JP2014195818A - 無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法および無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法および無方向性電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱延前のスラブ加熱後の組織を微細にすることにより、熱延板の組織を微細とし、もって磁束密度を向上させた無方向性電磁鋼板を得る。【解決手段】連続鋳造により製造したスラブを素材として、無方向性電磁鋼板を製造するに際し、鋳片がオーステナイト相からフェライト相に変態する温度をA3温度としたとき、連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持し、ついでA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行う。【選択図】図1

Description

本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用モータや発電機用モータを典型例とする鉄心材料として好適な、優れた磁気特性を有する高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造技術に関するものである。
無方向性電磁鋼板は、主に回転機や変圧器の鉄心等に使用される。これら鉄心のエネルギー効率を高めるためには、無方向性電磁鋼板の磁束密度を高め、鉄損を下げる必要がある。無方向性電磁鋼板の鉄損を低減する手段としては、従来、Si,AlおよびMn等の含有量を高め、電気抵抗を増加することによって渦電流損を低減する手法が一般に用いられている。しかしながら、この手法では磁束密度の低下を免れることができないという問題があった。
このような状況下にあって、無方向性電磁鋼板の磁束密度を向上する方法について、幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、P含有量を0.05〜0.200%、Mn含有量を0.20%以下として、高磁束密度化を図る方法が提案され、また特許文献2には、Al含有量を0.017%以下として、高磁束密度化を図る方法が提案されている。
さらに、上述以外の元素として、SbやSn添加が高磁束密度化に効果があることが知られており、例えば特許文献3にその記載がある。
また、特許文献4には、P含有量を0.07%超え0.20%以下とした素材について、熱延板焼鈍を箱焼鈍として冷延前粒径を特定の範囲に制御する技術が開示されている。
このように、磁束密度を向上する方法は、種々提案されているが、これらの特許文献では適正な鋳造条件については何ら言及されていない。
一方、特許文献5には、鋳造条件として、1000℃から900℃の温度域における鋳片冷却速度を15℃/分以上とすることにより、粗大な介在物を減少させ、再結晶過程で好ましくない方位の結晶粒の発生を低減し、高い磁束密度を得る技術が提案されている。
しかしながら、これまで提案された従来技術では、連続鋳造時における鋳片の詳細な温度履歴と磁束密度との関係については考慮が払われていない。
上述したように、磁束密度を向上させる方法は、従来から数多く提案されているが、今もなお、更なる高磁束密度化は製造者にとっての課題である。
特公平6−80169号公報 特許第4126479号公報 特許第2500033号公報 特許第3870893号公報 特許第3845871号公報
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、連続鋳造時の鋳片の温度履歴に着眼し、熱延前のスラブ加熱後の組織を微細にすることによって熱延板の組織を微細とし、もって高い磁束密度の無方向性電磁鋼板を得ることができる、無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法および無方向性電磁鋼板の製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決するために、連続鋳造時における鋳片の温度履歴、熱延前のスラブ加熱後における組織および熱延板の組織が、仕上焼鈍板の磁束密度に及ぼす影響について詳細な調査を行った。
その結果、連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度を基準として、A3温度未満ついでA3温度以上にそれぞれ所定時間保持する処理を、1回または2回以上繰り返して行うことが、磁束密度の向上に有効であるとの知見を得た。ここで、A3温度とは、鋳片がオーステナイト相(γ相)からフェライト相(α相)に変態する温度とする。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C :0.0200%以下、
Si:0.1%以上2.0%以下、
Mn:0.5%以下、
Al:0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下、
P :0.2%以下、
S :0.0200%以下および
N :0.0200%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からなるスラブを、連続鋳造により製造し、スラブ加熱後、熱間圧延を施して無方向性電磁鋼板用熱延鋼板を製造するに際し、
鋳片がオーステナイト相からフェライト相に変態する温度をA3温度としたとき、
連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持し、ついでA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法。
2.前記スラブが、質量%で、さらに、
Sn:0.005%以上0.2%以下、
Sb:0.005%以上0.2%以下および
Ca:0.001%以上0.005%以下
のうちから選んだ1種または2種以上含有することを特徴とする前記1に記載の無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法。
3.質量%で、
C :0.0200%以下、
Si:0.1%以上2.0%以下、
Mn:0.5%以下、
Al:0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下、
P :0.2%以下、
S :0.0200%以下および
N :0.0200%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からなるスラブを、連続鋳造により製造し、スラブ加熱後、熱間圧延により熱延鋼板とし、ついで1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延鋼板としたのち、仕上焼鈍を施す一連の工程によって無方向性電磁鋼板を製造するに際し、
鋳片がオーステナイト相からフェライト相に変態する温度をA3温度としたとき、
連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持し、ついでA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記スラブが、質量%で、さらに、
Sn:0.005%以上0.2%以下、
Sb:0.005%以上0.2%以下および
Ca:0.001%以上0.005%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする前記3に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、従来よりさらに磁束密度の高い無方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。
また、本発明によれば、スラブや熱延鋼板の結晶粒が微細になるので、熱間圧延や冷間圧延での割れや表面欠陥の発生を低減することもできる。
鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理の回数が磁気特性に及ぼす影響を示すグラフである。
以下、本発明を具体的に説明する。
さて、本発明者らは、従来までの知見より一層詳しく、無方向性電磁鋼板の磁束密度に及ぼす鋳片の温度履歴について、研究、検討を行った。なお、成分に関する「%」、「ppm」表示は特に断らない限り「質量%」、「質量ppm」を意味するものとする。また、A3温度は、鋳片がオーステナイト相(γ相)からフェライト相(α相)に変態する温度とする。
鋳片の温度履歴が仕上焼鈍板の磁束密度に及ぼす影響を、Si:0.7%、Al:0.3%、S:18ppmおよびN:21ppmを含む溶鋼を、連続鋳造によりスラブとし、スラブ加熱後、熱間圧延を施し、ついで1000℃、60秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.50mmの最終板厚としたのち、810℃にて20秒の仕上焼鈍を施して得た無方向性電磁鋼板について調査した。なお、本成分系におけるA3温度は950℃である。
この際、鋳片鋳造時の冷却水量を調整することにより、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を、0回、1回、2回施した。
図1に、上記した降温昇温処理の回数と磁気特性との関係について調べた結果を示す。
なお、磁気特性は、圧延方向(L)および圧延直角方向(C)にエプスタイン試験片を切り出して測定し、L+C特性(同量のL方向試験片とC方向試験片を用いたエプスタイン測定による特性)のB50(磁化力:5000A/mにおける磁束密度)およびW15/50(磁束密度:1.5T、周波数:50Hzで励磁したときの鉄損)で評価した。
図1に示したとおり、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を少なくとも1回施すことにより、磁気特性を大幅に向上させることができた。
このように、鋳片表面温度をA3温度未満にした後にA3温度以上にするという降温昇温処理を施すことにより、磁束密度を向上させることができる。
磁束密度が向上した理由を解明するため、熱延板および熱延前スラブ加熱後スラブの組織を調査した。
その結果、スラブ組織は、鋳片表面温度をA3温度未満にした後にA3温度以上とすることにより、鋳造組織中に生成した再結晶粒が多くなり、結晶粒は微細化していた。また、熱延板の組織は、鋳片表面温度をA3温度未満にした後にA3温度以上とすることにより、圧延方向に延びた結晶粒が減少し、結晶粒は微細化していた。
以上のことから、熱延板の組織は、鋳片表面温度をA3温度未満にした後にA3温度以上とすると、鋳片の内部と表層とで相(密度)が異なることに起因した歪が鋳片により多く蓄積されるため、熱延前のスラブ加熱で再結晶が促進され、熱延前スラブの組織が微細化されたものと考えられる。そのため、熱延板組織が微細になり、その結果、仕上焼鈍時の再結晶過程で好ましい方位の結晶粒を発生させ、磁束密度が向上したと考えられる。
本発明は、以上の知見に基づいて、磁束密度に優れた無方向性電磁鋼板を製造できるようにしたものである。
次に、本発明において、スラブ成分を前記の組成範囲に限定した理由について説明する。
C:0.0200%以下
Cは、鉄損を劣化させるので少なければ少ないほど良い。C量が0.0200%を超えると鉄損増加がとくに顕著になることから、C量は0.0200%以下に限定する。好ましくは0.0050%以下である。下限については、Cは少なければ少ないほど好ましいので、とくに限定はしない。
Si:0.1%以上2.0%以下
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低減する効果を有するため、無方向性電磁鋼板を構成する主要元素である。この鉄損改善のためには0.1%以上のSiが必要である。一方、2.0%を超えると、フェライト(α相)の単相となり、オーステナイト(γ相)は生成しなくなるので、本発明の範囲外とした。
Mn:0.5%以下、
Mnは、Siと同様、電気抵抗を増加して鉄損を低減するのに有効な元素であるだけでなく、鋼を固溶強化する作用も有する上でも有効な元素である。また、熱間脆性を抑制する効果もある。しかしながら、Mn量が0.5%を超えるとコストの上昇を招くので、Mn量は0.5%以下とした。
Al:0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下
Alは、Siと同様、電気抵抗を増加して鉄損を低減するのに有効な元素である。しかしながら、Al量が0.0020%超から0.1%未満では非常に微細なAlNが多数生成して鉄損が著しく劣化する。また、Al量が3.0%超では冷延性の劣化を招く。従って、Al量は0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下とした。
P:0.2%以下
Pの過剰添加は圧延性の低下をもたらすので、P量は0.2%以下に制限した。
S:0.0200%以下
Sは、析出物や介在物を形成して製品の磁気特性を劣化させるので、少なければ少ないほど良い。磁気特性を劣化させないために、S量は0.0200%以下に制限する。好ましくは0.0050%以下である。なお、脱硫によるコスト増を押さえるためは、下限は0.0003%とすることが好ましい。
N:0.0200%以下
Nは、前述したCと同様、磁気特性を劣化させるので0.0200%以下に制限する。好ましくは0.0050%以下である。下限については、Nは少なければ少ないほど好ましいので、とくに限定はしない。
以下、基本成分について説明したが、本発明では、必要に応じて以下に述べる成分を適宜含有させることができる。
Sn:0.005%以上0.2%以下、Sb:0.005%以上0.2%以下
SnおよびSbはいずれも、集合組織を改善して磁気特性を高める効果を有するので、必要に応じて添加することができる。その効果を得るには、Sn,Sbはそれぞれ0.005%以上添加する必要がある。一方、過剰に添加すると鋼が脆化し、鋼板製造中の板破断や表面欠陥が増加するため、Sn,Sbはそれぞれ0.2%以下とする。
Ca:0.001%以上0.005%以下
Caは、鋼中でCaSとして析出し、微細な硫化物の析出を抑制して鉄損を改善するのに有効な元素であるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、含有量が0.001%未満ではその効果は充分でなく、一方0.005%を超えるとCa酸化物が増えてかえって鉄損が劣化するため、Ca量は0.001%以上0.005%以下とした。
次に、本発明に従う製造方法の限定理由について述べる。
本発明の高磁束密度無方向性電磁鋼板の製造に際しては、一般の無方向性電磁鋼板に適用されている工程および設備を用いて実施することができる。
例えば、転炉あるいは電気炉などで所定の成分組成に溶製した溶鋼を、脱ガス設備で二次精錬し、連続鋳造によりスラブとしたのち、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、酸洗し、冷間圧延後、仕上焼鈍、ついで絶縁被膜塗布焼き付けといった工程である。
本発明では、上記の連続鋳造において、鋳片がオーステナイト相(γ相)からフェライト相(α相)に変態する温度をA3温度としたとき、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行うことが重要である。この降温昇温処理により、無方向性電磁鋼板の磁束密度を大幅に向上させることができる。
なお、鋳片表面温度をA3温度未満に保持する時間の上限は、特に制限されるわけではないが、生産性を確保する観点から1000秒程度とすることが好ましい。また、鋳片表面温度をA3温度以上に保持する時間の上限についても、特に制限されるわけではないが、生産性を確保する観点から1000秒程度とすることが好ましい。
さらに、上記した降温昇温処理を施す回数についても特に制限はないが、処理回数があまりに多くなると生産性や製造コストの面で不利が生じるので、1〜2回程度とするのが好適である。
ここで、鋳片表面温度は、放射温度計等で実測することが好ましい。実測が困難な場合には、冷却水量などから熱流を計算して鋳片表面温度を算出してもよい。
すなわち、冷却水によりスラブ表面から逃げる熱、変態や化学反応による発熱や吸熱、熱拡散係数、および比熱を用いることで、有限要素法(FEM)で計算することができる。
一方、鋳片表面温度を上昇させるためには、加熱装置を使ってもよいが、冷却水量を減らすなどして冷却能力を低下させることにより鋳片の内部からの復熱を利用して温度を上昇させる方が有利である。
また、A3温度は、成分から次式により求めることができる。
3[℃]=891−900×C[%]+50×Si[%]−88×Mn[%]+190×P[%]+380×Al[%]
上記のようにして得られたスラブは、スラブ加熱が施されるが、このスラブ加熱温度は950℃以上1200℃以下とすることが好ましい。というのは、スラブ加熱温度があまりに低いと次工程の熱間圧延工程における負荷が大きくなり、一方あまりに高温となると、エネルギーロスが大きくなって不経済となるだけでなく、スラブの高温強度が低下してスラブ垂れなど製造上のトラブルが発生しやすくなるためである。
ついで、熱間圧延を施すが、この熱間圧延工程に特に制限はなく、常法に従って行えば良い。なお、熱延板の厚さは1.5〜2.8mm程度とするのが好ましく、より好ましくは1.7〜2.3mmである。
上記の熱間圧延後、冷間圧延に先立ち、必要に応じて熱延板焼鈍を施すこともできる。この熱延板焼鈍を施す場合、均熱温度は900℃以上1050℃以下とすることが好ましい。というのは、熱延板焼鈍の均熱温度が900℃未満では磁気特性が劣化するおそれがあり、一方1150℃を超えると経済的に不利だからである。
次に、1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延によって製品厚みの冷延板とする。なお、磁束密度を一層向上させるために、冷間圧延を、板温が200℃の程度の温間圧延としてもよい。冷延板の厚さ(製品厚み)は特に問わないが0.20〜0.50mm程度とするのが好ましい。
ついで、仕上焼鈍を施すが、この仕上焼鈍における均熱温度は700℃以上1150℃以下とするのが好ましい。というのは、仕上焼鈍の均熱温度が700℃未満では再結晶が十分に進行せず磁気特性が大幅に劣化する場合があることに加え、連続焼鈍における板形状の矯正効果が十分に発揮されないおそれがあり、一方1150℃を超えると結晶粒が極めて粗大化してしまい、特に高周波数域での鉄損が増加するおそれが生じるからである。
上記した仕上焼鈍後、鉄接を低減するために鋼板の表面に絶縁コーティングを施すことが有利である。その際、良好な打抜性を確保するためには、樹脂を含有する有機コーティングとすることが、一方溶接性を重視する場合には半有機コーティングや無機コーティングを適用することが望ましい。
なお、本発明では、結晶粒が微細になるので、熱間圧延や冷間圧延での割れや表面欠陥の発生を低減する効果もある。
実施例1
C:0.0021%、Si:0.7%、Mn:0.22%、Al:0.3%、P:0.07%、S:18ppmおよびN:21ppmを含み、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる溶鋼を、連続鋳造によりスラブとし、1100℃でスラブ加熱後、熱間圧延を施し、ついで1000℃,60秒の熱延板焼鈍後、酸洗し、冷間圧延により0.50mm厚に仕上げたのち、810℃で20秒の仕上焼鈍を行った。なお、本成分系のA3温度は950℃である。
上記の連続鋳造に際し、冷却水量を調整することにより、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を、0回、1回、2回施した。
かくして得られた製品板の磁気特性について調査した結果を表1に示す。
なお、磁気特性は、圧延方向(L)および圧延直角方向(C)にエプスタイン試験片を切り出して測定し、L+C特性(同量のL方向試験片とC方向試験片を用いたエプスタイン測定による特性)のB50(磁化力:5000A/mにおける磁束密度)およびW15/50(磁束密度:1.5T、周波数:50Hzで励磁したときの鉄損)で評価した。
Figure 2014195818
表1に示したとおり、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を、少なくとも1回施した場合には、鉄損のみならず、磁束密度が向上している。
実施例2
表2に示す成分組成になる溶鋼を、連続鋳造によりスラブとし、1050〜1110℃でスラブ加熱後、熱間圧延により厚さ:2.2mmの熱延板とし、ついで冷間圧延により厚さ:0.50mmに仕上げたのち、表3に示す仕上焼鈍温度で仕上焼鈍を施して、電磁鋼板を製造した。ただし、鋼種Dについては、熱間圧延後、1000℃で連続焼鈍による熱延板焼鈍を施した。
また、上記の連続鋳造に際し、冷却水量を調整することにより、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持した後にA3温度以上に10秒以上保持する処理を、0回、1回施した。
かくして得られた電磁鋼板の磁気特性を、実施例1と同様にして測定した結果を表3に併記する。
Figure 2014195818
Figure 2014195818
表3から明らかなように、本発明に従い得られた無方向性電磁鋼板はいずれも、同一鋼種で比較すると、優れた磁気特性を示している。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.0200%以下、
    Si:0.1%以上2.0%以下、
    Mn:0.5%以下、
    Al:0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下、
    P :0.2%以下、
    S :0.0200%以下および
    N :0.0200%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からなるスラブを、連続鋳造により製造し、スラブ加熱後、熱間圧延を施して無方向性電磁鋼板用熱延鋼板を製造するに際し、
    鋳片がオーステナイト相からフェライト相に変態する温度をA3温度としたとき、
    連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持し、ついでA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記スラブが、質量%で、さらに、
    Sn:0.005%以上0.2%以下、
    Sb:0.005%以上0.2%以下および
    Ca:0.001%以上0.005%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板用熱延鋼板の製造方法。
  3. 質量%で、
    C :0.0200%以下、
    Si:0.1%以上2.0%以下、
    Mn:0.5%以下、
    Al:0.0020%以下、または0.1%以上3.0%以下、
    P :0.2%以下、
    S :0.0200%以下および
    N :0.0200%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の成分組成からなるスラブを、連続鋳造により製造し、スラブ加熱後、熱間圧延により熱延鋼板とし、ついで1回または中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延鋼板としたのち、仕上焼鈍を施す一連の工程によって無方向性電磁鋼板を製造するに際し、
    鋳片がオーステナイト相からフェライト相に変態する温度をA3温度としたとき、
    連続鋳造時に、鋳片表面温度をA3温度未満に10秒以上保持し、ついでA3温度以上に10秒以上保持する処理を、1回または2回以上行うことを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記スラブが、質量%で、さらに、
    Sn:0.005%以上0.2%以下、
    Sb:0.005%以上0.2%以下および
    Ca:0.001%以上0.005%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
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