JP2012241475A - コンクリートの補強工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤を用いたコンクリート補強工法において、より高い効果を発揮することのできる工法の提供。
【解決手段】 コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する工程と、
コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程を有し、
前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする、コンクリート補強工法。
【選択図】 図1
【解決手段】 コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する工程と、
コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程を有し、
前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする、コンクリート補強工法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、既設又は新設のコンクリートの補強工法に関し、特にケイ酸塩を使用したコンクリートの補強工法に関する。
コンクリートは本来、非常に耐久性が高く、耐用年数も50年〜100年と云われて来たが、コンクリートの劣化が予想以上に早い事が近年判明した。特に、凍結融解や塩害等によるコンクリートの劣化及び複合劣化が原因となり、想定耐用年数まで持たない構造物の出現や構造物からのコンクリート片剥離による二次災害の発生が懸念される事態となり、劣化要因の原因究明と様々な対策が講じられてきた。具体的には、新設コンクリートを構成するセメントの組成変更や単位水量の低減、骨材の成分指定、既設コンクリートについては、劣化表面をポリマーセメントで被覆する工法、珪酸質系防水剤配合モルタルで被覆する工法、有機系樹脂やセメント系、水ガラス系材料による注入・浸透・被膜塗装工法などが提案されている。
本発明は、ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤を用いたコンクリート補強工法において、より高い効果を発揮することのできる工法を提供することを目的とする。
本発明者は、従来、ケイ酸塩と、水溶性カルシウム塩とをあらかじめ混合すると、すぐに硬化してしまいコンクリート表面に供給することはできないと考えられていたが、水溶液中でケイ酸塩と水溶性水酸化カルシウムをあらかじめ混合することによって、施工効果を高められることを見出して、本発明に至った。
本発明(1)は、コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する工程と、
コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程を有し、
前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする、コンクリート補強工法である。
コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程を有し、
前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする、コンクリート補強工法である。
本発明(2)は、前記第二の組成物の前記カルシウム塩の添加量が、アルカリ金属ケイ酸塩100重量部に対して、0.1〜50重量部である、前記発明(1)のコンクリート補強工法である。
本発明(3)は、前記第二の組成物の前記カルシウム塩が、水酸化カルシウムである、前記発明(1)又は(2)のコンクリート補強工法である。
本発明(4)は、前記第二の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(5)は、前記第一の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(6)は、前記第一の組成物の粘度P1に対する、前記第二の組成物の粘度P2の比([P2]/[P1])が、0.5〜2.0である、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(7)は、前記第二の組成物のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量が、0.01〜40重量%である、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(8)は、前記第一の組成物のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量が、0.01〜40重量%である、前記発明(1)〜(7)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(9)は、前記コンクリートが、新設コンクリートである、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(10)は、前記コンクリートが、既設コンクリートである、前記発明(1)〜(8)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(11)は、前記コンクリートが、クラックを有する既設コンクリートである、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(12)は、前記第二の組成物が、炭酸カルシウム系充填材を含む、前記発明(11)のコンクリート補強工法である。
本発明(13)は、前記第二の組成物の粘度が、10〜20mPa・Sである、前記発明(11)又は(12)のコンクリート補強工法である。
本発明(14)は、前記第一の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、前記発明(11)〜(13)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明(15)は、前記第一の組成物の粘度P1に対する、前記第二の組成物の粘度P2の比([P2]/[P1])が、1.1〜5.0である、前記発明(11)〜(14)のいずれか一つのコンクリート補強工法である。
本発明によれば、アルカリケイ酸塩と水を含む第一の組成物と、アルカリ金属のケイ酸塩と水溶性カルシウム塩とをあらかじめ混合した第二の組成物と、をコンクリート表面に供給することによって、コンクリート表面の相対弾性係数を高めることができるなど高い施工効果が得られる。
本発明のコンクリート補強工法は、コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する工程と、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程とを有する。本発明においては、前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする。このように、アルカリ金属のケイ酸塩と水溶性カルシウム塩とをあらかじめ混合した組成物をコンクリート表面に供給することによって、コンクリート表面の相対弾性係数を高めることができるなど高い施工効果が得られる。
(コンクリート改質剤)
本発明のコンクリート改質剤は、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩を含有し、任意で、アルカリ金属源や、酸や、着色料、炭酸カルシウム系充填材を含有していてもよい。
本発明のコンクリート改質剤は、少なくともアルカリ金属ケイ酸塩を含有し、任意で、アルカリ金属源や、酸や、着色料、炭酸カルシウム系充填材を含有していてもよい。
本発明において使用されるアルカリ金属ケイ酸塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のカチオン成分と、オルトケイ酸アニオン(SiO4 4−)、メタケイ酸アニオン(SiO3 2−)、メタ二ケイ酸(Si2O5 2−)、ケイ酸(SiO2)単位が複数個連結してアニオン種を形成したものとの組合せが挙げられる。
より具体的なアルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸リチウム、オルトケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸カリウム、メタケイ酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、メタ二ケイ酸リチウム、メタ二ケイ酸ナトリウム、メタ二ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが挙げられる。これらの中でもケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウムを用いることが特に好適である。また、これらのうち一つのアルカリ金属ケイ酸塩を使用してもよいし、ケイ酸カリウムとケイ酸ナトリウムの組合せのように二種類以上を用いてもよい。
ケイ酸リチウムに対して、アルカリ金属イオン源を添加して得られる、アルカリ金属ケイ酸塩を使用することが好適である。好適なアルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンとカリウムイオンとを組み合わせたものである。特に、ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの比が、モル比で0.02〜2.7であることが好適であり、より好適には0.04〜1.8である。更に、アルカリ金属イオン源の添加量は、モル比(アルカリ金属イオン換算)で、SiO2に対して0.08〜1.8であることが好適であり、より好適には0.12〜1.2である。
アルカリイオン源としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はこれらの組合せが好適である。これらの中でも、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムとの組み合わせが特に好適である。水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの好適な配合比は、重量比(水酸化ナトリウム/水酸化カリウム)で1.3〜2.5(より好適には1.7〜2.2)である。
ケイ酸リチウムは、ケイ石を水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム水溶液中で煮沸し、得られるコロイダルシリカ中のNa、KをLiに置換して製造可能である。ケイ酸リチウムの市販品としては、例えば、日産化学工業株式会社製のリチウムシリケート45{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5}、リチウムシリケート75{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 1.2〜1.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 7.5}、リチウムシリケート35{水溶液100量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.6〜3.3重量部、SiO2/Li2Oモル比 3.5}が使用可能である。
酸としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、クロム酸、カルボン酸が挙げられる。これらの中でもカルボン酸を含有することが好適である。カルボン酸としては、カルボキシル基を有する物質であれば特に限定されないが、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、クエン酸等が挙げられる。これらのカルボン酸の中でも、シュウ酸、マロン酸等の多価カルボン酸や、クエン酸等のオキシカルボン酸が好適である。コンクリート改質剤にカルボン酸が含有される場合には、コンクリート改質剤中の金属原子数のカルボキシル基の全体数に対する比[金属原子数/カルボキシル基数]が、1〜200であることが好適である。
着色料としては、無機の着色料が好適であり、例えば、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化クロムなどを添加することができる。
(カルシウム塩)
本発明は、コンクリート改質剤とカルシウム塩とあらかじめ水中で混合する。カルシウム塩としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、硝酸カルシウムが挙げられる。これらの中でも、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、硝酸カルシウム等の水溶性カルシウムを用いることが好適である。水溶性カルシウム塩とは、水への溶解度が1重量%以上の溶解性を有するものを意味する。これらのカルシウム塩の中でも特に、水酸化カルシウムが、コンクリート表面に対するアルカリ付与という観点から好適である。
本発明は、コンクリート改質剤とカルシウム塩とあらかじめ水中で混合する。カルシウム塩としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、硝酸カルシウムが挙げられる。これらの中でも、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、硝酸カルシウム等の水溶性カルシウムを用いることが好適である。水溶性カルシウム塩とは、水への溶解度が1重量%以上の溶解性を有するものを意味する。これらのカルシウム塩の中でも特に、水酸化カルシウムが、コンクリート表面に対するアルカリ付与という観点から好適である。
炭酸カルシウム系充填材としては、炭酸カルシウムを主成分とした充填材であれば特に限定されないが、例えば、貝殻未焼成カルシウムが特に好適である。なお、ここで主成分とは充填材中50重量%以上を占める成分を意味する。ここで、貝殻未焼成カルシウムの原料となる貝としては、二枚貝網や巻貝綱に属する貝類が挙げられ、これらの中でも、三層構造をなす貝殻の中間部の炭酸カルシウムが六方晶系の方解石型である二枚貝綱に属する貝類が好適であり、例えば、ホタテ、カキ、ホッキ、アサリ、シジミ等が挙げられる。これらの貝類は、貝殻が大きく、材料が容易に得られる点でホタテが最適である。更に、貝殻由来の炭酸カルシウム系充填材の中でも、微量たんぱく質が残存したままである未焼成のものがより好適である。貝殻特有の炭酸カルシウムと微量たんぱく質複合体の存在により、より高い強度や曲げ靭性を当該充填材が有する結果、より一層のひび割れ閉塞を達成できる。特に好適な貝殻由来の炭酸カルシウム系充填材の組成は、炭酸カルシウムが96〜98重量%、ナトリウム、マグネシウム等のミネラルを1〜3重量%、1重量%以下のタンパク質が挙げられる。また、ホタテの場合は、炭酸カルシウムを主成分(96〜98重量%)とし、微量のタンパク質(0.01〜0.8重量%)、その他微量ミネラル(1.2〜4.0重量%)を含有している。
(補強工法)
本発明の補強工法は、主に2工程からなり、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する第一工程と、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する第二工程である。このように、カルシウム塩を含有しない第一の組成物と、カルシウム塩を含有する第二の組成物とをコンクリート表面に供給することで、高い強度を有するコンクリート表面が得られる。本法においては、粘度の高い組成物を先に供給することが好適である。特に、第一工程と第二工程をこの順序で実施することによって、カルシウム塩を含有しない第一の組成物によりコンクリート表面を処理した後に、カルシウム塩を含有する第二の組成物によってコンクリート表面を処理する工程を有することによって、施工による改質効果が顕著になる。
本発明の補強工法は、主に2工程からなり、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する第一工程と、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する第二工程である。このように、カルシウム塩を含有しない第一の組成物と、カルシウム塩を含有する第二の組成物とをコンクリート表面に供給することで、高い強度を有するコンクリート表面が得られる。本法においては、粘度の高い組成物を先に供給することが好適である。特に、第一工程と第二工程をこの順序で実施することによって、カルシウム塩を含有しない第一の組成物によりコンクリート表面を処理した後に、カルシウム塩を含有する第二の組成物によってコンクリート表面を処理する工程を有することによって、施工による改質効果が顕著になる。
第一工程の前に、コンクリート表面を湿潤状態にするために水を散布する工程を有していてもよい。
(第一工程)
第一工程では、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤と水を含有する第一の組成物と供給する。第一の組成物の調製方法は、特に限定されないが、コンクリート改質剤を、水によって希釈してよく攪拌する方法が挙げられる。ここで、コンクリート改質剤は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有し、先述のものから選択可能である。
第一工程では、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤と水を含有する第一の組成物と供給する。第一の組成物の調製方法は、特に限定されないが、コンクリート改質剤を、水によって希釈してよく攪拌する方法が挙げられる。ここで、コンクリート改質剤は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有し、先述のものから選択可能である。
第一の組成物中のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量は、第一の組成物の全量に対して、0.01〜40重量%が好適であり、0.1〜30重量%がより好適であり、1〜20重量%更に好適である。当該範囲の含有量とすることによって、適度な粘度を有する組成物が得られ、第一の組成物をコンクリート表面に供給することにより細部にコンクリート改質剤が行きわたる。また、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、組成物の粘度を調製するために適宜変更できる。
コンクリート表面への供給方法は、適用する対象に併せて適宜変更可能であり、表面への塗布であっても、クラック等への注入であってもよい。塗布の場合、第一の組成物を、噴霧器、刷毛、ローラー等(施工場所状況により選択)にて塗布しコンクリート面に浸透させる。注入の場合、注射器等の付圧手段を用いて、クラック内に注入する。
第一の組成物の粘度は、1〜15mPa・Sが好適であり、1〜10mPa・Sが好適であり、1〜3mPa・Sが好適である。当該粘度とすることによって、第一工程によって対象コンクリートの隅々の細部まで組成物がいきわたり施工効果を高めることができる。特に1〜3mPa・Sでは、細部まで組成物が到達し易くなる。
ここで、コンクリート表面1m2当たりの第一の組成物の使用量は、例えば、30〜500ml/m2が好適であり、50〜300ml/m2がより好適であり、70〜200ml/m2が更に好適である。
上記の第一の組成物の供給後、乾燥する前に水を30〜70ml/m2、散布し湿潤養生する工程を有していてもよい。また、第一の工程を数回繰り返してもよい。
(第二工程)
第二工程では、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する。当該工程においてあらかじめコンクリート改質剤とカルシウム塩を混合した水溶液を使用することによって、高い施工効果を発揮する。
第二工程では、コンクリート表面に対して、コンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する。当該工程においてあらかじめコンクリート改質剤とカルシウム塩を混合した水溶液を使用することによって、高い施工効果を発揮する。
第二の組成物の調製方法は、特に限定されないが、コンクリート改質剤と、飽和カルシウム塩水溶液とを混合してよく攪拌することが好適である。このようにコンクリート改質剤と飽和カルシウム塩水溶液とを混合することで、均一性の高い組成物が得られる。
コンクリート改質剤は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有し、先述のものから選択可能である。また、カルシウム塩も先述のものから選択可能である。
第二の組成物のカルシウム塩の添加量は、アルカリ金属ケイ酸塩100重量部に対して、0.1〜50重量部が好適であり、0.1〜20重量部がより好適であり、0.1〜5重量部が更に好適である。このような範囲の比率とすることにより、組成物が完全に硬化せず、液体状態が保たれるため、施工における取扱が容易となると共に、ケイ酸塩が部分的に架橋した状態が形成されるため、第一の工程において、施工された塗膜と結合することにより、高い強度を有するコンクリート表面を形成することができる。また、カルシウム塩の添加量をこのような範囲とすることによって、施工対象のコンクリートに対してアルカリ付与が顕著になる。
第二の組成物中のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量は、0.01〜40重量%が好適であり、0.1〜30重量%がより好適であり、1〜20重量%更に好適である。当該範囲の含有量とすることによって、適度な粘度を有する組成物が得られ、第二の組成物をコンクリート表面に供給することにより、適度な粘性を有する組成物が得られ、更に、完全硬化後の硬化物が緻密になるという効果を奏する。また、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は、組成物の粘度を調製するために適宜変更できる。
コンクリート表面への供給方法は、適用する対象に併せて適宜変更可能であり、表面への塗布であっても、クラック等への注入であってもよい。塗布の場合、第二の組成物を、噴霧器、刷毛、ローラー等(施工場所状況により選択)にて塗布しコンクリート面に浸透させる。注入の場合、注射器等の付圧手段を用いて、クラック内に注入する。
新設及び既設のコンクリート表面に使用する場合、第二の組成物の粘度は、1〜15mPa・Sが好適であり、1〜10mPa・Sが好適であり、1〜5mPa・Sが好適である。このような範囲とすることによって、コンクリート表面に施工し易くなり、更に、部分的に架橋したケイ酸塩が含まれるため、硬化後のコンクリート表面の強度が高くなる。
また、新設及び既設のコンクリート表面を施工する場合、第一の組成物P1に対する第二の組成物の粘度P2の比([P2]/[P1])は、0.5〜2.0が好適であり、0.5〜1.5がより好適であり、0.5〜1.0が更に好適である。このような範囲とすることによって、第一の組成物と第二の組成物の粘度がほとんど変化せずに隅々まで第二の組成物をいきわたらせることができる。また、第一の組成物と、第二の組成物の二回の適用を行うことによって、第二の組成物のケイ酸塩の一部が、添加されたカルシウム塩によって部分的に組織化された状態で、コンクリート表面に供給されるため、既に施工された第一の組成物と結合して、高い施工効果が発揮される。尚、粘度は溶液の水分の含有量によって調整することができる。
クラックを有するコンクリートに使用する場合、第二の組成物の粘度は、10〜20mPa・Sが好適であり、11〜18mPa・Sが好適であり、12〜15mPa・Sが好適である。このような範囲とすることによって、クラック内部に第二の組成物が留まりやすくなりクラック閉塞を行い易くなり、高い透水抑制効果を得ることができる。組成物の粘度については、炭酸カルシウム塩を組成物の中に含有させることや、溶液の水分の含有量によって、調整することができる。
また、クラックを有するコンクリートに対して施工する場合、第一の組成物P1と、第二の組成物P2の粘度の比([P2]/[P1])は、1.1〜10.0が好適であり、2.0〜10.0がより好適であり、5.0〜10.0が更に好適である。このような範囲とすることによって、第一の組成物により隅々までいきわたらせることができ、更に、第二の組成物によってクラックを閉塞することができ、これらの工程の組合せにより特に透水抑制効果が顕著となる。また、第一の組成物と、第二の組成物の二回の適用を行うことによって、第二の組成物のケイ酸塩の一部が、添加されたカルシウム塩によって部分的に組織化された状態で、コンクリート表面に供給されるため、既に施工された第一の組成物と結合して、高い施工効果が発揮される。
ここで、コンクリート表面1m2当たりの第二の組成物の使用量は、例えば、30〜500ml/m2が好適であり、50〜300ml/m2がより好適であり、70〜200ml/m2が更に好適である。
最終工程として散水し(30〜70ml/m2)、組成物の残存が確認された場合は、ブラッシング等で洗浄し、コンクリート表面に組成物を残存させないように洗浄する工程を有していてもよい。すべての工程終了後に、自然乾燥させる。
本発明の工法は、既設及び新設のコンクリートが適用対象となる。コンクリートの種類は特に限定されず、例えば、普通コンクリート、高強度コンクリート、低発熱コンクリート、水中不分離コンクリート、水中コンクリート、工場製品コンクリート、海洋コンクリート、吹付けコンクリート、繊維補強コンクリート、プレパックドコンクリート、高流動コンクリート、軽量(骨材)コンクリート、鋼コンクリート合成構造、プレストレストコンクリート、再生骨材コンクリート等を挙げることができる。尚、例えば、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム等の混和材が混合されていてもよい。
本発明の補強工法をコンクリートに適用することによって、高い動弾性係数を得ることができ、さらに、高い透水防止効果を発揮する。クラックを有するコンクリートに本発明の補強工法を適用することによっても、クラックの閉塞を行なうことができると共に、当該クラックからの透水を防止することができる。更に、コンクリートの凍結融解に対しても高い耐性を発揮する。
特に既設コンクリートに本発明の補強工法を適用した場合には、アルカリ付与効果を発揮する。すなわち、第二の組成物中に含まれる水酸化カルシウム等のアルカリ性カルシウム塩を使用することによってアルカリ成分をコンクリート表面上に付与することができる。
本発明の下記のコンクリート改質剤(以下、「OS」と標記)を用いて、各種実験を行なった。リチウムシリケート45(日産化学工業株式会社製、水溶液100重量部に対してSiO2 20.0〜21.0重量部、Li2O 2.1〜2.4重量部、SiO2/Li2Oモル比 4.5)85.70gをビーカーに計り取り、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、純度97%)4.12gをガラス棒でよく混ぜながら少量ずつ、投入した量が溶解しきってから順次加えた。水酸化ナトリウムが全量溶けきってから、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、純度86%)1.96gを少量ずつ投入し、溶解しきったところへイオン交換水8.22gを静かに加え、ガラス棒でよく攪拌して本製造例に係るケイ酸リチウム系表面改質剤の原液を得た(粘度:7.32mPa・s)(以下当該改質剤を「OS」と標記する。)。尚、表1に各成分の組成を示した。
リチウムシリケート45に変えてナトリウムシリケートを用いた以外は上記のOSと同様にして得られたコンクリート改質剤(以下、「NS」と標記する。)、市販品コンクリート改質剤A(ナトリウムシリケート、カリウムシリケートを含有するケイ酸ナトリウム系改質剤)(以下「A」と標記する。)、市販品コンクリート改質剤B(ケイ酸塩系改質剤)(以下「B」と標記する。)、市販品コンクリート改質剤C(ケイ酸ナトリウム系改質剤)(以下「C」と標記する。)、市販品コンクリート改質剤D(ケイ酸塩系改質剤)(以下「D」と標記する。)、を用いて、各種実験を行なった。
(粘度変化試験)
上記のコンクリート改質剤とカルシウム塩(水酸化カルシウム(以下「CH」と標記する。))との混合により粘度が変化することを確認した。
上記のコンクリート改質剤とカルシウム塩(水酸化カルシウム(以下「CH」と標記する。))との混合により粘度が変化することを確認した。
希釈液(第一の組成物)
コンクリート改質剤(上記「OS」)と、水とを1:1の容積比率で混合した組成物(水溶液中のリチウムシリケートの含有量:約9重量%)の粘度を表2に示した(OS希)。コンクリート改質剤「OS」を、「NS」、「A」、「B」、「C」又は「D」として、表に記載した希釈率の溶液、又は、原液の粘度を表2に示した。
コンクリート改質剤(上記「OS」)と、水とを1:1の容積比率で混合した組成物(水溶液中のリチウムシリケートの含有量:約9重量%)の粘度を表2に示した(OS希)。コンクリート改質剤「OS」を、「NS」、「A」、「B」、「C」又は「D」として、表に記載した希釈率の溶液、又は、原液の粘度を表2に示した。
カルシウム塩混合液(第二の組成物)
コンクリート改質剤の原液(上記「OS」)と、カルシウム塩飽和水溶液(水酸化カルシウム:0.17 g/100cm3)と、を1:3の溶積比([Ca(OH)2]の[SiO2]に対するモル比:約0.02、リチウムシリケート100重量部に対する水酸化カルシウムの含有量:約3重量部、組成物中のリチウムシリケートの含有量:約5重量%)で混合した組成物の最高粘度を表3に示した(OS+CH)。
コンクリート改質剤の原液(上記「OS」)と、カルシウム塩飽和水溶液(水酸化カルシウム:0.17 g/100cm3)と、を1:3の溶積比([Ca(OH)2]の[SiO2]に対するモル比:約0.02、リチウムシリケート100重量部に対する水酸化カルシウムの含有量:約3重量部、組成物中のリチウムシリケートの含有量:約5重量%)で混合した組成物の最高粘度を表3に示した(OS+CH)。
コンクリート改質剤「OS」を、「NS」、「A」、「B」、「C」又は「D」とした以外、上記と同様にして、カルシウム塩を含有する希釈液を調整して得られた組成物の最高粘度を表3に示した。併せて、「OS」とカルシウム塩とケイ酸ソーダ3号の混合組成物についても最高粘度を測定して表3に示した。カルシウム塩の混合により組成物の粘度は500時間まで変化するが、それ以降は一定に維持され、NS・C・Dを除く製品では、アルカリケイ酸塩の濃度が、表2の組成物よりも希釈されているにもかかわらず、水酸化カルシウムの混合により粘度が上昇することが確認された。
(粘度の測定方法)
粘度は、音叉型振動式粘度計(エーアンドデイ社製 SV−10)により測定を行った。溶液35ccを専用容器に入れ、測定台に乗せて、測定を行った。
粘度は、音叉型振動式粘度計(エーアンドデイ社製 SV−10)により測定を行った。溶液35ccを専用容器に入れ、測定台に乗せて、測定を行った。
(実施例1〜6:既設コンクリートへの補強工法の施工)
本発明の補強工法を既設コンクリートに対して施工した。ここで、用いた既設コンクリートは、平成20年打設の凍結融解試験(JIS
A 1148)後の供試体を使用した。詳細な情報を以下の表4に示す
本発明の補強工法を既設コンクリートに対して施工した。ここで、用いた既設コンクリートは、平成20年打設の凍結融解試験(JIS
A 1148)後の供試体を使用した。詳細な情報を以下の表4に示す
各種コンクリート改質剤を用いて、以下の表6の条件で実施例1〜6の本発明の補強工法を行なった。希釈液(第一の組成物)の塗布時の粘度は、上記の表2に示した粘度である。塗布方法の標記は、「塗布した組成物(塗布量)」で示し、例えば、「OS希(100ml/m2) ⇒OS+CH(100ml/m2)」とは、表2の「OS希」の組成物(溶液)を100ml/m2塗布した後に、表3「OS+CH」の組成物(溶液)を100ml/m2塗布したことを意味する。実施例1において「OS+CH」の塗布粘度は、1.6mPa・Sであった。
(比較例1〜6)
各種コンクリート改質剤を用いて、以下の表7の条件で比較例1〜6の補強工法を行なった。
各種コンクリート改質剤を用いて、以下の表7の条件で比較例1〜6の補強工法を行なった。
(動弾性係数試験)
試験開始前の動弾性係数値を凍結融解試験(JIS
A 1148)の劣化限界値60%とし、各塗布種類の塗布後日数7、14、28、42日の結果を表8〜表13に、試験結果まとめを表14に示す。なお、表中の実施例及び比較例は、上記表6及び表7記載の方法により処理した試験体について行った試験の結果を意味する。
試験開始前の動弾性係数値を凍結融解試験(JIS
A 1148)の劣化限界値60%とし、各塗布種類の塗布後日数7、14、28、42日の結果を表8〜表13に、試験結果まとめを表14に示す。なお、表中の実施例及び比較例は、上記表6及び表7記載の方法により処理した試験体について行った試験の結果を意味する。
以上、得られた結果を表14にまとめた。表14よりOS+CH混合塗布でOS塗布より16%も高い動弾性係数値となった。また、他ケイ酸系についても数値が上がる傾向が見られた。
(透水試験:既設コンクリート)
凍結融解試験後(劣化)供試体に塗布を実施した。塗布方法については上記の動弾性係数試験と同様に塗布した。塗布後14日で従来工法とCH混合工法で透水試験を実施した。表15よりOS+CH混合塗布(実施例1)でカルシウム塩をあらかじめ混合しない比較例1より14%高い透水抑制率となった。また、他ケイ酸系についても若干ではあるが抑制率上がる傾向が見られた。なお、表中の実施例及び比較例は、上記表6及び表7記載の方法により処理した試験体について行った試験の結果を意味する(以下同様)。
凍結融解試験後(劣化)供試体に塗布を実施した。塗布方法については上記の動弾性係数試験と同様に塗布した。塗布後14日で従来工法とCH混合工法で透水試験を実施した。表15よりOS+CH混合塗布(実施例1)でカルシウム塩をあらかじめ混合しない比較例1より14%高い透水抑制率となった。また、他ケイ酸系についても若干ではあるが抑制率上がる傾向が見られた。なお、表中の実施例及び比較例は、上記表6及び表7記載の方法により処理した試験体について行った試験の結果を意味する(以下同様)。
(透水試験:新設コンクリート)
上記、動弾性係数試験と同様に下記表17、表18の新設対象供試体についても粘度の低い順に塗布を行った。塗布方法については表19と表20に示す。比較例12では、「D」に関しては、カタログの製品の標準塗布量が、5〜10m2/mlであるが、実施例12と同様の塗布条件を同じにするため100m2/mlで塗工した。塗布後14日でCH混合工法と従来工法で透水試験を実施した。表21より実施例7(OS+CH混合塗布)で比較例7(OS塗布)より13%高い透水抑制率となった。また、他ケイ酸系についても若干ではあるが抑制率上がる傾向が見られた。
上記、動弾性係数試験と同様に下記表17、表18の新設対象供試体についても粘度の低い順に塗布を行った。塗布方法については表19と表20に示す。比較例12では、「D」に関しては、カタログの製品の標準塗布量が、5〜10m2/mlであるが、実施例12と同様の塗布条件を同じにするため100m2/mlで塗工した。塗布後14日でCH混合工法と従来工法で透水試験を実施した。表21より実施例7(OS+CH混合塗布)で比較例7(OS塗布)より13%高い透水抑制率となった。また、他ケイ酸系についても若干ではあるが抑制率上がる傾向が見られた。
(クラック閉塞試験:実施例14)
新設対象供試体を割裂後、0.2mm〜0.3mm程度のクラックとなるよう拘束し、模擬ひび割れを作成した。閉塞を行う材料は補助剤の水酸化カルシウム(粉末)と炭酸カルシウム系充填材(貝殻未焼成カルシウム(以下「HTC」とする。))を混合し、さらにケイ酸塩系改質剤(OS)を加え、溶解させたものを用いた。尚、この組成物の粘度は、12.3mPa・Sであった。注入1週間後に供試体をカットし、カット面をデジタル顕微鏡で観察した。結果を図1に示す。以上より、50mm付近まで注入剤がクラックを閉塞しているのが観察された。
新設対象供試体を割裂後、0.2mm〜0.3mm程度のクラックとなるよう拘束し、模擬ひび割れを作成した。閉塞を行う材料は補助剤の水酸化カルシウム(粉末)と炭酸カルシウム系充填材(貝殻未焼成カルシウム(以下「HTC」とする。))を混合し、さらにケイ酸塩系改質剤(OS)を加え、溶解させたものを用いた。尚、この組成物の粘度は、12.3mPa・Sであった。注入1週間後に供試体をカットし、カット面をデジタル顕微鏡で観察した。結果を図1に示す。以上より、50mm付近まで注入剤がクラックを閉塞しているのが観察された。
(クラック閉塞試験‐透水試験:実施例14)
上記クラック閉塞と同様に新設対象供試体を割裂後、0.2mm〜0.3mm程度のクラックとなるよう拘束し、模擬ひび割れを作成した。注入を行う試験面の裏にアクリル円筒を貼り付け、クラック閉塞前と閉塞後で透水試験を実施した。また、注入後の透水開始までの時間は1時間とした。以下の表23、図2に結果を示す。以上より、OS+CH+HTCをクラックに注入することで水が止まり、クラック閉塞効果が確認された。比較として、クラック閉塞前のコンクリートの透水試験も行なった(コントロール)。
上記クラック閉塞と同様に新設対象供試体を割裂後、0.2mm〜0.3mm程度のクラックとなるよう拘束し、模擬ひび割れを作成した。注入を行う試験面の裏にアクリル円筒を貼り付け、クラック閉塞前と閉塞後で透水試験を実施した。また、注入後の透水開始までの時間は1時間とした。以下の表23、図2に結果を示す。以上より、OS+CH+HTCをクラックに注入することで水が止まり、クラック閉塞効果が確認された。比較として、クラック閉塞前のコンクリートの透水試験も行なった(コントロール)。
(アルカリ性付与効果:比較例1、実施例1)
中性化が進行している供試体に「OS」(比較例1)又は「OS+CH」(実施例1)を塗布し、カット後にフェノールフタレインを噴霧した。結果を図3に示す。写真より、OS+CH塗布により表層付近の内部で赤色に反応しているため、アルカリ性回復効果があることが確認された。
中性化が進行している供試体に「OS」(比較例1)又は「OS+CH」(実施例1)を塗布し、カット後にフェノールフタレインを噴霧した。結果を図3に示す。写真より、OS+CH塗布により表層付近の内部で赤色に反応しているため、アルカリ性回復効果があることが確認された。
(一面凍結融解試験(RILEM CDF法):比較例7、実施例7)
新設対象コンクリートにおいてRILEM CDF法に準拠し、スケーリング耐久性について確認した。以下の表24、図4に結果を示す。スケーリング量抑制率より、本発明の方法(実施例7)では、28サイクル時ではOS(比較例7)との差が5%とほとんど変わらないが、56サイクル時では16%と差が見られた。
新設対象コンクリートにおいてRILEM CDF法に準拠し、スケーリング耐久性について確認した。以下の表24、図4に結果を示す。スケーリング量抑制率より、本発明の方法(実施例7)では、28サイクル時ではOS(比較例7)との差が5%とほとんど変わらないが、56サイクル時では16%と差が見られた。
以上の試験結果より、ケイ酸塩系の反応剤となる水酸化カルシウムを混合し、あらかじめ生成物を作製させ、それを塗布することにより性能が向上することが確認された。混合させてから塗布することで、反応を促進させた状態の塗布が可能となり、従来のケイ酸塩系よりもより表層付近で緻密化されると考えられる。また、クラック閉塞についても水酸化カルシウム、炭酸カルシウム系充填材を併用することにより、ゲルが固化し、閉塞されることが確認された。
Claims (15)
- コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤及び水を含有する第一の組成物を供給する工程と、
コンクリート表面に対して、アルカリ金属ケイ酸塩を含有するコンクリート改質剤、カルシウム塩及び水を含有する第二の組成物を供給する工程を有し、
前記第二の組成物が、前記コンクリート改質剤とカルシウム塩とがあらかじめ混合された組成物であることを特徴とする、コンクリート補強工法。 - 前記第二の組成物の前記カルシウム塩の添加量が、アルカリ金属ケイ酸塩100重量部に対して、0.1〜50重量部である、請求項1記載のコンクリート補強工法。
- 前記第二の組成物の前記カルシウム塩が、水酸化カルシウムである、請求項1又は2記載のコンクリート補強工法。
- 前記第二の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、請求項1〜3のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第一の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、請求項1〜4のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第一の組成物の粘度P1に対する、前記第二の組成物の粘度P2の比([P2]/[P1])が、0.5〜2.0である、請求項1〜5のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第二の組成物のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量が、0.01〜40重量%である、請求項1〜6のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第一の組成物のアルカリ金属ケイ酸塩の含有量が、0.01〜40重量%である、請求項1〜7のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記コンクリートが、新設コンクリートである、請求項1〜8のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記コンクリートが、既設コンクリートである、請求項1〜8のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記コンクリートが、クラックを有する既設コンクリートである、請求項1〜3のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第二の組成物が、炭酸カルシウム系充填材を含む、請求項11記載のコンクリート補強工法。
- 前記第二の組成物の粘度が、10〜20mPa・Sである、請求項11又は12記載のコンクリート補強工法。
- 前記第一の組成物の粘度が、1〜10mPa・Sである、請求項11〜13のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
- 前記第一の組成物の粘度P1に対する、前記第二の組成物の粘度P2の比([P2]/[P1])が、1.1〜5.0である、請求項11〜14のいずれか一項記載のコンクリート補強工法。
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