JP2014204220A - デジタルフィルタ、音響装置及びフィルタ特性変更方法 - Google Patents

デジタルフィルタ、音響装置及びフィルタ特性変更方法 Download PDF

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JP2014204220A JP2013077508A JP2013077508A JP2014204220A JP 2014204220 A JP2014204220 A JP 2014204220A JP 2013077508 A JP2013077508 A JP 2013077508A JP 2013077508 A JP2013077508 A JP 2013077508A JP 2014204220 A JP2014204220 A JP 2014204220A
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武史 青木
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真琴 林
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Abstract

【課題】係数ベクトルの切換によるフィルタ特性の変更に際して、フィルタリング処理結果における不連続的な変化の発生量を抑制することができるデジタルフィルタを提供する。【解決手段】入力デジタル信号X0(T)、及び、直列に配置された複数の遅延出力部2111〜211M-1を有し、初段の遅延出力部2111に入力デジタル信号X0(T)が入力されるシフトレジスタ部210からの出力デジタル信号X1(T)〜XM-1(T)のそれぞれに対応する係数K0〜KM-1の切換を行う。この切換に際して、係数切換部240が、入力デジタル信号X0(t)が示す信号レベルが所定値以下になったことを検出する。そして、入力デジタル信号X0(T)が示す信号レベルが所定値以下になったことが検出されると、当該所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える。【選択図】 図2

Description

本発明は、デジタルフィルタ、音響装置、フィルタ特性変更方法及びフィルタ特性変更プログラム、並びに、当該フィルタ特性変更プログラムが記録された記録媒体に関する。
近年におけるデジタル技術の進歩にともなって、デジタル信号処理を行う音響装置が広く普及している。こうしたデジタル信号処理を行う音響装置は、利用者による音響信号の加工指定等に応じた信号処理を実現するために、デジタルフィルタを備えることが一般的である(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。
従来例の技術では、利用者による音響信号の加工指令がなされると、パラメータ設定部が、デジタルフィルタであるFIR(Finite Impulse Response)フィルタに対して、フィルタ係数(係数ベクトル)の選択信号を出力する。そして、FIRフィルタが、当該選択信号に対応するフィルタ係数を記憶部から読み取り、読み取られたフィルタ係数により定まるフィルタ特性でフィルタリング処理を実行するようになっている。
特開2005−128174号公報
上述した従来例の技術では、FIRフィルタが利用するフィルタ係数の切換の詳細については記載されていないが、こうしたフィルタ係数の切換に際しては、フィルタ係数の全てを、新たに利用すべき値に一挙に切り換えることが一般的である。
フィルタ係数の全てを一挙に切り換えると、フィルタ係数の切換前後におけるフィルタ特性の不連続性に起因して、FIRフィルタの出力信号が、不連続的に大きく変化することがある。こうした変化が音響信号で発生すると、いわゆるポップ音が発生し、利用者にとって聴覚上の違和感を抱かせることになる。
そこで、フィルタ係数の切換によるフィルタ特性の変更に際してミュート処理を行うことが考えられる。しかしながら、こうしたミュート処理を行うと無音期間が発生することになり、やはり、利用者にとって聴覚上の違和感を抱かせることになる。
このため、デジタルフィルタのフィルタ特性の変更に際して、変更前後における出力信号の不連続性により引き起こされる聴覚上の違和感を抑制することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、フィルタ特性の変更に際して、出力信号の不連続的な変化の発生を抑制することができるデジタルフィルタ及びフィルタ特性変更方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、内蔵されたデジタルフィルタのフィルタ特性の変更に際して、利用者にとっての聴覚上の違和感を抑制することができる音響装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタであって、直列に配置された複数の遅延出力部を有し、初段の遅延出力部に前記入力デジタル信号が入力され、前記複数の遅延出力部のそれぞれの出力デジタル信号が1サンプリング時間ごとに変化するシフトレジスタ部と;前記入力デジタル信号、及び、前記複数の遅延出力部の出力デジタル信号のそれぞれを乗算対象として、係数ベクトルにおける前記乗算対象に対応する係数成分と乗算する乗算部と;前記係数ベクトルを切り換える係数切換部と、を備え、前記係数切替部は、前記係数ベクトルを第1係数ベクトルから第2係数ベクトルに切り換える際に、前記入力デジタル信号が示す信号レベルが所定値以下になった場合に、前記所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える、ことを特徴とするデジタルフィルタである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデジタルフィルタと;利用者からのフィルタ特性変更指令に従って新たな係数ベクトルを算出し、前記算出された新たな係数ベクトルを、前記デジタルフィルタにおける係数切替部に対して指定する係数ベクトル算出部と;を備えることを特徴とする音響装置である。
請求項3に記載の発明は、直列に配置された複数の遅延出力部を有し、初段の遅延出力部に入力デジタル信号が入力され、前記複数の遅延出力部のそれぞれの出力デジタル信号が1サンプリング時間ごとに変化するシフトレジスタ部と;前記入力デジタル信号、及び、前記複数の遅延出力部の出力デジタル信号のそれぞれを乗算対象として、係数ベクトルにおける前記乗算対象に対応する係数成分と乗算する乗算部と;を備え、前記入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタにおいて使用されるフィルタ特性変更方法であって、新たな係数ベクトルを取得する取得工程と;前記新たな係数ベクトルへの切換に際して、前記入力デジタル信号が示す信号レベルが所定値以下になった場合に、前記所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える切換工程と;を備えることを特徴とするフィルタ特性変更方法である。
請求項4に記載の発明は、入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタが有するコンピュータに、請求項3に記載のフィルタ特性変更方法を実行させる、ことを特徴とするフィルタ特性変更プログラムである。
請求項5に記載の発明は、入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタが有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項4に記載のフィルタ特性変更プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
本発明の一実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示すブロック図である。 図1のデジタルフィルタの構成を示すブロック図である。 図2の係数切換部による係数切換処理を説明するためのフローチャートである。 シミュレーションで用いた係数切換前後のフィルタ特性を示す図である。 シミュレーションで用いた入力信号を示す図である。 係数切換前のフィルタ特性の場合における出力信号を示す図である。 係数切換後のフィルタ特性の場合における出力信号を示す図である。 係数切換を行った場合の出力信号のシミュレーション結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[構成]
図1には、一実施形態に係る音響装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。この図1に示されるように、音響装置100には、音源ユニット310と、音出力ユニット320とが接続されている。
上記の音源ユニット310は、ソース音信号SRDを出力するようになっている。音源ユニット310から出力されたソース音信号SRDは、音響装置100に供給される。
なお、音源ユニット310としては、例えば、DVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体に記録された2チャンネルステレオ方式の音声コンテンツのデータを読み取るユニットや、ステレオ放送波の受信結果から音声コンテンツのデータを抽出するユニット等が挙げられる。
上記の音出力ユニット320は、スピーカSPを備えて構成されている。この音出力ユニット320は、音響装置100から送られた出力音信号SODを受ける。そして、音出力ユニット320は、出力音信号SODに対応する音を、スピーカSPから再生出力する。
<音響装置100の構成>
上記の音響装置100は、前段処理部110と、デジタルフィルタ120と、後段処理部130とを備えている。また、音響装置100は、入力部140と、係数算出部150とを備えている。
上記の前段処理部110は、音源ユニット310から送られたソース音信号SRDを受ける。そして、前段処理部110は、ソース音信号SRDに対して前段処理を施して信号PRDを生成する。こうして生成された信号PRDは、デジタルフィルタ120へ送られる。
上記のデジタルフィルタ120は、前段処理部110から送られた信号PRD(入力デジタル信号)を受ける。そして、デジタルフィルタ120は、係数算出部150から送られた係数切換指定CSCに従って、信号PRDに対してフィルタリング処理を施して信号FLDを生成する。こうして生成された信号FLDは、後段処理部130へ送られる。
なお、デジタルフィルタ120の構成については、後述する。
上記の後段処理部130は、デジタルフィルタ120から送られた信号FLDを受ける。そして、後段処理部130は、信号FLDに対して後段処理を施して出力音信号SODを生成する。こうして生成された出力音信号SODは、音出力ユニット320へ送られる。
上記の入力部140は、音響装置100の本体部に設けられたキー部(スライドキー等を含む)、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。
この入力部140を操作することにより、利用者は、信号PRDに対するフィルタリング処理の内容を指定したフィルタ特性変更指令を入力できるようになっている。そして、入力部140に入力されたフィルタ特性変更指令は、入力指令IPDとして係数算出部150へ送られる。
上記の係数算出部150は、入力部140から送られた入力指令IPDを受ける。そして、係数算出部150は、入力指令IPDとして送られたフィルタ特性変更指令において指定された新たなフィルタリング処理の内容に基づいて、新たな係数ベクトルを算出し、算出された係数ベクトルをデジタルフィルタ120へ送る。すなわち、係数算出部150は、係数ベクトル算出部の機能を果たすようになっている。
かかる係数ベクトルの算出に際して、係数算出部150は、指定されたフィルタリング処理の内容に基づいて、不図示の記憶部に記憶された複数の係数ベクトルのテンプレートを参照し、適宜補間等を行って、指定されたフィルタリング処理の内容に対応する係数ベクトルを算出する。こうして算出された係数ベクトルを指定した係数切換指定CSCが、デジタルフィルタ120へ送られる。
《デジタルフィルタ120の構成》
次に、デジタルフィルタ120の構成について説明する。なお、デジタルフィルタ120は、FIRフィルタとなっている。
デジタルフィルタ120は、図2に示されるように、シフトレジスタ部210と、乗算部220とを備えている。また、デジタルフィルタ120は、加算部230と、係数切換部240とを備えている。
上記のシフトレジスタ部210は、(M−1)個の遅延出力部2111〜211M-1を備えて構成されている。遅延出力部211j(j=1〜M−1)のそれぞれは、入力した信号Xj-1(T−τ)を単位遅延時間τだけ遅延させ、信号Xj(T)(出力デジタル信号)として出力する。ここで、信号X0(T)が、前段処理部110から送られた信号PRDとなっている。この結果、信号Xj(T)と信号X0(T)と関係は、次の(1)式で表される。
j(T)=X0(T−j・τ) …(1)
なお、本実施形態では、遅延出力部211jのそれぞれは、単位遅延時間(1サンプル時間)τを1周期とする不図示の基準クロックに同期して信号Xj-1(T)をサンプリングして、信号Xj(T+τ)として出力する。このため、単位遅延時間τの間、サンプリング結果が遅延出力部211jから保持出力されるようになっている。ここで、単位遅延時間τは、信号X0(T)の信号入力周期の1/4となっている。
遅延出力部211jにより生成された信号Xj(T)は、乗算部220へ送られる。
上記の乗算部220は、M個の個別乗算部2210〜221M-1を備えて構成されている。個別乗算部221m(m=0〜M−1)のそれぞれは、信号Xm(T)、及び、係数切換部240から送られた係数Kmを受ける。そして、個別乗算部221mは、信号Xm(T)と係数Kmとを乗算する。この乗算の結果(=Km・Xm(T))は、加算部230へ送られる。
上記の加算部230は、個別乗算部2210〜221M-1による乗算結果[K0・X0(T)]〜[KM-1・XM-1(T)]を受ける。そして、加算部230は、次の(2)式により、信号Y(T)を算出する。
Y(T)=K0・X0(T)+…+KM-1・XM-1(T) …(2)
こうして算出された信号Y(T)が、信号FLDとして、後段処理部130へ送られる。
上記の係数切換部240は、内部にタイマを備えて構成されている。この係数切換部240は、係数算出部150から送られた係数切換指定CSC、及び、前段処理部110から送られた信号PRD(=X0(T))を受ける。そして、係数切換部240は、係数切換指定CSCで指定された切換後の新たな係数ベクトル[KA0,…,KAM-1]、及び、信号X0(T)に基づいて、係数切換処理を実行する。かかる係数切換処理の詳細については、後述する。
[動作]
次に、上記のように構成された音響装置100の動作について、デジタルフィルタ120における係数切換部240による係数切換処理に主に着目して説明する。
なお、音源ユニット310は既に動作を開始しており、音源ユニット310からは、ソース音信号SRDが音響装置100へ送られているものとする。
音響装置100では、前段処理部110が、音源ユニット310から送られたソース音信号SRDを受ける。そして、前段処理部110は、ソース音信号SRDに対して前段処理を施して信号PRDを生成し、生成された信号PRDをデジタルフィルタ120へ送る(図1参照)。
前段処理部110から送られた信号PRD(=X0(T))を受けると、デジタルフィルタ120は、係数算出部150から送られた係数切換指定CSCによりその時点において指定されている切換前の係数ベクトル[KB0,…,KBM-1]を係数ベクトル[K0,…,KM-1]として、上述した(1),(2)式を利用したフィルタリング処理を信号PRDに対して施す。そして、デジタルフィルタ120は、フィルタリング処理の結果を、信号FLD(=Y(T))として、後段処理部130へ送る(図1,2参照)。
デジタルフィルタ120から送られた信号FLDを受けると、後段処理部130は、信号FLDに対して後段処理を施して出力音信号SODを生成する。そして、後段処理部130は、生成された出力音信号SODを音出力ユニット320へ送る(図1参照)。
音響装置100から送られた出力音信号SODを受けると、音出力ユニット320は、出力音信号SODに対応する音を、スピーカSPから再生出力する。この結果、デジタルフィルタ120によるフィルタリング処理に応じた音が、スピーカSPから再生出力される(図1参照)。
以上のようにして行われる音の再生出力中に、利用者が、入力部140を操作して、デジタルフィルタ120によるフィルタリング処理の内容を指定したフィルタ特性変更指令を入力すると、当該フィルタ特性変更指令が、入力指令IPDとして、係数算出部150へ送られる。この入力指令IPDを受けると、係数算出部150が、入力指令IPDとして送られたフィルタ特性変更指令において指定された新たなフィルタリング処理の内容に基づいて、新たな係数ベクトル[KA0,…,KAM-1]を算出する。そして、係数算出部150が、算出された係数ベクトル[KA0,…,KAM-1]を指定した係数切換指定CSCをデジタルフィルタ120へ送る。
なお、本実施形態では、係数算出部150は、上述したように、指定されたフィルタリング処理の内容に基づいて、不図示の記憶部に記憶された複数の係数ベクトルのテンプレートを参照し、適宜補間等を行って、指定されたフィルタリング処理の内容に対応する係数ベクトル[KA0,…,KAM-1]を算出する。
デジタルフィルタ120では、係数切換部240が、係数算出部150から送られた係数切換指定CSCを受ける。この係数切換指定CSCに対応して、係数切換部240が係数切換処理を実行する。
《係数切換部240による係数切換処理》
係数切換処理に際しては、図3に示されるように、まず、ステップS11において、係数切換部240が、新たな係数切換指定CSCを受けたか否かを判定する。ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
係数算出部150から送られた新たな係数切換指定CSCを受け、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、係数切換部240が、内部に保持する計数値pを「0」に設定する。
次に、ステップS13において、係数切換部240は、信号X0(T)が示す値の絶対値|X0(T)|が所定値XTH以下か否かを判定する。なお、「所定値XTH」は、係数Km(m=0〜M−1)の切換前後の差ΔKmの大小にかかわらず、値(ΔKm・XTH)が、信号Y(T)に与える影響を十分に少なくするとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、ステップS13の処理が繰り返される。そして、絶対値|X0(T)|が、所定値XTH以下となり、ステップS13における判定の結果が肯定的となると、処理はステップS14へ進む。
ステップS14では、係数切換部240が、上述した計数値pで特定される個別乗算部221pへ係数KApを送ることにより、個別乗算部221pの係数を、係数KBpから係数KApへ切り換える。すなわち、切換前の係数KBpと切換後の係数KApとの差の大小にかかわらず、個別乗算部221pにおける算出結果が信号Y(T)に与える影響が十分に小さくなった時点で、係数切換部240は、個別乗算部221pの係数を、係数KBpから係数KApへ切り換える。
次いで、ステップS15において、係数切換部240が、タイマを初期化し、計時動作を開始させる。引き続き、ステップS16において、係数切換部240が、現時点の計数値pをインクリメントし、新たな計数値pの値とする(p←p+1)。
次に、ステップS17において、係数切換部240が、計数値pが「M」となった否かを判定することにより、係数K0〜KM-1の全てを切り換えたか否かを判定する。ステップS17における判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、処理はステップS18へ進む。
ステップS18では、ステップS15において計時を開始したタイマによる計時結果を参照して、タイマによる計時開始から1サンプル時間が経過したか否かを判定する。ステップS18における判定の結果が否定的であった場合(ステップS18:N)には、ステップS18の処理が繰り返される。
1サンプル時間が経過し、ステップS18における判定の結果が肯定的となると(ステップS18:Y)、処理はステップS14へ戻る。以後、ステップS17における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS14〜S18の処理が繰り返される。
計数値pが「M」となり、ステップS17の判定の結果が肯定的となると(ステップS17:Y)、処理はステップS11へ戻る。以後、ステップS11〜S18の処理が繰り返される。この結果、新たな係数ベクトルに切り換えることが必要となるたびに、係数切換部240により、係数切換が実行される。
ここで、本実施形態によるフィルタ特性の変更の有効性を確認するために行ったシミュレーションの結果について説明する。
図4には、本シミュレーションで用いた切換前後のフィルタ特性が示されている。なお、図4においては、切換前のフィルタ特性が実線で示され、切換後のフィルタ特性が破線で示されている。
なお、本シミュレーションでは、デジタルフィルタ120の次数を「32」としている。
また、図5には、本シミュレーションで想定した入力信号X0(T)が示されている。図5に示されるように、本シミュレーションでは、入力信号X0(T)として、振幅が「1」で、周波数が「2[kHz]」の正弦波を想定した。
図6には、図5に示される入力信号X0(T)を、図4において実線で示される切換前のフィルタ特性でフィルタリング処理をした場合の出力信号が示されている。また、図7には、当該入力信号X0(T)を、図4において破線で示される切換後のフィルタ特性でフィルタリング処理をした場合の出力信号が示されている。
そして、図8には、本実施形態による係数ベクトルの切換を時刻「0.1」において開始した場合における出力信号のシミュレーション結果が実線で示されている。なお、図8には、従来例のように、係数ベクトルの切換を、時刻「0.1」において一挙に切り換えた場合における出力信号のシミュレーション結果が、比較例として、破線で示されている。
図8に示されるように、本実施形態による係数ベクトルの切換を行った場合には、出力信号の振幅は連続的に滑らかに変化しており、いわゆるポップ音の発生につながる不連続性が抑制されている。一方、比較例においては、係数ベクトルの切換時に、出力信号の振幅が、ポップ音の発生につながる不連続的な変化が発生している。すなわち、図8から、本実施形態による係数ベクトルの切換の有効性が確認できる。
以上説明したように、本実施形態のデジタルフィルタ120では、入力デジタル信号X0(T)、及び、直列に配置された複数の遅延出力部2111〜211M-1を有し、初段の遅延出力部2111に入力デジタル信号X0(T)が入力されるシフトレジスタ部210からの出力デジタル信号X1(T)〜XM-1(T)のそれぞれに対応する係数K0〜KM-1の切換を行う。この切換に際して、係数切換部240が、入力デジタル信号X0(T)が示す信号レベルが所定値以下になったことを検出する。そして、入力デジタル信号X0(T)が示す信号レベルが所定値以下になったことが検出されると、当該所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える。
したがって、本実施形態のデジタルフィルタ120によれば、係数ベクトルの切換によるフィルタ特性の変更に際して、出力信号における不連続的な変化の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の音響装置100では、内蔵するデジタルフィルタ120が、上記のように動作するので、ミュート処理を行うことなく、フィルタ特性の変更にともなういわゆるポップ音の発生が抑制される。したがって、本実施形態の音響装置100によれば、内蔵されたデジタルフィルタのフィルタ係数の切換に際して、利用者にとっての聴覚上の違和感を抑制することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、本発明のデジタルフィルタを音響デジタル信号のフィルタリング処理に適用した。これに対し、音響デジタル信号以外のデジタル信号のフィルタリング処理にも、本発明のデジタルフィルタを適用してもよい。
なお、上記の実施形態における係数算出部及び係数切換部を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
100 … 音響装置
120 … デジタルフィルタ
150 … 係数算出部(係数ベクトル算出部)
210 … シフトレジスタ部
211j(j=1〜M−1) … 遅延出力部
220 … 乗算部
240 … 係数切換部

Claims (5)

  1. 入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタであって、
    直列に配置された複数の遅延出力部を有し、初段の遅延出力部に前記入力デジタル信号が入力され、前記複数の遅延出力部のそれぞれの出力デジタル信号が1サンプリング時間ごとに変化するシフトレジスタ部と;
    前記入力デジタル信号、及び、前記複数の遅延出力部の出力デジタル信号のそれぞれを乗算対象として、係数ベクトルにおける前記乗算対象に対応する係数成分と乗算する乗算部と;
    前記係数ベクトルを切り換える係数切換部と、
    を備え、
    前記係数切換部は、前記係数ベクトルを第1係数ベクトルから第2係数ベクトルに切り換える際に、前記入力デジタル信号が示す信号レベルが所定値以下になった場合に、前記所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える、
    ことを特徴とするデジタルフィルタ。
  2. 請求項1に記載のデジタルフィルタと;
    利用者からのフィルタ特性変更指令に従って新たな係数ベクトルを算出し、前記算出された新たな係数ベクトルを、前記デジタルフィルタにおける係数切換部に対して指定する係数ベクトル算出部と;
    を備えることを特徴とする音響装置。
  3. 直列に配置された複数の遅延出力部を有し、初段の遅延出力部に入力デジタル信号が入力され、前記複数の遅延出力部のそれぞれの出力デジタル信号が1サンプリング時間ごとに変化するシフトレジスタ部と;前記入力デジタル信号、及び、前記複数の遅延出力部の出力デジタル信号のそれぞれを乗算対象として、係数ベクトルにおける前記乗算対象に対応する係数成分と乗算する乗算部と;を備え、前記入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタにおいて使用されるフィルタ特性変更方法であって、
    新たな係数ベクトルを取得する取得工程と;
    前記新たな係数ベクトルへの切換に際して、前記入力デジタル信号が示す信号レベルが所定値以下になった場合に、前記所定値以下の信号レベルが乗算対象となる係数成分を、1サンプリング時間ごとに順次切り換える切換工程と;
    を備えることを特徴とするフィルタ特性変更方法。
  4. 入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタが有するコンピュータに、請求項3に記載のフィルタ特性変更方法を実行させる、ことを特徴とするフィルタ特性変更プログラム。
  5. 入力デジタル信号に対してフィルタリング処理を行うデジタルフィルタが有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項4に記載のフィルタ特性変更プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
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