本発明は、無線ステーションを無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定することにより両者間のデータ通信が可能となる無線LANシステム,および,このシステムにおいて利用可能な通信端末,通信プログラムに関する。
現在、複数の無線ステーション間、または、無線ステーションと外部ネットワークとの間におけるデータ通信を無線により実現する、いわゆる無線LANが広く普及している。
無線LANのネットワークでは、各無線ステーションが中継局を介して無線通信を行う「インフラストラクチャモード」や、直接無線ステーション同士が無線通信を行う「アドホックモード」などの通信方式があり、各無線ステーションは、その用途に応じて通信方式を切り替えることができるように構成されているが、「インフラストラクチャモード」にて使用されることが一般的である。
このような「インフラストラクチャモード」によるネットワークにおいて、無線ステーションは、無線ステーション側で接続方法など各種設定を行うことにより、無線アクセスポイントへのアクセスが可能になる。なお、上述の「接続方法」とは、例えば、無線接続する際に採用される無線LAN規格(例えば、IEEE802.11b,−a,−gなど)、これら無線LAN規格において使用される周波数帯域(いわゆるチャネル)などにより規定される無線接続の方法である。
ここで、無線ステーション側での各種設定は、無線ステーションがパーソナルコンピュータ(以降、「PC」とする)のように操作性の高いユーザインタフェースを有するものであれば、このユーザインタフェースにより設定の操作を行うことは簡単である。
しかし、ネットワークを介したサービスを提供するプリンタなどPCと比べて操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションでは、このユーザインタフェースにより設定を行うことは非常に面倒であり、手間のかかる作業である。
そのため、このような無線ステーションの中には、他の無線ステーション共々通信方式を「アドホックモード」に切り替えておき、両無線ステーション間で設定に関するデータをやりとりすることにより他の無線ステーション側から間接的に設定(リモートセットアップ)を行うことや、PCをケーブルで直結しておき、PCとの間で設定に関するデータをやりとりすることによりPC側から間接的に設定を行うことができるように構成されているものもある。
ただ、この場合、通信方式を「アドホックモード」へ切り替えた無線ステーション同士を無線通信が可能な位置関係となるまで移動させたり、PCをケーブルが敷設可能な場所まで移動させたりする必要があるため、結局、リモートセットアップについても手間のかかる作業であることには変りない。
特に、「インフラストラクチャモード」にて使用していた無線ステーションをリモートセットアップに利用する場合、リモートセットアップ終了後に通信方式を「アドホックモード」から再度「インフラストラクチャモード」に切り替え直す必要があるため、より作業の手間がかかってしまう。
このように、ネットワークを介したサービスを提供するプリンタなどPCと比べて操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションでは、各種設定を行うための作業に手間がかかってしまうという問題があった。
そこで、近年では、このような作業の手間を軽減するための技術が種々提案されている。例えば、無線ステーションとして機能するプリンタなどのネットワークデバイスに無線アクセスポイント(中継局)としての機能を付加し、この機能(中継機能部)により独自の無線ネットワークを確立し、この無線ネットワークを介して接続された他の無線ステーション側から、無線ステーション機能(端末機能部)により他の無線ネットワークと接続するために必要な設定(リモートセットアップ)を間接的に行った後、無線アクセスポイントとしての機能を停止する、といった技術である(特許文献1参照)。
この技術であれば、操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションにおいて、各種設定を行うための作業に要する手間を軽減することができる。
しかし、上述した技術においては、通信方式を「アドホックモード」へ切り替えた無線ステーション同士を無線通信が可能な位置関係となるまで移動させたり、PCをケーブルが敷設可能な場所まで移動させたり、といった設定に付随する作業の手間を軽減することはできるが、設定を行うための操作自体は行わなければならない。
無線LANのネットワークを構築するには、一般的なLAN(有線LAN)に関する設定だけでなく、無線LAN特有の設定「接続方法」が必要になる。この設定には種々の専門知識を要するため、有線LANに関する専門知識を有するユーザであっても、無線LAN特有の設定を容易に行えないことが多く、ましてや、LANそのものに馴染みがないユーザにとって無線LANの設定は非常に困難なものといえる。
このように、現在、無線LANの設定に対するユーザへの負荷は重く、このことが無線LANの普及を妨げている要因の一つと考えられており、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を軽減するための技術が要望されていた。
本発明は、このような要望に基づいてなされたものであり、その目的は、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を軽減することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載の無線LANシステムは、無線接続の方法である接続方法を複数の接続方法のうちいずれかに設定可能な無線ステーションを、あらかじめ複数の接続方法のうちいずれかに設定された無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定することにより、無線ステーションおよび無線アクセスポイント間のデータ通信が可能となる無線LANシステムである。
具体的な構成として、まず、無線ステーションは、方法切替手段,広告送信手段および方法設定手段を備えている。これらのうち、方法切替手段は、無線アクセスポイントへの接続方法を複数の接続方法それぞれへ所定期間間隔で順番に切り替える。また、広告送信手段は、方法切替手段により接続方法が切り替えられる毎に、こうして切り替えられた接続方法を周囲へ広告するための広告データを、この接続方法に基づいて送信する。そして、方法設定手段は、広告送信手段により広告データが送信されてから、方法切替手段により次の接続方法に切り替えられるまでの間に、送信された広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を通知するための通知データを受信したとき、方法切替手段による接続方法の切り替えを停止させることにより、こうして停止させた時点における接続方法を前記無線アクセスポイントと無線接続するための接続方法として設定する。一方、無線アクセスポイントは、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する通知返信手段を備えている。
このように構成された無線LANシステムおいて、無線ステーションは、接続方法を順番に切り替えながら各々の接続方法に基づいて広告データを送信する。この広告データは、同一の接続方法(広告データを送信した時点における無線ステーションの接続方法)が設定されている無線アクセスポイントに受信され、この無線アクセスポイントが、受信した広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を、通知データの返信により無線ステーションへ通知する。そして、この通知データの返信を受けた無線ステーションは、通知データで通知された接続方法、つまり無線アクセスポイントにおいて設定されている接続方法と同一の接続方法を設定する。こうして、無線ステーションが無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定されることにより、両者間で無線接続できる状態となる。
このようにして、無線ステーションにおいては、方法切替手段による接続方法の切り替え、および、広告送信手段による広告データの送信を経て、無線アクセスポイントへの接続方法が方法設定手段により自動的に設定される。よって、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を大幅に軽減することができる。
また、方法設定手段によって、通知データを受信したときに接続方法の切り替えを停止させるだけで、こうして停止させた時点における接続方法、つまり無線アクセスポイントにおいて設定されている接続方法と同一の接続方法を設定することができる。
なお、上述の「接続方法」とは、例えば、無線接続する際に採用される無線LAN規格(例えば、IEEE802.11b,−a,−gなど)、これら無線LAN規格において使用される周波数帯域(いわゆるチャネル)などにより規定される無線接続の方法のことである。
また、無線ステーションにおいて、広告送信手段により送信される「広告データ」とは、方法切替手段により切り替えられた接続方法を周囲へ広告するためのデータであって、接続方法そのものを示すパラメータがデータの中身として含まれていればよい。ただ、無線アクセスポイントが、あらかじめ設定されている接続方法でのみデータを受信する構成であれば、広告データを受信した時点で、この広告データにより広告された接続方法が、自身に設定された接続方法と同一であることを特定できるため、この場合は、接続方法を示すパラメータが含まれていなくてもよい。
また、上述の無線ステーションにおける方法切替手段が接続方法の切り替えを開始するタイミングについては、特に限定されないが、例えば、請求項2に記載のように、外部からの指令を受けた際に接続方法を切り替え始める、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線ステーションに対する接続方法の設定を、外部から明示的に指令することができる。
なお、この構成における「外部からの指令」とは、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる特定の操作や、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータなどのことである。
また、上述した無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する手段であり、この通知データは、あらかじめ設定された接続方法に基づいて返信される。
また、この通知返信手段は、請求項3に記載のように、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてきた広告データを受信した際に、無線アクセスポイント自身に対して無線接続の許可を要求させるための要求催促データを通知データとして無線ステーションへ返信し、その後、この無線ステーションから無線接続の許可を要求するためのデータであるアソシエーション要求が送信されてきたら、無線アクセスポイント自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を返信する、ように構成するとよい。
このように構成すれば、無線ステーション側で接続方法の設定がなされた後、アソシエーション要求,応答のやりとりを経て、無線アクセスポイントと無線ステーションとの無線接続を実現することができる。
また、上述した通知返信手段は、広告データを受信した際、どのような広告データであるかに拘わらず通知データを返信するように構成すればよいが、請求項4に記載のように、あらかじめ設定されている接続方法に基づき所定の条件を満たす広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成してもよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、所定の条件を満たす広告データを送信してきた無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における「所定の条件」は、その具体的な内容は特に限定されないが、無線ステーション側では、通知データを受信するまで接続方法が繰り返し切り替えられることになるため、例えば、このような繰り返しを経て「2回以上送信されてきた広告データ」を条件とすることが考えられる。
このためには、請求項5に記載のように、無線アクセスポイントおいて、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段が備えられ、通知返信手段は、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データのうち、いずれかの広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、2回以上繰り返し広告データを送信してきた無線ステーションに対し、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、広告データを収集する手段であり、通知返信手段に先立って、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。
また、上述した「所定の条件」としては、受信レベルが最も大きい広告データを条件とすることも考えられる。
このためには、請求項6に記載のように、無線アクセスポイントにおいて、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段が備えられ、通知返信手段は、広告収集手段により収集された広告データのうち、受信レベルが最も大きかった広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、このように、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに通知データを返信することは、無線ステーションの接続方法が、本来設定すべき無線アクセスポイントの接続方法以外の接続方法に誤って設定されてしまうことを防止するのに好適である。
無線ステーションの無線アクセスポイントへの接続方法を設定する際、この無線アクセスポイント以外に通知返信手段を備える他の無線アクセスポイントが周囲(例えば、隣接する住宅など)に存在していると、この無線アクセスポイントからも通知データが無線ステーションに返信されてくる。そのため、通知データを受信したタイミングによっては、他の無線アクセスポイントにおいて設定されているのと同じ接続方法がユーザの意図とは無関係に設定されてしまう恐れがある。
ところが、上述のように、受信レベルの最も大きかった通知データと同一の接続方法を無線アクセスポイントへの接続方法として設定できるため、無線アクセスポイントと無線ステーションとを、無線通信時の受信レベルが高くなるように近づけておくだけで、他の無線アクセスポイントからの通知データに基づいて誤った接続方法が設定されることを防止できる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。
また、上述した無線アクセスポイントにおける通知返信手段は、請求項7に記載のように、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成してもよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、この無線アクセスポイントにおいては、請求項8に記載のように、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段を備え、通知返信手段が、広告収集手段による広告データの収集後、こうして収集された広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成するとよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、接続方法を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、通知返信手段は、収集した広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを送信するように構成すればよい。
また、この構成における「外部からの指令」とは、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる所定の操作のこととすればよく、このためには、請求項11に記載のように構成することが考えられる。
請求項9に記載の無線LANシステムは、無線アクセスポイントにおいて、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データそれぞれの送信元である無線ステーションの中から、1以上の無線ステーションをユーザに選択させる第1ユーザ選択手段が備えられ、通知返信手段は、第1ユーザ選択手段によりユーザに選択させた無線ステーションへ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、ユーザにより任意に選択された無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、ユーザによる所定の操作を「外部の指令」とするためには、請求項10に記載のように構成することも考えられる。
請求項10に記載の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、広告送信手段は、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信して、アクセスポイントにおいて、広告収集手段は、広告データをこの広告データに対応する識別データと共に収集するように構成され、さらに、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データそれぞれに対応する識別データの中から、1以上の識別データをユーザに選択させる第2ユーザ選択手段が備えられ、通知返信手段は、第2ユーザ選択手段によりユーザに選択させた識別データで識別される無線ステーションへ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、ユーザにより任意に選択された識別データで識別される無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、上述した請求項8における「外部からの指令」とは、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータのこととしてもよく、このためには、請求項11に記載のように構成することが考えられる。
請求項11に記載の無線LANシステムは、無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、無線アクセスポイント自身とデータ通信可能に接続された通信端末からの指令を受けて、通知データを返信すべき無線ステーションを決定する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データのうち、通信端末からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成において、通信端末との間で指令をやりとりするには、例えば、請求項12に記載のような構成が考えられる。
請求項12に記載の無線LANシステムにおいて、無線アクセスポイントは、広告収集手段と一覧送信手段とが備えられている。これらのうち、広告収集手段は、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集し、こうして収集した広告データ、および、この広告データの送信元である無線ステーションの対応関係を記憶部へ記憶させる。また、一覧送信手段は、広告収集手段により対応関係が記憶された無線ステーションの一覧を要求する旨の要求データを、通信端末から受信した際に、一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信する。さらに、通知返信手段は、一覧送信手段により一覧データが通信端末へ送信され、その後、この通信端末側において一覧データで示される一覧の中から選択された1以上の無線ステーションを示す選択データを通信端末から受信した以降、この選択データで示される無線ステーションに対応する広告データと同一の接続方法で送信された広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成されている。一方、通信端末においては、要求送信手段,第3ユーザ選択手段および選択送信手段が備えられている。これらのうち、要求送信手段は、無線アクセスポイントに対して、要求データを送信する。また、第3ユーザ選択手段は、要求送信手段により要求データが前記無線アクセスポイントへ送信された後、この無線アクセスポイントから一覧データを受信した際に、この一覧データで示される一覧の中から1以上の無線ステーションをユーザに選択させる。そして、選択送信手段は、第3ユーザ選択手段によりユーザに選択させた1以上の無線ステーションを示す選択データを無線アクセスポイントへ送信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された対応関係に基づき通信端末側でユーザが任意に選択した無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、送信元である無線ステーションおよび接続方法の対応関係を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、一覧送信手段は、記憶させた対応関係で特定される無線ステーションの一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信するように構成すればよい。
また、上述した請求項11において、通信端末との間で指令をやりとりするには、請求項13に記載のような構成を考えることもできる。
請求項13に記載の無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、広告送信手段が、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信する。また、無線アクセスポイントは、広告収集手段および一覧送信手段が備えられている。これらのうち、広告収集手段は、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データをこの広告データに対応する識別データと共に所定期間にわたり収集し、こうして収集した広告データおよび識別データの対応関係を記憶部へ記憶させる。また、一覧送信手段は、広告収集手段により対応関係が記憶された識別データの一覧を要求する旨の要求データを、通信端末から受信した際に、一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信する。さらに、通知返信手段が、一覧送信手段により一覧データが通信端末へ送信され、その後、この通信端末側において一覧データで示される一覧の中から選択された1以上の識別データを示す選択データを通信端末から受信した以降、この選択データで示される識別データに対応する広告データと同一の接続方法で送信された広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成されている。そして、通信端末においては、要求送信手段,第4ユーザ選択手段および選択送信手段が備えられている。これらのうち、要求送信手段は、無線アクセスポイントに対して要求データを送信する。また、第4ユーザ選択手段は、要求送信手段により要求データが無線アクセスポイントへ送信された後、この無線アクセスポイントから一覧データを受信した際に、この一覧データで示される一覧の中から1以上の識別データをユーザに選択させる。また、選択送信手段は、第4ユーザ選択手段によりユーザに選択させた1以上の無線ステーションを示す選択データを無線アクセスポイントへ送信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された対応関係に基づき通信端末側でユーザが任意に選択した識別データに対応する広告データと同一の接続方法で広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、この広告データに対応する識別データおよび接続方法(または、広告データそのもの)の対応関係を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、一覧送信手段は、記憶させた対応関係で特定される識別データの一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信するように構成すればよい。
また、上述した各ユーザ選択手段は、ユーザに選択を行わせるための手段であって、例えば、表示部,印刷部,スピーカなどにより選択項目(無線ステーション,識別データ)と共に操作部で選択項目を選択すべき旨を通知し、この通知に基づいて操作部により選択させる、といった構成とすればよい。
また、上述した無線アクセスポイントのうち、広告収集手段を備えているものについては、請求項14に記載のようにするとよい。
請求項14に記載の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、広告送信手段が、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信する。一方、無線アクセスポイントにおいて、広告収集手段が、広告データをこの広告データに対応する識別データと共に収集して、通知返信手段が、広告収集手段により収集された広告データと、この広告データに対応する識別データが同一の広告データを送信してきた無線ステーションにのみ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データと同一の接続方法で広告データを受信しても、この広告データと共に送信される識別データが、先に広告データと共に収集された識別データと一致しなければ、通知データが送信されずに接続方法を設定させることがない。これにより、無線アクセスポイント側で収集された広告データを偽装して送信することにより不正に無線アクセスポイントへの無線接続を試みる無線ステーションを、無線アクセスポイントへ無線接続させてしまうことを防止できる。
なお、上述した広告収集手段を備えている構成においては、請求項15に記載のように、通知返信手段が、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データと同一の接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信するように構成することが望ましい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、通知データを、無線ステーションが広告データを送信してきたタイミング、つまり無線ステーション側においてデータの送受信が可能な状態となっているタイミングで送信することができる。これにより、無線アクセスポイントから送信された通知データを、確実に無線ステーション側にて受信させることができる。
ところで、以上説明した無線LANシステムにおいては、無線ステーションが無線アクセスポイントと無線接続されたとしても、無線アクセスポイントがデータ通信を暗号化して行うように設定されていると、通常は、無線ステーション側も同様に暗号化してデータ通信を行うように設定しなければ、正常にデータ通信を行うことができない。
そのため、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるようにするためには、請求項16に記載のように、無線アクセスポイントが、通知返信手段により通知データを返信した以降、無線アクセスポイント自身におけるデータ通信が第1暗号キーにより暗号化された状態で行われるように設定されている場合に、通知データが返信された無線ステーションとの間におけるデータ通信についてのみ、暗号化方法を切り替えて暗号化せずに行うようにする暗号切替手段を備えるとよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントがデータ通信を暗号化して行うように設定されていたとしても、無線ステーションに対し暗号化してデータ通信を行うように設定することなく正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができる。
また、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるようにするための別の構成として、請求項17に記載のような構成を考えることもできる。
請求項17に記載の無線LANシステムは、アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、通知データを、無線アクセスポイント自身におけるデータ通信を暗号化するために使用される第1暗号キーとは異なる第2暗号キーを付加した状態で返信する、ように構成されている。さらに、通知返信手段により通知データが返信された以降、通知データが返信された無線ステーションとの間におけるデータ通信について、第2暗号キーにより暗号化した状態で行うように暗号化方法を切り替える暗号切替手段が備えられている。一方、無線ステーションにおいては、無線アクセスポイントから通知データを受信した以降、この無線アクセスポイントとのデータ通信を通知データに付加された第2暗号キーにより暗号化して行うように設定する暗号設定手段が備えられている。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、通知データを返信した無線ステーションに対して第2暗号キーにより暗号化したデータ通信を行うよう暗号化方法を切り替えるようになり、一方、通知データを受信した無線ステーションは、無線アクセスポイントとのデータ通信を第2暗号キーにより暗号化して行うように設定する。こうして、無線アクセスポイントと無線ステーションとの間では、第2暗号キーにより暗号化した状態で正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信についても、一定のセキュリティレベルを確保した状態で実現できる。
また、上述した請求項16,17の構成については、無線アクセスポイントが暗号化してデータ通信を行うように設定されている場合でも、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができるが、両者間のデータ通信に対するセキュリティレベルについては充分に高いとは言えない。請求項16の構成においては、暗号化自体がおこなわれないからであり、請求項17の構成においては、第2暗号キーが無線アクセスポイントから無線ステーションへ送信される過程において漏洩する可能性があるからである。
そこで、両者間のデータ通信に対するセキュリティを高くするために、例えば、請求項18に記載のような構成とするとよい。
請求項18に記載の無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、公開鍵暗号方式により、無線アクセスポイントにデータ通信可能に接続された通信端末から無線アクセスポイントを介して第1暗号キーを取得する暗号取得手段と、暗号取得手段により第1暗号キーが通信端末から取得された際、無線アクセスポイントとの無線接続を解除し、第1暗号キーにより暗号化した状態で無線接続し直すことにより、無線アクセスポイントとのデータ通信を第1暗号キーにより暗号化した状態で行うように設定変更する暗号変更手段と、が備えられている。また、通信端末は、公開鍵暗号方式により無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しを、無線アクセスポイントを介して行う暗号受渡手段が備えられている。そして、無線アクセスポイントにおいて、暗号切替手段は、無線ステーションとの無線接続が解除された以降、暗号化方法の切り替えを行わない。
このように構成すれば、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を、通信端末から無線ステーションへ受け渡された第1暗号キーにより暗号化して行うことができるようになる。よって、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信と同様のセキュリティレベルで、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができるようになる。
また、無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しは、公開鍵暗号方式により行われるため、この第1暗号キーが無線ステーションへ送信される過程において漏洩する可能性は当然に低くなる。
また、この構成においては、通信端末から無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しが行われる際、通信端末が第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであるか否かを確認できることが望ましい。そのためには、例えば、請求項19に記載のように構成することが考えられる。
請求項19に記載の無線LANシステムにおける通信端末は、暗号受渡手段が、第1暗号キーの受け渡しを行う前に、公開鍵暗号方式により無線ステーションへの認証用メッセージの受け渡しを行うように構成され、さらに、暗号受渡手段により認証用メッセージの受け渡しが行われた以降、無線ステーション側で出力される認証用メッセージを確認したユーザによる確認操作を行わせるための確認操作手段が備えられ、暗号受渡手段が、確認操作手段により確認操作が行われた際に、第1暗号キーの受け渡しを行うように構成されている。また、無線ステーションは、暗号取得手段が、第1暗号キーに先立って公開鍵暗号方式により通信端末から受け渡しが行われる認証用メッセージを取得する、ように構成され、さらに、暗号取得手段により取得された認証用メッセージを出力するメッセージ出力手段が備えられ、暗号取得手段は、メッセージ出力手段により認証用メッセージが出力され、メッセージ出力手段により出力される認証用メッセージを確認したユーザによる通信端末への確認操作が行われた後に、通信端末から受け渡しが行われる第1暗号キーを取得する。
このように構成すれば、無線ステーションから認証用メッセージが出力されたか否かによって、この無線ステーションが通信端末から第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであることを確認できる。そして、無線ステーションから出力される認証用メッセージを確認した後、ユーザが通信端末で確認操作を行うことにより、通信端末から無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しを行うことができる。
なお、上述した「認証用メッセージ」とは、通信端末が第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであることを確認するためのメッセージであって、その内容を無線ステーション側で出力させてユーザに確認させるためのものである。
また、無線ステーションにおけるメッセージ出力手段は、上述の認証用メッセージを、例えば、表示部,印刷部,スピーカなどにより出力させる手段である。
以上説明したように、無線アクセスポイントは、通知返信手段による通知データの返信を実現して無線ステーションにおける接続方法の設定を行わせる、つまりサポートするように構成されているが、このサポートは、特定の状態のときにのみ行われるように構成するとよい。
具体的には、例えば、請求項20に記載のように、無線アクセスポイント自身の動作モードを、通知返信手段による通知データの返信を実現して無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするサポートモード、および、通知返信手段による通知データの返信を実現せずに接続方法の設定をサポートしないノーマルモードのいずれか一方へ切り替え可能なモード切替手段が備えられていればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントの動作モードがサポートモードに切り替えられているときのみ、無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするため、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまうことを防止できる。このことは、無線アクセスポイントの動作モードをサポートモードに切り替えた状態で、無線ステーション側での広告データの送信を開始させれば、任意のタイミングで無線ステーションにおける接続方法を設定できることを示している。
また、この構成におけるモード切替手段が動作モードを切り替える際の契機については、特に限定されないが、例えば、請求項21に記載のように、外部からの指令を受けた際に動作モードを切り替える、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントの動作モードを、外部から明示的に切り替えることができる。
なお、この構成における「外部からの指令」とは、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる特定の操作や、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータなどのことである。
また、この構成であれば、外部から明示的に指令する毎に、動作モードがサポートモードおよびノーマルモードに切り替わることになるが、ユーザが、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直すことを忘れてしまうと、上述したように、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまう恐れがある。
そこで、請求項22に記載のように、モード切替手段を、動作モードをサポートモードへ切り替えた以降、所定の期間が経過した際に、動作モードをノーマルモードへ切り替え直す、ように構成するとよい。
このように構成すれば、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直すことを忘れてしまった場合であっても、所定期間が経過した際、自動的に動作モードをノーマルモードへ切り替え直すことができる。
ただ、このような構成であっても、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であれば、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまう可能性がないとはいえない。
そこで、請求項23に記載のように、モード切替手段を、動作モードをサポートモードへ切り替えた以降、返信通知手段により通知データが所定回数だけ返信された際に、動作モードをノーマルモードへ切り替え直す、ように構成するとよい。
このように構成すれば、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であっても、返信通知手段により通知データが所定回数だけ返信された際に、ノーマルモードへ切り替え直すことができる。つまり、所定回数と同じ数の無線ステーションに対してのみ、接続方法の設定をサポートすることができる。
これにより、接続方法を設定すべき無線ステーションの数に応じて上述の「所定回数」を設定しておけば、無線アクセスポイントが不用意かつ必要以上に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまうことを防止できる。
また、請求項24に記載の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、内容判定手段と非設定手段とが備えられている。これらのうち、内容判定手段は、無線アクセスポイントへの接続方法に関する設定内容が、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定を経て無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容であるか否かを判定する。また、非設定手段は、内容判定手段により接続方法を設定する必要がある設定内容でないと判定された場合に、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定が行われないようにする。
このように構成された無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容である場合のみ、無線アクセスポイントへの接続方法を設定することができる。
なお、この構成における非設定手段は、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定が行われないようにする手段であって、このように設定が行われないようにするための構成は特に限定されない。例えば、各手段いずれかの動作を停止させたり、無線アクセスポイントから受信されるデータを破棄するようにしたり、といった構成を採用すればよい。
また、請求項25に記載の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、無線アクセスポイントへの接続方法に関する設定内容が、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定を経て無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容であるか否かを判定する内容判定手段が備えられている。さらに、広告送信手段は、広告データを内容判定手段による接続方法を設定する必要があるか否かの判定結果を特定可能な状態で送信するように構成されている。また、無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、無線ステーションから受信した広告データが、接続方法を設定する必要がある旨を特定可能なデータである場合のみ、通知データを返信するように構成されている。
このように構成された無線LANシステムにおいて、無線アクセスポイントは、無線ステーションが接続方法を設定する必要がある設定内容である場合のみ、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、これら構成における内容判定手段により判定される「接続方法を設定する必要がある設定内容」とは、例えば、接続方法に関する設定内容が初期状態(工場出荷状態)である場合や、無線接続に必要な設定内容の一部が含まれていない(登録されていない)状態である場合のことである。
また、請求項26に記載の通信端末は、請求項1から25のいずれかに記載の無線ステーションとして機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、請求項1から25のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、請求項27に記載の通信端末は、請求項1から25のいずれかに記載の無線アクセスポイントとして機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、請求項1から25のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、請求項28に記載の通信端末は、請求項11から13,請求項18,請求項19およびこれら請求項のみを引用する請求項のいずれかに記載の通信端末として機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、請求項11から13,請求項18,請求項19およびこれら請求項のみを引用する請求項のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、請求項29に記載の通信プログラムは、請求項1から25のいずれかに記載の無線ステーションの備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から25のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、請求項30に記載の通信プログラムは、請求項1から25のいずれかに記載の無線アクセスポイントの備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1から25のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、請求項31に記載の通信プログラムは、請求項11から13,請求項18,請求項19およびこれら請求項のみを引用する請求項のいずれかに記載の通信端末として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるための通信プログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項11から13,請求項18,請求項19およびこれら請求項のみを引用する請求項のいずれかに記載の無線LANシステムの一部を構成することができる。
なお、上述した各通信プログラムは、それぞれコンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、それぞれとしての機能をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。このプログラムは、例えば、FD、CD−ROM、メモリーカードなどの記録媒体、インターネットなどの通信回線網を介して、無線アクセスポイント,無線ステーションおよび通信端末(以降、「通信端末等」とする)、コンピュータシステム、または、これらを利用するユーザに提供されるものである。また、このプログラムを実行するコンピュータシステムとしては、例えば、通信端末等に内蔵されたコンピュータシステム、通信端末等に無線または有線の通信路を介してデータ通信可能に接続されたコンピュータシステムなどを利用することができる。
ネットワーク構成を示す図
第1実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
第1実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第1実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第2実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
データテーブルのデータ構造を示す図
第3実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第4実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第4実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第4実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート(その1)
一覧データで示される内容が表示された状態を示す図
第4実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート(その2)
第4実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第5実施形態における暗号キー取得処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における暗号切替処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
以下に、本発明を実施するための最良の形態として、複数のネットワークデバイス(以降、単に「デバイス」とする)がLAN接続されてなる無線LANシステムを例示して説明する。
[第1実施形態]
無線LANシステムは、図1に示すように、アクセスポイント10、ネットワークプリンタ(以降、単に「プリンタ」とする)20などにより構成される。
アクセスポイント10は、ケーブル100を介して接続されたデバイス(または外部ネットワーク)、および、無線ステーションの間におけるデータ通信を中継する無線アクセスポイントであって、CPU11,ROM12,RAM13,ネットワークコントローラ14,無線LANコントローラ15,操作パネル16,表示パネル17などを備えている。
このアクセスポイント10の備えるCPU11は、ROM12に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM13に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってアクセスポイント10全体の動作を制御する。
また、ROM12は、アクセスポイント10自身が無線ステーションと通信する際に利用されるSSID(service set identifier、または、ESSID:extended SSID)、無線接続の方法(以降、「接続方法」とする)を示すパラメータなどを記憶するための各記憶領域を有する読み書き可能な不揮発性メモリである。なお、「接続方法」とは、第1〜第iの無線LAN規格(例えば、IEEE802.11a,IEEE802.11b,IEEE802.11gの3種類)のうちいずれかの無線LAN規格、および、この無線LAN規格において使用可能な複数のチャネルのうちいずれかのチャネルで規定されるものであり、無線アクセスポイントとして無線ステーションとの無線接続を実現するための方法を示すものである。
また、ネットワークコントローラ14は、ケーブル100を介して接続されたPC30など他のデバイス(または外部ネットワーク)との間におけるデータ通信を実現するためのインターフェースである。
また、無線LANコントローラ15は、無線LAN規格に従った通信をROM12に記憶された各パラメータに基づいて実現するためのインターフェースであり、「接続方法を示すパラメータ」で示される接続方法に従って無線ステーションとの接続(コネクション)を確立することにより無線アクセスポイントとしての通信機能を実現する。
このように構成されたアクセスポイント10では、ROM12に「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が記憶された以降、このSSIDと同一のSSIDを利用し、上述の接続方法に従ってアクセスしてきた無線ステーションに無線による通信を許可するようになる。
なお、このアクセスポイント10では、他のデバイスとの間で設定に関するデータを無線または有線にてやりとりして他のデバイス側から間接的な設定(リモートセットアップ)が行われたときに、「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が生成されROM12に記憶される。本実施形態においては、「接続方法を示すパラメータ」として、第1の無線LAN規格における第2チャネルで規定される接続方法を示すものがリモートセットアップを経てROM12に記憶(設定)されているものとする。
次に、プリンタ20は、無線ステーションとしての機能を有するデバイスであって、CPU21,ROM22,RAM23,無線LANコントローラ24,PCインターフェース部(PC I/F)25,操作パネル26,表示パネル27,プリントエンジン28などを備えている。
このプリンタ20の備えるCPU21は、ROM22に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM23に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってプリンタ20全体の動作を制御する。
また、ROM22は、プリンタ20が無線ステーションとして無線アクセスポイントと通信する際に利用されるSSID,接続方法を示すパラメータなどを記憶するための各記憶領域を有する読み書き可能な不揮発性メモリである。
また、無線LANコントローラ24は、無線LAN規格に従った通信をROM22に記憶された各パラメータに基づいて実現するためのインターフェースであり、上述したのと同様に「接続方法を示すパラメータ」で示される接続方法に従って無線アクセスポイントとの確立することにより無線ステーションとしての通信機能を実現する。
また、PCインターフェース部25は、プリンタ20を通信ケーブル経由で他のPCと接続するためのインターフェースであって、これにより、プリンタ20−PC間におけるデータ通信を可能な状態とすることができる。
このように構成されたプリンタ20では、ROM22に「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が記憶された以降、この接続方法に従った無線接続を経て、SSIDを利用したデータ通信が行えるようになる。なお、このプリンタ20では、後述する接続方法確定処理(図2)において、「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が生成されROM22に記憶(設定)される。○プリンタ20による接続方法確定処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される接続方法確定処理の処理手順について図2に基づいて説明する。この接続方法確定処理は、操作パネル16によって、電源の投入,再起動(リセット),初期化(プリンタ20の設定状態を工場出荷状態に戻して再起動する)などを行うための操作を受けた際に開始される。
まず、プリンタ20が工場出荷状態であるか否かをチェックする(s100)。この処理では、ROM22内に「接続方法を示すパラメータ」が記憶されていなければ、工場出荷状態であると判定する。
このs100の処理で、プリンタ20が工場出荷状態でなければ(s100:NO)、本接続方法確定処理を終了する一方、工場出荷状態であれば(s100:YES)、変数Mを初期化する(s110)。この処理では、変数Mに「1」をセット(1→M)する。なお、以降に記載の「m」は、変数Mにセットされた値を示すものとする。
次に、変数Nを初期化する(s120)。この処理では、変数Nに「1」をセット(1→N)する。なお、以降に記載の「n」は、変数Nにセットされた値を示すものとする。
次に、無線アクセスポイントへの無線接続の方法(以降、「接続方法」とする)を、第mの無線LAN規格における第nチャネルによる接続方法に切り替える(s130)。この処理では、第mの無線LAN規格における第nチャネルにより規定される接続方法により通信機能を実現する旨のパラメータを、RAM23における「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域へ記憶させ、接続方法をRAM23の記憶内容に従って制御する(ようにする)ことにより、無線LANコントローラ24によるアクセスポイント10への接続方法を切り替える。こうして、以降の処理(s301の処理)においてROM22の記憶内容に従って制御するように切り替えるまでは、RAM23の記憶内容に従って制御されるようになる。なお、「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域にパラメータが既に記憶されている場合には、新たなパラメータに書き替える。
次に、s130の処理で切り替えられた接続方法を周囲に広告(アドバタイズ)するための広告データを生成して送信する(s140)。この処理では、まず、「広告データ」として、ヘッダ情報において広告データである旨を示すサブタイプがセットされ、デバイス名やデバイスを識別するためのデバイスID(本実施形態においてはMACアドレス)などがデータ本体(ボディ)に格納されたフレームデータ(マネージメントフレーム)を生成する。そして、このフレームデータを第mの無線LAN規格における第nチャネルによる接続方法でブロードキャスト(宛先をブロードキャストアドレスとして送信)する(図3における「広告11〜広告3j」参照)。この広告データを受信したアクセスポイント10からは、後述する接続方法指示処理(図4)において、広告データ(で示される内容)が登録済みのものであれば、要求催促データが返信されてくる一方(図3における「要求催促」参照)、登録済みのものでなければ、広告データの登録が行われるだけで要求催促データは返信されてこない(図3における「広告12」参照)。なお、この「要求催促データ」とは、アクセスポイント10が、アクセスポイント10に対して無線接続の許可を要求(アソシエーション要求)する旨を催促するためのフレームデータであって、アクセスポイント10が無線ステーションとのデータ通信に利用するSSIDが格納されている。
次に、タイマーによるカウントをスタートさせる(s150)。この処理でスタートするタイマーは、上述した要求催促データが期限内に返信されるか否かをチェックするためのものである。
次に、広告データの送信に対してタイムアウト(つまり、時間切れ)となったか否かをチェックする(s160)。この処理では、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、250ms)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs160の処理でタイムアウトとなっていなければ(s160:NO)、アクセスポイント10側から要求催促データを受信したか否かをチェックし(s170)、受信していなければ(s170:NO)、s160の処理へ戻る。
この後、s160,s170の処理を繰り返し、s160の処理で広告データの送信に対してタイムアウトとなったら(s160:YES)、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s180)、変数Nに「1」を加算(n+1→N)する(s190)。
次に、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えたか否かをチェックする(s200)。各無線LAN規格では、それぞれに使用可能なチャネル数が定められているため、このs200の処理では、変数Nの値nが第mの無線LAN規格において使用可能なチャネル数jより大きな値(n<j)となっていれば、全てのチャネルによる広告データの送信を終えたと判定する。
このs200の処理で、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えていなければ(s200:NO)、s130の処理へ戻る。この後、s130からs200の処理を繰り返すことにより、第mの無線LAN規格における各チャネルによる広告データの送信が順番に行われる(図3における「広告11〜広告1j」参照)。
こうして、s130からs200の処理を繰り返した後、s200の処理で、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えていれば(s200:YES)、変数Mに「1」を加算(m+1→M)する(s210)。
次に、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えたか否かをチェックする(s220)。この処理では、変数Mの値mが無線LANコントローラ24により通信を実現可能な無線LAN規格の数iより大きくなっていれば(i<m)、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えたと判定する。
このs220の処理で、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えていなければ(s220:NO)、s120の処理へ戻る。
この後、s120以降の処理で、次の無線LAN規格による広告データの送信が行われ(図3における「広告21〜広告2j」参照)、s120からs220の処理を繰り返すことにより、全ての無線LAN規格による広告データの送信が行われる(図3における「広告11〜広告ij」参照)。
こうして、s120からs220の処理を繰り返した後、s220の処理で、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えていれば(s220:YES)、s110の処理へ戻る。
そして、s120〜s220の処理を繰り返し行う間に、s170の処理で要求催促データを受信したら(s170:YES)、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s230)、この要求催促データで特定されるSSIDを、無線アクセスポイントとのデータ通信に利用するSSIDとしてRAM23に記憶させる(s240)。この処理でSSIDが記憶された以降、プリンタ20は、このSSIDと同一のSSIDによる通信を確立可能な無線アクセスポイント(アクセスポイント10)との間でデータ通信を実現できる状態となる。
次に、アクセスポイント10に対し、無線接続の許可を要求するためのアソシエーション要求を送信する(s250)。この「アソシエーション要求」とは、アクセスポイント10に対して無線接続の許可を要求するためのフレームデータ(マネージメントフレーム)であり、このs250の処理では、s240の処理でRAM23に記録されたSSIDを格納して送信する(図3における「アソシエーション要求」参照)。なお、このアソシエーション要求は、ヘッダ情報においてプリンタ20のデバイスID(MACアドレス)がセットされている。このアソシエーション要求を受信したアクセスポイント10からは、アクセスポイント10への無線接続を許可する旨のフレームデータ(マネージメントフレーム)であるアソシエーション応答が送信されてくる(図3における「アソシエーション応答」参照)。
次に、タイマーによるカウントをスタートさせる(s260)。この処理でスタートするタイマーは、上述したアソシエーション応答が期限内に返信されてくるか否かをチェックするためのものである。
次に、アソシエーション要求の送信に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s270)。この処理では、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、250ms)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs270の処理でタイムアウトとなっていなければ(s270:NO)、アクセスポイント10側からアソシエーション応答を受信したか否かをチェックし(s280)、受信していなければ(s280:NO)、s270の処理へ戻る。
この後、s270,s280の処理を繰り返し、s270の処理でアソシエーション要求の送信に対してタイムアウトとなったら(s270:YES)、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s290)、s110の処理へ戻る。
一方、s280の処理でアソシエーション応答を受信したら(s280:YES)、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s300)、s130の処理でRAM23における「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域に記憶されたパラメータおよびSSIDをROM22に記憶(コピー)させ、接続方法をROM22の記憶内容に従って制御した(するようにした)後(s301)、本接続方法確定処理を終了する。
こうして、本接続方法確定処理を終了した時点において、s130の処理による接続方法の切り替えが停止されることになり、これにより、停止された時点の接続方法(第mの無線LAN規格,第nのチャネル)が無線アクセスポイントへの接続方法として確定する(決定される)。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順を図4に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、操作パネル26により、アクセスポイント10の動作モードを、無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするサポートモードに切り替えるための指示操作(例えば、特定ボタンの押下)が行われた際に開始される。なお、このサポートモードは、本接続方法指示処理が実行されている最中のみの動作モードであり、本接続方法指示処理の終了と共に、アクセスポイント10の動作モードがサポートモードからノーマルモードへ切り替え直されることになる。
まず、タイマーによるカウントをスタートさせる(s310)。この処理でスタートするタイマーは、上述した指示操作が行われた後、プリンタ20から広告データが期限内に送信(図2におけるs140の処理)されてくるか否かをチェックするためのものである。つまり、ユーザは、アクセスポイント10により本接続方法指示処理を開始させてから、プリンタ20により上述した接続方法確定処理(図2)を開始させることで、プリンタ20に対してアクセスポイント10への接続方法を設定することになる(図3におけるアクセスポイント10に対する「指示操作」およびプリンタ20に対する「起動」参照)。
次に、本接続方法指示処理の開始に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s320)。この処理では、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、15s)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs320の処理でタイムアウトとなっていなければ(s320:NO)、プリンタ20側からデータを受信したか否かをチェックし(s330)、受信していなければ(s330:NO)、s320の処理へ戻る。なお、アクセスポイント10は、上述した「接続方法」がアクセスポイント10自身に対して設定されている(ROM12に記憶されたパラメータで示される)接続方法に従って送信されたものでなければ、正常なデータとして受信,認識できないため、このs330の処理では、アクセスポイント10自身に対して設定されている接続方法に従って送信されてきたデータ(本実施形態においては、図3における「広告12」)を受信したか否かをチェックしていることになる。
一方、s330の処理で、プリンタ20側からデータを受信したら(s330:YES)、受信したデータが広告データであるか否かをチェックする(s340)。この「広告データ」は、図2におけるs140の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs340の処理で、受信したデータが広告データであれば(s340:YES)、この広告データが登録済みのものであるか否かをチェックする(s350)。本接続方法指示処理では、以降の処理において、広告データで示されるデバイス名の登録が行われるため(図3における「登録」参照)、このs350の処理では、受信した広告データで示されるデバイス名が登録されていれば、登録済みのものであると判定する。なお、このs350の処理において登録済みのものであると判定される広告データは、本接続方法指示処理が開始した以降、2回目に受信される広告データとなる(図3における「広告12」参照)。
このs350の処理で、広告データが登録済みのものでなければ(s350:NO)、この広告データで示されるデバイス名およびデバイスIDを、RAM13における特定の記憶領域へ記憶することにより登録(例えば、データテーブルへ登録)する(s360)。
一方、s350の処理で、広告データが登録済みのものであれば(s350:YES)、この広告データの送信元であるプリンタ20に対し、アソシエーション要求の送信を要求するための要求催促データを返信する(s370)。この処理では、アソシエーション要求の送信を要求するためのフレームデータであって、ROM12に記憶されている「SSID」が格納された「要求催促データ」を生成してプリンタ20へ送信する(図3における「要求催促」参照)。この要求催促データは、プリンタ20が図2におけるs170の処理で受信するデータであり、プリンタ20は、この要求催促データを受信した以降、広告データではなくアソシエーション要求を送信してくる(図3における「アソシエーション要求」参照)。
こうして、s360またはs370の処理を終えた後、s320の処理へ戻る。
また、上述したs340の処理で、受信したデータが広告データでなければ(s340:NO)、アソシエーション要求であるか否かをチェックする(s380)。この「アソシエーション要求」は、図2におけるs250の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求であれば(s380:YES)、アクセスポイント10自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を、アソシエーション要求の送信元であるプリンタ20へ返信した後(s400)、s320の処理へ戻る。このアソシエーション応答は、プリンタ20が図2におけるs280の処理で受信するデータであり(図3における「アソシエーション応答」参照)、プリンタ20側では、このアソシエーション応答を受信した時点における接続方法が、アクセスポイント10に対する接続方法として設定される。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態において、アソシエーション要求,応答がやりとりされる前には、通常の無線接続を行う手順と同様、アクセスポイント10からの要求催促データがプリンタ20に受信されたら、オーセンティケーション要求,応答をやりとりするように構成されている(図3における「オーセンティケーション要求〜オーセンティケーション応答」参照)。ただ、第1実施形態においては、データ通信を暗号化していない構成となっているため、オープン認証(つまり暗号化しない)によるオーセンティケーション要求,応答のやりとりとなる。
一方、s380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求でなければ(s380:NO)、受信したデータに基づく処理(その他の処理)を行った後(s410)、s320の処理へ戻る。
こうして、s320からs410の処理を繰り返した後、s320の処理でタイムアウトとなっていれば(s320:YES)、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットして(s420)、本接続方法指示処理を終了する。こうして、接続方法指示処理の終了と共に、アクセスポイント10の動作モードがサポートモードからノーマルモードへ切り替え直される。
[第1実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムおいて、プリンタ20は、接続方法を順番に切り替えながら各々の接続方法に基づいて広告データを送信する(図3における「広告11」〜「広告3j」参照)。これら広告データは、広告データを送信した時点の接続方法に設定されているアクセスポイント10に受信され(図3における「広告12」参照)、このアクセスポイント10が、受信した広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を要求催促データの返信によりプリンタ20へ通知する(図3における「要求催促」参照)。そして、この返信を受けたプリンタ20は、要求催促で通知された接続方法、つまりアクセスポイント10において設定されている接続方法と同一の接続方法を設定する。こうして、プリンタ20がアクセスポイント10と同一の接続方法に設定されることにより、両者間で無線接続できる状態となる。
このようにして、プリンタ20においては、接続方法の切り替え、および、広告データの送信を経て、アクセスポイント10への接続方法が自動的に設定される。よって、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を大幅に軽減することができる。
また、プリンタ20は、接続方法をタイマーによりカウントされる所定の時間毎に接続方法を順番に切り替えていき(図3におけるs110〜s220の処理)、要求催促データの返信を受けた以降に接続方法の切り替えを停止する。このように、順番に切り替えられている接続方法の切り替えを停止するだけで、こうして停止させた時点における接続方法、つまりアクセスポイント10において設定されている接続方法と同一の接続方法を設定することができる。
また、プリンタ20の起動により外部から明示的に指令することにより、プリンタ20に対する接続方法の設定(接続方法確定処理(図2)の実行)を行うことができる。
また、プリンタ20において接続方法が設定された際、プリンタ20およびアクセスポイント10間でアソシエーション要求,応答をやりとりすることにより、すぐに両者間の無線接続を実現することができる。
また、アクセスポイント10は、接続方法指示処理(図4)において、同じ接続方法で繰り返し2回広告データを送信してきた無線ステーション(プリンタ20)に対し、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図3における「要求催促」参照)。
また、アクセスポイント10の動作モードは、サポートモードへ切り替えられた以降、所定の期間が経過して接続方法指示処理(図4)が終了したときにノーマルモードへ切り替え直される。そのため、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直す操作を行うことなく、自動的に動作モードをノーマルモードへ切り替え直すことができる。よって、アクセスポイント10が、サポートモードのままとなってしまうことにより、不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させることを防止できる。
また、プリンタ20は、工場出荷状態である場合のみ、アクセスポイント10への接続方法を設定することができる(図2におけるs100の処理)。
また、アクセスポイント10は、図4におけるs340〜s360の処理で広告データの収集(登録)を行った後、こうして収集した広告データと同一の接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ催促要求データを返信する(s370の処理)。そのため、アクセスポイント10は、要求催促データを、無線ステーションが広告データを送信してきたタイミング、つまり無線ステーション側においてデータの送受信が可能な状態となっているタイミングで送信することができる。これにより、アクセスポイント10から送信された要求催促データを、確実に無線ステーション側にて受信させることができる。
[第1実施形態に対して変形可能な構成]
この第1実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図3におけるs100の処理では、プリンタ20が工場出荷状態である場合に、s110以降の処理が行われるように構成されたものを例示した。しかし、工場出荷状態以外であっても、接続方法を設定する必要がある場合であれば、s110以降の処理が行われるように構成してもよい。具体的には、ROM12内に記憶されている「接続方法を示すパラメータ」のうち一部が不足している場合などである。
また、本実施形態においては、オーセンティケーション要求,応答をやりとりした後で、アソシエーション要求,応答をやりとりするように構成されたものを例示した。しかし、オーセンティケーション要求,応答のやりとりを行うことなく、アソシエーション要求,応答をやりとりのみを行うように構成することも可能である。
また、本実施形態において、アクセスポイント10は、あらかじめ設定されている接続方法でのみデータを受信でき、広告データを受信した時点で、この広告データにより広告された接続方法が、アクセスポイント10自身に設定された接続方法と同一であることを特定している。そのため、プリンタ20により送信される「広告データ」には、接続方法を示すパラメータ自体は含まれていない。しかし、このようなパラメータそのものが広告データに格納されていてもよい。
また、本実施形態においては、プリンタ20に対する接続方法の設定を、プリンタ20の起動により指令するように構成されたものを例示した。しかし、プリンタ20に対する接続方法の設定は、例えば、操作パネル26による特定の操作により指令できるように構成してもよい(図3における「指令」参照)。また、プリンタ20とデータ通信可能に接続された他の通信端末からのデータにより指令できるように構成してもよい。
また、本実施形態においては、アクセスポイント10の動作モードが指定操作により切り替わるように構成されたものを例示した。しかし、動作モードの切り替えは、例えば、アクセスポイント10とデータ通信可能に接続された他の通信端末からのデータにより指令できるように構成してもよい。
また、本実施形態において、アクセスポイント10は、接続方法指示処理で、タイムアウトとなるまで要求催促データを繰り返し返信するように構成されている(s370からs320の処理へ戻るため)。しかし、要求催促データを返信した後には、接続方法指示処理を終了する(具体的には、s420の処理へ移行する)ように構成してもよい。この場合、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であっても、要求催促データが1回返信された際に、ノーマルモードへ切り替え直すことができる。つまり、要求催促データの送信回数「1」と同じ数の無線ステーションに対してのみ、接続方法の設定をサポートすることができるようになる。なお、この構成においては、要求催促データを返信した際に、その返信回数をカウントしておき、所定の回数になったときのみ、s420の処理へ移行するように構成してもよい。この場合、1つの無線ステーションから広告データを受信したらすぐに要求催促データを返信した後でノーマルモードへ切り替え直すようにし、広告データの登録は行わないようにしてもよい。
また、上記実施形態において、プリンタ20は、接続方法確定処理が開始した際、工場出荷状態であるか否かのチェックを経てから(図2におけるs100の処理参照)、s110以降の処理が行われるように構成されているが、この工場出荷状態であるか否かのチェックは、接続方法確定処理を開始した直後でなくてもよい。例えば、s240の処理とs250の処理との間としてもよい。
また、上記実施形態においては、「広告データ」および「要求催促データ」として専用のフレームデータを採用したものを例示した。しかし、この「広告データ」および「要求催促データ」としては、無線LAN規格において規定された周知のデータを採用してもよい。ここで、採用するデータとしては、例えば、プローブ要求,応答が考えられる。ただ、このようにプローブ要求,応答を採用する場合、プリンタ20は、アクセスポイント10を除く他の無線アクセスポイントからのプローブ応答に反応して無差別に無線接続してしまい、アクセスポイント10との無線接続を実現することが困難になる恐れがある。また、このことは、ネットワークのセキュリティを確保する観点から望ましいことではない。そこで、アクセスポイント10を、「広告データ」として送信されてきたプローブ要求を受信した際に、プリンタ20の設定を行う旨を明示的に示したパラメータを含むプローブ応答を「要求催促データ」として送信するように構成すると共に、プリンタ20を、設定を行う旨を明示的に示したパラメータを含むプローブ応答を「要求催促データ」として受信した場合にのみ設定を行うように構成することが望ましい。
[第2実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第1実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、アクセスポイント10における一部の処理内容が異なっているだけであるため、この相違点についてのみ詳述する。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図5に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第1実施形態における接続方法指示処理(図4)のうち、s350以降の処理内容が以下に示すような手順で行われるものである。なお、第1実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s350の処理で、広告データが登録済みのものでなければ(s350:NO)、この広告データで示されるパラメータを、RAM13における特定の記憶領域へ記憶することにより登録(例えば、データテーブルへ登録)する(s352)。この処理は、図4におけるs360の処理と同様の処理であるが、デバイス名およびデバイスIDだけでなく、s330の処理で広告データを受信したときの受信レベル(電波強度)が対応づけられた状態で登録される。なお、要求催促データで示されるパラメータを登録したデータテーブルの例を図6に示す。
このs352の処理を終えた後、または、s350の処理で広告データが登録済みのものであれば(s350:YES)、s320の処理へ戻る。
なお、s340の処理が行われる時点では、要求催促データを送信することがなく、アソシエーション要求が送信されてくることはないため、s340の処理で受信したデータが広告データでない場合(s340:NO)は、「その他の処理」を行った後(s410)、s320の処理へ戻る。
この後、s320〜s410の処理を繰り返した後、s320の処理でタイムアウトとなっていれば(s320:YES)、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットする(s420)。
次に、s352の処理を経てパラメータの登録が行われたか否かをチェックする(s510)。この処理では、RAM13における特定の記憶領域へs352の処理によるデータが記憶されていれば、s352の処理によるパラメータの登録が行われたと判定する。
このs510の処理で、パラメータの登録が行われていなければ(s510:NO)、本接続方法指示処理を終了する一方、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、タイマーをスタートさせる(s520)。この処理でスタートするタイマーは、広告データの登録が行われた後、再度プリンタ20から広告データが期限内に送信されてくるか否かをチェックするためのものである。
次に、広告データの登録に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s530)。この処理では、s520の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、15s)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs530の処理でタイムアウトとなっていなければ(s530:NO)、プリンタ20側からデータを受信したか否かをチェックし(s540)、受信していなければ(s540:NO)、s530の処理へ戻る。
一方、s540の処理で、プリンタ20側からデータを受信したら(s540:YES)、受信したデータが広告データであるか否かをチェックする(s550)。この処理は、図4におけるs340の処理と同様の処理である。
このs550の処理で、受信したデータが広告データであれば(s550:YES)、この広告データが登録済みのものであるか否かをチェックする(s560)。この処理は、図4におけるs350の処理と同様の処理である。
このs560の処理で、受信した広告データが登録済みのものでなければ(s560:NO)、s530の処理へ戻る。
一方、s560の処理で、受信した広告データが登録済みのものであれば(s560:YES)、この広告データについて登録されたパラメータにおける受信レベルが、全てのパラメータの中で最大の受信レベルであるか否かをチェックする(s570)。
この処理で、最大の受信レベルでなければ(s570:NO)、s530の処理へ戻る一方、最大の受信レベルであれば(s570:YES)、要求催促データを返信した後(s370)、s530の処理へ戻る。
また、上述したs550の処理で、受信したデータが広告データでなければ(s550:NO)、アソシエーション要求であるか否かをチェックする(s380)。
このs380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求であれば(s380:YES)、アクセスポイント10自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を、アソシエーション要求の送信元であるプリンタ20へ返信した後(s400)、s530の処理へ戻る。
一方、s380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求でなければ(s380:NO)、s410の処理と同様に、受信したデータに基づく処理(その他の処理)を行った後(s580)、s530の処理へ戻る。
こうして、s530以降の処理を繰り返した後、s530の処理でタイムアウトとなっていれば(s530:YES)、s520の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットして(s590)、本接続方法指示処理を終了する。
[第2実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第1実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図5におけるs570,s370の処理)。
[第2実施形態に対して変形可能な構成]
この第2実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、s570の処理では、受信した広告データについて登録されたパラメータにおける受信レベルが、全てのパラメータの中で最大の受信レベルであるか否かをチェックするように構成されたものを例示した。しかし、このs570の処理では、受信した広告データについて登録されたパラメータにおけるデバイスIDが、s540の処理で広告データを受信した時点におけるデバイスIDと一致するか否かをチェックするように構成してもよい。この場合、アクセスポイント10は、登録済みの広告データと同一の広告データを受信しても、この広告データで特定されるデバイスIDが、先に広告データを登録したときのデバイスIDと一致しなければ、要求催促データを送信せずに接続方法を設定させることがない。これにより、アクセスポイント10側で登録された広告データを偽装して送信することにより不正にアクセスポイント10への無線接続を試みる無線ステーションを、アクセスポイント10へ無線接続させてしまうことを防止できる。
[第3実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第2実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、アクセスポイント10における一部の処理内容が異なっているだけであるため、この相違点についてのみ詳述する。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図7に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第2実施形態における接続方法指示処理(図5)のうち、s510の処理が行われた後、後述するs512,s514の処理が行われ、また、s570の処理の代わりに後述するs562の処理が行われるように構成されたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。
まず、s510の処理で、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、広告データ毎に登録されたパラメータで示されるデバイス名それぞれをユーザに通知する(s512)。この処理では、登録済みのパラメータで示されるデバイス名の一覧を表示パネル17に表示させることにより通知を行う。この一覧が表示パネル17に表示された後、ユーザは、一覧から1以上のデバイス名を選択するための選択操作を操作パネル16により行うことができる。
次に、ユーザにより選択操作が行われるまで待機する(s514:NO)。
このs514の処理で選択操作が行われたら(s514:YES)、s520の処理へ移行する。なお、このとき選択操作により選択されたデバイス名が示されるパラメータに対しては、選択操作により選択された旨を示す選択フラグがセットされる(初期値「0」から「1」をセットした状態とする)。
そして、s560の処理で、受信した広告データが登録済みのものであれば(s560:YES)、s570の処理の代わりに、この広告データについて登録されたパラメータが、選択フラグのセットされたものであるか否かをチェックする(s562)。
このs562の処理で、選択フラグのセットされたものであれば(s562:YES)、s370の処理へ移行する一方、選択フラグのセットされたものでなければ(s562:NO)、s530の処理へ戻る。
[第3実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第2実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、ユーザにより任意に選択されたデバイス名の無線ステーション(例えば、プリンタ20)のみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図7におけるs512,s514,s562の処理参照)。
[第3実施形態に対して変形可能な構成]
この第3実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図7におけるs512,s514の処理では、デバイス名に基づきユーザに選択操作を行わせるように構成されたものを例示した。しかし、これらの処理においては、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。この場合、ユーザにより任意に選択されたデバイスIDの無線ステーションのみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる。
[第4実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第3実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、第3実施形態では、アクセスポイント10により行われるデバイス名の通知および選択操作(図7におけるs512,s514の処理)を、アクセスポイント10とケーブル100を介してデータ通信可能に接続された周知のパーソナルコンピュータ(以降、「PC」とする)30側で行うことができるように構成したものである。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図8に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第3実施形態における接続方法指示処理(図7)のうち、s512,s514の処理の代わりに後述するs516,s518の処理が行われるように構成されたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。なお、本接続方法指示処理は、PC30側からの開始指令データを受信した以降に開始される(図9における「開始指令」参照)。
まず、s510の処理で、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、登録されたパラメータで示されるデバイス名の一覧を示す一覧データを生成しPC30(上述の開始指令データの送信元であるデバイス)へ送信する(s516)。この一覧データを受信したPC30では(図9における「一覧データ」参照)、一覧データで示される一覧がディスプレイに表示されることにより、各デバイス名の通知が行われ、この後、ユーザが、各デバイス名から1以上のデバイス名を選択するための選択操作を行うと、選択したデバイス名を特定可能な選択データが送信されてくる(図9における「選択データ」参照)。
このs516の処理で一覧データを送信した後、PC30側から選択データを受信するまで待機し(s518:NO)、選択データを受信したら(s518:YES)、s520の処理へ移行する。なお、この後に行われるs370の処理では、s518の処理で受信された選択データに基づき、この選択データで特定されるデバイス名に対応するパラメータ(SSIDおよび接続方法)に基づき、無線ステーションに要求催促データを送信する。○PC30による設定指令処理
以下に、PC30により実行される設定指令処理の処理手順について図10に基づいて説明する。この設定指令処理は、PC30に組み込まれているプログラムに従って実行される処理である。
まず、開始指令データをアクセスポイント10へ送信する(s610)。この開始指令データを受信したアクセスポイント10は、上述の接続方法指示処理(図8)を開始し(図9における「開始指令」参照)、所定時間が経過した後、上述した一覧データを送信してくる。
次に、アクセスポイント10から一覧データを受信するまで待機する(s620:NO)。
このs620の処理で一覧データを受信したら(s620:YES)、この一覧データで示される内容をディスプレイに表示させる(s630)。こうして一覧データで示されるデバイス名の一覧が表示された後(図11参照)、ユーザは、キーボードまたはマウスなどにより、1以上のデバイス名を選択する選択操作を行うことができる。
そして、選択操作が行われるまで待機し(s640:NO)、選択操作が行われたら(s640:YES)、この選択操作により選択されたデバイス名を特定可能な選択データを生成してアクセスポイント10へ送信する(s650)。
[第4実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第3実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、登録されたデバイス名のうち、PC30から受信した選択データで示されるデバイス名、つまりPC30においてユーザが任意に選択したデバイス名の無線ステーション(例えば、プリンタ20)のみに、要求催促データを送信して接続方法を設定させることができる(図8におけるs516,s518,s562の処理参照)。
[第4実施形態に対して変形可能な構成]
この第4実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図8におけるs516,s518の処理では、デバイス名の一覧を示す一覧データを生成するように構成されたものを例示した。しかし、これらの処理においては、s516の処理でデバイスIDの一覧を示す一覧データを生成して送信するようにすることによって、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。この場合、PC30側でユーザにより任意に選択されたデバイスIDの無線ステーションのみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、本実施形態では、アクセスポイント10が、パラメータを一定時間にわたり登録(収集)した後で、このパラメータに基づいて生成した一覧データを送信するように構成されたものを例示した。しかし、一覧データは、PC30側から送信の要求を受けたタイミングで生成して送信するように構成してもよい(図9における「一覧要求」参照)。このためには、例えば、図10におけるs610の処理とs620の処理との間に、一覧データを要求するための操作を待つステップ(s612)と、この操作を受けて一覧データの送信を要求するステップ(s614)を設けると共に(図12参照)、図8におけるs510の処理とs516の処理との間に、PC30側からの要求を待つステップ(s515)を設ける(図13参照)、といった構成とすればよい。さらに、この構成においても、上述したのと同様に、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。
また、本実施形態において、アクセスポイント10が無線ステーション(プリンタ20)へ要求催促データを送信した以降に、無線ステーション側において接続方法が設定された(または設定される)旨をPC30側に通知するように構成してもよい。このためには、例えば、図8におけるs400の処理の後に、設定された旨を通知するための設定通知データをPC30へ送信するステップ(s402)を設けると共に(図13参照)、図10におけるs650の処理の後に、設定通知データが送信されてくるのを待つステップ(s652)と、設定通知データを受信した際に無線ステーション側において接続方法が設定された旨を通知するステップ(s654)を設ける(図12参照)、といった構成とすればよい。
[第5実施形態]
以上説明した各実施形態においては、プリンタ20がアクセスポイント10と無線接続されたとしても、アクセスポイント10がデータ通信を暗号化して行うように設定されていると、通常は、プリンタ20側も同様に暗号化してデータ通信を行うように設定しなければ、正常にデータ通信を行うことはできない。そこで、本実施形態の無線LANシステムは、第5実施形態の無線LANシステムを、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるように構成したものである。
まず、アクセスポイント10は、ROM12に「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。ここで「セキュリティに関するパラメータ」としては、例えば、通信を暗号化した状態で行うための暗号キー(本実施形態においては、WEPキー;Wired Equivalent Privacy)がある。アクセスポイント10(CPU11)は、暗号キーが記憶されていれば、無線ステーションとの間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行う。なお、この暗号キーは、上述したのと同様に、リモートセットアップを経て生成されてROM12に記憶されるものである。
また、プリンタ20は、ROM22に「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。ここで「セキュリティに関するパラメータ」としては、上述したのと同様に、暗号キーがある。プリンタ20(CPU21)は、暗号キーが記憶されていれば、無線アクセスポイントとの間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行う。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図14に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第4実施形態における接続方法指示処理(図8)のうち、s370の処理の後に後述するs372の処理が設けられ、s590の処理の後に、s592,s594,s596の処理が設けられたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。
まず、本実施形態において、s370の処理では、ROM12に記憶された通常の暗号キーとは異なる暗号キー(以降、「仮暗号キー」とする)をランダムに生成し、この仮暗号キーを付加した状態で送信する。
このs370の処理で要求催促データを送信した後、s530の処理へ戻る前に、要求催促データを送信した無線ステーションのデバイス名およびデバイスIDを、s370の処理で要求催促データに付加した仮暗号キーに対応づけた状態で催促リストへ登録する(s372)。この「催促リスト」は、RAM13に生成された上でデータの登録が行われるデータテーブルである。
また、s590の処理を終えた後、s372の処理で催促リストに登録された無線ステーションのうちいずれかとの無線接続が解除されるまで待機し(s592:NO)、無線接続が解除されたら(s592:YES)、無線接続が解除された無線ステーションに対する登録内容を催促リストから削除する(s594)。
このs594の処理を終えた後、催促リストに登録内容が残っているか否かをチェックし(s596)、残っていれば(s596:YES)、s592の処理へ戻る。そして、催促リストの登録内容がなくなるまで繰り返し、s596の処理で登録内容が残っていなければ(s596:NO)、本接続方法指示処理を終了する。○プリンタ20による接続方法確定処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される接続方法確定処理の処理手順について図15に基づいて説明する。この接続方法確定処理は、他の実施形態における接続方法確定処理(図5)のうち、s301の処理が行われた後に、以下に示すような処理が行われるように構成されたものである。なお、他の実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s170の処理で要求催促データを受信した後、s174の処理において、要求催促データで特定されるSSIDをROM22に記憶させると共に、仮暗号キーをRAM23における「セキュリティに関するパラメータ」用の記憶領域に記憶させる。その後、s224の処理で接続方法を切り替えることにより、無線アクセスポイント(アクセスポイント10)とのデータ通信を、「セキュリティに関するパラメータ」用の記憶領域に記憶させた仮暗号キーで暗号化した状態で行う。
また、s301の処理を終えた後、アクセスポイント10の暗号キーを取得する(s700)。この処理は、PC30から公開鍵暗号方式によりアクセスポイント10の暗号キーを取得する(図16における「暗号キー(乱数で暗号化)」参照)ための処理であって、詳細な処理手順は後述する暗号キー取得処理(図17)において説明する。
このs700の処理で暗号キーを取得できていれば(s302:YES)、この暗号キーをROM22に記憶させる(s304)。この処理では、ROM22への暗号キーの記憶と共に、RAM23からの仮暗号キーの削除も行う。
次に、アクセスポイント10との無線接続を解除する(s306)。ここでは、アクセスポイント10へオーセンティケーション解除を送信することにより(図16における「オーセンティケーション解除」参照)、アクセスポイント10との無線接続を解除する。
そして、アクセスポイント10との無線接続を再度確立する(s308)。この処理では、上述したのと同様に、オーセンティケーション要求,応答をアクセスポイント10との間でやりとりすることにより無線接続を確立する。この処理で無線接続が確立された以降は、s304の処理で記憶された暗号キーにより暗号化した状態でデータ通信を行う。
こうして、s308の処理を終えた後、または、s302の処理で暗号キーを取得できていなければ(s302:NO)、本接続方法確定処理を終了する。○プリンタ20による暗号キー取得処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される暗号キー取得処理の処理手順を図17に基づいて説明する。この暗号キー取得処理は、図15におけるs700の処理の詳細な処理手順である。
まず、公開鍵暗号方式にて用いられる公開鍵および秘密鍵のペアを生成する(s710)。
次に、s710の処理で生成された公開鍵をPC30へ送信する(s720)。この処理では、あらかじめ設定されたデバイスであるPC30へ向けて公開鍵のデータが送信される。この公開鍵を受信したPC30では、この公開鍵でランダムに生成された乱数を暗号化して返信してきた後、更に、この乱数で暗号化した所定のメッセージ画像を示す印刷データを送信してくる。
次に、PC30から暗号化された乱数を受信する(s730)。
次に、PC30から暗号化された印刷データを受信する(s740)。
次に、s740の処理で受信した印刷データで示されるメッセージ画像を、s710の処理で生成した秘密鍵で復号した後、プリントエンジン28により印刷させる(s750)。この処理で印刷されるメッセージ画像は、s730の処理で受信した乱数が確かにプリンタ20へ送信されたことをユーザに確認させるためのメッセージを含むものであり、この旨を確認したユーザは、PC30により後述する確認操作を行うことになる(後述の設定指令処理(図18)参照)。そして、この確認操作のあと、PC30からs730の処理で暗号化された暗号キーが送信されてくる。
次に、タイマーをスタートさせる(s760)。
次に、PC30から暗号キーを受信した否かをチェックする(s770)。
このs770の処理で暗号キーを受信したら(s770:YES)、s760の処理でスタートさせたタイマーをストップおよびリセットした後(s780)、本暗号キー取得処理を終了する。
一方、s770の処理で暗号キーを受信していなければ(s770:NO)、タイムアウトとなっているか否かをチェックする(s790)。この処理では、s760の処理でスタートさせたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、30s)に到達していれば、タイムアウトになっていると判定する。
このs790の処理でタイムアウトになっていなければ(s790:NO)、s770の処理へ戻る一方、タイムアウトとなっていれば(s790:YES)、s780の処理へ移行することにより、暗号キーを取得することなく本暗号キー取得処理を終了する。○PC30による設定指令処理
以下に、PC30により実行される設定指令処理の処理手順について図18に基づいて説明する。この設定指令処理は、PC30に組み込まれているプログラムに従って実行される処理である。この設定指令処理は、他の実施形態における設定指令処理(図10)のうち、s650の処理が行われた後に、以下に示すような処理が行われるように構成されたものである。なお、第5実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s650の処理が行われた後、プリンタ20から公開鍵を受信するまで待機する(s810:NO)。この公開鍵は、図17におけるs720の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs810の処理で公開鍵を受信したら(s810:YES)、この公開鍵でランダムに生成した乱数を暗号化して返信する(s820)。この暗号化した乱数は、図17におけるs730の処理でプリンタ20が受信するデータである。
次に、s810の処理で受信した公開鍵でメッセージ画像を示す印刷データを暗号化して送信する(s830)。この暗号化した印刷データは、図17におけるs740の処理でプリンタ20が受信するデータである。この印刷データを受信したプリンタ20では、上述したようにメッセージ画像が印刷され、このメッセージ画像が印刷された後、ユーザが、PC30に対して確認操作を行うことになる。なお、この確認操作とは、特定のキー,ボタンを押下することや、複数のボタン,キーを特定の手順で押下する、といった操作のことである。
次に、確認操作が行われるまで待機する(s840:NO)。
このs840の処理で確認操作が行われたら(s840:YES)、s820の処理で生成した乱数で暗号キーを暗号化して送信する(s850)。この暗号化した暗号キーは、図17におけるs770の処理でプリンタ20が受信するデータである。なお、この暗号キーは、あらかじめメモリ等に記憶されたものである。
こうして、s850の処理を終えた後、本設定指令処理を終了する。○アクセスポイント10による暗号切替処理
アクセスポイント10は、起動した以降、無線ステーションとの間におけるデータ通信(データの送受信)を行うタイミングになった際に、暗号切替処理を行うように構成されており、以下に、この暗号切替処理の処理手順を図19に基づいて説明する。
まず、データ通信すべき無線ステーションが、RAM12における催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションであるか否かをチェックする(s910)。
このs910の処理で、催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションであれば(s910:YES)、このデバイス名またはデバイスIDに対応する仮暗号キーにより暗号化して状態でデータ通信を行う(s920)。
一方、s910の処理で、催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションでなければ(s910:NO)、暗号キーにより暗号化した通常のデータ通信を行う(s930)。
こうして、s920またはs930の処理を終えた後、本暗号切替処理を終了する。
[第5実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、上述した各実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、要求催促データを返信した無線ステーションに対して仮暗号キーにより暗号化したデータ通信を行うよう暗号化方法を切り替えるようになり(図19におけるs910の処理参照)、一方、要求催促データを受信したプリンタ20は、アクセスポイント10とのデータ通信を仮暗号キーにより暗号化して行うように設定される(図15におけるs224の処理参照)。こうして、アクセスポイント10とプリンタ20との間では、仮暗号キーにより暗号化した状態で正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、アクセスポイント10が外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信についても、一定のセキュリティレベルを確保した状態で実現できる。
続いて、プリンタ20は、暗号キー取得処理(図17)により暗号キーを取得できた場合、アクセスポイント10への無線接続をやり直すことにより、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信を、PC30からプリンタ20へ受け渡された暗号キーにより暗号化して行うようになる(図15におけるs306,s308の処理参照)。このとき、アクセスポイント10では、無線接続が解除された無線ステーションに該当するパラメータついては催促リストから削除されるため(図14におけるs594の処理参照)、以降、プリンタ20とのデータ通信は暗号キーにより暗号化して行うように戻されることになる。よって、アクセスポイント10が他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信と同様のセキュリティレベルで、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信を実現することができるようになる。
また、PC30からプリンタ20への暗号キーの受け渡しは、公開鍵暗号方式により行われるため、この暗号キーがプリンタ20へ送信される過程において漏洩する可能性は当然に低くなる。
また、プリンタ20は、PC30から暗号キーの前に受け渡された印刷データで示されるメッセージ画像を印刷する(図17におけるs750の処理参照)。そのため、ユーザは、プリンタ20からメッセージ画像が印刷されたか否かによって、このプリンタ20がPC30から暗号キーを受け渡されるべき正しい無線ステーションであることを確認できる。そして、このメッセージ画像を確認した後、ユーザがPC30で確認操作を行うことにより(図18におけるs840の処理参照)、PC30からプリンタ20への暗号キーの受け渡しを行うことができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、本発明の無線ステーションとしてプリンタ20を適用したものを例示した。しかし、本発明の無線ステーションとしては、無線ステーションとして機能するデバイスであれば、プリンタ20以外のデバイスに適用することもできる。
また、上記実施形態においては、PC30がケーブル100を介してアクセスポイント10と接続されている構成を例示したが、このPC30が無線ステーションとしての機能を有している場合には、無線接続されている構成としてもよい。
また、上述の各実施形態では、プリンタ20側で工場出荷状態と判定された場合には、広告データの送信を含めた全ての処理が行われないように構成されたものを例示した(図2,図15におけるs100の処理参照)。しかし、プリンタ20側では、広告データをプリンタ20自身が工場出荷状態か否か判定可能な状態で送信し、アクセスポイント10側において、広告データに対する登録または要求催促データの返信を行わないようにしてもよい。
このために、プリンタ20側では、例えば、図20に示すように、s100の処理をs130の処理の後に設け、このs100の処理で「YES」と判定された場合は、工場出荷状態である旨を示す「Unconfigure device」フラグをセット(「1」をセット)した広告データを送信する一方(s142)、「NO」と判定された場合には、「Unconfiguredevice」フラグをセットすることなく(「0」をセット)広告データを送信した後(s144)、s150の処理へ移行するように構成するとよい。
また、アクセスポイント10側では、図4,図5,図7,図8,図13,図14において、以下に示すような処理を設けるとよい。例えば、図21に示すように、s340の処理の後、受信した広告データの「Unconfigure device」フラグをチェックした結果、無線ステーション(プリンタ20)が工場出荷状態であれば(s342:YES)、s350の処理へ移行する一方、工場出荷状態でなければ(s342:NO)、s320の処理へ戻る。または、図22に示すように、s550の処理の後、受信した広告データの「Unconfigure device」フラグをチェックした結果、無線ステーションが工場出荷状態であれば(s552:YES)、s560の処理へ移行する一方、工場出荷状態でなければ(s552:NO)、s530の処理へ戻る。
このように構成すると、アクセスポイント10は、無線ステーションが工場出荷状態の場合のみ、広告データに基づく登録および要求催促データの送信を行い、接続方法を設定させることができる。
また、本実施形態においては、プリンタ20が接続方法を切り替える順番が、第1の無線LAN規格における第1チャネルから番号順となっているものを例示した。しかし、この順番については特に限定されず、例えば、同一の無線LAN規格における順番について電波の干渉が起こらないような順番としてもよい。
具体的な例としては、複数のチャネルを複数のグループ(例えば、周波数帯域を二分した高周波側と低周波側の2グループ)に分け、あるグループにおける第jチャネル(jは任意の数)の後は他のグループにおける第jチャネルに切り替えるといったことを、各グループにおける全チャネルにて順番に行うように構成するとよい。この場合、周波数帯が近い同じグループにおけるチャネルへ連続して切り替えられることがないため、電波の干渉を抑えることができる。
同様に、複数のチャネルを、第1チャネルから所定のチャネル数k(例えば、5チャネル)間隔で順番に切り替えた後、第2チャネルから所定のチャネル数間隔で順番に切り替える、といったことを、第1〜第k−1チャネルまで繰り返すように構成してもよい。この場合、所定のチャネル数kを、電波の干渉を充分に抑えることができる間隔とすることにより、電波の干渉を確実に抑えることができる。
[本発明との対応関係]
本発明において、無線ステーションの備える方法切替手段は、図2,図15におけるs110〜s290の処理である。また、広告送信手段は、図2,図15におけるs140の処理である。また、方法設定手段は、図2,図15におけるs280の処理である(「YES」と判定された場合)。また、通知収集手段は、図15におけるs160〜s174の処理である。また、暗号設定手段は、図15におけるs224の処理である。また、暗号取得手段は、図15におけるs700の処理である。また、暗号変更手段は、図15におけるs304の処理である。また、メッセージ出力手段は、図17におけるs750の処理である。また、内容判定手段は、図2,図15,図20におけるs100の処理である。また、非設定手段は、図2,図15におけるs100の処理である(「YES」と判定された場合)。
また、無線アクセスポイントの備える通知返信手段は、図4,図5,図7,図8,図13,図14におけるs370,s400の処理である。また、広告収集手段は、図4におけるs320〜s360の処理であり、図5,図7,図8,図13,図14におけるs320〜s352の処理である。また、第1,第2ユーザ選択手段は、図7におけるs512,s514の処理である。また、一覧送信手段は、図8,図13,図14におけるs516の処理である。また、暗号切替手段は、図19におけるs910〜s930の処理である。また、モード切替手段は、接続方法指示処理を実行するCPU11である。また、内容判定手段は、図21におけるs342,s542の処理である。
また、通信端末の備える要求送信手段は、図12にけるs614の処理である。また、第3,第4ユーザ選択手段は、図12におけるs630,s640の処理である。また、選択送信手段は、図12におけるs650の処理である。また、暗号受渡手段は、図18におけるs810〜s850の処理である。また、確認操作手段は、図18におけるs840の処理である。
10…アクセスポイント、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…ネットワークコントローラ、15…無線LANコントローラ、16…操作パネル、17…表示パネル、20…プリンタ、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…無線LANコントローラ、25…PCインターフェース部、26…操作パネル、27…表示パネル、28…プリントエンジン、30…パーソナルコンピュータ、100…ケーブル。
本発明は、無線ステーションを無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定することにより両者間のデータ通信が可能となる無線LANシステム,および,このシステムにおいて利用可能な通信端末,通信プログラムに関する。
現在、複数の無線ステーション間、または、無線ステーションと外部ネットワークとの間におけるデータ通信を無線により実現する、いわゆる無線LANが広く普及している。
無線LANのネットワークでは、各無線ステーションが中継局を介して無線通信を行う「インフラストラクチャモード」や、直接無線ステーション同士が無線通信を行う「アドホックモード」などの通信方式があり、各無線ステーションは、その用途に応じて通信方式を切り替えることができるように構成されているが、「インフラストラクチャモード」にて使用されることが一般的である。
このような「インフラストラクチャモード」によるネットワークにおいて、無線ステーションは、無線ステーション側で接続方法など各種設定を行うことにより、無線アクセスポイントへのアクセスが可能になる。なお、上述の「接続方法」とは、例えば、無線接続する際に採用される無線LAN規格(例えば、IEEE802.11b,−a,−gなど)、これら無線LAN規格において使用される周波数帯域(いわゆるチャネル)などにより規定される無線接続の方法である。
ここで、無線ステーション側での各種設定は、無線ステーションがパーソナルコンピュータ(以降、「PC」とする)のように操作性の高いユーザインタフェースを有するものであれば、このユーザインタフェースにより設定の操作を行うことは簡単である。
しかし、ネットワークを介したサービスを提供するプリンタなどPCと比べて操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションでは、このユーザインタフェースにより設定を行うことは非常に面倒であり、手間のかかる作業である。
そのため、このような無線ステーションの中には、他の無線ステーション共々通信方式を「アドホックモード」に切り替えておき、両無線ステーション間で設定に関するデータをやりとりすることにより他の無線ステーション側から間接的に設定(リモートセットアップ)を行うことや、PCをケーブルで直結しておき、PCとの間で設定に関するデータをやりとりすることによりPC側から間接的に設定を行うことができるように構成されているものもある。
ただ、この場合、通信方式を「アドホックモード」へ切り替えた無線ステーション同士を無線通信が可能な位置関係となるまで移動させたり、PCをケーブルが敷設可能な場所まで移動させたりする必要があるため、結局、リモートセットアップについても手間のかかる作業であることには変りない。
特に、「インフラストラクチャモード」にて使用していた無線ステーションをリモートセットアップに利用する場合、リモートセットアップ終了後に通信方式を「アドホックモード」から再度「インフラストラクチャモード」に切り替え直す必要があるため、より作業の手間がかかってしまう。
このように、ネットワークを介したサービスを提供するプリンタなどPCと比べて操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションでは、各種設定を行うための作業に手間がかかってしまうという問題があった。
そこで、近年では、このような作業の手間を軽減するための技術が種々提案されている。例えば、無線ステーションとして機能するプリンタなどのネットワークデバイスに無線アクセスポイント(中継局)としての機能を付加し、この機能(中継機能部)により独自の無線ネットワークを確立し、この無線ネットワークを介して接続された他の無線ステーション側から、無線ステーション機能(端末機能部)により他の無線ネットワークと接続するために必要な設定(リモートセットアップ)を間接的に行った後、無線アクセスポイントとしての機能を停止する、といった技術である(特許文献1参照)。
この技術であれば、操作性の高いユーザインタフェースを有していない無線ステーションにおいて、各種設定を行うための作業に要する手間を軽減することができる。
しかし、上述した技術においては、通信方式を「アドホックモード」へ切り替えた無線ステーション同士を無線通信が可能な位置関係となるまで移動させたり、PCをケーブルが敷設可能な場所まで移動させたり、といった設定に付随する作業の手間を軽減することはできるが、設定を行うための操作自体は行わなければならない。
無線LANのネットワークを構築するには、一般的なLAN(有線LAN)に関する設定だけでなく、無線LAN特有の設定「接続方法」が必要になる。この設定には種々の専門知識を要するため、有線LANに関する専門知識を有するユーザであっても、無線LAN特有の設定を容易に行えないことが多く、ましてや、LANそのものに馴染みがないユーザにとって無線LANの設定は非常に困難なものといえる。
このように、現在、無線LANの設定に対するユーザへの負荷は重く、このことが無線LANの普及を妨げている要因の一つと考えられており、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を軽減するための技術が要望されていた。
本発明は、このような要望に基づいてなされたものであり、その目的は、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を軽減することである。
上記課題を解決するため態様1の無線LANシステムは、無線接続の方法である接続方法を複数の接続方法のうちいずれかに設定可能な無線ステーションを、あらかじめ複数の接続方法のうちいずれかに設定された無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定することにより、無線ステーションおよび無線アクセスポイント間のデータ通信が可能となる無線LANシステムである。
具体的な構成として、まず、無線ステーションは、方法切替手段,広告送信手段および方法設定手段を備えている。これらのうち、方法切替手段は、無線アクセスポイントへの接続方法を複数の接続方法それぞれへ所定期間間隔で順番に切り替える。また、広告送信手段は、方法切替手段により接続方法が切り替えられる毎に、こうして切り替えられた接続方法を周囲へ広告するための広告データを、この接続方法に基づいて送信する。そして、方法設定手段は、広告送信手段により広告データが送信されてから、方法切替手段により次の接続方法に切り替えられるまでの間に、送信された広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を通知するための通知データを受信したとき、方法切替手段による接続方法の切り替えを停止させることにより、こうして停止させた時点における接続方法を前記無線アクセスポイントと無線接続するための接続方法として設定する。一方、無線アクセスポイントは、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する通知返信手段を備えている。
このように構成された無線LANシステムおいて、無線ステーションは、接続方法を順番に切り替えながら各々の接続方法に基づいて広告データを送信する。この広告データは、同一の接続方法(広告データを送信した時点における無線ステーションの接続方法)が設定されている無線アクセスポイントに受信され、この無線アクセスポイントが、受信した広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を、通知データの返信により無線ステーションへ通知する。そして、この通知データの返信を受けた無線ステーションは、通知データで通知された接続方法、つまり無線アクセスポイントにおいて設定されている接続方法と同一の接続方法を設定する。こうして、無線ステーションが無線アクセスポイントと同一の接続方法に設定されることにより、両者間で無線接続できる状態となる。
このようにして、無線ステーションにおいては、方法切替手段による接続方法の切り替え、および、広告送信手段による広告データの送信を経て、無線アクセスポイントへの接続方法が方法設定手段により自動的に設定される。よって、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を大幅に軽減することができる。
また、方法設定手段によって、通知データを受信したときに接続方法の切り替えを停止させるだけで、こうして停止させた時点における接続方法、つまり無線アクセスポイントにおいて設定されている接続方法と同一の接続方法を設定することができる。
なお、上述の「接続方法」とは、例えば、無線接続する際に採用される無線LAN規格(例えば、IEEE802.11b,−a,−gなど)、これら無線LAN規格において使用される周波数帯域(いわゆるチャネル)などにより規定される無線接続の方法のことである。
また、無線ステーションにおいて、広告送信手段により送信される「広告データ」とは、方法切替手段により切り替えられた接続方法を周囲へ広告するためのデータであって、接続方法そのものを示すパラメータがデータの中身として含まれていればよい。ただ、無線アクセスポイントが、あらかじめ設定されている接続方法でのみデータを受信する構成であれば、広告データを受信した時点で、この広告データにより広告された接続方法が、自身に設定された接続方法と同一であることを特定できるため、この場合は、接続方法を示すパラメータが含まれていなくてもよい。
また、上述の無線ステーションにおける方法切替手段が接続方法の切り替えを開始するタイミングについては、特に限定されないが、例えば、態様2の無線LANシステムは、外部からの指令を受けた際に接続方法を切り替え始める、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線ステーションに対する接続方法の設定を、外部から明示的に指令することができる。
なお、この構成における「外部からの指令」とは、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる特定の操作や、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータなどのことである。
また、上述した無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する手段であり、この通知データは、あらかじめ設定された接続方法に基づいて返信される。
また、この通知返信手段は、態様3の無線LANシステムは、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてきた広告データを受信した際に、無線アクセスポイント自身に対して無線接続の許可を要求させるための要求催促データを通知データとして無線ステーションへ返信し、その後、この無線ステーションから無線接続の許可を要求するためのデータであるアソシエーション要求が送信されてきたら、無線アクセスポイント自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を返信する、ように構成するとよい。
このように構成すれば、無線ステーション側で接続方法の設定がなされた後、アソシエーション要求,応答のやりとりを経て、無線アクセスポイントと無線ステーションとの無線接続を実現することができる。
また、上述した通知返信手段は、広告データを受信した際、どのような広告データであるかに拘わらず通知データを返信するように構成すればよいが、態様4の無線LANシステムは、あらかじめ設定されている接続方法に基づき所定の条件を満たす広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成してもよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、所定の条件を満たす広告データを送信してきた無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における「所定の条件」は、その具体的な内容は特に限定されないが、無線ステーション側では、通知データを受信するまで接続方法が繰り返し切り替えられることになるため、例えば、このような繰り返しを経て「2回以上送信されてきた広告データ」を条件とすることが考えられる。
このためには、態様5の無線LANシステムは、無線アクセスポイントおいて、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段が備えられ、通知返信手段は、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データのうち、いずれかの広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、2回以上繰り返し広告データを送信してきた無線ステーションに対し、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、広告データを収集する手段であり、通知返信手段に先立って、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。
また、上述した「所定の条件」としては、受信レベルが最も大きい広告データを条件とすることも考えられる。
このためには、態様6の無線LANシステムは、無線アクセスポイントにおいて、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段が備えられ、通知返信手段は、広告収集手段により収集された広告データのうち、受信レベルが最も大きかった広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、このように、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに通知データを返信することは、無線ステーションの接続方法が、本来設定すべき無線アクセスポイントの接続方法以外の接続方法に誤って設定されてしまうことを防止するのに好適である。
無線ステーションの無線アクセスポイントへの接続方法を設定する際、この無線アクセスポイント以外に通知返信手段を備える他の無線アクセスポイントが周囲(例えば、隣接する住宅など)に存在していると、この無線アクセスポイントからも通知データが無線ステーションに返信されてくる。そのため、通知データを受信したタイミングによっては、他の無線アクセスポイントにおいて設定されているのと同じ接続方法がユーザの意図とは無関係に設定されてしまう恐れがある。
ところが、上述のように、受信レベルの最も大きかった通知データと同一の接続方法を無線アクセスポイントへの接続方法として設定できるため、無線アクセスポイントと無線ステーションとを、無線通信時の受信レベルが高くなるように近づけておくだけで、他の無線アクセスポイントからの通知データに基づいて誤った接続方法が設定されることを防止できる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。
また、上述した無線アクセスポイントにおける通知返信手段は、態様7の無線LANシステムは、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成してもよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、この無線アクセスポイントにおいては、態様8の無線LANシステムは、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集する広告収集手段を備え、通知返信手段が、広告収集手段による広告データの収集後、こうして収集された広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データと同一の接続方法に基づいて広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成するとよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、接続方法を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、通知返信手段は、収集した広告データのうち、外部からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションへ通知データを送信するように構成すればよい。
また、この構成における「外部からの指令」を、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる所定の操作のこととした、態様11の無線LANシステムを構成することが考えられる。
態様9の無線LANシステムは、無線アクセスポイントにおいて、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データそれぞれの送信元である無線ステーションの中から、1以上の無線ステーションをユーザに選択させる第1ユーザ選択手段が備えられ、通知返信手段は、第1ユーザ選択手段によりユーザに選択させた無線ステーションへ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、ユーザにより任意に選択された無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、ユーザによる所定の操作を「外部の指令」とした、態様10の無線LANシステムを構成することも考えられる。
態様10の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、広告送信手段は、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信して、アクセスポイントにおいて、広告収集手段は、広告データをこの広告データに対応する識別データと共に収集するように構成され、さらに、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データそれぞれに対応する識別データの中から、1以上の識別データをユーザに選択させる第2ユーザ選択手段が備えられ、通知返信手段は、第2ユーザ選択手段によりユーザに選択させた識別データで識別される無線ステーションへ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、ユーザにより任意に選択された識別データで識別される無線ステーションのみに、通知データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、上述した態様8における「外部からの指令」を、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータとした、態様11の無線LANシステムを構成することが考えられる。
態様11の無線LANシステムは、無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、無線アクセスポイント自身とデータ通信可能に接続された通信端末からの指令を受けて、通知データを返信すべき無線ステーションを決定する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データのうち、通信端末からの指令に基づいて決定される広告データを送信してきた無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成において、通信端末との間で指令をやりとりするには、例えば、態様12の無線LANシステムが考えられる。
態様12の無線LANシステムにおいて、無線アクセスポイントは、広告収集手段と一覧送信手段とが備えられている。これらのうち、広告収集手段は、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データを所定期間にわたり収集し、こうして収集した広告データ、および、この広告データの送信元である無線ステーションの対応関係を記憶部へ記憶させる。また、一覧送信手段は、広告収集手段により対応関係が記憶された無線ステーションの一覧を要求する旨の要求データを、通信端末から受信した際に、一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信する。さらに、通知返信手段は、一覧送信手段により一覧データが通信端末へ送信され、その後、この通信端末側において一覧データで示される一覧の中から選択された1以上の無線ステーションを示す選択データを通信端末から受信した以降、この選択データで示される無線ステーションに対応する広告データと同一の接続方法で送信された広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成されている。一方、通信端末においては、要求送信手段,第3ユーザ選択手段および選択送信手段が備えられている。これらのうち、要求送信手段は、無線アクセスポイントに対して、要求データを送信する。また、第3ユーザ選択手段は、要求送信手段により要求データが前記無線アクセスポイントへ送信された後、この無線アクセスポイントから一覧データを受信した際に、この一覧データで示される一覧の中から1以上の無線ステーションをユーザに選択させる。そして、選択送信手段は、第3ユーザ選択手段によりユーザに選択させた1以上の無線ステーションを示す選択データを無線アクセスポイントへ送信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された対応関係に基づき通信端末側でユーザが任意に選択した無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、送信元である無線ステーションおよび接続方法の対応関係を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、一覧送信手段は、記憶させた対応関係で特定される無線ステーションの一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信するように構成すればよい。
また、上述した態様11の無線LANシステムにおいて、通信端末との間で指令をやりとりするには、態様13の無線LANシステムのような構成を考えることもできる。
態様13の無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、広告送信手段が、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信する。また、無線アクセスポイントは、広告収集手段および一覧送信手段が備えられている。これらのうち、広告収集手段は、あらかじめ設定されている接続方法に基づいて送信されてくる広告データをこの広告データに対応する識別データと共に所定期間にわたり収集し、こうして収集した広告データおよび識別データの対応関係を記憶部へ記憶させる。また、一覧送信手段は、広告収集手段により対応関係が記憶された識別データの一覧を要求する旨の要求データを、通信端末から受信した際に、一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信する。さらに、通知返信手段が、一覧送信手段により一覧データが通信端末へ送信され、その後、この通信端末側において一覧データで示される一覧の中から選択された1以上の識別データを示す選択データを通信端末から受信した以降、この選択データで示される識別データに対応する広告データと同一の接続方法で送信された広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する、ように構成されている。そして、通信端末においては、要求送信手段,第4ユーザ選択手段および選択送信手段が備えられている。これらのうち、要求送信手段は、無線アクセスポイントに対して要求データを送信する。また、第4ユーザ選択手段は、要求送信手段により要求データが無線アクセスポイントへ送信された後、この無線アクセスポイントから一覧データを受信した際に、この一覧データで示される一覧の中から1以上の識別データをユーザに選択させる。また、選択送信手段は、第4ユーザ選択手段によりユーザに選択させた1以上の無線ステーションを示す選択データを無線アクセスポイントへ送信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された対応関係に基づき通信端末側でユーザが任意に選択した識別データに対応する広告データと同一の接続方法で広告データを送信できる無線ステーションのみに、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、この構成における広告収集手段は、上述したのと同様、無線ステーション側から受信される広告データを所定期間にわたり収集する。ここで収集する広告データは、例えば、この広告データに対応する識別データおよび接続方法(または、広告データそのもの)の対応関係を特定できる状態でメモリ等に記憶させておけばよい。この場合、一覧送信手段は、記憶させた対応関係で特定される識別データの一覧を示す一覧データを通信端末側へ送信するように構成すればよい。
また、上述した各ユーザ選択手段は、ユーザに選択を行わせるための手段であって、例えば、表示部,印刷部,スピーカなどにより選択項目(無線ステーション,識別データ)と共に操作部で選択項目を選択すべき旨を通知し、この通知に基づいて操作部により選択させる、といった構成とすればよい。
また、態様14の無線LANシステムは、上述した無線アクセスポイントのうち、広告収集手段を備えているものを備えている。
態様14の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、広告送信手段が、無線ステーション自身を識別するための識別データを対応づけた状態で広告データを送信する。一方、無線アクセスポイントにおいて、広告収集手段が、広告データをこの広告データに対応する識別データと共に収集して、通知返信手段が、広告収集手段により収集された広告データと、この広告データに対応する識別データが同一の広告データを送信してきた無線ステーションにのみ通知データを返信する。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、広告収集手段により収集された広告データと同一の接続方法で広告データを受信しても、この広告データと共に送信される識別データが、先に広告データと共に収集された識別データと一致しなければ、通知データが送信されずに接続方法を設定させることがない。これにより、無線アクセスポイント側で収集された広告データを偽装して送信することにより不正に無線アクセスポイントへの無線接続を試みる無線ステーションを、無線アクセスポイントへ無線接続させてしまうことを防止できる。
なお、上述した広告収集手段を備えている構成においては、通知返信手段が、広告収集手段による広告データの収集が行われた後、こうして収集された広告データと同一の接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ通知データを返信する、態様15の無線LANシステムを構成することが望ましい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、通知データを、無線ステーションが広告データを送信してきたタイミング、つまり無線ステーション側においてデータの送受信が可能な状態となっているタイミングで送信することができる。これにより、無線アクセスポイントから送信された通知データを、確実に無線ステーション側にて受信させることができる。
ところで、以上説明した無線LANシステムにおいては、無線ステーションが無線アクセスポイントと無線接続されたとしても、無線アクセスポイントがデータ通信を暗号化して行うように設定されていると、通常は、無線ステーション側も同様に暗号化してデータ通信を行うように設定しなければ、正常にデータ通信を行うことができない。
そのため、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるようにするためには、無線アクセスポイントが、通知返信手段により通知データを返信した以降、無線アクセスポイント自身におけるデータ通信が第1暗号キーにより暗号化された状態で行われるように設定されている場合に、通知データが返信された無線ステーションとの間におけるデータ通信についてのみ、暗号化方法を切り替えて暗号化せずに行うようにする暗号切替手段を備える態様16の無線LANシステムとするとよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントがデータ通信を暗号化して行うように設定されていたとしても、無線ステーションに対し暗号化してデータ通信を行うように設定することなく正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができる。
また、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるようにするための別の構成として、態様17の無線LANシステムを考えることもできる。
態様17に記載の無線LANシステムは、アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、通知データを、無線アクセスポイント自身におけるデータ通信を暗号化するために使用される第1暗号キーとは異なる第2暗号キーを付加した状態で返信する、ように構成されている。さらに、通知返信手段により通知データが返信された以降、通知データが返信された無線ステーションとの間におけるデータ通信について、第2暗号キーにより暗号化した状態で行うように暗号化方法を切り替える暗号切替手段が備えられている。一方、無線ステーションにおいては、無線アクセスポイントから通知データを受信した以降、この無線アクセスポイントとのデータ通信を通知データに付加された第2暗号キーにより暗号化して行うように設定する暗号設定手段が備えられている。
このように構成すれば、無線アクセスポイントは、通知データを返信した無線ステーションに対して第2暗号キーにより暗号化したデータ通信を行うよう暗号化方法を切り替えるようになり、一方、通知データを受信した無線ステーションは、無線アクセスポイントとのデータ通信を第2暗号キーにより暗号化して行うように設定する。こうして、無線アクセスポイントと無線ステーションとの間では、第2暗号キーにより暗号化した状態で正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信についても、一定のセキュリティレベルを確保した状態で実現できる。
また、上述した態様16,17の構成については、無線アクセスポイントが暗号化してデータ通信を行うように設定されている場合でも、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができるが、両者間のデータ通信に対するセキュリティレベルについては充分に高いとは言えない。態様16の構成においては、暗号化自体がおこなわれないからであり、態様17の構成においては、第2暗号キーが無線アクセスポイントから無線ステーションへ送信される過程において漏洩する可能性があるからである。
そこで、両者間のデータ通信に対するセキュリティを高くするために、例えば、態様18の無線LANシステムとするとよい。
態様18の無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、公開鍵暗号方式により、無線アクセスポイントにデータ通信可能に接続された通信端末から無線アクセスポイントを介して第1暗号キーを取得する暗号取得手段と、暗号取得手段により第1暗号キーが通信端末から取得された際、無線アクセスポイントとの無線接続を解除し、第1暗号キーにより暗号化した状態で無線接続し直すことにより、無線アクセスポイントとのデータ通信を第1暗号キーにより暗号化した状態で行うように設定変更する暗号変更手段と、が備えられている。また、通信端末は、公開鍵暗号方式により無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しを、無線アクセスポイントを介して行う暗号受渡手段が備えられている。そして、無線アクセスポイントにおいて、暗号切替手段は、無線ステーションとの無線接続が解除された以降、暗号化方法の切り替えを行わない。
このように構成すれば、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を、通信端末から無線ステーションへ受け渡された第1暗号キーにより暗号化して行うことができるようになる。よって、無線アクセスポイントが他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信と同様のセキュリティレベルで、無線アクセスポイントと無線ステーションとのデータ通信を実現することができるようになる。
また、無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しは、公開鍵暗号方式により行われるため、この第1暗号キーが無線ステーションへ送信される過程において漏洩する可能性は当然に低くなる。
また、この構成においては、通信端末から無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しが行われる際、通信端末が第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであるか否かを確認できることが望ましい。そのためには、例えば、態様19の無線LANシステムを構成することが考えられる。
態様19の無線LANシステムにおける通信端末は、暗号受渡手段が、第1暗号キーの受け渡しを行う前に、公開鍵暗号方式により無線ステーションへの認証用メッセージの受け渡しを行うように構成され、さらに、暗号受渡手段により認証用メッセージの受け渡しが行われた以降、無線ステーション側で出力される認証用メッセージを確認したユーザによる確認操作を行わせるための確認操作手段が備えられ、暗号受渡手段が、確認操作手段により確認操作が行われた際に、第1暗号キーの受け渡しを行うように構成されている。また、無線ステーションは、暗号取得手段が、第1暗号キーに先立って公開鍵暗号方式により通信端末から受け渡しが行われる認証用メッセージを取得する、ように構成され、さらに、暗号取得手段により取得された認証用メッセージを出力するメッセージ出力手段が備えられ、暗号取得手段は、メッセージ出力手段により認証用メッセージが出力され、メッセージ出力手段により出力される認証用メッセージを確認したユーザによる通信端末への確認操作が行われた後に、通信端末から受け渡しが行われる第1暗号キーを取得する。
このように構成すれば、無線ステーションから認証用メッセージが出力されたか否かによって、この無線ステーションが通信端末から第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであることを確認できる。そして、無線ステーションから出力される認証用メッセージを確認した後、ユーザが通信端末で確認操作を行うことにより、通信端末から無線ステーションへの第1暗号キーの受け渡しを行うことができる。
なお、上述した「認証用メッセージ」とは、通信端末が第1暗号キーを受け渡すべき正しい無線ステーションであることを確認するためのメッセージであって、その内容を無線ステーション側で出力させてユーザに確認させるためのものである。
また、無線ステーションにおけるメッセージ出力手段は、上述の認証用メッセージを、例えば、表示部,印刷部,スピーカなどにより出力させる手段である。
以上説明したように、無線アクセスポイントは、通知返信手段による通知データの返信を実現して無線ステーションにおける接続方法の設定を行わせる、つまりサポートするように構成されているが、このサポートは、特定の状態のときにのみ行われるように構成するとよい。
具体的には、例えば、態様20の無線LANシステムは、無線アクセスポイント自身の動作モードを、通知返信手段による通知データの返信を実現して無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするサポートモード、および、通知返信手段による通知データの返信を実現せずに接続方法の設定をサポートしないノーマルモードのいずれか一方へ切り替え可能なモード切替手段が備えられていればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントの動作モードがサポートモードに切り替えられているときのみ、無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするため、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまうことを防止できる。このことは、無線アクセスポイントの動作モードをサポートモードに切り替えた状態で、無線ステーション側での広告データの送信を開始させれば、任意のタイミングで無線ステーションにおける接続方法を設定できることを示している。
また、この構成におけるモード切替手段が動作モードを切り替える際の契機については、特に限定されないが、例えば、態様21の無線LANシステムは、外部からの指令を受けた際に動作モードを切り替える、ように構成すればよい。
このように構成すれば、無線アクセスポイントの動作モードを、外部から明示的に切り替えることができる。
なお、この構成における「外部からの指令」とは、例えば、無線ステーションの備える操作部に対して行われたユーザによる特定の操作や、無線ステーションとデータ通信可能に接続された通信端末からのデータなどのことである。
また、この構成であれば、外部から明示的に指令する毎に、動作モードがサポートモードおよびノーマルモードに切り替わることになるが、ユーザが、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直すことを忘れてしまうと、上述したように、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまう恐れがある。
そこで、態様22の無線LANシステムは、モード切替手段を、動作モードをサポートモードへ切り替えた以降、所定の期間が経過した際に、動作モードをノーマルモードへ切り替え直す、ように構成するとよい。
このように構成すれば、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直すことを忘れてしまった場合であっても、所定期間が経過した際、自動的に動作モードをノーマルモードへ切り替え直すことができる。
ただ、このような構成であっても、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であれば、無線アクセスポイントが不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまう可能性がないとはいえない。
そこで、態様23の無線LANシステムは、モード切替手段を、動作モードをサポートモードへ切り替えた以降、返信通知手段により通知データが所定回数だけ返信された際に、動作モードをノーマルモードへ切り替え直す、ように構成するとよい。
このように構成すれば、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であっても、返信通知手段により通知データが所定回数だけ返信された際に、ノーマルモードへ切り替え直すことができる。つまり、所定回数と同じ数の無線ステーションに対してのみ、接続方法の設定をサポートすることができる。
これにより、接続方法を設定すべき無線ステーションの数に応じて上述の「所定回数」を設定しておけば、無線アクセスポイントが不用意かつ必要以上に無線ステーションにおける接続方法を設定させてしまうことを防止できる。
また、態様24の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、内容判定手段と非設定手段とが備えられている。これらのうち、内容判定手段は、無線アクセスポイントへの接続方法に関する設定内容が、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定を経て無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容であるか否かを判定する。また、非設定手段は、内容判定手段により接続方法を設定する必要がある設定内容でないと判定された場合に、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定が行われないようにする。
このように構成された無線LANシステムにおいて、無線ステーションは、無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容である場合のみ、無線アクセスポイントへの接続方法を設定することができる。
なお、この構成における非設定手段は、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定が行われないようにする手段であって、このように設定が行われないようにするための構成は特に限定されない。例えば、各手段いずれかの動作を停止させたり、無線アクセスポイントから受信されるデータを破棄するようにしたり、といった構成を採用すればよい。
また、態様25の無線LANシステムは、無線ステーションにおいて、無線アクセスポイントへの接続方法に関する設定内容が、方法切替手段による切り替え,広告送信手段による広告データの送信および方法設定手段による設定を経て無線アクセスポイントへの接続方法を設定する必要がある設定内容であるか否かを判定する内容判定手段が備えられている。さらに、広告送信手段は、広告データを内容判定手段による接続方法を設定する必要があるか否かの判定結果を特定可能な状態で送信するように構成されている。また、無線アクセスポイントにおいて、通知返信手段は、無線ステーションから受信した広告データが、接続方法を設定する必要がある旨を特定可能なデータである場合のみ、通知データを返信するように構成されている。
このように構成された無線LANシステムにおいて、無線アクセスポイントは、無線ステーションが接続方法を設定する必要がある設定内容である場合のみ、通知データを送信して接続方法を設定させることができる。
なお、これら構成における内容判定手段により判定される「接続方法を設定する必要がある設定内容」とは、例えば、接続方法に関する設定内容が初期状態(工場出荷状態)である場合や、無線接続に必要な設定内容の一部が含まれていない(登録されていない)状態である場合のことである。
また、態様26の通信端末は、態様1から25のいずれかの無線LANシステム内の無線ステーションとして機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、態様1から25のいずれかの無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、態様27の通信端末は、態様1から25のいずれかの無線LANシステム内の無線アクセスポイントとして機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、態様1から25のいずれかの無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、態様28の通信端末は、態様11から13,態様18,態様19およびこれら態様の構成を少なくとも備える無線LANシステム内の通信端末として機能する通信端末である。
このように構成された通信端末によれば、態様11から13,態様18,態様19およびこれら態様の構成を少なくとも備える無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、態様29の通信プログラムは、態様1から25のいずれかの無線LANシステム内の無線ステーションの備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、態様1から25のいずれかの無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、態様30の通信プログラムは、態様1から25のいずれかの無線LANシステム内の無線アクセスポイントの備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、態様1から25のいずれかの無線LANシステムの一部を構成することができる。
また、態様31の通信プログラムは、態様11から13,態様18,態様19およびこれら態様の構成を少なくとも備える無線LANシステム内の通信端末として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるための通信プログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、態様11から13,態様18,態様19およびこれら態様の構成を少なくとも備える無線LANシステムの一部を構成することができる。
なお、上述した各通信プログラムは、それぞれコンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、それぞれとしての機能をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。このプログラムは、例えば、FD、CD−ROM、メモリーカードなどの記録媒体、インターネットなどの通信回線網を介して、無線アクセスポイント,無線ステーションおよび通信端末(以降、「通信端末等」とする)、コンピュータシステム、または、これらを利用するユーザに提供されるものである。また、このプログラムを実行するコンピュータシステムとしては、例えば、通信端末等に内蔵されたコンピュータシステム、通信端末等に無線または有線の通信路を介してデータ通信可能に接続されたコンピュータシステムなどを利用することができる。
ネットワーク構成を示す図
第1実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
第1実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第1実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第2実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
データテーブルのデータ構造を示す図
第3実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第4実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第4実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第4実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート(その1)
一覧データで示される内容が表示された状態を示す図
第4実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート(その2)
第4実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態におけるアクセスポイントおよびプリンタ間のデータのやりとりを示すシーケンス図
第5実施形態における暗号キー取得処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における設定指令処理の処理手順を示すフローチャート
第5実施形態における暗号切替処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法確定処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
別の実施形態における接続方法指示処理の処理手順を示すフローチャート
以下に、本発明を実施するための最良の形態として、複数のネットワークデバイス(以降、単に「デバイス」とする)がLAN接続されてなる無線LANシステムを例示して説明する。
[第1実施形態]
無線LANシステムは、図1に示すように、アクセスポイント10、ネットワークプリンタ(以降、単に「プリンタ」とする)20などにより構成される。
アクセスポイント10は、ケーブル100を介して接続されたデバイス(または外部ネットワーク)、および、無線ステーションの間におけるデータ通信を中継する無線アクセスポイントであって、CPU11,ROM12,RAM13,ネットワークコントローラ14,無線LANコントローラ15,操作パネル16,表示パネル17などを備えている。
このアクセスポイント10の備えるCPU11は、ROM12に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM13に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってアクセスポイント10全体の動作を制御する。
また、ROM12は、アクセスポイント10自身が無線ステーションと通信する際に利用されるSSID(service set identifier、または、ESSID:extended SSID)、無線接続の方法(以降、「接続方法」とする)を示すパラメータなどを記憶するための各記憶領域を有する読み書き可能な不揮発性メモリである。なお、「接続方法」とは、第1〜第iの無線LAN規格(例えば、IEEE802.11a,IEEE802.11b,IEEE802.11gの3種類)のうちいずれかの無線LAN規格、および、この無線LAN規格において使用可能な複数のチャネルのうちいずれかのチャネルで規定されるものであり、無線アクセスポイントとして無線ステーションとの無線接続を実現するための方法を示すものである。
また、ネットワークコントローラ14は、ケーブル100を介して接続されたPC30など他のデバイス(または外部ネットワーク)との間におけるデータ通信を実現するためのインターフェースである。
また、無線LANコントローラ15は、無線LAN規格に従った通信をROM12に記憶された各パラメータに基づいて実現するためのインターフェースであり、「接続方法を示すパラメータ」で示される接続方法に従って無線ステーションとの接続(コネクション)を確立することにより無線アクセスポイントとしての通信機能を実現する。
このように構成されたアクセスポイント10では、ROM12に「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が記憶された以降、このSSIDと同一のSSIDを利用し、上述の接続方法に従ってアクセスしてきた無線ステーションに無線による通信を許可するようになる。
なお、このアクセスポイント10では、他のデバイスとの間で設定に関するデータを無線または有線にてやりとりして他のデバイス側から間接的な設定(リモートセットアップ)が行われたときに、「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が生成されROM12に記憶される。本実施形態においては、「接続方法を示すパラメータ」として、第1の無線LAN規格における第2チャネルで規定される接続方法を示すものがリモートセットアップを経てROM12に記憶(設定)されているものとする。
次に、プリンタ20は、無線ステーションとしての機能を有するデバイスであって、CPU21,ROM22,RAM23,無線LANコントローラ24,PCインターフェース部(PC I/F)25,操作パネル26,表示パネル27,プリントエンジン28などを備えている。
このプリンタ20の備えるCPU21は、ROM22に記録されている処理手順に従って、処理結果をRAM23に記録させながら、各構成要素に指令を送ることによってプリンタ20全体の動作を制御する。
また、ROM22は、プリンタ20が無線ステーションとして無線アクセスポイントと通信する際に利用されるSSID,接続方法を示すパラメータなどを記憶するための各記憶領域を有する読み書き可能な不揮発性メモリである。
また、無線LANコントローラ24は、無線LAN規格に従った通信をROM22に記憶された各パラメータに基づいて実現するためのインターフェースであり、上述したのと同様に「接続方法を示すパラメータ」で示される接続方法に従って無線アクセスポイントとの確立することにより無線ステーションとしての通信機能を実現する。
また、PCインターフェース部25は、プリンタ20を通信ケーブル経由で他のPCと接続するためのインターフェースであって、これにより、プリンタ20−PC間におけるデータ通信を可能な状態とすることができる。
このように構成されたプリンタ20では、ROM22に「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が記憶された以降、この接続方法に従った無線接続を経て、SSIDを利用したデータ通信が行えるようになる。なお、このプリンタ20では、後述する接続方法確定処理(図2)において、「SSID」および「接続方法を示すパラメータ」が生成されROM22に記憶(設定)される。○プリンタ20による接続方法確定処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される接続方法確定処理の処理手順について図2に基づいて説明する。この接続方法確定処理は、操作パネル16によって、電源の投入,再起動(リセット),初期化(プリンタ20の設定状態を工場出荷状態に戻して再起動する)などを行うための操作を受けた際に開始される。
まず、プリンタ20が工場出荷状態であるか否かをチェックする(s100)。この処理では、ROM22内に「接続方法を示すパラメータ」が記憶されていなければ、工場出荷状態であると判定する。
このs100の処理で、プリンタ20が工場出荷状態でなければ(s100:NO)、本接続方法確定処理を終了する一方、工場出荷状態であれば(s100:YES)、変数Mを初期化する(s110)。この処理では、変数Mに「1」をセット(1→M)する。なお、以降に記載の「m」は、変数Mにセットされた値を示すものとする。
次に、変数Nを初期化する(s120)。この処理では、変数Nに「1」をセット(1→N)する。なお、以降に記載の「n」は、変数Nにセットされた値を示すものとする。
次に、無線アクセスポイントへの無線接続の方法(以降、「接続方法」とする)を、第mの無線LAN規格における第nチャネルによる接続方法に切り替える(s130)。この処理では、第mの無線LAN規格における第nチャネルにより規定される接続方法により通信機能を実現する旨のパラメータを、RAM23における「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域へ記憶させ、接続方法をRAM23の記憶内容に従って制御する(ようにする)ことにより、無線LANコントローラ24によるアクセスポイント10への接続方法を切り替える。こうして、以降の処理(s301の処理)においてROM22の記憶内容に従って制御するように切り替えるまでは、RAM23の記憶内容に従って制御されるようになる。なお、「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域にパラメータが既に記憶されている場合には、新たなパラメータに書き替える。
次に、s130の処理で切り替えられた接続方法を周囲に広告(アドバタイズ)するための広告データを生成して送信する(s140)。この処理では、まず、「広告データ」として、ヘッダ情報において広告データである旨を示すサブタイプがセットされ、デバイス名やデバイスを識別するためのデバイスID(本実施形態においてはMACアドレス)などがデータ本体(ボディ)に格納されたフレームデータ(マネージメントフレーム)を生成する。そして、このフレームデータを第mの無線LAN規格における第nチャネルによる接続方法でブロードキャスト(宛先をブロードキャストアドレスとして送信)する(図3における「広告11〜広告3j」参照)。この広告データを受信したアクセスポイント10からは、後述する接続方法指示処理(図4)において、広告データ(で示される内容)が登録済みのものであれば、要求催促データが返信されてくる一方(図3における「要求催促」参照)、登録済みのものでなければ、広告データの登録が行われるだけで要求催促データは返信されてこない(図3における「広告12」参照)。なお、この「要求催促データ」とは、アクセスポイント10が、アクセスポイント10に対して無線接続の許可を要求(アソシエーション要求)する旨を催促するためのフレームデータであって、アクセスポイント10が無線ステーションとのデータ通信に利用するSSIDが格納されている。
次に、タイマーによるカウントをスタートさせる(s150)。この処理でスタートするタイマーは、上述した要求催促データが期限内に返信されるか否かをチェックするためのものである。
次に、広告データの送信に対してタイムアウト(つまり、時間切れ)となったか否かをチェックする(s160)。この処理では、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、250ms)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs160の処理でタイムアウトとなっていなければ(s160:NO)、アクセスポイント10側から要求催促データを受信したか否かをチェックし(s170)、受信していなければ(s170:NO)、s160の処理へ戻る。
この後、s160,s170の処理を繰り返し、s160の処理で広告データの送信に対してタイムアウトとなったら(s160:YES)、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s180)、変数Nに「1」を加算(n+1→N)する(s190)。
次に、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えたか否かをチェックする(s200)。各無線LAN規格では、それぞれに使用可能なチャネル数が定められているため、このs200の処理では、変数Nの値nが第mの無線LAN規格において使用可能なチャネル数jより大きな値(n<j)となっていれば、全てのチャネルによる広告データの送信を終えたと判定する。
このs200の処理で、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えていなければ(s200:NO)、s130の処理へ戻る。この後、s130からs200の処理を繰り返すことにより、第mの無線LAN規格における各チャネルによる広告データの送信が順番に行われる(図3における「広告11〜広告1j」参照)。
こうして、s130からs200の処理を繰り返した後、s200の処理で、第mの無線LAN規格における全てのチャネルによる広告データの送信を終えていれば(s200:YES)、変数Mに「1」を加算(m+1→M)する(s210)。
次に、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えたか否かをチェックする(s220)。この処理では、変数Mの値mが無線LANコントローラ24により通信を実現可能な無線LAN規格の数iより大きくなっていれば(i<m)、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えたと判定する。
このs220の処理で、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えていなければ(s220:NO)、s120の処理へ戻る。
この後、s120以降の処理で、次の無線LAN規格による広告データの送信が行われ(図3における「広告21〜広告2j」参照)、s120からs220の処理を繰り返すことにより、全ての無線LAN規格による広告データの送信が行われる(図3における「広告11〜広告ij」参照)。
こうして、s120からs220の処理を繰り返した後、s220の処理で、全ての無線LAN規格による広告データの送信を終えていれば(s220:YES)、s110の処理へ戻る。
そして、s120〜s220の処理を繰り返し行う間に、s170の処理で要求催促データを受信したら(s170:YES)、s150の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s230)、この要求催促データで特定されるSSIDを、無線アクセスポイントとのデータ通信に利用するSSIDとしてRAM23に記憶させる(s240)。この処理でSSIDが記憶された以降、プリンタ20は、このSSIDと同一のSSIDによる通信を確立可能な無線アクセスポイント(アクセスポイント10)との間でデータ通信を実現できる状態となる。
次に、アクセスポイント10に対し、無線接続の許可を要求するためのアソシエーション要求を送信する(s250)。この「アソシエーション要求」とは、アクセスポイント10に対して無線接続の許可を要求するためのフレームデータ(マネージメントフレーム)であり、このs250の処理では、s240の処理でRAM23に記録されたSSIDを格納して送信する(図3における「アソシエーション要求」参照)。なお、このアソシエーション要求は、ヘッダ情報においてプリンタ20のデバイスID(MACアドレス)がセットされている。このアソシエーション要求を受信したアクセスポイント10からは、アクセスポイント10への無線接続を許可する旨のフレームデータ(マネージメントフレーム)であるアソシエーション応答が送信されてくる(図3における「アソシエーション応答」参照)。
次に、タイマーによるカウントをスタートさせる(s260)。この処理でスタートするタイマーは、上述したアソシエーション応答が期限内に返信されてくるか否かをチェックするためのものである。
次に、アソシエーション要求の送信に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s270)。この処理では、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、250ms)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs270の処理でタイムアウトとなっていなければ(s270:NO)、アクセスポイント10側からアソシエーション応答を受信したか否かをチェックし(s280)、受信していなければ(s280:NO)、s270の処理へ戻る。
この後、s270,s280の処理を繰り返し、s270の処理でアソシエーション要求の送信に対してタイムアウトとなったら(s270:YES)、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s290)、s110の処理へ戻る。
一方、s280の処理でアソシエーション応答を受信したら(s280:YES)、s260の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットした後(s300)、s130の処理でRAM23における「接続方法を示すパラメータ」用の記憶領域に記憶されたパラメータおよびSSIDをROM22に記憶(コピー)させ、接続方法をROM22の記憶内容に従って制御した(するようにした)後(s301)、本接続方法確定処理を終了する。
こうして、本接続方法確定処理を終了した時点において、s130の処理による接続方法の切り替えが停止されることになり、これにより、停止された時点の接続方法(第mの無線LAN規格,第nのチャネル)が無線アクセスポイントへの接続方法として確定する(決定される)。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順を図4に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、操作パネル26により、アクセスポイント10の動作モードを、無線ステーションにおける接続方法の設定をサポートするサポートモードに切り替えるための指示操作(例えば、特定ボタンの押下)が行われた際に開始される。なお、このサポートモードは、本接続方法指示処理が実行されている最中のみの動作モードであり、本接続方法指示処理の終了と共に、アクセスポイント10の動作モードがサポートモードからノーマルモードへ切り替え直されることになる。
まず、タイマーによるカウントをスタートさせる(s310)。この処理でスタートするタイマーは、上述した指示操作が行われた後、プリンタ20から広告データが期限内に送信(図2におけるs140の処理)されてくるか否かをチェックするためのものである。つまり、ユーザは、アクセスポイント10により本接続方法指示処理を開始させてから、プリンタ20により上述した接続方法確定処理(図2)を開始させることで、プリンタ20に対してアクセスポイント10への接続方法を設定することになる(図3におけるアクセスポイント10に対する「指示操作」およびプリンタ20に対する「起動」参照)。
次に、本接続方法指示処理の開始に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s320)。この処理では、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、15s)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs320の処理でタイムアウトとなっていなければ(s320:NO)、プリンタ20側からデータを受信したか否かをチェックし(s330)、受信していなければ(s330:NO)、s320の処理へ戻る。なお、アクセスポイント10は、上述した「接続方法」がアクセスポイント10自身に対して設定されている(ROM12に記憶されたパラメータで示される)接続方法に従って送信されたものでなければ、正常なデータとして受信,認識できないため、このs330の処理では、アクセスポイント10自身に対して設定されている接続方法に従って送信されてきたデータ(本実施形態においては、図3における「広告12」)を受信したか否かをチェックしていることになる。
一方、s330の処理で、プリンタ20側からデータを受信したら(s330:YES)、受信したデータが広告データであるか否かをチェックする(s340)。この「広告データ」は、図2におけるs140の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs340の処理で、受信したデータが広告データであれば(s340:YES)、この広告データが登録済みのものであるか否かをチェックする(s350)。本接続方法指示処理では、以降の処理において、広告データで示されるデバイス名の登録が行われるため(図3における「登録」参照)、このs350の処理では、受信した広告データで示されるデバイス名が登録されていれば、登録済みのものであると判定する。なお、このs350の処理において登録済みのものであると判定される広告データは、本接続方法指示処理が開始した以降、2回目に受信される広告データとなる(図3における「広告12」参照)。
このs350の処理で、広告データが登録済みのものでなければ(s350:NO)、この広告データで示されるデバイス名およびデバイスIDを、RAM13における特定の記憶領域へ記憶することにより登録(例えば、データテーブルへ登録)する(s360)。
一方、s350の処理で、広告データが登録済みのものであれば(s350:YES)、この広告データの送信元であるプリンタ20に対し、アソシエーション要求の送信を要求するための要求催促データを返信する(s370)。この処理では、アソシエーション要求の送信を要求するためのフレームデータであって、ROM12に記憶されている「SSID」が格納された「要求催促データ」を生成してプリンタ20へ送信する(図3における「要求催促」参照)。この要求催促データは、プリンタ20が図2におけるs170の処理で受信するデータであり、プリンタ20は、この要求催促データを受信した以降、広告データではなくアソシエーション要求を送信してくる(図3における「アソシエーション要求」参照)。
こうして、s360またはs370の処理を終えた後、s320の処理へ戻る。
また、上述したs340の処理で、受信したデータが広告データでなければ(s340:NO)、アソシエーション要求であるか否かをチェックする(s380)。この「アソシエーション要求」は、図2におけるs250の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求であれば(s380:YES)、アクセスポイント10自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を、アソシエーション要求の送信元であるプリンタ20へ返信した後(s400)、s320の処理へ戻る。このアソシエーション応答は、プリンタ20が図2におけるs280の処理で受信するデータであり(図3における「アソシエーション応答」参照)、プリンタ20側では、このアソシエーション応答を受信した時点における接続方法が、アクセスポイント10に対する接続方法として設定される。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態において、アソシエーション要求,応答がやりとりされる前には、通常の無線接続を行う手順と同様、アクセスポイント10からの要求催促データがプリンタ20に受信されたら、オーセンティケーション要求,応答をやりとりするように構成されている(図3における「オーセンティケーション要求〜オーセンティケーション応答」参照)。ただ、第1実施形態においては、データ通信を暗号化していない構成となっているため、オープン認証(つまり暗号化しない)によるオーセンティケーション要求,応答のやりとりとなる。
一方、s380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求でなければ(s380:NO)、受信したデータに基づく処理(その他の処理)を行った後(s410)、s320の処理へ戻る。
こうして、s320からs410の処理を繰り返した後、s320の処理でタイムアウトとなっていれば(s320:YES)、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットして(s420)、本接続方法指示処理を終了する。こうして、接続方法指示処理の終了と共に、アクセスポイント10の動作モードがサポートモードからノーマルモードへ切り替え直される。
[第1実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムおいて、プリンタ20は、接続方法を順番に切り替えながら各々の接続方法に基づいて広告データを送信する(図3における「広告11」〜「広告3j」参照)。これら広告データは、広告データを送信した時点の接続方法に設定されているアクセスポイント10に受信され(図3における「広告12」参照)、このアクセスポイント10が、受信した広告データと同一の接続方法による無線接続が可能である旨を要求催促データの返信によりプリンタ20へ通知する(図3における「要求催促」参照)。そして、この返信を受けたプリンタ20は、要求催促で通知された接続方法、つまりアクセスポイント10において設定されている接続方法と同一の接続方法を設定する。こうして、プリンタ20がアクセスポイント10と同一の接続方法に設定されることにより、両者間で無線接続できる状態となる。
このようにして、プリンタ20においては、接続方法の切り替え、および、広告データの送信を経て、アクセスポイント10への接続方法が自動的に設定される。よって、無線LANの設定に対するユーザへの負荷を大幅に軽減することができる。
また、プリンタ20は、接続方法をタイマーによりカウントされる所定の時間毎に接続方法を順番に切り替えていき(図3におけるs110〜s220の処理)、要求催促データの返信を受けた以降に接続方法の切り替えを停止する。このように、順番に切り替えられている接続方法の切り替えを停止するだけで、こうして停止させた時点における接続方法、つまりアクセスポイント10において設定されている接続方法と同一の接続方法を設定することができる。
また、プリンタ20の起動により外部から明示的に指令することにより、プリンタ20に対する接続方法の設定(接続方法確定処理(図2)の実行)を行うことができる。
また、プリンタ20において接続方法が設定された際、プリンタ20およびアクセスポイント10間でアソシエーション要求,応答をやりとりすることにより、すぐに両者間の無線接続を実現することができる。
また、アクセスポイント10は、接続方法指示処理(図4)において、同じ接続方法で繰り返し2回広告データを送信してきた無線ステーション(プリンタ20)に対し、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図3における「要求催促」参照)。
また、アクセスポイント10の動作モードは、サポートモードへ切り替えられた以降、所定の期間が経過して接続方法指示処理(図4)が終了したときにノーマルモードへ切り替え直される。そのため、サポートモードに切り替えた状態からノーマルモードへ切り替え直す操作を行うことなく、自動的に動作モードをノーマルモードへ切り替え直すことができる。よって、アクセスポイント10が、サポートモードのままとなってしまうことにより、不用意に無線ステーションにおける接続方法を設定させることを防止できる。
また、プリンタ20は、工場出荷状態である場合のみ、アクセスポイント10への接続方法を設定することができる(図2におけるs100の処理)。
また、アクセスポイント10は、図4におけるs340〜s360の処理で広告データの収集(登録)を行った後、こうして収集した広告データと同一の接続方法に基づいて送信されてきた広告データを無線ステーションから受信した際に、この無線ステーションへ催促要求データを返信する(s370の処理)。そのため、アクセスポイント10は、要求催促データを、無線ステーションが広告データを送信してきたタイミング、つまり無線ステーション側においてデータの送受信が可能な状態となっているタイミングで送信することができる。これにより、アクセスポイント10から送信された要求催促データを、確実に無線ステーション側にて受信させることができる。
[第1実施形態に対して変形可能な構成]
この第1実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図3におけるs100の処理では、プリンタ20が工場出荷状態である場合に、s110以降の処理が行われるように構成されたものを例示した。しかし、工場出荷状態以外であっても、接続方法を設定する必要がある場合であれば、s110以降の処理が行われるように構成してもよい。具体的には、ROM12内に記憶されている「接続方法を示すパラメータ」のうち一部が不足している場合などである。
また、本実施形態においては、オーセンティケーション要求,応答をやりとりした後で、アソシエーション要求,応答をやりとりするように構成されたものを例示した。しかし、オーセンティケーション要求,応答のやりとりを行うことなく、アソシエーション要求,応答をやりとりのみを行うように構成することも可能である。
また、本実施形態において、アクセスポイント10は、あらかじめ設定されている接続方法でのみデータを受信でき、広告データを受信した時点で、この広告データにより広告された接続方法が、アクセスポイント10自身に設定された接続方法と同一であることを特定している。そのため、プリンタ20により送信される「広告データ」には、接続方法を示すパラメータ自体は含まれていない。しかし、このようなパラメータそのものが広告データに格納されていてもよい。
また、本実施形態においては、プリンタ20に対する接続方法の設定を、プリンタ20の起動により指令するように構成されたものを例示した。しかし、プリンタ20に対する接続方法の設定は、例えば、操作パネル26による特定の操作により指令できるように構成してもよい(図3における「指令」参照)。また、プリンタ20とデータ通信可能に接続された他の通信端末からのデータにより指令できるように構成してもよい。
また、本実施形態においては、アクセスポイント10の動作モードが指定操作により切り替わるように構成されたものを例示した。しかし、動作モードの切り替えは、例えば、アクセスポイント10とデータ通信可能に接続された他の通信端末からのデータにより指令できるように構成してもよい。
また、本実施形態において、アクセスポイント10は、接続方法指示処理で、タイムアウトとなるまで要求催促データを繰り返し返信するように構成されている(s370からs320の処理へ戻るため)。しかし、要求催促データを返信した後には、接続方法指示処理を終了する(具体的には、s420の処理へ移行する)ように構成してもよい。この場合、動作モードをサポートモードへ切り替えてから所定の期間内であっても、要求催促データが1回返信された際に、ノーマルモードへ切り替え直すことができる。つまり、要求催促データの送信回数「1」と同じ数の無線ステーションに対してのみ、接続方法の設定をサポートすることができるようになる。なお、この構成においては、要求催促データを返信した際に、その返信回数をカウントしておき、所定の回数になったときのみ、s420の処理へ移行するように構成してもよい。この場合、1つの無線ステーションから広告データを受信したらすぐに要求催促データを返信した後でノーマルモードへ切り替え直すようにし、広告データの登録は行わないようにしてもよい。
また、上記実施形態において、プリンタ20は、接続方法確定処理が開始した際、工場出荷状態であるか否かのチェックを経てから(図2におけるs100の処理参照)、s110以降の処理が行われるように構成されているが、この工場出荷状態であるか否かのチェックは、接続方法確定処理を開始した直後でなくてもよい。例えば、s240の処理とs250の処理との間としてもよい。
また、上記実施形態においては、「広告データ」および「要求催促データ」として専用のフレームデータを採用したものを例示した。しかし、この「広告データ」および「要求催促データ」としては、無線LAN規格において規定された周知のデータを採用してもよい。ここで、採用するデータとしては、例えば、プローブ要求,応答が考えられる。ただ、このようにプローブ要求,応答を採用する場合、プリンタ20は、アクセスポイント10を除く他の無線アクセスポイントからのプローブ応答に反応して無差別に無線接続してしまい、アクセスポイント10との無線接続を実現することが困難になる恐れがある。また、このことは、ネットワークのセキュリティを確保する観点から望ましいことではない。そこで、アクセスポイント10を、「広告データ」として送信されてきたプローブ要求を受信した際に、プリンタ20の設定を行う旨を明示的に示したパラメータを含むプローブ応答を「要求催促データ」として送信するように構成すると共に、プリンタ20を、設定を行う旨を明示的に示したパラメータを含むプローブ応答を「要求催促データ」として受信した場合にのみ設定を行うように構成することが望ましい。
[第2実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第1実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、アクセスポイント10における一部の処理内容が異なっているだけであるため、この相違点についてのみ詳述する。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図5に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第1実施形態における接続方法指示処理(図4)のうち、s350以降の処理内容が以下に示すような手順で行われるものである。なお、第1実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s350の処理で、広告データが登録済みのものでなければ(s350:NO)、この広告データで示されるパラメータを、RAM13における特定の記憶領域へ記憶することにより登録(例えば、データテーブルへ登録)する(s352)。この処理は、図4におけるs360の処理と同様の処理であるが、デバイス名およびデバイスIDだけでなく、s330の処理で広告データを受信したときの受信レベル(電波強度)が対応づけられた状態で登録される。なお、要求催促データで示されるパラメータを登録したデータテーブルの例を図6に示す。
このs352の処理を終えた後、または、s350の処理で広告データが登録済みのものであれば(s350:YES)、s320の処理へ戻る。
なお、s340の処理が行われる時点では、要求催促データを送信することがなく、アソシエーション要求が送信されてくることはないため、s340の処理で受信したデータが広告データでない場合(s340:NO)は、「その他の処理」を行った後(s410)、s320の処理へ戻る。
この後、s320〜s410の処理を繰り返した後、s320の処理でタイムアウトとなっていれば(s320:YES)、s310の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットする(s420)。
次に、s352の処理を経てパラメータの登録が行われたか否かをチェックする(s510)。この処理では、RAM13における特定の記憶領域へs352の処理によるデータが記憶されていれば、s352の処理によるパラメータの登録が行われたと判定する。
このs510の処理で、パラメータの登録が行われていなければ(s510:NO)、本接続方法指示処理を終了する一方、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、タイマーをスタートさせる(s520)。この処理でスタートするタイマーは、広告データの登録が行われた後、再度プリンタ20から広告データが期限内に送信されてくるか否かをチェックするためのものである。
次に、広告データの登録に対してタイムアウトとなったか否かをチェックする(s530)。この処理では、s520の処理でカウントをスタートしたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、15s)に到達していれば、タイムアウトであると判定する。
このs530の処理でタイムアウトとなっていなければ(s530:NO)、プリンタ20側からデータを受信したか否かをチェックし(s540)、受信していなければ(s540:NO)、s530の処理へ戻る。
一方、s540の処理で、プリンタ20側からデータを受信したら(s540:YES)、受信したデータが広告データであるか否かをチェックする(s550)。この処理は、図4におけるs340の処理と同様の処理である。
このs550の処理で、受信したデータが広告データであれば(s550:YES)、この広告データが登録済みのものであるか否かをチェックする(s560)。この処理は、図4におけるs350の処理と同様の処理である。
このs560の処理で、受信した広告データが登録済みのものでなければ(s560:NO)、s530の処理へ戻る。
一方、s560の処理で、受信した広告データが登録済みのものであれば(s560:YES)、この広告データについて登録されたパラメータにおける受信レベルが、全てのパラメータの中で最大の受信レベルであるか否かをチェックする(s570)。
この処理で、最大の受信レベルでなければ(s570:NO)、s530の処理へ戻る一方、最大の受信レベルであれば(s570:YES)、要求催促データを返信した後(s370)、s530の処理へ戻る。
また、上述したs550の処理で、受信したデータが広告データでなければ(s550:NO)、アソシエーション要求であるか否かをチェックする(s380)。
このs380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求であれば(s380:YES)、アクセスポイント10自身への無線接続を許可する旨のアソシエーション応答を、アソシエーション要求の送信元であるプリンタ20へ返信した後(s400)、s530の処理へ戻る。
一方、s380の処理で、受信したデータがアソシエーション要求でなければ(s380:NO)、s410の処理と同様に、受信したデータに基づく処理(その他の処理)を行った後(s580)、s530の処理へ戻る。
こうして、s530以降の処理を繰り返した後、s530の処理でタイムアウトとなっていれば(s530:YES)、s520の処理でカウントをスタートしたタイマーをストップおよびリセットして(s590)、本接続方法指示処理を終了する。
[第2実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第1実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、受信レベルが最も大きい広告データを送信してきた無線ステーションに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図5におけるs570,s370の処理)。
[第2実施形態に対して変形可能な構成]
この第2実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、s570の処理では、受信した広告データについて登録されたパラメータにおける受信レベルが、全てのパラメータの中で最大の受信レベルであるか否かをチェックするように構成されたものを例示した。しかし、このs570の処理では、受信した広告データについて登録されたパラメータにおけるデバイスIDが、s540の処理で広告データを受信した時点におけるデバイスIDと一致するか否かをチェックするように構成してもよい。この場合、アクセスポイント10は、登録済みの広告データと同一の広告データを受信しても、この広告データで特定されるデバイスIDが、先に広告データを登録したときのデバイスIDと一致しなければ、要求催促データを送信せずに接続方法を設定させることがない。これにより、アクセスポイント10側で登録された広告データを偽装して送信することにより不正にアクセスポイント10への無線接続を試みる無線ステーションを、アクセスポイント10へ無線接続させてしまうことを防止できる。
[第3実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第2実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、アクセスポイント10における一部の処理内容が異なっているだけであるため、この相違点についてのみ詳述する。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図7に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第2実施形態における接続方法指示処理(図5)のうち、s510の処理が行われた後、後述するs512,s514の処理が行われ、また、s570の処理の代わりに後述するs562の処理が行われるように構成されたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。
まず、s510の処理で、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、広告データ毎に登録されたパラメータで示されるデバイス名それぞれをユーザに通知する(s512)。この処理では、登録済みのパラメータで示されるデバイス名の一覧を表示パネル17に表示させることにより通知を行う。この一覧が表示パネル17に表示された後、ユーザは、一覧から1以上のデバイス名を選択するための選択操作を操作パネル16により行うことができる。
次に、ユーザにより選択操作が行われるまで待機する(s514:NO)。
このs514の処理で選択操作が行われたら(s514:YES)、s520の処理へ移行する。なお、このとき選択操作により選択されたデバイス名が示されるパラメータに対しては、選択操作により選択された旨を示す選択フラグがセットされる(初期値「0」から「1」をセットした状態とする)。
そして、s560の処理で、受信した広告データが登録済みのものであれば(s560:YES)、s570の処理の代わりに、この広告データについて登録されたパラメータが、選択フラグのセットされたものであるか否かをチェックする(s562)。
このs562の処理で、選択フラグのセットされたものであれば(s562:YES)、s370の処理へ移行する一方、選択フラグのセットされたものでなければ(s562:NO)、s530の処理へ戻る。
[第3実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第2実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、ユーザにより任意に選択されたデバイス名の無線ステーション(例えば、プリンタ20)のみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる(図7におけるs512,s514,s562の処理参照)。
[第3実施形態に対して変形可能な構成]
この第3実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図7におけるs512,s514の処理では、デバイス名に基づきユーザに選択操作を行わせるように構成されたものを例示した。しかし、これらの処理においては、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。この場合、ユーザにより任意に選択されたデバイスIDの無線ステーションのみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる。
[第4実施形態]
本実施形態の無線LANシステムは、第3実施形態における無線LANシステムと同様の構成であり、第3実施形態では、アクセスポイント10により行われるデバイス名の通知および選択操作(図7におけるs512,s514の処理)を、アクセスポイント10とケーブル100を介してデータ通信可能に接続された周知のパーソナルコンピュータ(以降、「PC」とする)30側で行うことができるように構成したものである。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図8に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第3実施形態における接続方法指示処理(図7)のうち、s512,s514の処理の代わりに後述するs516,s518の処理が行われるように構成されたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。なお、本接続方法指示処理は、PC30側からの開始指令データを受信した以降に開始される(図9における「開始指令」参照)。
まず、s510の処理で、パラメータの登録が行われていれば(s510:YES)、登録されたパラメータで示されるデバイス名の一覧を示す一覧データを生成しPC30(上述の開始指令データの送信元であるデバイス)へ送信する(s516)。この一覧データを受信したPC30では(図9における「一覧データ」参照)、一覧データで示される一覧がディスプレイに表示されることにより、各デバイス名の通知が行われ、この後、ユーザが、各デバイス名から1以上のデバイス名を選択するための選択操作を行うと、選択したデバイス名を特定可能な選択データが送信されてくる(図9における「選択データ」参照)。
このs516の処理で一覧データを送信した後、PC30側から選択データを受信するまで待機し(s518:NO)、選択データを受信したら(s518:YES)、s520の処理へ移行する。なお、この後に行われるs370の処理では、s518の処理で受信された選択データに基づき、この選択データで特定されるデバイス名に対応するパラメータ(SSIDおよび接続方法)に基づき、無線ステーションに要求催促データを送信する。○PC30による設定指令処理
以下に、PC30により実行される設定指令処理の処理手順について図10に基づいて説明する。この設定指令処理は、PC30に組み込まれているプログラムに従って実行される処理である。
まず、開始指令データをアクセスポイント10へ送信する(s610)。この開始指令データを受信したアクセスポイント10は、上述の接続方法指示処理(図8)を開始し(図9における「開始指令」参照)、所定時間が経過した後、上述した一覧データを送信してくる。
次に、アクセスポイント10から一覧データを受信するまで待機する(s620:NO)。
このs620の処理で一覧データを受信したら(s620:YES)、この一覧データで示される内容をディスプレイに表示させる(s630)。こうして一覧データで示されるデバイス名の一覧が表示された後(図11参照)、ユーザは、キーボードまたはマウスなどにより、1以上のデバイス名を選択する選択操作を行うことができる。
そして、選択操作が行われるまで待機し(s640:NO)、選択操作が行われたら(s640:YES)、この選択操作により選択されたデバイス名を特定可能な選択データを生成してアクセスポイント10へ送信する(s650)。
[第4実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、第3実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、登録されたデバイス名のうち、PC30から受信した選択データで示されるデバイス名、つまりPC30においてユーザが任意に選択したデバイス名の無線ステーション(例えば、プリンタ20)のみに、要求催促データを送信して接続方法を設定させることができる(図8におけるs516,s518,s562の処理参照)。
[第4実施形態に対して変形可能な構成]
この第4実施形態においては、以下に示すように、一部構成を別の構成に変形した状態で実施することもできる。なお、以下に示す構成は、他の実施形態における同様の構成に対しても適用できる。
例えば、図8におけるs516,s518の処理では、デバイス名の一覧を示す一覧データを生成するように構成されたものを例示した。しかし、これらの処理においては、s516の処理でデバイスIDの一覧を示す一覧データを生成して送信するようにすることによって、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。この場合、PC30側でユーザにより任意に選択されたデバイスIDの無線ステーションのみに、要求催促データを返信して接続方法を設定させることができる。
また、本実施形態では、アクセスポイント10が、パラメータを一定時間にわたり登録(収集)した後で、このパラメータに基づいて生成した一覧データを送信するように構成されたものを例示した。しかし、一覧データは、PC30側から送信の要求を受けたタイミングで生成して送信するように構成してもよい(図9における「一覧要求」参照)。このためには、例えば、図10におけるs610の処理とs620の処理との間に、一覧データを要求するための操作を待つステップ(s612)と、この操作を受けて一覧データの送信を要求するステップ(s614)を設けると共に(図12参照)、図8におけるs510の処理とs516の処理との間に、PC30側からの要求を待つステップ(s515)を設ける(図13参照)、といった構成とすればよい。さらに、この構成においても、上述したのと同様に、デバイス名の代わりにデバイスIDに基づいて選択操作を行わせるように構成してもよい。
また、本実施形態において、アクセスポイント10が無線ステーション(プリンタ20)へ要求催促データを送信した以降に、無線ステーション側において接続方法が設定された(または設定される)旨をPC30側に通知するように構成してもよい。このためには、例えば、図8におけるs400の処理の後に、設定された旨を通知するための設定通知データをPC30へ送信するステップ(s402)を設けると共に(図13参照)、図10におけるs650の処理の後に、設定通知データが送信されてくるのを待つステップ(s652)と、設定通知データを受信した際に無線ステーション側において接続方法が設定された旨を通知するステップ(s654)を設ける(図12参照)、といった構成とすればよい。
[第5実施形態]
以上説明した各実施形態においては、プリンタ20がアクセスポイント10と無線接続されたとしても、アクセスポイント10がデータ通信を暗号化して行うように設定されていると、通常は、プリンタ20側も同様に暗号化してデータ通信を行うように設定しなければ、正常にデータ通信を行うことはできない。そこで、本実施形態の無線LANシステムは、第5実施形態の無線LANシステムを、ユーザにより操作を行わせることなく正常にデータ通信を行うことができるように構成したものである。
まず、アクセスポイント10は、ROM12に「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。ここで「セキュリティに関するパラメータ」としては、例えば、通信を暗号化した状態で行うための暗号キー(本実施形態においては、WEPキー;Wired Equivalent Privacy)がある。アクセスポイント10(CPU11)は、暗号キーが記憶されていれば、無線ステーションとの間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行う。なお、この暗号キーは、上述したのと同様に、リモートセットアップを経て生成されてROM12に記憶されるものである。
また、プリンタ20は、ROM22に「セキュリティに関するパラメータ」が記憶されていれば、このパラメータに基づくセキュリティ対策を施した状態で通信を行うようになる。ここで「セキュリティに関するパラメータ」としては、上述したのと同様に、暗号キーがある。プリンタ20(CPU21)は、暗号キーが記憶されていれば、無線アクセスポイントとの間における通信を暗号キーにより暗号化した状態で行う。○アクセスポイント10による接続方法指示処理
以下に、アクセスポイント10の備えるCPU11により実行される接続方法指示処理の処理手順について図14に基づいて説明する。この接続方法指示処理は、第4実施形態における接続方法指示処理(図8)のうち、s370の処理の後に後述するs372の処理が設けられ、s590の処理の後に、s592,s594,s596の処理が設けられたものであるため、これらの処理についてのみ詳述する。
まず、本実施形態において、s370の処理では、ROM12に記憶された通常の暗号キーとは異なる暗号キー(以降、「仮暗号キー」とする)をランダムに生成し、この仮暗号キーを付加した状態で送信する。
このs370の処理で要求催促データを送信した後、s530の処理へ戻る前に、要求催促データを送信した無線ステーションのデバイス名およびデバイスIDを、s370の処理で要求催促データに付加した仮暗号キーに対応づけた状態で催促リストへ登録する(s372)。この「催促リスト」は、RAM13に生成された上でデータの登録が行われるデータテーブルである。
また、s590の処理を終えた後、s372の処理で催促リストに登録された無線ステーションのうちいずれかとの無線接続が解除されるまで待機し(s592:NO)、無線接続が解除されたら(s592:YES)、無線接続が解除された無線ステーションに対する登録内容を催促リストから削除する(s594)。
このs594の処理を終えた後、催促リストに登録内容が残っているか否かをチェックし(s596)、残っていれば(s596:YES)、s592の処理へ戻る。そして、催促リストの登録内容がなくなるまで繰り返し、s596の処理で登録内容が残っていなければ(s596:NO)、本接続方法指示処理を終了する。○プリンタ20による接続方法確定処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される接続方法確定処理の処理手順について図15に基づいて説明する。この接続方法確定処理は、他の実施形態における接続方法確定処理(図5)のうち、s301の処理が行われた後に、以下に示すような処理が行われるように構成されたものである。なお、他の実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s170の処理で要求催促データを受信した後、s174の処理において、要求催促データで特定されるSSIDをROM22に記憶させると共に、仮暗号キーをRAM23における「セキュリティに関するパラメータ」用の記憶領域に記憶させる。その後、s224の処理で接続方法を切り替えることにより、無線アクセスポイント(アクセスポイント10)とのデータ通信を、「セキュリティに関するパラメータ」用の記憶領域に記憶させた仮暗号キーで暗号化した状態で行う。
また、s301の処理を終えた後、アクセスポイント10の暗号キーを取得する(s700)。この処理は、PC30から公開鍵暗号方式によりアクセスポイント10の暗号キーを取得する(図16における「暗号キー(乱数で暗号化)」参照)ための処理であって、詳細な処理手順は後述する暗号キー取得処理(図17)において説明する。
このs700の処理で暗号キーを取得できていれば(s302:YES)、この暗号キーをROM22に記憶させる(s304)。この処理では、ROM22への暗号キーの記憶と共に、RAM23からの仮暗号キーの削除も行う。
次に、アクセスポイント10との無線接続を解除する(s306)。ここでは、アクセスポイント10へオーセンティケーション解除を送信することにより(図16における「オーセンティケーション解除」参照)、アクセスポイント10との無線接続を解除する。
そして、アクセスポイント10との無線接続を再度確立する(s308)。この処理では、上述したのと同様に、オーセンティケーション要求,応答をアクセスポイント10との間でやりとりすることにより無線接続を確立する。この処理で無線接続が確立された以降は、s304の処理で記憶された暗号キーにより暗号化した状態でデータ通信を行う。
こうして、s308の処理を終えた後、または、s302の処理で暗号キーを取得できていなければ(s302:NO)、本接続方法確定処理を終了する。○プリンタ20による暗号キー取得処理
以下に、プリンタ20の備えるCPU21により実行される暗号キー取得処理の処理手順を図17に基づいて説明する。この暗号キー取得処理は、図15におけるs700の処理の詳細な処理手順である。
まず、公開鍵暗号方式にて用いられる公開鍵および秘密鍵のペアを生成する(s710)。
次に、s710の処理で生成された公開鍵をPC30へ送信する(s720)。この処理では、あらかじめ設定されたデバイスであるPC30へ向けて公開鍵のデータが送信される。この公開鍵を受信したPC30では、この公開鍵でランダムに生成された乱数を暗号化して返信してきた後、更に、この乱数で暗号化した所定のメッセージ画像を示す印刷データを送信してくる。
次に、PC30から暗号化された乱数を受信する(s730)。
次に、PC30から暗号化された印刷データを受信する(s740)。
次に、s740の処理で受信した印刷データで示されるメッセージ画像を、s710の処理で生成した秘密鍵で復号した後、プリントエンジン28により印刷させる(s750)。この処理で印刷されるメッセージ画像は、s730の処理で受信した乱数が確かにプリンタ20へ送信されたことをユーザに確認させるためのメッセージを含むものであり、この旨を確認したユーザは、PC30により後述する確認操作を行うことになる(後述の設定指令処理(図18)参照)。そして、この確認操作のあと、PC30からs730の処理で暗号化された暗号キーが送信されてくる。
次に、タイマーをスタートさせる(s760)。
次に、PC30から暗号キーを受信した否かをチェックする(s770)。
このs770の処理で暗号キーを受信したら(s770:YES)、s760の処理でスタートさせたタイマーをストップおよびリセットした後(s780)、本暗号キー取得処理を終了する。
一方、s770の処理で暗号キーを受信していなければ(s770:NO)、タイムアウトとなっているか否かをチェックする(s790)。この処理では、s760の処理でスタートさせたタイマーのカウント値が所定の値(本実施形態においては、30s)に到達していれば、タイムアウトになっていると判定する。
このs790の処理でタイムアウトになっていなければ(s790:NO)、s770の処理へ戻る一方、タイムアウトとなっていれば(s790:YES)、s780の処理へ移行することにより、暗号キーを取得することなく本暗号キー取得処理を終了する。○PC30による設定指令処理
以下に、PC30により実行される設定指令処理の処理手順について図18に基づいて説明する。この設定指令処理は、PC30に組み込まれているプログラムに従って実行される処理である。この設定指令処理は、他の実施形態における設定指令処理(図10)のうち、s650の処理が行われた後に、以下に示すような処理が行われるように構成されたものである。なお、第5実施形態と同一の処理については同一のステップ番号を付し、詳細な説明を省略するものとする。
まず、s650の処理が行われた後、プリンタ20から公開鍵を受信するまで待機する(s810:NO)。この公開鍵は、図17におけるs720の処理でプリンタ20が送信してくるデータである。
このs810の処理で公開鍵を受信したら(s810:YES)、この公開鍵でランダムに生成した乱数を暗号化して返信する(s820)。この暗号化した乱数は、図17におけるs730の処理でプリンタ20が受信するデータである。
次に、s810の処理で受信した公開鍵でメッセージ画像を示す印刷データを暗号化して送信する(s830)。この暗号化した印刷データは、図17におけるs740の処理でプリンタ20が受信するデータである。この印刷データを受信したプリンタ20では、上述したようにメッセージ画像が印刷され、このメッセージ画像が印刷された後、ユーザが、PC30に対して確認操作を行うことになる。なお、この確認操作とは、特定のキー,ボタンを押下することや、複数のボタン,キーを特定の手順で押下する、といった操作のことである。
次に、確認操作が行われるまで待機する(s840:NO)。
このs840の処理で確認操作が行われたら(s840:YES)、s820の処理で生成した乱数で暗号キーを暗号化して送信する(s850)。この暗号化した暗号キーは、図17におけるs770の処理でプリンタ20が受信するデータである。なお、この暗号キーは、あらかじめメモリ等に記憶されたものである。
こうして、s850の処理を終えた後、本設定指令処理を終了する。○アクセスポイント10による暗号切替処理
アクセスポイント10は、起動した以降、無線ステーションとの間におけるデータ通信(データの送受信)を行うタイミングになった際に、暗号切替処理を行うように構成されており、以下に、この暗号切替処理の処理手順を図19に基づいて説明する。
まず、データ通信すべき無線ステーションが、RAM12における催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションであるか否かをチェックする(s910)。
このs910の処理で、催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションであれば(s910:YES)、このデバイス名またはデバイスIDに対応する仮暗号キーにより暗号化して状態でデータ通信を行う(s920)。
一方、s910の処理で、催促テーブルに登録されたデバイス名またはデバイスIDの無線ステーションでなければ(s910:NO)、暗号キーにより暗号化した通常のデータ通信を行う(s930)。
こうして、s920またはs930の処理を終えた後、本暗号切替処理を終了する。
[第5実施形態の効果]
このように構成された無線LANシステムにおいては、上述した各実施形態と同様の構成により得られる作用・効果の他に、以下に示すような作用・効果を得ることができる。
アクセスポイント10は、要求催促データを返信した無線ステーションに対して仮暗号キーにより暗号化したデータ通信を行うよう暗号化方法を切り替えるようになり(図19におけるs910の処理参照)、一方、要求催促データを受信したプリンタ20は、アクセスポイント10とのデータ通信を仮暗号キーにより暗号化して行うように設定される(図15におけるs224の処理参照)。こうして、アクセスポイント10とプリンタ20との間では、仮暗号キーにより暗号化した状態で正常にデータ通信を行うことができるようになる。これにより、アクセスポイント10が外部ネットワークとの間で行うデータ通信についてのセキュリティレベルを維持したまま、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信についても、一定のセキュリティレベルを確保した状態で実現できる。
続いて、プリンタ20は、暗号キー取得処理(図17)により暗号キーを取得できた場合、アクセスポイント10への無線接続をやり直すことにより、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信を、PC30からプリンタ20へ受け渡された暗号キーにより暗号化して行うようになる(図15におけるs306,s308の処理参照)。このとき、アクセスポイント10では、無線接続が解除された無線ステーションに該当するパラメータついては催促リストから削除されるため(図14におけるs594の処理参照)、以降、プリンタ20とのデータ通信は暗号キーにより暗号化して行うように戻されることになる。よって、アクセスポイント10が他の無線ステーションまたは外部ネットワークとの間で行うデータ通信と同様のセキュリティレベルで、アクセスポイント10とプリンタ20とのデータ通信を実現することができるようになる。
また、PC30からプリンタ20への暗号キーの受け渡しは、公開鍵暗号方式により行われるため、この暗号キーがプリンタ20へ送信される過程において漏洩する可能性は当然に低くなる。
また、プリンタ20は、PC30から暗号キーの前に受け渡された印刷データで示されるメッセージ画像を印刷する(図17におけるs750の処理参照)。そのため、ユーザは、プリンタ20からメッセージ画像が印刷されたか否かによって、このプリンタ20がPC30から暗号キーを受け渡されるべき正しい無線ステーションであることを確認できる。そして、このメッセージ画像を確認した後、ユーザがPC30で確認操作を行うことにより(図18におけるs840の処理参照)、PC30からプリンタ20への暗号キーの受け渡しを行うことができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、本発明の無線ステーションとしてプリンタ20を適用したものを例示した。しかし、本発明の無線ステーションとしては、無線ステーションとして機能するデバイスであれば、プリンタ20以外のデバイスに適用することもできる。
また、上記実施形態においては、PC30がケーブル100を介してアクセスポイント10と接続されている構成を例示したが、このPC30が無線ステーションとしての機能を有している場合には、無線接続されている構成としてもよい。
また、上述の各実施形態では、プリンタ20側で工場出荷状態と判定された場合には、広告データの送信を含めた全ての処理が行われないように構成されたものを例示した(図2,図15におけるs100の処理参照)。しかし、プリンタ20側では、広告データをプリンタ20自身が工場出荷状態か否か判定可能な状態で送信し、アクセスポイント10側において、広告データに対する登録または要求催促データの返信を行わないようにしてもよい。
このために、プリンタ20側では、例えば、図20に示すように、s100の処理をs130の処理の後に設け、このs100の処理で「YES」と判定された場合は、工場出荷状態である旨を示す「Unconfigure device」フラグをセット(「1」をセット)した広告データを送信する一方(s142)、「NO」と判定された場合には、「Unconfiguredevice」フラグをセットすることなく(「0」をセット)広告データを送信した後(s144)、s150の処理へ移行するように構成するとよい。
また、アクセスポイント10側では、図4,図5,図7,図8,図13,図14において、以下に示すような処理を設けるとよい。例えば、図21に示すように、s340の処理の後、受信した広告データの「Unconfigure device」フラグをチェックした結果、無線ステーション(プリンタ20)が工場出荷状態であれば(s342:YES)、s350の処理へ移行する一方、工場出荷状態でなければ(s342:NO)、s320の処理へ戻る。または、図22に示すように、s550の処理の後、受信した広告データの「Unconfigure device」フラグをチェックした結果、無線ステーションが工場出荷状態であれば(s552:YES)、s560の処理へ移行する一方、工場出荷状態でなければ(s552:NO)、s530の処理へ戻る。
このように構成すると、アクセスポイント10は、無線ステーションが工場出荷状態の場合のみ、広告データに基づく登録および要求催促データの送信を行い、接続方法を設定させることができる。
また、本実施形態においては、プリンタ20が接続方法を切り替える順番が、第1の無線LAN規格における第1チャネルから番号順となっているものを例示した。しかし、この順番については特に限定されず、例えば、同一の無線LAN規格における順番について電波の干渉が起こらないような順番としてもよい。
具体的な例としては、複数のチャネルを複数のグループ(例えば、周波数帯域を二分した高周波側と低周波側の2グループ)に分け、あるグループにおける第jチャネル(jは任意の数)の後は他のグループにおける第jチャネルに切り替えるといったことを、各グループにおける全チャネルにて順番に行うように構成するとよい。この場合、周波数帯が近い同じグループにおけるチャネルへ連続して切り替えられることがないため、電波の干渉を抑えることができる。
同様に、複数のチャネルを、第1チャネルから所定のチャネル数k(例えば、5チャネル)間隔で順番に切り替えた後、第2チャネルから所定のチャネル数間隔で順番に切り替える、といったことを、第1〜第k−1チャネルまで繰り返すように構成してもよい。この場合、所定のチャネル数kを、電波の干渉を充分に抑えることができる間隔とすることにより、電波の干渉を確実に抑えることができる。
[本発明との対応関係]
本発明において、無線ステーションの備える方法切替手段は、図2,図15におけるs110〜s290の処理である。また、広告送信手段は、図2,図15におけるs140の処理である。また、方法設定手段は、図2,図15におけるs280の処理である(「YES」と判定された場合)。また、通知収集手段は、図15におけるs160〜s174の処理である。また、暗号設定手段は、図15におけるs224の処理である。また、暗号取得手段は、図15におけるs700の処理である。また、暗号変更手段は、図15におけるs304の処理である。また、メッセージ出力手段は、図17におけるs750の処理である。また、内容判定手段は、図2,図15,図20におけるs100の処理である。また、非設定手段は、図2,図15におけるs100の処理である(「YES」と判定された場合)。
また、無線アクセスポイントの備える通知返信手段は、図4,図5,図7,図8,図13,図14におけるs370,s400の処理である。また、広告収集手段は、図4におけるs320〜s360の処理であり、図5,図7,図8,図13,図14におけるs320〜s352の処理である。また、第1,第2ユーザ選択手段は、図7におけるs512,s514の処理である。また、一覧送信手段は、図8,図13,図14におけるs516の処理である。また、暗号切替手段は、図19におけるs910〜s930の処理である。また、モード切替手段は、接続方法指示処理を実行するCPU11である。また、内容判定手段は、図21におけるs342,s542の処理である。
また、通信端末の備える要求送信手段は、図12にけるs614の処理である。また、第3,第4ユーザ選択手段は、図12におけるs630,s640の処理である。また、選択送信手段は、図12におけるs650の処理である。また、暗号受渡手段は、図18におけるs810〜s850の処理である。また、確認操作手段は、図18におけるs840の処理である。
10…アクセスポイント、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…ネットワークコントローラ、15…無線LANコントローラ、16…操作パネル、17…表示パネル、20…プリンタ、21…CPU、22…ROM、23…RAM、24…無線LANコントローラ、25…PCインターフェース部、26…操作パネル、27…表示パネル、28…プリントエンジン、30…パーソナルコンピュータ、100…ケーブル。