JP2014205304A - 光硬化性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液状の光硬化性樹脂組成物からなる光硬化性樹脂層を一対の基材フィルムにより挟み込んだ帯状の積層フィルムをその長手方向に移送しながら、積層フィルムに活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂層を硬化させて光硬化性樹脂フィルムとする製造装置において、光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することを抑制できるようにする。
【解決手段】長手方向に移送される積層フィルム1に活性エネルギー線を照射するエネルギー線照射部と、移送される積層フィルム1に、その幅方向外側への張力を付与する張力付与手段17と、を備え、張力付与手段17により積層フィルム1に張力が付与されている状態で照射領域RAに活性エネルギー線を照射する製造装置を提供する。
【選択図】図3
【解決手段】長手方向に移送される積層フィルム1に活性エネルギー線を照射するエネルギー線照射部と、移送される積層フィルム1に、その幅方向外側への張力を付与する張力付与手段17と、を備え、張力付与手段17により積層フィルム1に張力が付与されている状態で照射領域RAに活性エネルギー線を照射する製造装置を提供する。
【選択図】図3
Description
この発明は、光硬化性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法に関する。
従来、光硬化性樹脂からなるフィルム(光硬化性樹脂フィルム)を製造する場合には、例えば特許文献1のように、液状の光硬化性樹脂組成物を透明な基材フィルム上に薄膜状(フィルム状)に塗工し、その上から透明なカバーフィルムを積層した積層フィルムを構成した上で、この積層フィルムに紫外線を照射して薄膜状の光硬化性樹脂組成物を硬化させる手法が用いられている。そして、光硬化性樹脂フィルムを連続的に製造する場合には、積層フィルムをその長手方向に搬送しながら積層フィルムに紫外線を照射している。
しかしながら、光硬化性樹脂組成物をフィルム状に形成した状態で硬化させると、光硬化性樹脂組成物がその厚さ方向に直交する方向に収縮しやすい。特に、積層フィルムをその長手方向に搬送しながら光硬化性樹脂組成物を硬化させる場合、積層フィルムにはその長手方向に張力が付与されるため、光硬化性樹脂組成物が積層フィルムの幅方向に収縮しやすい。その結果として、硬化後における光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することがある。このようなしわは、製品となる光硬化性樹脂フィルムの表面粗さが粗くなってしまう、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することを抑制できる光硬化性樹脂フィルムの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明に係る光硬化性樹脂フィルムの製造装置は、液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層を一対の基材フィルムにより挟み込んでなる帯状の積層フィルムを、その長手方向に移送しながら、前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射して前記光硬化性樹脂層を硬化させて連続的に光硬化性樹脂フィルムを得る製造装置であって、前記積層フィルムをその長手方向に移送する移送手段と、移送される前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射するエネルギー線照射部と、移送される前記積層フィルムに、その幅方向外側への張力を付与する張力付与手段と、を備え、前記張力付与手段により前記積層フィルムに張力が付与されている状態で活性エネルギー線が照射されることを特徴とする。
また、本発明に係る光硬化性樹脂フィルムの製造方法は、液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層を一対の基材フィルムにより挟み込んでなる帯状の積層フィルムを、その長手方向に移送しながら、前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射して前記光硬化性樹脂層を硬化させることで光硬化性樹脂フィルムを製造する製造方法であって、移送される前記積層フィルムに対し、該積層フィルムの幅方向への張力を付与した状態で活性エネルギー線を照射することを特徴とする。
なお、前記活性エネルギー線は、前記光硬化性樹脂組成物を硬化させうるエネルギー線であり、紫外線の他、可視光や電子線なども含む。
なお、前記活性エネルギー線は、前記光硬化性樹脂組成物を硬化させうるエネルギー線であり、紫外線の他、可視光や電子線なども含む。
上記製造装置及び製造方法では、積層フィルムにその幅方向への張力が付与された状態で、積層フィルムに活性エネルギー線を照射するため、活性エネルギー線の照射によって光硬化性樹脂層が収縮しても、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することを抑制できる。すなわち、光硬化性樹脂フィルムの表面粗さが粗くなることを抑制できる。
そして、前記製造装置においては、前記張力付与手段が、前記積層フィルムの幅方向両端部を該積層フィルムの厚さ方向から挟み込んで、前記積層フィルムの移送方向の上流側から下流側に繰り出す一対のピンチロールを備え、前記一対のピンチロールによる前記積層フィルムの幅方向両端部の繰り出し方向が、前記積層フィルムの移送方向に対して前記積層フィルムの幅方向外側に傾斜しているとよい。
上記製造装置では、一対のピンチロールによる積層フィルムの幅方向両端部の繰り出し方向が積層フィルムの移送方向に対して積層フィルムの幅方向外側に傾斜しているため、積層フィルムには、その幅方向外側への張力が付与されると同時に、移送方向下流側に引っ張る力も付与される。
そして、張力付与手段としてピンチロールを用いる場合には、積層フィルムを湾曲させることなく、積層フィルムをその幅方向外側に引っ張ることができるため、積層フィルムに対して活性エネルギー線を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層の硬化の均一化を図ることができる。
さらに、ピンチロールを用いる場合には、製造装置自体のコストを低く抑えることも可能である。
そして、張力付与手段としてピンチロールを用いる場合には、積層フィルムを湾曲させることなく、積層フィルムをその幅方向外側に引っ張ることができるため、積層フィルムに対して活性エネルギー線を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層の硬化の均一化を図ることができる。
さらに、ピンチロールを用いる場合には、製造装置自体のコストを低く抑えることも可能である。
また、前記製造装置においては、前記一対のピンチロールが、前記移送方向に間隔をあけて複数配列されているとよい。
さらに、前記製造装置においては、前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域が、前記移送方向に隣り合う前記ピンチロールの間の領域であることが好ましい。
上記製造装置では、積層フィルムの移送方向に隣り合う一対のピンチロールの間の領域において、積層フィルムに付与される幅方向外側への張力が最も大きくなる。そして、このような領域において活性エネルギー線を照射することで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
さらに、前記製造装置においては、前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域が、前記移送方向に隣り合う前記ピンチロールの間の領域であることが好ましい。
上記製造装置では、積層フィルムの移送方向に隣り合う一対のピンチロールの間の領域において、積層フィルムに付与される幅方向外側への張力が最も大きくなる。そして、このような領域において活性エネルギー線を照射することで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
また、前記製造装置においては、前記張力付与手段が、移送される前記積層フィルムを巻き掛ける柱状に形成されると共に軸方向の中間部が膨出するように湾曲したエキスパンダーロールを備え、前記積層フィルムが、前記エキスパンダーロールの外周面のうち膨出する側の領域に巻き掛けられてもよい。
上記製造装置では、積層フィルムがエキスパンダーロールの湾曲形状に倣って湾曲した状態でエキスパンダーロールの外周面を通る際に、積層フィルムにその幅方向への張力が付与される。このように積層フィルムに付与される張力は、エキスパンダーロールよりも移送方向下流側においても残る。
上記製造装置では、積層フィルムがエキスパンダーロールの湾曲形状に倣って湾曲した状態でエキスパンダーロールの外周面を通る際に、積層フィルムにその幅方向への張力が付与される。このように積層フィルムに付与される張力は、エキスパンダーロールよりも移送方向下流側においても残る。
さらに、前記製造装置において、前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域は、前記エキスパンダーロールよりも前記積層フィルムの移送方向下流側の領域であると好ましい。
このように活性エネルギー線の照射領域が設定されることで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
このように活性エネルギー線の照射領域が設定されることで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
また、前記製造装置においては、前記張力付与手段が、前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持するクリップ部を前記積層フィルムの移送方向に多数配列してなるクリップテンターを備え、
各クリップ部は、前記移送方向の上流側において前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持した上で、前記積層フィルムの移送速度に同期して前記移送方向の上流側から下流側に移動すると共に前記積層フィルムの幅方向外側に移動し、前記移送方向の下流側において前記積層フィルムから離間するように構成されていてもよい。
各クリップ部は、前記移送方向の上流側において前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持した上で、前記積層フィルムの移送速度に同期して前記移送方向の上流側から下流側に移動すると共に前記積層フィルムの幅方向外側に移動し、前記移送方向の下流側において前記積層フィルムから離間するように構成されていてもよい。
上記製造装置では、クリップ部が幅方向両端部を挟持したままで積層フィルムの幅方向外側に移動することにより、積層フィルムにその幅方向への張力が付与される。
そして、張力付与手段としてクリップテンターを用いる場合には、積層フィルムを湾曲させることなく、積層フィルムをその幅方向外側に引っ張ることができるため、積層フィルムに対して活性エネルギー線を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層の硬化の均一化を図ることができる。
そして、張力付与手段としてクリップテンターを用いる場合には、積層フィルムを湾曲させることなく、積層フィルムをその幅方向外側に引っ張ることができるため、積層フィルムに対して活性エネルギー線を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層の硬化の均一化を図ることができる。
さらに、前記製造装置においては、前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域は、前記クリップ部が、前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持した上で、前記積層フィルムの幅方向外側に移動する領域であるとよい。
このように活性エネルギー線の照射領域が設定されることで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
このように活性エネルギー線の照射領域が設定されることで、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
また、前記製造装置において、前記張力付与手段が前記ピンチロールや前記クリップテンターを備える場合、前記積層フィルムの幅方向両端部は、前記一対の基材フィルムのみを積層して構成されているとよい。
上記構成では、積層フィルムのうち一対の基材フィルムのみがピンチロールやクリップ部によって挟み込まれ、光硬化性樹脂層は挟み込まれないため、光硬化性樹脂層全てを硬化させて光硬化性樹脂フィルムの製品とすることができる。すなわち、光硬化性樹脂層の歩留まり向上を図ることが可能となる。
上記構成では、積層フィルムのうち一対の基材フィルムのみがピンチロールやクリップ部によって挟み込まれ、光硬化性樹脂層は挟み込まれないため、光硬化性樹脂層全てを硬化させて光硬化性樹脂フィルムの製品とすることができる。すなわち、光硬化性樹脂層の歩留まり向上を図ることが可能となる。
本発明によれば、積層フィルムにその幅方向への張力が付与された状態で、積層フィルムに活性エネルギー線を照射するため、製造される光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することを抑制できる。
〔第一実施形態〕
以下、図1〜5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
この実施形態に係る光硬化性樹脂フィルムの製造装置は、図2に示すように、液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層2を一対の基材フィルム3,4により挟み込んでなる帯状の積層フィルム1をその長手方向に移送しながら、積層フィルム1に紫外線や可視光、電子線等の活性エネルギー線を照射することで、光硬化性樹脂層2を硬化させて光硬化性樹脂フィルムとして製造するものである。
本実施形態では、一対の基材フィルム3,4の幅寸法が、光硬化性樹脂層2よりも大きく設定され、光硬化性樹脂層2は一対の基材フィルム3,4の幅方向TDの両端部の間に形成されていない。すなわち、本実施形態の積層フィルム1の幅方向TDの両端部は、一対の基材フィルム3,4のみを積層した耳部5となっている。
以下、図1〜5を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
この実施形態に係る光硬化性樹脂フィルムの製造装置は、図2に示すように、液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層2を一対の基材フィルム3,4により挟み込んでなる帯状の積層フィルム1をその長手方向に移送しながら、積層フィルム1に紫外線や可視光、電子線等の活性エネルギー線を照射することで、光硬化性樹脂層2を硬化させて光硬化性樹脂フィルムとして製造するものである。
本実施形態では、一対の基材フィルム3,4の幅寸法が、光硬化性樹脂層2よりも大きく設定され、光硬化性樹脂層2は一対の基材フィルム3,4の幅方向TDの両端部の間に形成されていない。すなわち、本実施形態の積層フィルム1の幅方向TDの両端部は、一対の基材フィルム3,4のみを積層した耳部5となっている。
なお、本実施形態における光硬化性樹脂組成物としては、光重合性の炭素−炭素二重結合を複数個有する化合物が好ましい。光硬化性樹脂組成物の例としては、(1)多価アリルエステル樹脂、(2)多価ビニルエステル樹脂、(3)多官能ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(4)籠型シロキサン−(メタ)アクリレート樹脂組成物、などが挙げられる。
(1)多価アリルエステル化合物は、多価カルボン酸のアリルエステルモノマーと2〜6個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコールとのエステル交換反応により製造される。多価カルボン酸のアリルエステルモノマーの具体例としては、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸ジアリル、メチルテトラヒドロフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。これらアリルエステルモノマーは、必要に応じて2種以上使用することもでき、また、上述の具体例に限定されるものではない。
炭素数2〜20の多価アルコールの具体例のうち、2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール−Aのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノール−Aのプロピレンオキサイド付加物、2,2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン等が挙げられる。
また、3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールの2種以上の混合物であってもよい。また、上述の具体例に限定されるものではない。
また、3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール等が挙げられる。これらの多価アルコールの2種以上の混合物であってもよい。また、上述の具体例に限定されるものではない。
さらに、多価アリルエステル化合物はラジカル重合性であり、熱や紫外線、電子線等により重合させることができる。また、他のラジカル重合性化合物と共重合することもできる。
多価アリルエステル化合物と共重合させるラジカル重合性化合物は、多価アリルエステル化合物と共重合する化合物であれば特に制限はない。その具体例としては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、アリルベンゾエート、α−ナフトエ酸アリル、β−ナフトエ酸アリル、2−フェニル安息香酸アリル、3−フェニル安息香酸アリル、4−フェニル安息香酸アリル、o−クロロ安息香酸アリル、m−クロロ安息香酸アリル、p−クロロ安息香酸アリル、o−ブロモ安息香酸アリル、m−ブロモ安息香酸アリル、p−ブロモ安息香酸アリル、2,6−ジクロロ安息香酸アリル、2,4−ジクロロ安息香酸アリル、2,4,6−トリブロモ安息香酸アリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、エンディック酸ジアリル、クロレンド酸ジアリル、3,6−メチレン−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、ピロメリット酸テトラアリル、ジフェン酸ジアリル等、コハク酸ジアリル、アジピン酸ジアリル等のアリルエステル類、ジベンジルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルマレート、ジフェニルフマレート、ジブチルマレート、ジブチルフマレート、ジメトキエチルマレート、ジメトキシエチルフマレート等のマレイン酸ジエステル/フマル酸ジエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、カプロン酸ビニル等の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;シクロヘキサンカルボン酸ビニルエステル等の脂環式ビニルエステル;安息香酸ビニルエステル、t−ブチル安息香酸ビニルエステル等の芳香族ビニルエステル、ジアリルカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製商品名CR−39に代表されるポリエチレングリコールビス(アリル)カーボネート樹脂等のアリルカーボネート化合物、分子内に反応性の異なる重合性二重結合を有する(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニルやマレイン酸ジアリル等の化合物、イソシアヌル酸トリアリルやシアヌル酸トリアリル等の窒素含有多官能アリル化合物、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等オリゴアクリレート類等が挙げられる。
(2)多価ビニルエステル樹脂としては前記多価アリルエステルのアリル基をビニル基に置換したものが挙げられる。
(3)多官能ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、ポリイソシアネート系化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて反応させて得られた物が挙げられる。ポリイソシアネート系化合物としてはイソホロンジイソシアネート、トリシクロデカンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートなどのポリイソシアネート系化合物などが例示される。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(4)籠型シロキサン−(メタ)アクリレート樹脂組成物としては、特開2010−195986号公報に記載の樹脂組成物が挙げられる。
一方、各基材フィルム3,4は、光硬化性樹脂層2を硬化させるための活性エネルギー線を透過可能な光透過性樹脂からなるフィルムである。具体的な基材フィルム3,4の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。なお、これら一対の基材フィルム3,4の材質は、同じであっても異なっていてもよい。さらに、各基材フィルム3,4には、光硬化性樹脂層2が硬化した後の光硬化性樹脂フィルムに転写されるハードコート層や反射防止層などの機能性層が形成されていてもよい。
そして、図1に示すように、この実施形態に係る光硬化性樹脂フィルムの製造装置10Aは、二つの基材ロール11,12、塗工部13、ラミネート部14、エネルギー線照射部15、巻取ロール16、及び、張力付与手段17を備えている。各基材ロール11,12は、基材フィルム3,4を巻きつけたものである。
塗工部13は、一方の基材ロール11から繰り出された基材フィルム3(一方の基材フィルム3)上に液状の光硬化性樹脂組成物を塗工して、光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層2(図2参照)を形成するものである。塗工部13は、不図示のモータにより駆動回転して一方の基材フィルム3をその長手方向に移送するバックアップロール21と、バックアップロール21の外周面に掛け回された一方の基材フィルム3上に、光硬化性樹脂組成物を塗工するスリットダイ22と、を備えている。
本実施形態では、バックアップロール21の回転速度を基準として、製造装置10Aにおける基材フィルム3,4や積層フィルム1の移送速度が設定されている。
本実施形態では、バックアップロール21の回転速度を基準として、製造装置10Aにおける基材フィルム3,4や積層フィルム1の移送速度が設定されている。
ラミネート部14は、塗工部13を通過した一方の基材フィルム3と、他方の基材ロール12から繰り出された基材フィルム4(他方の基材フィルム4)とにより、光硬化性樹脂層2を挟み込んで、積層フィルム1(図2参照)とするものである。本実施形態のラミネート部14は、一対のロールによって構成されている。このラミネート部14では、光硬化性樹脂層2よりも幅寸法が大きい一対の基材フィルム3,4の幅方向TDの両端部同士を接触させる。
エネルギー線照射部15は、移送される積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射して、光硬化性樹脂層2を硬化させて光硬化性樹脂フィルムとするものである。活性エネルギー線R1は、光硬化性樹脂組成物を硬化させるエネルギー線であり、紫外線、可視光、電子線などが挙げられる。エネルギー線照射部15は、ラミネート部14よりも積層フィルム1の移送方向MDの下流側に配されている。具体的なエネルギー線照射部15としては、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、ブラックライト、水銀灯などのアーク放電によるもの、ネオン灯などのグロー放電、電子線発生装置によるもの等が挙げられる。
巻取ロール16は、不図示のモータ等により駆動回転してエネルギー線照射部15を通過した後の積層フィルム1を巻き取るものである。巻取ロール16の回転速度は、塗工部13から巻取ロール16に向けて移送される積層フィルム1の長手方向に過度の張力が付与されないように、また、塗工部13から巻取ロール16に向けて移送される積層フィルム1が弛まないように、前述したバックアップロール21の回転速度と張力検出器(不図示)の出力データを基に設定されている。
これらバックアップロール21及び巻取ロール16は、積層フィルム1をその長手方向に移送する本実施形態の移送手段を構成している。
これらバックアップロール21及び巻取ロール16は、積層フィルム1をその長手方向に移送する本実施形態の移送手段を構成している。
張力付与手段17は、移送される積層フィルム1にその幅方向TDの外側への張力を付与するものである。そして、本実施形態の製造装置10Aでは、この張力付与手段17によって積層フィルム1に張力が付与されている状態で、前述したエネルギー線照射部15により活性エネルギー線R1を積層フィルム1に照射する。以下、本実施形態の張力付与手段17の具体的な構成について説明する。
本実施形態の張力付与手段17は、図1及び図3(a)に示すように、積層フィルム1の幅方向TDの両端部を積層フィルム1の厚さ方向から挟み込んで、積層フィルム1の移送方向MDの上流側から下流側に繰り出す一対のピンチロール30,30を備えている。一対のピンチロール30,30は積層フィルム1の幅方向TDに間隔をあけて配列されている。
各ピンチロール30は、図1、図3(a)及び図4に示すように、積層フィルム1の耳部5(幅方向TDの端部)をその厚さ方向から挟み込む一対のロール31,32を備えている。本実施形態では、一対のロール31,32の摩擦係数が互いに異なっていることが好ましい。具体的には、第一ロール31がウレタンゴム等のゴム材料からなり、第二ロール32がクロームメッキされたスチール、ステンレススチール等の金属材料からなる。
一対のロール31,32は、これらの回転軸L1,L2が互いに平行するように、また、一対のロール31,32の外周面同士が対向するように、ピンチロール30の本体部33に対して回転可能に取り付けられている。積層フィルム1の耳部5は、一対のロール31,32の外周面の間に挟み込まれる。
一対のロール31,32は、これらの回転軸L1,L2が互いに平行するように、また、一対のロール31,32の外周面同士が対向するように、ピンチロール30の本体部33に対して回転可能に取り付けられている。積層フィルム1の耳部5は、一対のロール31,32の外周面の間に挟み込まれる。
そして、第一ロール31はサーボモータ34によって駆動回転するように構成されている。第一ロール31の回転速度は、塗工部13から一対のピンチロール30に移送される積層フィルム1の長手方向(移送方向MD)に過度の張力が付与されないように、また、塗工部13からピンチロール30に向けて移送される積層フィルム1が弛まないように、前述したバックアップロール21の回転速度に対応付けて制御される。
具体的に説明すれば、第一ロール31の回転速度を制御するピンチロール制御手段は、図5に示すように、前述したサーボモータ34の他、計測部35及び制御部36を備える。計測部35は、バックアップロール21の回転速度を計測する。制御部36は、計測部35において計測されたバックアップロール21の回転速度に基づいて、ピンチロールの回転速度をサーボモータ34に出力する。
また、本実施形態のピンチロール制御手段は、バックアップロール21の回転速度に対する第一ロール31の回転速度の比率(速度比率)を制御部36に入力するキーボード等の入力部37を備える。なお、入力される速度比率は、第一ロール31の回転速度がバックアップロール21よりも速くなるように、かつ、塗工部13からピンチロール30に移送される積層フィルム1の長手方向に過度の張力が付与されないような範囲であることが好ましく、具体的には、例えば105%以上120%以下の範囲であるとよい。
また、本実施形態のピンチロール制御手段は、バックアップロール21の回転速度に対する第一ロール31の回転速度の比率(速度比率)を制御部36に入力するキーボード等の入力部37を備える。なお、入力される速度比率は、第一ロール31の回転速度がバックアップロール21よりも速くなるように、かつ、塗工部13からピンチロール30に移送される積層フィルム1の長手方向に過度の張力が付与されないような範囲であることが好ましく、具体的には、例えば105%以上120%以下の範囲であるとよい。
さらに、本実施形態では、図4に示すように、ピンチロール30の本体部33が、第二ロール32を第一ロール31に対して近接離間する方向に移動させるエアシリンダ38を備える。これにより、第一ロール31及び第二ロール32の外周面の間隔を高い精度で調整することが可能である。
また、本実施形態のピンチロール30では、図3(a)に示すように、その回転軸(第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2)が積層フィルム1の幅方向TDに対して傾斜している。これにより、一対のピンチロール30,30による積層フィルム1の幅方向TDの両端部(耳部5)の繰り出し方向が、積層フィルム1の移送方向MDに対して積層フィルム1の幅方向TDの外側に傾斜している。
さらに、本実施形態のピンチロール30では、積層フィルム1の幅方向TDに対する第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2の傾斜角度θ1(図3(a)参照)が調整可能とされている。この傾斜角度θ1は、例えば0度よりも大きく、かつ、5度以下に設定されているとよい。
また、本実施形態のピンチロール30では、図3(a)に示すように、その回転軸(第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2)が積層フィルム1の幅方向TDに対して傾斜している。これにより、一対のピンチロール30,30による積層フィルム1の幅方向TDの両端部(耳部5)の繰り出し方向が、積層フィルム1の移送方向MDに対して積層フィルム1の幅方向TDの外側に傾斜している。
さらに、本実施形態のピンチロール30では、積層フィルム1の幅方向TDに対する第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2の傾斜角度θ1(図3(a)参照)が調整可能とされている。この傾斜角度θ1は、例えば0度よりも大きく、かつ、5度以下に設定されているとよい。
また、本実施形態では、図1及び図3(a)に示すように、一対のピンチロール30,30が積層フィルム1の移送方向MDに間隔をあけて複数(図示例では二つ)配列されている。
そして、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAは、積層フィルム1の移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域に設定されている。
そして、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAは、積層フィルム1の移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域に設定されている。
以上のように設けられる本実施形態のピンチロール30では、第一ロール31が駆動回転して移送方向MDに移送される積層フィルム1の耳部5と一対のロール31,32の外周面との間に摩擦(転がり摩擦)が生じることで、ピンチロール30による積層フィルム1の幅方向TDの両端部の繰り出し方向が、積層フィルム1の移送方向MDに対して積層フィルム1の幅方向TDの外側に傾斜する。
すなわち、ピンチロール30によって繰り出される積層フィルム1には、図3(b)に示すように、積層フィルム1の幅方向TDの外側への張力F2が付与されると同時に、積層フィルム1をその移送方向MD下流側に引っ張る力F1も付与される。言い換えれば、本実施形態のピンチロール30によって積層フィルム1を繰り出す力FAは、積層フィルム1をその移送方向MD下流側に引っ張る力F1と、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る張力F2とを足し合わせたものとなる。
すなわち、ピンチロール30によって繰り出される積層フィルム1には、図3(b)に示すように、積層フィルム1の幅方向TDの外側への張力F2が付与されると同時に、積層フィルム1をその移送方向MD下流側に引っ張る力F1も付与される。言い換えれば、本実施形態のピンチロール30によって積層フィルム1を繰り出す力FAは、積層フィルム1をその移送方向MD下流側に引っ張る力F1と、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る張力F2とを足し合わせたものとなる。
なお、積層フィルム1を繰り出す力FAは、積層フィルム1のうちピンチロール30に対して積層フィルム1の移送方向MDの上流側及び下流側に位置する部分に作用する。このため、ピンチロール30を積層フィルム1の移送方向MDに複数配列した本実施形態の構成では、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る張力F2が、積層フィルム1の移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域において最も大きくなる。
また、本実施形態のピンチロール30では、移送方向MDに移送される積層フィルム1の耳部5と一対のロール31,32の外周面との摩擦が断続的に行われるように、前述したエアシリンダ38によって一対のロール31,32の間隔が設定されている。すなわち、積層フィルム1の耳部5が、積層フィルム1自身の弾性により、一対のロール31,32の外周面に対して断続的に幅方向TDの内側に滑る。言い換えれば、前述のエアシリンダ38は、積層フィルム1に対する一対のロール31,32の押付力を制御する押付力制御手段を構成している。この押付力制御手段を備えることで、ピンチロール30により積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る力が過度になることを防止できる。
また、本実施形態の製造装置10Aでは、図1に示すように、積層フィルム1が上述した張力付与手段17よりも積層フィルム1の移送方向MDの上流側及び下流側においてそれぞれ支持ロール18,19によって支持されている。
なお、図示例では、これら二つの支持ロール18,19が、積層フィルム1をその下面側から支持しているが、少なくとも二つの支持ロール18,19の間を通過する積層フィルム1に、ばたつき(積層フィルム1の厚さ方向への振動)が生じたり、二つの支持ロール18,19の間において積層フィルム1が弛んだりすることがないように、積層フィルム1を支持していればよい。したがって、各支持ロール18,19は、例えば積層フィルム1をその上面側から支持してもよいし、あるいは、積層フィルム1をその上面及び下面の両方から挟み込むように支持してもよい。
なお、図示例では、これら二つの支持ロール18,19が、積層フィルム1をその下面側から支持しているが、少なくとも二つの支持ロール18,19の間を通過する積層フィルム1に、ばたつき(積層フィルム1の厚さ方向への振動)が生じたり、二つの支持ロール18,19の間において積層フィルム1が弛んだりすることがないように、積層フィルム1を支持していればよい。したがって、各支持ロール18,19は、例えば積層フィルム1をその上面側から支持してもよいし、あるいは、積層フィルム1をその上面及び下面の両方から挟み込むように支持してもよい。
次に、以上のように構成される製造装置10Aを用いた光硬化性樹脂フィルムの製造方法の一例について説明する。なお、以下に説明する全ての工程は、移送手段によって帯状の基材フィルム3,4や積層フィルム1をその長手方向に移送しながら行われる。
光硬化性樹脂フィルムを製造する際には、はじめに、塗工部13において一方の基材フィルム3上に液状の光硬化性樹脂組成物を塗工する(塗工工程)。次いで、ラミネート部14において塗工部13を通過した一方の基材フィルム3と、他方の基材ロール12から繰り出された他方の基材フィルム4とにより光硬化性樹脂層2を挟み込んで積層フィルム1とする(ラミネート工程)。
光硬化性樹脂フィルムを製造する際には、はじめに、塗工部13において一方の基材フィルム3上に液状の光硬化性樹脂組成物を塗工する(塗工工程)。次いで、ラミネート部14において塗工部13を通過した一方の基材フィルム3と、他方の基材ロール12から繰り出された他方の基材フィルム4とにより光硬化性樹脂層2を挟み込んで積層フィルム1とする(ラミネート工程)。
その後、移送される積層フィルム1に対してエネルギー線照射部15の活性エネルギー線R1を照射して光硬化性樹脂層2を硬化させる(エネルギー線照射工程)。この工程において、光硬化性樹脂層2は硬化して光硬化性樹脂フィルムとなる。また、本実施形態のエネルギー線照射工程は、張力付与手段17によって積層フィルム1に対してその幅方向TDへの張力を付与した状態で行われる。本実施形態では、積層フィルム1の移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域において活性エネルギー線R1が積層フィルム1に照射される。すなわち、本実施形態では、積層フィルム1に付与される幅方向TDの外側への張力が最も大きくなる領域において、活性エネルギー線R1が積層フィルム1に照射される。
最後に、上記エネルギー線照射工程を経た積層フィルム1が巻取ロール16に巻き取られることで、光硬化性樹脂フィルムの製造が完了する。
最後に、上記エネルギー線照射工程を経た積層フィルム1が巻取ロール16に巻き取られることで、光硬化性樹脂フィルムの製造が完了する。
以上説明したように、本実施形態に係る光硬化性樹脂フィルムの製造装置10A及び製造方法によれば、積層フィルム1にその幅方向TDへの張力が付与された状態で、積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射するため、活性エネルギー線R1の照射によって光硬化性樹脂層2が硬化収縮しても、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面にしわが発生することを抑制できる。すなわち、製品となる光硬化性樹脂フィルムの表面粗さが粗くなることを抑制できる。
特に、本実施形態では、ピンチロール30が積層フィルム1の移送方向MDに配列されるため、この移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域において、積層フィルム1に付与される幅方向TDの外側への張力が最も大きくなる。そして、このような領域において活性エネルギー線R1が照射されるため、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
特に、本実施形態では、ピンチロール30が積層フィルム1の移送方向MDに配列されるため、この移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域において、積層フィルム1に付与される幅方向TDの外側への張力が最も大きくなる。そして、このような領域において活性エネルギー線R1が照射されるため、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
さらに、本実施形態の製造装置10Aでは、張力付与手段17としてピンチロール30を採用しているため、積層フィルム1を湾曲させることなく、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張ることができる。したがって、積層フィルム1に対して活性エネルギー線R1を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層2の硬化の均一化を図ることができる。また、張力付与手段17としてピンチロール30を採用することにより、製造装置10A自体のコストを低く抑えることも可能である。
さらに、本実施形態の製造装置10Aでは、積層フィルム1のうち一対の基材フィルム3,4のみがピンチロール30によって挟み込まれ、光硬化性樹脂層2は挟み込まれないため、光硬化性樹脂層2全てを硬化させて光硬化性樹脂フィルムの製品とすることができる。すなわち、光硬化性樹脂層2(光硬化性樹脂組成物)の歩留まり向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態の製造装置10Aでは、積層フィルム1に対する一対のロール31,32の押付力を制御する押付力制御手段を備えることで、ピンチロール30により積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る力が過度になることを防止できるため、ピンチロール30によって積層フィルム1が破れてしまうことを確実に防ぐことができる。
さらに、本実施形態の製造装置10Aでは、積層フィルム1の幅方向TDに対するピンチロール30の回転軸(第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2)の傾斜角度θ1が調整可能とされているため、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る張力F2の大きさを容易に調整できる。
また、本実施形態の製造装置10Aでは、積層フィルム1に対する一対のロール31,32の押付力を制御する押付力制御手段を備えることで、ピンチロール30により積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る力が過度になることを防止できるため、ピンチロール30によって積層フィルム1が破れてしまうことを確実に防ぐことができる。
さらに、本実施形態の製造装置10Aでは、積層フィルム1の幅方向TDに対するピンチロール30の回転軸(第一ロール31及び第二ロール32の回転軸L1,L2)の傾斜角度θ1が調整可能とされているため、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張る張力F2の大きさを容易に調整できる。
〔第二実施形態〕
次に、図6〜8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の製造装置10Aと比較して、張力付与手段17の構成のみが異なっており、その他の構成については、第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
次に、図6〜8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の製造装置10Aと比較して、張力付与手段17の構成のみが異なっており、その他の構成については、第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成については同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図6〜8に示すように、本実施形態の製造装置10Bを構成する張力付与手段17は、エキスパンダーロール40を備えている。
エキスパンダーロール40は、積層フィルム1を巻き掛ける柱状に形成されると共に、その軸方向中間部40Aが軸方向端部40Bに対して膨出するように湾曲した弓形に形成されている。エキスパンダーロール40は、例えばゴム等のように弾性変形可能な弾性材料からなり、その軸線L3を中心に回転可能となっている。また、本実施形態では、エキスパンダーロール40の湾曲の度合いを調整することが可能である。
そして、積層フィルム1は、エキスパンダーロール40の外周面のうち膨出する側の領域に巻き掛けられている。
エキスパンダーロール40は、積層フィルム1を巻き掛ける柱状に形成されると共に、その軸方向中間部40Aが軸方向端部40Bに対して膨出するように湾曲した弓形に形成されている。エキスパンダーロール40は、例えばゴム等のように弾性変形可能な弾性材料からなり、その軸線L3を中心に回転可能となっている。また、本実施形態では、エキスパンダーロール40の湾曲の度合いを調整することが可能である。
そして、積層フィルム1は、エキスパンダーロール40の外周面のうち膨出する側の領域に巻き掛けられている。
より具体的に説明すれば、エキスパンダーロール40は、図7,8に示すように、軸方向中間部40Aが軸方向端部40Bよりも積層フィルム1の移送方向MD下流側に位置するように配されている。
また、エキスパンダーロール40の軸方向中間部40Aと軸方向端部40Bとの相対的な位置は、積層フィルム1の一方の面(図示例では下面)がエキスパンダーロール40の外周面のうち膨出する側の領域で押し付けられることで、積層フィルム1の移送方向MDがエキスパンダーロール40における積層フィルム1の巻き掛け部分において屈曲するように設定されている。
また、エキスパンダーロール40の軸方向中間部40Aと軸方向端部40Bとの相対的な位置は、積層フィルム1の一方の面(図示例では下面)がエキスパンダーロール40の外周面のうち膨出する側の領域で押し付けられることで、積層フィルム1の移送方向MDがエキスパンダーロール40における積層フィルム1の巻き掛け部分において屈曲するように設定されている。
以上のようにエキスパンダーロール40が配されることで、移送方向MDに移送される積層フィルム1がエキスパンダーロール40の外周面に対して滑らずにエキスパンダーロール40の外周面上を通過する。なお、エキスパンダーロール40は、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の外周面上を通ることで受動的に回転する、すなわち、エキスパンダーロール40は駆動回転しないタイプであっても、能動的に駆動回転するタイプであってもよい。
また、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の外周面上を通過する際には、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の湾曲形状に倣って湾曲する。
また、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の外周面上を通過する際には、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の湾曲形状に倣って湾曲する。
ところで、本実施形態の製造装置10Bでは、第一実施形態の場合と同様に、積層フィルム1がエキスパンダーロール40よりも積層フィルム1の移送方向MDの上流側及び下流側においてそれぞれ支持ロール18,19によって支持されている。各支持ロール18,19は幅方向TDに延びる単純な柱状であるため、積層フィルム1が各支持ロール18,19を通過する際、積層フィルム1は湾曲せずに平坦な状態となっている。このため、本実施形態では、積層フィルム1が第一支持ロール18からエキスパンダーロール40に向けて移送されるにしたがって、積層フィルム1の湾曲度合が大きくなる。また、積層フィルム1がエキスパンダーロール40から第二支持ロール19に向けて移送されるにしたがって、積層フィルム1の湾曲度合が小さくなる。
なお、図示例では、移送方向MD上流側に配された第一支持ロール18が積層フィルム1をその上面側から支持し、移送方向MD下流側に配された第二支持ロール19が積層フィルム1をその下面側から支持しているが、これに限ることはない。これら二つの支持ロール18,19は、少なくとも二つの支持ロール18,19の間を通過する積層フィルム1に、ばたつき(積層フィルム1の厚さ方向への振動)が生じたり、二つの支持ロール18,19の間において積層フィルム1が弛んだりすることがないように、また、積層フィルム1がエキスパンダーロール40の外周面に押し付けられるように、積層フィルム1を支持していればよい。
以上のように構成される本実施形態の製造装置10Bでは、積層フィルム1が上記のようにエキスパンダーロール40の外周面を湾曲した状態で通る際に、積層フィルム1にその幅方向TDの外側への張力が付与される。このように積層フィルム1に付与される張力は、エキスパンダーロール40よりも移送方向MD下流側においても残る。ただし、積層フィルム1に付与される張力は、エキスパンダーロール40を通過した積層フィルム1の湾曲度合が小さくなるにしたがって小さくなる。
そして、以上のように配されるエキスパンダーロール40に対し、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAは、エキスパンダーロール40よりも積層フィルム1の移送方向MD下流側の領域に設定されている。
特に、本実施形態では、前述したようにエキスパンダーロール40よりも移送方向MD下流側に第二支持ロール19が配されているため、照射領域RAがエキスパンダーロール40と第二支持ロール19との間の領域に設定されている。
特に、本実施形態では、前述したようにエキスパンダーロール40よりも移送方向MD下流側に第二支持ロール19が配されているため、照射領域RAがエキスパンダーロール40と第二支持ロール19との間の領域に設定されている。
以上のように構成される本実施形態の製造装置10Bを用いて光硬化性樹脂フィルムを製造する際には、第一実施形態と同様の塗工工程、ラミネート工程、エネルギー線照射工程を順番に実施し、最後に積層フィルム1を巻取ロール16によって巻き取ればよい。
ただし、本実施形態のエネルギー線照射工程では、積層フィルム1がエキスパンダーロール40を通過することで、積層フィルム1にその幅方向TDへの張力が付与される。そして、積層フィルム1に張力を付与した状態となるエキスパンダーロール40の移送方向MD下流側において活性エネルギー線R1を積層フィルム1に照射する。
ただし、本実施形態のエネルギー線照射工程では、積層フィルム1がエキスパンダーロール40を通過することで、積層フィルム1にその幅方向TDへの張力が付与される。そして、積層フィルム1に張力を付与した状態となるエキスパンダーロール40の移送方向MD下流側において活性エネルギー線R1を積層フィルム1に照射する。
以上説明したように、本実施形態の製造装置10B及び製造方法によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の製造装置10Bでは、エキスパンダーロール40の湾曲の度合いを調整できるため、積層フィルム1に付与する張力の大きさを容易に変更することができる。さらに、エキスパンダーロール40は駆動回転しなくてもよいため、すなわち、積層フィルム1に張力を付与するための動力源が不要であるため、張力付与手段17を簡素に構成することができる。
また、本実施形態の製造装置10Bでは、エキスパンダーロール40の湾曲の度合いを調整できるため、積層フィルム1に付与する張力の大きさを容易に変更することができる。さらに、エキスパンダーロール40は駆動回転しなくてもよいため、すなわち、積層フィルム1に張力を付与するための動力源が不要であるため、張力付与手段17を簡素に構成することができる。
なお、上記第二実施形態では、張力付与手段がエキスパンダーロール40を一つだけ備えているが、例えば図9に示すように、複数(図示例では二つ)備えてもよい。この場合、複数のエキスパンダーロール40は、二つの支持ロール18,19の間においての移送方向MDに間隔をあけて配されているとよい。また、積層フィルム1は、各エキスパンダーロール40の外周面のうち膨出する側の領域に巻き掛けられているとよい。また、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAは、複数のエキスパンダーロール40のうちいずれかの下流側に設定されていればよいが、最も移送方向MD下流側に位置するエキスパンダーロール40よりもさらに下流側の領域に設定されていることが好ましい。
この構成では、複数のエキスパンダーロール40により積層フィルム1に対して少しずつ張力を付与できるため、上記第二実施形態の場合と比較して、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
この構成では、複数のエキスパンダーロール40により積層フィルム1に対して少しずつ張力を付与できるため、上記第二実施形態の場合と比較して、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわを効果的に抑制できる。
また、上記第二実施形態の構成には、前述した第一実施形態の構成が適用されてもよい。すなわち、張力付与手段17が、例えば図10に示すように、第一実施形態のピンチロール30及び第二実施形態のエキスパンダーロール40の両方を備えていてもよい。この場合、ピンチロール30及びエキスパンダーロール40は、二つの支持ロール18,19の間において積層フィルム1の移送方向MDに間隔をあけて配されればよいが、図示例のように、エキスパンダーロール40よりも積層フィルム1の移送方向MD下流側にピンチロール30を配することがより好ましい。また、エキスパンダーロール40及びピンチロール30を図示例のように配置した場合、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAは、第一実施形態の場合と同様に、移送方向MDに隣り合うピンチロール30,30の間の領域に設定されているとよい。
図10に示す構成では、移送方向MD上流側に配されたエキスパンダーロール40により積層フィルム1に対して張力を付与し、さらに、下流側に配されたピンチロール30により積層フィルム1に対して張力を付与した状態で活性エネルギー線R1が照射されるため、上記第一、第二実施形態の場合と比較して、硬化後の光硬化性樹脂フィルムの表面に生じるしわをより効果的に抑制できる。
〔第三実施形態〕
次に、図11〜13を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
この実施形態では、第一、第二実施形態の製造装置10A、10Bと比較して、張力付与手段17の構成のみが異なっており、その他の構成については、第一、第二実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
次に、図11〜13を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
この実施形態では、第一、第二実施形態の製造装置10A、10Bと比較して、張力付与手段17の構成のみが異なっており、その他の構成については、第一、第二実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同様の構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
図11〜13に示すように、本実施形態の製造装置10Cを構成する張力付与手段17は、積層フィルム1の幅方向TDの両端部(耳部5)を挟持するクリップ部51を積層フィルム1の移送方向MDに多数配列してなるクリップテンター50を備えている。このクリップテンター50は、第一実施形態と同様に、積層フィルム1の移送方向MDに配列された二つの支持ロール18,19の間に設けられている。
本実施形態のクリップ部51は、図13に示すように、本体部52と、本体部52との間に積層フィルム1の耳部5を挟み込む挟持部53とを備えている。
挟持部53は、本体部52との間に積層フィルム1を挟み込む位置(挟持位置53A)と、積層フィルム1を挟み込まないように本体部52に対して間隔をあけた位置(開放位置53B)との間で揺動可能となるように、本体部52に取り付けられている。
挟持部53は、本体部52との間に積層フィルム1を挟み込む位置(挟持位置53A)と、積層フィルム1を挟み込まないように本体部52に対して間隔をあけた位置(開放位置53B)との間で揺動可能となるように、本体部52に取り付けられている。
また、本実施形態のクリップテンター50は、図12,13に示すように、上記多数のクリップ部51の他、多数のクリップ部51を積層フィルム1の移送方向MDに移動させる移動手段55、積層フィルム1の幅方向TDの両端に配される二つのクリップ部51の間隔が広がるように各クリップ部51を積層フィルム1の幅方向TDの外側に誘導する誘導手段56、及び、挟持部53を挟持位置53Aと開放位置53Bとの間で移動させる開閉手段57と、を備える。
本実施形態の移動手段55は、積層フィルム1の幅方向TDの各端部に配された無端チェーン61、及び、無端チェーン61を掛け回すスプロケット62を備えている。
無端チェーン61には、多数のクリップ部51が取り付けられ、これら多数のクリップ部51は無端チェーン61の長手方向に配列されている。スプロケット62は、不図示のモータにより駆動回転するものである。このスプロケット62が回転することにより、無端チェーン61に取り付けられたクリップ部51が移動する。
無端チェーン61には、多数のクリップ部51が取り付けられ、これら多数のクリップ部51は無端チェーン61の長手方向に配列されている。スプロケット62は、不図示のモータにより駆動回転するものである。このスプロケット62が回転することにより、無端チェーン61に取り付けられたクリップ部51が移動する。
スプロケット62の回転速度は、塗工部13からクリップテンター50に向けて移送される積層フィルム1の長手方向に過度の張力が付与されないように、また、塗工部13からクリップテンター50に向けて移送される積層フィルム1が弛まないように、バックアップロール21の回転速度に対応付けて制御される。
本実施形態の誘導手段56は、積層フィルム1の幅方向TDの各端部に配されたレール63と、各クリップ部51の本体部52に設けられてレール63上を転動する複数の転動ローラ64A,64Bとを備える。
複数の転動ローラ64A,64Bは、クリップ部51をレール63に支持させた状態でレール63の長手方向に移動させるものである。本実施形態では、レール63を側方から挟み込んでレール63上を転動する複数の第一転動ローラ64A、及び、レール63の上端に当接させてレール63上を転動する第二転動ローラ64Bが設けられている。
なお、上記複数の転動ローラ64A,64Bによってクリップ部51が上記のようにレール63に対して取り付けられるため、前述した無端チェーン61はクリップ部51を介してレール63に掛けられている。
複数の転動ローラ64A,64Bは、クリップ部51をレール63に支持させた状態でレール63の長手方向に移動させるものである。本実施形態では、レール63を側方から挟み込んでレール63上を転動する複数の第一転動ローラ64A、及び、レール63の上端に当接させてレール63上を転動する第二転動ローラ64Bが設けられている。
なお、上記複数の転動ローラ64A,64Bによってクリップ部51が上記のようにレール63に対して取り付けられるため、前述した無端チェーン61はクリップ部51を介してレール63に掛けられている。
レール63は、前述した移動手段55によって移動するクリップ部51の移動方向を設定するものであり、積層フィルム1の移送方向MDに延在してクリップ部51の移動方向を移送方向MD上流側から下流側に設定するレール本体部65を備える。レール本体部65は、積層フィルム1の移送方向MD上流側から下流側に向かうにしたがって積層フィルム1の幅方向TDの外側に傾斜するように延在するレール傾斜部66を備えている。これにより、各クリップ部51がレール傾斜部66において積層フィルム1の移送方向MD上流側から下流側に移動する際に、各クリップ部51が積層フィルム1の幅方向TDの外側に誘導される。
なお、本実施形態のレール本体部65は、レール傾斜部66の長手方向両端部に接続され、積層フィルム1の移送方向MDに平行して延在するレール平行部67も備えている。
なお、本実施形態のレール本体部65は、レール傾斜部66の長手方向両端部に接続され、積層フィルム1の移送方向MDに平行して延在するレール平行部67も備えている。
また、本実施形態のレール63は、クリップ部51の移動方向を変更させるレール湾曲部68も備えている。本実施形態のレール湾曲部68は、レール本体部65のうち積層フィルム1の移送方向MD上流側の端部に接続されている。
また、本実施形態では、前述したスプロケット62がレール63よりも積層フィルム1の移送方向MD下流側に位置している。これにより、無端チェーン61に取り付けられたクリップ部51が、移動手段55によってスプロケット62とレール湾曲部68との間で移動することになる。
また、本実施形態では、前述したスプロケット62がレール63よりも積層フィルム1の移送方向MD下流側に位置している。これにより、無端チェーン61に取り付けられたクリップ部51が、移動手段55によってスプロケット62とレール湾曲部68との間で移動することになる。
本実施形態の開閉手段57は、任意の構成であってよいが、例えば、挟持部53を開放位置53Bに向けて付勢するばね等の付勢部材71と、付勢部材71の付勢力に抗って挟持部53を開放位置53Bから挟持位置53Aに移動させるカム部72と、を備える。このカム部72は、前述したレール本体部65に沿って設けられている。
以上のように本実施形態のクリップテンター50が構成されることで、クリップ部51がレール傾斜部66よりも移送方向MD上流側の領域(例えばレール平行部67)において積層フィルム1の移送方向MD上流側から下流側に移動する際には、クリップ部51の挟持部53がカム部72によって開放位置53Bから挟持位置53Aに移動する。すなわち、クリップ部51が積層フィルム1の耳部5を挟持する。
その後、クリップ部51がレール傾斜部66において移動する際には、クリップ部51の挟持部53がカム部72によって挟持位置53Aに保持される。すなわち、クリップ部51は、積層フィルム1の耳部5を挟持したままで、移送方向MDの上流側から下流側に移動すると共に積層フィルム1の幅方向TDの外側に移動する。これにより、移送方向MDの上流側から下流側に移送される積層フィルム1に対して、その幅方向TDへの張力が付与される。
なお、この際のクリップ部51の移動速度は、前述したようにスプロケット62の回転速度が制御されることで、積層フィルム1の移送速度に同期する。
なお、この際のクリップ部51の移動速度は、前述したようにスプロケット62の回転速度が制御されることで、積層フィルム1の移送速度に同期する。
さらに、クリップ部51がレール傾斜部66を通り過ぎた後には、クリップ部51がカム部72から離れることで、クリップ部51の挟持部53が挟持位置53Aから開放位置53Bに移動する。すなわち、レール傾斜部66を通り過ぎたクリップ部51が積層フィルム1の耳部5から離間し、積層フィルム1に対する張力の付与が解除される。
そして、本実施形態の製造装置10Cでは、エネルギー線照射部15による活性エネルギー線R1の照射領域RAが、積層フィルム1の耳部5を挟持したクリップ部51が積層フィルム1の幅方向TDの外側に移動する領域、すなわち、積層フィルム1にその幅方向TDへの張力が付与されている領域に設定されている。
以上のように構成される本実施形態の製造装置10Cを用いて光硬化性樹脂フィルムを製造する際には、第一実施形態と同様の塗工工程、ラミネート工程、エネルギー線照射工程を順番に実施し、最後に積層フィルム1を巻取ロール16によって巻き取ればよい。ただし、本実施形態のエネルギー線照射工程では、積層フィルム1の耳部5を挟持したクリップ部51が積層フィルム1の幅方向TDの外側に移動する領域において活性エネルギー線R1が積層フィルム1に照射される。
以上説明したように、本実施形態の製造装置10C及び製造方法によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、張力付与手段17としてクリップテンター50を採用しているため、積層フィルム1を湾曲させることなく、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張ることができる。したがって、積層フィルム1に対して活性エネルギー線R1を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層2の硬化の均一化を図ることができる。
また、張力付与手段17としてクリップテンター50を採用しているため、積層フィルム1を湾曲させることなく、積層フィルム1をその幅方向TDの外側に引っ張ることができる。したがって、積層フィルム1に対して活性エネルギー線R1を均一に照射することが可能となる。すなわち、光硬化性樹脂層2の硬化の均一化を図ることができる。
なお、上記第三実施形態の構成には、前述した第一、第二実施形態の構成が適用されてもよい。すなわち、張力付与手段17は、第三実施形態のクリップテンター50に加え、第一実施形態のピンチロール30や第二実施形態のエキスパンダーロール40も備えてよい。この場合、ピンチロール30やエキスパンダーロール40は、二つの支持ロール18,19の間においてクリップテンター50に対して積層フィルム1の移送方向MDに間隔をあけて配されればよい。
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上述した全ての実施形態では、積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射した直後に積層フィルム1を巻取ロール16で巻き取るが、これに限ることはない。例えば、積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射した後、積層フィルム1に対して任意の処理(例えば光硬化性樹脂フィルムを熱でさらに硬化させる処理、積層フィルム1の耳部5を切り落とす処理など)を実施した後に積層フィルム1を巻取ロール16で巻き取ってもよいし、例えば巻取ロール16で巻き取らずに、積層フィルム1をその長手方向に分割するように切断してもよい。
また、上記実施形態の製造装置10A,10B,10Cにおいて形成される積層フィルム1の幅方向TDの両端部は、一対の基材フィルム3,4のみを積層して構成されているが、例えば、積層フィルム1の他の部分と同様に光硬化性樹脂層2を一対の基材フィルム3,4により挟み込んで構成されてもよい。
例えば、上述した全ての実施形態では、積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射した直後に積層フィルム1を巻取ロール16で巻き取るが、これに限ることはない。例えば、積層フィルム1に活性エネルギー線R1を照射した後、積層フィルム1に対して任意の処理(例えば光硬化性樹脂フィルムを熱でさらに硬化させる処理、積層フィルム1の耳部5を切り落とす処理など)を実施した後に積層フィルム1を巻取ロール16で巻き取ってもよいし、例えば巻取ロール16で巻き取らずに、積層フィルム1をその長手方向に分割するように切断してもよい。
また、上記実施形態の製造装置10A,10B,10Cにおいて形成される積層フィルム1の幅方向TDの両端部は、一対の基材フィルム3,4のみを積層して構成されているが、例えば、積層フィルム1の他の部分と同様に光硬化性樹脂層2を一対の基材フィルム3,4により挟み込んで構成されてもよい。
1 積層フィルム
2 光硬化性樹脂層
3,4 基材フィルム
5 耳部
10A,10B,10C 製造装置
15 エネルギー線照射部
16 巻取ロール
17 張力付与手段
21 バックアップロール
30 ピンチロール
40 エキスパンダーロール
40A 軸方向中間部
50 クリップテンター
51 クリップ部
R1 活性エネルギー線
RA 照射領域
2 光硬化性樹脂層
3,4 基材フィルム
5 耳部
10A,10B,10C 製造装置
15 エネルギー線照射部
16 巻取ロール
17 張力付与手段
21 バックアップロール
30 ピンチロール
40 エキスパンダーロール
40A 軸方向中間部
50 クリップテンター
51 クリップ部
R1 活性エネルギー線
RA 照射領域
Claims (11)
- 液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層を一対の基材フィルムにより挟み込んでなる帯状の積層フィルムを、その長手方向に移送しながら、前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射して前記光硬化性樹脂層を硬化させて連続的に光硬化性樹脂フィルムを得る製造装置であって、
前記積層フィルムをその長手方向に移送する移送手段と、
移送される前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射するエネルギー線照射部と、
移送される前記積層フィルムに、その幅方向外側への張力を付与する張力付与手段と、を備え、
前記張力付与手段により前記積層フィルムに張力が付与されている状態で活性エネルギー線が照射されることを特徴とする光硬化性樹脂フィルムの製造装置。 - 前記張力付与手段が、前記積層フィルムの幅方向両端部を該積層フィルムの厚さ方向から挟み込んで、前記積層フィルムの移送方向の上流側から下流側に繰り出す一対のピンチロールを備え、
前記一対のピンチロールによる前記積層フィルムの幅方向両端部の繰り出し方向が、前記積層フィルムの移送方向に対して前記積層フィルムの幅方向外側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。 - 前記一対のピンチロールが、前記移送方向に間隔をあけて複数配列されていることを特徴とする請求項2に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域が、前記移送方向に隣り合う前記ピンチロールの間の領域であることを特徴とする請求項3に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 前記積層フィルムの幅方向両端部が、前記一対の基材フィルムのみを積層して構成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 前記張力付与手段が、移送される前記積層フィルムを巻き掛ける柱状に形成されると共に軸方向の中間部が膨出するように湾曲したエキスパンダーロールを備え、
前記積層フィルムが、前記エキスパンダーロールの外周面のうち膨出する側の領域に巻き掛けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。 - 前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域は、前記エキスパンダーロールよりも前記積層フィルムの移送方向下流側の領域であることを特徴とする請求項6に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 前記張力付与手段が、前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持するクリップ部を前記積層フィルムの移送方向に多数配列してなるクリップテンターを備え、
各クリップ部は、前記移送方向の上流側において前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持した上で、前記積層フィルムの移送速度に同期して前記移送方向の上流側から下流側に移動すると共に前記積層フィルムの幅方向外側に移動し、前記移送方向の下流側において前記積層フィルムから離間するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。 - 前記エネルギー線照射部による活性エネルギー線の照射領域は、前記クリップ部が、前記積層フィルムの幅方向両端部を挟持した上で、前記積層フィルムの幅方向外側に移動する領域であることを特徴とする請求項8に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 前記積層フィルムの幅方向両端部が、前記一対の基材フィルムのみを積層して構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の光硬化性樹脂フィルムの製造装置。
- 液状の光硬化性樹脂組成物からなるフィルム状の光硬化性樹脂層を一対の基材フィルムにより挟み込んでなる帯状の積層フィルムを、その長手方向に移送しながら、前記積層フィルムに活性エネルギー線を照射して前記光硬化性樹脂層を硬化させることで光硬化性樹脂フィルムを製造する光硬化性樹脂フィルムの製造方法であって、
移送される前記積層フィルムに対し、該積層フィルムの幅方向への張力を付与した状態で活性エネルギー線を照射することを特徴とする光硬化性樹脂フィルムの製造方法。
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