JP2014200703A - 高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法 - Google Patents

高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法 Download PDF

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和裕 山邑
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優子 塩谷
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翔 英
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綱之 奥村
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Abstract

【課題】透水性や耐薬品性に優れるとともに、優れた機械的強度を有する高分子多孔質膜を提供する。【解決手段】樹脂と架橋ゴムとからなることを特徴とする高分子多孔質膜。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子多孔質膜及び高分子多孔質膜の製造方法に関する。より詳細には、水処理に用いられる精密濾過膜や限外濾過膜として好適な高分子多孔質膜及びその製造方法に関する。
近年、多孔質膜は、浄水処理、排水処理などの水処理分野、血液浄化などの医療用途、食品工業分野等をはじめ、荷電膜、電池用セパレーター、燃料電池等の様々な方面で利用されている。
例えば、浄水処理用途や排水処理用途などの水処理分野においては、従来の砂濾過、凝集沈殿過程の代替や、処理水質向上のために、多孔質膜が用いられるようになっている。このような水処理分野では処理水量が大きいため、多孔質膜の透水性能が優れていることが要求される。透水性能が優れていれば、膜面積を減らすことが可能となるため、浄水装置がコンパクトになり、設備費の低コスト化が期待できる。
また、浄水処理では、膜の薬液洗浄のために、アルカリ溶液などで膜を洗浄することがあり、多孔質膜には耐薬品性能が求められている。近年では耐薬品性の高い素材としてポリフッ化ビニリデン樹脂等のフルオロポリマーを用いた多孔質膜が研究されてきている(例えば、特許文献1〜14参照)。しかしながら、従来の多孔質膜は透水性の点で充分ではなく、改善の余地があった。
特開2009−203584号公報 特表平10−512194号公報 特開昭63−248405号公報 特開昭63−248406号公報 特開昭58−98105号公報 国際公開2003/106545号パンフレット 特開2003−138422号公報 特開2003−236351号公報 特開平3−38228号公報 特開平3−38227号公報 特表2005−522316号公報 特開昭61−4504号公報 特公昭63−11370号公報 特開2007−167839号公報
本発明は、透水性や耐薬品性に優れるとともに、優れた機械的強度を有する高分子多孔質膜を提供する。
本発明の高分子多孔質膜は、樹脂と架橋ゴムとからなることを特徴とする。
上記樹脂は、ポリビニリデンフルオライド、並びに、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位を有するビニリデンフルオライド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂であることが好ましい。
上記架橋ゴムは、少なくとも1種の架橋フッ素ゴムであることが好ましい。
上記ビニリデンフルオライド共重合体は、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜90/50〜10であることが好ましい。
本発明の高分子多孔質膜は、XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のO元素含有量のF元素含有量に対する比率(O/F)が0.050以上0.150未満であることが好ましい。また、XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のC−F結合のC−H結合に対する比率(C−F/C−H)が0.50より大きいことも好ましい。
上記フッ素樹脂は、更に下記式(1)で表される単位(以下、式(1)単位ともいう)を有することも好ましい。
−CHX−CX(OR)−・・・(1)
(式中、X及びXは、一方が水素原子、他方がフッ素原子であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基のいずれかである。)。
ここで、上記式(1)中のRは、水素、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
本発明の高分子多孔質膜を製造する方法は、架橋可能なフッ素ゴムと、ビニリデンフルオライド単位からなるポリビニリデンフルオライド、並びに、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位からなるビニリデンフルオライド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂とを混合する工程、多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程を行うことを特徴とする。
また、架橋可能なフッ素ゴムとフッ素樹脂とを混合する工程において、必要に応じて更に光架橋開始剤及び架橋助剤を混合してもよい。
本発明の高分子多孔質膜を製造する方法では、上記多孔質膜状に成形する工程において、
非溶媒誘起相分離法及び/又は熱誘起相分離法により多孔質膜状の成形物を得ることが好ましい。
本発明の高分子多孔質膜を製造する方法では、更に、水、及び/又は、炭素数1〜8のアルコールの存在下でアルカリ処理を施す工程を行うことが好ましい。
ここで、上記アルコールは、エタノール、又は、メタノールであることが好ましい。
上記高分子多孔質膜は中空糸膜であることが好ましい。また、上記高分子多孔質膜は、水処理用であることが好ましい。
本発明の中空糸膜は、本発明の高分子多孔質膜からなることを特徴とする。
本発明の高分子多孔質膜は、上述の構成であるため、透水性や耐薬品性に優れるとともに、優れた機械的強度を有する。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法によれば、上記高分子多孔質膜を好適に製造することができる。
以下に本発明を詳述する。
本発明の高分子多孔質膜は、樹脂と、ゴムを架橋して得られる架橋ゴムとからなる。
なお、本願明細書中、樹脂は、ゴム弾性を有さない物質であり、ゴムはゴム弾性を有する物質である。
上記樹脂としては、透水性に優れる樹脂が好ましく、具体的には、フッ素樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロース、ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐薬品性にも優れることからフッ素樹脂が好ましく、親水性に優れることからポリビニリデンフルオライド(PVdF)、又は、ビニリデンフルオライド(VdF)単位及びテトラフルオロエチレン(TFE)単位を有するビニリデンフルオライド共重合体(VdF系共重合体)がより好ましく、曲げ特性及び柔軟性に優れることからVdF単位及びTFE単位を有するVdF系共重合体が更に好ましい。
上記PVdFは、全構成単位がVdF単位である形態の他、その他の構成単位を更に含む形態であってもよいが、全構成単位に占めるVdF単位の割合は90モル%を超えていることが好ましい。より好ましくは92モル%以上であり、更に好ましくは95モル%以上である。
上記VdF系共重合体は、VdF単位及びTFE単位を有するものであるが、全構成単位がVdF単位及びTFE単位である形態の他、その他の構成単位を更に含んでいてもよい。ただし、全構成単位に占めるVdF単位及びTFE単位の合計の割合は、80モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましい。更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくは97モル%以上である。また、VdF系共重合体中におけるVdF単位とTFE単位との割合(VdF単位/TFE単位)は、モル比で50〜90/50〜10であることが好ましく、50〜85/50〜15であることがより好ましい。
この理由は、TFE単位が10モル%以上になると、アルカリ処理によって起こる脱フッ酸反応が抑制されやすくなり、TFE単位が15モル%以上になると、耐アルカリ性が飛躍的に向上するためであり、またTFE単位が50モル%以上になると、溶媒への溶解性が低下し膜の成形が困難になるからである。
上記PVdF及びVdF系共重合体に含まれていてもよいその他の構成単位としては、後述する式(1)で表される単位の他、ヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位、パーフルオロビニルエーテル単位等が挙げられる。
上記フッ素樹脂は、更に下記式(1)で表される単位(以下、式(1)単位ともいう)を有することも好ましい。
−CHX−CX(OR)−・・・(1)
(式中、X及びXは、一方が水素原子、他方がフッ素原子であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基のいずれかである。)。
上記フッ素樹脂が上記式(1)単位を有する場合、本発明の高分子多孔質膜は、透水性により優れることとなる。
上記式(1)中のRは、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基のいずれかであれば良いが、水素、メチル基又はエチル基であることが好ましい。この場合、高分子多孔質膜の透水性が極めて向上することとなるからである。
また、上記フッ素樹脂が上記式(1)単位を複数有する場合、各単位のRは、同一であっても良いし、異なっていても良い。
なお、以下、本明細書においては、上記式(1)単位を有するフッ素樹脂をフッ素樹脂(A1)という。
上記フッ素樹脂の重量平均分子量は、本発明の高分子多孔質膜の用途によって異なるが、機械的強度及び成膜性の観点からは、10000以上であることが好ましい。より好ましくは、50000〜1000000であり、更に好ましくは、100000〜900000である。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記架橋ゴムは、ゴムを架橋して得られるものであるが、該ゴムとしては、光架橋、放射線架橋、熱架橋又は化学架橋により架橋できるゴムが好ましく、具体的にはフッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。なかでも、耐熱性及び耐薬品性に優れることからフッ素ゴムが好ましく、フッ素ゴムとしては、パーフルオロゴムおよび非パーフルオロゴムが挙げられるが、透水性に優れることから非パーフルオロゴムが好ましい。非パーフルオロゴムは、高分子多孔質膜を製造する際の多孔質膜状に成形する工程において、多孔質膜状の成形物を得る場合の溶媒への溶解性、分散性の面からも好ましい。
このように、架橋ゴムが架橋フッ素ゴムであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の高分子多孔質膜は、樹脂に加えて架橋ゴムを含むことによって、機械的強度、特に引っ張り強度、破断強度、に更に優れたものとなる。
上記フッ素ゴムは、通常、主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子を有し且つゴム弾性を有する重合体からなる。上記フッ素ゴムは、1種の重合体からなるものであってもよいし、2種以上の重合体からなるものであってもよい。
フッ素ゴムの種類としては、上述したように非パーフルオロゴムが好ましく、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/VdF共重合体、エチレン/HFP共重合体、エチレン/HFP/VdF共重合体、エチレン/HFP/TFE共重合体、VdF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、及び、VdF/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記ビニリデンフルオライド(VdF)単位を含む共重合体からなるフッ素ゴム(以下、「VdF系フッ素ゴム」ともいう。)について説明する。VdF系フッ素ゴムは、少なくともビニリデンフルオライドに由来する重合単位を含むフッ素ゴムである。
VdF単位を含む共重合体としては、VdF単位及び含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位(但し、VdF単位は除く。)を含む共重合体であることが好ましい。VdF単位を含む共重合体は、更に、VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位を含むことも好ましい。
VdF単位を含む共重合体としては、30〜85モル%のVdF単位及び70〜15モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことが好ましく、30〜80モル%のVdF単位及び70〜20モル%の含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位を含むことがより好ましい。VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の共重合単位は、VdF単位と含フッ素エチレン性単量体由来の共重合単位との合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体としては、例えばTFE、CTFE、トリフルオロエチレン、HFP、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEともいう)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体が挙げられるが、これらのなかでも、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記PAVEとしては、一般式(2):
CF=CFO(CFCFYO)−(CFCFCFO)−R (2)
(式中、YはF又はCFを表し、Rは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)、及び、一般式(3):
CFX=CXOCFOR (3)
(式中、Xは、同じか又は異なって、H、F又はCFを表し、Rは、直鎖又は分岐した、炭素数が1〜6のフルオロアルキル基、若しくは、炭素数が5又は6の環状フルオロアルキル基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(3)におけるRは、H、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含むフルオロアルキル基であってもよい。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)又はパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)であることがより好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)であることが更に好ましい。これらをそれぞれ単独で、又は任意に組み合わせて用いることができる。
VdF及び含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
このようなVdF単位を含む共重合体として、具体的には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体などの1種又は2種以上が好ましく挙げられる。これらのVdF単位を含む共重合体のなかでも、耐熱性、圧縮永久ひずみ、加工性、コストの点から、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体がとくに好ましい。
VdF/HFP共重合体としては、VdF/HFPのモル比が45〜85/55〜15であるものが好ましく、より好ましくは50〜80/50〜20であり、更に好ましくは60〜80/40〜20である。
VdF/HFP/TFE共重合体としては、VdF/HFP/TFEのモル比が30〜80/10〜35/10〜35のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEのモル比が65〜90/10〜35のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEのモル比が40〜80/3〜40/15〜35のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEのモル比が65〜90/3〜25/3〜25のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/PAVEのモル比が40〜90/0〜25/0〜40/3〜35のものが好ましく、より好ましくは40〜80/3〜25/3〜40/3〜25である。
上記フッ素ゴムは、架橋部位を与えるモノマー由来の共重合単位を含む共重合体からなることも好ましい。架橋部位を与えるモノマーとしては、例えば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有モノマー、特表平4−505341号公報に記載されている臭素含有モノマー、特表平4−505345号公報、特表平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アルコキシカルボニル基含有モノマーなどが挙げられる。
上記フッ素ゴムは、主鎖末端にヨウ素原子又は臭素原子を有するフッ素ゴムであることも好ましい。主鎖末端にヨウ素原子又は臭素原子を有するフッ素ゴムは、実質的に無酸素下で、水媒体中でハロゲン化合物の存在下に、ラジカル開始剤を添加してモノマーの乳化重合を行うことにより製造できる。使用するハロゲン化合物の代表例としては、例えば、一般式(4):
Br (4)
(式中、x及びyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは、炭素数1〜16の飽和若しくは不飽和のフルオロ炭化水素基、炭素数1〜16の飽和若しくは不飽和のクロロフルオロ炭化水素基、炭素数1〜3の炭化水素基、又は、ヨウ素原子若しくは臭素原子で置換されていてもよい炭素数3〜10の環状炭化水素基であり、これらは酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物が挙げられる。
上記ハロゲン化合物としては、例えば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、
CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ベンゼンのジヨードモノブロモ置換体、並びに、ベンゼンの(2−ヨードエチル)及び(2−ブロモエチル)置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン又はジヨードメタンを用いるのが好ましい。
上記フッ素ゴムは、加工性が良好な点から、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))が5〜140であることが好ましく、10〜120であることがより好ましく、20〜100であることが更に好ましい。
上記架橋フッ素ゴムは、上記フッ素ゴムを架橋して得られるものであるが、中でも、光架橋可能なフッ素ゴムを光架橋して得られるものであることが好ましく、光架橋可能なフッ素ゴム、光架橋開始剤及び架橋助剤を含むフッ素ゴム組成物から形成されるものであることがより好ましい。
上記光架橋可能なフッ素ゴムとしては、上記フッ素ゴムの中でも、少なくとも分子末端に1つ以上のヨウ素、臭素、塩素、アクリル誘導体基、アリル誘導体基、ビニル誘導体基、又はエポキシ誘導体基等の架橋点を有するフッ素ゴムであることが好ましい。より好ましくは、ヨウ素及び/又は臭素を0.001〜10重量%含有する含フッ素重合体からなるフッ素ゴムである。
上記ヨウ素及び/又は臭素を0.001〜10重量%含有する含フッ素重合体からなるフッ素ゴムを得るために、含フッ素重合体にヨウ素又は臭素を導入する方法としては、特に制限されず、通常採用される方法を用いることができるが、例えば、特開平8−53595号公報、特公平5−63482号公報、特開平4−288305号公報、特公昭53−4115号公報等に記載されているフッ素ゴムの構成モノマー重合時にヨウ素及び/又は臭素を含有するモノマーを共重合する方法や、特開昭63−23907号公報、特公平6−11773号公報、特公平1−16844号公報、特公昭63−41928号公報、特公平5−406号公報、特開昭62−36407号公報等に記載されているフッ素ゴムの構成モノマー重合時の重合開始剤または連鎖移動剤としてヨウ素又は臭素化合物を使用する方法などが挙げられる。
上記光架橋可能なフッ素ゴムはこのような方法により製造することができるが、上記光架橋可能なフッ素ゴムは市販品であってもよい。
上記光架橋可能なフッ素ゴムの市販品としては、例えば、ダイキン工業社製のダイエル、デュポンエラストマー社製のバイトンなどが挙げられる。
上記光架橋開始剤としては、光架橋を行う際に通常用いられる光架橋開始剤を使用することができる。具体的には、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノンなどのアセトフェノン類のほか、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのヒドロキシアセトフェノン類などのアセトフェノン系開始剤;アミノフェノン系開始剤;ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤;チオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソンなどのチオキサンソン系開始剤;そのほかα−アシロキシムエステル、アシルホスフィンオキサイド、ベンジル、カンファーキノン、2−エチルアンスラキノン、ミヒラーケトンなどが挙げられる。
フッ素ゴム組成物における光架橋開始剤の配合量としては、光架橋可能なフッ素ゴム100重量部に対して0.05〜10重量部であることが好ましい。光架橋開始剤の配合量がこのような範囲であることにより、光架橋を充分に進行させることができる。より好ましくは1〜5重量部である。
上記架橋助剤としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート等の多官能性ウレタン系架橋助剤;エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ系架橋助剤;アリルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、メトキシ−1,6−ヘキサンジオールペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチレンオキシドグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマー、リン酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドアダクトジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型ジ(メタ)アクリレート、アルミニウムトリ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、カルシウムジ(メタ)アクリレート、マグネシウムジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系架橋助剤;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート系架橋助剤;トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のイソシアヌレート系架橋助剤;ペンタエリスリトールトリアリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブトキシ)ジ(ジトリデシル)チタネート等のアリル系架橋助剤;などが挙げられる。
これらの中でも、高分子多孔質膜を製造する際の多孔質膜状に成形する工程において、非溶媒誘起相分離法により多孔質膜状の成形物を得る場合、非溶媒を含む凝固浴中に浸漬することなるため、架橋助剤としては、非溶媒に溶解しにくいものが好ましい。そのような架橋助剤として、具体的には、(ポリ)ウレタンアクリレートが好ましい。
フッ素ゴム組成物における架橋助剤の配合量は、光架橋可能なフッ素ゴム100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部である。
上記フッ素ゴム組成物は、必要に応じて更に、光増感剤、界面活性剤、含フッ素熱可塑性ゴム等を含むことも好ましい。
上記光増感剤は、光架橋開始剤がベンゾフェノン系開始剤やチオキサンソン系開始剤である場合に用いることが好ましく、該光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン系のトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど;芳香族アミン系の4,4’−ジエチルアミノフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、他に2,4−ジエチルチオキサンソンなどが挙げられる。
フッ素ゴム組成物に光増感剤を加える場合の、光増感剤の配合量としては、光架橋可能なフッ素ゴム100重量部に対して0.05〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
上記界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。
フッ素ゴム組成物に界面活性剤を加える場合の、界面活性剤の配合量としては、光架橋可能なフッ素ゴムと樹脂の合計100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量部であり、更に好ましくは5〜30重量部である。
上記フッ素ゴム組成物に光を照射することによって上記架橋フッ素ゴムを形成することが可能である。その際、照射される光線としては、放射線、紫外線、可視光線などが挙げられるが、設備の面及び操作性の面から、紫外線又は可視光線であることが好ましく、より好ましくは紫外線である。
上記架橋フッ素ゴムはまた、上記フッ素ゴムを熱架橋して得ることも可能である。該熱架橋の架橋系としては、パーオキサイド架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系、ポリチオール架橋系などが挙げられるが、中でも、パーオキサイド架橋系及びポリオール架橋系からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
耐薬品性の観点からはパーオキサイド架橋系がより好ましく、耐熱性の観点からはポリオール架橋系がより好ましい。
上記パーオキサイド架橋系により熱架橋する場合には、上記架橋フッ素ゴムは、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、熱架橋剤として有機過酸化物を含むフッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物から形成されるものであることが好ましい。
上記パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、上記フッ素ゴムのうち、パーオキサイド架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記パーオキサイド架橋可能な部位としては特に限定されず、例えば、ヨウ素原子を有する部位、臭素原子を有する部位等を挙げることができる。
上記架橋部位を導入する方法としては、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムの重合時に架橋部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエイトなどを挙げることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物における有機過酸化物の配合量としては、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。有機過酸化物の配合量がこのような範囲であることにより、パーオキサイド架橋を充分に進行させることができる。より好ましくは0.1〜5.0質量部である。
上記フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物は、必要に応じて更に、架橋助剤等を含むことも好ましい。
上記架橋助剤は、熱架橋剤が有機過酸化物である場合に用いることが好ましく、該架橋助剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイト、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性及び得られる高分子多孔質膜の物性が優れる点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ウレタンアクリレートが好ましい。
フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物に架橋助剤を加える場合の、架橋助剤の配合量としては、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量部である。架橋助剤が、0.01質量部より少ないと、架橋時間が実用に耐えないほど長くなる傾向があり、10質量部をこえると、架橋時間が速くなり過ぎることに加え、得られる高分子多孔質膜の圧縮永久歪も低下する傾向がある。
上記フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物は、必要に応じて更に、界面活性剤を含んでいてもよい。当該界面活性剤の種類、配合量としては、上記フッ素ゴム組成物と同様とすることができる。
上記架橋フッ素ゴムはまた、少なくとも上記パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムと架橋助剤とを含むフッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物を溶媒に浸漬させて架橋反応を起こすことによっても得られる。その場合、熱架橋剤をフッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物に含まなくてもよい。
なお、当該フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物は、上記フッ素ゴム組成物と同様に界面活性剤を含んでいてもよい。
上記溶媒としては、フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物を溶解しない少なくとも1種の溶媒を用いることが好ましい。例えば、イオン交換水等の水を用いることが好ましい。
フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物を溶媒に浸漬させて架橋反応を行う場合、熱架橋剤を溶媒に共存させることも好ましい。該熱架橋剤としては、上記有機過酸化物、及び無機過酸化物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。上記無機過酸化物としては、過酸化水素水;過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化バリウム等のアルカリ(土類)金属過酸化物;超酸化カリウム等のアルカリ(土類)金属超酸化物;過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。作業性の面や後処理の面から過硫酸アンモニウムが好ましい。架橋反応の制御を目的に、必要に応じて二価の鉄塩、一価の銅塩、アンモニア水、アミン類を更に溶媒に添加してもよい。
上記フッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物を溶媒に浸漬させて架橋反応を行う場合の、架橋助剤としては、上記架橋助剤のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記ポリオール架橋系により熱架橋する場合には、上記架橋フッ素ゴムは、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、熱架橋剤としてポリヒドロキシ化合物を含むフッ素ゴムポリオール架橋用組成物から形成されるものであることが好ましい。
上記ポリオール架橋可能なフッ素ゴムとしては特に限定されず、上記フッ素ゴムのうち、ポリオール架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。上記ポリオール架橋可能な部位としては特に限定されず、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)単位を有する部位等を挙げることができる。
上記架橋部位を導入する方法としては、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムの重合時に架橋部位を与える単量体を共重合する方法等が挙げられる。
上記ポリヒドロキシ化合物としては、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’―ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いてポリオール架橋可能なフッ素ゴムを凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
フッ素ゴムポリオール架橋用組成物におけるポリヒドロキシ化合物の配合量としては、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100質量部に対して0.01〜8質量部であることが好ましい。ポリヒドロキシ化合物の配合量がこのような範囲であることにより、ポリオール架橋を充分に進行させることができる。より好ましくは0.02〜5質量部である。
上記フッ素ゴムポリオール架橋用組成物は、必要に応じて更に、架橋促進剤等を含むことも好ましい。
上記架橋促進剤は、熱架橋剤がポリヒドロキシ化合物である場合に用いることが好ましく、該架橋促進剤は、ポリマー主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進する。
なお、架橋促進剤は、更に、酸化マグネシウム等の受酸剤や、水酸化カルシウム等の架橋助剤と組み合わせて用いてもよい。
上記架橋促進剤としては、オニウム化合物が挙げられ、オニウム化合物のなかでも、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、及び、1官能性アミン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8―ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロライド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性及び得られる高分子多孔質膜の物性が優れる点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロライド、トリブチルアリルホスホニウムクロライド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロライド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロライドなどを挙げることができ、これらの中でも、架橋性及び得られる高分子多孔質膜の物性が優れる点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩とビスフェノールAFとの固溶体、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFとの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
フッ素ゴムポリオール架橋用組成物に架橋促進剤を加える場合の、架橋促進剤の配合量は、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部未満であると、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムの架橋が充分に進行せず、得られる高分子多孔質膜の耐熱性及び耐油性が低下する傾向があり、8質量部をこえると、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムの成形加工性が低下する傾向がある。
本発明の高分子多孔質膜は、その一部分が上記樹脂と上記架橋ゴムとからなるものであっても、全体が上記樹脂と架橋ゴムとからなるものであってもよい。
また、上記高分子多孔質膜は、その表面が上記フッ素樹脂(A1)と架橋フッ素ゴムとからなるものであることが好ましい。
この場合、極めて透水性に優れた高分子多孔質膜となるからである。
後述するように、本発明の高分子多孔質膜は、上記フッ素樹脂と上記フッ素ゴムとの混合物に、特定のアルカリ処理工程を経て製造することもできる。
よって、上記高分子多孔質膜は、上記フッ素樹脂と上記フッ素樹脂(A1)と架橋フッ素ゴムとを含んでなるものであってもよい。
上記高分子多孔質膜の一部が、上記フッ素樹脂(A1)からなる場合、上記フッ素樹脂(A1)のフッ素樹脂全体に占める割合は、0.01〜99重量%であることが好ましい。
本発明の高分子多孔質膜は、実質的に上記フッ素樹脂及び架橋フッ素ゴムのみからなるものであってもよいが、上記フッ素樹脂及び架橋フッ素ゴムに加えて、更に、他の樹脂を含んでなるものであってもよい。
本発明の高分子多孔質膜における、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比は、50:50〜99:1(重量比)であることが好ましい。フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比がこのような範囲であると、透水性、耐薬品性、機械的強度をより高いレベルで発揮することが可能となる。フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比として、より好ましくは60:40〜99:1であり、更に好ましくは70:30〜98:2である。
但し、本発明の高分子多孔質膜が他の樹脂を含有する場合でも、機械的強度、耐薬品性の観点から、上記フッ素樹脂及び架橋フッ素ゴムを高分子多孔質膜全体の40重量%以上含有することが好ましく、60重量%以上含有することがより好ましく、80重量%以上含有することが更に好ましい。
上記他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、加熱すると外力によって変形又は流動する樹脂である。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、及びこれらの混合物や共重合体が挙げられる。これらと混和可能な他の樹脂を混和してもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、耐薬品性が高いことから、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレンホモポリマー又はポリエチレン共重合体からなる樹脂である。ポリエチレン系樹脂は、複数の種類のポリエチレン共重合体からなるものでもよい。ポリエチレン共重合体としては、プロピレン、ブテン、ペンテンなどの直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種類以上とエチレンとの共重合体が挙げられる。
上記ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレン共重合体からなる樹脂である。ポリプロピレン系樹脂は、複数の種類のポリプロピレン共重合体からなるものでもよい。ポリプロピレン共重合体としては、エチレン、ブテン、ペンテンなどの直鎖状不飽和炭化水素から選ばれた1種類以上とプロピレンとの共重合体が挙げられる。
上記アクリル樹脂は、主としてアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、例えばアクリルアミド、アクリロニトリルなどの重合体を包含する高分子化合物である。特にアクリル酸エステル樹脂やメタクリル酸エステル樹脂が好ましい。
上記のような他の樹脂を併用することによって、膜強度、透水性能、阻止性能などを調整することができる。
本発明の高分子多孔質膜は、親水化の観点や、相分離制御の観点から、更に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル樹脂、モンモリロナイト、SiO、CaCO、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでなるものであってもよい。
本発明の高分子多孔質膜はまた、更に親水性を示すポリマーを含んでなるものであってもよい。この場合、高分子多孔質膜の親水性を向上させることができる。親水性を示すポリマーとしては、テトラフルオロエチレン/酢酸ビニル共重合体、TFE又はCTFE/水酸基含有モノマー共重合体、TFE又はCTFE/カルボキシル基含有モノマー共重合体等が挙げられる。
本発明の高分子多孔質膜はまた、更に含フッ素熱可塑性ゴムを含んでなるものであってもよい。この場合、高分子多孔質膜中の樹脂と架橋ゴムとの相溶性を高めることができる。含フッ素熱可塑性ゴムとしては、例えば、少なくとも1種のエラストマー性ポリマー鎖セグメント及び少なくとも1種の非エラストマー性ポリマー鎖セグメントからなり、そのうち、少なくとも1つは含フッ素ポリマー鎖セグメントであって、特に、エラストマー性ポリマー鎖セグメントと非エラストマー性ポリマー鎖セグメントとの重量比が40〜95:60〜5であるものなどが挙げられる。
本発明の高分子多孔質膜は、XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のO元素含有量のF元素含有量に対する比率(O/F)が0.050以上0.150未満であることも好ましい。
上記比率(O/F)が0.150以上となると、高分子多孔質膜の強度が低下するのに対し、上記比率(O/F)を0.150未満とすることで、優れた強度を確保することができる。
なお、上記比率(O/F)の好ましい下限は、0.050である。上記比率(O/F)が0.050未満では、上記式(1)単位が少なく、高分子多孔質膜の透水性能が劣る可能性がある。
ここで、上記比率(O/F)は、XPS(X線光電子分光法)測定によって得られる値を用いて、以下の方法で算出することができる。
比率(O/F)=A/B
A:O元素のピーク面積値
B:F元素のピーク面積値
また、上記高分子多孔質膜は、XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のC−F結合のC−H結合に対する比率(C−F/C−H)が0.50より大きいことが好ましく、0.65より大きいことがより好ましい。
上記比率(C−F/C−H)が、0.50以下では、高分子多孔質膜の機械的強度が不十分となり、更には、茶褐色に変色することがある。
なお、上記比率(C−F/C−H)の好ましい上限は、2.0であり、より好ましい上限は1.4である。比率(C−F/C−H)が大きくなると、高分子多孔質膜の表面の疎水性が高くなり、比率(C−F/C−H)が2.0より大きくなると、膜表面の疎水性により、透水性能が劣る可能性がある。
ここで上記比率(C−F/C−H)は、XPS(X線光電子分光法)測定によって得られる値を用いて、以下の方法で算出することができる。
比率(C−F/C−H)=a/b
a:C−F結合由来の原子間の結合エネルギー(292.4eV)のピーク面積値
b:C−H結合由来の原子間の結合エネルギー(286.0及び287.8eV)のピーク面積値
本発明の高分子多孔質膜は、孔径が2nm〜1.0μmであることが好ましく、5nm〜0.5μmであることがより好ましい。孔径が小さすぎると、気体や液体の透過率が不充分になるおそれがあり、孔径が大きすぎると、阻止性能の低下や、機械的強度が低下して破損しやすくなるおそれがある。
孔径は、細孔が明瞭に確認できる倍率で高分子多孔質膜の表面を、SEM等を用いて写真を撮り、細孔の直径を測定する。楕円形状の孔である場合、細孔の直径は、短径をa、長径をbとすると、(a×b)0.5で求めることができる。また、微粒子阻止率から大まかな孔径を求めることが出来る。つまり、例えば50nmのポリスチレン微粒子等を95%以上阻止する多孔質膜は、50nm以下の孔径を有すると考えられる。
本発明の高分子多孔質膜は、透水性能の観点から、膜表面の水の静的接触角が100°以下であることが好ましく、95°以下であることがより好ましい。膜表面の水の静的接触角がこのような範囲であると、膜の表面が親水性であるといえ、膜の透水性能をより向上させることができる。
上記膜表面の水の静的接触角は、最表面の平均孔径が0.01〜0.1μmであって、充分に乾燥させた状態の高分子多孔質膜について、接触角計を用いて、25℃で純水を測定溶媒として測定した値である。
本発明の高分子多孔質膜は、純水透過係数が1.0×10−10/m/s/Pa以上であることが好ましく、2.0×10−10/m/s/Pa以上であることがより好ましい。純水透過係数の上限は特に限定されないが、目的の阻止率及び強度を保持する範囲で、高い値であればあるほど望ましい。
純水透過係数は、温度25℃で、イオン交換水をポンプ又は窒素で0.01MPa以上に加圧し、作製した高分子多孔質膜でろ過することにより求めることができる。具体的には、下記式から求めた値である。
純水透過係数=(透過水量)/(膜面積)/(透過時間)/(評価圧力)
本発明の高分子多孔質膜は、100nm又は50nmの微粒子阻止率が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
微粒子阻止率は、粒径が制御されたポリスチレンラテックス微粒子をイオン交換水にて100ppm程度に希釈した分散溶液を評価原液としてろ過し、次式にて求めた値である。
微粒子阻止率(%)={((評価原液吸光度)−(透過液吸光度))/(評価原液吸光度)}×100
本発明の高分子多孔質膜が平膜の場合には、機械的強度の観点から、膜の最大点破断強度が0.7MPa以上であることが好ましく、0.8MPa以上であることがより好ましい。
最大点破断強度は、チャック間距離20mm、引張速度20mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、引張試験前の断面積を単位測定面積として求めた値である。
本発明の高分子多孔質膜が中空糸膜の場合には、機械的強度の観点から、膜の最大点破断強度が1.0MPa以上であることが好ましく、2.0MPa以上であることがより好ましい。
最大点破断強度は、チャック間距離50mm、引張速度200mm/分の条件下で試験片の破断強度を測定し、引張試験前の断面積を単位測定面積として求めた値である。
本発明の高分子多孔質膜の構造は特に限定されない。例えば、固形分が三次元的に網目状に広がっている三次元網目状構造、多数の球状もしくは球状に近い形状の固形分が、直接もしくは筋状の固形分を介して連結している球状構造等であってもよい。また、これらの両方の構造を有していてもよい。
本発明の高分子多孔質膜は、平膜又は中空糸膜であることが好ましく、単位面積、単位体積当たりの処理水量の観点から中空糸膜であることがより好ましい。
本発明の高分子多孔質膜が平膜の場合、高分子多孔質膜の厚みは、10μm〜1mmであることが好ましく、30μm〜500μmであることがより好ましい。
本発明の高分子多孔質膜が中空糸膜の場合、中空糸膜の内径は100μm〜10mmが好ましく、150μm〜8mmがより好ましい。中空糸膜の外径は120μm〜15mmが好ましく、200μm〜12mmがより好ましい。
本発明の高分子多孔質膜の膜厚は、20μm〜3mmが好ましく、50μm〜2mmがより好ましい。また、中空糸膜の内外表面の孔径は、用途によって自由に選択できるが、好ましくは2nm〜1.0μm、より好ましくは5nm〜0.5μmの範囲である。
本発明の高分子多孔質膜は、中空糸膜、平膜やメンブレンフィルター等の形状で飲料水製造、浄水処理、排水処理などの水処理に用いられる精密濾過膜や限外濾過膜として好適に用いることができる。また、超純水製造分野においては、イオン排除性を高め、得られる純水の純度を高めるための荷電性多孔質膜として用いることもできる。本発明の高分子多孔質膜は、処理液体の透過性能が高いため、水処理用の高分子多孔質膜であることが好ましい。
また、本発明の高分子多孔質膜は、医療分野、食品分野、電池分野等においても好適に用いられる。
医療分野においては、血液浄化、特に、腎機能を代用するための血液透析、血液濾過、血液濾過透析等の体外循環による血中老廃物の除去を目的とした血液浄化用膜として本発明の高分子多孔質膜を用いることができる。
食品分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や、液体の濃縮を目的として本発明の高分子多孔質膜を用いることができる。
電池分野においては、電解液は透過できるが電池反応で生じる生成物は透過できないようにするための電池用セパレーターや、高分子固体電解質の基材として本発明の高分子多孔質膜を用いることができる。
その他、油吸収材、多孔質軸受、フィルター等としても好適に用いることができる。
本発明の高分子多孔質膜は、勿論、そのままでも上述した用途の多孔質膜として使用することが可能であるが、他の多孔質基材や、他の樹脂からなる多孔質樹脂部材と一体化させて(複合膜)使用してもよい。
ここで、他の樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
具体的には、例えば、平膜で使用する場合、多孔質基材表面を本発明の高分子多孔質膜で被覆したものであってもよいし、多孔質基材と本発明の高分子多孔質膜からなる層とを積層したものであってもよい。また、多孔質基材、本発明の高分子多孔質膜からなる層、及び、上記多孔質樹脂部材が任意の順に積層されたものであってもよい。
また、中空糸膜で使用する場合も、中空糸膜である本発明の高分子多孔質膜の表面(内表面及び/又は外表面)に、上記他の樹脂からなる多孔質被覆層を形成して一体化してもよい。
上記多孔質基材としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、綿、絹等の有機繊維からなる織物、編物又は不織布が挙げられる。また、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維からなる織物、編物又は不織布も挙げられる。伸縮性、コストの観点からは、有機繊維からなる多孔質基材が好ましい。
上記多孔質基材の表面の孔径は、用途によって自由に選択できるが、好ましくは5nm〜1.0μm、より好ましくは8nm〜0.5μmである。
次に、本発明の高分子多孔質膜の製造方法について説明する。
本発明の高分子多孔質膜は、樹脂、ゴム、任意で熱架橋剤、光架橋開始剤、架橋助剤、界面活性剤、溶媒等を混合して混合物を得る工程、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程を行うことによって製造することができる。
上記樹脂とゴムとの混合工程は、樹脂とゴムとを混練したり、樹脂及び/又はゴムを溶媒に溶解して混合したりして行われるが、該混合工程によって得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程において採用する方法に応じて適宜行われる。
上記得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程については後述する。
本発明の高分子多孔質膜の中でも、樹脂がフッ素樹脂であり、架橋ゴムが架橋フッ素ゴムである形態が特に好ましい形態であるので、樹脂がフッ素樹脂であり、架橋ゴムが架橋フッ素ゴムである場合の高分子多孔質膜の製造方法について以降、特に詳述する。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法の好適な一形態として、光架橋可能なフッ素ゴム、光架橋開始剤及び架橋助剤を含むフッ素ゴム組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程を行う方法が挙げられる。なお、当該製造方法を、以降「本発明の第1の好適な製造方法」ともいう。
まず、PVdF、並びに、VdF単位及びTFE単位を有するVdF系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂を製造する方法について説明する。
上記フッ素樹脂は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の重合方法によって製造することができるが、工業的に実施が容易である点で、乳化重合又は懸濁重合により製造することが好ましい。
上記の重合においては、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、及び、溶媒を使用することができ、それぞれ従来公知のものを使用することができる。
上記溶媒としては、重合方法により適宜定めればよく、例えば、水、水とアルコールとの混合溶媒、含フッ素溶媒等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。
上記界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用でき、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が使用できる。なかでも、含フッ素アニオン性界面活性剤が好ましく、エーテル結合性酸素を含んでもよい(すなわち、炭素原子間に酸素原子が挿入されていてもよい)。また、炭素数4〜20の直鎖又は分岐した含フッ素アニオン性界面活性剤がより好ましい。
上記連鎖移動剤としては、例えば、エタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族類;アセトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;メチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常重合溶媒に対して0.001〜10質量%の範囲で使用される。
重合温度としては特に限定されず、0〜100℃であってよい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量及び蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
上記フッ素樹脂はこのような方法により製造することができるが、上記フッ素樹脂は、市販品であってもよい。
上記フッ素樹脂の市販品としては、例えば、ダイキン工業社製のネオフロンVT50、VP50、VT100、VP100、VP101、VP100X等が挙げられる。
上記フッ素樹脂がVdF系共重合体である場合、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜90/50〜10であることが好ましい。
VdF単位が少なすぎると溶媒に溶解させにくいために、高分子多孔質膜が得られにくくなるおそれがある。また、TFE単位が10モル%以上になると、後述するアルカリ処理工程を行った場合に、脱フッ酸反応とアルコール付加反応が適度に起こり、得られる高分子多孔質膜中の二重結合が少なくなり、膜の劣化を抑制することができる。
さらにVdF系共重合体は、TFE単位が15モル%以上になると上述の効果がより顕著になるため、VdF単位/TFE単位がモル比で60〜85/40〜15であることがより好ましい。
本発明の第1の好適な製造方法では、光架橋可能なフッ素ゴム、光架橋開始剤及び架橋助剤を含むフッ素ゴム組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程を行う。該混合工程においては、フッ素ゴム組成物、及び、フッ素樹脂の他、他の樹脂も加えて混合してもよい。
上記他の樹脂としては、既に説明した本発明の高分子多孔質膜に含有されうるフッ素樹脂以外の他の樹脂が挙げられる。
なお、上記混合物における、フッ素樹脂と光架橋可能なフッ素ゴムとの配合比は、得られる本発明の高分子多孔質膜のフッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比が上述した範囲となるように適宜設定される。
本発明の第1の好適な製造方法では、光架橋可能なフッ素ゴム、光架橋開始剤及び架橋助剤を含むフッ素ゴム組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程の後、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程を行う。
上記多孔質膜状に成形する工程は、種々の方法により行うことができ、例えば、相分離法、溶融抽出法、蒸気凝固法、延伸法、エッチング法、高分子シートを焼結することにより多孔質膜とする方法、気泡入りの高分子シートを圧潰することにより多孔質膜を得る方法、エレクトロスピニングを用いる方法等の成形方法を用いることができる。
上記溶融抽出法は、上記混合物に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、上記フッ素樹脂の融点以上の温度で口金から押出したり、プレス機等により成形したりした後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する方法である。
上記蒸気凝固法は、上記混合物を得る際に、フッ素ゴム組成物と、フッ素樹脂とに加え、良溶媒を混合して、良溶媒にフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が溶解した混合物を得、当該混合物からなる薄膜状物の少なくとも一方の表面に、上記良溶媒と相溶性がありフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を溶解しない貧溶媒の飽和蒸気又はミストを含む蒸気を強制的に供給する方法である。
上記成形方法は、細孔サイズの制御が容易であることから相分離法が好ましい。相分離法としては、例えば、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)等が挙げられる。
三次元網目状構造が比較的生成しやすいことから、非溶媒誘起相分離法で作製された多孔質膜は機械的強度が強く、また、非対称構造の膜作製に好適に用いられる。熱誘起相分離法で作製された多孔質膜は、球状構造が比較的生成しやすいことから、透水性に優れる傾向があり、また、製膜時の混合物中のフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の合計濃度を高くすることで機械的強度を向上させることが出来る。これらを考慮して膜の作製方法を選択することが好ましい。
上記多孔質膜状に成形する工程として非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記混合物に溶媒を含め、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が溶媒に溶解した混合物を得る工程、及び、この混合物を口金から非溶媒を含む凝固浴中に吐出する工程を経ることで、多孔質膜状の成形物を得ることができる。
上記混合物を、非溶媒を含む凝固浴中に浸漬することにより、該混合物と凝固浴中の溶媒及び非溶媒の濃度勾配を駆動力として、非溶媒誘起型の相分離を生じせしめることができる。この方法によれば、最初に溶媒と非溶媒の置換により相分離が起こる外表面において緻密なスキン層が形成し、時間の経過とともに膜内部方向に向かって相分離現象が進んでいく。その結果、スキン層に続いて膜内部方向に向かって連続的に孔径が大きくなる非対称膜を製造することもできる。
非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記混合物は、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂及び溶媒からなることが好ましい。上記混合物は、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂及び溶媒に加えて、更に、非溶媒からなることも好ましい形態の一つである。
混合物は、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂溶媒及び非溶媒の合計(非溶媒を含まない場合には、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂及び溶媒の合計)に対して、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が5〜35重量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜25重量%である。
混合物は、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂溶媒及び非溶媒の合計に対して、非溶媒が0.1〜10重量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8重量%である。
フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の濃度を適正な範囲に調整することにより、混合物の粘度を適切な範囲に調整することができる。混合物の粘度が適切な範囲になければ、多孔質膜状に成形することができないおそれがある。
なお、上述したように、上記フッ素ゴム組成物は、更に要すれば、光増感剤、界面活性剤、含フッ素熱可塑性ゴム等を含んでいてもよい。
上記混合物は、常温であってもよいし、加熱されたものでもよい。例えば、10〜35℃が好ましい。
非溶媒誘起相分離法において、上記混合物を得る方法としては、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂をあらかじめ混練した後、溶媒に溶解させて混合物を得る方法、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の一部をあらかじめ混練した後、残りのフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂と共に溶媒に溶解させて混合物を得る方法、もしくはフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の一部をあらかじめ混練した後、残りのフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が溶解している溶液に混練物を溶解させて混合物を得る方法、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の全てを溶媒に溶解させる方法、一部、もしくはフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の各成分をそれぞれ溶媒に溶解させて得られた各溶液を混合して混合物を得る方法などが挙げられる。
なお、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の各成分をそれぞれ溶媒に溶解する際には、各成分を溶解する溶媒は、同じ種類の溶媒であってもよいし、異なる種類の溶媒であってもよい。
また、混合物がフッ素ゴム組成物、フッ素樹脂及び溶媒に加えて、更に非溶媒を含むものである場合、上記混合物を得る工程における非溶媒を加える時機、方法は特に制限されない。
これらの中でも、混合物の調製の容易さの観点から、非溶媒誘起相分離法における、混合物を得る工程は、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の全てを溶媒に溶解させて混合物を得る工程、または、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の各成分をそれぞれ溶媒に溶解し、得られた各溶液及び非溶媒を混合して混合物を得る工程であることが特に好ましい。
上記溶媒としては、貧溶媒であってもよいし、良溶媒であってもよいが、良溶媒が好ましい。
上記貧溶媒は、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を60℃未満の温度では5重量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ樹脂の融点(フッ素樹脂の融点、又は、他の樹脂を含有する場合には、フッ素樹脂及び他の樹脂の融点のいずれか低い方の融点)以下では5重量%以上溶解させることができる溶媒のことをいう。
上記良溶媒は、貧溶媒に対し、60℃未満の温度でもフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を5重量%以上溶解させることができる溶媒のことをいう。
また、上記非溶媒とは、樹脂の融点又は液体の沸点まで、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を溶解も膨潤もさせない溶媒のことをいう。
上記フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の場合、貧溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、イソホロン、γーブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステル、有機カーボネート等、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。ジフェニルカーボネート、メチルベンゾエート、ジエチレングリコールエチルアセテート、ベンゾフェノン等も挙げられる。なお、非溶媒と貧溶媒の混合溶媒であっても、上記貧溶媒の定義を満たす溶媒は、貧溶媒である。
上記良溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド等及びその混合溶媒が挙げられる。
上記非溶媒としては、例えば、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、四塩化炭素、o−ジクロルベンゼン、トリクロルエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族多価アルコール、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、又はその他の塩素化有機液体及びその混合溶媒等が挙げられる。
上記凝固浴として用いることができる凝固液体として、非溶媒を含有する液体を用いて固化させることが好ましく、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。当該非溶媒としては、上述した非溶媒を用いることができる。例えば、非溶媒として水を好適に用いることができる。
上記多孔質膜状に成形する工程として熱誘起相分離法を用いる場合、上記フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を貧溶媒又は良溶媒である溶媒に、比較的高い温度で溶解させて混合物を得る工程、及び、この混合物を冷却固化する工程を経ることで、多孔質膜状の成形物を得ることができる。
熱誘起相分離法を用いる場合、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を溶解させる溶媒としては貧溶媒が好ましいが、この限りではなく、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の相分離挙動の検討から良溶媒を用いる場合もある。
上記貧溶媒及び良溶媒としては、上記非溶媒誘起相分離法で例示した貧溶媒及び良溶媒を用いることができる。
フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が溶媒に溶解した混合物は、クラウドポイント(曇点)と呼ばれる温度よりも高い温度に維持されている場合は均一な1相の液体となるが、クラウドポイント以下では相分離が起こり、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂濃厚相と溶媒濃厚相の2相に分離し、さらに結晶化温度以下になるとポリマーマトリックスが固定化され、多孔質膜が形成される。
熱誘起相分離法を用いる場合、上記混合物は、フッ素ゴム組成物、フッ素樹脂及び溶媒の合計に対して、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の合計が10〜60重量%であることが好ましい。より好ましくは、15〜50重量%である。
フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の合計濃度を適正な範囲に調整することにより、混合物の粘度を適切な範囲に調整することができる。混合物の粘度が適切な範囲になければ、多孔質膜状に成形することができないおそれがある。
熱誘起相分離法を用いる場合、混合物を得る工程では、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を、貧溶媒又は良溶媒である溶媒に20〜220℃で溶解させることが好ましい。より好ましくは、30〜200℃である。比較的高温で溶解させた場合には、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の合計濃度を高くすることができ、これにより、後工程を経て製造した高分子多孔質膜に高い機械的強度を付与することができる。
上記濃度が高すぎると、得られる高分子多孔質膜の空隙率が小さくなり、透水性能が低下するおそれがある。また、調製した混合物の粘度が適正範囲に無ければ、多孔質膜状の成形物に成形することができないおそれがある。
上記混合物を冷却固化する方法としては、例えば、上記混合物を、口金から冷却浴中に吐出する方法が好ましい。また、平膜の高分子多孔質膜を製造する場合は、キャストして、冷却浴に浸漬させる方法も好ましい方法として挙げられる。
上記冷却浴として用いることができる冷却液体は、混合物よりも温度が低いものであり、例えば、温度が5〜50℃であり、濃度が60〜100重量%の貧溶媒又は良溶媒である溶媒を含有する液体を用いることができる。また、冷却液体には、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。
上記非溶媒としては、上記非溶媒誘起相分離法で例示した非溶媒を使用することができる。
この多孔質膜状の成形物を得る工程においては、混合物の濃度、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を溶解する溶媒の組成、冷却浴を構成する冷却液体の組成が重要である。これらの組成を調整することによって、後工程を経て完成する高分子多孔質膜の多孔質構造を制御することもできる。
例えば、多孔質膜状の成形物の一方の面と他方の面とで、混合物溶液の組成や冷却液体の組成の組み合わせを変更することによって、高分子多孔質膜の一方の面の構造と、他方の面の構造とを異なるものにすることもできる。
上記多孔質膜状に成形する工程においては、上記非溶媒誘起相分離法と上記熱誘起相分離法とを併用してもよい。
非溶媒誘起相分離法及び/又は熱誘起相分離法では、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂を溶媒に溶解した混合物を口金から吐出した後、固化させることで多孔質膜状の成形物を得ることができる。上記口金としては、例えば、スリット口金、二重管式口金、三重管式口金等が用いられる。
多孔質膜状の成形物として中空糸膜状の成形物を製造する場合、上記口金としては、例えば、中空糸膜紡糸用の二重管式口金、三重管式口金等が好ましく用いられる。
二重管式口金を用いる場合、二重管式口金の外側の管から上記混合物を吐出し、イオン交換水等の中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜状の成形物とすることができる。
中空部形成流体には、通常、気体もしくは液体を用いることができる。非溶媒誘起相分離法では、上記中空部形成流体としては、上述した非溶媒を用いることが好ましく、例えば、イオン交換水等の水が好ましい。また、上述した非溶媒は、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。熱誘起相分離法では、冷却液体と同様の、濃度が60〜100%の貧溶媒もしくは良溶媒を含有する液体が好ましく採用できるが、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。
中空部形成流体と凝固液体又は冷却液体の組成を変えることにより、二種の構造を有する中空糸膜状の成形物を形成することもできる。中空部形成流体は、冷却して供給してもよいが、冷却浴の冷却力のみで中空糸膜状の成形物を固化するのに十分な場合は、中空部形成流体は冷却せずに供給してもよい。
三重管式口金は、2種類の樹脂溶液を用いる場合に好適である。例えば、三重管式口金の外側の管と中間の管から2種類の混合物を吐出し、中空部形成液体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜状の成形物とすることができる。また、三重管式口金の外側の管から混合物を吐出し、中間の管からフッ素樹脂以外の樹脂からなる樹脂溶液を吐出し、中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴又は冷却浴中で固化することで、中空糸膜状の成形物とすることができる。
上記のように、二重管式口金や三重管式口金を用いた製造方法で中空糸膜状の成形物を成形した場合、凝固液体又は冷却液体の量を、平膜を製造した場合よりも少なくすることができる点で好ましい。
製造する高分子多孔質膜が中空糸膜の場合、上記の方法で得られた成形物の外表面又は内表面に、更に、上記フッ素樹脂からなる層又は上記フッ素樹脂以外の樹脂からなる樹脂層を形成してもよい。
上記フッ素樹脂以外の樹脂からなる樹脂層を形成した場合、フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとからなる高分子多孔質膜の表面に他の樹脂からなる樹脂層が一体化された中空糸膜を得ることができる。
上記樹脂層は、中空糸膜状の成形物の外表面又は内表面にフッ素樹脂の溶液又は樹脂溶液を塗布することで形成することができる。フッ素樹脂の溶液や樹脂溶液を塗布する方法としては、中空糸膜状の成形物を該溶液に浸潰したり、中空糸膜状の成形物に該溶液を滴下したりする方法などが好ましく用いられる。中空糸膜状の成形物の内表面に上記溶液を塗布する方法としては、該溶液を中空糸膜状の成形物内部に注入する方法などが好ましく用いられる。
溶液の塗布量を制御する方法としては、該溶液の塗布量自体を制御する方法の他に、多孔質膜を該溶液に浸漬したり、多孔質膜に該溶液を塗布した後に、該溶液の一部をかき取ったり、エアナイフを用いて吹き飛ばしたりする方法も好ましく用いられる。
また、多孔質膜状の成形物として平膜状の成形物を製造する場合、混合物をキャストして、凝固浴又は冷却浴に浸漬させることによって製造することもできる。また、スリット口金を用いて、凝固浴又は冷却浴に混合物を吐出することでも製造することができる。
また、本発明の高分子多孔質膜として、多孔質基材等が一体化した複合膜を製造する場合には、多孔質基材を混合物に浸漬する方法、多孔質基材の少なくとも片面に混合物を塗布する工程を行ってもよい。
また、多孔質膜状の成形物を得た後、この成形物を更に延伸してもよい。これにより、高分子多孔質膜の透水性能をより向上させることもできる。
なお、延伸処理は、後述する架橋工程を行った後に行ってもよく、また、後述するアルカリ処理工程を行う場合、アルカリ処理工程を行った後に行ってもよい。
上記多孔質膜状に成形する工程において、多孔質膜状の成形物の孔径を制御する方法としては、例えば、混合物に孔径を制御するための添加剤を入れ、多孔質膜状の成形物を成形する際に又は多孔質膜状の成形物を成形した後に、添加剤を溶出させることにより孔径を制御する方法を採用することができる。また、添加剤は、必要に応じて多孔質膜状の成形物内に留まらせてもよい。
上記添加剤としては、有機化合物及び無機化合物を挙げることができる。有機化合物としては、混合物を構成する溶媒に溶解するものであることが好ましい。更に、非溶媒誘起相分離法を用いる場合には凝固液体に含まれる非溶媒、熱誘起相分離法を用いる場合には冷却液体に含まれる溶媒、に溶解するものが好ましい。
有機化合物としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、テキストランなどの水溶性ポリマー、界面活性剤、グリセリン、糖類等が挙げられる。
無機化合物としては、水溶性化合物が好ましく用いられ、例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
添加剤を用いず多孔質膜状の成形物の孔径を制御する方法として、凝固液における非溶媒の種類、濃度及び温度によって相分離速度をコントロールすることによって表面の平均孔径を制御する方法を採用することも可能である。一般的には、相分離速度が速いと表面の平均孔径が小さく、遅いと大きくなる。また、混合物に非溶媒を添加することも、相分離速度制御に有効である。
上記混合物は、親水化の観点や、相分離制御の観点から、更に、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、モンモリロナイト、SiO、CaCO、PTFE等の添加剤を含んでいてもよい。
このような工程を経ることにより、本発明の高分子多孔質膜の製造方法では、上記フッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとからなる多孔質高分子膜を製造することができる。
本発明の第1の好適な製造方法では、上記多孔質膜状に成形する工程を行った後、架橋工程を行う。
上記架橋工程は、多孔質膜状に成形する工程により得られた多孔質膜の成形物において架橋反応を進行させる工程である。当該架橋方法は、光を照射することによって架橋反応を行う方法が好ましい。用いられる光線としては、上述したとおりである。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法では、更に、アルカリ処理を施す工程を行っても良い。
ここで、上記アルカリ処理を施す工程は、上記混合物を多孔質膜状に成形する工程の前に行ってもよいし、多孔質膜状に成形する工程の後で、架橋工程の前に行ってもよいし、架橋工程の後に行ってもよい。
上記アルカリ処理を施す工程(以下、アルカリ処理工程ともいう)では、固体又は液体のアルカリを水、及び/又は、炭素数1〜8のアルコールに溶解したアルカリ処理溶液に上記多孔質膜状の成形物を浸漬する、上記アルカリ処理溶液を上記多孔質膜状の成形物に塗布する等、上記アルカリ処理溶液と上記多孔質膜状の成形物とを接触させることにより行う。
上記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウムなどのアルカリ炭酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、あるいはアルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシド類、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アミン類等が挙げられる。
上記アルコールとしては、炭素数1〜8のアルコールであれば特に限定されないが、エタノール、又は、メタノールが好ましい。
上記アルカリ処理溶液のアルカリ濃度は特に限定されないが、例えば、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いる場合には、0.01〜8Nのアルカリ処理溶液を使用すればよい。
上記アルカリ処理溶液が、水及び上記アルコールをともに含有する場合、両者の体積比は任意であるが、例えば、30〜70/70〜30程度であることが好ましい。
上記アルカリ処理工程で、上記多孔質膜の成形物を上記アルカリ処理溶液に浸漬する場合、浸漬時間や浸漬温度は特に限定されないが、通常、5〜70℃の溶液に、数分〜数日間程度浸漬させればよい。
また、本発明の高分子多孔質膜の製造方法では、アルカリ処理工程に先立ち、上記多孔質膜の成形物に湿潤処理を行ってもよい。特に、アルカリ処理の対象となる上記多孔質膜の成形物又は上記混合物が濡れにくい場合には、湿潤処理を行うことにより、上記アルカリ処理溶液に濡れやすくなる。
上記湿潤処理は、例えば、アルカリ処理の対象物をメタノール、エタノールなどのアルコールに浸漬し、その後、水に置換することにより行えばよい。
また、アルカリ処理工程終了後、必要に応じて、上記アルカリ処理溶液を水に置換してもよい。
また、本発明の高分子多孔質膜の製造方法においては、上述した通り、上記混合物に対して上述した方法でアルカリ処理を施す工程を行った後、多孔質膜状に成形する工程を行ってもよい。
更には、上記混合物に対して上述した方法でアルカリ処理を施す工程を行った後、多孔質膜状に成形する工程を行い、その後、再度アルカリ処理工程を行ってもよい。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法では、上記アルカリ処理工程を経ることより、フッ素樹脂が有するVdF単位の一部が、脱フッ酸、及び、水又はアルコールの付加より上記式(1)単位に置換され、上記フッ素樹脂(A1)を含むフッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとからなる高分子多孔質膜を得ることができる。そして、フッ素樹脂中の二重結合の数が少ないため、溶剤溶解性が損なわれず製膜性に優れ、かつ製膜後の劣化も起こりにくいため、高分子多孔質膜として優れることとなる。
ここで、本発明の第1の好適な製造方法の具体的な一形態を挙げると、フッ素樹脂50〜99重量部、及び、光架橋可能なフッ素ゴム1〜50重量部、光架橋開始剤0.1〜20重量部、架橋助剤1〜20重量部、光増感剤0.1〜20重量部、界面活性剤1〜50重量部を含むフッ素ゴム組成物を溶媒に添加し分散して混合物を得、得られた混合物から非溶媒誘起相分離法を用いて多孔質膜状の成形物を得、当該成形物に対して、紫外線、又は、可視光線を照射して光架橋反応を進行させる形態が挙げられる。
上記本発明の第1の好適な製造方法の具体的な一形態において、混合物を得る方法としては、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の全てをあらかじめ混練した後、溶媒に溶解させて混合物を得る方法、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の一部をあらかじめ混練した後、残りのフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂と共に溶媒に溶解させて混合物を得る方法、もしくはフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の一部をあらかじめ混練した後、残りのフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂が溶解している溶液に混練物を溶解させて混合物を得る方法、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の全てを溶媒に溶解させる方法、一部、もしくはフッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の各成分をそれぞれ溶媒に溶解させて得られた各溶液を混合して混合物を得る方法などが挙げられる。
なお、フッ素ゴム組成物及びフッ素樹脂の各成分をそれぞれ溶媒に溶解する際には、各成分を溶解する溶媒は、同じ種類の溶媒であってもよいし、異なる種類の溶媒であってもよい。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法の好適な一形態としてまた、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムと、フッ素樹脂、及び、架橋助剤等とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程、及び、溶媒中で架橋処理する工程が挙げられる。なお、当該製造方法を、以降「本発明の第2の好適な製造方法」ともいう。
本発明の第2の好適な製造方法では、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、架橋助剤と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程を行う。該混合工程においては、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、架橋助剤、及び、フッ素樹脂の他、他の樹脂、有機過酸化物も加えて混合してもよい。
上記他の樹脂は、本発明の第1の好適な製造方法において用いてもよい他の樹脂と同様である。
また、用いてもよい有機過酸化物としては、上述したとおりである。
なお、上記混合物における、フッ素樹脂とパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとの配合比は、得られる本発明の高分子多孔質膜のフッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比が上述した範囲となるように適宜設定される。
本発明の第2の好適な製造方法では、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、架橋助剤と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程の後、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程を行う。
上記多孔質膜状に成形する工程においては、本発明の第1の好適な製造方法における多孔質膜状に成形する工程において用いられる方法と同様の方法を用いることができる。
それらの方法の中でも、本発明の第2の好適な製造方法のように、多孔質膜状に成形する工程後に熱架橋工程を行う場合には、多孔質膜状に成形する工程として、非溶媒誘起相分離法を用いることが特に好ましい。
本発明の第2の好適な製造方法における多孔質膜状に成形する工程として非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記フッ素ゴム組成物をフッ素ゴムパーオキサイド架橋用組成物に変更する以外、上述した本発明の第1の好適な製造方法における非溶媒誘起相分離法と同様にして行うことができる。
本発明の第2の好適な製造方法では、上記多孔質膜状に成形する工程を行った後、架橋工程を行う。
上記架橋工程は、多孔質膜状に成形する工程により得られた多孔質膜の成形物に対して、溶媒中で加熱処理する工程が挙げられる。
上記溶媒としては、例えば、イオン交換水等の水を用いることが好ましい。
上記溶媒は、更に要すれば、過酸化物等を含んでいてもよい。
上記パーオキサイド架橋系による熱架橋反応は、通常行われる反応条件により行うことができる。
なお、延伸処理、アルカリ処理や湿潤処理等その他についても、本発明の第1の好適な製造方法と同様に行うことができる。
更には、本発明の高分子多孔質膜の製造方法の好適な一形態として、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、及びポリヒドロキシ化合物を含むフッ素ゴムポリオール架橋用組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程を行う方法が挙げられる。なお、当該製造方法を、以降「本発明の第3の好適な製造方法」ともいう。
本発明の第3の好適な製造方法では、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、及びポリヒドロキシ化合物を含むフッ素ゴムポリオール架橋用組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程を行う。該混合工程においては、フッ素ゴムポリオール架橋用組成物、及び、フッ素樹脂の他、他の樹脂も加えて混合してもよい。
上記他の樹脂は、本発明の第1の好適な製造方法において用いてもよい他の樹脂と同様である。
なお、上記混合物における、フッ素樹脂とポリオール架橋可能なフッ素ゴムとの配合比は、得られる本発明の高分子多孔質膜のフッ素樹脂と架橋フッ素ゴムとの組成比が上述した範囲となるように適宜設定される。
本発明の第3の好適な製造方法では、ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、及びポリヒドロキシ化合物を含むフッ素ゴムポリオール架橋用組成物と、フッ素樹脂とを混合して混合物を得る工程の後、得られた混合物を多孔質膜状に成形する工程を行う。
上記多孔質膜状に成形する工程においては、本発明の第1の好適な製造方法における多孔質膜状に成形する工程において用いられる方法と同様の方法を用いることができる。
なお、上述したように、上記フッ素ゴムポリオール架橋用組成物は、更に要すれば、架橋促進剤等を含んでいてもよい。
本発明の第3の好適な製造方法では、上記多孔質膜状に成形する工程を行った後、架橋工程を行う。
上記架橋工程は、多孔質膜状に成形する工程により得られた多孔質膜の成形物に対して、ポリオール架橋系による熱架橋反応を行うものであることが好ましい。
上記ポリオール架橋系による熱架橋反応は、通常行われる反応条件により行うことができる。
なお、延伸処理、アルカリ処理や湿潤処理等その他についても、本発明の第1の好適な製造方法と同様に行うことができる。
本発明の高分子多孔質膜の製造方法では、このように本発明の高分子多孔質膜を好適に製造することができる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
<多孔質膜状の成形物の調製>
下記表1に示した諸材料を表記の量秤量して50mLサンプル瓶(マルエム社製)に入れ、最後にフッ素樹脂とフッ素ゴムの総量100重量部に対して、DMAc(N,N’−ジメチルアセトアミド、上野化学社製)550重量部を加えた(一括調製)。その後、ミックスローター(MR−5、アズワン社製)を用いて一晩撹拌した。
撹拌後得られた調製液をガラス板に滴下し、間隔を250μmに設定したアプリケーター(宝泉社製)を用いて塗工した。
イオン交換水の入ったSUS製バットに塗工したガラス板を浸漬して高分子多孔質膜状の成形物を得た。
<UV架橋>
UV照射装置(ウシオ電機社製)を用いて、照射総量2500mJ/cmの設定下、紫外線を、得られた高分子多孔質膜状の成形物の表裏1回ずつ照射し、高分子多孔質膜を得た。
<引張試験>
得られた高分子多孔質膜に付着した水分を拭い取り、ダンベル6号(JIS K6251−6に準拠)金型で打ち抜いて引張試験用試料を作製した。
引張試験は、JIS K6251に従い、間隔20mmの標線を敷き、オートグラフ(製品名:AGS−J、5kN、島津製作所社製)を用いて実施し、最大点破断強度及び最大点伸度を測定した。測定結果を表1に示す。
<アルカリ処理>
上記得られた高分子多孔質膜にアルカリ処理を施した。アルカリ処理は以下の条件で行った。
アルカリ処理:1N NaOHのエタノール/水(50/50体積%)の水溶液(アルカリ処理溶液)に高分子多孔質膜を24時間浸漬させることで行った。
<XPS(X線光電子分光法)による表面測定>
XPS(X線光電子分光法)により、アルカリ処理前の高分子多孔質膜及びアルカリ処理後の高分子多孔質膜の表面を下記の方法で測定した。
測定には、ESCA3400(SHIMADZU社製)を用いた。線源にMgKα線(1253.6eV)を使用し、測定領域直径約3mm、検出深さ約7nm(光電子取出角90°)の条件下で測定を行った。測定結果を表2に示す。
<膜表面の水の静的接触角>
最表面の平均孔径が0.01〜0.1μmである高分子多孔質膜を作製し、アルカリ処理を施す前のもの、及びアルカリ処理を施した後のものについて、その高分子多孔質膜が充分に乾燥した状態での上記水の静的接触角(25℃)を、DropMaster701(協和界面科学社製)を用いて、純水を測定溶媒として測定した。測定結果を表2に示す。
(実施例2〜4)
下記表1に示した諸材料を表記の量秤量して50mLサンプル瓶(マルエム社製)に入れた以外は、実施例1と同様にして、高分子多孔質膜を調製した。得られた高分子多孔質膜を用いて、実施例1と同様にして引張試験を実施した。結果を表1に示す。
また、アルカリ処理前後における、XPSで測定した高分子多孔質膜表面上の比率(O/F)、比率(C−F/C−H)、および水の接触角を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。
(実施例5)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕) 80重量部、及び、Tween40 8重量部をDMAc 445重量部に添加し、一晩撹拌して、樹脂調製液を調製した。フッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕) 20重量部、IRGACURE184 1重量部、IRGACURE369 1重量部、UA−1100 10重量部、及び、Tween40 2重量部をDMAc 110重量部に添加し、一晩撹拌して、ゴム調製液を調製した。得られた樹脂調製液及びゴム調製液を混合し、一晩撹拌した(分割調製)。
撹拌後得られた混合液をガラス板に滴下し、間隔を250μmに設定したアプリケーター(宝泉社製)を用いて塗工した。
イオン交換水の入ったSUS製バットに塗工したガラス板を浸漬して高分子多孔質膜状の成形物を得た。
得られた高分子多孔質膜状の成形物に、実施例1と同様にしてUV照射を行い、高分子多孔質膜を得た。得られた高分子多孔質膜を用いて、実施例1と同様にして引張試験を実施した。結果を表1に示す。
また、アルカリ処理前後における、XPSで測定した高分子多孔質膜表面上の比率(O/F)、比率(C−F/C−H)、および水の接触角を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。
(比較例1〜5)
下記表1に示した諸材料を表記の量秤量して50mLサンプル瓶(マルエム社製)に入れた以外は、実施例1と同様にして、高分子多孔質膜状の成形物を得た。得られた高分子多孔質膜状の成形物を用いて、実施例1と同様の引張試験を実施した。結果を表1に示す。
また、上記得られた高分子多孔質膜状の成形物に、上記アルカリ処理を施し、アルカリ処理前後における、XPSで測定した高分子多孔質膜状の成形物の表面上の比率(O/F)、比率(C−F/C−H)、および水の接触角を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2014200703
なお、表1中の略号は、以下の通りである。
VdF−TFE:ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕共重合体
PVDF:ポリビニリデンフルオライド
VdF−HFP:ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕共重合体
Tween40:ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(日光ケミカルズ社製)
IRGACURE184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASFジャパン社製)
IRGACURE369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASFジャパン社製)
DETX:2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬社製)
UA−1100:ウレタンアクリレート(新中村化学社製)
Figure 2014200703
なお、表2中、「−」は、未測定であることを表している。
下記実施例におけるUV架橋又は熱架橋は以下の条件で行った。
<UV架橋>
UV照射装置(ウシオ電機社製)を用いて、照射総量2500mJ/cmの設定下、紫外線を得られた中空糸多孔質膜の表裏1回ずつ照射した。
<熱架橋>
APS(過硫酸アンモニウム)の1重量%水溶液に、得られた中空糸多孔質膜を80℃で5時間浸漬させることで、熱架橋を行った。
また得られた中空糸多孔質膜のゲル分率は以下の方法で算出した。
<ゲル分率>
得られた高分子多孔質膜を25℃で、24時間乾燥させ、乾燥済高分子多孔質膜1重量部を定量ろ紙(No.42、ワットマン社製)に入れ、アセトン100重量部に室温下24時間浸漬させた。
浸漬後、アセトンで内容物を洗浄し、室温下風乾させて秤量し、ゲル分率(重量%)を算出した。
(比較例6)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)16.2gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)1.8g、ジメチルホルムアミド78.9g、Tween40 2.4g、架橋助剤(TAIC)0.75gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.90mm、内径0.76mmであった。25℃での純水透過係数は、1.2×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は2.1MPa、最大点伸度は530%であった。
(実施例6−1)
比較例6と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜にUV架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、5.4×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は2.4MPa、最大点伸度は570%であった。
(実施例6−2)
比較例6と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜に熱架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、2.1×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は2.6MPa、最大点伸度は560%であった。
(比較例7)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)14.4gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)3.6g、ジメチルホルムアミド78.9g、Tween40 2.4g、架橋助剤(TAIC)0.75gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.84mm、内径0.72mmであった。25℃での純水透過係数は、1.4×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は2.9MPa、最大点伸度は590%であった。
(実施例7−1)
比較例7と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜にUV架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、1.1×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は3.1MPa、最大点伸度は690%であった。
(実施例7−2)
比較例7と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜に熱架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、1.8×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は2.7MPa、最大点伸度は420%であった。
(比較例8)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)13.5gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)1.5g、ジメチルホルムアミド65.8g、Tween40 2.0g、Pluronic 0.84g、架橋助剤(TAIC)0.62gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.85mm、内径0.64mmであった。25℃での純水透過係数は、1.1×10−9[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は1.4MPa、最大点伸度は310%であった。
(実施例8−1)
比較例8と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜にUV架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、1.8×10−9[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は1.5MPa、最大点伸度は270%であった。
(実施例8−2)
比較例8と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜に熱架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、1.8×10−9[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は98%以上であった。最大点破断強度は1.4MPa、最大点伸度は180%であった。
(比較例9)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)16.2gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)1.8g、架橋助剤(UA−1100)0.90g、光開始剤(IRGACURE184 180mg、IRGACURE369 180mg)、ジメチルホルムアミド78.4g、Tween40 2.4gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.92mm、内径0.70mmであった。25℃での純水透過係数は、5.0×10−10[m/m/Pa/s]であり、100nmのポリスチレン微粒子の阻止率は54%であった。最大点破断強度は1.6MPa、最大点伸度は450%であった。
(実施例9)
比較例9と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜にUV架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、3.2×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は87%であった。最大点破断強度は1.7MPa、最大点伸度は350%であった。得られた中空糸多孔質膜のゲル分率は、35重量%であった。
(比較例10)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)14.4gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)3.6g、架橋助剤(UA−1100)0.90g、光開始剤(IRGACURE184 180mg、IRGACURE369 180mg)、ジメチルホルムアミド78.4g、Tween40 2.4gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.94mm、内径0.76mmであった。25℃での純水透過係数は、4.4×10−10[m/m/Pa/s]であり、100nmのポリスチレン微粒子の阻止率は41%であった。最大点破断強度は1.6MPa、最大点伸度は540%であった。
(実施例10)
比較例10と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜にUV架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、4.3×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は88%であった。最大点破断強度は1.4MPa、最大点伸度は420%であった。得られた中空糸多孔質膜のゲル分率は、44重量%であった。
(比較例11)
フッ素樹脂(ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン=80/20〔モル比〕)14.4gとフッ素ゴム(ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン=78/22〔モル比〕)3.6g、架橋助剤(UA−1100)0.90g、ジメチルホルムアミド78.7g、Tween40 2.4gを25℃で混合しポリマー溶液とした。このポリマー溶液を二重管式口金から、内部液としてイオン交換水を同伴させながら吐出し、イオン交換水中にて固化した。得られた中空糸膜は、外径0.90mm、内径0.74mmであった。25℃での純水透過係数は、4.5×10−10[m/m/Pa/s]であり、100nmのポリスチレン微粒子の阻止率は93%であった。最大点破断強度は2.0MPa、最大点伸度は460%であった。
(実施例11)
比較例11と同様にして中空糸多孔質膜を得た。得られた中空糸多孔質膜に熱架橋を行ったところ、25℃での純水透過係数は、3.2×10−10[m/m/Pa/s]であり、80nmのポリスチレン微粒子の阻止率は91%であった。最大点破断強度は2.3MPa、最大点伸度は250%であった。得られた中空糸多孔質膜のゲル分率は、14重量%であった。
本発明の高分子多孔質膜は、種々の用途に使用することができ、特に水処理用途に好適である。

Claims (15)

  1. 樹脂と架橋ゴムとからなることを特徴とする高分子多孔質膜。
  2. 樹脂は、ポリビニリデンフルオライド、並びに、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位を有するビニリデンフルオライド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂である請求項1記載の高分子多孔質膜。
  3. 架橋ゴムは、架橋フッ素ゴムである請求項1又は2記載の高分子多孔質膜。
  4. ビニリデンフルオライド共重合体は、ビニリデンフルオライド単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜90/50〜10である請求項2又は3記載の高分子多孔質膜。
  5. XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のO元素含有量のF元素含有量に対する比率(O/F)が0.050以上0.150未満である請求項1、2、3又は4記載の高分子多孔質膜。
  6. XPS(X線光電子分光法)で測定される表面上のC−F結合のC−H結合に対する比率(C−F/C−H)が0.50より大きい請求項1、2、3、4又は5記載の高分子多孔質膜。
  7. フッ素樹脂は、更に下記式(1)で表される単位を有する請求項2、3、4、5又は6記載の高分子多孔質膜。
    −CHX−CX(OR)−・・・(1)
    (式中、X及びXは、一方が水素原子、他方がフッ素原子であり、Rは、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基のいずれかである。)
  8. 前記式(1)中のRは、水素、メチル基又はエチル基である請求項7記載の高分子多孔質膜。
  9. 中空糸膜である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の高分子多孔質膜。
  10. 水処理用である請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の高分子多孔質膜。
  11. 高分子多孔質膜を製造する方法であって、
    架橋可能なフッ素ゴムと、ビニリデンフルオライド単位からなるポリビニリデンフルオライド、並びに、ビニリデンフルオライド単位及びテトラフルオロエチレン単位からなるビニリデンフルオライド共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂とを混合する工程、多孔質膜状に成形する工程、及び、架橋工程を行うことを特徴とする高分子多孔質膜の製造方法。
  12. 前記多孔質膜状に成形する工程において、非溶媒誘起相分離法及び/又は熱誘起相分離法により多孔質膜状の成形物を得る請求項11記載の高分子多孔質膜の製造方法。
  13. 更に、水、及び/又は、炭素数1〜8のアルコールの存在下でアルカリ処理を施す工程を行う請求項11又は12記載の高分子多孔質膜の製造方法。
  14. 前記アルコールは、エタノール、又は、メタノールである請求項13記載の高分子多孔質膜の製造方法。
  15. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の高分子多孔質膜からなる中空糸膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117899669A (zh) * 2024-03-19 2024-04-19 山东东岳高分子材料有限公司 一种亲水ptfe多孔膜的制备方法
CN117899669B (zh) * 2024-03-19 2024-06-04 山东东岳高分子材料有限公司 一种亲水ptfe多孔膜的制备方法

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