JP2014202147A - 電磁弁駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇圧回路による設定電圧への昇圧電圧の昇圧動作中に電磁弁を開弁させる昇圧中駆動制御の開始時に、電磁弁に電圧を十分に印加でき、それにより、電磁弁の制御性を向上させることができる電磁弁駆動装置を提供する。
【解決手段】電磁弁駆動装置1では、昇圧回路による昇圧電圧を電磁弁に印加することによって電磁弁を開弁させる駆動制御が実行され、駆動制御に伴って低下した昇圧電圧VCを昇圧回路により設定電圧に昇圧する昇圧動作中に行われる駆動制御である昇圧中駆動制御が行われるか否かが予測され(ステップ1、3)、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、昇圧中駆動制御の開始時における昇圧電圧が設定電圧に近づくように、駆動制御が実行される(ステップ4、5)。
【選択図】図9

Description

本発明は、流体の流量を調整するための電磁弁を駆動する電磁弁駆動装置に関する。
従来、この種の電磁弁駆動装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。電磁弁駆動装置は、エンジンの燃料噴射弁に適用されたものであり、このエンジンでは、燃料噴射弁により、メイン噴射と、それに先立つパイロット噴射が実行される。電磁弁駆動装置は、電源の電圧を昇圧するための昇圧回路を備えており、昇圧回路は、コイル、パイロット用コンデンサ及びメイン用コンデンサなどで構成されている。昇圧回路では、電源の電圧がコイルなどにより昇圧され、昇圧された昇圧電圧がパイロット用及びメイン用のコンデンサに印加されることによって、両コンデンサが充電される。
また、この従来の電磁弁駆動装置では、パイロット噴射の開始時にはパイロット用コンデンサから燃料噴射弁に、メイン噴射の開始時にはメイン用コンデンサから燃料噴射弁に、チャージ電圧を印加し、それにより、燃料噴射弁に電流を供給することによって、燃料噴射弁を開弁させる。さらに、パイロット噴射とメイン噴射の時間間隔が短いときには、メイン用コンデンサのチャージ電圧を低減し、それによりメイン噴射の開始時に燃料噴射弁に供給される電流を低減することによって、装置の発熱を防止するようにしている。
特開2001−227392号公報
また、近年、単一のコンデンサを用いた昇圧回路を有する電磁弁駆動装置が知られている。この電磁弁駆動装置において、燃料噴射弁に供給される電流を上述した従来の電磁弁駆動装置のように制御した場合には、次のような問題がある。すなわち、この従来の電磁弁駆動装置では、上述したようにメイン噴射の開始時に燃料噴射弁に供給される電流を低減するにすぎないので、パイロット噴射が終了してからメイン噴射が開始されるまでの間に、パイロット噴射により放電されたコンデンサを十分に充電できず、コンデンサのチャージ電圧が不足する場合がある。その場合には、パイロット噴射に続くメイン噴射の開始時に、コンデンサから燃料噴射弁に電圧を十分に印加することができなくなり、それにより、燃料噴射弁の開弁が遅れ、その制御性が低下してしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、昇圧回路による設定電圧への昇圧電圧の昇圧動作中に電磁弁を開弁させる昇圧中駆動制御の開始時に、電磁弁に電圧を十分に印加でき、それにより、電磁弁の制御性を向上させることができる電磁弁駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、流体の流量を調整するための電磁弁(実施形態における(以下、本項において同じ)インジェクタ4)を駆動する電磁弁駆動装置1であって、電源(バッテリ25)の電圧(バッテリ電圧VB)を所定の設定電圧VCSETに昇圧するための昇圧回路20と、昇圧回路20による昇圧電圧VCを電磁弁に印加することによって電磁弁を開弁させる駆動制御を実行する制御手段(ECU2、図5)と、駆動制御に伴って低下した昇圧電圧VCを昇圧回路20により設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に行われる駆動制御である昇圧中駆動制御が行われるか否かを予測する予測手段(ECU2、ステップ1、3、11)と、を備え、制御手段は、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、昇圧中駆動制御の開始時における昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに近づくように、駆動制御を実行する(ステップ4、5)ことを特徴とする。
この構成によれば、昇圧回路によって、電源の電圧が所定の設定電圧に昇圧されるとともに、制御手段により、駆動制御が実行されることによって、昇圧回路による昇圧電圧が電磁弁に印加され、それにより電磁弁が開弁する。電磁弁への昇圧電圧の印加後、それに伴って低下した昇圧電圧が昇圧回路で設定電圧に昇圧される前に、再度、駆動制御が実行された場合には、この駆動制御において、電磁弁に印加される電圧が不足し、電磁弁の制御性が低下する可能性がある。
上述した構成によれば、駆動制御に伴って低下した昇圧電圧を昇圧回路により設定電圧に昇圧する昇圧動作中に行われる駆動制御である昇圧中駆動制御が行われるか否かが、予測手段によって予測されるとともに、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、昇圧中駆動制御の開始時における昇圧電圧が設定電圧に近づくように、駆動制御が実行される。これにより、昇圧中駆動制御の開始時に、電磁弁に電圧を十分に印加できるので、電磁弁の制御性を向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電磁弁駆動装置1において、電磁弁によって調整される流体の圧力を取得する流体圧取得手段(燃圧センサ35)をさらに備え、制御手段は、駆動制御の実行中、電磁弁に供給される電流(駆動電流IAC)が第1電流値(目標電流値IOBJ)になるように、電磁弁に昇圧電圧VCを印加し、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、取得された流体圧(燃圧PF)に応じて、第1電流値を設定する第1電流値設定手段(ECU2、ステップ4、5、図10)をさらに備えることを特徴とする。
電磁弁は、流体の流量を調整するものであるので、流体の圧力に応じて、電磁弁の開弁に必要な電流の大きさが変化する。上述した構成によれば、駆動制御の実行中、電磁弁に供給される電流が第1電流値になるように、電磁弁に昇圧電圧が印加される。また、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、第1電流値が、取得された流体の圧力に応じ、第1電流値設定手段によって設定される。これにより、昇圧中駆動制御の直前の駆動制御において、電磁弁に供給される電流を、流体の圧力に見合った適切な大きさに制御できるので、それにより昇圧回路の消費電力を抑制でき、したがって、昇圧回路の熱損失を低減することができるとともに、駆動制御の実行後に昇圧電圧を設定電圧に早期に昇圧することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電磁弁駆動装置1において、制御手段は、昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、駆動制御及び昇圧中駆動制御を同一の電磁弁に対して実行するときには、昇圧中駆動制御の実行中、電磁弁に供給される電流が第2電流値(目標電流値IOBJ)になるように、電磁弁に昇圧電圧VCを印加し、取得された流体圧に応じて、第2電流値を設定する第2電流値設定手段(ECU2、ステップ4、5、図10)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、駆動制御及び昇圧中駆動制御を同一の電磁弁に対して実行するときには、昇圧中駆動制御の実行中、電磁弁に供給される電流が第2電流値になるように、昇圧電圧が電磁弁に印加される。また、この第2電流値が、取得された流体圧に応じ、第2電流値設定手段によって設定される。これにより、昇圧中駆動制御において、電磁弁に供給される電流を、流体の圧力に見合った適切な大きさに制御できるので、請求項2に係る発明の作用と相俟って、昇圧回路の消費電力のさらなる抑制と、昇圧回路の熱損失のさらなる低減を図ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁弁駆動装置1において、制御手段は、駆動制御の実行中、電磁弁に昇圧電圧VCを印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、電磁弁に電源の電圧を印加することによって、電磁弁を開弁状態に保持し、電磁弁への電源の電圧の印加が終了してから昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔INJINTを算出する予測時間間隔算出手段(ECU2、ステップ6)と、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、算出された予測時間間隔INJINTに応じて、昇圧中駆動制御の開始タイミング(噴射開始タイミングINJSTA)を変更する開始タイミング変更手段(ECU2、ステップ7、8)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、駆動制御の実行中、電磁弁に昇圧電圧を印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、電磁弁に電源の電圧を印加することによって、電磁弁が開弁状態に保持される。電磁弁への電源の電圧の印加が終了してから、すなわち駆動制御が終了してから、昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔が短くなるほど、昇圧電圧が昇圧される時間がより短くなるため、昇圧中駆動制御の開始時、電磁弁に印加される昇圧電圧が低くなり、それにより電磁弁が開弁するまでに必要な時間がより長くなる。このため、電磁弁の閉弁タイミングが予め定められている場合には、上述したように電磁弁の開弁に必要な時間がより長くなることによって、流体の所望の流量が得られなくなる可能性がある。
上述した構成によれば、駆動制御が終了してから昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔が、予測時間間隔算出手段によって算出される。また、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、算出された予測時間間隔に応じ、開始タイミング変更手段によって、昇圧中駆動制御の開始タイミングが変更される。これにより、予測時間間隔、すなわち昇圧電圧が昇圧される時間の予測値の長短に応じて、昇圧中駆動制御の開始タイミングを適切に変更できるので、流体の所望の流量を得ることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁弁駆動装置1において、電磁弁は、内燃機関3の気筒#1〜#4内に燃料を噴射する燃料噴射弁4であり、燃料噴射弁4によって、内燃機関3の吸気行程中の燃料噴射と、内燃機関3の圧縮行程中の燃料噴射が行われることを特徴とする。
この構成によれば、電磁弁は、いわゆる直噴式の内燃機関の燃料噴射弁であり、この燃料噴射弁によって、内燃機関の吸気行程中の燃料噴射と、内燃機関の圧縮行程中の燃料噴射とが行われる。これらの吸気行程中及び圧縮行程中の燃料噴射の間の時間間隔は比較的短いので、吸気行程中の燃料噴射用の制御として駆動制御が、圧縮行程中の燃料噴射用の制御として昇圧中駆動制御が、それぞれ実行される場合がある。この燃料噴射弁に本発明を適用することによって、少なくとも圧縮行程中の燃料噴射を適切に行うことができるので、内燃機関の燃焼の安定化や排ガス特性の向上を図ることができる。
請求項6に係る発明は、請求項2に記載の電磁弁駆動装置1において、電磁弁は少なくとも、互いに別個の第1電磁弁及び第2電磁弁で構成され、制御手段は、昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、駆動制御を第1電磁弁に対して、昇圧中駆動制御を第2電磁弁に対して、それぞれ実行するときには、第2電磁弁に供給される電流が第2電流値(目標電流値IOBJ)になるように、第2電磁弁に昇圧電圧VCを印加し、取得された流体圧に応じて、第2電流値を設定する第2電流値設定手段(ECU2、ステップ4、5、図10)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、駆動制御を第1電磁弁に対して、昇圧中駆動制御を第2電磁弁に対して、それぞれ実行するときには、第2電磁弁に供給される電流が第2電流値になるように、第2電磁弁に昇圧電圧が印加される。また、この第2電流値が、取得された流体圧に応じ、第2電流値設定手段によって設定される。これにより、請求項3に係る発明と同様、昇圧中駆動制御において、第2電磁弁に供給される電流を、流体の圧力に見合った適切な大きさに制御できるので、請求項2に係る発明の作用と相俟って、昇圧回路の消費電力のさらなる抑制と、昇圧回路の熱損失のさらなる低減を図ることができる。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の電磁弁駆動装置1において、制御手段は、駆動制御の実行中、第1電磁弁に昇圧電圧VCを印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、第1電磁弁に電源の電圧を印加することによって、第1電磁弁を開弁状態に保持し、第1電磁弁への電源の電圧の印加が終了してから昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔INJINTを算出する予測時間間隔算出手段(ECU2、ステップ6)と、昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、予測された予測時間間隔INJINTに応じて、昇圧中駆動制御の開始タイミングを変更する開始タイミング変更手段(ECU2、ステップ7、8)をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、駆動制御の実行中、第1電磁弁に昇圧電圧を印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、第1電磁弁に電源の電圧を印加することによって、第1電磁弁が開弁状態に保持される。
第1電磁弁への電源の電圧の印加が終了してから、すなわち駆動制御が終了してから、昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔が短くなるほど、昇圧電圧が昇圧される時間がより短くなるため、昇圧中駆動制御の開始時、第2電磁弁に印加される昇圧電圧が低くなり、それにより第2電磁弁が開弁するまでに必要な時間がより長くなる。このため、請求項4に係る発明で述べたように、第2電磁弁の閉弁タイミングが予め定められている場合には、上述したように第2電磁弁の開弁に必要な時間がより長くなることによって、流体の所望の流量が得られなくなる可能性がある。
上述した構成によれば、駆動制御が終了してから昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔が、予測時間間隔算出手段によって算出されるとともに、算出された予測時間間隔に応じ、開始タイミング変更手段によって、昇圧中駆動制御の開始タイミングが変更される。これにより、予測時間間隔、すなわち昇圧電圧が昇圧される時間の予測値の長短に応じて、昇圧中駆動制御の開始タイミングを適切に変更できるので、流体の所望の流量を得ることができる。
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の電磁弁駆動装置1において、第1電流値設定手段は、取得された流体圧に応じた第1電流値の設定を、予測時間間隔INJINTが第1所定時間INTREF1よりも短いときに行い(ステップ11、4、5)、開始タイミング変更手段は、予測時間間隔INJINTに応じた昇圧中駆動制御の開始タイミングの変更を、予測時間間隔INJINTが第1所定時間INTREF1よりも短い第2所定時間INTREF2よりも短いときに行う(ステップ21、7、8)ことを特徴とする。
請求項7に係る発明の説明で述べたように、予測時間間隔が非常に短いときには、昇圧電圧が昇圧される時間が非常に短いため、昇圧中駆動制御の開始時、第2電磁弁に印加される昇圧電圧が低くなる。このため、その場合には、請求項2に係る発明の説明で述べた第1電流値の設定だけでは、昇圧中駆動制御の開始時、電磁弁に印加される電圧が低くなり、それにより電磁弁を迅速に開弁することができない可能性がある。
上述した構成によれば、この流体圧に応じた第1電流値の設定が、予測時間間隔が第1所定時間よりも短いときに行われ、請求項7に係る発明で述べた、予測時間間隔に応じた昇圧中駆動制御の開始タイミングの変更が、予測時間間隔が第1所定時間よりも短い第2所定時間よりも短いときに行われる。これにより、予測時間間隔が非常に短いときに、流体圧に応じた第1電流値の設定と、昇圧中駆動制御の開始タイミングの変更とを組み合わせて行うことができるので、請求項7に係る発明による効果、すなわち流体の所望の流量を得ることができるという効果を、有効に得ることができる。
請求項9に係る発明は、請求項6ないし8のいずれかに記載の電磁弁駆動装置1において、第1及び第2電磁弁はそれぞれ、内燃機関3の第1気筒及び第2気筒にそれぞれ燃料を供給するための第1燃料噴射弁及び第2燃料噴射弁であることを特徴とする。
この構成によれば、第1及び第2電磁弁はそれぞれ、内燃機関の第1気筒及び第2気筒にそれぞれ燃料を供給するための第1燃料噴射弁及び第2燃料噴射弁である。複数の気筒を有する内燃機関では、複数の気筒の間で、燃料噴射弁の開弁タイミングの時間間隔が比較的短くなる場合があり、その場合には、第1燃料噴射弁に対して駆動制御が、第2燃料噴射弁に対して昇圧中駆動制御が、それぞれ実行されることがある。これらの第1及び第2燃料噴射弁に本発明を適用することによって、少なくとも第2燃料噴射弁の燃料噴射を適切に行うことができるので、内燃機関の燃焼の安定化や排ガス特性の向上を図ることができる。
本発明の第1実施形態による電磁弁駆動装置を内燃機関とともに概略的に示す図である。 インジェクタを概略的に示す図である。 昇圧回路及び駆動回路を示す回路図である。 昇圧回路及び1番気筒用の駆動回路を示す回路図である。 通常時用の燃料噴射制御における昇圧電圧などの推移の一例である。 吸気行程噴射の噴射期間や圧縮行程噴射の噴射期間などの関係を、1番〜4番気筒の各々において吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が終了する前に圧縮行程噴射が開始される場合について示す図である。 吸気行程噴射の噴射期間や圧縮行程噴射の噴射期間などの関係を、1番気筒の吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が終了する前に2番気筒の圧縮行程噴射が開始されるとともに、1番気筒の圧縮行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が終了する前に4番気筒の吸気行程噴射が開始される場合について示す図である。 低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中にインジェクタの通常時用の燃料噴射制御が行われた場合における昇圧電圧VCなどの推移の一例を示す図である。 第1実施形態による制御処理を示すフローチャートである。 図9の処理で用いられるマップの一例である。 図9の処理で用いられる図10とは異なるマップの一例である。 図9の制御処理による動作例を比較例とともに示す図である。 図9の制御処理による、図12とは異なる動作例を示す図である。 第2実施形態による制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態による制御処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3は、1番〜4番の4つの気筒#1〜#4を有する4サイクルタイプのガソリンエンジンであり、各気筒には、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)4が、燃焼室に燃料を直接、噴射するように設けられている。また、エンジン3の排気管には、排ガス浄化用の触媒が設けられている(いずれも図示せず)。さらに、図1に示すように、本発明の第1実施形態による電磁弁駆動装置1は、インジェクタ4を駆動するためのものであり、後述するECU2を備えている。
図2に示すように、インジェクタ4は、ケーシング5に収容され、その上端部に固定された電磁石6と、ばね7と、電磁石6の下方に配置されたアーマチュア8と、このアーマチュア8の下側に一体に設けられた弁体9などで構成されている。インジェクタ4には、エンジン3を動力源とする燃料ポンプを有する燃料供給装置(図示せず)から、高圧の燃料が供給される。インジェクタ4に供給される燃料の圧力(以下「燃圧」という)は、弁体9を閉弁方向に押圧するように作用する。また、電磁石6は、ヨーク6aと、その外周に巻かれたコイル6bで構成されており、このコイル6bには、図3に示す駆動回路10が接続されている。ばね7は、ヨーク6aとアーマチュア8の間に配置されており、アーマチュア8を介して弁体9を閉弁方向に付勢する。
また、図3に示すように、電磁弁駆動装置1は、駆動回路10と単一の昇圧回路20を備えている。駆動回路10は、1番〜4番気筒#1〜#4用の駆動回路から成り、これらの駆動回路は互いに同様に構成されているので、以下これらを代表して、1番気筒#1用の駆動回路10Aについて、図4を参照しながら説明する。また、昇圧回路20についても併せて説明する。なお、図3及び図4では、各コイル6bが1番〜4番気筒#1〜#4のどれに対応するのかを表すために、各コイル6bの符号の付近に、対応する気筒の符号をカッコ書きで付している。
図4に示すように、駆動回路10Aは、Nチャネル型のFETでそれぞれ構成された第1〜第3スイッチ11〜13と、ツェナーダイオード14を有しており、昇圧回路20は、スイッチ21、コイル22及び単一のコンデンサ23を有している。スイッチ21は、Nチャネル型のFETで構成されており、そのドレインは、コイル22を介してバッテリ25に接続されるとともに、コンデンサ23を介して第1スイッチ11のドレインに接続されている。バッテリ25は、12Vバッテリであり、エンジン3を動力源とする発電機を用いて充電される。また、スイッチ21のソース及びゲートはそれぞれ、アース及びECU2の後述するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)2a(図2参照)に接続されている。
以上の構成の昇圧回路20では、マイコン2aからの駆動信号SDにより、スイッチ21のドレイン−ソース間が通電状態になると、バッテリ25からの電圧(以下「バッテリ電圧」という)VBが、コイル22を介して昇圧される。昇圧された昇圧電圧VCは、コンデンサ23で平滑化された後、第1スイッチ11のドレインに出力される。
第1スイッチ11のドレイン、ソース及びゲートはそれぞれ、昇圧回路20、電磁石6のコイル6bの一端及びマイコン2aに接続されている。マイコン2aからの第1駆動信号SD1がゲートに入力されると、第1スイッチ11のドレイン−ソース間が通電状態になる。
第2スイッチ12のドレイン、ソース及びゲートはそれぞれ、バッテリ25、コイル6bの一端及びマイコン2aに接続されている。マイコン2aからの第2駆動信号SD2がゲートに入力されると、第2スイッチ12のドレイン−ソース間が通電状態になる。
第3スイッチ13のドレイン、ソース及びゲートはそれぞれ、コイル6bの他端、アース及びマイコン2aに接続されている。マイコン2aからの第3駆動信号SD3がゲートに入力されると、第3スイッチ13のドレイン−ソース間が通電状態になる。
ツェナーダイオード14は、アノード側がアースに接続され、カソード側がコイル6bの他端に接続されている。
以上の構成の駆動回路10Aでは、マイコン2aからの第1〜第3駆動信号SD1〜SD3に応じて、バッテリ電圧VB又は昇圧電圧VCが、インジェクタ4のコイル6bに印加され、駆動電流IACが供給される。具体的には、第1スイッチ11をOFF(非通電状態)し、第2及び第3スイッチ12,13をON(通電状態)することによって、インジェクタ4に、バッテリ電圧VBを印加し、駆動電流IACを供給する。以下、このようにバッテリ電圧VBが印加されたときに供給される駆動電流IACを適宜、「保持電流IH」という。
また、第2スイッチ12をOFF(非通電状態)するとともに、第1及び第3スイッチ11,13をON(通電状態)することによって、インジェクタ4に、昇圧電圧VCを印加し、駆動電流IACを供給する。以下、このように昇圧回路20から昇圧電圧VCが印加されたときに供給される駆動電流IACを適宜、「過励磁電流IEX」という。後述するように、インジェクタ4を駆動する際、これらの過励磁電流IEX及び保持電流IHが、この順でインジェクタ4に供給される。
なお、1番気筒#1用の第1及び第2スイッチ11、12は、4番気筒#4用の第1及び第2スイッチ(いずれも図示せず)としてそれぞれ兼用されている。また、2番気筒#2用及び3番気筒#3用の第1及び第2スイッチ(いずれも図示せず)も、互いにそれぞれ兼用されている。
また、昇圧回路20には、電圧計31が設けられており、この電圧計31は、実際の昇圧電圧VC(以下「実昇圧電圧VCACT」という)を検出し、その検出信号をECU2に出力する。さらに、インジェクタ4には、電流計32が取り付けられており、この電流計32は、コイル6bに実際に流れる駆動電流IAC(以下「実駆動電流IACACT」という)を検出し、その検出信号をECU2に出力する。
また、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)には、クランク角センサ33が設けられている。クランク角センサ33は、クランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号及びTDC信号をECU2に出力する。
CRK信号は、所定クランク角(例えば1°)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、いずれかの気筒においてピストン(図示せず)が吸気行程の開始時の上死点よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、本実施形態のようにエンジン3が4サイクル4気筒タイプの場合には、クランク角180゜ごとに出力される。
また、エンジン3には、気筒判別センサ(図示せず)が設けられている。この気筒判別センサは、気筒を判別するためのパルス信号である気筒判別信号を、ECU2に出力する。ECU2は、これらの気筒判別信号、CRK信号及びTDC信号に基づいて、クランク角CAを算出する。具体的には、このクランク角CAは、1番気筒#1の吸気行程の開始時におけるTDC信号の発生時に値0にリセットされ、CRK信号が発生するクランク角1°ごとにインクリメントされる。
ECU2にはさらに、水温センサ34から、エンジン3の冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が、燃圧センサ35から、前述した燃圧(燃料供給装置からインジェクタ4に供給される燃料の圧力)PFを表す検出信号が、アクセル開度センサ36から、車両のアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、それぞれ出力される。
ECU2は、マイコン2aとI/Oインターフェース(図示せず)で構成されており、マイコン2aは、CPU、RAM及びROMなどで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサ31〜36の検出信号などに応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じて、インジェクタ4による燃料噴射を気筒ごとに制御する。
以下、ECU2によるインジェクタ4の通常時用の燃料噴射制御について、図5に示す昇圧電圧VCなどのパラメータの推移の一例を参照しながら説明する。昇圧電圧VCは、前述したスイッチ21のON/OFF制御により、所定の設定電圧VCSET(例えば60V)になるように、常に制御される。当該制御は、検出された実昇圧電圧VCACTに基づいて行われる。また、図5に示すように、第1〜第3スイッチ11〜13がいずれもOFFで、それにより昇圧電圧VCがインジェクタ4のコイル6bに印加される前の状態では(時点t0〜)、昇圧電圧VCは、通常、上述した制御により設定電圧VCSETに保持されている。
この状態から、算出されたクランク角CAが噴射開始タイミングINJSTAと等しくなると(時点t1)、前述した第1及び第3スイッチ11、13をONすることによって、コイル6bに昇圧電圧VCが印加され、それにより、昇圧電圧VCが減少するとともに、駆動電流IACが急増し、駆動電流IACとしての過励磁電流IEXがコイル6bに供給される。その結果、インジェクタ6のヨーク6aが励磁され、アーマチュア8が弁体9とともに、ばね7の付勢力に抗して電磁石6に引き付けられ、吸着することによって、弁体9のリフト(以下「弁体リフト」という)が急増し、インジェクタ4は所定の開度で迅速に開弁する(図2(b)参照)。それに伴い、インジェクタ4からエンジン3の燃焼室に、燃料が噴射される。
この場合、第1及び第3スイッチ11,13のON/OFFを制御することによって、駆動電流IACとしての前述した過励磁電流IEXが、目標電流値IOBJになるように制御される。当該制御は、検出された実駆動電流IACACTに基づいて行われる。また、目標電流値IOBJは、通常目標電流値IOBJ1に設定される。この通常目標電流値IOBJ1は、検出された燃圧PFに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、算出される。このマップでは、通常目標電流値IOBJ1は、燃圧PFが高いほど、より大きな値に設定されており、その最大値が例えば8Aである。これは、燃圧PFは、前述したようにインジェクタ4の弁体9を閉弁方向に押圧するように作用することから、燃圧PFが高いほど、インジェクタ4がより開弁しにくくなるためである。
さらに、前記噴射開始タイミングINJSTAは、インジェクタ4の燃料噴射の開始タイミングを規定するものであり、クランク角CAで表され、算出されたエンジン回転数NE及び要求トルクに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、算出される。この要求トルクは、エンジン3に要求されるトルクであり、エンジン回転数NE及び検出されたアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、算出される。
そして、駆動電流IACが目標電流値IOBJに達すると(時点t2)、第1スイッチ11をOFFすることによって、コイル6bへの昇圧電圧VCの印加と過励磁電流IEXの供給が停止されるとともに、第2および第3スイッチ12,13をONすることによって、バッテリ電圧VBがコイル6bに印加され、それにより、駆動電流IACが目標電流値IOBJから減少する。
この場合、第2および第3スイッチ12,13のON/OFFを制御することによって、駆動電流IACとしての前述した保持電流IHが、上限値IHOBJHと下限値IHOBJLの間に保持されるように制御される。これにより、弁体リフトが一定値に保持され、インジェクタ4が開弁状態に保持される結果、インジェクタ4からの燃料噴射が継続される。また、上述したインジェクタ4への昇圧電圧VCの印加の停止と、前述した昇圧電圧VCの制御とによって、昇圧電圧VCは、設定電圧VCSETに向かって上昇する。
そして、クランク角CAが噴射終了タイミングと等しくなると(時点t3)、第2及び第3スイッチ12、13をOFFすることによって、インジェクタ4へのバッテリ電圧VBの印加が停止される。これにより、コイル6bへの駆動電流IACの供給が終了されることによって、弁体9がばね7の付勢力で閉弁位置に移動し、弁体リフトが値0になり、インジェクタ4が閉弁する。それに伴い、インジェクタ4による燃料の噴射が終了する。また、昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに収束する(時点t4)。以下、昇圧電圧VCの印加の開始(時点t1)から、昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに復帰するまで(時点t4)に必要とされる期間を、「必要昇圧復帰期間」という。
また、駆動電流IACとしての保持電流IHの供給の終了に伴い、第2及び第3スイッチ12,13がOFFになることによって、コイル6bに残留した保持電流IHが、前述したツェナーダイオード14を介してアースに流れることで、コイル6bは急速に非励磁状態になる。
さらに、上記の噴射終了タイミングは、インジェクタ4の燃料噴射の終了タイミングを規定するものであり、クランク角CAで表され、前述した噴射開始タイミングINJSTA及び燃料噴射時間によって規定される。この燃料噴射時間は、インジェクタ4の開弁時間を規定するものであり、燃圧PF及び要求燃料噴射量に応じて算出される。要求燃料噴射量は、インジェクタ4から噴射すべき燃料噴射量を規定するものであり、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じて算出される。以上により、インジェクタ4の燃料噴射時間、すなわちインジェクタ4の開弁時間は、要求燃料噴射量が得られるように制御される。
以上のように、インジェクタ4を開弁する際に、保持電流IHの供給に先立ち、より大きな過励磁電流IEXを供給し、コイル6bを過励磁することによって、高い燃圧PFに抗してインジェクタ4を開弁させるのに十分な磁力が確保される。また、その後、保持電流IHを供給することによって、消費電力を抑制した状態で、インジェクタ4の開弁状態が保持される。
また、ECU2は、前述した排ガス浄化用の触媒を早期に昇温し、活性化するために、触媒昇温制御を実行する。この触媒昇温制御では、エンジン3の吸気行程中の燃料噴射(以下「吸気行程噴射」)と、触媒を昇温すべく後燃えを生じやすくするために、圧縮行程中の燃料噴射(以下「圧縮行程噴射」)とが行われる。また、エンジン3の運転状態に応じて、エンジン3の出力を得るために、圧縮行程噴射に加え、エンジン3の燃焼を安定化させるために、吸気行程噴射が行われる。
また、図6及び図7は、上述した吸気行程噴射及び圧縮行程噴射が行われた場合における吸気行程噴射の噴射期間(縦線のハッチングで図示)と、圧縮行程噴射の噴射期間(横線のハッチングで図示)と、吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間(右上がりのハッチングで図示)と、圧縮行程噴射に対する必要昇圧復帰期間(左上がりのハッチングで図示)との関係を示している。図6に示すように、1番〜4番気筒#1〜#4の各々において、吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間(図5参照)が終了する前に、すなわち、吸気行程噴射に伴って低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、圧縮行程噴射が開始され、圧縮行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が開始することがある。
また、エンジン3が4つの気筒#1〜#4を有する4サイクルエンジンであるため、図7に示すように、例えば、1番気筒#1の吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が終了する前に、2番気筒#2の圧縮行程噴射が開始され、圧縮行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が開始することがある。同様に、1番気筒#1の圧縮行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が終了する前に、4番気筒#4の吸気行程噴射が開始され、吸気行程噴射に対する必要昇圧復帰期間が開始することがある。以上のように、互いに異なる気筒の間で、必要昇圧復帰期間が終了する前に、燃料噴射が開始することがある。
また、図8は、図6及び図7を用いて述べたような制御動作、すなわち一旦、低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、図5を用いて説明したインジェクタ4の通常時用の燃料噴射制御が行われた場合における昇圧電圧VCなどの推移の一例を示している。なお、図8では、駆動電流IAC及び弁体リフトについては、気筒ごとに示しておらず、4つのインジェクタ4の全体について、同一の時間軸上に示している。
図8に示すように、吸気行程噴射又は圧縮行程噴射のための1段目の燃料噴射制御の実行に伴って低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、続く同じ気筒の圧縮行程噴射又は異なる気筒の吸気行程噴射のための2段目の燃料噴射制御(以下、この2段目の燃料噴射制御を適宜、「昇圧中2段目噴射制御」という)が開始される(時点t5)と、コイル6bに印加される昇圧電圧VCが設定電圧VCSETよりも低くなる。これにより、昇圧中2段目噴射制御の開始時に、駆動電流IACの増加度合(傾き)が、より小さくなることによって、昇圧電圧VCの印加を開始(時点t5)してから駆動電流IACが目標電流値IOBJに達するまで(時点t6)に、時間がかかり、その結果、インジェクタ4の開弁が遅くなってしまう。
また、昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに昇圧されないうちに、再度、コイル6bに印加されるため、この昇圧電圧VCの再度の印加の終了時(時点t6)において、昇圧電圧VCが非常に小さな値になり、ひいては、昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに復帰するまでに、非常に長い時間がかかってしまう。
さらに、インジェクタ4の開弁が上述したように遅くなるのに対して、インジェクタ4の噴射終了タイミングが前述したように定められており、それにより、クランク角CAが噴射終了タイミングと等しくなったとき(時点t7)に、コイル6bへの駆動電流IACの供給を停止し、インジェクタ4を閉弁しなければならない。以上から、図8に示す弁体リフトから明らかなように、インジェクタ4の開弁期間が短くなり、ひいては、インジェクタ4による所望の燃料噴射量が得られなくなってしまう。
また、1段目の燃料噴射制御が終了してから昇圧中2段目噴射制御が開始されるまでの時間間隔が短くなるほど、昇圧電圧VCが昇圧される時間がより短くなるため、図8を用いて上述した不具合は、より顕著になる。
そこで、第1実施形態では、図8を用いて上述したような不具合を防止するために、図9に示す制御処理が実行される。本処理は、1番気筒#1の吸気行程の開始時におけるTDC信号の発生に同期して、繰り返し実行される。まず、図9のステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、触媒昇温制御フラグF_FIREが「1」であるか否かを判別する。この触媒昇温制御フラグF_FIREは、前述した触媒昇温制御の実行中であることを「1」で表すものであり、検出されたエンジン水温TWに応じて設定される。この触媒昇温制御は、本出願人による特開2012−159006に開示されているので、その詳細な説明については省略する。
このステップ1の答がYESで、触媒昇温制御の実行中であるときには、検出された燃圧PFが所定圧PFREFよりも低いか否かを判別する(ステップ2)。この答がYESで、PF<PFREFのときには、2段噴射フラグF_PREが「1」であるか否かを判別する(ステップ3)。この2段噴射フラグF_PREは、各気筒において、前述した吸気行程噴射及び圧縮行程噴射から成る2段噴射が実行されていることを「1」で表すものである。
このステップ3の答がYESのときには、前述した触媒昇温制御や2段噴射の実行により、吸気行程噴射又は圧縮行程噴射のための1段目の燃料噴射制御に伴って低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、続く同じ気筒の圧縮行程噴射又は異なる気筒の吸気行程噴射のための2段目の燃料噴射制御、すなわち昇圧中2段目噴射制御が行われる可能性があると予測する。そして、それによる不具合(図8)を防止するために、ステップ4以降の処理を実行する。
一方、ステップ1〜3の答のいずれかがNOのときには、そのまま本処理を終了し、それにより、図5を用いて説明した通常時用の燃料噴射制御が実行される。これは、触媒昇温制御や2段噴射の実行中でないときには(ステップ1、3:NO)、図8を用いて説明した不具合が生じるおそれがないことから、これを防止するための後述するステップ4以降の処理を実行する必要がないためである。
また、ステップ4以降の処理では、図8を用いて説明した不具合を防止するために、駆動電流IACとしての過励磁電流IEXが、通常時用の燃料噴射制御(図5)の場合よりも小さな値に制御される。これに対して、燃圧PFは、前述したようにインジェクタ4の弁体9を閉弁方向に押圧するように作用するため、燃圧PFが所定圧PFREF以上の場合(ステップ2:NO)において、上記のように過励磁電流IEXを小さな値に制御したときには、インジェクタ4を適切に開弁させることができない可能性があるためである。
ステップ4では、燃圧PFに応じ、図10に示すマップを検索することによって、昇圧中目標電流値IOBJ2を算出する。図10に示すように、このマップでは、昇圧中目標電流値IOBJ2は、前述した通常目標電流値IOBJ1と同様、燃圧PFが高いほど、より大きな値に設定され、同じ燃圧PFに対して、通常目標電流値IOBJ1よりも小さな値に設定されており、その最大値が例えば6Aである。次いで、算出された昇圧中目標電流値IOBJ2を、目標電流値IOBJとして設定する(ステップ5)。この場合、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射における1番〜4番気筒#1〜#4のインジェクタ4のすべての目標電流値IOBJが、昇圧中目標電流値IOBJ2に設定される。
次に、予測時間間隔INJINTを算出する(ステップ6)。この予測時間間隔INJINTは、1段目の燃料噴射制御が終了してから昇圧中2段目噴射制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である。
予測時間間隔INJINTの算出は、次のようにして行われる。すなわち、まず、前述した各気筒の噴射終了タイミング及び噴射開始タイミングINJSTAを、エンジン3の1燃焼サイクルにわたって算出する。これらの噴射終了タイミング及び噴射開始タイミングINJSTAには、圧縮行程噴射のものと、吸気行程噴射のものが含まれる。次いで、算出された各気筒の噴射終了タイミング及び噴射開始タイミングINJSTAに応じて、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御に該当する噴射終了タイミング又は噴射開始タイミングINJSTAを特定する。この特定は、各気筒の噴射終了タイミング及び噴射開始タイミングINJSTAの間の期間を、すべての組合わせについて算出し、算出された期間をエンジン回転数NEに基づいて時間に換算するとともに、換算された期間が所定期間よりも短いか否かを判別することによって、行われる。
次に、特定された、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御に該当する噴射終了タイミング又は噴射開始タイミングINJSTAに応じて、1段目の燃料噴射制御が終了してから昇圧中2段目噴射制御が開始されるまでの期間を、クランク角(°)として算出するとともに、エンジン回転数NEに基づいて時間(sec)に換算することによって、予測時間間隔INJINTが算出される。
前述したように、4つの気筒#1〜#4の噴射終了タイミング及び噴射開始タイミングINJSTAがいずれも、クランク角CA、すなわち、1番気筒#1のTDC信号の発生時を基準(値0)としたクランク角度位置で表されるので、上述したように予測時間間隔INJINTを算出することによって、この算出を精度良く行うことができる。
次いで、前記ステップ6に続くステップ7では、算出された予測時間間隔INJINTに応じ、図11に示すマップを検索することによって、通電早期化時間OFTIMを算出する。図11に示すように、このマップでは、通電早期化時間OFTIMは、予測時間間隔INJINTが短いほど、より大きな値に設定されている。その理由については後述する。また、通電早期化時間OFTIMは、クランク角(°)で表される。
次に、算出された通電早期化時間OFTIMに応じて、昇圧中2段目噴射制御の噴射開始タイミングINJSTAを補正し(ステップ8)、本処理を終了する。具体的には、前述したように要求トルクなどに応じて算出された噴射開始タイミングINJSTAから、通電早期化時間OFTIMを減算した値を、噴射開始タイミングINJSTAとして設定する。これにより、噴射開始タイミングINJSTAは、通電早期化時間OFTIMの分、進角側に(早められるように)補正され、変更される。なお、噴射終了タイミングは、補正前の噴射開始タイミングINJSTAと燃料噴射時間によって規定され、変更されることはない。
また、図12は、上述した制御処理の動作例(実線)を比較例(二点鎖線)とともに、昇圧中2段目噴射制御(1段目の燃料噴射制御に伴って低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に行われる2段目の燃料噴射制御)が行われた場合について示している。この比較例は、本処理と異なり、目標電流値IOBJを通常目標電流値IOBJ1に設定した場合の動作例である。なお、図12では、駆動電流IAC及び弁体リフトについては、図8と同様、気筒ごとに示しておらず、4つのインジェクタ4の全体について、同一の時間軸上に示している。
図12に二点鎖線で示すように、比較例では、目標電流値IOBJが、通常目標電流値IOBJ1に設定される。このため、1段目の燃料噴射制御で消費される昇圧回路20の電気エネルギが比較的大きいことによって、図8を用いて前述したように、昇圧中2段目噴射制御の開始時(時点t8)に、コイル6bに印加される昇圧電圧VCが設定電圧VCSETよりも低くなる。これにより、駆動電流IACの増加度合(傾き)が、より小さくなることによって、昇圧中2段目噴射制御のために昇圧電圧VCの印加を開始(時点t8)してから、駆動電流IACが通常目標電流値IOBJ1に達するまで(時点t9’)に時間がかかり、インジェクタ4の開弁が遅くなってしまう。
また、低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、昇圧中2段目噴射制御が実行され、当該昇圧中2段目噴射制御によって消費される昇圧回路20の電気エネルギも、上述した通常目標電流値IOBJ1への目標電流値IOBJの設定により比較的大きくなる。このため、図12に二点鎖線で示すように、昇圧中2段目噴射制御のための昇圧電圧VCの印加の終了時(時点t9’)において、昇圧電圧VCが過小になり、ひいては、昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに復帰するまでに、非常に長い時間がかかってしまう。それに加え、図12に二点鎖線で示す弁体リフトから明らかなように、比較例では、インジェクタ4の開弁期間が短くなり、ひいては、インジェクタ4による所望の燃料噴射量が得られなくなってしまう。
これに対して、本処理の動作例によれば、図12に実線で示すように、前記ステップ4及び5の実行により、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射における1番〜4番気筒#1〜#4のインジェクタ4のすべての目標電流値IOBJが、通常目標電流値IOBJ1よりも小さな昇圧中目標電流値IOBJ2に設定される。このため、1段目の燃料噴射制御で消費される昇圧回路20の電気エネルギが比較的小さいことによって、昇圧中2段目噴射制御の開始時(時点t8)に、コイル6bに印加される昇圧電圧VCが設定電圧VCSETとほぼ同じになる。これにより、二点鎖線で示す比較例の場合と異なり、駆動電流IACの増加度合(傾き)が小さくならず、昇圧中2段目噴射制御のための昇圧電圧VCの印加を開始(時点t8)してから、駆動電流IACが昇圧中目標電流値IOBJ2に達するまで(時点t9)の時間が短くなり、インジェクタ4を迅速に開弁することができる。
また、昇圧中2段目噴射制御によって消費される昇圧回路20の電気エネルギも、上述した昇圧中目標電流値IOBJ2への目標電流値IOBJの設定により比較的小さくなる。このため、図12に実線で示すように、昇圧中2段目噴射制御のための昇圧電圧VCの印加の終了時(時点t9)において、昇圧電圧VCが過小にならないため、昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに早期に復帰させることができる。それに加え、図12に実線で示す弁体リフトから明らかなように、本処理の動作例では、インジェクタ4の開弁期間が短くなることがなく、インジェクタ4による所望の燃料噴射量を得ることができる。
また、第1実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、次のとおりである。すなわち、第1実施形態におけるインジェクタ4が、本発明における電磁弁、第1電磁弁及び第2電磁弁に相当するとともに、第1実施形態におけるバッテリ25が、本発明における電源に相当する。また、第1実施形態における燃圧センサ35が、本発明における流体圧取得手段に相当するとともに、第1実施形態におけるECU2が、本発明における制御手段、予測手段、第1電流値設定手段、第2電流値設定手段、予測時間間隔算出手段及び開始タイミング変更手段に相当する。
以上のように、第1実施形態によれば、1段目の燃料噴射制御に伴って低下した昇圧電圧VCを昇圧回路20により設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に、2段目の燃料噴射制御、すなわち昇圧中2段目噴射制御が行われるか否かが予測される(ステップ1、3)。また、昇圧中2段目噴射制御が行われると予測された場合(ステップ1、3:YES)において、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御を、同じ1つの気筒のインジェクタ4に対して、異なる2つの気筒のインジェクタ4に対して、それぞれ実行するときに、1段目の燃料噴射制御における目標電流値IOBJが、より小さな昇圧中目標電流値IOBJ2に設定される(ステップ4、5)。
これにより、1段目の燃料噴射制御において消費される電気エネルギが低減されることによって、昇圧中2段目噴射制御の開始時における昇圧電圧VCが設定電圧VCSETに近づくように、1段目の燃料噴射制御が実行される。それにより、昇圧中2段目噴射制御の開始時に、インジェクタ4に電圧を十分に印加できるので、インジェクタ4の制御性を向上させることができる。
また、昇圧中2段目噴射制御が行われると予測された場合において、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御を、同じ1つの気筒のインジェクタ4に対して、異なる2つの気筒のインジェクタ4に対して、それぞれ実行するときに、1段目の燃料噴射制御における目標電流値IOBJが、検出された燃圧PFに応じた昇圧中目標電流値IOBJ2に設定される(ステップ4、5)。これにより、昇圧中2段目噴射制御の直前の1段目の燃料噴射制御において、インジェクタ4の駆動電流IACを、燃圧PFに見合った適切な大きさに制御できるので、それにより昇圧回路20の消費電力を抑制でき、したがって、昇圧回路20の熱損失を低減することができるとともに、1段目の燃料噴射制御の実行後に昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに早期に昇圧することができる。
さらに、昇圧中2段目噴射制御が行われると予測された場合において、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御を、同じ1つの気筒のインジェクタ4に対して、異なる2つの気筒のインジェクタ4に対して、それぞれ実行するときに、昇圧中2段目噴射制御における目標電流値IOBJが、検出された燃圧PFに応じた昇圧中目標電流値IOBJ2に設定される。これにより、昇圧中駆動制御において、インジェクタ4の駆動電流IACを、燃圧PFに見合った適切な大きさに制御できるので、上述した作用・効果と相俟って、昇圧回路20の消費電力のさらなる抑制と、昇圧回路20の熱損失のさらなる低減を図ることができる。
また、1段目の燃料噴射制御の実行中、インジェクタ4に昇圧電圧VCを印加した後、所望の要求燃料噴射量が得られるまで、インジェクタ4にバッテリ25の電圧を印加することによって、インジェクタ4が開弁状態に保持される。1段目の燃料噴射制御におけるインジェクタ4へのバッテリ電圧VBの印加が終了してから、すなわち、1段目の燃料噴射制御が終了してから、昇圧中2段目噴射制御が開始されるまでの時間間隔が短くなるほど、昇圧電圧VCが昇圧される時間がより短くなるため、昇圧中2段目噴射制御の開始時、インジェクタ4に印加される昇圧電圧VCが低くなり、それによりインジェクタ4が開弁するまでに必要な時間がより長くなる。このため、インジェクタ4の閉弁タイミングが予め定められている場合には、上述したようにインジェクタ4の開弁に必要な時間がより長くなることによって、燃料噴射量が小さくなり、要求燃料噴射量が得られなくなる可能性がある。
第1実施形態によれば、1段目の燃料噴射制御が終了してから昇圧中2段目噴射制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔INJINTが算出される(ステップ6)。また、昇圧中2段目噴射制御が行われると予測された場合において、1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御を、同じ1つの気筒のインジェクタ4に対して、異なる2つの気筒のインジェクタ4に対して、それぞれ実行するときに、算出された予測時間間隔INJINTに応じて、昇圧中2段目噴射制御の開始タイミングINJSTAが変更される(ステップ7、8)。これにより、予測時間間隔INJINT、すなわち昇圧電圧VCが昇圧される時間の予測値の長短に応じて、昇圧中2段目噴射制御の開始タイミングを適切に変更できるので、図13に時点t10〜時点t11に示すように、上述したインジェクタ4の開弁遅れに応じた適切な開弁期間が得られ、所望の要求燃料噴射量を得ることができる。
この場合、前述した予測時間間隔INJINTに応じた通電早期化時間OFTIMの設定によって(図11参照)、予測時間間隔INJINTが短いほど、昇圧中2段目噴射制御の開始タイミングINJSTAがより早められるので、上述した昇圧中2段目噴射制御の開始タイミングINJSTAの変更を、より適切に行うことができる。
また、インジェクタ4は、いわゆる直噴式のエンジン3の1番から4番気筒#1〜#4にそれぞれ設けられた燃料噴射弁であり、これらのインジェクタ4によって、エンジン3の吸気行程噴射と圧縮行程噴射とが行われる。したがって、インジェクタ4について、これまでに述べた効果が得られることによって、エンジン3の燃焼の安定化や排ガス特性の向上を図ることができる。
次に、図14を参照しながら、本発明の第2実施形態による制御処理について説明する。本処理は、前述した第1実施形態と比較して、昇圧中2段目噴射制御が行われるか否かを、予測時間間隔INJINTに応じて予測する点が主に異なっている。図14において、図9に示す第1実施形態の制御処理と同じ実行内容の部分については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図14に示すように、本処理では、前記ステップ2に続いてステップ3が実行されず、前記ステップ6が実行され、それにより、前述した予測時間間隔INJINTが算出される。このステップ6に続くステップ11では、算出された予測時間間隔INJINTが第1所定時間INTREF1よりも短いか否かを判別する。
このステップ11の答がNO(INJINT≧INTREF1)のときには、そのまま本処理を終了する一方、YES(INJINT<INTREF1)のときには、昇圧中2段目噴射制御(1段目の燃料噴射制御に伴って低下した昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに昇圧する昇圧動作中に行われる2段目の燃料噴射制御)が行われる可能性があると予測する。そして、それによる不具合を防止するために、前記ステップ4以降を実行し、本処理を終了する。この場合、前記ステップ5に続いてステップ6が実行されず、ステップ7が実行される。
以上のように、第2実施形態によれば、予測時間間隔INJINT、すなわち昇圧電圧VCが昇圧される時間の予測値が第1所定時間INTREF1よりも短いときに、昇圧中2段目噴射制御が行われると予測するので、この予測を適切に行うことができる。したがって、第1実施形態による効果、すなわち、昇圧中2段目噴射制御の開始時にインジェクタ4の制御性を向上させることができるという効果を、適切に得ることができる。その他、第1実施形態による効果を同様に得ることができる。
次に、図15を参照しながら、本発明の第3実施形態による制御処理について説明する。本処理は、上述した第2実施形態と比較して、前記ステップ7及び8による昇圧中2段目噴射制御の噴射開始タイミングINJSTAの補正の可否を、予測時間間隔INJINTに応じて決定する点が主に異なっている。図15において、図14に示す第2実施形態の制御処理と同じ実行内容の部分については、同じ符号を付している。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
図15に示すように、本処理では、前記ステップ5に続いてステップ7が実行されず、ステップ21が実行される。このステップ21では、予測時間間隔INJINTが、第2所定時間INTREF2よりも短いか否かを判別する。この第2所定時間INTREF2は、前記ステップ11で用いられる第1所定時間INTREF1よりも短い時間に設定されている。
このステップ21の答がNO(INJINT≧INTREF2)のときには、そのまま本処理を終了する一方、YES(INJINT<INTREF2)のときには、前記ステップ7以降を実行することによって、予測時間間隔INJINTに応じた昇圧中2段目噴射制御の噴射開始タイミングINJSTAの補正を実行し、本処理を終了する。
以上のように、第3実施形態によれば、第1実施形態で述べた、燃圧PFに応じた昇圧中目標電流値IOBJ2の設定が、予測時間間隔INJINTが第1所定時間INTREF1よりも短いときに行われる(ステップ11、4、5)。また、第1実施形態で述べた、予測時間間隔INJINTに応じた昇圧中2段目噴射制御の噴射開始タイミングINJSTAの変更が、予測時間間隔が第1所定時間INTREF1よりも短い第2所定時間INTREF2よりも短いときに行われる(ステップ21、7、8)。これにより、予測時間間隔INJINTが非常に短いときに、燃圧PFに応じた昇圧中目標電流値IOBJ2の設定と、昇圧中2段目噴射制御の噴射開始タイミングINJSTAの変更とを組み合わせて行うことができるので、前述した効果、すなわち所望の要求燃料噴射量を得ることができるという効果を、有効に得ることができる。その他、第1実施形態による効果を同様に得ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、昇圧中噴射制御の開始時の昇圧電圧VCを設定電圧VCSETに近づけるために、目標電流値IOBJをより小さい昇圧中目標電流値IOBJ2に設定しているが、昇圧電圧VCを印加する時間をより短く設定してもよい。
また、実施形態では、1段目の燃料噴射制御の目標電流値IOBJと、昇圧中2段目噴射制御の目標電流値IOBJを、互いに同じ昇圧中目標電流値IOBJ2に設定しているが、互いに異なる値に設定してもよい。この場合、例えば、触媒昇温制御における1段目の燃料噴射制御及び昇圧中2段目噴射制御のうち、圧縮行程噴射用の目標電流値IOBJを、吸気行程噴射用の目標電流値IOBJよりも大きな値に設定してもよい。触媒昇温制御では、圧縮行程噴射は、触媒を昇温すべく後燃えを生じやすくするために行われる。このため、圧縮行程噴射用の目標電流値IOBJをより大きな値に設定することによって、その噴射開始タイミングINJSTAを適切に制御でき、ひいては、触媒を適切に昇温することができる。
さらに、実施形態では、燃圧PFを、燃圧センサ35によって検出しているが、燃料供給装置の燃料ポンプの運転状態や、燃料ポンプの動力源であるエンジン3の運転状態などに応じて、演算により算出してもよい。また、実施形態では、インジェクタ4の数は、4つであるが、任意である。さらに、実施形態は、本発明による電磁弁駆動装置1をインジェクタ4に適用した例であるが、本発明はこれに限らず、流体の流量を調整するための他の適当な電磁弁に適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 電磁弁駆動装置
2 ECU(制御手段、予測手段、第1電流値設定手段、第2電流値設定手 段、予測時間間隔算出手段、開始タイミング変更手段)
3 エンジン
#1 1番気筒
#2 2番気筒
#3 3番気筒
#4 4番気筒
4 インジェクタ(電磁弁、第1電磁弁、第2電磁弁)
20 昇圧回路
25 バッテリ(電源)
35 燃圧センサ(流体圧取得手段)
VB バッテリ電圧(電源の電圧)
VC 昇圧電圧
IAC 駆動電流(電磁弁に供給される電流)
PF 燃圧(取得された流体圧)
VCSET 設定電圧
IOBJ 目標電流値(第1電流値、第2電流値)
INJINT 予測時間間隔
INJSTA 噴射開始タイミング(昇圧中駆動制御の開始タイミング)
INTREF1 第1所定時間
INTREF2 第2所定時間

Claims (9)

  1. 流体の流量を調整するための電磁弁を駆動する電磁弁駆動装置であって、
    電源の電圧を所定の設定電圧に昇圧するための昇圧回路と、
    当該昇圧回路による昇圧電圧を前記電磁弁に印加することによって前記電磁弁を開弁させる駆動制御を実行する制御手段と、
    前記駆動制御に伴って低下した前記昇圧電圧を前記昇圧回路により前記設定電圧に昇圧する昇圧動作中に行われる前記駆動制御である昇圧中駆動制御が行われるか否かを予測する予測手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、当該昇圧中駆動制御の開始時における前記昇圧電圧が前記設定電圧に近づくように、前記駆動制御を実行することを特徴とする電磁弁駆動装置。
  2. 前記電磁弁によって調整される流体の圧力を取得する流体圧取得手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記駆動制御の実行中、前記電磁弁に供給される電流が第1電流値になるように、前記電磁弁に前記昇圧電圧を印加し、
    前記昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、前記取得された流体圧に応じて、前記第1電流値を設定する第1電流値設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電磁弁駆動装置。
  3. 前記制御手段は、前記昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、前記駆動制御及び前記昇圧中駆動制御を同一の前記電磁弁に対して実行するときには、前記昇圧中駆動制御の実行中、前記電磁弁に供給される電流が第2電流値になるように、前記電磁弁に前記昇圧電圧を印加し、
    前記取得された流体圧に応じて、前記第2電流値を設定する第2電流値設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の電磁弁駆動装置。
  4. 前記制御手段は、前記駆動制御の実行中、前記電磁弁に前記昇圧電圧を印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、前記電磁弁に前記電源の電圧を印加することによって、前記電磁弁を開弁状態に保持し、
    前記電磁弁への前記電源の電圧の印加が終了してから前記昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔を算出する予測時間間隔算出手段と、
    前記昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、前記算出された予測時間間隔に応じて、前記昇圧中駆動制御の開始タイミングを変更する開始タイミング変更手段と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁弁駆動装置。
  5. 前記電磁弁は、内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁であり、
    前記燃料噴射弁によって、前記内燃機関の吸気行程中の燃料噴射と、前記内燃機関の圧縮行程中の燃料噴射が行われることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の電磁弁駆動装置。
  6. 前記電磁弁は少なくとも、互いに別個の第1電磁弁及び第2電磁弁で構成され、
    前記制御手段は、前記昇圧中駆動制御が行われると予測された場合において、前記駆動制御を前記第1電磁弁に対して、前記昇圧中駆動制御を前記第2電磁弁に対して、それぞれ実行するときには、前記第2電磁弁に供給される電流が第2電流値になるように、前記第2電磁弁に前記昇圧電圧を印加し、
    前記取得された流体圧に応じて、前記第2電流値を設定する第2電流値設定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の電磁弁駆動装置。
  7. 前記制御手段は、前記駆動制御の実行中、前記第1電磁弁に前記昇圧電圧を印加した後に、流体の所望の流量が得られるまで、前記第1電磁弁に前記電源の電圧を印加することによって、前記第1電磁弁を開弁状態に保持し、
    前記第1電磁弁への前記電源の電圧の印加が終了してから前記昇圧中駆動制御が開始されるまでの時間間隔の予測値である予測時間間隔を算出する予測時間間隔算出手段と、
    前記昇圧中駆動制御が行われると予測されたときに、当該予測された予測時間間隔に応じて、前記昇圧中駆動制御の開始タイミングを変更する開始タイミング変更手段と、をさらに備えることを特徴とする、請求項6に記載の電磁弁駆動装置。
  8. 前記第1電流値設定手段は、前記取得された流体圧に応じた前記第1電流値の設定を、前記予測時間間隔が第1所定時間よりも短いときに行い、
    前記開始タイミング変更手段は、前記予測時間間隔に応じた前記昇圧中駆動制御の開始タイミングの変更を、前記予測時間間隔が前記第1所定時間よりも短い第2所定時間よりも短いときに行うことを特徴とする、請求項7に記載の電磁弁駆動装置。
  9. 前記第1及び第2電磁弁はそれぞれ、内燃機関の第1気筒及び第2気筒にそれぞれ燃料を供給するための第1燃料噴射弁及び第2燃料噴射弁であることを特徴とする、請求項6ないし8のいずれかに記載の電磁弁駆動装置。
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