JP2014198639A - 表面保護剤及び表面保護工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面保護剤に含有される表面保護成分は、シラン化合物からなる第1の表面保護成分と、脂肪酸又はその塩からなり、イオン交換により固化し得る第2の表面保護成分とを含む。この表面保護剤を用いて多孔質無機材料の表面を保護する表面保護工法は、固化促進剤を多孔質無機材料に適用する工程と、表面保護剤を多孔質無機材料に適用する工程とを含む。固化促進剤は、第2の表面保護成分を固化させるイオンを含有する。
【選択図】図1
Description
上記表面保護剤を用いて多孔質無機材料の表面を保護する表面保護工法の一態様としては、固化促進剤を前記多孔質無機材料に適用する工程と、前記表面保護剤を前記多孔質無機材料に適用する工程とを含み、前記固化促進剤は、前記第2の表面保護成分を固化させるイオンを含有する。
表面保護剤に含有される表面保護成分は、シラン化合物からなる第1の表面保護成分と、脂肪酸又はその塩からなる第2の表面保護成分とを含む。
シラン化合物は、疎水性基と加水分解性基とを有する。疎水性基は、非加水分解性を有し、多孔質無機材料に撥水性を付与する。加水分解性基は、膜の形成や多孔質無機材料への結合に寄与する。
一般式(1)中、R1は、炭素数1〜30のアルキル基、置換アルキル基又はアリール基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示す。nは1又は2である。nが2の場合、R1は互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。R2は互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
R1で示される置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基及び芳香族置換アルキル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、アルキル基のフッ素化物、塩素化物及び臭素化物が挙げられる。芳香族置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基及びハロゲン置換ベンジル基が挙げられる。
シラン化合物は、一種又は二種以上を用いることができる。
第2の表面保護成分である脂肪酸又はその塩は、イオン交換により固化し得るものである。脂肪酸又はその塩としては、例えば炭素数が10〜30のものが好ましい。脂肪酸又はその塩は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。また、脂肪酸又はその塩は、直鎖であってもよいし、分岐鎖を含んでいてもよい。脂肪酸の塩としては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
表面保護剤中における第2の表面保護成分の含有量は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。表面保護剤中における第2の表面保護成分の含有量は、好ましくは50質量%以下である。
表面保護剤には、必要に応じて、例えば、着色剤、緩衝剤、防腐剤、及び消泡剤を含有させることもできる。
次に、上記表面保護剤の多孔質無機材料への適用について作用とともに説明する。
表面保護剤は、例えば、刷毛、ローラー、又はスプレーを用いる塗布法や含浸法を用いて多孔質無機材料に適用される。表面保護剤は、多孔質無機材料の表面(外面)の一部に適用されてもよいし、全体に適用されてもよい。
第2の表面保護成分から生成した固化物は、金属石鹸である。この固化物が多孔質無機材料の空隙を閉塞することで、多孔質無機材料への水及び水以外の物質の侵入を抑制する。水以外の物質は、例えば、多孔質無機材料や多孔質無機材料を含む材料の劣化因子になり得る物質であって、各種気体や各種液状体が挙げられる。
多孔質無機材料としては、例えば、モルタル、コンクリート等のセメント系材料、セメント系材料と他の無機材料との複合材料、セラミックス、及び各種石材が挙げられる。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(イ)前記表面保護剤において、前記多孔質無機材料としてセメント系構造物に適用される表面保護剤。
(ホ)前記表面保護工法において、前記固化促進剤がカルシウムイオンを含有する表面保護工法。
<表面保護剤の調製>
実施例1〜5では、第1の表面保護成分及び第2の表面保護成分を表1に示す含有量となるように混合することで表面保護剤を調製した。第1の表面保護成分としては、オクチルトリエトキシシランを用いた。第2の表面保護成分としては、ミリスチン酸を用いた。溶媒としては、エタノール85.5質量%、イソプロピルアルコール4.9質量%、及びノルマルプロピルアルコール9.6質量%の混合溶媒を用いた。
実施例1の表面保護剤をモルタル片(寸法:40mm×40mm×160mm)の外面全体に刷毛を用いて塗布した後、2週間養生した。次に、このモルタル片の質量(吸水前の質量:M1)を測定した後に、水中に1日間浸漬した。続いて、水中からモルタル片を取り出し、表面の水を拭き取った後に、モルタル片の質量(吸水後の質量:M2)を測定した。
吸水率(%)=(M2−M1)/M1×100
実施例2〜5及び比較例1の表面保護剤についても、実施例1と同様に吸水率を算出した。
図1は、表面保護剤中における第2の表面保護成分の含有量と吸水率との関係を示す。表1及び図1に示されるように、第2の表面保護成分の含有に伴って吸水率が低下することが分かる。
表2に示される実施例6,7の表面保護剤をモルタル片(寸法:40mm×40mm×160mm、水セメント比:60%)の外面全体に刷毛を用いて塗布した後、2週間養生した。次に、このモルタル片を密閉容器に入れ、容器内の空気を吸引した後に、二酸化炭素を容器内に満たして6日間静置した。これにより、モルタル片の中性化を促進させた。続いて、容器から取り出したモルタル片を長さ方向と直角、かつ端部から約80mmの位置で割裂した断面に、フェノールフタレイン溶液を噴霧した。このときの断面全体の面積(断面全体の面積:A1)と無色の領域の面積(無色の領域の面積:A2)とから、無色の領域の面積率、すなわち中性化された領域の面積率である中性化率を算出した。
比較例1の表面保護剤についても、実施例6,7と同様に中性化率を算出した。また、表面保護剤を適用していないモルタル片をブランクとして中性化率を算出した。
Claims (3)
- 表面保護成分を含有してなり、多孔質無機材料に適用される表面保護剤であって、
前記表面保護成分は、シラン化合物からなる第1の表面保護成分と、
脂肪酸又はその塩からなり、イオン交換により固化し得る第2の表面保護成分とを含むことを特徴とする表面保護剤。 - 前記表面保護剤中における前記第2の表面保護成分の含有量が0.5質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護剤。
- 請求項1又は請求項2に記載の表面保護剤を用いて多孔質無機材料の表面を保護する表面保護工法であって、
固化促進剤を前記多孔質無機材料に適用する工程と、前記表面保護剤を前記多孔質無機材料に適用する工程とを含み、
前記固化促進剤は、前記第2の表面保護成分を固化させるイオンを含有することを特徴とする表面保護工法。
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