JP2014204832A - 皮膚保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、疎水性多糖類及び疎水性揮発性溶媒を含有し、皮膚に適用して、皮膜を形成することにより、皮膚や創傷を保護する皮膚保護剤を提供する。この皮膚保護剤は創傷や皮膚に用いるのに好適な密着性、柔軟性を有する。さらに、皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えず、創傷を保護するとともに治癒促進効果を持つ皮膚保護剤に関する。
【解決手段】約1〜40質量%の疎水性多糖類、及び、約60〜99質量%の揮発性疎水性溶剤、を含む組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は液体絆創膏、液体包帯等を含む、皮膚保護剤に関する。
従来から、医薬品や医薬部外品、医療機器などで、創傷の保護や外部からの刺激を防ぐ目的で、皮膚上に皮膜を形成させ、皮膚を保護する皮膚保護剤が検討されてきた。皮膚保護剤の代表的なものには、液体絆創膏や液体包帯などがある。典型的には、液体絆創膏はさかむけや切傷等に適用し外部からの刺激を保護し、液体包帯は便や尿などの汚染による刺激やテープ剤などのはくり刺激等から皮膚を保護するために使用される。
皮膚や創傷などを保護するための皮膜を形成させるため、ニトロセルロースを酢酸エチルやエチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させた液体絆創膏が商業的に入手可能である。また、オクチルシアノアクリレートを用いる液体絆創膏も知られている。さらに、アクリル系共重合体などを含む液体包帯も知られている。
米国特許第6183593号 米国特許第6143805号 米国特許第5103812号
本発明は、皮膚に適用した場合に、皮膚上に皮膜を形成することにより皮膚や創傷を保護する皮膚保護剤を提供する。
特に本発明は、皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えずまたは極めて程度の刺激しか与えず、創傷を保護するとともに治癒促進効果を持つ皮膚保護剤を提供する。
本発明者らは、特定の疎水性多糖類及び疎水性揮発性溶媒を組み合わせることにより、皮膚に用いるのに好適な密着性、柔軟性を有するとともに、皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えずまたは極めて程度の刺激しか与えず、創傷を保護するとともに治癒促進効果を持つことができることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、疎水性多糖類および揮発性疎水性溶媒を含有する皮膚保護剤である。
具体的には、本発明は、約1〜40質量%の疎水性多糖類、約60〜99質量%の揮発性疎水性溶媒を含む皮膚保護剤である。さらに、本発明の皮膚保護剤は、場合により約30質量%までの補助剤を含む。
特に、本発明の皮膚保護剤の一態様において、疎水性多糖類は、プルラン、デキストリンおよびイヌリンの脂肪酸誘導体からなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせから選ばれる。
また、本発明の皮膚保護剤の一態様において、揮発性疎水性溶媒は、C5−C12直鎖、分岐および環状アルカン、直鎖および環状シロキサン、揮発性フッ化炭素からなる群より選ばれる。
さらに、本発明の皮膚保護剤の一態様において、補助剤は粘度調節剤、接着促進剤、抗菌剤、抗酸化剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
上述のように、液体絆創膏が既に商業的に入手可能であるが、それらの液体絆創膏は皮膚や創傷などを保護するための皮膜を形成させるため、ニトロセルロースを酢酸エチルやエチルエーテルなどの有機溶媒に溶解させている。そのため、特に創傷部に適用する場合には、有機溶媒由来の刺激性があり、しみて痛いなどの痛覚を生じる。さらに、形成された皮膜は強固で高い耐水性を有し、皮膚を有効に保護できる反面、柔軟性に乏しく使用者に違和感を生じさせたり、皮膜を除去する際に、創傷に新たに形成された皮膚等が剥離する事もあるなど、創傷等に使用する際には問題がある。
また、オクチルシアノアクリレートを用いる液体絆創膏については、屈曲部位への適用には場合によっては瘢痕化を招くことや接着性の脆弱性により直ぐに剥がれてしまう傾向があるため問題がある。
さらに、従来技術による液体包帯は、アクリル系共重合体などで皮膜形成し、その皮膜の柔軟性などから長時間の適用が可能ではあるが、外部刺激からの保護が目的であるため、皮膜は薄く、内からの出血や創傷の治癒の際に浸出液などを保持できず保護作用に問題があった。また、アルキルシロキシシロキサン含有ポリマーを液体ポリジメチルシロキサンに溶解させている組成物も知られているが、同様に屈曲部での接着性や止血性などに問題がある。
これに対して、本発明によれば、皮膚や創傷に対する刺激が少なく、創傷を保護するとともに治癒促進効果を有する優れた皮膚保護剤が得られる。
本発明の皮膚保護剤は、皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えず、保護にとって好適な密着性、柔軟性を有する。さらに本発明の皮膚保護剤は、創傷を密閉し、創傷部に適度な湿潤環境を作り出すので創傷の上皮化が促進され、創傷の治療にも効果的である。さらに、本発明の皮膚保護剤は創傷や皮膚に用いるのに好適な密着性、柔軟性を有する。
すなわち、本発明によれば、皮膚保護剤は皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えず、創傷を保護するとともに治癒促進効果を有し、さらに創傷や皮膚に用いるのに好適な密着性、柔軟性を有する皮膚保護剤が得られる。
図1は本発明の組成物および比較組成物を適用した場合の刺激性を表したものである。縦軸は1秒間あたりの神経発火スパイク数を示し、横軸は秒単位の測定時間を示す。
本発明は、特定の疎水性多糖類及び疎水性揮発性溶媒を組み合わせることにより、皮膚に用いるのに好適な密着性、柔軟性を有するとともに、皮膚や創傷に適用する際に刺激を与えず、創傷を保護するとともに治癒促進効果を持つことができることを見いだしたことに基づく。本発明の皮膚保護剤は、特定の疎水性多糖類と揮発性疎水性溶媒を必須成分とする。本発明の皮膚保護剤は、疎水性多糖類及び疎水性揮発性溶媒を含有し、皮膚に適用した場合に皮膚上に皮膜を形成することにより、皮膚や創傷を保護する。
本願明細書において創傷とは擦過傷、裂傷、切傷、褥瘡又は熱傷等の皮膚損傷を意味する。また、本発明との関係では「皮膚保護剤」とは、皮膚上に皮膜を形成させるため、特に、皮膚上に皮膜を形成させて創傷の保護や外部からの刺激を防ぐための組成物をいう。本発明の「皮膚保護剤」には例えば液体絆創膏、液体包帯等が含まれる。
本発明において数値と関連して用いられた「約」とは、その数値を中心としてその数値の±10%の範囲をいう。
本発明に用いられる疎水性多糖類としては、例えばセルロース、デンプン、プルラン、アミロース、キシログルカン、アミロペクチン、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリン、マンナン、ヒドロキシエチルデキストラン、イヌリン、キチン、キトサン、アルギン酸等の天然多糖類をアシル化した脂肪酸誘導体等が挙げられ、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の飽和脂肪族アシル基等が挙げられる。
本発明の皮膚保護剤において用いることのできる疎水性多糖類としては、皮膜の形成性、耐水性に優れた疎水性多糖類が好ましい。たとえば、本発明の皮膚保護剤において用いることのできる疎水性多糖類としてプルラン、デキストリンおよびイヌリンの脂肪酸誘導体の1種または2種以上の組み合わせが好ましく、ミリスチン酸プルラン、パルミチン酸プルラン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/オクタン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ミリスチン酸イヌリン、パルミチン酸イヌリン、ステアリン酸イヌリンからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせがより好ましい。本発明で用いる疎水性多糖類は、商業的に入手可能であり、たとえば、化粧料用の原料として市販されている品を簡便に利用することが出来る。
本発明に用いられる揮発性疎水性溶媒としては、速乾性という観点から250℃以下の沸点及び25℃において330mPa・s以下の粘度を有する揮発性疎水性溶媒が好ましく、沸点が220℃以下、融点が30℃以下、粘度が25℃において200mPa・s以下である揮発性疎水性溶媒がより好ましい。更に、刺激性、塗布性の点で優れた特性を有する揮発性疎水性溶媒が特に好ましい。
本発明に用いられる揮発性疎水性溶媒として、具体的には、たとえば、C5−C12直鎖、分岐および環状アルカン、直鎖および環状シロキサン、揮発性フッ化炭素からなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせが好ましく、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン)、イソノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、シクロペンタン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ペンタフルオロプロパン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロメチルシクロヘキサンからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせがより好ましい。
疎水性多糖類および揮発性疎水性溶媒以外の成分、たとえば塗布性、機能性、治癒効果を向上させることのできる補助剤を本発明の皮膚保護剤にさらに配合することもできる。本発明に用いられる補助剤には、粘度調節剤、接着促進剤、抗菌剤、抗酸化剤等が含まれる。用いる補助剤としてはとくに限定がないが、皮膚に有害でないことが必要であり、かつ、塗布時や疎水性多糖類による皮膜形成時に均一性を確保するために、疎水性多糖類もしくは揮発性疎水性溶媒に混和、均一となる化合物であることが好ましい。皮膚に有害でない限り、本発明の皮膚保護剤は種々の色素や香料も含有することができる。
本発明の皮膚保護剤に配当し得る粘度調節剤の例として、オリーブ油、ヒマシ油、パーム油等の植物性油脂、ラノリン等の動物性油脂、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸セチル、アジピン酸オレイル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、ラウリン酸エチル、リン酸トリクレジル、安息香酸ベンジル、リン酸トリブチル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルリシノール酸グリセリル、フタル酸ジブチル、グリコール酸ブチル、フタル酸ジオクチル、ステアリン酸ブチル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリフェニル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、酒石酸ジブチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、メントール、カンフル、樟脳、三酢酸グリセロール、コレステロール及びコレステロール誘導体、ヒュームドシリカ、ベントナイトおよび他のクレー誘導体などが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の皮膚保護剤に配当し得る接着促進剤の例として、アクリル樹脂(アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー等)、シリコン樹脂、スチレンイソプレンブロック共重合体、脂肪族系炭化水素樹脂(C5留分から抽出された不飽和モノマーを重合して得られる石油樹脂)、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン樹脂(テルペン系水素添加樹脂等)、ロジンエステル樹脂(水素添加ロジンエステル樹脂等)、ポリイソブチレン樹脂などが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の皮膚保護剤に配当し得る抗菌剤の例として、イソプロピルメチルフェノール、パラキオシ安息香酸エステル(パラベン)類、フェノキシエタノール、チモール、ヒノキチオール、ヒドロキシベンゾサチオール、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類、ソルビン酸、ソルビン酸塩類等の酸類;ヘキサクロロフェン、2,4,4'−トリクロロ−2'−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4'−トリクロロカルバニリド、3−トリフルオロメチル−4,4'−ジクロロカルバニリドなどが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の皮膚保護剤に配当し得る抗酸化剤の例として、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸及びその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸プロピルなどが挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の皮膚保護剤を調製する方法にはとくに限定されず、一般的な調製方法によって調製することができる。たとえばそれぞれ所望量を調整した各成分を適宜撹拌混合することによって本発明の皮膚保護剤が調製できる。
本発明の皮膚保護剤の使用量および用法は特に制限されるものではなく、皮膚や創傷の保護に用いられている従来の医薬品、医薬部外品、医療機器等の通常量で用いることができる。
本発明の皮膚保護剤の皮膚への付着性、皮膚追従性および剥離性などは、たとえば官能試験によって評価することができる。たとえば、被験者の関節部に本発明の皮膚保護剤を塗布し、12時間後の状態および感触について予め設定した評価基準に基づいてこれらの特性を評価することができる。また、本発明の皮膚保護剤の皮膚への塗布時の刺激性は、たとえば特開2012−201646に示される刺激性物質の評価方法によって評価することができる。具体的には、マウスなどの実験動物の神経線維に電極を接続し、刺激性物質を当該実験動物の知覚神経線維に作用させた時に生じる電位変化を測定することによって、物質の刺激性を評価することができる。具体的には、たとえば、本発明の皮膚保護剤または比較組成物の適用の直後から120秒間の神経線維の電位変化の測定を行い、検体適用前の電位変化の測定グラフで得られた振幅のスパイクを定常スパイクとし、検体適用後の電位変化の測定グラフで得られた、定常スパイクの振幅よりも大きな振幅のスパイクを神経発火スパイクとし、得られた電位変化測定データから、各時間当たりの神経発火スパイク数をカウントし、その頻度を解析することができる。本発明の皮膚保護剤を適用した場合、120秒間の測定の間、各評価点におけるスパイク頻度は好ましくは20以下である。
本発明の皮膚保護剤の創傷に対する治療効果は、たとえば、創傷被覆剤の評価で一般的に用いられる分層皮膚欠損創モデル(放射線と産業, No.113 :9-12,2007、コンバーテック, No.381: 58-61,2004)により評価することができる。この評価方法は、実験動物の皮膚表皮を機械的に剥ぎ、分層皮膚欠損創を作成し、上皮化までの治癒期間を比較することにより、物質の創傷に対する治癒効果を評価する方法である。たとえば、分層皮膚欠損創作成直後に本発明の皮膚保護剤および比較組成物を塗布し、痂皮の脱落もしくは上皮化をもって治癒日とし、分層皮膚欠損創作成から治癒日までに要した日数を比較することにより保護効果及び治癒効果を評価することができる。
ヒトの創傷に対する効果は、創傷を有するヒト、たとえば手にひび割れ症状をもつ患者を対象として、各人の同意を取ると同時にインフォームドコンセントなどの所定の手続きを経た上で、たとえば、水からの保護性、塗布時及び水使用時の刺激について調査することによって評価することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
1.本発明の皮膚保護剤の調製および比較組成物
i)比較組成物
本発明の皮膚保護剤との比較のため、以下に示す、市販されている液体絆創膏および液体包帯を比較例とした。
比較組成物1:液体絆創膏(株式会社 東京甲子社製、コロスキン(登録商標)、皮膜:ニトロセルロース、溶媒:酢酸エチル、イソプロパノール)
比較組成物2:液体包帯(スリーエム ヘルスケア株式会社、キャビロン非アルコール性皮膜スプレー、皮膜:アクリル系共重合体、ポリフェニルメチルシロキサン、溶媒:ヘキサメチルジシロキサン、イソオクタン)
ii)本発明の組成物の調製
本発明の効果を確認するため、以下表1および2に示す組成の組成物(組成物1〜8)を作製した。表中、各成分に関する数値は組成物全体に対する各成分の質量%である。各組成物は、表1および表2に示す各成分を表に示す割合で撹拌混合して皮膚保護剤を得た。
表1.本発明の組成物1〜4の組成(質量%)
表2.本発明の組成物5〜8の組成(質量%)
2.本発明の組成物によって形成された保護膜の特性評価
本発明の組成物の皮膚への付着性、皮膚追従性、剥離性を評価するため、専門の評価者により、使用試験を実施した。屈曲部での物性を確認するため、検体は指の第二関節部に40mg/cm2で適用し、12時間後の状態・感触について以下の評価基準に基づいて評価した。

皮膚への付着性
○:皮膜が剥がれていない。
△:皮膜が1/3剥がれている。
×:皮膜が全部剥がれた。
皮膚追従性
○:違和感がない。
△:多少気になる。
×:つっぱる感じがする。
剥離性
○:ほとんどの皮膜をスムーズに引き剥がすことができる。
△:皮膜の約50%はスムーズに引き剥がすことができるが、ほかは残っている。
×:ほとんどの皮膜を簡単に引き剥がすことができない。
剥離時の痛み
○:ほとんど痛みを感じない。
△:やや痛みを感じる。
×:痛みを感じる。

結果を表3に示す。
表3.保護膜の特性評価の結果
表3に示された結果によれば、本発明の組成物1〜8は皮膜の形成性にすぐれ、適用後に形成された皮膜は、柔軟性にすぐれて皮膚の動きに追随させることが容易であるとともに、密着性にすぐれることが明らかである。さらに、剥離性にもすぐれ、剥離時の痛みもないことが示されている。比較組成物1は強固な皮膜を形成し付着性・剥離性ともに優れるが、皮膚の追従性が悪く違和感を感じ、皮膚を保護するには問題があり、剥離時の痛みも強いことが示されている。また、比較組成物2は、柔軟性にすぐれ付着性、追従性ともに問題ないが、皮膜が薄いために剥離性が悪く、すべてを剥がそうとすると刺激を感じることがあることが示されている。
3.本発明の皮膚保護剤の塗布時の刺激性の評価
本発明の皮膚保護剤の刺激に対する効果を特開2012−201646に記載された方法で評価した。この方法は、マウスなどの実験動物の神経線維に電極を接続し、刺激性物質を当該実験動物の知覚神経線維に作用させた時に生じる電位変化を測定する方法であり、適用時の刺激を評価することができる。
実験動物として、雄性ICRマウス(実験開始時6週齢)を14匹用い、試験に用いる部位の皮膚を予め除毛クリームで除毛した。除毛翌日に、マウスをウレタン麻酔下、大腿部皮膚を切開し、神経線維を露出した。この神経線維に、双極L字型電極を接続し、神経保護剤(ワセリン40質量%、流動パラフィン60質量%の混合物)で被覆した。
神経線維の電位変化の測定については、日本光電社製のデータ収録解析システム「Powerlab」を用いた。測定方法・構成としては、電極から得られる電位変化を増幅器[Dual-Channel Bioelectric Amplifier(MEG-5200):日本光電工業]を用いて増幅し、この増幅された電気信号(アナログ信号)をアナログ/デジタル変換装置(Powerlab8/35:ADINSTRUMENTS)を用いてデジタル信号に変換し、コンピューターのモニターで表記させた。データの記録用チャートへの出力および発火頻度等の解析は、ソフトウェア[PowerLab Chart7(v7.3.7)]を用いて行なった。
試験検体適用前に、あらかじめベースラインの安定性や不可逆的なノイズがないことを確認した上で、神経線維を露出させた足の足背部に試験検体を20 mg適用した。
検体適用直後の刺激を評価するため、検体適用の直後から120秒間の神経線維の電位変化の測定を行った。検体適用前の電位変化の測定グラフで得られた振幅のスパイクを定常スパイクとし、検体適用後の電位変化の測定グラフで得られた、定常スパイクの振幅よりも大きな振幅のスパイクを神経発火スパイクとし、得られた電位変化測定グラフのデータを前記PowerLab Chart7(v7.3.7)を用いてヒストグラム解析を行った。得られたパターンから、各時間当たりの神経発火スパイク数をカウントし、その頻度を解析した。
適用時の刺激を低刺激として評価するには、各評価点におけるスパイク頻度が20以下であることが望ましい。
上述の試験方法を用い、本発明の組成物2および比較組成物1の刺激性を評価した結果を図1に示す。図1は、本発明の組成物2を塗布した場合、120秒間の測定時間中の任意の時点において1秒間あたりの神経発火スパイク数は20を越えないのに対して、比較組成物1を塗布した場合は最大80近くに達し、塗布後30秒の時点でも30を越えることを示している。これらの結果から、本発明の組成物2は比較組成物1に比べ刺激が低く、創傷面等に与える刺激が低いことがわかり、創傷部への適用に適していることが示された。
4.本発明の皮膚保護剤の創傷に対する治療効果(ラットの分層皮膚欠損創に対する効果)
本発明の皮膚保護剤の創傷に対する治癒効果を創傷被覆剤の評価で用いられるラット分層皮膚欠損創モデルで評価した。この評価系は、実験動物の皮膚表皮を機械的に剥ぎ、分層皮膚欠損創を作成し、上皮化までの治癒期間を比較する方法である。
実験動物として、雄性Wistar/STラット(実験開始時7週齢)を1群8匹とし、あらかじめ試験前日に除毛した。ペントバルビタールナトリウムの腹腔内投与(50mg/10ml/kg)あるいはエーテル吸入により痛覚反射がなくなるまで麻酔した。耳から6.5cmうしろ側を正中線から約1cmの箇所の表皮部分をダーマトーム[ジンマー電動デルマトーム:ジンマー株式会社]を用いて剥離し、大きさ2.5cm×2.5cm、深さ0.25mmの分層皮膚欠損創を作製した。同様に正中線の反対側にも同様の操作で分層皮膚欠損創を作成した。
分層皮膚欠損創を作成後直ちに一方の創傷面に試験検体を400μL塗布した後、ネックレスリングを装着し、分層皮膚欠損創に触れられない状態で、1ケージ1匹で自由摂水、自由摂食で飼育し、治癒経過を観察した。
痂皮の脱落もしくは上皮化をもって分層皮膚欠損創の治癒日とし、分層皮膚欠損創作成から治癒日までに要した日数を比較することにより保護効果及び治癒効果を評価した。
表4.創傷に対する治療効果
表4の結果から明らかなように、本発明による組成物2塗布群は比較組成物塗布群及び無塗布群よりも治癒が早い。これらの結果から、本発明の皮膚保護剤は創傷治癒促進作用に優れた皮膚保護剤であることが示された。
さらに表5に示す本発明の組成物9〜11について同様に評価した結果を表6に示す。
表5.本発明の組成物9〜11の組成(質量%)
表6.創傷に対する治療効果
表6の結果から明らかなように、本発明の組成物塗布群は無塗布群よりも治癒が早い。これら結果から、本発明の皮膚保護剤は創傷治癒促進作用に優れた皮膚保護剤であることが示された。
5.ヒトでの使用試験
液体絆創膏の使用を想定し、手にひび割れ症状をもつ患者で、次の選択基準に達した被験者21名を対象とし、本発明の皮膚保護剤について、以下に示す使用感、刺激感等について調査した。なお、以下に示す、種々の疾患のモニターあるいは患者による使用感テストなどの試験は、各人の同意を取ると同時にインフォームドコンセントなどの所定の手続きを経た上で実施した。
被験者の選択:(a)年齢20〜60歳の男女、(b)本試験に不適当と考えられる皮膚疾患等の既往歴のない者、(c)本試験に不適当と考えられる薬物等に対するアレルギー症等がない者、(d)試験検体および本試験の目的・内容について十分な説明を受け、よく理解のうえ自発的に志願した者で、書面で本テスト参加の同意をした者。
被験者に対して、手のひび割れ症状を保護するように本発明の組成物2を適用してもらい、10分以上水仕事を行った場合の水からの保護性、適用時の刺激性及び水使用時の刺激性について、以下の評価基準に基づいて評価した。

水からの保護性
A:良い
B:やや良い
C:やや悪い
D:悪い

塗布時及び水使用時の刺激
A:創傷にしみなかった
B:創傷にほとんどしみなかった
C:創傷にややしみた
D:創傷にしみた

結果を表7および表8に示す。
表7.水からの保護性
表8.塗布時及び水使用時の刺激
表7、表8に示した結果は、本発明の皮膚保護剤は液体絆創膏のように使用した場合でも保護性が高く、刺激性もない優れた皮膚保護剤であることを示している。

Claims (7)

  1. 下記の(i)及び(ii)を含む皮膚保護剤:
    (i)約1〜40質量%の疎水性多糖類;および、
    (ii)約60〜99質量%の揮発性疎水性溶媒。
  2. さらに、
    (iii)約30質量%までの補助剤、
    を含む請求項1記載の皮膚保護剤。
  3. 疎水性多糖類が、プルラン、デキストリンおよびイヌリンの脂肪酸誘導体からなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせからなる、請求項1または2記載の皮膚保護剤。
  4. 疎水性多糖類が、ミリスチン酸プルラン、パルミチン酸プルラン、パルミチン酸デキストリン、パルミチン酸/オクタン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ミリスチン酸イヌリン、パルミチン酸イヌリン、ステアリン酸イヌリンからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせからなる請求項3記載の皮膚保護剤。
  5. 揮発性疎水性溶媒が、C5−C12直鎖、分岐および環状アルカン、直鎖および環状シロキサン、揮発性フッ化炭素からなる群からなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせからなる請求項1〜4記載のいずれか1項記載の皮膚保護剤。
  6. 揮発性疎水性溶媒がn-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、シクロペンタン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ペンタフルオロプロパン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロメチルシクロヘキサンからなる群より選択される1種または2種以上の組み合わせからなる請求項5記載の皮膚保護剤。
  7. 補助剤が粘度調節剤、接着促進剤、抗菌剤、抗酸化剤およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2〜6のいずれか1項記載の皮膚保護剤。
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