JP2014195798A - 高分子機能性膜、その製造方法およびイオン交換装置 - Google Patents

高分子機能性膜、その製造方法およびイオン交換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】選択透過性及びpH耐性に優れるだけでなく、透水率及び膜の電気抵抗が低く、耐久性に優れる高分子機能性膜、その製造方法及びイオン交換装置の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜、その製造方法及びイオン交換装置。
Figure 2014195798

【選択図】なし

Description

本発明は、イオン交換膜、燃料電池、およびタンパク質凝集物もしくはウイルス除去膜等に有用な高分子機能性膜、その製造方法およびイオン交換装置に関する。
高分子機能性膜としての各種の機能を有する膜として、イオン交換膜、逆浸透膜、正浸透膜またはガス分離膜等が知られている。
例えば、イオン交換膜は、電気脱塩(EDI:Electrodeionization)、連続的な電気脱塩(CEDI:Continuous Electrodeionization)、電気透析(ED:Electrodialysis)、逆電気透析(EDR:Electrodialysis reversal)等に用いられる。
電気脱塩(EDI)は、イオン輸送を達成するためにイオン交換膜と電位を使用して、水性液体からイオンが取り除かれる水処理プロセスである。従来のイオン交換のような他の浄水技術と異なり、酸または苛性ソーダのような化学薬品の使用を要求せず、超純水を生産するために使用することができる。電気透析(ED)および逆電気透析(EDR)は、水および他の流体からイオン等を取り除く電気化学の分離プロセスである。
イオン交換膜では、イオンの選択透過性およびpH耐性の改良研究が行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、高分子機能性膜としての更なる性能の向上が求められており、これ以外の高分子機能性膜の特性の向上も要求されるようになってきている。
国際公開第2013/011272号パンフレット 国際公開第2011/073637号パンフレット 国際公開第2011/073639号パンフレット
本発明は、イオンの選択透過性(以下、単に「選択透過性」ということもある。)およびpH耐性に優れるだけでなく、透水率および膜の電気抵抗が低く、耐久性に優れる高分子機能性膜およびその製造方法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、当該高分子機能性膜を用いたイオン交換装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上述の要求に応える高分子機能性膜を得るため、高分子機能性膜を構成するポリマーの構造に着目して鋭意研究を行った。その結果、下記一般式(I)で表される構造を有するポリマーを用いた高分子機能性膜は、イオン交換膜として用いた際、選択透過性、pH耐性、透水率、膜の電気抵抗および耐久性のいずれにおいても優れることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき成されるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
(1)少なくとも1種の下記一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜。
Figure 2014195798
一般式(I)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。
(2)一般式(I)において、qが0である(1)に記載の高分子機能性膜。
(3)一般式(I)において、qが1〜4の整数である(1)に記載の高分子機能性膜。
(4)一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、下記一般式(I−1)で表される構造を含むポリマーである(1)に記載の高分子機能性膜。
Figure 2014195798
一般式(I−1)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qqは0〜4の整数を表す。
(5)一般式(I)において、Mが有機塩基イオンである(1)〜(4)のいずれかに記載の高分子機能性膜。
(6)多孔質性の支持体を有し、少なくとも1種の一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、多孔質支持体の少なくとも表面に形成されている(1)〜(5)のいずれかに記載の高分子機能性膜。
(7)少なくとも1種の一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、多孔質性の支持体の細孔中に保持されている(6)に記載の高分子機能性膜。
(8)多孔質性の支持体が織布もしくは不織布である(6)または(7)に記載の高分子機能性膜。
(9)下記一般式(II)で表される重合性化合物を含有する組成物を重合硬化反応させてなる(1)〜(8)いずれかに記載の高分子機能性膜。
Figure 2014195798
一般式(II)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。
(10)一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜を、少なくとも1種の一般式(II)で表される重合性化合物に活性放射線を照射することにより形成する(1)〜(9)のいずれかに記載の高分子機能性膜の製造方法。
(11)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の高分子機能性膜を少なくとも1種を含むイオン交換装置。
本明細書において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、「解離基」とは、その成分原子、イオン、原子団等に可逆的に分解することができる基をいう。
本発明において、「(メタ)アクリル」等の記載は、−C(=O)CH=CHおよび−C(=O)C(CH)=CH、または−C(=O)CH=CHと−C(=O)C(CH)=CHの少なくとも一方を意味するものであり、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、またはアクリルアミドとメタクリルアミドの少なくとも一方を、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレート、またはアクリレートとメタクリレートの少なくとも一方を、それぞれ表す。
また、各一般式において、特に断りがない限り、複数存在する同一符号の基がある場合、これらは互いに同一であっても異なってもよく、同じく、複数の部分構造の繰り返しがある場合は、これらの繰り返しが同一の繰り返しでも、また規定する範囲で異なった繰り返しの混合の両方を意味するものである。
さらに、各一般式における二重結合の置換様式である幾何異性体は、表示の都合上、異性体の一方を記載したとしても、特段の断りがない限り、E体であってもZ体であっても、これらの混合物であっても構わない。
本発明の高分子機能性膜は、透水率の抑制およびpH耐性、イオンの選択透過性、膜の電気抵抗に優れ、かつ耐久性に優れる。本発明の高分子機能性膜は、広範な用途に用いることができ、特にイオン交換膜に好適に用いることができる。また、本発明によれば、当該高分子機能性膜を用いたイオン交換装置を提供することができる。
膜の透水率を測定するための装置の流路の模式図である。
本発明の高分子機能性膜(以下、単に「膜」と称することもある。)は、少なくとも一般式(I)で表される構造を有するポリマーを含有する。
本発明の膜は、(A)一般式(II)で表される重合性化合物を必須成分として含有し、必要に応じて更に、(B)他の単官能重合性化合物、(C)重合開始剤、(D)共増感剤、(E)重合禁止剤、(F)溶媒および(G)アルカリ金属化合物等を含有する組成物(以下、単に「高分子機能性膜形成用組成物」と称する。)を重合硬化反応して形成されるものである。
本発明の高分子機能性膜は、イオン交換、燃料電池、イオンの選択的透過、プロトン伝導およびタンパク質凝集物もしくはウイルス除去等を行うために用いることができる。以下、本発明の好ましい実施形態について、前記高分子機能性膜がカチオン交換膜としての機能を有する場合を例に挙げて説明する。
本発明の高分子機能性膜は、カチオン交換膜である。
膜の厚さは、支持体を含めて、好ましくは200μm未満、より好ましくは5〜180μm、最も好ましくは10〜150μmである。
本発明の高分子機能性膜は、任意の多孔質支持体および任意の多孔質補強材料を含む膜の全乾燥質量に対して、好ましくは0.5meq/g以上、より好ましくは0.8meq/g以上、特に好ましくは1.2meq/g以上のイオン交換容量を有する。
本発明の高分子機能性膜は、乾燥膜の面積に対して、好ましくは20meq/m以上、より好ましくは30meq/m以上、特に好ましくは40meq/m以上の電荷密度を有する。ここで、meqはミリ当量である。
本発明の高分子機能性膜において、Naなどのカチオンに対する選択透過性は、好ましくは0.9を超え、より好ましくは0.95を超え、特に好ましくは0.96を超え、最も好ましくは0.97を超える。
本発明の高分子機能性膜の電気抵抗(膜抵抗)は、好ましくは10Ω・cm未満、より好ましくは5Ω・cm未満、最も好ましくは3Ω・cm未満である。電気抵抗は低いほど好ましく、実現できる範囲で最も低い値とすることが本発明の効果を奏する上で好ましい。
本発明の高分子機能性膜の水中での膨潤率(膨潤による寸法変化率)は、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満、最も好ましくは8%未満である。膨潤率は、重合硬化段階で適切なパラメーターを選択することにより制御することができる。
本発明の高分子機能性膜の吸水量は、乾燥膜の質量に対して、好ましくは70%未満、より好ましくは50%未満、特に好ましくは40%未満である。
膜の電気抵抗、選択透過性および水中での膨潤率は、Membrane Science,319,217〜218(2008)、中垣正幸著、膜学実験法,193〜195頁(1984)に記載されている方法により測定することができる。
本発明の高分子機能性膜の透水率は、14×10―5mL/m/Pa/hr以下が好ましく、10×10―5mL/m/Pa/hr以下がより好ましく、5×10―5mL/m/Pa/hr以下が最も好ましい。
以下に、本発明についてその好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
なお、本明細書において「化合物」ないし「樹脂」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは特定の化合物をその名称や式で示すときには、当該化合物そのものに加え、その化学構造式中に解離性の部分構造を有するのであれば、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは特定の化合物をその名称で呼ぶときには、その基もしくは化合物に任意の置換基を有していてもよい意味である。
本発明の高分子機能性膜は、少なくとも1種の下記一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する。
Figure 2014195798
一般式(I)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基で、炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。アルキル基の具体例として、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ヘキサデシルなどが挙げられる。RおよびRにおけるアルキル基は置換基を有してもよく、該置換基としては、後述の置換基群Zより選択される基が好ましい。
およびRは、各々独立に、水素原子またはメチルが好ましく、水素原子がより好ましい。
、RおよびRは、各々独立に置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、飽和もしくは不飽和の縮環を形成してもよい。
置換基の例としては、以下の置換基群Zより選択される基を表す。
置換基群Z:
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、n−ヘキサデシル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20、特に好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルが挙げられる。)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10のアミノ基であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のヘテロ環オキシ基であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェニルオキシカルボニルが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノが挙げられる。)、
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノが挙げられる。)、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノが挙げられる。)、スルファモイル基(スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルファモイル基を含み、好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルが挙げられる。)、
カルバモイル基(カルバモイル基、アルキルもしくはアリールカルバモイル基を含み、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ、エチルチオが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のヘテロ環チオ基であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオが挙げられる。)、
アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルもしくはアリールスルホニル基であり、例えばメシル、トシルが挙げられる。)、アルキルもしくはアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルもしくはアリールスルフィニル基であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、より好ましくはフッ素原子が挙げられる)、
シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、オキソ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、環構成ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましく、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル、アゼピニルが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリル基であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリルオキシ基であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシが挙げられる。)が挙げられる。これらの置換基は、更に上記置換基群Zより選択されるいずれか1つ以上の置換基により置換されてもよい。
なお、本発明において、1つの構造部位に複数の置換基があるときには、それらの置換基は互いに連結して環を形成していたり、上記構造部位の一部または全部と縮環して芳香族環もしくは不飽和複素環を形成していたりしてもよい。
、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基としては、例えば、直鎖、分岐もしくは環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基であり、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、オクチレン、デシレンが挙げられる。なお、環状のアルキレン基、すなわち、シクロアルキレン基の場合、好ましくは炭素数3〜12、より好ましくは炭素数3〜8、更に好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキレン基が好ましい。)、直鎖、分岐もしくは環状のアルキニレン基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜12、更に好ましくは炭素数2〜4のアルケニレン基であり、例えばエテニレン、プロペニレンが挙げられる。なお、環状のアルケニレン基は5または6員環のシクロアルケニレン基が好ましい。)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキレンオキシ基であり、例えばメチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、へキシレンオキシ、オクチレンオキシ、デシレンオキシが挙げられる。)、アラルキレン基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜13のアラルキレン基であり、例えばベンジリデン、シンナミリデンが挙げられる。)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜15のアリーレン基であり、例えば、フェニレン、クメニレン、メシチレン、トリレン、キシリレンが挙げられる。)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、スルホニル基(−SO−)、カルボニル基(−C(=O)−)が挙げられる。これらは更に置換基を有していてもよい。更なる置換基としてはヒドロキシ基またはハロゲン原子が好ましい。
は水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。有機塩基イオンとしては、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジベンジルアンモニウム)、有機へテロ環イオン(含窒素ヘテロ環イオンが好ましく、該含窒素ヘテロ環イオンにおけるヘテロ環としては、5または6員環が好ましく、芳香環であっても単なるヘテロ環であっても構わない。またベンゼン環などの他の環で縮環されていてもよく、スピロ環、架橋環を形成していてもよい。例えば、ピリジニウム、N−メチルイミダゾリウム、N−メチルモルホリニウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカニウム、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−7−ノネニウム、グアニジウム)から選択される有機塩基イオンが挙げられる。金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン)から選択される金属イオンが挙げられ、アルカリ金属イオンが好ましい。Mが複数存在する場合、複数存在するMは、互いに同じでも異なっていてもよい。
は、水素イオン、有機塩基イオンまたはアルカリ金属イオンが好ましく、水素イオン、有機へテロ環イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンがより好ましく、さらに好ましくは水素イオン、ピリジニウム、N−アルキルモルホリニウム(好ましくは、N−メチルモルホリニウム)、N−アルキルイミダゾリウム(好ましくは、N−メチルイミダゾリウム)、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが特に好ましい。
n1およびn2は、各々独立に1〜4の整数を表し、m1およびm2は0または1を表す。
n1およびn2は、各々独立に1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、1であることが特に好ましい。m1およびm2は0または1であり、0であることが好ましい。
は単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。
は、単結合、−O−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基(好ましくは、エチレン基)が好ましく、単結合、−SO−、−CR−またはアルケニレン基がより好ましく、単結合が特に好ましい。
およびRは、各々独立に、アルキル基またはハロゲン原子が好ましく、メチル基またはフッ素原子がより好ましい。
pは1以上の整数を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1が特に好ましい。qは0〜4の整数を表し、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1が特に好ましい。
前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーは、下記一般式(III)で表される構造を含むポリマーであることが好ましい。
Figure 2014195798
一般式(III)中、R、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1およびm2は、ぞれぞれ、前記一般式(I)におけるR、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1およびm2と同義であり、その好ましい範囲も同じである。
以下、本発明における高分子機能性膜形成用組成物が含有する必須成分の前記(A)成分、任意成分である前記(B)〜(G)成分、その他の成分、並びに支持体について説明する。
(A)一般式(II)で表される重合性化合物
本発明の高分子機能性膜は、下記一般式(II)で表される重合性化合物を含有する高分子機能性膜形成用組成物を重合反応、すなわち重合硬化反応させてなる。
Figure 2014195798
一般式(II)中、R、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1、m2、J、pおよびqは、ぞれぞれ、前記一般式(I)におけるR、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1、m2、J、pおよびqと同義であり、その好ましい範囲も同じである。
一般式(II)で表される重合性化合物のうち、qが0である化合物は単官能重合性化合物であり、ポリマーにアニオン基を導入するものであって、二価以上の多官能重合性化合物(架橋剤とも称す)と併用することが好ましい。
二価以上の多官能重合性化合物は、上記一般式(II)で表される重合性化合物のうち、qが1〜4の整数の重合性化合物であっても、これ以外の二価以上の多官能重合性化合物であっても構わないが、上記一般式(II)で表される重合性化合物のうち、qが1〜4の整数の重合性化合物が好ましい。また、本発明においては、一般式(II)におけるqが0である単官能重合性化合物と一般式(II)におけるqが1、2、3または4である多官能重合性化合物を重合硬化反応させて得られた高分子機能性膜が好ましい。
一般式(II)で表される重合性化合物のうち、qが1〜4の整数である化合物は多官能重合性化合物であり、ポリマーにアニオン基を導入するため、または、アニオン基の導入と同時に、架橋剤としての高分子機能性膜の膜強度を得るために有用である。
ここで、qが0である重合性化合物は、下記一般式(II−A)で表され、qが1〜4の整数の重合性化合物は、下記一般式(II−B)で表される。
Figure 2014195798
一般式(II−A)、(II−B)中、qqが1〜4の整数である以外は、残りの各基は一般式(II)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
ここで、一般式(II−A)で表される重合性化合物と一般式(II−B)で表される重合性化合物が重合反応、すなわち、重合硬化反応して形成されるポリマーは、共重合体となり、共重合相手の一般式(II−A)で表される重合性化合物に由来する構造単位が付与され、下記一般式(I−1)で表される構造を含むポリマーとして表される。
Figure 2014195798
一般式(I−1)中、各置換基は、全て、一般式(II−A)、(II−B)におけるものと同義であり、好ましい範囲も同じである。
なお、一般式(II−A)で表される重合性化合物と一般式(II−B)で表される重合性化合物の組合せ比率はモル比で、5:95〜95:5が好ましく、20:80〜80:20がより好ましく、30:70〜70:30が特に好ましい。
このように、qが0のものとqが1以上のものを共重合させることで、透水性が低く、力学強度に優れる膜を得ることができるので好ましい。
一般式(II)で表される重合性化合物は、さらに下記一般式(IV)で表される重合性化合物が好ましい。
Figure 2014195798
一般式(IV)中、R、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1およびm2は、ぞれぞれ、前記一般式(II)におけるR、R、R 、R 、k1、k2、k3、k4、A、A、A、A、M、n1、n2、m1およびm2と同義であり、その好ましい範囲も同じである。
本発明の高分子機能性膜は多孔質性の支持体(本明細書において、「多孔質支持体」ともいう。)を有することが好ましく、少なくとも前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、この多孔質支持体の少なくとも表面に形成されていることが好ましい。
次に、本発明における前記一般式(II)で表される重合性化合物として好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、M−1〜M−10が単官能重合性化合物であり、アニオン基導入用モノマーとして、M−11〜M−22は多官能重合性化合物として、アニオン基導入用モノマーもしくはアニオン基導入用モノマーを兼ねた架橋剤として作用する。
Figure 2014195798
Figure 2014195798
Figure 2014195798
高分子機能性膜形成用組成物固形分の全質量に対して、前記一般式(II)で表される重合性化合物は、1〜95質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。
上記好ましい範囲内であると所望の硬化性、pH耐性、機械強度、柔軟性に優れる。
(B)他の単官能重合性化合物
本発明において、一般式(I)で表される構造を有するポリマーは、前記(A)成分の一般式(II)で表される重合性化合物と前記(B)成分の他の単官能重合性化合物との共重合体であってもよい。
ここで、前記(B)成分の他の単官能重合性化合物は、本発明の高分子機能性膜の透水性や、膜の電気抵抗を調整するために、膜の親疎水性および架橋密度を調整する役割を果たす。
「他の単官能重合性化合物」とは、前記一般式(II)で表される重合性化合物、特に単官能重合性化合物とは化学構造上異なる単官能重合性化合物である。
このような他の単官能重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーも挙げられる。このようなモノマー類を共重合させることで、製膜性、膜強度、親水性、疎水性、溶解性、反応性、安定性等の諸物性を改善することができる。モノマーの合成法としては、例えば丸善株式会社 日本化学会編の「第5版 実験科学講座16 有機化合物の合成(II−1)」におけるエステル合成の項目や「第5版 実験科学講座26 高分子化学」におけるモノマーの取り扱い、精製の項目などを参考とすることができる。
これらの中でも、得られた高分子機能性膜の安定性、pH耐性から、エステル結合を有さないもの、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)、アリル化合物が好ましく、(メタ)アクリルアミド化合物が特に好ましい。
他の単官能重合性化合物としては、例えば、特開2008−208190号公報や特開2008−266561号公報に記載の化合物が挙げられる。これらの単官能重合性化合物は、高分子膜の機能付与に、後述するように、解離基を有するものが好ましい。
例えば、(メタ)アクリレート化合物では、エステルのアルコール部に置換基(好ましい置換基は後述の置換基が挙げられる)を有するもの、特に、アルコールのアルキル部に解離基を有するものも好ましい。
本発明の高分子機能性膜の製造において、他の単官能重合性化合物として、(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物を用いた場合、この高分子機能性膜が含有するポリマーは、下記一般式(V)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2014195798
一般式(V)中、R10は水素原子またはメチルを表す。R11は水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基を表し、R12は置換もしくは無置換のアルキル基を表す。ここで、R11とR12が互いに結合して環を形成してもよい。
10は水素原子が好ましい。
11およびR12におけるアルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6が特に好ましい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、n−デシル、n−オクタデシルが挙げられる。
これらのアルキル基は、直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。
アルキル基の置換基としては、ヒドロキシ基、スルホ基もしくはその塩、カルボキシ基もしくはその塩、オニオ基(アンモニオ、ピリジニオ、スルホニオなど)、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、シアノ基などが挙げられる。
本発明においては、特に高分子膜の機能を付与するために、このアルキル基の置換基で機能を付与されていることも好ましい。このため、上記置換基のなかでも、解離基、極性の置換基が好ましく、解離基が特に好ましい。
解離基は上記で挙げた、ヒドロキシ基(特に、フェノール性またはエノール性のヒドロキシ基)、スルホ基もしくはその塩、カルボキシ基もしくはその塩、リン酸基もしくはその塩が好ましく、スルホ基もしくはその塩がより好ましい。
ここで、スルホ基またはカルボキシ基における対カチオンとしては、N−メチルモルホリニル、ピリジニウムといった有機塩基イオンやアルカリ金属原子のカチオン、例えば、リチウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオンが好ましい。
本発明の高分子機能性膜が含有するポリマーは、前記一般式(III)で表される構造を有するポリマーと前記一般式(V)で表される構造を有するポリマーとの共重合体であることが好ましく、組成比は、単位構造あたりのモル比として、好ましくは10:90〜100:0であり、より好ましくは20:80〜90:10であり、さらに好ましくは30:70〜80:20である。
前記一般式(V)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜は、下記一般式(VI)で表される単官能重合性化合物を含有する高分子機能性膜形成用組成物を重合硬化反応させてなることが好ましい。
Figure 2014195798
一般式(VI)中、R10、R11およびR12は、それぞれ、前記一般式(V)におけるR10、R11およびR12と同義であり、その好ましい範囲も同じである。
次に、前記一般式(VI)で表される重合性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014195798
これらの化合物は、興人(株)、協和発酵ケミカル(株)、Fluka(株)、aldrich(株)、東亜合成(株)から市販されていたり、公知の方法で容易に合成できる。
また本発明の高分子機能性膜は、前記一般式(II)で表される重合性化合物と解離基を有さない2官能以上の多官能重合性化合物とを組み合わせて製造することもできる。解離基を有さない2官能以上の多官能重合性化合物として好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014195798
ここで、化合物(VII−10)のlは1以上の整数を表す。
(C)重合開始剤
本発明における高分子機能性膜形成用組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤の中でも、本発明においては、活性放射線照射で重合させることが可能な光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機化酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びにアルキルアミン化合物等が挙げられる。
芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、および、チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,p.77〜117(1993)に記載のベンゾフェノン骨格またはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号明細書、欧州特許出願公開第0284561A1号明細書に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。また、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明において、水溶性の重合開始剤が好ましく用いられる。
ここで、重合開始剤が水溶性であるとは、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することを意味する。前記水溶性の光重合開始剤は、25℃において蒸留水に1質量%以上溶解することが更に好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
これらのなかでも、本発明における高分子機能性膜形成用組成物に好適な光重合開始剤は、芳香族ケトン類(特に、α−ヒドロキシ置換ベンゾイン化合物)またはアシルホスフィンオキサイド化合物である。特に、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819、BASF・ジャパン社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO、BASF・ジャパン社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure 369、BASF・ジャパン社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907、BASF・ジャパン社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Irgacure 2959、BASF・ジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Darocur 1173、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が好ましく、水溶性と加水分解耐性の観点から、Irgacure 2959(BASF・ジャパン社製)、Darocur 1173(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が最も好ましい。
本発明において、重合開始剤の含有量は、高分子機能性膜形成用組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.3〜2質量部がさらに好ましい。
(D)共増感剤
さらに本発明の高分子機能性膜の作製プロセスにおいて、感度を一層向上させる、または酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を、共増感剤として加えてもよい。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻,3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure,33825号に記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
別の例としてはチオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報に記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報に記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報に記載の水素供与体、特開平6−308727号公報に記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報に記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号公報に記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
(E)重合禁止剤
本発明においては、塗布液の安定性を付与するために、重合禁止剤を含むことも好ましい。
重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が使用でき、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、アミン化合物、メルカプト化合物などが挙げられる。
フェノール化合物の具体例としては、ヒンダードフェノール(オルト位にt−ブチル基を有するフェノールで、代表的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールが挙げられる)、ビスフェノールが挙げられる。ハイドロキノン化合物の具体例としては、モノメチルエーテルハイドロキノンが挙げられる。
なお、これらの重合禁止剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
重合禁止剤の含有量は、高分子機能性膜形成用組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましく、0.01〜0.5質量部がさらに好ましい。
(F)溶媒
本発明における高分子機能性膜形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。高分子機能性膜形成用組成物中の(F)溶媒の含有量は、全高分子機能性膜形成用組成物に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
溶媒を含むことで、重合硬化反応が、均一にしかもスムーズに進行する。また、多孔質支持体へ高分子機能性膜形成用組成物を含浸させる場合に含浸がスムーズに進行する。
溶媒は、水に対する溶解度が5質量%以上であるものが好ましく用いられ、さらには水に対して自由に混合するものが好ましい。このため、水および水溶性溶媒から選択される溶媒が好ましい。
水溶性溶媒としては、特に、アルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒であるエーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、二トリル系溶媒、有機リン系溶媒が好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは1種類単独または2種類以上を併用して用いることができる。
また、非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン等が好ましい溶媒として挙げられ、中でもジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランが好ましい。これらは1種類単独または2種類以上を併用して用いることができる。
(G)アルカリ金属化合物
本発明における高分子機能性膜形成用組成物は、(メタ)アクリルアミド構造を有する一般式(II)で表される重合性化合物の溶解性を向上させるためにアルカリ金属化合物を含んでいてもよい。アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物塩、塩化物塩、硝酸塩等が好ましい。中でも、リチウム化合物がより好ましく、その具体例としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム、ヨウ化リチウム、リチウム塩素酸塩、チオシアン酸リチウム、過塩素酸リチウム、リチウム・テトラフルオロボラート、リチウム・ヘキサフルオロホスファート、リチウム・ヘキサフルオロアルセナートが挙げられる。
ここで、アルカリ金属化合物は、高分子機能性膜形成用組成物、高分子機能性膜形成用組成物溶液混合物を中和するために使用することも好ましい。
これらのアルカリ金属化合物は水和物であってもよい。また、1種単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属化合物を添加する場合の添加量は、高分子機能性膜形成用組成物中の全固形分質量100質量部に対し、0.1〜20質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。
本発明の高分子機能性膜は、スルホン酸基(SO3−)を有し、電解質膜(イオン交換膜)としても用いることができ、NaClのような塩を含む水におけるカチオンNaを交換することができる。
本発明において、特に、前記一般式(II)で表されるフェニルアクリルアミド構造を有する重合性化合物が二官能以上の場合、アクリルアミド架橋性基を有することでUV硬化性が付与されるため短時間で架橋性の高分子機能性膜が得られ、生産性に優れ低コストで電解質膜を作製することできる。
理想的なイオン交換膜は、低膜抵抗、低透水率、高選択透過性(カチオン/アニオン交換分離選択性)である。単位構造分子量あたりの電荷密度が高いほど一般的には膜の抵抗は低下し、選択透過性が高くなり、架橋密度が大きいほど透水率を低下させることができる。
本発明において、架橋性の重合性化合物(二官能以上のアクリルアミド)に解離基(スルホン酸基)を多く有することで、低膜抵抗、低透水率、かつ、高選択透過性である高分子機能性膜を得られることを見出した。
さらに、前記例示重合性化合物M−11〜M−22のように、架橋性の重合性化合物が剛直で、疎水性のフェニルアクリルアミド構造単位を2つ有することで透水率が低下することにも寄与していると考えられる。
〔その他の成分等〕
本発明の高分子機能性膜には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することもできる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。
界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、グリセリンのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、また、この他にもアルキルベタインやアミドベタインなどの両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを含めて、従来公知である界面活性剤およびその誘導体から適宜選ぶことができる。
高分子分散剤として、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等が挙げられ、中でもポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
上記アルカリ金属化合物以外に、必要により、例えば、界面活性剤、粘度向上剤、表面張力調整剤、防腐剤を含有してもよい。
<支持体>
とりわけ良好な機械的強度を有する膜を提供するために、多くの技術を用いることができる。例えば、膜の補強材料として支持体を用いることができ、好ましくは多孔質支持体を使用することができる。この多孔質支持体は、前記高分子機能性膜形成用組成物を含浸させた後重合硬化反応させることにより膜の一部を構成することができる。
補強材料としての多孔質支持体としては、例えば、合成織布または合成不織布、スポンジ状フィルム、微細な貫通孔を有するフィルム等が挙げられる。本発明の多孔質支持体を形成する素材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらのコポリマーであるか、あるいは、例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルミド(polyethermide)、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびそれらのコポリマーに基づく多孔質膜であることができる。市販の多孔質支持体および補強材料は、例えば、Freudenberg Filtration Technologies(Novatexx材料)およびSefar AGから市販されている。
なお、多孔質支持体および補強材料は光重合硬化反応を行う場合は、照射光の波長領域を遮らない、すなわち、重合硬化に用いられる波長の照射を透過させることが要求されるが、熱重合硬化の場合は、この点を考慮する必要はない。また、多孔質補強材料は、高分子機能性膜形成用組成物が浸透することができるものであることが好ましい。
支持体は親水性を有することが好ましい。意外なことに、弱塩基性または弱酸性基(例えば、第三級アミノ、カルボキシおよびホスファト基)を有するイオン交換膜は、選択透過性および導電率に関して良好な性質を示すことができると同時に、本方法により製造するのに過度に高価ではない。
[高分子機能性膜の製造方法]
本発明の高分子機能性膜は、モノマーとして前記一般式(II)で表される重合性化合物を含む塗布液を前記支持体に塗布し、塗布後の支持体に活性放射線を照射する、または熱を付与することにより架橋反応させ、形成されることが望ましい。
本発明の高分子機能性膜の製造方法の一例として、前記一般式(II)で表される重合性化合物を含有する塗布液を支持体に塗布し、塗布後の支持体を、活性放射線を照射することにより形成する方法が挙げられる。支持体に塗布する塗布液(ドープ)の成分組成は特に限定されないが、前記一般式(II)で表される重合性化合物と重合開始剤とを溶媒中に含むものであることが好ましい。前記一般式(II)で表される重合性化合物の含有量は特に限定されないが、塗布液中に、塗布液中の全固形分質量100質量%に対して、0.1〜100質量%含まれることが好ましく、10〜100質量%含まれることがより好ましい。この範囲にすることで、多孔質支持体上に製膜した際に、容易には下層に浸透しないため、分離に寄与する表層に欠陥が生じることもない。
本発明の高分子機能性膜を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜60℃が特に好ましい。
本発明においては、膜を形成時に空気や酸素などの気体を共存させてもよいが、不活性ガス雰囲気下であることが望ましい。
本発明の高分子機能性膜は、固定された支持体を用いてバッチ式(バッチ方式)で調製することが可能であるが、移動する支持体を用いて連続式で膜を調製(連続方式)することもできる。支持体は、連続的に巻き戻されるロール形状でもよい。なお、連続方式の場合、連続的に動かされるベルト上に支持体を載せ、高分子機能性膜形成用組成物である塗布液の連続的な塗布と重合硬化して膜を形成する工程を連続して行うことができる。ただし、塗布工程と膜形成工程の一方のみを連続的に行ってもよい。
なお、支持体と別に、高分子機能性膜形成用組成物を支持体に浸漬させ重合硬化反応が終わるまでの間、仮支持体(重合硬化反応終了後、仮支持体から膜を剥がす)を用いてもよい。
このような仮支持体は、物質透過を考慮する必要がなく、例えば、アルミ板等の金属板を含め、膜形成のために固定できるものであれば、どのようなものでも構わない。
高分子機能性膜形成用組成物は、種々の方法、例えば、カーテンコーティング、押し出しコーティング、エアナイフコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティングまたは噴霧コーティングにより、多孔質支持体に塗布もしくは浸漬することができる。複数の層の塗布は、同時または連続して行うことができる。同時重層塗布するには、カーテンコーティング、スライドコーティング、スロットダイコーティングおよび押し出しコーティングが好ましい。
高分子機能性膜の連続方式での製造は、高分子機能性膜形成用組成物を、移動している支持体に連続的に、より好ましくは、高分子機能性膜形成用組成物塗布部と、この高分子機能性膜形成用組成物を重合硬化するための照射源と、膜巻取り部と、支持体を前記高分子機能性膜形成用組成物塗布部から照射源および膜巻取り部に移動させるための手段とを含む製造ユニットにより製造する。
本製造例では、(i)高分子機能性膜形成用組成物である塗布液を支持体に塗布および含浸、または塗布と含浸の少なくとも一方を施し、(ii)当該高分子機能性膜形成用組成物を光照射により重合硬化反応し、(iii)所望により膜を支持体から取り外す、という過程を経て本発明の高分子機能性膜が作成される。
[活性放射線照射]
前記製造ユニットでは、高分子機能性膜形成用組成物塗布部は活性放射線の照射源に対し上流の位置に置くことができ、照射源は複合膜巻取り部に対し上流の位置に置かれる。
高速塗布機で塗布するのに十分な流動性を有するために、高分子機能性膜形成用組成物の35℃での粘度は、4000mPa.s未満が好ましく、1〜1000mPa.sがより好ましく、1〜500mPa.sが最も好ましい。スライドビードコーティングのようなコーティング法の場合の35℃での粘度は1〜100mPa.sが好ましい。
高速塗布機では、高分子機能性膜形成用組成物を、15m/分を超える速度で、移動する支持体に塗布することができ、最高400m/分を超える速度で塗布することもできる。
特に、膜の機械的強度を高めるために支持体を使用する場合、高分子機能性膜形成用組成物を支持体の表面に塗布する前に、例えば支持体の湿潤性および付着力を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などに付してもよい。
重合硬化反応中に、一般式(II)で表される重合性化合物が重合してポリマーを形成する。重合硬化反応は、30秒以内に膜を形成するのに十分な迅速さで重合硬化が起こるという条件で、光照射により行うことができる。
上記高分子機能性膜形成用組成物の重合硬化反応は、上記高分子機能性膜形成用組成物を支持体に塗布して好ましくは60秒以内、より好ましくは15秒以内、特に5秒以内、最も好ましくは3秒以内に開始する。
重合硬化反応は、高分子機能性膜形成用組成物に好ましくは10秒未満、より好ましくは5秒未満、特に好ましくは3秒未満、最も好ましくは2秒未満にわたり光を照射する。連続法では照射を連続的に行い、高分子機能性膜形成用組成物が照射ビームを通過して移動する速度によって、重合硬化反応時間を決める。
強度の高い紫外線(UV光)を重合硬化反応に用いる場合、かなりの量の熱が生じる可能性があり、過熱を防ぐために、光源のランプおよび高分子機能性膜形成用組成物を塗布した支持体、または光源のランプと高分子機能性膜形成用組成物を塗布した支持体の少なくとも一方を冷却用空気などで冷却することが好ましい。著しい線量の赤外光(IR光)がUVビームと一緒に照射される場合、IR反射性石英プレートをフィルターにしてUV光を照射することが好ましい。
活性放射線は紫外線が好ましい。照射波長は、高分子機能性膜形成用組成物中に包含される任意の光重合開始剤の吸収波長と波長が適合することが好ましく、例えばUV−A(400〜320nm)、UV−B(320〜280nm)、UV−C(280〜200nm)である。
紫外線源は、水銀アーク灯、炭素アーク灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアーク灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、タングステン灯、ハロゲン灯、レーザーおよび紫外線発光ダイオードである。中圧または高圧水銀蒸気タイプの紫外線発光ランプがとりわけ好ましい。これに加えて、ランプの発光スペクトルを改変するために、金属ハロゲン化物などの添加剤が存在していてもよい。大抵の場合、200〜450nmに発光極大を有するランプがとりわけ適している。
活性照射線の照射源のエネルギー出力は、好ましくは20〜1000W/cm、好ましくは40〜500W/cmであるが、所望の暴露線量を実現することができるならば、これより高くても、低くても構わない。暴露強度を変更することで、膜の硬化度を調整することができる。暴露線量は、High Energy UV Radiometer(EIT−Instrument Markets製のUV Power PuckTM)により、該装置で示されたUV−B範囲で測定して、好ましくは少なくとも40mJ/cm以上、より好ましくは100〜2000mJ/cm、もっとも好ましくは150〜1500mJ/cmである。暴露時間は自由に選ぶことができるが、短いことが好ましく、最も好ましくは2秒未満である。
なお、塗布速度が速い場合、必要な暴露線量を得るために、複数の光源を使用しても構わない。この場合、複数の光源は暴露強度が同じでも異なってもよい。
[加熱による重合硬化]
加熱温度は30〜95℃が好ましく、35〜90℃がより好ましく、40〜85℃が特に好ましい。
加熱温度は30分〜12時間が好ましく、60分〜6時間がより好ましく、60分〜4時間が特に好ましい。
[分離膜モジュール・イオン交換装置]
本発明の高分子機能性膜は多孔質支持体と組み合わせた複合膜とすることが好ましく、更にはこれを用いた分離膜モジュールとすることが好ましい。また、本発明の高分子機能性膜、複合膜または高分子機能性膜モジュールを用いて、イオン交換または脱塩、精製させるための手段を有するイオン交換装置とすることができる。燃料電池としても好適に用いることが可能である。
本発明の高分子機能性膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型、スタック型などが挙げられる。
本発明の高分子機能性膜は、特にイオン交換に使用することを主として意図している。しかしながら、本発明の高分子機能性膜はイオン交換に限定されるものではなく、燃料電池用のプロトン伝導膜、タンパク質・ウイルス除去にも好適に用いることができると考えられる。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、文中「部」および「%」とあるのは特に示さない限り質量基準とする。
1.一般式(II)で表される重合性化合物の合成
〔合成例〕
<重合性化合物(M−1)、(M−11)の合成>
下記合成スキームに従って、重合性化合物(M−1)および(M−11)を合成した。
Figure 2014195798
重合性化合物(M−1)の合成
2Lの三口フラスコに炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業製、製品番号:195−01303)168g(2.0mol)、イオン交換水865mLを加えて、室温下で攪拌しているところに、スルファニル酸(和光純薬工業製、製品番号:194−04535)173.19g(1.0mol)を少しずつ加えた。室温下で30分攪拌した後、氷冷下に冷却し、攪拌を続けた。氷冷下で攪拌しているところに塩化アクリロイル(和光純薬工業製、製品番号:013−12485)80.8mL(1.0mol)を系内が10℃以下を保つように少しずつ滴下した。滴下終了後、氷冷却下で1時間、その後、室温下で3時間攪拌した。反応混合物を5Lの三口フラスコに移した後、イソプロピルアルコール1500mlを少しずつ加えて、得られた結晶をろ過した。イソプロピルアルコール300mlで結晶を洗浄し、目的の重合性化合物(M−1)を100g(収率:40%)得た。
H−NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:
10.2(s,1H),7.62(d、J=9.0Hz、2H),7.56(d,J=9.0Hz、2H),6.45(dd,J=10.5、16.8Hz、1H),6.27(dd,J=2.1、16.8Hz、2H),5.76(dd,J=2.1、10.5Hz、2H).
重合性化合物(M−11)の合成
5Lの三口フラスコに炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業製、製品番号:195−01303)288.29g(3.43mol)、イオン交換水1,343mLを加えて、室温下で攪拌しているところに、4,4’−ベンジジン−2,2’−ジスルホン酸(東京化成工業製、製品番号:B0395)268.6g(0.78mol)を少しずつ加えた。室温下で30分攪拌したのち、氷冷下に冷却し、攪拌を続けた。氷冷下で攪拌しているところに塩化アクリロイル(和光純薬工業製、製品番号:013−12485)138.7mL(1.53mol)を系内が10℃以下を保つように少しずつ滴下した。滴下終了後、氷冷却下で1時間、その後、室温下で3時間攪拌した。反応混合物にイソプロピルアルコール2,686mLを少しずつ加えて、生じた不溶物をろ過により取り除いた。得られたろ液を30Lのステンレスバケツに移し、室温下で攪拌しているところに、イソプロピルアルコール10,744mLを少しずつ加えた。得られた結晶をろ過し、その後、イソプロピルアルコール:水(5:1)の混合溶液1,074mLで結晶を洗浄し、目的の重合性化合物(M−11)を339g(収率:87%)得た。
H−NMR(300MHz、DMSO−d6)δ:
10.3(s,2H),8.09(d、J=2.4Hz、2H),7.71(dd,J=2.4、8.4Hz、2H),7.16(d,J=8.4Hz、2H),7.71(dd,J=2.4、8.4Hz、2H)
重合性化合物(M−1)の合成方法と同様にして重合性化合物(M−10)を、重合性化合物(M−11)の合成方法と同様にして、重合性化合物(M−14)、(M−15)、(M−16)、(M−17)、(M−19)、(M−20)、(M−21)、(M−22)を合成した。重合性化合物(M−14)の原料は特開2004−155998号公報、特開2005−85726号公報の記載に準じて、もしくは参考にし、重合性化合物(M−15)については、特開2003−64048号公報、特開2003−64181号公報に記載の方法を用いて合成することができる。
2.カチオン交換膜の作成
上記で合成した本発明の一般式(II)で表される重合性化合物(M−1、M−10、M−11、M−14〜M−17、M−19、M−20、M−21およびM−22)のうち、重合性基であるアクリロイル基が1つのものはアニオン基導入用モノマーとして、2個以上のものはアニオン基導入用モノマーを兼ねた架橋剤として使用し、以下のようにしてカチオン交換膜を作成した。
なお、表1では、重合性化合物の機能を明確にするため、アニオン基導入用モノマー、架橋剤として分類した。
(実施例1)
下記表1に示す組成の組成物の塗布液をアルミ板に、150μmのワイヤ巻き棒を用いて、手動で約5m/分の速さで塗布し、続いて、不織布(Freudenberg社製 FO−2223−10、厚さ100μm)に塗布液を含浸させた。ワイヤの巻いていないロッドを用いて余分な塗布液を除去した。塗布時の塗布液の温度は約40℃であった。UV露光機(Fusion UV Systems社製、Light Hammer 10、D−バルブ、コンベア速度15m/分、100%強度)を用いて、前記塗布液含浸支持体を重合硬化反応することにより、カチオン交換膜を調製した。重合硬化時間は0.8秒であった。露光時間は0.47秒であった。得られた膜をアルミ板から取り外し、0.1M NaCl溶液中で少なくとも12時間保存した。
(実施例2〜13)
実施例1のカチオン交換膜の作成において、それぞれ、組成を下記表1に記載の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして実施例2〜13のカチオン交換膜を作成した。
(比較例1〜比較例4)
国際公開第2013/011272号パンフレットを参照し、それぞれ、組成を下記表1に記載の組成に変えた以外は、実施例1と同様にして比較例1〜比較例4のカチオン交換膜を作成した。
実施例1〜13および比較例1〜4で作成したカチオン交換膜について、下記項目を評価した。結果を表1に示す。
[選択透過性]
選択透過性は、静的膜電位測定により膜電位(V)を測定し、算出した。2つの電解槽(cell)は、測定対象の膜により隔てられている。測定前に、膜を0.05M NaCl水溶液中で約16時間平衡化した。その後、膜により隔てられた一方のcellに0.05M NaCl水溶液100mLを注いだ。また、膜により隔てられた他方のcellに0.5M NaCl水溶液100mLを注いだ。
恒温水槽により、cell中のNaCl水溶液の温度を25℃に安定化してから、両液を膜面に向かって流しながら、両電解槽とAg/AgCl参照電極(Metrohm社製)を、塩橋で接続して膜電位(V)を測定し、下記式(A)により選択透過性tを算出した。
なお、膜の有効面積は1cmであった。
t=(a+b)/2b 式(A)
前記式(A)における各符号の詳細を以下に示す。
a:膜電位(V)
b:0.5915log(f/f)(V)
,f:両cellのNaCl活量係数
,c:両cellのNaCl濃度(M)
[透水率(mL/m/Pa/hr)]
膜の透水率を図1に示す流路10を有する装置により測定した。図1において、符号1は膜を表し、符号3および4は、それぞれ、フィード溶液(純水)およびドロー溶液(3M NaCl)の流路を表す。また、符号2の矢印はフィード溶液から分離された水の流れを示す。
フィード溶液400mLとドロー溶液400mLとを、膜を介して接触させ(膜接触面積18cm)、各液はペリスタポンプを用いて符号5の矢印の向きに流速0.11cm/秒で流した。フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透する速度を、フィード液とドロー液の質量をリアルタイムで測定することによって解析し、透水率を求めた。
[膜の電気抵抗(Ω・cm)]
約2時間、0.5M NaCl水溶液中に浸漬した膜の両面を乾燥ろ紙で拭い、2室型セル(有効膜面積1cm、電極には白金電極を使用)に挟んだ。両室に0.5M NaCl水溶液20mLを満たし、25℃の恒温水槽中に置いて平衡に達するまで放置し、セル中の液温が正しく25℃になってから、交流ブリッジ(周波数1,000Hz)により電気抵抗rを測定した。
次に膜を取り除き、0.5M NaCl水溶液のみとして両極間の電気抵抗rを測り、膜の電気抵抗R(Ω・cm)をr−rとして求めた。
表1では、「膜の電気抵抗」を「膜抵抗」と省略して記載した。
[超音波処理後の膜質量減少率(%)]
500mLガラスビーカーにイオン交換水300mL注ぎ、このイオン交換水に前記実施例1〜13で作製したカチオン交換膜を浸漬させた。さらにBRANSON社製卓上型超音波洗浄機1510内にて25℃、60分間超音波処理した。超音波処理前後の膜質量を測定し、下記式に基づいて膜質量減少率を算出することにより、カチオン交換膜の安定性を評価した。
(超音波処理前の膜質量−超音波処理後の膜質量)÷超音波処理前の膜質量×100
[pH耐性]
pH1の塩酸水溶液とpH14の水酸化ナトリウム水溶液に、それぞれ、膜を浸漬し、40℃で3時間保持した。浸漬前の膜の透水率に対する浸漬後の膜の透水率の割合(保持率(%))を算出した。
pH1の塩酸水溶液およびpH14の水酸化ナトリウム水溶液のいずれの液においても、浸漬前後での膜の透水率の保持率が90%以上の場合を「良」、いずれかの液での膜の保持率が90%未満の場合を「不良」と評価した。
Figure 2014195798
Figure 2014195798
Figure 2014195798
Figure 2014195798
Figure 2014195798
[表1における略称の説明]
Genorad 16:商品名、Rahn AG社製
Darocur 1173:商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製
なお、IPAは溶媒のイソプロパノールである。
表1から明らかなように、本発明の一般式(II)で表される重合性化合物を用いて製造した、一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する実施例1〜13のカチオン交換膜は、いずれも、選択透過性、透水率、膜抵抗、耐久性(超音波処理後の膜質量減少率)およびpH耐性の全てについて良好な結果を示した。これに対し、従来公知の重合性化合物である架橋剤を用いた比較例のカチオン交換膜は、実施例1〜13のカチオン交換膜に対し、透水率、耐久性およびpH耐性において劣った。
また、ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムをカチオンモノマーとして用いた場合、重合硬化不十分であるため、透水率、膜抵抗ともに低性能であることがわかる。
1 膜
2 フィード溶液中の水が膜を介してドロー溶液に浸透することを示す矢印
3 フィード溶液の流路
4 ドロー溶液の流路
5 液体の進行方向
10 透水率測定装置の流路

Claims (11)

  1. 少なくとも1種の下記一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜。
    Figure 2014195798

    一般式(I)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。
  2. 前記一般式(I)において、qが0である請求項1に記載の高分子機能性膜。
  3. 前記一般式(I)において、qが1〜4の整数である請求項1に記載の高分子機能性膜。
  4. 前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、下記一般式(I−1)で表される構造を含むポリマーである請求項1に記載の高分子機能性膜。
    Figure 2014195798
    一般式(I−1)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qqは0〜4の整数を表す。
  5. 前記一般式(I)において、Mが有機塩基イオンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  6. 多孔質性の支持体を有し、少なくとも1種の前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、前記支持体の少なくとも表面に形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子機能性膜。
  7. 少なくとも1種の前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーが、前記多孔質性の支持体の細孔中に保持されている請求項6に記載の高分子機能性膜。
  8. 前記多孔質性の支持体が織布もしくは不織布である請求項6または7に記載の高分子機能性膜。
  9. 下記一般式(II)で表される重合性化合物を含有する組成物を重合硬化反応させてなる請求項1〜8いずれか1項に記載の高分子機能性膜。
    Figure 2014195798
    一般式(II)中、RおよびRは、各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。R 、RおよびRは、各々独立に、置換基を表し、k1、k2、k3およびk4は、各々独立に、0〜4の整数を表す。R 、RおよびRが複数存在する場合、R 、RおよびRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、環を形成してもよい。A、A、AおよびAは、各々独立に、単結合または二価の連結基を表す。Mは水素イオン、有機塩基イオンまたは金属イオンを表す。Mが複数存在する場合、Mは同一でも異なっていてもよい。n1およびn2は、各々独立に、1〜4の整数を表し、m1およびm2は、各々独立に、0または1を表す。Jは単結合、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CR−またはアルケニレン基を表し、RおよびRは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。pは1以上の整数を表し、qは0〜4の整数を表す。
  10. 前記一般式(I)で表される構造を含むポリマーを含有する高分子機能性膜を、少なくとも1種の前記一般式(II)で表される重合性化合物に活性放射線を照射することにより形成する請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子機能性膜の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の高分子機能性膜を少なくとも1種を含むイオン交換装置。
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