JP2014200724A - 強磁性体の分離方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体aから強磁性体粒子を分離するための分離方法であって、コンベアベルト1上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に粉粒体aを堆積させ、この粉粒体aをコンベアベルト1で搬送して磁力選別部2に供給する。磁力選別部2に供給された粉粒体aは、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態にあるため、磁力選別部2による磁気分離作用は、実質的に粉粒体aを粒度別に処理することと同じになる。このため、大径の強磁性体粒子が小・中径の非磁性体粒子を抱き込む現象や、小・中径の強磁性体粒子の吸引が大径の非磁性体粒子により阻害される現象を抑えることができる。
【選択図】図1
Description
磁力選別機は、このような粉粒体から鉄分(強磁性体粒子)を回収する手段として広く用いられているが、粉粒体の粒度分布がシャープ、すなわち粒径が揃っていればいるほど分離効率がよい。換言すると、様々な粒径の粒子が混在している粉粒体は分離効率が悪い。これを図7に基づいて説明する。
このような現象があるため、高純度・高効率な分離が必要とされる工程では、例えば、特許文献1〜3に示されるように、処理対象の粉粒体を複数段の篩で分級し、複数の磁力選別機で粒径別に処理する、或いは粒径別に一時保管し、1台の磁力選別機で処理粒径を切り替えて処理する、という方法が採られる。
したがって本発明の目的は、上記のような従来技術の課題を解決し、強磁性体粒子を含む粉粒体から強磁性体粒子を高い分離効率で低コストに分離することができる分離方法及び装置を提供することにある。
[1]磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離方法であって、
コンベアベルト(1)上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に粉粒体(a)を堆積させ、該粉粒体(a)をコンベアベルト(1)で搬送して磁力選別部(2)に供給することを特徴とする強磁性体の分離方法。
該篩装置(3)に対して、篩の目開きが最も小さい側の端部から粉粒体(a)を供給することにより、篩を通過した粉粒体(a)を、コンベアベルト(1)上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に堆積させることを特徴とする強磁性体の分離方法。
[3]上記[1]又は[2]の分離方法において、篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする強磁性体の分離方法。
[5]上記[1]〜[3]のいずれかの分離方法において、磁力選別部(2)が吊下げ式磁力選別機又は回転ドラム式磁力選別機からなることを特徴とする強磁性体の分離方法。
[6]磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離方法であって、
回転ドラム式磁力選別機(2x)の回転ドラム(5)に対して、粉粒体(a)を、粒度が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向けて順次粗くなるような粒度偏析した状態で供給することを特徴とする強磁性体の分離方法。
該篩装置(3)に対して、篩の目開きが最も小さい側の端部から粉粒体(a)を供給することにより、篩を通過した粉粒体(a)を、回転ドラム(5)に対して、粒度が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態で供給することを特徴とする強磁性体の分離方法。
[8]上記[6]又は[7]の分離方法において、篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする強磁性体の分離方法。
粉粒体(a)を搬送するコンベアベルト(1)と、該コンベアベルト(1)の上方に配置された篩装置(3)と、コンベアベルト(1)で搬送された粉粒体(a)が供給される磁力選別部(2)を備え、
篩装置(3)は、篩の目開きがコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成されるとともに、篩の目開きが最も小さい側の端部に粉粒体(a)の供給部(30)を有することを特徴とする強磁性体の分離装置。
[11]上記[9]又は[10]の分離装置において、コンベアベルト(1)と磁力選別部(2)が、それぞれプーリー式磁力選別機のコンベアベルトと磁石プーリーからなることを特徴とする強磁性体の分離装置。
[12]上記[9]又は[10]の分離装置において、磁力選別部(2)が吊下げ式磁力選別機又は回転ドラム式磁力選別機からなることを特徴とする強磁性体の分離装置。
回転ドラム式磁力選別機(2x)と、該回転ドラム式磁力選別機(2x)の回転ドラム(5)の上方に配置された篩装置(3)を備え、
篩装置(3)は、篩の目開きが回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成されるとともに、篩の目開きが最も小さい側の端部に粉粒体(a)の供給部(30)を有することを特徴とする強磁性体の分離装置。
[14]上記[13]の分離装置において、篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする強磁性体の分離装置。
本発明の分離方法において、強磁性体粒子とは磁力選別部において強磁性体として選別されるべき粒子を、非磁性体粒子とは磁力選別部において非磁性体として選別されるべき粒子を、それぞれ指す。したがって、粉粒体aはこれに含まれるすべての強磁性体が単体分離できる状態にあることが好ましいが、強磁性体粒子の一部として非磁性体が含まれ、非磁性体粒子の一部として強磁性体が含まれることは許容される。
本発明の処理対象である粉粒体aの詳細については後述する。
なお、磁石プーリー4の構成としては、本実施形態以外に種々の形態を採ることができ、例えば、プーリー本体の内側にプーリー本体とは独立して回転駆動する磁石ロール(ロール周方向に異なる極性の磁石が交互に配置されたロール)を設けたもの、磁石プーリー4の内側の周方向で間隔をおいて磁極(永久磁石)を配置するとともに、プーリー胴長方向で異なる極性の磁極が交互に並ぶもの、など種々のタイプのものを使用できる。
なお、磁力選別部2としては、プーリー式磁力選別機(磁石プーリー)のほか、回転ドラム式磁力選別機、吊下げ式磁力選別機などを適用することができる。
なお、篩装置3は、篩を通過した粉粒体aを、コンベアベルト1上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に堆積させればよいので、必ずしもコンベアベルト長手方向と直交するように設ける必要はない。後述する実施形態の回転傾斜篩などについても同様である。
このコンベアベルト1上に堆積した粉粒体aは、コンベアベルト1で搬送されて磁力選別部2に供給され、図1の実施形態で説明した原理により、磁力選別部2の磁力で強磁性体粒子が吸引されることにより非磁性体粒子から分離される。
その他の構成は、図2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
このコンベアベルト1上に堆積した粉粒体aは、コンベアベルト1で搬送されて磁力選別部2に供給され、図1の実施形態で説明した原理により、磁力選別部2の磁力で強磁性体粒子が吸引されることにより非磁性体粒子から分離される。
その他の構成は、図2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
このコンベアベルト1上に堆積した粉粒体aは、コンベアベルト1で搬送されて磁力選別部2(吊下げ式磁気選別機)に供給され、図1の実施形態で説明したと同様の原理により、磁力選別部2の磁力で強磁性体粒子が吸引されることにより非磁性体粒子から分離される。磁力選別部2を構成する吊下げ式磁気選別機は、上述のようにして強磁性体粒子をコンベアベルト6の下面に吸着させて非磁性体粒子から分離し、コンベアベルト6に吸着させたまま磁着物回収部まで搬送する。
その他の構成は、図2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
このコンベアベルト1上に堆積した粉粒体aは、コンベアベルト1で搬送されて磁力選別部2(回転ドラム5)に供給され、図1の実施形態で説明したと同様の原理により、磁力選別部2の磁力で強磁性体粒子が吸引されることにより非磁性体粒子から分離される。コンベア終端部10から払い出された粉粒体aは磁力選別部2(回転ドラム5)の円弧に沿って送られるが、非磁性体粒子は磁力選別部2に吸引されないため、すぐに磁力選別部2から離れ、磁力選別部2の前方に落下する。一方、強磁性体粒子は磁力選別部2に吸引されつつ送られた後、磁場の影響が無くなったところで重力により磁力選別部2の下方に落下する。
回転ドラム式磁力選別機2x及び回転ドラム5の構成は、図5の実施形態と同様である。図6において、aは粉粒体(黒い粒子:強磁性体粒子,白い粒子:非磁性体粒子)である。
ここで、粉粒体aを回転ドラムに対して粒度偏析した状態に供給する方法としては、本実施形態に示すような特別な構成の篩装置を用いることが最も簡便であるが、これに限定されない。例えば、事前に粉粒体aを複数の粒径レベルに分級しておき、これら粒径別の粉粒体aを回転ドラム幅方向の各位置に装入することにより、上記の供給形態を実現してもよい。
ここで、粉粒体aの粒度が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態としては、回転ドラム幅方向において粒度が連続的に変化した状態、同じく段階的に変化した状態、両者が混在した状態、のいずれでもよい。また、いずれの状態でも、不可避的な粒度のばらつき(例えば、粒度が粗い領域に不可避的に粒度の細かい粒子が少量含まれる場合など)は許容される。
この分離装置は、回転ドラム式磁力選別機2xと、この回転ドラム式磁力選別機2xの回転ドラム5の上方に配置された篩装置3を備える。そして、篩装置3は、篩の目開き(篩目)が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成されるとともに、篩の目開きが最も小さい側の端部に粉粒体aの供給部30を有する。
本実施形態の篩装置3は、振動式の傾斜篩(傾斜振動篩)で構成されており、その構成は図2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、篩装置3は回転傾斜篩などで構成してもよい。
本発明による処理対象となる粉粒体aに特別な制限はないが、例えば、製鉄スラグ等のスラグ、鉄鉱石テーリングなどが挙げられる。なかでも本発明は、スラグ(特に、溶銑予備処理スラグ、転炉脱炭スラグなどの製鋼スラグ)中の強磁性体(鉄分)の分離に好適である。粉粒体aは、強磁性体をできるだけ単体分離できるように、予め十分に破砕・粉砕されていることが好ましい。
篩装置3を構成する傾斜振動篩の篩目は5mm、10mm、40mmの3段階とし、製鋼スラグがコンベアベルト1上に粒度偏析した状態に装入されるようにした。篩装置3からのコンベアベルト1上への製鋼スラグの装入層厚は12mmとした。また、コンベヤベルト1の送り速度は3m/sとした。
また、比較例として、篩装置3を用いることなく、他の条件は本発明例と同一にして鉄分の分離処理(磁力選別)を行った。
上記本発明例及び比較例において、磁着回収物の鉄濃度とスラグからの鉄回収率を調べた。その結果を表1に示す。
比較例の磁着回収物は、非鉄成分を巻き込んでいるため鉄濃度が低く、また非磁着側へ鉄を逃しているためスラグからの鉄回収率も低い。これに対して本発明例では、磁着回収物の鉄濃度、スラグからの鉄回収率ともに極めて高い値が得られている。
1 コンベアベルト
2 磁力選別部
2x 回転ドラム式磁力選別機
3 篩装置
4 磁石プーリー
5 回転ドラム
6 コンベアベルト
7 磁石
10 コンベア終端部
11 コンベア始端部
30 供給部
Claims (14)
- 磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離方法であって、
コンベアベルト(1)上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に粉粒体(a)を堆積させ、該粉粒体(a)をコンベアベルト(1)で搬送して磁力選別部(2)に供給することを特徴とする強磁性体の分離方法。 - コンベアベルト(1)の上方に、篩の目開きがコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成された篩装置(3)を配置し、
該篩装置(3)に対して、篩の目開きが最も小さい側の端部から粉粒体(a)を供給することにより、篩を通過した粉粒体(a)を、コンベアベルト(1)上に、粒度がコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態に堆積させることを特徴とする請求項1に記載の強磁性体の分離方法。 - 篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の強磁性体の分離方法。
- コンベアベルト(1)と磁力選別部(2)が、それぞれプーリー式磁力選別機のコンベアベルトと磁石プーリーからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強磁性体の分離方法。
- 磁力選別部(2)が吊下げ式磁力選別機又は回転ドラム式磁力選別機からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強磁性体の分離方法。
- 磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離方法であって、
回転ドラム式磁力選別機(2x)の回転ドラム(5)に対して、粉粒体(a)を、粒度が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向けて順次粗くなるような粒度偏析した状態で供給することを特徴とする強磁性体の分離方法。 - 回転ドラム(5)の上方に、篩の目開きが回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成された篩装置(3)を配置し、
該篩装置(3)に対して、篩の目開きが最も小さい側の端部から粉粒体(a)を供給することにより、篩を通過した粉粒体(a)を、回転ドラム(5)に対して、粒度が回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次粗くなるような粒度偏析した状態で供給することを特徴とする請求項6に記載の強磁性体の分離方法。 - 篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする請求項6又は7に記載の強磁性体の分離方法。
- 磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離装置であって、
粉粒体(a)を搬送するコンベアベルト(1)と、該コンベアベルト(1)の上方に配置された篩装置(3)と、コンベアベルト(1)で搬送された粉粒体(a)が供給される磁力選別部(2)を備え、
篩装置(3)は、篩の目開きがコンベアベルト幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成されるとともに、篩の目開きが最も小さい側の端部に粉粒体(a)の供給部(30)を有することを特徴とする強磁性体の分離装置。 - 篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする請求項9に記載の強磁性体の分離装置。
- コンベアベルト(1)と磁力選別部(2)が、それぞれプーリー式磁力選別機のコンベアベルトと磁石プーリーからなることを特徴とする請求項9又は10に記載の強磁性体の分離装置。
- 磁力選別部(2)が吊下げ式磁力選別機又は回転ドラム式磁力選別機からなることを特徴とする請求項9又は10に記載の強磁性体の分離装置。
- 磁力選別により、強磁性体粒子を含む粉粒体(a)から強磁性体粒子を分離するための分離装置であって、
回転ドラム式磁力選別機(2x)と、該回転ドラム式磁力選別機(2x)の回転ドラム(5)の上方に配置された篩装置(3)を備え、
篩装置(3)は、篩の目開きが回転ドラム幅方向の一方の側から他方の側に向かって順次大きくなるように構成されるとともに、篩の目開きが最も小さい側の端部に粉粒体(a)の供給部(30)を有することを特徴とする強磁性体の分離装置。 - 篩装置(3)が傾斜篩又は回転傾斜篩からなることを特徴とする請求項13に記載の強磁性体の分離装置。
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