JP2014204208A - 予測モード決定方法、動画像符号化装置、及び予測モード決定プログラム - Google Patents
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従来技術Aでは、スキップモードとして符号化済のブロックにおける、スキップモードのコストの平均値に係数を乗算した値を閾値として用い、符号化対象ブロックにおいてスキップモードのコストが当該閾値を下回る場合は、スキップモードと判定する。この方法の適用例を図11に示す。同図に示すように、符号化対象ブロックに対して上に隣接する符号化済ブロック(ブロックC)および左に隣接する符号化済ブロック(ブロックD)においてスキップモードが利用される場合に、ブロックCとブロックDのそれぞれのスキップモードコストの平均に係数を乗じた値を閾値とすることができる。以下では、このような閾値を「スキップ判定閾値」と呼ぶ。
従来技術Aでは、参照する符号化済ブロック自体が従来技術Aによってスキップと判定されたものである場合、信頼性が低いコストに基づいてスキップ判定閾値が決まることとなり、誤判定が生じて符号化効率が低下する恐れがある。
本発明の一実施形態による予測モード決定方法では、動画像の画像データであるピクチャをブロック単位で符号化する動画像符号化方式において符号化対象ブロックの予測モードを決定する際に、符号化対象ブロックのスキップ判定に先立って、最適スキップブロックと符号化対象ブロックとの特徴の比較を行う。そして、スキップ判定を行っても符号化効率の悪化が生じないと推定される場合に限り、当該最適スキップブロックを参照ブロックとして用い、スキップ判定を行う。なお、最適スキップブロックとは、スキップモードとして符号化されているものの、スキップ判定ではスキップモードと判定されていないブロックである。
図1は、本実施形態による符号化装置1の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、符号化装置1は、スキップ判定部11、ブロック分割決定部12、インター予測部13、イントラ予測部14、切替部15、変換部16、量子化部17、エントロピー符号化部18、逆量子化部19、逆変換部20、ループフィルタ部21、及び参照画像メモリ22を備えて構成される。符号化装置1には、動画像の符号化対象ピクチャにおける、符号化対象LCUが入力される。一方で、当該LCUに対応した符号化ストリームが符号化装置1の出力となる。これが符号化対象ピクチャ内の各LCUについてラスタスキャン順に繰り返し実行されることで、符号化対象ピクチャが符号化される。
ステップS113に処理が移った場合、ブロック分割決定部12は、符号化対象LCUの「最適分割」は、LCUをCUとすることであると決定し(つまり、分割しない)、本CUに関する処理を完了する。ブロック分割決定部12は、符号化対象LCUをスキップモードで符号化した予測画像を出力するようインター予測部13に指示し、切替部15をインター予測部13側に切替える。
処理対象CUが最小CUサイズでないと判定した場合(ステップS108:NO)、ステップS109の処理において、ブロック分割決定部12は、処理対象CUを4つに分割したCU(下位CU)を処理対象として本フロー(図2のフロー全体)を呼び出す。このとき、4つの下位CUは左上、右上、左下、右下の順に呼び出される。なお、これはシーケンシャルに行われ、左上の下位CUのフローが完了した後に右上の下位CUのフローが呼び出される(あるCUを符号化するために必要な左/上/左上のCUの処理を完了させるためである)。そして、4つの下位CUにおける本フローが完了した後、ブロック分割決定部12は、ステップS110の処理に移る。
ブロック分割決定部12は、最適分割のCU毎に、最適予測モードの予測画像の出力をインター予測部13、イントラ予測部14に指示するともに、切替部15を最適予測モードに基づいて切替える。
図4は、スキップ判定部11の詳細な機能構成を示すブロック図である。同図に示すようにスキップ判定部11は、ブロック特徴比較部111、及びコスト比較部112を備えて構成される。ブロック特徴比較部111は、符号化対象LCU(入力画像)の特徴量と、符号化対象LCUに隣接する上または左の最適スキップブロックの特徴量を比較して、符号化対象LCUについてスキップ判定を行うか否かを判定する。コスト比較部112は、ブロック特徴比較部111がスキップ判定を行うと判定した場合、符号化対象LCUをスキップモードで符号化した場合のRDコストと閾値とを比較し、スキップモードで符号化するか否かのスキップ判定を行う。
アクティビティは対象ブロックのテクスチャの複雑さを示す指標である。具体的には、対象ブロックを複数のサブブロックに分割し、各サブブロックに関する原画像の画素値の分散を求める。そして、対象ブロックにおけるサブブロックの分散の平均/最小値、最大値のいずれかをアクティビティとする。対象ブロックそのものをサブブロックと考えた場合(すなわち対象ブロックは1つのサブブロックで構成される場合)、対象ブロックの分散そのものがアクティビティになる。本実施形態においては、例えば、LCUを4つのサブブロックに均等分割したときの、それぞれのサブブロックの分散の平均値をアクティビティとできる。そこで、ステップS201において、ブロック特徴比較部111は、入力された符号化対象LCUおよび参照画像メモリ22に記憶されている最適スキップLCUの原画像を利用し、上記のような方法で符号化対象LCUのアクティビティACT_encおよび最適スキップLCUのアクティビティACT_refを求める。ブロック特徴比較部111は、以下の式(2)に示す条件を満たした場合、スキップ判定実行サブ条件1を満たすと判定する。
スキップ判定実行サブ条件2では、符号化対象LCUの動きベクトルと最適スキップLCUの動きベクトルを比較する。ただし、それぞれの動きベクトルが参照する参照画像が同一であるか否か(参照画像インデックスが同一であるか否か)もチェックする。このチェックもブロック特徴比較部111において行われ、インター予測部13から入力される動きベクトルと参照画像インデックスを利用する。利用する動きベクトルおよび参照画像インデックスとしては、それぞれのLCUにおいて、スキップモードでの符号化に用いる動きベクトルおよび参照画像インデックスを利用することが考えられる。あるいは、最適スキップLCUについては、スキップモード以外の予測モードにおける動きベクトルおよび参照画像インデックスを利用することも考えられる。すなわち、LCUにおける動きを表すものであれば、どのように求めた動きベクトル、参照画像インデックスでも良い。ここで、符号化対象LCUの動きベクトル、参照画像インデックスをそれぞれ、MV_enc、REFIDX_encとし、参照画像メモリ22に記憶されている最適スキップLCUの動きベクトル、参照画像インデックスをそれぞれ、MV_ref、REFIDX_refとする。これらはそれぞれ、x成分とy成分を要素とする2次元ベクトルである。動きベクトルの比較としては、MV_encとMV_refが同一ベクトルであるか否かの比較や、MV_encとMV_refの間のユークリッド距離による判定などによる動きベクトルの一致度合いの判定が考えられる。本実施形態ではユークリッド距離を利用し、以下の2つの条件1及び条件2が満たされた場合、ブロック特徴比較部111は、スキップ判定実行サブ条件2を満たすと判断する。
(条件2):MV_encとMV_refの間のユークリッド距離は所定の閾値以下である。
上述した第1の実施形態では、図2のフローのステップS102において、符号化対象LCUに隣接する上、左の両方のLCUが最適スキップLCUであったときに、ステップS103においては無条件に左のLCUを参照してスキップ判定を行っていた。本実施形態では、隣接する上、及び左の両方のLCUが最適スキップLCUであったときの別の実施形態を示す。また、本実施形態は、参照するブロックが隣接する上、左のブロックだけでなく、隣接する左上のブロックを含むなど、複数ブロックを参照する場合に容易に応用できる。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
ステップS301において、ブロック特徴比較部111は、符号化対象LCUの特徴量と隣接する上、及び左の最適スキップLCUの特徴量とを比較して、符号化対象LCUについてスキップ判定を行うか否かを判定する。本実施形態で用いる特徴量とスキップ判定実行サブ条件は、第1の実施形態と同様とする。すなわち、ブロック特徴比較部111は、符号化対象LCUと隣接する左の最適スキップLCUについて、アクティビティの差異を評価して対応するスキップ判定実行サブ条件を満たすか否かを判定するとともに、動きベクトルおよび参照画像インデックスの差異を評価して対応するスキップ判定実行サブ条件を満たすか否かを判定する。さらに、ブロック特徴比較部111は、同様の判定を、符号化対象LCUと隣接する上の最適スキップLCUについても同様に行う。そして、ステップS302において、ブロック特徴比較部111は、上と左のそれぞれの最適スキップLCUについてスキップ判定実行条件を満たすか否かを判定する。
すなわち、ステップS307において、コスト比較部112は、符号化対象LCUをスキップモードで符号化した場合のRDコストと、ステップS305またはステップS306において算出したスキップ判定閾値を比較する。ステップS308において、RDコストが下回ると判定した場合、コスト比較部112は、ステップS309の処理に移る。コスト比較部112は、符号化対象LCUをスキップモードで符号化すると判定し、判定結果をスキップ判定情報としてブロック分割決定部12に通知する。一方、ステップS308において、RDコストがスキップ判定閾値以上であると判断した場合、コスト比較部112は、ステップS303の処理に移る。コスト比較部112は、符号化対象LCUをスキップモードで符号化すると判定しないことをスキップ判定情報としてブロック分割決定部12に通知する。
HEVCにおいては、各CUサイズにおいてスキップモードで符号化することができる。第1及び第2の実施形態ではLCUについてのみスキップ判定を行っていた。また、これらの実施形態では、参照する最適スキップブロックをLCUのみとした。本実施形態では、各CUサイズにおいてスキップ判定を行うとともに、参照する最適スキップブロックのサイズも様々なサイズを許容する。以下、第1及び第2の実施形態との差分を中心に説明する。
図7は、本実施形態による処理対象CUに対する予測モード及び最適分割判定の処理フローを示す図である。同図に示す処理フローが図2に示す第1の実施形態の処理フローと異なる点は、処理対象CUのサイズに関わらず、図7に示すステップS401において、処理対象CUに隣接する左もしくは上に最適スキップブロックが存在するか否かを判定している点である。ここで、最適スキップブロックはCUであり(以下、「最適スキップCU」と記載する。)、CUサイズは任意である。
ステップS301において、ブロック特徴比較部111は、符号化対象CUと最適スキップCUの特徴量の比較を行うが、それぞれのCUサイズが異なり、かつ、特徴量の値の大きさがCUサイズに依存して変わるようなものを利用する場合、特徴量について正規化等(サイズに依存しない値へのスケーリング)を行ってから比較する。また、ステップS305およびステップS306においても、RDコストの正規化が必要である。RDコストの場合、符号化歪Dのみの正規化が必要である。従い、コスト比較部112は、あるCUの正規化されたRDコストRD_sを算出するにあたり、当該CUの画素数pnum_CUを利用して、符号化歪Dを以下の式(5)のようにスケーリングし、正規化した符号化歪D_sを算出する。
以上説明した実施形態ではRDコストを利用してスキップ判定を行ったが、符号化歪DをRDコストに置き換えてスキップ判定を行っても、同様の効果を得ることができる。より一般的には、RDコストや符号化歪のように、符号化効率を評価するためのコストであれば、同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、図2のステップS102において、符号化対象LCUの上もしくは左に隣接するLCUが最適スキップブロックであるか否かをチェックしているが、符号化対象LCUの上もしくは左に隣接するLCUが、スキップモードで符号化されたブロックであるか否かを判定してもよい。つまり、符号化対象LCUの上もしくは左に隣接するLCUが、ステップS103におけるスキップ判定でスキップモードと判定されていたブロック、または、ステップS105以降のフローにより、他の予測モードとの比較の結果、スキップモードと判定されていたブロックのいずれかであるか否かを判定する。同様に、図7のステップS401において、処理対象CUに隣接する左もしくは上にスキップモードで符号化されたブロックが存在するか否かを判定するようにしてもよい。最適スキップブロックであるか否かを判定したほうがスキップ判定の信頼性はより高くなるものの、スキップ判定によりスキップモードと判定されたブロックも含めてスキップモードで符号化されたブロックであるか否かを判定する場合でも、従来技術と比較してスキップ判定の信頼性は向上する。
本実施形態によれば、従来技術Bと異なり、スキップ判定に先立ち、参照ブロックと符号化対象ブロックの特徴の比較を行う。これにより、動き探索省略を可能とするスキップモードにより符号化するか否かのスキップ判定を行っても符号化効率の悪化が生じないと推定される場合に限り、符号化対象ブロックに対するスキップ判定を行う。このため、参照ブロックを一つとして演算量を削減しても、従来技術Bと比較して符号化効率の悪化を小さくすることができる。
Claims (7)
- ブロック単位で予測モードを決定して動画像の画像データを符号化する動画像符号化装置が実行する予測モード決定方法であって、
1つ以上の特徴量について、前記画像データにおける符号化対象ブロックと、当該符号化対象ブロックに隣接し、かつ、スキップモードで符号化されている参照候補ブロックとの前記特徴量の差異を計算するブロック特徴比較ステップと、
前記ブロック特徴比較ステップにおいて計算された前記特徴量の差異が、当該特徴量について定められた条件を満たすか否かを判定するスキップ判定実行有無決定ステップと、
前記スキップ判定実行有無決定ステップにおいて前記特徴量の差異が当該特徴量について定められた前記条件を満たすと判定された場合に前記参照候補ブロックを参照ブロックとし、前記参照ブロックにおけるスキップモードのコストから求められる閾値と、前記符号化対象ブロックをスキップモードとした場合のコストとを比較して前記符号化対象ブロックの予測モードをスキップモードとするか否かを判定するスキップ判定ステップと、
を有することを特徴とする予測モード決定方法。 - 前記ブロック特徴比較ステップにおいては、前記特徴量の差異の計算に、前記参照候補ブロックと前記符号化対象ブロックとの動きベクトルの一致度合いの計算を含み、
前記スキップ判定実行有無決定ステップにおいては、前記参照候補ブロックと前記符号化対象ブロックとの動きベクトルの一致度合いが所定以内である場合に、動きベクトルについて定められた前記条件を満たすと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測モード決定方法。 - 前記ブロック特徴比較ステップにおいては、前記特徴量の差異の計算に、前記参照候補ブロックと前記符号化対象ブロックとの複雑さ指標値の大小の計算を含み、
前記スキップ判定実行有無決定ステップにおいては、前記符号化対象ブロックの複雑さが前記参照候補ブロックの複雑さを上回る場合に、複雑さ指標値について定められた前記条件を満たすと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測モード決定方法。 - 前記符号化対象ブロックに隣接し、かつ、スキップモードで符号化されている参照候補ブロックが複数存在する場合、
前記ブロック特徴比較ステップにおいては、前記符号化対象ブロックと複数の前記参照候補ブロックそれぞれとの前記特徴量の差異を計算し、
前記スキップ判定実行有無決定ステップにおいては、複数の前記参照候補ブロックのうち、前記ブロック特徴比較ステップにおいて計算された前記特徴量の差異が当該特徴量について定められた条件を満たす参照候補ブロックを参照ブロックとする、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の予測モード決定方法。 - 前記ブロック特徴比較ステップにおいては、当該符号化対象ブロックに隣接し、かつ、スキップモードで符号化されているブロックのうち、所定のサイズより大きなブロックを参照候補ブロックとする、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の予測モード決定方法。 - ブロック単位で予測モードを決定して動画像の画像データを符号化する動画像符号化装置であって、
1つ以上の特徴量について、前記画像データにおける符号化対象ブロックと、当該符号化対象ブロックに隣接し、かつ、スキップモードで符号化されている参照候補ブロックとの前記特徴量の差異を計算し、計算された前記特徴量の差異が、当該特徴量について定められた条件を満たすか否かを判定するブロック特徴比較部と、
前記ブロック特徴比較部において前記特徴量の差異が当該特徴量について定められた前記条件を満たすと判定された場合に前記参照候補ブロックを参照ブロックとし、前記参照ブロックにおけるスキップモードのコストから求められる閾値と、前記符号化対象ブロックをスキップモードとした場合のコストとを比較して前記符号化対象ブロックの予測モードをスキップモードとするか否かを判定するコスト比較部と、
を備えることを特徴とする動画像符号化装置。 - 動画像符号化装置として用いられるコンピュータに、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の予測モード決定方法の各ステップを実行させるための予測モード決定プログラム。
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