JP2014199885A - 複合軟磁性材とリアクトルコアおよびそれらの製造方法と電磁気回路部品 - Google Patents

複合軟磁性材とリアクトルコアおよびそれらの製造方法と電磁気回路部品 Download PDF

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五十嵐 和則
Kazunori Igarashi
和則 五十嵐
山▲崎▼ 淳司
Junji Yamazaki
淳司 山▲崎▼
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Abstract

【課題】放熱性および耐熱性に優れた軟磁性複合材とリアクトルコアおよびリアクトルを提供する。
【解決手段】アルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーとフィラーを含んでなるジオポリマー固化体中に複数の軟磁性金属粒子4aが分散され、該軟磁性金属粒子が45体積%以上65体積%以下となるように分散混合してジオポリマー混合物を得、このジオポリマー混合物を内部に予めコイル3を配置したケース2に流し込んで予備成形体を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合軟磁性材とリアクトルコアおよびそれらの製造方法と電磁気回路部品に関する。
従来から、車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換装置に用いられるリアクトルが知られている。リアクトルとして例えばエポキシ樹脂等の絶縁樹脂中に磁性粉末を分散混合させた磁性粉末混合樹脂からなるコアと、そのコア内に埋設されるとともに通電により磁束を発生するコイルを備えた構造が知られている。
前記磁性粉末混合樹脂を用い、予め巻線を配置した成形型となるケースに流し込んで注型成形することにより、内部に巻線を埋設した構造のリアクトルが知られている(特許文献1参照)。
また、エポキシ樹脂等の樹脂中に磁性粉末を分散混合させたものを予め巻線を施した成形型となるケースに流し込む(射出成形または注型成形)ことにより、巻線が施されたリアクトルを形成する技術が知られている(特許文献2参照)。このリアクトルを形成する際、フィラーとして熱伝導率の高いSiO、Alなどの非磁性粉末を混合することで放熱性に優れたリアクトルコアを製造する技術も知られている。
特開2012−190963号公報 特開2012−212856号公報
先の特許文献1、2に記載された射出成形または注型成形で製造されるリアクトルは、バインダーと磁性粉末の混合物の流動性を確保するため、更には、得られるリアクトルコアの透磁率を低く抑えるために多くのバインダーが添加されている。このバインダーとして、従来から有機樹脂が多用されているが、有機樹脂を用いているので、リアクトルコアとしての熱伝導率が低く、放熱性が良好ではないという課題があった。
特許文献2に記載された技術では、高熱伝導性のフィラーを添加してリアクトルコアの放熱性を向上させる構成が開示されてはいるが、この種のフィラーを添加したリアクトルコアであっても、熱伝導率は2W/m・K程度と低く、放熱性は不十分であった。
本発明は前記の問題に鑑み創案されたものであり、その目的は、放熱性および耐熱性に優れた軟磁性複合材とリアクトルコアおよびリアクトルを提供することが可能となり、このリアクトルコアを利用したDC/DCコンバータ、インバータ等の電力制御機器の小型化、高信頼性のために有用な技術の提供にある。
(1)上記目的を達成するために本発明の複合軟磁性材は、アルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーとフィラーを含んでなるジオポリマー固化体中に複数の軟磁性金属粒子が分散され、該軟磁性金属粒子が45体積%以上65体積%以下含有されたことを特徴とする。
(2)上記目的を達成するために本発明の複合軟磁性材は、前記ジオポリマー固化体から成形体が構成され、該成形体中に前記軟磁性金属粒子が分散されたことを特徴とする。
(3)本発明の複合軟磁性材において、前記成形体の熱伝導率を3W/m・K以上にすることができる。
(4)上記目的を達成するために本発明に係るリアクトルコアは、アルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーとフィラーを含んでなるジオポリマー固化体からなる成形体中に45体積%以上65体積%以下の軟磁性金属粒子が分散され、前記成形体中にコイルが埋設され、前記成形体がケースの内部に収容されたことを特徴とする。
(5)本発明に係るリアクトルコアにおいて、前記成形体の熱伝導率を3W/m・K以上にすることができる。
(6)上記目的を達成するために本発明に係る電磁気回路部品は、先に記載の複合軟磁性材あるいは先に記載のリアクトルコアが設けられたことを特徴とする。
(7)本発明に係る複合軟磁性材の製造方法は、アルカリ珪酸塩とフィラーを含むジオポリマーバインダーに軟磁性金属粒子を45体積%以上65体積%以下となるように分散混合してジオポリマー混合物を得、このジオポリマー混合物を加熱処理して前記フィラーに含まれるアルミニウム酸化物とアルカリ珪酸塩に含まれる珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーを生成させて前記軟磁性金属粒子を分散させたジオポリマー固化体を形成することを特徴とする。
(8)本発明に係る複合軟磁性材の製造方法は、前記ジオポリマー混合物を型に流し込んで予備成形体を形成し、この予備成形体を加熱処理してジオポリマー固化体からなる成形体にすることを特徴とする。
(9)本発明に係るリアクトルの製造方法は、アルカリ珪酸塩とフィラーを含むジオポリマーバインダーに軟磁性金属粒子を45体積%以上65体積%以下となるように分散混合してジオポリマー混合物を得、このジオポリマー混合物を内部に予めコイルを配置したケースに流し込んで予備成形体を形成し、この予備成形体を加熱処理して前記フィラーに含まれるアルミニウム酸化物とアルカリ珪酸塩に含まれる珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーを生成させることにより、前記軟磁性金属粒子が内部に分散され、内部にコイルが埋設されたジオポリマー固化体からなる成形体を前記ケース内部に形成することを特徴とする。
本発明によれば、ジオポリマー固化体中に軟磁性金属粒子を分散させた放熱性と耐熱性に優れた複合軟磁性材を提供できるとともに、ジオポリマー固化体中に軟磁性金属粒子を分散させた放熱性と耐熱性に優れたリアクトルコア、およびそれを備えた電磁気回路部品を提供できる。
また、本発明によれば、ジオポリマー固化体からなる成形体中に軟磁性金属粒子を分散させた放熱性と耐熱性に優れた複合軟磁性材を製造できるとともに、ジオポリマー固化体からなる成形体中に軟磁性金属粒子を分散させた放熱性と耐熱性に優れたリアクトルコアを製造することができる。
更に、本発明によれば、ジオポリマー固化体からなる成形体中に軟磁性金属粒子を分散させ、巻線を収容した構造の放熱性と耐熱性に優れたリアクトルを提供できる。
本発明に係るリアクトルの第1実施形態を示す断面図。 図1に示すリアクトルコアを構成するジオポリマーの生成について説明する図であり、図2(a)はアルカリ性溶液中に活性フィラーを分散させた状態を示す図、図2(b)はジオポリマー固化体を示す図。 図1に示すリアクトルコアを構成するジオポリマーについて示す構造説明図であり、図3(a)は珪素酸化物とアルミニウム酸化物からなるジオポリマーの基本単位を示す模式図、図3(b)は重縮合により形成されたジオポリマーの3次元構造を示す模式図。 図1に示すリアクトルを製造する方法の一例を示す説明図。 本発明に係るリアクトルの第2実施形態を示す断面図。 本発明に係るリアクトルの第3実施形態を示す断面図。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は本発明に係る第1実施形態のリアクトルを示すもので、この実施形態のリアクトル1は、中空のケース2の内部中央に環状のコイル3が収容され、ケース2の内部においてコイル3の周囲を囲むようにケース2の内部空間を満たすように成形されたジオポリマー硬化体からなるリアクトルコア4を備えて構成されている。また、リアクトルコア4の内部には後に説明する軟磁性金属粒子が分散されている。
この形態のリアクトル1は、例えば、電動又はハイブリッド車両用のインバータ、DC−DCコンバータ等の電力変換機器装置等に用いられるものである。
前記ケース2は、円板状の底壁2aと該底壁2aの周縁から立設された筒状の周壁2bとからなり、周壁2bの先端側が開口された箱形形状にされている。また、ケース2は一例として全芳香族ポリイミド(API)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂から、あるいは、アルミニウム合金、銅合金などの金属材料から構成されている。これらの内、放熱性および製造コストの観点からアルミニウム合金を使用するのが望ましい。
前記コイル3は、導体線としての銅線を螺旋状に巻回してケース2よりも径の小さい円筒状に形成されたものであり、リアクトルコア4の内部に埋め込まれている。なお、図1では略しているが、コイル3を構成する銅線の両端部分は通電可能なようにリアクトルコア4の外方に引き出されている。
前記リアクトルコア4は、コイル3を覆うように、また、ケース2の内部を埋めるように成形されたジオポリマー固化体中に軟磁性金属粒子4aを分散させたものからなる。
ジオポリマー固化体とはメタカオリン、フライアッシュなどの活性フィラーから溶液中にイオンとして放出された成分と高濃度のアルカリ性溶液(アルカリ活性剤)中の成分の反応によって得られるアルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体として形成された無機珪酸ポリマーを含む固化体のことをいう。
ジオポリマーの構造は天然ゼオライトの構造と類似しており、アルミノ珪酸塩の3次元構造である。ジオポリマーは、メタカオリン等に代表されるSi、Alを含む非晶質物質である活性フィラーとアルカリ性溶液を混合し反応させることにより生じさせることができる。
図2を基にジオポリマーの固化原理を説明する。まず、活性フィラーFとアルカリ性溶液Wを混合、撹拌すると、図2(a)に示すように、アルカリ性溶液Wに由来する水酸基によって活性フィラーFからSi、Alの陽イオンが溶出する(Si4+,Al3+)。さらに、加熱処理を施すと図2(b)に示すようにモノマーの重縮合によるポリマー構造を形成しジオポリマー固化体7を得ることができる。以上の固化原理を表す反応式を(1)式として以下に示す。
Figure 2014199885
活性フィラーは、アルカリ性溶液で活性化されて重合固化する性質を持つ粉末である。その性質を利用したジオポリマー法によって、原料混合物を結合することができる。
活性フィラーは水ガラス成分等を含むアルカリ性溶液と接すると、陽イオン(主にアルミニウムイオン)を溶出し、珪酸錯体(SiO)を架橋しポリマー化する。そのため、ジオポリマーは珪酸錯体の源として、一般に水ガラス成分等を含むアルカリ性溶液が必要であり、ポリマー化した後のバインダーゲルは珪酸錯体が6員環を形成していると考えられる。この反応は天然現象でも多く見られ、地殻中の堆積岩の生成機構はまさにジオポリマー反応であり、ジオポリマーの述語もこれに由来する。
図3(a)にジオポリマーの基本単位の1例を示す。ジオポリマーは、Siを中心として周囲にOが構成されるSiOとAlを中心として周囲にOが構成されるAlOが結合したものを基本単位として、この基本単位が重縮合して形成される。
また、図3(b)にジオポリマーの3次元構造であるポリマーネットワークの模式図を示す。このように、ジオポリマーは上述した基本単位を連続して結合させたポリマー構造を有し、SiO−AlO等で表される基本単位を3次元的に重縮合して構成される。
ところで、図3(b)に示すようにジオポリマーには、Al原子に寄り添うようにNa又はK(アルカリ金属)が内包されている。このNa又はKは、例えば酸化物や水酸化物として結合構造に取り込まれることなく、ジオポリマーの内部に存在している。このNa又はKは、活性フィラーを架橋しポリマー化した際に用いたアルカリ性溶液に由来するものである。
活性フィラーの代表であるメタカオリンはカオリンを仮焼して得られる。また、カオリン資源は限られているため、フライアッシュなどの産業廃棄物が活性フィラーの代替品として利用される。
具体的には、フライアッシュ(JIS A 6201)(以下、FA)、クリンカアッシュなどの石炭灰、高炉スラグ(JIS A 6206)、下水焼却汚泥などのガラス成分を含む産業廃棄物を用いることができる。FAは、石炭火力発電所などで石炭燃焼の際に副生する石炭灰のうち、集塵器で排ガス中から回収される微細な灰であり、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)を主成分とし、JIS A 6201において、粒度やフロー値に基づきI〜IV種に規格されている。好ましくは、その粒度が細かく反応性に富むI種、II種である。
アルカリ性溶液(アルカリ活性剤)は、活性フィラーを練り混ぜる溶液であり、活性フィラーから陽イオンを溶出させ重縮合を促す役割を果たす。具体的には、アルカリ性溶液として、水ガラス(珪酸ナトリウム溶液あるいは珪酸カリウム溶液)、水酸化カリウム(KOH)溶液、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、メタ珪酸ナトリウム溶液などが挙げられる。好ましくは、水ガラスに水酸化カリウム溶液、又は水酸化ナトリウム溶液を加えたものである。これらを用いることで、ジオポリマー法による重合固化の効果が高まり、圧縮強度の高い構造体を得ることができる。
高濃度のアルカリ性溶液(アルカリ活性剤)として水酸化カリウム溶液を使用した場合、強アルカリ濃度でも比較的流動性が大きい。また、特にメタ珪酸ナトリウム粉体を添加すると、同一モル比で流動性が大きくなるためこれを用いることもできる。アルカリ性溶液として水酸化ナトリウム溶液を使用した場合、モル比が0.2程度で、流動性を失い極端にフロー値が小さくなり、また、強度も小さくなる傾向がある。そのため、フロー値15cm以上として用いる事が好ましい。
軟磁性金属粒子4aとしては、従来から圧粉磁心(複合軟磁性材)の製造に用いられている軟磁性粒子であれば特に限定されるものではない。数10kHz以下の周波数で使用する圧粉磁心の製造を目的とする場合には純鉄粉末が望ましく、数10kHz以上の高周波領域で使用する圧粉磁心の製造を目的とする場合には、例えばFe−9.5%Si−5.5%Al(センダスト)のようなFe−Si−Al系合金粉末;Fe−6.5%SiのようなFe−Si系合金粉末;Fe−80%Ni(PCパーマロイ)、Fe−47%Ni(PBパーマロイ)のようなFe−Ni系合金粉末であることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を適宜に組み合わせて用いてもよい。
これらの軟磁性金属粒子4は、所定合金のインゴットの粉砕粉であってもよく、またアトマイズ粉であってもよい。さらに、これら粉末の粒度は格別限定されるものではないが、通常、100メッシュ下(タイラー篩)のものを用いればよい。
本実施形態のジオポリマー固化体4の製造に関して、図4を適宜参照し説明する。
まず、活性フィラーとしてのメタカオリンとアルカリ性溶液と軟磁性金属粒子を混合しジオポリマーバインダーを調整する。アルカリ性溶液としては、水で2倍程度に希釈した水ガラスに水酸化ナトリウムを予備混合したものを用いる事が好ましい。
次に、ジオポリマーバインダーを軟磁性金属粒子が均一分散するまで混合攪拌する。ここで、ジオポリマーバインダーに軟磁性金属粒子を混合する際、軟磁性金属粉末の割合が、45体積%〜65体積%になるように混合する。
軟磁性金属粒子の割合が45体積%未満であると目的とする透磁率などの特性が不足し、軟磁性金属粒子の割合が65体積%を超えるとジオポリマーバインダーとの混合物の粘度が高くなりすぎ、容器2などの型に充填して成形する場合に型の内部の隅々まで行き渡らなくなり、成形不良となるおそれがある。
以上の工程は、ジオポリマーバインダーの温度を80℃未満となるようにして行う。80℃未満においては、ジオポリマーバインダーの重縮合の進行を抑制することができるため、当該ジオポリマーバインダーは液体であり、軟磁性粒子を混合し攪拌することで、ジオポリマーバインダー内に軟磁性金属粒子を均一分散することができる。

次に、この軟磁性金属粒子を含むジオポリマーバインダー6を図4に示すように注入容器5から環状のコイル3を収容したケース2の内部に充填する。
充填後、80℃以上、例えば、80〜100℃の範囲の温度に加熱する加熱処理を施すことで、ジオポリマーバインダーの重縮合を進行させてこれを硬化して図1に示すような軟磁性金属粒子4aを分散させたジオポリマー固化成形体からなるリアクトルコア4を形成する。
ジオポリマーバインダーが固化したジオポリマー固化体には、図3(b)を基に説明したように、アルミニウム原子に寄り添うように、アルカリ金属(本実施形態においてはNa)が存在する。このアルカリ金属は、結合格子には入っておらず、アルカリ金属酸化物又は水酸化物のような形で存在する。
以上説明のように構成されたリアクトル1は、100kHzなどの高周波領域での比透磁率が高く、リアクトルコア4の熱伝導率が3W/m・K以上の特徴を有する。リアクトルコア4の熱伝導率が高いリアクトル1は、リアクトルとしての放熱性が向上するので、コイル3への通電により発熱した場合であっても、温度上昇を低く抑えることができる。また、有機樹脂中に軟磁性金属粒子を分散させたリアクトルコアを用いた従来のリアクトルよりも耐熱性が高く、リアクトルとしての信頼性を向上できる。更に、リアクトルの小型化にも寄与する。
本実施形態のリアクトル1を備えることで、DC/DCコンバータ、インバータ等の電力制御機器の小型化、高信頼性の向上に寄与する。
図5は本発明に係る第2実施形態のリアクトルを示すもので、この実施形態のリアクトル8は、中空のケース2の内部中央に環状のコイル3が収容され、ケース2の内部においてコイル3の周囲を囲むようにケース2の内部空間を満たすように成形された、軟磁性金属粒子を分散させたジオポリマー硬化体からなるリアクトルコア4を備えて構成されている。また、ケース2は、円板状の底壁2aと該底壁2aの周縁から立設された筒状の周壁2bと、底壁2aの中央部から突設された中芯体2cからなり、周壁2bの先端側が開口された箱形形状にされている。
リアクトルの形状は種々の設計変更が可能であるので、図5の実施形態に示す形状、図1の実施形態に示す形状に限らず、種々の変更が可能である。
図6はリアクトルの更に別の実施形態を示すもので、この実施形態のリアクトル10は、 平面視レーストラック状のリアクトルコア11と、該リアクトルコア11に巻装された2つのコイル12を有している。
図6に示すように、各コイル12は、それぞれ、多数回巻回された導線よりなり、リアクトルコア11の長手方向の直線区間に巻装されている。このリアクトル10では、リアクトルコア11が先に説明した軟磁性金属粒子を分散させたジオポリマー固化体により構成されている。
このようにリアクトルコア内にコイルを収容しない形態のリアクトル10に本発明のリアクトルコア11を適用する場合には、磁気的および電気的に悪影響を及ぼさない材質、たとえば樹脂からなる型に軟磁性金属粒子を分散させたジオポリマーを注型し、ジオポリマー固化後に型に収納されたまま使用しても良いし、あるいは任意の材質の型に注型して、ジオポリマー固化後に型から抜き出して使用しても良い。
これらの実施形態のリアクトル8、10では、いずれもリアクトルコア4、11が先のリアクトル1と同等のジオポリマー固化体からなるので、100kHzなどの高周波領域での比透磁率が高く、リアクトルコア4の熱伝導率が3W/m・K以上の特徴を有するなど、先の実施形態のリアクトル1と同等の作用効果を奏する。
なお、前記リアクトル1、8、10は本発明に係るリアクトルコアを電磁気回路部品に適用した一例であって、本発明に係るリアクトルコアをその他種々の電磁気回路部品に適用できるのは勿論である。
1号珪酸ソーダ(NaO・2SiO)76gをビーカ内で純水に溶解して2倍に希釈し、これに水酸化ナトリウム10.1gを入れて良く攪拌し完全に溶解させた。これにさらにメタカオリン50gを混合して均一になるまで良く攪拌し、この操作を繰り返すことにより必要量のジオポリマーバインダーを得た。
このジオポリマーバインダーは、1号珪酸ソーダ35.8質量%、純水35.8質量%、水酸化ナトリウム4.8質量%、メタカオリン23.6質量%の配合組成に相当する。
カルボニル法により作製された平均粒径3.5μmの純鉄粉末および水アトマイズ法により作製された平均粒径50μmの純鉄粉末(軟磁性金属粒子)を準備し、これらに純鉄粉末の割合が35〜70体積%となるように上述のジオポリマーバインダーを添加し、均一になるまでヘンシェルミキサで混合、攪拌した。この際、純鉄粉末の割合を計算するに当たっては、純鉄の比重を7.86、ジオポリマーの比重を2.20と仮定して混合比率を把握した。
この混合物を離型剤を内面に塗布した樹脂型内に注ぎ、オーブン中80℃で24時間保持し、ジオポリマーバインダーを重縮合させた。この後、樹脂型から取り出すことにより、磁気特性評価用の外形φ35mm、内径φ25mm×厚さ5mmのリング状テストピースと、熱伝導率測定用の10mm×10mm×2mmの板状テストピースを作製した。
比較例として2液硬化型のエポキシ樹脂を準備し、ジオポリマーバインダーに替えてこれを使用する以外は上記と全く同様にして磁気特性評価用の外形φ35mm、内径φ25mm×厚さ5mmのリング状テストピースと、熱伝導率測定用の10mm×10mm×2mmの板状テストピースを作製した。
得られた複合軟磁性材テストピースの密度をアルキメデス法にて、周波数100kHzにおける交流比透磁率をインピーダンスアナライザ(アジレントテクノロジー(株)製4194A)を使用して、熱伝導率をレーザフラッシュ法(NETZSCH−GeratebauGmbH社製Xeフラッシュアナライザー)を使用してそれぞれ評価した。
その結果を表1に示す。
Figure 2014199885
表1に示す結果が示すように、バインダーとしてジオポリマーを使用した際には、同じ純鉄粉末の充填率においてエポキシ樹脂のバインダーに比べて高い熱伝導率を示し、放熱性に優れた磁心であることがわかる。
一方で、バインダーとしてジオポリマーを使用した試料は、100kHzにおける透磁率においてエポキシ樹脂を使用した場合と同等の値を示し、リアクトルコアとして問題なく使用できることがわかった。
また、純鉄粉末の割合を増やすに従い、純鉄粉末とバインダーの混合物の粘性が増大し、型に注ぎにくくなるが、65体積%の純鉄粉末を混合したものでも健全なテストピースが得られた。一方、純鉄粉末の割合を増やすに従い、100kHzにおける透磁率や熱伝導率は大きくなり、純鉄粉末の割合を調整することにより、材料特性を調整できることがわかった。
更に、純鉄粉末の割合を増やして70体積%を混合した場合には、純鉄粉末とバインダーの混合物の粘性が増大しすぎて、もはや樹脂型に注型することができなかった。
1、8、10…リアクトル、2…ケース、3…巻線、4、11…リアクトルコア、4a…軟磁性金属粒子、5…容器、6…ジオポリマーバインダー、7…ジオポリマー固化体、F…活性フィラー、W…アルカリ性水溶液。

Claims (9)

  1. アルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーとフィラーを含んでなるジオポリマー固化体中に複数の軟磁性金属粒子が分散され、該軟磁性金属粒子が45体積%以上65体積%以下含有されたことを特徴とする複合軟磁性材。
  2. 前記ジオポリマー固化体から成形体が構成され、該成形体中に前記軟磁性金属粒子が分散されたことを特徴とする請求項1に記載の複合軟磁性材。
  3. 前記成形体の熱伝導率が3W/m・K以上であることを特徴とする請求項2に記載の複合軟磁性材。
  4. アルミニウム酸化物と珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーとフィラーを含んでなるジオポリマー固化体からなる成形体中に45体積%以上65体積%以下の軟磁性金属粒子が分散され、前記成形体中にコイルが埋設され、前記成形体がケースの内部に収容されたことを特徴とするリアクトルコア。
  5. 前記成形体の熱伝導率が3W/m・K以上であることを特徴とする請求項4に記載のリアクトルコア。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合軟磁性材あるいは請求項4または5に記載のリアクトルコアが設けられたことを特徴とする電磁気回路部品。
  7. アルカリ珪酸塩とフィラーを含むジオポリマーバインダーに軟磁性金属粒子を45体積%以上65体積%以下となるように分散混合してジオポリマー混合物を得、このジオポリマー混合物を加熱処理して前記フィラーに含まれるアルミニウム酸化物とアルカリ珪酸塩に含まれる珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーを生成させて前記軟磁性金属粒子を分散させたジオポリマー固化体を形成することを特徴とする複合軟磁性材の製造方法。
  8. 前記ジオポリマー混合物を型に流し込んで予備成形体を形成し、この予備成形体を加熱処理してジオポリマー固化体からなる成形体にすることを特徴とする請求項6に記載の複合軟磁性材の製造方法。
  9. アルカリ珪酸塩とフィラーを含むジオポリマーバインダーに軟磁性金属粒子を45体積%以上65体積%以下となるように分散混合してジオポリマー混合物を得、このジオポリマー混合物を内部に予めコイルを配置したケースに流し込んで予備成形体を形成し、この予備成形体を加熱処理して前記フィラーに含まれるアルミニウム酸化物とアルカリ珪酸塩に含まれる珪素酸化物の重縮合体からなる無機珪酸塩ポリマーを生成させることにより、前記軟磁性金属粒子が内部に分散され、内部にコイルが埋設されたジオポリマー固化体からなる成形体を前記ケース内部に形成することを特徴とするリアクトルコアの製造方法。
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JP2018120957A (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 田淵電機株式会社 コイル装置及びその製造方法
JP2018120958A (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 田淵電機株式会社 コイル装置及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018120957A (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 田淵電機株式会社 コイル装置及びその製造方法
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