JP2014202125A - 往復動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ピストン部と、このピストン部の両側のガイド軸受との間の隙間を調整することができ、安価に振動を抑制することができる往復動圧縮機を提供する。
【解決手段】 この往復動圧縮機は、入力軸と、後方軸と、シリンダ対と、ピストン部と、カム軸とを備え、この偏心カムのピストン受け部がそれぞれピストン部のピストンロッド16の中間に設けられたカム受け面に当接してピストンロッド16を進退させ、シリンダ対の各シリンダ室12a内の圧縮を行う。ピストンロッド16に設けられた被案内部30と、ケース2に設けられ、入力軸の軸心L1に平行な軸心回りに回転自在で被案内部30に案内させるガイド軸受29と、ガイド軸受29の内輪に嵌合されたガイド軸受軸31と、ガイド軸受軸31を、ピストンの中心軸およびガイド軸受29の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段27とを設けた。
【選択図】 図6
【解決手段】 この往復動圧縮機は、入力軸と、後方軸と、シリンダ対と、ピストン部と、カム軸とを備え、この偏心カムのピストン受け部がそれぞれピストン部のピストンロッド16の中間に設けられたカム受け面に当接してピストンロッド16を進退させ、シリンダ対の各シリンダ室12a内の圧縮を行う。ピストンロッド16に設けられた被案内部30と、ケース2に設けられ、入力軸の軸心L1に平行な軸心回りに回転自在で被案内部30に案内させるガイド軸受29と、ガイド軸受29の内輪に嵌合されたガイド軸受軸31と、ガイド軸受軸31を、ピストンの中心軸およびガイド軸受29の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段27とを設けた。
【選択図】 図6
Description
この発明は、入力軸の回転をシリンダ内のピストンの往復運動に変換するレシプロ式の往復動圧縮機に関する。
圧縮機の駆動方式として、カム軸に連繋されたピストンの往復運動により気体の吸引と吐出とを繰り返すレシプロ駆動方式、固定スクロールに対する旋回スクロールを回転させて気体の吸引と吐出とを繰り返すスクロール型のロータリ駆動方式、一対のローラの回転運動により気体の吸引と吐出とを繰り返すローラ型のロータリ駆動方式等が採用されている。
中速回転以下で使用される小型の圧縮機では、高い気密性が要求されることから、上記各駆動方式において気密性で有利なレシプロ駆動方式を採用したものが主流となっている。レシプロ駆動方式である圧縮機の構造が種々提案されている(例えば特許文献1〜6)。
中速回転以下で使用される小型の圧縮機では、高い気密性が要求されることから、上記各駆動方式において気密性で有利なレシプロ駆動方式を採用したものが主流となっている。レシプロ駆動方式である圧縮機の構造が種々提案されている(例えば特許文献1〜6)。
一般的なレシプロ駆動方式は、振動、騒音が高く、また、エネルギー効率が悪いことなどが問題となる。
前記各提案の圧縮機の構造は、それぞれ以下の問題がある。
前記各提案の圧縮機の構造は、それぞれ以下の問題がある。
特許文献1のものは、4つのシリンダに4つのピストンおよびピストンロッドが必要となり、それぞれを配置するためには入力シャフト軸方向の長さが拡張してしまう。また、円筒形であるピストン中心軸高さが隣り合う位相で異なり、重心のバランスを取ることが困難となる。
特許文献2のものは、2ヘッド式の構造であり、第1ピストンおよびその関連アセンブリの質量と、第2ピストンおよびその関連アセンブリの質量とを同じにしても、回転軸に対してバランスを取ることが難しい。
特許文献2のものは、2ヘッド式の構造であり、第1ピストンおよびその関連アセンブリの質量と、第2ピストンおよびその関連アセンブリの質量とを同じにしても、回転軸に対してバランスを取ることが難しい。
特許文献3のものは、ピストンヘッド部とシリンダ内の摺動面との摩擦により、ピストンヘッド部に取り付けられるシールカップおよびピストンリングが損傷、偏摩耗等を生じ、気密性の劣化および摩耗の増大によって、エネルギー損失が増加する恐れがある。
特許文献4には、2気筒の図が示されているが、この構造では回転軸に対してバランスを取るのが難しい。明細書中に2気筒単段以外にも適用可能であると記載されているが、明確な記述はなく、2気筒の考え方で構成されるバランスウェイトをそれぞれ取り付けても、完全に回転バランスを取ることはできない。
特許文献4には、2気筒の図が示されているが、この構造では回転軸に対してバランスを取るのが難しい。明細書中に2気筒単段以外にも適用可能であると記載されているが、明確な記述はなく、2気筒の考え方で構成されるバランスウェイトをそれぞれ取り付けても、完全に回転バランスを取ることはできない。
特許文献5のものは、シャフト軸を中心に等速回転運動する回転部品が、シャフト軸の回転運動をピストン組の直線往復運動に変換する。このピストン組の往復運動の不釣合いによる振動、騒音を、回転部品の両端部にそれぞれ配置するバランスウェイトで抑えている。
特許文献6では、シリンダからの直接的な反力を小さくするために、ピストンの直線往復運動をガイドするガイド軸受を具備しているが、同特許文献6の請求項3(例えば図9)に開示されている構造では、ガイド軸受がスムーズに転がるためには、ガイド軸受とガイド孔の隙間関係を必ず正隙間にする必要がある。しかし、この隙間が大きすぎると、ピストンの往復運動は機構上の正しい位置から大きく外れ不安定な運動をすることで、振動が大きくなる。したがって、前記隙間(各部品の位置精度)を所定の寸法にするためには、高い加工精度が求められる。
また、同特許文献6の請求項2(例えば図3)に開示されている構造では、ピストンの側面幅、軸径、軸穴径、軸穴位置精度、ベアリングがた等多くの部品の加工精度を上げて、ピストンの側面と両サイドのガイド軸受間の隙間を管理する必要がある。
このように高い加工寸法精度を求めることは、量産時の高コスト化になる。
また、同特許文献6の請求項2(例えば図3)に開示されている構造では、ピストンの側面幅、軸径、軸穴径、軸穴位置精度、ベアリングがた等多くの部品の加工精度を上げて、ピストンの側面と両サイドのガイド軸受間の隙間を管理する必要がある。
このように高い加工寸法精度を求めることは、量産時の高コスト化になる。
この発明の目的は、ピストン部と、このピストン部の両側のガイド軸受との間の隙間を調整することができ、安価に振動を抑制することができる往復動圧縮機を提供することである。
この発明の往復動圧縮機は、ケースの一方端に回転自在に支持され、前記ケースの外部から伝達される駆動力により回転させられる入力軸と、
前記ケースの他方端に回転自在に支持され前記入力軸と同心で回転運動する後方軸と、
前記入力軸および前記後方軸の軸心を挟んでこの軸心と垂直な方向に互いに対向して配置された2つのシリンダ室を有するシリンダ対と、
前記シリンダ対の前記シリンダ室内に摺動自在に嵌合した2つのピストンおよびこれら2つのピストンを互いに一体に動作可能に連結したピストンロッドを有するピストン部と、
前記入力軸と前記後方軸の間にこれら入力軸および後方軸と一体に回転可能に設けられて前記入力軸および前記後方軸の軸心に対して偏心したカム軸と、
このカム軸の外周にこのカム軸の軸心回りに回転自在に設置されて外周面に前記カム軸の軸心に対して偏心したカム面であるピストン受け部が設けられた偏心カムとを備え、
この偏心カムの前記ピストン受け部がそれぞれ前記ピストン部の前記ピストンロッドの中間に設けられたカム受け面に当接して前記ピストンロッドを進退させ、
前記シリンダ対の各シリンダ室内の圧縮を行う往復動圧縮機であって、
前記ピストンロッドに設けられた被案内部と、
前記ケースに設けられ、前記入力軸の軸心に平行な軸心回りに回転自在で前記被案内部に案内させるガイド軸受と、
前記ガイド軸受の内輪に嵌合されたガイド軸受軸と、
このガイド軸受軸を、前記ピストンの中心軸および前記ガイド軸受の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段とを設けたことを特徴とする。
前記ケースの他方端に回転自在に支持され前記入力軸と同心で回転運動する後方軸と、
前記入力軸および前記後方軸の軸心を挟んでこの軸心と垂直な方向に互いに対向して配置された2つのシリンダ室を有するシリンダ対と、
前記シリンダ対の前記シリンダ室内に摺動自在に嵌合した2つのピストンおよびこれら2つのピストンを互いに一体に動作可能に連結したピストンロッドを有するピストン部と、
前記入力軸と前記後方軸の間にこれら入力軸および後方軸と一体に回転可能に設けられて前記入力軸および前記後方軸の軸心に対して偏心したカム軸と、
このカム軸の外周にこのカム軸の軸心回りに回転自在に設置されて外周面に前記カム軸の軸心に対して偏心したカム面であるピストン受け部が設けられた偏心カムとを備え、
この偏心カムの前記ピストン受け部がそれぞれ前記ピストン部の前記ピストンロッドの中間に設けられたカム受け面に当接して前記ピストンロッドを進退させ、
前記シリンダ対の各シリンダ室内の圧縮を行う往復動圧縮機であって、
前記ピストンロッドに設けられた被案内部と、
前記ケースに設けられ、前記入力軸の軸心に平行な軸心回りに回転自在で前記被案内部に案内させるガイド軸受と、
前記ガイド軸受の内輪に嵌合されたガイド軸受軸と、
このガイド軸受軸を、前記ピストンの中心軸および前記ガイド軸受の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段とを設けたことを特徴とする。
この構成によると、入力軸を駆動源により回転駆動することで、入力軸および後方軸の軸心に対して偏心したカム軸が一体に回転し、カム軸の軸心が旋回する。このため、このカム軸の外周に回転自在に設置された偏心カムは、入力軸および後方軸の軸心を中心として公転しながら、カム軸の軸心回りに自転する。これと共に、偏心カムの各ピストン受け部が、ピストンロッドの中間のカム受け面に当接して前記ピストンロッドを進退させる。したがって、各シリンダ室内でピストンがそれぞれ摺動する。入力軸の回転運動をシリンダ対の往復運動に変換することで、シリンダ対において気体の圧縮および吐出が繰り返し行われる。シリンダ対で圧縮された圧縮気体は、対象機器に送り出される。
前記のようにピストンロッドを進退させるとき、このピストンロッドに設けられた被案内部が、入力軸の軸心に平行な軸心回りに回転自在なガイド軸受に案内される。ガイド軸受の内輪には、ガイド軸受軸が嵌合されている。進退調整手段により、前記ガイド軸受を前記直交する方向に進退調整することで、ピストンロッドと、ガイド軸受との間の隙間を調整し得る。これによりガイド軸受をガタつきなくスムーズに回転させ、振動の抑制を図ることができる。
したがって、従来のように部品の加工精度を高くすることなく、振動の抑制を図れるため、従来技術よりも製作コストを低減することができる。また、ピストンロッドの被案内部がガイド軸受に案内されることで、ピストンの往復直線運動を円周方向のみならず軸方向にもガイドする。よって、シリンダ室内で摺動するピストンが不所望に傾いたり過度に押し付けられることを防止することにより、ピストンの耐久性が向上するうえ、振動も抑制することが可能となる。
したがって、従来のように部品の加工精度を高くすることなく、振動の抑制を図れるため、従来技術よりも製作コストを低減することができる。また、ピストンロッドの被案内部がガイド軸受に案内されることで、ピストンの往復直線運動を円周方向のみならず軸方向にもガイドする。よって、シリンダ室内で摺動するピストンが不所望に傾いたり過度に押し付けられることを防止することにより、ピストンの耐久性が向上するうえ、振動も抑制することが可能となる。
前記進退調整手段は、前記ケースに設けられ、前記ガイド軸受軸を支持する調整溝を有し、この調整溝は、前記ガイド軸受軸を前記直交する方向に沿って移動可能な長孔からなるものとしても良い。ガイド軸受軸は、ケースに設けられた調整溝に支持される。ガイド軸受軸を、前記長孔からなる調整溝に沿って移動し固定することで、ピストンロッドと、ガイド軸受との間の隙間を容易に調整することができる。
前記ガイド軸受軸は、前記ガイド軸受軸の軸心に対して偏心し前記内輪に嵌合される偏心軸部を含み、前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸をその軸心回りに回転させることで、前記偏心軸部を前記直交する方向に進退調整可能としても良い。この場合、ガイド軸受軸を回転させて偏心軸部を進退調整した後、ガイド軸受軸を回転不能に固定することで、ピストンロッドと、ガイド軸受との間の隙間を容易に調整することができる。
前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸を、前記直交する方向に進退調整しその調整した位置で前記ケースに固定する固定手段を有するものとしても良い。ガイド軸受軸を進退調整した後、このガイド軸受を固定手段によりケースに固定することで、ピストンロッドと、ガイド軸受との間の隙間を適正に維持管理することができる。
前記ガイド軸受軸は、前記ケースを組み付けた状態で、進退調整可能でかつ前記固定手段により前記ケースに固定されるものとしても良い。この場合、ケースを閉じた状態のままつまりケースを開くことなくこのケースの外部から、ガイド軸受軸を進退調整しケースに固定することができるため、メンテナンス性に優れる。前記固定手段として、例えば、ねじを適用し得る。
前記ガイド軸受軸は、前記ケースを組み付けた状態で、進退調整可能でかつ弾性部材を介してねじによって前記ケースに固定されるものとしても良い。
前記ガイド軸受軸は、前記ケースを組み付けた状態で、進退調整可能でかつ弾性部材を介してねじによって前記ケースに固定されるものとしても良い。
前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸を進退調整するときこのガイド軸受軸に予圧を与える予圧付与手段を含むものとしても良い。予圧付与手段によりガイド軸受軸に予圧を与えた状態で、このガイド軸受軸をケースに固定する。これにより、ガイド軸受をガタつきなくスムーズに回転させる状態を維持できる。
この発明の往復動圧縮機は、入力軸と、後方軸と、シリンダ対と、ピストン部と、カム軸とを備え、この偏心カムのピストン受け部がそれぞれ前記ピストン部のピストンロッドの中間に設けられたカム受け面に当接して前記ピストンロッドを進退させ、前記シリンダ対の各シリンダ室内の圧縮を行う往復動圧縮機であって、前記ピストンロッドに設けられた被案内部と、前記ケースに設けられ、前記入力軸の軸心に平行な軸心回りに回転自在で前記被案内部に案内させるガイド軸受と、前記ガイド軸受の内輪に嵌合されたガイド軸受軸と、このガイド軸受軸を、前記ピストンの中心軸および前記ガイド軸受の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段とを設けたため、ピストン部と、このピストン部の両側のガイド軸受との間の隙間を調整することができ、安価に振動を抑制することができる。
この発明の第1の実施形態に係る往復動圧縮機を図1ないし図7と共に説明する。図1は、実施形態に係る往復動圧縮機の要部の断面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。この往復動圧縮機は、カム軸付き回転軸1の回転運動をピストンの往復運動に変換する往復動形の圧縮機である。
図1に示すように、この往復動圧縮機は、主に、ケース2と、カム軸付き回転軸1と、各段が往復動形の複数段形の圧縮機構3と、偏心カム13と、ピストン規制手段17と、進退調整手段27(図5)と、前記ケース2内に形成されたチャンバ4(図2)とを有する。ケース2は例えば概略立方体形状に形成され、このケース2に、カム軸付き回転軸1および圧縮機構3がそれぞれ支持される。
図1に示すように、この往復動圧縮機は、主に、ケース2と、カム軸付き回転軸1と、各段が往復動形の複数段形の圧縮機構3と、偏心カム13と、ピストン規制手段17と、進退調整手段27(図5)と、前記ケース2内に形成されたチャンバ4(図2)とを有する。ケース2は例えば概略立方体形状に形成され、このケース2に、カム軸付き回転軸1および圧縮機構3がそれぞれ支持される。
ケース2は、例えば、二つ割りの分割構造体であって一方のケース分割体に他方のケース分割体が組合わされて複数のボルト等により固定されて成る。
図2に示すように、ケース2の一方端および他方端に、それぞれ軸受5を介して、カム付き回転軸1が回転自在に支持されている。このカム付き回転軸1は、モータまたはエンジン等の駆動源からの駆動力により、直接またはカップリングを介して間接に回転駆動される。なお前記モータのモータ軸と、カム軸付き回転軸1にわたってベルトまたはチェーン等の動力伝達手段を設け、前記モータからの駆動力を動力伝達手段を介してカム軸付き回転軸1に伝達しても良い。
図2に示すように、ケース2の一方端および他方端に、それぞれ軸受5を介して、カム付き回転軸1が回転自在に支持されている。このカム付き回転軸1は、モータまたはエンジン等の駆動源からの駆動力により、直接またはカップリングを介して間接に回転駆動される。なお前記モータのモータ軸と、カム軸付き回転軸1にわたってベルトまたはチェーン等の動力伝達手段を設け、前記モータからの駆動力を動力伝達手段を介してカム軸付き回転軸1に伝達しても良い。
カム軸付き回転軸1は、入力軸6と、この入力軸6の軸心L1に対して径方向に距離Aだけ偏心したカム軸(換言すればクランク軸)7と、前記入力軸6と同心の後方軸8とを有する。入力軸6にカム軸7を介して後方軸8が固定される。入力軸6の軸方向一端部がケース2の一方端から突出し、このケース2内において、入力軸6の軸方向他端部に、カム軸7の軸方向一端部および第1のバランスウェイト9が固定される。同ケース2内にて、カム軸7の軸方向他端部に、後方軸8の軸方向一端部および第2のバランスウェイト10が固定される。後方軸8の軸方向他端部がケース2の他方端から突出する。第1,第2のバランスウェイト9,10は、カム軸7の回転バランスを取るために設けられる。
これら入力軸6、カム軸7、第1,第2のバランスウェイト9,10、および後方軸8は、この例ではそれぞれ別体として部品間で固定する構造にしているが、この構造に限定されるものではない。例えば、これら入力軸6、カム軸7、第1,第2のバランスウェイト9,10、および後方軸8のうち、少なくともいずれか複数のものを互いに一体に削り出し等で形成しても良い。
圧縮機構3について説明する。
圧縮機構3は、第1段の圧縮機構部3aと、第2段の圧縮機構部3bとを有し、これら圧縮機構部3a,3bは前記軸心に沿って並べて設けられる。各圧縮機構部3a,3bは、互いに対向して配置される2つのシリンダ室12aを有するシリンダ対12と、ピストン部26とを有する。圧縮機構3は、順次、第1段の圧縮機構部3aのシリンダ対12および第2段の圧縮機構部3bのシリンダ対12で各段の圧縮を行う。前記対向して配置される2つのシリンダ室12aは、それぞれ入力軸6および後方軸8の軸心L1を挟んで、この軸心L1と垂直な方向に互いに対向する。各段の圧縮機構部3a,3bは、前記カム軸付き回転軸1でそれぞれピストン11が駆動され、かつ、前段である第1段の圧縮機構部3aの圧縮気体出口が、後段である第2段の圧縮機構部3bに順次連通している。
圧縮機構3は、第1段の圧縮機構部3aと、第2段の圧縮機構部3bとを有し、これら圧縮機構部3a,3bは前記軸心に沿って並べて設けられる。各圧縮機構部3a,3bは、互いに対向して配置される2つのシリンダ室12aを有するシリンダ対12と、ピストン部26とを有する。圧縮機構3は、順次、第1段の圧縮機構部3aのシリンダ対12および第2段の圧縮機構部3bのシリンダ対12で各段の圧縮を行う。前記対向して配置される2つのシリンダ室12aは、それぞれ入力軸6および後方軸8の軸心L1を挟んで、この軸心L1と垂直な方向に互いに対向する。各段の圧縮機構部3a,3bは、前記カム軸付き回転軸1でそれぞれピストン11が駆動され、かつ、前段である第1段の圧縮機構部3aの圧縮気体出口が、後段である第2段の圧縮機構部3bに順次連通している。
前記対向して配置された2つのシリンダ室12aを有するシリンダ対12は、同じ圧縮段としている。各シリンダ室12aの外側の端面には、蓋部材14が取り付けられ、シリンダ室12a内における蓋部材14とピストン11との間の空間が圧縮室15とされている。各圧縮機構部3a,3bにおいて、1つのシリンダ室12aと、この1つのシリンダ室12a内で摺動自在に設けられるピストン11と、このピストン11に連結されたピストンロッド16とでシリンダ装置を構成する。なお、蓋部材14の外面には、多数のフィン14aが形成されている。
図3(A)は、往復動圧縮機における第2段の圧縮機構部のピストン部の断面図であり、図3(B)は、図3(A)のD−D線断面図である。図3(A)に示すように、前記ピストン部26は、2つのピストン11と、ピストンロッド16とを有する。
図1,図2に示すように、前記2つのピストン11は、各シリンダ対12の各シリンダ室12a内に設けられて、前記軸心L1と垂直な方向にそれぞれ摺動自在で互いに対向する。ピストンロッド16は、これら2つのピストン11を互いに一体に動作可能に連結している。
図1,図2に示すように、前記2つのピストン11は、各シリンダ対12の各シリンダ室12a内に設けられて、前記軸心L1と垂直な方向にそれぞれ摺動自在で互いに対向する。ピストンロッド16は、これら2つのピストン11を互いに一体に動作可能に連結している。
入力軸6および後方軸8の軸心L1の回りの各シリンダ対12の円周方向位置は、第1段,第2段で互いに異なる。さらに第1段,第2段のシリンダ対12は、軸心L1の軸方向にシリンダ室12aが重なり範囲を有する。また円周方向に隣合う各シリンダ対12の圧縮段が互いに異なる。各段の圧縮機構部3a,3bは、前記軸心L1で隣合う段の各ピストン11の摺動する方向が互いに直交するように配置される。換言すれば、対向する2つのシリンダ室12aの並び方向が、隣合う段で直交するように、複数段の圧縮機構部3a,3bが配置される。
図3(A)に示すように、各ピストン11は、フランジ部11aと、シールカップ11bと、ピストンヘッド11cと、ねじ部材(図示せず)とを有する。1つの段の圧縮機構部3a,3bでは、対向するピストン11のピストン径は同一に構成され、各段毎にピストン径が異なる構成となっている。またこの例では、図2に示すように、第1段の圧縮段におけるピストン11のピストン径は、第2段の圧縮段におけるピストン11のピストン径よりも大径に形成されている。これにより、各段のシリンダ室12aの径が互いに異なっていて、大径側である第1段のシリンダ室12aの、前記軸心L1の軸方向範囲内に、小径側である第2段のシリンダ室12aが収まる配置とされている。
図3において、フランジ部11aは、ピストンロッド16の軸方向両端部にそれぞれ設けられ、ピストンヘッド11cおよびシールカップ11bは、前記ねじ部材によりフランジ部11aに固定される。略円板状のピストンヘッド11cの外周面および一側面に、シールカップ11bが設けられる。このシールカップ11bは、ピストンヘッド11cの外周面に密着する図示外の円筒部と、この円筒部の一方端から内径側に延びる図示外のつば状部とを有し、このつば状部を、ピストンヘッド11cとフランジ部11aとの間に挟み込ませることで固定される。なお前記シールカップ11bの代わりに、C形またはそれに類似した形状のピストンリングを用いても良い。
ピストンロッド16の軸方向中間部分には、段付き貫通状の円形孔の小径側内径面からなるカム受け面16aが形成され、このピストンロッド16のカム受け面16aに、ピストン受軸受18(図2)が嵌合されている。なお、ピストンロッド16の軸方向両端部分には、それぞれ軽量化のための孔16bが形成されている。
図2に示すように、隣合う段で直交する位置に配置される各ピストンロッド16にそれぞれ嵌合されるピストン受軸受18に、偏心カム13が嵌合されている。軸方向に隣合うピストン受軸受18として、例えば、同一サイズの深溝玉軸受が適用される。
図2に示すように、隣合う段で直交する位置に配置される各ピストンロッド16にそれぞれ嵌合されるピストン受軸受18に、偏心カム13が嵌合されている。軸方向に隣合うピストン受軸受18として、例えば、同一サイズの深溝玉軸受が適用される。
偏心カム13について説明する。
図4に示すように、偏心カム13は、カム軸7の外周に、このカム軸7の軸心L2回りにカム軸用軸受19を介して回転自在に支持されている。各カム軸用軸受19は、例えば、2個の深溝玉軸受を軸方向に並べて設けられる。カム軸7の外周に、これら深溝玉軸受からなる各カム軸用軸受19が軸方向に定められた距離離隔して配置される。またこの例では、合計4個の深溝玉軸受として同一サイズのものが適用される。
図4に示すように、偏心カム13は、カム軸7の外周に、このカム軸7の軸心L2回りにカム軸用軸受19を介して回転自在に支持されている。各カム軸用軸受19は、例えば、2個の深溝玉軸受を軸方向に並べて設けられる。カム軸7の外周に、これら深溝玉軸受からなる各カム軸用軸受19が軸方向に定められた距離離隔して配置される。またこの例では、合計4個の深溝玉軸受として同一サイズのものが適用される。
偏心カム13は、カム軸7の軸心L2に対して径方向に距離Bだけ偏心され、かつ、互いに180度位相に配置されるカム面である2つのピストン受け部13aを有する。なおカム軸7の軸心L2に対する偏心カム13の偏心距離Bと、入力軸6の軸心L1に対するカム軸7の偏心距離Aとは同一の距離であっても良いし、異なる距離であっても良い。前記2つのピストン受け部13aに、それぞれ前記ピストン受軸受18を介して、複数のピストン部26(図2)の各カム受け面16a(図3(A))が配置されている。前記2個の深溝玉軸受から成る各カム軸用軸受19の半径方向外方に、順次、ピストン受け部13aおよびピストン受軸受18が設けられる。
図2に示すように、偏心カム13の外周の軸方向の2箇所が、対向する2つのピストン11を受ける環状のピストン受け部13aとなり、これらピストン受け部13aは、各ピストンロッド16の中間に設けられたカム受け面16a(図3)に当接して両ピストンロッド16を進退させる。
ピストン規制手段17について説明する。
図5は、この往復動圧縮機のピストン規制手段17および進退調整手段27等を拡大して示す断面図であり、図6は、図5のE−E線断面図である。図5および図6に示すように、ピストン規制手段17は、ガイド軸受29と、このガイド軸受29に案内される被案内部30とを含む。ケース2内には、前記軸心L1に平行に設けられる複数の軸部28が設けられる。ケース2内における、各段の圧縮機構部3a(図1),3bの各シリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対の軸部28,28が配置される。各軸部28に、それぞれガイド軸受29が前記軸心L1に平行な軸心回りに回転自在に設けられる。
図5は、この往復動圧縮機のピストン規制手段17および進退調整手段27等を拡大して示す断面図であり、図6は、図5のE−E線断面図である。図5および図6に示すように、ピストン規制手段17は、ガイド軸受29と、このガイド軸受29に案内される被案内部30とを含む。ケース2内には、前記軸心L1に平行に設けられる複数の軸部28が設けられる。ケース2内における、各段の圧縮機構部3a(図1),3bの各シリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対の軸部28,28が配置される。各軸部28に、それぞれガイド軸受29が前記軸心L1に平行な軸心回りに回転自在に設けられる。
各軸部28は、前記一方のケース分割体に固定される第1の軸部28aと、前記他方のケース分割体に固定される第2の軸部28bとを有し、これら第1,第2の軸部28a,28bが、同心に配置される。これら第1,第2の軸部28a,28bにおける互いに対向する端部に、ガイド軸受軸31を支持する調整溝32(後述する)が設けられる。
ガイド軸受29は、この例ではシール付きの深溝玉軸受からなる。ガイド軸受29の内輪内周面を、前記ガイド軸受軸31の外周面に圧入状態に嵌合させ、ガイド軸受29の外輪が回転可能に構成される。ガイド軸受29の内輪端面と、第1,第2の軸部28a,28bとの間には、それぞれ内輪間座33が介在されている。ガイド軸受軸31を調整溝32に沿って移動させても、ガイド軸受29の前記内輪端面が内輪間座33に拘束されているため、ガイド軸受29は、前記軸心L1に平行な軸心回りの回転姿勢を保持し得る。換言すれば、ガイド軸受軸31が移動しても、前記内輪端面が内輪間座33に拘束されるため、ガイド軸受29は不所望に傾くことがない。
ケース2内において、第1段の圧縮機構部3a(図1)の1つのシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられる。前記ガイド軸受29の軸方向位置は互いに同一高さに配置される。これと共に、第1段の圧縮機構部3aの他のシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられる。前記ガイド軸受29の軸方向位置は互いに同一高さに配置される。
第2段の圧縮機構部3bについても、第1段と同様に、1つのシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられると共に、他のシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられる。
第2段の圧縮機構部3bについても、第1段と同様に、1つのシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられると共に、他のシリンダ室12a付近に、ピストンロッド16を挟んで一対のガイド軸受29が設けられる。
被案内部30は、ピストンロッド16の両側面部16cにそれぞれ設けられた断面凹形状のレール溝30aからなる。この例では、ピストンロッド16の両側面部16cに、例えば、機械加工等によりレール溝30aがそれぞれ形成される。ピストンロッド16の一側面部16cのレール溝30aに、一対のガイド軸受29のうちの一方のガイド軸受29の外輪を案内させると共に、前記ピストンロッド16の他側面部16cのレール溝30aに、前記一対のガイド軸受29のうちの他方のガイド軸受29の外輪を案内させる。この場合に、ガイド軸受29の外輪端面部が、レール溝30aの両側面に挟まれ、ピストンロッド16の軸方向A1への移動が規制される。
進退調整手段27について説明する。
進退調整手段27は、ガイド軸受軸31を、ピストン11の中心軸L2およびガイド軸受29の軸心L4の両方に直交する方向に進退調整可能な手段である。この進退調整手段27は、第1,第2の軸部28a,28bに設けられる調整溝32を有する。この調整溝32は、前記直交する方向に沿う長孔からなる。ガイド軸受軸31は、前記軸心L1に平行な姿勢を保持しつつ、前記長孔からなる前記調整溝32に沿って移動可能に構成される。
進退調整手段27は、ガイド軸受軸31を、ピストン11の中心軸L2およびガイド軸受29の軸心L4の両方に直交する方向に進退調整可能な手段である。この進退調整手段27は、第1,第2の軸部28a,28bに設けられる調整溝32を有する。この調整溝32は、前記直交する方向に沿う長孔からなる。ガイド軸受軸31は、前記軸心L1に平行な姿勢を保持しつつ、前記長孔からなる前記調整溝32に沿って移動可能に構成される。
また進退調整手段27は、ガイド軸受軸31を固定する固定手段34と、押し込み部材35と、ガイド軸受軸31に予圧を与える予圧付与手段36とを有する。固定手段34は、ガイド軸受軸31を調整溝32に沿って進退調整しその調整した位置でケース2に固定するものである。この実施形態では、固定手段34として、例えば、ボルトが適用される。例えば、第1の軸部28aに前記直交する方向に延びる長孔の調整溝32が形成されている。この調整溝32は、ガイド軸受軸31と同径である。ガイド軸受軸31には、前記ボルトに螺合する雌ねじ31aが形成されている。ケース2を組み付けた状態において、ガイド軸受軸31の雌ねじ31aに前記ボルトを螺合させることで、ガイド軸受軸31をケース2に固定し得る。
押し込み部材35は、例えば、矩形板状の押込部材本体(図示せず)と、この押込部材本体の一端および他端からそれぞれ立設するフランジ部(図示せず)とを有する。第1,第2の軸部28a,28bには、前記フランジ部をそれぞれ調整溝32内に侵入させる孔が形成されている。また前記各フランジ部における先端部分は、前記ガイド軸受軸31の外周面の曲率と同一の円弧面からなる。固定手段34によるガイド軸受軸31の固定が解除された状態で、予圧付与手段36により前記押込部材本体を押し込むようになっている。
予圧付与手段36は、例えば、第1,第2の軸部28a,28bにわたって架設されたベース板36aと、このベース板36aに螺合するボルトからなる調整具36bとを有する。ベース板36aは、押し込み部材35の両フランジ部を案内する凹形状に形成され、このベース板36aの底部に、前記ボルトに螺合される雌ねじが形成されている。ケース2を組み付けた状態において、調整具36bの先端部を前記押込部材本体に当接させて押し込み部材35を押し込むことで、ガイド軸受軸31を調整溝32に沿って進退調整し得る。なお前記固定手段34に代えてまたは前記固定手段34と共に、押し込み部材35を調整具36bで押し込んだ位置で、この調整具36bをベース板36aにロックするナット部材38を設けても良い。
チャンバ4等について説明する。
図2に示すように、チャンバ4は、外部に開口する吸入口20に連通する入口チャンバ4aと、第1段の圧縮段の圧縮機構部3aの圧縮気体出口と第2段の圧縮段の圧縮機構部3bの圧縮気体入口との間に介在する中間チャンバ4bとを有する。ケース2の一方端における、後方軸8の半径方向外方側部分に、環状の入口チャンバ4aが設けられる。ケース2の他方端における、入力軸6の半径方向外方側部分に、環状の中間チャンバ4bが設けられる。このように、入口チャンバ4aおよび中間チャンバ4bをケース2内に設けている。
図2に示すように、チャンバ4は、外部に開口する吸入口20に連通する入口チャンバ4aと、第1段の圧縮段の圧縮機構部3aの圧縮気体出口と第2段の圧縮段の圧縮機構部3bの圧縮気体入口との間に介在する中間チャンバ4bとを有する。ケース2の一方端における、後方軸8の半径方向外方側部分に、環状の入口チャンバ4aが設けられる。ケース2の他方端における、入力軸6の半径方向外方側部分に、環状の中間チャンバ4bが設けられる。このように、入口チャンバ4aおよび中間チャンバ4bをケース2内に設けている。
各シリンダ室12aと蓋部材14との間にはバルブ台21が介在され、このバルブ台21に、吸入バルブ22および吐出バルブ23が設けられる。
図2では各シリンダ室12aにつき、吸入バルブ22と吐出バルブ23が配置されているが、第1段の圧縮段における各シリンダ室12aの圧縮室15に、それぞれ連通する吸入バルブ22および吐出バルブ23がバルブ台21設置され、第2段の圧縮段における各シリンダ室12aの圧縮室15に、それぞれ連通する吸入バルブ22および吐出バルブ23がバルブ台21が設置される。合計4個の吸入バルブ22と4個の吐出バルブ23が設けられる。
第1段の圧縮機構部3aの各シリンダ室12aの圧縮室15は、吸入バルブ22および通路24を介して、前記各シリンダ室12aで共通の入口チャンバ4aと繋がっている。前記各シリンダ室12aの圧縮室15は、それぞれ吐出バルブ23および通路25を介して、前記各シリンダ室12aで共通の中間チャンバ4bと連通している。
図2では各シリンダ室12aにつき、吸入バルブ22と吐出バルブ23が配置されているが、第1段の圧縮段における各シリンダ室12aの圧縮室15に、それぞれ連通する吸入バルブ22および吐出バルブ23がバルブ台21設置され、第2段の圧縮段における各シリンダ室12aの圧縮室15に、それぞれ連通する吸入バルブ22および吐出バルブ23がバルブ台21が設置される。合計4個の吸入バルブ22と4個の吐出バルブ23が設けられる。
第1段の圧縮機構部3aの各シリンダ室12aの圧縮室15は、吸入バルブ22および通路24を介して、前記各シリンダ室12aで共通の入口チャンバ4aと繋がっている。前記各シリンダ室12aの圧縮室15は、それぞれ吐出バルブ23および通路25を介して、前記各シリンダ室12aで共通の中間チャンバ4bと連通している。
外部に開口する吸入口20に連通する入口チャンバ4aは、第1段における各圧縮室15にそれぞれ連通する吸入バルブ22に連通し、前記第1段における各圧縮室15にそれぞれ連通する吐出バルブ23は、中間チャンバ4bの入口に連通する。この中間チャンバ4bの出口は、第2段における各圧縮室15にそれぞれ連通する吸入バルブ22に連通し、前記第2段における各圧縮室15にそれぞれ連通する吐出バルブ23が図示外の吐出チャンバ等を介して対象機器に接続される。
第1段の圧縮機構部3aのシリンダ室12a内においてピストン11が上死点に移動することで、前記シリンダ室12a内の圧縮室15の圧力が増加する。この圧縮室15の圧力が中間チャンバ4bの圧力以上となると、吐出バルブ23が開き圧縮された圧縮気体が前記吐出バルブ23から吐出される。ピストン11が上死点から下死点に移動することで、圧縮室15の圧力が低くなって吸入バルブ22が開くことで、前記シリンダ室12a内に気体が送り込まれる。
第1段の圧縮段におけるシリンダ室12a内において、ピストン11が上死点から下死点に移動することで、圧縮室15の圧力が減少し、吸入バルブ22が開いて入口チャンバ4a内の気体が前記シリンダ室12a内に送られる。その後、同ピストン11が上死点に移動することで、シリンダ室12a内の気体が圧縮され、吐出バルブ23が開いて中間チャンバ4bに送られる。
前記第1段の各シリンダ室12aと90度位相遅れで往復運動する第2段の各シリンダ室12aは、後段の圧縮段用として使用され、第1段の圧縮段で圧縮された気体を中間チャンバ4bから吸入して、さらに圧縮して吐出する。これによって、第1段で圧縮された気体の温度を放熱することができ、効率の向上に繋がる。なお、この例では、2段圧縮方式を採用した実施形態を示したが、1段圧縮方式であって良く、3段以上の多段圧縮方式であっても良い。
図7は、この往復動圧縮機のシリンダ対の動作を説明する図である。
入力軸が回転すると、その回転力が、入力軸の軸心L1から距離bだけオフセットされた位置で偏心カム13に伝達される。それにより、偏心カム13が入力軸および後方軸の軸心L1を中心として旋回するが、偏心カム13のピストン受け部13aがピストンロッド16のカム受け面16aにピストン受軸受18を介して嵌合しているため、偏心カム13が軸心L3回りの角度規制を受ける。それにより、ピストン対12は図7のように動作する。
入力軸が回転すると、その回転力が、入力軸の軸心L1から距離bだけオフセットされた位置で偏心カム13に伝達される。それにより、偏心カム13が入力軸および後方軸の軸心L1を中心として旋回するが、偏心カム13のピストン受け部13aがピストンロッド16のカム受け面16aにピストン受軸受18を介して嵌合しているため、偏心カム13が軸心L3回りの角度規制を受ける。それにより、ピストン対12は図7のように動作する。
同図(A)は、偏心カム13の軸心L3が、入力軸および後方軸の軸心L1の真左に位置する状態を示す。このとき、ピストン受け部13aの中心O1は、入力軸および後方軸の軸心L1から真左に距離(a+b)だけ離れて位置する。
同図(A)の状態から偏心カム13が右回りに90度旋回すると、同図(B)に示す状態となる。すなわち、偏心カム全体が入力軸および後方軸の軸心L1回りに90度公転すると共に、偏心カム13は、この軸心L3回りに公転とは逆方向に90度自転する。このときのピストン受け部13aの中心O1は、入力軸および後方軸の軸心L1と左右同じ位置となる。
同図(A)の状態から偏心カム13が右回りに90度旋回すると、同図(B)に示す状態となる。すなわち、偏心カム全体が入力軸および後方軸の軸心L1回りに90度公転すると共に、偏心カム13は、この軸心L3回りに公転とは逆方向に90度自転する。このときのピストン受け部13aの中心O1は、入力軸および後方軸の軸心L1と左右同じ位置となる。
同図(B)の状態から偏心カム13が右回りに90度旋回すると、同図(C)に示す状態となる。前記と同様に偏心カム13が公転および自転することにより、ピストン受け部13aの中心O1が、入力軸および後方軸の軸心L1から真右に距離(a+b)だけ離れた位置に到達する。つまり、ピストン受け部13aの中心O1が、同図(A)の初期位置から距離(2a+2b)だけ移動したことになる。
その後、同図(C)の状態から偏心カム13が右回りに90度旋回すると、同図(D)に示す状態となる。このとき、ピストン受け部13aの中心O1は、入力軸および後方軸の軸心L1と左右同じ位置となる。さらに同図(D)の状態から偏心カム13が右回りに90度旋回することで、同図(A)の状態に戻る。
前記シリンダ対12の動作において、ピストン受け部13aの中心O1は、ピストンロッド16のカム受け面16aの中心に維持されるから、偏心カム13が360度旋回する間に、ピストンロッド16が(2a+2b)のストロークで1往復の進退運動をする。ここで、偏心カム13の軸心L3に対するピストン受け部13aの中心O1の偏心距離aと、入力軸および後方軸の軸心L1に対する偏心カム13の軸心L3の偏心距離bとは等しいので、ピストンロッド16のストロークは偏心距離a,bの4倍である。
入力軸6(図2)が連続回転することにより、2組のシリンダ対12の各ピストンロッド16がそれぞれ往復運動を繰り返す。シリンダ対12のピストンロッド16がストロークの左端へ移動したときに、左のピストンヘッド11cが上死点に位置し、右のピストンヘッド11cが下死点に位置する。逆に、ピストンロッド16がストロークの右端へ移動したときに、左のピストンヘッド11cが下死点に位置し、右のピストンヘッド11cが上死点に位置する。
作用効果について説明する。
入力軸6を駆動源により回転駆動することで、入力軸6および後方軸8の軸心L1に対して偏心したカム軸7が一体に回転し、カム軸7の軸心L3が旋回する。このため、このカム軸7の外周に回転自在に設置された偏心カム13は、入力軸6および後方軸8の軸心L1を中心として公転しながら、カム軸7の軸心回りに自転する。これと共に、偏心カム13の各ピストン受け部13aが、ピストンロッド16の中間のカム受け面16aに当接してピストンロッド16を進退させる。したがって、各段の各シリンダ室12a内でピストン11がそれぞれ摺動する。入力軸6の回転運動をシリンダ対12の往復運動に変換することで、シリンダ対12において気体の圧縮および吐出が繰り返し行われる。シリンダ対12で圧縮された圧縮気体は、対象機器に送り出される。
入力軸6を駆動源により回転駆動することで、入力軸6および後方軸8の軸心L1に対して偏心したカム軸7が一体に回転し、カム軸7の軸心L3が旋回する。このため、このカム軸7の外周に回転自在に設置された偏心カム13は、入力軸6および後方軸8の軸心L1を中心として公転しながら、カム軸7の軸心回りに自転する。これと共に、偏心カム13の各ピストン受け部13aが、ピストンロッド16の中間のカム受け面16aに当接してピストンロッド16を進退させる。したがって、各段の各シリンダ室12a内でピストン11がそれぞれ摺動する。入力軸6の回転運動をシリンダ対12の往復運動に変換することで、シリンダ対12において気体の圧縮および吐出が繰り返し行われる。シリンダ対12で圧縮された圧縮気体は、対象機器に送り出される。
前記のようにピストンロッド16を進退させるとき、このピストンロッド16に設けられた被案内部30が、入力軸6の軸心L1に平行な軸心回りに回転自在なガイド軸受29に案内される。ガイド軸受29の内輪には、ガイド軸受軸31が嵌合されている。ガイド軸受29を前記直交する方向に進退調整することで、ピストンロッド16と、ガイド軸受29との間の隙間を調整し得る。これによりガイド軸受29をガタつきなくスムーズに回転させ、振動の抑制を図ることができる。またガイド軸受軸31を、前記長孔からなる調整溝32に沿って移動し固定することで、ピストンロッド16と、ガイド軸受29との間の隙間を容易に調整することができる。
したがって、従来のように部品の加工精度を高くすることなく、振動の抑制を図れるため、従来技術よりも製作コストを低減することができる。またピストンロッド16の被案内部30がガイド軸受29に案内されることで、ピストン11の往復直線運動を円周方向のみならず軸方向にもガイドする。よって、シリンダ室12a内で摺動するピストン11が不所望に傾いたり過度に押し付けられることを防止することにより、ピストン11の耐久性が向上するうえ、振動も抑制することが可能となる。
またガイド軸受軸31を進退調整した後、このガイド軸受軸31を固定手段34により固定することで、ピストンロッド16とガイド軸受29との間の隙間を適正に維持管理することができる。
ガイド軸受軸31は、ケース2を組み付けた状態で、進退調整可能でかつ固定手段34によりケース2に固定される。この場合、ケース2を閉じた状態のままつまりケース2を開くことなくこのケース2の外部から、ガイド軸受軸31を進退調整しケース2に固定することができるため、メンテナンス性に優れる。
進退調整手段27は、ガイド軸受軸31を進退調整するときこのガイド軸受軸31に予圧を与える予圧付与手段36を含む。この予圧付与手段36によりガイド軸受軸31に予圧を与えた状態で、このガイド軸受軸31をケース2に固定する。これにより、ガイド軸受29をガタつきなくスムーズに回転させる状態を維持できる。
ガイド軸受軸31は、ケース2を組み付けた状態で、進退調整可能でかつ固定手段34によりケース2に固定される。この場合、ケース2を閉じた状態のままつまりケース2を開くことなくこのケース2の外部から、ガイド軸受軸31を進退調整しケース2に固定することができるため、メンテナンス性に優れる。
進退調整手段27は、ガイド軸受軸31を進退調整するときこのガイド軸受軸31に予圧を与える予圧付与手段36を含む。この予圧付与手段36によりガイド軸受軸31に予圧を与えた状態で、このガイド軸受軸31をケース2に固定する。これにより、ガイド軸受29をガタつきなくスムーズに回転させる状態を維持できる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図8は、他の実施形態に係る往復動圧縮機の進退調整手段等を拡大して示す断面図であり、図9は図8のF−F線断面図である。図8および図9に示すように、ガイド軸受軸31は、偏心軸部31bを含むものとしても良い。偏心軸部31bは、ガイド軸受軸31の軸方向中間部に設けられ、同ガイド軸受軸31における軸方向両端部の軸心L4に対して偏心しガイド軸受内輪に嵌合される。進退調整手段27は、ガイド軸受軸31をその軸心回りに回転させることで、偏心軸部31bを前記直交する方向に進退調整可能としている。
第1,第2の軸部28a,28bには、ガイド軸受軸31の軸方向両端部を回転自在に支持する支持孔28aa,28baがそれぞれ設けられる。ガイド軸受軸31の軸方向一端部には、例えば、同ガイド軸受軸31を回転させるための六角穴31cが形成されている。第1の軸部28aにおける支持孔28aaの底部には、六角レンチ等の工具(図示せず)を挿入可能な孔が形成される。ケース2を組み付けた状態で、前記工具をガイド軸受軸31の六角穴31cに係合させて同ガイド軸受軸31をその軸心L4回りに回転させ得る。
この例では、前記ガイド軸受軸31の固定手段34として、例えば、六角穴付き止めねじが適用される。第1の軸部28aに、支持孔28aaに連通する雌ねじが形成され、この雌ねじに六角穴付き止めねじを螺合可能になっている。ケース2を組み付けた状態において、六角穴付き止めねじを前記雌ねじに螺合させ、この止めねじの先端をガイド軸受軸31の外周面に押圧することで、ガイド軸受軸31をケース2に固定し得る。
この構成によると、ガイド軸受軸31を前記工具を用いて回転させて偏心軸部31bを進退調整する。その後、ガイド軸受軸31を前記固定手段34により回転不能にケース2に固定することで、ピストンロッド16と、ガイド軸受29との間の隙間を容易に調整することができる。
この構成によると、ガイド軸受軸31を前記工具を用いて回転させて偏心軸部31bを進退調整する。その後、ガイド軸受軸31を前記固定手段34により回転不能にケース2に固定することで、ピストンロッド16と、ガイド軸受29との間の隙間を容易に調整することができる。
2…ケース
6…入力軸
7…カム軸
8…後方軸
11…ピストン
12…シリンダ対
12a…シリンダ室
13…偏心カム
13a…ピストン受け部
16…ピストンロッド
16a…カム受け面
26…ピストン部
27…進退調整手段
29…ガイド軸受
30…被案内部
30a…レール溝
31…ガイド軸受軸
31b…偏心軸部
32…調整溝
36…予圧付与手段
6…入力軸
7…カム軸
8…後方軸
11…ピストン
12…シリンダ対
12a…シリンダ室
13…偏心カム
13a…ピストン受け部
16…ピストンロッド
16a…カム受け面
26…ピストン部
27…進退調整手段
29…ガイド軸受
30…被案内部
30a…レール溝
31…ガイド軸受軸
31b…偏心軸部
32…調整溝
36…予圧付与手段
Claims (6)
- ケースの一方端に回転自在に支持され、前記ケースの外部から伝達される駆動力により回転させられる入力軸と、
前記ケースの他方端に回転自在に支持され前記入力軸と同心で回転運動する後方軸と、
前記入力軸および前記後方軸の軸心を挟んでこの軸心と垂直な方向に互いに対向して配置された2つのシリンダ室を有するシリンダ対と、
前記シリンダ対の前記シリンダ室内に摺動自在に嵌合した2つのピストンおよびこれら2つのピストンを互いに一体に動作可能に連結したピストンロッドを有するピストン部と、
前記入力軸と前記後方軸の間にこれら入力軸および後方軸と一体に回転可能に設けられて前記入力軸および前記後方軸の軸心に対して偏心したカム軸と、
このカム軸の外周にこのカム軸の軸心回りに回転自在に設置されて外周面に前記カム軸の軸心に対して偏心したカム面であるピストン受け部が設けられた偏心カムとを備え、
この偏心カムの前記ピストン受け部がそれぞれ前記ピストン部の前記ピストンロッドの中間に設けられたカム受け面に当接して前記ピストンロッドを進退させ、
前記シリンダ対の各シリンダ室内の圧縮を行う往復動圧縮機であって、
前記ピストンロッドに設けられた被案内部と、
前記ケースに設けられ、前記入力軸の軸心に平行な軸心回りに回転自在で前記被案内部に案内させるガイド軸受と、
前記ガイド軸受の内輪に嵌合されたガイド軸受軸と、
このガイド軸受軸を、前記ピストンの中心軸および前記ガイド軸受の軸心の両方に直交する方向に進退調整可能な進退調整手段と、
を設けた
ことを特徴とする往復動圧縮機。 - 請求項1記載の往復動圧縮機において、前記進退調整手段は、前記ケースに設けられ、前記ガイド軸受軸を支持する調整溝を有し、この調整溝は、前記ガイド軸受軸を前記直交する方向に沿って移動可能な長孔からなる往復動圧縮機。
- 請求項1記載の往復動圧縮機において、前記ガイド軸受軸は、前記ガイド軸受軸の軸心に対して偏心し前記内輪に嵌合される偏心軸部を含み、前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸をその軸心回りに回転させることで、前記偏心軸部を前記直交する方向に進退調整可能とした往復動圧縮機。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の往復動圧縮機において、前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸を、前記直交する方向に進退調整しその調整した位置で前記ケースに固定する固定手段を有する往復動圧縮機。
- 請求項4記載の往復動圧縮機において、前記ガイド軸受軸は、前記ケースを組み付けた状態で、進退調整可能でかつ前記固定手段により前記ケースに固定される往復動圧縮機。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の往復動圧縮機おいて、前記進退調整手段は、前記ガイド軸受軸を進退調整するときこのガイド軸受軸に予圧を与える予圧付与手段を含む往復動圧縮機。
Priority Applications (1)
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