JP2014204989A - 子宮内用システム - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な子宮内用システムを提供する。【解決手段】子宮内用システムは、貯蔵体2および連続的且つ閉鎖型の可とう性枠体1、システムの除去のための糸3を包含する。枠体は、角に丸みを帯びた三角形の枠体である。貯蔵体が少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含して、枠体の上部および下部の両方に結合したシャフト5の上に組み立てられている。貯蔵体の断面は、円形、卵形、平坦状、楕円形、長方形、角状、多角形または星形である。【選択図】図1
Description
本発明は新規な子宮内用システムおよび該システムの製造方法、ならびに治療学的に活性な物質を雌性哺乳動物に送達するための方法に関する。
子宮内用システム(intrauterine system)は、一般にIUSという略称で以前から知られており、多様な形状と大きさのものが作製され、その材料も様々である。従来の子宮内用システムは、通常はT字型または7字型の形状のプラスチック製枠体よりなる。薬剤を含有する子宮内用システムは、長期間にわたって、薬剤を子宮に対して局所的に制御された放出速度で投与する目的で使用されてきた。銅放出子宮内用装置と共にホルモン放出子宮内用システムは、特に避妊およびホルモン療法における使用が十分に認められている。
子宮内用装置は複数の特許および特許出願に開示されている。
van Os et al.によるUS 3,952,734は、2つの弾力性カンチレバーアームを有する細長形状の幹部を包含し、アームは幹部の両側にそれぞれ横向きに伸びている子宮内用装置に関する。アームはその形状および可とう性故に、挿入工程においては容易に折りたたむことができ、子宮内部で開放されると、長軸が幹部と一致する楕円の一部を形成する。幹部の少なくとも一部は妊娠を妨げる層で覆われていてもよく、この層によって装置の効果が高められている。
van Os et al.によるUS 3,952,734は、2つの弾力性カンチレバーアームを有する細長形状の幹部を包含し、アームは幹部の両側にそれぞれ横向きに伸びている子宮内用装置に関する。アームはその形状および可とう性故に、挿入工程においては容易に折りたたむことができ、子宮内部で開放されると、長軸が幹部と一致する楕円の一部を形成する。幹部の少なくとも一部は妊娠を妨げる層で覆われていてもよく、この層によって装置の効果が高められている。
A H Robins COによるGB 1,282,618およびGB 1,405,763は、非薬用の子宮内用避妊装置に関する。この装置は、リング状の枠体、その内部周縁の対面する端部に接続した部材(網(screening)、グリッド、無孔性または有孔性のシート、あるいは1つまたは複数の棒)、および装置を子宮壁に固定し、その排出を防止するためのカンチレバーアームまたは拍車を包含し、上記のカンチレバーアームまたは拍車は、リングの周りに配置され、リングの外部周縁から外側に向かって伸びている。
武田薬品工業によるEP 0873751は、生分解性IUDを開示する。このIUDにおいては、所望のリング状に成形する生分解性ポリマーに活性成分が分散されている。該IUDは独立した枠体構造と貯蔵体構造を有していない。このようなシステムは通常は硬く、非可とう性であるため、このような材料で作られたリングを人体に導入するのは困難である。装置のリング状構造が分解過程で壊れた場合には、装置は変形し、その硬い破損部品は組織の損傷を招くため、装置の除去は非常に難しい。
Leiras OyによるWO 2003/017971は、少なくとも2種の活性成分を放出するための、メンブランと芯を包含する子宮内用、膣内用または子宮頸管用のドラッグデリバリーシステムを開示する。該システムは、好ましくはT字型、7字型、S字型、オメガ型、リング型またはC字型であり、貯蔵体が結合した閉鎖型且つ連続的な枠体を包含しない。
Futura NovaによるNL 8601570は、重合体材料からなるリングと組み合わせた、細長形状の幹部を包含する子宮内用装置に関する。避妊効果は、幹部を避妊用材料で覆うことにより達成され、避妊用材料は好ましくは金属であり、幹部を銅で螺旋状に覆うことが特に好ましいと記載されている。この装置は、避妊用材料の放出を制御することが可能な重合体マトリクスまたは重合体層からなる独立した貯蔵体を包含していない。従って、該避妊用材料の放出速度は、制御することはできず、避妊用材料の溶解特性に依存する。
マイケル・リース病院および医療センター(Michael Reese Hospital & Medical Center)によるGB 1,318,554には、プロジェスチンを含有する少なくとも1個のカプセルを包含する子宮内用装置が記載されているが、プロジェスチンは、部分透過性の壁の内側に保持されているものの、重合体マトリクスには分散されていない。この装置の1つの態様においては、プロジェスチンを含有した3本のシリコーンエラストマー製チューブを包含し、チューブはポリエチレン製の角部材で連結されて、概してリング状または三角形状の装置を形成している。この文献によれば、この装置は、外部から力が加えられていない時にはその形状を維持するのに十分な硬度を有しながら、挿入するために必要な柔軟性を容易に発揮すると記載されている。しかし、シリコーンチューブの先端が尖っていなくとも、子宮壁に炎症を生じるため、装着感が犠牲となる。
TaylorによるGB 1,133,905は、可とう性材料からなる閉じたループを包含する機械的な子宮内用避妊用装置に関し、このループは、頂端で交差した実質的に同じ長さの2本の脚部、および脚部のもう一方の端を繋ぐ基部によって形成され、脚部の交点および脚部と基部との接合部は可とう性であり、蝶番を形成するため、避妊用装置は折りたたんで子宮へ挿入することができる。
ORTHO PHARMAによるGB 1,116,916は、弾力性の合成材料で製造された子宮内用避妊用装置に関する。この装置はドーナツ形または細長形状であり、細長形状の場合には、細長形状の装置本体と一体化し且つ交差する1つ以上の細長部材を包含し、装置の折り曲げを容易にするために、ドーナツ形の内側または交差している細長部材の結合部にウェブが形成されている。
上記文献によって提供される装置の多くは嵩高および/または硬く、それゆえに副作用や高い脱落率をもたらす。子宮内用装置の使用に関連付けられた望ましくない合併症としては、装置の挿入および/または除去に伴う痛みや困難性、腹痛、感染症、不正出血、ホルモン性の副作用、子宮穿孔、子宮頸管の切裂、敗血症による流産、子宮外妊娠、およびIUSの排出などを挙げることができる。
挿入操作は不快感や痛みを伴う場合があり、時には痙攣を生じる。挿入操作前に予め挿入管に導入する装置の場合、挿入痛は通常は挿入管の外径に関連するものであり、これは挿入管の設計と可とう性および挿入する装置の寸法に依存する。挿入操作中に装置の少なくとも一部が挿入管の外に位置するような装置の場合、挿入痛は挿入管の外径、設計と可とう性のみならず、装置、特に挿入管の外に位置する装置の部位の大きさ、設計と可とう性に関連する。経験の浅い医師は挿入時に窮地に直面するかもしれないが、この問題の少なくとも一部は訓練プログラムによって解消することができる。
挿入直後の痛みは、通常、子宮痙攣として発症し、これは装置によって生じた子宮の膨張または峡部領域の炎症に関連するものであろう。挿入後一週間を越えて痛みや不快感が残ることはまれである。
子宮内用システムの多くが非生分解性であるため、治療期間の終了後には除去する必要があり、装置によっては除去も難しく、比較的大きな力が必要となる。腹痛および月経困難症はデリバリーシステムの横寸法に関連する傾向にある。
子宮が一定の頻度で連続的に収縮し、収縮は装置を下向きに押して、部分的または完全な排出が生じうることはよく知られている。子宮の収縮は挿入した装置に圧力を加える。横方向の力は装置を変形させ、縦方向の力は装置を排出させる。排出率は、使用開始1年以内の女性100人当たり1人未満から7人を超える場合と様々であり、出産児数と年齢の増加と共に低下する。排出は、妊娠または出産の経験のない若い女性、または出産または堕胎の直後にIUDを挿入した女性においてより頻繁にみられる。過去のIUD排出経験、若年齢、月経過多、未経産および子宮のエコーレベルが9.0cm以上であることは、高確率で生じるIUDの位置ずれと関連付けられている。IUDを子宮底に達するまで押し込む正しい挿入は、排出率を低下させると考えられている。IUSの排出そのものは合併症ではないが、排出されたIUSはもはや妊娠を妨げることができないため好ましくない。
装置の挿入後に生じる不正子宮出血は、通常は月経中間期の出血またはスポッティングとして発症する。これは装置が子宮組織に与える機械的作用に由来するものであり、装置が、尖った先端、鋭利な角または過剰な大きさを有する場合に増加する。子宮腔および装置との間のサイズおよび形状の違い、ならびに装置の挿入時の(子宮底部以外の部分への)不正確な配置は、その両方が子宮出血の増加と関連付けられている。銅付加IUDの使用による恐らく最も一般的な副作用は、異常出血であり、それは、月経過多や子宮出血、またはその両方として現われる。大きな装置よりも通常は小さな装置の方が経血の損出が少なくて済む。月経過多症の治療に現実に用いることができるホルモン付加IUSの場合、一定期間の経過後には、この副作用はみられないが、それでも装置を使用する女性の約15%においては、特に挿入直後の6〜7周期の間は望ましくない出血がみられる。出血を装置除去が必要になったことを示す医療的な兆候とみなすのは、出血が8〜10週以上にわたって継続した場合、あるいは貧血を生じるほど重症な場合に限られるが、しかし使用者から寄せられる一般的な初期の不平が不規則な出血であり、このことが、屡々、システムの使用停止の理由となる。
子宮の穿孔は、挿入の際に女性1000人に約1人の割合で生じる重篤な症状であり、子宮底または子宮頸部に生じる。穿孔には、IUDの一部のみが子宮壁または子宮頸部に突き刺さる部分的な穿孔、あるいは、装置全体が子宮を通過して腹腔に進入する完全な穿孔がある。更に、腸穿孔および腸閉塞のみならず、膀胱の穿孔および癒着による不妊症についても報告されている。穿孔の大部分が挿入方法と関連すると考えられており、装置そのもの、検出端子、または挿入管が偶然にも子宮筋に突き刺さったためと考えられる。装置が腹腔に進入した場合には、炎症反応および癒着を生じるため、腹腔から除去しなければならない。子宮内のIUSの存在の確認および位置の決定、ならびに穿孔を防止するための方法がいくつか知られており、例えば、装置に付けた紐を検査する方法や、超音波検査または蛍光透視検査、子宮鏡検査、または腹腔X線撮影を用いる方法が挙げられる。もし、IUSが実際に子宮または子宮頸部に部分的または完全に穿孔してしまった場合には、医師は、IUSの位置を調べてIUS除去のための適切な計画を立てやすい。たとえ紐が子宮口から見えていても、穿孔が生じている場合もあることを念頭においておくことが重要である。
これまで多くの様々な子宮内用装置が提案され、実用に供されてきた。一般的に使用されるようになった初期のIUDは大きく、子宮を引き伸ばして出血や痛みを伴い、多くの場合、感染症も併発した。子宮内用システムに関連した問題点を克服するためのいくつもの試みが行われ、痛みと出血の低減、挿入と除去の簡略化、排出の危険性の抑制、特に穿孔の危険性を最小限に抑えることを目的とした改良を加えた装置が設計されている。
基本的なアプローチの1つは、あらゆる種類の子宮腔に使用するために、様々な大きさで多彩な形状の堅牢な子宮内用装置を多数設計し製造することであった。しかし、広範にわたる使用者の全てを満足させる装置の形状を効果的に設計することは難しい。更に、子宮腔の大きさを決定するための信頼性の高い技術が存在しないため、装置の大きさを種々に変化させることは適切でないことが分かっている。これは多くの場合、子宮腔挿入用装置の間違った選択をもたらす。
排出の問題を最小限に抑えるために、枠体なしの子宮内用装置を移植する技術も開発された。報告によると、枠体なしのIUDは可とう性であり、いかなるサイズや形状の子宮腔にも適応可能であることになっている。しかし、このような装置も子宮底の子宮筋に挿入し固定するため、除去に伴う痛みを防ぐことは難しい。
T字型枠体に関連した問題を解決すための試みとして、枠体、特に枠体の水平アームに、より高い可とう性を有する材料を使用した装置、アームと垂直幹部との間の角度を改良した装置、アームの先端を改良した装置、そしてT字型枠体全体のサイズ、特に垂直幹部の直径を低下させることで、より細い挿入管の使用を可能にする装置が提案されている。
子宮内用システムの性能は、子宮および装置の幾何学的なパラメーターの相互作用に大きく依存することが分かっている。子宮腔は、軸方向の寸法は一定だが、水平方向の寸法と前後寸法が変化する。子宮の形状とサイズの周期的な変化は、女性の生理周期の種々の段階において通常みられるものである。大きなサイズのIUDは排出と副作用の危険性を高めると報告されている。先天的または後天的な空間占領性傷害の結果として生じた子宮の幾何学的な異常は、IUDを装着するための子宮内空間を減少させ、IUD排出やその他の合併症の確率を更に高めることとなる。
IUDのボディーの浸透・固定メカニズムは、より高頻度且つ高強度の収縮、出血、粘膜の破壊、病原菌の内部への侵入および局所免疫系の変化をもたらす可能性がある。装置は、その一部が卵管角または子宮卵管境界(神経複合体)の組織に炎症を起こした場合に、収縮を誘発することもある。T字型装置の非常に薄いか比較的硬い横向きまたは垂直なアームの尖った先端が、横行子宮穿孔および逆行性頸部穿孔を引き起こした事例も報告されている(Hasson, BJOG, 89 (s4), 1-10, 1982)。
現存する知識によると、理想的な子宮内用システムにおいてその寸法、設計の特徴および材料の特性は重要であるが、しかし、最大の避妊効率を達成するためには、システムが正しい位置に配置されなければならない。T字型装置の場合、薄い挿入管を使用するためには、垂直アームの直径が小さくなければならず、水平アームは可能な限り平滑で柔軟でなければならない。
更に理想的な子宮内用システムは、子宮腔の周期的な変化に機能的に適合できるものであるべきである。子宮内膜腔の大きさに合うように設計された装置は、ランダムに挿入した装置よりも優れた性能記録を有し、炎症の発症も少なく、副作用も少ないことが予想される(Kurz, Contraception. 1984 Jun;29(6):495-510)。更に子宮内膜の損傷の発生が少なく、結果として出血も少ないと予想される(Randic, Contracept Deliv Syst. 1980;l(2):87-94)。IUDの形状は、平滑な表面と緩やかな曲線からなり、子宮損傷を招く可能性のある鋭利な構造を欠くものでなければならない。装置の軸方向の剛性および横方向の可とう性はコンプライアンス特性を高めると考えられる(Hasson, BJOG, 89 (s4), 1-10, 1982)。
これまでに実施されてきた改良にもかかわらず、多くの子宮内用システムには欠点がある。上述した様々な副作用にかかわる問題を解決し、患者のコンプライアンスを向上させるために、新型の子宮内用システムが導入されている。本発明の子宮内用システムは、子宮内の安定で最適な位置に容易に挿入することができ、使用感に優れている。このシステムは、穿孔の危険性を最小限にするために柔軟性を有し且つ平滑な形状を有するが、排出の可能性は低く、痛みを生じるような部品や構造的な特徴は有していない。
本発明の目的は、子宮腔内に長期間挿入するための、新しいコンセプトに基づく子宮内用システム(IUS)を提供することである。本発明の別の目的は、痛みを伴うことなく容易に挿入と除去が可能であり、使用が容易且つ快適であり、子宮内膜腔に合った形状および寸法であることによって、排出の可能性を最小限にまたは排除して、子宮内膜の炎症などの副作用を防止する子宮内用システムを提供することである。本発明の更に別の目的は、安全性が高く、子宮壁への穿孔や浸透の防止に最適なデザインを有する子宮内用システムを提供することである。
本発明に基づくIUSは、枠体および枠体に連結した貯蔵体を有し、枠体は、連続的且つ閉鎖型で、多角形(好ましくは三角形または五角形)の可とう性システムであり、貯蔵体の少なくとも一端が枠体の内部表面に連結しており、貯蔵体は少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含することを特徴とする。枠体に連結した貯蔵体は、システムに十分な、特に挿入工程に必要な剛性を付与する。該枠体および貯蔵体は、実質的に、同一または異なる重合体組成物から形成されてなる。
本発明の子宮内用システムの種々の構成を描写した以下の例示によって、本発明を更に説明する。
発明の詳細な発明
本発明の利点は、上述したような子宮内用システムによって得られるものである。本システムは、枠体および枠体に連結した貯蔵体を包含し、枠体は連続的且つ閉鎖型で、可とう性を有する多角形の系を形成し、貯蔵体の少なくとも一端が枠体の内部表面に連結しており、貯蔵体が少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含する。貯蔵体は、挿入工程および使用時に十分な剛性をシステムに付与する。枠体は好ましくは三角形または五角形である。枠体および貯蔵体は、実質的に、同一または異なる重合体組成物から形成されてなる。子宮内用システムのデザインは複雑ではないため、経済学的に魅力的な製造工程によって製造することができる。
本発明の利点は、上述したような子宮内用システムによって得られるものである。本システムは、枠体および枠体に連結した貯蔵体を包含し、枠体は連続的且つ閉鎖型で、可とう性を有する多角形の系を形成し、貯蔵体の少なくとも一端が枠体の内部表面に連結しており、貯蔵体が少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含する。貯蔵体は、挿入工程および使用時に十分な剛性をシステムに付与する。枠体は好ましくは三角形または五角形である。枠体および貯蔵体は、実質的に、同一または異なる重合体組成物から形成されてなる。子宮内用システムのデザインは複雑ではないため、経済学的に魅力的な製造工程によって製造することができる。
本発明の1つの態様においては、挿入および除去が容易であり、装着が安全で快適な、改良された子宮内用システムを提供する。システムの形状とサイズは、子宮内膜腔のサイズに合致し、通常は種々の副作用とシステム使用の中断を招く子宮内膜の炎症を防止するように設計されている。
本発明の他の態様によると、システムは子宮壁への穿孔または浸透を防止するために最適なデザインと平滑な形状を有している。
送達システムの枠体は、重合体組成物を包含してなり、子宮内膜腔への配置に適応するように設計した形状とサイズを有している。枠体は連続的な曲線状の形状を有するが、この形状は真円とは異なり、実質的に多角形、好ましくは五角形または三角形である。多角形枠体の角は若干丸みを帯びていることが好ましい。枠体は重合体層、即ち、フィルムまたはメンブランで被覆されていてもよく、枠体と重合体層に含まれる重合体組成物は、同一または異なるものである。
枠体は可とう性と弾性を有する。可とう性とは、枠体が容易に曲がり、傷ついたり、破損したりすることなく応力やひずみに耐える能力を意味する。応力とは、単位断面積あたりに加えられる、変形をもたらす力である。ひずみとは、伸張または元の長さに対する長さの増加である。例えば、本発明の枠体は、枠体の外部の対向する2つの側面からの圧力などによって容易に変形したり曲がったりする。この圧力を取り除くと、枠体は元の形状に戻る。可とう性は、子宮内用システムの挿入時、使用時および除去時における使用者の快適性を増すために特に重要であり有用である。
枠体の断面は、鋭利な角がない滑らかな形状であれば、実質的にどのような形状でもよく、例えば、円形、半円形、長方形、卵形、平坦状、楕円形、星形、角状、多角形などの形状をとることができる。断面の形状は、枠体の剛性を調節または更に低下させるために、局所的に薄い部分を設けることにより枠体の長手方向に沿って変化させてもよく、例えば、多角形(三角形や五角形)の枠体の角の部分を上記のように局所的に薄くすることができる。枠体の最適な形状と断面によって、システムは子宮底探索性(fundus seeking)となる。子宮底探索性という用語は、子宮によってシステムに加えられる力または子宮の収縮が、システムを排出させたりシステムの位置を不利に変化させたりせずに、位置変化を生じさせたとしても、せいぜいシステムをわずかに上方向に押し上げるだけであって、主なひずみは可とう性枠体の運動または振動によって均整が保たれることを意味する。
枠体は、枠体の補強および/または枠体に更なる可とう性を付与するために、例えば、芯状、繊維状またはワイヤー状の支持体を包含してもよい。支持体は、十分な強度と弾性を有し、子宮内で支配的な環境において十分な期間にわたって変化しない材料である限り、いかなる不活性な生体適合性材料から作製されてもよい。人への使用に適した安定な生物薬学的な材料は当業界でよく知られており、不活性で生体適合性の金属、重合体組成物、強化ゴム、酢酸エチルビニル(EVA)などの可とう性熱可塑性エラストマー、スチレン共重合体(例えば、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)やスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS))、ポリウレタン、熱可塑性ウレタンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン−シリコーンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリエチレンなどの熱可塑性重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。生分解性ポリマーは、近代的支持手段として使用することができる。
枠体は、それを挿入器に固定するための手段(例えば、突起、つまみ、切り込み、くぼみなど)を更に有してもよい。
貯蔵体は少なくとも1個の芯を包含し、芯は1つ以上のポリマー被覆層(即ち、メンブランまたはフィルム)で被覆されていてもよい。貯蔵体の長さは、その直径、幅または高さよりも大きいことが好ましい。貯蔵体の端部は開口していても、封止されていてもよく、例えば、接着剤またはメンブランを形成する重合体組成物によって封止することができる。
本発明の1つの態様によると、貯蔵体は、重合体層(メンブランまたはフィルム)によって覆われている1個の芯を包含し、芯および重合体層は、実質的に、同一または異なる重合体組成物から形成されてなる。
本発明の別の態様によると、貯蔵体は、それぞれが重合体層(メンブランまたはフィルム)によって覆われている2個以上の芯を包含し、芯および重合体層は、好ましくは同一または異なる重合体組成物から形成されてなる。
本発明の更に別の態様によると、貯蔵体に含まれる芯の内、少なくとも1つが子宮に送達すべき少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含する。
貯蔵体のサイズと形状は様々である。好ましくは、貯蔵体は桿状の細長形状部品であり、その断面は、例えば、円形、丸型、卵形、平坦状、楕円形、長方形、角状、多角形、星形などである。平坦状の貯蔵体は長方形または実質的に楕円形の断面を有する。長方形、角状、多角形または星形の断面を有する貯蔵体の角または端部は、子宮に炎症を生じたり、装着感を低下させたりする可能性のある尖った接触点を防止するために、少し丸みを帯びていることが好ましい。平坦な形状を選択することによって、貯蔵体の外周、そして挿入管および/または子宮内用システムそのものの寸法を減少させることができる。非対称的な断面を有する貯蔵体、例えば、平坦状または長方形の貯蔵体は、枠体の平面に対面させて、または該平面に対して垂直に配置することができる。
貯蔵体が2つ以上の芯を有する態様においては、これら芯は互いに隣接するか、重ねて配置するか、または一方が他方を取り囲むように配置してもよい。これら芯の長さおよび直径は、互いに同一であっても異なっていてもよい。芯同士は、隔膜または不活性なプラセボ芯によって互いに隔てられていてもよい。芯の内の少なくとも1つは、不活性な生体適合性の金属または重合体からなる棒、ワイヤーまたは糸でもよく、その目的は、貯蔵体に更なる硬度と耐久性を付与することおよび/または枠体に貯蔵体を固定または結合するためである。本発明の範囲内で、いかなる構造の組み合わせも当然のことながら可能である。
重合体層、即ちメンブランまたはフィルムは、枠体、支持手段または芯を完全に覆っていてもよいし、それらの一部だけを覆っていてもよい。一部だけを覆う場合、覆う広さの程度は、使用する材料の選択などの多くの要因に依存する。重合体層の厚さは、例えば使用する材料や子宮内用システムの用途に依存する。メンブランまたはフィルムは複数の層からなるものでもよく、この場合、各層は一定の厚みを有し、各層の厚みは同一でも、異なっていてもよい。
子宮内用システムは糸状の付属物、即ち、システムの除去または位置確認、あるいはシステムの排出が予想される場合にはシステムの存在を検出するための、1つ以上の糸または紐を包含してもよい。糸は、種々の方法で枠体に取り付けることができるが、例えば、貯蔵体が枠体の上部に連結されているか、底部に連結されているかなどの違いによって方法が異なる。貯蔵体が枠体の上部に連結されている場合には、糸は、例えば枠体の底部、貯蔵体の下部末端またはその両方に取り付けることができる。あるいは、糸は貯蔵体を貫通して枠体の上部に達していてもよい。貯蔵体が枠体の下部に連結されている場合には、糸は、例えば枠体の底部、または貯蔵体を貫通してその上部末端に取り付けることができる。貯蔵体が糸状の芯を1個以上包含する場合には、これら糸は、子宮内用システムの使用後または必要時にはシステムを検出または除去するための紐として使用することができる。
本発明の子宮内用システムの枠体、貯蔵体またはそれらの両方は、装置が挿入された人体の領域に物理的に侵入することなく、装置の検出を促進するための少なくとも1種の結像増強手段を更に包含することができる。このような手段としては、X線造影剤、強磁性剤、あるいはシステムの超音波画像検出または蛍光透視画像検出のための試薬が挙げられる。
該結像増強手段は、
(a)子宮内用システムのボディー上の少なくとも一部に形成された不活性金属被覆、
(b)子宮内用システムのボディーに固定された不活性金属製の挿入物、クリップ、リングまたはスリーブ、
(c)子宮内用システムの枠体、芯マトリクスまたはメンブランの原料の調合過程において添加した、金属または強磁性物質の粉体、粒子またはその適切な金属塩またはアルカリ金属塩、ならびに
(d)貯蔵体を枠体に固定または結合するためにも使用することが可能な、枠体の適切な位置に固定された金属製のカップ、コネクター、アダプター、クランプ、スリーブ、シャフトまたはホルダー
よりなる群から選ばれことが好ましい。
(a)子宮内用システムのボディー上の少なくとも一部に形成された不活性金属被覆、
(b)子宮内用システムのボディーに固定された不活性金属製の挿入物、クリップ、リングまたはスリーブ、
(c)子宮内用システムの枠体、芯マトリクスまたはメンブランの原料の調合過程において添加した、金属または強磁性物質の粉体、粒子またはその適切な金属塩またはアルカリ金属塩、ならびに
(d)貯蔵体を枠体に固定または結合するためにも使用することが可能な、枠体の適切な位置に固定された金属製のカップ、コネクター、アダプター、クランプ、スリーブ、シャフトまたはホルダー
よりなる群から選ばれことが好ましい。
好ましくは、金属は、銀、金、チタン、タングステン、バリウム、ビスマス、白金、タンタルおよびパラジウムのような不活性金属からなる群から選ばれる。人体と適合性のあること(即ち、人体に不活性(physically intert)であること)が知られている銀、金、チタンおよび白金がより好ましい金属である。しかし、銅もまた使用することができる。
金属被覆の厚さは、典型的には、約0.1nm〜約500nmの間にあり、好ましくは約1nm〜約50nmの間にある。しかし、約0.1mmの厚い被覆も可能である。
金属製のクリップ、リング、スリーブなどは、IUSのボディー中に埋め込まれていなくても、または、少なくとも部分的に埋設されていてもよい。金属部品の場合、部分的に埋設することによってIUSの表面を円滑にすることができ、その際、超音波検査における可視性は埋め込まない場合と比較しても悪くはならない。リングの場合には、ダブルリングを用いることが反響性を高める意味で有利である。クリップおよびスリーブの場合、巾の広いクリップまたはスリーブを用いることで可視性は良くなる。
金属の粉体、粒子またはその適切な金属塩をIUSのボディー、芯マトリクスまたはメンブランの原料と混練工程で混合する場合、使用する金属粉体の典型的な量は、原料の総重量に対して約0.1〜25重量%であり、好ましくは約1〜10重量%である。
本発明の子宮内用システムは、子宮腔内に比較的長期間挿入するように設計されている。しかし、その挿入期間の長さは、例えば数週間から数年と大きく変えることができる。普通は1年〜10年、好ましくは1年〜5年である。
枠体、芯、メンブラン、および場合によっては隔膜または不活性なプラセボコンパートメントに用いる重合体組成物は、互いに同一であっても異なっていてもよく、単一の重合体も、重合体組成物も意味し、混合された複数の重合体からなるものでもよい。原則として、重合体は、生分解性か非生分解性かによらず、生体適合性である限り、どのようなものでも用いることができる。更に子宮内用システムは、使用期間として意図した期間にわたって構造の完全性を保持するものでなければならない。
適切な材料は、天然材料または合成材料であり、体液と子宮組織に生体適合成の材料であって、装置が接触する体液に対して実質的に不溶解性の材料が好ましい。システムは長期にわたって一定の位置に維持することを目的としているため、速やかに溶解する材料や、天然の体液に対して高溶解性の材料の使用は避けるべきである。
重合体材料は可とう性でなければならないが、比較的高い硬度を有していなければならない。断面の厚みは、使用時に所望の弾力性を提供するために十分に大きくなければならず、これは使用する材料に依存する。しかし、剛性と厚みは、使用時に芯や枠体が十分な角度で折れ曲がるのを妨げるほどに高くてはいけない。更に、材料は、装置が変形し、変形させた力を取り除いた際には元の形状に戻ることを可能にするような比較的高い弾性と特徴を有していることが重要である。
枠体および貯蔵体に適切な材料の例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリシロキサン(典型的なものが、例えば、Dow Corning社およびNusil社より入手可能)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ジメチルシロキサンの共重合体、メチルビニルシロキサン、ポリエチレン(例えば、Basell社およびExxon社より入手可能)、ポリプロピレンおよびポリブチレンなどのポリオレフィン、エチレン共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−アクリル酸共重合体)などのポリオレフィン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、アクリル酸重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、ポリウレタン共重合体を含む熱可塑性ポリウレタンおよび熱可塑性ポリウレタンエラストマー(例えば、Bayer Material Science社およびLubrizol社より入手可能)(ポリウレタン共重合体とは、例えば、ポリエーテル主体、ポリエステル主体、ポリカーボネート主体、脂肪族主体または芳香族主体のブロック共重合体およびランダム共重合体、ならびにこれらの混合物であり、市販品の一例は、CarbothaneR、TecoflexR、TecothaneR、TecophilicR、TecoplastR、PellethaneR、ChronothaneRおよびChronoflexRである)、熱可塑性ポリウレタンシリコーンエラストマー(例えば、Aortech International社より入手可能)、ポリカーボネート、ポリウレタン−ポリウレア、ポリイソシアヌレート、ポリウレタン−ポリイソシアヌレート、ポリアミド−ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどのビニル芳香族重合体、オレフィンとスチレンまたはα−メチルスチレンとの共重合体(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体)、およびポリイソブチレンとポリスチレンまたはポリメチルスチレンとの共重合体(例えば、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、およびポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロック共重合体)などのビニル芳香族共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル(PVC)などの塩素系重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリエステルエーテル、ナイロン6やナイロン6,6などのポリアミド、ナイロンブロックを包含するポリエーテルブロックアミド(PEBA)などのポリアミドエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、ポリメチルペンテン、ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレート−共バレレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグリコリド、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(ラクチド−共グリコリド)、ポリ(グリコール酸−共トリメチレンカーボネート)、ポリアンハイドライド、ポリオルトエステル、ポリエーテル、ポリエーテルブロック共重合体(例えば、ポリエチレンオキシドブロック共重合体、ポリトリメチレンオキシドブロック共重合体、ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、ポリテトラメチレンオキシドブロック共重合体であり、具体例はポリテトラメチレンオキシド−ポリアミド12ブロック共重合体(Elf Atochem社よりPEBAXの商品名で入手可能))、環状ポリオクテナマーと直鎖状ポリオクテナマーの混合物であるVestenamerR(Degussa Corp.より入手可能)などのポリオクテナマー、ポリカプロラクトン、ポリトリメチメレンカーボネート、ポリエステルアミド、コポリエーテルエステル(例えば、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体由来分子(フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、でんぷん、コラーゲンなど)、親水性ヒドロゲルなどの親水性重合体、架橋ポリビニルアルコール、ネオプレンゴム、ブチルゴム、硬化触媒の存在下で架橋剤を添加した後に室温で硬化してエラストマーになる、室温加硫型のヒドロキシル末端含有オルガノポリシロキサン、室温または加熱下でのヒドロシリル化によって硬化される1成分型または2成分型のジメチルポリシロキサン組成物、およびこれらの混合物。好ましい重合体組成物は、シロキサン主体エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、EVA、熱可塑性ポリウレタン−シリコーンエラストマーまたはこれの少なくとも2種の混合物を包含する。
天然材料または合成材料の更なる例としては、ポリブチルメタクリレート、可塑化ナイロン、可塑化ソフトナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニリデン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリエチレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体のブレンド、塩化ビニリデン−アクリロニトリル、塩化ビニル−フマル酸ジメチル、シリコーンゴム、シリコーンカーボネート共重合体、ポリアリーレン、ポリカーボネート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、天然ゴム糊、ポリアルキルシアノアクリレート、カルボキシビニル重合体およびコラーゲンが挙げられる。
特に貯蔵体、芯およびメンブランの形成に好ましい材料は、例えば加熱した際に、揮発性副生成物を発生することなく架橋するエラストマー形成性シリコーン組成物である。揮発性副生成物が発生しないことによって製造工程が簡略化され、装置の形状とサイズについて、より正確な製造が可能になる。低温で架橋する組成物が調合可能であるが故に、最も好ましい組成物は、不飽和ビニル基の反応を介して架橋するシリコーン組成物である。
特に有利な組成物は、脂肪族不飽和結合を有するシリコーン結合基を1分子当たり少なくとも2個有している1種以上のオルガノポリシロキサン、少なくとも2個のケイ素結合水素原子を有するオルガノシリコン架橋化合物、および触媒(例えば、不飽和基とケイ素結合水素基との反応を促進する白金化合物または白金錯体)を包含する組成物である。白金含有組成物または白金含有錯体とは、例えば、クロロ白金酸、アセチルアセトン酸白金、白金と不飽和化合物(エチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサン、スチレンなど)との錯体、メチル二白金およびPt(CN)3である。組成物は、触媒阻害剤を包含してもよく、触媒阻害剤の一例は、不飽和アセチル基を有する二級または三級アルコール(エチニルシクロヘキサノールなど)のアルキニル化合物である。不飽和脂肪族基は好ましくは不飽和末端基である。
「シロキサン主体エラストマー」という用語は、ポリ(2置換シロキサン)であって、置換基が主として低級アルキル基(好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基)またはフェニル基であるものを表す。該アルキル基およびフェニル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。この種の重合体の広く用いられる好ましい一例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
エラストマー組成物は、下記の組成物からなる群より選ばれるものであってもよい。
− ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むエラストマー組成物、
− シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体エラストマーを含むエラストマー組成物、
− ポリアルキレンオキシド基を含むエラストマー組成物であって、該ポリアルキレンオキシ基が、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態で存在しているか、または該グラフトと該ブロックが混合した形態で存在している組成物、および
− 上記のうちの少なくとも2種の混合物。
− ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含むエラストマー組成物、
− シロキサン単位のケイ素原子に結合した3,3,3−トリフルオロプロピル基を含むシロキサン主体エラストマーを含むエラストマー組成物、
− ポリアルキレンオキシド基を含むエラストマー組成物であって、該ポリアルキレンオキシ基が、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトもしくはブロックの形態で存在しているか、または該グラフトと該ブロックが混合した形態で存在している組成物、および
− 上記のうちの少なくとも2種の混合物。
本発明の1つの好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーのシロキサン単位のケイ素原子に結合した置換基の1〜約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基である。置換基における3,3,3−トリフルオロプロピル基の百分率は、5〜40%、10〜35%、1〜29%、15〜49.5%などであってもよい。この種の重合体としては、ケイ素原子に結合したメチル置換基の約50%が3,3,3−トリフルオロプロピル基に置換されているものが市販されている。「約50%」とは、3,3,3−トリフルオロプロピル基による置換の程度が実際には50%をやや下回ることを意味する。これは、該重合体はビニル基やビニル末端基などの架橋性基を一定量(置換基の約0.15%)含まなければならないからである。
本発明の1つの別の好ましい態様においては、シロキサン主体エラストマーはポリアルキレンオキシド基を含有し、該ポリアルキレンオキシド基はエラストマーにおいて、ポリシロキサン単位のアルコキシ末端含有グラフトまたはブロックの形態で存在しており、該グラフトおよびブロックはケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合している。好ましくは、該ポリアルキレンオキシド基はポリエチレンオキシド(PEO)基である。芯またはメンブランを形成する重合体組成物において、ポリアルキレンオキシド基を含むポリシロキサン(例えば、ケイ素−炭素結合によってポリシロキサン単位に結合したアルコキシ末端含有グラフトまたはブロックの形態でポリエチレンオキシド基を含むポリジメチルシロキサン(PEO−b−PDMS共重合体))の量比は、重合体の総量の0〜80%の範囲内であるが、当然、もっと多くてもよい。
材料の構造上の一体性は、シリカや珪藻土などの粒子状材料の添加によって高めることができる。エラストマーには他の添加剤を混合することもできる。添加剤が生体適合性であって患者に無害であることを確認した上で混合することにより、エラストマーの親水性または疎水性を調整することができる。芯またはメンブランも、1つまたは複数の治療用物質の放出速度を調整するための更なる材料を含有していてもよい。そのような材料の例として、物質の初期バーストを許容されるレベルまたは所望のレベルに調整するための、シクロデキストリン誘導体などの複合体形成剤や、脂肪酸エステル(好ましくは炭素数が2〜20の脂肪酸エステル)が挙げられる。界面活性剤、抗発泡剤、可溶化剤、吸収遅延剤、およびこれらの2種以上の混合物などから選ばれる補助物質も、デリバリーシステムのボディーに所望の物性を付与するために添加することができる。更に重合体マトリクスは、他の材料を包含してもよく、このような材料としては、例えば、子宮内用システムの同定または検出に使用することができる、金属性または磁性の粒子や、硫酸バリウムのようなX線造影剤が挙げられる。
デリバリーシステムに適したいかなるデザイン、または構造体のいかなる組み合わせも本発明の範囲において当然のことながら可能である。
子宮内用装置(IUD)および子宮内用システム(IUS)の挿入に必要な力は、装置の材質と寸法、先導末端の輪郭などのデザイン的特徴、ならびに挿入器のデザイン、寸法および材質の特性に依存することが分かっている。また、装置の除去の際に必要な力は、IUSの寸法、可とう性およびデザインに依存することが分かっている。
上述した力の程度は、挿入と除去の際の痛みの程度や、システム使用時の装着感に置き換えて考えることができる。更にIUSの寸法と材質は、IUSを子宮に配置した際の装着感にも影響すると考えられる。また、子宮腔に対してあまりに大きなIUDは、IUDの排出や出血の増加といった副作用の危険性の増加と関連付けられている。
本発明の子宮内用システムを使用した予備試験によって、現在の比較的単純な訓練用の骨盤解剖模型は迫真性の不足するものであること、そして女性生殖器の解剖学的構造を示す適切なファントムは存在しないことが確認された。従って、子宮内用システムの特性を試験し、最高の装着感を達成し、システムを子宮内の適切な位置へ配置するために最適な構造とデザインを評価し開発するための科学的根拠を提供するために、コンピューター支援仮想モデリングを使用し、適切な機能的臨床試験用模型を開発した。
女性の骨盤の典型的な解剖学的特徴を有する模型であって、in vivoの状況で得られる感触と類似した感触を伝えるような感覚的な特性を備えたものを設計し、製造した。製造に際しては、適当な重合体を使用して内部を形成することによって、可能な限り実物に近い感触を伝えるようにした。解剖学的構造の調節と交換、および女性の骨盤解剖模型の全態様のシミュレーションを可能にするために、種々の大きさや形状の入れ替え可能な子宮頸部部品や子宮部品のみならず、種々の配置(前傾、後傾)を使用した。更に屈曲、即ち、子宮頸部と子宮体の間の蝶番領域を調節することによって、挿入および除去時の痛みを表す挿入時に加わる力と除去の時に加わる力を比較することができる。
上記試験用模型によって、装置の挿入・除去時に要する力のみならず、装置を子宮内にin situに配置したことによって加えられる力という観点から、装置の重要な特徴に大きな影響を与える典型的な解剖学的特徴のシミュレーションをすることができる。更に、試験用模型は、極端な解剖学的状況のシミュレーションを行うための改変をして、そこで本発明のシステムの特性や挙動を従来の子宮内用装置および子宮内用システムの場合と比較することも可能にした。これら模型は、絶対試験のために動物組織を含めることも可能な、繰り返し可能な相対属性試験のための、in vitroの系の構築も可能にする。
子宮内用システムによって子宮壁や子宮頸部に加えられる圧力を、臨床用試験用模型とコンピューター支援仮想モデリングを使用して評価した。正しい配置および排出の傾向は、システムが子宮底、子宮壁および子宮頸部に加える相対的な力に基づいて推測することができる。
臨床試験用模型を使用した実験によって、挿入時の力は、子宮内用システムの寸法、デザイン的特徴および材質の特性に主として依存することが確認された。システムが排出される傾向を表す、子宮内用システムの除去に必要な力は、IUSの寸法、可とう性およびデザインに依存する。
本発明の子宮内用システムは、平滑な表面と緩やかな曲線を有し、子宮損傷を招くような鋭い構造を有していないボディーを有している。従って本発明のシステムは、理想的な子宮内用システムの条件を特に満たしている。
本発明によると、連続的且つ閉鎖型の枠体を有する子宮内用システムは、与える圧力が比較的低いことが明らかとなり、これは現存する大部分の子宮内用装置および子宮内用システムよりも本発明の装置の方が装着感がよいことを示唆している。例えば、より天然の子宮に近い形状の枠体を有する子宮内用システムは、実質的に丸型の枠体を有するシステムとは反対に、シミュレーション試験において子宮底探索性であった。特に多角形(三角形や五角形)のみならず、盾型やアーモンド型の枠体、即ち、子宮頸部に向かって先細りになる枠体は、一般的に装置が加える力全体の内、子宮底に加える力の比率が高く、そのため排出の確率は非常に低いか、もしくはその傾向は存在しない。更に、これら枠体は子宮卵管境界に伸びる突起の数が少ないため、子宮壁の炎症を起こすことは全くない。
より丸い形状は、横方向に拡張および/または下方向に伸張する傾向があり、子宮頸部に圧力を加えるため、排出の傾向が高い。子宮内用システムのサイズは、当然重要な因子である。角に丸みを帯びた多角形の枠体、例えば、アーモンド型や盾型のものでも、意図的に子宮よりもかなり大きく設計されたものは、伸張し、子宮底および子宮頸部の両方に圧力を加える性質がある。子宮底探索性枠体の中には、子宮頸部に圧力を加えないものの、特に枠体の上部が非常に硬いか比較的大きい場合に、上部子宮壁に圧力を加えるものがある。コンプライアンス特性を減じるこのような問題は、枠体のサイズを最適化し、枠体に適した材料を選択することで解決することができる。多角形枠体の断面が平坦であると、実質的に丸型の断面の場合とは反対に、装置の形状記憶と開放力を増加し、子宮に加わる圧力は低下する。このことは、このような形状に基づくデザインは、子宮底探索性と高いコンプライアンス特性の両方を発揮することを示唆している。更に枠体が不均一な断面を有する場合、例えば、多角形枠体の角において局所的な厚みが減少している場合は、硬度を低下させることができる。
製造方法
本発明の子宮内用システムは、当業界でよく知られている方法に基づいて製造することができる。種々の熱可塑性材料加工技術を使用することが可能であり、例えば、押出、共押出、多層押出および多重性管腔押出などの押出技術、回転成形などの成形技術、および共射出成形またはシーケンシャル射出成形、層流射出成形などの射出成形を使用することができる。多層構造が必要な場合には、圧縮成形やその他の当業界で知られている適当な方法を使用することができる。子宮内用システムの望ましい幾何学的特徴は、適当なサイズおよび形状の鋳型または押出用ダイの使用によって達成することができる。枠体および貯蔵体は、別々に製造してから組み立てるか、同時に製造するか、連続的に製造することができる。
本発明の子宮内用システムは、当業界でよく知られている方法に基づいて製造することができる。種々の熱可塑性材料加工技術を使用することが可能であり、例えば、押出、共押出、多層押出および多重性管腔押出などの押出技術、回転成形などの成形技術、および共射出成形またはシーケンシャル射出成形、層流射出成形などの射出成形を使用することができる。多層構造が必要な場合には、圧縮成形やその他の当業界で知られている適当な方法を使用することができる。子宮内用システムの望ましい幾何学的特徴は、適当なサイズおよび形状の鋳型または押出用ダイの使用によって達成することができる。枠体および貯蔵体は、別々に製造してから組み立てるか、同時に製造するか、連続的に製造することができる。
枠体、貯蔵体(メンブランと芯を包含し、所望により活性剤を含有するもの)、または枠体と貯蔵体を包含する完全な子宮内用システムを効率的に製造するために、少なくとも1種の重合体材料、特に熱硬化性材料、の射出成形を使用することができる。具体的には、重合体組成物を、所望の形状の金型キャビティーに少なくとも1個の射出用ノズルまたはシリンジを用いて連続的に射出するか、2つの軸対称型の開口部を有する共射出用ノズルを用いて同時に射出する。金型は、多数の金型キャビティーを使用することによって、所定の射出周期内に複数の成形品を製造することが可能なものでもよい。金型および金型設計については当業界でよく知られており、製品の物理的形状を所望のものとするために金型を選択したり、改造したりすることができる。
別の好ましい製造方法は、押出成形を包含する。選択した重合体組成物を、適切なダイから押し出して、断面が所望の直径および形状となる桿状または管状の押出物を成形する。得られた繊維状の成形品をそれぞれ所望の寸法と形状を有する枠体、貯蔵体または枠体の支持手段を形成するのに必要な、適当な長さに切断する。得られた断片を、この目的に適した種々の方法を使用して組み立てる。例えば、少なくとも1個の芯を有する桿状の貯蔵体、または上述した連続的且つ閉鎖型の枠体の製造に適した金型に、1つまたは複数の断片を入れる方法が挙げられる。押し出した断片の末端は、連結手段を使用することによって適当に結合することもできる。
連結手段は、材料や構造体を接着させるための公知の任意の方法、機構、装置および材料を用いることができる。連結手段の一例としては、射出成形、当業界でよく知られている熱風溶接などの溶接技術、溶媒接着、接着剤結合、未硬化の架橋性エラストマー形成組成物からなる層の使用、加熱融合、加熱結合、圧力を用いる方法などが挙げられる。枠体を製造する際には、桿を曲げて、最終的な枠体の形状を作ることが可能なように、重合体物質は乾燥後にも十分な柔軟性を発揮するものでなければならない。
管状の枠体部品は、不活性な生体適合性材料で形成されたプラグまたはストッパーを用いて、閉じたシステムに結合させることができる。適切な材料の例として、金属(金、銀、銀合金、タンタル、白金など)、ガラスまたはセラミック材料、および適当な重合体を挙げることができる。所望により、シーリング性やプラグまたはストッパーの枠体部品への接着性向上のために、生体適合性を有する接着剤を用いることができる。
重合体層(即ち、メンブランまたはフィルム)は、枠体、芯または複数の芯に公知の方法によって被覆することができ、このような方法としては、押出成形法または射出成形法、被覆法、噴霧法または浸漬法を採用することができる。末端の封止された貯蔵体を製造するためには、非連続的な被覆を使用することができる。別の方法としては、概成した管状メンブランを使用することができる。始めに管を適切な装置または加圧ガス(たとえば空気)などを用いて機械的に伸展させることによって芯を覆うこともできるし、適切な溶媒(例えばシクロヘキサン、ジグリム、イソプロパノールまたは溶媒混合物)の中で管を膨潤させ、次に管状メンブランで芯の周りを覆うこともできる。溶媒が蒸発すると、メンブランは芯に密着する。
複数の芯を包含する貯蔵体や、2つ以上のセグメントからなる枠体は、例えば、フィンランド国特許 FI 97947 に開示されている共押出方法によって製造することができる。重合体または重合体組成物を公知の押出方法を用いて所望の形状および大きさに加工する。その後、適切なサイズに概成した芯を押出装置に導入し、続いて別の芯または空気を満たした空のスペース(押出中は隔膜を形成するための膜材料に満たされている)を導入することによって、芯を膜層で覆うことができる。
支持手段は、中実であっても中空であってもよく、いずれも同様の方法で製造することができる。
貯蔵体の少なくとも1つの端部が適切な方法により枠体の内部表面のどこかに連結している限り、貯蔵体は、実際に枠体内部のどこに位置してもかまわない。簡単な挿入を可能にするためには、貯蔵体は枠体の上部または下部、あるいはそれらの両方に取り付けられていることが好ましい。枠体または貯蔵体は、貯蔵体を固定して保持して、その滑り落ちを防ぐための保持手段または固定手段を包含する。
種々の方法によって貯蔵体を枠体に固定することができる。枠体は、例えば、中空管様の貯蔵体を組み立てるのに適切な場所に金属製または重合体製のシャフト、芯、桿またはピンなどの形状の伸張した拡張部を包含する。好ましい方法としては、始めに貯蔵体管の直径を、例えば、圧力や膨潤性の溶媒を使ってある程度まで引き伸ばし、次に貯蔵体を単に拡張部の上へ滑り込ませるか、拡張部を中空の貯蔵体に挿入する。拡張部の上に貯蔵体を組み立てるのを容易にするために、拡張部は可とう性であることが好ましい。貯蔵体が組み立てられたら、伸張した拡張部の自由端部は、例えば、熱形成することによって、貯蔵体を機械的に保持して、その滑り落ちを防ぐための物理的な保持手段とすることができる。貯蔵体の配置を維持するためには、拡張部は膨張した貯蔵体を挿入するための適切な形状の固定手段またはストッパーを更に包含してもよい。
枠体は、貯蔵体をそこに組み立てるか成形するための桿状の拡張部を形成するように、端部で折り曲げられた金属製または重合体製の支持手段を更に包含してもよい。開いた枠体または枠体の片側の端部は、貯蔵体と枠体を結合するために貯蔵体に挿入されていてもよく、こうすることで同時に連続的且つ閉鎖型の枠体を有する子宮内用システムを形成することができる。開いた枠体の端部も、貯蔵体をそこに組み立てるか成形するための拡張部を形成するように折り曲げてもよい。更に貯蔵体は、治療学的に活性な物質を含有する重合体層によって、拡張部を射出成形、浸漬、噴霧などの手段により被覆することで製造することもできる。
貯蔵体を枠体に取り付けるための他の方法としては、例えば、公知の溶接技術、接着剤の使用、あるいは特別な金属製または重合体製の挿入物、クリップ、コネクター、アダプター、洗濯バサミ様の手段、クランプなどの使用が挙げられる。子宮内用システムは、貯蔵体、糸、および枠体または開いた枠体部位の端部を機械的に保持する金属製または重合体製のカップ、プラグまたはスリーブを使用して製造することもできる。カップ、プラグまたはスリーブは、「静止摩擦(stiction)」を低下させ、除去を容易にするために内部表面に固定することができる。この場合、糸はカップの基部を介して伸びていることが好ましい。このような方法は、中実の貯蔵体(即ち、中空の管状構造ではない貯蔵体)との使用に適している。完全な子宮内用システムは、更に、例えば、射出成形技術の使用によって製造することもできる。
本発明の枠体は、基本的に要求される任意の大きさに製造することができる。最適な性能と装着感を達成するための正確な大きさは、哺乳類の種類および用途に依存し、その大きさは、平均的な子宮腔の内部で動いたり回転したりする傾向を示さないものでなければならない。ヒトの雌性については、枠体の外径は、典型的には18〜42mm、好ましくは20〜38mmまたは22〜36mmである。断面直径は、典型的には0.5〜10mm、好ましくは1〜6mm、更に好ましくは約1.5〜4mmである。
貯蔵体の寸法は、子宮内用システムの用途に依存する。薬剤含有デリバリーシステムの寸法は、治療学的に活性な物質の予想放出速度および子宮内用システムの予想寿命に依存する。典型的には、貯蔵体の外径、あるいは平坦状または長方形の貯蔵体の高さと幅は、0.5〜5mm、好ましくは1〜3.5mmである。貯蔵体が被覆法(coating methods)で作られた場合には、壁の厚さは0.01〜約5mm、好ましくは0.2〜3.5mmである。貯蔵体の長さは、0.5mmから枠体の内径までであり、好ましくは15〜36mmである。
芯を覆う重合体層(即ち、メンブランまたはフィルム)は、公知の方法によって許容誤差範囲内の厚さに製造することが可能であり、有利な厚さは0.01〜1.0mmであり、好ましくは0.1〜0.6mmである。芯同士を隔離する重合体層の厚さは約0.01〜5mmである。
本発明の子宮内用デリバリーシステムは、無菌的に製造することも、公知の方法で滅菌することもできる。滅菌方法としては、例えば、物理的な滅菌、化学的な滅菌または滅菌操作(technical sterilization)を使用することができる。
枠体は、公知の方法および適切な形状とサイズの器具を使用した射出成形で製造することが好ましい。本発明における貯蔵体は、標準的な技術に従って容易に製造することができる。1つまたは複数の芯に使用する重合体組成物を一度選択してしまえば、貯蔵体の理想的な形状は、例えば、成形、流延押出や他の適切なプロセスによって達成される。芯材がシリコーンエラストマーなどの重合体を包含する場合、更なる硬化工程が必要な場合がある。次に、上述のような成形した芯に、メンブラン層またはフィルム層を、上記で説明した適切な方法によって適用する。例えば、既製した重合体チューブを適切な溶媒によって膨潤させるかまたは機械的に延伸し、それを芯の周りにかぶせ、重合体を密着するように乾燥させる方法、あるいは他の技術に基づいた浸漬法、被覆法、噴霧法または積層法を採用することができる。
細かく砕くか、更には微粒子化した治療学的に活性な物質を、実質的に均一な分散を達成するために加工前の芯用の重合体材料に混合する。当業者は、少なくとも1種の薬学的に活性な物質の毎日の放出を達成するために必要な装置の幾何学的特徴および重合体組成物、ならびに実際の使用条件および所望の有効期間に必要な治療学的に活性な物質の量を容易に選択することができる。なお、本願において装置の「幾何学的特徴(geometry)」と言う用語については、この用語が具体的に意図するところは主として、貯蔵体全体の寸法および形状(即ち、断面の直径、または高さと幅のみならず長さも)である。
本発明においては、様々な異なる治療学的に活性な物質または予防用物質を使用することができる。「治療学的に活性な物質」とは、子宮に投与することで、ヒトまたは動物の体内における疾病状態に対する防御または治療が可能な全ての物質あるいはその塩、エステルまたはプロドラッグを意味する。「予防用物質」とは、ヒトまたは動物の体内、特にヒトの体内における疾病状態に対する防御に効果的な全ての物質(あるいはその塩またはプロドラッグ)を意味する。活性物質は、親水性または親脂性の物質でもよい。
本発明における使用に適した治療学的に活性な物質または予防用物質としては、以下の物質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ホルモン、ステロイド、避妊薬、ホルモン置換療法用薬剤、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)、月経前症候群治療薬、子宮内膜症治療薬、子宮筋腫(子宮平滑筋腫および平滑筋肉腫)治療薬、子宮頚部熟化/分娩促進用薬剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、選択的プロジェスチン受容体モジュレーター(SPRM)、抗マラリア物質、骨粗しょう症治療薬、抗プロジェスチン薬、アロマターゼ阻害剤、骨活性化物質、抗尿失禁物質、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、尿生殖器疾患治療薬、制吐薬、5HT3アンタゴニスト、抗血管新生薬、成長因子、酵素、麻酔薬、鎮痛薬、抗凝固剤および抗血栓剤、抗炎症性物質、抗微生物性物質、抗原虫性物質、抗ウイルス性物質、神経遮断薬および抗精神病薬、オピエート拮抗薬およびオピエート作動薬、抗類線維腫物質、降圧剤、アンジオテンシン阻害剤、抗原虫性物質、抗依存症薬、抗細菌性物質、抗癌化学療法性物質、抗真菌剤、抗酸化剤、利尿剤、中枢神経治療薬、線維素溶解性物質、フリーラジカルスカベンジャー、遺伝子治療用物質、成長因子、神経栄養因子、ペプチド、光線力学的療法剤、タンパク質、交感神経模倣物質(symphatomimetic substances)、トロンビン阻害剤、血栓溶解性物質、およびこれらから選ばれる少なくとも2種の混合物。
本発明における使用に特に適した治療学的に活性な物質としては、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、ジドロゲステロン、ドロスピレノン、3−β−ヒドロキシデソゲストレル、3−ケトデソゲストレル(=エトノゲストレル)、17−デアセチルノルゲスチメート、19−ノルプロゲステロン、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、アムゲストン、クロルマジノン、シプロテロン、デメゲストン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、酢酸フルオロゲストン、ガストリノン、ゲストデン、ゲストリノン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール(=リノエストレノール)、メシロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、ノメゲストロール、ノルエチンドロン(=ノルエチステロン)、ノルエチノドレル、ノルゲストレル(d−ノルゲストレルおよびdl−ノルゲストレルを含む)、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、プロゲステロン、キンゲスタノール、(17α)−17−ヒドロキシ−11−メチレン−19−ノルプレグナ−4,15−ジエン−20−イン−3−オン、チボロン、トリメゲストン、アルゲストン・アセトフェニド、ネストロン、プロメゲストン、17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、19−ノル−17ヒドロキシプロゲステロン、17α−エチニルテストステロン、17α−エチニル−19−ノルテストステロン、d−17β−アセトキシ−13β−エチル−17α−エチニルゴン−4−エン−3−オンオキシムおよびタナプロゲットからなる群より選ばれる黄体ホルモン、ならびにエチニルエストラジオール、メストラノール、キネストラノール、エストラジオール、エストロン、エストラン、エストリオール、エステロールおよび接合ウマエストロゲンからなる群より選ばれるエストロゲンが挙げられる。
デリバリーシステムの貯蔵体に含まれる治療学的に活性な物質の量は、治療学的に活性な物質の種類、所望の治療効果、およびシステムが治療を提供すると期待される期間に依存する。種々の治療分野で薬剤を投与するために、様々な大きさと形状の貯蔵体を製造することができる。治療学的に活性な物質の使用量の上限は貯蔵体の大きさに依存する。治療学的に活性な物質の量の下限は、治療学的に活性な物質の活性度および期待される放出時間に依存する。当業者であれば、デリバリーシステムの個々の特定の用途に応じて、治療学的に活性な物質の必要量を容易に決定することができる。治療学的に活性な物質の量は、好ましくはほぼ0から70重量%までであり、治療学的に活性な物質が重合体組成物に混合される場合には、20〜60重量%が好ましい。治療学的に活性な物質の量の他の可能な範囲は、0.5〜70重量%、5〜65重量%、10〜50重量%、25〜70重量%、50〜60重量%および40〜50重量%である。
上記に基づき、本発明の更なる目的は、連続的且つ閉鎖型の枠体、および枠体に連結している貯蔵体を包含する子宮内用システムの製造方法であって、
射出成形、押出成形または圧縮成形による枠体および貯蔵体の同時成形、または
枠体の形成;芯を提供するための、治療学的に活性な物質および重合体組成物を包含する第1組成物の調製;芯を覆うメンブランを提供するための、重合体組成物を包含する第2組成物の調製;芯とメンブランの一体化による貯蔵体の形成;そして貯蔵体と枠体との結合を包含する連続製法
によって上記システムを製造することを特徴とする製造方法を提供することにある。
射出成形、押出成形または圧縮成形による枠体および貯蔵体の同時成形、または
枠体の形成;芯を提供するための、治療学的に活性な物質および重合体組成物を包含する第1組成物の調製;芯を覆うメンブランを提供するための、重合体組成物を包含する第2組成物の調製;芯とメンブランの一体化による貯蔵体の形成;そして貯蔵体と枠体との結合を包含する連続製法
によって上記システムを製造することを特徴とする製造方法を提供することにある。
枠体の機械的特性評価試験
子宮内用システム、特に枠体の機械的特性は、最適な子宮適合性および使用者の許容性を確実にするものでなければならない。機械的強度が低すぎると、システムは子宮から排除されるか、破壊されやすい傾向にある。機械的強度が高すぎると、装置の非可とう性によって子宮組織の炎症や潰瘍化が生じやすい傾向にある。従って、機械的特徴、即ち、枠体の可とう性および形状記憶、を文献に記載の標準的な方法によって評価した。可とう性は、枠体が低度から中度の短時間変形に抵抗する特性を特徴付けるために試験した。形状記憶は、急激な圧縮の後に枠体がその形状を回復する能力を特徴付けるために測定した。
子宮内用システム、特に枠体の機械的特性は、最適な子宮適合性および使用者の許容性を確実にするものでなければならない。機械的強度が低すぎると、システムは子宮から排除されるか、破壊されやすい傾向にある。機械的強度が高すぎると、装置の非可とう性によって子宮組織の炎症や潰瘍化が生じやすい傾向にある。従って、機械的特徴、即ち、枠体の可とう性および形状記憶、を文献に記載の標準的な方法によって評価した。可とう性は、枠体が低度から中度の短時間変形に抵抗する特性を特徴付けるために試験した。形状記憶は、急激な圧縮の後に枠体がその形状を回復する能力を特徴付けるために測定した。
以下の実施例によって、本発明を更に説明する。
芯の作製
98.8重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して外径が1.8mmの桿状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯を23mmの長さに切断する。
98.8重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して外径が1.8mmの桿状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯を23mmの長さに切断する。
メンブランの作製
100重量部のシリカ充填ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)(トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の含有量が99mol%、即ち、トリフルオロプロピル基の置換率が49.5%)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.22mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
100重量部のシリカ充填ポリ(トリフルオロプロピルメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)(トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の含有量が99mol%、即ち、トリフルオロプロピル基の置換率が49.5%)および1.2重量部のジクロロベンゾイルパーオキシド−ポリジメチルシロキサンペースト(50%ジクロロベンゾイルパーオキシド)を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.22mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
貯蔵体の作製
25mmのメンブランチューブをシクロヘキサンで膨潤させ、芯の回りにかぶせる。シクロヘキサンを蒸発させる。得られた貯蔵体の両端をシリコーン接着剤で封止する。
25mmのメンブランチューブをシクロヘキサンで膨潤させ、芯の回りにかぶせる。シクロヘキサンを蒸発させる。得られた貯蔵体の両端をシリコーン接着剤で封止する。
芯の作製
長さ18mmの芯を実施例1に従って作製した。
長さ18mmの芯を実施例1に従って作製した。
メンブランの作製
99重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約0.6重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られたメンブラン材料を押出成形に付して壁厚が0.3mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
99重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約0.6重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られたメンブラン材料を押出成形に付して壁厚が0.3mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
芯の作製
99.6重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、0.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤、0.02重量部のエチニルシクロヘキサノール阻害剤および(反応物質に対して)10ppmのPt触媒を含むビニルメチルシロキサンを混練(kneating)ミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.7mm、外径が2.6mmの管状の成形体を得る。成形体は+115℃で30分間硬化させ、冷却した後に長さ30mmに切断する。
99.6重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、0.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤、0.02重量部のエチニルシクロヘキサノール阻害剤および(反応物質に対して)10ppmのPt触媒を含むビニルメチルシロキサンを混練(kneating)ミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.7mm、外径が2.6mmの管状の成形体を得る。成形体は+115℃で30分間硬化させ、冷却した後に長さ30mmに切断する。
メンブランの作製
9重量部のα,ω−ジビニルエーテル末端ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)マルチブロック共重合体(PEO−b−PDMS)、89重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.15mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
9重量部のα,ω−ジビニルエーテル末端ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)マルチブロック共重合体(PEO−b−PDMS)、89重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して壁厚が0.15mmの管状の成形体を得、熱で硬化させる。
子宮内用システムの作製
長さ3.1mmのメンブランチューブをイソプロパノールで膨潤させ、芯の回りにかぶせる。イソプロパノールを蒸発させる。その後、貯蔵体をイソプロパノールで膨潤させ、熱可塑性ポリウレタン組成物を包含してなる枠体の伸張した拡張部の回りにかぶせる。再びイソプロパノールを蒸発させる。
長さ3.1mmのメンブランチューブをイソプロパノールで膨潤させ、芯の回りにかぶせる。イソプロパノールを蒸発させる。その後、貯蔵体をイソプロパノールで膨潤させ、熱可塑性ポリウレタン組成物を包含してなる枠体の伸張した拡張部の回りにかぶせる。再びイソプロパノールを蒸発させる。
芯の作製
48.5重量部のPEO−b−PDMS、49重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して外径が2.1mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯を15mmの長さに切断する。
48.5重量部のPEO−b−PDMS、49重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して外径が2.1mmの管状の成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯を15mmの長さに切断する。
2種類目の芯は、実施例3に従って作製した。外径が2.1mmの架橋した芯を長さ10mmに切断する。
メンブランおよび貯蔵体の作製
9重量部のPEO−b−PDMS、89重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。上記2種の芯を押出機の内部ノズルから順次挿入することによって、得られたメンブラン材料による芯の被覆押出を行う。形成されたメンブランの膜厚は0.2mmである。
9重量部のPEO−b−PDMS、89重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。上記2種の芯を押出機の内部ノズルから順次挿入することによって、得られたメンブラン材料による芯の被覆押出を行う。形成されたメンブランの膜厚は0.2mmである。
子宮内用システムの作製
糸を始めに三角形の枠体に巻きつけ、糸の両端を銀製カップ底部の穴に通す。次に貯蔵体を、枠体内の底部頂点部分に配置する。貯蔵体を含む枠体の底部頂点部分を銀製カップの中に押し込み、糸をしっかりと引いて3つの部品の位置を確定させ、糸を結んで部品の結合を確実にする。続いて糸を適当な長さに切る。
糸を始めに三角形の枠体に巻きつけ、糸の両端を銀製カップ底部の穴に通す。次に貯蔵体を、枠体内の底部頂点部分に配置する。貯蔵体を含む枠体の底部頂点部分を銀製カップの中に押し込み、糸をしっかりと引いて3つの部品の位置を確定させ、糸を結んで部品の結合を確実にする。続いて糸を適当な長さに切る。
芯の作製
48.5重量部のPEO−b−PDMS、49重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して、角にわずかな丸みを帯びた平坦状の長方形の桿状成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯の外寸は0.9mm(高さ)および2.1mm(幅)である。架橋した芯は長さ22mmに切断する。
48.5重量部のPEO−b−PDMS、49重量部のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.02重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合する。得られた混合物を押出成形に付して、角にわずかな丸みを帯びた平坦状の長方形の桿状成形体を得、架橋反応の生じる+150℃で15分間の加熱によって硬化させる。架橋した芯の外寸は0.9mm(高さ)および2.1mm(幅)である。架橋した芯は長さ22mmに切断する。
子宮内用システムの作製
貯蔵体を作製するために、膜厚0.22mmのPDMSメンブランで芯を浸漬被覆する。熱可塑性ポリウレタンを射出成形することにより、角に丸みを帯びた五角形の枠体を作製する。改良したコネクターを使用して、貯蔵体を枠体上部に結合する。クリップまたはコネクターの上部は枠体の周りで輪になり、枠体の回りに締められている。もう一方の端であるタブは、貯蔵体に巻きつけたコネクターのハサミで固定され、貯蔵体の後ろに隠してある。
貯蔵体を作製するために、膜厚0.22mmのPDMSメンブランで芯を浸漬被覆する。熱可塑性ポリウレタンを射出成形することにより、角に丸みを帯びた五角形の枠体を作製する。改良したコネクターを使用して、貯蔵体を枠体上部に結合する。クリップまたはコネクターの上部は枠体の周りで輪になり、枠体の回りに締められている。もう一方の端であるタブは、貯蔵体に巻きつけたコネクターのハサミで固定され、貯蔵体の後ろに隠してある。
芯の作製
54重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、45.5重量部のレボノルゲストレル、0.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤、0.02重量部のエチニルシクロヘキサノール阻害剤および(反応物質に対して)10ppmのPt触媒を含むビニルメチルシロキサンを混練ミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して成形体を得、+115℃で30分間硬化させ、冷却した。得られた外径2.2mmの架橋した芯を長さ20mmに切断した。
54重量部の市販のポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、45.5重量部のレボノルゲストレル、0.4重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤、0.02重量部のエチニルシクロヘキサノール阻害剤および(反応物質に対して)10ppmのPt触媒を含むビニルメチルシロキサンを混練ミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して成形体を得、+115℃で30分間硬化させ、冷却した。得られた外径2.2mmの架橋した芯を長さ20mmに切断した。
メンブランの作製
27重量部のα,ω−ジビニルエーテル末端ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)マルチブロック共重合体(PEO−b−PDMS)、71重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.22mmの管状の成形体を得、熱で硬化させた。
27重量部のα,ω−ジビニルエーテル末端ポリ(エチレンオキシド)−b−ポリ(ジメチルシロキサン)マルチブロック共重合体(PEO−b−PDMS)、71重量部のシリカ充填ポリ(ジメチルシロキサン−共ビニルメチルシロキサン)、(反応物質に対して)10ppmのPt触媒、0.03重量部の阻害剤(エチニルシクロヘキサノール)および約2重量部のポリ(水素メチルシロキサン−共ジメチルシロキサン)架橋剤を2本ロールミルで混合した。得られた混合物を押出成形に付して、壁厚が0.22mmの管状の成形体を得、熱で硬化させた。
デリバリーシステムの作製
メンブランをイソプロパノールで膨潤させ、芯の回りにかぶせた。こうして得られた貯蔵体を、熱可塑性ポリウレタンエラストマーよりなる五角形の枠体の下部にしっかりと固定された金属製クリップに取り付けた。
メンブランをイソプロパノールで膨潤させ、芯の回りにかぶせた。こうして得られた貯蔵体を、熱可塑性ポリウレタンエラストマーよりなる五角形の枠体の下部にしっかりと固定された金属製クリップに取り付けた。
枠体、貯蔵体、銀製リングおよび除去用糸を包含する子宮内用システムの製造
枠体を射出成形する。溶融した熱可塑性樹脂を、枠体の形状とは反転したキャビティー形状の金型に高圧で射出する。成形された枠体を射出成形器具から取り出し、温度が下がったら、ゲートと栓を取り除き、はみ出した部分があれば取り除く。次に、枠体の中央シャフトの上に、銀製のリングと既製した管状の貯蔵体を組み立てる。機械的に貯蔵体を保持し、すべり落ちを防止するための物理的な保持構造を、中央シャフトの未結合の末端を熱形成することによって作製する。次に糸を枠体の回りに掛け、結び付ける。糸を適当な長さに切る。
枠体を射出成形する。溶融した熱可塑性樹脂を、枠体の形状とは反転したキャビティー形状の金型に高圧で射出する。成形された枠体を射出成形器具から取り出し、温度が下がったら、ゲートと栓を取り除き、はみ出した部分があれば取り除く。次に、枠体の中央シャフトの上に、銀製のリングと既製した管状の貯蔵体を組み立てる。機械的に貯蔵体を保持し、すべり落ちを防止するための物理的な保持構造を、中央シャフトの未結合の末端を熱形成することによって作製する。次に糸を枠体の回りに掛け、結び付ける。糸を適当な長さに切る。
本発明の方法は、本明細書において一部のみを開示しているが、それ以外の種々の態様も含むものである。他の態様が存在し、それらは本発明の精神から逸脱するものではないことが、当業界の専門家には明らかである。従って、ここに記載した態様は具体例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
Claims (12)
- 子宮腔内に長期間挿入するための子宮内用システムであって、貯蔵体および連続的且つ閉鎖型の三角形または五角形の可とう性枠体を有し、
(a)貯蔵体の少なくとも一端が枠体の内部表面に連結しており、
(b)貯蔵体が少なくとも1種の治療学的に活性な物質を包含し、そして
(c)枠体および貯蔵体が可とう性重合体組成物を包含してなり、該可とう性重合体組成物は、シロキサン主体エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、EVA、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン−シリコーンエラストマー、またはこれらから選ばれる少なくとも2種の混合物を包含するものである
ことを特徴とするシステム。 - 枠体が包含する重合体組成物と貯蔵体が包含する重合体組成物が異なることを特徴とする、請求項1に記載の子宮内用システム。
- 枠体の断面が、円形、半円形、卵形、平坦状、楕円形、長方形、角状、多角形または星形であることを特徴とする、請求項1または2に記載の子宮内用システム。
- 貯蔵体の断面が、円形、卵形、平坦状、楕円形、長方形、角状、多角形または星形であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 貯蔵体が少なくとも1個の芯を包含することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 貯蔵体の包含する少なくとも1個の芯が重合体層によって覆われていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 該少なくとも1個の芯に含まれる重合体組成物と、該芯を覆う重合体層に含まれる重合体組成物が同一または異なることを特徴とする、請求項6に記載の子宮内用システム。
- 枠体が、重合体組成物または生体適合性金属からなる支持手段を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 子宮内用システムの除去、位置確認または検出のための糸を更に包含することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 子宮内用システムの検出および/または位置確認を改善するための少なくとも1種の結像増強手段を更に包含することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の子宮内用システム。
- 該結像増強手段が、
(a)子宮内用システムのボディー上の少なくとも一部に形成された不活性金属被覆、
(b)子宮内用システムのボディーに固定された少なくとも1つの不活性金属製の挿入物、クリップ、リングまたはスリーブ、
(c)子宮内用システムの枠体、芯または被覆層の材料の調合過程において添加した金属または強磁性物質の粉体、粒子またはその適切な金属塩またはアルカリ金属塩、ならびに
(d)貯蔵体を枠体に固定または結合するためにも使用することが可能な、枠体の適切な位置に固定された金属製のカップ、コネクター、アダプター、クランプ、スリーブまたはホルダー
よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項10に記載の子宮内用システム。 - 枠体または貯蔵体が、貯蔵体を保持して、その滑り落ちを防ぐための保持手段または固定手段を包含することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の子宮内用システム。
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