JP2014195821A - 加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 端面近傍部分の欠陥の増大を引起すことなく、加工対象物の強度を向上させることができる加工装置を提供する。【解決手段】 加工対象物3の表面4に光を照射することによって加工対象物3の端面加工を行う加工装置1は、光源11から出射された光を、加工対象物3の表面4上の加工対象物3の端面5から所定距離Dだけ内側の位置に、導光部12によって導光して照射させる。加工対象物3の表面4上における光の照射位置21は、欠陥率の高い加工対象物の端面近傍部分よりも内側の位置である。加工対象物3に対する光照射と並行して、加工装置1は、導光部3から照射された光の照射方向Zに垂直な方向Yに、加工対象物3を相対的に移動させる。この結果、加工対象物3の表面4上の端面5から所定距離Dだけ内側の位置に、線状の加工構造24が形成される。【選択図】 図1

Description

本発明は、加工対象物の表面に光を照射することによって、前記加工対象物の加工を行う加工装置に関する。
従来、液晶パネル用のガラス基板に代表される電子デバイス向けのガラス基板は、1枚のガラス板を所定の大きさになるように切断することで得られる。切断後のガラス基板は、切断面である端面が鋭利な状態になっていることが多い。切断後のガラス基板の端面が切断時の状態のままであれば、前記ガラス基板に加工を施す際に、前記ガラス基板の取扱いに際して注意が必要になる。また、切断後のガラス基板の端面が切断時の鋭利な状態のままであれば、前記ガラス基板の端面に他の物体が衝突した際に、前記ガラス基板が割れ易いという問題が生じる。このように、切断後のガラス基板に関し、切断面が未処理な状態におけるガラス基板自体の強度の改善が求められている。
上述したように、切断後のガラス基板に代表される加工対象物は、加工対象物自体の強度を向上するために、切断面である端面を処理することが好ましい。従来技術の端面処理の一例としては、加工対象物の端面を面取りする手法である。しかしながら、加工対象物であるガラス基板の厚みが0.5mm以下である場合、前記加工対象物の端面に面取り処理を適用することは一般的には難しい。
また、従来技術の端面処理の他の例としては、加工対象物の端面を含む端面近傍部分の複数箇所に熱的影響の強い超短パルス状のレーザ光を照射して、加工対象物の端面近傍部分に補強用の加工構造を熱的に作る手法である。補強用の加工構造が加工対象物に作成された場合、加工対象物の曲げ強度などが向上する。しかしながら、切断後の加工対象物の端面近傍部分は、前記加工対象物の残余部分よりも、割れ要因となる欠陥が多く存在する部分である。このため、加工対象物において割れ要因が潜在的に存在し易い端面近傍部分にレーザ光を直接照射する手法では、レーザ光による加工中に加工対象物が割れてしまうことがある。
ガラス基板に対するレーザ光を用いた加工に関する従来技術として、特許文献1のガラス板表面傷部の平滑化方法が挙げられる。特許文献1の平滑化方法は、加工対象物であるガラス板を予熱することなしに、所定のパルス距離、所定の照射断面積、および所定の平均パワー密度を満たす炭酸ガスレーザ光線をガラス板の表面傷部に照射して表面を溶融し平滑化する方法である。特に、特許文献1の平滑化方法では、歪点が500℃ 以上のガラス板に対しては、パルスレーザ光線のパルス距離が1μ秒〜500m秒であり、前記パルスレーザ光線の前記ガラス板に照射される面の照射断面積が0.0001mm〜80mmであり、前記照射される面の断面に照射される前記パルスレーザ光線の平均のパワー密度が2〜2500000W/mmであることを特徴とする。この結果、ガラス基板の表面近傍のみが軟化され直ちに冷却されるので、ガラス基板の広い範囲の残留応力が低減された状態のまま表面傷部が平滑化される。
特許文献1の平滑化方法は、ガラス基板表面上の傷部にレーザ光線を直接照射して、ガラス基板表面を平滑化するための方法である。ゆえに、ガラス基板の表面のレーザ光照射済みの部分は、前記表面の残余部分と同等に平滑化された状態になっている。すなわち、端面処理のために特許文献1の平滑化方法を用いてガラス基板の端面近傍部分のレーザ光を照射した場合、端面近傍部分に補強用の熱的な加工構造は形成されないため、端面加工の効果が得られない。また、特許文献1の平滑化方法が用いられる場合、ガラス基板に照射されるレーザ光が、パルスレーザ光線に特化して条件が限定されているため、他の光源を用いることは困難である。
特開2007−284270号公報
本発明の目的は、ガラス基板などで実現される加工対象物に光を照射して加工構造を作成する加工装置において、加工対象物の端面近傍部分の欠陥の増大を引起すことなく、加工対象物の強度を向上することができる加工装置を提供することである。
本発明は、板状の加工対象物の表面に光を照射することによって、前記加工対象物の加工を行う加工装置であって、
前記加工対象物に対して照射すべき光を出射する光源と、
前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面から所定距離だけ内側の位置に、前記光源から出射された光を導光して照射する導光部と、
前記加工対象物を、前記導光部から照射された光の照射方向に垂直な方向に相対的に移動させる照射位置移動部とを含むことを特徴とする加工装置である。
また本発明は、前記導光部は、前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面からそれぞれ所定距離だけ内側の複数の位置に、前記光源から出射された光をそれぞれ導光することを特徴とする。
さらにまた本発明は、前記導光部は、前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面から所定距離だけ内側で、かつ前記加工対象物の厚み方向に相互に対面する位置に、前記光源から出射された光をそれぞれ導光して照射させることを特徴とする。
さらにまた本発明は、前記光源と前記導光部との間に介在され、前記光源から出射された光を複数の光路に分岐させる光路分岐部をさらに含み、
前記導光部は、前記光路分岐部によって分岐された複数の光路の光を、前記加工対象物の表面上の複数の位置に、それぞれ導光して照射させることを特徴とする。
また本発明は、前記光源から前記導光部を経て前記加工対象物の表面に至る光路内に配置される集光レンズと、
前記集光レンズを通過して前記加工対象物の表面に照射される光の集光状態を変化させるための集光状態変化部とをさらに含むことを特徴とする。
さらにまた本発明は、前記加工対象物の表面上における光の照射位置と前記加工対象物の端面との距離は、50μm以上200μm以下であることを特徴する。
以上のように本発明によれば、本発明の加工装置は、板状の加工対象物の表面上の加工対象物の端面から所定距離だけ内側の位置に、光源からの光を導光して照射させ、同時に、前記照射された光の照射位置を、照射された光の照射方向に垂直な方向に、加工対象物の表面上を相対的に移動させる。以上の結果、加工対象物の表面上における光の照射位置付近の部分がわずかに溶融され、光照射終了後に溶融された部分が凝固する。このようにして、加工対象物の表面上の端面から所定距離だけ内側の位置に、補強用の線状の加工構造が、光加工を用いて形成される。したがって、加工対象物の端面から所定距離未満の部分に光加工の影響を及ぼすことなく、加工対象物の強度を高めることができる。これによって、光加工後の加工対象物の歩留まりを向上することができる。
また本発明によれば、本発明の加工装置は、加工対象物の表面上の複数の位置に、光源からの光を導光して照射させる。加工対象物の表面上の各位置における光の照射位置は、加工対象物の端面からそれぞれ所定距離だけ内側である。この結果、加工対象物の表面上で端面から所定距離だけ内側である複数の各位置に、線状の加工構造が光加工を用いてそれぞれ形成される。これによって、加工対象物の端面から所定距離未満の部分に光加工の影響を及ぼすことなく、加工対象物の強度をより高めることができる。また、本発明の加工装置は、前記光加工後の加工対象物の反りなどを防止することができる。これらによって、光加工後の加工対象物の歩留まりをより向上することができる。
さらにまた本発明によれば、本発明の加工装置は、加工対象物の端面以外の複数の表面上に、光源からの光を導光して照射させる。加工対象物の各表面上における光の照射位置は、加工対象物の端面からそれぞれ所定距離だけ内側であり、かつ、加工対象物の厚み方向に相互に対面する位置である。この結果、各表面上に照射される照射光を互いに相互作用させることができる。これによって、照射位置が相互に対面していない構成の加工装置よりも、照射位置が相互に対面する本発明の構成の加工装置のほうが、より低いエネルギの光を用いて、加工対象物に所定の加工構造を形成することができる。これによって、本発明の加工装置の使い勝手をさらに向上することができる。
さらにまた本発明によれば、単一の光源からの光を複数の光路に分岐させ、分岐された複数の各光路の光を、加工対象物の端面以外の複数の各表面にそれぞれ導光して照射させる。この結果、加工対象物の各表面に対する照射光に関し、光源の差に起因する各表面上における照射光の強度分布の差の影響を無くすことができる。これによって、加工対象物に対する光照射時に、各表面の光の照射位置近傍の温度上昇の制御がし易くなるため、加工精度をより向上することができる。したがって、光加工後の加工対象物の歩留まりをさらに向上することができる。
また本発明によれば、集光レンズと集光状態変化部とをさらに含む。集光レンズは、光源から導光部を経て加工対象物の表面に至る光路内に配置される。集光状態変化部は、集光レンズ通過後に加工対象物の表面に照射される光の集光状態を変化させる。これらの結果、集光レンズおよび集光状態変化部による光の集光状態の変化によって、加工対象物の表面上の照射位置における光のエネルギを容易に制御することができる。これによって、加工対象物の加工精度をより向上することができる。
また、加工対象物の複数の各表面に光が並行して照射される場合、集光レンズおよび集光状態変化部は、光路分岐部から加工対象物の各表面に至る複数の光路内にそれぞれに設けられることが好ましい。この結果、分岐後の各光路の集光レンズ通過後の光の集光状態を個別に変化させることによって、加工対象物の各表面上の照射位置における光のエネルギを表面毎に個別かつ容易に制御することができる。これによって、加工対象物の加工精度をさらに向上することができる。
また本発明によれば、加工対象物の表面上の端面近傍部分の幅よりも加工対象物の端面から内側の位置に、光源からの光が導光されて照射され、同時に、導光された光の照射方向に垂直な方向に、前記導光された光の照射位置が加工対象物の表面上を移動する。端面近傍部分は、加工対象物の端面から所定距離未満の部分であって、加工対象物内部において残余部分よりも欠陥率の高い部分である。この結果、加工対象物の表面上において欠陥率の高い端面近傍部分よりも内側に光が照射される。これによって、端面近傍部分の欠陥の光照射に起因する増大を引起すことなく、加工対象物の強度を高めることができる。したがって、加工済の加工対象物の歩留まりを向上することができる。
さらにまた本発明によれば、加工対象物に導光された光の照射位置は、好ましくは、レーザ光の強度に応じて、加工対象物の表面の端面から50μm以上200μm以下の範囲内に設定される。これによって、加工対象物の内部において残余部分よりも欠陥率の高い端面近傍部分を避けつつ、加工対象物の周囲に補強用の加工構造を確実に形成することができる。
本発明の第1実施形態である加工対象物3の加工装置1の構成を示す側面図である。 第1実施形態の加工装置1における加工対象物3に対する光照射状態を説明するために加工対象物3を模式的に示す平面図である。 本発明の第2実施形態である加工対象物3の加工装置41の構成を示す側面図である。 第2実施形態の加工装置41における加工対象物3に対する光照射状態を説明するための加工対象物3の表面4側模式図および端面5側模式図である。 第2実施形態の加工装置41で取扱われる加工対象物3の他の構成を説明するための加工対象物3の端面側4模式図である。 本発明の第3実施形態である加工対象物3の加工装置51の構成を示す側面図である。 本発明の第4実施形態である加工対象物3の加工装置61の構成を示す側面図である。 本発明の第5実施形態である加工対象物3の加工装置71の構成を示す側面図である。
図1は、本発明の第1実施形態である加工対象物3の加工装置1の構成を示す側面図である。図2は、第1実施形態の加工装置1で加工される加工対象物3に対する光照射状態を説明するために加工対象物3を模式的に示す平面図である。なお、図1の紙面に垂直な方向を水平なX−Y平面、X−Y平面に垂直な鉛直方向をZ方向とし、後述の片面用試料配置部32に平面視で長方形の加工対象物3が水平に載置されるものとして、以下に説明する。
第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の補強のための端面処理を行うために、加工対象物3の表面4に光を照射する光加工を行う装置である。図1に示す第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の端面5以外の複数の表面4のうちのいずれか片側表面4に、光を照射する。加工対象物3が板状である場合、加工対象物3の端面5以外の複数の表面4は、加工対象物3の端面5を含む仮想平面にそれぞれ交差、たとえば直交する2つの主面である上側表面4aおよび下側表面4bである。
第1実施形態の加工装置1は、光源11と、導光部12と、照射位置移動部13とを少なくとも含む。光源11は、加工対象物3に対して照射すべき波長の光を出射する。導光部12は、加工対象物3の表面4上の加工対象物3の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の位置21に、光源11から出射された光を導光して照射する。
照射位置移動部13は、導光部12から照射された光に対する加工対象物3の位置を、導光部12から照射された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、相対的に移動させる。このために、照射位置移動部13は、光源11から導光部12を経て加工対象物3に至る光路の少なくとも一部分および加工対象物3のうちの少なくとも一方を移動させる。この結果、加工対象物3の表面4上において、加工対象物3の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の位置を、照射された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、導光された光の照射位置21が移動する。
加工対象物3の表面4上において、具体的には、光の照射位置21および照射位置21の周囲を含む照射範囲22内に、導光された光が照射される。加工対象物3の表面4上に対する光照射に伴い、加工対象物3の表面4上の光の照射位置21付近から加工対象物3内部に至る温度上昇範囲23に、光照射に起因する熱が伝導される。加工対象物3の温度上昇範囲23とは、詳しくは、加工対象物3の表面4上の照射範囲22を上面として、照射範囲22から加工対象物3の内部方向に向かって光照射に起因する熱が伝導される部分を指す。
温度上昇範囲23への熱伝導に伴い、加工対象物3の温度上昇範囲23の表面4側の少なくとも一部分がわずかに溶融される。光の照射位置21の移動に伴い、加工対象物3の温度上昇範囲23も移動する。照射位置21の移動後、加工対象物3の表面4側の溶融部分が再び凝固する。これらの結果、加工対象物3の表面4上の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の位置に、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24が形成される。これによって、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の端面5から離間距離D未満の部分に光照射の影響を直接及ぼすことなく、加工対象物3の強度を高めることができる。
加工対象物3は、たとえば、1枚の部材を所定の大きさに切断して得られる。切断によって得られた加工対象物3の内部において、切断面である端面5およびその近傍である端面近傍部分6は、加工対象物3の端面近傍部分6以外の残余部分よりも欠陥率が高いことが多い。そこで、第1実施形態の加工装置1において、好ましくは、加工対象物3の表面4上における光の照射位置21が、加工対象物3の表面4上において端面近傍部分6よりも加工対象物3の表面4の中心に近い位置に設定される。
すなわち、上述の構成である第1実施形態の加工装置1において、加工対象物3の表面4上であって上述の端面近傍部分6よりも端面5から内側の位置に、光源11からの光が導光されて照射され、同時に、導光された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、照射された光の照射位置21が、加工対象物3の表面4上を移動する。
この結果、加工対象物3の表面4上の端面近傍部分6よりも内側の位置に光が照射されるため、加工対象物3の端面近傍部分6の欠陥率が残余部分よりも高い場合、第1実施形態の加工装置1は、光照射に起因する端面近傍部分6の欠陥の増大を引起すことなく、加工対象物3の強度を高めることができる。したがって、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3を破損させることなく安全に、加工後の加工対象物3の歩留まりを向上させることができる。
上述したように、光源11からの光が加工対象物3の表面4上に対して照射される場合、加工対象物3の表面4上における光の照射位置21では、詳しくは、光源11から加工対象物3の表面4に至る光路9の軸線と加工対象物3の表面4との交点を中心として、略円形または略楕円形の照射範囲22内に光が照射される。加工対象物3の表面4上における照射光の強度と加工対象物3の表面4上の照射範囲22の大きさとに応じて、温度上昇範囲23の上面面積および深さならびに温度上昇範囲23の光照射時の温度上昇の度合いが定められる。なお、加工対象物3の温度上昇範囲23の上面は、照射光の強度および照射光の光束のビーム径に応じて、加工対象物3の表面4上の照射範囲22よりも拡大縮小していてもよい。また、加工対象物3の材質と温度上昇範囲23の大きさおよび温度上昇範囲23の光照射時の温度上昇の度合いに応じて、加工対象物3の表面4側の溶融部分の面積ならびに深さが定められる。
光源11は、たとえば、加工対象物3に対する光照射時に加工対象物3の表面4上の照射位置21付近の温度上昇範囲23の一部分を溶融可能な程度のエネルギを持つ光を出射可能な構成を有する。上述の条件を満たす光としては、加工対象物3の材質および構成に応じて、たとえば、赤外線、紫外線、可視光、およびその他の波長範囲の電磁波など、どのような光および電磁波であってもよい。また光源11は、好ましくは、加工時に照射範囲22および強度の調整がし易くなるように、所定波長のレーザ光を出射するレーザ光源11で実現される。
第1実施形態の加工装置1において、光照射を用いた加工対象物3の加工状態の制御は、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギを制御することで行われる。加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギの増減に伴い、加工対象物3の表面4の照射範囲22から内部に至る温度上昇範囲23の面積および深さが増減し、同時に、加工対象物3の温度上昇範囲23内の温度上昇量が増減する。この結果、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギの増減に伴い、光照射に起因する加工対象物3の温度上昇範囲23内の溶融部分の面積および深さが増減するため、光照射によって形成される加工構造24の大きさが増減することになる。
たとえば、第1実施形態の加工装置1の光源11が出射光の強度が可変な構成である場合、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギの増減は、光源11から出射される光自体の強度を増減することで制御される。またたとえば、第1実施形態の加工装置1の出射光の強度が所定強度に固定される場合、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギの増減は、加工対象物3の表面4上における照射光の集光状態を変化することで制御される。加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギは、具体的には、加工対象物3の表面4の照射範囲22内の照射光の強度分布によって表される。照射光の集光状態は、照射光の照射範囲22の大きさ、照射範囲22内の照射光の強度分布などに影響する。
第1実施形態の加工装置1は、好ましくは、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギの制御のために、集光レンズ15および集光状態変化部16をさらに含む。集光レンズ15は、光源11から導光部12を経て加工対象物3の表面4に至る光路9内のいずれかの位置に配置される。集光状態変化部16は、集光レンズ15通過後に加工対象物3の表面4に照射される光の集光状態を変化させる。
すなわち、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の表面4上の照射位置21において所謂デフォーカスの状態を意図的に作り、デフォーカス状態を制御することによって、デフォーカスの効果による照射光のエネルギ制御を可能にする。デフォーカス状態とは、フォーカスがあっていない状態、すなわち加工対象物3の表面4上の照射位置21と集光レンズ15の焦点とがずれている状態である。詳しくは、集光レンズ15に対する入射光のエネルギが固定であれば、集光レンズ15の焦点と加工対象物3の表面4上の照射位置21との間隔の増加に伴い、集光レンズ15通過後の光による加工対象物3の表面4上の照射範囲22が拡大するため、照射範囲22内の単位面積当たりの照射光のエネルギが減少する。
上述したように、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の表面4上の照射位置21における光の集光状態の変化によって、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギを容易に制御することができる。これによって、第1実施形態の加工装置1は、簡単な構成を用いて、加工対象物3の光加工精度をより向上させることができる。また集光レンズ15および集光状態変化部16を用いて集光状態を変化させる構成の第1実施形態の加工装置1は、出射光の強度が固定である光源11を利用可能である。ゆえに、集光レンズ15および集光状態変化部16を含む構成の第1実施形態の加工装置1は、出射光の強度が可変である光源11を用いる構成の加工装置よりも、光源11の構成を簡略化することができる。
また第1実施形態の加工装置1において、集光レンズ15を用いる集光状態の変化は、光源11から導光部12および集光レンズ15を経て加工対象物3の表面4に至る光路9内における集光レンズ15と加工対象物3の表面4上の照射位置21との位置関係の変化、集光レンズ15自体の厚みの変化、集光レンズ15内の光の通過位置の変化、および集光レンズ15の屈折率の変化などの少なくとも1つで実現される。また、光路9内の集光レンズ15と照射位置21との位置関係の変化は、所定長さの光路9内の集光レンズ15の位置の変化、および光路9自体の長さの変化の少なくとも一方で実現される。
第1実施形態の加工装置1の図1の具体例では、第1実施形態の加工装置1は、光路9内の集光レンズ15と加工対象物3の表面4上の照射位置21との位置関係を変化することで、集光状態を変化させている。このため、光路9内の集光レンズ15の位置が可変であり、かつ、光路9の長さが可変になるように、導光部12の少なくとも一部の部品の位置が可変に構成される。これによって、集光レンズ15および導光部12の部品の位置変化という比較的簡単かつ精密な制御が可能な手法で光の集光状態が変化させられるので、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の表面4上における照射光のエネルギを簡単かつ精密に制御することができる。これによって、第1実施形態の加工装置1は、簡単な構成を用いて、加工対象物3の光加工精度をさらに向上させることができる。
図2の加工対象物3の模式図は、加工対象物3を光の照射方向Zから見た図である。加工対象物3の表面4上において端面5から上述の端面近傍部分6の幅よりも広い所定の離間距離Dだけ内側の位置に、光がスポット状に照射される。スポット状の光の照射範囲22は、加工対象物3の表面4上の上述の離間距離Dだけ端面5から離れた位置を、加工対象物3の端面5に沿って移動し、スポット状の光の照射範囲22の移動軌跡26と同等の形状である線状の加工構造24が形成される。線状の加工構造24の幅は、たとえば、スポット状の光の照射範囲22の移動軌跡26と直交する方向の幅に応じて定められる。光源11からの光の強度が固定であれば、スポット状の光の照射範囲22の大きさは、光の集光状態に応じて変化する。
図2の例では、端面5の一端側から他端側へ端面5に沿って光の照射位置21が移動している途中を示す。照射位置21が端面5に沿って移動軌跡26の中で照射位置21が既に通過した部分は加工対象物3の表面4がスポット状に溶融し凝固しているので、線状の加工構造24の一部分が形成されている。なお図2の例では、加工構造24の未形成の残余部分を2点破線で示している。
第1実施形態の加工装置1において、加工対象物3は、光照射の対象となる表面4と、前記表面4と交差する端面5とを有する形状であればよい。具体例としては、ガラス基板などの略板状の部材が挙げられる。加工対象物3の表面4上の光の照射位置21の移動軌跡26は、加工対象物3の表面4の周囲を1周していてもよく、加工対象物3の周囲の一部分だけであってもよい。
第1実施形態の加工装置1において、加工対象物3がガラス基板で実現される場合、具体的には、1枚のマザーガラスを複数の小片に切断して、各小片を加工対象物3であるガラス基板として用いる。ガラス基板小片化の際の切断などの加工ダメージなどに起因して、ガラス基板の端面5から内側に幅50μm程度の部分には、一般的に、微小なクラックや微小な欠けが発生し易い。曲げあるいは衝撃などの外力がガラス基板に加えられた場合、これら微小なクラックおよび微小な欠けのある箇所をきっかけに、ガラス基板の強度が相対的に下がることが多い。すなわち、ガラス基板の端面5から内側に距離50μmの部分が、加工対象物3内部において残余部分よりも欠陥率の高い端面近傍部分6に相当する。そこで、好ましくは、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の表面4上であって端面5から50μm以上内側の位置に、光源11からの光を導光して照射する。
第1実施形態の加工装置1において、光源11から出射される光は、具体的には、レーザ光で実現される。加工対象物3の表面4に照射されるレーザ光によって加工対象物3が影響される有効範囲は、一般的に、レーザ光の集光中心からレーザ光のビーム径の半分の3倍付近となる。加工対象物3がガラス基板で実現される場合、第1実施形態の加工装置1は、レーザ光でガラス基板の表面4を微小溶融させる必要があるため、好ましくは、集光レンズ15として、開口数(Numerical Aperture、NA)が0.1以下の集光レンズ15を用いることが好ましい。開口数が0.1の集光レンズ15が用いられる場合、1/e2の強度で規定すると、レーザ光の集光時のスポット径は、最大で100μm近傍になる。このため、好ましくは、第1実施形態の加工装置1においてレーザ光を照射可能な有効範囲の加工対象物3の表面4の中心側の限度は、ガラス基板である加工対象物3の端面5から内側に距離50μmからさらにレーザ光集光時のスポット径の半分の3倍、すなわち200μmとなる。
端面側限度=50μm
中心側限度=50μm+100μm/2×3=200μm …(1)
以上説明したように、第1実施形態の加工装置1において、加工対象物3の表面4上における光の照射位置21と加工対象物3の端面5との離間距離Dは、好ましくは、レーザ光の強度に応じて、加工対象物3の表面4上において端面5から50μm以上200μm以下の範囲内に設定される。これによって、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の内部において残余部分よりも欠陥率の高い端面近傍部分6を避けつつ、加工対象物3の端面5の傍に補強用の加工構造24を確実に形成することができる。
再び図1を参照する。以下に、第1実施形態の加工装置1の具体的な一例を、以下に説明する。図1の具体例では、光源11からの光をレーザ光とし、加工対象物3としてガラス基板を用いている。なお、本明細書の説明では、光源11から加工対象物3の表面4に至る光路9を「光源−表面間の光路9」と略称することがある。また、光路9内を通過する光の進行方向を基準として、光路9内の光進行方向の光源側を「光路起点側」、光路9内の光進行方向の最終の集光点側を「光路終点側」と称する。
前述したように、第1実施形態の加工装置1は、光源11と導光部12と照射位置移動部13とを最低限含み、好ましくは集光レンズ15と集光状態変化部16とを含む。図1の具体例では、導光部12が1または複数の反射鏡31を含み、照射位置移動部13が片面用試料配置部32および搬送ステージ33を含み、集光状態変化部16が光学ベース34およびレンズ位置調整用フォルダ35をさらに含む。図1の具体例では、導光部12の反射光は1つである。集光レンズ15は、レンズ位置調整用フォルダ35内に収納されている。
光源−表面間の光路9内において、光源11よりも光路終点側に、導光部12の1または複数の反射鏡31が順次配置される。導光部12の1以上の反射鏡31は、光源11から出射された光を順次反射させて、加工対象物3の表面4に導光する。この結果、光源−表面間の光路9は、導光部12の1以上の反射鏡31で折曲げられつつ、加工対象物3の表面4に至る。
集光レンズ15およびレンズ位置調整用フォルダ35は、光源−表面間の光路9内において、加工対象物3の表面4に対する集光レンズ15の位置を、光路9に沿う方向に移動可能に構成される。図1の具体例では、集光レンズ15およびレンズ位置調整用フォルダ35は、光源−表面間の光路9内の光源11から導光部12の光路最終点側の反射鏡31nまでの光路部分内に配置されている。
光源−表面間の光路9の長さが固定である場合、第1実施形態の加工装置1は、光源−表面間の光路9内の集光レンズ15の位置を調整することで、加工対象物3の表面4上の照射位置21における光の集光状態を制御する。具体的には、レンズ位置調整用フォルダ35内の集光レンズ15の位置を調整することで、光源−表面間の光路9内の集光レンズ15の位置が調整される。またレンズ位置調整用フォルダ35自体が光源−表面間の光路9内を移動してもよい。
導光部12の1以上の反射鏡31のうちの少なくとも1つの反射鏡31が光源−表面間の光路9内の集光レンズ15よりも光路終点側に位置する場合、集光レンズ15よりも光路終点側の反射鏡31のうちの1以上の反射鏡31が、光学ベース34に固定される。
図1の具体例では、導光部12の反射鏡31と所定の位置関係を保つ状態で光源11が光学ベース34にさらに固定され、光学ベース34上の光源11と導光部12の反射鏡31との間に、集光レンズ15およびレンズ位置調整用フォルダ35が位置移動可能に配置される。
光源−表面間の光路9内において、光源11から集光レンズ15を経て光学ベース34上の反射鏡31に至る光路部分の長さを保ったまま、光学ベース34上の反射鏡31から加工対象物3の表面4に至る光路部分の長さが増減するように、光学ベース34および光学ベース34上の反射鏡31が加工対象物3の表面4に対して近接離反する。なお、光学ベース34上の反射鏡31と加工対象物3の表面4との間に集光レンズ15よりも光路終点側の反射鏡31のうちの他の反射鏡31が介在される場合、光学ベース34および光学ベース34上の反射鏡31は前記他の反射鏡31に対して近接離反する。
このように、第1実施形態の加工装置1は、集光レンズ15よりも光路終点側の反射鏡31の位置移動に応じて、光源−表面間の光路9内の集光レンズ15よりも光路終点側の光路部分の長さを増減させる。これによって、第1実施形態の加工装置1は、加工対象物3の表面4上の光の照射位置21における集光状態を、さらに制御することができる。
照射位置移動部13は、光の光路および加工対象物3の少なくとも一方を移動させることによって、加工対象物3の表面4上の光の照射位置21を移動させる。図1の例では、光源11から加工対象物3の表面4に至る光路9は光の集光状態の調整時にだけ移動されており、実際の光照射時には、光路9は固定されて加工対象物3が移動される。
図1の具体例において、ガラス基板である加工対象物3は、光加工すべき表面4が導光部12の光路最終点側の反射鏡31nと対面するように、片面用試料配置部32によって保持される。搬送ステージ33は、片面用試料配置部32を所定の搬送方向Yに移動可能に構成される。搬送ステージ33は、加工対象物3に対する光照射時に、加工対象物3を保持中である片面用試料配置部32を所定の搬送方向Yに移動させる。この結果、加工対象物3に対する光照射に起因する加工構造24が、加工対象物3の端面5に沿う線状の形状で形成される。
搬送ステージ33による片面用試料配置部32の搬送方向Yは、加工対象物3に照射される光の照射方向Zに垂直な方向であり、かつ、片面用試料配置部32に保持された状態の加工対象物3の端面5からの照射位置21の離間方向Xとも直交する。図1の具体例において、片面用試料配置部32によって保持中の加工対象物3の表面4の法線方向が、加工対象物3の表面4に照射される光の照射方向Zと略平行であり、搬送ステージ33による片面用試料配置部32の搬送方向Yが、前記保持中の加工対象物3の端面5に沿う方向である。
第1実施形態の加工装置1の図1の具体例における加工手順を、以下に説明する。まず、光源11から、所定のビーム径のレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、集光レンズ15に入射して集光される。加工対象物3の温度上昇範囲23が必要充分な面積および深さで溶融するように、光源−表面間の光路9の長さおよび光源−表面間の光路9内の集光レンズ15の位置が、予め調整されている。
集光レンズ15通過後、レーザ光は、導光部12の1以上の反射鏡31によって順次反射されて、ガラス基板である加工対象物3の表面4上の端面近傍部分6よりも加工対象物3の表面4における中心側の照射位置21に、導光されて照射される。加工対象物3に対するレーザ光照射と並行して、加工対象物3自身の端面5に略平行な搬送方向Yに、加工対象物3が相対的に移動される。
これらの結果、加工対象物3の表面4上の光の照射位置21が端面5から所定の離間距離Dだけ離れつつ端面5に略平行な方向Yに移動するため、加工対象物3の温度上昇範囲23が移動しつつ、加工対象物3の温度上昇範囲23内の表面4近傍の部分が微小に溶融される。レーザ光の照射終了後、温度上昇範囲23内の溶融部分が再び凝固する。このように、加工対象物3の表面4において、端面5から離間距離Dだけ離れた位置にスポット状の微小な溶融部分が連続して発生するため、加工対象物3の端面5から離間距離Dだけ離れた位置に、端面5に略平行な線状の加工構造24が形成される。
図1の具体例において、マザーガラスなどから分割されて得られるガラス基板が加工対象物3である場合、切断面であるガラス基板の端面5から離間距離D未満の部分である端面近傍部分6に、レーザ光の照射などの熱衝撃が直接与えられる状況下で溶融時に割れなどの欠陥が進行し易い要因が含まれることがある。
上述したように、図1の具体例では、ガラス基板である加工対象物3においてレーザ光の照射によって加熱される温度上昇範囲23が、加工対象物3の端面近傍部分6よりも表面4の中心に近い位置に限定されている。これによって、端面近傍部分6にレーザ光照射による熱衝撃が直接加わらないので、第1実施形態の加工装置1は、端面近傍部分6の欠陥の原因要素の進展を防止しつつ、加工対象物3を補強することができる。特に、加工対象物3の端面近傍部分6に上述の原因要素が含まれる場合、第1実施形態の加工装置1を用いた加工手法は、加工対象物3の有効な強度改善手法である。
より具体的には、図1の具体例において、第1実施形態の加工装置1は、レーザ光に対して加工対象物3を相対的に移動させつつ、加工対象物3の表面4上において端面近傍部分6よりも内側の位置に、レーザ光を照射する。この結果、加工対象物3の端面近傍部分6よりも内側に、スポット状の微小溶融部分が連続的に発生して凝固する。ゆえに、加工対象物3において割れなどの欠陥の原因要素がある可能性が高い端面近傍部分6よりも内側に、溶融凝固による線状の加工構造24が形成される。
このような線状の加工構造24が加工対象物3の表面4上の端面近傍部分6よりも内側に形成されると、加工対象物3の端面近傍部分6に1本の強い柱が入ったかのような補強効果が得られる。これによって、線状の加工構造24を有する加工後の加工対象物3は、加工前の加工対象物3よりも、線状の加工構造24に沿った曲げに対する曲げ強度が向上する。
線状の加工構造24が形成されることで曲げ強度が向上する要因の1つとして、図1の手順のレーザ光照射による光加工によって、加工対象物3の端面近傍部分6に発生しているマイクロクラックと呼ばれる微小欠陥の影響が残余部分に進展することが防止されることが挙げられる。また線状の加工構造24が形成されることで曲げ強度が向上する要因の他の1つとして、端面近傍部分6に発生している微小な欠けなどが生じた箇所がわずかに溶融するなど、端面近傍部分6内に微小な構造変化が起こっていることが挙げられる。
図1の具体例において、第1実施形態の加工装置1の光源11は、前述したように、ガラス基板である加工対象物3の表面4に対する光照射によって加工対象物3の光の温度上昇範囲23の一部分を溶融可能な程度のエネルギを有するレーザ光を出射する。一例としては、加工対象物3がガラス基板であるので、軟化点の高い材料の加工に適した炭酸ガスレーザ光源11が光源11として用いられる。また一例としては、ガラス基板である加工対象物3の温度上昇範囲23の一部分を溶融に足る高温まで加熱するために、具体的には、1〜9W以上の出力を有するレーザ光源11が、光源11として用いられる。図1の具体例では、波長10.6μmのレーザ光を出射する炭酸ガスレーザ光源11を、光源11として用いる。
第1実施形態の加工装置1の図1の具体例において、スポット状の微小溶融を発生させるスポット溶融加工を連続して行うには、加工対象物3の材質とレーザ光の出力と加工対象物3の表面4上の照射位置21の移動速度とを適切に組合わせる必要がある。第1実施形態の加工装置1の具体例では、ガラス基板である加工対象物3の端面5から150μm内側の位置に、出力が1.0W以上1.5W以下の範囲のレーザ光が照射され、かつ照射位置21の移動速度が1mm/s以上3mm/sになるように加工対象物3が相対的に移動される。このような条件下でスポット溶融加工が連続的に行われると、加工後の加工対象物3の曲げ強度が、過去前の加工対象物3の曲げ強度よりも、1.1倍以上1.3倍以下に改善される。これによって、第1実施形態の加工装置1は、加工後の加工対象物3をより確実に補強することができる。
図3は、本発明の第2実施形態である加工対象物3の加工装置41の構成を示す側面図である。図4は、第2実施形態の加工装置41で加工される加工対象物3に対する光照射状態を説明するための加工対象物3の模式的な平面図および側面図である。図3および図4を合わせて説明する。なお、第2実施形態の加工装置41の構成要素のうち、第1実施形態の加工装置1の構成要素と同等である構成要素には、第1実施形態の構成要素と同じ参照符を付し、詳細な説明は省略する。
第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の端面処理のために、加工対象物3の表面4上の複数の位置に対して光を導光し照射することによって、光加工を行う。第2実施形態の加工装置41は、光源11と、導光部12と、照射位置移動部13とを最低限含む。光源11は、加工対象物3に対して照射すべき光を出射する。導光部12は、加工対象物3の表面4上の加工対象物3の端面5からそれぞれ所定の離間距離Dだけ内側の複数の位置に、光源11から出射された光をそれぞれ導光して照射させる。照射位置移動部13は、導光部12によって照射された複数の光路の光に対する加工対象物3の位置を、前記照射された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、相対的に移動させる。
この結果、加工対象物3の表面4上の端面5から所定の離間距離Dだけ内側を、導光された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、照射された複数の光路の光の照射位置21がそれぞれ移動する。加工対象物3の表面4上の各照射位置21に対する光照射に起因して、加工対象物3の各照射位置21付近から加工対象物3内部に至る温度上昇範囲23に、光照射に起因する熱がそれぞれ伝導される。この結果、加工対象物3の表面4上の端面5よりも所定の離間距離Dだけ内側の複数の位置に、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24がそれぞれ得られる。これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の端面5から所定の離間距離D未満の部分に光照射の影響を端面5に及ぼすことなく、加工対象物3の強度をより高めることができる。
また第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の表面4上の複数の位置に対して、光加工を並行して行う。このため、加工対象物3の複数の位置に対する光加工が必要である状況下では、加工対象物3の表面4上の単一の位置だけに光加工を行う第1実施形態の加工装置1を用いて加工対象物3の複数の各位置に光加工を個別に行う場合よりも、第2実施形態の加工装置41を用いて加工対象物3の表面4上の複数の各位置に光加工を並行して行う場合のほうが、加工対象物3全体の光加工に要する時間が短縮される。
第2実施形態の加工装置41は、好ましくは、光加工の為に、加工対象物3の端面5以外の複数の各表面4上の端面5からそれぞれ所定の離間距離Dだけ内側の位置に、光を導光し照射させる。図3の例では、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の相対する2つの表面4上の位置に、光を照射している。
板状の加工対象物3の相対する複数の表面4のいずれか片側表面4だけに光照射を用いた光加工が施される場合、加工対象物3の片側表面4だけに微小溶融が起こることになるので、溶融箇所が冷える際に加工対象物3に反りなどの原因となる残留応力が発生する可能性がある。しかしながら、第2実施形態の加工装置41のように板状の加工対象物3の複数の表面4の両方に前記光加工が施される場合、加工対象物3の複数の表面4の両方に同様の微小溶融が起こることになるため、残留応力の発生が抑えられる。ゆえに、第2実施形態の加工装置41は、光加工後の加工対象物3の反りなどを防止することができるため、光加工の歩留まりが向上する。
また、図5で示すように、加工対象物3が複数の部材を貼合わせた構成である場合、加工対象物3の端面5以外の複数の表面4は、貼合わせた複数の各部材の表面に相当する。図5の例では、2枚の板状の部材43,44が接着層45を介して厚み方向に貼合わされている。第2実施形態の加工装置41は、上述の場合、貼合わされた複数の各部材43,44の表面に、並行して光をそれぞれ照射させる。これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の貼合わせた各部材43,44に対する光加工の状態を個別に制御することが容易となる。
第2実施形態の加工装置41において、また好ましくは、導光部12が、加工対象物3の端面5以外の複数の各表面4a,4b上の端面5から所定の離間距離Dだけ内側であって、かつ加工対象物3の厚み方向において相互に対面する位置21a,21bに、光源11から出射された光をそれぞれ導光して照射させる。加工対象物3の厚み方向は、加工対象物3の複数の各表面4a,4bに垂直な方向であり、光の照射方向Zと略平行である。
これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3に対する光加工時に、加工対象物3の厚さを利用することが可能になる。たとえば、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の各表面4a,4b上における光の照射位置21a,21bを厚み方向に相互に対面させることによって、各表面4a,4bに対する照射光を相互作用させることができる。この結果、各表面4a,4b上における光の照射位置21a,21bが相互に対面していない場合よりも、各表面4上における光の照射位置21が相互に対面する第2実施形態の場合のほうが、より低いエネルギの光を用いて、加工対象物3に所定の加工構造24を形成することができる。
第2実施形態の加工装置41において、また好ましくは、導光部12が、加工対象物3の複数の各表面4a,4b上の端面5から相互に異なる所定の離間距離Da,Dbだけ内側であって、かつ加工対象物3の厚み方向に異なる位置21a,21bに、光源11から出射された光をそれぞれ導光して照射させる。これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3に対する光加工時に、各表面4a,4bに対する照射光の相互の影響を防ぐことができる。この結果、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の複数の表面4を同時に光加工しつつ、各表面4の光加工による温度制御をより高い精度で制御することができるため、加工精度がより向上する。
さらにまた第2実施形態の加工装置41は、好ましくは、第1実施形態と同様に、集光レンズ15および集光状態変化部16をさらに含む。加工対象物3の複数の各表面4に光が並行して照射される場合、より好ましくは、集光レンズ15および集光状態変化部16は、加工対象物3の各表面4に至る複数の光路内にそれぞれに設けられる。この結果、光源−各表面間の光路9毎に、集光レンズ15通過後の光の集光状態が個別に変化可能になる。ゆえに、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の各表面4上における照射光のエネルギを、表面4毎に個別かつ容易に制御することができる。これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の加工精度をさらに向上させることができる。
第2実施形態の加工装置41における加工対象物3に対する光照射の詳細な影響を、図4(A)および図4(B)を参照して、以下に説明する。
図4の説明は、加工対象物3の端面5以外の複数の表面4のうちの相互に対面する上側表面4aおよび下側表面4bに光が照射される状況を例とする。上側表面4a上および下側表面4b上における光の照射位置21a,21bは、各表面4a,4b上において加工対象物3の端面5から所定の離間距離Dだけ内側であって、かつ、加工対象物3の厚み方向において相互に対面する。
なお、本明細書の説明において、「厚み方向下向き」とは、加工対象物3の厚み方向と平行な向きであって、かつ加工対象物3の上側表面4aから下側表面4bに向かう向きを指す。また「厚み方向上向き」とは、加工対象物3の厚み方向と平行な向きであって、かつ加工対象物3の下側表面4bから上側表面4aに向かう向きを指す。なお、本明細書の説明では、複数の各表面4a,4bを「各表面4」と総称し、複数の各照射位置21a,21bを「照射位置21」と総称し、複数の光路9a,9bを「光路9」と総称することがある。
上述の状態において、加工対象物3の上側表面4aに対する光照射に起因する熱は、加工対象物3の上側表面4a上の光の照射範囲22aから厚み方向下向きに、加工対象物3の内部を伝導する。ゆえに、加工対象物3の上側表面4aに対する光照射に起因する熱は、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23aの温度を上昇させるだけでなく、加工対象物3の下側表面4b側の温度上昇範囲23bの温度上昇にも寄与する。同様に、加工対象物3の下側表面4bに対する光照射に起因する熱は、加工対象物3の下側表面4b上の光の照射範囲22bから厚み方向上向きに、加工対象物3の内部を伝導する。ゆえに、加工対象物3の下側表面4bに対する光照射に起因する熱は、加工対象物3の下側表面4bの温度上昇範囲23bの温度を上昇させるだけでなく、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23aの温度上昇にも寄与する。
以上の結果、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bに対する光照射に起因する熱は、加工対象物3の下側表面4bおよび上側表面4aに対する光加工をそれぞれ補助することになる。ゆえに、第2実施形態の加工装置41は、光加工に起因する加工対象物3に対する応力の影響を緩和しながら、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23および下側表面4b側の温度上昇範囲23b内の温度を充分に上昇させることができる。すなわち、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23および下側表面4b側の温度上昇範囲23bの温度を、より精密に制御することができる。
上述の第2実施形態の加工装置41において、詳しくは、加工対象物3の上側表面4aに対する照射光は、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23a内のうちの端面近傍部分6の上側表面4a側の一部分の近傍の範囲部分に対する光加工に対して主に働く。また、加工対象物3の下側表面4bに対する照射光は、加工対象物3の上側表面4aだけに光が照射される状況下の上側表面4a側の温度上昇範囲23aよりも、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23aを広げる効果を有する。同様に、上述の第2実施形態の加工装置41において、詳しくは、加工対象物3の下側表面4bに対する照射光は、加工対象物3の下側表面4b側の温度上昇範囲23内のうちの端面近傍部分6の下側表面4b側の一部分の近傍の範囲部分に対する光加工に対して主に働く。また、加工対象物3の上側表面4a側に対する照射光は、加工対象物3の下側表面4bだけに光が照射される状況下の下側表面4b側の温度上昇範囲23よりも、加工対象物3の下側表面4b側の温度上昇範囲23を広げる効果を有する。
これらの結果、加工対象物3の端面近傍部分6よりも内側を僅かに溶融させる光加工時に際し、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bに光をそれぞれ照射する第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の下側表面4bだけに光を照射する従来の構成の加工装置よりも、加工対象物3の上側表面4a上ならびに下側表面4b上における照射光の強度をそれぞれ相対的に低くすることができる。これらによって、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bの両方に光を照射する構成である第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bのうちの片側だけに光を照射する構成である加工装置よりも、加工対象物3に対する光照射に起因する熱応力差に基づく加工対象物3に対する影響を緩和することができる。ゆえに、第2実施形態の加工装置41は、後者の構成の加工装置よりも、加工対象物3に対する光加工における温度制御の制約を減らすことができる。したがって、第2実施形態の加工装置41の使い勝手がさらに向上する。また、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の加工後の歩留まりをさらに向上させることができる。
再び図3を参照する。第2実施形態の加工装置41の具体的な一例を、以下に説明する。図3の具体例では、図1の具体例と同様に、光源11からの光をレーザ光とし、加工対象物3としてガラス基板を用いている。本明細書の説明に際し、光源11から加工対象物3の各表面4に至る光路9を「光源−各表面間の光路9」と略称することがある。
図3の具体例において、第2実施形態の加工装置41は、複数の光源11と複数の導光部12と照射位置移動部13とを最低限含み、好ましくは複数の集光レンズ15と集光状態変化部16とを含む。また具体的には、集光状態変化部16は、複数のレンズ位置調整用フォルダ35および複数の光学ベース34を含む。複数の光源11は、たとえば、炭酸ガスレーザで実現される。
すなわち、図3の具体例において、単一の光源11と単一の導光部12と単一の集光レンズ15と単一のレンズ位置調整用フォルダ35と単一の光学ベース34とを含む光路構成群が、加工対象物3の光照射すべき照射位置21に至る光路9の数と同数用意されている。各光路9用の光路構成群内において、単一の光源11と単一の導光部12と単一の集光レンズ15とレンズ位置調整用フォルダ35と光学ベース34との組合せおよび働きは、図1の具体例で説明した光源11と導光部12と集光レンズ15と集光状態変化部16との組合せおよび働きと等しい。このような構成の第2実施形態の加工装置41は、光学ベース34の位置移動および集光レンズ15の位置移動を光路構成群毎に行うことによって、加工対象物3の複数の各表面4上の光の照射位置21における集光状態を個別に制御することができる。
図3の具体例において、第2実施形態の加工装置41の照射位置移動部13は、両面用試料配置部37および図1の具体例と同等の搬送ステージ33を含む。光加工すべき複数の各表面4が各光路9用の導光部12の光路最終点側の反射鏡31nとそれぞれ対面するように、両面用試料配置部37によって保持される。搬送ステージ33は、加工対象物3に対する光照射時に、加工対象物3保持中の両面用試料配置部37を、所定の搬送方向Yに移動させる。これらの結果、加工対象物3の各表面4において、加工対象物3に対する光照射に起因する加工構造24が、加工対象物3の端面5に沿う線状の形状でそれぞれ形成される。
搬送ステージ33における両面用試料配置部37の搬送方向Yは、加工対象物3に照射される光の照射方向Zに垂直な方向である。図3の具体例において、両面用試料配置部37によって保持中の加工対象物3の複数の各表面4の法線方向が、加工対象物3の複数の各表面4に照射される光の照射方向Zと略平行であり、搬送ステージ33による両面用試料配置部37の搬送方向Yが、保持中の加工対象物3の端面5に沿う方向である。
図3の具体例では、ガラス基板である加工対象物3の複数の各表面4は、略板状の加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bに相当する。この場合、第2実施形態の加工装置41には、光源11から加工対象物3の上側表面4aに至る光源−上側表面間の光路9a用の光路構成群と光源11から加工対象物3の下側表面4bに至る光源−下側表面間の光路9b用の光路構成群との2系統の光路構成群が用意される。
第2実施形態の加工装置41の図3の具体例における加工手順を、以下に説明する。光源−上側表面間の光路9a用の光路構成群において、光源11から出射された光が、集光レンズ15によって集光され、導光部12の反射鏡31で集光後の光路が折曲げられて、照射位置移動部13によって保持されている加工対象物3の上側表面4a上において加工対象物3の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の照射位置21に、導光されて照射される。また同時に、光源−下側表面間の光路9b用の光路構成群47において、光源11から出射された光が、集光レンズ15によって集光され、導光部12の反射鏡31で集光後の光路が折曲げられて、照射位置移動部13によって保持されている加工対象物3の下側表面4b上において加工対象物3の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の照射位置21に、導光されて照射される。レーザ光照射と並行して、加工対象物3が、加工対象物3自身の端面5に略平行な搬送方向Yに移動される。
以上の手順によって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bにレーザ光を同時に照射しつつ、上側表面4aおよび下側表面4b上におけるレーザ光の照射位置21a,21bを移動させることができる。これらの結果、加工対象物3の上側表面4a上および下側表面4b上において端面5よりも所定の離間距離Dだけ内側の位置に、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24がそれぞれ得られる。これによって、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の端面5から所定の離間距離D未満の部分に光照射の影響を直接及ぼすことなく、加工対象物3の強度をより高めることができる。
図3の具体例において、第2実施形態の加工装置41が、加工対象物3の上側表面4a側の温度上昇範囲23および下側表面4b側の温度上昇範囲23の温度上昇状態を、加工対象物3の上側表面4aに対する照射光および下側表面4bに対する照射光を用いてそれぞれ制御しようとする場合、好ましくは、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の上側表面4a上における照射光の集光状態および下側表面4b上における照射光の集光状態を、相互に独立して制御する。
一例としては、加工対象物3が図5に示すような2枚の板状部材43,44を厚さ方向に重ねて貼合わせた構成を有する場合、加工対象物3の2枚の板状部材43,44の厚さの違いなどに影響されて、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bの端面5付近の光加工の条件が相互に異なってくる。ゆえに、この場合、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の上側表面4a上における照射光の集光状態および下側表面4b上における照射光の集光状態を、加工対象物3の2枚の各板状部材43,44の厚さなどの加工条件に応じて個別に制御する。
図3の具体例では、光源−上側表面間の光路9aにおける該光路9a用の集光レンズ15の位置と光源−下側表面間の光路9における該光路9b用の集光レンズ15の光路内の位置とが個別に位置移動可能なので、各光路9a,9b内の集光レンズ15の光路9a,9b内の位置を加工対象物3の各板状部材43,44の加工条件にそれぞれ応じて調整する。また図3の具体例では、光源−上側表面間の光路9a用の光学ベース34の加工対象物3に対する位置と光源−下側表面間の光路9b用の光学ベース34の加工対象物3に対する位置とが個別に位置移動可能なので、各光路9a,9b内の光学ベース34の位置を加工対象物3の各板状部材の加工条件にそれぞれ応じて調整する。これらによって、第2実施形態の加工装置41は、各光路9a,9bを経て加工対象物3の各板状部材の表面4に照射される光のエネルギの強度および照射密度を、加工対象物3の各板状部材43,44の加工条件に応じて個別に調整することができる。
以上説明したように、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の複数の表面4上の端面5から所定の離間距離Dだけ内側の位置に、光をそれぞれ照射する。好ましくは、加工対象物3の各表面4上における光の照射位置21は、加工対象物3の端面近傍部分6よりも加工対象物3の各表面4の中心に近い位置にそれぞれ選ばれる。より好ましくは、加工対象物3の各表面4上の光の照射位置21は、加工対象物3の端面5よりも150μm程度の中心寄りの位置に選ばれる。
上述したように、加工対象物3の複数の各表面4上における光の照射位置21が相互に対面する場合、第2実施形態の加工装置41は、加工対象物3の単一表面4だけに光を照射する従来の構成の加工装置よりも、照射光の強度を相対的に低くしつつ、加工対象物3の各表面4の端面5よりも所定の離間距離Dだけ内側に、微小な溶融による構造変化を起こすことができる。このため、たとえば、複数の表面4のうちの少なくとも1つの表面4の端面5よりも所定の離間距離D以上内側の領域に電極などのプリント加工部が形成された構成のガラス基板が加工対象物3として用いられる状況下において、第2実施形態の加工装置41による光照射は、照射光の強度が相対的に低いため、離間距離D以上内側の領域内のプリント加工部に影響を与えにくい。ゆえに、第2実施形態の加工装置41は、電極などのプリント加工部に影響を与えることなく加工対象物3の強度増加のための光加工を行うことができるので、光加工後の加工対象物3の歩留まりがさらに向上する。
さらにまた、加工対象物3の各表面4上における光の照射位置21が相互に対面する場合、第2実施形態の加工装置41の光加工手法は、加工対象物3の厚さ方向の厚さが薄いほど効果がある。すなわち、第2実施形態の加工装置41の光加工手法は、中小型の液晶パネル用のガラス基板のような、厚さ方向の厚さが薄いガラス基板に対する加工に向いている。上述の液晶パネル用ガラス基板が加工対象物3として用いられる場合、第2実施形態の加工装置41は、液晶パネル用ガラス基板のガラス部分だけに光を照射して微小な溶融部分を線状に形成可能である。これによって、上述の場合、第2実施形態の加工装置41は、液晶パネル用ガラス基板のガラス部分以外の他の構成要素に与えるダメージを少なくすることができる。
図6は、本発明の第3実施形態である加工対象物3の加工装置の構成を示す側面図である。なお、第3実施形態の加工装置51の構成要素のうち、第1実施形態の加工装置1および第2実施形態の加工装置41の構成要素と同等である構成要素には、第1実施形態および第2実施形態の構成要素と同じ参照符を付し、詳細な説明は省略する。
第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3の端面処理のために、加工対象物3の表面4上の複数の位置に対して単一の光源11からの光を導光し照射することによって、光加工を行う。図6の例では、第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3の相対する2つの表面4に、光を照射している。加工対象物3が板状である場合、加工対象物3の相対する2つの表面4は、加工対象物3の上側表面4aおよび下側表面4bに相当する。
第3実施形態の加工装置51は、単一の光源11と、光路分岐部18と、導光部12と、照射位置移動部13とを最低限含む。単一の光源11は、加工対象物3に対して照射すべき光を出射する。光路分岐部18は、光源11から出射された光を、複数の光路9に分岐させる。導光部12は、加工対象物3の表面4上の加工対象物3の端面5からそれぞれ所定の離間距離Dだけ内側の複数の位置に、光路分岐部18によって分岐された複数の光路9の光をそれぞれ導光して照射させる。照射位置移動部13は、導光部12によって照射された複数の光路9の光に対する加工対象物3の位置を、照射された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、相対的に移動させる。この結果、加工対象物3の表面4上の端面5よりも所定の離間距離Dだけ内側の複数の位置に、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24がそれぞれ得られる。
前述したような、複数の光源11からの光が加工対象物3の表面4へそれぞれ導光されて照射される構成の加工装置において、光源11の個体差に起因して、加工対象物3の表面4上における複数の照射位置21の照射光のエネルギに相互の差が生じることがある。上述のように、第3実施形態の加工装置51は、単一の光源11の光を加工対象物3の表面4上の複数の位置に照射するので、光源11の個体差が存在しないため、集光状態に差が無ければ、加工対象物3の表面4上における複数の照射位置21の照射光のエネルギが相互に等しい。この結果、第3実施形態の加工装置51は、光源11の個体差に起因する加工対象物3の表面4上の複数の照射位置21の照射光の強度分布の差の影響を無くすことができる。これによって、第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3に対する光照射時に、加工対象物3の温度上昇範囲23の温度制御がし易くなるため、光加工精度がより向上する。
また第3実施形態の加工装置51は、光源11の数を減らして代わりに光路分岐部18を追加した構成になっている。光路分岐部18は光源11よりも簡単な構成の部品であるため、加工装置の構成の複雑化は抑えられる。ゆえに、複数の光源11を用いる構成の加工装置よりも、単一の光源11および光路分岐部18を用いる第3実施形態の加工装置51のほうが、構成を簡略化することができる。
第3実施形態の加工装置51において、後述するように、単一の光源11から加工対象物3の複数の表面4にそれぞれ至る複数の光路において、光源11から光路分岐部18までの一部分が相互に共通化されている。本明細書の説明において、光源11から加工対象物3の各表面4にそれぞれ至る光路9を「光源−各表面間の光路9」と略称することがある。また、単一の光源−各表面間の光路9内において、光源11から光路分岐部18までの一部分を「共通光路部分」と称し、共通光路部分以外の残余部分、すなわち光路分岐部18から加工対象物3の各表面4までの一部分を「個別光路部分」と称することがある。
第3実施形態の加工装置51の具体的な一例を、以下に説明する。図6の具体例では、図1および図3の具体例と同様に、光源11からの光をレーザ光とし、加工対象物3としてガラス基板を用いている。図6の具体例において、第3実施形態の加工装置51は、光加工の為に、加工対象物3の端面5以外の複数の各表面4上の端面5からそれぞれ所定の離間距離Dだけ内側の位置に、光を導光し照射させる。
図6の具体例において、第3実施形態の加工装置51は、単一の光源11と光路分岐部18と複数の導光部12と照射位置移動部13とを最低限含み、好ましくは、単一の集光レンズ15と集光状態変化部16とを含む。光路分岐部18は、光分岐素子で実現される。各導光部12は、1または複数の反射鏡31をそれぞれ含む。また具体的には、集光状態変化部16が、複数の光学ベース34および単一のレンズ位置調整用フォルダ35をさらに含む。図6の具体例では、光源−各表面間の複数の光路と同数の光学ベース34が用意され、光源−各表面間の各光路9の共通光路部分のための単一の共用ベース38がさらに用意される。光源11は、炭酸ガスレーザで実現される。
光源11と光路分岐部18とは、予め定められた位置関係を常に保つ。光源−各表面間の各光路9内において、光源11よりも光路終点側に、光路分岐部18が配置される。光源−各表面間の各光路9内において、光路分岐部18よりも光路終点側に、各導光部12の1以上の反射鏡31が順次配置される。各導光部12内の1以上の反射鏡31は、光路分岐部18によって分岐された各光路の光を次反射させて、加工対象物3の各表面4に導く。この結果、光源−各表面間の各光路9の個別光路部分が、各導光部12の1以上の反射鏡31で折曲げられつつ、加工対象物3の各表面4にそれぞれ至る。
単一の集光レンズ15および単一のレンズ位置調整用フォルダ35は、光源−各表面間の光路9内の光路分岐部18よりも光路起点側である共通光路部分内に配置される。集光レンズ15は、レンズ位置調整用フォルダ35によって、加工対象物3の各表面4に対する集光レンズ15の位置が共通光路部分に沿う方向に移動可能に構成される。光源−各表面間の各光路9の長さがそれぞれ固定である場合、第3実施形態の加工装置51は、光源−各表面間の光路9の共通光路部分内の集光レンズ15の位置を調整することで、加工対象物3の各表面4上の光の照射位置21における集光状態を、同時に制御する。
図6の具体例では、光源11と光路分岐部18とが所定の間隔をあけて共用ベース38上に固定され、集光レンズ15およびレンズ位置調整用フォルダ35が可動可能な状態で共用ベース38上に配置される。また、各導光部12の1以上の反射鏡31のうちの少なくとも1つの反射鏡31が光源−各表面間の各光路9内の光路分岐部18よりも光路終点側に位置する場合、各導光部12の光路分岐部18よりも光路終点側の反射鏡31のうちの少なくとも1つが、各導光部12用の光学ベース34に固定される。各導光部12用の光学ベース34は、相互に独立して位置移動可能に構成される。
さらに、いずれかの導光部12の複数の反射鏡31のうち、光路起点側の反射鏡31の少なくとも1つが、共用ベース38上に固定されていてもよい。勿論、いずれかの導光部12の複数の反射鏡31の全てが、該導光部12の光学ベース34に固定されていてもよい。勿論、いずれかの導光部12の少なくとも1つの反射鏡31が、光源−各表面間の各光路9内の共通光路部分に配置されて、共通光路部分を折曲げていてもよい。また、光路分岐部18から出射されるいずれかの光路の光が、反射鏡31で反射されることなく、加工対象物3の表面4に照射されてもよい。
図6の具体例では、各導光部12内において、光源11から集光レンズ15および光路分岐部18を経て各光学ベース34上の反射鏡31に至る光路部分の長さを保ったまま、各光学ベース34上の反射鏡31から加工対象物3の各表面4に至る光路部分の長さが増減するように、各光学ベース34および各光学ベース34上の反射鏡31が、加工対象物3の各表面4に対して近接離反する。なお、各導光部12において、各光学ベース34上の反射鏡31と加工対象物3の各表面4との間に各導光部12の他の反射鏡31が介在される場合、各光学ベース34および各光学ベース34上の反射鏡31は各導光部12の前記他の反射鏡31に対して近接離反する。
このように、第3実施形態の加工装置51は、光源−各表面間の各光路9内の集光レンズ15よりも光路終点側の光路部分の長さを、各光学ベース34の位置移動に応じて、個別に増減させる。これによって、第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3の複数の表面4上の光の照射位置21における集光状態を、加工対象物3の表面4上の照射位置21毎に、さらに個別制御することができる。
図6の具体例において、図3の具体例と同様に、第3実施形態の加工装置51の照射位置移動部13は、両面用試料配置部37および搬送ステージ33を含む。加工対象物3は、光加工すべき複数の各表面4が光源−各表面間の各光路9内の導光部12の光路最終点側の反射鏡31nとそれぞれ対面するように、両面用試料配置部37によって保持される。搬送ステージ33は、加工対象物3に対する光照射時に、加工対象物3保持中の両面用試料配置部37を、光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに移動させる。この結果、加工対象物3の各表面4に対する光照射に起因する加工構造24が、加工対象物3の各表面4に、加工対象物3の端面5に沿う線状の形状でそれぞれ形成される。
第3実施形態の加工装置51の図6の具体例における加工手順を、以下に説明する。まず、共用ベース38上の光源11から、所定のビーム径のレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、光源−各表面間の各光路9の光路分岐部18より光路起点側の集光レンズ15に入射して集光される。集光レンズ15通過後のレーザ光の光路は、光路分岐部18によって複数の光路9の個別光路部分に分岐される。分岐後の各光路の個別光路部分を通る光は、各光路9用の導光部12の1以上の反射鏡31によって順次反射されて、加工対象物3の各表面4上の端面近傍部分6よりも各表面4の中心に近い照射位置21に、導光されて照射される。加工対象物3の各表面4側の温度上昇範囲23が表面4毎に必要充分な面積および深さでそれぞれ溶融するように、光源−各表面間の各光路9の長さおよび各光路9の共通光路部分内の集光レンズ15の位置が、予め調整されている。
図6の具体例では、分岐後の2光路のうちの光源−上側表面間の光路9aの個別光路部分の光が、該光路9a用の導光部12内の複数の反射鏡31で順次反射されて、加工対象物3の上側表面4a上における所定の照射位置21aに照射される。同時に、分岐後の2光路のうちの光源−下側表面間の光路9bの個別光路部分の光が、該光路9b用の導光部12内の複数の反射鏡31で順次反射されて、加工対象物3の下側表面4bの上における所定の照射位置21bに照射される。加工対象物3の各表面4a,4bに対するレーザ光照射と並行して、加工対象物3が、加工対象物3自身の端面5に略平行な搬送方向Yに移動される。
これらの結果、加工対象物3の各表面4上のレーザ光の照射位置21が端面5から所定の離間距離Dだけ離れつつ端面5に略平行な方向にそれぞれ移動するため、加工対象物3の各表面4側の温度上昇範囲23がそれぞれ移動しつつ、加工対象物3の各表面4側の温度上昇範囲23内の表面4近傍の部分が微小に溶融される。レーザ光の照射終了後、各表面4側の温度上昇範囲23内の溶融部分がそれぞれ再び凝固する。このように、加工対象物3の各表面4内の端面5から離間距離Dだけ離れた位置にスポット状の微小な溶融状態がそれぞれ連続して発生するため、加工対象物3の各表面4の端面5から所定の離間距離Dだけ離れた位置に、端面5に略平行な線状の加工構造24がそれぞれ形成される。
第3実施形態の加工装置51において、加工対象物3の複数の各表面4上における照射光の集光状態を制御する手順は2通りある。第1の制御手順は、光源11から出射する光の強度や集光状態そのものを増減させることによって、加工対象物3の各表面4上における照射光の集光状態を同時に制御する手順である。第2の制御手順は、光源−各表面間の光路9の個別光路部分の長さをそれぞれ増減させることによって、加工対象物3の各表面4上における照射光の集光状態を個別に制御する手順である。
前述した第1の制御手順では、具体的には、光源−各表面間の各光路9内の集光レンズ15よりも光路終点側の光路部分の長さが相互に一致するように、各導光部12の反射鏡31の位置関係を定めた後、光源11から出射する光の強度を変化させる。好ましくは、光の強度変更に伴い、光源−各表面間の各光路9の共通光路部分内における集光レンズ15の位置を調整して、加工対象物3の各表面4上の集光状態を調整する。加工対象物3の各表面4上に照射される光の集光状態は、具体的には、加工対象物3の各表面4上に対する照射光の強度分布に相当する。
このように、図6の具体例では、光源11から出射する光の強度を変化させることで、加工対象物3の各表面4上に照射される光の集光状態が同時に変化される。ゆえに、複数の光源11からの光を加工対象物3の複数の表面4にそれぞれ導光する構成の加工装置と比較して、第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3の各表面4に対する光加工が複数の光源11の個体差の影響を受けることが防止される。これによって、第3実施形態の加工装置51は、加工装置51自身の構成を簡略化しつつ、加工対象物3の複数の表面4における光の照射範囲22を容易に制御することができる。したがって、第3実施形態の加工装置51の使い勝手が向上する。
また図6の具体例において、光源11から出射する光の強度を所定強度に保ったまま、光源−各表面間の各光路9の共通光路部分内の集光レンズ15の位置を調整することによっても、加工対象物3の各表面4上に照射される光の集光状態が同時に変化する。これによっても、第3実施形態の加工装置51は、加工装置51自身の構成を簡略化しつつ、加工対象物3の各表面4における光の集光状態を容易に制御することができる。したがって、第3実施形態の加工装置51の使い勝手が向上する。
前述した第2の制御手順では、具体的には、光源−各表面間の各光路9の集光レンズ15よりも光路終点側の光路部分を通る光の集光点から加工対象物3の各表面4上の照射位置21までの距離が変化する。このために、図6の具体例では、第3実施形態の加工装置51は、共用ベース38に対する各導光部12内の光学ベース34の相対的な位置関係を、導光部12毎に変化させる。これによって、第3実施形態の加工装置51は、加工対象物3の表面4毎に、照射光の集光状態を個別に制御することができるので、加工対象物3の各表面4における光の照射範囲22を容易に個別制御することができる。したがって、第3実施形態の加工装置51の使い勝手がさらに向上する。
図7は、本発明の第4実施形態である加工対象物3の加工装置61の構成を示す側面図である。なお、第4実施形態の加工装置61の構成要素のうち、第1実施形態〜第3実施形態の加工装置1,41,51の構成要素と同等であるものには、第1実施形態〜第3実施形態の構成要素と同じ参照符を付し、詳細な説明は省略する。
第4実施形態の加工装置61は、加工対象物3の端面処理のために、加工対象物3の表面4上の複数の位置に対して単一の光源11からの光を導光し照射することによって、光加工を行う。図7の例では、第4実施形態の加工装置61は、加工対象物3の相対する2つの表面4に、光を照射している。
第4実施形態の加工装置61は、単一の光源11と、光路分岐部18と、複数の導光部12と、照射位置移動部13と、単一の集光レンズ15と、集光状態変化部16と、単一のビームエキスパンダ19とを含む。集光レンズ15は、光源11から光路分岐部18に至る光路内に配置される。
光源11は、レーザ光をビーム状に出射するレーザ光源11で実現される。単一の集光レンズ15は、光源−各表面間の光路9内において光源11と光路分岐部18との間に配置される。ビームエキスパンダ19は、光源−各表面間の光路9内において光源11と集光レンズ15との間に配置される。
レーザ光源11である光源11は、加工対象物3に対して照射すべきレーザ光をビーム状に出射する。ビームエキスパンダ19は、光源11から出射されたレーザ光のビーム径を拡大する。集光レンズ15は、ビームエキスパンダ19によってビーム径が拡大されたレーザ光を集光する。光路分岐部18は、集光レンズ15通過後の光を複数の光路9に分岐させる。導光部12は、加工対象物3の表面4上の端面5からそれぞれ所定の離間距離Dだけ内側の複数の位置に、光路分岐部18によって分岐された複数の光路9の光をそれぞれ導光して照射する。照射位置移動部13は、各導光部12によって照射された各光路の光に対する加工対象物3の位置を、照射された光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、相対的に移動させる。この結果、加工対象物3の各表面4上の端面5よりも所定の離間距離Dだけ内側の位置に、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24がそれぞれ得られる。
以上説明したように、第4実施形態の加工装置61は、光源−各表面間の光路9において、光源11と集光レンズ15との間に、ビームエキスパンダ19を介在させる。これによって、第4実施形態の加工装置61は、光源11からの光を平行光に保ったまま、光源11出射時の光のビーム径よりも集光レンズ15入射時点の光のビーム径を大きくしている。
集光レンズ15の焦点距離が固定であれば、集光レンズ15入射時点のビーム径が大きいほど、集光レンズ15出射時点から焦点までのビーム径の変化が大きくなる。すなわち、光源−各表面間の光路9内における加工対象物3の表面4に対する集光レンズ15の位置を調整することで加工対象物3の表面4上の照射位置21における光のエネルギを制御する場合、集光レンズ15入射時点のビーム径が大きいほど加工対象物3の表面4上の光の照射範囲22の精度を高くすることができる。この結果、第4実施形態の加工装置61は、加工対象物3の温度上昇範囲23の温度制御を高精度に行うことができる。
また、集光レンズ15の焦点距離が固定であれば、集光レンズ15入射時点のビーム径が大きいほど、レンズ設計の容易さが増し、集光スポット径は小さくでき、加工対象物3の表面4上の照射範囲22における光のエネルギの集中度を向上させることができる。この結果、ビームエキスパンダ19を備えない構成の加工装置と比較して、第4実施形態の加工装置61は光源11の出力を相対的に低くすることができ、いわゆる歪点などの形状変化が起こる温度が高いガラス材料から成る加工対象物3の加工時に、光源11の出力増加を相対的に抑えることができれば、製造コストの削減に繋がる。
図8は、本発明の第5実施形態である加工対象物3の加工装置71の構成を示す側面図である。なお、第5実施形態の加工装置71の構成要素のうち、第1実施形態〜第4実施形態の加工装置1,41,51,61の構成要素と同等であるものには、第1実施形態〜第4実施形態の構成要素と同じ参照符を付し、詳細な説明は省略する。
第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の端面処理のために、加工対象物3の表面4上の複数の位置に対して単一の光源11からの光を導光し照射することによって、光加工を行う。図8の例では、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の相対する2つの表面4a,4bに、光を照射している。
第5実施形態の加工装置71は、単一の光源11と、光路分岐部18と、導光部12と、照射位置移動部13とを最低限含む。単一の光源11は、加工対象物3に対して照射すべき光を出射する。光路分岐部18は、光源11から出射された光の光路9を、複数の光路9a,9bに分岐させる。導光部12は、加工対象物3の表面4上の加工対象物3の端面5から相互に異なる所定の離間距離Da,Dbだけ内側の位置で、かつ加工対象物3の厚み方向において異なる位置に、光路分岐部18によって分岐された複数の光路9a,9bの光をそれぞれ導光して照射させる。照射位置移動部13は、導光部12によって照射された複数の光路9a,9bの光に対する加工対象物3の位置を、照射光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに、相対的に移動させる。この結果、加工対象物3の各表面4a,4b上の端面5よりも相互に異なる所定の離間距離Da,Dbだけそれぞれ内側の位置21a,21bに、照射された光によって溶融加工された線状の加工構造24がそれぞれ得られる。これによって、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の複数の表面4a,4bを同時に光加工しつつ、各表面4a,4bの光加工に係る加工対象物3の温度上昇をより高い精度で制御することができるため、光加工精度がより向上する。
以上説明したように、加工対象物3の表面4上の複数の位置21a,21bに光を並行して照射する第5実施形態の加工装置71において、好ましくは、加工対象物3の各表面4上における光の照射位置21a,21bは、加工対象物3の端面5から表面4a,4b毎に異なる所定の離間距離Da,Dbだけ内側であり、同時に、加工対象物3の厚み方向において相互に対面しない異なる位置である。
この結果、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の各表面4a,4bに対する光加工時に、加工対象物3の複数の各表面4a,4bに対する光照射の加工対象物3の上側表面4aへ照射された光が加工対象物3を透過して下側表面4b用の光路9aに侵入して迷光となること、およびその逆の迷光の発生が、防止できる。
また、第5実施形態の加工装置71は、図5で説明した貼合わせ構造のガラス基板が加工対象物3として用いられる状況下において、好ましくは、上側表面側部材43の表面上における照射光の照射位置21aと下側表面側部材44の表面上における照射光の照射位置21bとを、上側表面側部材43の厚さおよび下側表面側部材44の厚さに応じてそれぞれ変化させる。これは以下の理由に起因する。
加工対象物3の補強用の加工構造24を形成するためには、加工対象物3の各部材43,44の厚さに依存する適切な温度上昇変化が必要である。温度変化が急激すぎると、加工対象物3の各部材43,44が逆に破損する恐れがある。ゆえに、加工対象物3の各部材の温度上昇範囲23の温度が適切に変化するように、加工対象物3の各部材の表面4上における光の照射状態を、部材43,44毎に適切に設定する必要がある。
加工対象物3の各部材の温度上昇範囲23の温度変化は、加工対象物3の各部材43,44の表面上に対する照射光の強度および各部材43,44の表面上における照射位置21の相対関係に依存する。かつ、加工対象物3の一方の部材43,44の温度上昇範囲23の温度変化は、前記一方の部材43,44の表面に対する照射光だけでなく、加工対象物3の他方の部材44,43の表面4に対する照射光にも影響を受ける。これらの結果、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の各部材43,44の温度上昇範囲23の温度を適切に上昇させるために、加工対象物3の各部材43,44の表面上における照射光の集光状態だけでなく、加工対象物3の各部材43,44の表面上における照射光の照射位置21の端面5からの離間距離Da,Dbを制御する必要がある。以上の理由により、第5実施形態の加工装置71は、好ましくは、加工対象物3の各部材43,44の表面上における照射光の照射位置21を、加工対象物3の各部材43,44の厚さに応じてそれぞれ設定する。
再び図8を参照する。第5実施形態の加工装置71は、好ましくは、複数の集光レンズ15と、集光状態変化部16とをさらに含む。各集光レンズ15は、光源−各表面間の各光路9a,9b内の光路分岐部18よりも光路終点側の個別光路部分内に、それぞれ配置される。各集光レンズ15は、光源−各表面間の各光路9a,9bの個別光路部分内の光を、それぞれ集光する。各集光レンズ15によって集光された光が、光源−各表面間の各光路9a,9bの導光部12によって導光されて、加工対象物3の各表面4a,4bに照射される。
以上説明したように、加工対象物3の複数の各表面4a,4bに光を並行して照射する第5実施形態の加工装置71において、好ましくは、光源−各表面間の複数の各光路9の個別光路部分内に、集光状態を個別に変化可能な構成の集光レンズ15がそれぞれ設けられる。この結果、第5実施形態の加工装置71は、光源各表面間の複数の光路9に関し、光路分岐後の個別光路部分内の光を集光レンズ15で個別に集光する。ゆえに、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の複数の表面4a,4b上の照射位置21a,21bにおける照射光のエネルギを、表面4a,4b毎に個別かつ容易に制御することができる。これによって、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の加工精度をさらに向上させることができる。
第5実施形態の加工装置71の具体的な一例を、以下に説明する。図8の具体例では、図1、図3、図6および図7の具体例と同様に、光源11からの光をレーザ光とする。また図8の具体例では、加工対象物3として、図5で説明した貼合わせのガラス基板を用いている。図8の具体例において、第5実施形態の加工装置71は、光加工の為に、加工対象物3の端面5以外の複数の各表面4a,4b上の端面5から相互に異なる所定の離間距離Da,Dbだけ内側の位置に、光を導光し照射させる。
図8の具体例において、第5実施形態の加工装置71は、単一の光源11と光路分岐部18と複数の導光部12と照射位置移動部13とを最低限含み、好ましくは、複数の集光レンズ15と集光状態変化部16とを含む。各導光部12は、1または複数の反射鏡31をそれぞれ含む。また具体的には、集光状態変化部16が、複数の光学ベース34および単一のレンズ位置調整用フォルダ35をさらに含む。図8の具体例では、光源−各表面間の複数の光路9a,9bと同数の光学ベース34と単一の共用ベース38が用意される。光源11は、炭酸ガスレーザで実現される。
光源11と光路分岐部18とは、予め定められた位置関係を常に保つ。光源−各表面間の各光路9a,9b内において、光源11よりも光路終点側に、光路分岐部18が配置される。光源−各表面間の各光路9a,9b内において、光路分岐部18よりも光路終点側に、各導光部12の1以上の反射鏡31が順次配置される。各導光部12内の1以上の反射鏡31は、光路分岐部18によって分岐された複数の各光路9a,9bの光をそれぞれ順次反射させて、加工対象物3の各表面4に導く。この結果、光源−各表面間の各光路9a,9bの個別光路部分が、各導光部12の1以上の反射鏡31で折曲げられつつ、加工対象物3の各表面4にそれぞれ至る。
各導光部12の1以上の反射鏡31のうちの光路最終点側の反射鏡31nは、個別に移動可能に構成される。光路最終点側の反射鏡31nの移動方向は、照射位置移動部13内に固定済の加工対象物3の各表面4a,4b上における光の照射位置21a,21bと端面5との離間距離Da,Dbを増減させる方向である。具体的には、光路最終点側の反射鏡31nの移動方向は、加工対象物3の各表面4に平行であって、かつ、加工対象物3の移動方向Yに垂直な方向である。光路最終点側の反射鏡31nを所定の移動方向に移動させることによって、第5実施形態の加工装置71は、加工対象物3の各表面4a,4b上における光の照射位置21a,21bから端面5までの離間距離Da,Dbを個別に調整することができる。
図8の具体例では、光源11と光路分岐部18とが所定の間隔をあけて共用ベース38上に固定される。また、各導光部12の1以上の反射鏡31のうちの少なくとも光路最終点側の反射鏡31nが、光源−各表面間の各光路9a,9b内の光路分岐部18よりも光路終点側に位置しており、各導光部12用の光学ベース34に移動可能に配置される。各導光部12の光路分岐部18よりも光路終点側の他の反射鏡31のうちの少なくとも1つが、各導光部12用の光学ベース34にさらに固定されていてもよい。また、各導光部12用の光学ベース34は、相互に独立して位置移動可能に構成されていてもよい。
各集光レンズ15および各レンズ位置調整用フォルダ35は、光源−各表面間の光路9a,9b内の光路分岐部18よりも光路終点側である個別光路部分内に配置される。各集光レンズ15は、各レンズ位置調整用フォルダ35によって、加工対象物3の各表面4に対する各集光レンズ15の位置が個別光路部分に沿う方向に移動可能に構成される。
図8の具体例では、各集光レンズ15および各レンズ位置調整用フォルダ35は、光源−各表面間の光路9a,9b内の光路分岐部18から光路最終点側の反射鏡31nに至る光路部分内に配置されている。光源−各表面間の光路9a,9bの長さが固定である場合、第5実施形態の加工装置71は、光路分岐部18から加工対象物3の各表面4a,4bに至る各光路9a,9bの個別光路部分内の各集光レンズ15の位置を個別に調整することで、加工対象物3の各表面4a,4b上の光の照射位置21a,21bにおける集光状態を、個別に制御する。
図8の具体例において、図3の具体例と同様に、第5実施形態の加工装置71の照射位置移動部13は、両面用試料配置部37および搬送ステージ33を含む。加工対象物3は、光加工すべき複数の各表面4a,4bが複数の各導光部12の最終点側の反射鏡31nとそれぞれ対面するように、両面用試料配置部37によって保持される。搬送ステージ33は、加工対象物3に対する光照射時に、加工対象物3保持中の両面用試料配置部37を、加工対象物3に照射される光の照射方向Zに垂直な搬送方向Yに移動させる。この結果、加工対象物3の複数の各表面4a,4bにおいて、加工対象物3に対する光照射に起因する加工構造24が、加工対象物3の端面5に沿う線状の形状でそれぞれ形成される。
第5実施形態の加工装置71の図8の具体例における加工手順を、以下に説明する。まず、共用ベース38上の光源11から、所定のビーム径のレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、光路分岐部18によって複数の光路9a,9bの個別光路部分へ分岐される。分岐後の各光路9の個別光路部分を通る光は、各光路9a,9b用の導光部12の1以上の反射鏡31によって順次反射され、かつ各光路9a,9b用の集光レンズ15で集光されて、加工対象物3の各表面4a,4b上の端面近傍部分6よりも各表面4a,4bの中心に近く端面5からの距離Da,Dbが相互に異なる照射位置21a,21bに、導光されて照射される。
第5実施形態の加工装置71において、加工対象物3の各表面4a,4b側の温度上昇範囲23a,23bが表面4a,4b毎に必要充分な面積および深さでそれぞれ溶融するように、光源−各表面間の光路9a,9bの長さ、各表面4a,4bの光の照射位置21a,21bと端面5との距離Da,Db、および前記各光路9a,9b内の集光レンズ15の位置が、予め調整されている。すなわち、第5実施形態の加工装置71は、光源−各表面間の光路9a,9b内の集光レンズ15のデフォーカス量を光路9a,9b毎に個別に調整することによって、加工対象物3の複数の各表面4a,4b上における照射光の集光状態を相互に異ならせることができる。
第5実施形態の加工装置71は、上述のような加工対象物3の各表面4a,4b側の照射光の相互作用による影響を反映するように、加工対象物3の各表面4a,4b上における照射光の照射位置21および集光状態を、表面4a,4b毎にそれぞれ調整することができる。
これらによって、第5実施形態の加工装置71は、たとえば、加工対象物3の各表面4a,4bに形成される加工構造24の幅および深さならびに位置を、相互に異ならせることができる。したがって、第5実施形態の加工装置71は、補強用の加工構造24の形成時に加工対象物3の各表面4a,4bに微小な溶融加工をより適切な状態で施すことができるので、光加工の精度がさらに向上する。
また、第5実施形態の加工装置71は、光源−各表面間の光路9a,9b毎に、各導光部12の光路最終点側の反射鏡31nの位置ならびに集光レンズ15の位置が調整可能である。このため、各表面4上における光の照射位置21a,21bならびに集光レンズ15の集光状態の調整時に、各光学ベース34と共用ベース38との位置関係および光学ベース34と加工対象物3の各表面4a,4bとの位置関係を変える必要がない。ゆえに、第5実施形態の加工装置71は、装置の構成をさらに簡略化することができる。
以上説明したように、第1実施形態〜第5実施形態の加工装置1,41,51,61,71は、本発明の加工装置の最良の実施形態の1つである。第1実施形態の加工装置1〜第5実施形態の加工装置71の構成要素の詳細構成は、上述の作用効果が発揮可能な構成であれば、上述した構成に限らず、他の様々な構成が用いられてもよい。
1,41,51,61,71 加工装置
3 加工対象物
4 加工対象物の表面
4a 加工対象物の上側表面
4b 加工対象物の下側表面
5 加工対象物の端面
6 端面近傍部分
9,9a,9b 光源から加工対象物の表面に至る光路
11 光源
12 導光部
13 照射位置移動部
15 集光レンズ
16 集光状態変化部
18 光路分岐部
19 ビームエキスパンダ
21,21a,21b 光の照射位置
22,22a,22b 光の照射範囲
23,23a,23b 温度上昇範囲
24 加工構造
26 光の照射位置の移動軌跡
31 反射鏡
D,Da,Db 加工対象物の表面上における端面から光の照射位置までの離間距離
X 加工対象物の表面上における端面から照射位置まで離間方向
Y 加工対象物の表面上における光の照射位置の移動方向
Z 加工対象物の表面上に対する光の照射方向

Claims (5)

  1. 板状の加工対象物の表面に光を照射することによって、前記加工対象物の加工を行う加工装置であって、
    前記加工対象物に対して照射すべき光を出射する光源と、
    前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面から所定距離だけ内側の位置に、前記光源から出射された光を導光して照射する導光部と、
    前記加工対象物を、前記導光部から照射された光の照射方向に垂直な方向に相対的に移動させる照射位置移動部とを含むことを特徴とする加工装置。
  2. 前記導光部は、前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面からそれぞれ所定距離だけ内側の複数の位置に、前記光源から出射された光をそれぞれ導光することを特徴とする請求項1記載の加工装置。
  3. 前記導光部は、前記加工対象物の表面上の前記加工対象物の端面から所定距離だけ内側で、かつ前記加工対象物の厚み方向に相互に対面する位置に、前記光源から出射された光をそれぞれ導光して照射させることを特徴とする請求項2記載の加工装置。
  4. 前記光源から前記導光部を経て前記加工対象物の表面に至る光路内に配置される集光レンズと、
    前記集光レンズを通過して前記加工対象物の表面に照射される光の集光状態を変化させるための集光状態変化部とをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の加工装置。
  5. 前記加工対象物の表面上における光の照射位置と前記加工対象物の端面との距離は、50μm以上200μm以下であることを特徴する請求項1〜4のいずれか1つに記載の加工装置。
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