JP2014194314A - 空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、冷房運転時における羽根表面の結露の発生を抑制させることができる構成を有する信頼性の高い空気調和機を提供する。
【解決部】本発明の空気調和機は、熱交換器において熱交換して吹出口から吹き出すための気流を発生させるファンの下流に配置されたリアガイダの案内面おいて羽根の開口より上流側の位置に風除け部を設け、羽根の開口から羽根内部に空気が流入することを抑制している。
【選択図】図9

Description

本発明は、室内の空調を行うための空気調和機に関し、特に空気調和機における吹出口近傍の結露防止に関する。
一般家庭で使用される空気調和機においては、通常、室内への騒音及び振動を抑制するために、コンプレッサ等の大きな騒音源、振動源となるものを室外機に配設し、騒音及び振動の少ないファンや熱交換器等を室内機に配設したセパレータ型が用いられている。このように構成された室内機は、室内の壁面等に設置されて、室内が所望の温度となるよう空調動作が行われる。室外機と室内機は、冷媒配管と制御用配線で互いに機械的及び電気的に接続されており、互いに協働して空調動作を行っている。
空気調和機の室内機には、温度調節された空気を室内に吹き出すための吹出口が設けられており、その吹出口には吹き出される空気の向きを変更するための風向変更部が設けられている。風向変更部としては、室内における所望の領域に向かって吹出口から吹き出された空気を送り出すために、吹出口から吹き出される空気の流れを上下方向に変更する上下風向変更羽根と、吹出口から吹き出される空気の流れを左右方向に変更する左右風向変更羽根とで構成された風向変更羽根が用いられている。
従来の空気調和機における上下風向変更羽根としては、例えば、空気調和機の運転時には吹出口から突出して、吹出口から吹き出される空気の流れ方向を変更するとともに、空気調和機の停止時には吹出口に収納されるよう構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許4110863号公報
空気調和機の室内機において、熱交換された空気は空気を送り出すためのファンの下流側に設けられたリアガイダに沿って流れて、リアガイダの下流に回動可能に設けられた上下風向変更羽根により吹出口から吹き出される構成である。上下風向変更羽根は、室内に吹き出すための吹出口を開閉するとともに、空気の吹き出し方向を大きく上下に変更する機能を有する。また、上下風向変更羽根には、回動動作を行うよう羽根回動軸が収納されており、羽根回動軸は空気調和機の本体に配設された羽根保持部により回動可能に保持されている。
上記のように構成された従来の空気調和機においては、上下風向変更羽根の羽根回動軸を羽根保持部によって回動可能に保持するため、上下風向変更羽根に開口が形成されている。そのため、冷房運転時にリアガイダに沿って流れてきた空気(冷気)が、上下風向変更羽根の開口に流入し、上下風向変更羽根の内壁に冷気が当たることによって上下風向変更羽根の表面近傍に結露を生じさせるという問題を有していた。
本発明においては、前記のように従来の空気調和機において問題となっている冷房運転時にリアガイダに沿って流れてきた空気(冷気)が、上下風向変更羽根の開口に流入することを抑制し、上下風向変更羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる信頼性の高い空気調和機の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る空気調和機においては、
空気の取入口と吹出口を有し、外観を構成する本体、
前記取入口から取り入れた空気を熱交換する熱交換器、
前記熱交換器において熱交換して前記吹出口から吹き出すための気流を発生させるファン、
前記ファンの下流に配置されて熱交換された空気の流れを前記吹出口へ案内する案内面を有するリアガイダ、
前記リアガイダの前記案内面の最下流端に回動動作を行う羽根回動軸を収納するよう設けられ、前記リアガイダに沿って流れてきた気流の方向を案内する羽根、及び
前記本体に配設され、前記羽根の前記羽根回動軸を保持する羽根保持部、
を備え、
前記羽根は、前記羽根保持部が前記羽根回動軸を回動可能に保持するための開口を有し、
前記リアガイダは、前記羽根の前記開口より上流側に位置する前記案内面に風除け部を有する。
本発明によれば、冷房運転時にリアガイダに沿って流れてきた空気(冷気)が、上下風向変更羽根の開口に流入することを抑制し、上下風向変更羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる信頼性の高い空気調和機を提供することができる。
図1は本発明に係る実施の形態1の空気調和機における室内機の概略構成を示す縦断面図である。 図2は実施の形態1の空気調和機における空調運転時の状態を示す縦断面図である。 図3は実施の形態1の空気調和機における空調運転時の上下風向変更羽根の動作例を示す縦断面図である。 図4は実施の形態1の空気調和機における空調運転時の上下風向変更羽根の動作例を示す縦断面図である。 図5は実施の形態1の空気調和機における空調運転時の上下風向変更羽根の動作例を示す縦断面図である。 図6は一般的な空気調和機の構成を示す斜視図である。 図7は一般的な空気調和機の構成を拡大して示す縦断面図である。 図8は実施の形態1の空気調和機における風除け部を拡大して示す部分斜視図である。 図9は実施の形態1の空気調和機における風除け部付近の構成を拡大して示す縦断面図である。 図10は実施の形態2の空気調和機における風除け部を拡大して示す部分斜視図である。 図11は実施の形態2の空気調和機における風除け部を拡大して示す上面図である。
本発明に係る第1の態様の空気調和機は、
前記目的を達成するために、本発明に係る空気調和機においては、
空気の取入口と吹出口を有し、外観を構成する本体、
前記取入口から取り入れた空気を熱交換する熱交換器、
前記熱交換器において熱交換して前記吹出口から吹き出すための気流を発生させるファン、
前記ファンの下流に配置されて熱交換された空気の流れを前記吹出口へ案内する案内面を有するリアガイダ、
前記リアガイダの前記案内面の最下流端に回動動作を行う羽根回動軸を収納するよう設けられ、前記リアガイダに沿って流れてきた気流の方向を案内する羽根、及び
前記本体に配設され、前記羽根の前記羽根回動軸を保持する羽根保持部、
を備え、
前記羽根は、前記羽根保持部が前記羽根回動軸を回動可能に保持するための開口を有し、
前記リアガイダは、前記羽根の前記開口より上流側に位置する前記案内面に風除け部を有する。このように構成された本発明に係る第1の態様の空気調和機は、冷房運転時において、風除け部によってリアガイダの案内面から流れてきた空気(冷気)が羽根の開口に流入することを抑制できる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第2の態様の空気調和機において、前記の第1の態様における前記風除け部は、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向より上向きの第1の風吹出面を有する。このように構成された本発明に係る第2の態様の空気調和機は、冷房運転時において、リアガイダの案内面に沿って流れてきた空気を、風除け部の第1の風吹出面によってリアガイダの案内面に沿って流れる気流の方向より上向きに吹き出すことで、羽根の開口に空気が流入することを抑制することができる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第3の態様の空気調和機において、前記の第2の態様における前記第1の風吹出面は、気流の方向に沿って切断された断面形状が曲線である。このように構成された本発明に係る第3の態様の空気調和機においては、リアガイダの案内面に沿って流れてきた空気を、より容易に風除け部の第1の風吹出面によってリアガイダの案内面に沿って流れる気流の方向より上向きに吹き出すことができる。したがって、羽根の開口に空気が流入することをより容易に抑制することができる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第4の態様の空気調和機において、前記の第1の態様における前記風除け部は、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向より上向きの傾斜面であって、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流を、前記羽根保持部を中心に左右に吹き分ける第2の風吹出面と第3の風吹出面を有する。このように構成された本発明に係る第4の態様の空気調和機においては、リアガイダの案内面に沿って流れてきた空気を、風除け部の第2の風吹出面と第3の風吹出面によって、リアガイダの案内面に沿って流れる気流の方向より上向きに流しつつ、羽根保持部を中心に左右に吹き出すことができる。このように、風除け部から吹き出された空気が、羽根保持部に当たることを抑制しつつ、羽根の開口に流入することを抑制できる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第5の態様の空気調和機において、前記の第4の態様における前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面は、曲面で形成される。このように構成された本発明に係る第5の態様の空気調和機においては、リアガイダの案内面に沿って流れてきた空気を、より容易に風除け部の第2の風吹出面と第3の風吹出面によって羽根保持部を中心に左右に吹き出すことができる。風除け部から吹き出された空気が、より容易に羽根保持部に当たることを抑制しつつ、羽根の開口に流入することを抑制できる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第6の態様の空気調和機において、前記の第4の態様又は前記の第5の態様における前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面は隣接して設けられ、前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面との間に形成される境界線は前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向と平行となるよう形成されている。このように構成された本発明に係る第6の態様の空気調和機においては、風除け部から吹き出された空気を、第2の風吹出面と第3の風吹出面との間に形成される境界線でスムーズに第2の吹出面に沿って流れる方向と第3の吹出面に沿って流れる方向に吹き分けることができる。
本発明に係る第7の態様の空気調和機において、前記の第6の態様における前記羽根保持部は、前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面との間に形成される前記境界線の下流に位置する。このように構成された本発明に係る第7の態様の空気調和機においては、羽根保持部に空気が当たることを確実に抑制しつつ、羽根の開口への空気の流入を防止することができる。その結果、羽根の表面近傍での結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第8の態様の空気調和機において、前記の第1の態様から前記の第7の態様のいずれかにおける前記風除け部の全体幅は、前記羽根の前記開口の幅より大きい。このように構成された本発明に係る第8の態様の空気調和機においては、風除け部から吹き出された空気が、確実に羽根の開口に流入することを防止できる。その結果、羽根内部の内壁に冷気が当たることを抑制し、羽根の表面近傍の結露の発生を防止することができる。
本発明に係る第9の態様の空気調和機は、前記の第1の態様から前記の第8の態様のいずれかにおいて、前記羽根は、前記羽根回動軸を収納する羽根回動部を有し、
前記本体は、前記羽根回動部に対向する部分に本体軸受部を有し、
前記羽根回動軸と前記羽根保持部は、異なる材料で形成され、
前記羽根回動部と前記本体軸受部は、異なる材料で形成されている。このように構成された本発明に係る第9の態様の空気調和機においては、羽根回動軸と羽根保持部との摩擦抵抗を減らすことができる。そのため、羽根回動軸の回動時において、羽根回動軸と羽根保持部との摩擦によって発生する音を低減することができる。また、上記のような材料を用いることにより、加工精度のばらつきにより、羽根回動部と本体軸受部が接触する場合においても摩擦によって発生する音を低減することができる。その結果、羽根回動部とリアガイダとの間の隙間を小さくすることが可能となり、隙間への空気の流入を抑制するシール性を向上させることができる。このように、羽根とリアガイダとの間の隙間への空気の流入を抑制することによって、冷房運転時における吹出口近傍の結露の発生を抑制することができる。
以下、本発明の空気調和機に係る実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易なものとするため、各要素を誇張して示している。なお、以下の実施の形態の空気調和機においては、具体的な構成について説明するが、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が適用された各種空気調和機を含むものである。
(実施の形態1)
実施の形態1の空気調和機は、室内機と室外機が冷媒配管及び制御配線等により互いに接続された、所謂セパレート型の空気調和機である。室内機と室外機によりヒートポンプが構成されており、室外機にはコンプレッサが設けられている。実施の形態1の空気調和機における室内機は、室内の壁面に取り付ける壁掛け式室内機である。
図1は、本発明に係る実施の形態1の空気調和機における室内機の概略構成を示す縦断面図である。図1は実施の形態1の空気調和機における空調運転停止時の状態を示している。
図1に示すように、室内機1は、空気の取入口となる前面開口部2aと上面開口部2b、および熱交換された空気を吹き出す吹出口2cとを有する本体2、及び本体2の前面開口部2aを開閉する可動式の前面パネル3を備えている。本体2の内部には、室内空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ4と、取り入れた室内空気を熱交換する熱交換器5と、前面開口部2a及び上面開口部2bからフィルタ4を通して取り入れた室内空気を熱交換器5で熱交換して吹出口2cから室内に吹き出すための気流を発生させる貫流ファンであるファン6と、が設けられている。また、室内機1の本体2において、ファン6の下流側から吹出口2cの上流側に至る通風路10は、ファン6の下流側に配置されて空気の流れを案内するリアガイダ7と、このリアガイダ7に対向して配置されたスタビライザ11と、本体2の両側壁(図示せず)とで形成されている。
実施の形態1の空気調和機において熱交換した空気を室内に吹き出すための吹出口2cには、当該吹出口2cを開閉するとともに、空気の吹き出し方向を上下方向に変更することができる上下風向変更部である上下風向変更羽根8が設けられている。さらに、吹出口2cの内部には空気の吹き出し方向を左右に変更することができる左右風向変更部である左右風向変更羽根9が設けられている。
図1に示す空調運転停止時の状態においては、前面パネル3が本体2に密着して前面開口部2aを閉じるように構成されており、上下風向変更羽根8が吹出口2cの内部に収納されて吹出口2cを閉鎖するよう構成されている。
図2は、実施の形態1の空気調和機における空調運転時の状態を示す縦断面図である。図2に示すように、前面パネル3は、本体2から離れる方向に所定距離だけ移動して前面開口部2aを開放するように構成されている。
上下風向変更羽根8は、第1の羽根の一例である下羽根8aと、この下羽根8aの上方に設けられた第2の羽根の一例である上羽根8bと、を備えている。上下風向変更羽根8は、下羽根8aと上羽根8bとが協働して、吹出口2cから吹き出される空気の吹き出し方向を制御している。下羽根8aは、下羽根駆動軸の回動動作により、所定角度だけ回動するよう構成されている。上羽根8bは、例えば制御によって下羽根8aと略平行に保持された状態で回動して下羽根8aに対して近接・離間動作する構成を有している。
なお、上下風向変更羽根8における上羽根8bには、第3の羽根の一例であるガイドミニ羽根8cが設けられている。ガイドミニ羽根8cは、下羽根8aと上羽根8bにより形成される主流に対して保護する気流を発生させる機能を有している。このように、上羽根8bの上面にガイドミニ羽根8cを設けることにより、主流に対する周りの空気の混合を防止し、主流における流れの減衰が抑制されている。
左右風向変更羽根9は、複数枚の羽根で構成されており、吹出口2cから吹き出される空気の吹き出し方向を左右方向に変更するよう制御されている。
空気調和機が空調運転を開始すると、前面パネル3が本体2から所定距離だけ離れる離動作を行い前面開口部2aが開放されるとともに、上下風向変更羽根8が開動作を行い吹出口2cが開放される。このように前面開口部2aおよび吹出口2cが開放された状態でファン6が駆動されて、室内空気が前面開口部2a及び上面開口部2bを通して室内機1の内部に取り入れられる。取り入れられた室内空気は、フィルタ4を通り、熱交換器5において熱交換されて、ファン6に吸い込まれる。ファン6に吸い込まれた熱交換された空気は、ファン6の下流側に形成された通風路10を通り、吹出口2cより吹き出される。
ファン6からの空気が通風路10を通過するとき、ファン6の下流側に配置されたリアガイダ7およびスタビライザ11によりファン6からの空気が案内されて、吹出口2cから吹き出される。貫流ファンであるファン6からの空気は、ファン6の外側外周に設けられたリアガイダ7の曲面に沿って流れて、吹出口2cから吹き出される。
吹出口2cから吹き出される空気の吹き出し方向は、上下風向変更羽根8及び左右風向変更羽根9により制御されている。上下風向変更羽根8及び左右風向変更羽根9の角度調整等の動作は、当該空気調和機を制御する制御装置(図示省略)により制御されている。
[上下風向変更羽根の動作]
図3から図5は、実施の形態1の空気調和機における空調運転時の上下風向変更羽根8の動作例を示しており、主流を形成する下羽根8aと上羽根8bとの回動動作を示す縦断面図である。下羽根8aは、下羽根8aを回動する下羽根回動部8abとリアガイダ7の案内面7aからの空気を所望の方向に案内する吹出面8aaを有する羽根部8adを備える。下羽根回動部8abは、下羽根回動軸8acを収納するよう構成されている。上下風向変更羽根8は、下羽根8aにおける下羽根回動軸8acの回動により、下羽根8aとともに上羽根8bが連動して回動する構成である。実施の形態1の空気調和機における上下風向変更羽根8は、リアガイダ7の最下流端7cの吹出口2cに設けられ、吹出口2cからの空気に対して高い整流効果を発揮するディフューザとしての機能を有すると共に、上下方向の風向を制御する機能を兼ね備えている。
図3は、実施の形態1の空気調和機におけるリアガイダ7から下羽根8aに至る風路の抵抗が最小の時の動作例である。以下の説明において、図3に示す下羽根8aの位置を最大風量形成位置と称し、この下羽根8aが最大風量形成位置に配置された状態を最大風量形成状態と称する。図3に示す最大風量形成位置においては、吹出口2cからの空気が斜め下方向に吹き出されている。このときの上下風向変更羽根8の下羽根8aがディフューザとしての機能を最大に発揮している。
図4は、実施の形態1の空気調和機の冷房運転時における動作例である。下羽根8aが、前述の最大風量形成状態より上向きに配置された動作例であり、吹出口2cからの空気の吹き出し方向が、略水平方向である。
図5は、実施の形態1の空気調和機の通常の暖房運転時における動作例である。下羽根8aが、前述の最大風量形成状態より下向きに配置されており、吹出口2cからの空気の吹き出し方向が、略下向き方向である。
[上下風向変更羽根の保持機構]
図6は、実施の形態1の上下風向変更羽根8を示す斜視図である。図6は、冷房運転時の動作例を示している。図6に示すように、上下風向変更羽根8の保持機構が上下風向変更羽根8の下羽根8aの中央及び/又は両端に設けられている。例えば、下羽根8aの中央では、本体2に配設された、薄い板状の下羽根保持部14が下羽根8aの下羽根回動軸8acを回動可能に保持している。また、下羽根8aには、下羽根保持部14が下羽根回動軸8acを保持できるよう開口15が形成されている。
実施の形態1の空気調和機は、冷房運転時においてリアガイダ7に沿って流れてきた空気が、下羽根8aの開口15に流入することを抑制するよう、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに風除け部16aを有している。
次に、実施の形態1の空気調和機において、風除け部16a近傍の流れについて理解しやすいように一般的な空気調和機の構成を用いて説明する。
図7は、一般的な空気調和機における上下風向変更羽根108の構成を拡大して示す縦断面図である。図7に示す空気調和機は、冷房運転時の動作例、即ち上下風向変更羽根108における下羽根108aが最大風量形成状態より上向きに配置された動作例を示している。
図7に示すように、一般的な空気調和機では、下羽根保持部114が下羽根108aの開口115を通って、下羽根108aの下羽根回動軸108acを回動可能に保持している。下羽根108aの開口115は、下羽根108aの下羽根回動部108abの上面側(図7の上側)に形成されている。冷房運転時において、リアガイダ107の案内面107aから吹き出された空気は、下羽根108aの開口115から下羽根回動部108abの内部に流入する。図7に示した一般的な空気調和機では、下羽根108の開口115から流入した空気が下羽根回動部108abの内壁に当たることにより、下羽根108aを冷やし、下羽根108aの表面近傍に結露120を生じさせるという課題を有している。なお、図7において、リアガイダ107の案内面107aに沿って流れる気流の方向を第1の吹き出し方向Gと定義する。
本発明に係る実施の形態1の空気調和機は、上記課題を解決するものであり、以下、実施の形態1の空気調和機における結露防止機構について詳細に説明する。
本発明の実施の形態1の空気調和機における結露防止機構について図8と図9を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態1の空気調和機における結露防止機構である風除け部16aを拡大して示す部分斜視図である。図9は、実施の形態1の空気調和機における上下風向変更羽根8等の構成を拡大して示す縦断面図である。図9に示す空気調和機は、冷房運転時の動作例を示している。
図8に示すように、実施の形態1の空気調和機では、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに風除け部16aを有している。実施の形態1における風除け部16aは、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aを流れる気流の方向を変更する第1の風吹出面16aaを有している。なお、第1の風吹出面16aaとは、図8における風除け部16aの上側の面を意味する。
図9に示すように、第1の風吹出面16aaは、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向である第1の吹き出し方向Gより上向きの傾斜面である。風除け部16aの第1の風吹出面16aaは、例えば、曲面又は平面等の任意の形状、即ち気流の方向に沿って切断した断面形状が曲線又は直線であってもよい。実施の形態1の空気調和機では、このような第1の風吹出面16aaを有する任意の形状の風除け部16aを下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに形成することによって、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aから吹き出される気流が、下羽根8aの開口15に流入することを抑制する構成となっている。
また、実施の形態1の風除け部16は、図8に示すように下羽根8aの開口15の幅よりも大きくなるよう形成されるのが好ましい。このように構成することによって、風除け部16aから吹き出された空気が、確実に下羽根8aの開口15に流入することを防止できる。
このように、実施の形態1の空気調和機は、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに風除け部16aを形成し、風除け部16aの第1の風吹出面16aaから吹き出される気流を第1の吹き出し方向Gより上方向に吹き出している。ここで、風除け部16aの風吹出面16aaから吹き出される気流の方向を第2の吹き出し方向Gと定義する。
次に、実施の形態1の空気調和機の風除け部16aにおける作用について図9を用いて説明する。図9は、冷房運転時における風除け部16a付近の空気の流れを示している。図9に示すように、冷房運転時において、ファン6からの空気は、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れ、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに形成された風除け部16aへ流れる。風除け部16aでは、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れてきた空気が、第1の風吹出面16aaに沿って流れ、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向(第1の吹き出し方向G)より上向きの第2の吹き出し方向Gに向かって吹き出される。そして、風除け部16aの風吹出面16aaから吹き出された空気は、下羽根8aの開口15の上方を流れ、下羽根8aの吹出面8aaから吹出口2cへ吹き出される。
以上のように、実施の形態1の空気調和機では、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向(第1の吹き出し方向G)より上向きの傾斜面である第1の風吹出面16aaを有する風除け部16aを下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに形成している。このような構成によって、風除け部16aの第1の風吹出面16aaから吹き出される空気(冷気)が、第1の吹き出し方向Gより上向きの第2の吹き出し方向Gに向かって流れる。その結果、リアガイダ7の案内面7aから吹き出された空気が、下羽根8aの開口15に入り込むことを抑制することが可能となり、下羽根8aの下羽根回動部8abの内壁に冷気が当たることを防止できる。したがって、実施の形態1の空気調和機では、下羽根8a表面近傍での結露が発生することを防止できる。
(実施の形態2)
次に、本発明に係る実施の形態2の空気調和機について図10を用いて説明する。図10は、実施の形態2の空気調和機における風除け部16bを拡大して示す部分斜視図である。実施の形態2の空気調和機において、前述の実施の形態1と実質的に同一の機能、動作を示す部分には同一番号を付与し、その説明は省略する。また、実施の形態2の空気調和機における基本動作は、実施の形態1の空気調和機における基本動作と同様であるので、実施の形態2の説明においては実施の形態1と異なる点である風除け部16bについて説明する。
図10に示すように、実施の形態2の空気調和機では、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとを有する風除け部16bが形成されている。なお、実施の形態2において、第2の風吹出面16baとは、風除け部16bの上面側(図10における上側)において気流の進行方向の左側(図10における右側)の面を意味する。また、第3の風吹出面16bbとは、風除け部16bの上面側において気流の進行方向の右側(図10における左側)の面を意味する。ここで、気流の進行方向とは、図10においてリアガイダ7の案内面7aから下羽根8aの吹出面8aaへ流れる気流の方向を意味する。
図11は、実施の形態2における風除け部16b付近の構成を拡大して示す上面図である。図11に示すように、実施の形態2における風除け部16bは、例えば、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとが隣接して設けられる。この場合、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れてきた気流が第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとの間に形成される境界線16beで左右に吹き分けられる。また、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbは、第1の吹き出し方向Gよりも上向きとなる傾斜面を有している。このため、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れてきた気流を第1の吹き出し方向Gよりも上方向に吹き出すこともできる。このように、実施の形態2の空気調和機は、風除け部16bによって、下羽根保持部14に空気が当たることを抑制しつつ、下羽根8aの開口15に空気が流入するのを抑制している。
実施の形態2の風除け部16bは、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとの間に形成される境界線16beがリアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向(第1の吹き出し方向G)と平行となるよう形成される。このような構成によって、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れてきた空気をスムーズに第2の吹出面16baに沿って流れる方向と第3の吹出面16bbに沿って流れる方向に吹き分けることができる。
また、実施の形態2においては、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとの間に形成される境界線16beの下流に下羽根保持部14が位置する。このように構成することによって、下羽根保持部14に空気が当たることを抑制しつつ、下羽根8aの開口15への空気の流入を抑制することができる。
図11に示す第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbとで形成される頂点16bcは、リアガイダ7の案内面7aに接触するよう配置され、頂点16bdは、リアガイダ7の案内面7aに対して所定の高さに配置される。この頂点16bdの位置を調整することによって、第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbの傾斜角度を調整できる。
このように、実施の形態2の空気調和機は、風除け部16bによって下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aから吹き出された空気を、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向(第1の吹き出し方向G)より上向きに流しつつ、下羽根保持部14を中心に左右に吹き分けられるよう構成されている。
次に、上記のように設けられた風除け部16bにおける作用について図11を用いて説明する。図11は、実施の形態2における風除け部16b付近の空気の流れを拡大して示す上面図である。図11の黒矢印で示すように、冷房運転時において、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れてくる空気は、風除け部16bの第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbとの間に形成される境界線16beで第2の風吹出面16baに沿って流れる気流の方向と第3の風吹出面16bbに沿って流れる気流の方向に吹き分けられる。また、第2の吹出面16baと第3の吹出面16bbは、それぞれ第1の吹き出し方向Gより上向きの傾斜面を有しているため、左右方向だけでなく第1の吹き出し方向Gより上向きに空気を吹き出す。したがって、風除け部16bの第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbから吹き出された気流は、下羽根保持部14と下羽根8aの開口15に向かわずに下羽根8aの吹出面8aaへ流れる。
以上のように、実施の形態2の空気調和機では、下羽根8aの開口15の上流側に位置するリアガイダ7の案内面7aに第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbを有する風除け部16bを形成している。第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbとは、リアガイダ7の案内面7aに沿って流れる気流の方向(第1の吹き出し方向G)より上向きの傾斜を有している。また、第2の風吹出面16baと第3の風吹出面16bbとの間に形成される境界線16beで気流を第2の風吹出面16baに沿って流れる気流の方向と第3の風吹出面16bbに沿って流れる気流の方向に吹き分けている。このような構成によって、リアガイダ7の案内面7aから吹き出された空気が、下羽根保持部14に当たることを抑制しつつ、下羽根8aの開口15に入り込むことを抑制することが可能となる。その結果、下羽根8aの下羽根回動部8abの内壁に冷気が当たることを防止し、下羽根8a表面近傍で結露が発生することを防止できる。
なお、本発明に係る風除け部16は、上下風向変更羽根8の複数箇所に下羽根8aを保持する下羽根保持部14を設けた構成の空気調和機についても対応可能なものである。
実施の形態1と実施の形態2では、下羽根回動軸8acと下羽根保持部14が異なる材料で形成されており、下羽根回動部8abと本体軸受部13が、異なる材料で形成されている。異なる材料とは、強度、耐衝撃性、摺動特性が異なる材料で、例えば、下羽根回動軸8acと下羽根回動部8abは、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等の材料で形成され、下羽根保持部14と本体軸受部13は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の材料で形成されている。このような構成とすることで、下羽根回動軸8acと下羽根保持部14との摩擦抵抗を減らすことができる。そのため、下羽根回動軸8acの回動時に下羽根回動軸8acと下羽根保持部14との摩擦によって発生する音を低減することができる。また、上記のような材料を用いることにより、加工精度のばらつきにより、下羽根回動部8abと本体軸受部13が接触する場合においても摩擦によって発生する音を低減することができる。その結果、下羽根8aとリアガイダ7との間の隙間12を小さくすることが可能となり、実施の形態1と実施の形態2の空気調和機の構成においては、隙間12への空気の流入を抑制するシール性を向上させることができる。
以上のように、下羽根回動軸8acと下羽根保持部14が異なる材料で形成され、下羽根回動部8abと本体軸受部13が、異なる材料で形成されることによって、下羽根8aとリアガイダ7との間の隙間12への空気の流入を抑制することができる。隙間12への空気の流入を抑制することによって、冷房運転時における吹出口近傍の結露を抑制することができる。さらに下羽根8aが冷やされることを抑制でき、結露が発生することを防止できる。
なお、本発明の空気調和機としては、前述の実施の形態1および実施の形態2の構成に限定されるものではなく、実施の形態1および実施の形態2の構成で示した本発明の技術的思想は、その他種々の態様で実施可能である。
例えば、実施の形態1および実施の形態2の空気調和機は、暖房と冷房を兼用する空気調和機であるが、冷房機の専用機であっても当然適用可能である。また、実施の形態1および実施の形態2においては室内機と室外機が別体のセパレート型であるが、圧縮機、凝縮機及び蒸発機等が一体となった一体型空気調和機に対しても適用可能な構成である。さらに、本発明においては、室内機として壁掛け式に特定されるものではなく、床置き式等においても、空気の吹出口における上下風向変更羽根を同様の技術的思想により変形して対応することが可能である。
本発明の空気調和機は、冷房運転時の結露を防止して、吹出口からの空気を所望の領域に到達するように吹き出すことが可能な構成であり、且つ吹出口からの空気に対して高い整流効果を発揮することができるため、業務用及び一般家庭等で使用される空気調和機として有用である。
1 室内機
2 本体
2a 前面開口部
2b 上面開口部
2c 吹出口
3 前面パネル
4 フィルタ
5 熱交換器
6 ファン
7 リアガイダ
7a 案内面
8 上下風向変更羽根
8a 下羽根(第1の羽根)
8b 上羽根(第2の羽根)
8c ガイドミニ羽根(第3の羽根)
8aa 吹出面
8ab 下羽根回動部
8ac 下羽根回動軸
8ad 羽根部
9 左右風向変更羽根
10 通風路
11 スタビライザ
12 隙間
13 本体軸受部
14 下羽根保持部
15 開口
16 風除け部
16a 風除け部
16b 風除け部
16aa 第1の風吹出面
16ba 第2の風吹出面
16bb 第3の風吹出面
16bc 頂点
16bd 頂点
16be 境界線

Claims (9)

  1. 空気の取入口と吹出口を有し、外観を構成する本体、
    前記取入口から取り入れた空気を熱交換する熱交換器、
    前記熱交換器において熱交換して前記吹出口から吹き出すための気流を発生させるファン、
    前記ファンの下流に配置されて熱交換された空気の流れを前記吹出口へ案内する案内面を有するリアガイダ、
    前記リアガイダの前記案内面の最下流端に回動動作を行う羽根回動軸を収納するよう設けられ、前記リアガイダに沿って流れてきた気流の方向を案内する羽根、及び
    前記本体に配設され、前記羽根の前記羽根回動軸を保持する羽根保持部、
    を備え、
    前記羽根は、前記羽根保持部が前記羽根回動軸を回動可能に保持するための開口を有し、
    前記リアガイダは、前記羽根の前記開口より上流側に位置する前記案内面に風除け部を有する空気調和機。
  2. 前記風除け部は、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向より上向きの第1の風吹出面を有する請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記第1の風吹出面は、気流の方向に沿って切断された断面形状が曲線である請求項2に記載の空気調和機。
  4. 前記風除け部は、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向より上向きの傾斜面であって、前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流を、前記羽根保持部を中心に左右に吹き分ける第2の風吹出面と第3の風吹出面を有する請求項1に記載の空気調和機。
  5. 前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面は、曲面で形成された請求項4に記載の空気調和機。
  6. 前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面は隣接して設けられ、前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面との間に形成される境界線は前記リアガイダの前記案内面に沿って流れる気流の方向と平行となるよう形成される請求項4又は5に記載の空気調和機。
  7. 前記羽根保持部は、前記第2の風吹出面と前記第3の風吹出面との間に形成される前記境界線の下流に位置する請求項6に記載の空気調和機。
  8. 前記風除け部の全体幅は、前記羽根の前記開口の幅より大きい請求項1乃至7のいずれか一項に記載の空気調和機。
  9. 前記羽根は、前記羽根回動軸を収納する羽根回動部を有し、
    前記本体は、前記羽根回動部に対向する部分に本体軸受部を有し、
    前記羽根回動軸と前記羽根保持部は、異なる材料で形成され、
    前記羽根回動部と前記本体軸受部は、異なる材料で形成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の空気調和機。
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