JP2014198871A - ニッケル微粒子粉末の製造法及び該製造法により得られるニッケル微粒子粉末 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極の原料用として好適な、平均粒子径100nm以下の結晶性の高いニッケル微粒子粉末及び該ニッケル微粒子粉末の製造法に関する。
【解決手段】 炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程からなる製造法により、平均粒子径(DSEM)が100nm以下であると共に、結晶性の高いニッケル微粒子粉末を得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程からなる製造法により、平均粒子径(DSEM)が100nm以下であると共に、結晶性の高いニッケル微粒子粉末を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、積層セラミックコンデンサ内部電極の原料用として好適な、平均粒子径100nm以下の結晶性の高いニッケル微粒子粉末及び該ニッケル微粒子粉末の製造法に関する。
ニッケル粉末は、携帯電話、デジタルカメラ等の小型携帯電子機器に実装されている積層セラミックコンデンサの内部電極、水素ニッケル二次電池の多孔性電極、燃料電池の中空多孔質電極をはじめ、種々の電極の形成用材料として用いられている。
積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体層と内部電極層とを交互に複数層積層し、高温で焼成して一体化させたものであり、一般的には、内部電極材料であるニッケル粉末をバインダー中に分散させてペースト化し、該ペーストをセラミック誘電体グリーンシート上に印刷し、該印刷した基材を複数層積層させて加熱圧着した後、還元性雰囲気中で加熱焼成を行うことによって内部電極層とセラミック誘電体層とを一体化させ、その後、銀等の外部電極を形成して作製されている。
しかしながら、ニッケル粉末からなる内部電極材料は、セラミック誘電体よりも焼結開始温度が低く、しかも、熱収縮率が大きいため、積層セラミックコンデンサの製造において、ニッケル粉末からなる導電性ペーストを印刷したセラミック誘電体グリーンシートを積層し、これを焼成する際に、デラミネーション(積層構造の剥離現象)やクラック等の内部構造欠陥が発生しやすいという問題がある。
また、ニッケル粉末は、液相還元法及び電解法等の湿式法、並びに、気相還元法及び噴霧熱分解法等の乾式法のいずれの方法によっても得ることができるが、湿式法の場合には、粒度分布がシャープなニッケル粉末が容易に得られるが、粒子が生成する温度が低いため、結晶性の高いニッケル粉末を得ることが困難である。ニッケル粉末の結晶性が低い場合は、内部エネルギーの増大によりニッケル粒子の異常粒成長を引き起こすことが知られており、積層セラミックコンデンサの内部電極材料用のニッケル粉末としては、結晶性の高いものが望まれている。
一方、1000℃前後の高温状態を経由して粒子が生成する気相還元法及び噴霧熱分解法の場合には、結晶性の高いニッケル粉末を得ることができるが、粒度分布がブロードとなることが知られており、ニッケル粉末をバインダー中に分散させてペーストを作製する場合に、分散性が低下すると共に、粗大粒子が存在することにより、内部電極層上に凹凸が生じたり、隣接する内部電極間で短絡が生じたりするという不具合が起きやすい。また、粒度分布を改善するために分級等の操作を必要とすることから、コスト面からも不利となる。
これまでに、ポリオール溶媒に還元剤、分散剤、及びニッケル塩を添加して混合溶液を作製し、温度等を制御しつつ還元反応を行い、ニッケルナノ粒子を還元生成する液相還元法(特許文献1)、塩化ニッケルを含むガスを還元性ガスと接触させ、ニッケル粉末を得る気相還元法(特許文献2)、粒度分布が狭く、結晶性が改善されたニッケル粉末の製造方法として、球状ニッケル又は球状ニッケル化合物粉末に希土類化合物を添加し、水素雰囲気中で加熱還元処理する方法(特許文献3)等が知られている。
前出特許文献1には、溶媒中に還元剤及びニッケル塩等を添加して液相中で還元反応を行う液相還元法によりニッケルナノ粒子を得る方法が開示されているが、粒度分布がシャープなニッケル粉末が得られやすいものの、ニッケル粒子が得られるまでにかかる温度が120℃程度と低いため、結晶性の高いニッケル粉末を得ることが困難である。ニッケル粉末の結晶性が低い場合は、内部エネルギーの増大によりニッケル粒子の異常粒成長を引き起こすことが知られており、積層セラミックコンデンサの内部電極材料用のニッケル粉末として好ましくない。
また、特許文献2には、塩化ニッケルを含むガスを還元性ガスと接触させ、ニッケル粉末を得る気相還元法が開示されているが、加熱温度が1,000℃前後と高いため、結晶性の高いニッケル粉末を得ることはできるが、得られるニッケル粉末の粒度分布はブロードであり、また、高温で加熱するため、粒子サイズが100nm以下のニッケル粉末を得ることは困難である。
また、特許文献3には、球状ニッケル又は球状ニッケル化合物粉末に希土類化合物を添加し、水素雰囲気中で加熱還元処理する方法が開示されているが、ニッケル化合物を調製する際に焼結防止処理がなされていないため、500℃で加熱した際に焼結し、粗大粒子を生じやすい。更に、該ニッケル化合物を900℃程度で還元するため、粒子サイズが100nm以下のニッケル粒子を得ることが困難である。
そこで、本発明は、平均粒子径100nm以下の結晶性の高いニッケル微粒子粉末の製造法並びに該製造法によって得られるニッケル微粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程からなることを特徴とする平均粒子径(DSEM)が100nm以下であるニッケル微粒子粉末の製造法である(本発明1)。
また、本発明は、第二工程後、ジェット式粉砕機により粉砕・分級する本発明1のニッケル微粒子粉末の製造法である(本発明2)。
また、本発明は、第一工程の炭酸ニッケル系化合物が、硫酸ニッケル水溶液に炭酸ガスをバブリングしながら炭酸ナトリウム水溶液を添加して得られる炭酸ニッケル系化合物である本発明1又は本発明2のニッケル微粒子粉末の製造法である(本発明3)。
また、本発明は、平均粒子径(DSEM)が100nm以下であると共に、単結晶化度[平均粒子径(DSEM)/結晶子径DX(111)]が4以下である本発明1から本発明3のいずれかの製造法によって得られるニッケル微粒子粉末である(本発明4)。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の製造法は、平均粒子径100nm以下の微細な粒子でありながら結晶性が高いという、相反する特性を満足したニッケル微粒子粉末を得ることが可能である。
本発明の製造法により得られたニッケル微粒子粉末は、前述の通り、平均粒子径100nm以下の微細な粒子でありながら結晶性が高く、かつシャープな粒度分布を有するため、積層セラミックコンデンサの内部電極用材料として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
まず、本発明に係るニッケル微粒子粉末の製造法について述べる。
本発明に係るニッケル微粒子粉末は、炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加した後、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化し、次いで、希土類化合物を添加して表面処理を行い、濾別、乾燥した後、400℃以下で還元焼成する第二工程を経て得ることができる。
原料の炭酸ニッケル系化合物としては、市販のものを用いてもよいが、硫酸ニッケル水溶液に炭酸ガスをバブリングしながら炭酸ナトリウム水溶液を添加して得られる炭酸ニッケル系化合物含有スラリーを用いることが好ましい。
本発明における希土類化合物としては、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれる1種又は2種以上の塩化物もしくは硝酸塩を用いることができ、好ましくはY又はNdである。
上記炭酸ニッケル系化合物に添加する希土類化合物量は、Niに対して希土類元素換算で0.1〜8原子%が好ましく、より好ましくは0.2〜6原子%、更により好ましくは0.3〜4原子%である。希土類化合物の添加量がNiに対して希土類元素換算で0.1原子%未満の場合には、加熱焼成における焼結防止効果が低下し、得られる酸化ニッケルの粒子径が大きくなるため好ましくない。
希土類化合物による焼結防止処理は、炭酸ニッケル系化合物含有スラリーに希土類化合物と炭酸アルカリを添加して混合・攪拌することにより行う。その後、常法によりろ過・水洗・乾燥を行い、希土類化合物によって焼結防止処理された炭酸ニッケル系化合物粒子粉末を得る。
第一工程における加熱焼成温度は、600〜800℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは650〜750℃である。加熱焼成温度が600℃未満の場合には、得られるニッケル微粒子粉末の結晶性が低下するため好ましくない。加熱焼成温度が上記範囲にあることにより、高い結晶性を有するニッケル微粒子粉末を得ることができる。
本発明の第一工程を経て得られた酸化ニッケル微粒子粉末を水に分散してスラリーとし、湿式メディア粉砕機を用いて水分散スラリーとした後、第一工程と同様に、酸化ニッケル含有スラリーに希土類化合物と炭酸アルカリを添加して混合・攪拌することにより希土類化合物による焼結防止処理を行う。希土類化合物は、第一工程に用いたものと同様のものを用いることができる。その後、常法によりろ過・水洗・乾燥を行う。
上記酸化ニッケル系化合物に添加する希土類化合物量は、Niに対して希土類元素換算で0.5〜8原子%が好ましく、より好ましくは0.7〜7原子%、更により好ましくは1〜6原子%である。希土類化合物の添加量がNiに対して希土類元素換算で0.5原子%未満の場合には、加熱焼成における焼結防止効果が低下し、得られるニッケルの粒子径が大きくなるため好ましくない。また、希土類化合物の処理量は、前述の炭酸ニッケル系化合物への希土類化合物との合計量として、Niに対して希土類元素換算で1〜10原子%が好ましく、より好ましくは1〜8原子%、更により好ましくは1〜6原子%である。希土類化合物の添加量の合計がNiに対して希土類元素換算で10原子%を超える場合には、金属ニッケとしての純度が低下するため好ましくない。
第二工程における還元性雰囲気を形成するためのガスとしては、H2ガス、COガス、NH3ガス等の還元性ガス、もしくはこれら還元性ガスとN2ガス、Arガス等の不活性ガスとの混合系を用いることができる。得られるニッケル微粒子粉末の結晶性を考慮すれば、H2ガスを用いることが好ましい。
加熱焼成における昇温速度は0.5℃/min.〜3.0℃/min.が好ましく、より好ましくは0.5℃/min.〜2.0℃/min.である。昇温速度が速すぎる場合には、ニッケル粒子同士がシンタリングを起こし、粗大粒子が生成するため好ましくない。
還元焼成における還元温度は、400℃以下であり、好ましくは240〜380℃の範囲であり、より好ましくは250〜360℃である。加熱焼成温度が400℃を超える場合には、粒子径が大きくなると共に、粒度分布がブロードになる傾向があるため好ましくない。また、加熱焼成における保持時間は、1〜12時間が好ましく、より好ましくは1.5〜10時間である。
その後、常法により徐酸化を行った後、ジェット式粉砕機により粉砕を行い、ニッケル微粒子粉末を得る。
次に、本発明に係るニッケル微粒子粉末について述べる。
本発明に係るニッケル微粒子粉末は、平均粒子径(DSEM)が100nm以下であると共に、単結晶化度[平均粒子径(DSEM)/結晶子径DX(111)]が4以下であることを特徴とする。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の平均粒子径(DSEM)は100nm以下であり、好ましくは20〜100nm、より好ましくは30〜95nmである。近年、積層セラミックコンデンサ等は小型化・高容量化が望まれており、それに伴いセラミック誘電体層及び内部電極層の薄層化・多層化が進んでいることから、ニッケル微粒子粉末の平均粒子径(DSEM)は100nm以下のものが求められている。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の単結晶化度は、[平均粒子径(DSEM)/結晶子径DX(111)]が4以下であり、好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.3以下である。単結晶化度が1に近いほど結晶性が高いことを意味し、殊に、積層セラミックコンデンサの内部電極材料用のニッケル粉末としては、結晶性の高いもの、即ち単結晶化度が1に近いものほど好ましい。単結晶化度が4を超える場合には、ニッケル粉末の結晶性が低く、内部エネルギーの増大によりニッケル粒子の異常粒成長を引き起こすため好ましくない。
本発明に係るニッケル微粒子粉末のBET比表面積値は、10〜40m2/gであることが好ましく、より好ましくは10〜35m2/gであることが好ましい。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の純度は、75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上である。
<作用>
本発明において重要な点は、炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程を経て得られたニッケル微粒子粉末は、平均粒子径100nm以下でありながら、結晶性が高いという事実である。
本発明において重要な点は、炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程を経て得られたニッケル微粒子粉末は、平均粒子径100nm以下でありながら、結晶性が高いという事実である。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の平均粒子径100nm以下でありながら、結晶性が高い理由として、本発明者は、次のように考えている。
従来知られているニッケル粉末の製造法は、液相還元法及び電解法等の湿式法と気相還元法及び噴霧熱分解法等の乾式法に大別され、湿式法の場合には、粒度分布がシャープなニッケル粉末が容易に得られるが、粒子が生成する温度が低いため、結晶性の高いニッケル粉末を得ることが困難である。一方、気相還元法及び噴霧熱分解法の場合には、1000℃前後の高温状態を経由することから、結晶性の高いニッケル粉末を得ることができるが、粒度分布がブロードとなることが知られており、粒度分布の改善と高い結晶性を両立することはトレードオフの関係にある。本発明においては、前駆体である炭酸ニッケル系化合物粒子を希土類化合物で焼結防止処理をすることにより、600〜800℃の高温で焼成することが可能となり、シンタリングを防止しつつ結晶性の高い酸化ニッケル微粒子を得ることができる。また、前記結晶性の高い酸化ニッケル微粒子粉末に対して更に希土類化合物によって焼結防止処理を施すと共に、400℃以下の低い温度で加熱還元することにより、ニッケル粒子間でのシンタリング等が発生しにくく、且つ、高い結晶性を維持したニッケル微粒子粉末を得ることができたものと考えている。また、希土類化合物を分割して添加したことにより、少ない希土類化合物量で高い焼結防止効果が得られる。
以下に、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
ニッケル微粒子粉末の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真「S−4800」(HITACHI製)を用いて粒子の写真を撮影し、該写真を用いて粒子300個以上について粒子径を測定し、その平均値を算出し、平均粒子径(DSEM)とした。
ニッケル微粒子粉末の結晶子径DX(111)は、X線回折装置「RINT2500」(株式会社リガク製)を用いて、CuのKα線を線源とした面指数(1,1,1)面のピークの半値幅を求め、Scherrerの式より結晶子径を計算した。
ニッケル微粒子の単結晶化度は、平均粒子径(DSEM)と結晶子径(DX)の比[平均粒子径(DSEM)/結晶子径DX(111)]で示した。
ニッケル微粒子粉末の比表面積は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム株式会社製)を用いて、BET法により測定した値で示した。
ニッケル微粒子粉末の純度は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁場397.9kA/m(5KOe)までかけて測定し、Ni−Disk標準品を100%とした時の相対値で示した。
<実施例1:ニッケル微粒子の製造>
50Lの攪拌層に硫酸ニッケル六水和物3,547gと水2,000gを入れ、攪拌しながら15L/min.の流量で炭酸ガスをバブリングしつつ、0.675mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液20Lを添加し、50℃に昇温した後4時間保持して炭酸ニッケル系化合物含有スラリーを得た。得られた炭酸ニッケル系化合物スラリーを室温まで冷却した後、炭酸ガスの通気を止め、該炭酸ニッケル系化合物スラリーのpHが7〜8の範囲に保持されるよう、0.5mol/Lの塩化イットリウム水溶液135mLと0.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、混合・攪拌後、ろ過・水洗して120℃にて乾燥を行い、イットリウムによって焼結防止処理された炭酸ニッケル系化合物粒子粉末を得た。次いで、該炭酸ニッケル系化合物粒子粉末をマッフル炉に入れ、酸素雰囲気下、700℃で4時間加熱焼成することで酸化ニッケル粒子粉末を得た。
50Lの攪拌層に硫酸ニッケル六水和物3,547gと水2,000gを入れ、攪拌しながら15L/min.の流量で炭酸ガスをバブリングしつつ、0.675mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液20Lを添加し、50℃に昇温した後4時間保持して炭酸ニッケル系化合物含有スラリーを得た。得られた炭酸ニッケル系化合物スラリーを室温まで冷却した後、炭酸ガスの通気を止め、該炭酸ニッケル系化合物スラリーのpHが7〜8の範囲に保持されるよう、0.5mol/Lの塩化イットリウム水溶液135mLと0.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を少量ずつ添加し、混合・攪拌後、ろ過・水洗して120℃にて乾燥を行い、イットリウムによって焼結防止処理された炭酸ニッケル系化合物粒子粉末を得た。次いで、該炭酸ニッケル系化合物粒子粉末をマッフル炉に入れ、酸素雰囲気下、700℃で4時間加熱焼成することで酸化ニッケル粒子粉末を得た。
上記で得られた酸化ニッケル粒子粉末60gを400mLの水に戻し、ビーズミルを用いて分散処理を行った後、水を添加して全量800mLの酸化ニッケル含有水分散スラリーを得た。次いで、該酸化ニッケル含有水分散スラリーのpHが7〜8の範囲に保持されるよう、0.5mol/Lの塩化イットリウム32mLと0.5mol/L炭酸ナトリウム溶液を少量ずつ添加し、混合・攪拌後、ろ過・水洗して120℃にて乾燥を行い、イットリウムによって焼結防止処理された酸化ニッケル粒子粉末を得た。
次いで、イットリウムによって焼結防止処理された酸化ニッケル粒子粉末60gをレトルト回転炉に入れ、H2ガスを40L/min.で導入しながら2.0℃/min.の速度で310℃まで昇温し、2時間保持した後、室温まで冷却した。次いで、N2:air=10:1の混合ガスを用い、室温にて30分間徐酸化を行った後、ジェットミルを用いて粉砕・分級することで、実施例1のニッケル微粒子粉末を得た。
得られたニッケル微粒子の粒子形状は粒状、平均粒子径(DSEM)は70nm、結晶子径DX(111)は28.5nm、DSEM/DX(111)は2.5、BET比表面積値は15.4m2/g、ニッケル純度は83.2%であった。
前記実施例1に従ってニッケル微粒子粉末を作製した。各製造条件及び得られたニッケル微粒子粉末の諸特性を示す。
実施例2〜3及び比較例1〜3:
ニッケル微粒子粉末の生成条件を種々変更することにより、ニッケル微粒子粉末を得た。
ニッケル微粒子粉末の生成条件を種々変更することにより、ニッケル微粒子粉末を得た。
このときの製造条件を表1に、得られたニッケル微粒子粉末の諸特性を表2に示す。
比較例4:特開2001−98337(実施例2のトレース)
<前駆体の調製2>
市販の塩基性炭酸ニッケル(NiCO3・Ni(OH)2・4H2O)141gと炭酸水素アンモニウム242gとを15%アンモニア水に加え、よく撹拌して、pHが9.5の塩基性炭酸ニッケルのアンモニア−炭酸水素アンモニウム水溶液(Niとして1.1mol/L)を調製した。
<前駆体の調製2>
市販の塩基性炭酸ニッケル(NiCO3・Ni(OH)2・4H2O)141gと炭酸水素アンモニウム242gとを15%アンモニア水に加え、よく撹拌して、pHが9.5の塩基性炭酸ニッケルのアンモニア−炭酸水素アンモニウム水溶液(Niとして1.1mol/L)を調製した。
上記で得られたニッケル塩の水溶液200gにHLB値15のノニオン系界面活性剤ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名:レオドールTW−0120:花王株式会社製)30gを加え、50℃にて撹拌して溶解させた。別に、非水媒体として、沸点約280℃のスーパースクワラン(スクアッテク株式会社製)800gにHLB値4.3のノニオン系界面活性剤ソルビタンモノオレエート(商品名:レオドールSR−O10:花王株式会社製)50gを加え、80℃にて撹拌して溶解させた。
次に、上記界面活性剤を溶解させたニッケル塩水溶液と非水媒体とを混合し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000rpmで5分間撹拌し、これを2回繰り返して、W/O型のエマルジョンを調製した。
温度50℃において、このエマルジョンを20〜30mmHgの減圧化に吸引して、アンモニアと炭酸ガスを主成分とする気化性成分を蒸発させて、エマルジョンの液滴中に塩基性炭酸ニッケルを沈殿させた。その後、更に、上記減圧下にエマルジョンを吸引し、水を主成分とする気化性成分を蒸発させて、エマルジョンの液敵中に生じた塩基性炭酸ニッケルの球状の粒子を油中乾燥した。
この塩基性炭酸ニッケルの粒子を遠心分離し、ヘキサン、メタノール及び水の順序にて洗浄した後、100℃で2時間乾燥させて、平均粒径0.55μmの均一な塩基性炭酸ニッケルの球状粒子の粉末を得た。得られた塩基性炭酸ニッケル粒子を走査型電子顕微鏡写真により観察し、球状かつよく分散していることを確認した。
<前駆体の調製3>
前駆体の調製2によって得られた塩基性炭酸ニッケルを、空気中、20℃/Hrの昇温速度で500℃まで昇温した後、500℃で3時間保持することによって平均粒径0.45μmの球状の酸化ニッケル粒子粉末を得た。このようにして得られた酸化ニッケル粒子は、走査型電子顕微鏡写真により、球状かつよく分散していることが観察された。
前駆体の調製2によって得られた塩基性炭酸ニッケルを、空気中、20℃/Hrの昇温速度で500℃まで昇温した後、500℃で3時間保持することによって平均粒径0.45μmの球状の酸化ニッケル粒子粉末を得た。このようにして得られた酸化ニッケル粒子は、走査型電子顕微鏡写真により、球状かつよく分散していることが観察された。
<比較例4>
前駆体の調製3によって得た球状の酸化ニッケル6.4gとイオン交換水20mLに1mmφジルコニアビーズ70gを加え、遊星ミルで、200rpm、10分間粉砕処理をした。粉砕後、ジルコニアビーズを分離し、十分に洗浄して、酸化ニッケル粒子を全量回収した酸化ニッケルスラリーを得た。このスラリーに硝酸イットリウム6水和物(Y(NO3)3・6H2O)0.85gを添加して撹拌し溶解させた。このスラリーを撹拌しながら氷冷し、2%NH3をゆっくり滴下し中和し、沈殿を生成させた。得られた沈殿を含む固形分を濾過、洗浄し、110℃で一晩乾燥することによって、Niに対してY2O3を5wt%混合させた酸化ニッケル粉末を得た。更に、これら乾燥物を、メノウ乳鉢を用いて粉砕し、水素気流中900℃にて3時間還元処理をした。還元後冷却し、5%O2/N2ガスを50℃で1時間流通させ、還元したニッケルの安定化処理を行なった。得られた比較例4のニッケル粒子粉末の諸特性を表2に示す。
前駆体の調製3によって得た球状の酸化ニッケル6.4gとイオン交換水20mLに1mmφジルコニアビーズ70gを加え、遊星ミルで、200rpm、10分間粉砕処理をした。粉砕後、ジルコニアビーズを分離し、十分に洗浄して、酸化ニッケル粒子を全量回収した酸化ニッケルスラリーを得た。このスラリーに硝酸イットリウム6水和物(Y(NO3)3・6H2O)0.85gを添加して撹拌し溶解させた。このスラリーを撹拌しながら氷冷し、2%NH3をゆっくり滴下し中和し、沈殿を生成させた。得られた沈殿を含む固形分を濾過、洗浄し、110℃で一晩乾燥することによって、Niに対してY2O3を5wt%混合させた酸化ニッケル粉末を得た。更に、これら乾燥物を、メノウ乳鉢を用いて粉砕し、水素気流中900℃にて3時間還元処理をした。還元後冷却し、5%O2/N2ガスを50℃で1時間流通させ、還元したニッケルの安定化処理を行なった。得られた比較例4のニッケル粒子粉末の諸特性を表2に示す。
本発明に係るニッケル微粒子粉末の製造法は、平均粒子径100nm以下の微細な粒子でありながら結晶性が高いという、相反する特性を満足したニッケル微粒子粉末を得ることが可能である。
本発明の製造法により得られたニッケル微粒子粉末は、前述の通り、平均粒子径100nm以下の微細な粒子でありながら結晶性が高く、かつシャープな粒度分布を有するため、積層セラミックコンデンサの内部電極用材料として好適である。
Claims (4)
- 炭酸ニッケル系化合物に希土類化合物を添加し、600〜800℃の温度範囲で焼成して酸化ニッケルを得る第一工程と、該酸化ニッケルをスラリー化して希土類化合物を添加し、400℃以下で還元焼成する第二工程からなることを特徴とする平均粒子径(DSEM)が100nm以下であるニッケル微粒子粉末の製造法。
- 第二工程後、ジェット式粉砕機により粉砕・分級する請求項1記載のニッケル微粒子粉末の製造法。
- 第一工程の炭酸ニッケル系化合物が、硫酸ニッケル水溶液に炭酸ガスをバブリングしながら炭酸ナトリウム水溶液を添加して得られる炭酸ニッケル系化合物である請求項1又は請求項2記載のニッケル微粒子粉末の製造法。
- 平均粒子径(DSEM)が100nm以下であると共に、単結晶化度[平均粒子径(DSEM)/結晶子径DX(111)]が4以下である請求項1から請求項3記載のいずれかの製造法によって得られるニッケル微粒子粉末。
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JP2013074584A JP2014198871A (ja) | 2013-03-29 | 2013-03-29 | ニッケル微粒子粉末の製造法及び該製造法により得られるニッケル微粒子粉末 |
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JPWO2017056741A1 (ja) * | 2015-09-29 | 2018-07-19 | 東邦チタニウム株式会社 | ニッケル粉及びニッケルペースト |
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2013
- 2013-03-29 JP JP2013074584A patent/JP2014198871A/ja active Pending
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