、上述した「B.バイオセンサ用電極部材 2.スペーサ」の項で説明した内容と同様である。また、空気孔の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。
カバー層における空気孔の位置としては、スペーサの試料供給路に通じるように配置される。通常、試料供給路が配置される領域において、電極系および反応部よりも奥の領域(配線部側)に空気孔が配置される。
なお、空気孔の形成方法としては、例えば、打ち抜き加工等が挙げられる。
また、カバー層は、上述した空気孔の他に、スペーサ側の表面に親水層を有していても良い。親水層を有することにより、試料を電極系および反応部へ迅速かつ容易に導く事が出来るからである。
さらに、空気孔の周辺等には撥水領域が設けられていても良い。空気孔から試料が流出することを防ぐことができるからである。
カバー層の形状としては、電極系および配線部が形成された支持基材に応じて適宜選択されるものである。例えば、カバー層の形状として、端子部が露出するように切欠部を有していてもよい。
また、バイオセンサを多面付けで製造する場合、カバー層は長尺であってもよく枚葉であってもよい。
カバー層の配置位置としては、スペーサ上の少なくとも試料供給路を覆う位置であればよく、端子部以外の領域にカバー層が設けられていてもよく、支持基材全面にカバー層が設けられていてもよい。
カバー層の配置方法としては、カバー層の構成等に応じて適宜選択される。例えば、スペーサに両面テープを用いる場合には、スペーサを介して電極系、配線部および端子部が形成された支持基材とカバー層とを貼付することができる。また、例えばスペーサに光硬化性樹脂を用いる場合には、接着層を介してカバー層とスペーサまたは支持基材とを貼付することができる。カバー層の貼合に使用される接着層については、「B.バイオセンサ用電極部材」の項で説明した接着層の材料とすることができる。
3.バイオセンサ
本発明のバイオセンサを用いて測定される試料としては、例えば血液、唾液、尿等の生体試料や、環境検査、食品検査の製品、廃液等を挙げることができる。これらの試料には相当量の水分を含有するものが多く、抵抗率は大きく異なるものではない。例えば、試料の抵抗率は1Ωcm〜1kΩcmの範囲内であることが好ましい。具体的には、血液の抵抗率は100Ωcm〜160Ωcmである。(ヘマトクリット、個人差等の変動要因がある。)上記試料の抵抗率は、電極式または電磁式導電率計(電気導電率計)で測定した値である。
本発明のバイオセンサは、測定装置に接続して使用するものである。図8(a)、(b)は、本発明のバイオセンサを測定装置に接続した様子を示す模式図であり、図8(a)は全体図であり、図8(b)は図8(a)の破線部における測定装置の内部を説明する図である。
図8(a)、(b)に例示するように、測定装置60は、公知の測定装置であって、バイオセンサ30を接続して、試料中に含まれる被検出物を検出する装置である。測定装置60は、例えば、バイオセンサ30で生じた電気信号を受信するための接続電極63、演算部(図示せず)、電源(図示せず)、表示部61および操作部62を備える。バイオセンサ30は、測定装置60の装着部に装着されると、バイオセンサ30の2本の端子部16が測定装置60の接続電極63にそれぞれ接続される。この接続により、バイオセンサ30で生じた電気信号は、測定装置60に伝達される。
測定方法としては、例えば、測定者がバイオセンサ30を測定装置60に装着し、バイオセンサ30の先端からスペーサに設けられた試料供給路に試料を導入し、操作部62を操作して、測定を開始する。試料供給路に導入された試料に被検出物が含まれる場合は、被検出物と、反応部に配設された生体由来物質とが反応し、電気信号がバイオセンサ30の電極系で検出され、電極系および配線部を介して端子部16に届き、測定装置60の接続電極63を介して、測定装置60に伝達される。測定装置60は、バイオセンサ30から受信した電気信号を演算部で測定値に変換する。得られた測定値は、表示部61に表示され、測定者は測定結果を視覚的に認識することができる。
4.バイオセンサの製造方法
本発明のバイオセンサの製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。本発明のバイオセンサにおける各部材の製造方法については、上述したそれぞれの項で説明した内容と同様である。
本発明において、バイオセンサの製造は多面付けで行ってもよい。この場合、電極系および配線部が形成された支持基材とスペーサとカバー層とをこの順で貼り合せた後、断裁して個々のバイオセンサを得ることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、以下の説明において、実施例等において形成される電極系が上述した上塗り態様、または被覆態様のものである場合、実施例等のバイオセンサ用電極をバイオセンサに用いた際に試料供給路の領域に位置する配線部、すなわち、電極系により上塗りまたは被覆される配線部を、「電極系パターン部」とし、当該領域外の配線部と区別して表記するものである。
[実施例1]
支持基材として厚さ300μmのポリエステルシート(SKC社製)を準備し、当該シートの片面上に、導電性カーボンインク(製品名:CH−8、十条ケミカル社製)をスクリーン印刷することによって、作用極および対極のパターンに相当する電極系パターン部、配線部ならびに端子部を形成した。
次に、上記電極系パターン部の上面に対し、金ナノインク(製品名:NPG−J ハリマ化成社製)をインクジェット印刷し、次いで、パルスドキセノンランプで当該印刷物に対しフラッシュランプアニール処理をすることにより、上記電極系パターン部上面に金ナノインクからなる電極系(上塗り態様)を形成し、バイオセンサ用電極を得た。
[実施例2]
支持基材として厚さ25μmのポリエステルロール(東レ社製)を準備し、当該ロールの片面上に、水性インク(製品名:MCA2055 DICグラフィックス社製)をグラビア印刷することによって、配線部および端子部のネガパターンを有する水性インク層を成膜した。
次いで、当該ロールの一部を切り取り、表面全面にニッケル蒸着層を成膜した後、水洗することによって、配線部および端子部のネガパターン以外の水性インク層をニッケル蒸着層ごとリフトオフした。これにより、ニッケル蒸着からなる配線部および端子部を形成した。
上記ポリエステルシートの配線部および端子部が印刷された面の所定の位置に、作用極および対極のパターンを金ナノインク(製品名:NPG−J ハリマ化成社製)でインクジェット印刷し、次いで、パルスドキセノンランプで当該印刷パターンに対しフラッシュランプアニール処理をすることにより、配線部の端部と連結した、作用極および対極を有する電極系(連結態様)を形成し、バイオセンサ用電極を得た。なお、電極系の電気抵抗率は、6.3×10−6Ωcmであった。
[実施例3]
支持基材として、表面にコロナ処理がされた、A4サイズ、厚さ38μmのポリエステルフィルム(製品名:E5100 東洋紡社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして連結態様の電極系を有するバイオセンサ用電極を得た。なお、電極系の電気抵抗率は、8.0×10−6Ωcmであった。
[実施例4]
支持基材として、A4サイズ、厚さ100μmの防曇処理ポリエステルフィルム(製品名:MSX6993 スリーエムヘルスケア社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして連結態様の電極系を有するバイオセンサ用電極を得た。なお、電極系の電気抵抗率は、4.8×10−6Ωcmであった。
[実施例5]
実施例2と同様にして、支持基材としてのポリエステルロールの片面上に、ニッケル蒸着からなる作用極および対極のパターンに相当する電極系パターン部、配線部、端子部を形成した。
次に、上記電極系パターン部上面に金ナノインクを重ねて描画し、その後、パルスドキセノンランプを用いてフラッシュランプアニール処理することによって、当該電極系パターン部上面に金ナノインクからなる電極系(上塗り態様)を形成し、バイオセンサ用電極を得た。
[実施例6]
実施例2と同様にして、支持基材としてのポリエステルロールの片面上に、水性インクをグラビア印刷することによって、給電部、電極系パターン部、配線部、端子部のネガパターンを有する水性インク層を成膜した。
次に、当該ロールの水性インク層を有する面にロール・トゥ・ロールでニッケル蒸着を施し、その後、そのフィルムを水洗することによって水性インク層をニッケル蒸着層ごとリフトオフした。これにより、当該ロール上にニッケル蒸着からなる電極系パターン部、給電部のパターン、配線部および端子部を形成した。
次に、上記配線部と端子部とをマスキングフィルムでマスクした後に、ロール・トゥ・ロールで金めっきを施し、電極系パターン部の全ての表面上に金めっきからなる電極系(被覆態様)と、給電部のパターン表面が全て金めっきされた給電部とを形成し、バイオセンサ用電極を得た。
なお、上記給電部はめっき製法のために設けたものである。当該バイオセンサ用電極を用いてバイオセンサを製造する際には、断裁工程において上記給電部は除去され、最終製品であるバイオセンサには含まれないものとなる。
[実施例7]
実施例2と同様にして、支持基材としてのポリエステルロールの片面上に、水性インクをグラビア印刷することによって、電極系パターン部、配線部、端子部のネガパターンを有する水性インク層を成膜した。
上記水性インク層を有する当該ロールの一部を切り取り、表面全面にアルミ蒸着を行い、次いで水洗によりリフトオフをすることによって、アルミ蒸着からなる電極系パターン部、配線部、端子部を形成した。
次に、上記配線部を覆うように絶縁インク(サンタイプ社製 製品名:S−114)
をスクリーン印刷することにより絶縁層を形成した。なお、このとき、電極系パターン部上には絶縁層が形成されないものとする。
次いで、上記電極系パターン部の上面に対し、金ナノインクを重ねて印刷描画し、その後、パルスドキセノンランプを用いてフラッシュランプアニール処理することにより、当該電極系パターン部上面に金ナノインクからなる電極系(上塗り態様)を形成し、バイオセンサ用電極を得た。
[比較例1]
配線部を覆うように絶縁層を形成した後、上記電極系パターン部の上面に対し、金ナノインクの印刷およびフラッシュランプアニール処理を行わなかったこと以外は、実施例7と同様にしてバイオセンサ用電極を得た。なお、得られるバイオセンサ用電極においては、電極系パターン部がそのまま電極系になるものとする。
[評価]
実施例1〜7と比較例1とを室温大気下で1ヶ月間放置したところ、比較例1の電極系では大気中で酸化(腐食)が進行し酸化皮膜の形成が認められたのに対し、実施例1〜7の電極系ではどれも酸化が認められず、腐食劣化を防止することができた。
1 … バイオセンサ用電極
2 … 支持基材
10 … 電極系
11 … 作用極
12 … 対極
15 … 配線部
20 … バイオセンサ用電極部材
21 … 絶縁層
22 … スペーサ
23 … 試料供給路
24 … 空気孔
30 … バイオセンサ
31 … 反応部
32 … カバー層

Claims (4)

  1. 支持基材と、
    前記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、
    前記支持基材上に形成され、前記電極系と接続された配線部と
    を少なくとも有するバイオセンサ用電極であって、
    前記作用極および前記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、
    前記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ用電極。
  2. 前記貴金属が、金、白金およびパラジウムからなる群から選択される少なくとも一種であること特徴とする請求項1に記載のバイオセンサ用電極。
  3. 支持基材と、
    前記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、
    前記支持基材上に形成され、前記電極系と接続された配線部と、
    少なくとも前記配線部の表面を覆う絶縁層と、
    前記電極系および前記配線部上に形成され、前記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、を少なくとも有するバイオセンサ用電極部材であって、
    前記作用極および前記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、
    前記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ用電極部材。
  4. 支持基材と、
    前記支持基材上に形成され、作用極および対極を有する電極系と、
    前記支持基材上に形成され、前記電極系と接続された配線部と、
    少なくとも前記配線部の表面を覆う絶縁層と、
    前記電極系および前記配線部上に形成され、前記電極系と平面視上重なる試料供給路を有するスペーサと、
    前記スペーサの前記試料供給路から露出された電極系と平面視上重なるように配置された反応部と、
    前記スペーサ上の少なくとも前記試料供給路を覆うように配置されたカバー層と、を有するバイオセンサであって、
    前記作用極および前記対極の少なくとも表面が貴金属を含むものであり、
    前記配線部が貴金属を含まないものであることを特徴とするバイオセンサ。
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