JP2016169375A - オキシアルキレン基含有含フッ素重合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のエステル構造とは異なる構造を有する、親水性の含フッ素重合体、及びこれにより得られる膜を提供すること。
【解決手段】式(I)で表される重合体。式(I):−(A−B)n−[Aは出現毎に夫々独立に、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−又は−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−;R1は(ポリ)オキシアルキレン基;R2は単結合又はC1〜6のアルキレン;R3は単結合、C1〜6のオキシアルキレン又はC1〜6のアルキレンジオキシ;R5及びR6は、夫々独立に、H又はC1〜3のアルキル基;XはH、I又はBr;Bは、−R11 p−;R11は夫々独立に、含フッ素アルキレン基;pは1〜10の整数;nは任意の整数]
【選択図】なし
【解決手段】式(I)で表される重合体。式(I):−(A−B)n−[Aは出現毎に夫々独立に、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−又は−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−;R1は(ポリ)オキシアルキレン基;R2は単結合又はC1〜6のアルキレン;R3は単結合、C1〜6のオキシアルキレン又はC1〜6のアルキレンジオキシ;R5及びR6は、夫々独立に、H又はC1〜3のアルキル基;XはH、I又はBr;Bは、−R11 p−;R11は夫々独立に、含フッ素アルキレン基;pは1〜10の整数;nは任意の整数]
【選択図】なし
Description
本発明は、オキシアルキレン基含有含フッ素重合体に関する。
従来から、河川水、地下水または工業用水の清澄、排水または汚水処理、海水淡水化処理等の水の精製のために、高分子水処理膜が利用されている。このような処理膜は、高い物理的耐久性および化学的耐久性、ならびに高いファウリング(目詰まり)耐性が求められる。
高い物理的耐久性および化学的耐久性を有する高分子水処理膜の代表的なものとして、ポリフッ化ビニリデン膜が知られている。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン膜は、疎水性が高く、膜表面や膜細孔内に微生物由来のタンパク質等が付着しやすく、ファウリング耐性が低い。ファウリングを起こした膜は、通常、アルカリ溶液により洗浄され、再生される。この再生処理の頻度が多いと、水処理のコストが増加し、また、処理効率も低下する。
そこで、このようなファウリングを抑制するために、ポリフッ化ビニリデン膜を親水化することが試みられている。ポリフッ化ビニリデン膜の親水化方法としては、ポリフッ化ビニリデン部分と親水性の重合体部分とを含むブロック共重合体とすることが提案されている(特許文献1および2)。親水性の重合体としては、通常、側鎖(グラフト鎖)にエチレンオキシド構造またはプロピレンオキシド構造を有するアクリル酸エステル重合体またはメタクリル酸エステル系重合体が用いられている。
上記のように親水性の構造を付与したポリフッ化ビニリデン膜は、親水性が高まり、ファウリングが生じにくい。しかしながら、上記の重合体は、親水性の基を側鎖に有する構造に限定されており、この構造に起因する性質のために用途等が限定され得る。そこで、ファウリング防止機能を有しながらも、従来の重合体とは異なる性質(換言すれば異なる構造)を有する親水性の含フッ素重合体が望まれている。
従って、本発明の目的は、従来の親水性基を側鎖に有する構造とは異なる構造を有する、親水性の含フッ素重合体、およびこれにより得られる膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、親水性の構造を、側鎖にではなく、主鎖に導入することにより、従来とは構造の異なる親水性重合体を提供できることを見出した。
即ち、本発明は:
[1] 下記式(I):
−(A−B)n−
[式中:
Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−または−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり;
R1は、(ポリ)オキシアルキレン基であり;
R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり;
R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシであり;
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子であり;
Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり;
Bは、−R11 p−であり;
R11は、それぞれ独立して、含フッ素アルキレン基であり;
pは、1〜10の整数であり;
nは、任意の整数である。]
で表される重合体;
[2] R1が、(ポリ)オキシアルキレン基であり、
R2が、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり、
R3が、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンである、上記[1]に記載の重合体;
[3] Aが、−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[4] 一部のAが−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−であり、残りのAが−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[5] Aが、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[6] R5およびR6は、水素原子であることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体;
[7] Xがヨウ素原子である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体;
[8] R1が、−(OClH2l)m−であり;
lは、mが付された単位毎にそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;
mは、1〜10の整数である
ことを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の重合体;
[9] R1が、−(OClH2l)m−であり;
OClH2lが、−O−CH2CH2−または−O−CH(CH3)−CH2−であり;
mが、2〜6である
ことを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載の重合体;
[10] R11が、−R13 q−R12−R13 r−:
(式中、R12は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基であり、
R13は、それぞれ独立して、CH2またはCHFであり、
qおよびrは、それぞれ独立して、0または1である。)
で表される基であることを特徴とする、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の重合体;
[11] R11が、炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基であることを特徴とする、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の重合体;
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体から形成された膜;
[13] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体およびポリフッ化ビニリデンの混合物から構成される膜;
[14] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体を、ポリフッ化ビニリデン膜の表面に塗布することにより得られる膜;
[15] 水処理用である、上記[12]〜[14]のいずれかに記載の膜
を提供する。
[1] 下記式(I):
−(A−B)n−
[式中:
Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−または−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり;
R1は、(ポリ)オキシアルキレン基であり;
R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり;
R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシであり;
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子であり;
Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり;
Bは、−R11 p−であり;
R11は、それぞれ独立して、含フッ素アルキレン基であり;
pは、1〜10の整数であり;
nは、任意の整数である。]
で表される重合体;
[2] R1が、(ポリ)オキシアルキレン基であり、
R2が、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり、
R3が、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンである、上記[1]に記載の重合体;
[3] Aが、−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[4] 一部のAが−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−であり、残りのAが−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[5] Aが、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の重合体;
[6] R5およびR6は、水素原子であることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体;
[7] Xがヨウ素原子である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体;
[8] R1が、−(OClH2l)m−であり;
lは、mが付された単位毎にそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;
mは、1〜10の整数である
ことを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の重合体;
[9] R1が、−(OClH2l)m−であり;
OClH2lが、−O−CH2CH2−または−O−CH(CH3)−CH2−であり;
mが、2〜6である
ことを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載の重合体;
[10] R11が、−R13 q−R12−R13 r−:
(式中、R12は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基であり、
R13は、それぞれ独立して、CH2またはCHFであり、
qおよびrは、それぞれ独立して、0または1である。)
で表される基であることを特徴とする、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の重合体;
[11] R11が、炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基であることを特徴とする、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の重合体;
[12] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体から形成された膜;
[13] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体およびポリフッ化ビニリデンの混合物から構成される膜;
[14] 上記[1]〜[11]のいずれかに記載の重合体を、ポリフッ化ビニリデン膜の表面に塗布することにより得られる膜;
[15] 水処理用である、上記[12]〜[14]のいずれかに記載の膜
を提供する。
本発明によれば、重合体の分子主鎖に、(ポリ)オキシアルキレン構造を導入することにより、高い親水性を有する重合体が提供される。このような重合体を用いて水処理膜を製造することにより、膜のファウリングを抑制することができる。
本発明の重合体は、下記式(I)で表される:
−(A−B)n−
[式中:
Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−または−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり;
R1は、(ポリ)オキシアルキレン基であり;
R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり;
R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシであり;
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子であり;
Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり;
Bは、−R11 p−であり;
R11は、それぞれ独立して、含フッ素アルキレン基であり;
pは、1〜10の整数であり;
nは、任意の整数である。]
−(A−B)n−
[式中:
Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−または−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり;
R1は、(ポリ)オキシアルキレン基であり;
R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり;
R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシであり;
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子であり;
Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり;
Bは、−R11 p−であり;
R11は、それぞれ独立して、含フッ素アルキレン基であり;
pは、1〜10の整数であり;
nは、任意の整数である。]
上記式中、構造Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−(以下、「A’」ともいう)または−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−(以下、「A”」ともいう)である。
一の態様において、構造A’は、−CHR5CHR6−R2−R1−R3−CHR6CHR5−(以下、「A’’’」ともいう)であり得る。
一の態様において、式−(A−B)n−におけるAは、−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−である。即ち、−(A−B)n−は、−(A’−B)n−である。
一の態様において、上記−(A’−B)n−におけるA’の一部または全部は、−CHR5CHR6−R2−R1−R3−CHR6CHR5−である。一の態様において、上記A’の全部は、−CHR5CHR6−R2−R1−R3−CHR6CHR5−であり得る。即ち、−(A−B)n−は、−(A’’’−B)n−であり得る。
一の態様において、式−(A−B)n−における一部のAは、−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり、残りのAは、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−である。即ち、−(A−B)n−は、−(A’−B)n’−(A”−B)n”−(式中、n’およびn”は、それぞれ独立して任意の整数であり、n’またはn”を付された繰り返し単位の存在順序は限定されない)である。
一の態様において、上記−(A’−B)n’−(A”−B)n”−におけるA’の一部または全部は、−CHR5CHR6−R2−R1−R3−CHR6CHR5−である。一の態様において、上記A’の全部は、−CHR5CHR6−R2−R1−R3−CHR6CHR5−であり得る。即ち、−(A−B)n−は、−(A’’’−B)n’−(A”−B)n”−であり得る。
一の態様において、式−(A−B)n−におけるAは、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−である。即ち、−(A−B)n−は、−(A”−B)n−である。
式中、R1は、(ポリ)オキシアルキレン基、である。
本明細書において、「(ポリ)オキシアルキレン基」は、1個のオキシアルキレン(所謂、オキシアルキレン)、および1種またはそれ以上のオキシアルキレン基が2個以上連結した基(所謂、ポリオキシアルキレン)の両方を包含する。
上記(ポリ)オキシアルキレン基は、好ましくは、−(OClH2l)m−である。式中、ClH2lは、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。
式中、lは、mが付された単位毎にそれぞれ独立して、1〜5の整数である。即ち、(ポリ)オキシアルキレン基におけるmが付された単位「OClH2l」は、(ポリ)オキシアルキレン基において必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。例えば、(ポリ)オキシアルキレン基は、−(OCH2)−(OCH2CH2)−等であってもよい。好ましい態様において、mが付された単位「OClH2l」は、式中において同一である。好ましい態様において、lは2〜4の整数である。
式中、mは、1〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
好ましい態様において、(ポリ)オキシアルキレン基は、−(O−CH2CH2)m−または−(O−CH(CH3)−CH2)m−(式中、mは、2〜6である)である。
上記R1は、親水性の基であり、主鎖に−C−C結合、または−C−O−結合により導入されている。従って、主鎖にアクリレート構造を介して親水性基が結合している従来の重合体と比較して、耐薬品性、特に耐アルカリ性が高くなる。
式中、R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレン(好ましくは、炭素数1〜3、例えば炭素数1または2のアルキレン)である。
式中、R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレン(好ましくは、炭素数1〜3、例えば炭素数1または2のオキシアルキレン)または炭素数1〜6のアルキレンジオキシ(好ましくは、炭素数1〜3、例えば炭素数1または2のアルキレンジオキシ)である。
一の態様において、R3は、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシである。
別の態様において、R2が単結合であり、R3が炭素数1〜6のアルキレンジオキシである。
別の態様において、R2が炭素数1〜6のアルキレンであり、R3が炭素数1〜6のオキシアルキレンである。
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基(好ましくは、メチル基)であり、好ましくは水素原子である。
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基(好ましくは、メチル基)であり、好ましくは水素原子である。
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子である。好ましい態様において、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6は、両方水素原子である。
式中、Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり、好ましくは水素原子またはヨウ素原子である。一の態様において、Xは水素原子である。別の態様において、Xはヨウ素原子である。
上記式中、構造Bは、−R11 p−(式中、R11は含フッ素アルキレン基であり、pは1〜10の整数である)である。かかる含フッ素アルキレン基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、また、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよい。
上記含フッ素アルキレン基は、好ましくは炭素数が1〜10の含フッ素アルキレン基、より好ましくは炭素数が2〜6の含フッ素アルキレン基であり得る。好ましい態様において、含フッ素アルキレン基は、直鎖であり得る。
上記含フッ素アルキレン基において、フッ素原子の数は、特に限定されない。即ち、含フッ素アルキレン基は、アルキレン基の主鎖炭素原子上の一部の水素原子がフッ素原子に置換された基であってもよく、あるいは、アルキレン基の主鎖炭素原子上の水素原子がすべてフッ素原子に置換された基(所謂、パーフルオロアルキレン基)であってもよい。
一の態様において、R11は、−R13 q−R12−R13 r−で表される基である。
式中、R12は、炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基であり、好ましくはパーフルオロメチレンまたはパーフルオロエチレンである。
式中、R13は、それぞれ独立して、CH2またはCHFである。一の態様において、R13は、CH2である。
式中、qおよびrは、それぞれ独立して、0または1である。一の態様において、qおよびrは、0である。別の態様において、qおよびrは、1である。
好ましい態様において、R11は、−CH2CF2−、−CH2(CF2)6CH2−、−CH2(CF2)8CH2−、−(CF2)2−、−(CF2)4−、または−(CF2)6−であり得る。
上記式中、nは、任意の整数であり得る。nは、所望の重合度(または分子量)に応じて適宜選択される。
上記−(A−B)n−で表される重合体の末端は、特に限定されず、合成に用いた原料または停止剤に応じた構造を有し得る。
上記−(A−B)n−で表される重合体の平均分子量は、特に限定されず、用途等の目的に応じて適宜設定することができる。例えば、一の態様において、本発明の重合体の重量平均分子量は、5×102〜5×106であり、好ましくは1×103〜3×106であり、例えば、5×102〜1×105であり、好ましくは1×103〜3×104である。
上記の化合物は、A構造に対応するジエンと、B構造に対応するジハロゲン化物とを付加重合させることにより得ることができる。
具体的には、下記式(A1):
CHR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CHR5
[式中、R1、R2、R3、R5およびR6は、それぞれ、上記式(I)について記載したR1、R2、R3、R5およびR6と同意義である。]
で表されるジエンと、下記式(B1):
X−B−X
[式中、BおよびXは、それぞれ、上記式(I)について記載したBおよびXと同意義である。]
で表される化合物を付加重合させる。
CHR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CHR5
[式中、R1、R2、R3、R5およびR6は、それぞれ、上記式(I)について記載したR1、R2、R3、R5およびR6と同意義である。]
で表されるジエンと、下記式(B1):
X−B−X
[式中、BおよびXは、それぞれ、上記式(I)について記載したBおよびXと同意義である。]
で表される化合物を付加重合させる。
上記の反応により得られる化合物は、式(Ia):
−(CHR5−CR6X−R2−R1−R3−CR6X−CHR5−B)n−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6、BおよびXは、上記と同意義であり、nは任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A’−B)n−で表される重合体)、または
式(Ib):
−(CHR5−CR6X−R2−R1−R3−CR6X−CHR5−B)n’−(CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−B)n’−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6、BおよびXは、上記と同意義であり、n’およびn”は任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A’−B)n’−(A”−B)n”−で表される重合体)、
あるいはこれらの混合物である。
−(CHR5−CR6X−R2−R1−R3−CR6X−CHR5−B)n−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6、BおよびXは、上記と同意義であり、nは任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A’−B)n−で表される重合体)、または
式(Ib):
−(CHR5−CR6X−R2−R1−R3−CR6X−CHR5−B)n’−(CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−B)n’−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6、BおよびXは、上記と同意義であり、n’およびn”は任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A’−B)n’−(A”−B)n”−で表される重合体)、
あるいはこれらの混合物である。
好ましい態様において、上記付加重合は、紫外線照射、フォトレドックス触媒共存下での可視光照射、一電子還元剤の添加、またはラジカル発生剤の添加によりラジカルを発生させることにより、付加重合を開始させる。
紫外線の光源としては、紫外線を発するものであれば限定されるものではないが、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、UVランプ、ハロゲンランプ、LED等が挙げられ、好ましくは高圧水銀ランプが使用される。
上記フォトレドックス触媒としては、例えば、ローダミンB、エシオンY、[Ru(bpy)3]+類縁体、[Ir(bpy)3]+類縁体等が挙げられる。
上記一電子還元剤としては、例えば、亜ジチオン酸リチウム、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜ジチオン酸セシウム、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩等が挙げられ、好ましくは亜ジチオン酸ナトリウム、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)であり、特に好ましくは亜ジチオン酸ナトリウムである。
上記ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機アゾ化合物等が挙げられ、好ましくは有機過酸化物が用いられる。下記に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物としては過酸化ベンゾイル、無機過酸化物としてはカリウムパーサルファイト、有機アゾ化合物としてはAIBN等が挙げられる。
上記の付加重合の条件は、特に限定されず、当業者であれば、用いる原料、および所望の生成物に応じて適宜選択することがでる。
上記で得られた−(A’−B)n−で表される重合体または−(A’−B)n’−(A”−B)n”−で表される重合体を、塩基の存在下で脱ハロゲン化水素反応に付すことにより、式(IC):
−(CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−B)n−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6およびBは、上記と同意義であり、nは任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A−B)n−で表される重合体)を得ることができる。
−(CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−B)n−
[式中、R1、R2、R3、R5、R6およびBは、上記と同意義であり、nは任意の整数である。]
で表される重合体(即ち、−(A−B)n−で表される重合体)を得ることができる。
上記の脱ハロゲン化反応の反応条件は、特に限定されず、当業者であれば、用いる原料に応じて、適宜選択することができる。
上記の本発明の重合体、特に構造Aが構造A”またはA’’’から成る重合体、例えば構造Aが構造A”から成る重合体は、親水性ポリマーとして種々の用途、例えば水処理膜、塗料、親水化剤、添加剤、ステイン・リリース(SR)剤、タンパク付着防止剤等に用いることができる。
一の態様において、本発明の重合体は、親水化剤として用いられ、他の高分子材料の親水化剤として用いられる。親水化の方法としては、特に限定されないが、他の高分子材料と混合した後に成形(好ましくは成膜)する方法、または高分子材料を成形(好ましくは成膜)し、その表面に本発明の重合体を適用する方法が挙げられる。本発明の重合体は、特に、高分子材料から形成される高分子多孔質膜の親水化剤として好適に用いられる。
従って、本発明は、本発明の重合体および他の高分子材料の混合物から構成される膜をも提供する。
好ましい態様において、上記本発明の膜は、高分子多孔質膜である。
好ましい態様において、上記他の高分子材料は、含フッ素ポリマーであり、代表的にはフッ化ビニリデン系ポリマー、好ましくはポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン単位を有する共重合体が挙げられる。
本発明の重合体は、上記含フッ素ポリマーに対して、0.5〜50質量%となるように添加して組成物とすることができる。より好ましい下限は5質量%であり、さらに好ましい下限は10質量%であり、より好ましい上限は30質量%である。
上記含フッ素ポリマーがフッ化ビニリデン系ポリマーであると、溶融混練により本発明の重合体と混合することが可能となり、優れた特性を有する高分子多孔質膜を形成することができる組成物とすることができる。この観点から、上記組成物は、本発明の重合体と、上記ポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン単位を有する共重合体とを、溶融混練することにより得られた組成物であることが好ましい。
上記ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は、高分子多孔質膜の機械的強度および加工性の観点から、30,000〜2,000,000であることが好ましく、50,000〜1,000,000であることがより好ましい。
上記フッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデン単位のみからなるホモポリマーであってもよいし、フッ化ビニリデン単位と他の単量体単位とからなる変性ポリマーであってもよい。変性ポリマーにおいて、他の単量体としては、フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体が使用でき、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式:CH2=CFRf(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖または分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー等が挙げられる。上記ポリフッ化ビニリデンにおいて、フッ化ビニリデン単位および他の単量体単位のモル比(フッ化ビニリデン単位/他の単量体単位)が99/1を超え、100/0未満であることが好ましい。
上記フッ化ビニリデン単位を有する共重合体としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。機械的強度および耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン単位を有する共重合体は、特にフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
成膜性および耐アルカリ性の観点から、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位のモル比(フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位)が50〜99/50〜1であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば、ダイキン工業(株)製のVTシリーズ等が挙げられる。フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位/テトラフルオロエチレン単位がモル比で50〜95/50〜5であることがより好ましく、50〜90/50〜10であることがさらに好ましい。また、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体は、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位のみからなるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体の他に、フッ化ビニリデン単位およびテトラフルオロエチレン単位に加えて、特性を損なわない範囲でヘキサフルオロプロピレン単位、クロロトリフルオロエチレン単位、パーフルオロビニルエーテル単位等を有する三元以上の共重合体でもよい。
フッ化ビニリデン単位を有する共重合体の重量平均分子量は、高分子多孔質膜の用途によって異なるが、機械的強度および成膜性の観点からは、10,000以上であることが好ましい。より好ましくは、30,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは、50,000〜1,000,000であり、特に好ましくは、100,000〜800,000である。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
上記高分子多孔質膜は、種々の方法により製造することができる。例えば、相分離法、溶融抽出法、蒸気凝固法、延伸法、エッチング法、高分子シートを焼結することにより多孔質膜とする方法、気泡入りの高分子シートを圧潰することにより多孔質膜を得る方法、エレクトロスピニングを用いる方法等が挙げられる。
溶融抽出法は、混合物に無機微粒子と有機液状体を溶融混練し、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーの融点以上の温度で口金から押出したり、プレス機等により成形した後、冷却固化し、その後有機液状体と無機微粒子を抽出することにより多孔構造を形成する方法である。
蒸気凝固法は、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを良溶媒に溶解した組成物からなる薄膜状物の少なくとも一方の表面に、上記良溶媒と相溶性があり本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを溶解しない非溶媒および/または貧溶媒の飽和蒸気またはミストを含む蒸気を強制的に供給する方法である。
好ましい態様において、本発明の高分子多孔質膜は、細孔サイズの制御が容易であることから相分離法で形成することが好ましい。相分離法としては、例えば、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)等が挙げられる。
熱誘起相分離法を用いる場合、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを貧溶媒または良溶媒である溶媒に、比較的高い温度で溶解させて組成物を得る工程、および、該組成物を冷却固化する工程からなる製造方法により本発明の高分子多孔質膜は製造することができる。
本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーが溶媒に溶解した組成物は、クラウドポイント(曇点)と呼ばれる温度よりも高い温度に維持されている場合は均一な1相の液体となるが、クラウドポイント以下では相分離が起こり、ポリマー濃厚相と溶媒濃厚相の2相に分離し、さらに結晶化温度以下になるとポリマーマトリックスが固定化され、多孔質膜が形成する。
熱誘起相分離法を用いる場合、上記組成物は、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーが本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーと溶媒との合計に対して10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜50質量%である。
本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーの濃度を適正な範囲に調整することにより、組成物の粘度を適切な範囲に調整することができる。組成物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
上記貧溶媒は、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを60℃未満の温度では5質量%以上溶解させることができないが、60℃以上かつ樹脂の融点以下では5質量%以上溶解させることができる溶媒のことである。貧溶媒に対し、60℃未満の温度でも樹脂を5質量%以上溶解させることができる溶媒を良溶媒という。樹脂の融点または液体の沸点まで、樹脂を溶解も膨潤もさせない溶媒を非溶媒という。
貧溶媒としては、シクロヘキサノン、イソホロン、γーブチロラクトン、メチルイソアミルケトン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、脂肪族多価アルコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジアセトンアルコール、グリセロールトリアセテート等の中鎖長のアルキルケトン、エステル、グリコールエステルおよび有機カーボネート等、並びに、その混合溶媒が挙げられる。HFC−365等の含フッ素溶媒、ジフェニルカーボネート、メチルベンゾエート、ジエチレングリコールエチルアセテート、ベンゾフェノン等も挙げられる。なお、非溶媒と貧溶媒の混合溶媒であっても、上記貧溶媒の定義を満たす溶媒は、貧溶媒である。
熱誘起相分離法を用いる場合、組成物の溶媒としては貧溶媒が好ましいが、この限りではなく、フルオロポリマーの相分離挙動の検討から良溶媒を用いる場合もある。
良溶媒としては、HCFC−225等の含フッ素溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、リン酸トリメチル等の低級アルキルケトン、エステル、アミド、および、これらの混合溶媒等が挙げられる。
非溶媒としては、水、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン、トリクロロエチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、メタノール、エタノール、プロパノール、低分子量のポリエチレングリコール等の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、芳香族多価アルコール、塩素化炭化水素、またはその他の塩素化有機液体およびその混合溶媒等が挙げられる。
熱誘起相分離法を用いる場合、上記組成物を得る工程は、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを貧溶媒または良溶媒である溶媒に20〜270℃で溶解させるものであることが好ましい。溶解させる温度は30〜250℃であることが好ましい。比較的高温で溶解させた場合には、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーの濃度を高くすることができ、これにより、高い機械的強度を有する高分子多孔質膜を得ることができる。本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーの濃度が高すぎると、得られる高分子多孔質膜の空隙率が小さくなり、透水性能が低下するおそれがある。また、調製した組成物の粘度が適正範囲に無ければ、多孔質膜に成形することができないおそれがある。
組成物を冷却固化する方法としては、例えば、上記組成物を、口金から冷却浴中に吐出する方法が好ましい。高分子多孔質膜が平膜の場合、キャストして、冷却浴に浸漬させる方法も好ましい方法として挙げられる。
冷却浴として用いることができる冷却液体は、組成物よりも温度が低いものであり、例えば、温度が0〜80℃であり、濃度が60〜100質量%の貧溶媒または良溶媒である溶媒を含有する液体を用いることができる。また、冷却液体には、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。
上記高分子多孔質膜の製造方法においては、組成物の濃度、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを溶解する溶媒の組成、冷却浴を構成する冷却液体の組成が重要である。これらの組成を調整することによって、高分子多孔質膜の多孔質構造を制御することができる。
例えば、高分子多孔質膜の片面と他方の面とで、組成物の組成や冷却液体の組成の組み合わせを変更することによって、高分子多孔質膜の片面の構造と、他方の面の構造とを異なるものにすることもできる。
上記高分子多孔質膜を非溶媒誘起相分離法により製造する場合、例えば、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを溶媒に溶解して組成物を得る工程、得られた組成物を、口金から非溶媒を含む凝固浴中に吐出する工程からなる製造方法により高分子多孔質膜を得ることが好ましい。
上記組成物を、非溶媒を含む凝固浴中に浸漬することにより、該組成物と凝固浴中の溶媒と非溶媒の濃度勾配を駆動力として、非溶媒誘起型の相分離を生じせしめることができる。この方法によれば、最初に溶媒と非溶媒の置換により相分離が起こる外表面において緻密なスキン層が形成し、膜内部方向に向かって相分離現象が進んでいく。その結果、スキン層に続いて膜内部方向に向かって連続的に孔径が大きくなる非対称膜を製造することもできる。
非溶媒誘起相分離法を用いる場合、上記組成物は、本発明の重合体、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒からなることが好ましい。上記組成物は、本発明の重合体、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒に加えて、さらに、非溶媒からなることも好ましい形態の一つである。
上記組成物は、本発明の重合体、上記含フッ素ポリマー、溶媒および非溶媒の合計(組成物が非溶媒を含まない場合には、本発明の重合体、上記含フッ素ポリマーおよび溶媒の合計)に対して、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーが5〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。上記組成物は、本発明の重合体、上記含フッ素ポリマー、溶媒および非溶媒の合計に対して、非溶媒が0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%である。本発明の重合体および上記含フッ素ポリマー濃度を適正な範囲に調整することにより、組成物の粘度を適切な範囲に調整することができる。組成物の粘度が適切な範囲になければ、高分子多孔質膜に成形することができないおそれがある。
組成物は、常温であってもよいし、加熱されたものでもよい。例えば、10〜75℃が好ましい。
非溶媒誘起相分離法において、上記溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した溶媒を用いることができる。上記溶媒は、貧溶媒であっても良溶媒であってもよいが、良溶媒が好ましい。
上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を使用することができる。
上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を使用することができる。
上記凝固浴として用いることができる凝固液体として、非溶媒を含有する液体を用いて固化させることが好ましく、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。上記非溶媒としては、熱誘起相分離法で例示した非溶媒を用いることができる。例えば、水を好適に用いることができる。
上記高分子多孔質膜を製造する場合、上記熱誘起相分離法と非溶媒誘起相分離法とを併用してもよい。
非溶媒誘起相分離法および熱誘起相分離法では、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーを溶媒に溶解した組成物を口金から吐出した後、固化させることで多孔質膜を得ることができる。上記口金としては、例えば、スリット口金、二重管式口金、三重管式口金等が用いられる。
高分子多孔質膜の形状を中空糸膜とする場合、上記口金としては、中空糸膜紡糸用の二重管式口金、三重管式口金等が好ましく用いられる。
二重管式口金を用いる場合、二重管式口金の外側の管から組成物を吐出し、イオン交換水等の中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。
中空部形成流体には、通常、気体もしくは液体を用いることができる。熱誘起相分離法では、冷却液体と同様の、濃度が60〜100%の貧溶媒若しくは良溶媒を含有する液体が好ましく採用できるが、非溶媒や、貧溶媒や良溶媒を含有する非溶媒を用いてもよい。非溶媒誘起相分離法では、上記中空部形成流体としては、上述した非溶媒を用いることが好ましく、例えば、イオン交換水等の水が好ましい。また、上述した非溶媒は、貧溶媒、良溶媒を含有していてもよい。
熱誘起相分離法を用いる場合は、上記中空部形成流体としては、上述した溶媒を用いることが好ましく、例えば、グリセロールトリアセテート等の貧溶媒が好ましい。また、熱誘起相分離法を用いる場合は、窒素ガスを用いることもできる。
中空部形成流体と冷却液体または凝固液体の組成を変えることにより、二種の構造を有する中空糸膜を形成することもできる。中空部形成流体は、冷却して供給してもよいが、冷却浴の冷却力のみで中空糸膜を固化するのに十分な場合は、中空部形成流体は冷却せずに供給してもよい。
三重管式口金は、2種の樹脂溶液を用いる場合に好適である。例えば、三重管式口金の外側の管と中間の管から2種の組成物を吐出し、中空部形成液体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。また、三重管式口金の外側の管から組成物を吐出し、中間の管から本発明の重合体および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂からなる樹脂溶液を吐出し、中空部形成流体を内側の管から吐出しながら凝固浴または冷却浴中で固化することで、中空糸膜とすることができる。本発明の重合体および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂としては上述したものが挙げられる。中でも、上述した熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル樹脂がより好ましい。
上記のように、二重管式口金や三重管式口金を用いた製造方法で中空糸膜を製造した場合、凝固液体または冷却液体の量を、平膜を製造した場合よりも少なくすることができる点で好ましい。
上記高分子多孔質膜の形状が中空糸膜の場合、上記の方法で得られた中空糸膜の外表面または内表面に、さらに、フルオロポリマー層または本発明の重合体および上記含フッ素ポリマー以外の樹脂からなる樹脂層を形成してもよい。
上記フルオロポリマー層または上記樹脂層は、中空糸膜の外表面または内表面に組成物または樹脂溶液を塗布することで形成することができる。中空糸膜の外表面に組成物または樹脂溶液を塗布する方法としては、中空糸膜を組成物または樹脂溶液に浸潰したり、中空糸膜に組成物または樹脂溶液を滴下したりする方法等が好ましく用いられる。中空糸膜の内表面に組成物または樹脂溶液を塗布する方法としては、組成物または樹脂溶液を中空糸膜内部に注入する方法等が好ましく用いられる。組成物または樹脂溶液の塗布量を制御する方法としては、組成物または樹脂溶液の塗布量自体を制御する方法の他に、多孔質膜を組成物または樹脂溶液に浸漬したり、多孔質膜に組成物または樹脂溶液を塗布した後に、組成物または樹脂溶液の一部をかき取ったり、エアナイフを用いて吹き飛ばす方法や、塗布の際の濃度を調整する方法も好ましく用いられる。
上記高分子多孔質膜の形状を平膜とする場合、上記組成物をキャストして、冷却浴または凝固浴に浸漬させることによって製造することができる。また、スリット口金を用いて、冷却浴または凝固浴に上記組成物を吐出することでも製造することができる。
上記高分子多孔質膜が多孔質基材からなる複合膜である場合、上記多孔質基材を上記組成物に浸漬する方法、上記多孔質基材の少なくとも片面に上記組成物を塗布する方法等により上記高分子多孔質膜を得ることもできる。
上述した製造方法により、接触角が小さい高分子多孔質膜を得ることができるが、透水性能が十分でない場合には、上記製造方法で得られた多孔質膜をさらに延伸して本発明の高分子多孔質膜としてもよい。
上記高分子多孔質膜の孔径を制御する方法としては、例えば、上記組成物に孔径を制御するための添加剤を入れ、本発明の重合体および上記含フッ素ポリマーによる多孔質構造を形成する際、または多孔質構造を形成した後に、添加剤を溶出させることにより高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。また、添加剤は多孔質膜内に留まらせてもよい。
非溶媒誘起相分離法および熱誘起相分離法のいずれにおいても、上記組成物は添加剤を含んでいてもよい。多孔質構造を形成した後、添加剤を溶出させることにより、高分子多孔質膜の孔径を制御することができる。上記添加剤は、必要に応じて多孔質膜内に留まらせてもよい。
上記添加剤としては、有機化合物および無機化合物を挙げることができる。上記有機化合物としては、組成物を構成する溶媒に溶解するもの、または、均一に分散するものであることが好ましい。さらに、非溶媒誘起相分離法では凝固液体に含まれる非溶媒、熱誘起相分離法では冷却液体に含まれる溶媒に溶解するものが好ましい。
上記有機化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、テキストラン等の水溶性ポリマー、Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート)等の界面活性剤、グリセリン、糖類等を挙げることができる。
上記無機化合物としては、水溶性化合物が好ましく用いられる。例えば、塩化カルシウム、塩化リチウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
上記添加剤を用いずに、凝固液における非溶媒の種類、濃度および温度によって相分離速度をコントロールすることによって表面の平均孔径を制御することも可能である。一般的には、相分離速度が速いと表面の平均孔径が小さく、遅いと大きくなる。また、上記組成物に非溶媒を添加することも、相分離速度制御に有効である。
上記組成物は、親水化の観点や、相分離制御の観点、機械的強度向上の観点から、さらに、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、モンモリロナイト、SiO2、TiO2、CaCO3、ポリテトラフルオロエチレン等の添加剤を含んでいてもよい。
上記高分子多孔質膜は、透水性向上の観点から、アルカリで処理を行ってもよい。アルカリとは、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液、アンモニア水、アミン溶液等である。これらは、エタノール、メタノール等のアルコールや有機溶剤を含んでいてもよい。特にアルカリがアルコールを含むことが好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明の重合体は、高分子多孔質膜に塗布することにより、塗膜とし、親水性を付与することもできる。高分子多孔質膜としては、上記のものが使用できる。
従って、本発明は、本発明の重合体を、他の高分子材料の膜の表面に塗布することにより得られる膜をも提供する。
本発明の重合体は、有機溶剤を含むものであってもよく、有機溶剤を含む場合、容易に塗布することが可能になる。
上記有機溶剤としては、下記の溶剤が挙げられる;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ
−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシドなど;
あるいはこれらの2種以上の混合溶剤。
ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルなどのグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノール、tert−アミルアルコールなどのアルコール類;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;
メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール類;
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ
−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシドなど;
あるいはこれらの2種以上の混合溶剤。
またさらに、フッ素系の溶剤としては、例えばCH3CCl2F(HCFC−141b)、CF3CF2CHCl2/CClF2CF2CHClF混合物(HCFC−225)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、メトキシ−ノナフルオロブタン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼンなどのほか、H(CF2CF2)nCH2OH(n:1〜3の整数)、F(CF2)nCH2OH(n:1〜5の整数)、CF3CH(CF3)OHなどのフッ素系アルコール類;ベンゾトリフルオライド、パーフルオロベンゼン、パーフルオロ(トリブチルアミン)、ClCF2CFClCF2CFCl2などがあげられる。
これらフッ素系溶剤は単独でも、またフッ素系溶剤同士、非フッ素系とフッ素系の1種以上との混合溶剤などを挙げることができ、なかでもアルコールとケトン、酢酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが好ましく、さらにiso−プロパノールとメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが最も好ましい。本発明の重合体が上記有機溶剤を含む場合、上記フルオロポリマーを5〜60質量%含むことが好ましい。親水化剤の塗布は、公知の方法により実施でき、例えば、スピンコート法、バーコード法、キャスト法、スプレー法、エレクトロスピニング法等の方法により塗布することができる。本発明の重合体は、さらに、硬化剤、硬化促進剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤等の塗料に通常使用される添加剤を含むものであってもよい。
上記高分子多孔質膜は、飲料水製造、浄水処理、排水処理等の水処理に用いられる精密濾過膜または限外濾過膜として好適である。上記高分子多孔質膜は、特に、水処理用の高分子多孔質膜であることが好ましい。
また、上記高分子多孔質膜は、食品分野、電池分野等においても好適に用いられる。
食品分野においては、発酵に用いた酵母の分離除去や、液体の濃縮を目的として上記高分子多孔質膜を用いることができる。
電池分野においては、電解液は透過できるが、電池反応で生じる生成物は透過できないようにするための電池用セパレーターとして上記高分子多孔質膜を用いることができる。
以上、本発明について詳述したが、本発明は、これらの重合体および用途に限定されない。
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(46.0mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)6I(110.7mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158.1mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い重合体2a(59.8mg、収率39%、Mw=1.4×104、Mw/Mn=1.8)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(12H,m,6OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.57(2H,m,2CF2CHH),
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−122.2(x,y),−124.0(x,y)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(12H,m,6OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.57(2H,m,2CF2CHH),
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−122.2(x,y),−124.0(x,y)
反応容器中、上記と同様に別途合成した重合体2a(100.1mg、0.1mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、ジアザビシクロウンデセン(DBU、60μl、2.0eq.)を添加し、一晩撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い重合体3a(56.2mg、収率82%、Mw=6.6×103、Mw/Mn=1.8)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(12H,m,6OCH 2 ),
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(4F,s,2CF 2 ),−122.2(4F,s,2CF 2 ),−124.0(4F,s,2CF 2 )
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(12H,m,6OCH 2 ),
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(4F,s,2CF 2 ),−122.2(4F,s,2CF 2 ),−124.0(4F,s,2CF 2 )
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(46.6mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)4I(98.2mg、1.1eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158.1mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い重合体2b(38.0mg、収率29%、Mw=6.1×103、Mw/Mn=1.6)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.91(2H,m,2C=CH),4.44−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.82−3.59(12H,m,6OCH 2 ),3.18−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.58(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.3(y),−114.3(x),−124.0(x,y)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.91(2H,m,2C=CH),4.44−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.82−3.59(12H,m,6OCH 2 ),3.18−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.58(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.3(y),−114.3(x),−124.0(x,y)
パイレックスチューブ中、アリルエーテル4(73.1mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)6I(110.9mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158.1mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い重合体5a(67.4mg、収率37%、Mw=4.9×103、Mw/Mn=1.4)を得た。
得られた重合体5aについて接触角測定を行ったところ、対水接触角は46°であった。
得られた重合体5aについて接触角測定を行ったところ、対水接触角は46°であった。
尚、上記接触角は、下記のように測定した。
<接触角の測定方法>
合成した化合物のCH2Cl2溶液をガラス板に滴下し、スピンコーターで製膜後、室温下で一晩乾燥した。製膜したガラス版に対し精製水2μlを滴下し、20℃で撥水性の評価を行った(3回の測定値の平均値)。
<接触角の測定方法>
合成した化合物のCH2Cl2溶液をガラス板に滴下し、スピンコーターで製膜後、室温下で一晩乾燥した。製膜したガラス版に対し精製水2μlを滴下し、20℃で撥水性の評価を行った(3回の測定値の平均値)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(24H,m,12OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−122.2(x,y),−124.0(x,y)
δ=6.46−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(24H,m,12OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−122.2(x,y),−124.0(x,y)
パイレックスチューブ中、アリルエーテル4(72.5mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)4I(91.8mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158.1mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い重合体5b(50.5mg、収率31%、Mw=3.3×103、Mw/Mn=1.3)を得た。
得られた重合体5bについて接触角測定を行ったところ、対水接触角は35°であった。
得られた重合体5bについて接触角測定を行ったところ、対水接触角は35°であった。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.45−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(24H,m,12OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−124.0(x,y)
δ=6.45−6.42(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.45−4.32(2H,m,2ICH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.80−3.59(24H,m,12OCH 2 ),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(y),−114.2(x),−124.0(x,y)
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(45.6mg、0.2mmol)をCH3CN(5ml)に溶解し、I(CF2)6I(112.9mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(158.3mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を18時間照射した。反応終了後、ヘキサンを用いた再沈殿を行い重合体2a(25.0mg、収率16%、Mw=1.9×103、Mw/Mn=2.5)を得た。
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(47.6mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)6I(112.3mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(159.2mg、5.0eq.、1ml)を加え、冷却水を流して反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(60μl、2.0eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンを用いた再沈殿を行い重合体3a(51.6mg、収率62%、Mw=1.6×104、Mw/Mn=2.0)を得た。
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(46.3mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)4I(93.4mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(157.2mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(60μl、2.0eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い重合体3b(8.8mg、収率10%、Mw=2.9×103、Mw/Mn=1.6)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(12H,m,6OCH 2 )
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.3(4F,s,2CF2),−124.0(4F,s,2CF2)
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(12H,m,6OCH 2 )
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.3(4F,s,2CF2),−124.0(4F,s,2CF2)
パイレックスチューブ中、アリルエーテル4(72.4mg、0.2mmol)をCH2Cl2(2ml)に溶解し、I(CF2)4I(110.8mg、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(160.2mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(60μl、2.0eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い重合体6a(0.7mg、収率0.1%、Mw=5.3×103、Mw/Mn=1.2)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(24H,m,12OCH 2 )
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(4F,s,2CF2),−122.2(4F,s,2CF2),−124.0(4F,s,2CF2)
δ=6.45−6.41(2H,m,2CF2CH),5.95−5.90(2H,m,2C=CH),4.22−4.16(4H,m,2OCH 2 ),3.78−3.59(24H,m,12OCH 2 )
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−112.2(4F,s,2CF2),−122.2(4F,s,2CF2),−124.0(4F,s,2CF2)
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(462.1mg、2.0mmol)をCH2Cl2(20mL)に溶解し、I(CF2)6I(1.112g、1.0eq.)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(1.581g、5.0eq. 5mL)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を8時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(0.78mL、2.6eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い生成物3a(368.6mg、収率35%、Mw=3768、Mw/Mn=1.38)を得た。
得られた重合体3aについて、水中接触角測定を行ったところ37°であった。
得られた重合体3aについて、水中接触角測定を行ったところ37°であった。
2口ナスフラスコ中、トリエチレングリコールジアリルエーテル1(690.6mg、3.0mmol)を、MeCN(1.5ml)に溶解し、I(CF2)6I(0.69ml、1.0eq.)、炭酸水素ナトリウム(13.0mg、5mol%)、水(1.5ml)を加え、アルゴンによる脱気を30分間行った。脱気後、亜ジチオン酸ナトリウム(26.1mg、5mol%)を添加し、アルゴン雰囲気下、45℃で16時間反応を行った。反応終了後、ヘキサンを用いた再沈殿を行い、生成物2(1.8158g、収率77%、Mw=1.3×104、Mw/Mn=1.6)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=4.45−4.32(2H,m,2ICH),3.81−3.70(4H,m,2OCH2CIH),3.70−3.66(12H,m,6OCH2),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−114.2,−122.2,−124.0
δ=4.45−4.32(2H,m,2ICH),3.81−3.70(4H,m,2OCH2CIH),3.70−3.66(12H,m,6OCH2),3.15−2.98(2H,m,2CF2CHH),2.57−2.75(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−114.2,−122.2,−124.0
2口ナスフラスコ中、ヘキサエチレングリコールジアリルエーテル3(488.9mg,1.35mmol)を、MeCN(0.67ml)に溶解し、I(CF2)6I(0.31ml、1.0eq.)、炭酸水素ナトリウム(5.9mg、5mol%)、水(0.67ml)を加え、アルゴンによる脱気を30分間行った。脱気後、亜ジチオン酸ナトリウム(11.8mg,5mol%)を添加し、アルゴン雰囲気下、45℃で16時間反応を行った。反応終了後、ヘキサンを用いた再沈殿を行い、生成物4(1.1421g、収率92%、Mw=9.3×103、Mw/Mn=2.2)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=4.39−4.32(2H,m,2ICH),3.81−3.70(4H,m,2OCH2CIH),3.70−3.61(24H,m,12OCH2),3.15−3.00(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.59(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−114.1,−122.2,−124.2
δ=4.39−4.32(2H,m,2ICH),3.81−3.70(4H,m,2OCH2CIH),3.70−3.61(24H,m,12OCH2),3.15−3.00(2H,m,2CF2CHH),2.75−2.59(2H,m,2CF2CHH)
19F NMR(376MHz,CDCl3)
δ=−114.1,−122.2,−124.2
パイレックスチューブ中、アリルエーテル1(46.2mg,0.200mmol)を、CH2Cl2(5mL)に溶解し、I(CF2)6I(47μL,1.0当量)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(1ml中158mg)を加え、十分に窒素置換した後、450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い生成物2a(113mg,収率83%,Mw=2.1×105,Mw/Mn=5.8)を得た。
実施例13(アルカリ性洗浄剤に対する耐加水分解評価)
本発明のポリマー2a(Mw1.3×104,Mw/Mn=1.6)、および先行技術文献を参考に合成したポリフッ化ビニリデン膜と相溶する親水性ポリマーX(メチルメタクリレート(83mol%):ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート[エチレングリコール繰り返し数は9](17mol%)共重合体、下記のように製造できる)のそれぞれ510mgを秤量し、テトラヒドロフラン(3mL)中に溶解させた後、水酸化ナトリウム水溶液(1M)を300μL添加し、室温下で24時間撹拌した。
本発明のポリマー2a(Mw1.3×104,Mw/Mn=1.6)、および先行技術文献を参考に合成したポリフッ化ビニリデン膜と相溶する親水性ポリマーX(メチルメタクリレート(83mol%):ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート[エチレングリコール繰り返し数は9](17mol%)共重合体、下記のように製造できる)のそれぞれ510mgを秤量し、テトラヒドロフラン(3mL)中に溶解させた後、水酸化ナトリウム水溶液(1M)を300μL添加し、室温下で24時間撹拌した。
それぞれのポリマーについて、反応後の混合物をイオン交換水(40mL)中に再沈殿した。後者の親水性ポリマーXでは加水分解反応が著しく進行し、ポリマーを回収することができなかった。一方、本発明の2aを反応させた混合物からは、ポリマーが析出した。得られたポリマーを精製してGPC測定を行ったところ、その分子量は(Mw1.2×104,Mw/Mn=1.3)であり、先行技術中のポリマーよりも、アルカリ性洗浄剤に対して高い耐久性を有することを確認した。
親水性ポリマーXの製造:
反応容器に酢酸エチル(350g)、メチルメタクリレート(90.0g)、ポリエチレングリコールモノメチルメタクリレート(60g)、AIBN(0.500g)を加えて混合し、不活性ガスで十分に置換した。60℃で4時間加熱混合した後、反応混合物にジブチルヒドロキシトルエン(154mg)を添加し、大気下でしばらく撹拌した。得られた混合物を精製し、親水性ポリマーX(メチルメタクリレート(83mol%):ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート[エチレングリコール繰り返し数は9](17mol%)共重合体、Mw15×104,Mw/Mn=2.34)を32g得た。
反応容器に酢酸エチル(350g)、メチルメタクリレート(90.0g)、ポリエチレングリコールモノメチルメタクリレート(60g)、AIBN(0.500g)を加えて混合し、不活性ガスで十分に置換した。60℃で4時間加熱混合した後、反応混合物にジブチルヒドロキシトルエン(154mg)を添加し、大気下でしばらく撹拌した。得られた混合物を精製し、親水性ポリマーX(メチルメタクリレート(83mol%):ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート[エチレングリコール繰り返し数は9](17mol%)共重合体、Mw15×104,Mw/Mn=2.34)を32g得た。
ポリマー7の製造:
パイレックスチューブ中、ジエン(0.4mmol)をCH2Cl2(6ml)に溶解し、I(CF2)mI(1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を16〜24時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い、重合体7を得た。
パイレックスチューブ中、ジエン(0.4mmol)をCH2Cl2(6ml)に溶解し、I(CF2)mI(1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を16〜24時間照射した。反応終了後、再沈殿を行い、重合体7を得た。
ポリマー8の製造:
パイレックスチューブ中、1,9−デカジエン(55.3mg、0.4mmol)をCH2Cl2(6ml)に溶解し、I(CF2)6I(96μl、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(316mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(0.12ml、2.0eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い、重合体8を得た。
パイレックスチューブ中、1,9−デカジエン(55.3mg、0.4mmol)をCH2Cl2(6ml)に溶解し、I(CF2)6I(96μl、1.0eq.)およびチオ硫酸ナトリウム水溶液(316mg、5.0eq.、1ml)を加え、反応系の温度を一定に保ちながら450W高圧水銀ランプを用い、紫外光を12時間照射した。続いて、得られた反応混合物にDBU(0.12ml、2.0eq.)を添加し、16時間撹拌した。反応終了後、再沈殿を行い、重合体8を得た。
上記の結果から、比較例で得られた重合体は、対水接触角がすべて100°を超えていたが、本発明の重合体は、50°未満の対水接触角であり、親水性が高いことが示された。尚、上記では、基材上に水滴を滴下して対水接触角を測定したが、別の方法、例えば水中接触角を測定することにより親水性を評価することもできる。
水中接触角の測定方法
・試料調製
(i)本発明の重合体の膜
本発明の重合体(0.1〜5.0質量%)を、N,N−ジメチルアセトアミド溶液(99.9〜95.0質量%)に溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を、シリコンウエハー上にスピンコートし、50〜150℃で加熱乾燥することにより、シリコンウエハー上に本発明の重合体の膜を調製する。
(ii)本発明の重合体とポリフッ化ビニリデンとの混合物の膜
本発明の重合体(0.9〜5.4質量%)およびポリフッ化ビニリデン(17.1〜12.6質量%)を、N,N−ジメチルアセトアミド(80〜95質量%)中に溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、ポリマー混合物の多孔質膜を調製する。
・測定方法
水中接触角は、水中の気泡接触角(θ)を測定し、「水中接触角=180°−θ」として算出する。具体的には、上記で膜を形成した基材(シリコンウエハーまたはガラス板)を、1〜20時間イオン交換水中に浸漬した後、3μlの気泡を水中でポリマー表面に接触させ、気泡接触角を測定し、測定結果から水中接触角を算出する。
・試料調製
(i)本発明の重合体の膜
本発明の重合体(0.1〜5.0質量%)を、N,N−ジメチルアセトアミド溶液(99.9〜95.0質量%)に溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を、シリコンウエハー上にスピンコートし、50〜150℃で加熱乾燥することにより、シリコンウエハー上に本発明の重合体の膜を調製する。
(ii)本発明の重合体とポリフッ化ビニリデンとの混合物の膜
本発明の重合体(0.9〜5.4質量%)およびポリフッ化ビニリデン(17.1〜12.6質量%)を、N,N−ジメチルアセトアミド(80〜95質量%)中に溶解してポリマー溶液を調製した。このポリマー溶液を、ガラス板にアプリケーター(203μm)を用いて塗布し、直ちに25℃の水凝固浴中に10分間浸漬し、ポリマー混合物の多孔質膜を調製する。
・測定方法
水中接触角は、水中の気泡接触角(θ)を測定し、「水中接触角=180°−θ」として算出する。具体的には、上記で膜を形成した基材(シリコンウエハーまたはガラス板)を、1〜20時間イオン交換水中に浸漬した後、3μlの気泡を水中でポリマー表面に接触させ、気泡接触角を測定し、測定結果から水中接触角を算出する。
また、本発明の重合体は、薬品に対して高い耐性を示す。耐薬品性は、以下のようにして評価することができる。
・耐薬品性試験
上記水中接触角の場合と同様に、本発明の重合体とポリフッ化ビニリデンとの混合物の多孔質膜を、試験薬液に1日〜2週間浸漬し、浸漬前後での親水性の変化により評価することができる。上記試験薬液としては、通常水酸化ナトリウムが用いられるが、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸、次亜塩素酸、または次亜塩素酸ナトリウム等の水溶液、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。親水性の変化は、通常、水中接触角測定により行う。耐薬品性が低い親水化ポリマーは、薬液浸漬によってポリフッ化ビニリデンから親水化ポリマーが抜け出し、接触角が上昇する。一方で、本発明の重合体を用いた多孔質膜は、浸漬後も接触角が維持されるか、上昇率が非常に小さい。
上記水中接触角の場合と同様に、本発明の重合体とポリフッ化ビニリデンとの混合物の多孔質膜を、試験薬液に1日〜2週間浸漬し、浸漬前後での親水性の変化により評価することができる。上記試験薬液としては、通常水酸化ナトリウムが用いられるが、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸、次亜塩素酸、または次亜塩素酸ナトリウム等の水溶液、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。親水性の変化は、通常、水中接触角測定により行う。耐薬品性が低い親水化ポリマーは、薬液浸漬によってポリフッ化ビニリデンから親水化ポリマーが抜け出し、接触角が上昇する。一方で、本発明の重合体を用いた多孔質膜は、浸漬後も接触角が維持されるか、上昇率が非常に小さい。
本発明の重合体は、親水性が高く、また、薬品耐性も高いことから、水処理用の膜に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 下記式(I):
−(A−B)n−
[式中:
Aは、出現毎にそれぞれ独立して、−CR5=CR6−R2−R1−R3−CR6=CR5−または−CHR5CR6X−R2−R1−R3−CR6XCHR5−であり;
R1は、(ポリ)オキシアルキレン基であり;
R2は、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり;
R3は、単結合、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンジオキシであり;
R5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
R6は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;
ただし、−CR5=CR6−基または−CHR5CR6X−基において、R5およびR6の少なくとも一方は水素原子であり;
Xは、水素原子、ヨウ素原子または臭素原子であり;
Bは、−R11 p−であり;
R11は、それぞれ独立して、含フッ素アルキレン基であり;
pは、1〜10の整数であり;
nは、任意の整数である。]
で表される重合体。 - R1が、(ポリ)オキシアルキレン基であり、
R2が、単結合または炭素数1〜6のアルキレンであり、
R3が、炭素数1〜6のオキシアルキレンまたは炭素数1〜6のアルキレンである、請求項1に記載の重合体。 - 請求項1または2に記載の重合体から形成された膜。
- 水処理用である、請求項3に記載の膜。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015047416 | 2015-03-10 | ||
JP2015047416 | 2015-03-10 |
Publications (1)
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ID=56982724
Family Applications (1)
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JP2016044197A Pending JP2016169375A (ja) | 2015-03-10 | 2016-03-08 | オキシアルキレン基含有含フッ素重合体 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2016169375A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018038132A1 (ja) * | 2016-08-23 | 2018-03-01 | 国立大学法人お茶の水女子大学 | 含フッ素重合体 |
-
2016
- 2016-03-08 JP JP2016044197A patent/JP2016169375A/ja active Pending
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