JP2014194687A - 監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】背景データを登録するといった運用上の手間を掛けることなく、検知エリアにおける物体の置去りや持去りを検知することができる監視装置を提供する。
【解決手段】レーザ走査部13(光学式センサ)により検知エリア内の物体を検知し、その物体の位置情報の時間変化に基づいて物体の移動速度および移動方向を算出し、所定の移動条件を満たす物体を移動体と判定することで移動体を検知して検知エリア内への移動体の侵入を検知するエリアセンサ装置1(監視装置)は、検知した移動体が通過した位置の近傍を含んで設定される通過後検知範囲に物体が検知されたか否か、および、通過後検知範囲に物体が検知された場合にはその物体が予め定められている判定期間以上その位置に滞留したか否かを判定する判定部10e(判定手段)と、判定部10eによる判定結果を出力する出力部12(出力手段)と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、検知エリアを監視する監視装置に関する。
検知エリアへの移動体の侵入を検知する方法として、検知エリア内の障害物を排除するために、例えば特許文献1のように障害物を背景データとして事前登録し、検知エリアを走査して得られた測定データと背景データとの差分から移動体の侵入を検知する方法や、特許文献2のように物体の移動状況を検知し、移動しない物体を検知対象から除外することで移動体のみを検知する方法などが提案されている。
特許第4727388号公報 特許第3011121号公報
ところで、近年では、防犯サービスの質を向上させるために、単に検知エリアへの侵入を検知するだけでなく、検知エリア内における物体の置去りや持去りを検知したいというニーズがある。
しかしながら、特許文献1の構成では、背景データを事前登録する必要があるとともに、新たに物体が持ち込まれた場合や配置が変更された場合等には背景データを更新する必要がある。この場合、背景データを更新しなければ、新たに持ち込まれた物体や配置が変更された物体が常に異常として検知されて監視性能の低下を招くとともに、基準となる背景データそのものが実際の状況とは異なっていることから、物体の置去りあるいは持去りを検知することができなくなる。つまり、置去りや持去りを検知したいというニーズに対応するためには、背景データを常に最新の状態しておく必要があり、監視装置の運用上多大な手間が掛かかるという問題がある。なお、特許文献2のような構成では、そもそも移動体以外は検知対象にならないため、置去りや持去りを検知したいというニーズに対応することはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、背景データを登録するといった運用上の手間を掛けることなく、検知エリアにおける物体の置去りや持去りを検知することができる監視装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、検知した移動体が通過した位置の近傍を含んで設定される通過後検知範囲に物体が検知されたか否か、および、通過後検知範囲に物体が検知された場合にはその物体が予め定められている判定期間以上その位置に滞留したか否かを判定し、その判定結果を出力する。
移動体が移動する場合、その進路上に物体が存在していれば、移動体はその物体を避けて移動すると考えられる。このため、移動体が移動した位置を含んで設定される通過後検知範囲、より具体的に言えば、移動体がそのまま通過した場合には物体に接触していると考えられる範囲に物体が検知された場合、その物体は、移動体が通過する前には存在していなかったと考えられる。すなわち、通過後検知範囲に検知された物体は、移動体により置去りにされた物体であると考えられる。
このとき、例えば人がすれ違った等の移動体が交差する場合も想定されるが、移動体が交差したような場合には、それぞれの移動体がともに移動するため、通過後検知範囲に物体が検出され続けることはないと考えられる。つまり、判定期間以上その位置で検知され続けた物体は、静止物であると判断できる。そして、もしその静止物が元々存在していた物体であるとすると、移動体は、自身の進路上に物体が存在していることから、その物体(静止物と判断された物体)を避けて移動すると考えられる。このため、移動体が移動した位置を含む通過後検知範囲で検知された物体が静止物であった場合、つまり、移動体が避けなかった物体が移動体の移動軌跡上に検出された場合、その静止物は移動体が通過する前には存在していなかったと考えることができる。すなわち、通過後検知範囲で判定期間以上検知され続けて静止物と判断された物体は、移動体により置去りにされた物体であると考えることができる。
これらにより、監視装置は、通過後検知範囲に検知され、且つ、判定期間以上その位置で検知されたか否かに基づいて、物体の置去りを検知することができる。この場合、監視装置は、事後的に置去りが発生したかを判断しているため、事前に背景データを登録する必要はない。したがって、背景データを登録するといった運用上の手間を掛けることなく、検知エリアにおける物体の置去りを検知することができる。
また、検知エリア内における物体の置去りを検知したいというニーズに応えることができ、防犯サービスの質を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、通過後検知範囲は、光学式センサにより検知エリアの物体を検知する際に移動体により遮られて検知が不可能となる検知不可範囲をさらに含んで設定されている。
検知エリアを移動体が移動する場合、移動体に遮られることで、移動体よりも遠方側に存在する物体を光学式センサで検出すること(つまり、監視すること)ができなくなる。その場合、光学式センサで検出ができない検知不可範囲に物体が置去りにされる可能性が考えられる。そこで、検知不可領域も含めて、通過後検知範囲として設定することにより、通過後検知範囲に検知され、且つ、判定期間以上その位置で検知されたか否かに基づいて、物体の置去りを検知することができる。
請求項3記載の発明では、検知エリア内で検知した移動体が通過すると予測される位置の近傍を含んで設定される通過前検知範囲に物体が検知されたか否か、および、移動体が通過した後の通過前検知範囲に物体が検知されたか否かに基づいて、移動体が通過する前後において通過前検知範囲における物体の検知状態が変化したか否かを判定し、移動体が通過する前後において前記通過前検知範囲で物体の検出状態が有りから無しに変化した場合に持去りと判定し、物体の検出状態が無しから有りに変化した場合に置去りと判定する。
物体の持去りに対応する場合、事前に物体の存在を検知しておく必要がある。しかし、従来のように背景データを登録する場合には、上記したように運用上の手間が多大に掛かる。そこで、監視装置は、移動体が通過する前後において、通過前検知範囲での物体の検知状態が変化したか否かを判定し、検知状態が変化した場合に、その判定結果を出力する。これにより、持去りおよび置去りの双方を検知することができる。
この場合、監視装置は通過前検知範囲の物体の検知状態を取得してそれを基準に判定するので、予め背景データを登録しておく必要が無く、運用上の手間が掛がることはない。
また、検知エリア内における物体の置去りを検知したいというニーズに応えることができ、防犯サービスの質を向上させることができる。
請求項4記載の発明では、通過前検知範囲は、光学式センサにより検知エリアの物体を検知する際に移動体により遮られて物体の検知が不可能となる検知不可範囲をさらに含んで設定されている。
検知エリアを移動体が移動する場合、移動体に遮られることで、移動体よりも遠方側に存在する物体を光学式センサで検出すること(つまり、監視すること)ができなくなる。その場合、光学式センサで検出ができない検知不可範囲に物体が置去りにされたり、検知不可範囲の物体が持去られたりする可能性が考えられる。そこで、検知不可領域も含めて、通過前検知範囲として設定し、移動体の通過の前後で物体の検知状態を比較することにより、持去りあるいは置去りが発生したことを検知することができる。
第1実施形態によるエリアセンサ装置が監視対象とする検知エリアを模式的に示す図 エリアセンサ装置の構成を模式的に示す図 通過後検知範囲を模式的に示す図 エリアセンサ装置が実行する侵入検知処理の流れを示す図 エリアセンサ装置が実行する物体検知処理の流れを示す図 エリアセンサ装置が実行する動体検知処理の流れを示す図 エリアセンサ装置が実行する移動体検知処理の流れを示す図 エリアセンサ装置が実行する置去り検知処理の流れを示す図 検知エリアで置去りが発生した状況を時系列で模式的に示す図 第2実施形態のエリアセンサ装置が実行する侵入検知処理の流れを示す図 エリアセンサ装置が実行する複合検知処理の流れを示す図 通過前検知範囲を模式的に示す図 持去りが発生した状況を時系列で模式的に示す図 その他の実施形態における検知不可範囲で置去りが発生した状況を時系列で模式的に示す図 検知不可範囲で持去りが発生した状況を時系列で模式的に示す図
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する構成については、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図9を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の監視装置を構成するエリアセンサ装置1は、走査エリアR0内を図1に示す矢印Sの方向に走査して物体の検出を行っており、その走査エリアR0内に、監視対象である検知エリアR1が設定されている。この図1において、例えば移動体MAに付されているP1(t1)等の記号は、時刻t1において位置P1に物体が検知されたことを意味しており、図1の場合では、移動体MAが時刻t1〜t7にてそれぞれ位置P1〜P7で検知されたことが示されている。以下、便宜的に、例えば時刻t1において位置P1で検知された物体を、P1(t1)の物体と称する。なお、図1に示されている物体MSは、検知エリアR1内に固定的に設けられている物体(例えば障害物)を示している。
このエリアセンサ装置1は、図2に示すように、制御部10、記憶部11、出力部12およびレーザ走査部13などを備えている。制御部10は、図示しないCPUやROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成されており、記憶部11などに記憶されているコンピュータプログラムを実行することによりレーザ走査部13などを制御する。また、制御部10は、物体検知部10a、動体検知部10b、移動体検知部10c、予測部10dおよび判定部10eを有している。これら物体検知部10a、動体検知部10b、移動体検知部10c、予測部10dおよび判定部10eは、本実施形態では制御部10により実行されるコンピュータプログラムによりソフトウェア的に実現されている。
詳細は後述するが、物体検知部10aは、図5に示す物体検知処理を実行して検知エリアR1内の物体を検知し、動体検知部10bは、図6に示す動体検知処理を実行して検知エリアR1内の物体を検知し、移動体検知部10cは、図7に示す移動体検知処理を実行して検知エリアR1内の物体を検知する。予測部10dは、後述する第2実施形態の図12に示す通過前位置を予測する。
判定部10eは、後述するように、移動体が通過した前後における通過後検知範囲や通過後検知範囲の状態に基づいて、物体の置去りや持去りが発生したかを判定する。また、判定部10eは、図3に示す通過後検知範囲R2を設定する。この通過後検知範囲R2は、移動体が通過した後に新たな物体が検知されたか否かを判定するための範囲であり、検知した移動体が通過した位置の近傍を含めた範囲が設定されている。この通過後検知範囲R2は、移動体の移動に伴ってその位置が変化していくとともに、複数の移動体が検知されればそれぞれの移動体に対して設定される。なお、移動体の近傍とは、移動体が静止している際において、その移動体が備える可動部の可動範囲や、可動部の先端が到達可能な到達範囲が想定される。
本実施形態では、通過後検知範囲R2として、移動体の移動軌跡範囲(移動体の幅)を少なくとも含む範囲を設定している。具体的には、通過後検知範囲R2は、図3の図示上下方向の幅としては移動体の横幅+α、図3の図示左右方向の幅としては、例えば移動体として人を想定している場合には例えば人の手が届く程度の範囲が設定されている。+αとしては、例えば移動体として人を想定している場合、人の手が届く程度の距離(つまり、移動体である人の可動部(腕)の先端(手)が到達可能な距離)や、障害物に体や手がぶつからない程度の距離(例えば、人1人分の幅等、障害物を回避するために取ると予想される回避距離)等が考えられる。つまり、通過後検知範囲R2は、想定する移動体の種類や、移動体が取る可能性のある動作等に応じて適宜設定すればよい。
記憶部11は、図示しないメモリ素子あるいはHDD等の記録装置などにより構成されており、コンピュータプログラムなどの各種の情報や、検知エリアR1内で検出した物体までの距離などの測距情報を記憶する。出力部12は、判定部10eによる判定結果を、例えば監視者に報知するといった態様にて出力する。
レーザ走査部13(光学式センサに相当する)は、レーザ照射部13a、レーザ照射部13aから照射されたレーザ光を走査エリアR0に向かって反射するとともに走査エリアR0内の物体で反射した光を受光するミラー13b、予め定められている角度分解能および走査周期にてミラー13bを回転駆動するモータ13c、反射光を受光するレーザ受光部13dを備えている。レーザ照射部13aから照射されたレーザ光は、走査エリアR0内に存在する物体で反射した後、レーザ受光部13dにて受光され、何らかの物体の存在を示す検出点として検出される。なお、この図2に示しているレーザ走査部13の構成は一例であり、レーザ照射部13a自体を駆動する構成(つまり、照射時にはミラー13bを利用しない構成)等、他の構成であってもよい。
次に、上記した構成の作用について説明する。
エリアセンサ装置1は、図4に示す侵入検知処理を実行しており、処理が開始されると、物体検知を開始し(A1)、続いて動体検知を開始し(A2)、その後移動体検知を開始する(A3)。ここで、「物体検知を開始」とは、図5に示す物体検知処理を適宜繰り返して実行することを意味しており、説明の簡略化のために図4のフローには示していないが、ステップA4以降においても物体検知処理はバックグラウンドで適宜実行されている。また、ステップA2の「動体検知を開始」およびステップA3の「移動体検知を開始」も同様の意味合いである。以下、物体検知処理、動体検知処理および移動体検知処理について、個別に説明する。なお、これらの処理は上記した物体検知部10a等により実行される処理であるが、説明の簡略化のため、エリアセンサ装置1を主体として説明する。
<物体検知処理>
エリアセンサ装置1は、図5に示す物体検知処理を開始すると、1走査分の測距情報(N番目)を読み出す(B1)。ここで、測距情報とは、検知エリアR1内で検出された物体までの距離および走査角を含む情報であり、例えば図1の場合、時刻t1では、障害物である物体MSまでの距離がL1、走査角がθ1、移動体MAの距離がL2、走査角がθ2といった情報が測距情報として記憶されている。なお、測距情報は、数回分が記憶されており、ステップA1ではそのN番目の測距情報を読み出している。
測距情報を読み出すと、エリアセンサ装置1は、クラスタ処理を実行する(B2)。このクラスタ処理は、物体で反射することで検出された検出点群が同一物体によるものであるかを判定する処理であり、周知のように、例えば所定範囲内で検出された検出点が互いにクラスタリングされることで、物体と判断している。続いて、クラスタ処理の結果に基づいて物体情報(検出点群により示される位置、大きさ、形状、密度等の情報。位置情報に相当する)を算出し(B3)、物体であるかが判定される(B4)。この場合、大きさや形状が所定の条件を満たすものが物体として判定される。例えば、図1の場合、移動体MA、障害物が物体MSとして判定される。
エリアセンサ装置1は、図1のように物体である判断した場合には(B4:YES)、その物体に物体IDを付与することで物体登録を行う(B5)。これにより、検知エリアR1内の物体が、管理対象となる。そして、物体IDと対応付けて、物体情報を記録する(B6)。なお、物体でないと判断した場合には(B4:NO)、ステップB5およびB6の処理は行われない。
続いて、エリアセンサ装置1は、全てのクラスタに対して物体であるかの判定をしていない場合には(B7:NO)、ステップB3に移行して未判定のクラスタに対して物体であるかの判定を行う。一方、全てのクラスタに対して物体であるかの判定をした場合には(B7:YES)、次の測距情報があるかを判定し(B8)、次の測距情報があれば(B8:YES)、走査情報(変数N)を更新(N+1にインクリメント)した後(B9)、ステップB1に移行して上記した処理を繰り返す。そして、全ての判定が終了した場合、つまり、次の測距情報がない場合には(B8:NO)、処理を終了する。ただし、上記したように、この物体検知処理(および、検知エリアR1の走査)は随時実行されている。
<動体検知処理>
エリアセンサ装置1は、図6に示す動体検知処理を開始すると、物体検知処理で記憶した物体情報(N番目)を読み出した後(C1)、次のN+1番目の物体情報を読み出す(C2)。続いて、N番目の物体情報から対象物体を抽出し(C3)、N+1番目の物体情報に記憶されている物体との相関度を算出する(C4)。このステップC4では、物体の大きさが同じであるか、互いの位置が所定範囲内であるか(つまり、同一物体が移動したと見なせる範囲にあるか)などの情報に基づいて、相関度が算出される。
続いて、エリアセンサ装置1は、相関度が基準値を超えており、且つ、最大であるかを判定する(C5)。つまり、N+1番目の物体情報に複数の物体が記憶されている場合、最も相関度が高いかを判定する。そして、相関度が基準値を超えていない、あるいは、最大でない場合には(C5:NO)、その物体は別物体であると判定する(C6)。一方、相関度が基準値を超えており、且つ、最大である場合には(C5:YES)、その物体を同一物体であると判定し、動体IDを付与した後(C7)、動体IDが付与された物体に関する情報を動体情報として記録・更新する(C8)。
そして、エリアセンサ装置1は、他の対象物体が残っていれば(C9:YES)、ステップC3に移行する。一方、他の対象物体が残っていなければ(C9:NO)、走査情報(変数N)を更新(N+1にインクリメント)した後(C10)、ステップC2に移行して上記した処理を繰り返す。
<移動体検知処理>
エリアセンサ装置1は、図7に示す移動体検知処理を開始すると、動体検知処理で記憶した動体情報(Y〜Y+a番目)を読み出した後(D1)、移動体情報を算出する(D2)。この移動体情報は、動体IDが付与された物体に関する位置、大きさ、形状、移動速度、移動方向などの情報を含んでいる。なお、Yは動体情報を読み出す開始位置であり、aは動体情報読み出す範囲である。
続いて、エリアセンサ装置1は、算出した移動体情報に基づいて、すなわち、動体情報の時間変化に基づいて、動体IDが付与された物体が移動体であるか否かを判定する(D3)。そして、移動体であると判定した場合には(D3:YES)、移動体IDを付与して移動体登録し(D4)、移動体IDが付与された物体に関する情報を移動体情報として記録(D5)。一方、移動体でないと判定した場合には(D3:NO)、ステップD4およびステップD5の処理は省略される。
エリアセンサ装置1は、全ての動体が完了したか、つまり、読み出した動体情報に含まれる全ての動体に対して移動体であるかの判定を行ったかをさらに判定し(D6)、完了していなければ(D6:NO)、ステップD2に移行して、上記したように移動体であるか否かの判定を繰り返す。
そして、エリアセンサ装置1は、全ての動体が完了した場合には(D6:YES)、動体情報が更新されたかを判定し(D7)、更新されていなければ(D7:NO)そのまま待機する一方、動体情報が更新された場合には(D7:YES)、開始位置YをY+bのように変更した後(D8)、ステップD1に移行して上記した処理を繰り返す。なお、bは、判定が完了した動体情報の次の動体情報であり、b=a+1番目に対応する。
さて、上記した物体検知、動体検知、移動体検知を開始すると、エリアセンサ装置1は、図4に示す侵入検知処理において、移動体情報を読み出し(A4)、移動体が存在するか否かを判定する(A5)。そして、移動体が存在しなければ(A5)、ステップA4に移行して移動体が検知されるのを待機する。これに対して、エリアセンサ装置1は、移動体が存在する場合には(A5:YES)、移動体検知結果を出力した後(A6)、置去り検知処理を実行する(A7)。
エリアセンサ装置1は、図8に示す置去り検知処理において、まず、判定基準時間の間、通過後検知範囲R2の物体の検知する(E1)。具体的には、エリアセンサ装置1は、例えば図9に示すように、移動体MAが移動した移動軌跡範囲を含む近傍の範囲を通過後検知範囲R2として設定し、通過後検知範囲R2の物体を検出する。この図9は、(a)〜(d)に示すように時刻t1〜t4までは通過後検知範囲R2に物体は検出されておらず、時刻t4後において通過後検知範囲R2に物体Bが検出されたとする。
エリアセンサ装置1は、物体Bが検出された通過後検知範囲R2を例えば通過後検知範囲R2aとして記憶し、その通過後検知範囲R2aに検出された物体Bが、所定の判定基準時間を超えて滞留し続けたかが観察される。そして、図9(f)に示す時刻t6において、判定基準時間を超えたものとする。
この場合、エリアセンサ装置1は、判定基準時間を超えた物体が検出されたことから(E2:YES)、置去りを報知する(E3)。つまり、物体Bが、移動体MAにより通過後検知範囲R2aに置去りにされた物体であると判定し、その判定結果を報知という態様にて出力する。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
エリアセンサ装置1は、通過後検知範囲R2に検知され、且つ、判定期間以上その位置で物体が検知されたか否かを判定している。移動体が移動する場合、その進路上に物体が存在していれば、移動体はその物体を避けて移動すると考えられるため、通過後検知範囲R2に物体が検知された物体は、移動体が通過する前には存在しておらず、移動体により置去りにされた物体であると判断することができる。この場合、移動体が交差したような場合にはそれぞれの移動体がともに移動するため、判定期間を超えて物体が検出され続けることはないと考えられる。このため、通過後検知範囲R2に検知され、且つ、判定期間以上その位置で検知された物体が、移動体により置去さられた物体であると判断することができる。つまり、置去りを検知することができる。
この場合、エリアセンサ装置1は、移動体が移動した事後的に置去りが発生したかを判断しているため、事前に背景データを登録する必要はない。したがって、背景データを登録するといった運用上の手間を掛けることなく、検知エリアR1における物体の置去りを検知することができる。
また、背景データを登録する必要が無いことから、図1に示した障害物が撤去された図9のような状態であっても、すなわち、検知エリアR1内の状況が変化したとしても、手間を掛けることなく置去りを検知することができる。したがって、検知エリアR1内における物体の置去りを検知したいというニーズに応えることができ、防犯サービスの質を向上させることができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図10から図13を参照しながら説明する。なお、エリアセンサ装置の構成は第1実施形態と共通する。
第2実施形態のエリアセンサ装置1は、図10に示す侵入検知処理を実行している。図10の侵入検知処理の場合、ステップF1〜ステップF6が図4のステップA1〜A6にそれぞれ対応しており、詳細な説明は省略するが、物体検知を開始し(F1)、動体検知を開始し(F2)、動体検知を開始し(F3)、移動体情報を読み出して(F4)、移動体が存在するかを判定し(F5)、移動体が存在する場合には(F5:YES)、移動体の検知結果を出力すると(F6)、複合検知処理を実行する(F7)。この複合検知処理は、物体の置去りおよび持去りの双方を検知可能な処理である。
エリアセンサ装置1は、図11に示す複合検知処理において、所定時間後の移動体の位置を予測し、通過前検知範囲に設定する(G1)。具体的には、エリアセンサ装置1は、図12(a)に示すように、移動体MAの移動体情報に基づいて、所定時間後に移動体MAが通過すると予測される位置およびその近傍の範囲を、通過前検知範囲R3として設定する。なお、この通過前検知範囲R3は、図12(b)に示すように移動体が通過した後には、第1実施形態で説明した通過後検知範囲R2として扱うこともできる。
通過前検知範囲R3を設定すると、エリアセンサ装置1は、通過前検知範囲R3の状態を記憶する(G2)。このステップG2では、少なくとも、通過前検知範囲R3に物体が存在しているか否かが、状態として記憶される。具体的には、図13(a)、(b)等に示すように、移動体MAの移動方向に設定された通過前検知範囲R3における物体の検知状態が記憶される。
続いて、エリアセンサ装置1は、移動体が通過した後に、通過前検知範囲R3の状態を確認する(G3)。この場合、具体的には、物体が存在しているか否かが確認される。そして、ステップG2で記憶した状態と移動体が通過した後の状態とを比較して、通過前検知範囲R3の状態が変化したかを判定する(G4)。
例えば図13(a)、(b)で設定された通過前検知範囲R3には、移動体が通過する前後において物体が検知されていないので、エリアセンサ装置1は、通過前検知範囲R3の状態が変化していないと判定し(G4:NO)、そのままリターンする。
これに対して、例えば図13(c)に示すように、ステップG1にて設定された通過前検知範囲R3に、物体Bが検知されたと想定する。このとき、エリアセンサ装置1は、ステップG2において、物体Bが検知された通過前検知範囲R3を例えば通過前検知範囲R3aとして記憶するとともに、その状態を記憶する。そして、図13(d)に示すように移動体MAが位置P4に移動し、その後、図13(e)に示すように例えば時刻t5において、ステップG3にて通過前検知範囲R3aの状態を確認したとする。
この場合、時刻t3の時点では位置P4に検知されていた物体Bが検知されなくなっていることから、エリアセンサ装置1は、移動体MAの通過の前後において、通過前検知範囲R3の状態が変化したと判定する(G4:YES)。そして、検知されていた物体Bが検知されなくなったことから、つまり、物体が「有り」の状態から「無し」の状態に変化したことから(G5:YES)、物体Bが移動体MAにより持去られたと判定して、持去りを報知することで判定結果を出力する(G7)。
なお、図示は省略するが、通過前検知範囲R3に物体が検知されておらず、移動体の通過後にその通過前検知範囲R3に物体が検知された場合には、つまり、物体が「無し」の状態から「有り」の状態に変化した場合には(G5:NO)、移動体が物体を置去りにしたと判定して、置去りを報知することで判定結果を出力することになる(G6)。
このように、本実施形態のエリアセンサ装置1は、置去りと持去りとを複合的に検知している。
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
物体の持去りに対応する場合、事前に物体の存在を検知しておく必要がある。しかし、従来のように背景データを登録する場合には運用上の手間が多大に掛かってしまう。そこで、エリアセンサ装置1は、移動体が通過する前後において通過前検知範囲R3における物体の検知状態が変化したか否かを判定し、移動体が通過する前後において検出状態が「有り」から「無し」に変化した場合には持去りと判定し、物体の検出状態が「無し」から「有り」に変化した場合に置去りと判定し、その判定結果を出力する。これにより、持去りおよび置去りの双方を検知することができる。
この場合、エリアセンサ装置1は、通過前検知範囲の物体の検知状態をその都度取得して基準とするので、予め背景データを登録しておく必要が無く、運用上の手間が掛がることはない。
移動体が通過する前後において検出状態がどのように変化したかによって持去りか置去りかを判定しているので、持去りと置去りとを複合的に検知する場合であっても処理の負荷が大きく増加することもない。
検知エリア内における物体の置去りを検知したいというニーズに応えることができ、防犯サービスの質を向上させることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、一実施形態にて例示したものに限定されることなく、例えば以下のように変形あるいは拡張することができる。
第2実施形態では、通過前検知範囲R3として移動体の予測位置を含む範囲を設定したが、他の範囲を含めて設定してもよい。例えば、図14(a)に示すように、時刻t1にて検知された移動体MAが時刻t2における予測位置Pに位置した場合、エリアセンサ装置1は、移動体MAに遮られて、移動体MAよりも遠方側の領域R4に物体が存在するかを検知できなくなる。この領域R4のような、移動体により遮られて検知が不可能となる検知不可範囲を含めて、通過前検知範囲R3として設定してもよい。この場合、領域R4に物体Bが検知されていたとして、図14(b)に示すように移動体MAにより遮られ、図14(c)に示すように移動体MAが通過した後に物体Bが検知されなくなっていれば、つまり、移動体の通過前後において領域R4の状態が変化していれば、物体Bが移動体MAにより持去れたと判定することができる。
また、図15(a)に示すように時刻t1では領域R4に物体が検出されておらず、図15(b)に示すように時刻t2では領域R4の物体の存在を検知できず、図15(b)に示すように時刻t3において物体が検知されていなかった領域R4に物体Bが検知された場合には、移動体MAにより物体Bが置去りにされたと判定することができる。
第1実施形態では、通過後検知範囲R2として移動体の移動軌跡を含む範囲を設定したが、移動体により遮られて検知が不可能となる検知不可範囲を含めて通過後検知範囲R2を設定してもよい。この場合、図15(b)のように、移動体MAが移動した後、物体Bが第1実施形態と同様に判定基準時間を超えて検知された場合に置去りと判断するとよい。
この場合、例えば図15(c)において領域R4の外縁に物体が検知されている場合等、移動体MAからの距離が離れすぎている物体については、置去り判定の対象外としてもよい。つまり、検知不可範囲(領域R4)の全域ではなく、例えば移動体MAから所定距離内の範囲を通過後検知範囲R2として設定してもよい。逆に、複数の侵入者によって、一方の侵入者が監視装置を遮って検知不可領域を生成し、その検知不可領域で他方の侵入者が何らかの行為を行う可能性等を考慮して、領域R4の全域を検知不可範囲として設定してもよい。
各実施形態では光学式センサとしてエリアセンサ装置1を例示したが、検知エリアを撮像するカメラで光学式センサを構成してもよい。これは、エリアセンサ装置1のようないわゆるレーザ距離計の場合、例えば地面からある高さの位置を水平に走査するものであるので、例えば地面に投棄されたような物体を検知することは困難である一方、カメラ等の撮像手段であれば、設置される高さによらず、検知エリアR1内に存在する物体を検出することができるためである。
図面中、1はエリアセンサ装置(監視装置)、13はレーザ走査部(光学式センサ)、R1は検知エリア、R2は通過後検知範囲、R3は通過前検知範囲、R4は検知不可範囲を示す。

Claims (4)

  1. 光学式センサにより検知エリア内の物体を検知し、検知した物体の位置情報の時間変化に基づいて物体の移動速度および移動方向を算出し、予め定められている移動条件を満たす物体を移動体と判定することで移動体を検知して、検知エリア内への移動体の侵入を検知する監視装置において、
    検知した移動体が通過した位置の近傍を含んで設定される通過後検知範囲に物体が検知されたか否か、および、前記通過後検知範囲に物体が検知された場合にはその物体が予め定められている判定期間以上その位置に滞留したか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする監視装置。
  2. 前記通過後検知範囲は、前記光学式センサにより前記検知エリアの物体を検知する際に移動体により遮られて検知が不可能となる検知不可範囲をさらに含んで設定されている
    ことを特徴とする請求項1記載の監視装置。
  3. 光学式センサにより検知エリア内の物体を検知し、検知した物体の位置情報
    時間変化に基づいて物体の移動速度および移動方向を算出し、予め定められている移動条件を満たす物体を移動体と判定することで移動体を検知して、検知エリア内への移動体の侵入を検知する監視装置において、
    検知した移動体が通過すると予測される位置の近傍を含んで設定される通過前検知範囲に物体が検知されたか否か、および、移動体が通過した後の前記通過前検知範囲に物体が検知されたか否かに基づいて、移動体が通過する前後において前記通過前検知範囲における物体の検知状態が変化したか否かを判定し、移動体が通過する前後において前記通過前検知範囲で物体の検出状態が有りから無しに変化した場合に持去りと判定し、物体の検出状態が無しから有りに変化した場合に置去りと判定する判定手段と、
    前記判定手段により検知状態が変化したと判定されると、その判定結果を出力する出力手段と、
    を備えることを特徴とする監視装置。
  4. 前記通過前検知範囲は、前記光学式センサにより前記検知エリアの物体を検知する際に移動体により遮られて物体の検知が不可能となる検知不可範囲をさらに含んで設定されている
    ことを特徴とする請求項3記載の監視装置。
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